JP6560098B2 - 油圧ダウンザホールドリルのアキュムレータ - Google Patents

油圧ダウンザホールドリルのアキュムレータ Download PDF

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Description

本発明は、油圧ダウンザホールドリルに係り、特に、油圧ダウンザホールドリルのアキュムレータに関する。
油圧で駆動するブラストホールドリルの打撃機構部は、高圧回路と低圧回路にそれぞれアキュムレータを備えている。油圧ドリフタの場合、アキュムレータは、打撃ピストンや切換バルブといった構成部品を内部に摺嵌したシリンダの外周面に装着されている。
これに対し、油圧ダウンザホールドリルの場合は、打撃機構部が先端ビットの直後のケーシングパイプ内に配設されている。そのため、アキュムレータも必然的にケーシングパイプ内に設けることになる。なお、本明細書において、図中の軸線方向左側を穿孔の進行方向とし、左側を前方または前側、右側を後方または後側として説明をする。
従来の油圧ダウンザホールドリルのアキュムレータとしては、例えば図7に示すものが提案されている。
同図に示すように、このアキュムレータは、管体110内を多重管構造として、中心に高圧路170設け、管体110と高圧路170との間に、高圧路170と同心の環状空間とを形成している。そして、その環状空間をダイヤフラム180でガス室190と油室200とに隔成し、油室200と高圧油通路170との間の隔管140に複数の油孔230を穿設し、接合面に凹凸を形成した複数のディスタンスリング300を、隔管140の油室200側に各接合面が油孔230に臨むよう連設している(例えば特許文献1参照)。
従来の油圧ダウンザホールドリルのアキュムレータでは、高圧油通路170、低圧通路160、およびフラッシング通路150の管体110内における径方向の配置は、中心が高圧油通路170、その外側が低圧通路160、そして、最外側がフラッシング通路150となっている。
特開平6−341403号公報
ここで、高圧油通路170と油室200との間には、隔管140とディスタンスリング300が介挿されているが、これはディスタンスリング300が、その内周面が隔管140の外周面に当接して組み付けられているためであり、ガス室190と低圧通路160を画成するためのインナーケーシング130、低圧通路160とフラッシング通路150を画成するためのアウターケーシング120がそれぞれ必要であることから、従来の油圧ダウンザホールドリルのアキュムレータは、管体110の内部に、4つの管部材からなる多重管構造を収容している。なお、図中、高圧油のイメージを大きなドットの網掛けで示し、低圧油のイメージを小さなドットの網掛けで示している(以下同様)。
また、高圧油通路170の高圧油が油室200に蓄圧される際には、図8に示すように、隔管140側に形成された油孔230および環状溝240、並びに、ディスタンスリング300側の凹部320と接合面310の間隙および油路340の計4つの経路を通過することになる。このように、従来の油圧ダウンザホールドリルのアキュムレータは、構造が複雑で構成部材も多いので、コストが嵩み、また、圧油の通過経路も複雑なので圧力損失が大きいという問題がある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、比較的に構造が簡素な油圧ダウンザホールドリルのアキュムレータを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る油圧ダウンザホールドリルのアキュムレータは、中空円筒状のアウタケースと、該アウタケース内に同心状に配設された3つの管状部材であって前記アウタケースの中心側から外周側に向けて順に配設されたインナパイプ、スクリーン部材および圧力容器部材と、前記スクリーン部材と前記圧力容器部材との間に配設されたダイヤフラムとを備え、前記インナパイプの内径空間に設けられたフラッシング通路と、前記インナパイプの外周面と前記スクリーン部材の内周面との間に形成される環状隙間に設けられた蓄圧流体通路と、前記スクリーン部材と前記ダイヤフラムの界面に設けられた蓄圧部と、前記ダイヤフラムと前記圧力容器部材の内周面との間に形成される閉空間に設けられたガス室と、前記圧力容器部材の外周面と前記アウタケースの内周面との間に形成される環状隙間に設けられた非蓄圧流体通路とを有することを特徴とする。
本発明の一態様に係る油圧ダウンザホールドリルのアキュムレータによれば、アウタケースの内部は、3つの管状部材からなる多重管構造を収容するので、4つの管状部材からなる多重管構造を収容する従来のアキュムレータに比べて構造が簡素化されるのでコストを低減することができる。
ここで、本発明の一態様に係る油圧ダウンザホールドリルのアキュムレータにおいて、前記スクリーン部材は、複数のディスタンスリングが相互に係合することで構成されており、前記蓄圧流体通路と前記蓄圧部とを連通する経路が、前記ディスタンスリングの係合部に設けた油孔と、該油孔の外側に形成される環状油路と、該環状油路の開口部であるスリットとから構成されていることは好ましい。
このような構成であれば、アキュムレータに蓄圧する際の圧油が通過する経路は、実質的に2つであり、4つの経路を通過する従来のアキュムレータに比べて圧力損失が大幅に低減される。
上述のように、本発明によれば、比較的に構造が簡素な油圧ダウンザホールドリルのアキュムレータを提供することができる。
本発明の一態様に係る油圧ダウンザホールドリルの一実施形態の説明図である。 本発明の一態様に係る油圧ダウンザホールドリルのアキュムレータの一実施形態を示す軸線に沿った断面図である。 図2の高圧アキュムレータの部分の縦断面図である。 図3のA部詳細説明図である。 図3のB―B線断面図である。 図3のC―C線断面図である。 従来の油圧ダウンザホールドリルのアキュムレータの一例を示す縦断面図である。 図7の要部詳細説明図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
特に、本発明では多重管構造の各管路配置が重要なので、原図の尺度を変更してデフォルメするとともに、管路の視認性を優先して断面のハッチングを適宜省略している。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
本実施形態の油圧ダウンザホールドリルは、図1に示すように、先端側から後方に向けて、ビット100、打撃機構90、アキュムレータ1、継ぎロッド80、スイベル機構70および回転機構60が順次に接続されて構成されている。
この油圧ダウンザホールドリルは、不図示の油圧源からスイベル機構70を介して打撃機構90に圧油を供給し、打撃機構90の駆動によってビット100に打撃を与えるとともに、回転機構60から継ぎロッド80、アキュムレータ1、打撃機構90を介して回転力をビット100に伝達することにより、所期のさく孔を行うようになっている。
上記アキュムレータ1は、図2に縦断面図を示すように、高圧アキュムレータ10と低圧アキュムレータ50とを前後に隣接した構成を有する。高圧アキュムレータ10と低圧アキュムレータ50の構成は、両者で共通している。両者の差異点は、後述するガス室30にチャージする窒素ガスの圧力設定を変えているだけである。したがって、本明細書では、以下、高圧アキュムレータ10のみを図面を参照しながら説明し、低圧アキュムレータ50については説明を適宜省略する。
高圧アキュムレータ10は、図3に示すように、中空円筒状のアウタケース21と、このアウタケース21内に、中心側から外周側へ向けて同心状に、インナパイプ11、スクリーン部材S、および圧力容器部材Rからなる3つの管状部材が配設されている。
スクリーン部材Sは、複数のディスタンスリング12と、その前後に設けられた前側サポートリング13および後側サポートリング14をそれぞれ係合して構成されている。また、圧力容器部材Rは、インナケース18、前側アダプトリング19および後側アダプトリング20によって構成されている。スクリーン部材Sと圧力容器部材Rとの間にダイヤフラム15が設けられている。
インナパイプ11は、略ストレート形状の管状部材であり、先端側が前側キャップ16に支持され、後端側がジョイント22に支持されている。インナパイプ11の内径空間(アキュムレータ10の軸心部分の空間)は、フラッシング流体通路26となっている。また、インナパイプ11の外周面とスクリーン部材Sの内周面との間に形成される環状隙間が、蓄圧流体通路、すなわち、高圧油通路27となっている。
各ディスタンスリング12は、図4に示すように、大径部12aの前方に、円環状の前側係合部12dが突出したリング状の部材である。大径部12aの前後には、大径部前端面12bおよび大径部後端面12cがそれぞれ形成されており、大径部後端面12cの隅部には大きなR面取りが施されている。大径部12aの後方の内部には、後側係合部12fと凹部12iとが形成されている。前側係合部12dの前端には、係合部前端面12eが形成され、後側係合部12fには、係合部後端面12gが形成されている。前側係合部12dには、油孔12hが周方向に離隔して等配に設けられている。
複数のディスタンスリング12同士は、図4に示すように、前側係合部12dと後側係合部12fとが係合することで相互に連結され、大径部前端面12b、大径部後端面12c、および凹部12iによって環状油路12jが形成され、環状油路12jに連続してスリット12kが形成されている。これら油孔12h〜環状油路12i〜スリット12kは、蓄圧流体、すなわち高圧油の通過経路を形成している。
前側サポートリング13の後部は、ディスタンスリング12の後部と同じ構成を備えており、後側サポートリング14の前部は、ディスタンスリング12の前部と同じ構成を備えている。これにより、図3に示すように、前側サポートリング13、ディスタンスリング12、および、後側サポートリング14は、相互に連結されてスクリーン部材Sを構成している。なお、後側サポートリング14には、ガス室30にガスを給排気するための給排気通路14aが設けられている。
インナケース18は、その中央部の内周面に、図3において台形状を呈した凹部18aが形成されており、凹部18aの前後には、台形の斜辺と略連続する傾斜面を有する前側アダプトリング19、および、後側アダプトリング20が設けられている。後側アダプトリング14には、ガス室30にガスを給排気するための給排気通路20aが設けられている。
前側サポートリング13と前側アダプトリング19、そして、後側サポートリング14と後側アダプトリング20は、ダイヤフラム15の前後端部をそれぞれ保持しており、ダイヤフラム15と圧力容器部材Rの内周面との間に形成される閉空間(インナケース凹部18aが形成する閉空間)にガス室30が形成され、これにより、ダイヤフラム15とスクリーン部材Sとの界面が蓄圧部29になっている。
インナケース18の前後は、図3に示すように、前側キャップ16および後側キャップ17が螺着されており、これによってスクリーン部材Sの各構成部材と圧力容器部材Rの各構成部材とが一体に組付けられている。そして、前側キャップ16の大径部と後側キャップ17の大径部がアウタケース21の内径に当接して保持されることで高圧アキュムレータ10が構成されている。
前側キャップ16の大径部には連通溝16aが設けられ、内部には傾斜通路16bが設けられている。また、後側キャップ17の大径部には複数の連通溝16aが設けられ、後側キャップ17の内部には、ガス室30にガスを給排するためのチャージバルブ24、プラグ25(図6参照)、および、吸排気孔17bが設けられている。アウタケース21の内径と連通溝16a、17aとの隙間、およびアウタケース21の内周面とインナケース18の外周面との間に形成された環状隙間が、非蓄圧流体通路、すなわち、低圧油通路28になっている。
なお、低圧アキュムレータ50の場合は、前側キャップ16の代わりに、図2に示すようにジョイント22が螺着されている。ジョイント22は、高圧アキュムレータ10と低圧アキュムレータ50それぞれのアウタケース21を接続するねじ部を2箇所備えており、さらに、後述する高圧油通路27を内側から外側へと導く傾斜通路22aと、低圧通路28を外側から内側へと導く傾斜通路22bとを備えている。なお、図2および図3に示すように、キャップ17の内周面とジョイント22の内周面とは、アウタパイプ23によって相互に接続されており、高圧油通路27と低圧油通路28とを隔成している。
次に、本実施形態の油圧ダウンザホールドリルのアキュムレータ1の動作、および作用効果について説明する。
本実施形態の油圧ダウンザホールドリルを駆動してさく孔作業を行う場合、外部のコンプレッサからの圧縮空気がフラッシング流体通路26に供給されて先端のビット100から吐出し、外部の油圧ポンプからの高圧油が高圧油通路27に供給されて打撃機構90を駆動した後、低圧油回路28を通り外部のタンクへと戻される。
打撃機構90で圧油の脈動が発生するとアキュムレータ1がこれを蓄圧する。高圧アキュムレータ10において高圧油通路27内で脈動による圧力上昇が発生すると、圧油は油孔12h〜環状油路12i〜スリット12kを経て蓄圧部29へと伝達しダイヤフラム15を押圧する。ダイヤフラム15が押圧されて変形することによってガス室30の窒素ガスが圧縮し、圧油の脈動は蓄圧部29に蓄圧される。蓄圧された圧油は吐出されて打撃機構90の作動に供される。
低圧アキュムレータ50においては、ジョイント22の傾斜通路22a、22bによって高圧油の流通経路と低圧油の流通経路の位置関係が逆転し、蓄圧流体通路に低圧油が流通するので低圧油の脈動が蓄圧される。
そして、上述したように、この油圧ダウンザホールドリルのアキュムレータ1によれば、アウタケース21の内部は、3つの管状部材からなる多重管構造を収容するので、例えば図7に示した、4つの管状部材からなる多重管構造を収容する従来のアキュムレータに比べて構造が簡素化されるのでコストを低減することができる。
また、このアキュムレータ1によれば、スクリーン部材Sは、複数のディスタンスリング12が相互に係合することで構成されており、蓄圧流体通路51と蓄圧部29とを連通する経路が、ディスタンスリング12の係合部に設けた油孔12hと、この油孔12hの外側に形成される環状油路12jと、この環状油路12jの開口部であるスリット12kとから構成されているので、アキュムレータ1に蓄圧する際の圧油が通過する経路は、実質的に2つであり、4つの経路を通過する従来のアキュムレータに比べて圧力損失が大幅に低減することができる。
以上、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明したが、本発明に係る油圧ダウンザホールドリルのアキュムレータは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しなければ、その他の種々の変形や各構成要素を変更することが許容されることは勿論である。
例えば、上記実施形態では、圧力容器部材Rは、インナケース18、前側アダプトリング19、および後側アダプトリング20によって構成した例を説明したが、これに限らず、一体成形部品としてもよい。
また、例えば、インナケース18の中央部の長手方向の寸法について、ディスタンスリング12の係合部前端面から係合部後端面までの寸法分を延長または短縮した変形インナケースを用意し、それに合わせてディスタンスリング12の連結個数を変更して組み付ける構成としてもよい。このような構成であれば、ガス室30の容積、すなわちアキュムレータ特性を容易に変更することができる。
1 アキュムレータ
10 高圧アキュムレータ
11 インナパイプ
12 ディスタンスリング
12a 大径部
12b 大径部前端面
12c 大径部後端面
12d 前側係合部
12e 係合部前端面
12f 後側係合部
12g 係合部後端面
12h 油孔
12i 凹部
12j 環状油路
12k スリット
13 前側サポートリング
14 後側サポートリング
14a 給排気通路
15 ダイヤフラム
16 前側キャップ
16a 連通溝
16b 傾斜通路(高圧)
17 後側キャップ
17a 連通溝
17b 給排気孔
18 インナケース
18a 凹部
19 前側アダプトリング
20 後側アダプトリング
20a 給排気通路
21 アウタケース
22 ジョイント
22a 傾斜通路(高圧)
22b 傾斜通路(低圧)
23 アウタパイプ
24 チャージバルブ
25 プラグ
26 フラッシング流体通路
27 高圧油通路(蓄圧流体通路)
28 低圧油通路(非蓄圧流体通路)
29 蓄圧部
30 ガス室
50 低圧アキュムレータ
S スクリーン部材
R 圧力容器部材

Claims (2)

  1. 中空円筒状のアウタケースと、該アウタケース内に同心状に配設された3つの管状部材であって前記アウタケースの中心側から外周側に向けて順に配設されたインナパイプ、スクリーン部材および圧力容器部材と、前記スクリーン部材と前記圧力容器部材との間に配設されたダイヤフラムとを備え、
    前記インナパイプの内径空間に設けられたフラッシング通路と、前記インナパイプの外周面と前記スクリーン部材の内周面との間に形成される環状隙間に設けられた蓄圧流体通路と、前記スクリーン部材と前記ダイヤフラムの界面に設けられた蓄圧部と、前記ダイヤフラムと前記圧力容器部材の内周面との間に形成される閉空間に設けられたガス室と、前記圧力容器部材の外周面と前記アウタケースの内周面との間に形成される環状隙間に設けられた非蓄圧流体通路とを有することを特徴とする油圧ダウンザホールドリルのアキュムレータ。
  2. 前記スクリーン部材は、複数のディスタンスリングが相互に係合することで構成されており、
    前記蓄圧流体通路と前記蓄圧部とを連通する経路が、前記ディスタンスリングの係合部に設けた油孔と、該油孔の外側に形成される環状油路と、該環状油路の開口部であるスリットとから構成されている請求項1に記載の油圧ダウンザホールドリルのアキュムレータ。
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