まず、本発明に係る無線通信デバイスにおける各種態様の構成について記載する。
本発明に係る第1の態様の無線通信デバイスは、通信信号を送受信するための無線通信デバイスであって、基材と、この基材に形成されたアンテナパターンと、このアンテナパターンに接続された給電回路と、を備える。そして、アンテナパターンは、複数の導体パターンで構成されて、複数の導体パターンそれぞれは、通信信号の周波数より高い、電磁波加熱用マイクロ波帯の周波数で共振しない線長を有する。
上記のように構成された第1の態様の無線通信デバイスは、例えば電子レンジの庫内でマイクロ波の照射を受けると、無線通信デバイスの各部がマイクロ波加熱されるが、アンテナパターンは電磁波加熱用のマイクロ波の周波数では共振せず、アンテナパターンが誘導電流で発熱することがない。また、複数の導体パターン間に大きな電位差が生じないので、導体パターン間の放電も生じ難い。そのため、アンテナパターンや基材が発火することなく、無線通信デバイス又は無線通信デバイスが貼付された商品部分の融解や変形も防止される。
本発明に係る第2の態様の無線通信デバイスでは、前記複数の導体パターンのうち互いに隣接する導体パターン間にキャパシタンス成分が形成されて、前記複数の導体パターンのインダクタンス成分と前記キャパシタンス成分とで、前記通信信号の周波数で共振するLC直列共振回路が構成される。
上記のように構成された第2の態様の無線通信デバイスによれば、上記LC直列共振回路が通信信号の周波数で共振する集中定数型共振回路として作用し、目的の周波数での利得を容易に高めることができる。
本発明に係る第3の態様の無線通信デバイスでは、前記通信信号の周波数はUHF帯の周波数であり、前記電磁波加熱用マイクロ波帯の周波数は、2.4GHz以上2.5GHz以下の周波数である。
上記のように構成された第3の態様の無線通信デバイスによれば、例えば2.45GHzを利用する一般的な電子レンジと、例えば860MHzから960MHzのUHF帯を利用する一般的なRFIDタグとの組み合わせでの上述の不具合を回避できる。
無線通信デバイスが付された商品を販売するコンビニエンスストアやスーパーマーケットでは、食品、日用雑貨品などの多種多様な商品が取り扱われる。近年、コンビニエンスストアに関して、購入した商品の会計、及び袋詰めを自動化する「無人コンビニエンスストア」の実用化に向けて、各種実験が行われている。
「無人コンビニエンスストア」における商品会計の自動化のために、無線通信デバイスである「RFIDタグ」を全ての商品に付して対応することが考えられている。「無人コンビニエンスストア」においては、「RFIDタグ」が付された商品を収容した買い物カゴが精算台に置かれると、「RFIDタグ」からの情報が読み取られて商品代金が表示されるシステムである。購入者は、商品代金としての現金を現金投入口に投入するか、クレジットカードを差し込んで支払いを済ませて、自動的に買い物袋に詰められた商品を受け取ることにより、「無人コンビニエンスストア」における商品の購入を完了することができる。
以下、本発明に係る無線通信デバイスの具体的な例示としての実施形態について、添付の図面を参照しつつ説明する。本発明に係る無線通信デバイスが付される商品としては、所謂「コンビニエンスストア」や「スーパーマーケット」などの販売店において取り扱われる全ての商品が対象である。
なお、以下の実施形態において説明する電磁波加熱装置としては、誘電加熱を行う所謂「電子レンジ」で説明するが、本発明おける電磁波加熱装置としては誘電加熱を行う機能を有する加熱装置が対象となる。また、以下の実施形態では、上記商品に付されるRFIDタグを無線通信デバイスの一例として説明する。
《第1の実施形態》
図1は、第1の実施形態に係るRFIDタグ101の平面図である。
図1に示すように、RFIDタグ101は、絶縁体又は誘電体の基材1と、この基材1に形成されたアンテナパターン2A,2Bと、アンテナパターン2A,2Bに接続されたRFICパッケージ3とを備える。
第1アンテナパターン2Aは複数の導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Aeで構成されている。同様に、第2アンテナパターン2Bは複数の導体パターン2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Beで構成されている。
導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Aeは、RFICパッケージ3が実装される第1ランドパターン6aから先端OEまで、部分的に近接しつつ順次配列されている。具体的には、第1アンテナパターン2Aの給電端FEを導体パターン2Aaの第1端とすると、導体パターン2Aaの第2端は導体パターン2Abの第1端と近接し、かつ導体パターン2Aaと導体パターン2Abは平行に配置されている。また、導体パターン2Abの第2端は導体パターン2Acの第1端と近接し、かつ導体パターン2Abと導体パターン2Acは平行に配置されている。同様に、導体パターン2Acの第2端は導体パターン2Adの第1端と近接し、かつ導体パターン2Acと導体パターン2Adは平行に配置されている。さらに、導体パターン2Adの第2端は導体パターン2Aeの第1端と近接し、かつ導体パターン2Adと導体パターン2Aeは平行に配置されている。
ここで、比較例としてのRFIDタグについて図10(A)、図10(B)を参照して説明する。図10(A)、図10(B)に示す、比較例としてのRFIDタグ100は、絶縁体又は誘電体の基材1と、この基材1に形成されたアンテナパターン2A,2Bと、給電回路90とを備える。アンテナパターン2A,2Bは、給電回路90から互いに反対方向にそれぞれ延伸されている。アンテナパターンは2A,2Bは、給電端FEに給電回路90が接続されたダイポール型の電界アンテナを構成するパターンである。
図10(A)に示す電流密度の波形は、第1アンテナパターン2A及び第2アンテナパターン2Bにそれぞれ1/4波長の定在波が生じる基本波共振での電流密度の分布を示している。RFIDタグ100は、通信信号の周波数でこのように基本波共振する。
一方、図10(B)に示す電流密度の波形は、第1アンテナパターン2A及び第2アンテナパターン2Bにそれぞれ3/4波長の定在波が生じる高調波共振での電流密度の分布を示している。このように、アンテナパターン2A,2Bが長く連続する線状パターンであると、高次の共振モードをもち得る。そのため、RFIDタグ100は電磁波加熱用のマイクロ波の周波数で、このように高調波共振する場合がある。図10(A)に示したような1/4波長共振の基本共振モードに比べて、高調波共振のモードでは、電流密度分布の節の数が多くなるので(共振の波数が増えるので)、共振器のQ値が高まる。Q値が高まると、エネルギーが集約されるので、局部的により発熱しやすくなる。
このように、電磁波加熱用のマイクロ波の周波数で共振すると、アンテナパターン2A,2Bに大電流が誘導されて、アンテナパターン2A,2B及び基材1が発熱し、基材1が発火する危険性や商品に引火する可能性がある。
図2(A)は図1に示したRFIDタグ101に形成されているアンテナパターン2A,2Bの等価回路図である。図2(A)において、インダクタLは導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Beのインダクタンス成分を集中定数型のインダクタとして表したものである。また、キャパシタCは、導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Beのうち、互いに隣接する導体パターン間に生じるキャパシタンス成分を集中定数型のキャパシタとして表したものである。さらに、図2(A)において、給電回路90はRFICパッケージ3に対応する。
複数の導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Beのうち、隣接する導体パターン同士は上記キャパシタンス成分を介してそれぞれ電界結合する。また、複数の導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Beのうち、互いに隣接する導体パターンは部分的に平行に近接するので、この隣接する導体パターンは磁界でも結合する。したがって、上記インダクタLにはこの磁界結合によるインダクタンス成分も含まれる。
図2(B)はアンテナパターン2A,2Bの周波数特性を示す概念図である。図2(B)は中の“S21”は給電回路90からアンテナパターン2A,2Bをみた挿入損失である。また、“S11”は給電回路90からアンテナパターン2A,2Bをみた反射損失である。但し、この反射損失は、比較例として図10(A)、図10(B)に示したRFIDタグ100の、給電回路90からみた反射損失である。
図2(A)に示したとおり、本実施形態のRFIDタグ101に設けられるアンテナパターン2A,2Bは、LC直列共振回路を構成する。このLC直列共振回路は図2(B)中に“S21”で示すように帯域通過フィルタ特性を示す。
図2(B)に示すとおり、上記LC直列共振回路の共振周波数foは上記帯域通過フィルタの通過帯域の中心周波数に相当する。この共振周波数foは通信信号の周波数帯の中心周波数にも相当する。ここで、通信信号の周波数帯は例えば860MHzから960MHzのUHF帯の周波数である。一方、電磁波加熱用マイクロ波帯は例えば2.4GHz以上2.5GHz以下の周波数である。このように、電磁波加熱用マイクロ波帯の周波数は通信信号の周波数とは異なり、上記LC直列共振回路は電磁波加熱用マイクロ波帯では共振しない。言い換えれば、上記LC直列共振回路は通信信号の周波数で共振する集中定数型共振回路である。
また、複数の導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Beそれぞれは、電磁波加熱用マイクロ波帯の周波数で共振しない線長を有する。言い換えれば、電磁波加熱用マイクロ波帯の周波数における波長の1/2より短い線長を有し、電磁波加熱用マイクロ波帯での基本モードでも高次モードでも共振しない。言い換えれば、分布定数的に電磁波加熱用マイクロ波帯の周波数で共振しない。したがって、複数の導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Beそれぞれは個別に電磁波加熱用マイクロ波帯の周波数で共振しない。
本実施形態のRFIDタグ101において、基材1として、可撓性を有するフィルム材料又は難燃性のフィルム材料が用いられる。基材1の平面視での外形は矩形状である。また、基材1が難燃性ではない通常のフィルム材料の場合は、基材1の厚みを38μm以下の薄さにしてもよい。これにより、基材1は、燃焼するまでに溶けて変形するので、基材形状を保てないようにすることができる。
基材1に難燃性フィルムを採用する場合、用いられる難燃性フィルム材料としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂などの樹脂材料にハロゲン系難燃材料の添加や、難燃性コーティング材料を塗工したフィルムが用いられる。また、基材1の材料としては、耐熱性を有するPEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂などの耐熱性、耐加水分解性、耐薬品性の面で高機能を有する樹脂材料を用いることも可能である。なお、基材1には必ずしも難燃性材料が必要なわけではなく、例えば紙材により構成することも可能である。
上記アンテナパターン2A,2Bは、基材1の表面に形成された、アルミニウム箔、銅箔などの導電材料の膜体によるパターンである。
図3は、アンテナパターン2A,2Bのランドパターン6(6a,6b)上に実装されるRFICパッケージ3の構成を示す分解斜視図である。図3に示すように、第1の実施形態におけるRFICパッケージ3は、三層からなる多層基板で構成されている。具体的には、RFICパッケージ3の多層基板は、ポリイミド、液晶ポリマーなどの樹脂材料から作製されており、可撓性を有する三つの絶縁シート12A,12B,12Cが積層されて構成されている。絶縁シート12A,12B,12Cは、平面視が略四角形状であり、本実施形態においては略長方形の形状を有している。図3に示すRFICパッケージ3は、図1に示したRFICパッケージ3を裏返して三層を分解した状態を示している。
図3に示すように、RFICパッケージ3は、三層の基板(絶縁シート12A,12B,12C)上において、RFICチップ9と、複数のインダクタンス素子10A,10B,10C,10Dと、アンテナパターン2A,2Bに接続される外部接続端子11(11a,11b)と、が所望の位置に形成されている。
外部接続端子11a,11bは、最下層(アンテナパターン2A,2Bに対向する基板)となる第1絶縁シート12Aに形成されており、アンテナパターン2A,2Bのランドパターン6a,6bに対向する位置に形成されている。4つのインダクタンス素子10A,10B,10C,10Dは、第2絶縁シート12B及び第3絶縁シート12Cに2つずつ分かれて形成されている。即ち、最上層(図3においては最も下に記載されている層)となる第3絶縁シート12Cには第1インダクタンス素子10A及び第2インダクタンス素子10Bが形成されており、中間層となる第2絶縁シート12Bには第3インダクタンス素子10C及び第4インダクタンス素子10Dが形成されている。
本実施形態におけるRFICパッケージ3においては、外部接続端子11a,11b及び4つのインダクタンス素子10A,10B,10C,10Dは、アルミニウム箔、銅箔などの導電材料により作製される導体パターンにより構成される。
図3に示すように、RFICチップ9は、最上層である第3絶縁シート12C上に長手方向(図3におけるX方向)の中央部分に実装されている。RFICチップ9は、シリコンなどの半導体を素材とする半導体基板にRF回路が形成された構造を有する。第3絶縁シート12C上の長手方向の一方側(図3においては+X方向の側)において渦巻き状に形成されている第1インダクタンス素子10Aは、RFICチップ9の一方の入出力端子9aにランド10Aaを介して接続されている。第3絶縁シート12C上の長手方向の他方側(図3においては−X方向の側)において渦巻き状に形成されている第2インダクタンス素子10Bは、RFICチップ9の他方の入出力端子9bにランド10Baを介して接続されている。
中間層である第2絶縁シート12B上の長手方向の一方側(図3においては+X方向の側)には、渦巻き状の第3インダクタンス素子10Cが形成されており、第2絶縁シート12B上の長手方向の他方側(図3においては−X方向の側)には、渦巻き状の第4インダクタンス素子10Dが形成されている。渦巻き状の第3インダクタンス素子10Cの外周側の端部と、渦巻き状の第4インダクタンス素子10Dの外周側の端部は直接接続されている。一方、第3インダクタンス素子10Cの内周側の端部であるランド10Caは、第2絶縁シート12Bを貫通するビア導体などの層間接続導体を介して、第3絶縁シート12C上の渦巻き状の第1インダクタンス素子10Aの内周側の端部であるランド10Abに接続されている。また、第3インダクタンス素子10Cの内周側の端部であるランド10Caは、最下層となる第1絶縁シート12Aを貫通するスルーホール導体などの層間接続導体を介して、第1絶縁シート12A上の第1外部接続端子11aに接続されている。
第4インダクタンス素子10Dの内周側の端部であるランド10Daは、第2絶縁シート12Bを貫通するスルーホール導体などの層間接続導体を介して、第3絶縁シート12C上の渦巻き状の第2インダクタンス素子10Bの内周側の端部であるランド10Bbに接続されている。また、第4インダクタンス素子10Dの内周側の端部であるランド10Daは、最下層となる第1絶縁シート12Aを貫通するスルーホール導体などの層間接続導体を介して、第1絶縁シート12A上の第2外部接続端子11bに接続されている。
第1絶縁シート12A上の第1外部接続端子11aは、基材1上に形成された第1アンテナパターン2Aの第1ランドパターン6aに接続されるよう配設されている。また、第1絶縁シート12A上の第2外部接続端子11bは、基材1上に形成された第2アンテナパターン2Bの第2ランドパターン6bに接続されるよう配設されている。
また、中間層である第2絶縁シート12Bには、第3絶縁シート12C上に実装されたRFICチップ9が収容される貫通孔13が形成されている。RFICチップ9は、第1インダクタンス素子10Aと第2インダクタンス素子10Bとの間、及び第3インダクタンス素子10Cと第4インダクタンス素子10Dとの間に配設されている。このため、RFICチップ9がシールドとして機能し、第1インダクタンス素子10Aと第2インダクタンス素子10Bとの間における磁界結合及び電界結合が抑制され、同様に、第3インダクタンス素子10Cと第4インダクタンス素子10Dとの間における磁界結合及び電界結合が抑制される。その結果、RFICパッケージ3においては、通信信号の通過帯域が狭くなることが抑制されており、通過帯域を広いものとしている。
本実施形態では、RFICパッケージ3がアンテナパターン2A,2B上に実装された形態を例示したが、RFICチップ9を直接アンテナパターン2A,2B上に実装してもよい。また、このとき、RFICパッケージ3において複数のインダクタンス素子10A,10B,10C,10Dとして構成されていたインダクタを、ループ状のパターンによって基材1上に構成してもよい。
図4は、RFIDタグが付された商品の一例を示す図であり、RFIDタグ101が付された弁当201の斜視図である。
このように、RFIDタグ101が付された弁当201を電子レンジで加熱しても、RFIDタグ101の発火、さらにはRFIDタグ101が付された弁当のラッピングフィルムの融解や変形を防止できる。
《第2の実施形態》
第2の実施形態では、第1の実施形態で示したRFIDタグのアンテナパターンの形状が異なる幾つかの例について示す。
図5は第2の実施形態に係るRFIDタグ102Aの平面図である。
図5に示すように、RFIDタグ102Aは、絶縁体又は誘電体の基材1と、この基材1に形成されたアンテナパターン2A,2Bと、アンテナパターン2A,2Bに接続されたRFICパッケージ3とを備える。第1アンテナパターン2Aは複数の導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Afで構成されている。同様に、第2アンテナパターン2Bは複数の導体パターン2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Be,2Bfで構成されている。
導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Afは、RFICパッケージ3が実装される第1ランドパターン6aから、基材1の長手方向の一方端方向(図5においては−X方向)へ、部分的に近接しつつ順次配列されている。導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Afは、いずれも+Y方向又は−Y方向を向くU字状の導体パターンであって、互いに隣接する二つの導体パターンで対をなし、この二つの導体パターンの一方の導体パターンの半分が他方のU字状導体パターンの内部に挿入され、かつ、他方の導体パターンの半分が一方のU字状導体パターンの内部に挿入されるような関係で配置されている。図5に示す例では、導体パターン2Aa,2Abの対、導体パターン2Ac,2Adの対、及び導体パターン2Ae,2Afの対、が配列されている。そして、RFICパッケージ3が実装される第1ランドパターン6aに導体パターン2Aaの一端が接続されている。したがって、導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Afのうち、互いに隣接する導体パターンは近接部分で電界結合するか、又は電界結合と共に磁界結合する。
第2アンテナパターン2Bを構成する導体パターン2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Be,2Bfは、RFICパッケージ3が実装される第2ランドパターン6bから、基材1の長手方向の一方端方向(図5においては+X方向)へ、部分的に近接しつつ順次配列されている。第2アンテナパターン2Bは第1アンテナパターン2Aの対称形であり、導体パターン2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Be,2Bfは、導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Afの対称形である。したがって、導体パターン2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Be,2Bfのうち、互いに隣接する導体パターンは、近接部分で電界結合するか、又は電界結合と共に磁界結合する。
図6は第2の実施形態に係るRFIDタグ102Bの平面図である。このRFIDタグ102Bは、絶縁体又は誘電体の基材1と、この基材1に形成されたアンテナパターン2A,2Bと、アンテナパターン2A,2Bに接続されたRFICパッケージ3とを備える。第1アンテナパターン2Aは複数の導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Afで構成されている。同様に、第2アンテナパターン2Bは複数の導体パターン2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Be,2Bfで構成されている。
導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Afは、RFICパッケージ3が実装される第1ランドパターン6aから、基材1の長手方向の一方端方向(図6においては−X方向)へ、部分的に近接しつつ順次配列されている。導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Afは、いずれも+Y方向又は−Y方向を向くU字状(ヘアピン型)の導体パターンであって、隣接する導体パターンのU字の開口の向きが互いに逆向きとなるように配列されている。そして、RFICパッケージ3が実装される第1ランドパターン6aに導体パターン2Aaの一端が接続されている。
導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Afは、複数のヘアピン共振器を順次磁気結合(インターデジタル型結合)させた帯域通過フィルタのようなパターンである。したがって、導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Afのうち、互いに隣接する導体パターンは電界結合するか、又は電界結合と共に磁界結合する。
第2アンテナパターン2Bを構成する導体パターン2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Be,2Bfは、RFICパッケージ3が実装される第2ランドパターン6bから、基材1の長手方向の一方端方向(図6においては+X方向)へ、部分的に近接しつつ順次配列されている。第2アンテナパターン2Bは第1アンテナパターン2Aの対称形であり、導体パターン2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Be,2Bfは、導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Afの対称形である。したがって、導体パターン2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Be,2Bfのうち、互いに隣接する導体パターンは近接部分で電界結合するか、又は電界結合と共に磁界結合する。
なお、U字状(ヘアピン型)の導体パターンのいずれもが一方向(+Y方向又は−Y方向)を向くように形成して、見かけ上コムライン型結合のような構造としてもよい。
図7は第2の実施形態に係るRFIDタグ102Cの平面図である。このRFIDタグ102Cは、絶縁体又は誘電体の基材1と、この基材1に形成されたアンテナパターン2A,2Bと、アンテナパターン2A,2Bに接続されたRFICパッケージ3とを備える。第1アンテナパターン2Aは複数の導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Af,2Ag,2Ahで構成されている。同様に、第2アンテナパターン2Bは複数の導体パターン2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Be,2Bf,2Bg,2Bhで構成されている。
導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Af,2Ag,2Ahは、RFICパッケージ3が実装される第1ランドパターン6aから、基材1の長手方向の一方端方向(図7においては−X方向)へ、部分的に近接しつつ順次配列されている。導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Af,2Ag,2Ahは、いずれもクランク状又はL字状の導体パターンであって、隣接する導体パターンの端部付近同士が所定長に亘って近接するように配列されている。したがって、導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Af,2Ag,2Ahのうち、互いに隣接する導体パターンは近接部分で電界結合するか、又は電界結合と共に磁界結合する。
第2アンテナパターン2Bを構成する導体パターン2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Be,2Bf,2Bg,2Bhは、RFICパッケージ3が実装される第2ランドパターン6bから、基材1の長手方向の一方端方向(図7においては+X方向)へ、部分的に近接しつつ順次配列されている。第2アンテナパターン2Bは第1アンテナパターン2Aの対称形であり、導体パターン2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Be,2Bf,2Bg,2Bhは、導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Af,2Ag,2Ahの対称形である。したがって、導体パターン2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Be,2Bf,2Bg,2Bhのうち、互いに隣接する導体パターンは近接部分で電界結合するか、又は電界結合と共に磁界結合する。
図8は第2の実施形態に係るRFIDタグ102Dの平面図である。このRFIDタグ102Dは、絶縁体又は誘電体の基材1と、この基材1に形成されたアンテナパターン2A,2Bと、アンテナパターン2A,2Bに接続されたRFICパッケージ3とを備える。第1アンテナパターン2Aは複数の導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Af,2Agで構成されている。同様に、第2アンテナパターン2Bは複数の導体パターン2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Be,2Bf,2Bgで構成されている。
導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Af,2Agは、RFICパッケージ3が実装される第1ランドパターン6aから、基材1の長手方向の一方端方向(図8においては−X方向)へ、部分的に近接しつつ順次配列されている。導体パターン2AaはL字状の導体パターンであり、導体パターン2Ac,2Ae,2AgはいずれもU字状の導体パターンである。導体パターン2Ab,2Ad,2Afはいずれも面状に拡がる矩形状の導体パターンである。このような線状導体パターン2Aa,2Ac,2Ae,2Agと面状の導体パターン2Ab,2Ad,2Afが交互に配置されている。そして、RFICパッケージ3が実装される第1ランドパターン6aに導体パターン2Aaの一端が接続されている。したがって、導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Af,2Agのうち、互いに隣接する導体パターンは近接部分で電界結合するか、又は電界結合と共に磁界結合する。
第2アンテナパターン2Bを構成する導体パターン2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Be,2Bf,2Bgは、RFICパッケージ3が実装される第2ランドパターン6bから、基材1の長手方向の一方端方向(図8においては+X方向)へ、部分的に近接しつつ順次配列されている。第2アンテナパターン2Bは第1アンテナパターン2Aの対称形であり、導体パターン2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Be,2Bf,2Bgは、導体パターン2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Ae,2Af,2Agの対称形である。したがって、導体パターン2Ba,2Bb,2Bc,2Bd,2Be,2Bf,2Bgのうち、互いに隣接する導体パターンは近接部分で電界結合するか、又は電界結合と共に磁界結合する。
図9は第2の実施形態に係るRFIDタグ102Eの平面図である。このRFIDタグ102Eは、絶縁体又は誘電体の基材1と、この基材1に形成されたアンテナパターン2A,2Bと、アンテナパターン2A,2Bに接続されたRFICパッケージ3とを備える。第1アンテナパターン2Aは複数の導体パターン2Aa〜2Amで構成されている。同様に、第2アンテナパターン2Bは複数の導体パターン2Ba〜2Bmで構成されている。
導体パターン2Aa〜2Amは、RFICパッケージ3が実装される第1ランドパターン6aから、基材1の長手方向の一方端方向(図9においては−X方向)へ、部分的に近接しつつ順次配列されている。導体パターン2Aa〜2Amは、クランク状又は直線状(線分状)の導体パターンであって、隣接する導体パターンの端部付近同士が所定長に亘って近接するように配列されている。導体パターン2Aa〜2Amは、それぞれの長さ方向がアンテナパターン2Aの延伸方向(−X方向)に一致し、かつ幅方向がアンテナパターン2Aの延伸方向に対する直交方向(Y方向)に一致するように配列されている。
導体パターン2Aa〜2Amのうち、互いに隣接する導体パターンは近接部分で電界結合するか、又は電界結合と共に磁界結合する。
第2アンテナパターン2Bを構成する導体パターン2Ba〜2Bmは、RFICパッケージ3が実装される第2ランドパターン6bから、基材1の長手方向の一方端方向(図9においては+X方向)へ、部分的に近接しつつ順次配列されている。第2アンテナパターン2Bは第1アンテナパターン2Aの対称形であり、導体パターン2Ba〜2Bmは、導体パターン2Aa〜2Amの対称形である。したがって、導体パターン2Ba〜2Bmのうち、互いに隣接する導体パターンは近接部分で電界結合するか、又は電界結合と共に磁界結合する。
図5〜図9に示したRFIDタグ102A〜102Eいずれにおいても、アンテナパターン2A,2Bは、帯域通過フィルタ特性を有するLC直列共振回路を構成し、通信信号の周波数は帯域通過フィルタの通過帯域の中心周波数に相当する。そして、上記LC直列共振回路は電磁波加熱用マイクロ波帯では共振しない。また、アンテナパターン2A,2Bを構成する複数の導体パターンそれぞれは個別に電磁波加熱用マイクロ波帯の周波数で共振しない。
なお、以上に示したアンテナパターン2A,2Bとしてはアルミニウム電極や銅電極など導電率の高い金属材料である。なお、アンテナパターン2A,2Bとして、金属材料以外でカーボン系の材料を用いてもよい。
また、図1、図5〜図9に示した例では、RFIDタグが備える第1アンテナパターン2Aと第2アンテナパターン2Bの形状は給電点(RFICパッケージ3の位置)を中心として線対称の関係にある例を示したが、二つのアンテナパターン2A,2Bの形状の関係は、給電点を中心とする点対称であってもよい。さらには、非対称であってもよい。
以上のように、各実施形態において具体的な構成を用いて説明したように、これらの実施形態によれば、RFIDタグが付された商品が電磁波加熱装置で加熱される場合において、RFIDタグの発火、さらにはRFIDタグが付された商品における部材の融解や変形を防止できる。したがって、本発明は、食品、日用雑貨品などの多種多様な商品を取り扱うコンビニエンスストアなどの販売店において、購入した商品の会計、及び袋詰めを自動化するシステムを構築することが可能となり、「無人コンビニエンスストア」の実用化に向けて、大きく前進させることができる無線通信デバイスを提供するものである。
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形及び変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。