JP6567335B2 - フィルム状微細構造体の製造方法及び転写装置 - Google Patents
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図1は、本実施の形態に係る第1のフィルム状モールドの製造方法に用いられる転写装置の概略図である。
本実施の形態では、転写工程に先立って、転写ロール109の微細凹凸パターンが形成された外周面と、モールド基材101の表面とを、モールド基材101の面方向から当接させる。この工程を当接工程と呼ぶ。
図9は、本実施の形態に係る第1のフィルム状モールドの製造方法に用いられる転写装置の概略図であり、特に転写工程を示している。図9に示すように、第1ブレーキ部105及び第2ブレーキ部114をOFF状態とし、繰出し駆動部102及び巻取り駆動部104を動作させ、モールド基材101を搬送する。塗布手段106により、繰出し駆動部102から送り出した光透過性のモールド基材101上に光硬化性樹脂を塗布して光硬化性樹脂層(転写層)を形成する。光硬化性樹脂層付きのモールド基材101は、ガイドロール107、108を経て転写ロール109へ供給される。
図11は、本実施の形態に係るフィルム状モールドの製造方法の第2のフィルム状モールドの複製工程に用いられる転写装置を示す概略図である。
以上説明した本実施の形態に係るフィルム状モールドの製造方法では、転写ロール109から微細凹凸パターンを転写して作製した第1のフィルム状モールド103を原版として第2のフィルム状モールド303を複製する場合について説明した。しかし、第2のフィルム状モールド303を原版として第3のフィルム状モールドをさらに複製することも可能である。すなわち、本発明は、第(n−1)(nは2以上の整数)のフィルム状モールドから第nのフィルム状モールドの製造方法に適用することが可能である。
以上説明した本実施の形態に係るフィルム状モールドの製造方法により得られた第nのフィルム状モールドは、例えば、反射防止材の製造、レジストマスクの作製、細胞培養培地、超撥水加工及び超親水加工に応用することができ、有用である。例えば、ピラー形状、円錐形状、角錐形状、惰円錐形状を含む周期的な微細凹凸構造を有するものは、反射防止効果があるモスアイ構造の反射防止膜として用いることができる。ここで、モスアイ構造とは、サブミクロンオーダーのピラミッド状凹凸構造を蛾の目のような2次元パターンに配置した構造をいう。このような微細構造体においては、表面に形成されるナノオーダーの微細凹凸構造が滑らかな屈曲率傾斜を誘発し、界面の屈折率差で発生する反射が起きないため、反射防止膜として好適に用いることが可能となる。また、本実施の形態に係るフィルム状モールドの製造方法により得られた第nのフィルム状モールドを用い、エッチング対象である基板の表面にレジストマスクを作製できる。
塗布手段106、305によるフィルム状基材への光硬化性樹脂の塗布方法としては、公知の塗布コーター又は含浸塗布コーターを用いた塗布方法が挙げられる。具体的には、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ブレードコーター、ワイヤーバーコーター、エアーナイフコーター、ディップコーター、コンマナイフコーター、スプレーコーター、カーテンコーター、スピンコーター、ラミネーターなどを用いた塗布方法が挙げられる。これらの塗布方法は、必要に応じて1種の塗布方法を用いてもよく、2種以上の塗布方法を組合せて用いてもよい。また、これらの塗布方法は、生産性の観点から連続方式で塗布することが好ましい。また、ディップコーター、コンマナイフコーター、グラビアコーター又はラミネーターを使用した連続方式の塗布方法が特に好ましい。
光硬化性樹脂への光照射に用いる光源112、310としては、特に制限されるものではなく、用途及び設備に応じて種々の光源を用いることができる。例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、無電極ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプ、LEDランプ、キセノンパルス紫外線ランプなどを用いることができる。また、光硬化性樹脂は、波長200nm〜500nmの紫外線又は可視光を露光量が100mJ/cm2〜2000mJ/cm2となるように照射することにより硬化することができる。また、酸素による光硬化反応の阻害を防止する観点から、光照射時には酸素濃度が低い状態で光を照射することが望ましい。
転写ロール109は継ぎ目のないことがより好ましい。継ぎ目があった場合、最終的に得られる微細凹凸パターン付製品において、継ぎ目部に対応する微細凹凸パターンがない箇所を切り落とすため、歩留まりが悪化するだけでなく、切り落とす作業が余分に入るため連続生産性も悪化する。
フィルム状モールドについて以下に説明する。図13は、本実施の形態に係るフィルム状モールドの断面概略図である。図13には第1のフィルム状モールド103を図示した。図13に示すように、第1のフィルム状モールド103は、フィルム状基材401上に、樹脂硬化物層403が形成されている。図13に示すように、樹脂硬化物層403の表面には微細凹凸パターン402が形成されている。図13に示す微細凹凸パターン402は、転写ロール109の微細凹凸パターンを転写した形状であり、すなわち微細凹凸パターンの反転形状(逆パターン)とされる。微細凹凸パターン402は、円錐形状、角錐形状若しくは楕円錘形状の凸部を複数含むピラー形状、又は、円錐形状、角錐形状若しくは楕円錘形状の凹部を複数含むホール形状或いはラインアンドスペース形状である。大きさの一例であるが、微細凹凸パターン402は、例えば、ピッチPが、100nm〜3000nm程度(好ましくは200nm以上)、凸部幅Dが、30nm〜3000nm程度(好ましくは100nm以上)、凸部高さH1が、数十nm〜数十μm程度とされる。ピッチPは、隣接する凸部と凹部との幅を足した大きさ、隣り合う凸部間の中間幅、あるいは、隣り合う凹部間の中間幅で定義される。
第1のフィルム状モールドの作製において用いられるモールド基材101や第2のフィルム状モールドの複製に用いられる被転写基材301には光透過性があるフィルム状基材を用いることができる。
光硬化性樹脂層は光硬化性樹脂で形成される。光硬化性樹脂は、転写性、原版からの剥離性、フィルム状基材との密着性、粘度、製膜特性、感光性、硬化後の力学特性、樹脂鋳型作製時の樹脂層との剥離性を考慮して選択する。
ニップロールのシリンダ圧力を0.4MPa、通紙した600mm幅のフィルム基材に張力をかけずに、5回ニップ動作中4回の頻度で、シリンダの同調不良が発生し、シリンダに同調不良が発生し、ニップロールの片当たりにより、左右にはみ出し樹脂高差(以下、ゲージバンド差と記載する)が発生した。
比較例1と同じ条件下でニップロールのシリンダ圧力を0.4MPa、600mm幅のフィルム基材に掛ける張力を30Nとしたとき、5回ニップ動作中2回の頻度で、同調不良が発生し、ゲージバンド差が発生した。
比較例1と同じ条件下でフィルムに掛ける張力を80N、50N、30Nと徐々に弱くし、その際の各条件保持時間を10秒としたとき、5回ニップ動作中、同調不良は一度も発生せず、ゲージバンド差の発生もなかった。
実施例1と同じ条件下でエアシリンダの動作速度を5mm/秒未満として当接した場合、エアシリンダのフリクションにより、エアシリンダのスティックアンドスリップ現象が生じ、ニップロールの片方が転写ロールに当接しなかった。ステッィクアンドスリップ現象は、摩擦面間に生じる微視的な摩擦面の付着、滑りの繰り返しによって引き起こされる自励振動である。
実施例1と同じ条件下でシリンダの動作速度を11mm/秒超とした当接した場合、エアシリンダの同期ずれにより片当たり発生し、20〜100μmのゲージバンド差が生じた。
実施例1と同じ条件下でシリンダの動作速度を5〜10mm/秒とすることで、ニップロールは左右同時に当接し、ゲージバンド差は10μm以下であった。
実施例1と同じ条件下で当接角度を鉛直上向き+30°、エアシリンダの動作速度を5mm/秒とし、ニップロールを転写ロールに当接したところ、片当たりは生じなかった。また、微細構造の転写も忠実に行われた。
実施例3において、当接角度を鉛直上向き+45°としたところ、被転写材の微細構造に斜めに圧力が加わり、微細構造に変形が見られた。
101 モールド基材
103、303 フィルム状モールド
105 第1ブレーキ部
106、305 塗布手段
109 転写ロール
110、309 押圧手段
110a、110b、309b、309c ニップロール
112、310 光源
114 第2ブレーキ部
402 フィルム状基材
403 樹脂硬化物層
Claims (10)
- 転写ロールの微細凹凸パターンが形成された外周面に対して、長尺方向に走行するフィルム状の被転写材の表面を、前記被転写材の搬送方向に沿って前記転写ロールよりも前側及び/又は後側に設けられたニップロールを用いて当接させる当接工程と、
前記転写ロールを回転させつつ前記被転写材の表面に前記転写ロールの前記微細凹凸パターンを転写する転写工程と、を有し、
前記当接工程において、前記ニップロールは、流体の圧力によって動作する一対のシリンダによって移動され、且つ、
前記当接工程は、前記被転写材に初期張力をかけ、その後前記初期張力を低下させる工程であり、前記初期張力は、前記被転写材を前記転写ロールに当接する向きに、前記シリンダに圧力をかけても、前記被転写材が前記転写ロールに当接しない強度であり、前記初期張力の低下により前記被転写材が前記転写ロールに当接することを特徴とするフィルム状微細構造体の製造方法。 - 前記被転写材が前記転写ロールに当接する直前の、前記シリンダの動作速度が、5〜10mm/秒であることを特徴とする請求項1記載のフィルム状微細構造体の製造方法。
- 前記シリンダの動作方向を示す直線Aと、前記ニップロールの中心軸を起点とした鉛直線Bとがなす角度θが、0°〜+30°又は−30°〜0°の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のフィルム状微細構造体の製造方法。
- 前記シリンダの動作速度は、前記シリンダのピストンに取り付けた錘を変更することにより調整されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のフィルム状微細構造体の製造方法。
- 前記シリンダの動作速度は、前記シリンダの動作中に、前記シリンダの戻し圧注入側に圧力をかけることにより低減されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のフィルム状微細構造体の製造方法。
- 微細凹凸パターンが外周面に形成された転写ロールと、
長尺方向に走行するフィルム状の被転写材を介して前記転写ロールに接離可能に設けられ、前記転写ロールに接近した場合に前記被転写材を前記転写ロールと共に挟持する、前記転写ロールの前記被転写材の搬送方向前側及び/又は後側に設けられたニップロールと、
前記ニップロールに設けられた、流体の圧力によって動作し、前記ニップロールを移動する一対のシリンダと、
前記被転写材にかける張力を調整する張力調整手段と、
を具備し、
前記張力調整手段は、前記被転写材に対する初期張力を、前記被転写材を前記転写ロールに当接する向きに前記シリンダに圧力をかけても、前記被転写材が前記転写ロールに当接しない強度とし、その後前記初期張力を低下させて、前記被転写材を前記転写ロールに当接させることを特徴とする転写装置。 - 前記シリンダの動作速度を調整する動作速度調整手段をさらに具備し、前記動作速度調整手段は、前記ニップロールが前記被転写材を挟んで当接する直前の、前記動作速度が、5〜10mm/秒になるように調整することを特徴とする請求項6記載の転写装置。
- 前記シリンダの動作方向を示す直線Aと、前記ニップロールの中心軸を起点とした鉛直線Bとがなす角度θが、0°〜+30°又は−30°〜0°の範囲内であることを特徴とする請求項6又は請求項7記載の転写装置。
- 前記動作速度調整手段が、前記シリンダのピストンに取り付ける錘を備えていることを特徴とする請求項7記載の転写装置。
- 前記動作速度調整手段が、前記シリンダの動作中に前記シリンダの戻し圧注入側に前記流体を供給する戻し圧注入部を備えていることを特徴とする請求項7又は請求項9記載の転写装置。
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