JP6581756B2 - 透明導電フィルムの製造方法 - Google Patents

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本発明は、透明導電フィルムの製造方法に関する。さらに詳しくは、導電性の向上とヘイズ値の上昇を抑制した繊維状の導電部材を用いた透明導電フィルムの製造方法に関する。
現在、タッチパネル等が普及しているが、かかるタッチパネルのパネル表面には、人の指先によって画面を操作することができる薄膜フィルムが使用されている。このような薄膜フィルムでは、人の操作を検出する方法として、人の指先と薄膜フィルムとの間で発生する静電容量の変化を利用した静電容量方式が多数採用されている。そして、かかる薄膜フィルムには、静電容量の変化を外部へ情報として伝達するために、導電性を有する導電部材が含有されている。
従来、上記のようなフィルムを製造する方法として、例えば、機械的手段を用いた方法が採用されている。この機械的手段を用いた方法では、まず、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の基材表面上に導電性を有する繊維状の導電部材を含有させた調製液を塗工する。そして、ニップローラを用いて、この導電部材が塗工された基材を厚さ方向に加圧する。すると、導電部材同士を機械的に圧着させて導電性を有するフィルムを製造することができる。
しかしながら、ニップローラなどの機械的な加圧手段を用いた場合、基材がPET製であるため、弱い圧力であってもその表面に多数の微細なキズを生じさせてしまう可能性が高い。
かかる問題を解消する方法として、近年、光エネルギーを利用した光焼成手段を用いたフィルムの製造方法が開発されている(特許文献1、2)。
特許文献1の光焼成手段を用いたフィルムの製造方法では、微細な銀ナノワイヤを含有させた分散液をPET製の基材表面上に塗工し銀ナノワイヤを有する導電膜を形成する。そして、この導電膜に対してネオジム・YAGレーザをパルス周期10Hzで10秒間照射する。すると、局所的に高エネルギーを投射することができるので、導電膜中の銀ナノワイヤ同士が接触する部分では、両者が融着し接触部分を溶接したように連結することができる。このため、基材表面上に物理的なキズをつけることなく、導電性を有するフィルムを製造することができるという利点がある。
また、特許文献2には、所定のパルス光を金属ナノワイヤに照射することによって、金属ナノワイヤ相互の交点を接合して透明導電パターンの導電性を向上させる技術が開示されている。
特開2009−129607号公報 WO2013/133420号公報
しかるに、特許文献1の技術では、局所的に高エネルギーを投射するので、基材として熱に弱い材質のものを採用した場合、銀ナノワイヤによる発熱や基材表面上に照射される光エネルギーに起因して、基材が熱収縮や組成変化等を生じるおそれがある。熱収縮等によって基材が変質した場合、かかる部分が曇ったような状態となる。つまり、特許文献1の技術では、導電性を有するフィルムを形成することができるものの、熱に弱い材質の基材を用いた場合には、基材の変質等によるヘイズ値の上昇を抑制することができないおそれがある。したがって、特許文献1の技術を用いて、上記のような基材表面上に導電性を有する層を備えた透明なフィルムを製造することは、現実的に不可能である。
また、特許文献2のパルス光を用いた焼成技術では、フィルムの導電性を向上させることができるものの、パルス光の照射条件が基材(ヘイズ値等)に与える影響は確認されていない。
本発明は上記事情に鑑み、基材の変質等によるヘイズ値の上昇を抑制しつつ、導電性を有する透明導電フィルムを製造することができる透明導電フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
第1発明の透明導電フィルムの製造方法は、基材表面に導電性を有する層が設けられたフィルムを製造する方法であって、繊維状の導電部材を含有させた分散液を調製する分散液調製工程と、該分散液を前記基材表面上に塗工する塗工工程と、該塗工工程によって形成された塗工膜に対して光を複数回照射する光焼成工程と、を順に行い、前記光焼成工程において、1回あたりの照射時間が0.01msec〜50msec、1回あたりの照射エネルギーが0.8J/cm 〜1.06J/cm 、となるように光を調整し、該調整した光を照射する周期が0.1Hz〜4Hzとなるように調整することを特徴とする。
第2発明の透明導電フィルムの製造方法は、第1発明において、前記1回あたりの照射時間が、0.03msec〜0.04msecとなるように調整することを特徴とする。
第3発明の透明導電フィルムの製造方法は、第1または第2発明において、前記光を照射する周期が、3Hz〜4Hzとなるように調整することを特徴とする。
第4発明の透明導電フィルムの製造方法は、第1、第2または第3発明において、前記光焼成工程において、単位面積あたりの総照射エネルギー量が、8.23J/cm〜31.8J/cmとなるように調整することを特徴とする。
第5発明の透明導電フィルムの製造方法は、第1、第2、第3または第4発明において、前記基材が、ポリエチレンテレフタレートであり、前記導電部材が、銀ナノワイヤであることを特徴とする。
第1発明によれば、パルス光の照射条件(照射時間、照射間隔、照射エネルギー)が所定の範囲内となるように調整することによって、ヘイズ値の上昇を確実に抑制しつつ、効率的に導電性を発現させることがきる。つまり、繊維状の導電部材同士を結合させつつ、光エネルギーの基材への影響を抑制することができる。このため、光焼成工程においてフィルムに供給するパルス光を制御することによって、PET等の熱に弱い材質の基材を用いた場合であっても、基材の変質等によるヘイズ値の上昇を抑制しつつ、適切な導電性を有するフィルムを製造することができる。
第2発明によれば、パルス光の1回あたりの照射時間が所定の範囲内となるように調整することによって、供給された光エネルギーによる基材へのダメージをより適切に抑制することができる。
第3発明によれば、パルス光を照射する周期(間隔)を所定の範囲内となるように調整することによって、導電部材や基材等に熱が蓄積するのを防止することができる。このため、フィルムの表面抵抗値の低下および基材の変形等に基づくフィルムのヘイズ値の上昇を確実に抑制することができる。しかも、フィルムの生産性を向上させることができる。
第4発明によれば、フィルムに照射する総照射エネルギーが適切な範囲内となるように調整することによって、フィルムの表面抵抗値の低下およびヘイズ値の上昇をより適切に調整できるようになる。
第5発明によれば、熱に弱い材質の基材であっても、適切な導電性を有し、かつヘイズ値の上昇を確実に抑制したフィルムを製造することができる。
(A)は本実施形態の透明導電フィルムの製造フロー図であり、(B)は光焼成工程の前後における導電部材(ナノワイヤ(以下「NW」と表記することがある))同士の概略説明図である。 本実施形態の透明導電フィルムの光焼成工程における総照射エネルギーA、照射時間tおよびピーク照度との関係を示した概略図である。 実施例の実験結果を示した図である。 実施例の実験結果を示した図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の透明導電フィルムの製造方法は、基材表面上に導電性を有するフィルムを製造する方法であって、適切な導電性を有しつつ、フィルムのヘイズ値の上昇を抑制することができるようにしたことに特徴を有する。
なお、本明細書中の照射時間とは、パルス光1回あたりの照射時間を意味する。
また、本明細書中の照射エネルギーとは、基材が表面上で受けるエネルギーのことをいい、パルス光1回あたりの光エネルギーを意味する。
図1(B)に示すように、本発明の透明導電フィルムの製造方法によって製造されるフィルム(以下、単にフィルムという)は、基材Bと、基材B表面上に略堆積するように積層された導電部材NWを含有する層(以下、導電層という)とから構成されている。
フィルムの基材Bは、透明性を有する部材であって、柔軟性と加工性を有する部材であれば、その材質はとくに限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィンコポリマー(COC)や環状オレフィンポリマー(COP)などのアモルファスポリオレフィン(APO)などの透明性を有する合成高分子化合物を原料として採用することができる。しかし、PETを基材Bの材質として採用すれば、他の合成高分子化合物に比べて、フィルムの特性(機械的特性、電気的特性、寸法安定性等)バランスが良いわりに、比較的安価かつ容易に入手することができるという点で好ましい。
また、フィルムの基材B表面上の導電層に含まれる導電部材NWは、導電性を有する部材であり、しかも所定のエネルギーを加えることによって溶融するものであれば、とくに限定されず、例えば、銀、金、銅、白金、ニッケル、アルミニウムなどの金属あるいはそれらの合金、金属酸化物、金属にメッキされたものを採用することができる。
以上のごとき構成であるので、上記フィルムが使用された機器等を人が指で操作すれば、導電層に含まれる導電部材NWによって、人の操作によって生じる人の指先と薄膜フィルムとの間で発生する静電容量の変化などを外部へ情報として伝達することができる。
以下、上記透明導電フィルムの製造方法について、説明する。
まず、本実施形態の透明導電フィルムの製造方法の特徴である光焼成工程を詳細に説明する前に、図1に示すフロー図に基づき、本実施形態の透明導電フィルムの製造方法の概略を説明する。
図1(A)に示すように、本実施形態の透明導電フィルムの製造方法(以下、単に本製法という)は、分散液調製工程S1、塗工工程S2、乾燥工程S3、そして光焼成工程S4を順に行うことによって所望の機能を有するフィルムを製造する。
以下、各工程について順を追って説明する。
(分散液調製工程S1)
まず、本製法の分散液調製工程S1は、微細な繊維状の導電性を有する導電部材NWを必要に応じてバインダーポリマーと共に溶媒に分散し、この分散液中の導電部材NWが所定の濃度となるように調製する工程である。導電部材NWは、導電性を有する部材であれば、上記のごとき材質のものを採用することができる。
導電部材NWは、基材Bの表面上に配置した状態において、フィルムの光透過率に影響を与えない大きさであれば、とくに限定されず、例えば、平均繊維長が約1〜100μm、平均繊維径が約1〜500nmの範囲でアスペクト比(長さ/径)が10以上のものを採用することができる。なお、かかる大きさの導電部材は、市販のものを採用してもよく、合成し形成したものを採用してもよい。例えば、導電部材NWの材質として銀を用いる場合、硝酸銀と塩化鉄IIIを用いた公知のポリオール還元法よって、平均繊維長が約30〜50μm、平均繊維径が約20〜100nmとなる導電部材を形成することができる。
なお、分散液の分散媒は、導電部材NWを分散することができるものであれば、とくに限定されず、水の他、エタノールやメタノール、1−メトキシ−2−プロパノール(PGME)、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、テルピネオール、グリセリン、ジグリセリン、ボルニルシクロヘキサノール、ボルニルフェノール、イソボルニルシクロヘキサノール、イソボルニルフェノールなどのアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチルなどのエステル系化合物;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、ジオキサン等のエーテル系化合物;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物;ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素化合物;塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルムなどのハロゲン系炭化水素化合物などのいずれか、または2種以上を混合して使用してもよい。なお、分散剤を適宜添加すれば、分散液中において導電部材NWを分散させた状態を維持させることができるので好ましい。
また、分散液中の導電部材NWの濃度も、基材Bの表面上に配置した状態において、フィルムの光透過率に影響を与えない程度となる濃度であれば、とくに限定されない。例えば、導電部材の性質にもよるが導電部材NWの材質として繊維長15μm以上で繊維径100nm以下の銀ナノワイヤを採用し、分散液の分散媒としてアルコール系の溶媒を採用した場合、導電部材NWが0.1〜2質量%となるように調製すれば、フィルムが所望の光透過率を維持しつつ、適切な導電性を有するフィルムを製造することができる。また、例えば、導電部材NWの材質として銀を採用し、分散液の分散媒として水を採用した場合、水が50質量%以上となるように調製することができる。
なお、分散液の分散媒としてアルコール系、水以外のものや、他の分散媒との混合分散媒を採用する場合には、その分散媒の性状に適した濃度となるように、分散媒に分散させる導電部材NWの量を適宜調製する。
また、バインダーポリマーは、導電部材NWの凝集を防いだり、NWが塗工時に折れないように保護する目的で使用することができる。このようなバインダーポリマーとしてはポリビニルピロリドン、ポリビニルカプロラクタム、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリ−N−ビニルホルムアミドのようなポリ−N−ビニルアミド化合物、セルロース及びその誘導体、ポリアセタール樹脂等を用いることができるが、分散媒に溶解するものを使用することが好ましい。
バインダーポリマーを添加する場合、あまりに添加量が少ないと添加する効果が無く、あまりに多すぎると導電性が発現しにくくなるので、金属ナノワイヤ100質量部に対して10〜5000質量部の範囲となるように添加することが好ましい。
(塗工工程S2)
つぎに、分散液調製工程S1によって調製された分散液を基材Bの表面上に膜状に塗工する(塗工工程S2)。分散液の塗工方法は、基材B表面上に分散液を塗工した状態において、分散液中に含有させた導電部材が略均一に交差して堆積するように配置(例えば、図1(B)参照)することができる方法であれば、とくに限定されない。例えば、薄膜塗工(塗布)工具(ダイコーター)を用いて所定の流量となるよう調整することによって、基材B表面上に分散液を薄膜状にした塗工膜を形成することができる。
なお、本明細書において塗工とは、分散液を基材Bの表面上に塗布して薄い膜を形成することをいい、コーティングや塗布を含む概念である。
(乾燥工程S3)
塗工工程S2によって基材Bの表面上に形成された塗工膜には、分散液の分散媒が存在しているので、かかる状態の基材Bを乾燥工程S3に供給することによって、基材Bの表面上から分散媒を除去するのが好ましい。
この場合、基材Bの表面上から分散媒を除去できるので、後述する光焼成工程において、導電部材NWに対して適切に光エネルギーを照射することができるし、基材Bの表面上に導電部材NWをある程度定着させることができるので、その後の作業性を向上させることもできる。
なお、乾燥方法は、基材Bの表面上から分散媒を除去することができるものであれば、とくに限定されず、例えば、分散媒が水の場合、ある程度の温度の風をあてて風乾すれば、短時間で水を基材Bの表面上から除去することができる。
(光焼成工程S4)
図1(B)の左図に示すように、乾燥工程S3後には、基材Bの表面上において、繊維状の導電部材NW同士が重なった状態となる。つまり、基材Bの表面上において、導電部材NW同士が略均一に交差して堆積した状態となっている。
このため、図1(B)の右図に示すように、この略堆積した状態の導電部材NWに対して所定の光エネルギー(LE)となるように調整した光を照射すれば、導電部材NW同士の接触部分を溶接したように連結させることができる(光焼成工程S4)。
フィルムの導電性を向上させる上では、上述したように高い光エネルギーを導電部材NWに供給し導電部材NW同士の交差部分を融着させて結合面積を向上させるのが望ましい。しかし、導電部材NWが接している基材Bへの影響を考慮した場合、単に光エネルギーの照射エネルギーを増加させるだけではフィルムのヘイズ値の上昇を抑制することはできない。詳細については後述する。
光焼成工程S4の光を照射するための光照射手段は、基材Bの表面上に上記のごとく略堆積するように配置された導電部材NWに対して光を照射する光源と、この光源を制御する制御部とを備えたものであれば、とくに限定されない。
例えば、光源として広い波長領域を有するパルス光を照射するキセノンフラッシュランプを採用することができる。このような広い波長領域を有するフラッシュランプを光源として採用すれば、導電部材NWの材質にかかわらず、導電部材NWに対して適切な波長の光エネルギーを供給することができるので、導電性を有するフィルムを適切に製造することができる。
なお、光の強度は、照射時間内において一定であってもよく、変化してもよい。
(オーバーコート工程)
本製法によって製造された透明導電フィルムは、その表面を覆うようにオーバーコート層を設けてもよい。例えば、所定の樹脂を溶媒に溶解させたオーバーコート液を光焼成工程S4後の透明導電フィルムを覆うようにオーバーコートする。
この場合、基材Bの表面上に配置された複数の導電部材間の隙間をオーバーコート液中の樹脂によって埋めることができ、その表面も略平坦にすることができるので、フィルムに入射させた光が乱反射するのを抑制することができるから、フィルムのヘイズ値をより低く維持することができる。しかも、オーバーコート層によって導電部材の剥がれ等を防止することができるので、フィルムの導電性をより向上させることができる。
なお、オーバーコート液中の樹脂は、一般に使用されるオーバーコート用の樹脂であれば、とくに限定されず、例えば、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などを挙げることができる。
以上のごとく、本製法の光焼成工程S4において、基材Bの表面上に形成された塗工膜に対して照射する光を調整することによって、基材Bの変質等を抑制しつつ、適切な導電性を有するフィルムを製造することができるのである。
つまり、光焼成工程S4において、フィルムに対して照射する光を制御(コントロール)することによって、基材Bの変質等に起因するフィルムのヘイズ値の上昇を抑制しつつ、導電性を有するフィルムを製造することができるのである。
なお、光焼成工程S4に供する前の基材Bの表面に導電部材NWを配置する方法は、上述した方法に限定されず、基材Bの表面上において、導電部材NW同士を略均一に交差するように堆積した状態となるように配置することができる方法であれば、とくに限定されない。
(光焼成工程S4の詳細)
以下、本実施形態の透明導電フィルムの製造方法の光焼成工程S4における光の制御方法について具体的に説明する。
なお、以下の説明は、導電部材NWの材質として銀を、基材Bの材質としてPETを採用した場合について説明する。
まず、本製法の光焼成工程S4の特徴を説明する。
上述したように、本発明の透明導電フィルムの製造方法は、光の照射エネルギーと照射時間を所定の範囲内となるように調整することによって、導電性の向上とヘイズ値上昇の抑制という相反する要件を満たすフィルムを製造できるようにしたことに、特に特徴がある。
なお、照射エネルギーとは、上述したように基材B表面上で受けるパルス光1回あたりのエネルギーを意味する。
フィルムの基材が熱に弱い材質のものである場合、フィルムに照射された光によって基材に熱収縮などの変質等を生じさせる可能性がある。そして、基材に熱収縮などの変質等が発生すれば、変質等が発生した部位において、フィルムに入射した光のうち、一部の光が拡散および/または乱反射するおそれがある。
このようにフィルムに入射した光のうち、一部の光が拡散等すれば、フィルムに光を透過させた場合の全光線透過率に対する拡散透過率の割合、つまりヘイズ値(%)が、基材に熱収縮などの変質等が発生する前に比べて、高くなる(上昇する)。フィルムのヘイズ値が上昇すれば、フィルムが曇ったような状態となり、かかる現象は、とくに透明性が要求される製品(例えば、医療用機器や精密機器など)に使用する場合には、重要な問題となる。
しかしながら、従来の光焼成技術では、フィルムに対して光エネルギーを高くして、基材表面上に配置された導電部材同士を連結させ、フィルムの表面抵抗値を低下させることによってフィルムの導電性を向上させるという技術であるが、その一方、フィルムの曇り度(つまりヘイズ値)の観点は全く考慮されていないというのが実情である。
なぜなら、上述したように、フィルムの導電性の向上と、フィルムのヘイズ値の上昇抑制は、光焼成技術を採用した場合、トレードオフの関係になるからである。つまり、フィルムの導電性を向上させようとすれば、フィルムのヘイズ値が上昇し、その逆に、フィルムのヘイズ値の上昇を抑制しようとすれば、フィルムの導電性を向上させることができないといった技術上の問題が生じるからである。
本発明者らは、フィルムに照射する光の照射エネルギー(光照射エネルギー)と照射時間をコントロールすることによって、上述したような技術的な問題を解決し、フィルムの導電性を向上させつつ、フィルムのヘイズ値の上昇を抑制することができるフィルムの製造方法を初めて見出した。
具体的には、まず、フィルムの表面抵抗値を効果的に低下させる照射エネルギーを特定する。照射エネルギーを特定することによって、フィルムの表面抵抗値の低下に寄与しない照射エネルギーを少なくすることができる。言い換えれば、基材にダメージを与えるようなエネルギーを抑制できるので、結果的にフィルムのヘイズ値の上昇を抑制することができる。
一方、図2に示すように、照射する光の照射エネルギーA1、A2を一定にした状態において、光を照射する照射時間tを照射時間t1から照射時間t2と長くすることによって、照射エネルギーA1のピーク照度に対して照射エネルギーA2のピーク照度を低くすることができる。
すると、照射エネルギーA1、A2が同じ場合でも、照射時間を長くすることにより供給されたエネルギーのピーク照度を低くできるので、基材Bへのダメージを抑制することができる。
したがって、光焼成工程S4においてフィルムに供給する光エネルギーの照射エネルギーAと照射時間tの両者を制御(コントロール)することによってピーク照度を低く抑え、PET等の熱に弱い材質の基材を用いた場合であっても、基材の変質等によるフィルムのヘイズ値の上昇を抑制しつつ、適切な導電性を有するフィルムを製造することができる。
例えば、ヘイズ値を、20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下となるように照射する光の強度を調整する。かかる範囲内となるように照射する光の強度を調整すれば、例えばタッチパネル、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、電子ペーパー又は太陽電池モジュール等の部材として要求される性能を備えたフィルムを提供することができる。
以下、より詳細に説明する。
(照射エネルギーについて)
光焼成工程において、塗工膜が形成された基材B表面上に対して照射する光を、照射エネルギーが所定の範囲内となるように調整する。また、かかる照射エネルギーに関連して、光を照射する時間、つまり、光の照射時間も合わせて所定の時間となるように調整する。
1回あたりの照射エネルギーは、基材B表面上に配置する導電部材NWの大きさや、形状、密度等によって適宜調整することができるが、例えば、0.5〜3J/cmとすれば、適切に導電部材NW同士を連結することができ、フィルムの表面抵抗値を低下させることができる。
光の1回あたりの照射エネルギーが0.5J/cmよりも小さい場合、導電部材NW同士の連結が不十分となる可能性、つまりフィルムの表面抵抗値が低下しない可能性がある。一方、光の照射エネルギーが3J/cmよりも大きい場合、フィルムの表面抵抗値の低下がほぼフラットな状態、つまり、過剰な光エネルギーをフィルムに照射することになる。言い換えれば、かかる値以上の光エネルギーを照射しても、フィルムの表面抵抗値の低下に寄与しないのである。
したがって、照射する光エネルギーは、0.5〜3J/cmの範囲内となるように調整するのが好ましく、より好ましくは1〜3J/cmの範囲内、さらに好ましくは1.5〜2.5J/cmの範囲内となるように調整する。
(照射時間について)
照射時間は、上述した照射する光の照射エネルギーと密接に関連しており、例えば、1回あたりの光の照射エネルギーを0.5〜3J/cmとした場合、照射時間は、0.01msec以上、50msec以下、好ましくは0.04msec以上、2msec以下であり、より好ましくは0.1msec以上、1msec以下であり、さらに好ましくは0.4msec以上、1msec未満である。つまり、照射エネルギーが3J/cmの場合、単位時間当たりのエネルギーを下げるために照射時間は長めとするのが好ましく、照射エネルギーが0.5J/cmの場合は逆に、照射時間は短めにするのが好ましい。
以上のごとく、光焼成工程における照射する光を調整することによって、導電部材NWの材質として銀を採用した場合、照射エネルギーを0.5J/cm以上となるように調整すれば、接触する導電部材NW同士(図1(B)左図参照)を連結した状態(図1(B)右図参照)とすることができる。このため、フィルムの表面抵抗値を光照射前に比べて低くすることができる。
一方、照射エネルギーの増加に伴って、フィルムの表面抵抗値を低くすることができるが、ある程度の段階でその低下量も一定になる上に、基材Bへのダメージが生じるので、照射エネルギーは3J/cm以下に抑えるのが好ましく、2.5J/cm以下がより好ましい。
上述したように、照射エネルギーを適切に調整することによって、フィルムの表面抵抗値を適切な値に維持することができる。しかも、過剰なエネルギー供給による基材Bへの影響を抑制することができる。
一方、ライン上で連続的にフィルムを製造する場合、光焼成工程における光の照射時間を、上述した0.01msec以上、50msec以下の範囲内とすることによって、ラインスピードをある程度維持した状態でフィルムを製造することができるので、フィルムの生産性を向上させることができる。
なお、上記製造工程において、乾燥工程S3を行う場合について説明したが、製造ライン等によって自然乾燥するような状況であれば、かかる工程を行わなくてもよい。しかし、フィルムの品質および生産性の向上を図る上では、乾燥工程S3を設けたほうが好ましい。
(パルス光照射回数について)
上記例では、光焼成工程S4においてフィルムに対してパルス光を1回照射する場合について説明したが、製造するフィルムが上述した効果を奏するものであれば、光源の種類や光源から光の照射方法は、とくに限定されない。例えば、以下のようにパルス光を複数回照射する照射方法を採用してもよい。
パルス光を複数回照射する場合において、その照射条件(照射時間、照射間隔、照射エネルギー等)を調整することによって、基材の変質等に基づくフィルムのヘイズ値の上昇を抑制することができ、かつ導電性を有するフィルムを製造することができる。
パルス光を複数回照射する場合、1回あたりの照射エネルギーを低く抑えることで基材へのダメージを抑えることができる一方、1回あたりの照射エネルギーを低く抑えた分、1回の照射ではフィルムの導電性の発現に必要な照射エネルギーを付与することができない。しかし、パルス光を複数回照射することにより、フィルムの導電性の発現に足りない照射エネルギー分を補うことができるので、効率的に導電性を発現させることができる。
また、パルス光を複数回照射する場合、照射する光の照射間隔(パルス周期)を所定の範囲内となるように調整すれば、導電部材や基材等に熱が蓄積するのを防止することができる。このため、基材の変形等に基づくフィルムのヘイズ値の上昇を確実に抑制することができる。
具体的には、上述した条件(照射エネルギーが0.5〜3J/cm、一回の照射時間が0.01msec〜50msec)であれば、照射する光の照射間隔(パルス周期)は、5Hz以下、好ましくは0.01〜5Hz、より好ましくは0.1〜4Hzである。
パルス周期があまりに短い(Hz単位の数値が大きい)とフィルムの表面抵抗値は下がるが基材がダメージを受けヘイズが悪化する。一方、パルス周期があまりに長いと(Hz単位の数値が小さい)とフィルムの表面抵抗値の低下率が低くなり、生産性も低下する。このため、パルス光を複数回照射する場合には、照射する光の照射間隔(パルス周期)は5Hz以下であり、0.01〜5Hzが好ましく、0.1〜4Hzがより好ましい。
一方、照射する光の単発露光量(つまりパルス1回あたりの照射エネルギー)を適切に調整し、複数回照射すれば、導電部材の結合を促進させることができ、フィルムの導電性を向上させることができる。
具体的には、複数回照射する場合には、照射する光の単発露光量(つまりパルス1回あたりの照射エネルギー)は、1回あたりのエネルギー量を前記照射エネルギー範囲のうち低い範囲、すなわち0.5〜2J/cmとすることが好ましく、より好ましくは、0.6〜2J/cmであり、さらに好ましくは0.8〜1.5J/cmである。
以上のごとく、照射する光の照射間隔(パルス周期)と照射する光の単発露光量(つまりパルス1回あたりの照射エネルギー)を調整することによって、基材Bの変質等に起因するフィルムのヘイズ値の上昇を抑制しつつ、導電性を有するフィルムを製造することができる。
照射する光の照射回数は、フィルムのヘイズ値の上昇を抑制しつつ、フィルムの表面抵抗値を低下させることができる回数であれば、とくに限定されない。例えば、照射する光の単発露光量を約1J/cm、照射する光の照射間隔(パルス周期)を3Hzとした場合、照射回数を30回となるようにすることができる。
また、複数回照射する際の各回の光照射条件は、上記条件を満たす限り同一であってもよいし、各回毎に相違してもよい。
本発明の透明導電フィルムの製造方法を用いて、適切な導電性を有しつつ、フィルムのヘイズ値の上昇を抑制したフィルムを製造することができることを確認した。
実験では、照射エネルギーと、フィルムの表面抵抗値の低下率(以下、抵抗低下率(%)という)の関係を確認した。また、照射エネルギーとヘイズ値(%)との関係も確認した。
また、本発明の透明導電フィルムの製造方法を用いて製造したフィルムは、以下、単にフィルムという。
実験では、導電部材として、銀ナノワイヤ(平均繊維長約10〜30μm、平均繊維径約50〜70nm)を使用した。
また、基材として、PETフィルム(帝人デュポンフィルム製、型番;HF1C22、厚み125μm)を使用した。
実験に使用した検出器等は以下の通りである。
フィルムの表面抵抗値測定器:ナプソン株式会社製、型番;EC80
ヘイズ値測定器:スガ試験機株式会社製、型番;HZ−2(JISK7136に準拠して測定)
(工程)
実験では、銀ナノワイヤを少量の水に分散させた後、銀ナノワイヤの濃度が41.95質量%となるように水を加えて分散液を調製した(分散液調製工程)。この分散液を、ダイコーターに入れ、かかるダイコーターを用いて流量9ml/minでPETフィルムの表面上に塗工し、銀ナノワイヤをPETフィルム表面上に堆積させたPETフィルムを作製した(塗工工程)。そして、この銀ナノワイヤをPETフィルム表面上に堆積させたPETフィルムを風乾して、PETフィルム表面上からある程度の水を除去した(乾燥工程)。なお、PETフィルム表面上の銀ナノワイヤ堆積層が、特許請求の範囲の塗工膜に相当する。
ついで、乾燥工程を終えたPETフィルムに対して、所定の照射時間(0.1msec、0.4msec)で異なる照射エネルギーの光を各々1回照射した(焼成工程)。
なお、光源としては、キセノン照射装置(NovaCentrix社製、型番;Pulse Forge3300)を使用した。
実験結果を図3および図4に示す。
図3は、照射エネルギー(J/cm)と抵抗低下率(%)の関係を示した実験結果であり、図4は、照射エネルギー(J/cm)とヘイズ値(%)の関係を示した実験結果である。
なお、抵抗低下率(%)は、(光照射前の表面抵抗値(Ω/□)― 光照射後の表面抵抗値(Ω/□))/光照射前の表面抵抗値(Ω/□)×100で求められる。
図3に示すように、照射時間が0.4msecの場合、照射エネルギーが1J/cmよりも低い場合、フィルムの抵抗低下率(%)が1%以下と低いことが示唆された。一方、照射エネルギーを3J/cmよりも大きくした場合、フィルムの抵抗低下率(%)はほぼフラットな状態となった。
したがって、照射時間が長い0.4msecの場合、最適なフィルムの抵抗低下率(%)を得ることができる照射エネルギーの上限値は、3J/cmであることが確認できた。また、照射時間が長い0.4msecの場合、最適なフィルムの抵抗低下率(%)を得ることができる照射エネルギーの下限値は、1J/cmであることが確認できた。
つまり、フィルムの抵抗値を低下させるためには、照射エネルギーは1〜3J/cmの範囲が好ましいことが確認できた。
また、図4に示すように、照射エネルギー(J/cm)が同じ場合、照射時間が長いほうがヘイズ値の上昇を抑制するのに有利であることが確認できた。そして、照射エネルギーを1〜3J/cmとした場合、いずれの照射時間においても、ヘイズ値の上昇をある程度抑制することができることを確認できた。とくに、照射時間が長い0.4msecの場合、ヘイズ値の上昇をより抑制することができることを確認できた。
例えば、ヘイズ値を20%以下にするためには、照射時間が0.1msecの場合、照射エネルギーを約1.8J/cm以下に、照射時間が0.4msecの場合、照射エネルギーを約2.8J/cm以下にする必要があることを確認できた。
また、例えば、ヘイズ値を10%以下にするためには、照射時間が0.1msecの場合、照射エネルギーを約1.5J/cm以下に、照射時間が0.4msecの場合、照射エネルギーを約2.5J/cm以下にする必要があることを確認できた。
さらに、例えば、ヘイズ値を5%以下にするためには、照射時間が0.1msecの場合、照射エネルギーを約1.3J/cm以下に、照射時間が0.4msecの場合、照射エネルギーを約2.3J/cm以下にする必要があることを確認できた。
つまり、照射時間が0.1msec以上、0.4msec以下の場合、例えば、ヘイズ値を20%以下にするためには、照射エネルギーは1.8〜2.8J/cmの範囲内となるように光の強度を調整するのが好ましいことを確認できた。
そして、例えば、ヘイズ値を10%以下にするためには、照射エネルギーは1.5〜2.5J/cmの範囲となるように光の強度を調整するのが好ましいことを確認できた。
さらに、例えば、ヘイズ値を5%以下にするためには、照射エネルギーは1.3〜2.3J/cmの範囲内となるように光の強度を調整するのが好ましいことを確認できた。
以上の結果より、フィルムにパルス光を1回照射させた場合であっても、照射エネルギーおよび照射時間を調整することによって、フィルムのヘイズ値の上昇を抑制しつつ、適切な導電性を有するフィルムを製造することができることが確認できた。
本発明の透明導電フィルムの製造方法の光焼成工程において、照射する光をパルス光とし、所定の照射エネルギーとした場合、適切な導電性を有しつつ、フィルムのヘイズ値の上昇を抑制したフィルムを製造することができることを確認した。
実験では、導電部材として、銀ナノワイヤ(平均繊維長約10〜20μm、平均繊維径約60〜70nm)を作製し使用した。
また、基材として、PETフィルム(東レ株式会社製、型番;ルミラー125U98、125T60、東洋紡社製、型番;コスモシャインA4300、厚みは両者とも125μm)を使用した。
実験に使用した光照射装置および検出器等は以下の通りである。
光照射装置:キセノン照射装置(NovaCentrix社製、型番;Pulse Forge3300)
フィルムの表面抵抗値測定器:三菱化学株式会社製、型番;LORESTA−GP MCP−T610、4探針法表面低効率および体積抵抗率測定装置
ヘイズ値測定器:日本電色工業株式会社製濃度計、型番;NDH2000
パルス光の照射条件は、表1に示した通りである。
なお、表1の単発露光量が、本明細書の1回あたりの照射エネルギーに相当する。
また、実験では、パルス周期の短いもの(10Hz、20Hz)を比較例1、2とした。
(銀ナノワイヤの作製)
上述したように実験では、銀ナノワイヤを作製し実験に使用した。
ポリビニルピロリドンK−90(株式会社日本触媒社製)(0.049g)、硝酸銀(0.052g、和光純薬工業株式会社製)および塩化第III鉄(0.04mg、和光純薬工業株式会社製)を、エチレングリコール(12.5ml、和光純薬工業株式会社製)に溶解し、150℃で1時間加熱反応させた。加熱反応後に得られた析出物を遠心分離により単離した後、析出物を乾燥させて上記形状の銀ナノワイヤを作製した。なお、この作製した銀ナノワイヤをSEM(日立ハイテク社製、型番;FE−SEM S−5200)で確認したところ、繊維状に成長した銀ナノワイヤは、全体の95%以上であり、ワイヤの平均繊維径は約60〜70nm、平均繊維長は約10〜20μmであった。
(分散液調製工程)
分散液は、上記銀ナノワイヤを作製した際の加熱反応後の反応液に、6倍容量のジブチルエーテルを添加し撹拌静置した。静置後、沈降させた銀ナノワイヤをデカンテーションにより上澄みを分離し、銀ナノワイヤを20質量%含有したジブチルエーテルに分散した銀ナノワイヤの懸濁液を調製した。
ついで、この銀ナノワイヤの懸濁液に対して、ほぼ5倍容積で0.5質量%のポリビニルピロリドンK−30(株式会社日本触媒社製)を含有させたd−α−テルピネオール溶液を加え、よく撹拌し銀ナノワイヤを十分に分散させた。
なお、分散液の組成は、分散液の熱重量分析により測定し、500℃加熱後の残渣を銀ナノワイヤの質量とした。
また、熱重量の分析装置は、ブルカー・エイックス株式会社製、差動型超高音熱天秤TG−DTA Galaxy(S)を使用した。
そして、上記分散液を、TG−DTAの分析結果に基づいて表1に示した濃度となるように、エタノールを加えて希釈し調製した。
(塗工工程)
銀ナノワイヤが所定の濃度となるように調製した分散液をPETフィルム表面上にバーコーターにより塗布した。
(乾燥工程)
上記分散液を塗布したPETフィルムを6時間風乾させて、PETフィルム表面上に銀ナノワイヤの堆積層を形成した(フィルムA〜G)。
実験結果を表2に示す。
表2に示すように、フィルムA〜Gは、比較例(光照射周期が本発明における規定範囲外のもの)と比較して光照射後におけるフィルムにおいて、表面抵抗値を低下させ、ヘイズ値の上昇も抑制できている。この結果から、適切な間隔を空けて複数回パルス光を照射する場合には、光を照射する間隔(周期)を適切な値にすることによって、フィルムの表面抵抗値を低下させつつ、ヘイズ値の上昇も抑制できることが確認された。
以上の実験結果より、光焼成工程において、フィルムにパルス光を複数回照射させた場合であっても、フィルムのヘイズ値の上昇を抑制しつつ、適切な導電性を有するフィルムを製造することができることを確認できた。
本発明の透明導電フィルムの製造方法は、熱に弱い材質を基材として使用する場合であってもフィルムのヘイズ値の上昇を抑制しつつ、導電性を有するフィルムを製造する方法に適している。
S1 分散液調製工程
S2 塗工工程
S3 乾燥工程
S4 光焼成工程
B 基材
NW 導電部材

Claims (5)

  1. 基材表面に導電性を有する層が設けられたフィルムを製造する方法であって、
    繊維状の導電部材を含有させた分散液を調製する分散液調製工程と、該分散液を前記基材表面上に塗工する塗工工程と、該塗工工程によって形成された塗工膜に対して光を複数回照射する光焼成工程と、を順に行い、
    前記光焼成工程において、
    1回あたりの照射時間が0.01msec〜50msec、1回あたりの照射エネルギーが0.8J/cm 〜1.06J/cm 、となるように光を調整し、該調整した光を照射する周期が0.1Hz〜4Hzとなるように調整する
    ことを特徴とする透明導電フィルムの製造方法。
  2. 前記1回あたりの照射時間が、
    0.03msec〜0.04msecとなるように調整する
    ことを特徴とする請求項1記載の透明導電フィルムの製造方法。
  3. 前記光を照射する周期が、3Hz〜4Hzとなるように調整する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の透明導電フィルムの製造方法。
  4. 前記光焼成工程において、
    単位面積あたりの総照射エネルギー量が、8.23J/cm〜31.8J/cmとなるように調整する
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の透明導電フィルムの製造方法。
  5. 前記基材が、ポリエチレンテレフタレートであり、
    前記導電部材が、銀ナノワイヤである
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の透明導電フィルムの製造方法。
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