JP6544660B2 - 無線通信システムの時刻同期方法及びデータ収集方法 - Google Patents
無線通信システムの時刻同期方法及びデータ収集方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6544660B2 JP6544660B2 JP2017123780A JP2017123780A JP6544660B2 JP 6544660 B2 JP6544660 B2 JP 6544660B2 JP 2017123780 A JP2017123780 A JP 2017123780A JP 2017123780 A JP2017123780 A JP 2017123780A JP 6544660 B2 JP6544660 B2 JP 6544660B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- time
- slave
- correction signal
- sensor data
- handset
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
- 238000004891 communication Methods 0.000 title claims description 88
- 238000000034 method Methods 0.000 title claims description 80
- 238000013480 data collection Methods 0.000 title claims description 28
- 238000012937 correction Methods 0.000 claims description 85
- 230000005540 biological transmission Effects 0.000 claims description 77
- 230000007958 sleep Effects 0.000 claims description 51
- 238000012546 transfer Methods 0.000 claims description 29
- 230000004913 activation Effects 0.000 claims description 13
- 230000001360 synchronised effect Effects 0.000 claims description 9
- 241000209094 Oryza Species 0.000 description 24
- 235000007164 Oryza sativa Nutrition 0.000 description 24
- QVFWZNCVPCJQOP-UHFFFAOYSA-N chloralodol Chemical compound CC(O)(C)CC(C)OC(O)C(Cl)(Cl)Cl QVFWZNCVPCJQOP-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 24
- 235000009566 rice Nutrition 0.000 description 24
- 238000001994 activation Methods 0.000 description 12
- 238000012545 processing Methods 0.000 description 11
- 238000004088 simulation Methods 0.000 description 11
- 238000012795 verification Methods 0.000 description 11
- 238000003306 harvesting Methods 0.000 description 8
- 230000007246 mechanism Effects 0.000 description 6
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 4
- 238000009313 farming Methods 0.000 description 4
- 230000008569 process Effects 0.000 description 4
- 238000012360 testing method Methods 0.000 description 4
- 238000007796 conventional method Methods 0.000 description 3
- 239000006185 dispersion Substances 0.000 description 3
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 3
- 238000005259 measurement Methods 0.000 description 3
- XLYOFNOQVPJJNP-UHFFFAOYSA-N water Substances O XLYOFNOQVPJJNP-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 3
- 241001227713 Chiron Species 0.000 description 2
- 230000004888 barrier function Effects 0.000 description 2
- 238000012790 confirmation Methods 0.000 description 2
- 238000010276 construction Methods 0.000 description 2
- 238000013461 design Methods 0.000 description 2
- 238000005516 engineering process Methods 0.000 description 2
- 230000007613 environmental effect Effects 0.000 description 2
- 238000011156 evaluation Methods 0.000 description 2
- 230000006870 function Effects 0.000 description 2
- 230000009467 reduction Effects 0.000 description 2
- 239000002689 soil Substances 0.000 description 2
- 230000006641 stabilisation Effects 0.000 description 2
- 238000011105 stabilization Methods 0.000 description 2
- HBBGRARXTFLTSG-UHFFFAOYSA-N Lithium ion Chemical compound [Li+] HBBGRARXTFLTSG-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- 230000002776 aggregation Effects 0.000 description 1
- 238000004220 aggregation Methods 0.000 description 1
- 230000032683 aging Effects 0.000 description 1
- 230000001174 ascending effect Effects 0.000 description 1
- 238000004364 calculation method Methods 0.000 description 1
- 230000008878 coupling Effects 0.000 description 1
- 238000010168 coupling process Methods 0.000 description 1
- 238000005859 coupling reaction Methods 0.000 description 1
- 230000003247 decreasing effect Effects 0.000 description 1
- 238000001514 detection method Methods 0.000 description 1
- 238000011161 development Methods 0.000 description 1
- 230000018109 developmental process Effects 0.000 description 1
- 230000005611 electricity Effects 0.000 description 1
- 238000002474 experimental method Methods 0.000 description 1
- 235000013305 food Nutrition 0.000 description 1
- 238000009434 installation Methods 0.000 description 1
- 229910001416 lithium ion Inorganic materials 0.000 description 1
- 238000004321 preservation Methods 0.000 description 1
- 238000011160 research Methods 0.000 description 1
- 238000004904 shortening Methods 0.000 description 1
- 230000004622 sleep time Effects 0.000 description 1
- 230000008685 targeting Effects 0.000 description 1
- 230000007704 transition Effects 0.000 description 1
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02D—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGIES [ICT], I.E. INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGIES AIMING AT THE REDUCTION OF THEIR OWN ENERGY USE
- Y02D30/00—Reducing energy consumption in communication networks
- Y02D30/70—Reducing energy consumption in communication networks in wireless communication networks
Landscapes
- Mobile Radio Communication Systems (AREA)
Description
現在市販されている製品は、フィールドサーバから取得したセンサデータ等をクラウドに保存する際に、3G回線が利用されている(非特許文献3、4)。しかし、フィールドサーバの台数分、3G回線の月額使用料が必要であり、運用コストを増加させるため、フィールドサーバの導入障壁となりうる。そこで我々は、運用コストの削減を行うために、回線使用料の必要がない、Wi-SUN、LoRa等の基本通信特性を実圃場で調査した。結果、稲作圃場ではLoRaが適していることが判明した(非特許文献5〜7)。
電波時計を用いた時刻同期手法が提案されている(非特許文献8)。この手法は、時刻合わせを行うために3分間程度の時間を要する。そのため、稼働時間が長くなり、低消費電力の実現は困難である。また、受信した信号(タイムコード)をフィールドサーバ内で扱える形式への変換を必要とするが、メモリの少ないPICマイコンにこの処理を行うプログラムは書き込むことができない。そのため、稲作用フィールドサーバに用いることは困難である。
GPSを用いて時刻同期を行う手法が提案されている(非特許文献9)。この手法を用いるには、各フィールドサーバすべてにGPS受信モジュールを搭載する必要があり、導入時における初期費用の増加につながる。このため、導入障壁を下げることが望まれる稲作用フィールドサーバに用いることは困難である。
RBSの改善方法としてTPSN(Timing-sync Protocol for Sensor Networks)が提案されている(非特許文献11)。TPSNは、親機をトップとした木構造を形成し、親機(ルートノード)は子ノードと時刻同期を行う。その子ノードは、さらに下位の子ノードと時刻同期を行う。このように全体を通して時刻を同期する仕組みである。この手法では、時刻同期に長い時間を必要とするため、低消費電力の稼働を望まれる稲作用フィールドサーバには適さない方法である。
前記追加された子機が前記時刻補正信号を要求する信号を前記親機に送信するステップと、前記親機が前記要求信号を受け取った場合、前記追加された子機に対して前記時刻補正信号を送信するステップと、前記追加された子機が前記時刻補正信号を受信し、前記内部時計を補正すると共にスリープモードに切り替わるステップを備えることを特徴とする。
(2)また、前記第2ステップにおいて、前記子機の受信モード中に他の子機の起動時刻になった場合、当該受信モード中の子機がスリープモードに切り替わることを特徴とする。
(3)また、前記第5ステップにおいて、前記時刻補正信号を受信しなかった子機がランダム時間経過後に前記センサデータを前記親機に再送信することを特徴とする。
(5)本発明の無線通信システムのデータ収集方法は、親機と、センサに接続された複数の子機とを備える同期式の無線通信システムのデータ収集方法において、前記親機は常に受信状態を維持しており、前記複数の子機が自身の内部時計に基づいて起動すると同時にスリープモード又は電源オフから送信モードに切り替わり、センサデータを取得する第1ステップと、複数の子機のうち親機に距離が最も近い子機Aが親機にセンサデータを転送し、次に前記子機Aに対して親機が実時間に基づいた時刻補正信号を送信し、次に前記時刻補正信号を受信した前記子機Aが自身の内部時計を補正すると共にスリープモード又は電源オフに切り替わる第2−1ステップと、第2−1ステップと同時に、前記子機A以外の複数の子機のうち2つの子機同士でコネクションを確立し、当該コネクションを確立した2つの子機のうち一方の子機B1が他方の子機B2へセンサデータを転送し、次に前記子機B2が自身の内部時計に基づいた時刻補正信号を前記子機B1に送信し、次に前記時刻補正信号を受信した前記子機B1が自身の内部時計を補正すると共にスリープモード又は電源オフに切り替わる第2−2ステップと、スリープモード又は電源オフに切り替わっていない複数の子機のうち親機に距離が最も近い子機Cが親機にセンサデータを転送し、次に前記子機Cに対して親機が実時間に基づいた時刻補正信号を送信し、次に前記時刻補正信号を受信した前記子機Cが自身の内部時計を補正すると共にスリープモード又は電源オフに切り替わる第3−1ステップと、第3−1ステップと同時に、スリープモード又は電源オフに切り替わっていない複数の子機のうち2つの子機同士でコネクションを確立し、当該コネクションを確立した2つの子機のうち一方の子機D1が他方の子機D2へセンサデータを転送し、次に前記子機D2が自身の内部時計に基づいた時刻補正信号を前記子機D1に送信し、次に前記時刻補正信号を受信した前記子機D1が自身の内部時計を補正すると共にスリープモード又は電源オフに切り替わる第3−2ステップとを備えており、以後、全ての子機が親機にセンサデータを転送してスリープモード又は電源オフになるまで第3−1ステップ及び第3−2ステップを繰り返し行なうことを特徴とする。
また、(2)の発明では、第2ステップにおいて、子機の受信モード中に他の子機の起動時刻になった場合、当該受信モード中の子機をスリープモードに切り替えることにすれば、当該他の子機との通信の衝突を防止できる。
また、(3)の発明では、第5ステップにおいて、子機がランダム時間経過後にセンサデータを親機に再送信することにした場合も、他の子機との通信の衝突を防止できる。
(4)の無線通信システムのデータ収集方法の発明は、(1)の時刻同期方法の発明を取り入れた内容である。具体的には、親機に最も近い子機が親機にセンサデータを転送すると、当該子機に対して親機から実時間に基づいた時刻補正信号が送信され、当該子機は自身の内部時計を補正すると共にスリープモード又は電源オフになる。これと同時に、他の子機のうち距離が最も近い2つの子機同士でコネクションを確立し、親機に遠い方の子機が近い方の子機へセンサデータを転送する。近い方の子機は自身の内部時計に基づいた時刻補正信号を遠い方の子機に送信する。そして、遠い方の子機は自身の内部時計を補正すると共にスリープモード又は電源オフになる。このような動作を繰り返すことで、子機の時刻同期を行いながらセンサデータを迅速に収集することができ、無線通信システムを低消費電力で長期間正確に稼働させることができる。
(5)の無線通信システムのデータ収集方法の発明は、(4)のデータ収集方法の発明の応用例にあたる。具体的には、親機に最も近い子機が親機にセンサデータを転送すると、当該子機に対して親機から実時間に基づいた時刻補正信号が送信され、当該子機は自身の内部時計を補正すると共にスリープモード又は電源オフになる。これと同時に、他の子機のうち適当な2つの子機同士でコネクションを確立し、一方の子機が他方の子機へセンサデータを転送する。他方の子機は自身の内部時計に基づいた時刻補正信号を一方の子機に送信する。そして、一方の子機は自身の内部時計を補正すると共にスリープモード又は電源オフになる。このような動作を繰り返すことで、子機の時刻同期を行いながらセンサデータを迅速に収集することができ、無線通信システムを低消費電力で長期間正確に稼働させることができる。
本実施の形態では、無線通信システムを、圃場の環境情報を各種センサによって取得および活用するための圃場管理システムとする。
圃場管理システムの全体構成図を図1に示す。本システムはフィールドサーバ(子機)、親機、クラウドサービスから構成されている。
フィールドサーバは圃場に設置し、センサデータを取得したのち、無線ネットワークを通じて親機へそのデータを送信する。親機は各圃場に設置されているフィールドサーバからのセンサデータを集約し、3G回線やWi-Fiを介してクラウドへ転送する。
クラウドサービスはスマートフォンやタブレット等のアプリケーションおよびWebページで提供される。農業従事者に対して水位等の警告、作業計画の提案、作業記録の保存などの機能を提供する。
フィールドサーバと親機間の通信に関しては、長距離通信が可能なLoRaを用いる。LoRaは我々が行った基本通信特性調査により、実用通信距離が3,000〜4,000mであることが判っている[7]。今回想定している石川県の圃場では、親機とフィールドサーバ間の直線距離は約3,000m以内である。そのため我々はフィールドサーバと親機間で直接通信が可能なLoRaを採用した。
想定した石川県内の農業法人の各圃場と事務所の位置関係を図2に示す。 A、B、C、D、E、F、Gが各圃場の位置を表し、この地点にフィールドサーバを設置する。Pは事務所の所在地を表し、事務所に親機を設置する。フィールドサーバA〜Gと親機P間の直線距離は、AP間397m、BP間923m、CP間943m、DP間684m、EP間1,150m、FP間1,440m、GP間1,910mである。
フィールドサーバと親機により構成される無線ネットワークの詳細を説明する。
フィールドサーバの構成を図3に示す。フィールドサーバは、モバイルバッテリー、電源ON/OFF回路、AVRマイコン、LoRa無線モジュール、各種センサ、SDカードモジュールで構成されている。フィールドサーバは、圃場に設置することから電源供給が困難であるため、モバイルバッテリー(リチウムイオン二次電池)によって電源供給が行われる。低消費電力を実現するため、電源ON/OFF回路によって1時間のうち、数十秒間のみ稼働する。無線通信やセンサの制御は、AVRマイコンによって行われる。センサは5種類搭載し、温度、湿度、水位、土壌温度、土壌水分度を計測している。
SDカードにはセンサデータをタイムスタンプとともに保存する。これは親機にセンサデータを送信できない場合や親機からの時刻補正信号を受信できない場合においても、センサデータを確実に保存するための機能である。親機との時刻同期に失敗した場合は、SDカードに記録されている前回記録時のタイムスタンプに3,600を加算し、今回記録用のタイムスタンプを求める。
親機の構成を図4に示す。親機は、Raspberry Pi、送信用LoRa無線モジュール、受信用LoRa無線モジュール、3Gドングルで構成されている。
フィールドサーバは初回電源投入時、時刻を保持していないため待機することなく起動する。そのため親機は常に受信状態を維持し、農業従事者がいつフィールドサーバを設置してもフィールドサーバからの通信に対応できることが望ましい。また、LoRa無線モジュールには受信モードと送信モードが存在し、モードの切り替えには時間を要する。そのため、親機では受信専用と送信専用のLoRa無線モジュールを2個搭載することにより、送受信の待機時間削減と常時受信状態の維持を実現した。
フィールドサーバはPIC内時刻が3,600(0)秒の時に起動し、センサデータの取得を行う。そのセンサデータを親機に送信し、親機がセンサデータの受信に成功した場合、親機はフィールドサーバに補正時刻を送信する。フィールドサーバは補正時刻を受け取り、AVRマイコンがPICマイコンに補正時刻を転送する。PICマイコンはこの補正時刻をもとにPIC内時刻を補正する。転送が終了した時点、もしくは後述の1時間あたりの稼働時間が経過した時点でAVRなど電源ON/OFF回路以外は電源をOFFにし、次回起動時まで待機する。
通信に用いるフレームフォーマットを表1、表2、表3に示す。
表1は共通フレームフォーマットである。送信先、送信元およびペイロードで構成される。表2はセンサデータ送信のフォーマットである。これはフィールドサーバから親機へ送信される信号である。現在搭載しているセンサは5種類あるため、センサデータ1〜5までにそれぞれ2Byteでデータを格納できるフォーマットを定義している。またセンサの種類が増えた場合には、センサデータ送信のフォーマットに、2Byte分ずつ追加することで対応できる。表3は時刻補正信号のフォーマットである。これは親機からフィールドサーバへ送信される信号である。親機が取得したタイムスタンプとそれをもとに計算した各フィールドサーバへの補正時刻が格納される。
親機はFS-Aからのセンサデータを受け取ると時刻補正信号をFS-Aに対して送信する。FS-Aはその時刻補正信号をもとにPIC内時刻を補正する。補正後は再送可能時間の途中であっても、スリープ状態へ移行する。フィールドサーバが時刻補正信号の受信もしくは親機が送信に失敗した場合は再送を行う必要があるため、再送可能時間を設けている。この一連の動作をフィールドサーバB(FS-B)、フィールドサーバC(FS-C)も同様に行う。
1時間あたりの稼働時間は、次式(数1)から求められる。この稼働時間は事前にAVRマイコンに書き込まれ、AVRマイコンに電源が投入される毎にPICマイコンへ送られる。
各フィールドサーバの稼働時間は、
フィールドサーバは時刻補正信号を受信できず、かつ受信待機時間が経過した場合、タイムアウト動作を行う。タイムアウト後は、フィールドサーバは0.1から5.0秒までランダム秒待機したのち、再送を行う。この場合のシーケンス動作を図6に示す。図6において、フィールドサーバC(FS-C)がタイムアウトとなり、再送動作を行っている。タイムアウトの発生要因は、
1)電波減衰や復調できない程のノイズによって、親機がフィールドサーバからの通信を受信できない場合
2)複数のフィールドサーバの送信時刻の重なりにより、送信データに衝突が生じた場合
などが考えられる。その際、親機はフィールドサーバに対して時刻補正信号を送らないため、フィールドサーバの受信待機はタイムアウトとなる。タイムアウトとなったフィールドサーバは再送を行うが、初回電源投入のフィールドサーバが行う通信との再衝突を防ぐため、ランダム秒の待機時間を設けている。
フィールドサーバは再送を行なったのち、送信モードから受信モードへ切り替え、受信待機を行う。この動作をフィールドサーバは、親機からの時刻補正信号を受け取れるまで続ける。ただし、他のフィールドサーバと通信の衝突を避けるため、他のフィールドサーバの稼働開始時刻になった場合、強制的に電源をOFFにする。他のフィールドサーバの稼働開始時間までに安定して再送可能な時間を考慮し、1回の再送を行う。
親機は常時受信待機を行なっているため、フィールドサーバは任意のタイミングでセンサデータを送信できる。親機は事前にNTPサーバと時刻同期を行い、正確な時刻を取得している。親機はこの時刻によって時刻補正信号を生成し、フィールドサーバからセンサデータを受信したのち、時刻補正信号を送信する。表3の時刻補正信号のフォーマットに示すとおり、タイムスタンプはUNIX(登録商標)時間が4Byteで入る。これはAVRマイコンのEEPROMやSDカードへセンサデータの書き込みに使用する。補正時刻は、PIC内時刻を補正する際に利用するため、現在時刻から各フィールドサーバ用にずらした時刻を0〜3599秒として2Byteで入れる。通信エラー検出および訂正に用いられるCRC等は、LoRa通信モジュールが追加するため、フォーマットでは定義していない。
図7にフィールドサーバと親機間の時刻同期の仕組みを示す。親機はNTPサーバによって得られた正確な時刻を補正時刻形式でフィールドサーバに送信する。フィールドサーバは補正時刻を受信すると、AVRマイコンを経由し、電源ON/OFF回路内のPICマイコンに転送する。補正時刻は他のフィールドサーバと同時に起動することを防ぐため、現在時刻を適切にずらしたものである。この時刻をずらす計算式を次式(数2)に示す。数2に関して、各フィールドサーバは一意に割り当てられたフィールドサーバ識別子(以下FSID)を持っており、現在時刻t_1からFSID・30を引くことにより、フィールドサーバへ送信する補正時刻t_2が求められている。またフィールドサーバの電源投入時間によっては、時刻t_2が負の値となるが、この場合はt_2に3,600を加算する。
電源ON/OFF回路を制御するPICでは常に内部のクロックで0から3,599秒をカウントしている。PIC内時刻が3,600(0)秒になると、AVRマイコンへ電源を供給する。フィールドサーバは親機から時刻補正信号を受け取ると、PIC内時刻を親機から送信された補正時刻に補正し、カウントを続ける。これを行うことで、フィールドサーバと親機で時刻同期を行っている。2回目以降の起動においてもPIC内時刻が3,600(0)秒に達することでAVRマイコンへ電源供給を行う。
親機は通信エラーなどによりフィールドサーバからのデータを正常に受信できなかった場合、時刻補正信号を送信せずにセンサデータの受信待機状態を維持する。
LoRaおよび考案した通信プロトコルを利用し、親機とフィールドサーバ間で想定通りの動作を行うか確認する目的で、7日間の稼働試験を行った。
検証内容は、
1)親機がフィールドサーバへ時刻補正信号をフィールドサーバの受信待機時間内に返送可能かの確認
2)時刻補正信号を受け取ったフィールドサーバは、即時にスリープ状態へ移行するかの確認
3)時刻補正信号によって各フィールドサーバが適切にタイミングを変更し、指定した時刻に起動するかの確認
である。
通信プロトコルの検証では、フィールドサーバの台数を我々が対象としている圃場例と同数の7台で行った。フィールドサーバと親機間の距離は、親機を中心とし、全フィールドサーバを半径1m以内に設置した。フィールドサーバから親機へ送られたセンサデータは、検証用クラウドへ保存した。
本プロトコルは圃場管理を対象としており、各圃場から収集するセンサデータの時刻に数秒程度のずれは許容する。しかし、各フィールドサーバの起動時刻に大きなずれが生じた場合は、送信するセンサデータの衝突や親機からの時刻補正信号を受け取れないなどの問題を生じる。そのため、各フィールドサーバに指定した一定の時刻に起動するかを検証した。検証方法は各フィールドサーバのFSIDが0x02のフィールドサーバから0x08の順序で通信を行う。フィールドサーバはそれぞれ30秒間隔で起動させる。親機がセンサデータを受信した時刻をもとに72時間分の平均誤差の算出を行い、それぞれ平均最大誤差[s]と平均最小誤差[s]を求めた。
表4に通信プロトコルの検証結果を示す。フィールドサーバの稼働日数は7日間であり、センサデータ取得および送信は1時間間隔である。フィールドサーバが親機へデータを送信した回数は、フィールドサーバ7台、1時間間隔で7日間のため、1,176回である。これに加え、フィールドサーバが親機から時刻補正信号を受信できず、再送を行った回数は9回である。そのため総センサデータ送信回数は1,185回となる。再送を行った9回のうち、9回すべてが再送1回目で時刻同期を完了した。
また再送動作の検証では、フィールドサーバが再送処理でのセンサデータ再送を行ったのち、親機からの時刻補正信号受信し、スリープ状態へと移行した。この動作がシーケンス通りに行われることを確認した。よって問題なく動作していると判断できる。
1時間間隔で行われるすべてのフィールドサーバの通信において、各フィールドサーバに与えられた想定起動時刻と実際に起動した時刻の差を絶対値で調べ、その平均最大・最小誤差を求めた。結果は平均最大誤差が5.277秒、平均最小誤差が4.041秒であった。このことより、各フィールドサーバの起動タイミングはおおよそ5〜6秒のずれが生じると判断できる。時刻同期を用いることで誤差を小さく抑えられているが、少なからず誤差は存在している。
これらの誤差が生じる要因として、電源ON/OFF回路に用いているPICマイコンにおけるクロックの誤差、LoRa通信モジュールの個体差による送信時間のぶれ、CRCによる誤り訂正時間、LoRa変調および復調にかかる誤差などが挙げられる。
しかし、今回提案する圃場管理用通信プロトコルおいて、この誤差は他のフィールドサーバとの衝突が起きない範囲内である。そのため、この通信プロトコルにおいて時刻同期は効果的であり、使用時間に比例する時刻の誤差増加を減少できていることが確認できた。
通信プロトコルの検証とは別に消費電力を検証するための稼働試験を行った。検証の目的は、本システムが要求されている期間、運用可能であるかを確認するためである。
検証内容は、各プロセスでの消費電流をテスターによって測定し、理論的に消費電力を算出することにより要求期間の連続稼働が可能かを確認することである。測定結果を表7に示す。
次式(数3)にシステム稼動時における電力量WN[mW]を求める式を示す。ここで、V1はフィールドサーバの定格電圧[V]、Iaおよびt1はセンサ安定待機時とセンサ取得時の電流[mA]および時間[s]、Ibおよびt2はセンサデータ送信時の電流[mA]および時間[s]、Icおよびt3はモード切り替え時の電流[mA]および時間[s]、Idおよびt4は受信待機時の電流[mA]および時間[s]、Ieおよびt5は受信時の電流[mA]および時間[s]を示している。
次式(数5)に稼働時間Th[h]を求める式を示す。ここで、V2はモバイルバッテリーの電圧[V]、Qはモバイルバッテリーの電気量[mAh]を示している。分子のV2・Qによってモバイルバッテリーの電力量[mWh]を求め、分母のWNおよびWsでフィールドサーバが消費する電力量[mW/h]を求めている。
稼働日数の理論値を数3〜5と表7より求めた。1時間あたりの消費電力量は3.14[mW/h]であり、1日あたり75.36[mW]消費する。今回想定したモバイルバッテリーの容量は75,000[mWh]であることから、995日程度稼働できることが分かった。この日数は理論値であるが、モバイルバッテリーの自然放電等を考慮しても農業法人の要求である6か月間の稼働は可能であると考える。
今回考案した通信プロトコル、特に時刻同期の効果について考察する。従来我々が開発したフィールドサーバでは、同様のハードウェア構成で時刻同期を行わない通信手法を用いている。この手法は親機からすべてのフィールドサーバに対して、データ受信確認およびスリープ命令を兼ねたブロードキャスト信号を一定間隔で送る。ブロードキャスト信号を送る時間の間隔は、フィールドサーバにおける時刻の誤差を考慮して設定しなければならない。そのため、間隔を広く設定する必要がある。また、親機が管理するフィールドサーバの台数増加に比例して時間の間隔を広く設定する必要がある。これは、台数増加による時刻の揺れをすべて許容しなくてはならないためである。我々の想定している圃場例と同数の7台の場合、フィールドサーバ1台あたりの稼働時間は最小48秒で、消費電力は6.10[mW/h]であった。時刻同期を行った本提案の通信プロトコルでは、稼働時間は約16秒で消費電力は3.14[mW/h]であった。
従来の通信手法に対して、今回考案した通信プロトコルでは時刻同期を行うことにより、フィールドサーバ1台あたりの稼働時間を最大30秒に短縮でき、約2倍の効率で低消費電力の実現に成功した。
田植えから稲刈りまでの6ヶ月間稼働するフィールドサーバ開発とLoRaを用いた圃場管理向け通信プロトコルについて述べた。特に時刻同期を行う通信プロトコルの安定性について述べた。提案した通信プロトコルを用いてネットワークを構築し、検証を行った。その結果、センサデータ送信は1,185回行われ、そのうち9回が再送1回目で成功した。そのため1回目の通信に失敗した場合でも、すべてのフィールドサーバからセンサデータの受信に成功することが確認できた。
フィールドサーバの消費電力については、1日あたり75.36[mW]であった。よって、理論上995日の連続稼働が可能であることを確認した。
各フィールドサーバの起動タイミングとしては、おおよそ5〜6秒のずれが生じる。しかし、このずれによって他のフィールドサーバに干渉することはない。そのため、この通信プロトコルにおいて時刻同期は効果的であり、稼働時間に比例する誤差増加を減少することができた。
これらのことから、本フィールドサーバは安定して長期間の稼働が可能であるため、圃場管理システムに有効である。そのため、農作業の負荷低減に本システムは非常に期待できる。
しかし考案した通信プロトコルでは、同一の周波数で管理できるフィールドサーバの台数に制約があり、120台を超える接続ができない。そのため、考案した通信プロトコルを拡張し、マルチホップに対応することで接続台数の上限を改善する必要がある。
本実施の形態では、無線通信システムを、圃場の環境情報を各種センサによって取得および活用するための圃場管理システムとする。
稲作向け圃場管理システムでは、電池等で田植えから稲刈りまでの6か月間稼働を行う必要がある。また、センサで取得したデータは遅延なく農業従事者に提供する必要がある。ここでは、1ラウンドに於いて全データを収集するのにかかる時間を最小化し、また、制約条件として各子機が6か月以上稼働とする消費電力とすることを目標とする。親機および子機はすべて時刻同期が行われていることを前提し、各子機は同じ時刻に起動するとする。データ送受信時は、親機、子機とも1回の処理で高々1つの子機もしくは親機としか通信できない、もしくは1個の子機、親機からすべてのノードへのブロードキャストが行えることとする。そのため、親機および各子機において、同期を取りながら規定されたタイミングでブロードキャスト、子機からのデータを親機が受信、子機は親機もしくは別の子機にデータを送信する。これを繰り返すことで、すべての子機が持つデータを親機に収集する。
送信処理は同期しながら、同じ間隔で繰り返し行われる。1回の送信処理で、稼働している子機、親機はコネクションを確立後、データを送信するため、その時点で稼働している子機数は、第Tステップの子機の数をN(T)とすると、次式(数6)となる。
まず、親機に最も近い子機から親機に対してデータを転送する。同時に子機間の距離が最も近い子機とコネクションが確立され、親機に遠い方の子機から近い方の子機へデータを転送する。次にデータ送信が完了した子機は電源をoffにする。この処理をデータ送信が完了していないノードがなくなるまで繰り返す。提案手法のルーティングプロトコルは以下の通りである。
(1) 各子機に電源が投入され、起動する
(2) 親機から子機へブロードキャストにより送信要求を送付する
(3) 送信要求を受けた子機はデータを取得する
(4) 親機に最も近い子機が親機にデータを送信する。残りの子機は最も距離が近い子機同士でコネクションを確立し、データを親機から遠い方の子機から親機に近い子機へ送信する
(5) データの送信が完了したノードは電源をoffにする
(6) (4)、(5)の処理をすべての子機がデータを転送し、電源OFFされるまで繰り返す
ここでは、ルーティングネットワークグラフ作成手順について説明を行う。ルーティングネットワークグラフとは、子機、親機間、子機、子機間でデータを送信する順序、方向、送信タイミングを記載した表=グラフである。送信処理は、このグラフに従って行われる。ルーティングネットワークを有効グラフ G=(V, E)で定義することとし、Vはノードの集合で、親機と子機がノードとなる。Eは枝の集合で枝e={I, j}はノードiからノードjへデータが送信することを表す。E_iはiステップでデータが送信される枝の集合を表す。ここで、以後の議論を簡単にするため、次のように記号を定義しておく。
V:{N1,N2}ノードの集合
N2:子機ノードの集合
N1:親機ノードの集合
n_0:親機ノード
n_j:子機ノードj where j=1,2,3…
l:親機ノードの数
m:子機ノードの数
e={n_j, n_i}:ノードn_iからノードn_jへのデータ送信
E_i:ステップiでの枝の集合
E={E_1, E_2、 …}
F:送信完了ノードの集合
G:送信未完了ノードの集合
Neighbor(j, G):送信が完了していないノード集合Gの中でノードjに最も距離が近いノード
far(j, G):送信が完了していないノード集合Gの中でノードjに最も距離が遠いノード
Procedure Routing(V, E)
1: F={n_0};
2: G=N2;
3: t=0;
4: While(Gに属するノードが存在する) {
5: /*親機への送信*/
6: t=t+1;
7: i= Neighbor(n_0, G);
/*親機に最も近い子機ノードを見つける. */
8: 枝{n_0, i}を生成し、tタイムステップでの処理を表す集合E_tに入れる
9: ノードiを未送信集合Gから削除する.
10: ノードiを送信完了集合Fに入れる.
11: /*子機間のデータ転送*/
12: T=G;
13: While(Tに属するノードが存在する) {
14: j=far(n_0,T);
15: jをTから削除する。
16: i=Neighbor(j,T)
17: iをTから削除する。
18: 枝{I, j}を生成し、tタイムステップでの処理を表す集合E_tに入れる;
19: ノードjを未送信集合Gから削除する.
20: ノードjを送信完了集合Fに入れる.
21: }
22:}
第1ステップでは親機に最も近い子機5が選ばれ、親機への送信を表す枝が張られる。次に親機から最も遠くにある子機11が選ばれ、子機11に最も近い子機7への枝が張られる。同様に、子機3から子機2への枝、子機10から子機9への枝、子機8から子機6への枝、子機4から子機1への枝が作成され、第1ステップが完了する。第2ステップでは、第1ステップ同様に、親機から最も近い子機9から親機への枝が作成され、子機7から子機6への枝、子機2から子機4への枝が作成される。第3ステップでは、子機4から親機への枝、第4ステップでは子機6から親機への枝が作成される。
第1ステップでは、第1ステップでの処理を表す枝集合E_1に属する枝に対応する送信が親機から子機11、子機11から子機7、子機3から子機2、子機10から子機9、子機8から子機6、子機4から子機1への送信が行われる。送信を受けた子機は自分が保持していたデータと送られてきたデータを1パケットとし、次の送信に備える。
第2ステップでは、第2ステップでの処理を表す枝集合E_2に属する枝に対応する送信、子機9から親機、子機7から子機6、子機2から子機4の送信が行われる。
第3ステップでは、枝集合E_3に属する枝に対応する送信、子機4から親機への送信が行われる。
第4ステップでは、枝集合E_4に属する枝に対応する送信、子機6から親機への送信が行われる。
データ収集に必要なステップ数は、Tステップに於ける起動中の子機の数をN(T)とすると次式(数7)が成立する。
すべての子機データの収集に必要な時間、消費電力を確認するシミュレーションを行った。シミュレータはC言語で作成した。まず、消費電力の計算方法について説明する。親機は常時電源が供給されるため、その消費電力を考察の範囲から除外し、子機のみ計算することとした。各子機は、電池を保持しており、75,000(mWh)の容量があるものとした。子機は動作状態に応じ6つのモード(表8)があるとした。なお、LoRaを用いた消費電力実測値報告(寺田 恵太郎, 豊田 真治, 平田 忠明, 高田 裕也, 松本 恵子, 袖 美樹子LoRaを用いた圃場管理向け通信プロトコルの提案DICOMO2017))を参考に電流消費は下記の通りと仮定した。ここでデータ転送時の電力値が複数存在するのは、送信電力が距離に依存するためであり、距離と実験機器に設定できる送信電力モードに応じて53mA、62mA、69mA、78mAとした。
ところで、子機によるデータの結合時間に関しては、本来ならば時間測定を行い、それに基づき消費電力を導出すべきであるが、実装上、送信すべきデータを連続した領域に並べて配置するようにした関係上、送信時の消費電力に含めてよいほど微細であり今回のシミュレーションでは無視している。今後、マージする子機数が増加した場合には配慮すべき点であるが、今回は送信時の動作に含まれるとした。
表9に、作成したデータの親機と子機の配置について説明する。ここでは親機を中心として、指定した半径にランダムに子機を指定個数配置した。DATA1は親機1、子機99とし、親機と子機の分散範囲は半径500mとした。DATA2は、親機1、子機200とし、親機と子機の分散範囲は半径500mとした。DATA3は、親機1、子機300とし、親機と子機の分散範囲は半径3000mとした。子機の数、および距離の選定理由は、実際の圃場で農業従事者が連続的に監視するエリアの大きさ、またそれを子機に置き換えた場合に必要な子機数、圃場全域のサイズを考慮して決定した。
比較はDirect、PEGASIS、EPEGASIS、CHIONと提案手法でシミュレーションにより行った。また、比較を行った項目は、以下の3つの項目とした。その理由は、農業従事者が水田のデータをリアルタイムに確認出来る事、即ちデータ収集時間最小、田植えから稲刈りまでの6か月間電池で稼働することとした事に起因する。
(1) 1ラウンドに於けるデータ収集に必要な時間
(2) 1ラウンドに於ける総消費電力
(3) 最大稼働日数
図9では各ステップに於ける送信完了ノード数を示す。Directはノードが直接親機にデータを送信するため、1ノードずつ親機へのデータ送信が完了する。その為、線形に送信完了ノード数が増加することが分かる。PEGASISは、チェインでデータを送っていく仕組みであるため、最終チェインヘッドがデータを親機に送信した時にすべての子機データが親機に送信されたことになる。その為最後の時刻ですべてのデータが親機に送信され、処理が完了することが分かる。EPEGASISは、複数のチェインを作成しチェインに沿ってデータをチェインヘッドに送って行き、次に各チェインヘッドがデータを親機にデータを送る仕組みである。その為データは、数度にわたり親機に送られ、階段状にデータ送信完了ノードが増加している。CHIRONは複数の小さな領域に分け、その領域でチェインを形成しデータをチェインヘッドに収集し、チェインヘッドがデータを親機に送信する仕組みである。その為、小さなクラスタ毎データが収集され親機に送られることが確認できる。
一方、提案手法は、まず1子機分のデータが親機に送られ、次に2子機分のデータが親機に送られ、次に4子機分のデータが送られる。この様に親機に送られるデータの個数は毎回2倍で増加していく。この為急速にデータが収集されることが確認できる。結果として、提案する手法が最も高速にデータ収集可能なことが確認出来る。
DATA3に対するシミュレーション結果を表12に示す。提案手法は、他の方法と比べ、データを親機に収集する時間が最も短い事が分かる。また、消費電力、寿命も最も小さいことが分かる。また、理論値に於いては、田植えから稲刈りまでの期間6か月稼働できることが分かる。また、DATA1と比べ子機数が3倍となっているが収集に必要な時間の増加は6秒と短いことが分かる。
図11は、図10からEPEGASIS、CHIRON、提案手法を抜き出し図示したものである。この図から、提案手法はデータ数増加に対するデータ収集に必要な時間の増加率が最も小さく、子機数が増えても短い時間でデータを収集可能であることが分かる。また、伸び率はノード数に対して3%の伸びであることが分かる。このため、想定した圃場管理システムにとって、最も適した方法と考えられる。
水田は他の圃場と異なり電源供給が難しい点に加え、農作業の障害となる大型の発電装置を設置することは困難である。その為、フィールドサーバは電池等で動作しなくてはならず、低消費電力化に課題があった。また、通信に供する回線使用料は農耕に必要なコスト全体から考えると可能な限り低減せざるを得ない。我々は、IoT向け通信規格であるISMバンドを用いた低消費電力かつ伝送距離の長いLoRaを用いた圃場間通信の検討を行った。
電源の無い環境で、田植えから収穫までの6か月稼働するセンサノードである子機と親機間において、短時間でデータの収集を可能とするルーティング手法を提案した。提案手法は、センサから取得したデータを保持する各子機間、子機と親機間で、データのマージ処理および伝達を行うことによって、データ収集に必要な時間を短縮する特徴を持ち、従来手法とのシミュレーションを用いた比較の結果、子機のデータを親機に収集する収集時間が最も短いことが確認できた。また、消費電力も従来方法と比べ小さいことが確認できた。さらに、子機数の増加による親機へのデータ収集に必要な時間の伸び率が他の手法と比べ小さく、有効な方法であることが確認できた。
稲作圃場の状況をタイムリーに伝達可能とする本提案は、農作業の負担軽減に有益な手法と考える。今後は、親機の受信能力や、子機間のデータのルーティング方法、データの集約個数などのパラメータを増減することによって、圃場に最適な解を得るため、シミュレーションおよびフィールドでの実験を進める予定である。
Claims (5)
- 親機と、センサに接続された複数の子機とを備える同期式の無線通信システムの時刻同期方法において、
前記親機は常に受信状態を維持しており、
前記子機が自身の内部時計に基づいて起動すると同時にスリープモードから送信モードに切り替わり、センサデータを取得する第1ステップと、
前記子機が前記センサデータを前記親機に送信し、その後一定時間受信モードに切り替わる第2ステップと、
前記親機が前記センサデータを受信した場合、前記子機に対して実時間に基づいた時刻補正信号を送信する第3ステップと、
前記子機が前記受信モード中に前記時刻補正信号を受信した場合、前記内部時計を補正すると共にスリープモードに切り替わる第4ステップと、
前記子機が前記受信モード中に前記時刻補正信号を受信しなかった場合、前記受信モードから送信モードに切り替わり、前記センサデータを前記親機に再送信し、受信モードに切り替わる第5ステップを少なくとも備えており、
前記無線通信システムに子機が新しく追加された場合、
前記追加された子機が前記時刻補正信号を要求する信号を前記親機に送信するステップと、
前記親機が前記要求信号を受け取った場合、前記追加された子機に対して前記時刻補正信号を送信するステップと、
前記追加された子機が前記時刻補正信号を受信し、前記内部時計を補正すると共にスリープモードに切り替わるステップを備えることを特徴とする無線通信システムの時刻同期方法。 - 前記第2ステップにおいて、前記子機の受信モード中に他の子機の起動時刻になった場合、当該受信モード中の子機がスリープモードに切り替わることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システムの時刻同期方法。
- 前記第5ステップにおいて、前記時刻補正信号を受信しなかった子機がランダム時間経過後に前記センサデータを前記親機に再送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信システムの時刻同期方法。
- 親機と、センサに接続された複数の子機とを備える同期式の無線通信システムのデータ収集方法において、
前記親機は常に受信状態を維持しており、
前記複数の子機が自身の内部時計に基づいて起動すると同時にスリープモード又は電源オフから送信モードに切り替わり、センサデータを取得する第1ステップと、
複数の子機のうち親機に最も距離が近い子機Aが親機にセンサデータを転送し、次に前記子機Aに対して親機が実時間に基づいた時刻補正信号を送信し、次に前記時刻補正信号を受信した前記子機Aが自身の内部時計を補正すると共にスリープモード又は電源オフに切り替わる第2−1ステップと、
第2−1ステップと同時に、前記子機A以外の複数の子機のうち距離が最も近い2つの子機同士でコネクションを確立し、当該コネクションを確立した2つの子機のうち親機に距離が遠い方の子機B1が近い方の子機B2へセンサデータを転送し、次に前記近い方の子機B2が自身の内部時計に基づいた時刻補正信号を前記遠い方の子機B1に送信し、次に前記時刻補正信号を受信した前記遠い方の子機B1が自身の内部時計を補正すると共にスリープモード又は電源オフに切り替わる第2−2ステップと、
スリープモード又は電源オフに切り替わっていない複数の子機のうち親機に最も距離が近い子機Cが親機にセンサデータを転送し、次に前記子機Cに対して親機が実時間に基づいた時刻補正信号を送信し、次に前記時刻補正信号を受信した前記子機Cが自身の内部時計を補正すると共にスリープモード又は電源オフに切り替わる第3−1ステップと、
第3−1ステップと同時に、スリープモード又は電源オフに切り替わっていない複数の子機のうち距離が最も近い2つの子機同士でコネクションを確立し、当該コネクションを確立した2つの子機のうち親機に距離が遠い方の子機D1が近い方の子機D2へセンサデータを転送し、次に前記近い方の子機D2が自身の内部時計に基づいた時刻補正信号を前記遠い方の子機D1に送信し、次に前記時刻補正信号を受信した前記遠い方の子機D1が自身の内部時計を補正すると共にスリープモード又は電源オフに切り替わる第3−2ステップとを備えており、
以後、全ての子機が親機にセンサデータを転送してスリープモード又は電源オフになるまで第3−1ステップ及び第3−2ステップを繰り返し行なうことを特徴とする無線通信システムのデータ収集方法。 - 親機と、センサに接続された複数の子機とを備える同期式の無線通信システムのデータ収集方法において、
前記親機は常に受信状態を維持しており、
前記複数の子機が自身の内部時計に基づいて起動すると同時にスリープモード又は電源オフから送信モードに切り替わり、センサデータを取得する第1ステップと、
複数の子機のうち親機に距離が最も近い子機Aが親機にセンサデータを転送し、次に前記子機Aに対して親機が実時間に基づいた時刻補正信号を送信し、次に前記時刻補正信号を受信した前記子機Aが自身の内部時計を補正すると共にスリープモード又は電源オフに切り替わる第2−1ステップと、
第2−1ステップと同時に、前記子機A以外の複数の子機のうち2つの子機同士でコネクションを確立し、当該コネクションを確立した2つの子機のうち一方の子機B1が他方の子機B2へセンサデータを転送し、次に前記子機B2が自身の内部時計に基づいた時刻補正信号を前記子機B1に送信し、次に前記時刻補正信号を受信した前記子機B1が自身の内部時計を補正すると共にスリープモード又は電源オフに切り替わる第2−2ステップと、
スリープモード又は電源オフに切り替わっていない複数の子機のうち親機に距離が最も近い子機Cが親機にセンサデータを転送し、次に前記子機Cに対して親機が実時間に基づいた時刻補正信号を送信し、次に前記時刻補正信号を受信した前記子機Cが自身の内部時計を補正すると共にスリープモード又は電源オフに切り替わる第3−1ステップと、
第3−1ステップと同時に、スリープモード又は電源オフに切り替わっていない複数の子機のうち2つの子機同士でコネクションを確立し、当該コネクションを確立した2つの子機のうち一方の子機D1が他方の子機D2へセンサデータを転送し、次に前記子機D2が自身の内部時計に基づいた時刻補正信号を前記子機D1に送信し、次に前記時刻補正信号を受信した前記子機D1が自身の内部時計を補正すると共にスリープモード又は電源オフに切り替わる第3−2ステップとを備えており、
以後、全ての子機が親機にセンサデータを転送してスリープモード又は電源オフになるまで第3−1ステップ及び第3−2ステップを繰り返し行なうことを特徴とする無線通信システムのデータ収集方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017123780A JP6544660B2 (ja) | 2017-06-25 | 2017-06-25 | 無線通信システムの時刻同期方法及びデータ収集方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017123780A JP6544660B2 (ja) | 2017-06-25 | 2017-06-25 | 無線通信システムの時刻同期方法及びデータ収集方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019009626A JP2019009626A (ja) | 2019-01-17 |
JP6544660B2 true JP6544660B2 (ja) | 2019-07-17 |
Family
ID=65029130
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017123780A Expired - Fee Related JP6544660B2 (ja) | 2017-06-25 | 2017-06-25 | 無線通信システムの時刻同期方法及びデータ収集方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6544660B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022118664A1 (ja) | 2020-12-03 | 2022-06-09 | パナソニックホールディングス株式会社 | 無線通信システムおよび無線通信方法 |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7291391B2 (ja) * | 2019-09-02 | 2023-06-15 | 株式会社四国総合研究所 | 無線通信システムおよび子局制御プログラム |
JP6813202B1 (ja) * | 2019-09-04 | 2021-01-13 | Necプラットフォームズ株式会社 | 無線通信システム、無線通信方法、中継局、及びプログラム |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09284410A (ja) * | 1996-04-19 | 1997-10-31 | Nippon Steel Corp | 分散データの収集システムおよびその収集方法 |
JP6338370B2 (ja) * | 2013-12-27 | 2018-06-06 | 三菱電機株式会社 | ノード装置、無線マルチホップネットワークおよび時刻同期方法 |
JP6390215B2 (ja) * | 2014-07-02 | 2018-09-19 | 株式会社ソシオネクスト | 無線通信システム、無線通信装置および無線通信システムの制御方法 |
-
2017
- 2017-06-25 JP JP2017123780A patent/JP6544660B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022118664A1 (ja) | 2020-12-03 | 2022-06-09 | パナソニックホールディングス株式会社 | 無線通信システムおよび無線通信方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019009626A (ja) | 2019-01-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Jiang et al. | Hybrid low-power wide-area mesh network for IoT applications | |
Barrenetxea et al. | Sensorscope: Out-of-the-box environmental monitoring | |
Barrenetxea et al. | Wireless sensor networks for environmental monitoring: The sensorscope experience | |
JP6544660B2 (ja) | 無線通信システムの時刻同期方法及びデータ収集方法 | |
CN102087132B (zh) | 一种水表的无线通讯处理方法 | |
WO2013158591A1 (en) | Communicating data in a mesh network | |
Weiss et al. | A power-efficient wireless sensor network for continuously monitoring seismic vibrations | |
JP5766503B2 (ja) | 無線管理システム、無線端末装置および伝送管理方法 | |
BR112019009284B1 (pt) | Métodos e sistema para otimização de mensagem de difusão para dispositivos de baixa energia que se comunicam com um nó em uma rede de salto de canal com partições de tempo | |
Gheorghe et al. | Fault-tolerant flooding time synchronization protocol for wireless sensor networks | |
CN102883399A (zh) | 基于簇的ctp路由协议 | |
CN111836224A (zh) | 用于快速数据采集时间的混合三层电池管理系统 | |
CN104200641B (zh) | 一种基于能源审计的数据采集方法 | |
US11516561B2 (en) | Method for reading fluid meters | |
Hirata et al. | Proposal of a power saving network for rice fields using LoRa | |
He et al. | Why are long-term large-scale wireless sensor networks difficult: Early experience with GreenOrbs | |
CN110582060A (zh) | 通信方法、装置、节点设备及其存储介质 | |
Mager et al. | BUTLER: Increasing the Availability of Low-Power Wireless Communication Protocols. | |
US11916683B2 (en) | Overloading broadcast dwell intervals in unsynchronized channel hopping mesh networks | |
CN104581901B (zh) | 一种用于能源监测的分簇式数据网络建立和传输方法 | |
Sahota et al. | Performance modeling and simulation studies of MAC protocols in sensor network performance | |
Zhao et al. | Enabling multi-hop communications through cross-layer design for hybrid WSNs with transmit-only nodes | |
US11811533B2 (en) | Frame acknowledgement method | |
Gao et al. | Reprogramming over low power link layer in wireless sensor networks | |
Tanaka | Proposal of IoT Communication Method for the Rice Field |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20181108 |
|
A871 | Explanation of circumstances concerning accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871 Effective date: 20181108 |
|
A975 | Report on accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005 Effective date: 20181115 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20181129 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20190123 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190319 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20190524 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20190606 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6544660 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |