[第1の実施形態]
以下に本発明の実施の形態を遊技機たるスロットマシンを例に図面を参照しつつ説明する。なお、図1はスロットマシンの分解斜視図、図2は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの分解斜視図、図3はスロットマシンの斜視図、図4は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの縦断面図、図5は図4のZ1部拡大図、図6はコネクタホルダーを移動させた状態を示す図4のZ1部拡大図、図7は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの横断面図、図8(a)は図7のZ2部拡大図、図8(b)はコネクタホルダーを移動させた状態を示す図7のZ2部拡大図、図9は図8(a)の要部を示す拡大図、図10は背板側を示すスロットマシン要部の横断面図、図11はケース部材の分解斜視図、図12はケース部材を後ろから見た斜視図、図13(a),(b)はコネクタホルダーの仮止め状態を説明するケース部材の要部の斜視図、図14は配線中継部材の分解斜視図、図15は配線中継部材のカバー体を省略した正面図、図16,図17はコネクタホルダーの分解斜視図、図18はケース部材を止めるストッパーの斜視図、図19は他の形態を示すストッパーの斜視図、図20,図21はケース部材のガイド構造を示す要部の断面図、図22は把手の他の形態を示す図柄変動表示装置の部分斜視図、図23はケース部材と外本体側のストッパーとの関係を示す要部の斜視図、図24は配線窓と図柄変動表示装置のリールとの関係を示す要部の断面図、図25はスロットマシン上部の縦断面図、図26はメダル放出装置を省略してスロットマシンの下半部を示す斜視図、図27は図26の分解斜視図、図28はスロットマシンの裏側から放熱口を見た背面図、図29は電源装置を示すスロットマシンの一部断面部分正面図、図30は電源装置を下から見上げた状態を示す斜視図、図31は他の形態を示すもので外本体の側板と電源装置の要部断面図、図32は他の形態を示す照明装置の概略断面図、図33は透明板と発光ユニットを分解して示す扉形前面部材の斜視図、図34は透明板を分解して示す扉形前面部材の斜視図、図35は透明板を装着した扉形前面部材の図33A−A線相当断面図、図36はヒンジ金具の分解・組み立て斜視図、図37はヒンジ金具の連鎖を示す線図、図38は扉形前面部材を示す要部の横断平面図、図39は開く途中の扉形前面部材を示す要部の横断平面図、図40は扉形前面部材の上半部を示す裏側から見た斜視図、図41は連結具を縦方向に切断した断面斜視図、図42は他のヒンジ金具の例を示す扉形前面部材の要部横断平面図、図43は図42の扉形前面部材の開く途中を示す要部の横断平面図、図44は機種ユニットにおいて前面開閉部材を開いた状態を示す斜視図、図45は連結具を連結したまま扉形前面部材を開いた状態を示す斜視図である。
[1.スロットマシン]
本発明のスロットマシン1は、図1及び図2に示すように、前面が開口する箱形の外本体100と、該外本体100の前面に回転軸100aをもって横開きの扉状に回動可能に取り付けた扉形前面部材200と、複数の図柄を駆動手段で変動させる図柄変動表示装置300と、前記外本体100に対し着脱自在であって前面に開口部401を有するケース部材400と、任意の画像を表示する画像表示体500と、を有する。
[2.外本体]
外本体100は、図1〜図4に示したように底板101の左右に側板102,102を取着すると共に該側板102,102の頂部に天板103を設置して正面視縦長「口」字形の枠状となし、その枠の背に背板104を固着して前面のみ開口する箱形に形成してなる。前記左右の側板102,102は前縁が後傾状態に僅かに傾斜する台形になっており、従って外本体100の開口は後傾状態の傾きを有する。また、前記天板103には、遊技機設置島(図示せず)に設置した状態で該遊技機設置島の上桟600(図25想像線参照)と対向する領域内に複数(実施形態では4個)の貫通孔132,132…が穿設されている。
[2−1.外本体−仕切板]
外本体100内には高さのほぼ中央に棚板状の仕切板105が設けられている。該仕切板105は金属製であって、図1,図2に示したように中央に突段部106を有する正面視略凸形であり、両端に形成した垂直な取付片107を外本体100の側板102,102内面に固着し、また、後端に形成した垂直な取付片108を外本体100の背板104内面に固着して取り付けられる。なお、仕切板105の後端の取付片108にはバーリング加工(下孔の孔径をポンチで広げながら短筒状の突起を立ち上げる金属加工)による筒状突起(図示せず)が形成されており、該筒状突起を外本体100の背板104にプレ加工した小孔(図示せず)に打ち込んで位置決めされる。また、仕切板105の両横の最奥部には外本体100の背板104との間に配線用の開口109が形成されている。
[2−1−1.外本体−仕切板−下スペース]
外本体100内の前記仕切板105より下のスペースには、遊技媒体たるメダルを前記扉形前面部材200の前面下部にあるメダル用受皿201に放出するメダル放出装置110と、メダル放出装置110からオーバーフローするメダルを貯めるメダル用補助収納箱111と、電源装置112等が設けられている。
[2−1−1−1.外本体−仕切板−下スペース−メダル放出装置]
前記メダル放出装置110は、駆動手段を内蔵した装置本体110aにメダル貯留用のホッパ110bを取り付けたものであり、装置本体110aの前面にメダルの放出口110cが設けられていて、ホッパ110b内にあるメダルが前記駆動手段の作動により放出口110cに向けて1枚ずつ送り出される。また、ホッパ110bには溢れたメダルを排出させるオーバーフロー樋110dが設けてあり、そのオーバーフロー樋110dの突端下方に前記したメダル用補助収納箱111が臨む。なお、メダル放出装置110のメダル放出機構は、現在公知のどのようなものを採用してもよく、よって詳細な説明を省略する。
[2−1−1−2.外本体−仕切板−下スペース−電源装置]
前記電源装置112は、図26〜図30に示したように、外本体100の底板101と、正面向かって左側の側板102と、背板104の三部材が直交する内側コーナー部分に取り付けられている。電源装置112は、前記メダル放出装置110等の電気部品に電気を供給するためのものであって発熱しやすい部品であり、従って外本体100の背板104には電源装置112の取付部位に放熱口104aが開設されている。
電源装置112の装置ケース112aは、透明な合成樹脂で形成されている。こうすることにより装置ケース112aの内部が見えるから、電源装置112の基板112s(図30参照)等に対する不正工作の発見が容易になる。装置ケース112aは、上面をカバーする上面板112bと、外本体100の背板104に対向する後面板112cと、該後面板112cの反対側をカバーする正面板112dと、スロットマシン1の内部に向かう側をカバーする側面板112eと、上面板112bと側面板112eの境界部分を面取り形態にカバーする斜面板112fと、底部をカバーする底面板112r(図30参照)で形成されている。一方、装置ケース112aの、外本体100の側板102に対向する側の面はカバーされておらず開放状態にあるが、この開放面は外本体100に取り付けた状態で外本体100の側板102によって塞がれる。
なお、外本体100の側板102には図26,図27に示したように凸面部102aを設けて段状のガード部102bを形成し、該ガード部102bの下に装置ケース112aの上面板112bの一側を潜り込ませる仕様になっている。これにより装置ケース112aの一面をカバーしなくてもガード部102bによって装置ケース112aと側板102の継ぎ目が塞がれるから異物の差込みが行えない。図31は前記ガード部102bを溝状にした他の実施形態を示すものであり、この例では装置ケース112aの上面板112bの縁を側板102側に若干突出させてその先をガード部102bの溝に嵌め込むようになっている。
このように電源装置112の装置ケース112aにおいて、外本体100の側板102に当接する側の面をカバー無しの開放構造にして使用時に前記側板102で塞がるようにした場合は、装置ケース112a内への基板112s等の組込みが開放面を使って行い易く、また、装置ケース112aに基板112s等を組み込んだ後の開放面へのカバー付けが不要であるから作業性が向上する。
前記装置ケース112aの上面板112b、側面板112e、斜面板112f、後面板112c、底面板112rには多数の通気孔112g,112g…が形成されていて内部に熱がこもらないようになっている。装置ケース112aは、底部に設けた脚部112h,112h…によって高床式に持ち上げられており、装置ケース112aの底面板112rと外本体100の底板101の間に通気空間112iが形成されている。従って、通気空間112iから底面板112rの通気孔112g,112g…を通って低層の比較的冷たい空気が装置ケース112a内に導入できる。実施形態の通気空間112iは、外本体100の前記放熱口104aに連通するようになっているため、機裏の冷たい空気を通気空間112iに導入することができる。なお、装置ケース112aの後面板112cと底面板112rの境界部に前記通気空間112iを嵩上げする逆L字形の段部112j(図30参照)を形成すれば、脚部112hの高さと放熱口104aの高さにズレがあっても通気空間112iを放熱口104aに連通させることができる。
[2−1−1−2−1.外本体−仕切板−下スペース−電源装置−固定]
電源装置112は、装置ケース112aの正面板112dの一側辺に対して直角である取付片112kと、装置ケース112aの後面板112cから外本体100の背板104に向けて突設した突部112mと、外本体100の背板104に開設した放熱口104aと、の組合せにより外本体100に固定される。
すなわち、放熱口104aの輪郭は装置ケース112aの後面板112cの輪郭より小さく形成されており、従って電源装置112は外本体100の背板104に当たって放熱口104aを通らない。また、装置ケース112aの後面板112cに突設した突部112mは、前記放熱口104aに内接する位置にあり、電源装置112の浮き上がり動作に抗すべく放熱口104aの上辺に内接する水平な突片112m−1と、電源装置112の横転動作に抗すべく放熱口104aの縦辺に内接する垂直な突片112m−2で構成される。従って、電源装置112を外本体100の側板102の内面に沿わせて押し込み、放熱口104aに突部112mを差し込むだけで、装置ケース112aの後面(奥側)の上方向(浮き上がり)と図26において右方向(横転)への固定が完了する。もちろん電源装置112は、下方向に対しては外本体100の底板101によって、また、図26において左方向に対しては外本体100の側板102によってその動きが規制されるため、放熱口104aに突部112mを嵌め込むだけの単純な操作で、手前に引っ張る方向以外について電源装置112の動きが完全に規制できる。
一方、正面板112dに突設した取付片112kにはビス用の透孔112pが複数穿設されており、該透孔112pの少なくとも1個に木ねじ112qを通して外本体100の側板102に固定する。これにより手前に引っ張る方向についても電源装置112の動きが規制されるため、1本の木ねじ112qで外本体100への電源装置112の確実な固定が可能である。
[2−1−1−2−2.外本体−仕切板−下スペース−電源装置−電源コード]
電源装置112には外部から電気の供給を受けるための電源コード(図示せず)が接続されている。そして、従来は前記放熱口104aの横に膨出部を設けてそこから前記電源コードを引き出すようにしていたが、この位置では電源コードを束ねても地面にすれる危険性が高い。スロットマシン1は、製造途中で電源を投入する場合があり、そのときに備えて外本体100の外に電源コードを出しておかなければならないから、製造ライン上での移動の際やライン間での移動の際に電源コードが地面にすれたり、スロットマシン1の底板101の下に入って挟まるおそれがある。
これに対し実施形態の放熱口104aは、その上辺から上に向けてコード引出口104bを拡張し、そこから電源コードを引き出すようにしている。これにより束ねた電源コードを宙づり状態にぶら下げるに十分な高さが確保できる。よってスロットマシン1を製造する工程で誤って電源コードを傷めてしまうトラブルが激減する。
以上のように本発明のスロットマシン1は、電源装置112を外本体100の内側コーナー部分にセットして1本の木ねじ112qをねじ込むだけで取り付けが完了するため、従来に比べて電源装置112の取付作業の大幅な省力化が可能である。また、本発明では、1つの面に対してネジ止めすれば固定が完了するので、特に、固定する部位を電源装置112の前方(手前)に持ってきた場合は視認しやすく、確実に固定できる。ちなみに、従来は電源装置112の複数の面或は部材に対してネジ止めする必要があり、特に、背板104に固定するネジは視認しにくいため忘れる可能性があった。
また、放熱口104aは、電源装置112の冷却手段として必要なものであるから、この放熱口104aを電源装置112の固定に利用しても余分な工程やコストは殆ど発生しない。却って、固定のために放熱口104aの位置と電源装置112の位置を一致させることになるから冷却効率が向上する。加えて、装置ケース112aを実施形態のごとく合成樹脂製にした場合には、取付用の突部112mも一体成形できるため殆どコストが掛からない。よって電源装置112の取り付けに要するトータルのコストも従来に比べて削減できる。
さらにまた、装置ケース112aを合成樹脂製にした場合には、電源装置112の発熱対策として有用な装置ケース112aの脚部112hや段部112jも殆どコストをかけずに実施できるメリットがある。
[2−1−2.外本体−仕切板−上スペース]
一方、外本体100内の仕切板105より上のスペースには前記ケース部材400が納められ、また、外本体100の背板104の内面には後述する配線手段の中核となる配線中継部材113が取り付けられ(図1,図2参照)、さらに背板104には配線中継部材113より上方に放熱用の通気口133が形成されている。
[3.扉形前面部材]
図3に扉形前面部材200の表側が、また、図1に扉形前面部材200の裏側が示されている。扉形前面部材200は、表側の下方にメダル用受皿201を有し、また、表側のほぼ中央に操作部202が設けられている。この操作部202には、メダル投入用の投入口203と、後述するメイン基板409のメモリーにデータとして蓄えられているメダルから1枚のみの投入(引き落と)を指示する1枚投入ボタン205と、同じく1回のゲームで使用可能な最高枚数(例えば3枚)の投入を指示するMAX投入ボタン206と、後述するメダルセレクタ207の中に詰まったメダルをメダル用受皿201に戻すためのメダル返却ボタン208と、メイン基板409のメモリーにデータとして蓄えられているメダルの貯留解除命令(精算による放出命令)を入力するための貯留解除スイッチ209と、前記図柄変動表示装置300を作動させる始動レバー210と、図柄変動表示装置300の各リール301a,301b,301cを停止させる3個のリール停止ボタン211a,211b,211c等が設けられている。もちろんここに示した操作部202の構成は1つの例示であり、これらに限定されるものではない。なお、始動レバー210は解決手段に記載の始動操作部に相当する。また、3個のリール停止ボタン211a,211b,211cは解決手段に記載の複数の停止操作部に相当する。
また、前記投入口203の裏側にはメダルセレクタ207が設けられており、そのメダルセレクタ207の横にメダル樋212が、また、下に返却樋213が接続している。メダルセレクタ207は内蔵したソレノイド(図示せず)をON・OFFさせることによって流路を切り替える公知のものであり、遊技者からのメダルの投入を待つ遊技状態のときには流路をメダル樋212側に、また、規定枚数を超えたメダルの投入など、メダルの投入を拒否する遊技状態のときには流路を返却樋213側に設定する。前記メダル樋212は、扉形前面部材200が外本体100の前面に被さる閉じ位置にあるときその突端がメダル放出装置110のホッパ110b内に臨むようになっており、投入口203からメダルセレクタ207を通ってメダル樋212に流れたメダルはホッパ110bに行き着く。一方、前記返却樋213は表側のメダル用受皿201に繋がっており、投入口203からメダルセレクタ207を通って返却樋213に流れたメダルはメダル用受皿201に戻る。
[3−1.扉形前面部材−透視窓]
扉形前面部材200は、外本体100の前面全体をカバーする大きさであって、その上半部は、図33,図34に示したように、透明板214aで覆ったゲーム用の透視窓214になっている。実施形態の透視窓214並びに透明板214aは、前記画像表示体500と図柄変動表示装置300が上下に並んで見えるよう通常より大きくなっており、扉形前面部材200と一体の額フレーム216によって画像表示体500と図柄変動表示装置300の領域が視覚上、上下に区画されている。このように一枚の透明板214aを、画像表示体500と図柄変動表示装置300の双方をカバーする大きさに設定しておけば、画像表示体500と図柄変動表示装置300の配置が上下入れ替わっても、そのまま使用することができる。
[3−1−1.扉形前面部材−透視窓−透明板]
透明板214aは、透明な合成樹脂(例えば耐衝撃性、耐擦傷性、光学特性に優れたゴム入りのメタクリル樹脂、実施形態では三菱レイヨン株式会社製「アクリペット(登録商標)IR D30」を使用)をほぼ逆さ台形にした上広がりの形態であって、底辺を除く三辺(左右側辺と上辺)の周縁に、遊技者と向かい合う側を前面としてその前面側に膨出する縁部材214b,214b,214bを、樹脂成型用型枠を用いての樹脂成型時に一体成型してなる。このように平らな板状の透明板214aの周縁に縁部材214bを一体に成型した場合には、縁部材214bが補強バーになって透明板214a全体の強度を高めるため、透明板214aが上記のように画像表示体500と図柄変動表示装置300の双方をカバーする程度に大きくても撓みや歪みが生じにくい。
前記縁部材214bは、図35に示したように、後面側に開口する殻構造(中実でなく、内部に空間がある殻のような構造であり、各部の肉厚は任意である。)になっており、その内部空間に発光ユニット217と、必要に応じて例えば表面に模様や文字を施した装飾部材(図示せず)が組み込まれる。
なお、図34では、発光ユニット217が扉形前面部材200に取り付けられているように描かれているが、実際の発光ユニット217は、図35に示したように縁部材214bの中に嵌め込まれている。従って、透明板214aと発光ユニット217は、一体の部品として取り扱われる。
縁部材214bの形状は図示したものに限定されず、発光ユニット217や装飾部材のデザインに合わせて任意に変更可能である。また、縁部材214bを設ける部位も実施形態のように透明板214aの周縁の三辺に限定されず、最低限、何れかの一辺に設けるだけでもよい。
その他、図33,図34において符号218は、透明板214aの上の左右コーナー部分に設けた固定部材であって、透明板214aの裏側から透孔214c(図33拡大図参照)に通したビス(図示せず)により、縁部材214bと縁部材214bの間に嵌った図34の状態で止められている。該固定部材218は、外見上コーナー飾りとしての役割を果たす一方、扉形前面部材200と透明板214aの夫々の上のコーナー部分に設けた通孔200a,214d(図33拡大図参照)に対し扉形前面部材200の裏側から通したビス(図示せず)に螺合し、もって透明板214aを扉形前面部材200に固定するナット的な役割を果たす。
また、図33〜図35において、符号217aは発光ユニット217の発光体、217bは発光体217aを支持する反射部材である。左右に位置する発光ユニット217の反射部材217bは、図35に示したように、棒状の発光体217aの光をスロットマシン1の周囲に向けて多く反射するように角度が設定されている。なお、透明板214aの縁部材214bの内部に発光ユニット217を組み込んだ形態は、発光体217aをスロットマシン1の、より手前側に配置することができるから、あたかも岬の突端にある灯台のごとく、光を周囲に向けて放射させる場合に有利である。また、上に位置する発光ユニット217の反射部材217bは、発光体217a(光源217a−1と導光板217a−2の組合せ)の光をスロットマシン1の上方に向けて多く反射するように設定されている。
以上の構成である発光ユニット217は、遊技中、特に大当りが出た場合などに点灯して大当りの発生を周囲にアピールする演出を行うことができる。このように周囲に対しアピール度の高い演出を行うことによって、大当りを得た遊技者に注目させることができ、多くの者の視線が遊技者に優越感を抱かせるから、遊技がさらに盛り上がる。また、大当りが出ていることを周囲にアピールすることにより、その機種の人気が高まり、稼働率が向上することも期待される。
実施形態の透明板214aは以上のような構成であって、扉形前面部材200の裏側に設けた凹溝219(図34拡大図参照)に対し、板状の底辺を扉形前面部材200の前面から斜めに差し入れて建具式に嵌め込み、その状態で透明板214aを直立させて扉形前面部材200の前面に全ての縁部材214b,214b,214bを当接させ、さらに扉形前面部材200の裏から通したビス603(図1参照)によって固定する。図35は、このときの扉形前面部材200の要部を切断したものであり、この図35から明らかなように、もし仮に、遊技者が扉形前面部材200と縁部材214bの境から異物を無理矢理差し込んだとしても、その異物の先が縁部材214bの内部を横断して透明板214aの裏側に到達する余地は殆どない。従って、優れた防犯効果を発揮する。
[3−2.扉形前面部材−錠装置]
扉形前面部材200の自由端側の一側には専用キー(図示せず)を使って開閉操作する錠装置215が設けてある。
[4.図柄変動表示装置]
図柄変動表示装置300はリール回転式表示装置であって、モータ等の駆動手段303で個別に回転可能な例えば3個のリール301a,301b,301cと、該リール301a,301b,301cを組込み・収容する装置ケース302とを有し、リール301a,301b,301cの周面に描いた複数の図柄(図示せず)の組合せで遊技を行う周知のものである。
前記装置ケース302は、あたかも横倒しにした八角柱から正面(遊技者)に向かう3面を除いた変形六角柱形態であって、底部板304と、天板部305と、図11において向かって右側の右側板306と、同じく左側の左側板307と、後面を覆う垂直な後部板308と、天板部305と後部板308の間に設けた上斜板309と、底部板304と後部板308の間に設けた下斜板310で囲った箱形であり、前記リール301a,301b,301cの円弧の一部が装置ケース302の正面からはみ出す状態になっている。
また、装置ケース302の天板部305には指掛可能な使用状態と、天板部305に伏した不使用状態とに変化可能な把手311が設けられており、該把手311に指を掛けて持ち運ぶようになっている。
このように装置ケース302の天板部305に上記のごとく変化可能な把手311を設ける構成は、ケース部材400の強度アップ策と密接に関連する。すなわち、実施形態では後述するようにケース部材400の開口部401に補強桟402を設け、もってケース部材400の開口部401に画像表示体500を片持ちさせるに十分な強度を付与しているが、そのような補強桟402は開口部401を横切るから装置ケース302のケース部材400への出し入れに対し、明らかに障害となる。これに対し実施形態のように把手311を変化可能にして天板部305に伏させておけば、把手311の出っ張りがなくなるから、装置ケース302が補強桟402の下を難なく通過できるのである。従って、装置ケース302の天板部305に上記のように変化可能な把手311を設けてこそ、ケース部材400の開口部401に該開口部401を横切る向きの補強桟402を設けることが可能になる。ちなみに、従来の装置ケースは、天部板から把手が出っ張っていてそれが障害になるため、ケース部材の開口部に補強桟を設ける余地がない。
なお、実施形態の把手311は、立てた使用状態と伏した不使用状態とに揺動して変化させる構造としたが、把手311を使用状態と不使用状態とに変化させ得る構造は、実施形態に限定されない。例えば図22に示したように、天板部305に2つのベルト通し314,314を切り起こし、該ベルト通し314,314に例えば合成樹脂や革製であって両端に抜け止め部315,315を設けてなる帯状の把手311を挿通し、図22の伏した不使用状態から中央を引き上げて指掛可能な使用状態に変化させる構造にするなど、指掛可能な使用状態と、天板部305に伏した不使用状態とに変化可能であれば、どのような構造であってもよい。
また、実施形態の装置ケース302の底部板304には図4,図11に示したようにフランジ状の下把手316が突設されており、該下把手316をつかんで装置ケース302を押し込み又は引っ張ることにより、ケース部材400への出し入れが行い易くなっている。
[5.ケース部材]
ケース部材400は、前記外本体100の仕切板105から上のスペースにほぼ合致する大きさであって、底板403と、該底板403の左右両横に立設した側板404,404と、底板403の後縁に立設した後面板405と、該後面板405と前記側板404,404の上面を覆う天板406とからなり、前面に開口部401を有する箱形である。
該ケース部材400は、底板403が金属製で、側板404,404、後面板405、天板406が合成樹脂製であり、側板404,404と天板406の開口部401内面に金属製の補強部材407,407,407が設けられ、さらに側板404,404の補強部材407,407の間に開口部401を横切る金属製の補強桟402が掛け渡されている。そして、この補強桟402を境にそれより下が前記図柄変動表示装置300の設置領域として、また、補強桟402より上の開口部401が前記画像表示体500の設置領域として、さらにまた、画像表示体500より後方のケース部材400で囲われた領域が配線作業空間408として割り当てられ、その配線作業空間408の後面板405の内壁面に、主たる制御基板であるメイン基板409が装着され、さらにメイン基板409以外の制御基板等(例えば演出制御基板510(図44参))も配線作業空間408内に装着されている。
ケース部材400の天板406には、図1に示したように天窓部443,443が形成されている。この天窓部443,443は、天板406の強度を保つための補強帯444を挟んで2つに分けられており、その夫々が前記外本体100の貫通孔132,132…を通る軸線との交点を含む領域にあり、該貫通孔132,132…より十分に広く開口している。もっとも天窓部443の前側の周縁は前側に位置する貫通孔132の近くに寄せられている。そうすることにより天窓部443の周縁を基準として手探りで貫通孔132が見つけ出せるから、たとえ天窓部443の中を作業者が覗き込めなくとも貫通孔132の位置が素早く簡単に割り出せる。ここで、天窓部443が本発明の開口部としても機能している。つまり、ケース部材400の上面に開口部として複数の天窓部443を備えることにより、軽量化を図ることができ、輸送時や交換時における作業者の負担を一層軽減することが可能になる。
ケース部材400の後面板405の外面には図2,図5,図6,図12に示したように複数のボス410,410が突設されており、該ボス410を外本体100の背板104にプレ加工したボス孔114,114に嵌めて位置決めされる。なお、このボス410,410は、図2,図5に示したように後述する配線窓411近くに設けられており、一方、外本体100側のボス孔114,114は前記配線中継部材113近くに設けられており、これによりケース部材400の配線窓411と背板104の配線中継部材113の位置決めが正確になる。
一方、ケース部材400の底板403の底面には、図2に示したように凹段部412が形成されており、該凹段部412が前記仕切板105の突段部106に嵌まり合う。凹段部412の後面板405側の端部には後方に向かって拡大する向きのテーパ部413が設けてあり、該テーパ部413に案内され仕切板105の突段部106とケース部材400の凹段部412との嵌め合わせが円滑に行える。このようにケース部材400の凹段部412と仕切板105の突段部106の嵌め合いによってケース部材400が仕切板105の奥に真っ直ぐに案内されるが、例えば図20に示したように仕切板105に凹溝形態のレール部材115を敷設又は一体にプレス成形し、一方、ケース部材400の底板403に車輪414を設置し、該車輪414をレール部材115の溝内で転がらせるようにしてもよい。或は、図21に示したように仕切板105に凸形態のレール部材116を敷設又は一体にプレス成形し、一方、ケース部材400の前記車輪414の両端に鍔415,415を形成し、該車輪414の鍔415,415でレール部材116を挟ませるようにしてもよい。
また、ケース部材400は、仕切板105上の所定の位置にセットした状態で、図1,図2,図18,図23に示した揺動レバー形態のストッパー117で止められている。このストッパー117は、図1,図2に示したように仕切板105の前端部と、天板103に垂設した2つの取付具118,118とに軸着されており、図18実線のようにケース部材400の一部に係合する作動姿勢と、図18想像線のようにケース部材400に係合しない非作動姿勢とを手動で切り替えてケース部材400の仕切板105上における前方向の動きを規制する。なお、ストッパー117を図19に示したように鍵形にしてケース部材400に設けた引掛部416に係合させるようにすれば、ケース部材400の仕切板105上における上方向の動きも規制することができる。
また、天板103の取付具118に軸着したストッパー117は、図23に示したようにケース部材400の側板404と天板406のコーナー部に貫設した係止孔442に臨む位置にあり、ケース部材400を所定の位置に押し込んだ状態でケース部材400の内側から作動姿勢と非作動姿勢の切り替えが行えるようになっている。
また、ケース部材400の後面板405には外本体100の背板104側に貫通する長孔形態の配線窓411が開設されている。該配線窓411は、図4,図5,図24に示したようにケース部材400に設置した図柄変動表示装置300の装置ケース302の上斜板309に対応し且つ前記メイン基板409の下側の位置にあり、上斜板309の上にある横長の空きスペース417(或は上斜板309とメイン基板409の間に形成される横長の三角スペース417と観念してもよい。)と背板104を結ぶ開口として機能する。
また、ケース部材400には図5,図12に示したように空きスペース417の高さのほぼ中間位置に棚板状の仮止め部材418(以下「仮止め棚」ともいう。)が設けられており、また、後面板405の外側であって配線窓411の両横にケース部材400の左右側面に抜ける配線通路たる凹み419,419が形成されている。
なお、前記配線窓411の配置を、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cを基準に特定するならば、配線窓411は、図24に示したように図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの回転中心を通る水平面HLと、リール301a,301b,301cの最高高さ位置を通る水平面HHとの間の範囲を下限とする状態、つまりその範囲内に下辺を置く高さに配置したものである、と言い換えることもできる。
[6.画像表示体]
画像表示体500は、例えば、少なくとも液晶ディスプレイ(他にもプラズマディスプレイや有機ELディスプレイ等でもよい。)で構成される画像表示可能なパネル形のユニットであり、ケース部材400の前面開口を開閉可能に閉鎖する前面開閉部材90(図44参照)としても機能している。なお、画像表示体500は、図11においてケース部材400の左側の側板404に設けた補強部材407にヒンジ金具420を取り付けて(取付位置は図11斜線部参照)、該ヒンジ金具420により回動自在に支持されている。
また、図44に示すように、画像表示体500の裏面側には、演出制御基板510が組付けられている。このため、液晶ディスプレイ等の画像表示体500と演出制御基板510とを一体的に構成することが可能になり、取扱いが容易になるとともに、両者を繋ぐ配線が省略でき、ケース部材400内における配線作業空間408の煩雑さを抑制できる。また、画像表示体500が開かれると、演出制御基板510がケース部材400内から飛び出すように出現するため、演出制御基板510に対する作業性を著しく向上させることができる。
[6−1.画像表示体−ヒンジ金具]
図36は、ヒンジ金具420の分解・組み立て斜視図である。なお、ヒンジ金具420は、上下が対称な構造であるため、主として上部について説明する。ヒンジ金具420は、前記ケース部材400の補強部材407に取り付く固定部材420aと、画像表示体500の裏側(図36の破線領域500s参照)に取り付く回動部材420bと、該回動部材420bと固定部材420aを連結する短リンク420c及び長リンク420dで構成される。
ヒンジ金具420の固定部材420aは、棚板形態である横向きの固定片420eを有し、該固定片420eの上面に長リンク420dの一端をピンP1で、また、固定片420eの下面に短リンク420cの一端をピンP2で回動自在に軸着する。一方、ヒンジ金具420の回動部材420bは、棚板形態である横向きの軸承片420fを有し、該軸承片420fの上面に長リンク420dの一端をピンP3で、また、軸承片420fの下面に短リンク420cの一端をピンP4で回動自在に軸着する。
こうして固定片420eと軸承片420fと長リンク420dと短リンク420c及びピンP1〜P4は、図37の線図に示したように四節回転連鎖を構成し、その連鎖の中でも特に、最短リンクである軸承片420fに向かい合う固定片420eを固定リンクとする、いわゆる両てこ機構を構成する。この両てこ機構は、図37(a)〜(c)に示したように、画像表示体500の回動軌道を、扉形前面部材200の回転軸100aを中心とする回動軌道に近似させるべく、それぞれのピン位置が設定されている。つまり、ヒンジ金具420が回転中心移動機構として機能しており、扉形前面部材200の回動位置が変化しても、扉形前面部材200の回動外縁側と画像表示体500の回動外縁側との距離が略一定になるようにしている。
なお、長リンク420dと短リンク420cは、画像表示体500がほぼ90度回動した(開いた)状態で上下に重なり合うように重合領域420g,420hが設定されており(例えば長リンク420dの重合領域420gを三角形に膨出させて短リンク420cの重合領域420hに重なるようにする。)、その重合領域420g,420hの夫々にピン孔420i,420jが形成されている。このピン孔420i,420jは、両者を同軸上に揃えて棒状の止めピン(図示せず)を差し込むことにより長リンク420dと短リンク420cを連結し、もって両てこ機構をロックして画像表示体500を開いた位置に固定するためのものである。
[6−2.画像表示体−ロック片]
図11,図12に示したように、ケース部材400の縦の補強部材407のうち前記ヒンジ金具420を設けた補強部材407の反対側の補強部材407(図11において向かって右側)にはロック片421が軸着されており、該ロック片421を図11の状態から時計回りに回動させるとその先端が画像表示体500の裏側に突設した受部508に係合し、この状態で画像表示体500がケース部材400の開口部401の上部を閉じた位置にロックされる。一方、前記ロック片421をロック状態から逆向きに回動させると画像表示体500のロックが解除され、ヒンジ金具420を中心に回動自在になる。通常、ケース部材400を外本体100に装着する前の状態では画像表示体500を閉じ位置にロックして無用な回動を防止し、一方、ケース部材400を外本体100に装着した状態では画像表示体500のロックを解除して回動自在とする。
[6−3.画像表示体−連結具]
ところで、外本体100の扉形前面部材200とは別に、ケース部材400に開閉可能な画像表示体500が設けられることから、ケース部材400内を視認したりケース部材400内で作業したりする場合には、まず手前側の扉形前面部材200を開放し、その後さらに奥側の画像表示体500を開放しなければならず、これにより作業性を低下させたり煩わしさを与えることが懸念される。
そこで、本例のスロットマシン1では、画像表示体500の回動方向を扉形前面部材200の回動方向と同方向にするとともに、扉形前面部材200と画像表示体500を適宜な連結具700で連結し、扉形前面部材200の開閉に連動して画像表示体500も一緒に開閉させるようにしてある。これによれば、扉形前面部材200を開放させると、連結具700を介して画像表示体500も同方向に回動し、ケース部材400の前面が開放される。つまり、画像表示体500が扉形前面部材200に連れ回ることとなり、一回の横開き操作によって外本体100内は勿論、ケース部材400の内部までも視認させることが可能になる。
ここで、前記のように実施形態の扉形前面部材200と画像表示体500とは、ヒンジ金具420の両てこ機構によって、画像表示体500の回動軌跡が扉形前面部材200の回転軸100aを回転中心とする回動軌跡に近似するようになっているものの、それでもなお両者の動きには相対的なずれが生じる。そこで、実施形態の連結具700は、図40及び図41に示したように、画像表示体500の自由端側の裏面に固定鞘部材701を形成し、該固定鞘部材701の内部に摺動自在な状態にロッド702を納め、そのロッド702の先端を扉形前面部材200の裏面(具体的には錠装置215のベース部材215a)に対し、止め軸703で回転可能な状態に連結してある。こうすることにより、図39のように、扉形前面部材200の開閉に連動して画像表示体500が扉形前面部材200の付属部品であるかのごとく一緒に開閉し、その際生じる両者の動きの相対的なずれを連結具700のロッド702が固定鞘部材701に出入りして吸収する。
なお、ロッド702が画像表示体500の回動外縁(自由端)から最も突出したときの最大突出長さは、画像表示体500が開放位置である場合(例えば90°開放された場合)の、扉形前面部材200の回動外縁(止め軸703の位置)と画像表示体500の回動外縁との距離に基づいて設定されている。このため、ロッド702の長さを必要最小限の長さとすることができ、連結具の大型化を抑制することが可能になる。
また、前記止め軸703は、錠装置215のベース部材215aの一部を曲げて形成した支持片215b,215b,215bに対し、上下動自在に装着されており、スプリング703aにより常時下向きに付勢されている。よって、この止め軸703は、スプリング703aの付勢に抗して上動させることが可能であり、上動させて下端を浮かせることによって前記連結具700のロッド702の着脱が可能である。すなわち、ロッド702の先端部分に形成された軸孔部702aに対し上方から止め軸703を挿入させ、スプリング703aの付勢力によって保持することが可能になっている。
また、図40において、符号704は連結具700の固定鞘部材701の上面に設けた弾性的な片持ち梁式のストッパーであって、前記止め軸703から外したロッド702を固定鞘部材701の内部に納めて保持するためのものであり、ロッド702の上面に形成した溝705の端部の引掛壁702bに係合してロッド702の盲動を防止する。ロッド702には、その側面に摺動方向と直交する方向に摘み片706が突設されており、該摘み片706を摘んでロッド702を強制的に移動させることにより前記ストッパー704のロックが外れるようになっている。また、固定鞘部材701の先端側底面には、抜止め防止片701aが垂下され、ロッド702の溝705内に挿入されている。この抜止め防止片701aは、ロッド702が最も突出した際に引掛壁702bと当接し、ロッド702が固定鞘部材701から抜け出ることを阻止するものである。
また、図40において、連結具700の近傍にある符号509は、画像表示体500の回動外縁側の裏面に突設した係合部である。該係合部509は、ケース部材400の開口部401を横切る補強桟402に係合して、閉じ位置にある画像表示体500の自由端側の荷重を支えるものである。なお、図11に示したように、補強桟402には、前記係合部509を補強桟402の上面に円滑に導くべく、画像表示体500に向かって下り傾斜する滑り台式の案内部402aが設けてある。また、画像表示体500の係合部509は、画像表示体500とは別の潤滑性に優れた合成樹脂で形成されており、画像表示体500に対し着脱自在(交換自在)に装着されている。
ところで、扉形前面部材200と画像表示体500の回動軌跡の相違に起因する動きの相対的なずれは、上記のような伸縮自在なロッド形式の連結具700の他、柔軟なワイヤーにしても吸収することができる。ただし、連結具が柔軟なワイヤー等であると、扉形前面部材200を閉じる段階で扉形前面部材200が開いたまま停止している画像表示体500にぶつかることになって、円滑さを損なうおそれがある。これに対し、例えば画像表示体500に巻バネなどの付勢手段を設けて常時閉じ方向に付勢するようにすればよい。そうすることにより扉形前面部材200の閉じ動作に際し、画像表示体500が上記付勢力の作用で連結具を引っ張りつつ自力で閉じるから、扉形前面部材200と画像表示体500がぶつからない。もちろん扉形前面部材200と画像表示体500の連れ回りのための手段は上記に限定されない。例えば、上記において連れ回りのための一要素たるヒンジ金具420は、上記のような両てこ機構の構造に限定されず、図41,図42に示したような、単独のピン420kを中心にして画像表示体500を回動させる単純なものであってもよい。
ケース部材400に対する画像表示体500の取着手段をヒンジ構造にして該画像表示体500を扉状に回動させ得る構成に、上記のように画像表示体500を閉じ位置にロックするロック手段(上記のロック片421)を付加した場合には、ケース部材400を外本体100に装着した状態で原則ロックを継続させ、配線作業空間408内のチェック等、必要な時にのみロックを解除する、という取扱いを選択することも可能であり、その場合には画像表示体500によって配線作業空間408内の重要部品(例えばメイン基板409や演出制御基板510)がブロックできるから、防犯性能の向上に効果がある。
ケース部材400の開口部401上縁と閉じた画像表示体500の上縁との前後間には隙間10が設けられており、該隙間10に通した指で天板406の前記補強部材407が掴めるようになっている。また、ケース部材400の天板406の前方中央部分(天窓部443,443の間の補強帯444)には把手口422が形成されており、該把手口422に通した指で天板406の補強部材407が掴めるようになっている。従ってケース部材400は、取り扱う場所や姿勢に応じて該把手口422と前記隙間10との適宜な使い分けが可能である。例えば、ケース部材400を外本体100に組み込む前の搬送時には把手口422を使って鞄形態に持ち運ぶ方がバランスがよく、一方、ケース部材400を外本体100に装着した状態では、図4に示したように把手口422が外本体100の奥に隠れて指が入らないため、前記隙間10から補強部材407に指を掛けてケース部材400を引っ張り出す、という具合である。なお、ケース部材400の底板403の正面中央には前記した装置ケース302の下把手316(図4,図11参照)が突出しており、該下把手316を持って押し込み又は引っ張ることで外本体100へのケース部材400の出し入れが容易に行える。この場合の下把手316は、装置ケース302がケース部材400にビスで固着されていることよりケース部材400と一体であり、従ってケース部材400の底板403の正面に下把手316が突設されているに等しい。
[6−4.画像表示体−枠部材]
画像表示体500は、ケース部材400の開口部401の前記補強桟402から上の領域のほぼ全部を覆う大きさである。また、画像表示体500の下側には、ケース部材400の開口部401の前記補強桟402から下の領域、つまり図柄変動表示装置300の前方領域を額縁状に囲う枠部材501が一体に垂設されており、該枠部材501により前記図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cが縁取られる。この枠部材501の表面は装飾面になっており、適宜な模様等が描かれている。なお、図示しないが、枠部材501にはLED等の発光源と、その発光源を制御する発光制御基板と、発光源の前方に配置され光を透過可能な装飾部材とから構成された電飾部が設けられている。ここで、画像表示体500と枠部材501とを組み合わせたものを、以下、前面開閉部材90(図44参照)として説明する。
[6−4−1.画像表示体−枠部材−照明装置]
前記枠部材501の裏側上下には照明装置502が設けられており、該照明装置502によって図柄変動表示装置300の図柄が明るく照らされる。枠部材501は画像表示体500の下に垂設されていて図柄変動表示装置300に近いから、そのような枠部材501に照明装置502を組み込むことで光源を図柄変動表示装置300に近づけることができる。従って枠部材501に照明装置502を組み込む手段は、従来の照明装置に比べて低光量でも十分な明るさが確保できる、という特徴がある。
実施形態として例示した照明装置502は、図4に示したように、図の紙面と直交する方向(スロットマシン1の幅方向であってリール301a…の回転軸と同方向)に細長い帯状の基板503に多数の発光ダイオード(以下LEDという。)504を並べたものであり、下側の照明装置502は、上面を例えば乳白色の透光性蓋板505で塞いだチューブ枠506の中にLED504を上向きにして配置し、一方、上側の照明装置502は、断面上向きコ字状の例えば乳白色である透光性カバー507内にLED504を下向きにして配置してなる。
なお、上側の照明装置502は、照明方向を図4に示したように真下より遊技者側、すなわち透明板214a側に向かう斜め下向きに設置してある。実施形態では比較的強い指向性を持ったLED504の主たる照射領域の中心線L(図4拡大図参照)を透明板214aに対し斜めに向かわせるべく、基板503のLED取付面の向きが、前記透明板214a側に向けて斜め下向きに傾けられている。
また、もし照明装置502の光源として蛍光灯のような棒状発光体を採用した場合には、図4の基板503を板状又は光源を包むような凹面状の反射部材に変更し、直射光と反射光の総和により方向付けられる主たる照射領域の中心線が、透明板214a側の裏面に斜めに当たるように設定すればよい。以上のように照明装置502の照射照準を透明板214aに設定すれば、漏れた一部の光がリール301a,301b,301cの外周面を照らしても殆ど影響はない。
実験によれば、照明装置502の照明方向をリール301a,301b,301cの周面側に向けた場合には、湾曲するリール301a,301b,301cの特定部分が強く反射して見辛くなるのに対し、上記のように主たる照射領域の中心線Lを透明板214aに対し斜めに向かわせた場合には、透明板214aを介してリール外周面が照らされることにより、リール301a,301b,301cの広い範囲が明るく見え易くなることが確認できた。その理由として、照明装置502から照射した光が扉形前面部材200の透視窓214に嵌めた透明板214aに当たって反射し全体に拡散するか、或は透明板214aが明るく照らされることでリール301a,301b,301cの広い範囲が明るく見えるか、或はそれらの相乗作用によるものと推測される。
以上のような上側の照明装置502の構造は、下側の照明装置502にも採用することができ、もちろん図32に示したように下側の照明装置502にのみ採用することもできる。なお、図32は図4の上側の照明装置502を下側に配置し、下側の照明装置502を上側に配置したものであるため、上記照明装置502の説明の「上」を「下」に読み替え、「下」を「上」に読み替えればよい。
ところで照明装置502の光源として実施形態のようにLEDを採用した場合には、(a)低電圧で駆動するため約200Vの高電圧で駆動する従来の冷陰極管より安全性が高い、(b)冷陰極管より寿命が長い、(c)ガラス管である冷陰極管より丈夫である、(d)多色発光が可能であるため演出の幅を広げることができる、(e)インバータと組み合わせて使用する冷陰極管より軽く、従って画像表示体500を支えるヒンジ金具420の負担が少ない、というメリットがある。
[7.配線手段]
前記外本体100に取り付けられている例えばメダル放出装置110や電源装置112及び扉形前面部材200の操作部202にある例えば各投入ボタン205,206や始動レバー210(以下、これらの総称として単に「本体側電気部品」という場合もある。)と、ケース部材400にある例えばメイン基板409等(ケース部材側の電気部品の総称として単に「ケース部材側電気部品」という場合もある。)とは電気的に接続されている。そして、実施形態のスロットマシン1は、前面開閉部材90とケース部材400とからなる機種ユニット50(図44及び図45参照)が外本体100に対し着脱自在であるため、機種ユニット50の交換等に際して本体側電気部品(筐体側電気部品)とケース部材側電気部品とを簡単に接続又は切り離すための合理的な配線手段が設けられている。
[7−1.配線手段−配線中継部材]
前記のように外本体100の背板104の内面上部には、図14に示した配線中継部材113が取り付けられている。該配線中継部材113は図4,図5に示したように、前記ケース部材400の配線窓411に対応する位置にあって該配線窓411からケース部材400の空きスペース417に臨むようになっている。配線中継部材113は、前記本体側電気部品につながる本体側配線類119と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類423とを中継するものであって、外本体100の背板104にビス止めされる取付板120と、該取付板120の前面に被さるカバー体121と、該カバー体121と前記取付板120の間に納められる複数(実施形態では大小2枚)のコネクタ基板(以下「コネクタ接続用端子基板」という場合もある。)122,123とからなる。
前記2枚のコネクタ基板122,123のうち、図14,図15において左側に位置する大きい方のコネクタ基板122は取付板120に対して固定的に取り付けられており、前記メイン基板409につながっているハーネス424の先端のコネクタ425と対をなすコネクタ124が設けられている。
一方、図14,図15において右側に位置する小さい方のコネクタ基板123は、取付板120とカバー体121の間の隙間に非固定的な遊動可能状態に取り付けられており、従って図15拡大図に示したように上下方向に移動可能であり、また、左右方向にも移動し得る。この小さいコネクタ基板123には、メイン基板409以外のケース部材側電気部品につながっているハーネス426の先端のコネクタ427と対をなすコネクタ125が設けられている。なお、該コネクタ125と前記コネクタ124は、プリント基板にハンダ付け等の固着手段で固着する基板固着型であり、安価なDIN規格のものが使われている。
また、取付板120の前面に被さるカバー体121は、前記コネクタ124,125が通る大小2つの開口126,127と、該開口126,127と横並びの位置に突設した支持筒128と、下半部前方に張り出すトンネル状の配線ダクト129と、を有する。
配線中継部材113に接続する本体側配線類119は、前記配線ダクト129の内部を通るか、又は配線中継部材113の取付板120の下側前面に突設したフック形状の配線止め130に束ねられた状態で、図1一点鎖線Lに示したように外本体100の側板102,102側に振り分けられ、該側板102,102と背板104のコーナー付近でほぼ垂直に向きを変え、その多くは仕切板105の奥に設けた配線用の開口109を通って本体側電気部品に夫々接続される。もちろん仕切板105より上の領域に本体側電気部品(例えば図1において側板102の内面に設けた外部中継端子板131)がある場合には、仕切板105の配線用の開口109とは無関係にそのまま接続される。
ここまでで説明した配線手段から、次のような技術的思想が把握できる。
(a)ケース部材400の後面板405に、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの回転中心を通る水平面とリール301a,301b,301cの最高高さ位置を通る水平面との間に自己の下辺が位置する高さにして配線窓411を形成する。
(b)外本体100の背板104に、本体側電気部品につながる本体側配線類119と、ケース部材側電気部品につながるケース側配線類423とを中継する配線中継部材113を設置する。
(c)外本体100の側板102,102の内面沿いに配線を通す上下方向の配線経路を形成する。
(d)配線中継部材113につながる本体側配線類119をケース部材400の側方に導き、そこから前記配線経路を通って本体側電気部品に接続する。
以上(a)〜(d)の構成要素を備えた遊技機は、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの後ろを本体側配線類119が通らず、外本体100の側板102,102沿い(背板104とのコーナーを含む(図10参照)。)に設けた配線経路を迂回するため、リール301a,301b,301cを外本体100の背板104近くにまで寄せることが可能になり、従来の構成、すなわち、本体側配線類119が背板104のほぼ中央を下ってリール301a,301b,301cの後ろを通っていた従来の構成に比べて、リール301a,301b,301cの径を大きくすることができる。なお、リール301a,301b,301cの径は大きい方が、回転時の迫力が増す。
[7−2.配線手段−コネクタ425,427]
上記のように配線中継部材113に設けられている2つのコネクタ124,125には、ケース部材400のメイン基板409につながっているハーネス424の先のコネクタ425と、メイン基板409以外のケース部材側電気部品につながっているハーネス426の先のコネクタ427がそれぞれ接続されている。
この2つのコネクタ425,427は、図16に示したように1つのコネクタホルダー428に一体に取り付けられている。該コネクタホルダー428は、コネクタ425,427がビス止めされるホルダー主体429と、ほぼ中央に透孔430を有し前記ホルダー主体429の両横に突設した板状の取着片431と、該取着片431の透孔430に装着した周知のボタン形パネルファスナー432(商品名「ナイラッチ」:登録商標)と、からなり、図5,図8(a)に示したように配線中継部材113の前記支持筒128の先に取着片431を当て、該取着片431のボタン形パネルファスナー432を支持筒128に差し込んでロックしてある。従ってコネクタホルダー428が固定手段たる支持筒128に固定され、ひいては配線中継部材113に固定されるため、コネクタ425,427とコネクタ124,125の結合が外れない。
[7−2−1.配線中継基板−コネクタ425,427−仮止め棚]
上記のようにコネクタ425,427は配線中継部材113のコネクタ124,125に接続されているが、ケース部材400が外本体100に組み込まれる前、つまり工場出荷から設置完了までの間、コネクタ425,427は、ケース部材400に設けた仮止め棚418に仮止めされている。
前記仮止め棚418は、図5,図6,図12,図13に示したようにケース部材400の内側から前記配線窓411に向かわせた棚板状の部材であり、図6に示したようにコネクタホルダー428を載置するほぼ水平なベンチ部433と、そのベンチ部433の両端に立設したベンチ側板434と、各ベンチ側板434に突設した3本の内向き爪片435,435,435とを有する。この内向き爪片435,435,435の中央の1本と他の上下の2本との間にはコネクタホルダー428の取着片431が嵌まり得る間隔が設けてある。なお、一方のベンチ側板434は、先端に指掛部436を延設した薄板構造であって、指掛部436に指を掛け図8(b)矢示X方向に力を加えることにより一端支持の板バネのごとく外向きに反らせ得るようになっており、その反らせた状態で内向き爪片435,435,435からコネクタホルダー428の取着片431が簡単に外れるようになっている。図8(a)の想像線は指掛部436の先を鍵形に折り曲げた例を示したものであり、こうすることにより矢示Yのようにボタンを押す感覚でコネクタホルダー428の取外しが楽に行える。
しかして、図6に示したように前記仮止め棚418のベンチ部433にコネクタホルダー428を載置し、該コネクタホルダー428の取着片431をベンチ側板434の内向き爪片435,435,435の間に嵌めることによってコネクタホルダー428が仮止め棚418に仮止めされる。もちろん仮止めと言っても、ケース部材400の輸送中にコネクタホルダー428が仮止め棚418から外れない強度を有する設定になっており、従ってケース部材400が外本体100に組み込まれる前までは、コネクタホルダー428と一体のコネクタ425,427はケース部材400に設けた仮止め棚418に仮止めされて動かない。よってケース部材400を輸送したり、ケース部材400を外本体100に組み込む作業の最中に、ハーネス424,426の先にあるコネクタ425,427が、ケース部材400内の部品に当たってその部品はもちろん、自らも損傷する、というようなおそれがない。
そして、図8(b)→図8(a)に示したように、ケース部材400を外本体100に固定した後の配線工程で、上記のように一方のベンチ側板434を外向きに反らせてコネクタホルダー428を仮止め棚418から外し、そのコネクタホルダー428を自己の取着片431が配線中継部材113の支持筒128に当たる位置まで移動させれば、コネクタ425,427が配線中継部材113のコネクタ124,125に嵌まるから(その詳細は後述する。)、その状態で取着片431のボタン形パネルファスナー432を押し込んで取着片431を支持筒128にロックする。なお、このとき図5,図6に二点鎖線で示したように、ベンチ部433にガイド用の案内レール440を設けておけば、コネクタホルダー428を奥に押し込むだけでよいため、作業性が向上する。
以上のようにして配線中継部材113に取り付けたコネクタホルダー428は、外本体100の背板104を支持基盤として安定し、ケース部材から離間していて接触しないため、輸送時の振動等で外本体100と機種ユニット50が相対的に動いても無理な負荷が加わらない。
ここまでの説明から、次のような技術的思想が把握できる。
(a)前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、
(b)前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、
(c)前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、
(d)前記ケース側配線類の先端に取り付けたコネクタと、
(e)該コネクタに取り付けたコネクタホルダーと、
(f)該コネクタホルダーを仮止めするためケース部材に設けた仮止め部材と、
(g)前記コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、を有し、(h)機種ユニットを外本体に装着する前の状態で前記コネクタホルダーを仮止め部材に仮止めし、機種ユニットを外本体に装着した状態で前記コネクタホルダーを仮止め部材から固定手段に付け替えてコネクタホルダーのコネクタを配線中継部材に接続するようにしたことを特徴とする
(i)遊技機。
上記の遊技機は、機種ユニット50の外本体100への装着とコネクタ同士の結合とを別々に行うようにしたものであるが、これとは対照的に、例えば機種ユニット50に直接コネクタを取り付け、機種ユニット50を外本体100に押し込む動作で自動的にコネクタ同士を結合させる、という方式が考えられる。しかしこの方式は、質量の大きな機種ユニット50が輸送中などに外本体100の内部で振動した場合、大きな負担がコネクタ結合部に掛かるため信頼性に不安があり、その対策にコストが掛かる課題がある。
また、本発明の遊技機は、外本体100に1枚の扉形前面部材200を取り付け、該扉形前面部材200に対して機種ユニット50を物理的に独立させた構成であるが、これとは対照的に、扉形前面部材を上下2段に分割し、上部の扉形前面部材を機種ユニット50側の部品とする遊技機も考えられる。しかし、このような遊技機では、遊技中に興奮した遊技者が上部の扉形前面部材を叩いた場合にコネクタ結合部に直接衝撃が加わるためコネクタの結合が不安定になるおそれがあり、さらに上下の扉形前面部材同士の継ぎ目に対し新たな防犯構造を要する課題がある。
これに対し本発明の遊技機は、外本体100に1枚の扉形前面部材200を取り付け、該扉形前面部材200に対して機種ユニット50を物理的に独立させた構成であり、さらに、コネクタホルダー428を配線中継部材113に接続した後、該コネクタホルダー428は、図5に示したように外本体100に固定した部品(配線中継部材113)と結合し機種ユニット50から離間した独立構造になっているため、プリント基板にハンダ付けして用いる低コストで一般的なコネクタを使用した場合でも、輸送中においても、遊技中においても信頼性・耐久性に不安がない。また、機種ユニット50のみが機種変更時の交換対象であり、扉形前面部材200は交換対象とならないため、機種変更のための遊技場の負担も軽くなる。
[7−2−2.コネクタ425,427とコネクタ124,125の結合]
前記のようにコネクタ425とコネクタ427は、1つのコネクタホルダー428に取り付けられている。こうすることによりコネクタホルダー428を配線中継部材113の所定の位置にセットする1回の動作で2つのコネクタ425,427の接続が完了する。しかし現実の問題として、2つのコネクタ425,427とコネクタホルダー428という独立した要素を寄せ集めて一体にする構造では、コネクタ425,427とコネクタ124,125の「正確な位置決め」という困難な問題に直面する。すなわち2つのコネクタ425,427と配線中継部材113側のコネクタ124,125の4要素の位置決めが全て正確でなければ、コネクタ425,124とコネクタ427,125の一括結合は不可能であるのに、そのような位置決めの精度を量産品レベルのコストで達成するのは困難だからである。そのような問題を解決する1つの手段として、プリント基板にハンダ付けすることなく結合時の融通性を高める機構を施したいわゆるドロワーコネクタを使用する方法が考えられるが、ドロワーコネクタ自体が高価であるため、まだコスト面の負担が大きい。
これに対し実施形態の配線手段では、基板支持部材たる配線中継部材113のコネクタ基板122,123を分割してそれぞれにコネクタ124,125を装着し、そのコネクタ基板122,123の少なくとも一方を、配線中継部材113の取付板120とカバー体121の間の隙間に非固定的に納めてコネクタ427とコネクタ125の結合方向と直交する方向(ここでの「直交」は、厳密な90度にこだわらず、社会通念上のほぼ90度という程度の意味である。)に遊動可能状態にする手段を講じている。かかる構成においてコネクタホルダー428の結合照準をコネクタ425とコネクタ124に定めた場合、もう一方のコネクタ427とコネクタ125の相対位置に若干の狂いがあっても、コネクタ基板123が遊動してその狂いを矯正すべく移動するから、コネクタ427とコネクタ125の結合も可能になる。これにより基板固着型で安価なDIN規格のコネクタで十分に対応できる。
ここまでの説明から、次のような技術的思想が把握できる。
(1)「2以上の配線用のコネクタと、その各コネクタと対をなす2以上の配線用のコネクタとを有する遊技機において、一方のコネクタグループを1つのコネクタホルダーに固着すると共にこれらと対をなす他のコネクタグループをコネクタ基板に装着し、さらにそのコネクタ基板をコネクタ毎に分割してその1つを基板支持部材に固定すると共に他のコネクタ基板を基板支持部材に対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
(2)「前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、前記ケース側配線類の先端に取り付けた2系統以上のコネクタと、該2系統以上のコネクタをコネクタグループとして一括支持するコネクタホルダーと、該コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、前記2系統以上のコネクタグループの各コネクタと対をなしプリント基板に固着して使用する基板固着型のコネクタによる他のコネクタグループと、前記背板に取り付けた配線中継部材に取り付けられ、前記他のコネクタグループのコネクタを固着してなるコネクタ接続用端子基板と、を有し、該コネクタ接続用端子基板をコネクタ毎に分割してその1つを前記配線中継部材に固定すると共に他のコネクタ接続用端子基板を配線中継部材に対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
(3)「2以上の配線用のコネクタと、その各コネクタと対をなす2以上の配線用のコネクタとを有する遊技機において、一方のコネクタグループをコネクタ基板を介して基板支持部材に固着すると共にこれらと対をなす他のコネクタグループを1つのコネクタホルダーに装着し、さらにそのコネクタホルダーに対しコネクタグループの中の1つのコネクタを固定すると共に他のコネクタをコネクタホルダーに対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
(4)「前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、前記ケース側配線類の先端に取り付けた2系統以上のコネクタと、該2系統以上のコネクタをコネクタグループとして一括支持するコネクタホルダーと、該コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、前記2系統以上のコネクタグループの各コネクタと対をなしプリント基板に固着して使用する基板固着型のコネクタによる他のコネクタグループと、前記背板に取り付けた配線中継部材に取り付けられ、前記他のコネクタグループのコネクタを固着してなるコネクタ接続用端子基板と、を有し、前記コネクタホルダーに対しコネクタグループの中の1つのコネクタを固定すると共に他のコネクタをコネクタホルダーに対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
以上の遊技機は、固定したコネクタ接続用端子基板のコネクタに照準を合わせてコネクタホルダーを操作するようにすれば、他のコネクタ同士の相対位置に製造誤差等で若干の狂いがあっても、非固定のコネクタ接続用端子基板がコネクタごと遊動してその狂いを矯正すべく移動し誤差を吸収するから、結合照準でないコネクタ同士の結合も可能になる。従って1つのコネクタホルダーを用いて複数系統のコネクタの一括接続が可能である。しかも使用しているコネクタは、プリント基板にハンダ付けして用いるような汎用的で安価な例えばDIN規格のものであり、コストも安い。
また、コネクタホルダーは、ナイラッチ(登録商標)等の固定手段で配線中継部材、ひいては該配線中継部材を介して外本体の背板に確実に固定される。一方、コネクタホルダーと機種ユニットの間では、フレキシブルなハーネスを介してつながっているのみであり、機種ユニットが動いたとしても、その動きはフレキシブルなハーネスが吸収するので、コネクタホルダーに動きは伝わらない。このため、たとえ輸送中の振動により外本体と機種ユニットの間に相対的な動きが生じても、コネクタホルダーは、外本体のみと一緒に動き、機種ユニットの干渉を受けないから、コネクタの結合部には全く負荷が掛からない。よってコネクタ結合の信頼性が非常に高い。
なお、実施形態のように、小さいコネクタ125に対応する小さいコネクタ基板123を遊動可能とし、大きいコネクタ425,コネクタ124同士を結合の基準に定める構成は、その逆の構成に比べてコネクタ425,124,427,125の結合が楽に行える。小さいコネクタ基板123の方が軽い力で扱えるため、狂いの自動矯正が容易だからである。また、実施形態では、図9のようにコネクタ425,124の方がもう一方のコネクタ427,125より先に結合するようになっており、そうすることにより結合照準のコネクタ同士が合わせやすい。
また、図9に拡大して示したように凸形のコネクタ425,427の凸部先端の周縁角部及び/又は凹形のコネクタ124,125の差込口の周縁角部に面取り部C(直線的な面取り、曲線的な面取りの何れも可)を形成しておけば、面取り部Cのテーパに沿った誘導作用が、コネクタ同士の結合性をより良好にする。
また、実施形態のように、配線中継部材113のコネクタ基板122,123を遊動可能にする構成の他、コネクタホルダー428側のコネクタ425,427の何れか一方を遊動可能にすることも可能であり、その場合も上記と同様の作用効果が得られる。なお、かかるコネクタホルダー428の具体例を図17に示した。この例では、コネクタホルダー428のホルダー主体429に雌ねじ付きの受筒429aを突設し、一方、コネクタ427の両横に遊孔427aを有する耳片427bを形成し、コネクタホルダー428の受筒429aにコネクタ427の遊孔427aを遊嵌させ、座金付きのビス427cをもって耳片427bの抜け止めとしている。そうすることによりコネクタ427は、コネクタホルダー428に対し、遊孔427aと受筒429aの径の差の範囲で自由に遊動し得る。この場合のコネクタ基板122,123は、一体にして取付板120に固定すればよい。また、実施形態では2つのコネクタを1つのコネクタグループとして取り扱ったが、1つのコネクタグループのコネクタ数は2以上でもよい。
また、実施形態では図4,図12に示したように、ケース部材400の後面板405の裏側であって、前記図柄変動表示装置300の装置ケース302の下斜板310に向けて凹ませたケーブル溝437が形成され、該ケーブル溝437の両端近傍にケース部材400の側板404(又は後面板405)を貫く配線口438,438が開設されている。この配線口438,438とケーブル溝437は、図柄変動表示装置300とメイン基板409等とを接続するためのものであり、図11において図柄変動表示装置300の装置ケース302の向かって右側面(扉形前面部材200の非ヒンジ側の側面)に設けたリール基板312のケーブル313(図12参照)を1つの配線口438からケース部材400の外に引き出し、そのケーブル313を図12のようにケーブル溝437に納め、さらにそのケーブル313の先を他の配線口438からケース部材400の中に戻してメイン基板409等につなぐようにしてある。なお、ケーブル溝437には所定の間隔でケーブル止め439が設けられていて、ケーブル溝437からケーブル313が脱落しないようになっている。
しかしてメイン基板409等とリール基板312は、共にケース部材400の中にあるケース部材側電気部品であり、本来、ケース部材400の外にケーブル313を引き出す要はない。それを敢えてケース部材400に配線口438,438とケーブル溝437を設けてケーブル313を外伝いに迂回させるようにした理由は次のとおりである。
リール基板312の設置場所は、限られたスペースの中でコネクタを抜き差しする配線の作業性を考慮すると、図柄変動表示装置300(装置ケース302)の側面のうち扉形前面部材200の非ヒンジ側に相当する側が好ましい。もし逆に、扉形前面部材200のヒンジ側に相当する装置ケース302の側面にリール基板312を設けると、開ききった扉形前面部材200(図1参照。)とリール基板312が近接位置で向かい合うため、コネクタの抜き差しに必要な広い作業空間が確保できないからである。
しかし一方、リール基板312の接続対象たる基板類(メイン基板409,演出制御基板510,画像表示体500等)の接続部がケース部材400の扉形前面部材200のヒンジ側に相当する側にあると、ケーブル313がケース部材400の内部を横切る格好になる。そうすると前記装置ケース302をケース部材400に装着する際にケーブル313を噛み込んだり、逆に装置ケース302を引き出す際にケーブル313を引っ掛けるおそれがある。
これに対し実施形態のように、ケース部材400に配線口438,438とケーブル溝437を設けてケーブル313を外伝いに迂回させるようにすれば、上記したようなケーブル313のトラブルは生じない。また、配線作業は、装置ケース302を所定の位置から若干引き出した状態で行う方が作業性がよく、それに伴って配線口438からリール基板312までのケーブル313の長さは、配線代とでも言うべき余裕が設けられている。従って装置ケース302を所定の位置にセットした状態でケーブル313に弛みが生じ、引き出し量によってはケーブル313の弛みが大きくなる。そのようなケーブル313の弛みが大きい場合には、配線口438と横並びの位置にある、装置ケース302の下斜板310とケース部材400の奥のコーナー部分との間にできる三角スペースにケーブル313の弛んだ部分を逃がすことができる。
また、実施形態のようにケーブル溝437を装置ケース302の下斜板310に向かわせて膨らませるようにした場合には、ケース部材400の奥と装置ケース302の下斜板310との間にできるデッドスペースの有効活用に役立つ。なお、配線口438,438とケーブル溝437を使った配線は、リール基板312のケーブル313に限定する必要はなく、ケース部材400の内部を横切るケーブル全てに適用できる。
その他、図11中、符号441は機能分離中継端子板である。
以上のように構成されるスロットマシン1は、ケース部材400を外本体100に装着し、必要な配線を完了した完成品の状態で工場から出荷される。そして、その完成品のまま遊技場の遊技機設置島に取り付けられるが、このとき図25想像線のように、外本体100の天板103と遊技機設置島の上桟600とを木ねじ等の固定部材601で止める場合は、扉形前面部材200と画像表示体500を開放し、外本体100の貫通孔132に対しケース部材400の内側から天窓部443越しに固定部材601を挿通させ、さらにドライバー等の工具602で天窓部443越しに固定部材601を締め付けて外本体100の天板103と遊技機設置島の上桟600とを固定的に連結する。なお、貫通孔132は複数設けられているため、必要に応じてその中から任意に選択して使用することができる。例えば、上桟600の位置やサイズにばらつきがあってもその上桟600に対応する貫通孔132を選択することができる。また、遊技機をまるごと入れ替える場合に、使用する貫通孔132を変更すれば、上桟600の同じ位置に固定部材601の穴が開く弊害(いわゆる、ばか穴化)が防止できる。
ところで、図25に示したように外本体100とケース部材400の間には隙間Sが形成されており、画像表示体500等から発生した熱が画像表示体500の冷却ファン(図示せず)で煽られ、ケース部材400の天窓部443から前記隙間Sを通って背板104の通気口133に至り、そこから遊技機設置島の内部に抜ける。このとき背板104とケース部材400の間に配線中継部材113がありこれが障壁のごとく作用して前記隙間Sを広範囲に塞ぐから、隙間Sを流れる熱気がこの部分で遮られ、配線中継部材113より上方にある背板104の通気口133から積極的に外部に放出される。従って放熱効果が高い。
[8.各リールの図柄、図柄列]
各リール301a,301b,301cには、一例として、図46に示すように、複数種類の図柄が一定間隔に配置されることで構成された図柄列(配列番号1番から21番までで示した合計21個の図柄)が表記されたリール帯(図柄帯)が付されている。図46では、各リール301a,301b,301cに付されたそれぞれのリール帯321a,321b,321cに表記された図柄列を平面的に展開した状態を示す。なお、図柄列中に配置された図柄を識別するために上記配列番号を便宜的に記している。
そして、各リール301a,301b,301cは、各々の図柄列中に配置された図柄のうち、連続する所定数(例えば、3つ)の図柄が開口部401(図柄表示窓ともいう、以下では図柄表示窓401として統一する)を介して遊技者に視認可能となるように配置されている(次に説明する図47参照)。なお、図柄表示窓401は解決手段に記載の図柄表示部に相当する。
また、図柄の種類は、図46に示すように、「赤で塗りつぶされている「7」図柄(以下「赤7図柄」という)」、「青で塗りつぶされている「7」図柄(以下「青7図柄」という)」、「BAR図柄」、「チェリーの図柄が施された「チェリー図柄」」、「リプレイ図柄」、「ベル1図柄」、「ベル2図柄」、「スイカ図柄」、「「義」と記載された図柄(以下では「義図柄」という)」、「「正」と記載された図柄(以下では「正図柄」という)」がある。
図46において、「赤7図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号3番・6番の2つ、リール帯321bにおいては配列番号12番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号10番の1つが相当する。「青7図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号16番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号3番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号15番の1つが相当する。「BAR図柄」(華成学園)は、リール帯321aにおいては配列番号11番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号7・9番の2つ、リール帯321cにおいては配列番号2番の1つが相当する。「チェリー図柄」」は、リール帯321aにおいては配列番号10番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号1番・14番・17番の3つ、リール帯321cにおいては配列番号7番・14番の2つが相当する。「リプレイ図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号1番・4番・7番・12番・17番の5つ、リール帯321bにおいては配列番号0番・5番・8番・11番・16番・の5つ、リール帯321cにおいては配列番号1番・5番・8番・13番・17番の5つが相当する。「ベル図柄1」は、リール帯321aにおいては配列番号13番・15番・18番の3つ、リール帯321bにおいては配列番号2番・6番・10番・15番・18番の5つ、リール帯321cにおいては配列番号9番・12番・16番の3つが相当する。「ベル図柄2」は、リール帯321aにおいては配列番号2番・5番・8番の3つ、リール帯321cにおいては配列番号0番・4番・18番の3つが相当する。「スイカ図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号9番・14番・19番の3つ、リール帯321bにおいては配列番号4番・13番の2つ、リール帯321cにおいては配列番号3番・6番・11番の3つが相当する。「義図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号20番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号19番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号19番の1つが相当する。「正図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号0番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号20番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号20番の1つが相当する。なお、図柄の種類は一例であって、これらの種類に限られるものではない。
[9.枠部材]
図47は、図柄表示窓401を含む枠部材501の部分を拡大したところを示している。図柄表示窓401からは、各リール301a,301b,301cの図柄列中の図柄のうち、連続する3つの図柄が視認可能となっている。この図柄が表示されている3つの位置を上から「上段(または上段位置)」(例えば、リール301aの「ベル1図柄」が表示されている位置)、「中段(または中段位置)」(例えば、リール301bの「リプレイ図柄」が表示されている位置)、「下段(または下段位置)」(例えば、リール301cの「ベル1図柄」が表示されている位置)という。
上記のことから、図柄表示窓401内では、「段数×リールの数」個の図柄を表示させることが可能である。従って、スロットマシン1では「段数(3)×リールの数(3)」より図柄表示窓401内には最大で9個の図柄を表示させることができる。
枠部材501(表示パネルともいう、以下では表示パネル501として統一する)の左側端(図柄表示窓401から見て左側には、各種のランプが備えられており、そのうち、「BET1」,「BET2」,「BET3」と記されているのがBETランプ(ベットランプ)614である。BETランプの数字(上記の「BET1」,「BET2」,「BET3」の1,2,3の数字)はそれぞれベット数(賭け数のこと、賭けたメダルの枚数に応じた数のこと)に対応している。すなわち、「1」は1ベット(賭けたメダルの枚数は1枚)、「2」は2ベット(賭けたメダルの枚数は2枚)、「3」は3ベット(MAXベットともいう、賭けたメダルの枚数は3枚)に対応しているということである。
本実施形態のスロットマシン1では、ベット数に応じて有効となる並びが決められている。この「有効となる並び」は有効ラインとも呼ばれる。以下では有効ラインと統一して称する。後述する所定の当選役に対応する図柄の組合せは、一つの有効ライン上に並んで表示されてはじめて当該当選役に対応する図柄の組合せ態様として表示されたと判断されるものである。すなわち、所定の当選役に対応する図柄を構成する各図柄が図柄表示窓401内に個々に表示されたとしても、それぞれの図柄が何れかの有効ライン上に並んでいなければ(すなわち所定の当選役に対応する図柄の組合せが有効ライン上に並んでいなければ)、所定の当選役に対応する図柄の組合せ態様が表示されたとは判断されないことになる。なお、このように、所定の当選役に対応する図柄の組合せが有効ライン上に並んでいない場合は、バラバラな図柄の組合せ態様(すなわちハズレの図柄の組み合わせ)が表示されたと判断される。
次に、ベット数及び有効ラインについて具体的に説明する。本実施形態のスロットマシン1は、3枚賭け専用機であり、通常ゲームでは、メダルを3枚投入するとゲームを実行することが可能となる。このとき、右上がりの直線型の並び及び右下がりの直線型の並びが有効ラインとなる。
なお、有効ラインは上記のような右上がりの直線型の並びや右下がりの直線型の並びに限られるものではない。さらに、本実施形態のスロットマシン1は3枚賭け専用機であるが、これに代えて、ベット数に応じて有効ライン数が変化するようにしてもよい。
本実施形態のスロットマシン1では、上述したとおり、賭け数は3ベット(MAXベット)のみとし、有効ラインを図47の図柄表示窓401内で「BAR図柄−リプレイ図柄−義図柄」が表示されているライン(すなわち右上がりライン)623bと、「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されているライン(すなわち右下がりライン623a)の2つのラインのみを有効ラインとしている。
図47の図柄表示窓401内に表示されている図柄の組合せは、有効ラインの一つである右下がりライン623aに表示されている「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」であり、この図柄の組合せは、後述する図53に示すように、リプレイ役(再遊技役)に対応する図柄の組合せであるから、次ゲームにおいて、メダルを投入することなく自動ベットされ、前回のゲームと同様のゲームを再び実行することが可能となる。なお、有効ライン上に「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されたとしても、遊技者は、何れの役の図柄の組合せが表示されたのか、一見して把握し難い。しかし、有効ラインではない中段ラインに「リプレイ図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」の図柄の組合せが表示されることで、遊技者は、リプレイに入賞したことを把握することが可能となる。
その他、表示パネル501には、スロットマシン1の遊技状態に合わせて点灯(あるいは点滅)可能なランプ及びLED類が設けられている。これらのランプ類は図の上から、「ERR」という文字の描かれたエラーランプ604、上記BETランプ614のすぐ下に位置する、「REP」という文字の描かれたリプレイランプ606、「STR」という文字の描かれたスタートランプ608、「INS」という文字の描かれたメダルINランプ610、及び2つの横並びの7セグメントLEDを備えた払出枚数表示LED612がそれぞれ備えられている。なお、これらの他に後述するボーナスゲームの当選を告知するボーナス告知ランプや、ボーナスゲームなどでのメダルの累計払い出し枚数を表示したり、ボーナスゲームをカウントしたりする7セグメントLED等を別途設けてもよい。
エラーランプ604は、スロットマシン1の遊技中に何かトラブル、故障等が生じた場合に点灯(あるいは点滅)を開始し、現在トラブル等が生じていることを遊技者等(ホールの係員なども含む)に知らせる役割を持っている。
リプレイランプ606は、ゲーム結果がリプレイ(後述する)となった場合に、再遊技(新たにメダルを賭けずにもう一度遊技ができること)ができることを遊技者に知らせる役割を持っている。
スタートランプ608は、ベット数がMAXベットに達すると点灯(あるいは点滅)を開始し、遊技者に始動レバー210の操作(始動操作)を促す役割を持っている。
メダルINランプ610は、ベット数が最大(MAXベット)になるまで点灯(あるいは点滅)を続けることにより、遊技者にベットを促す役割を持っている。
払出枚数表示LED612は、ゲーム結果に伴うメダルの払い出しがある場合に、その払い出し数(払出されるメダルの枚数)を表示することにより、遊技者にメダルの払出枚数を知らせる役割を持っている。
[10.スロットマシンの内部構成]
図48は、スロットマシン1に装備されている各種の機構要素や電子機器類、操作部材等の構成を概略的に示している。スロットマシン1は遊技の進行を統括的に制御するためのメイン基板409を有しており、このメイン基板(主制御基板)409にはCPU1110をはじめROM1112、RAM1114、入出力インタフェース1116等が実装されている。
前述した1枚投入ボタン205,206や始動レバー210、リール停止ボタン211a,211b,211c、貯留解除スイッチ209等は何れもメイン基板409に接続されており、これら操作ボタン類は図示しないセンサを用いて遊技者による操作を検出し、検出された操作信号をメイン基板409に出力することができる。具体的には、始動レバー210が操作されると前述した図柄変動表示装置300を始動させる(リール301a,301b,301cの回転を開始させる)操作信号がメイン基板409に出力され、リール停止ボタン211a,211b,211cが操作されると、リール301a,301b,301cをそれぞれ停止させる操作信号がメイン基板409に出力される。
なお、以下では必要に応じて、リール301a,301b,301cをそれぞれ左リール301a,中リール301b,右リール301cと呼ぶ。そして、これに対応するそれぞれのリール停止ボタン211a,211b,211cを左リール停止ボタン211a,中リール停止ボタン211b,右リール停止ボタン211cと呼ぶ。
またスロットマシン1にはメイン基板409とともにその他の機器類が収容されており、これら機器類からメイン基板409に各種の信号が入力されている。機器類には、図柄変動表示装置300のほか、メダル放出装置110等がある。
図柄変動表示装置300はリール301a,301b,301cをそれぞれ回転させるためのリール駆動モータ341a,341b,341cを備えている(左リール駆動モータ341a、中リール駆動モータ341b、右リール駆動モータ341c)。このリール駆動モータはステッピングモータからなり、それぞれのリール301a,301b,301cは独立して回転、停止することができ、その回転時には図柄表示窓401にて複数種類の図柄が上から下へ連続的に変化しつつ表示される。リール駆動モータ341a,341b,341cは可動表示体駆動手段に相当する。ステッピングモータによって、各リールは、後述のリール特殊演出処理の際、所定の図柄数分回転することができる。
また各リール301a,301b,301cの回転に関する基準位置を検出するための位置センサ331a,331b,331cを有しており、各リール301a,301b,301cにはそれぞれ位置センサ331a,331b,331cがリール内に対応して設けられている(左リール位置センサ331a、中リール位置センサ331b、右リール位置センサ331c)。これら位置センサからの検出信号(インデックス信号)がメイン基板409に入力されることで、メイン基板409では各リールの停止位置情報を得ることができる。
メダルセレクタ207内には、前述したソレノイド207aや投入センサ207bが設置されている。投入センサ207bは、メダル投入口203から投入されたメダルを検出し、メダルの検出信号をメイン基板409に出力する。ソレノイド207aがOFFの状態のとき、投入されたメダルは投入センサ207bで検出される。逆にソレノイド207aがONの状態のときは、メダルセレクタ207内で投入センサ207bに到達する通路がロックアウトされてメダルの投入が受け付けられなくなり、遊技者がメダルを投入しても、メダルセレクタ207を通って返却樋213に流れたメダルはメダル用受皿201に戻る。このとき合わせて投入センサ207bの機能が無効化されるので、メダル投入によるベット又はメダルの貯留の何れも行われなくなる。
メダル放出装置110は、払い出されたメダルを1枚ずつ検出する払出センサ110eを放出口110c内に有しており、この払出センサ110eからメダル1枚ごとの払出メダル信号がメイン基板409に入力されている。また、遊技メダル用補助収納箱111にはメダル満タンセンサ111aが設けられており、内部に貯留されたメダルの貯留数が所定数量を超えた場合、メダルが所定数量を超えた検出信号をメイン基板409に出力する。このとき画像表示体500、エラーランプ604等によりメダル貯留の異常を知らせるエラー表示が行われ、遊技者やホール従業員等に異常が発生したことが報知される。
一方、メイン基板409からは、図柄変動表示装置300やメダル放出装置110に対して制御信号が出力される。すなわち、前述した各リール駆動モータ341a,341b,341cの起動及び停止を制御するための駆動パルス信号がメイン基板409から出力される。またメダル放出装置110には、有効ライン上に停止した図柄の組合せの種類に応じてメイン基板409から駆動信号が入力され、これを受けてメダル放出装置110はメダルの払い出し動作を行う。このときメダル放出装置110内に払い出しに必要な枚数のメダルが不足しているか、あるいはメダルが全く無い状態であった場合、払出センサ110eによる枚数検出が滞ることとなる。そして所定時間(例えば3秒間)が経過すると、払出センサ110eより払い出しメダルの異常信号がメイン基板409へ出力され、これを受けてメイン基板409は、メダルの払い出しに異常が発生したことを知らせる内容をエラーランプ604や画像表示体500等に表示させて遊技者やホール従業員等に異常が発生したことを報知する。
スロットマシン1は、メイン基板409の他に演出制御基板510を備えており、この演出制御基板510にはCPU1118やROM1120、RAM1122、入出力インタフェース1130、VDP(Video Display Processor)1124、AMP(オーディオアンプ)1126、音源IC1128等が実装されている。演出制御基板510はメイン基板409から各種の指令信号を受け、画像表示体500の表示や照明装置502等の発光(または点灯、点滅、消灯等)及びスピーカ512の作動を制御している。
さらに、メイン基板409に外部中継端子板131を設けた場合には、スロットマシン1はこの外部中継端子板131を介して遊技場のホールコンピュータ1200に接続される。外部中継端子板131はメイン基板409から送信される各種信号(投入メダル信号や払出メダル信号、遊技ステータス等)をホールコンピュータ1200に中継する役割を担っている。
その他、電源装置112には、設定キースイッチ112tやリセットスイッチ112u、電源スイッチ112v等が付属している。これらスイッチ類は何れもスロットマシン1の外側に露出しておらず、扉形前面部材200を開けることではじめて操作可能となる。このうち電源スイッチ112vは、スロットマシン1への電力供給をON−OFFするためのものであり、設定キースイッチ112tはスロットマシン1の設定(例えば設定1〜6)を変更するためのものである。またリセットスイッチ112uはスロットマシン1で発生したエラーを解除するためのものであり、さらには設定キースイッチ112tとともに設定を変更する際にも操作される。
以上がスロットマシン1の内部構成例である。スロットマシン1によるゲームは、遊技者がメダルの賭け数を決定した状態で始動レバー210を操作すると各リール301a,301b,301cが回転し、この後、遊技者がリール停止ボタン211a,211b,211cを操作すると、対応する各リール301a,301b,301cが停止制御され、そして、全てのリール301a,301b,301cが停止すると、有効ライン上での図柄の組合せ態様からゲーム結果を判断し、必要に応じて該当する当選役に対応する規定数のメダルが付与される。
前述したとおり、各リール301a,301b,301cには、それぞれリール帯321a,321b,321cが付されている(図46参照)。そして、全てのリール301a,301b,301cを停止させた際に図柄表示窓401内に表示される表示内容(有効ライン上に表示された図柄の組合せ態様)から所定の当選役に対応する図柄の組合せ態様が表示されたか否かが判断される。具体的には、図柄表示窓401内で前述の有効ライン(右上がりライン623b及び右下がりライン623a)のうち少なくとも何れか1つのラインに所定の当選役に対応する図柄の組合せ態様が表示されているか否かが判断される。このとき、右上がりライン623bと右下がりライン623aとで、別の当選役に対応する図柄の組合せ態様が重複して表示された場合には、複数の当選役に対応する図柄の組合せ態様が同時に表示されたと判断されて、それぞれの払出数を合算した数量のメダルの払い出しが行われる。すなわち、複数の当選役に対応する図柄の組合せ態様が重複して図柄表示窓401内の有効ライン上に表示されるものとなる)。
以下では、所定の当選役に対応する図柄の組合せ態様が何れか一つの有効ライン上に表示された場合のことを、(所定の)当選役に対応する図柄(これを当選役図柄という)の組合せが揃う、あるいは当選役図柄が揃った、という。
スロットマシン1の図柄には、「赤7図柄」、「青7図柄」、「BAR図柄」、「チェリー図柄」、「リプレイ図柄」、「ベル1図柄」、「ベル2図柄」、「スイカ図柄」、「義図柄」及び「正図柄」があることはすでに述べたとおりであるが、このうち、「赤7図柄」、「青7図柄」及び「BAR図柄」は他の図柄に比べて目立ち易く、識別しやすい図柄となっている。ここでいう識別のし易さとは、リールの回転中や、リールの停止した状態を含めて遊技者が容易に図柄を識別することができる度合いの高さのことをいう。これらの図柄はリールの回転中もその色彩や図柄の大きさから、遊技者が停止操作する際に、これらの図柄が図柄表示窓401内に停止されるように狙って停止操作することが容易となっている(すなわち目押しすることが容易である)。さらに「義図柄」及び「正図柄」についても、図46を見ても分かるように、「義図柄」と「正図柄」との2つの図柄で円状を形成するかたちで「正義」と読めるように互いに上下に隣接して配置されているとともに、各リール301a,301b,301cにおいて1つしか配置されていないので、目押しすることが容易である。
これらの図柄はそれだけでは象徴的な図柄(図柄1つだけでは当選役に対応しない)に過ぎないものであるが、所定の組合せとなることにより当選役に対応する図柄の組合せとなるものである。すなわち、所定の遊技特典が付与される。以下に、図49に示された各当選役に対応して許容される図柄の組合せ態様について説明する。
[10−1.当選役と図柄の組合せ]
ここで、スロットマシン1の当選役(入賞役と呼ばれるものを含む)と、これに対応する図柄の組合せについて、図49、図50及び図51〜53を用いて説明する。図49は、スロットマシン1の各入賞役についての当選確率を示す図であり、当たり値判定テーブルとして予めROM1112等に格納されているものである。図50は、各当選役と、これら各当選役に対応して成立する条件装置を示す図であり、予めROM1112等に格納されているものである。図51〜53は、各条件装置に対応する図柄の組合せ及びメダルの払出数を示す図であり、これについても予めROM1112等に格納されているものである。
本実施形態のスロットマシン1における遊技状態としては、一般状態、通常RT、チャンスRT中、SB中、ボーナス内部中、及びボーナス中が用意されている。各当選役についての当選確率は、図49に示されるように、遊技状態毎に決められている。なお、チャンスRTには、図49に示されるように、ハズレの確率が異なるチャンスRT1、チャンスRT2及びチャンスRT3がある。そして、抽選の結果として何らかの役に当選すると、当選役に応じた条件装置が作動し、作動した条件装置に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されるように、後述するリール停止処理が行われる。本実施形態のスロットマシン1では、一の条件装置とリール制御のパターンとが1対1で対応しているので、一の当選役に対して複数のリール制御パターンを用意したい場合には、一の当選役に対して複数の条件が成立する場合もある。こうすることで、一の当選役に対して、複数パターンの停止出目(有効ライン上に表示される図柄の組合せ)を用意することが可能となる。ここで、有効ライン上に表示される図柄組合せについて、図49に示される「RB1+ベル2」、「スイカ」、「AT1」〜「AT10」、「ALL」、「SB1」〜「SB3」、「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」を例に挙げて説明する。
「RB1+ベル2」は、RB1とベル2とが同時に重複して当選する重複役である。このとき、RB1及びベル2の両方に対応する条件装置が作動し、これらに対応する図柄の組合せが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、ベル2に対応する図柄の組合せが有効ライン上に表示されると、賞として例えば9枚のメダルが払い出され、RB1に対応する図柄の組合せが有効ライン上に表示されると、後述するRB1ゲームが開始される。ただし、RB1に対応する図柄の組合せ及びベル2に対応する図柄の組合せの両方について有効ライン上に表示されることが許容されたとしても、ベル2に対応する図柄の組合せが優先して有効ライン上に表示されるようにリール停止処理が行われる。ここで、ベル2に対応する図柄の組合せは、当選した当該ゲームに限って、有効ライン上に表示されることが許容される。一方、RB1に対応する図柄の組合せは、当選した当該ゲームだけに限らず、次ゲーム以降においても、RB1に対応する図柄の組合せが有効ライン上に表示されるまで継続して、有効ライン上に表示されることが許容される。
なお、重複役とは、1回の抽選機会において複数の役が同時に選び出される役であることを意味する。例えば、当選成立状態が次ゲーム以降に持ち越される持ち越し役が1ゲーム目に選び出されたもののこの持ち越し役に対応する図柄組合せが表示されなかった場合において、例えば2ゲーム目で第1の役が選び出されたときは、持ち越し役と第1の役との両方が当選成立している状態となるが、この場合は、互いに別の抽選機会において選び出されているから、重複役に該当しない。これとは逆に、単独役とは、1回の抽選機会において一つの役のみが選び出される役を意味する。
また、BB1、BB2、RB1及びRB2をボーナス役とし、図51〜53においてメダルの払い出しがある役(例えばチェリー、スイカ、ベル1、ベル2等)を小役とし、前回ゲームと同じゲームを実行できる役(例えば通常リプ等)をリプレイ役とし、複数の図柄組合せについて有効ライン上に表示されることが同時に許容されたとき、リプレイ役、小役、ボーナス役の優先順位で、これらに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されるように、後述するリール停止処理が行われる。
また、「スイカ」は、スイカの単独当選役である。このとき、有効ライン上にはスイカに対応する図柄の組み合わせが表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、スイカに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば5枚のメダルが払い出される。
なお、抽選の結果、何れかの役に当選したとしても、当該当選役に対応する図柄の組み合わせは、後述する引き込み制御を実行可能な範囲で図柄表示窓401内(すなわち有効ライン上)に停止されるように狙って停止操作(リール停止ボタン211a,211b,211cを押す操作)が行われないと、有効ライン上に当選役に対応する図柄の組み合わせを表示させることができない。従って、抽選の結果、何れかの役に当選したにもかかわらず、この当選役に対応する図柄の組合せが有効ライン上に表示されなければ、後述するステップS6においてゲーム結果がハズレである旨が判定される。
「AT1」〜「AT10」は、何れも、各々に決められた適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合と、各々に決められた適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されなかった場合とで、賞として払い出されるメダル枚数が異なっている。
具体的には、「AT1」及び「AT2」についての適正な押し順は、「左→中→右」(以下「順押し」と称する)である。そして、この適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、作動している条件装置のうち小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば9枚のメダルが払い出される。なお、小物17の図柄組み合わせを構成する図柄は、リールの引き込み制御を実行可能な範囲内に配置されているので、抽選の結果が「AT1」又は「AT2」であるときには、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作される限り必ず、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。
また、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、賞として例えば2枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示される。ただし、不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、ハズレの図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。このとき、賞としてのメダルは払い出されない。
すなわち、抽選の結果が「AT1」又は「AT2」であるとき、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作される限り必ずベル1の図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。ただし、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示され、不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、ハズレの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることとなる。
なお、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合における上記の「適正なタイミング」は、抽選の結果が「AT1」であるときと「AT2」であるときとで異なっている。より具体的には、抽選の結果が「AT1」であるときにおける「適正なタイミング」は、抽選の結果が「AT2」であるときにおける「不適正なタイミング」となり、抽選の結果が「AT1」であるときにおける「不適正なタイミング」は、抽選の結果が「AT2」であるときにおける「適正なタイミング」となる。
また、「AT3」及び「AT4」についての適正な押し順は「左→右→中」(以下「はさみ押し」と称する)であり、「AT5」及び「AT6」についての適正な押し順は「中→左→右」又は「中→右→左」(以下これらを「中押し」と称する)であり、「AT7」及び「AT8」についての適正な押し順は「右→中→左」(以下「逆押し」と称する)であり、「AT9」及び「AT10」についての適正な押し順は「右→左→中」(以下「逆はさみ押し」と称する)である。そして、この適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。ただし、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示され、不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されるとハズレの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることとなる。ここで、抽選の結果が「AT3」、「AT5」、「AT7」及び「AT9」である場合における「適正なタイミング」は、それぞれ、抽選の結果が「AT4」、「AT6」、「AT8」及び「AT10」である場合における「不適正なタイミング」となり、抽選の結果が「AT3」、「AT5」、「AT7」及び「AT9」である場合における「不適正なタイミング」は、それぞれ、抽選の結果が「AT4」、「AT6」、「AT8」及び「AT10」である場合における「不適正なタイミング」となる。
なお、抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうち何れかであるときに、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作され、さらに不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されたことによって有効ライン上に表示されたハズレの図柄組み合わせは、この実施形態において「ベルこぼ目」と称する。
「ALL」は、ボーナスゲーム中に限って抽選対象となる役であり、抽選の結果が「ALL」であるとき、いかなる押し順で且ついかなるタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合であっても、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。上述したとおり、小物17の図柄組み合わせを構成する図柄は、リールの引き込み制御を実行可能な範囲内に配置されているので、抽選の結果が「ALL」であるときには、常に、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。そして、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば9枚のメダルが払い出される。
「SB1」〜「SB3」は、何れも、シングルボーナスと呼ばれる単独役であり、一般状態、通常RT及びSB中のうちの何れかの状態であるときに限り、抽選対象とされる。そして、抽選の結果が「SB1」〜「SB3」の何れかであると、それぞれに対応する図柄の組み合わせについて、有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、「SB1」〜「SB3」に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、次ゲームに限り、遊技状態が「SB」に制御される(この次ゲームはシングルボーナスゲームと呼ばれる)。
具体的には、抽選の結果が「SB3」であるときには、SB3に対応する条件装置が作動し、この作動した条件装置に対応する図柄の組み合わせ(SB3に対応する図柄の組み合わせ)について有効ライン上に表示されることが許容され、SB3に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、次ゲームの遊技状態が図49に示される「SB中」となる。
抽選の結果が「SB2」であるときには、SB2に対応する条件装置が作動し、この作動した条件装置に対応する図柄の組み合わせ(SB2に対応する図柄の組み合わせ)について有効ライン上に表示されることが許容される。また、抽選の結果が「SB1」であるときには、SB1に対応する条件装置が作動し、この作動した条件装置に対応する図柄の組み合わせ(SB1に対応する図柄の組み合わせ)について有効ライン上に表示されることが許容される。そして、SB2に対応する図柄の組み合わせ又はSB1に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、次ゲームの遊技状態が図49に示される「SB中」となる。
なお、抽選の結果が「SB1」である場合及び「SB2」である場合には、何れも、有効ライン上には、表示された図柄の組み合わせを遊技者が容易に把握することができない組み合わせ(所謂バラケ目と呼ばれる組み合わせ)で表示される。これに対し、抽選の結果が「SB3」である場合には、図50に示される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示され、このとき、有効ライン上ではないものの各リール301a〜301cの下段にリプレイ図柄が揃う。これにより、遊技者は、抽選の結果が「SB3」であることを把握することが可能となる。
「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」は、何れも、シングルボーナスと通常リプレイとが同時に重複して当選する役であり、一般状態、通常RT及びSB中では抽選対象とならず、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)であるときに限り、抽選対象とされる。言い換えると、「SB1」〜「SB3」が抽選対象とされる遊技状態では「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」が抽選対象とはされず、「SB1」〜「SB3」が抽選対象とされない遊技状態では「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」が抽選対象とされる。なお、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」に当選したとき、SB役(SB1、SB2、SB3)に対応する図柄組み合わせよりも、通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが優先して有効ライン上に表示されるように、後述するリール停止処理が行われる。
ここで、ボーナス役(BB1、BB2、RB1、RB2)、リプレイ役(再遊技役とも呼ばれる)、小役(ベル役(ベル1、ベル2)、チェリー役(チェリー1、チェリー2)、スイカ役、AT専用役、ALL役、ボーナスゲーム専用役)、シングルボーナス役(SB1、SB2、SB3)について説明する。
[10−1−1.ボーナス役]
本実施形態のスロットマシン1では、BB1、BB2、RB1又はRB2といったボーナス役に当選し、これら何れかの役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、BB1ゲーム、BB2ゲーム、RB1ゲーム又はRB2ゲームといったボーナスゲームが実行される。このボーナスゲームは、複数ゲームにわたって、遊技者がメダルを集中して獲得できる機会が設けられるゲームである。ただし、遊技者が大量のメダルを獲得することが可能なものは、図50に示されるように、BB1ゲーム及びBB2ゲームだけである。
また、スロットマシン1では、右上がりライン523b及び右下がりライン623aのうち少なくとも何れかの有効ラインに、作動した条件装置に対応する図柄組み合わせ(図50に示された図柄組み合わせ)が停止すると、1回のゲーム結果として、有効ラインに停止した図柄組み合わせに応じた賞が付与される。ただしこの場合、右上がりライン523b及び右下がりライン623aといった二つの有効ラインに、同時に重複して二つの当選役に対応する図柄の組み合わせが表示された場合には、この二つの図柄の組み合わせに応じたメダルが賞として払い出される。なお、本実施形態のスロットマシン1では有効ラインの数が二つであるが、有効ラインの数を三つ以上とし、この三つの有効ラインに、同時に重複して三つ以上の当選役に対応する図柄の組み合わせが表示された場合に、この三つ以上の図柄の組み合わせに応じたメダルが賞として払い出されるようにしてもよい。ただし、1回のゲームで払い出されるメダルの最大枚数(例えば、15枚)が予め決められており、1回のゲーム結果として払い出されるメダルの枚数はこの最大枚数を超えないものとなっている。
なお、本実施形態のスロットマシン1には、上述したとおり、SB1、SB2及びSB3といったシングルボーナス役も用意されている。このシングルボーナス役に当選すると、次ゲームに限り、当選したSB役に応じて、図49に示されるSB中に制御されるとともに、抽選の結果が「AT1」〜「AT10」の何れかであるときに適正な押し順が遊技者に教えられるATゲームの上乗せ抽選が行われる。
[10−1−2.リプレイ役]
本実施形態のスロットマシン1には、リプレイ役(再遊技役ともいう)として、通常リプレイ(図49では「通常リプ」と記載)とARTリプレイ1〜3(図49では「ARTリプ1」、「ARTリプ2」、「ARTリプ3」と記載)とが用意されている。このリプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。そして、リプレイ役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、リプレイの図柄組み合わせが揃ったと判定される。通常リプレイは、再遊技1の条件装置が成立する当選役であり、押し順に関係なく、中段にリプレイ図柄の組み合わせが成立可能な当選役である。これに対して、ARTリプレイ1−3は、夫々適正押し順でリールが停止された場合に特定図柄の組み合わせを成立させる当選役であり、適正でない押し順で操作されると、通常リプレイの図柄組み合わせが優先される。なお、上記のリプレイ役に対応する図柄の組合せは、図49を見ても分かるように遊技者がすぐに把握し難いものであるが、有効ラインではないものの中段ラインに「リプレイ図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」の図柄の組合せが表示されることで、遊技者は、リプレイに入賞したことを把握することが可能となる。
リプレイ役として、さらに、BARリプレイがある。BARリプレイは、リールのリール特殊演出を利用した特殊遊技状態の契機として利用される当選役であり、例えば、後述のとおり、チャンスART2又はチャンスART3の際に当選可能な専用役である。さらに、BARリプレイは、チャンスART2又はチャンスART3のゲーム中、即ち、ARTゲーム中に継続ゲーム数を飛躍的に増加させ得る特殊遊技状態の契機となる当選役である。
リプレイの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、リプレイゲームという遊技特典が付与される。このリプレイゲームでは、改めてメダルを投入もしくはベット操作をすることなく、リプレイの図柄組み合わせが表示されたゲームと同じゲームを、再遊技として実行できる。なお、リプレイの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたとしても、賞としてのメダルは払い出されない。
このリプレイゲームの遊技特典の特徴は、メダルの払出しを行わない代わりに次回のゲームで新たにメダルを消費する(新たにメダルを賭ける)必要がないことである。またリプレイはメダルの払い出しを伴わない当選役であるため、例えばその当選確率を高くすることにより、当選頻度が高くなったとしてもホールにとって不利益となることは非常に少ないといえる。従って、スロットマシン1では、通常状態(本実施形態における一般状態及び通常RTが相当する)において、概ね6〜7回に1回程度は当選する確率としている(詳細は後述)。これにより、遊技者が消費するメダルの量(一定時間当たりにつき消費するメダル数)をある程度一定の範囲に保つことが可能となる。つまり、リプレイという当選役にゲーム進行における過剰なメダルの消費を抑える役割を持たせることができるということになる。
また、各リール301a,301b,301cにリプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成する図柄をそれぞれ満遍なく配置する(例えば、リプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成する図柄と、同じくリプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成する図柄との間に配置される他の図柄(リプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成しない図柄)を1個から最大でも4個までにする)ことにより、リプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を目押しの必要なく揃えることのできるものとすることができる。
なお、通常リプレイに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示された場合には、通常リプレイに対応する図柄の組み合わせが表示されたゲームと同じゲームを再遊技として実行できるだけであるが、ARTリプレイ1〜3に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示された場合には、チャンスRTへ移行する契機として機能している。
当選役がBARリプレイの場合、再遊技1と図50に図示をしていないBARリプレイ専用の条件装置が成立する。リール停止ボタンの押し順に正解すると、BARリプレイ専用の条件装置が優先され、遊技者が適正なタイミングでリール停止ボタンを操作すると、メイン基板409は当選役であるBAR図柄の組合せを所定のラインに沿って停止させる。BAR図柄の組合せは有効ラインに沿って揃うようにされてもよいし、有効ラインではないものの中段ライン等にBAR図柄の組合せが成立するような図柄組合せの配列をBARリプレイ専用の条件装置の対応図柄組合せとしてもよい。一方、リール停止ボタンの押し順に正解しない場合には、再遊技1の条件装置が優先されて、遊技者がどのようなタイミングでリール停止ボタンを操作しても、中段にリプレイ図柄の組合せを揃えることができる。
[10−1−3.ベル]
本実施形態のスロットマシン1には、ベル役として、上述したとおり、「ベル1」と「ベル2」とが用意されている。このベル役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。そして、ベル役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、ベル役の図柄組み合わせが揃ったと判定され、賞としてのメダル(例えば9枚)が払い出される。なお、ベル2に対応する図柄の組み合わせは、図49を見ても分かるように遊技者がすぐに把握し難いものであるが、有効ラインではないものの中段ラインに「ベル1図柄orベル2図柄−ベル1図柄−ベル1図柄orベル2図柄」の組み合せが表示されることで、遊技者は、ベル2に入賞したことを把握することが可能となる。なお、ベル1図柄とベル2図柄とは形態に若干違いがあるものの、ベルといった同じ観念を遊技者に生じさせる点で両図柄は共通する。
ベル1に対応する図柄の組み合わせ又はベル2に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、規定枚数(例えば9枚)のメダルの払い出しが行われる。このときのメダルの払い出しは当該ゲームにて行われる。このように、ベル1に対応する図柄の組み合わせ又はベル2に対応する図柄の組み合わせは、ゲームを進めるうえでメダルの増加を期待できたり、メダルの消費を抑えることが期待できたりする。ただし、ベル1に対応する図柄の組み合わせ又はベル2に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示される頻度が高くなると、遊技者はゲームを進めていくだけでメダルを増加させることが可能となる。なお、ベル1に対応する図柄の組み合わせ及びベル2に対応する図柄の組み合わせを構成する図柄は、目押しすることなく有効ライン上に表示することができるように、各リール上に配置されている。
[10−1−4.チェリー役]
本実施形態のスロットマシン1には、チェリー役として、上述したとおり、「チェリー1」と「チェリー2」とが用意されている。このチェリー役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。そして、チェリー役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、チェリー役の図柄組み合わせが揃ったと判定され、賞としてのメダル(例えば2枚)が払い出される。
[10−1−5.スイカ役]
スイカ役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。このスイカ役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、スイカ役の図柄組み合わせが揃ったと判定され、賞としてのメダル(例えば5枚)が払い出される。
[10−1−6.AT専用役]
本実施形態のスロットマシン1には、AT専用役として、上述したとおり、「AT1」〜「AT10」が用意されている。これらAT専用役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。すなわち、抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちの何れかであって且つ適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、作動した条件装置のうち小物17に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示される。ただし、抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちの何れかであったとしても、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されなかった場合には、賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが表示されるか、ハズレの図柄組み合わせが表示されることとなる。賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせを構成する図柄は、目押しすることなく有効ライン上に表示することができるように、各リール上に配置されている。
[10−1−7.ALL役]
ALL役に対応する図柄組み合わせは、図51〜53に示されるとおりである。ただし、いかなる押し順で且ついかなるタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されたとしても、作動した条件装置のうち小物17に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されるように、リール制御される。
[10−1−8.ボーナスゲーム専用役]
さらに、ボーナスゲーム中(BB1ゲーム中、BB2ゲーム中、RB1ゲーム中及びRB2ゲーム中)にのみ有効となる当選役としてボーナスゲーム専用役がある。このボーナスゲーム専用役は、図49の「ロゴ1」〜「ロゴ7」に相当し、これらに対応する図柄(ボーナスゲーム専用役図柄)の組み合わせは、図50に示されるとおりである。
ボーナスゲーム中にボーナスゲーム専用役図柄が揃うと、規定枚数(例えば10枚)のメダルの払い出しが行われる。このときのメダルの払い出しは当該ゲームにて行われる。つまり、ボーナスゲーム専用役図柄が揃うと10枚のメダルの払出しという遊技特典が付与される。そして、ボーナスゲーム中はこのボーナスゲーム専用役を揃いやすくすることにより、メダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームを集中して実行することができる。従って、ボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせを構成する各図柄は、目押しを行うことなく有効ライン上に揃えることができるものとなっている。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、ボーナスゲームにおいて、上記ボーナスゲーム専用役とALL役とが抽選対象とされているが、これらとは異なる当選役を設けてもよい。さらには、ボーナスゲーム専用役のようなボーナスゲーム中限定の当選役を設けずに、ベル役やスイカ役を代わりに用いるものとしてもよい。この場合、一般状態中とボーナスゲーム中とで、メダルの払い出し枚数を変えるようにしてもよい。
[10−1−9.SB役]
本実施形態のスロットマシン1には、SB役として、上述したとおり、「SB1」〜「SB3」が用意されている。これらSB役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。また、SB役には、上述したとおり、通常状態(一般状態、通常RT)では単独役として抽選されるが、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、通常リプレイとの重複役として抽選される。そして、通常状態では、上述したとおり、SB1に対応する図柄の組み合わせ又はSB2に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されたとしても遊技者に把握され難いが、SB3に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されたときは、各リール301a〜301cの下段にリプレイ図柄が揃うので、抽選の結果が「SB3」であることを把握することが可能となる。なお、上記では、一般状態及び通常RTを通常状態と称しているが、一般状態や通常RTと同じような確率でハズレとなるような本実施形態のチャンスRT1に相当する状態についても、後述するARTゲームが実行されていなければ、通常状態と称されることもある。
しかし、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、上述したとおり、SB1〜SB3は、何れも、単独で抽選されることはなく、通常リプレイと同時に重複して当選するかたちで抽選される。そして、通常リプレイと同時に重複して当選した場合、作動した条件装置のうち再遊技1に対応する図柄の組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。この再遊技1に対応する図柄の組み合わせは、有効ラインではないものの中段にリプレイ図柄が表示される組み合わせである。ここで、SB1〜SB3に当選した場合には、ATゲームの上乗せ抽選が行われる。
従って、特に内部抽選にてハズレとなる確率が通常状態(一般状態、通常RT)と変わらないチャンスRT1に制御されているときには、通常状態に制御されているときと比べて、ATゲームの上乗せ抽選が行われる出目が表示される頻度が高められ、ひいては遊技者に期待感を与える頻度が高められることとなる。
一方、内部抽選にてハズレとなる確率が通常状態(一般状態、通常RT)と比べて極めて低い遊技状態に制御されていたり、本実施形態のように内部抽選にてハズレとならないチャンスRT2に制御されているときには、通常リプレイに対応する図柄組み合わせの出現頻度が極めて高くなるので、通常リプレイに対応する図柄組み合わせがたとえ表示されたとしても、ATゲームの上乗せ抽選が行われたか否かの判断が困難となる。これにより、上乗せ抽選が行われた可能性があることや、上乗せ抽選に当選した可能性があるといったような遊技者が興味を惹くような期待演出を行う場合には、かかる期待演出を、効果的に行うことが可能となる。
[10−1−10.ハズレ]
図51〜53に示された図柄の組み合わせの何れにも該当しない場合は、ハズレとなる。そして、ハズレとなった当該ゲームでは、メダルの付与は行われず、また次回以降のゲームに変化を及ぼすこともない。なお、ハズレは遊技者に当該ゲーム及び次回以降のゲームにおいて何の遊技特典も付与しない役であるともいえる。
以上がスロットマシン1におけるそれぞれの当選役と、それぞれの当選役に対応する図柄の組み合わせ態様である。
なお、これらの図柄は上記で説明した図柄や図柄の組み合わせ態様に限定されるものではない。また、上記の図柄に加えて複数種類の図柄を新たに設けることもできる。そして、当選役の種類をさらに増やすことや、あるいは減らすこともできる。さらに、上記で述べた当選役は全てを必ず設けることに限定されるものではなく、適宜必要な種類の当選役を選ぶこととしてもよい。
[11.ゲーム処理]
次に、スロットマシン1におけるゲーム処理の流れについて説明する。以下のゲーム処理は、メイン基板409(主にCPU1110等)にて実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。
図54は、スロットマシン1における基本的な1ゲームの処理手順を一通り示している。先ずステップS1では、ゲームスタートに備えるための初期設定を実行する。特に電源の立ち上げ時等においては、前述した各種装置の接続及び作動状況を確認するとともに、バックアップデータの有無を確認し、バックアップデータが存在する場合には、電源断前の状態に復帰させる処理を実行する。
次のステップS2では、投入口203から投入されたメダルの枚数により、あるいはすでに貯留されているメダルがある場合にはMAX投入ボタン206(あるいは1枚投入ボタン205)の押下操作により賭け数が決定され、始動レバー210の操作待ちの状態となる。すなわち、1回のゲームの賭け数が決定され、始動レバー210の操作が可能な状態となるまでがBET処理にて実行される。なお、本実施形態のスロットマシン1は、3枚のメダルを投入することによってゲームの実行が可能となる3枚賭け専用機である。従って、1枚投入ボタン205を備えていなくてもよい。
ステップS3では、ステップS2において操作待ちの状態となった始動レバー210の操作によりゲームをスタートさせるとともに、何れかの当選役を内部抽選の結果とするか否かを決定するための内部抽選処理を実行する。この内部抽選処理とは、次のステップS4にて回転を開始する全てのリール301a,301b,301cが停止状態(遊技者の停止操作により停止状態となること)となる前の段階において、何れかの当選役を当該ゲームの抽選結果とするかを決定するために実行されるものである。すなわち、この抽選の抽選結果が何れかの当選役に該当する場合に限り、リール301a,301b,301cの停止操作が行われたときに、該当する当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に停止することが許容されるのである。
次にステップS4では、ステップS3の内部抽選処理の終了に伴い全てのリール301a,301b,301cの回転を開始させるリール回転処理を実行する。このリール回転処理においては、全てのリール301a,301b,301cの回転が開始された時点でリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作を有効とし、リール停止ボタン211a,211b,211cが有効になったことを知らせる操作有効ランプ(図示しない)を点灯させるとともに、次回のリール回転処理が実行されるまでのタイマカウントを開始する。なお、操作有効ランプは各リール停止ボタン211a,211b,211cにそれぞれ内蔵されるランプである。
ステップS5では、遊技者によるリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられて、その受付順に操作有効ランプを消灯させるとともに、対応するリール301a,301b,301cの回転を停止させるリール停止処理を実行する。
次のステップS6では、ステップS5において全ての右上がりライン623bと、「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されているライン(すなわち右下がりライン623a)の2つのラインのみを有効ラインとして、リールが停止状態になったと判定した時点で、有効ライン上に表示された表示内容(図柄の組み合わせ態様)と、上記のステップS3において決定された内部抽選の結果として許容されているものを照合して当選役の判定を行う判定処理を実行する。
ステップS7では、ステップ6において判定された当選役に対応する遊技特典の内容に基づくメダルの払出処理を実行する。また当選役がBB1、BB2、RB1、RB2、SB1、SB2、リプレイの場合には、それぞれ遊技状態の変更(図49に示される遊技状態の変更)や再遊技等の各種遊技特典に付与を実行する。
以上が、スロットマシン1の基本的な1ゲームの処理手順である。ここで、ステップS2(BET処理)、ステップS3(内部抽選処理)、ステップS4(リール回転処理)は、一連の外部操作として遊技者により行われるものである。従って、これらの処理(ステップS2、ステップS3、ステップS4)をまとめて始動処理と呼ぶ。以下ではこの始動処理の具体的な説明をする。
[11−1.始動処理]
図55は、始動処理で行われる各処理を具体的に示したものである。
始動処理では、まずステップS101にてメダルの投入又は1枚投入ボタン205、MAX投入ボタン206の操作が待ち受けられる。MAXベット操作又はメダル投入があると、ステップS101の判定が満たされ、ステップS102に移る。なお、この判定はMAXベットに相当するメダルの投入(つまり、3枚以上のメダルの投入)やMAXベットとなる1枚投入ボタン205、MAX投入ボタン206の操作が有った場合にのみ満たされるものとしている。
次のステップS102では、受付処理として、ベット数(この例ではMAXベットのみ)を決定するとともに、ベット数に応じた有効ラインランプを点灯させる。本実施形態のスロットマシン1は、3枚賭け専用機であり、3枚のメダルが投入されると、右上がりライン623bと、右下がりライン623aの2つのラインが有効ラインとなり、これを示す有効ラインランプを点灯させる。
ステップS103では、始動レバー210の操作を有効化する。始動レバー210の操作が有効化されると、この始動レバー210の操作が受け付けられるまで操作待ちの状態となり、次のステップS104に移る。
次のステップS104では、始動レバー210の操作が有効化されているか、またその場合は始動レバー210の操作が受け付けられたかを判定する。先のステップS103にて始動レバー210の操作が有効化されている場合、遊技者による始動レバー210の操作が受け付けられると、この判定が満たされ、次のステップS105へ移る。
また、上記のステップS101にて遊技者がベット操作又はメダル投入をしない、あるいはMAXベットに至らないうちはステップS101の判定が満たされず、ステップS104に移る。このときはステップS104の判定も満たされず、ステップS101に戻り、以降の処理を繰り返す。
また、リプレイゲームでは、新たにメダルのベットを必要としない。これは、後述するリプレイゲーム処理にてMAXベットコマンドがRAM1114に格納されている場合、自動的にMAXベット状態にする。これにより、ステップS101の判定が満たされることになる。
ステップS105では、ステップS104での始動レバー210の操作を受けて、始動レバー210の操作を無効化する。
次にステップS106では、始動レバー210の操作があると、リール301a,301b,301cの回転が開始されるとともに、この始動レバー210の操作に基づいて乱数の抽出を行う。乱数の抽出を行った後、次のステップS107に移る。なお、このときの乱数を抽出するタイミングについては、始動レバー210の操作後直ぐに行っても所定時間(例えば0.5秒後など)後に行うなど、プログラミングの過程で適切な抽出タイミングを設定することができる。
ステップS107では、抽出された乱数値(以下では、抽出乱数値という)から何れの当選役に該当するかの当たり判定(乱数値の照合)を行う。この当たり判定では、後述する当たり値判定テーブルにて抽出乱数値を照合する。ここで行われる乱数値の照合とは、予め決められた当選役の乱数値に、抽出乱数値が該当(合致、一致)するか否かを判定することである。このとき抽出乱数値が何れかの当選役に該当すると判定された場合、該当する当選役に対応する条件装置をON(=1)にする(図50を参照)。なお、抽出された乱数値と当たり判定テーブルとを照合して行われる当たり判定における各当選役についての当選確率は、図49に示されるとおりである。
そして、フラグ処理では、当該ゲームにて抽出乱数値の照合を行う際に、判定の基準となる当たり値判定テーブルを決定する場合、後述するBBゲーム中フラグなどのゲーム状態フラグを参照して当該ゲームにおける当たり値判定テーブルを決定する。すなわち、当該ゲームにてON(=1)状態となっているゲーム状態フラグに対応する当たり値判定テーブルをセットして抽出乱数値の照合を行う。ゲーム状態フラグには、通常RT中フラグ、チャンスRT1中フラグ、チャンスRT2中フラグ、チャンスRT3中フラグ、SB中フラグ、ボーナス内部中フラグ、ボーナス中フラグがある。そして、これらのゲーム状態フラグの何れもOFF(=0)状態となっている場合には、常に一般状態中フラグをON(=1)状態とする。
一方、ステップS107にて、抽出乱数値が何れの当選役にも該当しないと判定された場合、何れの当選役にも該当しない「ハズレ」となり、何れの条件装置も作動させない(図50を参照)。ここで、何れかの条件装置がONになっているとき(成立しているとき)には、その成立している条件装置に対応する図柄組み合わせを揃えることが可能となる。各条件装置に対応する図柄組み合わせは、図51〜53に示されるとおりである。従って、何れの条件装置も成立していないハズレである場合は、何れの当選役に対応する図柄組み合わせも、有効ライン上に揃えることができないことになる。上記のステップS106及びステップS107はスロットマシン1の内部にて乱数抽選を行ってものであり、以下ではこれらのステップのことを、まとめて内部抽選、あるいは内部抽選を行う等という。なお、この乱数の抽出からフラグ処理までは内部抽選(前述の図54のステップS3)に相当する。
そして、ステップ107と次のステップ108との間で、メイン基板は、抽出乱数値が特定値の場合には特殊遊技状態の処理を行う。この特殊遊技状態では、メイン基板409は左中右リールの回転を所定期間行われないようにして(フリーズして)、その間に左リール、中リール、右リールの少なくとも一つのリールの回転態様を通常の回転態様とは異なるように制御、即ち、リールの回転における演出(リール特殊演出)を行う。演出制御基板510は、リール回転の演出に連動するように、当選役に基づいた遊技メダルの払い出しの特典とは異なる所定特典を付与するための抽選処理や液晶表示装置に対する演出画像の生成等の特殊遊技状態での演出制御処理を行う。メイン基板は、特殊遊技状態を終了させるとステップ108に移行する。
次のステップS108では、前回の始動処理(具体的には当該ゲームの1回前のゲーム)にてスタートさせたウェイトタイマがタイムアップ(例えば4.1秒経過)したか否かを判定する。なお、このウェイトタイマと呼ばれるタイマは、当該ゲームにおいてリールの回転が開始されたときから次回のゲームでリールの回転が開始されるまでの所定時間(例えば、4.1秒)の経過を計測するものである。ここで、ウェイトタイマがタイムアップ(既に4.1秒経過した)となった場合にはこの判定が満たされ、次のステップS109に移る。また、この判定はウェイトタイマがタイムアップするまでループする。
ステップS109では、全てのリール301a,301b,301cの回転を開始させる。そして全てのリール301a,301b,301cの回転の速さが一定となると、それぞれのリール停止ボタン211a,211b,211cの操作有効ランプを点灯させる。この点灯により、遊技者はリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が有効になったことを知ることとなる。
なお、スロットマシン1では、回転を開始したリールは遊技者による停止操作(リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作)が受け付けられるまで上記の一定の速さで回転を維持し続けるものである。
次にステップS110では、ウェイトタイマをリセットするとともに、次回の始動処理までウェイトタイマをスタートさせ始動処理は終了となる。
[11−2.内部抽選確率]
上記のとおり、スロットマシン1では、内部抽選の結果(抽出乱数値の照合の結果)が当該ゲームで該当する当選役(以下では、該当当選役をいう)として許容される。ここで該当当選役が許容されると、該当当選役に対応する条件装置を作動させて、この作動した条件装置の情報は、内部抽選の結果を示す情報コマンドとして以降の処理(リール停止処理、判定処理、払出処理等)に反映されることになる。
スロットマシン1では、乱数抽出を行う際の乱数値の範囲(これを抽出範囲という)を予め決めておくものである。この抽出範囲は、例えば、0から16383までの整数値(つまり、214=16384個の乱数)と決めることができる。なお、本実施形態のスロットマシン1では、抽出範囲の乱数値を、便宜上、0から59999までとしているが、これに限られないことはいうまでもない。この乱数の抽出範囲を拡大すると、その分だけ抽出可能な乱数値の範囲(いわゆる分母)が大きくなるので特定の乱数値が偏って抽出されるといった事象が起こりにくくなる。
上記の抽出範囲内においては、さらにそれぞれの当選役に対応する乱数値が予め割り当てられている。例えば、抽出範囲(本実施形態のスロットマシン1では0から59999)内の乱数値のうち、RB2に対応する乱数値を「1」とすれば、抽出乱数値が「1」となった場合に、内部抽選の結果は「RB2に当選した」ということになり、RB2の条件装置が当該ゲームでの情報コマンドとして処理されることになる。また、これを利用すると、抽出範囲及びRB2に対応する乱数値から、RB2の当選確率(RB2が内部抽選の結果として選び出される確率、抽選確率)を算出することができる。上記の例(RB2)でいえば、RB2に対応する乱数値の総個数を抽出範囲内の乱数値の総個数で割ると、その値は2/60000となり、RB2の当選確率を1/30000と算出できる。
このように全ての当選役にはそれぞれ対応する乱数値が決められており、これらの乱数値は、それぞれの当選役に対応する当たり値と呼ばれる。上記の例(RB2)では、抽出範囲内の乱数値「1」がRB2に対応する当たり値ということになる。また、当たり値が複数存在する場合、例えば、所定役の当たり値を抽出範囲内の連続する乱数値「1」、「2」、「3」、「4」とすれば、この所定役の当たり値の範囲は乱数値「1」から「4」までとなる。そして、抽出乱数値が乱数値「1」から「4」までの何れかに該当すると判定される(照合される)と、内部抽選の結果として「所定役に当選した」ということになる。なお、本実施形態のスロットマシン1では、一の当選役のみに当選する単独役(例えばRB2、ベル1、ベル2等)の他に、複数の当選役が同時に当選する重複役(例えば「RB1+スイカ」、「BB1+ベル2」等)が用意されている。したがって、このような重複役については、重複役の当たり値についても、上記の当たり値に含まれる。
このことから全ての当選役はその当たり値の範囲が決められ、内部抽選で抽出乱数値が何れかの当選役の当たり値の範囲に該当するか否かが判定されることになる。このとき、抽出乱数値が何れの当選役の当たり値の範囲にも該当しない場合は、ハズレ、となる。すなわち、ハズレの当たり値の範囲は、全ての当選役の当たり値の範囲以外ということになる。なお、当たり値は当選許容値とも呼ばれることもある。
ところで、単独役とは、1つの抽出乱数値に対して1つの当選役が対応するものであり、重複役とは、1つの抽出乱数値に対して、複数(この場合2つ)の当選役が対応するものである。つまり、抽出された乱数値が重複役の当たり値に該当する場合、複数の当選役の何れにも当選したということになる。例えば、抽出された乱数値が図49に示された「SB1+通常リプ」に該当する当たり値に該当する場合、前述したフラグ処理(図55のステップS107参照)にて、図50に示されるように、SB1に対応する条件装置及び通常リプレイに対応する条件装置を同時に成立させるということである。
また、図49によれば、ボーナス中は、ALL役とボーナスゲーム専用役(ロゴ1〜ロゴ7)の当たり値が抽出範囲の大半以上を占めている。従って、ボーナスゲームが実行されると、このボーナスゲームが実行されている期間内に多量のメダルが払い出されることとなる。
また、図49を見ても分かるように、一般状態中、通常RT中及びSB中は、SB1、SB2及びSB3の単独役に当選する可能性があるとともに、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」及び「SB3+通常リプ」といったSBと通常リプレイとの重複役には当選しない。一方、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)中は、SB1、SB2及びSB3といった単独役に当選する可能性はないものの、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」及び「SB3+通常リプ」といったSBと通常リプレイとの重複役には当選する可能性がある。しかも、一般状態中、通常RT中及びSB中においてSB1、SB2又はSB3の単独役に当選する確率は、チャンスRT中において「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」の重複役に当選する確率と同じである。すなわちこれは、チャンスRT中は、一般状態中、通常RT中及びSB中において当選する可能性のあるSB1、SB2及びSB3の単独役に代えて、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」及び「SB3+通常リプ」に当選する可能性があるということになる。
なお、上述したとおり、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」に当選したとき、SB役(SB1、SB2、SB3)に対応する図柄組み合わせよりも、通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが優先して有効ライン上に表示されるように、ステップSのリール停止処理が行われる。ここで、リプレイ図柄は、各リール301a〜301c上において、リールの引き込み制御可能な範囲内で万遍なく配置されているので、通常リプレイ役に当選しているにもかかわらず通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されない(所謂取りこぼす)といった事態は生じない。そうすると、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」に当選したときには、常に通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることとなり、たとえSB役(SB1、SB2、SB3)が重複役として当選していたとしても、このSB役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることは、本実施形態のスロットマシン1ではあり得ないこととなる。
[11−3.遊技状態の遷移]
図56は、メイン基板409に搭載されたCPU1110により実行される遊技状態移行制御処理を示すフローチャートである。
先ず、ボーナスゲーム(BB1ゲーム、BB2ゲーム、RB1ゲーム、RB2ゲーム)中であるか否かが判断され(ステップS151)、ボーナスゲームが終了すると(ステップS152におけるYES)、一般状態に移行される(ステップS153)。この一般状態では、一定期間にわたってゲームを実行したときに、この一定期間内に、ゲームの結果として払い出されるメダル枚数よりも遊技者がゲームを実行するために賭けるメダル枚数の方が多くなる。すなわち、一般状態は、遊技者がゲームを実行すると、それに伴ってメダル枚数が減少していく遊技状態である。
ステップS151においてボーナスゲーム(BB1ゲーム、BB2ゲーム、RB1ゲーム、RB2ゲーム)中でないと判断されると(ステップS151におけるNO)、ボーナス内部中であるか否かが判断される(ステップS154)。すなわち、内部抽選においてボーナス役(BB1、BB2、RB1、RB2)に当選すると、ボーナス役に対応する条件装置が作動するが、このボーナス役に対応する条件装置は、内部抽選に当選したゲームにおいてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されなかったとしても、次ゲーム以降においても、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されるまで継続して作動する。そして、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると(ステップS155におけるYES)、ボーナス中に移行し(ステップS156)、ボーナスゲームが実行される。
ステップS154においてボーナス内部中でないと判断されると(ステップS154におけるNO)、SB(SB1、SB2、SB3)中であるか否かが判断される(ステップS157)。SB中であるときには、1ゲームのSBゲームが実行され、このSBゲームが終了すると(ステップS158におけるYES)、元の遊技状態すなわちSBゲームが実行される直前の遊技状態に移行する(ステップS159)。
ステップS157においてSB中でないと判断されると(ステップS157におけるNO)、チャンスRTであるか否か(チャンスRT1、チャンスRT2及びチャンスRT3のうちの何れかであるか否か)が判断される(ステップS160)。チャンスRTであるときには(ステップS160におけるYES)、ボーナスであるか否か、すなわちボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたか否かが判断され(ステップS161)、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると(ステップS161におけるYES)、ボーナス中に移行し(ステップS156)、ボーナスゲームが実行される。一方、ステップS161においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されていないと判断されると(ステップS161におけるNO)、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されたか否かが判断される(ステップS163)。このチャンスRTにおいて「ベルこぼ目」が有効ライン上に表示されたと判断されると(ステップS163におけるYES)、通常RTに移行する(ステップS164)。なお、ここで図示していないが、内部抽選にてボーナス当選したにもかかわらずボーナス役に対応する図柄組み合わせが表示されなかった場合にはボーナス内部中に移行し、内部抽選にてSB当選した場合にはSB中に移行する。これは、後述する通常RT及び一般状態においても同様である。
ステップS160においてチャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)でないと判断されると(ステップS160におけるNO)、通常RTであるか否かが判断される(ステップS165)。通常RTであるときには(ステップS165におけるYES)、ボーナスであるか否か、すなわちボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたか否かが判断され(ステップS166)、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると(ステップS166におけるYES)、ボーナス中に移行し(ステップS167)、ボーナスゲームが実行される。一方、ステップS166においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されていないと判断されると(ステップS166におけるNO)、内部抽選の結果がARTリプレイであるか否か判断される(ステップS168)。ここで、内部抽選の結果がARTリプレイであると判断されると(ステップS168におけるYES)、ARTリプレイに対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されているか否かにかかわらず、チャンスRTに移行される(ステップS169)。
なお、通常RTにおける内部抽選においてARTリプレイに当選し、押し順に正解したとき(ステップS168におけるYES)は、先ずはチャンスART1に遊技状態が移行する。そして、図56では図示していないが、チャンスART1における内部抽選においてARTリプレイに当選して、リール停止ボタンの押順が正解すると、チャンスART2に遊技状態が移行する。さらに、同じく図56では図示していないが、チャンスART2における内部抽選においてARTリプレイに当選すると、メイン基板は、ARTゲーム中に継続ゲーム数を飛躍的に増加させる特殊遊技状態(後述)へ遊技状態を移行させる。なお、チャンスART2おける内部抽選においてARTリプレイに当選した場合、メイン基板は、抽選結果に基づいて、特別遊技状態への移行、及び/又は、チャンスART3の遊技状態への移行を振り分けてもよいし、ARTリプレイ1−3に応じてこれらを振り分けてもよい。また、メイン基板は、チャンスART1における内部抽選において、ARTリプレイに当選した場合に、チャンスART1からチャンスART3に遊技状態を移行させてもよい。チャンスART1、チャンスART2及びチャンスART3のうち何れの遊技状態に制御されていたとしても、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されたときには、通常RTに遊技状態が移行する。
ステップS165において通常RTでないと判断されたときには(ステップS165におけるNO)、遊技状態が一般状態に制御されていることとなる。そしてこの一般状態においても、ボーナスであるか否か、すなわちボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたか否かが判断され(ステップS170)、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると(ステップS170におけるYES)、ボーナス中に移行し(ステップS171)、ボーナスゲームが実行される。一方、ステップS170においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されていないと判断されると(ステップS170におけるNO)、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されたか否かが判断される(ステップS172)。この一般状態において「ベルこぼ目」が有効ライン上に表示されたと判断されると(ステップS172におけるYES)、通常RTに移行される(ステップS173)。
ところで、通常RTでは、一般状態と同様に、一定期間にわたってゲームを実行したときに、この一定期間内に、ゲームの結果として払い出されるメダル枚数よりも遊技者がゲームを実行するために賭けるメダル枚数の方が多くなる。すなわち、通常RTは、一般状態と同様に、遊技者がゲームを実行すると、それに伴ってメダル枚数が減少していく遊技状態である。
なお、一般状態、通常RT、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)、SB中、ボーナス内部中及びボーナス中の各遊技状態における内部抽選において、各入賞役が当選する確率は、図49に示されるとおりである。
ところで、本実施形態のスロットマシン1では、上述したとおり、メイン基板409から内部抽選の結果情報が情報コマンドとして演出制御基板510のCPU1118に向けて出力される。メイン基板409から出力された内部抽選の結果情報を受信した演出制御基板510のCPU1118は、この結果情報に基づいて、例えば画像表示体500又は/及びスピーカ512を用いた演出を実行する手段を備える。例えば、チャンスRTでは、内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちの何れかであるとき、リール停止ボタン211a〜211cについての適正な押し順が、例えば画像表示体500又は/及びスピーカ512を用いた演出により明示される。このように、内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちの何れかであるときに、リール停止ボタン211a〜211cについての適正な押し順を遊技者に明示する演出は、例えば一般状態や通常RTでは行われない。したがって、内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちの何れかであるとき、一般状態や通常RTに制御されているときよりもチャンスRTに制御されているときの方が、「AT1」〜「AT10」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させることが遊技者にとって容易となる。この点で、チャンスRTは、一般状態や通常RTと比べて遊技者にとって有利な遊技状態であるといえる。
このように、本実施形態のスロットマシン1によれば、通常状態(一般状態や通常RT)とチャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)とを含む遊技状態のうち何れかに制御される。
そして、上記の通常状態においては、通常リプレイ役とSB(SB1、SB2、SB3)役とについては、何れも、同じ抽選機会において他の役と同時に選び出されない単独役として内部抽選が行われる。なお、通常状態では、所定の確率でハズレが選び出される。
チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、SB(SB1、SB2、SB3)役が選び出される確率が60000分の200であり、これは通常状態と同じ確率である。ただし、チャンスRTでは、通常リプレイ役とSB役とが同じ抽選機会において同時に選び出されるように、内部抽選が行われる。
すなわちチャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、通常状態では単独役でしかなかったSB(SB1、SB2、SB3)役に代えて、SB役と通常リプレイ役とが同時に選び出される重複役となる。ただし、通常状態では単独役であった通常リプレイ役については、チャンスRTにおいても単独役のままである。すなわち、チャンスRTでは、SB役と重複して通常リプレイ役が選び出される分だけ、通常リプレイ役が選び出される確率が高くなる。なお、チャンスRTのうちチャンスRT2では、ハズレに代わって通常リプレイ役が選び出される。
そしてさらに本遊技機では、チャンスRTにおける内部抽選において、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が選び出されたとき、及び、SB役と重複していない通常リプレイ役の単独役が選び出されたときは、何れも、再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されるように、回転表示状態にあるリール301a〜301cの停止制御が行われる。ここで、SB役と通常リプレイ役との重複役が選び出された場合には、SB役に対応する図柄組み合わせは表示されないものの、SB役に当選することが後述するART付与条件である場合には、ART付与条件を満たすこととなる。
とくにチャンスRT1にあるときは、通常状態にあるときとハズレ確率が同じであるから、通常状態よりも、SB役に当選する期待ひいてはART付与条件を満たす頻度が高められるように遊技者に感じさせることが可能となる。これにより、チャンスRT1では、ART付与条件を満たすか否かに対して期待を持つことが可能となり、興趣の低下を抑制することができる。
また、チャンスRT2にあるときは、一般状態、通常RT及びチャンスRT1ではハズレであったものが全て通常リプレイとなり、しかも、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役、及び、通常リプレイ役(単独役)のうち何れが内部抽選にて選び出された場合であっても、再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。したがって、SB役に当選することが後述するART付与条件である場合に、再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたとしても、遊技者は、有効ライン上に表示された図柄の組み合わせの態様からは、はたしてART付与条件を満たしたのか否かを把握することが困難となる。
このように本実施形態のスロットマシン1では、原則的には、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が内部抽選にて選び出された場合であっても、通常リプレイ役(単独役)に対応する図柄組み合わせ(再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせ)が有効ライン上に表示される。ただし、SB役と通常リプレイ役との重複役が内部抽選にて選び出された場合であっても、特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち再遊技1に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御されることに代えて、他の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。
具体的には、内部抽選にて選び出された役が「SB1+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち再遊技2の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。また、内部抽選にて選び出された役が「SB2+通常リプ」である場合と「SB3+通常リプ」である場合とに特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち再遊技3の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。
なお、内部抽選にて選び出された役が「SB1+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときに、作動した条件装置のうち、SB1の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で、次いで、再遊技2の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御されるようにしてもよい。同様に、内部抽選にて選び出された役が「SB2+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち、SB2の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で、次いで、再遊技3の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御されるようにしてもよく、内部抽選にて選び出された役が「SB3+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち、SB3の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で、次いで、再遊技3の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御されるようにしてもよい。
ところで、本実施形態のスロットマシン1では、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されることを、上記の特定条件としている。具体的には、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が内部抽選にて選び出された場合には、「左→中→右」の順押し、「左→右→中」のはさみ押し、「中→左→右」の中押し、「中→右→左」の中押し、「右→左→中」の逆押し、及び、「右→左→中」の逆はさみ押しの6通りの押し順のうち、何れか一の押し順に決定される。そして、決定された押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されたものとして、上記の特定条件が成立する。
なお、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が内部抽選にて選び出された場合には、上記6通りの押し順のうち何れか一の押し順に決定されるようにしたが、決定される押し順の通り数は1に限られず、2以上の通り数であってもよい。
また、上記の特定条件は、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されることに限られないことは言うまでもない。例えば、三つのリール301a〜301cのうち少なくとも一のリール又は全てのリールが適正なタイミングで停止されるように、リール停止ボタン211a〜211cが停止操作されたこととしてもよい。
ところで、SB(SB1、SB2、SB3)役及び通常リプレイ役は、何れも、当選成立状態が次ゲーム以降にまで持ち越されない。したがって、SB役と通常リプレイ役との重複役に当選し、今回のゲームで通常リプレイに対応する図柄組み合わせが表示されたとしても、次回ゲーム以降に改めてSB役に当選しない限りSB役に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させることができないので、上記の特定条件が成立しなかった場合には、内部抽選の結果がSB役と通常リプレイ役との重複役であったのか単なる単独役としての通常リプレイ役であったのかを、ただちに遊技者に把握されることがない。したがって、内部抽選にてSB役と通常リプレイとの重複役に当選した場合にはかかる当選したゲームから実際にARTゲームが実行されるまでの間に、また内部抽選にて上記重複役に当選していなかったとしても任意の間に、種々の期待演出を行うことによって、遊技者に与える期待感の持続を図ることが可能となり、興趣の低下を抑制することができる。
また、チャンスRTのうちチャンスRT2では、ハズレに代えて通常リプレイ役が選び出される。すなわち、通常状態ではハズレであった抽出乱数値が、全て通常リプレイ役とされており、ハズレの確率は0となっている。また、SB(SB1、SB2、SB3)役については、当選確率が通常状態と同じ60000分の600であるものの、SB役と通常リプレイ役との重複役となっている。すなわちこのチャンスRT2では、通常状態(一般状態、通常RT)やチャンスRT1でハズレであったものがこのハズレに代えて通常リプレイ役に当選成立するようになる。
また、このチャンスRT2でも、通常状態では単独役であったSB(SB1、SB2、SB3)役に代えて、SB役と通常リプレイ役とが同じ抽選機会において同時に選び出される重複役となる。ただし、通常状態で単独役であった通常リプレイ役については、チャンスRT2においても単独役のままであり、さらには、通常状態ではハズレであった分まで通常リプレイ役となっている。したがって、このチャンスRT2では、たとえ通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが表示されたとしても、その出現頻度が極めて高いものとなる(本実施形態ではハズレとなる確率が50%以上である)から、チャンスRT1の場合とは違って、重複役ひいては通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせがたとえ表示されたとしても、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役とが同じ抽選機会において同時に選び出されたことに対する期待感が希薄なものとなる。これにより、チャンスRT2では、複数のリール301a〜301cが停止されたときの図柄の組み合わせからは、ART付与抽選が行われたか否かを把握し難くすることができる。その結果、例えばART付与抽選が行われること又はART付与抽選に当選した可能性があること等を遊技者に明示するような演出を実行するような場合には、複数のリール301a〜301cが停止されたときの図柄の組み合わせからはART付与抽選が行われたか否かを把握し難いので、かかる演出に面白みを持たせることが可能となる。
[11−3−1.チャンスRT]
本実施形態のスロットマシン1では、上述したとおり、通常RTにおける内部抽選においてARTリプレイに当選すると、次ゲームからチャンスRTが開始される。
ここで、チャンスRTとは、チャンスRTが開始されてから有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されるまでのゲーム期間におけるゲームであり、このチャンスRTでは、図49を見ても分かるように、リプレイの当選確率が一般状態に比べて当選しやすくされている。なお、チャンスRTでは、一定ゲーム数の間、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されることを回避するために、演出制御基板510のCPU1118により、例えば画像表示体500又は/及びスピーカ512を用いた演出が実行される。すなわち、内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうち何れかであるときに、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されないように、適正な押し順でのリール停止ボタン211a〜211cの操作を促す演出、又は、適正なタイミングでのリール停止ボタン211a〜211cの操作を促す演出等が実行される。このようにして促された演出に基づいてリール停止ボタン211a〜211cが操作されることによって、一定ゲーム数の間、チャンスRTを継続させることが可能となる。そして、一定ゲーム数のゲームが実行されると、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されないようにするための演出が終了する。そうすると、何れは、内部抽選にて「AT1」〜「AT10」のうち何れかに当選し、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されて、チャンスRTが終了することとなる。
また、チャンスRT中は、遊技者に向けてその遊技状態がチャンスRT中であることを認識(識別)できる態様にて実行させる。具体的には、チャンスRT中であることの表示(画像表示体500等による)や、効果音(スピーカ512等による)により識別可能なものとする。
なお、スロットマシン1には複数の設定値(設定値1から4までの4段階)を設けている(それぞれ図示はしない)。そして、それぞれの設定値では内部抽選確率に格差(段階的な差、極端な差など)がつけられている。この設定値は、設定値1<設定値2<設定値3<設定値4、というように設定値が高くなるほどボーナス当選役やARTリプレイの内部抽選確率が優遇されるようにするとよい。例えば、設定値1に比べると設定値4ではBB1の当選確率が高く決められているのでBB1に当選する可能性が高いといったようなことである。このように段階的な設定値を設けることにより、設定値ごとに特徴を持たせて遊技者が設定値の推測する際の手掛かりとしたり、ホール等の経営に合わせた設定値にてスロットマシン1の運用をしたり、といったことが可能となる。なお、上記のような設定値に限られることはない。
[11−4.リール停止処理]
始動処理が終了すると、一定速度で回転を続けているリールを停止させるための操作(停止操作、つまりリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作)待ちの状態となる。図57では、一例として「テーブル方式」によるリール停止処理の内容を示している。以下では、リール停止制御の処理の流れを説明する。
リール停止処理では、まずステップS201で、当該ゲームでの内部抽選の結果に対応して作動した条件装置にしたがってリール停止制御テーブルを選択する。このリール停止制御テーブルは予め全ての条件装置に1対1で対応するパターンが用意されており、これらは読み出し専用のテーブルデータとしてメイン基板409のROM1112に格納されている。
上記のステップS201にて成立している条件装置に基づいてリール停止制御テーブルが選択された状態になると、各リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられるまで待ち受け状態となる(ステップS202,S210,S217)。これらの待ち受け状態で、左リール301a、中リール301b、右リール301cの各リールがすでに停止しているか否か、あるいは第1リール停止フラグがONとなっていない状態(F=0、つまりOFFの状態)であるか否かを判定するとともに、合わせてリール停止ボタン211a,211b,211cの何れかが押下されたかについても判定する。全てのリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられるまでは、ステップS209の判定が満たされず、ステップS202以降の処理を繰り返す。
ここで、リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作の受け付けられた順番(停止操作手順)を、それぞれ「順押し」、「逆押し」、「中押し」と呼ばれる停止操作手順(または押し順ともいう)に分ける。
上記の「順押し」の停止操作手順とは、左リール301aを第1番目に停止させる操作手順(つまり、左リール停止ボタン211aを第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、
〔 左リール→中リール→右リール 〕、
あるいは、
〔 左リール→右リール→中リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「順押し」と呼ぶ。なお、後者の停止操作手順は特に「はさみ押し」とも呼ばれる場合もある。
上記の「逆押し」の停止操作手順とは、「順押し」と反対に右リール301cを第1番目に停止させる操作手順(つまり、右リール停止ボタン211cを第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、
〔 右リール→中リール→左リール 〕、
あるいは、
〔 右リール→左リール→中リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「逆押し」と呼ぶ。なお、後者の停止操作手順は特に「逆はさみ押し」とも呼ばれる場合もある。
上記の「中押し」の停止操作手順とは、中リール301bを第1番目に停止させる操作手順(つまり、中リール停止ボタン211bを第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、
〔 中リール→左リール→右リール 〕、
あるいは、
〔 中リール→右リール→左リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「中押し」と呼ぶ。
ステップS202では、左リール301aが停止状態となったことを示すフラグ(左リール停止フラグLF)がOFF(LF=0)であり、なおかつ、左リール停止ボタン211aの押下操作が受け付けられたかを判定する。ステップS201で、リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作の待ち受け状態から「順押し」の停止操作手順に沿って最初(第1番目)に左リール停止ボタン211aが押下されたとすると、ステップS202の判定が満たされ、ステップS203に移る。
ステップS203では、第1リール停止フラグがOFF(F=0)であるか判定する。ここでいう「第1リール」とは第1番目に停止操作が受け付けられる、あるいは第1番目に停止するリールのことをいう。この例(「順押し」)では、左リール301aの停止操作が第1番目に受け付けられるので、第1リール停止フラグがOFFの状態(F=0)となっている。従って、ステップS203の判定は満たされ、次のステップS204に移る。
次のステップS204では、左リール301aについて第1リール停止処理が行われる。この第1リール停止処理では、作動している条件装置に対応するリール停止制御テーブルに基づいて内部抽選フラグに対応する当選役図柄の停止位置の制御を実行する。
ステップS206では、残りの中リール301b、右リール301cのリール停止制御テーブルを決定する。前述のとおり、スロットマシン1の有効ラインは右上がりラインと右下がりラインとの2ラインのみであるため、この時点で残りのリール(中リール301b、右リール301c)の停止制御テーブルは1つに決定することができる。つまり、第1停止リール(この場合は左リール301a)の図柄表示窓401内の図柄(これを停止目と呼ぶ、以下同様)のうち特に上段位置または下段位置の図柄が当選役図柄となる可能性のある図柄であった場合、その該当図柄を基準とした有効ライン上に残りのリール(中リール301b、右リール301c)の該当当選役図柄を揃えることの可能なリール停止制御テーブルを選択することになる。
ステップS207では、第1リール停止フラグをON(F=1)として、次のステップS208に移る。
次いでステップS208では、左リール停止フラグLFをON(LF=1)として、ステップS209に移る。
そして、ステップS209では、全てのリール301a,301b,301cが停止状態となったかを判定する。この例では、まだ左リール停止フラグLFがONとなっただけであり、中リール301b及び右リール301cはまだ回転中であることから、この判定が満たされず、ステップS202に戻り以降の処理を繰り返し実行する。
そして、再びステップS202以降の処理が実行される場合、すでに左リール301aは停止状態となっているのでステップS202の判定は満たされず、ステップS210に移る。
ステップS210では、中リール301bが停止状態となったことを示すフラグ(中リール停止フラグMF)がOFF(MF=0)であり、なおかつ、中リール停止ボタン211bの押下操作が受け付けられたかを判定する。ここでは「順押し」の停止操作手順に沿うため、中リール停止ボタン211bの押下操作が受け付けられることとなる。従って、ステップS210の判定が満たされ、次のステップS211に移る。
ステップS211では、上記のステップS203と同様に第1リール停止フラグがOFF(F=0)であるか判定する。そして、この時点ではすでに第1リール停止フラグはON(F=1)となっているため、この判定が満たされず、ステップS213に移る。
ステップS213では、中リール停止処理として、作動している条件装置に対応するリール制御テーブル(この場合は上記のステップS206で決定したリール停止制御テーブル)に基づいて該当当選役図柄の停止位置の制御を実行する。そして、このとき中リール301bは第2番目に停止するリール(第2リール)となり、ステップS212,S214,S215は全て迂回され、ステップS216に移り、中リール停止フラグMFをON(MF=1)としてステップS209に移る。
そして、再度ステップS209では、左リール301a及び中リール301bが停止状態となっただけであり、まだ右リール301cは回転中で停止状態(右リール停止フラグRFがOFFとなっている)となっていないので、この判定が満たされず、ステップS202に戻り、再度以降の処理を繰り返し実行する。
さらに、3度目のステップS202以降の処理では、先ずステップS217で右リール停止フラグMFがOFF(MF=0)であり、なおかつ、右リール停止ボタン211cの押下操作が受け付けられたかを判定していくことになるが、以降のステップS218,S220等の処理は、上記のステップS210以降の処理(ステップS211,S213)と同様であるため詳細な説明は省略する。
そして、ステップS223にて、右リール停止フラグRFをON(MF=1)として、ステップS209に移る。
最後にステップS209では、この時点において、全てのリール301a,301b,301cが停止状態となっていることから、この判定が満たされ、リール停止処理が終了する。
なお、「中押し」の停止操作手順の場合も上記と同様の説明ができるため詳細は省略する。ただし、「逆押し」の停止操作手順の場合は上記の説明と一部異なる点があるため、以下に説明する。
「逆押し」の停止操作手順で、上記の「順押し」あるいは「中押し」の停止操作手順と異なる点は、ステップS221(第1リール停止処理の後に残りのリール停止制御テーブルの決定)についてである。すなわち、「逆押し」の停止操作手順では、右リール301cのみが停止状態となり、なおかつ、右リール301cの停止目のうち、下段位置に何れかの当選役図柄があった場合、まだ2つの有効ラインの何れにも該当当選役図柄を揃えることが可能である。従って、ステップS221の段階では、何れの有効ラインにも該当当選役図柄を揃えることのできるリール停止制御テーブルを複数用意しておき、何れかを選び出すものとすればよい。
[11−4−1.リール停止制御]
上記のリール停止処理では、成立フラグに対応した当選役図柄(該当当選役図柄)を極力図柄表示窓401内に引き込むリール停止制御を行う(いわゆる、引き込み制御といわれる)。具体的には、遊技者によるリールの停止操作が受け付けられた時点で、図柄表示窓401内に停止させることが可能な範囲(該当当選役図柄を引き込むことが可能な範囲、例えば、図柄4個分)を予め決めておき、その範囲内に該当当選役図柄がある場合、これを図柄表示窓401内に引き込んでリールを停止させる制御を実行する。なお、ここでいう「引き込むことが可能な範囲」とは、リールの停止操作が受け付けられてから当該リールが停止するまでに、リールの回転方向にみて移動が可能な図柄の最大数のことをいう。例えば、引き込み可能な範囲を最大で図柄4個分とすれば、当該リールの停止操作が受け付けられた場合、その位置を基点にしてさらに図柄4個分までリールの回転移動が可能となる。
従って、このようなリール停止制御によれば、リールの停止操作が受け付けられた時点で、図柄表示窓401内に該当当選役図柄がなかったとしても、該当当選役図柄が引き込み可能な範囲内にあれば、その該当当選役図柄を図柄表示窓401内にまで移動させたうえで停止させることが可能となる。また、この引き込み制御を行うことにより、遊技者は該当当選役図柄の目押しのタイミングが多少早かったとしても、引き込み可能範囲内に当該当選役図柄があれば、その当該当選役図柄を図柄表示窓401内に引き込んで停止させることができる。従って、取りこぼし(当該当選役図柄を揃えることができずに当該当選役に対応する遊技特典を獲得できずにその遊技特典が消滅してしまうこと)が生じることを極力抑えることができる。
スロットマシン1では、通常リプレイ役、ベル1、ベル2、ALL役等に対応する条件装置が作動している場合には、遊技者の目押しを必要とせずに必ず該当当選役図柄を揃えることができる(前述の図46参照)。これは、通常リプレイ役、ベル1、ベル2、ALL役等のそれぞれに対応する図柄組み合わせを構成する図柄については、対応するそれぞれの当選役図柄が最大で4個分の図柄おきに配置されているからである。
なお、リプレイ図柄についてさらに着目すると、左リール301a上では、リプレイ図柄からリプレイ図柄までのあいだに他の図柄が最大で4個分配置されている(図46参照)。これにより、左リール301aでは、リールのどの位置で停止操作が受け付けられても、リプレイ役に対応する条件装置が作動している限り、必ずリプレイ図柄を有効ライン上の何れかに引き込んで停止させることができる。
また、内部抽選の結果がボーナス役と小役との重複役である場合は、ボーナス図柄よりも小役を優先的に引き込むものとしている。ボーナス役と小役との重複役に当選した場合、この当選したゲームにおいては小役に対応する図柄組み合わせが表示されたとしても、次ゲーム以降においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが表示されるからである。
以上がテーブル方式によるリール停止処理の一例である。これとは別にコントロール方式によるリール停止処理があるが、これについても公知の処理を適用可能であるため、ここでは具体的な説明を省略する。また、本実施形態においてコントロール方式またはテーブル方式の何れのリール停止処理を実行してもよく、どの方式を採用するかは制御プログラムを構築するにあたって適宜決定すればよい。
[11−5.判定処理]
リール停止処理が終了すると、図柄表示窓401内にて何れかの有効ライン上に当選役図柄が揃っているか(何れかの当選役に該当する図柄の組み合わせ態様が表示されているか)否かについて判定を行う。図58では、この判定処理の内容を具体的に説明する。
リール停止処理により全てのリール301a,301b,301cが停止した状態となると、図柄表示窓401内の停止目の態様から、何れかの有効ライン上に当選役図柄が揃っているか(当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されているか)否かを判定する。なお、特に全てのリールが停止状態となった場合の停止目のことは出目と呼ばれることもある。
ステップS301、S302、S303では、それぞれ、SBゲーム中であるか、RBゲーム中であるか、BBゲーム中であるかを判定する。これはSB中フラグ、RBゲーム中フラグ、BBゲーム中フラグというゲーム状態フラグのON状態(=1)、OFF状態(=0)を判定することである。
SB中フラグがON(=1)となっていると、ステップS301の判定が満たされ、ステップS390に移る。同様にして、RBゲーム中フラグがON(=1)となっていると、ステップS302の判定が満たされ、ステップS380に移る。またBBゲーム中フラグがON(=1)となっているとステップS303の判定が満たされ、ステップS370に移る。
SB中フラグ、RBゲーム中フラグ及びBBゲーム中フラグの何れもOFF(=0)となっている場合、ステップS301、S302、S303の判定が何れも満たされず、ステップS304に移る。
ステップS304で、RTゲーム終了判定処理(詳細は後述する)を実行した後、何れかの有効ライン上に揃っている当選役図柄に応じて、さらに以下のステップS310,S320,S330,S340,S350の何れかに移る。
ステップS310では、BB図柄が揃っているかを判定する。何れかの有効ライン上にBB図柄が揃っている場合(「赤7図柄−赤7図柄−赤7図柄」)、この判定が満たされ、次のステップS312に移る。
次のステップS312では、BBゲーム開始処理を実行する。ここでは、BBゲームとして、メダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームが集中して行われるための処理をすることになる(詳細は後述する)。
ステップS320では、RB図柄が揃っているかを判定する。何れかの有効ライン上にRB図柄が揃っている場合(「白7図柄−赤7図柄−赤7図柄」)、この判定が満たされ、次のステップS322に移る。
次のステップS322では、RBゲーム開始処理を実行する。ここでは、RBゲームとして、BBゲームに準じたメダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームが集中して行われるための処理をすることになる(詳細は後述する)。
ステップS330では、SB役(SB1、SB2、SB3)に対応する図柄組み合わせが揃っているかを判定する。何れかの有効ライン上にSB役に対応する図柄組み合わせが揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS332に移る。
次のステップS332では、SBゲーム開始処理を実行する。ここでは、SBゲームとして、SB役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたゲームの次ゲームに限り、入賞役についての当選確率に準じたメダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームが集中して行われるための処理をすることになる(詳細は後述する)。なお、ステップS332のCRBゲーム開始処理は解決手段に記載の強制当選遊技状態開始手段に相当する。
ステップS340では、リプレイ図柄が揃っているかを判定する。何れかの有効ライン上にリプレイ図柄が揃っている場合(「リプベル図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」)、この判定が満たされ、次のステップS342に移る。
次のステップS342では、リプレイゲーム処理を実行する。このリプレイゲーム処理では、当該ゲームでのベット数と同じベット数(この例ではMAXベット)にて次回のゲームを開始させるために、MAXベットコマンドをRAM1114に一旦記憶させる。このコマンドに基づき、次回のゲームを再遊技として開始させることができる。
そして、ステップS344では、リプレイ当選フラグをOFF(=0)にして処理を終了する。
ステップS350では、小役図柄が揃っているかを判定する。何れかの有効ライン上に小役図柄が揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS352に移る。
次のステップS352では、揃っている小役図柄に応じた規定枚数のメダルの払い出しを実行する(メダル放出装置110より規定枚数のメダルを払い出す)。そして、メダルの払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612に表示する)。これにより、遊技者には当該小役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。
そして、ステップS354では、該当する小役当選フラグをOFF(=0)にして処理を終了する。
有効ライン上に何れの当選役図柄も揃っていない場合、上記のステップS310,S320,S330,S340,S350の何れの判定も満たされず、ステップS360に移る。なお、このときの出目は「ハズレ目(バラバラな図柄の組み合わせ態様)」とも呼ばれる。
ステップS360では、ハズレ処理を実行する。このハズレ処理では、この時点でON(=1)状態となっている当選フラグがBB及びRBを除く他の当選フラグの場合、当該当選フラグをOFF(=0)にする。また、何れの当選フラグもON(=1)となっていない場合(このときはハズレフラグがON(=1)となっている)には、ハズレフラグをOFF(=0)にする。
上記のステップS304からステップS360までの処理は、一般状態、通常RTの場合に実行する処理となる。次にステップS370以降の処理について説明する。ここでの処理は、BBゲーム(BB1ゲーム、BB2ゲーム)、RBゲーム(RB1ゲーム、RB2ゲーム)及びSBゲーム(SB1ゲーム、SBゲーム、SB3ゲーム)の場合に実行する処理である。
まず、ステップS370では、BBゲーム時払出役図柄が揃っているかを判定する。ここでいう「BBゲーム時払出役」とは、ALL役及びボーナスゲーム専用役の総称である。そして、何れかの有効ライン上にBBゲーム時払出役図柄が揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS372に移る。
次のステップS372では、揃っているBBゲーム時払出役図柄に応じた規定枚数のメダルの払い出しを実行する(メダル放出装置110より規定枚数のメダルを払い出す)。そして、メダルの払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612に表示する)これにより、遊技者には当該BBゲーム時払出役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。
ステップS372に次いで、ステップS374では、BBゲーム終了判定処理を実行する(詳細は後述する)。その後、ステップS376に移り、RTゲーム開始処理(詳細は後述する)を実行する。
また、上記のステップS370の判定が満たされない場合、ステップ378に移り、当該成立フラグをOFF(=0)にする。特にこの例では、取りこぼしが生じないため、当該成立フラグにはハズレフラグが該当する。すなわち、ステップS378では、当該ハズレフラグをOFF(=0)にする。
次にステップS380以降の説明をする。ステップS380では、RBゲーム時払出役図柄が揃っているかを判定する。なお、この「RBゲーム時払出役」も、前述のBBゲーム時払出役と同様にRBゲーム中に払い出しがある当選役の総称であり、本実施形態では、「BBゲーム時払出役」と同じである。そして、何れかの有効ライン上にRBゲーム時払出役図柄が揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS382に移る。
次のステップS382では、揃っているRBゲーム時払出役図柄に応じた規定枚数のメダルの払い出しを実行する(メダル放出装置110より規定枚数のメダルを払い出す)。そして、メダルの払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612に表示する)これにより、遊技者には当該RBゲーム時払出役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。
ステップS382に次いで、ステップS384では、RBゲーム終了判定処理を実行する(詳細は後述する)。その後、ステップS386に移り、RTゲーム開始処理(詳細は後述する)を実行する。
また、上記のステップS380の判定が満たされない場合、前述のステップ378に移り、当該成立フラグをOFF(=0)にする。これは先に説明したため、説明は省略する。
次にステップS390以降の説明をする。ステップS390では、SBゲーム時払出役図柄が揃っているかを判定する。なお、この「SBゲーム時払出役」も、SBゲーム中に払い出しがある当選役の総称である。何れかの有効ライン上にSBゲーム時払出役図柄が揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS392に移る。
次のステップS392では、揃っているSBゲーム時払出役図柄に応じた規定枚数のメダルの払い出しを実行する(メダル放出装置110より規定枚数のメダルを払い出す)。そして、メダルの払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612に表示する)これにより、遊技者には当該SBゲーム時払出役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。
ステップS392に次いで、ステップS394では、CRBゲーム終了判定処理を実行する(詳細は後述する)。その後、ステップS386に移り、RTゲーム開始処理(詳細は後述する)を実行する。
また、上記のステップS390の判定が満たされない場合、ステップ396に移り、当該成立フラグをOFF(=0)にする。これは先に説明したステップS378と同じ内容であるため、説明は省略する。
[11−5−1.BBゲーム開始処理]
前述の図58のステップS310の判定が満たされた場合、BBゲーム開始処理を実行する。このBBゲーム開始処理について図59を用いて説明する。
まず、ステップS401では、BBフラグ(BB1フラグ、BB2フラグ)がON(=1)となっているかを判定する。ステップS401の判定が満たされると、ステップS404に移る。ステップS404では、BBゲーム中フラグをON(=1)にする。また図示はしないが、このときBBフラグをOFF(=0)にする。次いでステップS406にて、BBゲーム中の累計払出枚数カウントをクリアする。これにより、次のゲームから累計払出枚数の累算が実行される。そして、次ゲームからは、通常ゲームと同様の賭け数3ベット(3枚賭け)にてBBゲームが開始される。
また、ステップS401の判定が満たされない場合、ステップS402に移り、エラー処理を実行する。このような場合となるのは、BBフラグがOFF(=0)であるにも関わらず、BB図柄が揃ってしまうような場合が該当する。すなわち、何らかの不正な手段(例えば、ゴト行為)が行われたか、あるいはスロットマシン1に故障が生じたか、何れかの場合に起こり得るものである。従って、エラー処理では、エラーランプ604の点灯や、その他前述のLED等にエラー発生を知らせる表示を行う。
[11−5−2.BBゲーム終了判定処理]
続いて、前述の図58のステップS374のBBゲーム終了判定処理について図60を用いて説明する。
まず、ステップS451では、前述の図58のステップS372にてメダルの払い出しがあったことを受けて、BBゲーム中の累計払出枚数に当該ゲームの払出枚数を加算する。
次にステップS452では、累計払出枚数が300枚(BB2の場合は200枚)を超えたかを判定する。このステップS452の判定が満たされない場合、ステップS454に移り、BBゲーム中の累計払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612等に表示する。なお、累計払出枚数は表示用のLED等を別途設けてこれに表示するものとしてもよい)。また、ステップS452の判定が満たされると、ステップS460に移る。
ステップS460では、BBゲーム中フラグをOFF(=0)にした後、ステップS462にてCRTゲーム開始フラグをON(=1)にして処理を終了する。
[11−5−3.RBゲーム開始処理]
前述の図58のステップS320の判定が満たされた場合、RBゲーム開始処理を実行する。このRBゲーム開始処理について図61を用いて説明する。
まず、ステップS501では、RBフラグがON(=1)となっているかを判定する。ステップS501の判定が満たされると、ステップS504に移る。ステップS504では、RBゲーム中フラグをON(=1)にする。また図示はしないが、このときRBフラグをOFF(=0)にする。次いでステップS506にて、RBゲーム中の累計払出枚数カウントをクリアする。これにより、次のゲームから累計払出枚数の累算が実行される。そして、次ゲームからは、通常ゲームと同様の賭け数3ベット(3枚賭け)にてRBゲームが開始される。このことにより、遊技者は通常ゲームと比べて特別な違和感を覚えることなくゲームを行うことができる。
また、ステップS501の判定が満たされない場合、ステップS502に移り、エラー処理を実行する。このような場合となるのは、RBフラグがOFF(=0)であるにも関わらず、RB図柄が揃ってしまうような場合が該当する。すなわち、何らかの不正な手段(例えば、ゴト行為)が行われたか、あるいはスロットマシン1に故障が生じたか、何れかの場合に起こり得るものである。従って、エラー処理では、エラーランプ604の点灯や、その他前述のLED等にエラー発生を知らせる表示を行う。
[11−5−4.RBゲーム終了判定処理]
続いて、前述の図58のステップS384のRBゲーム終了判定処理について図62を用いて説明する。
まず、ステップS551では、前述の図58のステップS382にてメダルの払い出しがあったことを受けて、RBゲーム中の累計払出枚数に当該ゲームの払出枚数を加算する。
次にステップS552では、累計払出枚数が20枚を超えたかを判定する。このステップS552の判定が満たされない場合、ステップS554に移り、RBゲーム中の累計払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612等に表示する。なお、累計払出枚数は表示用のLED等を別途設けてこれに表示するものとしてもよい)。
また、ステップS552の判定が満たされると、ステップS556に移る。
ステップS556では、RBゲーム中フラグをOFF(=0)にした後、ステップS558にてLRTゲーム開始フラグをON(=1)にして処理を終了する。
[11−5−5.ARTゲーム開始処理]
ARTゲームは、チャンスRTにおいて実行されるゲームであり、通常RTにおいてARTリプレイに当選し(遊技状態がチャンスRTに移行し)、さらにART付与抽選に当選したときに実行される。
ART付与抽選は、所定の条件が成立したことに基づいて行われる。本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選の結果がSB役(SB1、SB2、SB3)であることが、上記の所定の条件の一つに含まれる。すなわち、内部抽選の結果がSB役であることに基づいてART付与抽選が行われる。このART付与抽選に当選すると、SARTゲーム及びLARTゲームのうち何れを実行するかが決定される。なお、ART付与抽選は、内部抽選の結果がSB役(SB1、SB2、SB3)の単独役であるときのみならず、通常リプレイとの重複役(「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」、「SB3+通常リプ」)であるときにも行われる。
ところで、上述したように、本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選の結果がSB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役であったとしても、特定条件が成立しない限り、通常リプレイ役(単独役)に対応する図柄組み合わせ(再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせ)が有効ライン上に表示される。したがって、遊技状態がとくにチャンスRT2やチャンスRT3といったハズレがない遊技状態である場合やハズレがあったとしてもその確率が低い遊技状態である場合には、ART付与抽選が行われたのか否かを、有効ライン上に表示された図柄組み合わせの態様から把握することが困難となっている。ただし、特定条件が成立した場合には、上述したように、通常リプレイ役(単独役)に対応する図柄組み合わせ(再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせ)よりも、再遊技1、再遊技2、SB1、SB2又はSB3の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御される。これにより、チャンスRT2では、遊技者は、有効ライン上に表示された図柄組み合わせの態様から、ART付与抽選が行われるか否かを把握することは原則的には困難であるものの、特定条件が成立した場合に限り、有効ライン上に表示された図柄組み合わせの態様から、ART付与抽選が行われるか否かを把握することが可能となる。よって、遊技者は、チャンスRT2において、適正な押し順で操作されることを願ってリール停止ボタン211a〜211cを操作することとなり、リール停止ボタン211a〜211cの操作に面白みを持たせることが可能となる。とくに、内部抽選の結果が重複役であったとしても、次ゲーム以降にゲーム結果が持ちこされないSB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役であるから、ART付与抽選が行われるか否かを把握することが可能なゲームが1ゲーム限りとなる。
ART付与抽選に当選すると、SARTゲーム及びLARTゲームのうち何れを実行するかが決定されることについては上述したとおりであるが、SARTゲームは、例えば50ゲームを1セットとするARTゲームであり、LARTゲームは、例えば4000ゲームを1セットとするARTゲームである。
ART付与抽選に1回当選すると、1セットのARTゲームが実行される。そして、ARTゲーム中にART付与抽選が行われると、このART付与抽選に当選する毎に1セットのARTゲームが上乗せされていく。そして、この上乗せされた個数分のARTゲームが全て消化されるまで、ARTゲームが継続することとなる。以下、ARTゲーム開始処理について、図63を用いて詳細に説明する。
まず、ステップS801では、SARTゲーム開始フラグがON(=1)であるかを判定する。この判定が満たされた場合、ステップS802では、SARTゲーム回数を「50回」にセットする。
そして、次のステップS804では、SARTゲーム中フラグをON(=1)にする。また、図示はしないが、このときSARTゲーム開始フラグをOFF(=0)にする。これにより、次ゲームからSARTゲームが開始される。
一方、ステップS801の判定が満たされない場合、ステップS810に移り、LARTゲーム開始フラグがON(=1)であるかを判定する。この判定が満たされた場合、ステップS812では、LARTゲーム回数を「4000回」にセットする。
そして、次のステップS814では、LARTゲーム中フラグをON(=1)にする。また、図示はしないが、このときLARTゲーム開始フラグをOFF(=0)にする。これにより、次ゲームからLARTゲームが開始される。
また、上記のステップS801、S810の判定が何れも満たされない場合、何れの処理も行われず終了となる。
[11−5−6.ARTゲーム終了判定処理]
次にARTゲーム終了判定処理について、図64を用いて詳細に説明する。前述の図58の判定処理において、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示された場合、セットされた回数のARTゲームが行われた場合、ARTゲーム終了判定処理が実行される。
まず、ステップS901では、ARTゲーム中フラグ(SARTゲーム中フラグ、またはLARTゲーム中フラグの何れか)がON(=1)となっているかを判定する。この判定が満たされない場合、何れの処理も行われず終了となる。
そして、ステップS901の判定が満たされると、次のステップS902では、ARTゲーム回数を「1」だけ減算して、ステップS904に移る。
ステップS904では、残りのRTゲーム回数が「0」であるかを判定する。ARTゲーム回数が「0」であれば、この判定が満たされ、次のステップS906に移り、ARTゲーム中フラグ(SARTゲーム中フラグまたはLARTゲーム中フラグ)をOFF(=0)にする。
一方、ステップS904の判定が満たされない場合、ステップS910に移り、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されていないか否かを判定する。
そして、ステップS910の判定が満たされると、次にステップS906に移り、ARTゲーム中フラグをOFF(=0)にして処理を終了する。
ステップS910の判定が満たされない場合、処理は終了となる。
[11−6.演出動作の制御]
以上は、メイン基板409による制御の例であるが、スロットマシン1では、ゲームの進行にあわせて演出制御基板510により各種演出動作の制御を実行する。これはメイン基板409から出力される各種コマンド(情報コマンド、出力信号)に基づいて、演出制御基板510(主にCPU1118等)にて実行するものである。前述の通りメイン基板449から出力された各種コマンドは、一旦、RAM1122に記憶される。そして、当該コマンドに基づき、予め用意された演出態様を選択し、実行するものである。このような演出態様は、演出態様データテーブル(図示しない)としてROM1120内に格納されており、当該コマンドに対応する演出態様が複数用意されている。
例えば、演出態様としては、当該ゲームのみで完結するもの(以下、単発演出態様という)や、複数のゲームにわたって行われるもの(以下、連続演出態様という)などが含まれる。このうち、単発演出態様には、当該当選フラグを示唆する演出(示唆演出、告知演出、詳細は後述)、メダルの払い出しを知らせる演出(払出演出、なお、払い出し枚数までを知らせる態様でもよい)などがある。
示唆演出は、遊技者に当該当選フラグを直接的に知らせる演出(告知演出)とは異なり、当該当選フラグを間接的に知らせる演出のことをいう、例えば、当該当選フラグに該当する当選役の形、色などを表現した表示等を行うといったことである。また、示唆演出は、当該当選フラグがない場合(つまり、ハズレの場合)にも行われる。この場合には、ハズレであることを気付きにくい内容の演出とする(例えば、何れの当選役とも取れるような曖昧な内容)。これにより、当該ゲームがハズレであることを遊技者に気付きにくくすることができる。
告知演出は、例えば、当該当選フラグがBBであった場合、「ボーナス確定!」等、遊技者が当該ゲームで何れの当選役となったかを明確に知ることのできるものである。この演出は、特にBBやRBなど遊技者にとって喜ばしい当選役(メダルを大量に獲得できるため)について実行させるとより効果的である。すなわち、遊技者がBB等に当選した際に、そのことを祝福する意味合いを持たせることができるからである。
また、連続演出態様としては、一般状態、通常RT、チャンスRT中、ボーナス中等の遊技状態に対応したものがある。これらは、遊技状態がどのようになっているかを明確にするものであり、遊技者はこれらの演出(連続演出)が行われることにより、現在の遊技状態が、例えば通常RT中であるのかチャンスRT中であるのか、といった区別を付けることが容易となる。
そして、ARTゲーム中は、開始から終了まで、その旨を遊技者が認識できるよう連続演出を実行させる。例えば、SARTゲームの回数をカウントする表示や、規定回数に近づくにつれて危機感迫る効果音を発生させることなどである。このようにすると、遊技者はSARTゲームの残り回数がどれほどあるのか確認しながらゲームを進めていくことができる。
また、LARTゲームでは、連続演出は実行させるが、LARTゲームの回数のカウント表示は特に行わないものであってもよい。これはLARTゲームが4000回という遊技者から見て相当に長いゲーム期間であるため、規定回数の終わりをほとんど気にする必要が無いからである。そして、上記回数のカウント表示を行わないことは、例えば、遊技者がLARTゲームの規定回数を知り得ていない場合、いつまでARTゲーム(LARTゲーム)が続くのか分からずハラハラしながらARTゲームを続けられるという効果を奏することができる。
以上の演出態様は、画像表示体500による画像の表示や、スピーカ512等による効果音の発生、LED装飾等による発光や点灯等、として実行させることができる。このような演出態様は、遊技者が長い時間ゲームを続けている場合など、退屈な印象を与えづらくすることができるものである。なお、演出態様は、画像表示体500、スピーカ512、LED装飾等で実行されることに限られるものではない。例えば、画像表示体500に代えて、ELディスプレイ(Electroluminescence Display)や、ドットLEDを用いてもよい。さらに、キャラクタを模した人形や、可動可能な模型等や、サイドリール(例えば、各リールとは別の位置に配され、演出の一環として遊技者の操作に因らずにその始動と停止を実行するもの)や、あるいは、ランプなどの照明(例えば、回転灯に代表される回転可能なライト等)を設けて各種演出を実行させるものとしてもよい。このような方法をとれば、液晶表示等を用いずとも遊技者を十分に楽しませることが可能である。
次に、特殊遊技状態について説明する。特殊遊技状態とは、既述のとおり、ARTゲーム中にARTゲームの継続ゲーム数増加させうる遊技状態である。特殊遊技状態では、メイン基板はリールの回転制御について特殊演出処理(後述)を行い、演出制御基板はリール特殊演出処理に合わせて、ARTゲームの継続ゲーム数の上乗せのための処理を行う。先ず、特殊遊技状態への移行契機について説明する。通常RTの遊技状態において、例えば、ARTリプレイの当選役が成立して押し順に正解し、ART付与抽選に当選すると、メイン基板409は、通常RTをチャンスRT1(ARTゲームであるチャンスRT2の準備状態)に移行させる。メイン基板は、チャンスRT1の遊技状態で、ARTリプレイに当選し、演出制御基板による押し順の教示に従ってリール停止ボタンが操作されてARTリプレイの押し順に正解すると、チャンスRT1の遊技状態をチャンスRT2の遊技状態(ARTゲーム:例えば、既述のLARTゲーム又はSARTゲーム)に移行させる。
メイン基板は、チャンスRT2の遊技状態のときに、特定役としてのARTリプレイ1−3の何れか、又は、特定のARTリプレイに当選したこと(或いは、さらに、リール停止ボタンの押し順が正解され)を判定すると、遊技状態をチャンスRT2の状態に維持させたまま、特殊遊技状態を開始し、演出制御基板もメイン基板からのコマンドを受けて特殊遊技状態を開始する。既述したところでは、チャンスRT2における内部抽選によってARTリプレイに当選した場遊技状態がチャンスRT3に移行するとしたが、ここで説明するように、チャンスRT3に移行することなく、特殊遊技状態が開始される。もっとも、チャンスRT2のからチャンスRT3に移行し、チャンスRT3の状態から特殊遊技状態に移行させてもよい。チャンスRT3から特殊遊技状態に移行する場合の利点については後述する。また、チャンスRT1からチャンスRT3に移行して、特殊遊技状態に移行してもよい。
この特殊遊技状態は、チャンスRT2のゲーム数とは別モードで管理されており、規定ゲーム数の消化、あるいは、押し順ベル(AT1−AT10)のベルこぼ目で終了する。特殊遊技状態は、遊技者にARTゲームの継続ゲーム数を増加させるチャンスを与える遊技ゾーンであり、演出制御基板は、特殊遊技状態の継続期間中、ARTゲームの残りゲーム数を減算しない。特殊遊技状態間,ARTゲームの継続ゲーム数を演出制御基板が飛躍的に増加させうる特別遊技状態(後述)が存在する。メイン基板は特殊遊技状態が終了すると、遊技状態を、リール特殊演出を行わない遊技状態(チャンスART2)に復帰させる。演出制御基板は、ARTリプレイの当選による特殊遊技状態への移行を遊技者に報知するための演出を実行する。特殊遊技状態の終了契機を、規定ゲーム数の消化、又は、ベルこぼ目としたが、リプレイの一部(例えば、通常リプレイ+演出制御基板による転落抽選)を契機としてもよい。これによって、リプレイが表示される頻度は高いため、遊技者にはいつ特殊遊技が終了するか分からないという緊張感が生まれる。
従来では、当選確率が低い小役に基づいて、特殊遊技状態への移行、若しくは、移行抽選をしている遊技機が多かったので、当選確率が低い分、特殊遊技状態に期待できるタイミングも少ないものであった。今回、特殊遊技状態の契機の一つであるARTリプレイは通常リプレイと同じ図柄であるため、遊技者にはARTリプレイが当選したか、通常リプレイかは分からない(ARTリプレイに押し順が表示されない場合、又は、通常リプレイで押し順が表示される場合)。通常リプレイに当選したとしてもARTリプレイが当選したかもうしれないという期待感から、高頻度で特殊遊技状態に期待できるタイミングを発生させることができる。逆に、ARTリプレイに当選しているにも拘わらず、遊技者には通常リプレイかもしれないと思わせることもできるため、突然、特殊遊技状態に移行されたことによる驚きを遊技者に与えることもできる。特殊遊技状態への移行をARTリプレイの当選を契機としたが、その他、例えば、ハズレも含む全当選役で特殊遊技状態の移行抽選を演出制御基板側で行ってもよい。当選役がはずれで移行抽選に当選した際、演出制御基側で特定の押し順を案内し、メイン基板が特定の押し順でリール停止ボタンが操作されたことを認識した時に、特殊遊技状態に移行させるようにしてもよい。
特殊遊技状態が開始されると、特殊遊技状態の規定ゲーム数の毎ゲームで、メイン基板は、リールの特殊演出を実行する。演出制御基板は特殊遊技状態に移行すると、リールの特殊演出に同期或いは関連させながら、ARTゲームの継続ゲーム数に対する上乗せゲーム数を決定し、そして、ゲーム数の上乗せを報知するための演出を実行する。リール特殊演出とは、メイン基板(詳しくは、メイン基板に実装されているCPU)が、特殊遊技状態間の毎ゲームで、スタートレバー操作後、左中右リール停止ボタンへの操作が有効になるまでのタイミングを遅延させて、その間、左中右リールの少なくとも一つのリールの回転形態を通常の回転形態から種々の特殊パターンに変更できることをいう。
図65は、特殊遊技状態の始動処理を示すフローチャートである。メイン基板は、特殊遊技状態の毎ゲーム毎に図65のフローチャートを実行して、リール特殊演出のパターンを決定する。先ず、当選役(条件装置)に基づいて、リール特殊演出のパターンを選択する(S6500)。次いで、選択したパターンがパターン1か否かを判定し(S6502)、これを肯定する場合には、パターン1を実行する(S6504)。選択したパターンがパターン1でない場合にはパターン2か否かを判定し(S6506)、これを肯定する場合にはパターン2を実行する(S6508)。選択したパターンがパターン2でない場合にはパターン3か否かを判定し(S6510)、これを肯定する場合にはパターン3を実行する(S6512)。選択したパターンがパターン3でない場合にはパターン4を実行する(S6514)。次いで、メイン基板は、特殊遊技状態の終了を判定し(s6516)、これを肯定する場合には、特殊遊技状態を終了して、リール特殊演出が行われない通常のARTゲーム(チャンスRT2)に戻り、これを否定する場合にはS6500にリターンする。
図65のフローチャートによれば、メイン基板は、特殊遊技状態の期間中ゲーム毎に、当選役(条件装置)に基づいてリール特殊演出のパターンを決定する。リール特殊演出パターンには複数のパターン(パターン1〜パターン4)が設定されている。図66にリール特殊演出のパターン設定・選択テーブルの一例を示す。このテーブルは、メイン基板のROMの所定領域に記憶されている。メイン基板は、特殊遊技状態の毎ゲームで当選役を抽選によって決定した際に、テーブルを参照して当選役に基づいて一つのリール特殊演出パターンを決定する。
一つの当選役に複数のリール特殊演出パターンが対応している場合には、メイン基板は振り分け抽選を行ってリール特殊演出パターンを決定する。図66のテーブルの数字はリール特殊演出パターンの当選確率を示す分子の値である(分母の値は256)。図67はリール特殊演出のパターン1〜パターン3のリール特殊演出実行制御テーブルであり、図68はパターン4の実行制御テーブルである。メイン基板はリール特殊演出パターンを決定した後、決定したリール特殊演出パターンに対応するリール特殊演出制御テーブルを読み出して、各テーブルの制御順番にしたがってリールの回転形態を制御しながらリール特殊演出を実行する。
図66に示すように、特殊演出パターン(図67のパターン1)は、内部抽選においてBB1、BB2、RB1またはRB2といったボーナス役に当選した場合に選択されるテーブルである。特殊演出態様1によって実行されるリール特殊演出の説明として、先ず、メイン基板は、スタートレバーの操作後、リール停止を無効とし、左リール(L)、中リール(N)、そして、右リール(R)を所定時間回転させないウェイト(W)状態に制御する(順番1)、次いで、全リールを逆回転(R)させる(順番2)。そして、中段のラインに第1の特定図柄が表示されるように左リールを停止(S)させ(順番3)、中段のラインに第2の特定図柄が表示されるように中リールを停止させ(順番4)、そして、中段に第3の特定図柄が表示されるように右リールを停止させる(順番5)。さらに、メイン基板は、所定時間のウェイト状態に制御し(順番6)、そのウェイト状態後、又は、ウェイト状態の途中で遊技者によってスタートレバーが操作されるとウェイト状態を中断して、リール特殊演出を終了し、次いで、リールを正回転させ、リール停止ボタンの操作を受け付けるようにする。
メイン基板は、リール特殊演出によって中段ラインに表示される第1の特定図柄、第2の特定図柄、及び第3の特定図柄は、内部抽選によってどの当選役に当選したかによって異ならせている。つまり、BB1、BB2に当選したかRB1、RB2が当選したかによって、中段ラインに表示される特定図柄が異なり、当選に基づいて表示されることが許容される図柄が中段ラインに表示される。例えば、BB1に当選した場合は、リール特殊演出によって表示される第1の特定図柄、第2の特定図柄、及び第3の特定図柄が「青7図柄」となる。尚、中段ラインに「青7図柄」が表示されるリール特殊演出を実行する具体的なメイン基板の処理として、メイン基板は前ゲームで停止された状態にある「青7図柄」の位置を把握する処理を実行しており、リール特殊演出が実行される決定に基づいて、前ゲームで停止された状態にある「青7図柄」の停止位置から、中段ラインに表示されるために必要なコマ数分リールを可動する制御を行う処理を実行する。
リール特殊演出パターン1において、リール特殊演出(順番1〜6)が実行された後、リール停止ボタンが操作可能な状態となり、中段ラインに表示された「青7図柄」(当選役がBB1の場合)が遊技者によるリールの引き込み制御可能な範囲内で停止操作が受付けられた場合には、「青7図柄」が有効ライン上に揃う図柄組合せでリールが停止される。BB1、BB2、RB1またはRB2に対応した図柄組合せが成立することで、メイン基板は判定処理に伴い、BBゲーム開始処理を実行し、そして、BB(RB)ゲームの遊技後にBB(RB)ゲーム終了判定処理を行ってBB(RB)ゲームを終了させ、リール特殊演出を伴わない通常のチャンスART2状態に復帰する。尚、BB(RB)ゲーム中は、BB(RB)ゲームが終了するまでチャンスART2状態のチャンスゲームの消化は保留される。
上述した通り、特殊遊技状態における特殊演出パターン1(後述の図67)が実行された場合には、内部抽選における当選した当選役に対応して成立する図柄組合せを遊技者のリール停止操作が行なわれる前(順番2−5)に事前に教授されることとなる。そのことにより、遊技者はリール特殊演出に対する興趣の向上が図られるだけではなく、内部抽選における当選された当選役を当選ゲーム中に把握することが可能となる。当選役に対する把握が困難な遊技経験の浅い遊技者であっても当選役が成立していることに気づき、無駄な遊技による遊技メダルを消費してしまうことが防止できる。さらに、特殊演出パターン1の順番6において、当選役に対応した図柄組合せが表示された状態から所定時間停止する処理の後に、遊技者のスタートレバーの操作を契機にリール特殊演出が終了し、リールの通常の回転が開始される。これにより、遊技者は、当選された当選役の把握をした状態から、任意のタイミングでリール回転を自ら開始させることが可能であるため、遊技者が当選役に対応する図柄を停止させるための態勢が整うまでの時間的猶予を自から調整することができ、さらに、リールの停止操作前のリールの回転が、特定図柄組合せが揃った状態(順番3−5)から開始されるため、リールの回転速度を低下させる等することなく、リールが通常の速度で回転する場合でも所謂目押しの難易度を低下させることができる。
なお、手順6後におけるリールの回転開始は目押しの難易度を低下させるため、各リールを同時に回転することが好ましいが、回転時期を各リール同時とせずバラバラに開始させるようにしてもよい。それにより目押しの難易度が段階的に異なる様々なパターンに基づいて、遊技者を目押し遊技に挑ませることによる興趣の向上も可能となる。
図66に示すように、パターン2,3(図67は、当選役がボーナス(パターン1)以外で、かつ、当選役がBARリプレイ(パターン4)以外の場合に選択されるものであり、リールの回動に代えてリールの振動(V)に基づくリール特殊演出が実行される。リールの振動とは、リールが1図柄分の回転角度の範囲内で短い周期で正逆回転を数回繰り返すリール演出のことである。パターン2では、メイン基板は、左リール、中リール、右リールをこの順番に振動させた後(順番1−3)、全リールを所定時間ウェイトさせ(順番4)、次いで、リールがフリーズされている状態を解除して、リール停止ボタンの操作を有効にする。次いで、遊技者が停止ボタンを操作してリールを停止させると、当選役に基づいて表示された図柄組合せに応じて、演出制御基板はARTゲームの上乗せゲーム数を決定する。これはパターン3でも同じである。
パターン3では、メイン基板は、左リール、中リール、右リールをこの順番に振動させた後(順番1−3)全リールを所定時間ウェイトさせ(順番4)、次いで、右リール、中リール、左リールをこの順番に振動させて(順番5−7)全リールを所定時間ウェイト(順番8)させた後、リールのリール特殊演出状態を解除して、リール停止ボタンの操作を有効にする。演出制御基板は、当選役に応じて、ARTゲームの継続ゲーム数上乗せ等の特別利益を発生させてもよいし、或いは、ゲーム数の上乗せの要否抽選、上乗せゲーム数の振り分け抽選を行うようにしてもよい。
遊技者は、特殊遊技状態のゲーム毎に、リール特殊演出パターンから、特定の当選役の成立やゲーム数上乗せの特典の大小を意識することができる。既述の通り、リール特殊演出がパターン1の場合には、ボーナスに当選したことを知ることができ、パターン3の場合にはパターン2よりより多くのゲーム数の上乗せを期待することができる。パターン3におけるリール特殊演出は、パターン2のリール特殊演出よりも、3つのリールが順番に振動する工程が一つ多く、遊技者に与える印象が強い。よって、パターン3のリール特殊演出が実行された場合には、演出制御基板は上乗せゲーム数を大きくすることが好適である。
パターン4(図68)は、リール特殊演出の中でも、演出制御基板が上乗せゲーム数を飛躍的に増加させうる特別遊技状態で行われるリール特別演出である。図68はメイン基板がパターン4のリール特別演出を実行するための制御テーブルであり、図69はメイン基板によって実行される、リール特殊演出のパターン4を実行するためのフローチャートである。図66に示すように、パターン4は、特定役(BARリプレイ)が抽選された場合に限って選択され、メイン基板は、一つのゲーム内で、特定図柄(BAR)の組合せを複数回成立させ、演出制御基板は、特定図柄の組合せが成立する都度上乗せゲーム数を決定して遊技者に表示する。メイン基板は継続抽選に当選する限り特定図柄の組合せによるARTゲームの上乗せ遊技を継続する。継続抽選はループ率で管理されており、ループ率には複数のモード、例えば、ループ率70%のモードと、ループ率80%のモードとがある。なお、特定図柄がBAR図柄であることから、遊技者の注目を集め易く、遊技者は特別な遊技状態になったことを認識することができる。
図69に示すように,メイン基板はスタートレバーの操作を受け付けて(S6900)、乱数抽選の結果(S6902)、当選役がBARリプレイであることを判定すると、リール特殊演出パターン4を選択すると共に、継続抽選のループ率のモードを抽選によって決定する(S6904)。複数あるモードの夫々が所定の割合で抽選されるように振り分率が管理されている。
次いで、リール特殊演出処理に移行し(S6906)、メイン基板は、図68に示すように、パターン3と同様なリール特殊演出(順番1〜9)を実行した後全リールの振動演出を実行し(順番10)、左右リールを正回転(F)、中リールを逆回転(R)させて、準備目で全リールを停止させる(順番11)。
準備目とは、特定図柄(BAR図柄)の組合せの準備状態としての図柄組合せであり、例えば、図70の(1)に示すように、左リール、中リール、右リールで斜め右上がりラインでのリプレイ図柄の組み合わせである。()内の数字は、3つのリールの図柄配列(図46)における配列番号である。図70(1)に示すような、準備目が表示されている状態では、左右リールの下段の直下位置には特定図柄(BAR)が停止し、中リールの上段の直上位置に特定図柄が停止していて、この状態では遊技者は準備目を単なる遊技メダルの払い出しがなく高頻度に成立しうる単なるリプレイに過ぎないと思い込んで特定図柄の成立を予見することができない。すなわち、リプレイ図柄がライン上に成立した段階では、遊技者は、BARリプレイ当選役の成立を意識することができない。従来の遊技機では、図柄表示領域内に特定図柄組み合わせを表示しないものの、素早く表示領域に特定図柄組合せを表示させるために、図柄表示領域の枠上や枠下などに特定図柄組合せが揃った状態で待機させていた。しかし、図70(1)の形態では、特定図柄組合せがバラけて配置されているために、遊技者は特定図柄組合せを予測できるものではない。
メイン基板は、全リールを所定時間ウェイトさせた後(順番12)、左右リールを2図柄分逆回転させ(下から上へ回転)、中リールを2図柄分正回転させて(上から下へ回転)、すなわち、全リールの最小限の回転量により、S6908において、図70(2)に示す如く中段のラインに特定図柄の組合せを成立させるようにリールを停止させる(順番13)。遊技者は、左右のリールと中リールとが互いに反対方向に回転しながら(複数のリール夫々が不規則的に回転しながら)、図柄の組合せの形態が準備目から瞬く間に突然に特定図柄の組合せに変化したことによって、この時点で初めて特殊遊技状態のうちのパターン4に基づく特別遊技状態に移行したことを初めて意識することができるようになる。
ARTゲーム(チャンスRT2)での成立役はほぼリプレイであり、リプレイ(高頻度当選役)を繰り返すだけでは、ARTゲームとはいえ単調な遊技となってしまうが、既述のように、リプレイ図柄組合せが突如として特定図柄の組合せに変化するリール特殊演出によって、高頻度に当選するだけで単調なリプレイ図柄組合せが表示された状態でも特定図柄の組合せが表示されうるという期待を特殊遊技状態の期間中毎ゲーム毎に遊技者に与えることができる。
既述のパターン2からパターン4は夫々リールの振動を利用したリール特殊演出処理をベースにしており、パターン2の演出が発生した場合は、遊技者はパターン3の演出に進むことを期待し、パターン3の演出が発生した場合には、パターン4の演出に進むことを期待する。パターン4の演出では、中段のラインに特定図柄の組合せが表示されたことを受けて、演出制御基板は上乗せゲーム数(付与特典)を抽選等によって決定することができ、これを遊技者に報知する(S6910)。
次いで、メイン基板は、全リールを所定時間ウェイトさせた後(順番14)、全リールを振動させ(順番15)、さらに、再度全リールを所定時間ウェイトさせる(順番16)。次いで、メイン基板は、左右リールを2図柄分正回転させると共に中リールを2図柄分逆回転させて、中段ラインに特定図柄組合せが揃っている状態(図70(2))から既述の準備目の状態(図70(1))になるように、準備目の図柄の組合せを瞬時に再現する。
次いで、メイン基板は全リールを所定時間ウェイトさせ(順番18)、この間、ループ率モードの抽選で得られたループ率で、順番13以降の処理を継続させるか否かの継続抽選を実行する(S6912)。このウェイト時間が経過すると、メイン基板は新たなウェイト時間をセットし(順番19)、この間、演出制御基板は継続抽選の結果を遊技者に報知する契機として、遊技者の操作(例えば、スタートレバー(特定図柄の際表示手段)の操作)を促す演出を行う(S6914)。遊技者の操作にはベットは必要なく、遊技者がスタートレバー等を操作した時点と所定時間の経過との早い方のタイミングで(S6916)、メイン基板は継続抽選の結果に基づいて継続処理態様を設定する。即ち、メイン基板が、特別遊技状態の継続を判定すると(S6918 YES)、所定のウェイト時間経過後順番13のステップに戻り(順番20)、図柄の組合せを既述の準備目の状態から中段に特定図柄の組合せが揃うようにリールの駆動制御を実行する(図70の(2)→(1))。
一方、メイン基板が継続抽選に外れて特別遊技状態の非継続を判定すると、ウェイト時間の経過後(順番20)、全リールを正回転させてリールリール特殊演出を解除して(順番21)、リール停止ボタンの操作を有効にする(S6920)。そして、演出制御基板はBARリプレイに対する押し順の教示演出を行う(S6922)。遊技者が現在のゲームにおける当選役であるBARリプレイの押し順に正解し、リール停止ボタンを適正なタイミングで操作して中段にBAR図柄の組合せが表示されると(S6924 Yes)、メイン基板は次ゲームを再遊技の状態にするとともに、演出制御基板にゲーム数の上乗せの処理(特典付与)を実行させるとともに、上乗せゲーム数の告知をさせながら特別遊技状態が終了することを報知させる(S6926)。
このように、本発明の遊技機は、複数種類の図柄が付された複数の可動体と、前記複数の可動体の回転を開始させる始動開始手段と、前記複数の可動体に対応して設けられ、前記複数の可動体の回転を個別に停止させる停止手段と、前記始動開始手段に基づいて当選役に関する抽選を行なう抽選手段と、前記抽選の結果に基づいた図柄組合せを表示する図柄表示手段と、前記図柄表示手段に表示された図柄組合せに基づいて賞を付与する賞付与手段と、前記抽選手段による抽選とは異なる抽選を行なう別抽選手段と、前記別抽選手段によって行われた抽選の結果に基づいて前記賞付与手段によって付与される前記賞とは異なる特典を付与しうる特典付与手段と、前記特典付与手段によって前記特典が付与される場合に、前記始動開始手段の操作に基づいて、前記複数の可動体の始動が開始された後に前記可動体による演出を行なう特典付与期待演出手段と、前記特典付与期待演出の実行後に、前記停止手段の操作に依らず、前記図柄表示手段に所定の図柄組合せを視認可能な態様で表示させることで、該停止手段の操作が有効とされる以前に前記特典付与手段によって前記特典が付与されることを教示する特典付与教示演出と、前記特典付与期待演出が実行されたにも拘わらず、前記特典付与教示演出が実行されずに前記所定の図柄組合せが表示されなかった場合であっても、前記停止手段の停止操作に基づいて前記所定の図柄組合せの停止表示を許容しうる特定態様表示許容制御手段と、前記特定態様表示許容制御手段によって許容された前記所定の図柄組合せの停止表示に基づいて、前記賞付与手段による前記賞と加えて、前記特典を付与しうる特典付与再機会手段と、を備えることを特徴とすることによって、特殊遊技状態における遊技者の利益を図っている。
なお、遊技者がリール停止ボタンの押し順に正解しながらリール停止ボタンを適正なタイミングで操作しなかった場合、複数のリールは中段ラインに特定図柄組合せを表示できない図柄組合せで停止するが、メイン基板は次ゲームを再遊技の状態し、そして、演出制御基板はゲーム数の上乗せを行いつつも、上乗せゲーム数を表示しない(S6948)等、リールを適正なタイミングで操作した遊技者との差別を図るための演出処理を行ってもよい。このように、特定図柄の組合せが揃わなくとも遊技者に特典を付与するようにしてもよい。特定図柄組合せが揃った場合は、特定図柄組合せが揃わなかった場合に比べて遊技者に有利になるようにすることが望ましい。例えば、特定図柄が3つのリール全てに停止されずとも、特定図柄が有効ラインに停止されたリールの数に応じた特典を付与させることや、特定図柄組合せが揃った場合には付与する特典の内容を遊技者に報知するが、特定図柄組合せが揃わなかった場合には、既述のとおり、付与する特典の内容を秘匿にするなど、リールを適正なタイミングで操作した遊技者との差別を図るための演出処理を行なうことが望ましい。
パターン4によるリールリール特殊演出によれば、継続抽選に一度も当選しなくても、遊技機は、一ゲームの間に順番13と順番21の二つの段階でゲーム数の上乗せを行うために、遊技者のARTゲームの継続ゲーム数の上乗せに対する期待に答えることができる。
一方、継続抽選に当選する限り、一つのゲームの中でARTゲーム数の上乗せが繰り返し実行されるために、遊技者はゲーム数上乗せの加速感を味わうことができる。そして、ARTゲーム数の上乗せが最初に実行される特定図柄の組合せの表示(順番13)から、ARTゲームの上乗せの継続(段階20)までが、複数のゲームに跨らず現在行われている一つのゲーム内で進むために、遊技者はARTゲーム数の上乗せが一気に進むという加速的な遊技感を味わうことができる。
既述のとおり、特殊遊技状態の開始の時点では、BAR図柄組合せが成立する前に、リプレイ図柄組合せが表示される。このようにすることにより、リール特殊演出が開始され、先ず、特典が余り期待できないリプレイ図柄の表示の後高特典が期待できるBAR図柄組合せが成立するという意外感を特殊遊技の開始時点から遊技者に与えることができる。そして、メイン基板が、特殊遊技の途中でBAR図柄組合せが表示される前に必ずリプレイ図柄組合せを準備目として表示することにより、遊技者にリプレイ図柄に対する期待度を向上させることができる。リプレイ役は、通常遊技状態、ARTゲーム状態でも高頻度に当選するものの、払い出しが無い分低特典役であり、リプレイ図柄組合せ表示されてもあまり期待されるものではないが、リプレイ図柄組合せを特定図柄組合せの準備目とすることによってリプレイ図柄組合せに対する期待度を向上させることができ遊技感を高揚させることができる。
すなわち、本発明の遊技機は、複数種類の図柄が付された複数の可動体と、前記複数の可動体の回転を開始させる始動開始手段と、前記複数の可動体の回転を個別に停止させる停止手段と、前記始動開始手段に基づいて複数の当選役に関する抽選を行なう抽選手段と、前記停止手段の操作に起因して、前記抽選の結果に対応する図柄組合せを表示可能な図柄表示手段と、前記図柄表示手段に表示された図柄組合せに基づいて遊技利益を付与する遊技利益付与手段と、備え、前記複数の当選役は、比較的高い確率で当選しうる高頻度当選役、及び当該高頻度当選役よりも低い確率で当選しうる低頻度当選役と、を有し、さらに、前記抽選手段によって前記低頻度当選役が当選した場合には、前記遊技利益付与手段によって付与される前記遊技利益とは異なる特定利益をさらに付与しうる特定利益付与手段と、前記抽選手段によって前記低頻度当選役が当選された場合に、当該低頻度当選役に対応する図柄組合せが前記図柄表示手段に表示されうるように前記複数の可動体の制御を実行する低頻度当選役表示手段と、前記低頻度当選役表示手段の制御に基づき、当該低頻度当選役に対応する図柄組合せが表示されたことに伴って、前記特定利益の付与を遊技者に教示しうる特定利益付与教示手段と、前記抽選手段によって前記低頻度当選役が当選した場合であっても、当該低頻度当選役に対応する図柄組合せの表示に先駆けて、前記高頻度当選役に対応した図柄組合せを表示する前記複数の可動体の制御を実行可能な図柄態様強制変換手段と、を備えることを特徴とするため、低頻度当選役に対する期待感を増加させて遊技の興趣感を向上させることができる。なお、ここで説明した各処理(手段)は、メイン基板及び/又は演出制御基板によって実行される。
既述のとおり、リプレイ図柄組合せが準備目として表示されている状態では、表示窓の枠外で特定図柄(BAR図柄)が一直線ではなく、図柄表示窓の上部枠外と図柄表示窓の下部枠外にバラケて位置しているために、準備目から特定図柄組合せが成立する際に、非規則性を与えることができる。さらに、リールの移動量が最短になるように、特定図柄が図柄表示窓外の直近位置で留まっているため、複数のリールの互いに異なる方向への数コマ内の移動で特定図柄組合せが枠外から中段のラインに表示されるようになり、遊技者には特定図柄組合せが突然目の前に出現したかのような意外感を与えることができる。
既述のとおり、メイン基板は継続抽選に外れたことを判定すると、リールの特殊演出状態を解除してリール停止ボタンの操作を受付けようになる。遊技者は、リールが回転していない場合にはリールを回転させた後、ARTゲーム継続数の上乗せに期待しながら当選役である特定図柄組合せを表示するようにリールを停止させようとする。リールがリール特殊演出状態におかれた特別遊技状態の間、継続抽選に当選する場合には当選する都度複数、あるいは、継続抽選に一回も当選しなくても特別遊技状態の開始の段階で、メイン基板は当選役に対応する特定図柄組合せを表示する。これを記憶している遊技者は、パターン1において、リール特殊演出後リール停止ボタンが有効にされてリールを停止させる際、ボーナス図柄の目押しが補助されたように、パターン4の場合でも同様に特定図柄(BAR図柄)の組合せを目押しし易くなる。
リール特殊演出が解除されると、遊技者は任意の時点でスタートレバーを操作して、準備目を表示しながら停止しているリールを回転させ始めることができ、その後、当選役対応図柄を狙ってリールを停止させることができる。遊技者は任意の時点でリールを回転させることができるので、当選役に対応する図柄を狙うタイミングを自ら作り出すことができるようになる。任意のタイミングとは、図68の順番19のウェイト時間内の所定の時点である。なお、図68において、スタートレバーが操作されないと、順番19と順番20の所定時間が経過した時点でリールが回転することを説明したが、順番18と順番19を次のように変更してもよい。
順番18:所定時間ウェイト(スタートレバーの操作促進演出)
順番19:継続抽選が終了するウェイト(スタートレバーの操作を契機に継続抽選を行う。)
この例によれば、遊技者がスタートレバーを操作するまで、リールが回転(順番21)しない。したがって、遊技者の意思によって更に任意にリールを回転させ始めることができる。遊技者によって任意のタイミングでのスタートレバーに対する操作が特殊遊技状態の継続抽選を兼ねることによって、特定図柄配列が表示されるか否かという遊技者の期待感と相まって、遊技の興趣を向上させる点において有効である。
以上のとおり、本発明に係る遊技機は、複数の図柄が付されている複数の回転体と、前記複数の回転体の回転を始動させる始動手段と、前記始動手段によって回転された前記複数の回転体を停止させる停止操作手段と、前記始動手段が操作されたことに起因して当選役に関しての抽選を行う抽選手段と、前記停止操作手段が操作された場合に、前記抽選手段に当選した前記当選役に対応する図柄組合せを図柄表示領域に表示しうるように前記複数の回転体の停止制御を実行する停止制御手段と、前記図柄表示領域に表示された前記図柄組合せに基づいて遊技者に遊技利益を付与しうる遊技利益付与手段と、を備え、前記停止制御手段は、前記抽選手段により前記当選役のうち特定役が当選した場合に、前記図柄表示領域に特定の図柄組合せが表示されうることを許容し、且つ前記停止手段が適正操作態様で行なわれた場合には、当該特定の図柄組合せが表示されるように前記停止制御手段の制御を実行する特定態様許容手段を有し、さらに、前記特定態様許容手段によって前記特定の図柄組合せが表示されうることが許容されているにも拘わらず、前記停止操作手段の操作受付を行なわない操作非受付手段と、前記操作非受付手段によって前記停止操作手段の操作受付が行われていない間に、前記複数の回転体の可動を制御して前記図柄表示領域に前記特定の図柄組合せを表示させた後、図柄組合せを遊技者に認識可能な待機状態で維持する当選役明確化手段と、前記当選役明確化手段によって前記待機状態にある前記複数の回転体を遊技者の任意な頃合で始動させるべく、遊技者による所定操作に起因して当該複数の回転体の回転をさせる適正操作補助手段と、前記適正操作補助手段による前記複数の回転体の回転に伴って、前記停止操作手段の操作受付を有効とする操作受付開始手段と、を備えたことを特徴とするため、遊技者に対して当選役に対応する図柄組合せの目押しを援助することができるようになる。
特殊遊技状態の規定ゲーム数(例えば10ゲーム)が消化されるなどして、ARTゲーム数の上乗せのための遊技処理が終了すると、演出制御基板は、ARTゲームの上乗せ数の総計を表示する。メイン基板は、特殊遊技状態が終了したゲームの次ゲームから特殊遊技状態を継続させることもできる。継続遊技の終了契機を、通常リプレイ役の成立、又は、ベルこぼ目にすることができるし、規定ゲーム数の消化としてもよい。特殊遊技状態が通常リプレイが当選したときに終了することによって、通常リプレイの当選確率は高いために、継続ゲームの継続期間は比較的短期間に調整される。メイン基板は特殊遊技状態の継続を抽選によって決定してもよい。
既述の実施形態では、チャンスRT2の遊技状態から特殊遊技状態に移行することを説明したが、チャンスRT3の遊技状態からでもARTリプレイに当選した時点で、特殊遊技状態に移行することを確定させてもよい。チャンスRT3の遊技状態は当選役に基づいてチャンスRT1から移行可能であり、また、チャンスRT2の遊技状態からも移行可能である。図49から分かるように、チャンスRT3でのART1−3の当選確率はチャンスRT2の当選確率より10倍高い値であるために、チャンスRT3をARTゲームから特殊遊技状態への突入のための高確率モードとして位置付けることもできる。なお、特殊遊技状態の際、ARTリプレイが作動(ARTリプレイの当選及び押し順が正解)しても、メイン基板は特殊遊技状態を維持し、新たな特殊遊技状態には移行しない。また、既述の説明では、メイン基板は、特殊遊技状態のとき、全当選役でリール特殊演出が行われることを説明したが、特定の当選役のときにリール特殊演出を行うようにしてもよいし、抽選によってリール特殊演出の要否を決定してもよい。
[11−7.当選役に対応する条件装置の優先度設定]
[10−1]や[11−4]等で前述してきたように、スロットマシン1では、例えば内部抽選で「AT1」〜「AT10」の何れかが当選役として選択された場合等に、リールの停止操作が適正な押し順で行われた場合と不適正な押し順で行われた場合とで、賞として払い出されるメダル枚数が異なる。そして、本実施形態によるスロットマシン1では、このような押し順によって異なる図柄の組合せを停止させる制御を、当選役に対応する条件装置(又は、条件装置の組合せを含む条件装置)において、当該条件装置に対して優先度を設定することにより、所定の条件下で優先して作動する条件装置を定めることを1つの特徴とする。
図71(a)〜図71(c)は、条件装置の優先度の設定について説明するための図である。図71(a)は、小役ごとに対応する図柄の組合せ及び払出数を示す図であり、図71(b)は、条件装置ごとの内容を示す図であり、図71(c)は、当選役の一例に対する優先度条件等を示す図である。なお、ここで説明する小役の内容は、図51〜53で説明するものとは異なっているが、これは説明の便宜上の理由からである。以下では、図71(a)〜図71(c)に示した簡易的なモデルを用いて、条件装置の優先度の設定について説明するが、説明を分かりやすくするために、リールの停止操作における最初の押し順が左中右のどのリール停止ボタンを操作したによって押し順正解として(所謂3択)、条件装置の優先度が変わってくるものについて、リール停止ボタンの押し順とリールの図柄の引き込み制御との関係について説明する。
まず、図71(a)に示すように、小役1〜8は、それぞれ、左、中、右の各リールに付された図柄「ベル1」又は図柄「ベル2」の組み合せから構成されており、有効ライン上に各小役の図柄組み合わせ(ベル図柄)が成立した場合には、9枚のメダルが払い出される。ここで、第1リール(左リール301a)及び第3リール(右リール301c)において、ベル1,ベル2には、有効ライン上に引き込み制御を実行可能とするためにそれぞれ適正な停止タイミングが存在しており、不適正な停止タイミングの場合には、各ベルを有効ライン上に引き込むことができないとする。しかし、ベル1又はベル2の何れかが有効ライン上に引き込めれば良いとする場合(すなわち、ベル1、ベル2を区別しない場合)には、どのような停止タイミングであっても、何れかのベルが有効ラインへの引き込み制御を実行可能な範囲内に配置されているとする。
次に、図71(b)に示すように、各小役に対して条件装置1〜9が定義されている。まず、各条件装置1〜9が、個別に選択されて作動する場合について説明する。条件装置1〜8は各小役1〜8に対応した条件装置であるので、条件装置1〜8の何れかが作動する場合には、適正な停止タイミングでリールの停止操作が行われると、対応する小役の図柄組み合わせを停止させることができるが、不適正な停止タイミングでリールの停止操作が行われると、ハズレの図柄組み合わせ(前述した「ベルこぼ目」に相当)が有効ライン上に停止することになる。一方、条件装置9は、小役1〜8の夫々の条件装置からなるものであるので、条件装置9が作動する場合には、リールの停止操作がいかなる停止タイミングで行われたとしても、ベル1又はベル2を有効ライン上に引き込むことができ、小役1〜8のうちの何れかの図柄組み合わせが停止する。
次に、複数の条件装置が組み合わされて成立する場合について、図71(c)に示す「条件装置1+条件装置9」を一例として説明する。なお、「条件装置1+条件装置9」は、条件装置の組み合わせであるが、これ自体を条件装置と捉えることもできるので、便宜的に条件装置Aと呼ぶ。このとき、条件装置Aには、リールの停止操作によって何れのリールが第1停止リールになるかによって優先的に作動する条件装置が決められている(優先度条件)。条件装置Aにおける優先度条件は、第1停止リールが第1リール(左リール301a)又は第2リール(中リール301b)の場合には、条件装置1が優先して作動し、第1停止リールが第3リール(右リール301c)の場合には、条件装置9が優先して作動するものである。優先度条件に従って条件装置1が優先して作動する場合には、上述したように、条件装置1に対応する小役1の図柄組み合わせを引き込むようなリール停止制御が行われる。その結果、リール停止が適正な順番であり、停止タイミングが適正な停止タイミングであった場合には、小役1の図柄組み合わせが有効ライン上に停止して9枚の払出が行われるが、停止タイミングが不適正な停止タイミングであった場合には、小役1の取りこぼしによるハズレ目として「ベルこぼ目」が停止し、払出は行われない(払出数0枚)。従って、条件装置Aにおいては、優先度条件によって条件装置1が優先して作動する場合に期待できるメダルの払出数は、ベルこぼ目になる場合を考慮すると9枚より少なくなる。一方、優先度条件に従って条件装置9が優先して作動する場合には、上述したように、リール停止がどのようなタイミングであっても、条件装置9に対応して小役1〜8の何れかの図柄組み合わせを引き込むようなリール停止制御が行われる。その結果、どのような停止タイミングでリール停止ボタンの操作が行われたとしても、小役1〜8の何れかの図柄組み合わせが有効ライン上に停止することになり、常に9枚の払出が行われる。
すなわち、条件装置Aが選択されて作動するとき、第1停止リールが第3リール(右押し又は逆はさみ押しに相当)の場合には、停止操作のタイミングに拘わらず常に9枚の払出が行われる一方で、第1停止リールが第3リール以外(順押し、はさみ押し、又は中押しに相当)の場合には、適正な停止タイミングで停止操作が行われたときのみ9枚の払出が行われ、不適正な停止タイミングで停止操作が行われたときには払出が行われない。そして、条件装置Aに上述の優先度条件が設定されていることによって、本実施形態1によるスロットマシン1では、押し順によって異なる図柄の組み合わせを停止させる制御を実現可能なだけでなく、条件装置9が優先して作動する場合のほうが、条件装置1が優先して作動する場合よりも多くのメダルの払出を期待できたように、払出枚数の期待値を変化させることも可能にしている。
なお、図71(a)〜(c)を参照した上述の説明では、簡略のために、第1停止リールだけを条件とし、第1停止リールを基準として考えられる3通りの押し順に対して差異を実現するようにしたが、本実施形態によるスロットマシン1における条件装置の優先度条件はこれに限らず、例えば第2停止リールに対しても更なる条件を有する等してもよい。このように条件を増やすことによって、作動させる条件装置をより細かく設定することができ、例えば、3通りの押し順だけでなく、4通り、5通り、又は6通りの押し順に対して、停止する図柄の組み合わせを制御することができる。なお、6通りの押し順とは、順押し(左→中→右)、はさみ押し(左→右→中)、中押し(中→左→右、及び、中→右→左)、逆押し(右→中→左)、及び、逆はさみ押し(右→左→中)に相当する。
また、図71(a)〜(c)を参照した上述の説明では、条件装置1〜9のどの条件装置であっても、適正な停止タイミングで停止操作が行われた場合には、同数の9枚の払出が行われるように小役1〜8に対応付けられていたが、本実施形態によるスロットマシン1ではこれに限らず、例えば、作動する条件装置によっては異なる枚数の払出が行われるように制御する等してもよい。一例としては、小役1〜8のうちの少なくとも何れかの払出数に差異を付けることにより、差異を付けた小役に対応する条件装置が優先して作動した場合に、払出枚数に差異を発生させることができる。
このように押し順に基づいて作動する条件装置の優先度を設定し、さらに条件装置ごとに図柄組み合わせ成立時の払出数を変えるようにすれば、当該優先度条件を満たす場合(すなわち、図柄成立の上での適正な押し順)におけるメダルの払出数の期待値と、当該優先度条件を満たさなかった場合(すなわち、図柄成立の上での不適正な押し順)に期待されるメダルの払出数の期待値とについて、より大きな差を付ける制御が実現可能となる。
また、[11−7]以外では、「条件装置に対応する図柄の組み合わせについて有効ライン上に表示されることが許容される」といった記載をしている所もあるが、この場合の「許容される」とは、[11−7]で説明したように、優先度条件に基づいて所定の条件装置が作動し、当該作動した条件装置に対応する図柄の組み合わせを有効ライン上に引き込むようなリール停止制御が実行される、ことに相当する。
[11−8.ペナルティの設定]
以上、スロットマシン1におけるゲーム処理を説明してきたが、本実施形態によるスロットマシン1では、回転しているリールを停止させる際、特定の押し順が教示される「押し順ナビ」が表示される等の特定の条件下でのゲーム状態を除いて、特定の押し順が推奨又は要求されている。特定の押し順は、「順押し(左リール停止ボタンから順番に押操作)」(あるいは「はさみ押し」(左リール停止ボタンの操作の後右リール停止ボタンの押操作))であることが普通である。このような推奨停止操作によれば、リール停止ボタン211aを操作することによって左リール301aを第1に停止させる押し順(以下「正則押し」と称する)が要求される。そして、本実施形態によるスロットマシン1では、正則押しとは異なる押し順(以下「変則押し」と称する)でリールを停止する不適正停止操作が行われた場合には、演出制御基板510のCPU1118によって、以降の所定のゲームに対してペナルティが設定される。変則押しには、前述した「逆押し」、「逆はさみ押し」、及び「中押し」等が含まれる。以下では、本実施形態によるスロットマシン1におけるペナルティの設定に関して説明する。
なお、押し順ナビによってリールの停止順が教示される場合には、当該教示に従った押し順を「適正な押し順」とみなすとともに、当該教示とは異なる押し順を「不適正な押し順」とみなすことにより、不適正な押し順で停止操作が行われた場合に、以降の所定のゲームに対してペナルティが設定されるようにしてもよい。このとき、例えば、押し順ナビが「逆押し」の押し順を教示する場合には、本来は変則押しとみなされる「逆押し」が「適正な押し順」と判定され、「逆押し」以外の押し順は、本来は正則押しとみなされる「順押し」又は「はさみ押し」であっても、「不適正な押し順」と判定される。
また、本実施形態によるスロットマシン1では、特定の有利遊技状態(例えばBBゲーム中)では押し順が適正か否かを問題としない(押し順の判定を行わない)としてもよい。
[11−8−1.メイン基板から演出制御基板へのコマンド]
ここでは、ペナルティの設定に関して説明する前に、演出制御基板510のCPU1118がメイン基板409のCPU1110から受信するコマンドについて説明する。
図72は、メイン基板から演出制御基板に送信されるコマンドの一例を示す一覧表である。図72に示す各コマンドは、メイン基板409のCPU1110から入出力インタフェース1116,1130を介して演出制御基板510のCPU1118に対して所定のタイミングで送信され、コマンドの種類を示す1バイトのモードデータ(MODE)と、コマンドの内容を示す1バイトのEXTデータ(EXT)とからなる。このようなコマンドを受信した演出制御基板510のCPU1118は、コマンドに含まれるモードデータからコマンドの種類を判別し、EXTデータからコマンドの内容を判別することができる。例えば、「94XX(h)」というコマンドを受信した場合には、CPU1118は、モードデータが「94(h)」で示されるコマンドを受信し、当該コマンドの内容が「XX(h)」であると判別できる。なお、「(h)」は16進数であることを示す。
図72において、「85XX(h)」で示されるコマンドは、BBが内部当選しているか否か及び内部当選したBBの種類(図50に示すBB1〜BB2)及びメイン基板409のCPU1110が演出を実行するか否か(例えば、リール特殊演出)を指定する内部当選コマンドである。また、「86XX(h)」で示されるコマンドは、内部当選結果(内部当選フラグのフラグ番号)を指定する当選番号コマンドである。なお、当選番号コマンドでも内部当選結果を識別できるため、内部当選コマンドは生成しなくてもよいが、内部当選コマンドを設けることによってプログラム上の判定の簡易化を図ることができる。そして、[11−2]等で前述した「内部抽選の結果を示す情報コマンド」は、内部当選コマンド又は当選番号コマンドに相当する。
図72において、「8BXX(h)」で示されるコマンドは、入賞役の種類を指定する入賞番号コマンドである。また、「8CXX(h)」で示されるコマンドは、メダルの払出枚数を指定する払出枚数コマンドである。
図72において、「94XX(h)」で示されるコマンドは、ゲーム開始時の遊技カウンタの値を指定する遊技カウンタ1コマンドである。また、「95XX(h)」で示されるコマンドは、RT状態か否か及びRT状態の種類を指定するRT情報コマンドである。また、「96XX(h)」で示されるコマンドは、ゲーム終了時の遊技カウンタの値を指定する遊技カウンタ2コマンドである。
図72において、「E0XX(h)」で示されるコマンドは、メダルの投入枚数を指定する投入枚数コマンドである。例えば、メダルの投入枚数が1枚であるときにはコマンドE000(h)が用いられ、メダルの投入枚数が2枚であるときにはコマンドE001(h)が用いられ、メダルの投入枚数が3枚であるときにはコマンドE002(h)が用いられる。また、「E1XX(h)」で示されるコマンドは、BBが実行されているか否か及び実行されているBBがBB1〜BB2の何れであるかを指定するボーナス種別コマンドである。また、「E2XX(h)」で示されるコマンドは、実行中の遊技状態(BB中、RB中、再遊技中、設定変更中等)を指定する遊技状態コマンドである。なお、[11−4]で前述した「MAXベットコマンド」は、投入枚数コマンドの一例であり、例えばMAXベットとして3枚のメダルが投入された場合には、コマンドE002(h)がMAXベットコマンドに相当する。
その他、メイン基板409のCPU1110から演出制御基板510のCPU1118に送信されるコマンドとして、リール回転開始コマンド、リール停止コマンド、復帰コマンド、設定変更中コマンド、及び、エラーコマンド等がある。
リール開始コマンドは、リール301a,301b,301cの回転の開始を通知するコマンドであって、回転を始めたリールを特定可能な情報や回転の開始時刻等を含めることができる。
リール停止コマンドは、停止するリールがリール301a,301b,301cのうち、何れのリールであるか、該当するリールの停止操作位置の領域番号、及び、該当するリールの停止位置の領域番号を特定可能なコマンドである。なお、リール停止コマンドは、リール301a,301b,301cが回転しているときに、対応するリール停止ボタン211a,211b,211cに対して停止操作(外部操作)が行われたときに送信されるので、演出制御基板510のCPU1118は、リール停止コマンドの受信によって、リール停止ボタン211a,211b,211cのうち何れのリール停止ボタンが操作されたかを特定可能である。
復帰コマンドは、メイン基板409のCPU1110が電源断前の制御状態に復帰したことを示すコマンドである。また、設定変更中コマンドは、設定変更中であることを示すコマンドであり、設定変更状態に移行した場合に送信される。なお、メイン基板409のCPU1110の制御状態は、設定変更状態への移行に伴って初期化されるため、設定変更中コマンドの受信によって、CPU1110の制御状態が初期化されたことを特定可能である。また、エラーコマンドは、エラー状態の発生又は解除、当該エラー状態の種類等を示すコマンドである。
演出制御基板510のCPU1118は、メイン基板409のCPU1110から内部当選コマンド及び当選番号コマンド等を受信することによって、内部抽選で決定された当選役を判断することができ、当該当選役に対応する条件装置(又は条件装置の組合せ)を判断することができる。さらに、CPU1118は、このように判断した条件装置(又は条件装置の組合せ)において、小物1〜16のような押し順不正解用の条件装置と小物17のような押し順正解用の条件装置とが組み合わせられている場合等に、当該条件装置に対する優先度条件に基づいて、押し順正解用の条件装置が優先して作動するような押し順(正解の押し順)を判断することができる。
[11−8−2.ペナルティ処理]
図73は、メイン基板409のペナルティ処理を説明するためのフローチャートである。図73を参照しながら、ゲームの一連の流れにおけるペナルティの処理について説明する。
まず、BET処理(図54のステップS2に相当)、内部抽選処理(図54のステップS3に相当)、及びリール回転処理(図54のステップS4に相当)が行われることにより、リールの始動処理が行われる(ステップS1001)。ステップS1001におけるリールの始動処理の詳細は、図55を参照して説明した一連の処理に相当するが、図55に示す処理はリールの回転制御を行う処理の一例であって、これに限定されるものではない。
次に、遊技者による外部操作として、リール停止ボタン211a,211b,211cに対して停止操作が行われる(ステップS1002)。なお、リール停止ボタン211a,211b,211cを操作する(押下する)順番は、遊技者が自由に選択することができるが、前述したように、本実施形態によるスロットマシン1では、特定の押し順が教示される「押し順ナビ」が表示される等の特定の条件下でのゲームを除いて、「順押し」又は「はさみ押し」による停止操作が推奨されるので、遊技者がこのような推奨手順に従う場合には、左リール301aに対応するリール停止ボタン211aが最初に操作される。
ステップS1002で遊技者による停止操作が行われたことを契機として、スロットマシン1では、停止操作が行われたリール停止ボタン211a,211b,211cに対応するリール301a,301b,301cの停止処理が行われる(ステップS1003)。このリール停止処理の詳細は、図57を参照して説明した一連の処理に相当するが、図57に示す処理はリールの停止制御を行う処理の一例であって、これに限定されるものではない。なお、各リール301a,301b,301cが停止すると、メイン基板409のCPU1110から演出制御基板510のCPU1118に、停止したリールに関する情報を含むリール停止コマンドが送信される。ステップS1003において、リール停止処理が完了すると、所定の図柄の組合せが成立している場合には、当該成立した図柄の組合せに応じて、払い戻しや再遊技の準備等が行われる。
ステップS1003でリール停止コマンドを受信した演出制御基板510のCPU1118は、受信したリール停止コマンドからステップS1003で停止したリールの順番が分かるので、遊技者によるリール停止ボタン211a,211b,211cの押し順を判断することができる。そして、演出制御基板510のCPU1118は、リール停止ボタン211a,211b,211cの押し順に基づいて、当ゲームに対する遊技者による停止操作がペナルティを設定する(課す)対象(ペナルティ対象)とすべき停止操作か否かを判定する(ステップS1004)。ステップS1004における判定基準の詳細については、後述する。
ステップS1004においてペナルティ対象とすべき停止操作ではないとCPU1118が判定した場合には(ステップS1004のNO)、当該ゲームの一連の処理は終了する。ステップS1004においてペナルティ対象とすべき停止操作であるとCPU1118が判定した場合には(ステップS1004のNO)、当該ゲーム以降の所定のゲームに対して、所定のペナルティを設定する処理(ペナルティのセット)が行われ、当該ゲームの一連の処理は終了する。なお、ペナルティが課された場合に、演出制御基板510のCPU1118は、ペナルティの設定に関する表示を枠部材501に設けられたLEDや液晶表示装置(図示せず)等を用いて遊技者に報知するようにしてもよい。
なお、ペナルティが設定される場合には、例えば、演出制御基板510のRAM1122に保持されたペナルティカウンタに、所定の値が追加される。そして、以降のゲーム開始時には、CPU1118は、ペナルティカウンタの値を参照することによって、当該ゲームがペナルティを課されたゲームであるか否かを判断することができる。
また、図73において、ステップS1004に示したペナルティ対象の判定処理、及びステップS1005に示したペナルティのセット処理は、ステップS1002〜S1003において、リール301a,301b,301cが全て停止してから行われてもよいし、各リール301a,301b,301cが停止するごとに行われてもよい。
[11−8−3.ペナルティ対象の判定]
以下では、CPU1118が、遊技者による停止操作がペナルティを課す対象(ペナルティ対象)とすべき停止操作であるか否かを判定する処理(図73のステップS1004に相当)について説明する。
演出制御基板510のCPU1118は、ステップS1003で受信したリール停止コマンドから導出される停止操作の押し順を参照し、「順押し」又は「はさみ押し」による停止操作であるか否か判定する。このとき、左リール301aに対して最初にリール停止操作が行われた場合には、「順押し」又は「はさみ押し」であると判断できるので、CPU1118は、推奨される「正則押し」であると判断し、ペナルティ対象ではないと判定する。また、中リール301b又は右リール301cに対して最初にリール停止操作が行われた場合には、「順押し」でも「はさみ押し」でもないと判断できるので、CPU1118は、「変則押し」が行われたと判断し、ペナルティ対象と判定する。一方、遊技状態がART(又はAT)状態である場合、演出制御基板510は、ペナルティ対象の判定を行わないか、あるいは、リール停止ボタンの操作が、押し順ナビが教示する「適正な押し順」の通りにリール停止ボタンの操作があったか否かによってペナルティ対象を判定するようにしてもよい。
[11−8−4.ペナルティの内容]
図73のステップS1005に示したように、CPU1118は、遊技者による停止操作をペナルティ対象と判定した場合に、以降の所定のゲームに対して所定のペナルティを設定する処理(ペナルティのセット)を行うが、以下では、当該ペナルティの内容について説明する。
ペナルティの内容は演出制御基板510が決定する。ペナルティの内容は特に制限されるものではないが、例えば、一定ゲーム数の間、既述のARTへの移行抽選を行わない、ゲーム状態が有利遊技状態に移行するゲーム数(天井)にペナルティ期間中のゲーム数を加えない(即ち、ペナルティ期間中のゲーム数をゲーム数解除処理の対象としない)、ペナルティ期間中に遊技状態の現状モードを有利モード(ARTの当選確率が高い高確モード、あるいは、超高確モード)への移行をさせない、あるいは、移行のための抽選を行わないなどである。なお、リール停止ボタンを変則操作してペナルティ対象となったゲームにおいて、成立した小役によるメダルの払い出しがない場合には、ペナルティの対象としないようにしてもよい。例えば、当選役が図50に示したAT9である場合、リール停止ボタンが順押しに反して逆はさみ押し(右→左→中)の順番で操作されると、小物17の条件装置に従ってベル図柄が有効ラインに必ず成立してメダル9枚の入賞が成立するため、これをペナルティの対象とするが、リール停止ボタンが中押し(中リール停止ボタンを第1に操作)、或いは、はさみ押し(左→右→中)と操作されて、ベル図柄が有効ラインに成立しない場合にはペナルティの対象としない。
演出制御基板510は、ペナルティセットの際、ペナルティ期間とペナルティの内容を設定する。ペナルティ期間としては主としてゲーム数によって設定される。例えば、ペナルティ期間を10Gとすると、10Gの間ペナルティを実行する。ペナルティ期間の開始は、ペナルティ対象となったゲームから、あるいは、次ゲームから、又は、後のゲームから等適宜設定可能である。ペナルティ期間の管理は、演出制御基板510のRAM1122に設定されたカウンタによって行われる。演出制御基板510は、ペナルティの開始後、ゲーム毎にカウンタの減算を記載し、カウンタ値が所定値以下、例えば、零になると、ペナルティを終了、あるいは解除する。あるいは、カウンタにペナルティ対象となったゲームで遊技メダルの増分、すなわち、リール停止ボタンを順押した場合と変則押しした場合での遊技メダルの増加枚数、をセットし、以後のゲームにおいて遊技メダルの消費数と払い出された遊技メダル数の差分(消費数−払い出し数)をカウンタから減算し、カウンタの値が零以下になるゲーム数までペナルティを継続させるようにしてよい。
[11−8−5.ペナルティの回避]
本発明の遊技機は、リール停止ボタンを規定通りの押し順(遊技機が遊技者に推奨する押し順)とは異なる押し順で操作する、いわゆる変則押しをしても、リール停止ボタンの操作形態を一定の範囲でペナルティを課せられない対象として処理することができる。すなわち、遊技者が変則押しになるようにリール停止ボタン211a,211b,211cを操作しても、結果的に、変則押しにならないように、メイン基板409がリール駆動モータ411a,411b,411cの停止制御を実行する(ペナルティ回避制御)。以下の説明において、規定通りの押し順を、左リール停止ボタン211aが第1停止となる順押し(左リール停止ボタン211a(第1停止)→中リール停止ボタン211b(第2停止)→右リール停止ボタン211c(第3停止))、又は、はさみ押し(左リール停止ボタン211a(第1停止)→右リール停止ボタン211c(第2停止)→中リール停止ボタン211b(第3停止))とする。
メイン基板409は、全てのリール301a,301b,301cの回転を開始させ、そして、全てのリール301a,301b,301cの回転の速さが一定となると、それぞれのリール停止ボタン211a,211b,211cの操作有効ランプが点灯させ、この点灯により、遊技者はリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が有効になったことを知ることができる(図55のステップS109に相当)。
メイン基板409は、遊技状態が通常の遊技状態(一般状態か通常RT)の場合、全てのリール停止ボタン211a,211b,211cを同時に有効化するのではなく、第1停止ボタン以外のリール停止ボタンの操作を有効にするタイミングを第1停止ボタン(左リール停止ボタン)の操作が有効になったタイミングから遅延させる。この遅延期間内に中リール停止ボタン211b又は右リール停止ボタン211cが左リール停止ボタン211aより先に操作されても中リール211b又は右リール211cは停止されないため、遊技者のリール停止ボタンの操作はペナルティの対象にはならない。
遊技者がこの時点で、リール停止ボタンの押し順が正しくなかったことに気付き、左リール停止ボタン211aから順押しし直して全てのリールが停止すると、演出制御基板510は遊技者のリール停止操作を規定とおりの操作形態であるとしてS1004を否定判定する。一方、遊技者が既述の時点でリール停止ボタンの押し順が正しくなかったことに気付いたものの、再度、同じリール停止ボタンを押操作し、この操作が遅延時間を経過した後であると、中リール停止ボタン211b又は右リール停止ボタン211cの操作によって対応するリール301b,301cが左リール301aより先に停止してしまい、遊技者のリール停止ボタンの操作は規定外操作となってペナルティの対象として処理される。
遊技者が左リール停止ボタン211aを第1に操作し、続けて、他のリール停止ボタン211b,211cを操作した場合に、既述の遅延時間が長いと、他のリール停止ボタン211b,211cにそれぞれ対応するリール301b,301cを停止できないことになり好ましくない。ペナルティの回避処理は左リール301aを第1に操作しようと思っている遊技者が誤って他のリール停止ボタン211b,211cを操作した場合、これをペナルティ対象としないようにすることを意図するものであるため、遅延時間があまりに短いと、左リール停止ボタン211a以外の他のリール停止ボタン211b,211cの操作は殆どの場合、リール停止ボタン211b,211cの操作が有効化された後になってしまうため好ましくない。係る観点から、遅延時間としては0.5秒程度が好ましい。なお、遅延時間経過後に中リール停止ボタン211b又は右リール停止ボタン211cを第1に操作した場合、対応するリール(中リール301b又は右リール301c)は左リール301aより先に停止されるため、演出制御基板510はリール停止ボタンの操作をペナルティ対象として処理する。
遊技者は、通常遊技状態では、始動レバー210をオンした後、左リール停止ボタン211aから各リール停止ボタン211a〜211cを順番に一気に操作しようとするが、このリズムが崩される状態が発生すると、左リール停止ボタン211aより先に他のリール停止ボタン211b,211cが操作されるおそれがある。例えば、演出制御基板510が始動レバー210のオン操作に続いて、チャンスボタンの押操作を促す表示を実行する場合である。遊技者はチャンスボタンが表示されると、極力、チャンスボタンをリール停止ボタン211a〜211cより先に操作しようとするが、リール停止ボタンの順押し操作のリズムで左リール停止ボタン211aを先ず操作しようする。しかし、その操作のための遊技者の動作の過程で、チャンスボタンの操作をしようとすると、遊技者はリール停止ボタンの操作順番を混乱して、左リール停止ボタン211a以外のリール停止ボタン211b,211cを操作してしまったり、チャンスボタンの操作に向かう動作の過程で左リール停止ボタン211a以外のリール停止ボタン211b,211cに触れてしまうことがある。なお、チャンスボタンとは演出切り替えなどの効果を発生させるための表示用のボタンである。メダル投入ボタン206と別に設けられてもよいがメダル投入ボタン206と兼ねてもよい。
そこで、メイン基板409は、内部抽選処理S3において判定された当選役の条件装置がSBやチャンス目等、演出制御基板510でチャンスボタンの操作の促進表示が実行されうる場合に限って、ペナルティ回避処理を実行してもよい。
また、メイン基板409は遊技状態が通常遊技状態(一般状態、通常RT)以外では、ペナルティの回避操作を行わない。これは、例えば、有利遊技状態であるARTでは、左リール停止ボタン211aよりも先に他のリール停止ボタン211b,211cが操作されることが普通にあるためである。この場合、遊技者が押し順の表示にしたがって、左リール停止ボタン211a以外のリール停止ボタン211b,211cを操作した際、遅延期間が設定されていると、中・右リール停止ボタン211b,211cの操作によってリール301b,301cを停止できないことになる。また、ボーナス中では、「ALL」(ボーナスゲーム中に限って抽選対象となる当選役であり、抽選の結果が「ALL」であるとき、いかなる押し順で且ついかなるタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合であっても、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。)の当選確率が高いため、そもそも、どのリール停止ボタン211a〜211cから操作されてもよいからである。
遊技者は、左リール301a以外のリールに対応するリール停止ボタン211b,211cが左リール停止ボタン211aから遅れて有効化されることをリール停止ボタン211a〜211cの操作有効ランプの点灯の遅れによって知ることができる。なお、全てのリール停止ボタン211a〜211cの操作有効ランプを左リール停止ボタン211aの有効時点で点灯させてもよい。また、リール停止ボタン有効化のタイミングに合わせて各リール301a〜301cの回転を開始させるようにしてもよい。またさらに、演出制御基板510がARTの移行抽選を行うことに代えてメイン基板409がARTの移行抽選を行い、移行抽選に当選して演出制御基板510がART遊技をスタートさせた場合、AT1〜AT10のように当選役に押し順の優劣あるものでは、押し順にしたがって、第1に停止させるべきリール停止ボタン以外の第2停止・第3停止ボタン操作の有効化タイミングを第1停止ボタンの有効化のタイミングより遅延させるようにしてもよい。さらに、メイン基板409は遅延時間を適宜変更設定できる。例えば、チャンスボタンの操作促進表示が演出制御基板510にて行われ得る当選役とそれが期待できない当選役とで、後者での遅延時間を前者より短くする等である。またさらに、リール停止ボタン211a〜211cの推奨操作形態が左中右の順番である順押しの形態である場合には、中リール停止ボタン211b(第2停止ボタン)の有効化のタイミングより更に遅延させて右リール停止ボタン211c(第3停止ボタン)が有効化されるようにしてもよい。これによって、第1停止ボタンとして正しいリール停止ボタン211aが操作されたとしても、第2停止ボタンよりも先に第3停止ボタンが誤操作されることをペナルティ対象にならないようにして遊技者を救済することができる。
[11−8−6.ペナルティの軽減処理]
本発明に係る遊技機は、ペナルティ対象とされる不適切操作が実行されてしまったものの、この不適切操作の態様が遊技者の意図的な結果によるものか否かを推定或いは判定等として、遊技者に対する不利な遊技状態(ペナルティ)の度合いを調整するように構成されている。遊技機が、不適切操作の態様が遊技者の意図的(不適切操作を積極的な意思をもって実行すること)な結果によって明らかに成された場合には、ペナルティの処理をそのまま実行する一方、不適切操作が行われた状況をチェックし、状況の如何によっては、遊技者にペナルティをそのまま与えるのは酷であるとして、ペナルティを発生させない、一旦発生したペナルティを取り消す、或いは、ペナルティの内容を遊技者に対して余り不利にならないように緩和する等、不利な遊技状態の度合いを調整する。
メイン基板409と演出制御基板510を有する遊技機は、遊技者の不適切操作の状況を、遊技者のリール停止ボタン操作における時間的な要素、不適切操作の過去の履歴、或いは、これらの組み合わせ等によって評価する。先ず、遊技者の不適切操作の状況を、リール停止ボタンに対する遊技者操作の時間的な経過によって評価する場合について説明する。遊技者が複数のリールの回転が開始されてからリール停止ボタンを決められた押し順で操作しようとしたにも拘わらず、結果的に押し順通りに成らずに、不適切遊技の操作態様に至ってしまう場合がありうる。例えば、リール停止ボタンの操作が有効化される前に第1に操作されるべきリール停止ボタンが操作され、リール停止ボタンが有効化された後他のリール停止ボタンが最初に操作され、結果的にリール停止ボタンが変則押しされたと遊技機が認識する場合である。遊技者のこのような操作は意図的になされたものではないため、メイン基板は係る操作態様をリール停止ボタンが操作されたタイミングをチェックすることによって検出するようにした。
図55に示すように、左リール301a、中リール301b、右リール301cは始動レバーが操作された後ウェイトタイマタイムアップの時点から回転を開始し、それと同期して、各リールの停止ボタンが有効化され、次いで、各リール停止ボタン211a〜211cの操作によって各リール301a〜301cが停止される。遊技者は、通常遊技状態では、有利遊技への移行を目指して、各ゲームを繰り返し素早く実行しようとする。そこで、始動レバー210の操作後一気にリール停止ボタン211a〜211cを左から順に操作しようとする。ウェイトタイマの設置値は4.1秒等ある程度長めになるように規制されており、遊技者の第1停止ボタンの操作がウェイトタイマタイムアップ以前に行われることが時としてあり、その結果、第1停止ボタンの操作が有効化されないまま続く第2停止ボタンがウェイトタイマタイムアップ後に操作されることになる。すると、演出制御基板510は、第2に操作されるべき停止ボタンが最も早く操作されたとして、遊技者によるリール停止ボタン211a〜211cに対する操作を変則押しと判断し、ペナルティを発生させてしまう。
そこで、メイン基板409は、始動レバー210の操作後、ウェイトタイマタイムアップ前の一定期間内(タイムアップの直前)での第1停止ボタンの操作を検出し、検出結果を含むコマンドを演出制御基板510に渡すことによって、演出制御基板510は、第1停止ボタンはウェイトタイマタイムアップの直前に操作され、ウェイトタイマタイムアップ後に他のリール停止ボタンが操作されたことを知ることができる。その結果、演出制御基板510は、遊技者の不適切操作は遊技者の意図するものではないとして、当該遊技者操作を、ペナルティ対象として判定しない、ペナルティを取り消す、又は、ペナルティカウンタに零を設定する等ペナルティの内容が無のようにペナルティを設定する等して、遊技者の操作にペナルティが課せられないようにすることができる。
但し、既述の遊技者の意図しない不適切操作を演出制御基板510が遊技者の変則操作としないことは、結果的に遊技者の不適切操作がペナルティ対象と成らずに許容されることになるので、熟練の遊技者では、係る不適切操作を積極的に実行することもあり得る。そこで、メイン基板409は、遊技者の不適切操作が許される既述の所定時間、即ち、ウェイトタイマのタイムアップ迄の時間を極めて短時間に設定することによって、熟練遊技者の不正意識的操作を排除することができるようになる。
メイン基板409はウェイトタイマタイムアップ直前でのリール停止ボタン211a〜211cの操作を検出するため、ウェイトタイマタイムアップ前にリール停止ボタン211a〜211cの操作の検出が可能になるようにリール停止ボタン操作の検出回路を動作させておくと共に、ウェイトタイマタイムアップ直前でのリール停止ボタン211a〜211cに対する停止操作の有無をチェックするためのフラグ領域をリール停止ボタン211a〜211c毎にRAM領域1114に設定する。遊技者が、ウェイタイマタイムアップ直前での左リール停止ボタン211aを操作し、ウェイトタイマアップ後中リール停止ボタン211b、右リール停止ボタン211cと続けて操作し、左リール301aが停止していないことに気付き、左リール停止ボタン211aを再操作して左リール301aを停止させた場合、遊技者の係る操作は、順押しに反する変則押しとして従来ペナルティの対象になる。これに対して、本発明の遊技機では、メイン基板409は、第1に操作されるべき左リール停止ボタン211aの操作記録領域に、左リール停止ボタン211aがウェイトタイマタイムアップ迄の短時間に操作されたことを示す情報をフラグ領域に設定し、このフラグ情報と複数のリール停止ボタン211a〜211cの操作順番の情報とをコマンドに含めて演出制御基板510に送信する。これを受けて、演出制御基板510は、左リール停止ボタン211aはウェイトタイマタイムアップの直前に中リール停止ボタン211b及び右リール停止ボタン211cより先に操作されるに至ったことを知ることができ、このゲームにおける遊技者のリール停止ボタン211a〜211cの操作形態は遊技者の意図的ではないとして、ペナルティ処理を既述のとおり遊技者に有利になるように緩和させることができる。なお、始動レバー201の操作後、ウェイトタイマタイムアップ前に、遊技者が第1に操作されるべきリール停止ボタン211aを意図的に複数回操作して、結果的にウェイトタイマタイムアップ直前の操作へのフラグのセットがあり得る。そこで、メイン基板409は、始動レバー201の操作後ウェイトタイマタイムアップ前に複数回リール停止ボタン211aが操作された場合には、前記フラグをセットしないようにするか、あるいは、フラグ情報を演出制御基板510に送信しないようにすることができる。
演出制御基板510は、ペナルティになった操作の発生履歴をゲーム毎にRAM領域に記録することができる。演出制御基板510は、既述の不適切操作が発生したゲームにおけるペナルティの処理において、過去のゲームにおけるペナルティの発生履歴を参照することができる。例えば、直前の複数ゲーム数(例えば、数百回)前から現在のゲームまで、ペナルティ対象とされた操作の頻度をチェックし、発生頻度が所定値以上の場合には、既述の不適切操作も含めて、決められた押し順通りにリール停止ボタン211a〜211cが操作されない操作を全てペナルティの対象とすることができる。ペナルティ対象とされた操作頻度が高いと、遊技者が推奨或いは要求するリール停止ボタン211a〜211cの押し順を順守しないという意思が遊技者にあるものと見做すことができ、したがって、ペナルティの過去の履歴を参照することによって、既述の不適切操作はそもそもも遊技者の意図に基づくものであったと判定することもできる。なお、ペナルティ対象となった操作履歴には、既述の不適切操作を含めても、あるいは、含めなくてもよいし、また、既述の不適切操作だけの履歴でもよい。
次にペナルティの軽減処理の他の実施形態について説明する。この実施形態は、不利益遊技度合調整手段(演出制御基板510等)が複数の回転表示体の回転が開始されてから所定時間内に第1に停止操作されるべき停止操作手段が操作されたか否かを判定し、これが肯定判定された場合で、さらに不利遊技状態(ペナルティ)が実行された場合、この不利益遊技状態の程度を、前記判定が否定された場合で、さらに、不利遊技状態(ペナルティ)が実行された場合での当該不利益遊技よりも遊技になるように救済することを特徴とするものである。
メイン基板409は、左リール301a、中リール301b、右リール301cが回転の時点から、或いは、左リール停止ボタン211a、中リール停止ボタン211b、右リール停止ボタン211cが有効化されてから、各リール停止ボタン211a〜211cの操作までの所要時間をRAM領域1114に記録する。次いで、メイン基板はRAM領域1114の情報を演出制御基板510に送る。演出制御基板510は、第1に操作されたリール停止ボタンの操作が推奨された押し順に基づいて第1に操作されるべきリール停止ボタンと一致しているか判定し、一致していない場合には、第1に操作されたリール停止ボタンがリールの回転後所定時間内に操作されているかを判定する。第1に操作されたリール停止ボタンが所定時間内に操作されたものである場合には、遊技者の不適切操作が遊技者に意図したものではないとして、ペナルティの緩和処理を適用する。一方、第1に操作されたリール停止ボタンが所定時間以内に操作されていない場合には、遊技者の不適切操作は遊技者の意図によるものであるとしてペナルティの緩和措置を採ることなくペナルティの内容を決定する。遊技者の意図ではないリール停止ボタン211a〜211cに対する不適切操作は、遊技者が複数のリール停止ボタン211a〜211cの操作を迷うことなく順押ししようとする過程でたまたま発生してしまう傾向が高いことから、リール回転開始後短い所定時間内に行われる傾向が高い。これに対して、遊技者の意図による不適切操作は、遊技者が遊技媒体の奪取を狙って、少なくともある程度リール停止ボタン211a〜211cの押し順を迷う中で行われるため、リール回転開始後の短期間ではなくこれを越えた時点で行われる傾向が高い。そこで、演出制御基板は後者の場合をペナルティ適応対象とし、前者の場合をペナルティ軽減適用対象として区別した。
既述の説明では、第1に操作されたリール停止ボタンの操作態様に基づいて、ペナルティの軽減処理が適用されているが、さらに、第2に操作されたリール停止ボタンと第2に操作されるべきリール停止ボタンとの比較、及び、第1に操作されたリール停止ボタンの操作時点からの経過時間と所定時間との比較結果を考慮して、ペナルティの軽減処理の諸判定を実行するようにしてもよい。また、リール停止ボタンの操作タイミングに関する諸判定をメイン基板409に実行させるようにしてもよい。また、さらに、過去のゲームにおけるペナルティの対象操作の実行履歴を参照して、ペナルティの軽減処理を行うようにしてもよい。
[11−8−7.ペナルティ処理の多様化]
本発明に係る遊技機は、ペナルティ処理の多様化を達成することができる。従来は、ペナルティ対象である、リール停止ボタンに対する既述の変則押しがあった際、その後のゲームにおいて有利遊技の抽選を行わないなどの画一的な形態のペナルティ処理を行っていた。これに対して、本発明の遊技機は、ペナルティ処理態様を複数有し、ペナルティ処理の多様化を達成して、ペナルティが課せられたとしても遊技者の遊技意欲の減退を抑制することができる。
ペナルティ処理の多様的な態様の第1として、従来のペナルティ処理があり、通常遊技状態等で複数のリール停止ボタンに変則操作があると、次ゲーム以降規定のゲーム数の間遊技者はペンルティとして不利な遊技状態の制約を受ける。言い換えれば、規定のゲームが消化されるまでペナルティ処理は継続される。
ペナルティ処理の多様的な態様の第2として、ペナルティ処理を早期に終了できる態様がある。換言すれば、遊技者にはペナルティを解消させるチャンスが与えられる。例えば、遊技者は所定の代償を費やすことに依ってペナルティを積極的に早期に終了させる機会を得ることができる。遊技者はペナルティの抑圧から早期に開放されることにより、遊技に取り組む意欲が増すことが可能となる。
ペナルティ処理の多様的な態様の第3として、遊技者にペナルティを感じさせることがないうちにペナルティを終了できる態様がある。遊技者はペナルティの抑圧を意識しないで済むため、遊技意欲を維持しながら遊技に取り組むことができる。
ペナルティ処理の夫々の態様は、演出制御基板510によって、フラグで管理される。演出制御基板510は、ペナルティを判定して、ペナルティの内容を決定する際、乱数を利用して、ペナルティ処理の態様を抽選する。演出制御基板510は、抽選結果に基づいてペナルティパターン用フラグをセットし、フラグにしたがってペナルティ処理態様を実行する。ペナルティ処理の第1の態様は従来のとおりであり、既述のとおり、ペナルティカウンタで設定されたゲーム数が消化されるまでペナルティ処理を継続するというものである。
次にペナルティ処理の第2の態様について説明する。先ず、通常遊技状態でリール停止ボタン211a〜211cに対する変則操作があり、リール停止ボタン211a〜211cの規定通りの順押し操作(左リール停止ボタンを第1に操作する。)では、左右中のリール301a〜301cに跨って、当選役に対応する図柄の並びが成立することが困難な小役が変則操作によって成立して遊技媒体の払い出しが得られた場合に、演出制御基板510はペナルティ処理を行うものとして判定する。例えば、図50,51に示すように、遊技者が入賞役であるAT3(はさみ)を順押し操作しても、押し順不正解用の小役の並びが表示される場合が殆どであるのに対して、AT3をはさみ打ち(左リール停止ボタン211a、右リール停止ボタン211c、中リール停止ボタン211bをこの順に操作すること。)すると、小役17の条件装置が優先されて遊技者は、遊技媒体9枚の払い出しを受けることができる。この結果、遊技者は変則操作によって、そうでない場合に比較して、+8枚のメダルを予定外に獲得できたことになる。そこで、演出制御基板510は複数のリール停止ボタン211a〜211cに対する変則操作をペナルティ対象として判定する。
演出制御基板510がペナルティ処理態様の抽選を行って、第2の態様の当選を判定すると、遊技者が本来取得できる遊技媒体を敢えて取得しないようにして、ペナルティカウンタに設定されたゲーム数以前にペナルティを終了させることができる。例えば、遊技者が複数のリール停止ボタン211a〜211cを左から順押ししていれば、当選役の条件装置が優先されて、当選役に対応する図柄が有効ラインに成立して、特典数の遊技媒体の払い出しを受けることできる場合において、演出制御基板510は、順押し以外の押し順を遊技者にナビし(教示し)、遊技者がこのナビにしたがって、リール停止ボタン211a〜211cを操作し、当選役の条件装置を優先させずに、押し順不正解用の図柄配列が有効ラインに成立して少ない数の遊技媒体の獲得に留まった場合、遊技者は敢えて本来獲得できる遊技媒体をロストしたことになるので、演出制御基板510は、遊技媒体の予定外の獲得数と遊技媒体のロスト数とに基づいてペナルティ処理の緩和或いは軽減処理を実行する。
演出制御基板510がペナルティ処理において第2の態様を判定すると、次ゲームでは、ペナルティカウンタの値をチェックする。ペナルティカウンタの値は、ペナルティの残り継続ゲーム数に対応するため、ペナルティカウンタの値が零になるまでペナルティ処理が継続される。ペナルティカウンタの値が零でない場合、演出制御基板510は、当選役が順押しで優先される小役の条件装置を有しているか否かをチェックする。例えば、図50のAT1,AT2は、順押しで優先される小役17の条件装置を有する当選役である。AT1,AT2の当選役について、左リール停止ボタン211aを第1に操作していれば、メダル9枚の払い出しがあるが、順押し操作以外では、押し順不正解用の払い出し(1枚)に留まることが殆どである。演出制御基板510がこの当選役を判定すると、左リール停止ボタン211a以外を第1に操作すべきことを促すナビを表示する。この際、演出制御基板510は、「ダメージ(ペナルティのこと)回復チャンス! ナビに従って操作をすればダメージから回復できるぞ!」というような、遊技者にナビに従うことを推奨する表示をナビの直前に表示するようにしてもよい。なお、このナビに従った遊技者の操作がペナルティの対象にならないことは当然である。また、リール停止ボタン211a〜211cに対する変則操作がペナルティの対象として判定された際には、演出制御基板510は、液晶表示装置の画面をいかにもダメージがあったような映像にして表示させるようにしてもよい。その際、回復チャンスがクリアされる都度、演出制御基板510は、液晶表示装置の画面をダメージから回復する過程を表示するようにし変更し、ペナルティが完全に解消された時点で、ダメージ回復を示す映像を表示するようにしてもよい。
当選役が、順押し以外で優先される条件装置である場合には、演出制御基板510は、ペナルティ処理を行って次ゲームに移行する。遊技者が既述のナビに従ってリール停止ボタン211a〜211cを操作した場合には、順押し操作をしていれば本来取得できる遊技媒体をロストする。遊技媒体のロストがある都度、演出制御基板510はペナルティカウンタから所定のゲーム数を減算する。ペナルティカウンタの値が零に成った時点で演出制御基板510はペナルティ処理を終了する。ペナルティ期間中のゲームにおいて、遊技者が逃した遊技媒体の累算値が、遊技者が予定外に得た遊技媒体数に到達した時点で、ペナルティ処理が終了されるようにしてもよい。演出制御基板510は、ペナルティ処理を終了させると、ペナルティ処理の第2の態様に対するフラグをリセットする。ペナルティ処理の第2の態様によれば、ペナルティ期間中、遊技者が本来得ることができる遊技媒体を得ることなく敢えて逃すことにより、その代わりとして、ペナルティ設定ゲーム数以前であってもペナルティを早期終了させて、遊技者の遊技意欲の低下を避けることができるようになった。
次に、ペナルティ処理の第3の態様について説明する。演出制御基板510は有利遊技であるART抽選の当選を判定した際、第3の態様に対応するフラグの有無についてチェックする。演出制御基板510が第3の態様のフラグの成立を判定すると、遊技者にペナルティ感じさせることなくペナルティを実行するペナルティマスク処理を実行する。ペナルティマスク処理は、ペナルティ処理の第3の態様が適用される有利遊技での遊技媒体の期待値を本来の期待値よりも下げることによって、遊技媒体の低下数をペナルティに充当させようとするものである。
複数のリール停止ボタン211a〜211cの順押し操作以外の操作態様で、かつ、お互いに異なる操作対応で図柄の組み合わせの表示が優先される複数の条件装置(小役)を含む当選役を想定する。例えば、この当選役では、小役A(はさみ押しの操作で優先されて下段にベルが揃う条件装置)、そして、小役B(図49の小役17に相当し、逆押し操作で優先されて有効ラインにベルが揃う条件装置)の重複役が成立している。小役Aに対応する図柄の組み合わせが揃うと5枚のメダルの払い出しがあり、小役Bに対応する図柄の組み合わせが揃うと9枚の払い出しがある。演出制御基板510は、ペナルティ処理の第3の態様に対応するフラグを判定し、そして、この当選役を判定すると、はさみ押しのナビをすることによって、メダル5枚の払い出しを誘導し、逆押しのナビをすることによって、メダル9枚の払い出しを誘導する。逆押しのナビに比較してはさみ押しのナビでは、メダルの払い出し数が4枚少ない。演出制御基板510は、第3のフラグを判定しない場合には、ほぼ常に逆押しのナビを表示する。なお、これらの小役A,Bの条件装置は通常遊技状態での順押し操作では優先されないため、小役に対応する図柄の組み合わせの成立は困難である。
演出制御基板が、ペナルティ処理の第3の態様に対応するフラグを検出すると、予定外に獲得したメダル数を例えば8枚とした場合、このメダル数に等しくなるまで、ART遊技の際既述の当選役を検出すると、逆押しのナビの代わりにはさみ押しのナビを表示する。遊技者がはさみ押しのナビに従うと、一回当たり4枚のメダル数の獲得が少ないため、2回分はさみ押しのナビに従うことによって、合計の不足分は8枚となり規定外の押し順で操作して得た規定外の枚数と同じになる。この時点で、演出制御基板510はフラグをリセットしてペナルティを終了させる。なお、一回の有利遊技で不足分の合計メダル数が予定外に獲得した合計メダル数に到達しない場合には、演出制御基板510はフラグをリセットすることなく、足りない分のメダル数を次回のARTに持ち越すようにしてもよい。また。ペナルティの対象となる変則打ちが複数回あった場合、予定外の総メダル数がペナルティ対象としてカウントされる。ペナルティ処理の第3の態様によれば、有利遊技状態(ART)においてメダルの大量獲得が期待できる期間内でメダル数の払い出し数を僅かに減少させてペナルティを消化しているに過ぎないため、遊技者にペナルティを意識させたり、或いはペナルティを感じさせたりすることなくペナルティを終了させることができる。
[11−9.リール特殊演出]
次にメイン基板409が実行するリール特殊演出について説明する。メイン基板409は、遊技処理(図54)の内部抽選処理(S3)において、特定リール特殊演出の抽選を実行する。先ず、特定リール特殊演出を説明する前に、従前のリール特殊演出について説明する。リール特殊演出とは、既述のとおり、メイン基板が、スタートレバー操作後(ゲームスタート後)左中右リール停止ボタンへの操作が有効になるタイミングを遅延させて、即ち、リール停止ボタンの有効ランプの点灯を遅延させて、その間、メイン基板が左中右リールの少なくとも一つのリールに対して行う処理のことである。
例えば、スタートレバーをオンしたのにリールが回転しない、スタートレバーオンしたのにリールがロックする(リールが僅かに回転し直ぐ停止する)、スタートレバーをオンしたのにリールが逆回転する、スタートレバーオンしたのに一部のリールのみ回転する等である。メイン基板はリール特殊演出の期間が経過すると、左右中リールを通常回転させて、左右中停止ボタンの操作を有効化する。リール特殊演出は内部抽選で得られたボーナス遊技の当選役に対して発生することが多いものであるが、小役(リプレイ、ベル、スイカ)の当選役や、内部抽選がはずれの場合にもリール特殊演出が行われることもある。内部抽選の結果の当選役そのものが遊技者によって本来期待されるべきものであるが、遊技者は、スタートレバー操作後にリール特殊演出が発生することを寧ろ期待し、リール特殊演出が発生しないと当選役に対する期待度を低下させる傾向となっていた。これでは、パチスロ機本来の面白さ、即ち、当選役そのものに期待させるという機能が損なわれてしまう。
そこで、本発明の遊技機では、メイン基板は、リール停止処理(S5)から次ゲームが開始されるまでの間の期間を利用して、リール特殊演出を行うようにした。この期間は、ゲーム終了後次のゲームへの待機期間としての側面が強く、従来、遊技性の向上に積極的に利用されてこなかった。メイン基板は、リールが停止されて当選役に対する図柄組み合せが表示された後次ゲームの開始迄の間リール特殊演出を行うことができる。このリール特殊演出をゲームスタート後に行われる従来のリール特殊演出と区別するために特定リール特殊演出と称し、後者を従来リール特殊演出と称することがある。メイン基板は、次ゲームのためのベットができるタイミングを特定リール特殊演出の間保留して、次ゲームが特定リール特殊演出の間行なわれないようにすることができる。
メイン基板は、当選役に対する図柄組み合せの表示後次ゲームの開始までの遊技者の操作を契機として、特定リール特殊演出を開始することができる。例えば、リール停止ボタンの操作、或いは、演出ボタンの操作、スタートレバーの操作である。メイン基板が、当選役に対する図柄組み合せが表示された後、次ゲームが開始される前にリール特殊演出を実行することにより、当該ゲームにおいて当選役が決定された後でも遊技者の遊技に対する期待の低下を抑制して、特定リール特殊演出の特典に対する別な期待を持つことができるようになる。当選役に対応する図柄組み合せが表示された後、遊技者の操作が無い場合に、メイン基板は特定リール特殊演出を開始してもよい。
特定リール特殊演出は、従来リール特殊演出を否定するものではなく、複数のゲームにおいてあるゲームでは特定リール特殊演出が行われ、他のゲームでは従来リール特殊演出が行われるようにしてもよい。また、同一ゲームで、二つのリール特殊演出が行われようにしてもよい。本発明における特定リール特殊演出では、メイン基板は当選役に対する図柄組み合せを遊技者に表示して当選役に対する特典(遊技メダルの払い出し、リプレイ、レギュラーボーナス又はビッグボーナス等のボーナスゲーム、又は、ARTゲーム等の有利遊技状態への移行)の確定が遊技者に提示された後、当選役に対して与えられる特典とは別の特典が特定リール特殊演出に対して与えられる。特定リール特殊演出に対する付加特典は、当選役に対する特典以外の特典(当選役に対する特典とは異なる別な特典)であり、例えば、演出制御基板510によって行われるARTゲームの上乗せゲーム数や上乗せセット数の設定、又は、ARTゲームの解除ゲーム数の設定、解除ゲーム数を減少させたりするもの等である他、メイン基板409における特定遊技状態(ボーナスゲーム,ARTゲーム等)への当選確率を通常確率(低確率)から高確率、あるいは超高確率状態にすることを含む。
特定リール特殊演出は特定の当選役に対して開始されるものである他、抽選によって開始されるようにしてもよい。特定リール特殊演出のための抽選手段(メイン基板)は内部抽選の結果がはずれの場合にも抽選を行ってもよい。特定リール特殊演出のための抽選手段は、特定の当選役ほど特定リール特殊演出に当選し易くするように当選率を上げるようにしてもよい。特定リール特殊演出実行手段は、当選役に基づいた図柄組み合せが各リールに表示された後に、停止状態にある複数のリールの一部のリールを再可動後停止させ、残りのリールを停止させたままにする可動停止制御手段を実現する。可動停止制御手段は、どのリールを再可動させ、そして、再可動させたリールをどの程度の図柄分回転させた後停止させるかのリール特殊パターンを決定あるいは複数のパターンからリール特殊パターンを選択する。可動停止制御手段は、役抽選による当選役に基づいてリールに図柄組み合せが表示されてから次回のゲームが開始されるまでの間(次回の役抽選が行われる迄の間)、特定リール特殊演出を実行する。遊技者は当選役の特典を確認した後、特定リール特殊演出の形態によって付加特典を予測することができる。演出制御基板はメイン基板からの情報コマンドを受けて、特定リール特殊演出におけるリール制御に同期した演出画像、演出音を遊技者に対して導出することができる。
次に、特定リール特殊演出について詳しくする。図74は従来のリール特殊演出のタイミングチャートであり、図75は本発明の特定リール特殊演出のタイミングチャートである。従来のリール特殊演出において、遊技者がスタートレバーを操作すると当選役Aに当選したとする。液晶表示装置に当選役Aに対する演出が開始される。次いで、遊技者が第1リール停止操作、第2リール停止操作、第3リール停止操作を順番に実行して、3つのリールが停止した時点で、当選役Aに対する特典として当選役Aに対して定められた遊技メダルの払い出しが行われる。遊技者は、スタートレバー操作時点から当選役Aに対する特典の払い出しまで当選役に対する期待を持ち続けるが、遊技メダルの払い出しがあると次ゲームの内部抽選が実行される迄、当選役に対する期待を一気に低下させ、次ゲームがスタートすると(次回のスタートレバー操作)、再び当選役に対する期待を持ち始める。
メイン基板がスタートレバー操作時の内部当選役Bをリール特殊演出の契機として判定すると、リールの停止操作を有効とするタイミングを通常より遅延させ、この間、リールに対してリール特殊演出を行う。リール特殊演出は、メイン基板によって所定期間継続される。この間、一つ又は複数のリールに対する停止操作は無効になる。メイン基板は、リール特殊演出を終了すると、左中右リールを通常回転させる共にリール停止操作無効を解除して、リールの停止操作を受付ける。スタートレバー操作後にリール特殊演出が実行されると、遊技者は役抽選の結果得られる当選役の図柄配列に期待するよりも、リールが逆回転する、リールがロックする等のリール特殊処理の発生の方を当選役よりも期待し、リール特殊演出が終了しても当選役に対する期待感は低下したままとなる。特に、リール特殊演出が弱パターンであると、リール特殊演出後に表示される当選役に対する期待感は著しく減少される。
一方、本発明の特定リール特殊演出(図75)は、第3リール停止後次のゲームスタートまでの無期待期間(当選役に対する特典が払い出されて、当選役に対する遊技者の期待が低下している期間)に実行される。内部抽選によって当選役Aが決定されると、液晶表示装置に当選役Aに対する演出が実行され、第1リール停止から第3リール停止までが実行され、当選役Aに対する特典の払い出しが行われた後、特定リール特殊演出が次回の役抽選迄の間に実行される。この間、遊技者は遊技に対する期待感を低下することなく、例えば、リール特殊演出に期待を抱き続ける。その後、次ゲームでのタイミングでリール特殊演出が行われなくても、当選役Bに対する期待感を持つようになる。複数のゲームが繰り返し行わる過程で、遊技者は遊技に対する期待感を常時抱き続けることができる。
メイン基板は特定リール特殊演出の要否処理を内部抽選処理(S3)において実行する。メイン基板は、内部抽選の結果、条件装置をチェックして、特定役が当選されたか否かを判定する。特定役が当選された場合には、RAM1114の所定領域のリール特殊決定領域にリール特殊決定フラグをセットする。そして、メイン基板は、判定処理(S6)において、リールが停止状態になったと判定した時点で、有効ライン上に表示された表示内容(図柄組み合わせ態様)と、前記内部抽選処理(S3)において決定された内部抽選の結果として許容されているものとを照合して、特定当選役の判定処理を行う。主制御基板は当選役の判定がされると、リール特殊実行フラグをセットする。主制御基板は、リール特殊決定フラグとリール特殊実行フラグとをチェックし、両者のフラグがセットされていることを判定すると、第3停止ボタンの操作又は第3停止リールの停止を確認する等して、特定リール特殊演出を開始する。
特定リール特殊演出は、停止された複数のリールのうち一つ又は複数を再可動(再回転)させ、その後停止させることによって実行されるものであり、より詳しく説明すると、どのリールがどれだけの図柄分回転して、可動したリールが停止した状態で、左中右の複数のリールの図柄組み合わせに応じて当選役の特典とは異なる別特典を付与するというものである。どのリールがどの程度回転されるか(リール特殊演出パターン)は、リール特殊決定フラグをセットする際に、当選役に応じて、メイン基板によって振分テーブルによって抽選され、RAM1114の所定領域に設定される。リール特殊演出パターンの決定はリール特殊実行フラグをセットする段階で行われてもよい。また、有効ラインに特定役の対応図柄組み合せを遊技者が引き込めない場合でも(すなわちリール特殊実行フラグがセットできない場合でも)リール特殊演出を実行してもよい。
特定リール特殊演出の処理の態様として、第1リールから第3リールの一部のリール又は全てのリールが再始動後停止して別特典を付加する一連の動作を複数回繰り返すようにしてもよい。メイン基板は、リール特殊決定フラグの設定時に、リール特殊演出を繰り返す情報をセットしてもよいし、リールの再始動後から停止に至る一連のリール特殊演出終了後、継続抽選を実行して、継続抽選に当選した場合に、停止図柄に基づいて次回のリール特殊演出を行ってもよい。
メイン基板は、リール特殊演出パターンフラグ(どのリールを何図柄分だけ回転させるかのフラグ)をチェックして、内部抽選による停止図柄が表示された後、リール特殊演出を実行する。図76は、特定リール特殊演出の具体例を示す、リール帯の図柄列の遷移図である。図76は図柄表示窓に表示された、複数のリール帯の停止図柄を示している。図76に係るリール帯の図柄列は図46のリール帯の図柄列とは異なる変形例に係るものであり、左右のリール帯に同一色の7図柄が二つの図柄分連続して付されており、中央のリール帯には同一色7図柄が連続することなく単独で形成されている。左右リールの7図柄と中リール7図柄とが組み合わされて、当選役に対応する図柄組み合わせの停止図柄として、1ライン又は2ラインで、或いは、その両方で7図柄が成立するようになっている。図76は、内部抽選の結果得られた特定役の停止図柄からどのリールが回転されるのかを示している。停止パターンAの停止図柄では、同一色の7図柄が中央のラインと右下がりのラインの2ライに並びながら、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに沿って成立している。この2ライン揃いの7図柄によって、内部抽選に対する特典として、例えば、ビックボーナスの特典が与えられる。なお、1ラインに並ぶ7図柄には、内部抽選に対する特典として、例えば、レギュラーボーナスの特典が与えられる。
停止パターンAの停止図柄に基づくリール特殊演出による再可動パターン1では、メイン基板は、左リールを再始動後所定図柄分だけ回転させた後(中リール、右リールは停止状態が保持される)停止させる。再可動パターン2では、中リールが再始動後所定図柄分だけ回転された後停止させる。再可動パターン3では、右リールを再回転後所定図柄分だけ回転させた後停止させる。
再可動パターン1〜3におけるリールの再可動パターンでは、停止図柄の全てのリールを回転させるのではなく、一部のリールを回転させているために、メイン基板は遊技者に、当選役に基づいた図柄組み合せを1ゲームの中で複数回に増加させて表示させることができる。遊技者には、リール特殊演出によって、当選役図柄の停止パターンの再現を期待させることができる。特に、当選役の停止図柄のうちの一つの図柄のリールを回転させるために、遊技者にとって当選役に対応する図柄の再現に対する期待度は大きくなる。なお、二つ以上の図柄のリールが再可動すると、一つのリールが再可動する場合に比較して、当選役図柄の再現に対する期待度は低下する。一方、二つ以上のリールの再可動は、当選役の停止図柄の特典以上の特典を持ち得る図柄配列を遊技者に期待させる場合には有効である。例えば、当選役の停止図柄がチャンス目等の場合である。
停止パターンAにおける再可動パターン1,3では、特定リール特殊演出の際、7図柄が1ラインで揃うか、2ラインで揃うか、或いは、揃わないかの3通りの停止パターンがある。これに対して、パターン2では、7図柄が2ラインで揃うか、揃わないかのパターンがある。当選役の停止図柄パターンAによって、役抽選による特典としてビックボーナスとビックボーナス終了後のARTゲームが確定となる。リールの再可動によって、7図柄が1ラインで揃うか、2ラインで揃うかによって、付加特典としてのサブ特典(演出制御基板によって与えられる特典)が与えられる。サブ特典は、ARTゲームの継続ゲーム数の上乗せである。サブ特典は、ARTゲームのセット数の上乗せでもよい。
当選役の停止図柄パターンBは、7図柄が右下がりの1ラインに成立されている。停止図柄パターンがBであることによって、当選役としてのレギュラーボーナスとレギュラーボーナス終了後ARTゲームが確定される。再可動パターン1では、左リールが再回転後停止し、再可動パターン2では、中リールが再回転後停止し、再可動パターン3では右リールが再回転後停止する。再可動パターン1では、左リールの停止位置によって、7図柄が2ラインで揃うか、1ラインで揃うか、又は揃わないかのパターンがある。再可動パターン2と再可動パターン3では、7図柄の停止位置によって、7図柄が1ラインで揃うか又は揃わないかのパターンがある。
当選役の図柄組み合わせが停止パターンCである場合では、7図柄1ラインが中央の並びに形成されている。当選役の図柄組み合わせの停止パターンがCであることによって、当選役としてのレギュラーボーナスとレギュラーボーナス終了後ARTゲームが確定される。再可動パターン1では、左リールが再回転後停止し、再可動パターン2では、中リールが再回転後停止し、再可動パターン3では右リールが再回転後停止する。再可動パターン1と再可動パターン3では、左リールの停止位置によって、7図柄が2ラインで揃うか、1ラインで揃うか、又は揃わないかのパターンがある。再可動パターン2では、7図柄の停止位置によって、7図柄が1ラインで揃うか又は揃わないかのパターンがある。
以上のように、当選役の停止図柄の組み合せと、停止図柄のどのリールが再始動するかによって、特定リール特殊演出後の停止図柄の組み合せが異なってくる。当選役の図柄組み合わせが停止パターンAにおいて、左リール又は右リールが再可動した場合、7図柄が1ラインで成立する場合と、7図柄が2ラインで成立する2通りの場合があるのに対して、中リールが再可動した場合では、7図柄の2ラインで成立する1通りの場合しかない。そこで、左リール又は右リールが再始動した場合には遊技者には付加特典の獲得に安心感が与えられるのに対して、中リールが再始動した場合には、付加特典の獲得にどきどき感(緊張感)が与えられる。したがって、中リールが再始動して7図柄が成立した場合の付加特典の度合いを左リール又は右リールが再可動して7図柄が成立した場合の付加特典の度合いに比較して大きくすることができる。即ち、当選役の停止図柄の組み合せのうち再可動されないリールに表示されている特定図柄(7図柄)の組み合せによって、メイン基板は、遊技者にリール特殊演出の際での複数のリールの停止図柄の組み合せに基づく付加特典の度合いを教示することができる。
メイン基板は、遊技者に、再可動されないリールに表示されている特定図柄を常時視認させて、リール特殊後の図柄配列を比較的容易に遊技者に予測、期待、認識等させることができ、遊技者に、付加特典が与えられるか、与えられるとするとどの程度かを明確に判断させる制御を実現することができる。メイン基板は、リール特殊演出後の複数のリールの停止図柄の組み合せによって遊技者に付加特典の付与を教示する。また、メイン基板は、当選役に基づく図柄組み合せにおける特定図柄の配列以上の特定図柄の配列をリール特殊処理において遊技者に期待させることができる。当選役に対応する図柄組み合せでは7図柄が1ラインで形成されていたものが、リール特殊演出の結果、7図柄が2ラインで形成される。即ち、内部当選の結果の当選役に対する挽回のチャンスをリール特殊演出によって実現することができる。既述のとおり、当選役に対する図柄組み合せの表示後、当選役に基づくリール特殊演出が実行されるために、1ゲームの間に当選役に基づいて図柄組み合せを複数回表示させて遊技者に当選役に対する期待感を継続させ、そして、当選役の図柄が表示されることからなる初回の図柄組み合せの表示に対する特典と、それに続く、リール特殊演出に基づく初回以降の図柄組み合せの表示に対する付加特典との価値が変更されることによって、遊技の進展感を遊技者に与えることができる。
図77は、当選役の停止図柄に対するリール特殊演出パターンの抽選テーブルである。このテーブルはメイン基板のROMに記録されており、メイン基板は当選役の停止図柄のパターンに対応する抽選テーブルを参照して、乱数を用いて抽選テーブルから再始動リールと上乗せゲーム数の組み合せを決定する。抽選テーブル(停止パターンA)は、左リール、右リールが再始動された場合には、7図柄が1ライン(シングル)又は2ライン(ダブル)で成立して所定のゲーム数の上乗せ(10ゲーム〜30ゲーム)が必ずあることを示し、中リールが再始動された場合には、7図柄が揃わない場合があるものの、7図柄が成立すると必ず2ラインで成立するため、最大の上乗せゲーム数(50G)が実現できることが示されている。そして、左リール又は右リールが再始動した場合、再始動後の停止図柄において、7図柄が1ラインで成立するよりも7図柄が2ラインで成立した方が多い上乗せゲーム数が設定されている。どのリールが再可動して、特定図柄(7図柄)がどのような形態で成立して、どの程度の上乗せゲーム数があるか(リール特殊演出パターンと付加特典の組み合せ)は、テーブルの振り分け率によって決定される。なお、抽選テーブルから分かるように、どのリールが再回転しようが、上乗せゲーム数が大きい程振り分け率が低く設定されているために、結果的には、付加特典の期待度はどのリールが再可動しようが遊技メダルの出率としてはほぼ同じになる。
抽選テーブル2は、当選役の停止図柄組み合せがパターンBである場合の抽選テーブルである。停止パターンBは7図柄が1ラインで成立しているため、7図柄が2ラインで成立した停止パターンAの抽選テーブル1に比べて、リール再始動後に7図柄が揃わない振分率(確率)が50%と抽選テーブル1の値(10%)より大きくなっている。また、中リールが再始動しても、中リールによって成立するのは7図柄の1ラインに留まるため、中リールに対する上乗せゲーム数は抽選テーブル1(停止パターンA)の場合よりも少ない値に抑制されている。左リールの再始動では、7図柄が2ラインで成立する場合があり、最も大きい値の上乗ゲーム数が設定されている。停止パターンBに基づく抽選テーブル全体の上乗ゲーム数は停止パターンAの上乗ゲーム数よりも低くなるように制限されている。
抽選テーブル3は、当選役の停止図柄の組み合せが停止パターンCである場合の抽選テーブルである。停止パターンCは停止パターンBと同様に7図柄が1ラインで揃うことに留まるものであるが、右リールの再始動後の停止形態は、停止パターンBでは1ラインに留まるのに対して、停止パターンCでは2ラインになり得るために、有利度は停止パターンCの方が停止パターンBよりも高いものとして、特定リール特殊演出の結果、7図柄が成立しない確率は停止パターンCの場合の方が停止パターンBの場合よりも低く設定されている(停止パターンBの場合50%、停止パターンCの場合40%)。そして、右リールの再始動後の停止形態と左リールの再始動後の停止形態では、7図柄の2ライン成立の場合に最大の上乗せゲーム数(30ゲーム)が設定されている。
当選役に対する図柄組み合せの停止パターンがA、B、Cの夫々において、リール再始動後の停止によって、特定図柄である7図柄の並びが成立されると、図77の抽選テーブルから分かるように、停止パターンA、B、Cの何れかの図柄組み合せの停止パターンが再現される。この場合、メイン基板は、リール特殊演出処理を継続して、7図柄が揃わなくなるまでリール特殊演出を継続する継続手段を実現するようにしてもよい。
既述の特定リール特殊演出によれば次の効果が達成される。当選役(7図柄の成立)の停止図柄が表示され、当選役に対する特典が確定された後次ゲームが開始されるまで遊技に対する期待感を失わずこれを維持できる期待感維持手段が実現される。メイン基板は、当選役に対する特典(遊技メダルの払い出し又はリプレイ、ビックボーナス、レギュラーボーナス等有利遊技)の確定を遊技者に確認させてから、リール特殊演出を行うため、遊技者に安堵感を与える安堵感提供手段を実現することができる。当選役に対応する図柄組み合せの一部の図柄のリールが再始動されるために、再始動しない停止図柄の表示に基づいてリール特殊演出後の付加特典付与対象となる停止図柄の組み合せを予測することができる。リール特殊演出後のリールの停止図柄によって付加特典のための教授手段が実現される。当選役に対応する停止図柄に基づいてリール特殊演出後の図柄組み合せが生じるため、当選役に対する特典の遊技者に対する提示後でも当選役に対する期待感を維持する期待感維持手段が実現される。1ゲームの範囲で、当選役に基づくリールの回転と停止、及び、これに続く、特定リール特殊演出によるリールの回転と停止と複数回のリール動作態様が遊技者に提供されるために、遊技者のリール動作に対する興趣感を向上させることができる。
既述の実施形態では、メイン基板が特定リール特殊演出の処理の際に可動・停止されるリールを決定していたが、遊技者が再始動されるリールを選択することもできる(可動選択手段)。メイン基板は内部抽選処理の結果特定役に当選すると、このとき、7図柄の1ライン又は2ラインの並びが表示され(リール特殊演出を行うか否かの抽選を行ってリール特殊演出の開始が当選されてもよい。)リール特殊決定フラグをセットする。第3リール停止後特定役に対応する図柄が表示されると、メイン基板は、演出制御基板による液晶表示装置を介して、遊技者に可動・停止させるリールを選択すべき報知を行う。遊技者はこの告知に応じて、再始動させたいリールに対応する停止ボタンを操作することによって再可動後停止させるリールを選択する。メイン基板は、停止ボタンの操作があると、停止ボタンに対応する可動リールの停止パターンを抽選によって決定する。
図78は、遊技者によって可動されるリールが選択される場合において、当選役の停止図柄パターンがA,B,Cの場合での抽選テーブルである。抽選テーブル1(停止パターンA)において、中リールはリール特殊演出の結果、7図柄が2ラインで成立するか、或いは、7図柄が成立しないかの2通りであり、かつ、7図柄が揃わない確率が40%と高いものの、60%で30ゲーム以上の上乗せが確定し、そのうち半分が50ゲーム以上の上乗せとなる。したがって、中リールを再始動対象とし選択することは、「超波乱」の遊技性であることが遊技者に演出制御基板によって液晶表示装置を介して告知される。
遊技者が左リールを選択する場合には、リール特殊演出後7図柄が成立しない確率が20%であり、リール特殊演出後の7図柄が2ラインで成立することによる最大上乗せゲーム数(30ゲーム)の確率は10%と低いものの、7図柄の1ラインでの成立によって、10ゲーム又は20ゲームの上乗せ率は70%ある。したがって、左リールの選択は遊技者に「堅実」として告知される。遊技者が右リールを選択する場合には、リール特殊演出後7図柄が成立しない確率が30%であり、リール特殊演出後の7図柄が2ラインで成立することによる最大上乗せゲーム数(30ゲーム)の確率は20%であるものの、7図柄の1ラインでの成立によって、10ゲーム又は20ゲームの上乗せ率は50%ある。右リールの選択によるリール特殊演出の付加特典は、左リールのリール特殊演出の付加特典に比べて、7図柄が成立しない確率がやや高いものの、上乗せゲーム数はやや大きい値で設定されている。したがって、右リールの選択によるリール特殊遊技は、左リールが「堅実」であることに対して、「普通」として遊技者に告知される。
抽選テーブル2は内部抽選の特定役の図柄組み合せの停止パターンがBである場合の振分テーブルである。中リールはリール特殊演出の結果、7図柄が1ラインで成立するか、或いは、7図柄が成立しないかの2通りであり、かつ、7図柄が揃わない確率が30%であり、70%で10ゲームの上乗せが確定する。したがって、中リールを再始動対象とすることは、「堅実」の遊技性であることが遊技者に告知される。遊技者が左リールを選択する場合には、リール特殊演出後7図柄が成立しない確率が50%もあるものの、リール特殊演出後の7図柄が2ラインで成立することによる最大上乗せゲーム数(30ゲーム)の確率は10%と低いものの、7図柄の1ラインでの成立によって、10ゲーム又は20ゲームの上乗せ率は60%ある。したがって、左リールの選択は遊技者に「超波乱」とまではいかないものの「波乱」として告知される。遊技者が右リールを選択する場合には、リール特殊演出後7図柄が成立しない確率が40%であり、リール特殊演出後の7図柄が1ラインで成立することによる上乗せゲーム数が20ゲーム又は10ゲームの確率は60%である。右リールの選択によるリール特殊演出による付加特典は、中リールのリール特殊演出の付加特典に比べて、7図柄が成立しない確率がやや高いものの、上乗せゲーム数はやや大きい値で設定されている。したがって、右リールの選択によるリール特殊遊技は、中リールが「堅実」であることに対して、「普通」として遊技者に告知される。
抽選テーブル3は内部抽選結果の特定役の図柄組み合せの停止パターンがCである場合の振分テーブルである。中リールはリール特殊演出の結果、7図柄が1ラインで成立するか、或いは、7図柄が成立しないかの2通りであり、かつ、7図柄が揃わない確率が20%であり、80%で10ゲーム又は20ゲームの上乗せが確定する。したがって、中リールを再始動対象とすることは、「堅実」の遊技性であることが遊技者に告知される。遊技者が左リールを選択する場合には、リール特殊演出後7図柄が成立しない確率が30%あり、リール特殊後の7図柄が2ラインで成立することによる最大上乗せゲーム数(30ゲーム)の確率は10%と低いものの、7図柄の1ラインでの成立によって、10ゲーム又は20ゲームの上乗せ率は60%ある。したがって、左リールの選択は遊技者に「堅実」とまではいかないものの「普通」として告知される。遊技者が右リールを選択する場合には、リール特殊演出後7図柄が成立しない確率が40%であり、リール特殊演出後の7図柄が2ラインで成立することによる上乗せゲーム数が30ゲームの確率は20%であり、7図柄が1ラインで成立した場合での上乗せゲーム数10ゲーム又は20ゲームの確率が40%である。右リールの選択によるリール特殊演出の付加特典は、左リールのリール特殊演出の付加特典に比べて、7図柄が成立しない確率がやや高く、最大の上乗せゲーム数の確率はやや大きい値で設定されている。したがって、右リールの選択によるリール特殊遊技は、左リールが「普通」であることに対して、「波乱」として遊技者に告知される。
このように、当選役の図柄組み合せの停止図柄に対して、遊技者がどのリールを選択し再始動させるかに応じて、つまり再始動されないリールに表示されている特定図柄(7図柄)の組み合せ態様に応じて、再始動したリールが停止した際の図柄組み合せの形態、複数の停止図柄夫々の振分率、複数の停止図柄夫々に対する付加特典の度合いの組み合せの形態が適宜設定されていることにより、付加特典の振分率や特典の度合いなどによる期待度が可動していないリールによる外見上の停止図柄の態様に対応されている。したがって、遊技者がリールを選択したことによる付与特典の期待度を容易に明確にすることができる。さらに、付加特典のための遊技性を、付加特典の程度は高いものの付加特典の発生のための遊技形態の成立確率が低いという「(超)波乱」遊技、付加特典の程度は普通で、付加特典発生のための遊技形態の成立の確率も普通であるという「普通」遊技、付加特定の程度は低いものの、付加特典発生のための遊技形態の成立確率は高いという「堅実」遊技というように、付加特典の遊技性格設定手段を実現することで、リールを選択する遊技者の行為によって遊技性の決定が実現できる、遊技の進行状況によって遊技者の意志で遊技性を変更することが可能となる。
既述の実施形態では、振り分けテーブルはメイン基板のROMに記録され、メイン基板によってリール特殊演出の付加特典が決定され、メイン基板から演出制御基板に付加特典が通知されるものとして説明したが、演出制御基板がメイン基板からリール特殊演出パターンを示す情報コマンドを受けて、演出制御基板のROMに記録されている抽選テーブルに基づいて付加特典度合いを決定するようにしてもよい。リール特殊演出によって付加特典が決定されると、次ゲーム以降の遊技において付加特典が付与された遊技が実行される。付加特典がARTゲームの上乗せゲーム数である場合には、リール特殊演出が行われた次ゲーム以降において(当選役に基づくボーナスゲームが終了した後)、演出制御基板は上乗せゲーム数を上乗せしたARTゲームを開始する。
既述のとおり、遊技者は、選択しようとしているリール以外の停止図柄を勘案して、左中右のリールのうちどのリールでも選択可能であるが、抽選に基づく特定リール特殊演出パターンの振り分けによって(図78参照)、メイン基板は、遊技者が選択した選択リールが可動後特定図柄組み合せ(7図柄の1ライン又は2ラインでの成立)で停止する際の確率(付加特典の付与割合)と、可動リールが特定図柄組み合せを形成するように停止した場合に付与される付加特典の付与度合いとに変化を持たせることができる(特定リール特殊演出パターン変動化手段)。したがって、特定リール特殊演出の際、どのリールを選択するかによって、付加特典の付与度合いに変動が発生して遊技者に不公平が生じ得ることになる。そこで、メイン基板又は演出制御基板が特定リール特殊演出の際、どのリールが選択されても付加特典の有利度を均衡化(均等化)する均衡化手段を実現する。以下具体的に説明する。
特定リール特殊演出パターンの振り分けの第1の形態について説明する。当選役の特定図柄組み合せは、第1の形態と同様に図76の停止パターンAとする。
(1)左(右)リールの選択(左(右)リールの可動及び停止)
特定図柄組み合せが成立しない確率:4/8 付加特典:0G
特定図柄組み合せが成立する確率: 4/8
7図柄の1ライン成立の確率:2/8 付加特典:30G
7図柄の2ライン成立の確率:2/8 付加特典:50G
(2)中リールの選択(中リールの可動及び停止)
特定図柄組み合せが成立しない確率:6/8 付加特典:0G
特定図柄組み合せが成立する確率
(7図柄の2ライ成立): 2/8 付加特典:80G
メイン基板(演出制御基板)は、左(右)リールが選択された場合には、特定図柄組み合せが成立し易いが付加特典が小さく、中リールが選択された場合には、特定図柄組み合せが成立し難いが付加特典が大きいという特定リール特殊演出を実現する。
左(右)リールが選択された場合の付加特典の期待度は、
(4/8)*0G+(2/8)*30G+(2/8)*50G=20Gであり、
中リールが選択された場合の付加特典の期待度は、
(6/8)*0G+(2/8)*80G=20Gである。
第1の形態においては、メイン基板(演出制御基板)は、再始動させることで2種類の図柄特定組合せ(第1の図柄特定組合せ(7図柄の1ライン)と第2の図柄特定組合せ(7図柄の2ライン))を表示させ得る左リール(又は右リール)を選択した場合には、50%の確率で付加特典を付与する決定を行なっており、再始動させることで1種類の図柄特定組合せ(第2の図柄特定組合せのみ(7図柄の2ライン))を表示させ得る中リールを選択した場合には、25%の確率で付加特典を付与する決定を行なっている。つまり、複数のリールのうち、特定図柄組合せに属する複数の図柄特定組合せが表示され得るリールである左リール(又は右リール)が選択された場合を、複数の図柄特定組合せのうちの何れかが表示され得るリールである中リールが選択した場合よりも高い割合(確率)で付加特典の付与を決定する。しかしながら、中リールを選択によって第2の図柄特定組合せが表示された場合に付与される付加特典はARTのゲーム数上乗せ数が80Gであり、左リール(又は右リール)を選択によって第2の図柄特定組合せが表示された場合に付与される付加特典はARTのゲーム数上乗せ数50Gである。低い割合(確率)で付加特典の付与を決定されるリールを選択するほうが有利な特典内容が得られる可能性がある。つまり付加特典が付与される可能性が低い分、付加特典が付与されたときの付加特典の特典内容をより有利なものにすることで有利度を均衡化されるように、リールごとに付加特典の決定割合及び特典内容の振り分けを設定していることで均衡化手段を実現している。
そのことにより、中リールを選択した場合は、左(右)リールを選択した場合に対して、上述した「(超)波乱」遊技を一時的に実現しているものの、付加特典の付与度合いの期待値は同じである。そのため、選択したリールによって付与される確率や付与されたときの特典の内容を異なる遊技性を遊技者が選択できるものの、選ばれた遊技性においても公平性が保たれることが可能となる。さらに遊技者が選んだリールに応じて付加特典による出玉率が不安定になることなく、おおよそ一定の出玉率となるため、遊技者側だけでなくホール側も売り上げ管理が容易となる。
また、2種類の図柄特定組合せ(第1の図柄特定組合せ(7図柄の1ライン)と第2の図柄特定組合せ(7図柄の2ライン))を表示させ得るか、1種類の図柄特定組合せ(第2の図柄特定組合せのみ(7図柄の2ライン))を表示させ得るかは、図76などのリール帯の図柄列の遷移図によって、選択されないで停止が維持されているリールで表示され得る特定図柄組合せに属する複数の図柄特定組合せが想起し得る態様としているため、遊技者へ事前に示唆することが可能である。つまり、遊技者に表示図柄態様に基づいたリールによる選択肢によって付与され得る特典との関連性を明確かつ単純に案内することが可能となっている。なお、第1の形態における付加特典の期待度は第1の形態の付加特典の期待度の2倍になっている。したがって、特定リール特殊演出処理における特定リール特殊パターンの振り分けに高確率状態と低確率(通常確率)状態とを設定し、メイン基板(演出制御基板)が抽選によって、或いは当選役に応じて高確率状態又は低確率状態を選択するようにしてもよい。
本発明は特定図柄組合せと付加特典の付与割合及び付与度合いとの関係性を持たせることにより付加特典の期待度を明確化する目的であるため第1形態が好ましいが、特定リール特殊演出パターンの振り分けの処理形態はこれに限られない。例えば、第2の形態について説明する。当選役の停止図柄組み合せは、図76の停止パターンAとする。
(1)左(右)リールの選択(左(右)リールの可動及び停止)
特定図柄組み合せが成立しない確率:6/8 付加特典:0G
特定図柄組み合せが成立する確率: 2/8
7図柄の1ライン成立の確率:1/8 付加特典:30G
7図柄の2ライン成立の確率:1/8 付加特典:50G
(2)中リールの選択(中リールの可動及び停止)
特定図柄組み合せが成立しない確率:4/8 付加特典:0G
特定図柄組み合せが成立する確率
(7図柄の2ライ成立): 4/8 付加特典:20G
メイン基板(演出制御基板)は、第2の形態の特定リール特殊演出パターン振り分け制御を実行することにより、左(右)リールが選択されて左(右)リールが可動・停止された0場合には、特定図柄組み合せが成立し難いが付加特典が大きく、中リールが選択されて中リールが可動・停止された場合には、特定図柄組み合せが成立し易いが付加特典が少ないという特定リール特殊演出を実現する。
左(右)リールが選択された場合の付加特典の期待度は、
(6/8)*0G+(1/8)*30G+(1/8)*50G=10Gであり、
中リールが選択された場合の付加特典の期待度は、
(4/8)*0G+(4/8)*20G=10Gである。
遊技者が、7図柄が1ライン又は2ラインで成立する可能性がある左リール又は右リールを選択して手堅く付加特典を得ようとしても、或いは、7図柄が2ラインでのみ揃う中リールを選択して付加特典を一気に得ようとしても、付加特典の付与度合いの期待値は同じである。したがって、メイン基板(演出制御基板)は、どのリールが選択されても付加特典の付与度合い(有利度)を均衡化する手段を特定リール特殊演出処理において実行する。
さらに、特定リール特殊演出パターンの振り分けの第3の形態について説明する。当選役の特定図柄組み合せは、第1及び第2の形態と同様に図76の停止パターンAとする。(1)左(右)リールの選択(左(右)リールの可動及び停止)
特定図柄組み合せが成立しない確率:4/8 付加特典:0G
特定図柄組み合せが成立する確率: 4/8
7図柄の1ライン成立の確率:2/8 付加特典:30G
7図柄の2ライン成立の確率:2/8 付加特典:50G
(2)中リールの選択(中リールの可動及び停止)
特定図柄組み合せが成立しない確率:4/8 付加特典:0G
特定図柄組み合せが成立する確率
(7図柄の2ライ成立): 4/8 付加特典:40G
第1の形態及び第2の形態と異なり、この第3の形態では、左(右)リールと中リールの何れを選択しても、付加特典付与のための特定図柄組み合せが揃う確率は同じである。そして、左(右)リールを選択した場合は、特定リール特殊演出の特定図柄組み合せが7図柄の1ラインの場合と7図柄の2ラインの場合とあり、夫々に対する付加特典の度合い異なるようにしているが、左(右)リールを選択した場合と中リールを選択した場合とで付加特典の付与の期待値を同じ(10G)にしている。メイン基板(演出制御基板)は、どのリールが選択されようが、付加特典が付与される有利度を均衡化しているが、一部のリールを選択した場合、特定図柄組み合せの成立状態に応じて付加特典の付与の態様を分散化する(ばらつかせる)手段を実現する。なお、左リールの選択と左リールの選択との間で、特定リール特殊演出の特定図柄組み合せを成立させる確率や付加特典の付与度合いを異なるようにしてもよい。また、遊技者は左リール、中リール、右リールの中から可動・停止されるリールを自由に選択できるとしたが、メイン基板が選択可能なリールを演出制御基板を介して遊技者に報知するようにしてもよい。例えば、「左リール又は右リールを選択可能」、「左リール以外選択可能」、「どれか二つのリールを選択可能」等である。遊技者が、報知された以外のリールを選択した場合には、遊技者はリールの再選択を求められる。
既述の実施形態では、リール特殊演出としてどのリールが再始動されるかが先ず決定され、リールの再始動の結果どのような形態の停止図柄が得られるかによって、上乗せゲーム数が決定されていた。一方、メイン基板が当選役に基づいてリール特殊演出の開始を決定すると、付加特典の度合いを抽選によって決定し、これに合わせて再可動されるリール等リール特殊演出パターンを決定するようにしてもよい。図79は、特定リール特殊演出の付加特典の度合いを決定するための振分テーブルである(例えば、図76停止パターンAに対する振り分けテーブル。停止パターン毎に振り分けテーブルが存在してもよい)。メイン基板は、付加特典の付与度合いをA,B,Cの何れかグループから抽選し、振分テーブルに規定されているように、対応するリールを再始動して特定図柄である7図柄を成立させる。グループAは、付加特典の度合いが50ゲーム又は30ゲームからなり、メイン基板は、7図柄は何れの場合でも2ラインで成立させる。グループBでは、付加特典度合いが10ゲーム又は20ゲームからなり、7図柄は何れの場合でも1ラインで成立される。グループCでは、付加特典の度合いがゼロゲームであり、メイン基板は、7図柄を成立させないでリールの再可動を行う。
当選役対応組み合せ図柄の停止形態がパターンAの場合、付加特典度合いは、振分テーブルのAグループ(1)(上乗せゲーム数50、中リール可動、7図柄2ラインで成立)、振分テーブルのAグループ(2)(上乗せゲーム数30、左リール可動、7図柄2ラインで成立)、振分テーブルのAグループ(4)(上乗せゲーム数30、右リール可動、7図柄2ラインで成立)、振分テーブルのBグループ(5)(上乗せゲーム数20、左リール可動、7図柄1ラインで成立)、振分テーブルのBグループ(6)(上乗せゲーム数20、右リール可動、7図柄1ラインで成立)、振分テーブルのBグループ(7)(上乗せゲーム数10、左リール可動、7図柄1ラインで成立)、振分テーブルのBグループ(8)(上乗せゲーム数10、右リール可動、7図柄シングルラインで成立)、振分テーブルのCグループ(9)(上乗せゲーム数0、中リール可動、7図柄不成立)何れかのリール特殊演出パターンに抽選される。メイン基板は、決定されたリール特殊演出パターンに基づいて、リール特殊演出による付加特典の度合を実現するために、左リール、中リール、右リールのどのリールをどのように制御して特定図柄を成立させるか(7図柄を2ライン又は1ラインで成立させるか、又は、7図柄を成立させないようにするか)を判定して、リールを再可動し次いで停止させる。
当選役対応組み合せ図柄の停止形態がパターンBの場合、付加特典度合いは、振分テーブルのAグループ(2)(上乗せゲーム数30、左リール可動、7図柄2ラインで成立)、振分テーブルのBグループ(5)(上乗せゲーム数20、左リール可動、7図柄10ラインで成立)、振分テーブルのBグループ(6)(上乗せゲーム数20、右リール可動、7図柄1ラインで成立)、振分テーブルのBグループ(7)(上乗せゲーム数10、左リール可動、7図柄1ラインで成立)、振分テーブルのBグループ(8)(上乗せゲーム数10、右リール可動、7図柄1ラインで成立)、振分テーブルのCグループ(9)(上乗せゲーム数0、中リール可動、7図柄不成立)の何れかのリール特殊演出パターンに抽選される。
当選役対応組み合せ図柄の停止形態がパターンCの場合、付加特典度合いは、振分テーブルのAグループ(2)(上乗せゲーム数30、左リール可動、7図柄2ラインで成立)、振分テーブルのAグループ(4)(上乗せゲーム数30、右リール可動、7図柄2ラインで成立)、振分テーブルのBグループ(5)(上乗せゲーム数20、左リール可動、7図柄1ラインで成立)、振分テーブルのBグループ(7)(上乗せゲーム数10、左リール可動、7図柄1ラインで成立)、振分テーブルのBグループ(8)(上乗せゲーム数10、右リール可動、7図柄1ラインで成立)、振分テーブルのCグループ(9)(上乗せゲーム数0、中リール可動、7図柄不成立)の何れかのリール特殊演出パターンに抽選される。このように、メイン基板はリール特殊演出の際、当選役の特典度が確定された後リール特殊演出に依る付加遊技に付与される付加特典の付加度合いに基づいてリール特殊演出パターンを決定するようにしてもよい。
次に、遊技機の特定リール特殊演出処理の他の実施形態を、図76での既述の説明を加えながら以下に述べる。メイン基板409は、ROM1112に記録されたプログラムに基づいて特定リール特殊演出に関係する諸制御態様を実行する。メイン基板は、右リール、中リール、左リールが回転すると、停止ボタンによって、全てのリールが停止されたか否かを判定する。全てのリールが停止されると、メイン基板は、特定当選役が抽選されたか否かを判定する。ここで、特定当選役とは、図柄表示窓401に、既述の特定リール特殊演出対象となる、例えば、1ライン又は複数ラインに、特定図柄としての「7」の並び(特定図柄組み合せ)を成立させるための図柄を有効ラインに揃えることができる当選役のことである。メイン基板は特定当選役の抽選を否定すると、他の当選役の抽選、当該他の当選役に対応する図柄組合せの表示を判定して、遊技メダルの払い出しの要否を処理し、次ゲームの処理に移行する。
次いで、メイン基板は、図柄表示窓内に特定図柄組合せが表示されたか否かを判定し、これを肯定すると、ボーナスゲームやART抽選等の特典を設定するとともに、特定リール特殊演出の要否判定を行う。特定リール特殊演出の要否は既述のとおり抽選によって決定される。メイン基板は、特定リール特殊演出の実行を否定判定すると、次ゲームのための処理に移る。
一方、メイン基板が特定リール特殊演出の実行を肯定すると、現在行っているゲームの次のゲームの開始のためのBETを特定リール特殊演出が終了するまで留保し、停止された複数のリールのうちの一つ又は二つのリールを、再可動後停止させる(特定リール特殊演出)。どのリールを可動させるか、可動したリールをどの図柄で停止させるか、リールの可動とその停止を何回繰り返すか等特定リール特殊演出パターンはROM1112内に記録されており、メイン基板は複数のパターンの中から所定のパターンを選択して特定リール特殊演出処理を継続する。
メイン基板は特定リール特殊演出の際、複数のリールに跨って一旦成立した特定図柄組合せを、一部のリールを可動させることによって崩壊させる。メイン基板は特定リール特殊演出継続期間中、特定図柄配組合せに関連する図柄組合せが複数のリールを跨ぐラインである、上段、中段、下段、斜め右、及び、斜め左の少なくとも一つに直線状に成立したか否かを判定し、関連図柄組合せがこれらのラインに直線状に成立した場合には、特定リール特殊演出に基づく付加特典付与対象として記録する。特定図柄組合せは、遊技者から容易に認識され得る「7」等の図柄の並びであるため、関連図柄組合せも特定図柄組合せに同一か或いは類似する形態として設定される。
遊技者は、自身で容易に認識でき、かつ、有利度の高い特定図柄組合せを確認後、一部のリールが再回転して特定図柄組合せが崩されるように遊技者に視認させることで、再回転しない停止図柄に残されている特定図柄組合せの表示に基づいて付加特典付与対象となる停止図柄の組み合せを容易に予測することができる。その後に、付加特典付与対象となる特定図柄組合せと関連するように特定図柄組合せを構成する特定図柄を含む関連図柄が複数のリールに跨ってみた場合に、直線ラインで結ばれる所定の位置に停止させ得ることによって、次ゲーム開始前の現在のゲームで付加特典が付与されることを明確に意識することができるようになる。
メイン基板が特定リール特殊演出の終了を判定すると、特定リール特殊演出中、特定図柄配列に関連する図柄組み合せが何回成立したか等の遊技成績に基づいて所定の付加特典を決定する。付加特典としては、既述のとおり、当選役に基づく特典とは異なる、ARTのセットの上乗せ数、ARTのゲーム数の上乗せ数等である。メイン基板は演出制御基板にARTのセットの上乗せ数、ARTのゲーム数上乗せ数を設定する。次いで、メイン基板及び演出制御基板は、特定図柄配列に伴う特典と付加特典に基づいて所定ゲーム数の間有利遊技を実行する。
一方、メイン基板は、特定当選役が成立したものの、特定図柄組合せが複数のリールに引き込められなかった場合、特定当選役の成立に伴う有利状態を遊技者に認識させるために特定リール特殊演出を利用した制御処理を次のとおり実行する。メイン基板は、特定図柄組合せが表示されないことを判定すると、リール特殊演出の要否、即ち、停止した複数のリールのうち一部のリールの再可動の要否を判定する。
複数のリールに表示された図柄組合せが特定図柄組合せでないとは、例えば、遊技者が容易に認識できる特定図柄(例えば、既述の「7」)が、複数のリールを跨ったラインに成立していない図柄組合せである場合をいう。特定図柄がラインを構成するリールの一つ又は二つに表示されているが、特定図柄が他のリールに表示されていない場合、メイン基板は、特定図柄組合せではないと判定してもよい。なお、特定図柄組合せでは無い図柄組合せが所定のものに限定されてもよい。特定リール特殊演出要否は予め抽選によって決定されている。
メイン基板が特定リール特殊演出の実行を否定すると、次ゲームの処理に移行する。メイン基板が特定リール特殊演出の実行を決定すると、複数リールに対する再可動パターンを選定する。再可動パターンには複数あり、例えば、特定図柄組合せ成立パターンと一部リール可動パターンとがある。
特定図柄成立パターンでは、メイン基板は、停止されているリールの少なくとも一つを回転させて、現在停止している複数のリールに形成されている特定図柄組合せとは異なる図柄組み合せを特定図柄組合せに強制的に変化させる。例えば、特定図柄である「7」が複数のリールの同一直線ラインに一部存在している場合には、少なくとも、特定図柄が成立していないリールを回転させればよい。さらに、回転するリールの数に応じて、特定当選役に対応する特定図柄組合せについて付与される特典の大小を示唆するようにしてもよい。そのことにより、リールの挙動とそれに対して付与される特典の大きさとを互いに比例或いは相関させた遊技性を実現できるために、リールが再回転したリール挙動によって付与される特典の大きさや種類等を遊技者が推測でき、遊技性をより明確にできるという効果を奏することができる。
なお、上述では一部のリールを再可動させるとしたが、特定図柄である「7」が複数のリールの同一直線ラインに一部存在している場合であっても、あえて全てのリールを回転させたのちに特定図柄組合せに強制的に変化させるパターンを設けてもよい。一部のリールを回転させるよりも演出としての見た目のインパクトを与えることができ、付加特典が付与されることを更に強調することができる。
メイン基板が、特定図柄組合せを表示すると、特定当選役に対応する特定図柄組合せに係る特典を付与し、次いで、特定リール特殊演出要否の判定を行い、そして、特定リール特殊演出処理を既述のとおり実行する。メイン基板は、特定図柄組合せに対応する前記特定当選役が抽選されているにも拘らず、停止された複数のリールの停止態様が特定図柄組合せとは異なる場合でも、一つ又は複数のリールを可動及び停止させて特定の態様を遊技者に一旦見せることにより、遊技者は、演出制御基板による液晶表示装置における演出に依らずに、実は特定当選役が抽選されていたことを知り、特定図柄組合せに基づいて特定リール特殊演出が発生して、付加特典が得られる可能性があることに安堵しながら遊技を継続することができる。さらに、上述した特定リール特殊演出を発生させるにあたり、異なる図柄組み合せが表示されてしまった場合にでも、特定図柄組合せ成立パターンによる制御によって特定図柄組合せを表示させてから特定リール特殊演出を実行できるため、停止態様を利用した演出を遊技者に明確に演出する事が可能になる。
一部リール可動パターンでは、メイン基板は、特定図柄組合せではない図柄組合せを成立させているリールのち、一部のリール、例えば、特定図柄が表示されていない図柄のリールを回転させて、このリールを図柄表示窓401内で特定図柄又はこれに関連する関連図柄(特定図柄と組み合わされて所定の当選役に対応する図柄組合せを形成させ得る図柄、例えば、色違いの「7」図柄、或いはBAR図柄等)を表示するように停止させる。これによって、遊技者は、特定の図柄組合せを成立可能な特定当選役が抽選されていたことを液晶表示装置や音声によって告知されることなく、リールの挙動そのものから想起することができるようになる。
特定の図柄組合せを表示させる条件として、停止ボタンを適正なタイミングで操作すること(所謂目押し)が必要となる場合でも、特定図柄組合せ成立パターン、又は、一部リール可動パターンによる制御によって、たとえ、目押しを上手くできずに特定の図柄組合せを表示できない場合でも、特定当選役の当選時に付与特典の付与に関する予告演出をリールそのもので実行することによって、遊技者の技量に応じて遊技性が大きく変化する事がなく、遊技の公平性が保たれている印象を遊技者に強く与えることができる。さらに、一部リール可動パターンによる制御は、特定当選役の当選を告知することなく想起させることに留めているために、例えば、遊技者が、敢えて、特定図柄組合せを表示できる適正なタイミングで停止ボタンの操作を行なわない(目押しをしない)ことによって、特定当選役に当選したことの把握や確認を遊技者の意志で遅らせながら、特定当選役に当選していると云う期待感を維持して遊技を継続することがきる。
メイン基板は、一部リール可動パターンを実施後、特定リール特殊演出処理を行い、所定リールを可動停止させて、特定図柄組合せに関連する図柄組合せの表示をさせて付加特典を発生させるための特定リール特殊演出処理を実行してもよい。この場合、特定図柄組合せ成立パターンより付加特典の付与度の期待値を低くなるようにしてもよい。以上が特定リール特殊演出のための制御処理の他の実施形態である。
次に、特定リール特殊演出処理において、メイン基板が可動停止するリールを、リールの可動前に遊技者に報知して、停止リールに基づいて付加特典の付与度合いを遊技者に示唆する前に、付加特典の付与度合いを遊技者に想起させ得るようにした実施形態について説明する。メイン基板は、特定リール特殊演出パターンの設定時に、可動リールの事前報知処理を行うか否かの抽選を行う。この抽選処理に外れた場合、メイン基板は、可動リールの事前報知処理を行うことなく、特定リール特殊演出パターンにしたがって特定リールを可動させる。
可動リールの事前報知処理抽選に当選した場合、メイン基板は特定リールの可動前に可動リールの事前報知処理を行い、事前報知処理の終了後特定リールを可動させる。可動リールの事前報知処理の形態には複数のパターンがテーブルとして、メイン基板のROMに設定されており、メイン基板はテーブルに基づいて振り分け抽選を行って可動リール事前報知処理パターンを決定する。
可動リール事前報知処理パターンの例として、演出制御基板によって液晶表示装置に可動リール事前報知処理が行われる形態がある。演出制御基板はメイン基板から特定リール特殊演出パターンコマンドを受け取り、当該コマンドを解析して可動されるリールを特定する。例えば、演出制御基板は、「右リール可動」、「中リール可動」、「左リール可動」のように、可動されるリールを液晶表示に報知する。音声による報知でもよい。可動リールが複数の場合には、演出制御基板は、「右リール・左リール可動」のように、可動される複数のリールを報知する。
可動されるリールの可動前に、このリールが事前に遊技者に伝えられることによって、遊技者は報知されたリールの可動によって、報知されていないリール(つまり可動し得ないリール)の停止態様を事前に知ることができるため、報知されたリールの可動後に表示される停止態様を事前に想起させることにより、付加特典がどの程度与えられるのだろうか、という期待感を思い巡らせてリールの実可動に備えることができるために、特定リール特殊演出に対する興趣をより豊かなものにすることができる。
演出制御基板はメイン基板から特定リール特殊演出パターンコマンドを受け取り、当該コマンドを解析して可動されるリールを特定するものの、「左リール又は中リール可動」、「左リール以外可動」、「一つ又は二つのリール可動」、「二つのリール可動」等のように、実際に可動されるリールを曖昧にして報知するようにしてもよい。こうすることによって、遊技者は実際に可動されるリールが曖昧になり、可動後に表示される停止態様を複数パターン想起させることより、付加特典の付与度合いに変動があり得る分、付加特典に対する遊技者の期待感や「どきどき感」が増すことになる。
演出制御基板はメイン基板から特定リール特殊演出パターンコマンドを受け取り、当該コマンドを解析して可動されるリールを特定するものの、実際に可動されるリール以外のリールを報知してもよい。例えば、実際には左リールが可動されるが、「中リール可動」等偽報知を行ってもよい。あるいは、実際に可動されるリールがあるにも拘わらず、「可動リール無、残念」のように可動リールが無いことを偽報知してもよい。こうすることによって、遊技者は報知後のリールの実可動に対して意外感を持つことによって、付加特典の度合いに対する期待感をより増すことができる。
演出制御基板は可動リール事前報知処理として、可動されるリールを遊技者に回答させるパターンを実行することもできる。例えば、「可動リールを一つ選んで」、「可動リールを二つ選んで」、「右リール、中リール、どっちが可動?」の事前報知形態がある。遊技者はリールに対応する停止ボタンを操作することによって、事前報知に対して回答する。可動されるリールを当てた場合には、演出制御基板は付加特典の付与度合いを可動されるリールを当てることができなかった場合より大きくしたり、特定リール特殊演出をさらに継続させる等の有利化処理を実行することができる。
演出制御基板が可動リール事前報知処理を行うことに代えて、或いはこれと併せて、メイン基板はリールの予備可動を行うことによって、実際に可動するリールを事前に報知するようにしてもよい。例えば、実際に可動するリールについて、順方向及び逆方向に短周期で往復動させる等である。遊技者は予備可動を行ったリールを可動リールとして認識することができる。また、液晶表示装置が報知した可動リールとメイン基板が報知した可動リールとを異なるリールとして、遊技者には何れのリールが実可動されるかの期待感と緊張感を与えるようにしてもよい。
リールの可動とは相対的なものであって、例えば、特定リール特殊演出の際、当初複数のリールを再回転させ、メイン基板によって選択されたリール以外のリールを選択されたリールより先に停止させ、最後に選択されたリールを停止する特定演出パターンの場合、メイン基板によって選択されたリールが可動停止制御対象リールに相当する。
次に、既述のARTゲームの遊技内容を具体的に説明する。その概要を説明すると次の通りである。既述のビックボーナス又はレギュラーボーナスの遊技内容(ビックボーナス(BB)図柄、レギュラーボーナス(RB)図柄の図柄組合せを表示させて、短時間に多くの遊技メダルを獲得できるという遊技内容)をARTゲームによって実現する。そこで、図49において当選役として説明されていないが、このようなARTゲーム(ARTボーナスゲーム)に移行する当選役としてARTボーナス当選役を設定する。このARTボーナス当選役は、通常遊技状態及びARTゲーム状態の何れでも成立可能である。なお、一例として、ARTボーナスゲームは、ARTボーナス当選役に応じて継続ゲーム数が予め設定されているとし、複数種類のARTボーナス当選役を設ける場合には、各ARTボーナス当選役に応じて異なる継続ゲーム数が設定されるようにしてもよい。そして、メイン基板による特別抽選でARTボーナス当選役に当選し、リールの停止時にARTボーナス当選役に対応する図柄組合せ(ARTボーナス図柄組合せ)が表示されると、ARTボーナスゲームがスタートする。ARTボーナス図柄組合せとしては、例えば、赤7図柄による組合せ(各リールに亘って直線上に揃う等)である。
ARTボーナスゲームについて説明する。通常遊技状態からARTボーナスゲームがスタートすると(ARTボーナスゲーム状態)、ARTボーナスゲームの継続ゲーム数の間、各ゲームで、メイン基板による当選役の抽選に加えて、演出制御基板は当該ゲームの当選役に基づいて、当選役による特典とは異なる付加特典に係る複数種類の付加抽選を行う。この付加抽選には、例えば、ARTボーナスゲーム後にARTゲームに移行させるか否かを決定する抽選(第1の抽選)と、第1の抽選で抽選されるARTゲームにおける継続ゲーム数を追加する(上乗せ)か否かを決定する抽選(第2の抽選)とがある。演出制御基板は、ARTボーナスゲームの継続ゲーム数の期間中における各ゲームで、先ず第1の抽選を行い、第1の抽選に当選した以降のゲーム期間では第1の抽選を行うことなく第2の抽選を行う。したがって、第1の抽選に当選しない場合には、継続ゲーム数分のARTボーナスゲームが消化されると、ARTボーナスゲーム状態から通常遊技状態に戻る。また、第1の抽選に当選した場合には、継続ゲーム数分のARTボーナスゲームが消化された後にARTボーナスゲーム状態からARTゲーム状態に移行し、さらに第2の抽選に当選した場合には、当該ARTゲーム状態におけるARTゲームの規定ゲーム数に、第2の抽選で得られた上乗せゲーム数が追加される。
先ず、演出制御基板は、ARTボーナス当選役の当選に基づいて、ARTボーナスゲームのための開始演出を行う。次のゲームが開始されると、演出制御基板は、特別抽選による当選役が特定役である場合に第1の抽選を行う。演出制御基板は、ARTボーナスゲームのゲーム毎に対応する抽選結果記憶領域をRAMの中に形成している。抽選結果記憶領域は、第1の抽選又は第2の抽選のうち実行された抽選の種別を表わす第1フラグが格納される第1フラグ領域と、第1の抽選又は第2の抽選による抽選結果に関する情報(例えば、当落結果や上乗せゲーム数等)を表わす第2フラグが格納される第2フラグ領域と、第1の抽選又は第2の抽選による抽選結果の示唆演出の実行要否を表わす第3フラグが格納される第3フラグ領域とを備えている。演出制御基板は、第1の抽選を行うと第1フラグに第1の抽選実行情報をセットし、抽選に当選すると第2のフラグに当選情報をセットする。演出制御基板は、当選情報を第2のフラグにセットした場合には、第3のフラグに抽選結果の示唆演出実行情報をセットする。また、演出制御基板は、第1の抽選を行ったが当選しなかった場合には、示唆演出の要否抽選を行い、要否抽選に当選した場合には、第3のフラグに示唆演出実行情報をセットする。
ここで、抽選結果の示唆演出の一例について、図80を参照しながら説明する。図80は回転式けん銃の弾倉の正面の模擬映像を説明する図であり、演出制御基板はARTボーナスの継続期間中、図80に示すような模擬映像を液晶表示装置に表示する。弾倉の模擬映像には、図80に「1」〜「7」の数字を振って示したように、7個の表示領域が含まれており、「1」〜「6」の数字が振られた表示領域は、それぞれが1個の弾倉に相当する。後述する示唆演出においては、未点灯の表示領域を数字順に1個点灯する表示が行われる。すなわち、図80に示す弾倉の模擬映像では、弾倉の最大追加数は6であるから、弾倉を点灯させる示唆演出を最大6回行うことができる。そして例えば、7回目の示唆演出では、「7」の数字が振られた中央の表示領域を点灯させる等の演出を実行してもよい。また、弾倉を点灯させる際は、異なる色で弾倉を点灯させるようにして、色に応じて当選への期待度を変えるようにしてもよい。また、ベルなら黄色、リプレイなら水色、チェリーなら赤色といったように、当該演出実行時の当選役に対応した点灯色を用いるようにしてもよい。なお、本発明の遊技機では、図80に示したように弾倉の模擬映像を液晶表示装置に表示することに限定されず、例えば、段階的な表示が可能な映像を液晶表示装置に表示したり、遊技機に配設された役物で同態様の表示を行わせたりする等してもよい。
上述したように第3フラグに示唆演出実行情報がセットされる場合には、演出制御基板は、液晶表示装置に、弾倉に弾丸を追加する映像(示唆演出)を表示する。第3フラグに示唆演出実行情報がセットされない場合には、示唆演出を行わない。次いで、演出制御基板は、現在のゲームがARTボーナスゲームの最終ゲームか否かを判定し、最終ゲームの場合には、前記示唆選出に基づく告知演出を行ってARTボーナスゲームを終了する。告知演出の内容については後述する。なお、第1の抽選の際の特定役について、この特定役には複数種類が設定されてよく、さらに、特定役毎に第1の抽選における当選確率が異なるテーブルを用いてもよい。例えば、特別抽選における当選確率が低い特定役であるほど第1の抽選に当選する確率が高くなるようにしてもよい。
一方、現在のゲームがARTボーナスゲームの最終ゲームではない場合には、演出制御基板は次ゲームの処理に移行し、それまでのARTボーナスゲームで第1の抽選に当選していない場合には再度第1の抽選の処理を行い、第1の抽選に当選している場合には、第1の抽選を行うことなく既述の第2の抽選の処理を行う。この第2の抽選は、第1の抽選によって、現在のARTボーナスゲーム後の移行が確定された有利遊技状態(ARTゲーム)について、追加特典(継続ゲーム数の上乗せ)を付与するか否かを決定する抽選であり、当選役が規定役である場合に、演出制御基板は第2の抽選を行う。演出制御基板は上乗せゲーム数に関する所定の振分テーブルを参照して、上乗せゲーム数の振分抽選を行う。第2の抽選の抽選契機となる規定役には複数種類が設定されてよく、さらに、規定役に応じて上乗せゲーム数の振分態様が異なるような振分テーブルを設け、例えば、希少な役(特別抽選における当選確率が低い役)である程、より多い上乗せゲーム数が振り分けられ得るようにしてもよい。なお、第2の抽選が行われた場合、常時最低ゲーム数以上のゲーム数が上乗せされるようにしてもよいし、上乗せゲーム数が振り分けられない(0ゲームの上乗せゲーム数が選択される)場合が含まれるようにしてもよい。
演出制御基板は、第2の抽選を行うと、第1のフラグに第2の抽選実行情報をセットし、第2の抽選によって上乗せゲーム数の振分があった場合には、第2のフラグに第2の抽選の当選情報と上乗せゲーム数の情報とをセットする。第2のフラグに第2の抽選の当選情報をセットする場合には、第3のフラグに示唆演出実行情報をセットするとともに既述の示唆演出を実行する。第1のフラグに第2の抽選の実行情報をセットしたものの、第2の抽選で上乗せゲーム数が振り分けられず、第2のフラグに当選情報をセットしなかった場合には示唆演出の実行要否抽選を行い、当該実行要否抽選に当選した場合には、第3のフラグに示唆演出実行情報をセットして示唆演出を実行する。
次いで、演出制御基板は、現在のゲームがARTボーナスの最終ゲームか否かを判定し、最終ゲームの場合には、示唆選出に基づいて抽選結果の告知演出を行ってARTボーナスゲームを終了する。最終ゲームではない場合には、演出制御基板は次ゲームの処理に移行し、第1の抽選を行うことなく既述の第2の抽選の処理を繰り返す。
前記示唆演出において、回転式けん銃の弾倉における弾丸の最大追加数は6であるため、7番目以降の示唆演出は表示されないが、7番目以降の示唆演出において第1の抽選に当選した段階で弾倉の中央の領域(図80において「7」で示された領域)を強調色(赤又はレインボー等)に点灯して、第1の抽選における当選(ARTゲームへの移行確定)を遊技者に示唆するようにしてもよい。また、弾倉に弾丸が最大に追加され、第1の抽選に当選している場合には、同様に弾倉の中央領域を点灯させてもよい。
演出制御基板は、ARTボーナスゲームの最終ゲームで、既述の抽選結果の告知演出を行う。演出制御基板は、ARTボーナスゲーム毎の抽選結果記憶領域を順番に走査し、第3のフラグに示唆演出実行情報がセットされている場合に告知演出を実行する。この告知演出は、例えば、液晶表示装置上の表示において、キャラクタが回転式けん銃を障害物(壁)に向け、弾倉に装填された弾丸を順番に発射し、壁を破壊できるか否かの動画像によって行われる。この際、演出制御基板は、第1フラグ及び第2フラグをチェックして、第1の抽選に関する当選フラグがセットされている場合には、弾丸によって壁が破壊される動画像と、ARTゲームへの移行の確定情報を表示する。一方、当選フラグがセットされていない場合には、弾丸によって壁が破壊されない動画像を表示する。
演出制御基板は、告知演出において弾丸を発射する表示の実行時に、都度遊技者に演出ボタンの操作を求める。遊技者が演出制御基板からの求めに応じて演出ボタンを操作すると、その都度、告知演出を実行する。演出制御基板が第1フラグ及び第2フラグをチェックした結果、第2の抽選に関する当選フラグがセットされている場合には、壁の破壊動画像に加えて、上乗せゲーム数の情報を表示する。第2フラグに第2の抽選の当選情報がセットされていない場合には、壁の被破壊動画像を表示する。演出制御基板は6番目の示唆演出実行情報をチェックする際、7番目以降の示唆演出実行情報があればこれを同時にチェックして、6番目以降の示唆演出実行情報における第2のフラグの第1の抽選結果情報及び第2の抽選結果情報に基づいて告知演出を実行する。
この告知演出によれば、遊技者は、最初の壁の破壊によって、第1の抽選に当選してARTゲームに移行することを認識し、これ以降の壁の破壊によって、第2の抽選に当選したことによって提供される、ARTゲームへの上乗せゲーム数を認識することができる。また、前述した通り、ARTボーナスゲーム期間中には第1の抽選結果又は第2の抽選結果に関する示唆演出が行われるものの、当該抽選結果は、上記の告知演出が実行されるまで原則として秘密にされる。弾倉の中央領域(図80の「7」)を点灯させてARTゲームへの移行確定を示唆するという演出は、例外的な演出である。そして、告知演出が実行されるまでのARTボーナスゲーム期間中において、第1の抽選結果が秘密にされること、及び、第2の抽選は第1の抽選に当選した場合に行われることを参酌すれば、遊技者は、そもそも当該ARTボーナスゲーム期間中において第2の抽選が行われていること自体知ることができない。すなわち、当該ARTボーナスゲーム期間中において、第1の抽選は、原則として遊技者から抽選結果が分からないように制御され、第2の抽選は、遊技者から抽選結果が分からないように、さらに言えば、抽選が行われているかどうかも分からないように、「秘密裏に進行する」ように制御される。なお、前述の示唆演出によれば第2の抽選結果も示唆の対象となり得るが、当該示唆演出は抽選の種類(第1の抽選又は第2の抽選)を区別せずに抽選結果を示唆するものであるから、第2の抽選が「秘密裏に進行する」ように制御されることを否定するものではない。
このような本実施形態の遊技機によれば、ARTボーナスゲームが経過しようとするまで(ARTボーナスゲームの終了まで)、第1の抽選の結果及び第2の抽選の結果が遊技者に告知されないために、遊技者はボーナスゲームの期間中、有利遊技(ARTゲーム)に対する期待感を継続的に維持し続けることができる。そして、第1の抽選によって有利遊技に当選した場合には、残りのARTボーナスゲームにおいて、第2の抽選による当該有利遊技に対する追加特典(上乗せゲーム数)の抽選が行われ、抽選結果が告知されるために、遊技者は、ARTゲームに当選したとしても得られる特典はこれで終わりではなく、追加特典の獲得をさらにARTボーナスゲームの終了まで期待できるという、期待感を持ち続けることができる。そして、示唆演出によって、ARTボーナスゲームの期間中、特典に関する抽選が継続的に行われているという安堵感を持ち続けることができる。すなわち、本実施形態の遊技機によれば、ARTボーナスゲームの期間中、付加特典の付与に関して、抽選された当選役が無益になる期間が存在せず、付加特典の付与に対する遊技者の期待感を持続させることができる。
なお、既述の説明では、ARTボーナスゲーム中、当選役が特定役であった場合に、第1の抽選、第2の抽選を行うとしたが、毎ゲーム抽選を行ってもよい。この際、特定役の希少度に応じて第1の抽選、第2の抽選における当選の確率が上がるようにしてもよい。また、第2の抽選が「秘密裏に進行する」ように制御されていれば、第1の抽選と第2の抽選とを同時に行ったり、第1の抽選に当選したゲームで第2の抽選を行ったりするようにしてもよい。また、第1の抽選及び第2の抽選がARTボーナスゲーム期間中に行われることに代えて、通常遊技状態の特殊期間中に第1の抽選及び第2の抽選を行ってもよい。例えば、特殊期間としての一定のゲーム数の間、ARTゲームの当選確率を高確率に設定した(ARTゲームへのゲーム数上乗せの期待度が高確率に設定されてもよい)制御テーブルを用いて、第1の抽選及び第2の抽選が行われる。
次に、第1の抽選及び第2の抽選の少なくとも一方の抽選契機となる既述の特定役について説明する。特定役の図柄組合せとしては特段制限されるものではないため、同一図柄の図柄組合せでありながら、図柄組合せが表示されるラインによって一方のラインの図柄組合せを特定役に設定し、他のラインの図柄組合せを特定役に設定しない(非特定役に設定する)ことが可能である。例えば、図81は、ベル図柄による図柄組合せ(非特定役対応)の一例を示す図であり、左リールから右リールにかけての右下がり斜めラインに表示されるベル図柄の図柄組合せを示したものである。図81に示す図柄組合せを表示可能な条件装置に対応する当選役を、特定役ではない非特定役とすることができる。また、図82はベル図柄による図柄組合せ(特定役対応)の一例を示す図であり、図82に示すように、左リール、中リール、そして右リールにかけてベル図柄がV字状になる図柄組合せを表示可能な条件装置に対応する当選役を、特定役とすることができる。
ここで、本実施形態の遊技機では、抽選された当選役に基づいてリール窓に停止した図柄組合せに応じて付与される一般的な特典(例えば、遊技メダルの払出や再遊技状態の提供)とは別に、「特定の特典」が付与され得る遊技状態を有するものとし、当該特定の特典が付与されるか否か、また、付与される特典の度合いは、抽選された当選役に基づいて決定することができる。なお、「特定の特典」は、前述の一般的な特典と異なる特典であれば特に限定されるものではないが、例えば、ARTゲームや特別ゲーム等の有利遊技状態への移行や、ARTゲームにおけるゲーム数の上乗せ等が考えられる。
「特定の特典」の付与について、上記の特定役及び非特定役を用いて説明すると、特定役を特定の特典付与に対する期待度が高い高期待役とし、非特定役を特定の特典付与に対する期待度が高期待役よりも低い低期待役とすることができる。このとき、特定役が成立してベルのV字状の図柄組合せが表示された場合には、非特定役が成立してベルの右下がりの図柄組合せが表示された場合よりも、特定の特典が付与されることへの期待度が高くなる。
しかしながら、同じベル図柄を用いた図柄組合せを、表示されたラインによって特定役と非特定役とに分けて設定したとしても、遊技者は全リールが停止した時点で、ベル図柄組合せについて、V字状に表示されるか、右下がり斜めラインに表示されるかが容易に分かってしまい、後者の場合は低期待役である非特定役が成立したことが察知できてしまうことから、一気に抽選に対する期待度をなくしてしまうという課題がある。そこで、V字状ラインと右下がり斜めラインの両方に共通し、両方とも表示可能な図柄配列を右リールに設けるようにした。ここで、図83は、共通図柄配列を含む図柄組合せの一例を示す図である。図46に示したように、第3リール(右リール)の配列番号16−18には、「ベル・リプレイ・ベル」の図柄配列(共通図柄配列)があり、図83に示すように、右リールの上段・中段・下段にこれら図柄配列が表示された時点では、ベル図柄が右リールの下段に停止しているものの、ベル図柄をV字状に表示する条件装置が成立している可能性もあり、遊技者は、ベル図柄による何れの図柄組合せ(右下がりライン又はV字ライン)の条件装置が成立しているかをリールの停止態様から認識することが困難である。すなわちこの段階では、遊技者は、第1の抽選又は第2の抽選の抽選契機となるV字ラインのベル図柄組合せが成立しているのか、それとも、当該抽選契機とならない右下がりラインのベル図柄組合せが成立しているのか、を判断することができないために、高期待役又は低期待役の何れが当選役であるかを察知することができず、第1の抽選又は第2の抽選の抽選結果に対する期待度を低下することはない。全てのリールが停止すると、演出制御基板は、成立した条件装置に基づいて、図柄組合せの各図柄のリール裏面を左リールから右リールまで順番に点灯させる。ベル図柄のV字ラインの条件装置では、上段ベル(第1(左)リール)、中段ベル(第2(中)リール)、上段ベル(第3(右)リール)が順番に点灯し、ベル図柄の右下がりラインの条件装置では、上段ベル(第1(左)リール)、中段ベル(第2(中)リール)、下段ベル(第3(右)リール)が順番に点灯する。したがって、遊技者は、遊技者は右リールが共通図柄配列で停止してから、ベルのV字状ラインの図柄組合せが成立したか、ベルの右下がりラインの図柄組合せが成立したかを知ることができる。換言すれば、右リールが共通図柄配列で成立しても、抽選に対する期待感を維持することができる。演出制御基板は、ベル図柄のV字状ラインの図柄組合せに対応する条件装置に基づいて、既述の第1の抽選、第2の抽選、並びに、示唆演出処理を行う。
また、図46に示すように、共通図柄配列は、大きく目立ち易い「正」と「義」の組合せ(配列番号19−20)に隣接しているため、遊技者は「正」と「義」図柄を目安に右リールを停止させれば、共通図柄配列を目押しすることができる。一方、共通図柄配列をリール窓に停止させた場合には、ベルのV字状ラインの図柄組合せが成立したか、ベルの右下がりラインの図柄組合せが成立したかが直ちに分からない。これを避けたい遊技者は、「正」と「義」の図柄を目安に、共通図柄配列を避けて目押しすればよい。また、仮に、共通図柄配列を避けて目押ししたにも拘わらず、共通図柄配列が表示されてしまったとしても、ベルのV字状ラインの図柄組合せが成立したかベルの右下がりラインの図柄組合せが成立したかを見届けるつもりもない遊技者は、直ちに、次ゲームのための処理(ベットとスタートレバーの操作)を開始して、既述の点灯処理をキャンセルすればよい。前述したように、点灯処理では左リールから順に1リールずつ点灯していくので、点灯処理が開始されていたとしても、全リールに対する点灯処理が行われる前の段階で点灯処理がキャンセルされれば、遊技者はベル図柄組合せの成立ラインを認識せずにすむ。なお、点灯処理が最初からあるいは途中でキャンセルされても、演出制御基板は既述の示唆演出処理を実行する。
すなわち、共通図柄配列をリール窓に停止させないような停止操作を「所定の操作」とすれば、このような所定の操作は、例えば、右リールに共通図柄配列を引き込めないタイミングで遊技者が停止ボタンを押下する操作に相当する。なお、共通図柄配列を引き込めないタイミングでの停止ボタンの押下には、遊技者が「正」と「義」図柄を目安にする等して、意図的に共通図柄配列を避けるタイミングで停止ボタンが押下されることだけでなく、遊技者が任意に停止ボタンを押下したタイミングが、偶然右リールに共通図柄配列を引き込めないタイミングであった場合の押下も含まれる。
そして、上記の特定役(V字状ベル)又は非特定役(右下がりベル)が当選役である場合に「所定の操作」が行われ、当該操作に基づくリールの停止制御が行われることによって、当選役が特定役か非特定役の何れであったかを図柄組合せから遊技者が認識可能な態様で、リール窓に図柄組合せが表示される。具体的には、当選役が特定役であった場合には、ベルによる右下がりの図柄組合せは表示されずに、ベルによるV字状の図柄組合せが表示され、当選役が非特定役であった場合には、ベルによるV字状の図柄組合せは表示されずに、ベルによる右下がりの図柄組合せが表示される。
一方、共通図柄配列をリール窓に停止させるような停止操作を「所定の操作とは異なる操作(以後、「特定の操作」と呼ぶ)」とすれば、このような特定の操作は、例えば、右リールに共通図柄配列を引き込めるタイミングで遊技者が停止ボタンを押下する操作に相当する。共通図柄配列を引き込めるタイミングは、上記したように「正」と「義」図柄を目安にすることによって、遊技者にとって容易に狙うことができる。
そして、上記の特定役(V字状ベル)又は非特定役(右下がりベル)が当選役である場合に「特定の操作」が行われ、当該操作に基づくリールの停止制御が行われることによって、当選役が特定役か非特定役の何れであったかを図柄組合せから遊技者が認識できない態様で、リール窓に図柄組合せが表示される。具体的には、当選役が特定役又は非特定役の何れであった場合も、左リールから中リールにかけてベルが右下がりに並び、右リールに共通図柄組合せが停止することによって、ベルによるV字状の図柄組合せ(特定役に対応)と右下がりの図柄組合せ(非特定役に対応)とが、同時に表示される。
なお、上記の「所定の操作」又は「特定の操作」の定義は、停止ボタンを押下するタイミングだけに限定されるものではなく、例えば、停止ボタンの押し順による定義が追加されてもよい。具体的に詳しく説明すると、上記の「所定の操作」に、所定の押し順(例えば左リールを第1に停止させる順押し)による停止操作であることが含まれるとすれば、上記の特定役又は非特定役が当選役であるとき、順押しで右リールに共通図柄配列を引き込めないタイミングで遊技者が停止ボタンを押下した場合に、当選役が特定役か非特定役の何れであったかを図柄組合せから遊技者が認識可能な態様で、リール窓に図柄組合せが表示され得る。一方、上記の「特定の操作」に、所定の押し順以外の押し順(左リールを第1の停止させない逆押しや中押し)による停止操作であることが含まれるとすれば、上記の特定役又は非特定役が当選役であるとき、逆押し又は中押しで右リールに共通図柄配列を引き込めるタイミングで遊技者が停止ボタンを押下した場合に、当選役が特定役か非特定役の何れであったかを図柄組合せから遊技者が認識できない態様で、リール窓に図柄組合せが表示され得る。
このような本実施形態の遊技機によれば、特定役又は非特定役が当選役であるとき、既述の「特定の操作」が行われた場合には、ゲームの途中段階で遊技者に当選役が察知されてしまうことはない。具体的には、ベルによるV字状の図柄組合せ(特定役に対応)とベルによる右下がりの図柄組合せ(非特定役に対応)とが、共通図柄配列の停止によって同時にリール窓に表示されるように(図83参照)各リールが停止するため、当選役が特定役(高期待役)又は非特定役(低期待役)の何れであるかを、停止した図柄組合せから遊技者に察知されない。逆に、特定役又は非特定役が当選役であるとき、既述の「所定の操作」が行われた場合には、ベルによるV字状の図柄組合せ(図82参照)、又はベルによる右下がりの図柄組合せ(図81参照)の何れかがリール窓に表示されるようにリールが停止することによって、当選役が特定役(高期待役)又は非特定役(低期待役)の何れであるかを、遊技者は停止した図柄組合せから察知することができる。
したがって、本実施形態の遊技機によれば、「所定の操作」又は「特定の操作」の何れかの操作に応じて、当選役が高期待役か低期待役かを直ちに察知したいか否かという遊技者の希望に応える態様で遊技結果を表示することができる。そして、「特定の操作」が行われていれば、遊技者は、仮に低期待役が成立していたとしても、停止した図柄組合せから察知することができないので、本実施形態の遊技機は、ゲームの途中段階で期待度の低い当選役の成立が遊技者に察知された場合には遊技者の期待感及び興趣が低下するという従来の課題を克服し得るものであり、遊技に対する興趣を持続させ得るものである。
次に、ARTボーナスの特殊当選役について説明する。図49において例示されていないが、ARTボーナスの特殊当選役として、押し順正解時には特定図柄(7図柄)のシングルラインの図柄組合せを(中段に)表示可能な所定の条件装置が優先して成立し、押し順不正解時には所定の押し順不正解用図柄組合せを表示する条件装置が優先して成立する第1の役と、押し順正解時には特定図柄(7図柄)のダブルラインの図柄組合せを表示可能な所定の条件装置が優先して成立し、押し順不正解時には所定の押し順不正解用図柄組合せを表示する条件装置が優先して成立する第2の役とが、メイン基板のROM内の制御テーブルに定義されている。
特別抽選によって第1の役又は第2の役の何れかに当選すると、演出制御基板は、特定図柄の図柄組合せと、リールの押し順を教示する演出、例えば、「(赤)7を狙え」という文字と、右リールを第1に停止させる押し順を連想させる「左向きの矢印」とを液晶表示装置に表示することによって、当選したARTボーナス(赤7揃い)及びその停止手順(右押し、逆押し)を遊技者に教示する。遊技者が教示された押し順通りにリールを停止させると、7図柄の図柄組合せを表示可能な条件装置が優先されて作動し、遊技者が適正なタイミングで各リールの停止ボタンを操作すると、メイン基板は、7図柄の図柄組合せが中段ラインに表示されるように各リールを停止させる。さらに、メイン基板は、一定期間ベットを受付けないようにして次ゲームの開始のための処理をフリーズし、この間に、演出制御基板はARTボーナスの属性情報を告知する告知演出(ARTボーナスの告知演出)を実行する。ここで、ARTボーナスの属性情報とは、有利状態の属性情報であり、例えば、当選した有利状態(ARTボーナス)の種別、当該有利状態(ARTボーナス)の継続ゲーム数、又は、当該有利状態の特徴に関するその他の情報等が含まれる。さらに詳述すると、ARTボーナスの種別には、赤7揃い又は白7揃いの何れのARTボーナスであるか、また、7図柄の成立ラインが1本(シングルライン)か2本(ダブルライン)か、等が含まれる。なお、演出基板による上記告知演出の実行に合わせて、メイン基板がリールのフリーズ演出を実行することができる。
演出制御基板は特殊当選役に応じてARTボーナスの継続ゲーム数を決定する。特殊当選役が第2の役である場合には、ARTボーナスの継続ゲーム数を特殊当選役が第1の役である場合の継続ゲーム数より多く、例えば、シングルラインの7揃いの場合にはARTボーナスの継続ゲーム数を50ゲームとし、ダブルラインの7揃いの場合にはARTボーナスの継続ゲーム数を2倍の100ゲームとする等してもよい。なお、押し順に正解したものの、適正なタイミングでリールの停止ボタンが操作されなかった場合には、7図柄の図柄組合せが表示されないことが起こり得るが、このような場合であっても、メイン基板が、全リールの停止後に行われる前述のフリーズ演出において、リールを再回動させ、当選した7揃い(シングルライン又はダブルライン)を示す位置でリールを再停止させる処理を行うことによって、遊技者に当選したARTボーナスの属性情報を教示することが可能となる。
一方、押し順に従わないでリールが停止された場合、例えば、右リールを第1に停止させる押し順が正解の押し順であったにも拘わらず左リール用の停止ボタンが最初に操作された場合には、押し順不正解用図柄組合せが表示される条件装置が優先され、メイン基板は7図柄の図柄組合せを表示することなく各リールを停止させる。全リールの停止後、メイン基板は、次ゲームからのARTボーナスは開始するものの、正解の押し順でリールが停止された場合に行われる前述のフリーズ処理を行わず、したがって、演出制御基板も、ARTボーナスの開始演出、ARTボーナスの継続ゲーム数の告知演出を行わない。すなわち、左リール用の停止ボタンが操作された場合には、示唆された正解の押し順に従わず、ARTボーナスの告知演出(ARTボーナスの開始演出、ARTボーナスの属性情報の告知)を必要としない、という遊技者の明確な意思の現れであるとして、メイン基板はフリーズ処理を行わない。その結果、遊技者は、ARTボーナスの属性情報の告知を受けることはできない代わりに、即座に次ゲームからのARTボーナスを開始することができる。なお、中リールが最初に停止された場合、押し順に不正解であるものの、中リールの停止ボタンは右リールの停止ボタンに隣接しているために、押し間違いとして、メイン基板はARTボーナスの告知演出を行うようにしてもよい。
既述したように、ARTボーナスの特殊当選役の成立後、演出制御基板は、当選したARTボーナス(例えば、赤7揃い)及びその停止手順(例えば、右リールを第1停止する右押し)を遊技者に教示するが、これは、ARTボーナスを開始させるために推奨される適正操作を遊技者に教示するものである。遊技者がこの適正操作にしたがって、リールの停止操作を行うと、既述の通り、メイン基板及び演出制御基板はARTボーナスの告知演出を行う。このとき、ARTボーナスの告知演出にフリーズ処理が伴う場合、当該フリーズ処理の実行中は、操作レバー、ベット、又は停止ボタン等が操作されたとしても、これらの操作は受け付けられず、次ゲームがスタートすることはない。換言すれば、適正操作にしたがってリールの停止操作が行われると、ARTボーナスの告知演出に伴ってフリーズ処理が実行されることにより、ゲームの開始操作が行われたとしても次ゲームの開始を無効とする「無効期間」が創出される。このようなARTボーナスの告知演出が行われることによって、遊技者は、ARTボーナスの獲得を確実に認識できるだけでなく、当該ARTボーナスに関する属性情報(例えば、ARTボーナスの種別や継続ゲーム数)をも知ることができるので、ARTボーナスという有利な遊技状態の獲得に対する満足感を強い度合いで得ることができる。
一方で、演出制御基板は、適正操作を教示する表示を行う際に、代替操作として、当該適正操作とは異なる押し順(例えば、左リールを第1に停止させる順押し)を教示する演出を同時に表示することもできる。具体的には例えば、適正操作による「左向きの矢印」が表示された領域とは異なる領域に、代替操作による手順であることを明示しながら、順押しを連想させる「右向きの矢印」を液晶表示装置に表示する。遊技者が適正操作の表示に従わず、代替操作の表示にしたがって左リールを第1に停止させる場合、このような操作は、既述した「ARTボーナスの告知演出を必要としない遊技者」による操作に相当する。すなわち、遊技者が代替操作にしたがって停止操作を行った場合には、適正操作を行った場合に実行される「ARTボーナスの告知演出」が行われないため、遊技者は、ARTボーナスの告知演出が行われる期間をキャンセルして直ちに次のゲームに進むことができる。換言すれば、代替操作にしたがってリールの停止操作が行われると、ARTボーナスの告知演出がキャンセルされることによって、当該ARTボーナスの有利度の度合い(具体的には、前述の属性情報に相当)の遊技者への開示が秘匿にされ得る一方で、フリーズ処理の実行による「無効期間」の創出が抑制される、という特典が提供される。なお、代替操作の表示は、適正操作の表示と区別されるように、適正操作より小さく表示されたり、あるいは、適正操作の表示より、期待度が低い彩色で表示されたりする等、適正操作が代替操作より推奨されるべきものであることが遊技者に一見して理解されるようにすることが望ましい。
上述してきたように、本実施形態の遊技機は、適正操作及び代替操作が教示されることによって、当該ゲームでARTボーナスの告知演出、並びにフリーズ処理が行われ得ることが、予め遊技者から察知可能となっている。そして、ARTボーナスの告知演出が行われ得るゲームにおいて代替操作が行われると、当該告知演出の開始自体がキャンセルされ、告知演出に伴ってリールやボタン等のフリーズ処理が行われる場合には、当該フリーズ処理の実行をも回避できる。換言すれば、このような本実施形態の遊技機は、突然開始されたフリーズ処理をキャンセル可能な遊技機とは異なる特徴を有するものであり、実行を予測可能なARTボーナスの告知演出並びにフリーズ処理に対して、適正操作又は代替操作の何れの操作を行うかによって、これらの告知演出やフリーズ処理を実行させるか否かを選択することができ、これはすなわち、ARTボーナスの有利度合いの教示を受ける特典と、「無効期間」の創出を抑制する特典との何れを選択するか、特典内容を遊技者が選択可能にするものである。このような遊技機によれば、例えば、遊技者が有利遊技状態の移行に関する演出(すなわち、ARTボーナスの告知演出やフリーズ演出)を楽しみたい場合には、適正操作が行われることによって当該演出が行われ、十分な興趣感を遊技者に提供することができる一方で、遊技者が、遊技可能な時間が残り少ないという遊技状況や、速やかに次回以降の遊技に進みたいと希望する心理状況にある場合には、代替操作を選択することによって、告知演出が長期間行われることによって感じ得る煩わしさを解消することができる。
次に、ARTボーナス当選役がARTゲーム中(チャンスRT1−チャンスRT3の状態)に抽選された場合について説明する。演出制御基板は、ARTボーナス当選役に基づいて、ARTゲーム中の特別遊技状態を開始する。この特別遊技状態は、現在実行しているARTゲームの継続ゲーム数の上乗せを可能とするものであって、演出制御基板は、特別遊技状態を所定ゲーム数の間継続し、この間当選役に応じて上乗せゲーム数を決定する。特別遊技状態は複数の遊技期間、例えば、比較的長い第1のゲーム期間(例えば、10ゲーム程度)と、第1のゲーム期間の終了後これに続く短いゲーム数(例えば、1ゲーム)から構成される。演出制御基板は、第1のゲーム期間と第2のゲーム期間で異なる付加特典を付与し得る処理を実行する。例えば、第1のゲーム期間(特別ゲーム期間)では、ARTゲームの上乗せゲーム数を追加し得る処理を行い、第2のゲーム期間(特殊ゲーム期間)では、第1のゲーム期間の上乗せゲーム数の総計を補強し得る処理(例えば、2倍にする処理)を実行する。
第1のゲーム期間では、演出制御基板は、当選役が特定役(例えば、通常リプレイ以外)のときに振り分け抽選によって上乗せゲーム数を決定する。ART中では、リプレイ役以外にベル役(AT1−AT10)の当選確率が高いために、第1のゲーム期間は遊技者にARTゲームにおける上乗せゲーム数を集中的、加速的に獲得できる機会を遊技者に与えることができる。そして、第2のゲーム期間では、特定役(例えば、通常リプレイ以外)が当選した場合には、第1のゲーム期間で獲得した上乗せゲーム数を倍にすることによって、上乗せゲーム数を更に加速的に増加させる機会を遊技者に与えることができる。なお、第2のゲーム期間で特定役に当選しなかった場合の処理は特に限定されるものではないが、例えば、第1のゲーム期間で獲得した上乗せゲーム数を付与するようにしてもよいし、又は、第1のゲーム期間で獲得した上乗せゲーム数の付与を取り消すようにしてもよい。また、本例では、第1のゲーム期間及び第2のゲーム期間における特定役を、何れも通常リプレイ以外の役とするが、これらの特定役には同じ役を設定しなくてもよい。
演出制御基板は、当選役に基づいて上乗せゲーム数を増加させる処理を行い得るが、ゲーム数の上乗せが行われるか否かは、例えば、特別遊技状態の第1のゲーム期間のゲーム毎で、決闘演出における勝敗の演出によって遊技者に表示する。ゲーム数の上乗せが肯定判定された場合には、遊技者側のキャラクタが敵側のキャラクタに攻撃を仕掛けてこれに勝利する映像とともに上乗せゲーム数を表示し、ゲーム数の上乗せが否定判定された場合(例えば、中段リプレイの図柄組合せ)には、遊技者側キャラクタが敵側キャラクタから攻撃を受けてこれに敗れる映像を表示する。このような決闘演出は第1のゲーム期間で複数回行われてよく、複数回勝利した場合に、第1のゲーム期間で獲得した上乗せゲーム数は、各決闘演出で獲得した上乗せゲーム数の総計となる。そして、第1のゲーム期間が終了すると、例えば、「最終決戦」の表示を行って、第2のゲーム期間であることを遊技者に伝え、当選役に基づいて上乗せゲーム数の倍増が肯定判定された場合には、決闘演出で遊技者側キャラクタを勝利させる演出映像を表示するとともに、第1のゲーム期間で獲得した上乗せゲーム数の総計を倍増させた上乗せゲーム数を表示する。
次に、特別遊技状態における特定役について更に説明する。既述の当選役テーブル(図50)に記載はされていないが、当選役としてミドルボーナス(MB)を追加することができる。このミドルボーナスとは、ミドルボーナスに当選したゲームの次ゲーム以降で、払い出される遊技メダルの累計が規定数分、例えば、14枚に到達するまで、メイン基板によってゲーム状態が「ミドルボーナス中」におかれることを内容とする当選役のことである。
ミドルボーナスには、図51−53において図示されていないが、ミドルボーナス用の特定図柄組合せのための条件装置が定義される。ミドルボーナス用特定図柄組合せとしては、同一図柄ではない複数図柄の組合せが好ましく、このようにすることによって、ミドルボーナスの当選が遊技者に直ちに分からないようにすることができる。
「ミドルボーナス中」のゲームでは、演出制御基板は、現在のゲームがボーナスゲームであることを表わす特定記号(JAC)を表示し、リール停止時に特定小役の図柄組合せ(例えば、ベル図柄組合せ)が表示され得る条件装置が設定される。この条件装置は、後述する「全小役用条件装置」又は「MB用条件装置」に相当する。ミドルボーナスに当選した次のゲームで、遊技媒体の規定枚数分以上の払い出し(例えば、14枚)がある場合には、ミドルボーナスのボーナスゲームは当該ゲームで終了し、遊技媒体の払い出しが規定枚数未満(例えば、13枚)である場合には、規定枚数には残り一枚あるために、次ゲームも引き続きミドルボーナス中のボーナスゲームに制御される。当該ゲームで遊技メダルの払い出し(例えば、14枚)があると、当該ゲームで「ミドルボーナス中」の状態は終了される。
ミドルボーナスに当選して遊技状態が「ミドルボーナス中」にあるゲームでは、メイン基板はリプレイ(通常リプレイ)の有無を抽選しており、リプレイに当選しない場合は全ての小役の条件装置(全小役用条件装置)(例えば、図50の小物1−小物26)を設定し、リプレイに当選した場合には、全ての小役の条件装置の他に押し順が規定されたMB用条件装置も成立するようにしている。MB用条件装置は、リール停止ボタンの押し順に正解する限り、全ての小役の条件装置より優先して設定される。
ミドルボーナス中においてリプレイに当選しなかったゲームでは、MB用条件装置が成立していないため、全ての小役の条件装置の中で押し順に無関係な条件装置(例えば、図50の小物17)がほぼ優先され、リール停止後にこの条件装置に対応する特定図柄(例えば、ベル揃い)の表示によって規定枚数分(例えば、14枚)の遊技メダルが払い出されるようにすることによって、このゲームでミドルボーナスを終了させることができる。
一方、ミドルボーナス中においてリプレイに当選したゲームでは、演出制御基板による押し順の案内(教示)等によってリール停止ボタンの押し順に正解する限り、MB用条件装置が優先され、リール停止後にMB用条件装置に対応する特定図柄(例えば、ベル揃い)の表示によって規定枚数未満に僅かに足りない数(例えば、13枚)の遊技メダルが払い出されるようにすることによって、次ゲームもミドルボーナス中の状態を継続させることができる。一方、押し順に正解しない場合には、MB用条件装置よりも全ての小役の条件装置が優先されて、規定枚数分の遊技メダルが払い出されることにより現在のゲームでミドルボーナスが終了する。
なお、ミドルボーナス中の2ゲーム目においては、ボーナスゲームの継続が許容される払出枚数は残り1枚となっており、リプレイの当選の有無に拘わらず、当該ゲームでボーナスゲームが終了することを考慮して、リプレイに当選した場合であっても全小役用条件装置を優先して設定するようにしてもよい。このとき、遊技者は、ミドルボーナス中の2ゲーム目のボーナスゲームで必ず14枚を獲得することができる。また、本例では、MB用条件装置又は全小役用条件装置の何れが優先して設定された場合でも、特定図柄による図柄組合せとしてベル揃いが表示されるように説明しているが、これらの特定図柄による図柄組合せは同一に限定されるものではなく、例えば同じベル揃いであっても、直線ラインを変更したり、一直線型とV字状型とに分けたり等、成立態様を変更するようにしてもよい。
ここで、このようなミドルボーナスを特定役とし、特別遊技状態において当該特定役が成立した場合について詳しく説明する。前述したように、特別遊技状態には、第1のゲーム期間と第2のゲーム期間とがあり、第1のゲーム期間で特定役に当選した場合には、振り分け抽選によってARTゲームの上乗せゲーム数の選択が行われ、第2のゲーム期間で特定役に当選した場合には、第1のゲーム期間で獲得した上乗せゲーム数(総計)が倍増されて付与される。
まず、第1のゲーム期間においてミドルボーナスに当選した場合を考える。ミドルボーナスに当選した後は、少なくとも1ゲームのボーナスゲームに移行する。そして、本例では、1ゲーム目でMB用条件装置に対応する特定図柄による図柄組合せが表示された場合には、最大2ゲームのボーナスゲームに移行する。従って、第1のゲーム期間にミドルボーナスに当選した場合には、まず、ミドルボーナスの当選によって1回目のARTゲームの上乗せゲーム数の振り分け抽選が行われ、その後のボーナスゲームでMB用条件装置又は全小役用条件装置が成立して特定図柄による図柄組合せ(例えばベル揃い)が表示されることによって、2回目、又は3回目のARTゲームの上乗せゲーム数の振り分け抽選が行われることになる。換言すれば、ミドルボーナスに1回当選することによって、上乗せゲーム数を獲得する機会が、少なくとも2回、本例では最大3回まで提供されることになり、遊技者は、多数回に亘ってARTゲーム数の上乗せ獲得に期待することができる。
そして、本例のように遊技状態がチャンスRTである状態では、リプレイの当選確率が高く設定されているために、ミドルボーナスに当選した場合に、ミドルボーナス中のボーナスゲームでリプレイの当選に高く期待することができる。そしてリプレイに高確率で当選した場合には、ミドルボーナス中の1ゲーム目にMB用条件装置が優先して成立することから、2ゲーム目のボーナスゲームが確定し、結果として、合計2ゲームのボーナスゲームに亘って特定図柄による図柄組合せ(ベル揃い)が表示される。したがって、第1のゲーム期間でミドルボーナスに当選すると、遊技者は、高確率でその後の2ゲームに跨ってARTゲーム数の上乗せに期待することができる。
次に、第1のゲーム期間中にミドルボーナスに当選し、かつ、そのボーナスゲームが第2のゲーム期間に及ぶ場合について説明する。例えば、第1のゲーム期間が10ゲームとするときに、第1のゲーム期間の最終ゲーム(10ゲーム目)でミドルボーナスに当選した場合である。このとき、ミドルボーナスに当選した10ゲーム目は第1のゲーム期間の最終ゲームであるから、上乗せゲーム数の振り分け抽選が行われて、遊技者は上乗せゲーム数の獲得に期待することができる。さらに、次ゲームは、ボーナスゲームに移行するが、11ゲーム目は第2のゲーム期間になるため、ボーナスゲームで特定図柄による図柄組合せが表示されることによって、第1のゲーム期間で獲得した上乗せゲーム数(総計)の倍増が確定する。すなわち、遊技者は、10ゲーム目でミドルボーナスに当選した時点で、上乗せゲーム数の獲得に期待できるだけでなく、11ゲーム目を遊技する前に、上乗せゲーム数の倍増の成功まで期待することができる。
また、第1のゲーム期間の最終ゲームの1ゲーム前(すなわち、9ゲーム目)でミドルボーナスに当選した場合も、当該ミドルボーナスによるボーナスゲームが2ゲームに亘る可能性があるため、11ゲーム目の特定図柄による図柄組み合わせ表示による上乗せゲーム数の倍増の成功に期待できることがある。具体的には、前述したようにリプレイ確率が高められている遊技状態にあれば、ボーナスゲームの1ゲーム目(10ゲーム目)でMB用条件装置が優先して設定される可能性が高く、その場合にはボーナスゲームは2ゲーム目(11ゲーム目)まで継続することに十分期待できる。このとき、9ゲーム目にはミドルボーナスの成立によって、また、10ゲーム目には「1ゲーム目のボーナスゲーム」によって、夫々上乗せゲーム数の振り分け抽選が行われるだけでなく、11ゲーム目には「2ゲーム目のボーナスゲーム」によって、上乗せゲーム数の倍増に成功する。従って、第1のゲーム期間の最終ゲームの1ゲーム前でミドルボーナスに当選した場合にも、遊技者は、上乗せゲーム数の獲得に期待できるだけでなく、まだ遊技していないゲーム(11ゲーム目)における上乗せゲーム数の倍増の成功を期待することができる。
なお、上記の特別遊技状態においては、「ミドルボーナス中」のゲーム(JACゲーム)の際に、演出制御基板が特定記号(JAC)を表示すると説明したが、これ以外にも、JACゲーム中は特定図柄が揃うことが確定していることから、第1又は第2のゲーム期間における特別な特典の付与に関して、高い期待度を示す所定の演出や示唆表示が行われてもよい。このような演出や示唆表示は、特別な特典の付与に関する先読み演出に相当する。このような先読み演出が行われることによって、次ゲームの抽選が行われる前の段階から、次ゲームの抽選結果及び特別な特典の付与に対して遊技者に期待を抱かせることができ、興趣を高めることができる。
以上に説明してきた本実施形態の遊技機によれば、特別遊技状態においてミドルボーナスに当選した場合に、そのボーナスゲームで抽選される当選役が限定され、当該抽選役の当選に基づいて特定図柄による図柄組合せが表示されることが確定することから、特別な特典(例えば、第1のゲーム期間におけるARTゲーム数の上乗せや、第2のゲーム期間における上乗せゲーム数の倍増)の獲得に、大きく期待することができる。従来の遊技機では、一般的には抽選前に抽選結果を知ることはできないために、特定の当選役に当選できなかった場合を考えて、遊技者が焦燥感を抱き興趣が低下するおそれが少なからずあったが、本実施形態の遊技機によれば、上記のようにミドルボーナスに当選した場合に、次ゲーム以降について、特典の獲得を確信し、大きく期待することができる。その結果、本実施形態の遊技機は、遊技者の興趣を維持しながら遊技を提供することができる。
なお、上述してきた特別遊技状態では、遊技メダルの獲得とは別の特典(例えば、ARTゲーム数の上乗せ)が付与され得る特別ゲーム期間(第1のゲーム期間)と、特別ゲーム期間における特典を増大させる増大特典(例えば、ARTゲーム数の倍増)が付与され得る特殊ゲーム期間(第2のゲーム期間)とが含まれるといえる。この特別ゲーム期間における特典は、特別ゲーム期間に制御されているときに特定当選役(例えばベル)が選ばれた場合に付与が決定され、複数回の付与が行われた場合には、当該特典を加算した加算特典(獲得したARTゲーム数の総計)として扱われる。また、特殊ゲーム期間における増大特典は、特殊ゲーム期間に制御されているときに特定当選役(例えばミドルボーナスやベル)が選ばれた場合に付与が決定され、この増大特典は特別ゲーム期間における特典よりも有利な特典である。そして、ミドルボーナスに当選した場合には、次以降のゲームで特定当選役が選ばれるか否かを特殊ゲーム期間に制御されるより前に、示唆可能であることから、先読みを実現している。さらに本実施形態における遊技機によれば、ミドルボーナスの当選によって特定当選役が選ばれることが先読みされる状況において、第1のゲーム期間で累積されたARTゲーム数の上乗せ数が、第2のゲーム期間で倍増されるといったように、加算特典を増大特典によって加速的に増加させることを可能とするものである。
上述してきたように、本実施形態のスロットマシン1では、所定枚数の遊技媒体(遊技メダル)を消費(ベット)して、リールの回転及び停止を伴うゲーム進行で遊技が行われ、リールの停止態様に応じて遊技メダルの払い出しを伴う特典の付与が行われる。さらに、本実施形態のスロットマシン1では、このような通常遊技の他に、遊技媒体を消費することなく実行され、遊技結果に応じて、遊技メダルの払い出しを伴わない特典、即ち、通常遊技の特典とは異なる特典を付与し得る遊技を実行することができる。当該遊技は、遊技メダルの消費を必要とすることがなく、リールに特定図柄組合せが表示されても、遊技メダルの払い出しを伴わない点において通常遊技と異なるものの、リールの回転開始後、リール停止ボタンを有効にしている遊技である点において、既述のフリーズ演出とは異なるため、遊技者には、通常遊技と見分けを付き難くでき、この擬似的な特性に着目して、以後、当該遊技を「擬似遊技(特別遊技)」と称する。これに対して、通常遊技は、遊技媒体の消費、遊技媒体の払い出しを行い、擬似遊技とは逆の性質を有するために、これを、擬似遊技との比較において、「本遊技」と称することとする。擬似遊技は、所定の条件を満たした場合に、メイン基板409による所定の制御に従って実行される。以下では、このような擬似遊技の処理について説明する。以下に説明する処理は、メイン基板409(主にCPU1110等)にて実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。
図84は、スロットマシン1における本遊技の1ゲームの処理手順を示すフローチャートである。ゲームスタート前の初期設定やBET処理については、図54等で説明した処理と同様である。BET処理の完了後、始動レバー210の操作があると(ステップS1101)、リール301a,301b,301cを回転させると共に、この始動レバー210の操作に基づいて乱数の抽出を行う(ステップS1102)。
ステップS1102では、メイン基板409のCPU1110が、本遊技用の条件装置を抽選する。より具体的には、CPU1110が、乱数値の抽出を行い、抽出された乱数値から何れの当選役に該当するかの当たり判定を行い、何れかの当選役に該当する場合は、該当する当選役に対応する条件装置をON(=1)にする。なお、当たり判定における各当選役の当選確率は、図49に示したような乱数値の振り分け個数から算出可能される。
次に、ステップS1103で、CPU1110は、擬似遊技(特別遊技)に関する処理を行うか否かを抽選する(擬似遊技抽選)。擬似遊技を発動させる契機等は特段限定されない。ステップS1102の本遊技における抽選結果において、特定の条件装置(例えば希少小役)が成立した場合に擬似遊技を発動させてもよく、また、特定の条件装置が成立して擬似遊技抽選を行い、これに当選した場合に擬似遊技が開始させてもよい。希少小役としては、例えば、左リールの中段にチェリー図柄が表示される小役がある。擬似遊技のための抽選テーブルでは、所定の割合で擬似遊技の当選が判定される。なお、本遊技の都度、擬似遊技のための抽選が行われてもよい。ステップS1104では、擬似遊技抽選に当選したか否かを確認し、当選した場合には、ステップS1105以降の擬似遊技処理を行う。擬似遊技抽選に当選しなかった場合には、擬似遊技に移行することなく、本遊技処理を行う(ステップS1113)。
ステップS1105では、CPU1110が、擬似遊技の当選役(擬似役)の振り分け抽選を行う(擬似役抽選)。擬似役とは、本遊技において抽選される当選役に対応するものであり、本遊技の当選役に基づく図柄組合せと同じ図柄組合せを表示させるものでも、或いは、本遊技の当選役に基づく図柄組合せと異なる図柄組合せを表示させるものでよい。擬似役の振り分け抽選では、ステップS1102における本遊技用の条件装置の抽選と同様に、乱数テーブル、抽選テーブル及び判定テーブル等を用いて行われる。
したがって、擬似役の抽選で用いられる各種テーブルは、擬似遊技用の独自のテーブルであってもよいし、本遊技用のテーブルを利用、若しくは、これを一部利用したものでもよい。擬似遊技用の独自のテーブルを用いる場合は、本遊技での当選役抽選とは異なる当選確率で擬似役の振り分け抽選を行うことができるため、本遊技では当選確率が低頻度当選役(希少役:レア役)に基づく図柄組合せと同じ図柄組合せを表示可能な役を擬似役として高確率で(高頻度で)擬似遊技において当選させること等が可能になる。したがって、突然、希少役が揃い出すことによって、遊技者に格別の満足感を与えることができる(通常、遊技者は擬似遊技に移行したことを意識していない。)。また、本遊技での抽選では表示され得ない図柄組み合わせを表示する擬似役を振り分けテーブルに加えることによって、突然、超希少役の図柄組合せが表示することにより、遊技者はさらに優越感を覚えることができる。
図85は、擬似役抽選で用いられる抽選テーブル(擬似役の振り分けテーブル)の一例であり、擬似役を制御する制御情報(擬似遊技用フラグ:本遊技における条件装置に対応するもの。)の当選確率が登録されている。例えば、合計256個の乱数値のうち、84個の乱数値で「弱チェリー」が擬似役として抽選され、14個の乱数値で「強チェリー」が擬似役として選ばれることが示されている。なお、図85に示す「弱チェリー」、「強チェリー」、「中段チェリー」等は、図柄組み合わせでいえば、図49〜53等で「チェリー」と記載された小役又は条件装置に相当する役であり、例えば、それぞれの役による図柄組み合わせが異なり、付与され得る特別特典に対する期待度合いにも差が付けられる。図85に示された他の擬似役(スイカ、チャンス目)も、本遊技では当選確率が低い希少役である。図85の抽選テーブルでは、「はずれ」が25%の確率(64/256)で存在するものの、残りの75%で希少役に当選するため、本遊技と比べると極めて高い割合で希少役が抽選されることが分かる。なお、図85において、擬似遊技(特別遊技)演出とは、擬似役が当選された際に、演出制御基板によって行われる演出の態様を示している。
次に、ステップS1106において、CPU1110は、ステップS1105における擬似役抽選の結果に基づいた情報を所定のフラグとしてセットする(擬似役情報セット)。即ち、CPU1110は、当選した擬似役に対応する擬似遊技用フラグをONにセットする。擬似遊技用フラグとは、本遊技用に抽選される条件装置に類似の制御情報であり、当該フラグの状態を示す情報は例えばRAM1114に格納される。なお、ステップS1106では、擬似役抽選の抽選結果に応じた情報等を保持できればよく、フラグに限定されるものではない。
ステップS1107では、CPU1110が、擬似遊技の継続抽選を実行する。擬似遊技の継続は擬似遊技継続抽選によって所定のループ率によって管理されている。したがって、スロットマシン1は、1回の本遊技が行われる間に複数回の擬似遊技を継続して実行することができる。擬似遊技が継続して行われる際、夫々の擬似遊技での図柄組合せは、振り分け率によって決定される。例えば、複数回の擬似遊技に亘って「強チェリー」を示す図柄組み合わせが表示されるように、毎回の擬似遊技で、「強チェリー」が抽選され易いように、振り分けテーブルの振り分け率が設定されていてもよいし、各回の擬似遊技において「弱チェリー」、「強チェリー」、「中段チェリー」を示す図柄組み合わせが偏りなく当選するように、振り分け率が設定されてもよい。またさらに、継続する複数回の擬似遊技において、擬似役やその振り分け率が夫々異なる抽選テーブルを選択するようにしてもよい。
ステップS1108では、CPU1110が、擬似遊技を、現在実行中の本遊技において実行するか否かの抽選を行う(擬似遊技実行抽選)。ステップS1108における抽選の結果を確認し(ステップS1109)、擬似遊技を実行しない場合には、現在実行中の本遊技の中では擬似遊技を行うことなく、後述するステップS1113の処理に進んで、本遊技を継続する。擬似遊技実行抽選の結果、擬似遊技を実行すると判定された場合には、続いて擬似遊技を開始する(ステップS1110)。
ステップS1108で擬似遊技を直ちに実行しないとは、擬似遊技の実行を遅延、或いは、留保すること、即ち、S1106においてセットされた擬似役に基づく図柄組合せが表示されるようにリールの停止制御を現在行われている本遊技の処理では行わず、所定のゲーム数経過後にリールの停止制御を実行することに相当する。遅延、或いは留保されるゲーム数は抽選によって決定されてもよいし、予め決められた値でもよい。そこで、メイン基板は、ステップS1105の擬似役抽選で当選した擬似役に対応する情報フラグを、所定ゲーム数の間RAM領域に保存し、所定ゲーム数経過した時点で、記憶した情報フラグに基づくリールの停止制御を強制実行する。この所定ゲーム数は、RAM内のゲーム数カウンタによって管理される。メイン基板は、ゲームが一つ進む毎にゲーム数カウンタを減算して、カウンタ値が零になったゲームで、RAMに記憶されている情報フラグに基づいて擬似遊技を強制発動させる。例えば、ステップS1103の擬似遊技抽選に無条件に当選させ、ステップS1105の擬似役抽選は行わない等である。RAMのゲーム数カウンタでカウントされる遊技には、本遊技だけをカウントする態様、本遊技の数と擬似遊技の数を併せてカウント態様、擬似遊技だけをカウントする態様などがある。
このように、擬似遊技の発動では、本遊技にはない遅延の制御が可能になる結果、擬似役に基づく図柄組合せの表示を、擬似遊技発動の潜伏期間とも呼べる遅延期間(既述の所定ゲーム数経過前)を利用して、予告することができる。例えば、「Nゲーム後に強チェリー図柄が揃うぞ」、或いは、「Nゲーム後に強チェリー図柄に期待」等の前兆演出(液晶演出)が演出制御基板によって可能になり、事実、Nゲーム後に必ず擬似役に基づく図柄組合せが表示される。したがって、スロットマシンは、擬似遊技の擬似役抽選が行なわれてから擬似役の図柄組合せが表示されるまでの遊技者の期待期間を増大させ得る期待期間増大手段を実現することができる。また、ゲーム数カウンタの値を利用して、擬似役図柄組合せの表示のためのゲーム数カウントダウン演出も可能である。Nゲーム後では、開始レバーが操作されると、メイン基板は擬似役図柄組合せが表示されるようにリールの停止制御を実行する。
このように、擬似役の遅延処理によって、擬似遊技を本遊技と必ずしも見分けられない遊技者にとってみれば、現在の遊技を終了した時点で、或いは、スタートレバーを操作して現在のゲームが開始された時点等で、特定の図柄組合せが将来のゲームで表示されることが確約された遊技態様を享受することができるため、従来には全くなかった斬新な興趣感を覚えることができるようになる。
ステップS1110で擬似遊技が開始されると、CPU1110は、ステップS1106でセットされた情報に基づいて、擬似遊技を処理し(ステップS1111)、次いで、擬似遊技を終了する(S1112)。なお、ステップS1107において擬似遊技の継続抽選に当選している場合には、擬似遊技の終了後S1105に移行し、擬似遊技の継続抽選に外れている場合には、S1113に移行して本遊技の処理に戻る。擬似遊技は、遊技者が第3リールの停止操作を行って、全てのリールが遊技者の夫々の停止ボタンの操作によって擬似停止し、擬似停止したリールによって図柄組合せが表示され、擬似役に基づいて、又は、擬似役と図柄組合せに基づいて、所定特典の付与が行われることによって終了する。擬似遊技の処理の詳細については、図86に基づいて後に説明する。
ステップS1113において、メイン基板は、擬似遊技が終了した場合には、擬似的な停止状態にある全リール301を通常回転させる。擬似遊技に当選していない場合では(S1104:No)では、全リールは通常回転状態にある。なお、ステップS1112からステップS1113に移行する際では、リール301は擬似停止状態であるため、遊技者に、新たなゲームに移行したかの印象を与え、メイン基板は、全リールの通常回転の前にMAX投入ボタン206と始動レバー210の操作を求めるようにしてもよい。投入ボタンを操作しても、実際には遊技メダルは消費されない。
擬似遊技の継続抽選に当選して、擬似遊技が終了して次の擬似遊技に移行する際、メイン基板は、本遊技に対して擬似遊技であることを意識させないようにするために、始動レバーの操作の前に、投入ボタンの操作を擬似的に求めてもよい。但し、擬似遊技であるために、実際には遊技メダルは消費されない。投入ボタン206の押下や始動レバー210の操作を必要とせず、タイマによる管理等を行って、所定時間の経過後に自動的にリール301の回転が開始するようにしてもよい。S1112からS1113に移行する場合でも同様である。
擬似遊技では、遊技媒体のベット(遊技メダルの消費)が条件となっていないため、本遊技での場合のように、遊技メダルの払い出しが期待される図柄組合せが表示されても、遊技メダルの払い出しは行われないものの、演出制御基板によって実行される演出上の特典が与えられる。例えば、既述のART遊技への移行抽選や、ART遊技への移行、ART抽選のための高確率状態への移行、モード以降、チャンスゾーンへの移行等である。
全リール301の回転が開始した後は、本遊技処理として、リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作に基づいたリール停止制御、及び停止したリール301によって表示される図柄組み合わせに応じた特典の付与等の処理が行われ(ステップS1114)、その後、本遊技の1ゲーム(単位ゲームともいう)が終了し(ステップS1115)、次の本遊技のゲーム開始の処理にリターンする。
図86は、S1111の擬似遊技によるゲームの処理の詳細を示すフローチャートである。スタートレバーの操作(S1101)によって、ステップS1201では、メイン基板によって全てのリール301a,301b,301cの回転制御が実行されている。リール301a,301b,301cの回転の開始とともに、リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が有効化され(ステップS1202)、各リール停止ボタン211a,211b,211cが有効になったことを知らせる操作有効ランプ(図示なし)を点灯させるとともに、次回のリール回転処理が実行されるまでのタイマカウントを開始させる。
ステップS1202でリール停止ボタン211が有効になると、第1停止用リールの停止ボタン(211a,211b,又は、211c)に対する押下操作(停止操作)の入力待ち状態となる(ステップS1203)。タイマ期間内に遊技者による第1停止リールに対する停止操作が受け付けられると(ステップS1203のYES)、リール停止ボタン211に対応するリール301に対してリール停止制御が実行される(ステップS1205)。遊技者による停止操作がタイマ期間内に行われない場合は(ステップS1203のNO、ステップS1204:YES)、遊技者の停止操作を必要とすることなく、第1停止用リール301に対するリール停止制御が実行される。なお、後述のステップS1210やS1215でも同様にタイマカウントによる処理を行っており、第1停止用リールの停止ためのタイマ時間が経過した時点では、第2停止用リールの停止用のタイマ、第3停止用リールの停止のためのタイマも経過していることが通常であるために、リール停止制御が実行される。擬似遊技では本遊技の1遊技期間内に行われるため、擬似遊技の処理が遊技者操作の不作為によって遅延すると、本遊技の処理が遅延することになる。よって、擬似遊技では本遊技と異なり、タイマによって遊技者の停止操作を管理している。
擬似遊技は、スタートレバーによってリールを回転させ、既述のフリーズ演出とは異なり、リール停止ボタンを有効化するという点において、本遊技のような遊技感を維持しながら、遊技メダルの消費を条件とすることなく、遊技を行えるという有利遊技機会を遊技者に与えるものであるが、遊技メダルの払い出しによる特典を与える本遊技とは異なるために、本遊技との差別化のために、リールの停止態様を本遊技とは異なるようにしている。本遊技のリール停止処理では、リール停止操作が行われるとリールは短時間の内に確定停止される。これに対して、擬似遊技では、リール停止操作が行われると、リールは通常回転の状態から擬似的停止状態に置かれる。擬似的停止状態とは、遊技者にとって、リールが確定停止状態とは見えないものの、リールの通常回転との比較において、リールがほぼ停止状態にあると見える状態のことである。擬似的停止状態の好適な態様は、リールが微細に揺れている状態(微振動状態)である。揺れ幅が大きかったり、揺れの周波数が大きかったりして、擬似的停止状態とは見えなくなると、遊技者は擬似的遊技を本遊技から明らかに区別できてしまうので、擬似的停止状態はリールが僅かに、或いは、適度に揺れている状態が好ましい。振動幅及び振動周波数は、遊技者の見た目の観点から適度に決定されればよい。なお、リールの揺れ幅としては、1図柄の1/2に相当する角度範囲を超えないようにすることが好ましい。これを越えると、図柄の停止位置が曖昧になり、遊技者は、一旦、図柄が停止し、特定の図柄組み合わせを確信したものの、図柄の変動が大きくなると、特定図柄組合せが失われてしまうような不安感を覚えるため、これを避ける目的でリールの揺れ範囲を制限することが好ましい。
ステップS1205におけるリールの擬似停止処理では、ステップS1106で抽選された擬似役に基づく図柄組合せを図柄表示窓401内に引き込むようなリール停止制御が行われる。本遊技の際のリール停止処理におけるリール停止制御と同様の引き込み制御(最大で図柄4個分とする引き込み可能)によって、停止の目的位置にリール301を一旦停止させる。もっとも、擬似遊技であるが故に、本遊技で許容されている最大引き込み範囲を超えた図柄引き込みを行うこともできるが、このようにすると、遊技者は擬似遊技を本遊技から明らかに区別できてしまうおそれもある。したがって、遊技状態に応じて、過大な図柄数の引き込みを行うか否かを決定すればよい。例えば、通常遊技状態では過大な引き込みを行わない。一方、ART遊技状態では、遊技者にゲーム数上乗せの機会を与えるために、過大な引き込み許容する等である。
ステップS1206では、ステップS1205でリール停止制御が行われると、停止対象となるリール301が一旦停止されたか否かをリール位置センサによって繰り返し確認する。停止対象のリール301の一旦停止が確認できたら、ステップS1207に進み、リール301で擬似停止を開始するための制御として、第1停止リールに対して揺れ変動(揺動)制御(1)が実行される。同様に、第2停止リールには揺れ変動制御(2)が、第3停止リールには揺れ変動制御(3)が実行される。3つのリールの揺れ変動のタイミング、位相は、リールの停止順に応じて当然異なるが、3つのリールの揺れ変動を同期化する処理が行われるのが好ましい。好適な態様では、3つのリールの揺れ変動の変動幅、周波数は同一である。
第2停止用リールのリール停止ボタンも有効であり(ステップS1208)、ステップS1203〜S1207と同様に、対応リール停止ボタンを操作すると第2停止用リール301を一旦停止状態にした後、揺れ変動制御(2)を実行する(ステップS1209〜S1212)。
さらに、ステップS1213では、第3停止用リールのリール停止ボタンも有効であり、ステップS1203〜S1207、ステップS1209〜S1212と同様に、リール停止ボタンを操作すると第3停止用リール301を一旦停止した後揺れ変動制御(3)を実行する(ステップS1214〜S1217)。なお、ステップS1210及びステップS1215におけるタイマの値は、ステップS1201で全リール301の回転が開始したときから継続して計測されている値が用いられる。
ステップS1217によって、全リール301a,301b,301cが、揺れ変動を伴う擬似停止状態に置かれる。演出制御基板510は、擬似停止した全リール301a,301b,301cによって図柄表示窓401内に表示される図柄組み合わせに基づいて、擬似遊技に伴う所定の特典を付与する。既述のとおり、擬似遊技は遊技メダルの消費を条件とされないため、この特典には、遊技メダルの払出は含まれないが、演出制御基板によって、演出上の特典が付与される。演出上の特典の具体的な態様は、既述のとおりであるが、その他、擬似遊技の継続に伴って、本遊技における希少役の図柄組合せが所定数連続した場合に特典を与えるようにしてもよい。なお、既述の説明において、擬似遊技の継続を擬似遊技の開始の際のスタートレバーの操作時に継続抽選によって決定したが、擬似遊技に当選した際、擬似遊技の継続セット数を抽選することによって決定してもよい。
次に、リールの擬似停止処理のためのステッピングモータ(341a〜341c)の制御について説明する。メイン基板409のモータ駆動回路制御手段は、擬似遊技での内部抽選の結果に対応した作動した擬似遊技用フラグにしたがって、リール停止制御テーブルを選択し、選択されたリール停止制御用テーブルにしたがってリールの擬似停止処理を行う。リールの擬似停止用の制御テーブルが本遊技用のリール停止制御テーブルと異なる点は、モータ駆動回路に既述の揺れ変動をリールに実現することである。リールの揺れ変動の特性は、モータ駆動回路によって、リールの揺れ幅と揺れの周波数が制御されることによって実現される。揺れ幅については、既述のとおり、上限を一図柄分の回転角度の1/2とし、下限を遊技者の目で揺れているのが僅かながらでも観察できる範囲であることが好適である。周波数については、特に制限はないが、リールが特定の図柄組合せで一旦停止した後、リール揺れ周波数が大きいと図柄組合せが崩れのではないか、との不安感を遊技者に与える懸念があるのと、一方で揺れの周波数が必要以上に小さいと、リールが停止しているかのような見え方になる懸念があるので、周波数についても、揺れ幅と同じように適宜最適な範囲が選択されることが好適である。
リールの揺れ変動の態様として、揺れの1周期毎、又は、所定の複数周期毎に、リールの停止状態が含まれるようにしてもよい。リールの停止状態が含まることによって、擬似遊技におけるリールの停止態様を本遊技におけるリールの停止態様に近づけて、擬似遊技を本遊技により似せることができることと、リールの停止状態を遊技者に見せることによって遊技者に安堵感を与えることができる。リールの揺れの周期の中でどの角度でリールを停止させるかは適宜決定されてもよいが、図87で示すように、リールの周期の中心でリールを停止させることが望ましい。図87の870Aは図柄の停止位置を表わし、870Bは遊技者の視線でL1の揺れ幅分リールが逆方向に回転した揺れの上死点の位置であり、870Cは遊技者の視線でL2の揺れ幅分リールが正方向に回転した揺れの下死点の位置である。L1=L2であることが通常ではあるが、これに限られるものでもない。リールの停止位置は、停止リールの図柄が特定図柄組合せを構成する際の中心位置、即ち、本遊技でのリールの停止位置と同じである。
リールの停止位置における停止時間は、擬似遊技におけるリールの停止が擬似停止状態である必要から所定範囲に規制される。例えば、リールの確定停止には見えない範囲で、500msecに規制される。一方、既述のとおり、順番に停止される3つのリールの揺れ変動を同期させる必要から、リールの停止時間が規制時間の最大時間で設定されると、2番目、3番目に停止したリール(被同期リール)を先に停止したリールに同期させようとした際に、被同期リールの全停止時間が規制時間を越える場合もある。リールの同期とは、全リールにおける揺れ変動の位相を一致させることである。同期のために、被同期リールをリール停止操作によって一旦停止後停止状態を維持する必要がある。そこで、リール停止状態を含むリールの揺れ変動の1周期を規制時間内になるようにすることが好ましい。具体的には、揺れ変動の中でのリールの停止状態を規制時間の1/2程度に留めることが好適である。規制時間と停止時間の差分の範囲で、リールを揺れ変動させればよい。
リールの回転駆動は既述のとおりステッピングモータによって行われるため、リールの揺れ変動に際しては、駆動回路からモータに供給されるパルス特性によって、リールの擬似停止状態が制御される。揺れ幅はモータへ供給されたパルス数によって制御される。モータに1パルスを供給することによって、1ステップ分回転する。揺れ変動の周期はパルスの周波数によって制御され、揺れ方向の切り替えはモータのステータのコイルの励磁の順番の切り替えによって制御される。コイルへの励磁を維持することによって、リールを、静止トルクを持って停止させることができる。揺れ幅を小さくするために、メイン基板は、リールを1ステップ未満の角度で揺れ変動させるようにモータを制御することもある。この場合、揺れ周波数を小さくしたり、パルス幅を小さくする等によってデューティ比を下げた上で、揺れ変動の1周期以内にパルスを逆転方向側のパルスに切り替えればよい。揺れ変動の途中にリールの停止を設ける場合には、モータ駆動回路はリールの停止のタイミングでモータのコイルへのパルスの供給を停止するが、リールの回転トルクによって直ちにリールは停止しないため、時間と共に停止位置が基準停止位置からずれる傾向となる。そこで、モータ駆動回路はリール位置センサからの検出信号に基づいて、リールの停止位置の矯正処理を実行すればよい。もっとも、このずれを見込んで、ステッピングモータのコイルへのパルス波の供給を制御してもよい。
リールの擬似停止処理における揺れ変動について、揺れ幅や周波数を固定値ではなく、変化させてもよい。例えば、擬似遊技が継続される際、擬似遊技が繰り返されるにしたがって、リールの擬似停止状態の揺れ幅を徐々に大きく(小さく)、揺れ変動の周波数を徐々に大きく(小さく)するようにしてもよい。この揺れ変動の変化を遊技者に見せるために、リール擬似停止後の次の擬似遊技で、スタートレバー操作の際リールのフリーズ処理を実行してもよい。また、擬似役の特典期待度に合わせてリールの揺れ変動が変化されてもよい。また、擬似遊技の抽選で、リールの押し順がある擬似役が選択された場合、押し順正解時に特典が与えられるようにしてもよい。既述の擬似遊技は、遊技状態に拘わらず、実行可能である。遊技メダルの消費率が高い通常遊技状態では、遊技メダルの消費を抑制しながら遊技者に特典を与えることができる。また、有利遊技状態、例えば、ARTの遊技状態では、希少役の成立確率を本遊技での振分テーブルでの確率より高め、希少役の成立の都度、ARTの継続ゲーム数の上乗せを可能とするなど、有利遊技状態において遊技者に付加特典を継続的に付与可能な特典向上手段として機能する。継続ゲーム数の上乗せ数は、擬似役に基づいた上乗せテーブル(図77に類似)を参照して振り分けられる。なお、リールの擬似停止処理において、リール停止位置を揺れ変動の中心に置いた形態について説明したが、リールの停止位置はこれに限らず、リールの上死点又は下死点や近傍にリールの停止位置をおいてもよい。
既述のスロットマシンによれば、複数の遊技状態において、本遊技における抽選とは異なる異抽選(擬似遊技における擬似役の抽選)によって表示される所定役に基づいた図柄組合せを、一回又は複数回、本遊技の単位遊技の期間内で表示させることを可能とすることで、本遊技の当選役に基づいた図柄組合せの出現率を、本遊技の期間中に増加させる等調整可能にした遊技を実現することができる。特に、本遊技の抽選における希少役に基づいた図柄配列の出現率を、本遊技の当選役抽選で使用される制御テーブルの振分率を変更することなく、増加させることができる。したがって、遊技者は遊技メダルの消費を抑制しながら、特典を得ることができる。
一方、本遊技に対して擬似遊技の割合が増えると、遊技者にとっては遊技メダルの消費が抑制されるものの、事業者にはその分影響が出てくる。そこで、擬似遊技の発生頻度を、希少役の合算確率(図49参照)よりも少なくしたり、既述のウェイトタイマ(図55)を小さな値にしたり、タイマをカットしたり、または、擬似遊技処理の継続期間中、遊技者がリール停止ボタンを操作しない場合、リール停止タイマを設定したりして、擬似遊技が早く進行するようにすればよい。また、擬似遊技によって、本遊技の遊技数が低下するため、ARTのゲーム数解除の処理におけるゲーム数に擬似遊技のゲーム数をカウントするようにしてもよい。遊技期間中での本遊技のゲーム数は、擬似遊技の分少なくなるため、本遊技のゲーム数だけであると、本遊技で得られていた特典が得られ難いためである。また、本遊技のゲーム数をだけを報知するだけでは全遊技数は正しいものとはならないため、本遊技と擬似遊技を含めたゲーム数を外端版から出力するにしてもよいし、擬似遊技と本遊技の割合を正しく認識できるようにするために、その割合を遊技者に報知するようにしてよい。
また、擬似遊技を本遊技の抽選結果に基づいて実行すれば、従来、本抽選の抽選結果に対する示唆演出を液晶表示や可動役物によって行えなかったものが、擬似遊技によるリールの図柄組合せで行えるという利点もある。例えば、擬似遊技で出現した出目以上の期待度の当選役が本抽選で当選しているとした場合、擬似遊技が継続するほど、擬似遊技での抽選テーブルを適宜選択することによって、リールの図柄組合せの期待度が高まる遊技態様を実現することができる。例えば、本抽選で特典に対する超高期待度当選役(例:強チェリー)に当選した場合に、擬似遊技を発生させて、最初の擬似遊技での図柄組合せを、本遊技で中期待度役の「ベル」に、次の擬似遊技で、本遊技でさらに希少役で高期待度役の「スイカ」、擬似遊技を抜けて本遊技に戻った際に、超高期待度役の図柄組合せが表示される。この遊技形態では、擬似遊技に当選した場合に、規定の擬似遊技数が設定されるようにすればよい。
既述の擬似遊技では、メイン基板は、本遊技で遊技メダルの払い出しの特典が付与される図柄組合せが表示されたにも拘らず、遊技メダルの払い出しの特典を付与しないが、その分、遊技者にとって有利度の高い特典が演出制御基板によって付与され得る。したがって、擬似遊技によれば、所定の遊技状態において、特定の図柄組合せが表示されれば遊技メダルの払い出しがあるという従来の遊技性を、特定の図柄組合せが表示されても遊技メダルの払い出しがあるかもしれないし無いかもしれない、そして、遊技メダルの払い出しがない場合にはより高い特典が期待できるかもしれない、という新たな遊技性を実現することができる。また、遊技者が、特定の図柄組合せが表示されたにも拘わらず、メダルの払い出しが行われなかった場合の意外感を持ったとしても、他の特典が付与されることによってこれを解消することができる。
既述の実施形態では、擬似遊技で、リールが揺動されている最中に、特典付与の高期待度図柄組合せが表示された場合に遊技者に安心感を与えるために、リールの停止状態を含むことを説明したが、リールの揺動期間中停止状態を常時設けることに代えて、擬似遊技で抽選された擬似役や図柄組合せに応じて、リールの停止状態の要否を判定してもよい。例えば、擬似遊技において、第1リールが停止された際に、上段、中段、下段の少なくとも何れかに特典に対する期待度が高い図柄組合せを構成する図柄が停止した場合には、その後のリールの揺動期間でリールの停止状態を設けることとする。これによって、遊技者は、第2・第3リールの停止により、高期待度の図柄組合せが表示されることの期待を持つことが出来る。そして、第2リールを停止した際、第1リールの図柄と第2リールの図柄の組合せによって高期待度図柄組合せが表示される場合には、第2リールの揺動期間内に第1リールと同様に停止状態を設ければよい。続いて、第3リールの停止によって、第3リールの停止図柄が第1・2リールの停止図柄と組み合わされて高期待度の図柄組合せが表示された場合には、第1リール、第2リール、第3リールが同期揺動する過程で、全リールの停止状態が形成される。これによって遊技者は、高期待度の図柄組合せの確定を認識することができる。なお、ここでの揺れ幅は、既述の微細な値に留まらなくてもよい。
第1リールの停止によって、上段、中段、下段のどこにも高期待度図柄組合せを構成可能な図柄が停止していない場合には、第1リールは揺動の過程で停止状態を含むことなく揺動する。以後第2リール、第3リールが停止された後も第1リールと同様に停止状態を含むことなく揺動する。一方、第1リールが停止された状態では、高期待度図柄組合せが可能であったものの、第2リールの停止での出目が高期待度図柄組合せを期待できない場合には、第2リールが停止した時点で、第1リールは停止状態を含む揺動態様から停止状態を含まない揺動態様に変更される。第2リールの停止時点では、高期待度図柄組合せが可能であったものの、第3リールの停止によって高期待度図柄組合せが期待できない場合には、第3リールが停止した時点で、第1リール・第2リールは停止状態を含む揺動態様から停止状態を含まない揺動態様に変更される。
[12.第2の実施形態]
以上の説明(第1の実施形態と呼ぶ)において、スロットマシン1は、本発明に特有の擬似遊技を実行可能であることを述べた。前述したように、この擬似遊技は「遊技媒体を消費することなく実行され、遊技結果に応じて、遊技メダルの払い出しを伴わない特典、即ち、通常遊技の特典とは異なる特典を付与し得る遊技を実行することができる」遊技であり、擬似遊技においては「遊技メダルの消費を必要とすることがなく、リールに特定図柄組合せが表示されても、遊技メダルの払い出しを伴わない点において通常遊技(本遊技)と異なるものの、リールの回転開始後、リール停止ボタンを有効にしている遊技である点において、既述のフリーズ演出とは異なるため、遊技者には、通常遊技と見分けを付き難くできる」という擬似的な特性を有する。
そして、第1の実施形態では、通常遊技とは異なる遊技態様で上記の擬似遊技が実行されることで、特別な遊技であることを遊技者に示して特典を付与すること等を示したが、以下では、本発明の第2の実施形態として、上記の擬似遊技(以後、区別のために「特別擬似遊技」と呼ぶ)とは別種の擬似遊技(以後、「特殊擬似遊技」と呼ぶ)を実行可能なスロットマシン1について説明する。なお、第2の実施形態における特殊擬似遊技は、擬似遊技によって表示される図柄組合せが当選役(条件装置)に対応した図柄組合せにない図柄組合せの表示態様であるとともに、当該図柄組合せが表示されたとしても特典(メダルの払出し、ATゲーム数の上乗せ、状態移行等)が付与されない点において、上述の特別擬似遊技とは異なる別種の擬似遊技ではあるものの、擬似遊技として有する擬似的な特性は特別擬似遊技と類似している所が多いため、処理の共通部分は特別擬似遊技に関する記載を引き継ぐものとして、特殊擬似遊技に特有部分を中心に説明する。
まず、第2の実施形態で用いられる条件装置の抽選テーブルについて説明する。図88は、条件装置の抽選テーブルの一例である。第2の実施形態では、図49に示した抽選テーブルの代わりに図88に示す抽選テーブルを用いることにして説明を行う。
図88に示す抽選テーブルには、第2の実施形態のスロットマシン1において、所定の抽選契機の成立(例えば、BET後のレバーオン)に基づいて抽選される条件装置の一覧が示され、各条件装置の振り分け(図中の「値数」列)、当該条件装置に対応する図柄組合せの表示に伴うメダルの払出枚数(図中の「払出し」列)、及び当該条件装置に対応する図柄組合せ(図中の「図柄組合せ」列)等が記載されている。図49の抽選テーブルと比較すると、図88の抽選テーブルには、リプレイ(ARTリプ、通常リプ等)を含む条件装置がない。また、図88の「押し順ベル1〜8」は図49の「AT1〜AT10」に相当し、図88の「不問ベル」は図49の「ベル1,ベル2」に相当する。
次に、第2の実施形態におけるゲームの処理手順について説明する。以下のゲーム処理は、メイン基板409(主にCPU1110等)にて実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。
図89は、第2の実施形態における基本的な1ゲームの処理手順を示すフローチャートである。図89によれば、まず、ステップS8901において、ゲームスタートに備えるための初期設定を実行する。この初期設定は、図54のステップS1の処理と同様である。
次に、ステップS8902では、ゲーム開始処理として、BET処理とその後のレバーオンに伴う処理を行う。BET処理は、図54のステップS2の処理に相当し、投入口203から投入されたメダルの枚数により、あるいはすでに貯留されているメダルがある場合にはMAX投入ボタン206(あるいは1枚投入ボタン205)の押下操作により賭け数が決定され、始動レバー210の操作待ちの状態となる。すなわち、1回のゲームの賭け数が決定され、始動レバー210の操作が可能な状態となるまでがBET処理にて実行される。なお、ここでは、スロットマシン1は、3枚のメダルを投入することによってゲームの実行が可能となる3枚賭け専用機とする。そして、操作待ちの状態となった始動レバー210に所定の操作が行われたこと(レバーオン)を契機として、ゲームをスタートさせるとともに、何れかの当選役を内部抽選の結果とするか否かを決定するための内部抽選処理を実行する(図54のステップS3の処理に相当)。
ここで、第1の実施形態で示した図54の処理では、内部抽選処理の抽選(ステップS3)に続いて、本遊技の処理が進行する(図54のステップS4〜S7)が、図89では、このような本遊技処理の前に擬似遊技処理が行われる(ステップS8903)。詳細は図90等を参照して後述するが、擬似遊技処理において擬似遊技の実行を決定した場合には、特殊擬似遊技や特別擬似遊技が実行される。
ステップS8903の擬似遊技処理が終了すると、本遊技処理を行って(ステップS8904)、1ゲームが終了する。ステップS8904に示す本遊技処理の詳細は、第1の実施形態と同様であるので(例えば図54のステップS4〜S7)、説明を省略する。
次に、図89のステップS8903に示した擬似遊技処理について処理手順を説明する。図90は、擬似遊技処理の処理手順を示すフローチャートである。まず、ステップS9001では、現在の遊技状態が通常遊技状態であるか確認する。例えば、擬似遊技処理用に現在の遊技状態を判定するための特定状態フラグを用意し、通常状態では「1」がセットされ、ATゲーム中を示すAT状態では「2」がセットされるとする。ステップS9001において現在の遊技状態が通常状態であった場合(特定状態フラグの値が「1」)には、第一遊技遅延処理を行い(ステップS9002)、その後、擬似遊技処理を終了する。
一方、ステップS9001において現在の遊技状態が通常状態ではなかった場合は、AT状態であるか確認する(ステップS9003)。このときも特定状態フラグを参照し、AT状態であった場合(特定状態フラグの値が「2」)には、第二遊技遅延処理を行い(ステップS9004)、その後、擬似遊技処理を終了する。なお、ステップS9001,S9003における現在の遊技状態の判定では、第1実施形態で説明したゲーム状態フラグを参照してもよい。なお、特定状態フラグ又はゲーム状態フラグの何れを用いる場合でも、以下例の処理を行うことによって、メイン基板409(CPU110)が通常状態又はAT状態を判定可能にしてもよい。例えば、押し順ベル1〜8が入賞した場合(例えば演出制御基板510による押し順の教示が行われたことで入賞する場合等)に、上記状態フラグを「2」にセットし、例えば、押し順ベル1〜8に当選したが入賞しなかった場合には、上記状態フラグを「1」にセットするようにする。
また、ステップS9003でAT状態ではない(特定状態フラグの値が「2」以外)であった場合は、エラー処理を行って遊技を停止する(ステップS9005)。ステップS9005のエラー処理では、状態異常を示すエラー(状態エラー:JE)の表示が行われるとし、具体的には例えば、エラーランプ604を点灯(あるいは点滅)させてエラーの発生を告知するとともに、払出枚数表示LED612の7セグメントLEDに「JE」と表示させる。当該エラーを検出した場合は、メダルの払出等の制御を停止し、ホールの係員による所定の解除処理(例えば、設定変更操作)が行われた場合に当該エラーを解除する。
第2の実施形態によるスロットマシン1は、図90に示すような擬似遊技処理を行うことで、通常状態とAT状態とで異なる遊技遅延処理(後述)を実行可能にする。
次に、図90のステップS9001に示した第一遊技遅延処理、及び、ステップS9003に示した第二遊技遅延処理について、それぞれ処理手順を説明する。
図91は、第一擬似遊技処理の処理手順を示すフローチャートである。第一擬似遊技処理は現在の遊技状態が通常状態のときに行われる擬似遊技に関する処理であって、まず、メイン基板409(CPU110)が第一遊技遅延抽選を行う(ステップS9101)。第一遊技遅延抽選は、特殊擬似遊技を実行するか否かを決定するための抽選であり、所定の抽選テーブルに基づいて抽選される。
図93は、遊技遅延抽選に関する抽選テーブルを説明するための図である。図93(A)は、第一遊技遅延抽選で用いられる抽選テーブルの一例であり、総数16384個の乱数のうち、2245個が当選の「遅延あり」に対応付けられている。図93(A)によれば、第一遊技遅延抽選で「遅延あり」が選択される割合は、「約1/7.3」(2245/16384≒1/7.298)である。
なお、後述する他の抽選テーブルでも用いられているが、ここでの「遅延」とは、本遊技用のリール制御(リール停止ボタンの押下有効化やリール停止制御を含む)の開始を「遅延」させることを意味し、このような「遅延」が選択された場合には、遅延時間に関する所定条件に基づいて、本遊技用の諸処理の開始を遅延させて、その間に擬似遊技を実行できるようにする。擬似遊技の実行に伴う遅延制御については、第1の実施形態の特別擬似遊技における制御と同様であるため、説明を省略する。
次いで、ステップS9102では、ステップS9101の第一遊技遅延抽選で当選したか否か(「遅延あり」が選択されたか否か)が判定され、当選していた場合は、特殊擬似遊技を実行する(ステップS9103)。ステップS9102において第一遊技遅延抽選で当選しなかった(「遅延なし」が選択された)と判定した場合には、特殊擬似遊技を実行せずにステップS9104の処理に進む。
ここで、第2の実施形態における「特殊擬似遊技」がどのような態様で行われるかについて、詳しく説明する。
第2の実施形態における特殊擬似遊技は、擬似遊技によって表示される図柄組合せが当選役(条件装置)に対応した図柄組合せにない図柄組合せの表示態様であるとともに、当該図柄組合せが表示されたとしても特典(メダルの払出し、ATゲーム数の上乗せ、状態移行等)が付与されないことを特徴としている。
具体的には、特殊擬似遊技が開始されると、リール301a,301b,301cが回転している状況で、リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作を有効にし、各リール停止ボタン211に停止操作が行われると、夫々の対応リールが擬似停止する。なお、各リール停止ボタン211に対する停止操作を有効にするタイミングは、メイン基板409(主にCPU110)によって任意に設定することができる。ここまでの制御は、第1の実施形態で説明した擬似遊技(特別擬似遊技)と同様である。
しかし、特殊擬似遊技では特別擬似遊技とは違って、全リールが擬似停止したときに、擬似停止したリールによって表示される図柄組合せが、図88に示した当選役(条件装置)に対応した図柄組合せとは異なる図柄組合せにされる。具体的には、第2の実施形態のスロットマシン1では、特殊擬似遊技が実行されて全リールが擬似停止したときに、図53の「再遊技2」に示したような「リプレイ図柄」が揃った図柄組合せが表示されるとする。第1の実施形態ではこのように「リプレイ図柄」が揃った場合には再遊技という特典(すなわち、次遊技に当選役の抽選を受けることができる特典)が付与されるが、第2の実施形態では、図88に示したように、「リプレイ図柄」による図柄組合せに対応する当選役(条件装置)はなく、特典が付与されない。ここでいう特典とは、例えば、メダルの払い出しや遊技状態の移行等を意味する。
ここで、第2の実施形態の特殊擬似遊技においては、第1の実施形態で説明した特別擬似遊技と同様に、擬似遊技から次回遊技に移行するまでの制御処理として、以下のような制御処理を可能とする。すなわち、擬似遊技において停止ボタンの押下(停止操作)及び始動レバーオン(始動操作)等を行わなければ、所定時間(抽選により決定された「遅延」時間であり、例えば60秒)が経過するまでは、次の図柄表示ゲームが開始されないが、上記の停止操作及び始動操作等を遊技者が行った場合には、所定時間の経過前に次の図柄表示ゲームを開始してもよい。このとき、当該操作を行う遊技者は、特殊擬似遊技の後に実行される本遊技の開始を、当該操作を行わないよりも早めることができるので、このような遊技開始の早期化という点での特典は、特殊擬似遊技によっても付与され得る。
但し、特殊擬似遊技の後、所定時間の経過前に次の図柄表示ゲームを開始する場合も、規定時間(例えば4.1秒)が経過するまでは、当該開始を行わない処理にすることが好ましい。このようにすることで、擬似遊技の実行に伴う遊技時間を所定程度確保することができるため、後述するような特殊擬似遊技による効果(具体的には、単位図柄表示ゲーム当りの遊技媒体の増減率の抑制)を担保することができる。
なお、特殊擬似遊技の実行によって表示される図柄組合せは、当選役に対応した図柄組合せでなければ、特に限定されるものではないが、第2の実施形態では「リプレイ図柄」の3つ揃いによる図柄組合せのように、各リール301a,301b,301cに同じ態様を示す図柄の3つ揃いを表示するようにすることで、特殊擬似遊技の後に続いて次回の擬似遊技または本遊技が実行される(後述)という遊技進行を遊技者に不自然に感じさせない効果を確保している。
このように、第2の実施形態によるスロットマシン1では、通常状態において、比較的高い所定確率(例えば、1/7.3。但し、「1/7.3」を上回らない程度の近似値であってもよい)を上回る当選確率で特殊擬似遊技が実行され、かつ、当該特殊擬似遊技で表示される図柄組合せによって特典が付与されないことを特徴の1つとしている。
次いで、図91のステップS9104では、メイン基板409(CPU110)が第二遅延抽選を行う。第二遊技遅延抽選は、第1の実施形態で説明したような特別擬似遊技を実行するか否かを決定するための抽選であり、所定の抽選テーブルに基づいて抽選される。
図93(B)は、第二遊技遅延抽選で用いられる抽選テーブルの一例であり、総数16384個の乱数のうち、32個が当選の「遅延あり」に対応付けられている。図93(B)によれば、第二遊技遅延抽選で「遅延あり」が選択される割合は、「1/512」(32/16384)である。
次いで、ステップS9105では、ステップS9104の第二遊技遅延抽選で当選したか否か(「遅延あり」が選択されたか否か)が判定され、当選していた場合は、特別擬似遊技を実行する(ステップS9106)。特別擬似遊技では、例えば第1の実施形態で説明したような擬似遊技が実行される。例えば、特別擬似遊技の実行を決定した際には、図93(C)に例示する抽選テーブルを用いた抽選を行って、特別擬似遊技によって表示する図柄組合せを決定する。図93(C)では、「(押し順)不問ベル」、「スイカ」、「弱チェリー」、「強チェリー」という4つの条件装置と、その振り分けが示されている。特別擬似遊技では、図93(C)の抽選テーブルを用いた抽選結果に応じて、対応する図柄組合せ(図89の「図柄組合せ」列を参照)が表示される。さらに、このような図柄組合せが表示されたことに基づく特典が付与される。通常状態における特別擬似遊技による特典の具体例としては、異なる遊技状態への移行又は移行抽選が考えられる。また、AT状態における特別擬似遊技(後述する)による特典の具体例としては、異なる遊技状態(いわゆる特化ゾーンを含む)への移行又は移行抽選のほか、ATゲーム数の上乗せ等が考えられる。このように特別擬似遊技では特典が付与されるという点が、特殊擬似遊技とは大きく異なる。なお、ステップS9104において第二遊技遅延抽選で当選しなかった(「遅延なし」が選択された)と判定した場合には、特別擬似遊技を実行せずにステップS9107の処理に進む。
ステップS9107では、特殊擬似遊技を再度行うか否かの継続抽選を行う。継続抽選では、第一遊技遅延抽選(ステップS9101)と同じく図93(A)の抽選テーブルを用いて抽選を行う。したがって、ステップS9107の継続抽選では、約1/7.3で「遅延あり」に当選する。そして、ステップS9108ではその抽選結果を確認し、当選した場合は、ステップS9103の処理に進んで再度の特殊擬似遊技を実行し、その後、ステップS9104以降の処理を行う。
このように、第一遊技遅延処理では、特殊擬似遊技を実行するか否かの抽選として、ステップS9101における第一遊技遅延抽選、及びステップS9107における継続抽選の何れにおいても同じ抽選テーブル(図93(A))を用いるようにすることで、擬似遊技のループを含めた際の特殊擬似遊技の発生率を、当該抽選テーブルによって定まる当選率(ここでは約1/7.3)とすることができる。そして、図93(A)に示したような比較的高い確率で通常状態における特殊擬似遊技を実行することができる。
図92は、第二擬似遊技処理の処理手順を示すフローチャートである。第二擬似遊技処理は現在の遊技状態がAT状態のときに行われる擬似遊技に関する処理である。第二擬似遊技処理の処理手順は、各遅延抽選で用いる抽選テーブルが異なる以外は、図91に示した第一擬似遊技処理の処理手順と同様であるため、共通部分の説明は省略する。
図92における図91との相違点について説明する。まず、ステップS9201では、特殊擬似遊技の実行可否を抽選する第三遊技遅延抽選において、AT状態用の特殊擬似遊技の抽選テーブルが用いられる。図93(D)は、AT状態用の特殊擬似遊技の抽選テーブルの一例であり、1/2(8192/16384)の確率で「遅延あり」(すなわち擬似遊技の実行)に当選する。なお、ステップS9207における継続抽選でも、図93(D)の抽選テーブルを用いて継続抽選を行う。このようにAT状態における特殊擬似遊技に関する当選確率(1/2)は、図93(A)に示した通常状態用の特殊擬似遊技の抽選テーブルにおける当選確率(約1/7.3)よりも格段に高く設定されているが、このように設定することによって特殊擬似遊技の発生率を高めることができるため、通常状態よりも遊技媒体(メダル)の増加速度が速いAT状態において、遊技媒体の単位期間当りの増加数(純増率)を抑制することができる。
また、ステップS9206では、特別擬似遊技の実行可否を抽選する第四遊技遅延抽選において、AT状態用の特別擬似遊技の抽選テーブルが用いられる。図93(E)は、AT状態用の特別擬似遊技の抽選テーブルの一例であり、1/256(64/16384)の当選確率で特別擬似遊技の実行が決定される。AT状態における特別擬似遊技によって付与され得る特典が通常状態における特典と異なる可能性(例えば、ATゲーム数の追加という特典がある等)については前述した通りであり、そのような点を考慮して、特別擬似遊技の当選確率が通常状態と異なるようにしている。
以上のように、図89〜図93を参照しながら説明したように、第2の実施形態のスロットマシン1では、比較的高頻度で特殊擬似遊技を実行させることができる。そして、このような特殊擬似遊技によれば、当選役(条件装置)に対応した図柄組合せにない図柄組合せが表示され、当該図柄組合せが表示されても、本遊技や特別擬似遊技のように特典が付与されることがない。そして、特殊擬似遊技が行われたあと(特殊擬似遊技の繰り返し後を含む)は、メダルを投入する必要なく本遊技が実行されるため、特殊擬似遊技とそれに連なる本遊技とからなる連続遊技で見た場合に、メダルの投入枚数及び払出枚数の差し引き数の関係は、本遊技だけが実行される場合と同じである。
具体的には例えば、本遊技の抽選で9枚のメダルが払い出される当選役に当選したとき、本遊技だけが実行されると、3枚のメダルを投入して1回の図柄表示ゲーム(本遊技及び擬似遊技を夫々1回と計数するゲーム)が行われて9枚のメダルが払い出される結果、1回の図柄表示ゲームで6枚のメダルが増加することになる。一方、第2の実施形態では、本遊技の抽選同様の当選役に当選したとして、当該本遊技の実行前に、比較的高確率で(通常状態の例では約1/7.3、AT状態の例では1/2)で特殊擬似遊技が実行される。そして例えば、当該本遊技の前に1回の特殊擬似遊技が実行されるとすれば、3枚のメダルを投入して2回の図柄表示ゲーム(特殊擬似遊技と本遊技)が行われて9枚のメダルが払い出される結果、2回の図柄表示ゲームで6枚のメダルが増加することになる。すなわち、1回の図柄表示ゲーム当りでのメダル増加数は3枚となり、本遊技しか行われない場合よりも、単位図柄表示ゲーム当りでの遊技媒体の増加枚数(純増率ともいう)が抑制される。また、特殊擬似遊技の実行確率をより高く設定すれば、この純増率の抑制効果はさらに向上する。
また、遊技媒体(メダル)が増加する場合だけでなく、払い出しのある当選役に当選できずにメダルが消費されていく場合であっても、上記と同様の計算を行えば、特殊擬似遊技が比較的高確率で実行されることによって、単位図柄表示ゲーム当りの遊技媒体の消費速度が抑制されることが分かる。そして、特殊擬似遊技の実行確率をより高く設定すれば、遊技媒体の消費速度に対する抑制効果はさらに向上する。
このように、第2の実施形態のスロットマシン1によれば、特殊擬似遊技によって単位図柄表示ゲーム当りの遊技媒体の増減率を抑制する効果を奏するので、過度の射幸心を抑制し、遊技媒体の単位期間当り増減を適正に調整することで、適切な遊技性で遊技者を楽しませる遊技機を提供することができる。そして、このようなスロットマシン1によれば、当選役が当選する確率が予め定められていて、遊技機としての特典増加率(一ゲーム当たりに増加する遊技媒体の割合)が定められていたとしても、遊技期間中に遊技者が感じる遊技媒体の増減率を実質的に調整できるという効果を奏する。
また、第2の実施形態のスロットマシン1によれば、特殊擬似遊技の際に、当選役(条件装置)にはない図柄組合せ(例えば、第1の実施形態における「リプレイ図柄」の3つ揃い)が表示されることによって、当該特殊擬似遊技の次に、再度の特殊擬似遊技又は本遊技が実行される際に、遊技者に違和感を抱かせることのない遊技進行を実現することができる。その結果、上述したような単位図柄表示ゲーム当りの遊技媒体の増減率を抑制しつつも、遊技者に自然な遊技を提供することができる。
さらに、第2の実施形態における特殊擬似遊技では、当選役(条件装置)にはない図柄組合せが表示されても、他の本遊技や特別擬似遊技のような特典の付与がないことから、特殊擬似遊技が比較的高頻度に発生するとしても、遊技者に過度の緊張感を与えないようにすることができる。
また、第2の実施形態における特殊擬似遊技は、特典の付与を伴わないことからも、当該ゲーム(特殊擬似遊技が実行される図柄表示ゲーム)の前後で遊技状態が移行しない。そのため、第2の実施形態のスロットマシン1によれば、遊技者に特別な遊技が現出されたような印象を抱かせることなく、緊張感を緩和した安心度の高い遊技を提供することができる。
また、第2の実施形態のスロットマシン1では、図91や図92で例示した処理手続きが行われる場合、特別擬似遊技の実行に関する抽選(ステップS9104の第二遊技遅延抽選、ステップS9204の第四遊技遅延抽選)よりも先に、特殊擬似遊技の実行に関する抽選(ステップS9101の第一遊技遅延抽選、ステップS9201の第三遊技遅延抽選)が行われることから、遊技媒体の投入を伴う一つのゲーム中で特典を付与する特別擬似遊技と特典を付与しない特殊擬似遊技とが同時に当選した場合に、特殊擬似遊技が優先的に提供され、その後特別擬似遊技が提供される。このとき、特殊擬似遊技によっては特典が付与されないものの、その後に特別擬似遊技が発生する可能性は残されることから、特典の付与に対する遊技者の期待感を維持させる効果を奏する。また、特別擬似遊技の実行によって特典が付与される場合に、その前に特殊擬似遊技が実行されることによって、少なくとも1回分多く図柄表示ゲームが提供されるため、特別擬似遊技による特典の付与までの遊技時間を長くできる。このように特典の付与までの遊技時間が長くされることで、ホール側の売り上げの低下を抑制する効果がある。
また、第2の実施形態のスロットマシン1では、図91や図92で示した処理手続きを一部変更して、特殊擬似遊技の実行に関する抽選(ステップS9101の第一遊技遅延抽選、ステップS9201の第三遊技遅延抽選)が実行される場合には、その後の特別擬似遊技の実行に関する抽選(ステップS9104の第二遊技遅延抽選、ステップS9204の第四遊技遅延抽選)を行わない、又は当該抽選によって当選しても特別擬似遊技を実行しないようにしてもよい。このような場合には、遊技媒体の投入を伴う一つのゲーム中で特典を付与する特別擬似遊技と特典を付与しない特殊擬似遊技とが同時に当選したとしても、特典を付与しない特殊擬似遊技だけが実行されることになるので、ホールの売上の低下を抑制することができる。さらに、このような処理が行われたとしても、特典が付与され得る特別擬似遊技に当選したことは遊技者からは認識不能であるため、遊技者に不快感を与えることもなく、興趣の低下を防止することができる。
また、第2の実施形態のスロットマシン1では、図91や図92で示した処理手続きを一部変更して、特殊擬似遊技の実行に関する抽選(ステップS9101の第一遊技遅延抽選、ステップS9201の第三遊技遅延抽選)よりも、特別擬似遊技の実行に関する抽選(ステップS9104の第二遊技遅延抽選、ステップS9204の第四遊技遅延抽選)を先に行うようにし、かつ、特別擬似遊技が実行される場合にはその後の特殊擬似遊技の実行に関する抽選を行わない、又は当該抽選によって当選しても特殊擬似遊技を実行しないようにしてもよい。このような場合に、遊技媒体の投入を伴う一つのゲーム中で特典を付与する特別擬似遊技と特典を付与しない特殊擬似遊技とが同時に当選したとき、特殊擬似遊技の抽選結果によって特典が付与され得る特別擬似遊技の抽選結果が影響を受けないことから、特典の付与を期待する遊技者に対して安心感を与え、特典の付与に対する期待感を維持させる効果を奏する。
なお、上述したように、第2の実施形態による特殊擬似遊技は、通常状態又はAT状態において、遊技媒体の過度な増加(又は消費)を抑制するものであるが、その実行によって特典が付与されるものではない。したがって、例えばボーナス中のように集中的に遊技媒体が増加される特定状態において特殊擬似遊技が実行されると、ボーナスゲームにおける楽しさが損なわれ、興趣を低下させてしまうおそれがある。このような問題を克服するために、図89〜図92に例示した処理を行う際に、まず、ボーナス中のような特定状態にあるか否かを判定し、特定状態であった場合には、特殊擬似遊技に関する一連の処理を行わないように制御してもよい。このとき、特定状態における本来の興趣感を損なうことなく、遊技者を楽しませることができる。但し、このような場合であっても、安全な遊技機を提供する側面から、図90のステップS9005に示したようなエラー処理は判定するようにしておくことが好ましい。
また、第2の実施形態のスロットマシン1では、特殊擬似遊技が実行されたことを外部信号によって出力して、スロットマシン1(遊技機)の外部に通知するようにしてもよい。具体的には例えば、特殊擬似遊技による図柄表示ゲームが行われたとき、1回のゲームが行われたとする情報を外部信号によってデータ表示器やホールコンピュータ等に出力する。このようにすることで図柄表示ゲームの回数を正確に伝達することができるので、データ表示器を見て遊技をするか否かの判断を行う遊技者に対して、適正な情報を提供することができる。そして、天井機能が搭載されている機種等では、データ表示器を見た遊技者に損失感を与えないようにする効果が期待できる。また、ホールコンピュータによる管理や監視を行うホールに対しても有益な情報を正確に提供することが期待できる。
以上は、本発明のスロットマシン1の一形態であるが、これに限定されることはない。スロットマシン以外の遊技機、例えば、パチンコ機や、パチンコ機とスロットマシンとを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。