JP6555918B2 - 複層体の層厚試験法および複層体の層厚試験装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複層体の層厚試験法に関する。より具体的には、本発明は、複層体の層厚試験法において、より正確性を向上させた技術に関する。
従来から、複層体の構成層の厚みを非破壊方式で測定する方法が採用されている。
たとえば、特開昭60−123712号公報(特許文献1)には、管の表面に超音波探触子を設置して半径方向に超音波を発し、対向側のライニング内面からの反射波を検出し、この反射波のエネルギ損失によりライニング厚を測定することを特徴とする管内面ライニング厚の測定方法が開示されている。
また、特開昭63−3211号公報(特許文献2)には、金属製本体の表面に一体に形成された、強化繊維と金属マトリックスとよりなる繊維強化複合層の厚さを測定するに当り、繊維強化樹脂複合層の表面に向けて超音波を発信して反射波を逐次受信し、超音波の発信から強化繊維による最終反射波受信までの時間を繊維強化複合層の厚さに換算することを特徴とする、超音波による繊維強化複合層の厚さ測定方法が開示されている。
特開昭60−123712号公報 特開昭63−3211号公報
特許文献1の方法は、金属およびコンクリートから構成される複合管の、コンクリートライニング層の厚みを測定するものである。この方法では、複合管の外側に接触型超音波探触子を設置する必要がある。従って、埋設管路について適用する場合、開削作業が必要となる。さらに、特許文献1の方法は、超音波入射側の表層であるライニング厚を測定する方法であり、深部層である金属層の厚みを測定することは記載されていない。
特許文献2の方法は、水浸式超音波法で、超音波入射側の表層である繊維強化層の厚みを測定するものである。しかしながら、深部層である金属層の厚みを測定できることは記載されていない。
複層体に超音波を発信し、入射側からみて深部の層の厚みを測定する場合、測定誤差が大きい。特に、超音波入射側の表層と深部層との界面で生じる界面反射波が発生した場合に適切な測定を行うことができなくなる。
そこで本発明の目的は、複層体の深部層の厚みを正確に測定することができる方法を提供することにある。
本発明者は鋭意検討の結果、検出される反射波を、独自の基準で選別し、深部層の厚みの測定に適した反射波のみに絞り込むことによって、上記本発明の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の発明を含む。
(1)
本発明の複層体の層厚試験法は、選別工程と層厚導出工程とを含む。
選別工程では、厚みを測定すべきターゲット層と、ターゲット層の表面上に設けられた表層とを含む複層体に対して、表層の側からターゲット層の側へ向かう方向に発信した超音波の反射波を、検出順に第1反射波、第2反射波および第3反射波とした場合に、ターゲット層の厚みの導出に適している第2反射波および第3反射波を選別する。
選別工程は第2反射波判定工程と第3反射波判定工程とを含む。
第2反射波判定工程では、第2反射波の強度が所定範囲に含まれるか否かの判断を行う。
第3反射波判定工程では、第3反射波の強度と所定範囲の下限との比較、および、第2反射波と第3反射波との位相の比較の少なくともいずれかを行う。
層厚導出工程では、ターゲット層の厚みの導出に適していると選別された第2反射波および第3反射波の伝播時間からターゲット層の層厚を導出する。
この構成によって、検出される反射波から、複層体のターゲット層(深部層)の厚みを導出するために適した反射波を選別することができる。この選別によって、表層−ターゲット層界面の剥離、表層の内部過剰劣化、およびターゲット層の裏面過剰劣化のいずれかを原因とする、ターゲット層の厚みの導出に適さない波形が捨象される。したがって、複層体のターゲット層の厚みを正確に測定することができる。
より具体的には、第2反射波判定工程で第2反射波の強度が所定範囲に含まれない場合は、表層の内部過剰劣化または表層−ターゲット層界面の剥離が生じていると判定することができる。
また、第3反射波判定工程で第3反射波の強度と所定範囲の下限との比較が行われた場合(強度に基づく第3反射波判定工程)は、層厚測定に適すると判定された波形は、表層の内部過剰劣化および表層−ターゲット層界面の剥離に加えて、ターゲット層の裏面過剰劣化にも該当しないと判定されている点で好ましい。
さらに、第3反射波判定工程で第2反射波と第3反射波との位相の比較が行われた場合(位相に基づく第3反射波判定工程)は、層厚測定に適すると判定された波形は、表層−ターゲット層界面の剥離が起こっていないことがより正確に判定されている点で好ましい。
なお、表層の内部過剰劣化とは、表層内部が、荒れによる空洞化によって超音波が散乱し、入射した超音波が表層内を十分に進むことができない程度まで劣化していることをいう(以下において同様)。ターゲット層の裏面過剰劣化とは、荒れの凹凸によって超音波が裏面散乱し、十分に反射されない程度まで劣化していることをいう(以下において同様)。
(2)
本発明の複層体の層厚試験法では、第2反射波判定工程で、第2反射波の強度が所定範囲に含まれない場合に、第2反射波および第3反射波がターゲット層の厚みの導出に適していないと判定してよい。
この場合、表層−ターゲット層界面の剥離および表層の内部過剰劣化を原因とする、ターゲット層の厚みの導出に適さない波形が捨象される。さらにこの場合、第2反射波の強度が第2反射波の強度が所定範囲を下回る場合は、表層の内部過剰劣化を生じていると判断し、2反射波の強度が第2反射波の強度が所定範囲を上回る場合は、表層−ターゲット層界面の剥離を生じていると判断することができる。
(3)
本発明の複層体の層厚試験法では、第3反射波判定工程で、第3反射波の強度が所定範囲の下限以下である場合に、第2反射波および第3反射波が前記ターゲット層の厚みの導出に適していないと判定してよい。
この場合、ターゲット層の裏面過剰劣化を原因とする、ターゲット層の厚みの導出に適さない波形が捨象される。
強度に基づく第3反射波判定工程は、前述の第2反射波判定工程に引き続いて行われてよい。つまり、強度に基づく第3反射波判定工程は、第2反射波判定工程で第2反射波の強度が所定範囲に含まれると判断した場合に行われてよい。(図17に例示)
また、強度に基づく第3反射波判定工程は、前述の第2反射波判定工程および後述の位相に基づく第3反射波判定工程がこの順で行われた後に引き続いて行われてもよい。つまり、強度に基づく第3反射波判定工程は、後述の位相に基づく第3反射波判定工程で第2反射波の位相と第3反射波の位相とが逆であると判断した場合に行われてもよい。(図20に例示)
(4)
本発明の複層体の層厚試験法では、第3反射波判定工程で第2反射波と第3反射波との位相が逆でない場合に、第2反射波および第3反射波が、ターゲット層の厚みの導出に適していないと判定してよい。
この場合、表層−ターゲット層界面の剥離を原因とする、ターゲット層の厚みの導出に適さない波形の見落としを回避することができる。したがって、ターゲット層の厚みの導出に適している波形をより正確に選別することができる。
位相に基づく第3反射波判定工程は、上記の強度に基づく第3反射波判定工程に引き続いて行われてよい。つまり、位相に基づく第3反射波判定工程は、強度に基づく第3反射波判定工程で第3反射波の強度が所定範囲の下限を上回ると判断した場合に行われてよい。(図18に例示)
また、位相に基づく第3反射波判定工程は、上記の第2反射波判定に引き続いて行われてもよい。つまり、位相に基づく第3反射波判定工程は、第2反射波判定工程で第2反射波の強度が所定範囲に含まれると判断した場合に行われてよい。(図19に例示)
(5)
本発明の複層体の層厚試験法では、第2反射波判定工程における所定の強度範囲が、表面劣化がない場合の表層の第1反射波の強度を240%と定めた場合に、第1反射波の強度の17%以上70%以下の強度範囲に相当することが好ましい。
この場合、ターゲット層の厚みの導出に適している波形をより正確に選別することができる。
(6)
本発明の複層体の層厚試験法では、選別工程が、第1反射波の強度が基準範囲に含まれるか否かの判断を行う第1反射波判定工程を含んでよい。この場合、第1反射波の強度が前記基準範囲に含まれている場合に第2反射波判定工程を行うことができる。
この場合、複層体の表層の表面過剰劣化を原因とする、ターゲット層の厚みの導出に適さない波形が捨象される。したがって、ターゲット層の厚みの導出に適している波形をより正確に選別することができる。
なお、表層の表面過剰劣化とは、表層の表面が、荒れの凹凸によって超音波が表面散乱し、表層内部へ入射されない程度まで劣化していることをいう(以下において同様)。
(7)
上記(6)の複層体の層厚試験法では、基準範囲が、表面劣化がない場合の表層の第1反射波の強度を80%と定めた場合に40%以上の強度範囲に相当することが好ましい。
この場合、ターゲット層の厚みの導出に適している波形をより正確に選別することができる。
(8)
本発明の層厚試験装置は、選別部と層厚導出部とを含む。
選別部では、厚みを測定すべきターゲット層と、ターゲット層の表面上に設けられた表層とを含む複層体に対して、表層の側からターゲット層の側へ向かう方向に発信した超音波の反射波を、検出順に第1反射波、第2反射波および第3反射波とした場合に、ターゲット層の厚みの導出に適している第2反射波および第3反射波を選別する。
選別部は第2反射波判定部と第3反射波判定部とを含む。
第2反射波判定部では、第2反射波の強度が所定範囲に含まれるか否かの判断を行う。
第3反射波判定部では、少なくとも第3反射波の強度と所定範囲の下限との比較、および、第2反射波と第3反射波との位相の比較の少なくともいずれかを行う。
層厚導出部では、ターゲット層の厚みの導出に適していると選別された第2反射波および第3反射波の伝播時間からターゲット層の層厚を導出する。
この構成によって、上記の複層体の層厚試験法を実施することができる。したがって、検出される反射波から、複層体のターゲット層(深部層)の厚みを導出するために適した反射波を選別することができる。この選別によって、表層−ターゲット層界面の剥離、表層の内部過剰劣化、およびターゲット層の裏面過剰劣化のいずれかを原因とする、ターゲット層の厚みの導出に適さない波形が捨象される。これによって、複層体のターゲット層の厚みを正確に測定することができる。
より具体的には、第2反射波判定部で第2反射波の強度が所定範囲に含まれない場合は、表層の内部過剰劣化または表層−ターゲット層界面の剥離が生じていると判定することができる。
また、第3反射波判定部で第3反射波の強度と前記所定範囲の下限との比較が行われた場合は、層厚測定に適すると判定された波形は、表層の内部過剰劣化および表層−ターゲット層界面の剥離に加えて、ターゲット層の裏面過剰劣化にも該当しないと判定されている点で好ましい。
さらに、第3反射波判定部で第2反射波と第3反射波との位相の比較が行われた場合は、層厚測定に適すると判定された波形は、表層−ターゲット層界面の剥離が起こっていないことがより正確に判定されている点で好ましい。
(9)
本発明の層厚試験装置では、選別部が、第1反射波の強度が基準範囲に含まれるか否かの判断を行う第1反射波判定部を含んでよい。
この場合、複層体の表層の表面過剰劣化を原因とする、ターゲット層の厚みの導出に適さない波形が捨象される。したがって、ターゲット層の厚みの導出に適している波形をより正確に選別することができる。
本発明の層厚試験装置の一例のブロック図である。 図1の装置を用いた層厚試験法の実施態様の一例を模式的に示す一部切欠図である。 図2の実施態様を試験対象の複層管の軸方向から見た模式図である。 層厚試験法の一例を説明する模式的一部拡大図である。 層厚試験装置の一部を示すブロック図である。 ターゲット層の厚みを導出するために最も適切な類型におけるピークパターン(a)および複層管内での超音波の伝播態様(b)を示す。 ターゲット層の厚みを導出するために適切な他の類型におけるピークパターン(a)および複層管内での超音波の伝播態様(b)を示す。 ターゲット層の厚みを導出するために適切なさらに他の類型におけるピークパターン(a)および複層管内での超音波の伝播態様(b)を示す。 ターゲット層の厚みを導出するために適切でない類型におけるピークパターン(a)および複層管内での超音波の伝播態様(b)を示す。 ターゲット層の厚みを導出するために適切でない類型におけるピークパターン(a)および複層管内での超音波の伝播態様(b)を示す。 ターゲット層の厚みを導出するために適切でない類型におけるピークパターン(a)および複層管内での超音波の伝播態様(b)を示す。 ターゲット層の厚みを導出するために適切でない類型におけるピークパターン(a)および複層管内での超音波の伝播態様(b)を示す。 ターゲット層の厚みを導出するために適切な類型における波形の位相を示す。 ターゲット層の厚みを導出するために適切でない類型における波形の位相を示す。 位相比較によって判別される、ターゲット層の厚みを導出するために適切でない類型におけるピークパターン(a)および複層管内での超音波の伝播態様(b)を示す。 位相比較によって判別される、ターゲット層の厚みを導出するために適切でない類型における他のピークパターン(a)および複層管内での超音波の伝播態様(b)を示す。 層厚試験法の選別工程のフローチャートの一例である。 層厚試験法の選別工程のフローチャートの一例(続き)である。 層厚試験法の選別工程のフローチャートの他の例である。 層厚試験法の選別工程のフローチャートの他の例(続き)である。 層厚試験法の層厚導出工程のフローチャートの一例である。 層厚試験装置の他の例を用いた層厚試験法の一例を模式的に示す一部切欠図である。 層厚試験装置の他の例のより具体的な外観図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の要素には同一の符号を付しており、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
[1.層厚試験装置の構成概要]
図1は、本発明の層厚試験装置の一例のブロック図である。図2は、層厚試験装置を用いた層厚試験法の実施態様の一例を模式的に示す一部切欠図である。図3は、図2の実施態様を、試験対象の複層管の軸方向から見た模式図である。
図1に示すように、本実施形態の層厚試験装置100は、移動ユニット110と制御分析ユニット120とを含む。移動ユニット110と制御分析ユニット120とは、ケーブル190で物理的および電気的に接続されている。
移動ユニット110は移動可能な部分であり、図2および図3に示す複層管900内に挿入される場合は、複層管900の軸心方向に移動する。移動ユニット110は、筒部(軸部)200、伸縮部300、拡縮アーム400、車輪500を含む。その他に、移動ユニット110は、モータ610及び検知部700を含む。
筒部200は、移動ユニット110の正面視中央に位置し(図3参照)、複層管900内では内壁面の軸心方向に延在するように配置される(図2参照)。筒部200は、軸筺体部210と、連結用部材220とから構成される。軸筺体部210内には、ケーブル190など所望の部材を収容することができる。伸縮部300(図示せず、たとえばエアシリンダ)を軸筺体部210の一部として構成してもよい。連結用部材220は、筒部200と伸縮部300および拡縮アーム400それぞれとの連結、および、伸縮部300と拡縮アーム400との連結を行う。
伸縮部300は、その伸縮により、連結用部材220を介して拡縮アーム400の拡縮動作を生じさせる。
拡縮アーム400は、図3に示すように、連結用部材220を介して連結された筒部200の軸心を中心とする放射方向、つまり複層管900の中心から外へ向かう径方向に突設される。また、拡縮アーム400は、連結用部材220を介して連結された伸縮部300の伸縮を拡縮アーム400の拡縮動作に連動させるリンク機構を構成する。したがって、伸縮部300の伸縮により径方向への突出量を変化させる。拡縮アーム400の先端には、複層管900の軸心方向に走行可能な車輪500が設けられる。本実施形態においては、拡縮アーム400および車輪500のセットは、軸心まわりに等間隔となるように3セット設けられる。複層管900内で拡縮アーム400を拡張し、車輪500が内壁へ当接したとき、軸筺体部210が内壁の軸心に調芯されるとともに移動ユニット110が安定的に保持される。
モータ610(図示せず)は、その回転中心が複層管900の内壁面の軸心上に位置するように配設され、検知部700の構成部材(後述)に連結することにより、検知部700の構成部材を回転させる。層厚試験装置100においては、モータ610は中実軸モータであり、軸筺体部210内に収容されている。
検知部700は、図2および図3に示すように、超音波探触子710が、センサホルダ732を介してアーム部材733に連結されて構成される。アーム部材733が回転軸250を介して軸筐体部210内のモータ610に連結されるとともに、超音波探触子710とセンサホルダ732とアーム部材733とが、複層管900の径方向に同軸となるように配置される。軸筐体部210内に収容されたモータ610が回転駆動することにより、回転軸250を介して検知部700が回転する。
超音波探触子710は、超音波を発生するとともに、超音波ビームを送受信する。超音波探触子710は、焦点型探触子であってもよいし、直進型探触子であってもよい。また、超音波探触子710は、一探触子法に基づく1個の送受信一体型超音波探触子であるが、二探触子法に基づく発信用探触子と受信用探触子との組み合わせであってもよい。超音波探触子710は、モータ610によって駆動される回転軸250の回転と共に、複層管900の内周表面に対する角度(垂直)を保った状態で、当該内周表面に沿って回転する(図2および図3中矢印)。
制御分析ユニット120は、管外で操作される部分であり、伸縮制御部131と、モータ制御部132、進行制御部133および検知条件制御部134などの入力部と、検知情報解析部140と、出力部150を有する。
伸縮制御部131は、伸縮部300の伸縮を制御することで、拡縮アーム400の拡縮制御を行う。モータ制御部132は、モータ610の回転を制御する。進行制御部133は、ケーブル190の巻取りおよび送出しを制御する。検知条件制御部134は、検知部700に対し、測定条件等の入力情報の制御および測定結果等の出力情報に基づくフィードバック制御等の制御を行う。検知情報解析部140は、本発明の層厚試験方法(後述)を実施することで、検知部700から得られる情報の解析を行う。出力部150は、検知部700から得られる情報を出力する。
[2.試験対象]
図2および図3に示すように、本発明の方法における層厚試験装置100の試験対象は、複層管900である。本実施形態において、複層体である複層管900は、膜厚を測定すべきターゲット層である金属管910の内面に表層であるセメント含有層920がライニングされた構成を有する。複層管900は、地中に埋設されているものであり、たとえば、上水道、下水道、工業用水道および農業用水道の配管が挙げられる。
金属管910の材質としては、鉄(特に鋳鉄)および鋼が挙げられる。
鋳鉄は、炭素を約2.0%以上含む鉄−炭素系合金である。一般的に、炭素を2.0%以上4.5%以下およびケイ素を0.5%以上3.0%以下含み、その他、マンガンを1.0%以下、リンおよび/または硫黄0.1%程度をさらに含むことが多い(%は、重量を基準とする)。
鋳鉄の種類としては、通常の鋳鉄として、白鋳鉄、まだら鋳鉄およびねずみ鋳鉄が挙げられ、強化された鋳鉄として、強靭鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄(たとえば、ノジュラー鋳鉄、ダクタイル鋳鉄)、可鍛鋳鉄および合金鋳鉄が挙げられる。水道管の場合、具体的には、日本工業規格(JIS G 5521, 5522, 5523, 5524, 5526, 5527)、日本水道協会規格(JWSA G 102, 103, 105, 106, 108, 109, 110, 111, 113, 114, 114-2)、日本下水道協会規格(JSWAS G-1, G-2)、日本ダクタイル鉄管協会規格(JDPA G 1001, 1002, 1003, 1004, 1007, 1008, 1009, 1010, 1011, 1012, 1013, 1014, 1015, 1016, 1017, 1018, 1019, 1020, 1021, 1022, 1024, 1025, 1026, 1027, 1028, 1029, 1030, 1031, 1032, 1033, 1034, 1035, 1036, 1037, 1038, 1039, 1040, 1041, 1042, 1043, 1044, 1045, 1046, 1047, 1048)などに規定されている。
鋼は、炭素を約2.0%以下含む鉄−炭素系合金である(%は、重量を基準とする)。たとえば、炭素鋼およびステンレス鋼が挙げられる。
また、金属管910の呼び径は、たとえば100以上、より具体的には100以上300以下である。
セメント含有層920の材質としては、セメントが含有されたライニング用材料であればよい。セメントとしては、ポルライトセメント、混合セメント(たとえば、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント)、エコセメント、水和セメント、および未水和セメントなどが挙げられる。代表的なポルライトセメントは、石灰石と、粘土、ケイ石、および酸化鉄などとの混合物を焼成し、ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、アルミン酸三カルシウム、鉄アルミン酸四カルシウムなどのクリンカーとした後、クリンカーに対し石膏を少量添加し、微粉砕処理したものである。セメントには、上述の成分の他に、空気および/または水が存在しても良い。
セメント含有層920は、上述のセメントを含む材料が層状をなすものである。セメントを含む材料において、セメントに混合される材料としては、砂などの細骨材、砂利や砕石などの粗骨材、および混和材が挙げられる。より具体的には、セメントを含む材料としては、モルタルおよびコンクリート(たとえば、フレッシュコンクリート、硬化コンクリート)が挙げられる。
なお、モルタルは、一般的に、セメントに細骨材が単独で、またはセメントに細骨材と混和材料との両方が加えられたものである。水道管の場合、具体的には、日本工業規格(JIS A5314)、日本水道協会規格(JWWA A 107, JWWA A 113)、日本ダクタイル鉄管協会規格(JDPA Z 2013, JDPA Z 2015)などに規定されている。健全状態(すなわち劣化されていない状態)における組成として、セメントと細骨材との質量配合比率が1:1.5以上1:3.5以下であること、および、混和材を配合する場合は、セメント質量に対して15%以下であることが定義されている(%は、重量を基準とする)。
さらに、セメント含有層920は、セメント含有材料の層の内表面に、さらなる別の被覆層すなわちシールコートを有するものであってもよい。さらなる別の被覆層の材質は、たとえば樹脂、より具体的にはアクリル系樹脂および塩化ビニル系樹脂が挙げられる。
[3.層厚試験法および層厚試験装置]
図2及び図3に示すように、本発明の層厚試験方法の実施時において、複層管900の内部には水Wが満たされており、層厚試験装置100は、複層管900の内部に配置される。
図4は、本発明の層厚試験方法の一例を説明する模式的一部拡大図である。図5は、層厚試験装置の一部を示すブロック図である。
[3−1.超音波の発信および受信]
図4に示すように、超音波探触子710のヘッド部から超音波(発信波T)が発信される。発信波Tは、セメント含有層920の内周表面Lsの接線TLに対して垂直となるように発信される。超音波探触子710のヘッド部とセメント含有層920との間の距離Dは、発信される超音波の波長、および超音波探触子710の特性(直線型および焦点型)などによって異なり得るため特に限定されるものではない。例えば、検出感度を良好に保ち易くする観点からは、距離Dは5mm以上、好ましくは10mm以上200mm以下、さらに好ましくは10mm以上100mm以下とすることができる。
発信される超音波の波長は、超音波探触子710の特性(直線型および焦点型)、超音波探触子710のヘッド部とセメント含有層920表面との距離などによって異なり得るため特に限定されるものではないが、例えば、超音波の波長の範囲は1MHz以上である。好ましくは、当該波長の範囲の下限値は、1.5MHz、1.8MHz、または2MHzであってよい。超音波の波長の範囲の上限値は、たとえば、10MHzであり、好ましくは、9MHz、7.5MHz、5MHz、または3.5MHzであってよい。上記下限値以上であることにより、不感帯(すなわち各ピークの裾幅)が狭く、層厚測定精度が良好であり、および、層厚測定可能範囲を広く確保することができる。上記上限値以下であることにより、シグナルノイズ比(S/N比)に対して感度が良好である。
層厚試験法において、金属管910の厚みを導出するための適切な類型では、図4に示すように、発信波Tが、金属管910の外表面Lbまで到達するとともに、セメント含有層920の内周表面Ls、セメント含有層920と金属管910との境界面Li、および金属管910の外表面Lbそれぞれで反射し、内周表面Lsで反射した反射波S、境界面Liで最初に反射した反射波I1、および外表面Lbで最初に反射した反射波B1が超音波探触子710に受信される。超音波探触子710が受信する反射波を受信順(検出順)に、第1反射波R−1、第2反射波R−2、第3反射波R−3とすると、金属管910の厚みを導出するための適切な類型では、第1反射波R−1が反射波Sであり、第2反射波R−2が反射波I1であり、第3反射波R−3が反射波B1であり、それぞれ、適切な強度で受信される。
[3−2.反射波の波形の取得]
検知部700(本実施形態では超音波探触子710)が受信した反射波は、検知情報解析部140(図1参照)で処理される。本発明の層厚試験装置では、図5に示すように、検知情報解析部140は、波形取得部141と選別部142と層厚算出部149とを含む。選別部142は、第2反射波判定部および第3反射波判定部を少なくとも含み、さらに本実施形態では、第1反射波判定部も含む。
波形取得部141では、検知部700が受信した反射波の波形を取得する。たとえば、反射波の信号を、伝播時間に対する反射波強度の波形へ変換処理する。より具体的には、受信波(図4の場合、第1反射波R−1、第2反射波R−2、および第3反射波R−3)を信号増幅器で増幅し、バンドパスフィルタなどでノイズを除去し、A/D変換器でデジタル化され、その後、デジタル化された波形を同一時間軸上で加算平均する平均化処理が行われることで波形が取得される。取得された波形は、測定位置情報とともに記憶される。波形取得部141によって取得された波形は、出力部150に表示されることもできる。
[3−3.分類されるべきピークパターン:ピーク強度による分類]
本発明の層厚試験方法で層厚情報を取得するために用いられる、金属管910の厚みを導出するために最も適切な類型のピークパターンを図6(a)に示し、複層管900内での発信波Tの伝播態様を図6(b)に模式的に示す。さらに、金属管910の厚みを導出するために適切な類型として許容されるピークパターンを図7(a)および図8(a)に示し、複層管900内での発信波Tの伝播態様を図7(b)および図8(b)に同様に模式的に示す。
本発明の層厚試験装置の選別部142では、波形取得部141によって取得された波形から図6(a)、図7(a)および図8(a)に示すピークパターンを選別するために、まず、金属管910の厚みを導出するために適切でない類型のピークパターンを判別する。選別の過程で、適切でない類型のピークパターンを捨象するだけでなく、それら適切でない類型のピークパターンから複層管900の層厚以外の劣化情報を取得してもよい。図9(a)、図10(a)、図11(a)および図12(a)が、本発明の層厚試験方法で金属管910の厚みを導出するために適切でない類型のピークパターンであり、図9(b)、図10(b)、図11(b)および図12(b)が、それぞれのピークパターンに対応する発信波Tの伝播態様の模式的態様である。
図6(a)に示すピークパターンでは、横軸に伝播時間、縦軸に信号強度を示す(以下、すべてのピークパターンにおいて同様)。図6(a)のピークパターンは、低ゲイン出力(L)および高ゲイン出力(H)の両出力の場合を示す。図6(a)に示すように、第1反射波R−1が反射波Sであり、第2反射波R−2が反射波I1であり、第3反射波R−3が反射波B1であり、それぞれ、適切な強度で受信される。
適切な強度で受信されるとは、第1反射波R−1の強度が基準範囲srに含まれ(低ゲインLでの波形参照)、かつ、第2反射波R−2および第3反射波R−3の強度がいずれも所定範囲drに含まれ(高ゲインHでの波形参照)ていることをいう。図6(a)では、最も理想的なピークパターンが示されており、第2反射波R−2の強度より第3反射波R−3の強度のほうが大きい。
しかしながら、第1反射波R−1が反射波S、第2反射波R−2が反射波I1、第3反射波R−3が反射波B1であり、第1反射波R−1の強度が基準範囲srに含まれ、第2反射波R−2の強度が所定範囲drに含まれ、かつ第3反射波R−3の強度が所定範囲drの下限値を上回っている限り、第2反射波R−2および第3反射波R−3の強度関係は問わない。
たとえば、図6(a)に示されたピークパターンでは第3反射波R−3の強度が所定範囲dr内に収まっているが、所定範囲drの上限を上回っている場合も許容される。
そのほか、図7(a)に示すように第2反射波R−2および第3反射波R−3の強度が同じである場合、および図8(a)に示すように、第2反射波R−2の強度のほうが第3反射波R−3の強度よりも大きい場合も許容される。
なお、図7(b)および図8(b)は、図6(b)と同じ図であるが、対応する発信波T伝播態様を把握容易にするためにそれぞれ図7(a)および図8(a)に添えている。
いずれにしても、第2反射波R−2以降に検出される反射波は、第1反射波に比べて強度が顕著に小さくなる傾向にあるため、第2反射波R−2以降の反射波の強度を調べる場合は、正確性の観点から、より高ゲイン(H)の出力に切換えることが好ましい。たとえば2.5倍以上3.5倍以下、一例として3倍にゲインを上げて設定することができる。
基準範囲srは、セメント含有層920に対応するセメント含有層であって劣化が無いものに発信波Tを発信した場合に得られる内周表面Lsの反射波の強度を80%とした場合に、40%以上、好ましくは50%以上であってよい。また、所定範囲drは、劣化のないセメント含有層920に発信波Tを発信した場合に得られる内周表面Lsの反射波の強度を240%とした場合に、17%以上70%以下、好ましくは20%以上60%以下であってよい。図6(a)、図7(a)、図8(a)、図9(a)、図10(a)、図11(a)および図12(a)で示される基準範囲srおよび所定範囲drは一例である。
波形取得部141によって取得された波形は、上記の条件が揃った場合に、図6(b)、図7(b)および図8(b)に示すように、発信波Tがセメント含有層920および金属管910に適切に入射し、境界面Liおよび外表面Lbで適切に反射することにより得られた反射波の波形であると判断することができる。したがってこの場合、第2反射波R−2つまり境界面Liで最初に反射した反射波I1および第3反射波R−3つまり外表面Lbで最初に反射した反射波B1は、金属管910の厚みを正しく導出するために利用することができる。
図9(a)に示すピークパターンでは、第1反射波R−1の強度が基準範囲srに満たない。そして、第2反射波R−2および第3反射波R−3は実質的に検出されない(それらの強度が検出限界に満たない)。このような波形からは、図9(b)に示すように、発信波Tが内周表面Lsで散乱することでセメント含有層920内に入射できないほどに内周表面Lsが荒れているため、第1反射波R−1つまり内周表面Lsで反射した反射波Sのみが弱い強度で検出されたにとどまったものと判断することができる。このような伝播態様は、セメント含有層920の内周表面Lsが腐食により過度に劣化している場合に起こり得る。
なお、本発明の層厚試験方法の実施前に、セメント含有層920の内周表面Lsが過剰劣化していないと判定している場合(たとえば、複層管900内を撮像する装置などにより過剰劣化がないことを確認している場合、および複層管の使用年数が比較的浅いことにより過剰劣化の可能性が極めて低い場合などを含む)は、第1反射波R−1の判定を行わなくてもよいため、図9(a)に示すピークパターンの判定は必ずしもなされない。
図10(a)に示すピークパターンでは、第1反射波R−1の強度は基準範囲sr内にあるが、少なくとも第2反射波R−2の強度は所定範囲drの下限を下回る。このような波形からは、図10(b)に示すように、セメント含有層920の内周表面Lsは図9(b)の場合ほどは劣化しておらず第1反射波R−1つまり内周表面Lsで反射した反射波Sは基準範囲sr内の強度で検出されたものの、境界面Liおよび外表面Lbに到達した超音波量が少ないため、第2反射波R−2つまり境界面Liで最初に反射した反射波I1および第3反射波R−3つまり外表面Lbで最初に反射した反射波B1のいずれも、極めて小さな強度でしか検出されなかったものと判断することができる。
このように境界面Liおよび外表面Lbに到達した超音波量が少なくなる伝播態様は、たとえばセメント含有層920の異常がある場合に起こり得る。より具体的には、セメント含有層920内部が過度の劣化状態にある場合が挙げられる。セメント含有層920の劣化状態は、たとえば、空隙率の増加、セメントの重量比率の減少、およびカルシウム濃度の減少の少なくともいずれかによって引き起こされていると考えられる。より具体的には、セメントの重量比率が20重量%以下である場合、カルシウム濃度が100,000ppm以下である場合、セメント含有層920の空隙率が0.5%以上である場合が挙げられる。
図11(a)に示すピークパターンでは、第1反射波R−1の強度は基準範囲sr内にあるが、少なくとも第2反射波R−2の強度は所定範囲drの上限を上回る。このような波形からは、図11(b)に示すように、セメント含有層920−金属管910の剥離により境界面Liに空気層が生じていることで、発信波Tが金属管910に入射できず、セメント含有層920の内周表面Lsと境界面Liとの間で多重反射が起こったものと判断することができる。このため、第2反射波R−2は境界面Liで最初に反射した反射波I1として検出されるものの、第3反射波R−3は境界面Liで2番目に反射した反射波I2として検出される。
図12(a)に示すピークパターンでは、第1反射波R−1の強度は基準範囲sr内にあり、第2反射波R−2も所定範囲dr内にあるが、第3反射波R−3が所定範囲drの下限を下回る。このような波形からは、図12(b)に示すように、金属管910に入射した発信波Tが外表面Lbで散乱することで十分に反射できないほどに外表面Lbが荒れているため、外表面Lbで最初に反射した反射波B1が極めて小さな強度でしか検出されなかったものと判断することができる。このような伝播態様は、たとえば外表面Lbが腐食により過度に劣化している場合に起こり得る。
[3−4.分類されるべきピークパターン:ピーク位相による分類]
本発明の層厚試験方法においては、より正確な劣化情報またはより正確な層厚情報を得るため、上記のピーク強度に基づく判定に加えて、ピーク位相に基づく判定を組み合わせることができる。これによって、セメント含有層920内の多重反射の有無をさらに詳細に調べることができる。
図13は、ターゲット層の厚みを導出するために適切な類型における波形の位相を示す。
図13に示すように、反射波のピークが金属管910の厚みを導出するための適切なピークパターンに該当する場合は、第2反射波R−2および第3反射波R−3の位相が逆になる。具体的には、第2反射波R−2は、一旦プラスに立ち上がった後マイナスに大きく振れる一方、第3反射波R−3は、一旦マイナスに振れた後プラスに大きく立ち上がる。
このように第2反射波R−2および第3反射波R−3の位相が逆の場合、第1反射波R−1が内周表面Lsで反射した反射波Sであり、第2反射波R−2が境界面Liで最初に反射した反射波I1であり、第3反射波R−3が外表面Lbで最初に反射した反射波B1であると識別することができる。
一方、図14は、ターゲット層の厚みを導出するために適切でない類型における波形の位相を示す。図14に示すように、反射波のピークが金属管910の厚みを導出するための適切なピークパターンに該当しない場合は、第2反射波R−2および第3反射波R−3の位相が同じになる。具体的には、第2反射波R−2および第3反射波R−3のいずれも、一旦マイナスに振れた後プラスに大きく立ち上がる。
このように第2反射波R−2および第3反射波R−3の位相が逆でない場合、内周表面Lsと境界面Liとの間で多重反射が起こっていると判断することができる。このため、第2反射波R−2は境界面Liで最初に反射した反射波I1であるが、第3反射波R−3は境界面Liで2番目に反射した反射波I2と識別することができる。
位相比較によって判別可能な、界面多重反射の場合のピークパターンを図15(a)および図16(a)に示す。図15(a)および図16(a)はそれぞれ、適切なピークパターンである図7(a)および図8(a)と極めて似ており、ピーク強度を調べるだけでは判別することができない。したがって、位相比較によって、より正確な劣化情報またはより正確な層厚情報を得ることができる。
なお、図15(b)および図16(b)は、図11(b)と同じ図であるが、対応する発信波T伝播態様を把握容易にするためにそれぞれ図15(a)および図16(a)に添えている。
[3−5.層厚試験法での選別工程フローの一例]
図17は、層厚試験法での選別工程のフローチャートの一例であり、図18は、図17に引き続くことができるフローチャートの一例である。
[3−5−1.波形取得工程]
前述のように、波形取得部141(図5参照)で、検知部700が受信した反射波の波形を取得する(図17のS00)。
取得された波形は、選別部142の第2反射波判定部および第3反射波判定部(図5参照)で、第1反射波R−1、第2反射波R−2、および第3反射波R−3の順に受信された反射波のピークの強度比較により図10(a)および図11(a)のいずれか、または図10(a)から図12(a)のいずれに該当するかの判定に用いられる。取得された波形は、選別部142の第3反射波判定部(図5参照)で、反射波のピークの位相比較により図13および図14のいずれに該当するかの判定に用いられることもできる。選別部142が図5に示すように第1反射波判定部を含む場合は、取得された波形は、第1反射波判定部で、図9(a)に該当するかの判定に用いられることもできる。
なお、波形取得工程では、劣化が無いセメント含有層を有する管を較正用の管として用意し、複層管900の波形を取得するとともに較正用の管の波形も取得することができる。この場合、較正用の管から取得された波形の第1反射波R−1(S)の強度を基準に基準範囲srおよび所定範囲drを設定し、複層管900から取得された波形の各ピーク強度を調べることができる。
[3−5−2.第1反射波判定工程:ピーク強度比較]
任意で行われる第1反射波判定工程は、選別部142の第1反射波判定部(図5参照)で行われる。第1反射波判定工程では、取得された波形において、第1反射波R−1の強度が基準範囲sr内であるか否かを判定する(S10)。
具体的には、第1反射波R−1の強度が基準範囲srに含まれていない場合(S10のNo)、つまり本実施形態では図9(a)に示したように基準範囲srの下限を下回る場合、そのような第1反射波R−1を有する波形は、層厚取得用の波形としては不採用と判定し、選別工程を終了することができる。しかしながら、本実施形態では、セメント含有層920の内周表面Lsが過剰劣化している(図9(b)参照)と判断し(S11)、得られた劣化情報を出力部150(図5参照)に出力し(S12)、その後、選別工程を終了する。
第1反射波R−1の強度が基準範囲srに含まれている場合(S10のYes)、波形は、第2反射波判定工程のS20へ供される。
[3−5−3.第2反射波判定工程:ピーク強度比較]
第2反射波判定工程は、選別部142の第2反射波判定部(図5参照)で行われる。第2反射波判定工程では、第2反射波R−2の強度が所定範囲dr内であるか否かを判定する(S20)。
具体的には、第2反射波R−2の強度が図10(a)に示したように所定範囲drに含まれず、かつ所定範囲drを下回る場合(S20のNo)、そのような第2反射波R−2を有する波形は、層厚取得用の波形としては不採用と判定し、選別工程を終了することができる。しかしながら、本実施形態では、セメント含有層920の内部が過剰劣化している(図10(b)参照)と判断し(S21)、得られた劣化情報を出力部150(図5参照)に出力し(S22)、その後、選別工程を終了する。
第2反射波R−2の強度が図11(a)に示したように所定範囲drに含まれず、かつ所定範囲drを上回る場合(S20のNo)、そのような第2反射波R−2を有する波形は、層厚取得用の波形としては不採用と判定し、選別工程を終了することができる。しかしながら、本実施形態では、セメント含有層920と金属管910との境界面Liが劣化により剥離を起こし、内周表面Lsと境界面Liとの間で多重反射が起こっている(図11(b)参照)と判断し(S23)、得られた劣化情報を出力部150(図5参照)に出力し(S24)、その後、選別工程を終了する。
第2反射波R−2の強度が所定範囲dr内に含まれる場合(S20のYes)、セメント含有層920の内周表面Lsの過剰劣化、セメント含有層920の内部の過剰劣化、およびセメント含有層920と金属管910との境界面Liの剥離のいずれも起こしていない可能性が高いが、本実施形態では、他の劣化態様を考慮した選別も行うため、選別された波形を後述のピーク強度に基づく第3反射波判定工程(S30)へ供する。
[3−5−4.第3反射波判定工程:ピーク強度比較]
図17に示す第3反射波判定工程は、選別部142の第3判定部(図5参照)で行われる。第3反射波判定工程では、第3反射波R−3の強度が所定範囲drの下限を上回るか否かを判定する(S30)。このため当該判定工程は、ピーク強度に基づく第3反射波判定工程と記載する。
具体的には、第3反射波R−3の強度が図12(a)に示したように所定範囲drの下限以下である場合(S30のNo)、そのような第3反射波R−3を有する波形は、層厚取得用の波形としては不採用と判定し、選別工程を終了することができる。しかしながら、本実施形態では、金属管910の外表面Lbが過剰劣化を起こしている(図12(b)参照)と判断し(S31)、得られた劣化情報を出力部150(図5参照)に出力し(S32)、その後、選別工程を終了する。
第3反射波R−3の強度が所定範囲drの下限を上回っている場合(S30のYes)、セメント含有層920の内周表面Lsの過剰劣化、セメント含有層920の内部の過剰劣化、セメント含有層920と金属管910との境界面Liの剥離、および金属管910の外表面Lbの過剰劣化のいずれも起こしていない可能性が高いため、ピークの強度比較による選別は終了する。
このようにピーク強度に基づく第3反射波判定工程(S30)による選別で絞り込まれた波形は、層厚測定に適した波形である可能性が高いため、後述のピーク位相に基づく第3反射波判定工程(S40)を経ずに後述の層厚導出工程(S51以降)に適用してもよい。しかしながら、第1反射波判定工程(S10)からピーク強度に基づく第3反射波判定工程(S30)は、ピーク強度を基に判断するものであるため、セメント含有層920の内周表面Lsの過剰劣化、セメント含有層920の内部の過剰劣化、セメント含有層920と金属管910との境界面Liの剥離、および金属管910の外表面Lbの過剰劣化のいずれも起こしていないと判断された波形の中には、図6(a)、図7(a)および図8(a)に示すピークパターンの他に、界面多重反射を起こしている図15(a)および図16(a)に示すピークパターンを有する波形が紛れ込んでいる可能性がある。したがって、本実施形態では、層厚試験をより正確性の高いものとするため、選別された波形を後述のピーク位相に基づく第3反射波判定工程(図18)に供して、さらに正確性の高い情報を得ることができる。
[3−5−5.第3反射波判定工程:ピーク位相比較]
図18に示す第3反射波判定工程は、選別部142の第3反射波判定部(図5参照)で行われる。この第3反射波判定工程では、ピークの強度比較によって絞り込まれた波形の、第2反射波R−2の位相と第3反射波R−3の位相とが逆であるか否かを判定する(S40)。したがって、この第3反射波判定工程を、ピーク位相に基づく第3反射波判定工程を記載する。
具体的には、第2反射波R−2および第3反射波R−3が同じ位相(図14参照)となる場合(S40のNo)は、第3反射波R−3は境界面Liで2番目に反射した反射波I2と識別できる。したがってそのような第3反射波を有する波形は層厚取得用の波形としては不採用と判定し、選別工程を終了することができる。しかしながら、本実施形態では、セメント含有層920と金属管910との境界面Liが劣化により剥離を起こし、内周表面Lsと境界面Liとの間で多重反射が起こっている(図11(b)参照)と判断し(S41)、得られた劣化情報を出力部150(図5参照)に出力し(S42)、その後、選別工程を終了する。
第2反射波R−2の位相と第3反射波R−3の位相とが逆(図13参照)である場合(S40のYes)、セメント含有層920の内周表面Lsの過剰劣化、セメント含有層920の内部の過剰劣化、セメント含有層920と金属管910との境界面Liの剥離、および金属管910の外表面Lbの過剰劣化のいずれも起こしていないと判断することができ、ピークの位相比較による選別は終了する。
このようにピーク位相に基づく第3反射波判定工程(S40)による選別で絞り込まれた波形は、第2反射波R−2が境界面Liで最初に反射した反射波I1であり、第3反射波R−3が外表面Lbで最初に反射した反射波B1であり、かつそれぞれが適切な強度で検出されているため、層厚測定に極めて適していると判断することができる。このため、後述の層厚導出工程(S51以降)に適用することができる。
[3−6.層厚試験法での選別工程フローの他の例]
図19は、層厚試験法での選別工程のフローチャートの他の例であり、図20は、図19に引き続くことができるフローチャートの一例である。
図19及び図20で示されるフローは、ピーク強度に基づく第3反射波判定工程とピーク位相に基づく第3反射波判定工程との順番が逆転する点で、図17および図18で示されるフローと異なる。
[3−6−1.第1反射波判定工程および第2反射波判定工程]
第1反射波判定工程S10および第2反射波判定工程S20(および付随する工程S21からS24)は、図17と同じである。
第2反射波R−2の強度が所定範囲dr内に含まれる場合(S20のYes)、後述のピーク位相に基づく第3反射波判定工程(S40’)を経ずに後述の位相比較工程(S30’)へ進むことも許容する。しかしながら本実施形態では、より正確な劣化情報を取得するために、選別された波形をさらにピーク位相に基づく第3反射波判定工程のS40’へ供することができる。
[3−6−2.第3反射波判定工程:ピーク位相比較]
図19に示す第3反射波判定工程は、選別部142の第3反射波判定部(図5参照)で行われる。この第3反射波判定工程(ピーク位相に基づく第3反射波判定工程)では、第2反射波判定工程で絞り込まれた波形の、第2反射波R−2の位相と第3反射波R−3の位相とが逆であるか否かを判定する(S40’)。
具体的には、第2反射波R−2および第3反射波R−3が同じ位相(図14参照)となる場合(S40’のNo)は、第3反射波R−3は境界面Liで2番目に反射した反射波I2と識別できる。したがってそのような第3反射波を有する波形は層厚取得用の波形としては不採用と判定し、選別工程を終了することができる。しかしながら、本実施形態ではセメント含有層920と金属管910との境界面Liが劣化により剥離を起こし、内周表面Lsと境界面Liとの間で多重反射が起こっている(図11(b)参照)と判断し(S41’)、得られた劣化情報を出力部150(図5参照)に出力し(S42’)、その後、選別工程を終了する。
第2反射波R−2の位相と第3反射波R−3の位相とが逆(図13参照)である場合(S40’のYes)、セメント含有層920の内周表面Lsの過剰劣化、セメント含有層920の内部の過剰劣化、セメント含有層920と金属管910との境界面Liの剥離、および金属管910の外表面Lbの過剰劣化のいずれも起こしていないと判断することができ、ピークの位相比較による選別は終了する。
このようにピーク位相に基づく第3反射波判定工程(S40’)による選別で絞り込まれた波形は、第2反射波R−2が境界面Liで最初に反射した反射波I1であり、第3反射波R−3が外表面Lbで最初に反射した反射波B1であり、かつそれぞれが適切な強度で検出されているため、層厚測定に適していると判断することができる。このため、後述のピーク強度に基づく第3反射波判定工程(S30’)を経ずに後述の層厚導出工程(S51以降)に適用することができる。しかしながら、本実施形態では、他の劣化態様を考慮した選別も行うため、選別された波形を後述のピーク強度に基づく第3反射波判定工程(図20)に供する。
[3−6−3.第3反射波判定工程:ピーク強度比較]
図20に示す第3反射波判定工程は、選別部142の第3判定部(図5参照)で行われる。第3反射波判定工程(ピーク強度に基づく第3反射波判定工程)では、第3反射波R−3の強度が所定範囲drの下限を上回るか否かを判定する(S30’)。
具体的には、第3反射波R−3の強度が図12(a)に示したように所定範囲drの下限以下である場合(S30’のNo)、そのような第3反射波を有する波形は、層厚取得用の波形としては不採用と判定し、選別工程を終了することができる。しかしながら、本実施形態では、金属管910の外表面Lbが過剰劣化を起こしている(図12(b)参照)と判断し(S31’)、得られた劣化情報を出力部150(図5参照)に出力し(S32’)、その後、選別工程を終了する。
第3反射波R−3の強度が所定範囲drの下限を上回っている場合(S30’のYes)、セメント含有層920の内周表面Lsの過剰劣化、セメント含有層920の内部の過剰劣化、セメント含有層920と金属管910との境界面Liの剥離、および金属管910の外表面Lbの過剰劣化のいずれも起こしていない可能性が高いため、ピークの強度比較による選別は終了する。
このようにピーク強度に基づく第3反射波判定工程(S30’)による選別で絞り込まれた波形は、層厚測定に適した波形である可能性が極めて高いため、後述の層厚導出工程(S51以降)に適用される。
[3−7.層厚導出工程フロー]
図21は、層厚導出工程のフローチャートの一例である。層厚導出工程では、選別工程で層厚測定に適さない波形が捨象されることにより絞り込まれた層厚情報取得用波形を用いて、層厚が算出される。
本実施形態では、選別された波形を層厚情報取得用波形として採用し(S51)、層厚算出部149(図5参照)において、第2反射波R−2と第3反射波R−3との伝播時間の差(μ秒)に1/2と音速とを乗じることにより、金属管910の厚みを算出する(S52)。算出された層厚情報は、出力部150(図5参照)に出力することができる(S53)。
なお、第1反射波判定工程、第2反射波判定工程、ピーク強度に基づく第3反射波判定工程および第ピーク位相に基づく3反射波判定工程で出力部150(図5参照)への出力される情報は、劣化情報が視覚的に認識しやすいように処理されていることが好ましい。たとえば、複層管900の側面展開図に、劣化の種類(セメント含有層920の内周表面Lsの過剰劣化、セメント含有層920の内部の過剰劣化、セメント含有層920と金属管910との境界面Liの剥離、および金属管910の外表面Lbの過剰劣化のそれぞれ)に応じて、劣化情報をマッピングすることができる。さらに、劣化に伴う層厚の薄化の程度に応じて、層厚情報も劣化情報としてマッピングすることもできる。このように出力された劣化情報に基づいて、試験対象である複層管900の機械的特性および寿命などを予測することができる。
[4.他の例]
試験対象は、図2および図3に示したような、表面が曲面であるセメント含有層920がライニングされた複層管900に限定されるものではない。例えば、試験対象は、表面が平面であるセメント含有層が、金属板に接するように積層された複層体であってもよい。
試験対象は、金属管910の表面に設けられた表層多孔質層がセメント含有層920である態様に限られない。表面層としては、様々な多孔質層が好ましく採用される。
層厚試験装置は、図2および図3に示したような、回転軸250を介してモータ610に連結された超音波探触子710からの超音波の発信方向が、セメント含有層920内周表面に沿って回転する態様に限定されるものではない。
たとえば、層厚試験装置は、超音波探触子710が回転されない軸心に固定され、セメント含有層920表面に対する距離と角度(垂直)とを保った状態で、超音波探触子710からの超音波の発信方向も回転させることなく走行する態様であってもよい。この場合、超音波を発信すべき試験対象の表面は曲面でも平面でもよい。
またたとえば、層厚試験装置は、図22に示す態様のものであってもよい。図22に示す層厚試験装置100aは、回転しない軸心に固定された超音波探触子710が、複層管900の軸心位置から当該軸心方向に超音波を発信するように設けられている。この場合、音響反射部720a(たとえばミラー)が、当該軸心を回転軸として回転可能に(図22中矢印)設けられ、超音波探触子710からの発信波Tを屈折させ、セメント含有層920の内表面に対して所定の角度(垂直)で入射させられるように、音響反射部720a表面は傾斜面723aが形成されている。これによって、音響反射部720aの回転中、セメント含有層920表面に対する距離と角度(垂直)とを保った状態で、超音波探触子710からの超音波の発信方向を回転させることができる。
図23に、層厚試験装置100aのさらに具体的な態様を示す。図23に示す層厚試験装置100a’は、層厚試験装置100a(図22参照)の音響反射部720aの傾斜面723aに該当する傾斜面723a’を有する。また、層厚試験装置100a’は、層厚試験装置100(図2参照)の拡縮アーム400とは異なるリンク機構を有する拡縮アーム400a’を、軸筺体部210a’の周りに等間隔となるように6セット有し、より安定性を増している。拡縮アーム400a’は、軸筺体部210a’の一部を構成するエアシリンダ(伸縮部300a’)の伸縮により動作する。さらに、層厚試験装置100a’は、回転軸に固定されない中空軸モータ610a’を有しており、中空部分に超音波探触子710の少なくとも一部を収容し、移動ユニット110a’がよりコンパクト性を増している。
[実施形態および他の例における各部と請求項の各構成要素との対応関係]
本発明においては、層厚試験装置100,100a,100a’が請求項の「層厚試験装置」に相当し、選別部142が「選別部」に相当し、層厚算出部149が「層厚導出部」に相当し、複層管900が「複層体」に相当し、セメント含有層920が「表層」に相当し、金属管910が「ターゲット層」に相当し、発信波Tが「発信した超音波」に相当し、第1反射波R−1が「第1反射波」に相当し、第2反射波R−2が「第2反射波」に相当し、第3反射波R−3が「第3反射波」に相当し、基準範囲srが「基準範囲」に相当し、所定範囲drが「所定範囲」に相当し、第1反射波判定工程S10が「第1反射波判定工程」に相当し、第2反射波判定工程S20が「第2反射波判定工程」に相当し、第3反射波判定工程S30,S30’,S40,S40’が「第3反射波判定工程」に相当し、層厚算出工程S52が「層厚導出工程」に相当する。
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱することのない様々な実施形態が他になされうる。
100,100a,100a’ 層厚試験装置
142 選別部
149 層厚算出部(層厚導出部)
900 複層管(複層体)
910 金属管(ターゲット層)
920 セメント含有層(表層)
T 発信波(発信した超音波)
R−1 第1反射波
R−2 第2反射波
R−3 第3反射波
sr 基準範囲
dr 所定範囲
S10 第1反射波判定工程
S20 第2反射波判定工程
S30,S30’,S40,S40’ 第3反射波判定工程
S52 層厚算出工程(層厚導出工程)

Claims (8)

  1. 厚みを測定すべきターゲット層と、前記ターゲット層の表面上に設けられた表層とを含む複層体に対して、前記表層の側から前記ターゲット層の側へ向かう方向に発信した超音波の反射波を、検出順に第1反射波、第2反射波および第3反射波とした場合に、前記ターゲット層の厚みの導出に適している前記第2反射波および前記第3反射波を選別する選別工程と、前記ターゲット層の厚みの導出に適していると選別された前記第2反射波および前記第3反射波の伝播時間から前記ターゲット層の層厚を導出する層厚導出工程と、を含み、
    前記選別工程が、
    前記第2反射波の強度が所定範囲に含まれるか否かの判断を行う第2反射波判定工程と、
    前記第3反射波の強度と前記所定範囲の下限との比較、および、前記第2反射波と前記第3反射波との位相の比較の少なくともいずれかを行う第3反射波判定工程と、を含む、複層体の層厚試験法であって、
    前記選別工程における前記第2反射波および前記第3反射波の選別は、所定の波形から前記第2反射波および前記第3反射波となるピークの位置を選択することであり、
    前記第2反射波判定工程で、前記第2反射波の強度が前記所定範囲に含まれない場合に、前記第2反射波および前記第3反射波が前記ターゲット層の厚みの導出に適していないと判定する、複層体の層厚試験法。
  2. 前記第3反射波判定工程で、前記第3反射波の強度が前記所定範囲の下限以下である場合に、前記第2反射波および前記第3反射波が前記ターゲット層の厚みの導出に適していないと判定する、請求項1に記載の複層体の層厚試験法。
  3. 前記第3反射波判定工程で、前記第2反射波と前記第3反射波との位相が逆でない場合に、前記第2反射波および前記第3反射波が前記ターゲット層の厚みの導出に適していないと判定する、請求項1または2に記載の複層体の層厚試験法。
  4. 前記所定の強度範囲が、表面劣化がない場合の前記表層の前記第1反射波の強度を240%と定めた場合に、前記第1反射波の強度の17%以上70%以下の強度範囲に相当する、請求項1からのいずれか1項に記載の複層体の層厚試験法。
  5. 前記選別工程が、前記第1反射波の強度が基準範囲に含まれるか否かの判断を行う第1反射波判定工程を含み、前記第1反射波の強度が前記基準範囲に含まれている場合に前記第2反射波判定工程を行う、請求項1からのいずれか1項に記載の複層体の層厚試験法。
  6. 前記基準範囲が、表面劣化がない場合の前記表層の第1反射波の強度を80%と定めた場合に40%以上の強度範囲に相当する、請求項に記載の複層体の層厚試験法。
  7. 厚みを測定すべきターゲット層と、前記ターゲット層の表面上に設けられた表層とを含む複層体に対して、前記表層の側から前記ターゲット層の側へ向かう方向に発信した超音波の反射波を、検出順に第1反射波、第2反射波および第3反射波とした場合に、前記ターゲット層の厚みの導出に適している前記第2反射波および前記第3反射波を選別する選別部と、前記ターゲット層の厚みの導出に適していると選別された前記第2反射波および前記第3反射波の伝播時間から前記ターゲット層の層厚を導出する層厚導出部と、を含み、
    前記選別部が、
    前記第2反射波の強度が所定の範囲に含まれるか否かの判断を行う第2反射波判定部と、
    前記第3反射波の強度と前記所定範囲の下限との比較、および、前記第2反射波と前記第3反射波との位相の比較の少なくともいずれかを行う第3反射波判定部と、を含む、複層体の層厚試験装置であって、
    前記選別部における前記第2反射波および前記第3反射波の選別は、所定の波形から前記第2反射波および前記第3反射波となるピークの位置を選択することであり、
    前記第2反射波判定部が、前記第2反射波の強度が前記所定範囲に含まれないと判断を行った場合に、前記第2反射波および前記第3反射波が前記ターゲット層の厚みの導出に適していないと判定する、複層体の層厚試験装置。
  8. 前記選別部が、前記第1反射波の強度が基準範囲に含まれるか否かの判断を行う第1反射波判定部を含む、請求項に記載の複層体の層厚試験装置。








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