以下に図面を参照して、本発明にかかる通信システム、端末、無線局および制御方法の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態)
(実施の形態にかかる通信システムにおけるC/U分離)
図1は、実施の形態にかかる通信システムにおけるC/U分離の一例を示す図である。図1に示すように、実施の形態にかかる通信システム100は、端末101と、第1無線局110と、第2無線局120と、制御装置140と、を含む。
第1無線局110および第2無線局120のそれぞれは、端末101との間で無線信号を送受信可能な通信装置である。たとえば、第1無線局110および第2無線局120のそれぞれは、マクロ基地局、ピコ基地局、フェムト基地局、ナノ基地局等の基地局や、基地局から張り出したアンテナ(たとえば後述のRRH)などの無線局である。図1に示す例では、第1無線局110はマクロセル111を形成するマクロ基地局であり、第2無線局120はスモールセル121を形成するスモール基地局である場合について説明する。
図1に示す例では、スモールセル121は、マクロセル111よりも狭いセルであり、マクロセル111に包含されている。たとえば、第1無線局110および第2無線局120は、マクロセル111およびスモールセル121が階層化されたアンブレラセル構成である。アンブレラセル構成は、階層化セル構成とも呼ばれる。また、マクロセル111およびスモールセル121のように大きさが異なるセルが混在するネットワークはHet Net(ヘテロジニアスネットワーク)とも呼ばれる。
端末101は、マクロセル111およびスモールセル121の重複部分に位置しており、第1無線局110および第2無線局120のいずれによっても無線通信を行うことが可能な状況である。第1経路131は、第1無線局110と端末101との間の無線経路である。第2経路132は、第2無線局120と端末101との間の無線経路である。
第3経路133は、第1無線局110と第2無線局120とを接続する通信経路である。第3経路133は、有線経路、無線経路、または有線経路および無線経路の組み合わせとすることができる。また、第3経路133は、第1無線局110と第2無線局120との間を物理的に直接接続する通信経路に限らず、他の通信装置を介して第1無線局110と第2無線局120との間を接続する論理的な通信経路であってもよい。
たとえば、図1に示す例のように、第1無線局110および第2無線局120が基地局である場合は、第3経路133には、LTEのX2インタフェースやS1インタフェースを経由する通信経路を用いることができる。また、第1無線局110および第2無線局120がそれぞれ基地局およびアンテナである場合は、第3経路133には、基地局とアンテナを接続するインタフェースなどを用いることができる。基地局とアンテナを接続するインタフェースには、たとえば、CPRI(Common Public Radio Interface)やORI(Open Radio Equipment Interface)を用いることができる。
制御装置140は、端末101におけるC−プレーンおよびU−プレーンの伝送経路を制御する。C−プレーンは、端末101の無線回線の設定や維持のための無線回線制御情報を伝送する処理である。C−プレーンの無線回線制御情報の伝送品質が劣化すると、無線回線の設定や維持が困難になる。伝送品質が劣化するとは、たとえば正しく受信できないなどの伝送誤りである。
U−プレーンは、端末101について設定された無線回線によって伝送すべきユーザデータを伝送する処理である。ユーザデータは、たとえば、ユーザ個別データや、MBMS(Multimedia Broadcast and Multicast Service)データや、これらのデータを無線伝送するための制御情報などを含んでもよい。
図1に示す例では、制御装置140は、第1無線局110において実現される装置である。すなわち、図1に示す例では、端末101におけるC−プレーンおよびU−プレーンの伝送経路を制御装置140が制御する構成である。ただし、このような構成に限らず、制御装置140は、たとえば、第2無線局120や端末101において実現されてもよいし、第1無線局110、第2無線局120および端末101と異なる通信装置によって実現されてもよい。
端末101は、たとえば、第1無線局110への最初のアクセス時(初期状態)において、C−プレーンの無線回線制御情報およびU−プレーンのユーザデータのどちらも第1無線局110(第1経路131)により送信しているとする。この状態において、第1無線局110は、端末101が所定のC/U分離条件を満たした場合に、C/U分離の状態へ切り替える。C/U分離の状態においては、端末101のC−プレーンの無線回線制御情報は第1無線局110(第1経路131)により端末101へ無線送信される。また、C/U分離の状態においては、端末101のU−プレーンのユーザデータは第1無線局110から第2無線局120を経由、すなわち第3経路133および第2経路132を経由して端末101へ無線送信される。
所定のC/U分離条件には、たとえば、第2経路132の無線品質情報、第1無線局110の輻輳状況、サービス種別、端末101のユーザとの契約情報、端末101の位置情報、過去の端末固有情報の少なくともいずれかに関する条件を用いることができる。
第2経路132の無線品質情報は、端末101によって測定された第2経路132による通信品質を示す情報である。無線通信の品質を示す情報には、たとえば、RSRP、RSCP、BLERなどを用いることができる。RSRPは、Reference Signal Received Powerの略である。RSCPは、Reference Signal Code Powerの略である。BLERは、BLock Error Ratioの略である。所定のC/U分離条件には、たとえば、無線品質情報が示す通信品質が所定の通信品質以上であるという条件を含めることができる。
第1無線局110の輻輳状況は、たとえば、第1無線局110におけるハードウェア使用量、第1無線局110に接続中のユーザの数、第1無線局110における全体のスループットなどである。所定のC/U分離条件には、たとえば、第1無線局110の輻輳の度合いが所定の度合い以上であるという条件を含めることができる。
サービス種別は、端末101が第1無線局110を介して行っている通信のサービス種別である。サービス種別には、たとえば、メール、音声通話、ストリーミング、緊急呼などがある。所定のC/U分離条件には、たとえば、第1無線局110のサービス種別が所定のサービス種別(たとえば多くのスループットを要するストリーミングなど)であるという条件を含めることができる。
端末101のユーザとの契約情報は、端末101のユーザと通信システム100のオペレータ等との間の契約内容を示す情報である。端末101のユーザとの契約情報には、たとえば、端末101が、一般端末であるか、一般端末より優先して通信が可能な優先端末であるかを示す情報などがある。所定のC/U分離条件には、たとえば、端末101のユーザとの契約情報が所定の契約情報であるという条件を含めることができる。所定の契約情報は、一例としては、端末101が一般端末であることを示す情報とすることができる。これにより、優先端末のユーザデータを、セル範囲が広いことにより通信が安定する第1無線局110によって伝送することができる。または、所定の契約情報は、端末101が優先端末であることを示す情報としてもよい。これにより、優先端末のユーザデータを、よりスループットが高くなる第2無線局120によって伝送することができる。
端末101の位置情報は、たとえばGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)などによって計測された、端末101の位置を示す情報である。所定のC/U分離条件には、たとえば、第1無線局110の位置情報が示す端末101の位置が、第2無線局120から一定距離内の範囲(たとえばスモールセル121)内であることを含めることができる。
過去の端末固有情報は、端末101に関する過去の情報であり、一例としては端末101から第1無線局110への再接続要求の回数とすることができる。所定のC/U分離条件には、たとえば、端末101から第1無線局110への再接続要求の回数が所定回数以下であることを含めることができる。
(実施の形態にかかる通信システムにおけるC−プレーンの冗長送信)
図2は、実施の形態にかかる通信システムにおけるC−プレーンの冗長送信の一例を示す図である。図2において、図1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図1に示したC/U分離の状態(第1状態)において、所定条件を満たした場合に、通信システム100は、第2経路132を経由してC−プレーンの無線回線制御情報を送信する制御を行う状態(第2状態)へ移行する。
たとえば、第1無線局110は、図2に示すように、第1経路131によって端末101へC−プレーンの無線回線制御情報を送信しつつ、第2経路132によっても端末101へ同じ無線回線制御情報が送信される冗長送信を行う。冗長送信において、たとえば、第1無線局110は、第3経路133を介して無線回線制御情報を第2無線局120へ送信することで、第2経路132によって第2無線局120から端末101へ無線回線制御情報を無線送信させる。
C/U分離の状態において冗長送信を行うための所定条件は、たとえば、第1無線局110と端末101との間の無線通信の品質(第1経路131の通信品質)が所定品質を満たさなくなった場合とすることができる。第1無線局110と端末101との間の無線通信の品質は、たとえば第1無線局110が端末101から受信する無線信号に基づいて判断することができる。
たとえば、第1無線局110は、図1に示したC/U分離の状態において、端末101から受信すべきC−プレーンの無線回線制御情報を第1無線局110が受信できない場合に冗長送信を行う。また、第1無線局110は、端末101から受信すべきC−プレーンの無線回線制御情報を第1無線局110が受信できない場合に限らず、端末101が上述したC/U分離条件を満たさなくなった場合に冗長送信を行ってもよい。また、第1無線局110は、たとえば、端末101から送信される無線品質情報が示す第1経路131の通信品質が所定の通信品質を満たさなくなった場合に冗長送信を行ってもよい。
これにより、C/U分離の状態において、第1経路131の通信の継続が困難な場合に冗長送信を行うことができる。このため、第1経路131が不通となっても、第2無線局120を介して無線回線制御情報を端末101へ伝送し、端末101の呼の切断を回避することができる。
このように、通信システム100においては、第2状態としてたとえば冗長送信が行われる。冗長送信において、第1無線局110は、第2無線局120へ無線回線制御情報を送信するとともに、第2無線局120へ送信する無線回線制御情報と同じ無線回線制御情報を端末101へ無線送信する。第2無線局120は、第1無線局110から送信された無線回線制御情報を端末101へ無線送信する。
端末101は、第1無線局110および第2無線局120のそれぞれから無線送信される無線回線制御情報を受信し、受信した各無線回線制御情報に基づく復号を行う。これにより、端末101における無線回線制御情報の受信品質を向上させることができる。たとえば、端末101は、受信した各無線回線制御情報を復号し、復号した各無線回線制御情報のうちの誤りが検出されなかった無線回線制御情報を無線回線制御情報の受信結果として採用する。これにより、たとえば第1無線局110および第2無線局120のいずれかのみから端末101へ無線回線制御情報を無線送信する場合に比べて、端末101が誤りのない無線回線制御情報を受信できる可能性を高くすることができる。
(実施の形態にかかる通信システムにおけるC−プレーンの迂回送信)
図3は、実施の形態にかかる通信システムにおけるC−プレーンの迂回送信の一例を示す図である。図3において、図1,図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図1に示したC/U分離の状態(第1状態)において、所定条件を満たした場合に、第1無線局110は、図3に示す迂回送信を行うようにしてもよい。C/U分離の状態において迂回送信を行うための所定条件は、たとえば、上述したC/U分離の状態において冗長送信を行うための所定条件と同様である。
たとえば、第1無線局110は、図3に示すように、第1経路131による端末101へのC−プレーンの無線回線制御情報の送信は停止し、第3経路133および第2経路132によって端末101へC−プレーンの無線回線制御情報を送信する迂回送信を行う。迂回送信において、たとえば、第1無線局110は、第3経路133を介して無線回線制御情報を第2無線局120へ送信することで、第2経路132によって第2無線局120から端末101へ無線回線制御情報を無線送信させる。
図1〜図3に示したように、第1無線局110(制御装置140)は、図1に示したC/U分離の状態において、第1無線局110と端末101との間の無線通信の品質が所定品質を満たさなくなった場合に、冗長送信または迂回送信を行う。また、第1無線局110(制御装置140)は、冗長送信または迂回送信を行う場合に、冗長送信および迂回送信のいずれを行うかを選択するようにしてもよい。冗長送信および迂回送信のいずれを行うかの選択は、たとえば、第1無線局110の輻輳状況、端末101の通信サービスなど、各種の情報に基づいて行うことができる。たとえば、端末101の通信サービスが緊急通信(緊急呼)である場合や、端末101が上述した優先端末である場合等は、より通信を安定させるために冗長送信を行うようにする。
冗長送信または迂回送信を行っている場合に、第1無線局110と端末101との間の無線通信の品質が所定品質を満たさない状態が一定時間以上継続した場合は、第1無線局110は、端末101を第2無線局120へハンドオーバさせる制御を行ってもよい。端末101を第2無線局120へハンドオーバさせることにより、端末101のC−プレーンを制御する制御部が第1無線局110から第2無線局120へ移動する。
冗長送信または迂回送信を行っている場合に、第1経路131の通信の継続が困難な状態が一定時間内に解消した場合は、第1無線局110は、冗長送信または迂回送信を停止し、たとえば図2に示したC/U分離の状態へ戻す制御を行ってもよい。
このように、通信システム100においては、第2状態としてたとえば迂回送信が行われる。迂回送信において、第1無線局110は、第2無線局120へ無線回線制御情報を送信し、端末101へ無線回線制御情報を無線送信しない。第2無線局120は、第1無線局110から送信された無線回線制御情報を端末101へ無線送信する。
端末101は、第2無線局120から無線送信される無線回線制御情報を受信して復号する。これにより、たとえば第1無線局110および第2無線局120の両方から端末101へ無線回線制御情報を無線送信する場合に比べて、使用される無線リソースを少なくし、無線リソースの利用効率を向上させることができる。
図1〜図3において、制御装置140(第1無線局110)が下りのC−プレーンおよびU−プレーンの伝送経路を制御する場合について説明したが、制御装置140は、上りのC−プレーンおよびU−プレーンの伝送経路を制御してもよい。
たとえば、制御装置140は、上りのC−プレーンの伝送経路およびU−プレーンの伝送経路を、それぞれ下りのC−プレーンの伝送経路およびU−プレーンの伝送経路(ただし逆方向)となるように制御する。たとえば、制御装置140は、図3に示した冗長送信において、上りのC−プレーンの伝送経路を、第2経路132および第3経路133を含む経路とする。また、制御装置140は、図3に示した冗長送信において、上りのU−プレーンの伝送経路を第2経路132とする。
ただし、上りのC−プレーンの伝送経路およびU−プレーンの伝送経路は、このような経路に限らず、たとえば下りのC−プレーンの伝送経路およびU−プレーンの伝送経路から独立して制御されてもよい。
(アンブレラセル構成について)
つぎに、第1無線局110および第2無線局120によって実現されるアンブレラセル構成について説明する。たとえばW−CDMAやLTEにおいては、半径が数[km]などの比較的大きなセル(マクロセル)内に、たとえば半径100[m]以下などの小セル/スモールセル(たとえばピコセル、フェムトセル、ナノセル)を重畳した配置とすることが検討されている。これはアンブレラセル構成または階層化セル構成と呼ばれている。小セルを配置することで、システム全体のシステム容量(キャパシティ)を増加させることが可能となり、たとえばスマートフォンの普及に伴ったトラフィック量(通信量)の増大に対応することができる。
(アンブレラセル構成とキャリアアグリゲーションについて)
また、ある1つの端末における通信量の増加の対策として、CA(Carrier Aggregation:キャリアアグリゲーション)の導入が進められている。1つのシステム帯域のみ使用して通信を行っていた従来の技術に対して、CAは、複数のシステム帯域を同時に用いて通信を行うことによって、端末当たりの伝送速度を改善することができる。なお、最初に接続したセルを第1のセル(PCell:Primary Cell)と呼び、追加されたセルを第2のセル(SCell:Secondary Cell)と呼んでいる。また、それぞれのキャリアが1つのシステム帯域で構成されることから、システム帯域(または周波数)とセルが同義として用いられる場合もある。
CAは、高速伝送を実現するものであるため、PCellとSCell共に端末それぞれに対して端末個別のデータ(個別データ Dedicated data)を伝送することになっている。また、PCellとSCellは、それぞれ個別に1つの無線通信システムを構成するものであり、それぞれ、そのセルの端末に共通の制御情報であるシステム情報や端末個別の制御情報を端末との間で送受信している。端末個別の制御情報は、たとえば端末の回線接続に際して要する制御情報である。
(アンブレラセル構成とC/U分離について)
つぎに、CAをアンブレラセル構成に適用する構成について説明する。このような構成においては、スモールセルと通信可能な端末は、同時にマクロセルにも通信可能である。このため、スモールセルと通信可能な端末は、マクロセルおよびスモールセル(すなわち、マクロセルの基地局とスモールセルの基地局)との間で個別データ、共通制御情報と個別制御情報などの制御情報を送受信することになる。
このとき、マクロセルは、マクロセルとのみ通信を行う端末や、スモールセルとも通信を行う端末と無線信号を送受信することになる。また、マクロセルのエリアはスモールセルのエリアと比較し広いことから、マクロセルは、多数の端末と通信を行うこととなる。その結果、ある1つの端末に対して割り当てられる無線リソースは小さいものとなる。
そのため、個別データおよび個別データの伝送に要する制御情報は、たとえばスモールセルで伝送される。個別データの伝送に要する制御情報は、たとえば、伝送に用いる無線リソースや、使用する変調方式などを設定するための制御情報(たとえばLTEにおけるL1/L2シグナリング)である。
また、システム情報や回線設定等に用いられるレイヤ3の無線回線制御情報(たとえばLTEにおけるRRC情報)については、たとえばマクロセルで伝送される。また、現状のシステムではマクロセルをPCellとし、スモールセルをSCellとすることが一般的である。なお、技術的には、スモールセルをPCellとし、マクロセルをSCellとすることも可能である。
また、従来、PCellの基地局と端末との間で、PCellおよびSCellの無線回線制御が行われる。すなわち、無線回線制御情報は、PCellの基地局と端末との間で伝送され、SCellの基地局と端末との間では伝送されない。また、PCellとSCellの基地局と端末との間でユーザデータが伝送される。なお、3GPPにおいては、個別データ(ユーザデータ)を扱う機能をU−プレーン(User plane)と呼び、RRCより上位の制御情報を扱う機能をC−プレーン(Control plane)と呼んでいる。このことから、3GPPにおいては、伝送する情報を種類(たとえばC−プレーンまたはU−プレーン)によって分け、それぞれ異なるセルで伝送することをC/U分離と呼んでいる。
C/U分離の目的の一つは、たとえば図1に示した例のようにマクロセルとスモールセルを用いてアンブレラセル構成とし、多数のスモールセルを設置し、スモールセルでユーザデータを伝送することにより、システム全体の容量を増加することである。また、C/U分離により、マクロセルで無線回線制御情報を送受信することでレイヤ3レベルのハンドオーバの数が削減できる。また、C/U分離により、端末とスモールセルの通信が外的要因により不通となっても、端末とマクロセルでの通信は継続しているため呼切断とはならないなど、呼継続の観点からもメリットがある。
なお、マクロセルはセル半径がスモールセルと比較し大きいため、相対的に伝搬損の小さい800[MHz]帯などの低周波が使用される。一方、スモールセルは、マクロセルと比較しセル半径が小さいため伝搬損が大きくても所要伝送品質を満たせるため、3.5[GHz]帯や6[GHz]帯などの高周波が用いられる。また、スモールセルは、伝搬損が大きいことから他セルに対して与える干渉を抑えることができ、スモールセルを近接して配置することが容易である。
また、6[GHz]帯は、800[MHz]帯と比較して周波数帯域幅を広くすることが可能であるため、800[MHz]帯と比較して高速伝送が可能である。このため、マクロセルは800[MHz]などの比較的低周波を用い、スモールセルは6[GHz]帯などの比較的高周波を用いることが検討されている。なお、所要伝送品質を満たすことができれば、マクロセルで6[GHz]帯などの高周波を使用し、スモールセルで800[MHz]帯などの低周波を使用することも可能である。
上述したように、C/U分離においては、無線回線制御情報とユーザデータについて通信する基地局が異なるため、無線回線制御情報とユーザデータとで伝搬経路が異なり無線状況も異なることが想定される。たとえば、図1に示した例のように、端末とマクロ基地局との間の通信経路によりC−プレーンの情報を伝送し、端末とスモール基地局との間の通信経路によりU−プレーンの情報を伝送するとする。
この場合に、端末とマクロ基地局との間の通信経路の無線回線品質が、他装置からの無線干渉や、端末の移動に伴ったフェージングや伝搬環境の変動などによって劣化することがある。このため、端末の無線回線の維持ができなくなり、端末とマクロ基地局との間の無線回線が断(たとえば3GPPのradio link frailer)となる。その結果、端末とスモール基地局との間の無線回線の維持もできなくなり、端末とスモール基地局との間の無線回線も断となる。
これに対して、通信システム100においては、図1〜図3に示したように、図1に示したC/U分離の第1状態から、図2,図3に示した冗長送信または迂回送信を行う第2状態へ切り替えることができる。これにより、端末101と第1無線局110との間の通信品質が劣化しても、端末101の無線回線の断(呼切断)を回避することができる。
(基地局の機能を分割する構成について)
また、多数の基地局を設置することは設備コストの増加を招き、事業者の負担を大きくする。そこで、従来の基地局の機能を、たとえばアナログ部のみで構成されたRRH(Remote Radio Header)と、ディジタル部のみで構成されたBBU(Base Band Unit)と、に分割した構成が検討されている。また、複数のRRHと1つのBBU(C−BBU)により基地局が構成される構成も検討されている。
(実施の形態にかかる通信システムにおける冗長送信を行う場合のプロトコルスタック)
図4は、実施の形態にかかる通信システムにおける冗長送信を行う場合のプロトコルスタックの一例を示す図である。図4において、図1〜図3に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。LTEにおいて図2に示した冗長送信を行う場合における無線回線制御情報(C−プレーン)およびユーザデータ(U−プレーン)の処理のプロトコルスタックは、たとえば図4のようになる。
図4に示すMME401は、図1に示したC/U分離の状態において第1無線局110のC−プレーンを処理するMME(Mobility Management Entity:移動性管理エンティティ)である。図4に示すS−GW402は、図1に示したC/U分離の状態において第2無線局120のU−プレーンを処理するS−GW(Serving−Gateway)である。
図4に示す例では、第1無線局110は、マクロセル111を介してMME401と端末101との間で送受信されるC−プレーンの無線回線制御情報に対するレイヤ2以上の処理として、RRC、PDCP、RLC、MACの各処理を行っている。RRCはRadio Resource Controlの略である。PDCPはPacket Data Convergence Protocolの略である。RLCはRadio Link Controlの略である。MACはMedia Access Controlの略である。
また、第2無線局120は、スモールセル121を介してS−GW402と端末101との間で送受信されるU−プレーンのユーザデータに対するレイヤ2以上の処理として、たとえばPDCP、RLC、MACの各処理を行っている。
また、図2に示した冗長送信において、第1無線局110は、たとえば下りの無線回線制御情報をPDCPレイヤで第3経路133(X2インタフェース)を介して第2無線局120のPDCPレイヤへ転送する。このとき、第1無線局110は、第2無線局120へ転送する無線回線制御情報に、C−プレーンの情報であることを示す情報やシーケンス番号等を付与する。
第2無線局120は、第1無線局110から転送された無線回線制御情報をU−プレーンの情報として端末101へ送信する。このとき、第2無線局120は、第1無線局110から転送された無線回線制御情報に対するレイヤ2以上の処理として、たとえばPDCP、RLC、MACの各処理を行う。
これにより、端末101は、C−プレーンの無線回線制御情報を、第1無線局110および第2無線局120の両方から受信することができる。このとき、端末101がU−プレーンの情報として第2無線局120から受信する情報においては、C−プレーンの無線回線制御情報およびU−プレーンのユーザデータが混在している。
これに対して、端末101は、第1無線局110のPDCPレイヤによって付与されたC−プレーンの情報であることを示す情報に基づいて、C−プレーンの無線回線制御情報およびU−プレーンのユーザデータを区別して受信することができる。また、端末101は、第1無線局110のPDCPレイヤによって付与されたシーケンス番号等に基づいて、受信したメッセージが新規か受信済みかを判別することができる。
なお、PDCPレイヤによって第1無線局110から第2無線局120へ無線回線制御情報を転送する構成について説明したが、無線回線制御情報を転送するレイヤはPDCPレイヤに限らず、たとえばRLCレイヤやMACレイヤとしてもよい。
また、下りの無線回線制御情報について説明したが、上りの無線回線制御情報についても同様に冗長送信を行うことができる。たとえば、端末101は、C−プレーンの上りの無線回線制御情報を第1無線局110および第2無線局120の両方へ送信する。端末101から第2無線局120へ送信された無線回線制御情報は、第2無線局120のPCPDレイヤにて、C−プレーンの情報であると判別され、第3経路133を介して第1無線局110のPDCPレイヤに転送され、MME401へ送信される。
(実施の形態にかかる通信システムにおける迂回送信を行う場合のプロトコルスタック)
図5は、実施の形態にかかる通信システムにおける迂回送信を行う場合のプロトコルスタックの一例を示す図である。図5において、図4に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。LTEにおいて図3に示した迂回送信を行う場合における無線回線制御情報(C−プレーン)およびユーザデータ(U−プレーン)の処理のプロトコルスタックは、たとえば図5のようになる。
図5に示すように、迂回送信においては、第1無線局110は、C−プレーンの無線回線制御情報をPDCPレイヤで第3経路133を介して第2無線局120のPDCPレイヤへ転送し、無線回線制御情報を端末101との間で直接送受信しない。このため、第1無線局110は、無線回線制御情報に対するレイヤ2以上の処理としてはRRCおよびPDCPの各処理を行い、RLCおよびMACの各処理は行わない。
(実施の形態にかかる端末)
図6は、実施の形態にかかる端末の一例を示す図である。実施の形態にかかる端末101は、たとえば図6に示す端末600により実現することができる。端末600は、アンテナ601と、無線送受信部610と、L2・L3制御部620と、端末動作制御部630と、を備える。
アンテナ601は、他の通信装置(たとえば第1無線局110や第2無線局120)から無線送信された信号を受信し、受信した信号を無線送受信部610へ出力する。また、アンテナ601は、無線送受信部610から出力された信号を他の通信装置(たとえば第1無線局110や第2無線局120)へ無線送信する。
無線送受信部610は、アンテナ601を介して無線信号の送受信を行う。たとえば、無線送受信部610は、受信信号IF/処理部611と、送信信号IF/処理部612と、を含む。受信信号IF/処理部611は、アンテナ601から出力された信号に対する受信処理を行う。受信処理には、たとえば、増幅、RF(Radio Frequency:高周波)帯からベースバンド帯への周波数変換、アナログ信号からディジタル信号への変換、復調、復号などが含まれる。受信信号IF/処理部611は、受信処理を行った信号をL2・L3制御部620へ出力する。
送信信号IF/処理部612は、L2・L3制御部620から出力された信号に対する送信処理を行う。送信処理には、たとえば、符号化、変調、ディジタル信号からアナログ信号への変換、ベースバンド帯からRF帯への周波数変換、増幅などが含まれる。送信信号IF/処理部612は、送信処理を行った信号をアンテナ601へ出力する。
L2・L3制御部620は、無線送受信部610から出力された信号に対するレイヤ2(たとえばRLC、MAC、PDCP)およびレイヤ3(たとえばRRC)の処理を行うことにより、端末600におけるレイヤ2およびレイヤ3の受信制御を行う。また、L2・L3制御部620は、端末600が送信する情報に対するレイヤ2およびレイヤ3の処理で得られた信号を無線送受信部610へ出力することにより、端末600におけるレイヤ2およびレイヤ3の送信制御を行う。
たとえば、L2・L3制御部620は、C−プレーン制御部621と、U−プレーン制御部622と、を含む。C−プレーン制御部621は、無線送受信部610を介して、端末600におけるC−プレーンの無線回線制御情報の送受信を行う。U−プレーン制御部622は、無線送受信部610を介して、端末600におけるU−プレーンのユーザデータの送受信を行う。
端末動作制御部630は、L2・L3制御部620を制御することによって端末600の通信動作を制御する。たとえば、端末動作制御部630は、無線回線品質測定報告部631と、迂回・冗長送信判断部632と、ハンドオーバ制御部633と、を含む。
無線回線品質測定報告部631は、端末600における無線品質を測定し、端末600が接続中の基地局(たとえば第1無線局110)から指示されたタイミングで、測定した無線品質を示す無線品質情報を接続中の基地局へ送信する。
無線回線品質測定報告部631による無線品質の測定は、たとえば受信信号IF/処理部611による信号の受信結果をL2・L3制御部620から取得することによって行うことができる。無線回線品質測定報告部631によって測定される無線品質は、たとえば、RSRP、RSCP、BLERなどである。無線回線品質測定報告部631による無線品質情報の送信は、たとえばL2・L3制御部620に対して無線品質情報の送信を指示することによって行うことができる。
迂回・冗長送信判断部632は、たとえば無線回線品質測定報告部631によって得られた無線品質情報に基づいて、冗長送信および迂回送信のいずれを行うかを判断する。そして、迂回・冗長送信判断部632は、判断結果を、端末600が接続中の基地局に対して送信するようにL2・L3制御部620へ指示することにより、冗長送信および迂回送信のいずれを行うかを制御する。
ただし、冗長送信および迂回送信のいずれを行うかを基地局等において判断する場合等は、端末600には迂回・冗長送信判断部632を設けなくてもよい。ハンドオーバ制御部633は、端末600が接続中の基地局(たとえば第1無線局110)からの指示に基づいて、端末600の接続先のセルの切り替えを行う。
端末600において、第1無線局110および第2無線局120のそれぞれと無線通信が可能な通信部は、たとえばアンテナ601および無線送受信部610により実現することができる。また、端末600において、通信部を制御する制御部は、たとえばL2・L3制御部620および端末動作制御部630により実現することができる。
また、制御装置140を端末600において実現する場合において、第1状態と第2状態の切り替えを判断する判断部は、たとえば端末動作制御部630により実現することができる。また、制御装置140を端末600において実現する場合において、判断部による判断結果に基づいて第1状態と第2状態とを切り替える制御部は、たとえばL2・L3制御部620により実現することができる。
図7は、実施の形態にかかる端末のハードウェア構成の一例を示す図である。図6に示した端末600は、たとえば図7に示す通信装置700により実現することができる。通信装置700は、CPU701と、メモリ702と、ユーザインタフェース703と、無線通信インタフェース704と、を備える。CPU701、メモリ702、ユーザインタフェース703および無線通信インタフェース704は、バス709により接続される。
CPU701(Central Processing Unit)は、通信装置700の全体の制御を司る。メモリ702には、たとえばメインメモリおよび補助メモリが含まれる。メインメモリは、たとえばRAM(Random Access Memory)である。メインメモリは、CPU701のワークエリアとして使用される。補助メモリは、たとえば磁気ディスクやフラッシュメモリなどの不揮発メモリである。補助メモリには、通信装置700を動作させる各種のプログラムが記憶されている。補助メモリに記憶されたプログラムは、メインメモリにロードされてCPU701によって実行される。
ユーザインタフェース703は、たとえば、ユーザからの操作入力を受け付ける入力デバイスや、ユーザへ情報を出力する出力デバイスなどを含む。入力デバイスは、たとえばキー(たとえばキーボード)やリモコンなどにより実現することができる。出力デバイスは、たとえばディスプレイやスピーカなどにより実現することができる。また、タッチパネルなどによって入力デバイスおよび出力デバイスを実現してもよい。ユーザインタフェース703は、CPU701によって制御される。
無線通信インタフェース704は、無線によって通信装置700の外部(たとえば第1無線局110や第2無線局120)との間で通信を行う通信インタフェースである。無線通信インタフェース704は、CPU701によって制御される。
図6に示したアンテナ601および無線送受信部610は、たとえば無線通信インタフェース704により実現することができる。図6に示したL2・L3制御部620および端末動作制御部630は、たとえばCPU701により実現することができる。
(実施の形態にかかる基地局)
図8は、実施の形態にかかる基地局の一例を示す図である。実施の形態にかかる第1無線局110および第2無線局120のそれぞれは、たとえば図8に示す基地局800により実現することができる。基地局800は、アンテナ801と、無線送受信部810と、L2・L3制御部820と、L2・L3制御部830と、伝送路インタフェース部840と、基地局動作制御部850と、を備える。
アンテナ801は、他の通信装置(たとえば端末101や他の端末)から無線送信された信号を受信し、受信した信号を無線送受信部810へ出力する。また、アンテナ801は、無線送受信部810から出力された信号を他の通信装置(たとえば端末101や他の端末)へ無線送信する。
無線送受信部810は、アンテナ801を介して無線信号の送受信を行う。たとえば、無線送受信部810は、受信信号IF/処理部811と、送信信号IF/処理部812と、を含む。受信信号IF/処理部811は、アンテナ801から出力された信号に対する受信処理を行う。受信処理には、たとえば、増幅、RF帯からベースバンド帯への周波数変換、アナログ信号からディジタル信号への変換、復調、復号などが含まれる。受信信号IF/処理部811は、受信処理を行った信号をL2・L3制御部820へ出力する。
送信信号IF/処理部812は、L2・L3制御部820から出力された信号に対する送信処理を行う。送信処理には、たとえば、符号化、変調、ディジタル信号からアナログ信号への変換、ベースバンド帯からRF帯への周波数変換、増幅などが含まれる。送信信号IF/処理部812は、送信処理を行った信号をアンテナ801へ出力する。
L2・L3制御部820は、無線送受信部810から出力された信号に対するレイヤ2およびレイヤ3の処理を行うことにより、基地局800と端末101との間の通信におけるレイヤ2およびレイヤ3の受信制御を行う。また、L2・L3制御部820は、基地局800が送信する情報に対するレイヤ2およびレイヤ3の処理で得られた信号を無線送受信部810へ出力することにより、基地局800と端末101の間の通信におけるレイヤ2およびレイヤ3の送信制御を行う。
L2・L3制御部820は、C−プレーン制御部821と、U−プレーン制御部822と、を含む。C−プレーン制御部821は、無線送受信部810を介して、基地局800と端末101との間のC−プレーンの無線回線制御情報の送受信を行う。U−プレーン制御部822は、無線送受信部810を介して、基地局800と端末101との間のU−プレーンのユーザデータの送受信を行う。C−プレーン制御部821およびU−プレーン制御部822は、たとえば基地局800との間で無線通信が設定される端末(たとえば端末101)ごとにL2・L3制御部820に設定される。
L2・L3制御部830は、無線送受信部810から出力された信号に対するレイヤ2およびレイヤ3の処理を行うことにより、基地局800と他装置との間の通信におけるレイヤ2およびレイヤ3の受信制御を行う。他装置には、たとえば、他の基地局や、MME401およびS−GW402などの基地局800の上位装置などが含まれる。また、L2・L3制御部830は、基地局800が送信する情報に対するレイヤ2およびレイヤ3の処理で信号を無線送受信部810へ出力することにより、基地局800と他装置の間の通信におけるレイヤ2およびレイヤ3の送信制御を行う。
たとえば、L2・L3制御部830は、C−プレーン制御部831と、U−プレーン制御部832と、を含む。C−プレーン制御部831は、伝送路インタフェース部840を介して、基地局800における他装置との間のC−プレーンの無線回線制御情報の送受信を行う。U−プレーン制御部832は、伝送路インタフェース部840を介して、基地局800における他装置との間のU−プレーンのユーザデータの送受信を行う。
伝送路インタフェース部840は、他の基地局や基地局800の上位装置などの他装置との間で通信を行うインタフェースである。図1〜図3に示した第3経路133(X2インタフェース)は、たとえば伝送路インタフェース部840により実現される。たとえば、第1無線局110および第2無線局120に基地局800を適用する場合に、第3経路133は、第1無線局110および第2無線局120のそれぞれの伝送路インタフェース部840により実現することができる。
基地局動作制御部850は、L2・L3制御部820を制御することによって端末101との間の基地局800の通信の動作を制御する。また、基地局動作制御部850は、L2・L3制御部830を制御することによって、他の基地局や基地局800の上位装置などの他装置との間の基地局800の通信の動作を制御する。たとえば、基地局動作制御部850は、無線回線品質測定制御部851と、迂回・冗長送信判断部852と、ハンドオーバ制御部853と、C/U分離制御部854と、を含む。
無線回線品質測定制御部851は、端末101に対して無線品質の測定を指示する。無線回線品質測定制御部851による測定の指示は、たとえばL2・L3制御部820に対して端末101への制御信号の送信を指示することによって行うことができる。
迂回・冗長送信判断部852は、たとえば無線回線品質測定制御部851からの指示によって端末101から送信された無線品質情報に基づいて、冗長送信および迂回送信のいずれを行うかを判断する。そして、迂回・冗長送信判断部852は、判断結果に基づいて、冗長送信または迂回送信を行う制御を行う。迂回・冗長送信判断部852による冗長送信または迂回送信を行う制御は、たとえば、他の基地局や端末101への制御信号の送信を指示することによって行うことができる。
ハンドオーバ制御部853は、端末101に対して、接続先のセルの切り替えの指示を行う。ハンドオーバ制御部853による切り替えの指示は、たとえばL2・L3制御部820に対して端末101への制御信号の送信を指示することによって行うことができる。
C/U分離制御部854は、たとえば無線回線品質測定制御部851からの指示によって端末101から送信された無線品質情報に基づいて、上述したC/U分離を行うか否かを判断する。そして、C/U分離制御部854は、判断結果に基づいて、C/U分離を行う制御を行う。また、C/U分離制御部854は、迂回・冗長送信判断部852によって冗長送信または迂回送信が実施されている場合に、冗長送信または迂回送信の状態からC/U分離の状態へ戻すか否かを判断し、戻すと判断した場合はC/U分離の状態へ戻す制御を行う。C/U分離制御部854によるこれらの制御は、たとえば、他の基地局や端末101への制御信号の送信を指示することによって行うことができる。
また、基地局動作制御部850には、たとえば無線回線制御情報の経路で品質低下や切断が発生した場所を記憶して管理を行う品質情報履歴制御部など、他の処理部が含まれていてもよい。
基地局800において、端末101と無線通信が可能な第1通信部は、たとえばアンテナ801および無線送受信部810により実現することができる。また、基地局800において、第2無線局120と通信が可能な第2通信部は、たとえば伝送路インタフェース部840により実現することができる。また、基地局800において、第1状態と第2状態を切り替える制御部は、たとえばL2・L3制御部820、L2・L3制御部830および基地局動作制御部850により実現することができる。
また、制御装置140を基地局800において実現する場合において、第1状態と第2状態の切り替えを判断する判断部は、たとえば基地局動作制御部850により実現することができる。また、制御装置140を基地局800において実現する場合において、判断部による判断結果に基づいて第1状態と第2状態とを切り替える制御部は、たとえばL2・L3制御部820およびL2・L3制御部830により実現することができる。
図9は、実施の形態にかかる基地局のハードウェア構成の一例を示す図である。図8に示した基地局800は、たとえば図9に示す通信装置900により実現することができる。通信装置900は、CPU901と、メモリ902と、無線通信インタフェース903と、有線通信インタフェース904と、を備える。CPU901、メモリ902、無線通信インタフェース903および有線通信インタフェース904は、バス909により接続される。
CPU901は、通信装置900の全体の制御を司る。メモリ902には、たとえばメインメモリおよび補助メモリが含まれる。メインメモリは、たとえばRAMである。メインメモリは、CPU901のワークエリアとして使用される。補助メモリは、たとえば磁気ディスク、光ディスク、フラッシュメモリなどの不揮発メモリである。補助メモリには、通信装置900を動作させる各種のプログラムが記憶されている。補助メモリに記憶されたプログラムは、メインメモリにロードされてCPU901によって実行される。
無線通信インタフェース903は、無線によって通信装置900の外部(たとえば端末101)との間で通信を行う通信インタフェースである。無線通信インタフェース903は、CPU901によって制御される。
有線通信インタフェース904は、有線によって通信装置900の外部(たとえばMME401、S−GW402、第2無線局120)との間で通信を行う通信インタフェースである。有線通信インタフェース904は、CPU901によって制御される。図1〜図3に示した第3経路133(X2インタフェース)は、たとえば有線通信インタフェース904に含まれる。
図8に示したアンテナ801および無線送受信部810は、たとえば無線通信インタフェース903により実現することができる。図8に示したL2・L3制御部820,830および基地局動作制御部850は、たとえばCPU901により実現することができる。図8に示した伝送路インタフェース部840は、たとえば有線通信インタフェース904により実現することができる。
(実施の形態にかかる通信システムによるC/U分離の処理)
図10は、実施の形態にかかる通信システムによるC/U分離の処理の一例を示すシーケンス図である。実施の形態にかかる通信システム100においては、C/U分離の処理として、たとえば図10に示す各ステップが実行される。上述したように、第1無線局110のマクロセル111と第2無線局120のスモールセル121とはアンブレラセル構成となっており、端末101はマクロセル111とスモールセル121のいずれにも接続可能であるとする。
図10に示すC−プレーン制御部1011は、端末101においてC−プレーンの制御を行う処理部であり、たとえば図6に示したC−プレーン制御部621である。U−プレーン制御部1021は、端末101においてU−プレーンの制御を行う処理部であり、たとえば図6に示したU−プレーン制御部622である。
C−プレーン制御部1012は、端末101のC−プレーン制御部1011との間でC−プレーンの制御を行う処理部であり、たとえば図8に示したC−プレーン制御部821に設定される。U−プレーン制御部1022は、端末101のU−プレーン制御部1021との間でU−プレーンの制御を行う処理部であり、たとえば図8に示したU−プレーン制御部822に設定される。
図10に示す例では、初期状態において、C−プレーン制御部1012およびU−プレーン制御部1022は第1無線局110に設定されている。そして、端末101のC−プレーン制御部1011と第1無線局110のC−プレーン制御部1012との間でC−プレーンの伝送が行われている(ステップS1001)。また、端末101のU−プレーン制御部1021と第1無線局110のU−プレーン制御部1022との間でU−プレーンの伝送が行われている(ステップS1002)。すなわち、初期状態において、端末101のC−プレーンおよびU−プレーンのいずれも第1無線局110により伝送される、C/U分離の前の状態となっている。
つぎに、端末101のC−プレーン制御部1011が、第2無線局120の配下セル(スモールセル121)の品質情報を第1無線局110のC−プレーン制御部1012へ送信する(ステップS1003)。品質情報には、たとえば、RSRP、RSCP、BLERなどを用いることができる。
たとえば、端末101は、移動制御やCAを実施するために、端末101の周辺の各セルの無線品質測定を行う。この場合に、ステップS1003による品質情報の送信は、たとえば、端末101から第1無線局110への、第1無線局110と第2無線局120の配下セルの無線品質情報の通知である。この無線品質情報は、一例としてはLTEシステムのRRCプロトコルのMEASUREMENT REPORTである。ただし、ステップS1003による品質情報の送信はこれに限らず、たとえば端末101から第1無線局110への再接続要求や位置情報測定結果の通知に伴う品質情報の送信であってもよい。
つぎに、第1無線局110のC−プレーン制御部1012が、ステップS1003によって送信された第2無線局120の配下セルの品質情報からC/U分離を実施可と判断したとする(ステップS1004)。なお、ここでは第2無線局120の配下セルの品質情報からC/U分離を実施可と判断する場合について説明したが、C/U分離の可否の判断には、第2無線局120の配下セルの品質情報に限らず各種の情報を用いることができる。たとえば、C/U分離の可否の判断には、上述したように、第1無線局110の輻輳状況、サービス種別、ユーザとの契約情報、端末の位置情報、過去の端末固有情報などを用いてもよい。
つぎに、第1無線局110のC−プレーン制御部1012が、第3経路133を介して、U−プレーンの接続先切替指示を第2無線局120へ送信する(ステップS1005)。また、第1無線局110のC−プレーン制御部1012が、U−プレーンの接続先切替指示を端末101のC−プレーン制御部1011へ送信する(ステップS1006)。U−プレーンの接続先切替指示は、端末101のU−プレーンの接続先を第1無線局110から第2無線局120へ切り替えることを指示する制御信号である。U−プレーンの接続先切替指示には、端末101のU−プレーンの接続先を第1無線局110から第2無線局120へ切り替えるタイミング等を示す情報が含まれていてもよい。
つぎに、第2無線局120が、ステップS1005によって送信されたU−プレーンの接続先切替指示に基づいて、端末101との間の無線回線を設定する(ステップS1007)。これにより、端末101との間のU−プレーンを制御するU−プレーン制御部1022が第1無線局110から第2無線局120へ移管される。
また、端末101のC−プレーン制御部1011が、ステップS1006によって送信されたU−プレーンの接続先切替指示に基づいて、U−プレーンの接続先を第2無線局120へ切り替える。そして、C−プレーン制御部1011は、U−プレーンの接続先切替完了通知を第2無線局120へ送信する(ステップS1008)。U−プレーンの接続先切替完了通知は、U−プレーンの接続先の切り替えが完了したことを示す情報である。
つぎに、端末101のU−プレーン制御部1021と第2無線局120のU−プレーン制御部1022との間でU−プレーンの伝送が開始される(ステップS1009)。このとき、C−プレーンの伝送については、端末101のC−プレーン制御部1011と第1無線局110のC−プレーン制御部1012との間で行われる。これにより、図1に示したC/U分離の状態(第1状態)となる。
(実施の形態にかかる通信システムによるC/U分離後の冗長送信処理)
図11は、実施の形態にかかる通信システムによるC/U分離後の冗長送信処理の一例を示すシーケンス図である。実施の形態にかかる通信システム100においては、たとえば図10に示したC/U分離後の冗長送信の処理として、たとえば図11に示す各ステップが実行される。図11に示す例では、たとえば図10に示したC/U分離により、端末101が、C−プレーンについては第1無線局110と無線通信を行い、U−プレーンについては第2無線局120と無線通信を行っているとする。
まず、第1無線局110のC−プレーン制御部1012が、端末101のC−プレーン制御部1011へ、C−プレーンの伝送により無線回線制御情報#1を送信したとする(ステップS1101)。この場合に、第1無線局110のC−プレーン制御部1012は、ステップS1101により送信した無線回線制御情報#1に対する端末101からの応答メッセージを待ち合わせる時間を計時するタイマを設定する(ステップS1102)。
また、このとき、図10に示した状態と同様に、端末101のU−プレーン制御部1021と第2無線局120のU−プレーン制御部1022との間でU−プレーンの伝送が行われている(ステップS1103)。
つぎに、ステップS1101によって送信された無線回線制御情報#1に対する端末101から第1無線局110への応答がない状態で、ステップS1102によって設定されたタイマが満了したとする(ステップS1104)。この場合は、第1無線局110のC−プレーン制御部1012は、無線回線制御情報#1または無線回線制御情報#1に対する応答メッセージが紛失(ロスト)したと判断し、冗長送信を開始する制御を行う。
すなわち、第1無線局110のC−プレーン制御部1012が、冗長送信の切替指示を端末101のC−プレーン制御部1011へ送信する(ステップS1105)。冗長送信の切替指示は、たとえば図1に示したC/U分離の状態(第1状態)から、たとえば図2に示した冗長送信の状態(第2状態)に切り替えることを指示する制御信号である。また、第1無線局110のC−プレーン制御部1012が、第3経路133を介して、冗長送信の切替指示を第2無線局120へ送信する(ステップS1106)。
以降のC−プレーンの無線回線制御情報は、第1経路131と、第3経路133および第2経路132を含む経路と、の両方によって送信される(たとえば図2参照)。たとえば、第1無線局110のC−プレーン制御部1012は、端末101へのC−プレーンの無線回線制御情報#2を、C−プレーンの伝送により端末101のC−プレーン制御部1011へ直接送信する(ステップS1107)。また、第1無線局110のC−プレーン制御部1012は、ステップS1107によって送信する無線回線制御情報#2と同じ無線回線制御情報#2を、第3経路133を介して第2無線局120へ送信する(ステップS1108)。つぎに、第2無線局120のU−プレーン制御部1022が、ステップS1108によって送信された無線回線制御情報#2を、U−プレーンの情報として端末101のU−プレーン制御部1021へ送信する(ステップS1109)。
つぎに、端末101のU−プレーン制御部1021が、端末101のC−プレーン制御部1011へ、ステップS1109によって送信された無線回線制御情報#2をC−プレーンの情報として転送する(ステップS1110)。
これにより、端末101のC−プレーン制御部1011は、ステップS1107,S1110の両方によって無線回線制御情報#2を受信することができる。これに対して、端末101は、無線回線制御情報#2の各受信結果に基づいて、無線回線制御情報#2を高い品質で復号(再生)することができる。たとえば、端末101は、無線回線制御情報#2の各受信結果による復号結果のうちの誤りが検出された復号結果を破棄し、誤りが検出されなかった復号結果を採用することで、受信品質を向上させることができる。
つぎに、ステップS1105,S1106によって冗長送信が開始されてから、端末101と第1無線局110との間の通信品質が改善しない状態で一定時間が経過したとする(ステップS1111)。端末101と第1無線局110との間の通信品質が改善しない状態とは、たとえば、冗長送信において第1無線局110から端末101へ送信する無線回線制御情報に対する端末101からの応答メッセージが規定時間内に受信できない状態である。この場合は、第1無線局110は、C−プレーン制御部1012を第2無線局120へ移管させる制御を行う。
すなわち、第1無線局110は、C−プレーン制御部1012を第1無線局110から第2無線局120へ移管することを指示するC−プレーン制御部移管指示を、第3経路133を介して第2無線局120へ送信する(ステップS1112)。これにより、C−プレーン制御部1012が第1無線局110から第2無線局120へ移管される。
つぎに、第2無線局120のU−プレーン制御部1022が、通信先のC−プレーン制御部の切り替えを指示するC−プレーン制御部切替指示を、U−プレーンの情報として端末101のU−プレーン制御部1021へ送信する(ステップS1113)。つぎに、端末101のU−プレーン制御部1021が、端末101のC−プレーン制御部1011へ、ステップS1113によって送信されたC−プレーン制御部切替指示をC−プレーンの情報として転送する(ステップS1114)。
つぎに、端末101のC−プレーン制御部1011が、C−プレーンの通信先を第2無線局120へ切り替え、C−プレーン制御部切替完了通知を第2無線局120へ送信する(ステップS1115)。つぎに、第2無線局120が、C−プレーン制御部切替完了通知を、第3経路133を介して第1無線局110へ送信する(ステップS1116)。つぎに、第1無線局110が、端末101との間で設定していた無線回線を解放する(ステップS1117)。
これにより、C−プレーン制御部1012の移管が完了し、C−プレーン制御部1012およびU−プレーン制御部1022が第2無線局120に設定された状態となる。すなわち、端末101は、C−プレーンおよびU−プレーンのいずれも第2無線局120により伝送する状態(第3状態)となる。
無線回線制御情報#1,#2などの無線回線制御情報は、たとえば、LTEシステムのRRC CONNECTION SETUPやRRC CONNECTION RECONFIGURATION等である。この場合に、無線回線制御情報に対する応答メッセージは、たとえば、LTEシステムのRRC CONNECTION SETUP COMPLETEやRRC CONNECTION RECONFIGURATION COMPLETEなどである。ただし、無線回線制御情報および無線回線制御情報に対する応答メッセージは、これらに限らず、各種の無線回線制御情報とすることができる。
(実施の形態にかかる通信システムによるC/U分離後の迂回送信処理)
図12は、実施の形態にかかる通信システムによるC/U分離後の基地局契機での迂回送信処理の一例を示すシーケンス図である。実施の形態にかかる通信システム100においては、たとえば図10に示したC/U分離後の迂回送信の処理として、たとえば図12に示す各ステップが実行されてもよい。図12に示す例では、たとえば図10に示したC/U分離により、端末101は、C−プレーンについては第1無線局110と無線通信を行い、U−プレーンについては第2無線局120と無線通信を行っているとする。
図12に示すステップS1201〜S1204は、図11に示したステップS1101〜S1104と同様である。図12に示す例では、第1無線局110のC−プレーン制御部1012は、ステップS1204において無線回線制御情報#1または応答メッセージが紛失したと判断すると、迂回送信を開始する制御を行う。
すなわち、第1無線局110のC−プレーン制御部1012が、迂回送信の切替指示を端末101のC−プレーン制御部1011へ送信する(ステップS1205)。迂回送信の切替指示は、たとえば図1に示したC/U分離の状態(第1状態)から、たとえば図3に示した迂回送信の状態(第2状態)に切り替えることを指示する制御信号である。また、第1無線局110のC−プレーン制御部1012が、第3経路133を介して、迂回送信の切替指示を第2無線局120へ送信する(ステップS1206)。
以降のC−プレーンの無線回線制御情報は、第3経路133および第2経路132を含む経路によって送信され、第1経路131によっては送信されない(たとえば図3参照)。たとえば、第1無線局110のC−プレーン制御部1012は、端末101へのC−プレーンの無線回線制御情報#2を、第3経路133を介して第2無線局120へ送信する(ステップS1207)。つぎに、第2無線局120のU−プレーン制御部1022が、ステップS1207によって送信された無線回線制御情報#2を、U−プレーンの情報として端末101のU−プレーン制御部1021へ送信する(ステップS1208)。
つぎに、端末101のU−プレーン制御部1021が、端末101のC−プレーン制御部1011へ、ステップS1208によって送信された無線回線制御情報#2をC−プレーンの情報として転送する(ステップS1209)。これにより、第1経路131を用いずに端末101のC−プレーンの無線回線制御情報を伝送し、無線リソースの利用効率の向上を図ることができる。
つぎに、ステップS1205,S1206によって迂回送信が開始されてから、端末101と第1無線局110との間の通信品質が改善しない状態で一定時間が経過したとする(ステップS1210)。この場合は、第1無線局110は、C−プレーン制御部1012を第2無線局120へ移管させる制御を行う。
すなわち、第1無線局110は、C−プレーン制御部1012を第1無線局110から第2無線局120へ移管することを指示するC−プレーン制御部移管指示を、第3経路133を介して第2無線局120へ送信する(ステップS1211)。これにより、C−プレーン制御部1012が第1無線局110から第2無線局120へ移管される。
つぎに、第2無線局120のU−プレーン制御部1022が、通信先のC−プレーン制御部の切り替えを指示するC−プレーン制御部切替指示を、U−プレーンの情報として端末101のU−プレーン制御部1021へ送信する(ステップS1212)。つぎに、端末101のU−プレーン制御部1021が、端末101のC−プレーン制御部1011へ、ステップS1212によって送信されたC−プレーン制御部切替指示をC−プレーンの情報として転送する(ステップS1213)。
つぎに、端末101のC−プレーン制御部1011が、C−プレーンの通信先を第2無線局120へ切り替え、C−プレーン制御部切替完了通知を第2無線局120へ送信する(ステップS1214)。つぎに、第2無線局120が、C−プレーン制御部切替完了通知を、第3経路133を介して第1無線局110へ送信する(ステップS1215)。つぎに、第1無線局110が、端末101との間で設定していた無線回線を解放する(ステップS1216)。
これにより、C−プレーン制御部1012の移管が完了し、C−プレーン制御部1012およびU−プレーン制御部1022が第2無線局120に設定された状態となる。すなわち、端末101は、C−プレーンおよびU−プレーンのいずれも第2無線局120により伝送する状態(第3状態)となる。
(実施の形態にかかる通信システムによるC/U分離後の端末契機での迂回送信処理)
図13は、実施の形態にかかる通信システムによるC/U分離後の端末契機での迂回送信処理の一例を示すシーケンス図である。実施の形態にかかる通信システム100においては、たとえば図10に示したC/U分離後の迂回送信の処理として、たとえば図12に示す各ステップが実行されてもよい。図13に示す例では、たとえば図10に示したC/U分離により、端末101は、C−プレーンについては第1無線局110と無線通信を行い、U−プレーンについては第2無線局120と無線通信を行っているとする。
まず、端末101のC−プレーン制御部1011が、第1無線局110のC−プレーン制御部1012へ、C−プレーンの伝送により無線回線制御情報#1を送信したとする(ステップS1301)。ステップS1301によって送信される無線回線制御情報#1は、たとえば、LTEのRRC CONNECTION REESTABLISHMENT REQUEST等の無線回線制御情報である。
また、端末101のC−プレーン制御部1011が、ステップS1301によって送信した無線回線制御情報#1に対する第1無線局110からの応答メッセージを待ち合わせる時間を計時するタイマを設定する(ステップS1302)。無線回線制御情報#1に対する第1無線局110からの応答メッセージは、たとえば、LTEのRRC CONNECTION REESTABLISHMENT等の無線回線制御情報である。
また、このとき、図10に示した状態と同様に、端末101のU−プレーン制御部1021と第2無線局120のU−プレーン制御部1022との間でU−プレーンの伝送が行われている(ステップS1303)。
つぎに、ステップS1301によって送信された無線回線制御情報#1に対する応答がない状態で、ステップS1302によって設定されたタイマが満了したとする(ステップS1304)。この場合は、端末101のC−プレーン制御部1011は、無線回線制御情報#1または無線回線制御情報#1に対する応答メッセージが紛失(ロスト)したと判断し、迂回送信を開始する制御を行う。
すなわち、端末101のC−プレーン制御部1011が、迂回送信の切替指示を第2無線局120へ送信する(ステップS1305)。つぎに、第2無線局120のU−プレーン制御部1022が、第3経路133を介して、迂回送信の切替指示を第1無線局110へ送信する(ステップS1306)。
以降のC−プレーンの無線回線制御情報は、第3経路133および第2経路132を含む経路によって送信され、第1経路131によっては送信されない(たとえば図3参照)。すなわち、以降の処理は、たとえば図12に示したステップS1207〜S1216と同様である。
端末101が第2無線局120へ制御信号(迂回送信の切替指示)を送信することによって迂回送信を行う処理について説明したが、端末101が第1無線局110へ制御信号(迂回送信の切替指示)を送信することによって迂回送信を行う処理としてもよい。また、端末101が第1無線局110および第2無線局120へ制御信号(迂回送信の切替指示)を送信することによって迂回送信を行う処理としてもよい。
また、端末101における応答メッセージの未受信の検出を契機として迂回送信処理を行う場合について説明したが、端末101における応答メッセージの未受信の検出を契機として図11に示した冗長送信処理を行うようにしてもよい。
(実施の形態にかかるC/U分離の状態における基地局による処理)
図14は、実施の形態にかかるC/U分離の状態における基地局による処理の一例を示すフローチャートである。たとえば図1に示したC/U分離の状態(第1状態)において、第1無線局110(制御装置140)は、たとえば図14に示す各ステップを実行する。まず、第1無線局110は、端末101から受信すべき無線回線制御情報を端末101から一定時間内に受信したか否かを判断する(ステップS1401)。
端末101から受信すべき無線回線制御情報は、たとえば、第1無線局110から端末101へ送信した無線回線制御情報に対する端末101からの応答メッセージである。この場合に、一定時間内とは、たとえば第1無線局110が端末101へ無線回線制御情報を送信してからの一定時間内である。無線回線制御情報を端末101から一定時間内に受信していない場合(ステップS1401:No)は、第1無線局110は、冗長送信または迂回送信(すなわち第2状態)への切り替えを行い(ステップS1402)、一連の処理を終了する。
ステップS1401において、無線回線制御情報を端末101から一定時間内に受信した場合(ステップS1401:Yes)は、第1無線局110は、第1無線局110の通信品質が規定値以上であるか否かを判断する(ステップS1403)。第1無線局110の通信品質とは、たとえば端末101によって測定されて第1無線局110へ送信された無線品質情報が示す、第1無線局110と端末101との間の無線通信における品質である。ステップS1403において、通信品質が規定値未満である場合(ステップS1403:No)は、第1無線局110は、ステップS1402へ移行する。
ステップS1403において、通信品質が規定値以上である場合(ステップS1403:Yes)は、第1無線局110は、第1無線局110が輻輳しているか否かを判断する(ステップS1404)。第1無線局110が輻輳しているか否かは、たとえば、第1無線局110におけるハードウェア使用量、第1無線局110に接続中のユーザの数、第1無線局110における全体のスループットなどに基づいて判断することができる。第1無線局110が輻輳している場合(ステップS1404:Yes)は、第1無線局110は、ステップS1402へ移行する。
ステップS1404において、第1無線局110が輻輳していない場合(ステップS1404:No)は、第1無線局110は、端末101のサービスが規定のサービスか否かを判断する(ステップS1405)。端末101のサービスは、端末101と第1無線局110との間の無線通信によって提供されているサービスである。端末101のサービスが規定のサービスでない場合(ステップS1405:No)は、第1無線局110は、ステップS1402へ移行する。
ステップS1405において、規定のサービスである場合(ステップS1405:Yes)は、第1無線局110は、端末101が上述した一般端末であるか否かを判断する(ステップS1406)。端末101が一般端末でない場合(ステップS1406:No)は、第1無線局110は、ステップS1402へ移行する。
ステップS1406において、端末101が一般端末である場合(ステップS1406:Yes)は、第1無線局110は、端末101の位置が冗長送信または迂回送信の領域外であるか否かを判断する(ステップS1407)。冗長送信または迂回送信の領域は、冗長送信または迂回送信を安定して実施することができる領域であって、たとえば第2無線局120のスモールセル121のうちの第2無線局120に近い領域である。領域外でない場合(ステップS1407:No)は、第1無線局110は、ステップS1402へ移行する。
ステップS1407において、領域外である場合(ステップS1407:Yes)は、第1無線局110は、端末101から第1無線局110への再接続要求の回数が規定回数以下であるか否かを判断する(ステップS1408)。再接続要求の回数が規定回数以下でない場合(ステップS1408:No)は、第1無線局110は、ステップS1402へ移行する。
ステップS1408において、再接続要求の回数が規定回数以下である場合(ステップS1408:Yes)は、第1無線局110は、C/U分離の状態を維持し(ステップS1409)、一連の処理を終了する。
このように、第1無線局110は、たとえば、ステップS1401,S1403のように、第1無線局110と端末101との間の無線通信の品質(通信の可否または無線品質情報)に基づいて第1状態と第2状態を切り替える。また、第1無線局110は、たとえば、ステップS1404のように、第1無線局110の輻輳状況に基づいて第1状態と第2状態を切り替える。
また、第1無線局110は、たとえば、ステップS1405のように、端末101のユーザデータのサービス種別に基づいて第1状態と第2状態を切り替える。また、第1無線局110は、たとえば、ステップS1406のように、端末101のユーザの契約情報(たとえば一般端末または優先端末のいずれであるか)に基づいて第1状態と第2状態を切り替える。
また、第1無線局110は、たとえば、ステップS1407のように、端末101の位置に基づいて第1状態と第2状態を切り替える。また、第1無線局110は、たとえば、ステップS1408のように、端末101の過去の通信に関する情報(たとえば端末101から第1無線局110への再接続要求の回数)に基づいて第1状態と第2状態を切り替える。また、第1無線局110は、これらの条件の一部に基づいて第1状態と第2状態を切り替えてもよい。
図14においては第1無線局110において冗長送信または迂回送信への切り替えの判断を行う場合について説明したが、この判断は第1無線局110に限らず、たとえば端末101や、第1無線局110の外部の制御装置によって行ってもよい。
(実施の形態にかかるC/U分離の状態における基地局による処理)
図15は、実施の形態にかかるC/U分離の状態における基地局による処理の一例を示すフローチャートである。たとえば図2,図3に示した冗長送信または迂回送信の状態(第2状態)において、第1無線局110は、たとえば図15に示す各ステップを実行する。また、図15に示す例では、端末101から受信すべき無線回線制御情報を第1無線局110が端末101から一定時間内に受信しなかったことにより冗長送信または迂回送信の状態への切り替えが行われたとする。
まず、第1無線局110は、冗長送信または迂回送信の状態(第2状態)へ切り替えてから一定時間が経過したか否かを判断し(ステップS1501)、一定時間が経過するまで待つ(ステップS1501:Noのループ)。一定時間が経過すると(ステップS1501:Yes)、第1無線局110は、端末101から受信すべき無線回線制御情報を端末101から一定時間内に受信したか否かを判断する(ステップS1502)。これにより、第1無線局110と端末101との間の通信品質が悪い状態のままか否かを判断することができる。
ステップS1502において、無線回線制御情報を一定時間内に受信していない場合(ステップS1502:No)は、第1無線局110は、第2無線局120および端末101へC−プレーン制御部移管指示を送信する(ステップS1503)。これにより、端末101のC−プレーンを制御するC−プレーン制御部1012が、第1無線局110から第2無線局120へ移管(ハンドオーバ)される。このため、C−プレーンおよびU−プレーンが、第1無線局110を経由せずに第2無線局120から端末101へ送信される状態(第3状態)となる。
ステップS1502において、無線回線制御情報を一定時間内に受信した場合(ステップS1502:Yes)は、第1無線局110は、冗長送信または迂回送信の停止指示を第2無線局120および端末101へ送信する(ステップS1504)。これにより、冗長送信または迂回送信が停止され、たとえば図1に示したC/U分離の状態(第1状態)へ戻る。ステップS1503またはステップS1504を実行すると、第1無線局110は、一連の処理を終了する。
このように、実施の形態にかかる通信システム100によれば、端末101の伝送経路の状態を第1状態と第2状態で切り替えることができる。第1状態は、たとえば図1に示したように、端末101の無線回線制御情報を第1無線局110が端末101へ無線送信し、端末101のユーザデータを第2無線局120が端末101へ無線送信する状態である。第2状態は、たとえば図2,図3に示したように、端末101の無線回線制御情報を第1無線局110が第2無線局120を介して端末101へ送信し、端末101のユーザデータを第2無線局120が端末101へ無線送信する状態である。
これにより、端末101の伝送経路を第1状態とすることで、無線通信が可能なエリアが広い第1無線局110により無線回線制御情報を伝送して端末101の呼を安定させつつ、第2無線局120によりユーザデータを伝送して通信を効率化することができる。
また、たとえば端末101と第1無線局110との間の無線通信の品質が劣化した場合に、端末101の伝送経路を第2状態へ切り替えることで、端末101と第1無線局110との間の無線通信が不通になっても端末101の呼を維持することができる。
ただし、端末101の伝送経路を第2状態へ切り替える条件は、端末101と第1無線局110との間の無線通信の品質の劣化に限らない。たとえば、端末101の通信サービスに安定性が求められる場合等に、端末101の伝送経路を第2状態へ切り替えておくことで、端末101と第1無線局110との間の無線通信の品質が急に劣化しても端末101の呼を維持することができる。
なお、第1無線局110が形成するセルがマクロセル111であり、第2無線局120が形成するセルがスモールセル121である場合について説明したが、第1無線局110および第2無線局120の形態はこれに限らない。たとえば、第1無線局110および第2無線局120のそれぞれは、マクロ基地局、ピコ基地局、フェムト基地局、ナノ基地局、基地局から張り出したアンテナなどとすることができる。
また、端末101の、C−プレーンおよびU−プレーンの伝送経路を制御する制御装置140を第1無線局110に設け、第1無線局110によって各状態(たとえば第1状態〜第3状態)を切り替える構成について説明したが、このような構成に限らない。たとえば、制御装置140を、端末101や第2無線局120に設けてもよいし、第1無線局110、第2無線局120および端末101と異なる装置に設けてもよい。
以上説明したように、通信システム、制御装置、端末、無線局および制御方法によれば、無線回線制御情報を伝送する無線局と端末との間の無線通信が不通になっても端末の呼を維持することができる。
たとえば、図1に示したC/U分離の状態とすることにより、マクロセル111とスモールセル121がアンブレラセル構成されている環境で、マクロセル111で無線回線制御情報を、スモールセル121でユーザデータを送受信することができる。これにより、カバーエリアが広いマクロセル111の負荷を軽減するとともに、設置が容易なスモールセル121を組み合わせて用いることで、システム全体の容量を増大させることができる。また、スモールセル121を多数設けることによってシステム全体の容量をさらに増大させることができる。また、マクロセル111で無線回線制御情報を送受信することで端末101とスモールセル121の通信が外的要因により不通となっても、端末101とマクロセル111での通信は継続しているため、呼切断とはならない。
また、C/U分離している際に、第2状態へ切り替えて無線回線制御情報をユーザデータと同じ経路で送信することにより、端末101とマクロセル111で送受信している無線回線制御情報が不通になっても呼切断を回避し、呼継続が可能となる。
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)第1無線局と、
前記第1無線局と通信可能な第2無線局と、
前記第1無線局および前記第2無線局との間で無線通信が可能な端末と、
前記端末の無線回線を制御するための制御情報を前記第1無線局が前記端末へ無線送信し、前記端末のユーザデータを前記第2無線局が前記端末へ無線送信する第1状態と、前記制御情報を前記第1無線局が前記第2無線局を介して前記端末へ送信し、前記ユーザデータを前記第2無線局が前記端末へ無線送信する第2状態と、を切り替える制御装置と、
を含むことを特徴とする通信システム。
(付記2)前記制御装置は、前記第1無線局と前記端末との間の無線通信の品質に基づいて前記第1状態と前記第2状態とを切り替えることを特徴とする付記1に記載の通信システム。
(付記3)前記第2状態において、
前記第1無線局は、前記第2無線局を介して前記制御情報を前記端末へ送信するとともに、前記制御情報を前記端末へ無線送信し、
前記端末は、前記第1無線局および前記第2無線局のそれぞれから送信される前記制御情報を受信し、受信した各制御情報に基づく復号を行う、
ことを特徴とする付記1または2に記載の通信システム。
(付記4)前記第2状態において、
前記第1無線局は、前記第2無線局を介して前記制御情報を前記端末へ送信し、前記制御情報を前記端末へ無線送信せず、
前記端末は、前記第2無線局から送信される前記制御情報を受信する、
ことを特徴とする付記1または2に記載の通信システム。
(付記5)前記制御装置は、
前記第1状態において前記第1無線局と前記端末との間の無線通信の品質が所定品質を満たさなくなった場合に前記第2状態へ切り替え、
前記第2状態において前記第1無線局と前記端末との間の無線通信の品質が一定時間以上所定品質を満たさなかった場合に、前記第2無線局が前記第1無線局を介さずに前記制御情報および前記ユーザデータを前記端末へ無線送信する第3状態へ切り替える、
ことを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の通信システム。
(付記6)前記制御装置は、前記第1無線局に設けられ、前記第2無線局および前記端末へ制御信号を送信することにより前記第1状態と前記第2状態とを切り替えることを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の通信システム。
(付記7)前記制御装置は、前記端末に設けられ、前記第1無線局および前記第2無線局の少なくともいずれかへ制御信号を送信することにより前記第1状態と前記第2状態とを切り替えることを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の通信システム。
(付記8)前記制御装置は、前記第1無線局と前記端末との間の無線通信の品質、前記第1無線局の輻輳状況、前記ユーザデータのサービス種別、前記端末のユーザの契約情報、前記端末の位置および前記端末の過去の通信に関する情報の少なくともいずれかに基づいて前記第1状態と前記第2状態とを切り替えることを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の通信システム。
(付記9)前記第1無線局は、無線通信が可能なエリアが前記第2無線局より広い無線局であることを特徴とする付記1〜8のいずれか一つに記載の通信システム。
(付記10)第1無線局と、前記第1無線局と通信可能な第2無線局と、前記第1無線局および前記第2無線局との間で無線通信が可能な端末と、を含む通信システムの制御装置であって、
前記端末の無線回線を制御するための制御情報を前記第1無線局が前記端末へ無線送信し、前記端末のユーザデータを前記第2無線局が前記端末へ無線送信する第1状態と、前記制御情報を前記第1無線局が前記第2無線局を介して前記端末へ送信し、前記ユーザデータを前記第2無線局が前記端末へ無線送信する第2状態と、の切り替えを判断する判断部と、
前記判断部による判断結果に基づいて前記第1状態と前記第2状態とを切り替える制御部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
(付記11)第1無線局と、前記第1無線局と通信可能な第2無線局と、のそれぞれと無線通信が可能な通信部と、
第1状態において、自端末の無線回線を制御するための制御情報を前記第1無線局から無線受信し、自端末のユーザデータを前記第2無線局から無線受信し、第2状態において、前記制御情報を前記第1無線局から前記第2無線局を介して受信し、前記ユーザデータを前記第2無線局から無線受信するように前記通信部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする端末。
(付記12)端末と無線通信が可能な第1通信部と、
自局と通信可能な他局であって前記端末のユーザデータを前記端末へ無線送信する他局と通信が可能な第2通信部と、
前記端末の無線回線を制御するための制御情報を前記第1通信部により前記端末へ無線送信する第1状態と、前記制御情報を前記第2通信部により前記他局を介して前記端末へ送信する第2状態と、を切り替える制御部と、
を備えることを特徴とする無線局。
(付記13)第1無線局と、前記第1無線局と通信可能な第2無線局と、前記第1無線局および前記第2無線局との間で無線通信が可能な端末と、を含む通信システムの制御装置による制御方法であって、
前記端末の無線回線を制御するための制御情報を前記第1無線局が前記端末へ無線送信し、前記端末のユーザデータを前記第2無線局が前記端末へ無線送信する第1状態と、前記制御情報を前記第1無線局が前記第2無線局を介して前記端末へ送信し、前記ユーザデータを前記第2無線局が前記端末へ無線送信する第2状態と、の切り替えの判断を行い、
前記判断の結果に基づいて前記第1状態と前記第2状態とを切り替える、
ことを特徴とする制御方法。