<ハイブリッド給湯システム>
図1は、本発明の一実施の形態に係るハイブリッド給湯システムを示している。図1に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
このハイブリッド給湯システム(以下単に「給湯システム」と称する)2には、タンク部4、第1の加熱手段としてヒートポンプ(以下「HP」と称する)6、第2の加熱手段として給湯機8および制御部9が含まれる。
タンク部4は、貯湯タンク(以下、単に「タンク」と称する)10を備え、上水Wの給水を受け、HP6および給湯機8により加熱された温水HWを貯湯するとともに、給湯需要に応じて温水HWを給湯する。
HP6はタンク10の下層水を流出させて加熱し、タンク10の上層側に戻す。これに対し、給湯機8はタンク10の中層水を流出させて加熱し、タンク10の上層側に戻す。
係る構成では、HP6がタンク10の上層水、中層水および下層水の何れも加熱することができ、給湯機8はタンク10の上層水および中層水を加熱することができる。HP6および給湯機8により加熱した温水HWをタンク10に貯湯し、給湯需要に応じた給湯が行える。
HP6は給湯機8より加熱効率の高い熱源機であり、給湯機8はHP6より加熱能力の高い熱源機である。加熱効率の高いHP6を用いて、HP6の加熱能力に応じてタンク10の温水HWで蓄熱する。給湯需要が増大し、温水HWの上層側温度が低下した場合には、加熱能力の高い給湯機8を動作させ、給湯機8による加熱によって上層側の温水HWの温度を上昇させ、給湯需要に応じる。つまり、HP6の加熱能力の不足分が給湯機8の加熱能力によって補完される。
このような給湯機8の補完機能を利用することで、HP6の加熱能力を補うことと相まって、タンク10の貯湯容量を低くできる。
制御部9は、給湯システム2を制御する制御手段の一例である。この制御部9は、HP6および給湯機8の動作モードを切り替え、動作モードに基づき、HP6および給湯機8の動作を制御する。動作モードには、少なくとも第1のモードと、第2のモードとが含まれる。第1のモードではたとえば、タンク10の上層部から下層部に熱を蓄熱させ、第2のモードでは、タンク10の上層部に熱を蓄熱させる。給湯消費が多い場合には第1のモードに切り替え、給湯消費が少ないかもしくは給湯消費がない場合には第2のモードに切り替えることで、安定した給湯と、放熱ロスが少なく効率的な蓄熱とを行うことができる。
<タンク10>
図2は、タンク10の一例を示している。このタンク10はたとえば、長大な円筒状容器であり、タンク容量はたとえば、90〔リットル〕程度である。この値は一例であり、この値に限定されるものではない。
このタンク10には、上層側の最上部に出湯ポート12−1、底部に給水ポート12−2が備えられ、さらに、底部に水流出ポート12−3、中部に水流出ポート12−4、上層側の出湯ポート12−1と並んで温水戻しポート12−5、12−6が備えられる。
出湯ポート12−1は、タンク10の上層側から上層部の温水HWを出湯させる。この出湯に連動し、タンク10に給水が行われる。給水ポート12−2は給水口の一例であり、この給水ポート12−2からタンク10内に上水Wが給水される。これにより、タンク10には所定量の貯湯水が維持される。
水流出ポート12−3は第1の水流出口の一例であり、この水流出ポート12−3から下層水を流出させ、HP6で加熱する。このHP6で得られる温水HWは温水戻しポート12−5よりタンク10の上層部に戻される。
水流出ポート12−4は第2の水流出口の一例であり、この水流出ポート12−4から中層水を流出させ、給湯機8で加熱する。この給湯機8で得られた温水HWは温水戻しポート12−6よりタンク10の上層部に戻される。
このように、タンク10の上層側から給湯するとともに下層側から給水し、加熱後の温水HWは上層側に戻されるので、貯湯水の温度分布は下層側から上層側に向かって高温となる複数階層の蓄熱領域が構築される。この実施の形態では、9層の蓄熱領域を想定している。破線は仮想した蓄熱領域I、II、III ・・・IXを示している。
そして、このタンク10には、最下層側に第1の邪魔板14−1、最上層側に第2の邪魔板14−2が配置されている。邪魔板14−1は上に凸となる湾曲形状であり、邪魔板14−2は下に凸となる湾曲形状である。したがって、邪魔板14−1は蓄熱領域I側の給水による階層蓄熱の乱れを防止し、邪魔板14−2は出湯、温水戻しによる蓄熱領域IX側の階層蓄熱の乱れを防止する。つまり、邪魔板14−1、14−2は階層蓄熱領域の防護手段であって、これによりタンク10内に安定した蓄熱領域が確保される。
このタンク10には複数の温度センサとして4組の温度センサ16−1、16−2、16−3、16−4が配置されている。温度センサ16−1はその上層側温度を検出する第1の温度センサの一例であり、温度センサ16−4は貯湯タンク10の下層側温度を検出する第2の温度センサの一例であり、温度センサ16−2は貯湯タンク10の中層側温度を検出する第3の温度センサの一例である。この温度センサ16−2は温度センサ16−1と温度センサ16−4の間に配置される。
温度センサ16−1は、HP6および給湯機8の加熱開始温度を計測する。この温度センサ16−1では、HP6や給湯機8からの温水戻しによる温水HWの熱の影響を受けない蓄熱領域VIIIと蓄熱領域IXの境界部温度を計測している。
温度センサ16−2はHP6および給湯機8の加熱停止温度を計測する。この例では、水流出ポート12−4が蓄熱領域VIと蓄熱領域VII の境界部に配置されている。この温度センサ16−2では、水流出ポート12−4より上側としてたとえば、蓄熱領域VIと蓄熱領域VII の境界部より上側温度を計測している。
温度センサ16−3は蓄熱状態の温度計測を行う。この例ではたとえば、蓄熱領域IVと蓄熱領域Vの境界部温度を計測している。
温度センサ16−4は、HP6の加熱開始温度を計測する。この例では蓄熱領域IIと蓄熱領域IIIの境界部温度を計測している。
このタンク10では邪魔板14−1、14−2を備えたことにより、上層部DHの蓄熱領域IXでは給湯機8からの温水戻りによる温水の乱れを考慮し、ある程度の蓄熱量が確保される。下層部DLの蓄熱領域I、IIでは短時間内でHP6の発停が繰り返されない蓄熱状態が確保されている。また、中上層部DMの蓄熱領域VII 、VIIIは短時間内で給湯機8の発停が繰り返されない蓄熱状態が確保される。
給湯システム2ではたとえば、温度センサ16−4が検出する下層側温度に基づいてHP6の動作を開始させ、温度センサ16−1が検出する上層側温度に基づいて給湯機8の動作を開始させる制御を既述の第1のモードとすることができる。温度センサ16−1が検出する上層側温度に基づいてHP6の動作を開始させるとともに、給湯機8の動作を開始させる制御を既述の第2のモードとすることができる。この第2のモードでは、タンク10の上層部の蓄熱完了後にHP6を停止させればよい。
<貯湯システム2の実施例>
図3は、貯湯システム2の実施例を示している。
タンク部4は、HP6または給湯機8と共通の筐体を備えてもよいし、別個の筐体を備えてもよい。この筐体には温度センサ16−5が備えられる。この温度センサ16−5は、外気温度を検出する。
タンク10の出湯ポート12−1には出湯路18−1が接続され、この出湯路18−1からタンク10の上層水が給湯の需要箇所に給湯される。この需要箇所にはたとえば、給湯栓が備えられ、この給湯栓を開くことにより、出湯が開始される。この出湯路18−1には、タンク10側(上流側)より下流側に向かって加圧逃がし弁20−1、温度センサ16−6、16−7、混合水規制弁20−2が備えられる。この出湯路18−1にはバイパス路18−3が分岐され、給水路18−2側に接続されている。
加圧逃がし弁(バキュームブレーカー内蔵)20−1は出湯路18−1を通してタンク10の内圧を外気に放出してタンク10の加圧状態を緩和させるほか、加圧破壊弁の機能を果たす。温度センサ16−6は、タンク10からの出湯水の出湯温度を検出する。温度センサ16−7は、バイパス路18−3からの上水Wと温水HWとの混合水の温度を検出する。混合水規制弁20−2は、出湯する混合水の流量を開度によって規制する。
タンク10の給水ポート12−2には給水路18−2が接続され、タンク10からの出湯に応じて上水Wが給水される。この給水路18−2には上水Wの上流側より下流側に向かって温度センサ16−8、減圧弁20−3、給水逆止弁20−4、水量センサ22−1、ミキシング弁20−5およびタンク逆止弁20−6が備えられる。温度センサ16−8は上水Wの給水温度を検出する。減圧弁20−3は上水圧の減圧に用いられる。給水逆止弁20−4は、上水Wの水源側との縁切り手段の一例であり、たとえば断水時、給水上流側が負圧となった場合、タンク10が急激な負圧にならないように機能する。水量センサ22−1は給湯時の水流、給湯または給水流量を検出する。ミキシング弁20−5は開度に応じてバイパス路18−3側に流す上水量を調整する。このバイパス路18−3側への上水量の調整により混合水温度が所定の出湯温度に調整される。タンク逆止弁20−6はタンク10から上水W側への逆流を阻止する。
水流出ポート12−3および温水戻しポート12−5には第1の循環路としてヒートポンプ循環路(以下、単に「循環路」と称する)24が接続され、HP6が接続されている。この循環路24の往き管24−1側にHPポンプ26−1および温度センサ16−9、その戻り管24−2に温度センサ16−10および加熱水切替弁20−7が備えられる。往き管24−1と戻り管24−2には加熱水切替弁20−7を介してバイパス路24−3が形成されている。タンク10の貯湯水を加熱する際、HPポンプ26−1を駆動し、タンク10の下層水を流出させて循環路24からHP6に循環させる。往き管24−1、戻り管24−2に付された矢印は循環水の循環方向を示している。
温度センサ16−9はHP6で加熱される前の水温を検出する。温度センサ16−10はHP6で加熱された温水HWの温度を検出する。加熱水切替弁20−7は、タンク10の貯留水の加熱時、戻り管24−2の温水HWを温水戻しポート12−5に流し、タンク10の貯留水の非加熱時、戻り管24−2の温水HWを往き管24−1側に切り替える。
水流出ポート12−4と温水戻しポート12−6には第2の循環路として給湯機循環路(以下、単に「循環路」と称する)28が接続され、給湯機8が接続されている。この循環路28の往き管28−1側に給湯ポンプ26−2が備えられる。タンク10の貯湯水を加熱する際、給湯ポンプ26−2を駆動し、タンク10の中層水を流出させて給湯機8に循環させる。
HP6にはHP回路30、HP熱交換器32および温度センサ16−11が含まれる。HP回路30にはHP6の冷媒としてCO2を循環させる。HP熱交換器32は、HP回路30に循環する冷媒と循環路24の循環水との熱交換を行い、冷媒の熱で循環水を加熱する。温度センサ16−11は、熱交換後の循環水の温度を検出する。HP回路30にはHP熱交換機32のほか、膨張弁、空気熱交換機、圧縮機を含むたとえば、CO2冷媒サイクルが用いられる。空気熱交換機では冷媒に大気からの吸熱を行い、圧縮機では電力により冷媒の圧縮を行う。
給湯機8には循環路28の循環水を加熱する熱交換器34が備えられる。熱交換器34は、バーナ36の燃焼熱と循環路28の循環水との熱交換を行い、循環水を加熱する。バーナ36には燃料ガスを燃焼させるバーナを用いればよいが、燃料に灯油などの液体燃料や固体燃料を用いるバーナを用いてもよい。
この熱交換器34の入り側には循環路28の往き管28−1、その出側に戻り管28−2が接続されている。給湯ポンプ26−2を動作させることにより、タンク10の中層水を熱交換器34に循環させる。往き管28−1、戻り管28−2に付された矢印は循環水の循環方向を示している。
往き管28−1側には温度センサ16−12、水量センサ22−2、ミキシング弁20−8が備えられている。温度センサ16−12はタンク10から熱交換器34に入る循環水の温度を検出する。水量センサ22−2は循環水の水流の有無、循環流量を検出する。ミキシング弁20−8は、開度に応じて往き管28−1からバイパス路28−3を通って戻り管28−2に循環水を循環させる。バイパス路28−3は戻り管28−2を分岐し、ミキシング弁20−8を介して往き管28−1に接続されている。
戻り管28−2側には温度センサ16−13、混合水規制弁20−9および温度センサ16−14が備えられている。温度センサ16−13は熱交換後の循環水の温度を検出する。混合水規制弁20−9は熱交換前後の混合による循環水の流量を開度によって規制する。温度センサ16−14は、熱交換前後の混合水である戻り管28−2側の循環水の温度を検出する。
<ハイブリッド制御部>
この給湯システム2にはハイブリッド制御部38が備えられる。図4および図5は、このハイブリッド制御部38の一例を示している。
このハイブリッド制御部38は制御部9の一例であり、このハイブリッド制御部38にはタンク制御部38−1、HP制御部38−2、給湯機制御部38−3およびリモコン制御部38−4が備えられる。タンク制御部38−1は、タンク部4に備えられ、各部検出温度に基づき、タンク部4のHPポンプ26−1、給湯ポンプ26−2を含む各機能部を制御する。
HP制御部38−2はHP6に備えられ、HP6の機能部を制御する。給湯機制御部38−3は給湯機8に備えられ、各部検出温度に基づき、ミキシング弁20−8を含む各機能部を制御する。リモコン制御部38−4はリモコン装置48に備えられ、タンク制御部38−1、HP制御部38−2および給湯機制御部38−3と連係し、各制御部に対する指示や各制御部からの情報表示などの制御を行う。
タンク制御部38−1は図4に示すように、コンピュータによって構成され、プロセッサ40−1、メモリ部42−1、システム通信部44−1および入出力部(I/O)46−1が備えられる。プロセッサ40−1は、メモリ部42−1に格納されたプログラムを実行し、タンク部4の機能制御、情報表示などの情報処理を行う。メモリ部42−1にはプログラムや、情報処理によって得られる制御情報が格納される。このメモリ部42−1にはハードディスクや半導体メモリなどの記録媒体を用いればよく、この記録媒体には不揮発性メモリを用いればよい。このメモリ部42−1にはROM(Read-Only Memory)やRAM(Random-Access Memory)が含まれる。
システム通信部44−1はプロセッサ40−1の制御により、HP制御部38−2、給湯機制御部38−3およびリモコン制御部38−4と通信ケーブル50により連係され、各部間の制御情報の送受を担当する。通信ケーブル50は単一線で例示しているが実際にはタンク制御部38−1に対し、HP制御部38−2、給湯機制御部38−3およびリモコン制御部38−4の3系統の通信回路を構成している。
I/O46−1には複数の温度センサ16−1、16−2・・・16−10、水量センサ22−1から検出信号が取り込まれる。このI/O46−1から制御出力がHPポンプ26−1、給湯ポンプ26−2などの機能部に出力される。
HP制御部38−2は図5に示すように、コンピュータによって構成され、プロセッサ40−2、メモリ部42−2、システム通信部44−2およびI/O46−2が備えられる。プロセッサ40−2は、メモリ部42−2に格納されたプログラムを実行し、HP6の機能制御などの情報処理を行う。メモリ部42−2にはプログラムや、情報処理によって得られる制御情報が格納される。このメモリ部42−2にはハードディスクや半導体メモリなどの記録媒体を用いればよく、この記録媒体には不揮発性メモリを用いればよい。このメモリ部42−2にはROMやRAMが含まれる。
システム通信部44−2はプロセッサ40−2の制御により、タンク制御部38−1、給湯機制御部38−3およびリモコン制御部38−4と通信ケーブル50により連係され、各部間の制御情報の送受を担当する。
I/O46−2には温度センサ16−11などから検出信号が取り込まれる。このI/O46−2から制御出力がHP6の機能部に出力される。
給湯機制御部38−3はコンピュータによって構成され、プロセッサ40−3、メモリ部42−3、システム通信部44−3およびI/O46−3が備えられる。プロセッサ40−3は、メモリ部42−3に格納されたプログラムを実行し、給湯機8の機能制御などの情報処理を行う。メモリ部42−3にはプログラムや、情報処理によって得られる制御情報が格納される。このメモリ部42−3にはハードディスクや半導体メモリなどの記録媒体を用いればよく、この記録媒体には不揮発性メモリを用いればよい。このメモリ部42−3にはROMやRAMが含まれる。
システム通信部44−3はプロセッサ40−3の制御により、タンク制御部38−1、HP制御部38−2およびリモコン制御部38−4と通信ケーブル50により連係され、各部間の制御情報の送受を担当する。
I/O46−3には複数の温度センサ16−12、16−13、16−14や水量センサ22−2などから検出信号が取り込まれる。このI/O46−3から制御出力が給湯機8の機能部に出力される。
リモコン制御部38−4はコンピュータによって構成され、プロセッサ40−4、メモリ部42−4、システム通信部44−4およびI/O46−4が備えられる。プロセッサ40−4は、メモリ部42−4に格納されたプログラムを実行し、リモコン装置48の機能制御や表示制御などの情報処理を行う。メモリ部42−4にはプログラムや、情報処理によって得られる制御情報が格納される。このメモリ部42−4にはハードディスクや半導体メモリなどの記録媒体を用いればよく、この記録媒体には不揮発性メモリを用いればよい。このメモリ部42−4にはROMやRAMが含まれる。
システム通信部44−4はプロセッサ40−4の制御により、タンク制御部38−1、HP制御部38−2および給湯機制御部38−3と通信ケーブル50により連係され、各部間の制御情報の送受を担当する。
I/O46−4には入力スイッチ(SW)52、操作表示部54、LED表示器56などが接続されている。SW52は操作入力部の一例であり、電源投入、設定温度の入力、ユーザによる操作入力などを行う。操作表示部54には入力情報や、リモコン装置48がタンク部4、HP6または給湯機8から受けた制御情報や警告情報を表示する。この表示はたとえば、画像によって表示される。LED表示器56は緊急時の表示や、駆動中を点灯によって表示するなどの表示機能を果たす。操作表示部54にはたとえば、タッチセンサを用いればよい。
<処理手順>
この給湯システム2の制御には、給湯制御(図6)、HP6の蓄熱制御(図7、図8)、給湯機8の蓄熱制御(図9)が含まれる。これらの制御はたとえば、タンク制御部38−1で行われる。
図6は、給湯制御の処理手順を示している。この処理手順は給湯プログラムにより実行される処理や、給湯方法の一例である。
この処理手順では、給水の有無を判定する(S101)。この給水ないし給湯の有無は、水量センサ22−1の検出により行えばよい。この給水は給湯に連動しており、給湯時、タンク10に給水が行われる。この給水がなければ(S101のNO)、給水があるまで待機する。
給水があれば(S101のYES)、タンク部4ではフィード・フォワード(FF)制御が実行される(S102)。このFF制御では、温度センサ16−6、16−8の検出温度を参照し、給湯設定温度に応じてミキシング弁20−5の開度比率を調整する。温度センサ16−6はタンク10から出湯される温水HWの出湯温度T6を検出し、温度センサ16−8はタンク10に対する上水Wの給水温度T8を検出する。
このFF制御の開始の後、ミキシング弁20−5の動作の完了を待機する(S103)。このミキシング弁20−5の動作完了に呼応し、フィード・バック(FB)制御が実行される(S104)。このFB制御では、温度センサ16−7の検出温度を参照し、給湯設定温度に応じてミキシング弁20−5の開度比率を調整する。温度センサ16−7はタンク10から出湯される温水HWと水Wの混合水温度T7を検出する。
再び給水の有無を判定する(S105)。給水があれば(S105のYES)、給湯需要に応ずるため、FB制御(S104)の継続と給水の判定を継続して行う。
そして、給水が終了すれば(S105のNO)、給湯終了につき、S101に戻り、S101〜S105の各処理を継続して行う。
図7は、HP6の蓄熱制御の処理手順を示している。このHP6の蓄熱制御では、通常モード、省エネモードおよびオフモードを含む複数の動作モードが備えられ、これらの動作モードの切り替えが行われている。通常モードは、第1のモードの一例であり、給湯消費が見込まれる時間帯に用いられる。この通常モードでは、タンク10の上層部DHから下層部DLまでのタンク10の全体に加熱された温水HWを貯湯して蓄熱部として用いることにより、高い給湯消費に対応するとともに、給湯機8よりも加熱効率の高いHP6による加熱比率を高めている。省エネモードは、第2のモードの一例であり、給湯消費の発生が想定されていない時間帯に用いられる。この省エネモードでは、タンク10の上層部DHおよび中上層部DMに加熱された温水HWを貯湯して蓄熱部として用いることにより、急な給湯消費に対応するとともに、タンク10の下部側からの放熱ロスを抑制している。オフモードは、第3のモードの一例であり、省エネモードと同様に給湯消費の発生が想定されていない時間帯に用いられる。このオフモードでは、第3の制御が行われ。基本的には温水HWの貯湯を行わず、タンク10からの放熱ロスを一層抑制するとともに、給湯機8を動作させて急な給湯消費に対応する。
HP6の蓄熱制御の処理手順では、HP6の駆動指示を判定する(S201)。駆動指示があれば(S201のYES)、動作モードが通常モードであるかを判定する(S202)。
(通常モード)
動作モードが通常モードであれば(S202のYES)、温度センサ16−4の検出温度T4が下限基準温度TM未満か(T4<TM)を判定する(S203)。下限基準温度TMはHP6がオーバーヒートする温度から一定温度としてたとえば、−3〔℃〕だけ低い温度であり、TM=45〔℃〕を設定している。
T4<TMであれば(S203のYES)、加熱水切替弁20−7をリターン(バイパス路24−3)側に切り替え、HPポンプ26−1の回転数Nfを一定回転数としてたとえば、Nf=2000〔rpm〕に設定し、HP6を起動する(S204)。
このHP6の起動の後、温度センサ16−10の検出温度T10が一定温度TL以上か(T10≧TL)を判定する(S205)。この例では、HP6がオーバーヒートする温度から一定温度としてたとえば、−5〔℃〕だけ低い温度であり、TL=43〔℃〕を設定している。T10≧TLでなければ(S205のNO)、S203に戻り、S203〜S205の処理を実行する。
T10≧TLであれば(S205のYES)、加熱水切替弁20−7をタンク10側に切り替え(S206)、温度センサ16−10の検出温度T10が一定温度TH(T10=TH)になるようにHPポンプ26−1の回転数を制御する(S207)。この場合、出湯路18−1の出湯温度であるシステム給湯設定温度が所定温度としてたとえば、60〔℃〕以下であれば、TH=65〔℃〕に設定し、それ以外の場合には、TH=システム給湯設定温度+5〔℃〕に設定する。
T10=THにした後、温度センサ16−9の検出温度T9がTM以上か(T9≧TM)を判定する(S208)。この場合、HP6がオーバーヒートする温度より一定温度としてたとえば、−3〔℃〕だけ低い温度であり、TM=45〔℃〕である。
T9≧TMでなければ(S208のNO)、HP6の駆動指示があるかを判定する(S209)。HP6の駆動指示があれば(S209のYES)、S207に戻り、S207〜S209の処理を継続する。
そして、S201、S209において、HP6の駆動指示がなければ(S201のNO、S209のNO)、S203でT4<TMでなければ(S203のNO)、S208でT9≧TMであれば(S208のYES)、加熱水切替弁20−7をリターン(バイパス路24−3)側に切り替え、HPポンプ26−1を停止し、HP6を停止させ(S210)、S201に戻る。
(省エネモード)
S202において、動作モードが通常モードでなければ(S202のNO)、動作モードが省エネモードであるかを判定する(S211)。動作モードが省エネモードであれば(S211のYES)、温度センサ16−1の検出温度T1が比較温度TS1としてたとえば、63〔℃〕未満(T1<TS1)であるか判定する(S212)。
この場合、給湯設定温度がたとえば、60〔℃〕以下であれば、TS1=63〔℃〕に設定し、それ以外は給湯設定温度より一定温度たとえば、+3〔℃〕に設定すればよい。
システム給湯設定温度はたとえば、60〔℃〕以下、65〔℃〕、70〔℃〕、75〔℃〕の温度設定とする。温度センサ16−1の検出温度T1の判定では、システム給湯設定温度が60〔℃〕以下であれば、TS1=63〔℃〕、システム給湯設定温度が65〔℃〕であれば、TS1=68〔℃〕、システム給湯設定温度が70〔℃〕であれば、TS1=73〔℃〕、システム給湯設定温度が75〔℃〕であれば、TS1=78〔℃〕に設定すればよい。
T1<TS1であれば(S212のYES)、通常モードで実行したS203〜S208を実行する(S213〜S218)。なお、S215においてT10≧TLでなければ(S215のNO)、S212に戻り、S212〜S215の処理を実行する。
S218において、T9≧TMでなければ(S218のNO)、温度センサ16−2の検出温度T2が比較温度TS2以上であるか(T2≧TS2)を判定する(S219)。この場合、給湯設定温度がたとえば、60〔℃〕以下であれば、TS2=63〔℃〕に設定し、それ以外は給湯設定温度より一定温度たとえば、+3〔℃〕に設定すればよい。
既述のシステム給湯設定温度THはたとえば、60〔℃〕以下、65〔℃〕、70〔℃〕、75〔℃〕の温度設定とすれば、給湯機8の戻り管28−2からの出湯設定温度は、TH=60〔℃〕以下:70〔℃〕、TH=65〔℃〕:75〔℃〕、TH=70または75〔℃〕:80〔℃〕に設定する。これにより、温度センサ16−2の検出温度T2の判定では、システム給湯設定温度が60〔℃〕以下であれば、TS2=63〔℃〕、システム給湯設定温度が65〔℃〕であれば、TS2=68〔℃〕、システム給湯設定温度が70〔℃〕であれば、TS2=73〔℃〕、システム給湯設定温度が75〔℃〕であれば、TS2=78〔℃〕に設定すればよい。この実施例では、TS1=TS2に設定されている。
T2≧TS2でなければ(S219のNO)、HP6の駆動指示があるかを判定する(S220)。HP6の駆動指示があれば(S220のYES)、S217に戻り、S217〜S220の処理を継続する。
そして、S212でT1<TS1でなければ(S212のNO)、S213でT4<TMでなければ(S213のNO)、S218でT9≧TMであれば(S218のYES)、S219でT2≧TS2であれば(S219のYES)、S220でHP6の駆動指示がなければ(S220のNO)、加熱水切替弁20−7をリターン(バイパス路24−3)側に切り替え、HPポンプ26−1を停止し、HP6を停止させ(S210)、S201に戻る。
(オフモード)
S211において、動作モードが省エネモードでなければ(S211のNO)、S201に戻る。つまり、オフモードでは、HP6は起動しない。
この処理手順では、HPポンプ26−1の回転数制御(S207、S217)に温度センサ16−10の検出温度T10を用いたが、HP6の応答を重視して検出温度T10に代えて温度センサ16−11の検出温度T11を使用してもよい。
図8は、HPポンプの回転制御処理手順の一例であり、HP6の蓄熱制御(図7)のHPポンプ26−1の回転制御処理(S207およびS217)に用いられる。
この処理手順では、温度センサ16−10の検出温度T10が一定温度THか(T10=TH)を判定する(S221)。T10=THであれば(S221のYES)、HPポンプ26−1の回転数を変更することなくS208またはS218へ移行する。
T10=THでなければ(S221のNO)、検出温度T10が一定温度TH以上か(T10≧TH)を判定する(S222)。T10≧THであれば(S222のYES)、HPポンプ26−1の回転数を増加させる(S223)。T10≧THでなければ(S222のNO)、HPポンプ26−1の回転数を減少させ、HPポンプ26−1の回転数を最低回転数たとえば、500〔rpm〕に減少させる(S224)。
HPポンプ26−1の回転数の増加後(S223)またはHPポンプ26−1の回転数の減少後(S224)、S221に戻り、S221〜S224の処理を継続する。
HPポンプ26−1の回転数制御(S207、S217)に温度センサ16−11の検出温度T11を使用する場合、検出温度T10に代えて温度センサ16−11の検出温度T11を使用して、HPポンプ26−1の回転数を制御すればよい。
図9は、給湯機8の蓄熱制御の処理手順を示している。この処理手順では、リモコン装置48が動作しているかを判定する(S301)。リモコン装置48が動作していれば(S301のYES)、動作モードが通常モードであるかを判定する(S302)。
(通常モード)
動作モードが通常モードであれば(S302のYES)、温度センサ16−1の検出温度T1が比較温度TS1としてたとえば、63〔℃〕未満(T1<TS1)であるか判定する(S303)。
この場合、給湯設定温度がたとえば、60〔℃〕以下であれば、TS1=63〔℃〕に設定し、それ以外は給湯設定温度より一定温度たとえば、+3〔℃〕に設定すればよい。給湯機8は給湯設定温度より所定温度たとえば、10〔℃〕だけ高い温度に加熱し、給湯機8の最大加熱温度は80〔℃〕とする。
そこで、システム給湯設定温度はたとえば、60〔℃〕以下、65〔℃〕、70〔℃〕、75〔℃〕の温度設定とする。温度センサ16−1の検出温度T1の判定では、システム給湯設定温度が60〔℃〕以下であれば、TS1=63〔℃〕、システム給湯設定温度が65〔℃〕であれば、TS1=68〔℃〕、システム給湯設定温度が70〔℃〕であれば、TS1=73〔℃〕、システム給湯設定温度が75〔℃〕であれば、TS1=78〔℃〕に設定する。
T1<TS1でなければ(S303のNO)、S301に戻り、T1<TS1であれば(S303のYES)、タンク10側に給水が発生したかを判定する(S304)。水量センサ22−1の検出流量とミキシング弁20−5の分配比率によりタンク給水の有無を判定することができる。タンク給水が発生していなければ(S304のNO)、給湯ポンプ26−2を給湯機最小燃焼流量たとえば、3〔リットル/分〕を確保する回転数に低減させる(S305)。これにより、給湯機8の動作時間を確保し、また、給湯機8の燃焼量を最小燃焼量に抑えることができる。
タンク10側に給水が発生していれば(S304のYES)、給湯ポンプ26−2を設定回転数に制御する(S306)。給湯ポンプ26−2の設定回転数は、水量センサ22−1の検出水量と、ミキシング弁20−5の分配比率によるタンク10への給水量を演算して算出すればよい。この演算値を基準とした流量になるように給湯ポンプ26−2の回転数を制御すればよい。これにより、給湯使用分の流量を確保することができる。
給湯ポンプの26−2の回転と給湯機8の動作とは連動させている。つまり、給湯ポンプ26−2の回転数に応じて給湯機8の水量センサ22−2の検出水量が変化する。この検出水量の変化に応じて、バーナ36の燃焼量が給湯機制御部38−3により制御される。
S305またはS306の処理の後、温度センサ16−2の検出温度T2が比較温度TS2以上であるか(T2≧TS2)を判定する(S307)。この場合、既述のシステム給湯設定温度THはたとえば、60〔℃〕以下、65〔℃〕、70〔℃〕、75〔℃〕の温度設定とすれば、給湯機8の戻り管28−2からの出湯設定温度は、TH=60〔℃〕以下:70〔℃〕、TH=65〔℃〕:75〔℃〕、TH=70または75〔℃〕:80〔℃〕に設定する。これにより、温度センサ16−2の検出温度T2の判定では、システム給湯設定温度が60〔℃〕以下であれば、TS2=63〔℃〕、システム給湯設定温度が65〔℃〕であれば、TS2=68〔℃〕、システム給湯設定温度が70〔℃〕であれば、TS2=73〔℃〕、システム給湯設定温度が75〔℃〕であれば、TS2=78〔℃〕に設定すればよい。この実施例では、TS1=TS2に設定されている。
T2≧TS2でなければ(S307のNO)、S304に戻り、S304〜S307の処理を継続する。
そして、T2≧TS2であれば(S307のYES)、給湯ポンプ26−2を停止し(S308)、S301に戻り、処理を継続する。検出温度T1を給湯ポンプ26−2の回転開始の条件とし、検出温度T2を回転停止の条件とすることで、給湯ポンプ26−2の頻繁なオン/オフを回避することができる。
(省エネモード)
S302において、動作モードが通常モードでなければ(S302のNO)、動作モードが省エネモードであるかを判定する(S309)。動作モードが省エネモードであれば(S309のYES)、温度センサ16−1の検出温度T1が既述の比較温度TS1未満(T1<TS1)であるか判定する(S310)。
T1<TS1でなければ(S310のNO)、S301に戻り、T1<TS1であれば(S310のYES)、タンク10側への給水の有無を判定する(S311)。タンク10側に給水が発生していれば(S311のYES)、給湯ポンプ26−2を既述の設定回転数に制御する(S312)。
温度センサ16−2の検出温度T2が既述の比較温度TS2以上であるか(T2≧TS2)を判定する(S313)。T2≧TS2でなければ(S313のNO)、S311に戻り、S311〜S313の処理を継続する。
そして、T2≧TS2であれば(S313のYES)、給湯ポンプ26−2を停止し(S314)、S301に戻り、処理を継続する。検出温度T1を給湯ポンプ26−2の回転開始の条件とし、検出温度T2を回転停止の条件とすることで、給湯ポンプ26−2の頻繁なオン/オフを回避することができる。
S311でタンク給水が発生していなければ(S311のNO)、給湯ポンプ26−2を停止し(S314)、S301に戻り、処理を継続する。
(オフモード)
S309において、動作モードが省エネモードでなければ(S309のNO)、温度センサ16−1の検出温度T1が既述の比較温度TS1未満(T1<TS1)であるか判定する(S315)。
T1<TS1でなければ(S315のNO)、S301に戻り、T1<TS1であれば(S315のYES)、タンク10側への給水の有無を判定する(S316)。タンク10側に給水が発生していれば(S316のYES)、既述の設定回転数よりも回転数を割増した割増回転数に給湯ポンプ26−2を制御する(S317)。給湯ポンプ26−2の回転数を割り増すことで、タンク10の上層部DHに早期に蓄熱することができ、タンク10に温水HWがなくても給湯消費に対応することができる。
温度センサ16−2の検出温度T2が既述の比較温度TS2以上であるか(T2≧TS2)を判定する(S318)。T2≧TS2でなければ(S318のNO)、S316に戻り、S316〜S318の処理を継続する。
そして、T2≧TS2であれば(S318のYES)、給湯ポンプ26−2を停止し(S319)、S301に戻り、処理を継続する。検出温度T1を給湯ポンプ26−2の回転開始の条件とし、検出温度T2を回転停止の条件とすることで、給湯ポンプ26−2の頻繁なオン/オフを回避することができる。
S316でタンク給水が発生していなければ(S316のNO)、給湯ポンプ26−2を停止し(S319)、S301に戻り、処理を継続する。
上記処理手順を実行すれば、通常モードでは、タンク10の下層側温度に基づき、加熱効率の高いHP6を動作させ、タンク10の上層部DHから下層部DLまでのタンク10の全体を利用して温水HWで蓄熱することができ、この温水HWを給湯に用いることができる。通常モードでは、常時、HP6の加熱能力に応じて蓄熱が行われ、給湯需要が増大し、温水HWの上層側温度が低下した場合には、給湯機8を動作させ、給湯機8による加熱によって、温水HWの温度を上昇させ、給湯需要に応じることができる。また、給湯需要がないため、タンク10の貯湯水に温度分布を生じ、上層側温度が低下した場合にも給湯機8を動作させ、給湯機8による加熱によって温水HWの温度を上昇させる。これにより、通常時の給湯需要を遙かに凌ぐ急激な給湯需要に対し、即応することができる。
省エネモードでは、S212に示すように、温度センサ16−1の検出温度T1をHPポンプ26−1の起動条件に含んでいる。このため、タンク10の上層部DHの温度が高い場合にはHP6による加熱を行うことがない。S219に示すように、温度センサ16−2の検出温度T2をHPポンプ26−1の停止に用いることで、タンク10の上層部DHおよび中上層部DMを利用して温水HWで蓄熱する。また、給水が発生している場合にのみ給湯ポンプ26−2が回転し、給湯機8が加熱制御されることとなる。これらの処理により、タンク10からの放熱ロスが抑制されるとともに、タンク10の上層部DHおよび中上層部DMでの蓄熱により、急な給湯消費に対応することができる。
オフモードでは、HP6が動作することがなく、基本的には加熱された温水HWの貯湯が行われることがない。また、省エネモードと同様に給水が発生している場合にのみ給湯ポンプ26−2が回転し、給湯機8が加熱制御されることとなる。これらの処理により、タンク10からの放熱ロスを一層抑制することができるとともに、給湯ポンプ26−2を割増回転数で動作させて給湯機8での燃焼を割増すことで、タンク10の蓄熱によらずに急な給湯消費に対応することができる。
<動作モードの切り替え>
動作モードはたとえば、プロセッサ40−1のカレンダ機能やタイマー機能を利用して予め設定され、この設定に基づいて切り替えられる。
図10は、給湯消費に対する動作モードの設定の一例を示している。図10のAに示す給湯消費では、前日の5時台から22時台の間で給湯消費が発生し、翌日の6時台から給湯消費が発生している。このような給湯消費に対し、図10のBに示すように給湯消費が発生する給湯消費時間、たとえば5時から23時までは通常モードに設定し、常にタンク10内に一定量の温水HWを確保する。これに対し、給湯消費時間外であるたとえば、23時から翌日5時までは省エネモードまたはオフモードに設定し、タンク10内の蓄熱を制限する。この制限により、タンク10内の温水HWの放熱によるロスを抑制する。これらのモード設定は、タンク制御部38−1のメモリ部42−1に記憶させればよく、HP6および給湯機8の蓄熱制御時に、メモリ部42−1を参照して動作モードの判断を行えばよい。
タイマー機能とともにカレンダ機能を用いて、動作モードを日ごとまたは曜日ごとに設定するようにしてもよい。カレンダ機能を用いれば、平日と休日とでは給湯消費時間が異なる家庭または事業所において、平日または休日の給湯消費に応じて、動作モードを設定することができる。
また、リモコン装置48に備えられるスイッチ52等により、動作モードの設定切替えを行ってもよい。
<給湯機8動作中の給湯>
図11は、給湯機8が動作中の給湯を示している。図11では、HP6およびその循環路24は省略している。図11では、温水HWの給湯機8への供給、給湯機8からの出湯、タンク10への還流を矢印で示し、上水Wの給水から温水HWの給湯は、中抜きされた矢印で示している。
給湯機8から出湯した温水HWは、一旦タンク10の上層部DHに戻され、その後タンク10の上層部DHで、タンク10内の温水HWと混合し、タンク10から出湯されている。このため、給湯機8から出湯した温水HWが直接出湯路18−1に流れ込むことがなく、給湯機8が及ぼす出湯路18−1の圧力変動が少ない。つまり、給湯機8の動作に関わらず出湯路18−1の圧力が安定する。
図11に示すように、給湯機8から出湯した温水HWをタンク10に戻すとすれば、ミキシング弁20−5による上水Wと温水HWの混合比の曲線特性が、配管経路の圧力変動の影響を受けることがなく、安定することになる。つまり、上水Wの混合後の混合水温度を安定させることができる。
<実施例の効果>
上記実施例によれば、次の効果が得られる。
(1) 省エネモードでは、HP6でタンク10の上層側の貯湯水のみを加熱するので、下層側の貯湯水からの放熱が抑制され、放熱によるロスを抑制することができる。また、給湯時に上層側温度に基づいて給湯機8が動作するので、タンク10の上層側の貯湯水のみが加熱されている場合であっても、安定して給湯することができる。
(2) 通常モードでは、給湯消費により、タンク10の温水温度が低下すれば、タンク10の下層水をHP6に循環させて加熱し、HP6の蓄熱制御によりタンク10の高温範囲を拡大することができる。また、タンク10の中層水を給湯機8に循環させて加熱し、給湯機8の蓄熱制御によりタンク10の高温範囲を拡大させることができる。これにより、給湯および給水によるタンク10の温度低下を解消し、急増する給湯消費に応じることができる。
(3) 給湯機8の蓄熱制御により、HP6の加熱能力を補完することができるので、給湯消費が変化しても出湯温度が変動することがなく、安定した出湯温度を実現することができる。
(4) オフモードでは、基本的には加熱された温水HWの貯湯が行われることがなく、タンク10からの放熱ロスを一層抑制することができる。給湯時に割増回転数で給湯ポンプ26−2を動作させ、給湯機8での燃焼を割増すので、タンク10の蓄熱によらずに急な給湯消費に対応することができる。
(5) タンク10の温水加熱をHP6と給湯機8に分担させることができ、両者を以て相補的な加熱動作ができる。給湯機8では中層水をタンク10から流出させて加熱するので、給湯需要に応じた加熱動作を実現でき、タンク10の容量を必要最小容量に抑えることができ、HP6および給湯機8の相補的な加熱動作でタンク10の大容量化を回避できる。
(6) タンク10の温水加熱をHP6と給湯機8とに加熱分担させるので、HP6および給湯機8の各加熱能力を抑制でき、タンク10、HP6および給湯機8の小型化および小容量化を実現でき、給湯システム2のコンパクト化を図ることができる。
(7) 給湯機8はHP6に比較して加熱能力が高く、HP6は給湯機8に対して加熱効率が高いので、これらの特性を相補的に生かして給湯システム2の高効率化を実現できる。
〔変形例〕
上記実施の形態および実施例では、各動作モードに応じてHP6および給湯機8の蓄熱制御を異ならせていたが、給湯消費が見込まれない時間帯にタンク10の蓄熱が抑制されれば良く、他の制御であってもよい。
図12は、変形例に係る給湯制御の処理手順を示している。この処理手順は給湯プログラムにより実行される処理や、給湯方法の一例である。給湯システム2のハードウェア構成は上記実施の形態および実施例と同様であるのでその説明を省略する。
この処理手順では、給水の有無を判定する(S401)。この給水ないし給湯の有無は、水量センサ22−1の検出により行えばよい。この給水は給湯に連動しており、給湯時、タンク10に給水が行われる。この給水がなければ(S401のNO)、給水があるまで待機する。
給水があれば(S401のYES)、温度センサ16−1の検出温度T1が比較温度TS1としてたとえば、既述のTS1未満(T1<TS1)であるか判定する(S402)。
T1<TS1でなければ(S402のNO)、既述のFF制御により、ミキシング弁20−5の開度比率を調整し(S403)、設定された給湯温度での給湯を行う。ミキシング弁20−5の開度比率は、既述のFB制御により調整してもよく、FF制御およびFB制御の両方により調整してもよい。開度比率の調整後、S401に戻り、処理を継続する。
T1<TS1であれば(S402のYES)、給湯ポンプ26−2を既述の設定回転数に制御し(S404)、給湯機8を連動により動作させ、タンク10の上層部DHに温水HWを供給する。給湯機8を動作させることで、加熱された温水HWが不足する湯切れ状態の発生を防止する。給湯ポンプ26−2を設定回転数に制御した後、給湯設定温度に応じてミキシング弁20−5の開度比率を調整する(S405)。
開度比率の調整後、温度センサ16−2の検出温度T2が既述の比較温度TS2以上であるか(T2≧TS2)を判定する(S406)。T2≧TS2でなければ(S406のNO)、S404に戻り、S404〜S406の処理を継続する。
そして、T2≧TS2であれば(S406のYES)、給湯ポンプ26−2を停止し(S407)、S401に戻り、処理を継続する。
図13は、変形例に係る蓄熱制御の処理手順を示している。この処理手順は給湯プログラムにより実行される処理や、給湯方法の一例である。
この処理手順では、給湯消費時間の開始かを判定する(S501)。給湯消費時間の開始時間であれば(S501のYES)、HPポンプ26−1を運転するとともにHP6を動作させる(S502)。HPポンプ26−1はたとえば、HPポンプ26−1の回転数を温度センサ16−10の検出温度T10が既述の温度TH(T10=TH)になるように制御する。検出温度T10に代えて温度センサ16−11の検出温度T11を使用して、HPポンプ26−1の回転数を制御してもよい。
HPポンプ26−1の動作後、給湯消費時間の終了かを判定する(S503)。給湯消費時間の終了時間でなければ(S503のNO)、S502に戻り、S502〜S503の処理を継続する。給湯消費時間の終了時間であれば(S503のYES)、HPポンプ26−1およびHP6を停止し(S504)、S501に戻る。
これらの処理手順によれば、給湯に際し、タンク10内の温水HWを優先して利用し、温水HWが不足する場合に給湯機8を動作するようにしている。給湯時には、上層側温度に基づいて給湯機8が動作するので、タンク10による貯湯に関わらず、給湯することができる。
給湯消費時間に応じて、加熱効率が高いHP6を動作させ、給湯消費時間内は常にタンク10内に温水HWを一定量確保するようにしている。HP6の動作時間を設定された給湯消費時間内に制限するので、給湯消費時間外での蓄熱による放熱ロスが抑制される。給湯消費時間の制御は第1のモードの一例であり、給湯消費時間外の制御は第3のモードの一例であり、これらの処理により、タンク10からの放熱が抑制され、放熱によるロスを抑制することができる。
タンク10が蓄熱されていない状態から給湯を行う場合に、給湯温度の立ち上がりを改善するため、図14に示す給湯機8の蓄熱制御を行ってもよい。
この処理手順は、第2のモードの一例であり、この処理手順では、たとえばリモコン装置48に備えられる制御スイッチが動作指示(スイッチのオン)であるかを判定する(S601)。制御スイッチが動作指示でなければ、つまり停止指示(スイッチのオフ)であれば、S601に戻り、S601を繰り返す。
動作指示であれば(S601のYES)、給湯消費時間外であるかを判定する(S602)。給湯消費時間外でなければ(S602のNO)、S601に戻り、給湯消費時間外であれば(S602のYES)、この蓄熱制御の開始から設定時間TCが経過したかを判定する(S603)。この設定時間TCはこの蓄熱制御による制御時間を適正にするための時間設定であり、たとえば60〔分〕に設定される。設定時間TCが経過すれば(S603のYES)、給湯機8による蓄熱制御を終了させる(S604)。つまり、制御スイッチを停止指示に切り替え、S601に戻る。この設定時間TCでの制御終了処理により、給湯機8による変則的(イレギュラー)な蓄熱制御を設定時間で自動的に終了させ、この蓄熱制御の終了忘れを回避することができる。
設定時間TCが経過していなければ(S603のNO)、温度センサ16−1の検出温度T1が比較温度TS1としてたとえば、既述のTS1未満(T1<TS1)であるか判定する(S605)。
T1<TS1でなければ(S605のNO)、S601に戻る。この場合、給湯機8による蓄熱は行わない。T1<TS1であれば(S605のYES)、給湯ポンプ26−2を既述の設定回転数に制御し(S606)、給湯機8の動作により、タンク10の上層部DHに温水HWを供給する。
給湯ポンプ26−2を設定回転数に制御した後、温度センサ16−2の検出温度T2が既述の比較温度TS2以上であるか(T2≧TS2)を判定する(S607)。T2≧TS2でなければ(S607のNO)、S606に戻り、S606〜S607の処理を継続する。
そして、T2≧TS2であれば(S607のYES)、給湯ポンプ26−2を停止し(S608)、S601に戻り、処理を継続する。なお、S606では、給湯ポンプ26−2を回転させて給湯機8を動作させたが、HPポンプ26−1およびHP6を動作させてもよく、給湯機8およびHP6の両方を動作させてもよい。この場合、加熱効率または加熱能力に優れる蓄熱を実現することができる。
このような制御処理を備えれば、給湯を望むユーザが給湯要求前に制御スイッチを操作することで、給湯に先駆けタンク10の上層部DHに蓄熱することができ、給湯要求時の出湯時間を短縮させることができる。つまり、HP6および給湯機8がいずれも停止中であり、かつタンク10が冷却状態での給湯消費の場合に、給湯温度の立ち上がり時間を短縮することができる。
この処理手順は、上記実施の形態のオフモードにも適用することができる。上記実施の形態のオフモードに適用する場合には、S602での給湯消費時間外であるかの判定に代えて、動作モードが通常モードおよび省エネモードのいずれでもないことを判定すれば良い。動作モードが通常モードおよび省エネモードのいずれかであれば、S601に戻り、通常モードおよび省エネモードのいずれでもなければ、時間TCの経過判定に移行すればよい。
〔他の変形例〕
(1) 上記実施の形態および実施例では動作モードを設定し、この動作モードに基づきHP6および給湯機8の蓄熱制御を切り替えているが、上記変形例に示すように、給湯消費時間を設定し、給湯消費時間かまたは給湯消費時間外かにより蓄熱制御を切り替えるようにしてもよい。また、上記変形例では給湯消費時間を設定し、給湯消費時間かまたは給湯消費時間外かにより蓄熱制御を切り替えるようにしているが、上記実施の形態および実施例に示すように、動作モードを設定し、この動作に基づき蓄熱制御を切り替えるようにしてもよい。
(2) 蓄熱制御は、給湯消費量に応じて切り替えることができれば良く、給湯消費量に関連する他の判定指標を用いて切り替えるようにしてもよい。既述の動作モード、および給湯消費時間に限定されるものではない。リモコン装置48に蓄熱制御を切り替える切替えスイッチを設けて、この切替えスイッチの手動操作により蓄熱制御を切り替えるようにしてもよい。また、タンク制御部38−1が給湯消費の推移に基づく学習機能を備え、給湯消費状況を自己学習して判定指標を生成するようにしてもよい。
(3) 上記実施の形態、実施例および変形例では、給湯ポンプ26−2の回転を契機に給湯機制御部38−3により給湯機8を動作させているが、給湯機制御部38−3に直接給湯機8の動作、停止を指示するようにしてもよい。また、上記実施の形態、実施例および変形例では、HP6の動作、停止を直接指示するようにしているが、HPポンプ26−1の回転を契機にHP制御部38−2によりHP6を動作させるようにしてもよい。
(4) 給湯機8の循環流量について、上記実施の形態および変形例では、給湯機8の動作期間を検出温度によって制御しているが、検出温度によって動作を開始した後、給湯機8の循環流量を水量センサ22−1の検出水量に応じて動作を終了させる制御としてもよい。
(5) 給湯機8の動作時間について、上記実施の形態、実施例および変形例では、給湯機8の動作期間を検出温度によって制御しているが、検出温度によって動作を開始した後、給湯機8の動作時間をプロセッサ40−1のタイマー機能を利用し、中層水の循環時間に応じて動作を終了させる制御としてもよい。
(6) 上記実施の形態、実施例および変形例では、単一のHP6と給湯機8を用いたが、複数の給湯機を併用してもよい。給湯機8には燃焼排気の潜熱を回収する高効率給湯機を用いてもよい。
(7) 上記実施の形態、実施例および変形例のHP6と給湯機8の熱源機に加え、電熱による熱交換器を併用してもよい。
(8) 上記実施の形態、実施例および変形例では、給湯機8にタンク10の中層水を供給するようにしたが、HP6と同様に、タンク10の下層側に備えられる水流出ポートから下層水を供給するようにしてもよい。
(9) 上記実施例では、給湯制御、HP6の蓄熱制御および給湯機8の蓄熱制御をタンク制御部38−1で行うが、これらの制御は、ハイブリッド制御部38の全体で行ってもよく、タンク制御部38−1、HP制御部38−2、給湯機制御部38−3、リモコン制御部38−4のいずれかまたは一部で行ってもよい。上記実施例と同様に、上記変形例では、給湯制御、蓄熱制御および給湯機8の蓄熱制御をハイブリッド制御部38の全体で行ってもよく、タンク制御部38−1、HP制御部38−2、給湯機制御部38−3、リモコン制御部38−4のいずれかまたは一部で行ってもよい。
以上の通り、本発明の技術の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。