JP6543431B2 - 眼内薬物送達デバイスおよび付随する方法 - Google Patents

眼内薬物送達デバイスおよび付随する方法 Download PDF

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Description

本発明は、対象の眼球内への製薬活性薬剤の継続的および標的(局所的)送達のシステム、方法およびデバイスに関するものである。従って、本発明は、高分子化学、材料科学、高分子科学、薬物送達、製剤科学、薬学および医学、特に眼科学の分野に関する。
加齢黄斑変性(AMD)および緑内障はアメリカ合衆国および全世界における失明の主要な原因の2つである。現在の緑内障治療法では、多くの場合対象は様々な頻度で目に塗布しなければならないいくつかの局所薬剤を処方され、場合によっては1日につき最大3回または4回の多薬投与を必要とする。これらの投与計画は対象が一貫して従うのが多くの場合困難であり、多くの患者は眼内シャント術または線維柱帯切除術のような外科的治療を必要とする状態まで進行し、重篤な付随する合併症を有する。
黄斑変性を有する対象は、月毎に硝子体内注射を受けることが多くの場合求められる。そのような注射は痛みを伴い、網膜剥離、眼内炎および他の合併症を引き起こす可能性がある。さらにまた、これらの注射は、ごく一部の眼科グループである網膜外科医のみにより行われ、費用の増加をもたらし、目の治療を行う上でボトルネックとなっている。
術後手術炎症は眼圧上昇(IOP)を伴い、嚢腫状組織黄斑浮腫(CME)、癒着形成、後嚢混濁(PCO)および続発性緑内障の可能性を増加させる。複数の点眼薬を数週間にわたる治療において1日に定期的に複数回点眼する必要があるため、患者の薬剤服用順守は術後炎症の治療において重要である。薬剤服用順守の欠如により局所薬物の効能は損なわれ、それは角膜吸収によりさらに制限され、治療経過の間、非常に多様な眼内濃度を有することとなる。ブドウ膜炎は特に眼球の中間層の炎症を指し、「ブドウ膜」と呼ばれるが、一般的な用法では眼球の内部に影響を与える任意の炎症過程を指す。ブドウ膜炎はアメリカ合衆国における失明の約10%の原因となると推定される。
術後白内障手術炎症は、患者の薬剤服用順守を改善することにより、十分にコントロールすることが可能である。入手可能な文献および経験で獲得した知識が示す局所投与後の薬物透過は不全であり、より高い全身濃度は高頻度の全身性の有害事象を意味する。これら全ての因子は、炎症を効果的におさえる製薬活性薬剤の持続的眼内送達の必要性を強調するものである。
対象の眼球への活性薬剤の送達のためのデバイス、システムおよび方法は、生物分解性の活性薬剤マトリックスの範囲内で分散する活性薬剤を含む眼内活性薬剤の送達デバイスを含むことが可能である。
図1は、ディスクの形状をした活性薬剤の送達デバイスの上面図である。 図2は、ディスクの形状をした活性薬剤の送達デバイスの側面図である。 図3は、本発明の更なる態様による眼内デバイスの移植後の様々な眼球組織において存在する活性薬剤の量のグラフ図である。 図4は、生物分解性のデキサメタゾン移植片(BDI)を示す写真である。 図5は、BDI−1移植の試験管内の放出動力学のグラフである。データは平均値±SD(n=3)として示される。 図6は、ニュージーランドホワイトウサギ(NZW)の房水および硝子体液におけるデキサメタゾン(DXM)の120〜160μgによるBDI−1移植の濃度プロファイルに対する時間である。 図7は、NZWウサギの虹彩/毛様体および網膜/脈絡膜におけるDXMの120〜160μgよるBDI−1移植の濃度プロファイルに対する時間である。 図8は、(300μgのDXMを含む)BDI−2移植片からのデキサメタゾンの試験管内の放出動力学のグラフである。データは平均値±SD(n=3)として示される[製剤A:PLGA 50:50、M.W.7,000−17000、製剤B:PLGA 65:35、M.W.17000−32000、製剤C:PLGA 50:50、M.W.7,000−17000(50%)、PLGA 65:35、M.W.17000−32000(50%)、製剤D:PLGA 50:50、10%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含むM.W.7,000−17000]。 図9は、ニュージーランドホワイトウサギの房水におけるBDI−2移植および局所点眼薬の濃度プロファイルに対する時間のグラフである。 図10は、ニュージーランドホワイトウサギの硝子体液におけるBDI−2移植および局所点眼薬の濃度プロファイルに対する時間のグラフである。 図11は、ニュージーランドホワイトウサギの網膜/脈絡膜におけるBDI−2移植および局所点眼薬の濃度プロファイルに対する時間のグラフである。 図12は、4つのグループ、標準コントロール、局所点眼剤、BDIおよび正常コントロールにおけるニュージーランドホワイトウサギの角膜の厚さに対する時間のグラフである。
これらの図面は単に本発明の例証的な実施形態を表したものであり、従って、その範囲を限定するものとみなされるべきではない。本明細書において記述され、図示されるように、本発明の構成要素が多種多様な異なる構造で配置され、サイズを設定し、設計されることが可能であることを容易に認識されよう。
本発明の例証的な実施形態の以下の詳細な説明は、本明細書の一部を形成する添付の図面を参照して行われ、実例として本発明が実施される可能性のある例証的な実施形態が示される。当業者が本発明を実施可能であるために十分詳細にこれらの例証的な実施形態が記述されるが、他の実施形態が認識される可能性があり、本発明の様々な変更が本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされる可能性があることを理解すべきである。従って、本発明の実施形態についての以下のより詳細な説明は、特許請求しているような本発明の範囲を限定することを意図したものではないが、本発明の操作の最良の形態を記述し、当業者が本発明を実施することを十分可能にするために、記述される本発明の特徴および特性を制限せず、単なる例証の目的でのみ示される。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求項によりのみ定義されるものである。
本明細書および添付の特許請求項において用いられる場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに別の意味を述べない限り、複数形の指示対象物を含むことに注意しなければならない。従って、例えば「薬物」への言及はそのような薬物の1若しくはそれ以上への言及を含み、「賦形剤」への言及はそのような賦形剤の1若しくはそれ以上への言及を含み、「充填」はそのような工程の1若しくはそれ以上を指す。
定義
本発明を説明および特許請求するにおいて、以下の用語が下記の定義に従い用いられる。
本明細書において用いられる場合、「活性薬剤」、「生物活性薬剤」、「薬学的活性薬剤」および「薬物」は、有意な量または有効な量で対象に投与される場合、測定可能な特定の生理学的活性または選択された生理学的活性を有する薬剤または物質を指すのに区別せず用いられる可能性がある。これらの用語は製薬および医学の分野において周知である。
本明細書において用いられる場合、「生体内分解性の」および「生物分解性の」は、対象生物の体内、特に対象の眼球の水晶体嚢または毛様溝において時間経過とともに分解されることが可能な材料を指すのに区別なく用いられる可能性がある。生体内分解性の材料はゆっくりと溶解する固体マトリックスであることがあり、生体内分解性の材料に組み込まれた任意の活性薬剤を放出する。移植片を対象から除去する必要がないように、最終的に生体内分解性の移植片は完全に溶解することが可能である。
本明細書において用いられる場合、「製剤」および「組成物」が、区別なく本明細書において用いられる可能性があり、2若しくはそれ以上の要素または物質の組合せを指す可能性がある。いくつかの実施形態において、組成物は、活性薬剤、送達、デポー剤形成、その他を強化するために、活性薬剤、賦形剤または担体を含むことが可能である。
本明細書において用いられる場合、「対象」は、本明細書において言及されるように、組成物または方法の実施により恩恵を受ける可能性のある哺乳類を指す。対象の例はヒトを含み、またウマ、ブタ、ウシ、イヌ、ネコ、ウサギ、水生哺乳類、その他のような他の動物を含むことが可能である。
本明細書において用いられる場合、「リザーバー」および「活性薬剤リザーバー」という用語は区別なく用いられる可能性があり、活性薬剤を含むことが可能な物体、塊状物または空洞を指す可能性がある。よって、リザーバーは、当技術分野の当業者に周知である液体、ゼラチン、スポンジ、半固体、固体またはその他の形態の活性薬剤を含む可能性のある任意の構造物を含むことが可能である。いくつかの態様において、リザーバーはまた活性薬剤マトリックスを含むことが可能である。そのようなマトリックスは当技術分野で周知である。リザーバーは必ずしも別の材料をそれ自体の中に封入する物理構造を持つというわけではない。場合により、リザーバーは単に構造体を含む任意の外部を持たない活性薬剤マトリックスの特定の量であることが可能である。
本明細書において用いられる場合、「眼内レンズ」という用語は、水晶体を対象の眼球に置換するために利用されるレンズを指す。そのような眼内レンズは、事実上合成的または生物学的なものであることがある。さらに、いくつかの態様において、「眼内レンズ」という用語はまた、眼球に付随していた元々の天然レンズを指すことが可能である。
本明細書において用いられる場合、「毛様溝」という用語は、虹彩の後根と目の毛様体との間の隙間を指す。
本明細書において用いられる場合、「実質的に」という用語はある作用、特徴、特性、状態、構造、事項または結果が完全であるかほとんど完全な範囲または程度を指す。例えば、「実質的に」囲まれた対象物は、その対象物が完全に囲まれるか、若しくはほぼ完全に囲まれることを意味する。絶対的な完全性からの正確な許容逸脱度は、場合により具体的な状況に依存する可能性がある。しかしながら、一般的に言えば、完全性に近い状態は、あたかも絶対的および総合的な完全性が得られたのと同じように同じ全体的な結果を有するものとなるようにすることである。「実質的に」という用語の使用は、ある作用、特徴、特性、状態、構造、事項または結果が完全であるかまたはほとんど完全に不足しているかを言及するために否定的な意味合いで用いられる場合、同等に適用可能である。例えば、粒子を「実質的に含んでいない」組成物は、完全に粒子が欠如しているか、またはほぼ完全に、あたかもそれが完全に粒子を欠いていて関連する影響が同じであるように粒子を欠いている。言い換えれば、ある成分または要素を「実質的に含んでいない」組成物は、その影響が測定可能でない限り、実際にはそのような品目がずっと含まれる可能性がある。
本明細書において用いられる場合、「約」という用語は、ある値がその端点の「少し上側」または「少し下側」である可能性を提供することにより、数値の範囲の端点に柔軟性を提供するのに用いられる。
本明細書において用いられる場合、複数の事項、構造的な要素、構成要素および/または材料が、便宜上、1つの共通のリストに示される可能性がある。しかしながら、これらのリストはあたかもリストの各々のものが別々の独特なものとして個々に認識されるものと解釈されるべきである。従って、そのようなリストの個々のものは、単にそれとは反対の表示を伴わず1つの共通グループにそれらが掲示されていることのみから判断し、その同じリストの他の任意のものの事実上の同等物として解釈されるべきではない。
本明細書において濃度、総計および他の数値データは、範囲形式として表示または示される可能性がある。そのような範囲形式が単に便宜上および簡素化のために用いられたものであり、従って、その範囲の限界値として明確に言及される数値だけを含むだけでなく、あたかも各々の数値および部分的範囲が明確に言及されているかのようにして、その範囲に包含されるすべての個々の数値または部分的範囲をも含むものと柔軟に解釈すべきであることを理解する必要がある。具体例として、「約1〜約5」の数値範囲は、約1〜約5までの明確に言及された値だけを含むだけでなく、この示された範囲内の個々の値および部分的範囲をも含むものと解釈すべきである。従って、この数値範囲には、2、3および4のような個々の値、および1−3、2−4および3−5などのような部分的範囲が含まれる。これと同じ原則が、1つの数値のみに言及している範囲にも適用される。さらにまた、そのような解釈は、範囲の幅または記述されている特性に関係なく、適用されるものとする。
任意の方法またはプロセスの特許請求の範囲において言及される任意の工程は任意の順序ででも実行される可能性があり、特に明記しない限り特許請求の範囲で示される順序に限定されるものではない。特定の特許請求の範囲の限定に対し、以下の条件の全てがその制限に存在する場合においてのみ、手段・プラス・機能または工程・プラス・機能の限定は用いられる。a)「〜のための手段」または「〜のための工程」は明確に記述されていること、およびb)対応する機能が明確に記述されていること。手段・プラス機能をサポートする構造、材料または作用は、本明細書における説明で明確に記述されている。従って、本明細書において与えられている説明および実施例によってではなくむしろ、本発明の範囲は単に添付の特許請求項およびそれらの合法的同等物によってのみ決定されるべきである。
眼内薬物送達デバイス
眼内薬物送達デバイスは、移植可能で、以降の手術が多くの場合不必要なような生物分解する嚢内リザーバーを提供することで、頻回注射または複雑な点眼薬治療法の必要性を軽減することにより、改善された目の薬物の送達を提供することが可能である。さらに、デバイスは異なる薬を寄せ集めまたは組合せ送達することが可能である。
目の活性薬剤の持続的放出を長時間提供する新規の眼内薬物送達デバイス、システムおよび付随する方法が開示され、記述される。加齢黄斑変性(AMD)のような多くの眼疾患に関する1つの問題は、対象が痛みを伴う目の注射を受けることが恒常的に必要であることであり、それは網膜剥離、硝子体出血および眼内炎の重大な危険性を有する。眼内薬物送達デバイスは時間の経過とともに活性薬剤の放出を許し、従って、頻繁な目の注射の必要がなくなる。
いくつかの態様において、本デバイスは白内障手術中に移植可能であり、白内障摘出術に本質的に「便乗」するものであり、これにより、付加的な外科的処置の必要性を排除することが可能である。白内障摘出術に「便乗」することによる1つの利点は手術後に直接ステロイド剤、抗生物質および様々な非ステロイド系物質を眼に送達可能であることであり、従って、嚢腫状組織黄斑浮腫のような合併症を最小化にするのに役立つ。他の態様において、デバイスは白内障治療手術とは別の、例えば水晶体嚢の再開口を伴う前回の水晶体摘出の後に続く手術中に移植することが可能である。
AMD、増殖性糖尿病網膜症、血管閉塞性疾患および放射線網膜症のような様々な眼疾患において、新血管形成が病理学的経過の鍵である点に留意する必要がある。その上、緑内障の発病率は全世界で増加している。AMDにおける重度のブドウ膜炎および地勢的萎縮を含む多くの他の障害はそのような眼内薬物送達デバイスを用い治療することが可能である。従って、そのような前眼部薬物送達デバイスは対象の生活の質を改善する大きな可能性を有する。
薬物送達デバイスはデキサメタゾンまたは他の抗炎症剤を動力学をゼロに近いオーダーで最大2週間、継続的に送達することが可能である。ブドウ膜炎の治療には抗炎症剤の長期(6−8週間)持続的送達が必要である。局所薬を用いる最も大きな不利益は、ごく低濃度でしか後眼部および特に網膜/脈絡膜に薬物が届かないことである。設計され開示された薬物送達デバイスは、前眼房および後眼房両方にゼロ近いオーダーの動力学で継続的にデキサメタゾンを送達することが可能であり、よって効果的に炎症をおさえる。
従って、製薬活性薬剤の持続放出により、白内障手術を受けているAMD、術後手術炎症およびブドウ膜炎患者の治療を改善する有利な条件が存在する。従って、本発明は対象の眼球への活性薬剤の送達におけるシステム、デバイスおよび付随する方法を提供する。1態様において、図1に示されるように、目の活性薬剤の送達デバイス100は生物分解性の活性薬剤マトリックス110を含むことが可能である。目の活性薬剤の送達デバイスは水晶体嚢の中で適合するように大きさを設定し設計することが可能である。1態様において、デバイスは縫合なしであることが可能である。縫合の必要がないデバイスはデバイスを適所に維持するための縫合を必要とせず水晶体嚢内に挿入し保持することが可能なデバイスまたは構造として定義することが可能である。デバイスは目の視線を遮ることなく、適所にとどまることが可能である。
活性薬剤の送達デバイスは、さらなる活性薬剤または他の望ましい治療的に有益な物質の送達のため、1若しくはそれ以上の付加的な/分離したリザーバーを任意に含むことが可能である。1態様において、例えば、デバイスは第1の活性薬剤を含む生物分解性の活性薬剤マトリックスを有する第1の活性薬剤リザーバー、および第2の活性薬剤を含む生物分解性の活性薬剤マトリックスを有する第2の活性薬剤リザーバーを含むことが可能である。第2の活性薬剤リザーバーは、デバイス内で、例えば第1の活性薬剤リザーバー中に配置される生物分解性マトリックスの層と言ったような、ある領域を占めることが可能である。第2の活性薬剤リザーバーは第1の活性薬剤リザーバーに含まれる活性薬剤と同一または異なる活性薬剤を含むことが可能である点に留意する必要がある。第2の活性薬剤リザーバーはまた、第1の活性薬剤リザーバーとは異なるマトリックス材料を有することが可能である。例えば、異なる解散率を持つマトリックス材料は、第1および第2のリザーバーから薬物送達の比率をコントロールするのに用いられることが可能である。個々のリザーバーは、遮水壁により、または単に隣接した薬物マトリックスを提供することにより分離することが可能である。
1態様において、図1および図2で示すように、活性薬剤の送達デバイス100は、デバイス内に任意の第2の活性薬剤リザーバー120を有することが可能である。この特定の実施形態において、デバイスは、外側が第1の活性薬剤マトリックスにより囲まれる中心部に第2の活性薬剤マトリックスを有する第2のリザーバーを持つディスク形状である。この構造は、第1のマトリックス材料により囲まれる第2のマトリックス材料の核を形成するのに、第1および第2のマトリックス材料の同時押出により製造することが可能である。他の実施形態において、中心部に第2のリザーバーを持たないこと以外、活性薬剤の送達デバイスは図1および図2で示すようなディスク形状であることが可能である。従って、全ての活性薬剤の送達デバイスは1つの均質なマトリックス材料であることが可能である。
生物分解性のマトリックスは、様々な高分子および非高分子材料を含むことが可能である。適切なマトリックス材料の非限定的な特定の例は、生物分解性ポリマー(例えばPLGA、アルブミン)、コロイド懸濁液、ナノ粒子、微小粒子、マイクロスフェア、ナノスフェア、ヒドロゲル、プライト、ポリカルボフィル、固体マトリックスなどを含む。
数多くの活性薬剤が様々な眼疾患の治療において知られているが、AMD(血管新生型または萎縮型)、緑内障、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、ブドウ膜炎、角膜移植拒絶反応、嚢線維症、後嚢の混濁化、網膜静脈閉塞症、感染症などのような眼疾患の治療または予防において用いられるいくつかの例はデキサメタゾン、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標))、チモロール、ラタノプロスト、ブリモニジン、ネパフェナクおよびラニビズマブ(ルセンティス(登録商標))のような非限定的な活性薬剤により治療することが可能である。活性薬剤の他の非限定的な例は、抗生物質、プレドニゾロン、フルオシノリドなどを含む。治療計画には、ペガプタニブ(マクジェン(登録商標))のような抗VEGFアプタマー、ラニビズマブ(ルセンティス(登録商標))のような抗VEGFFabフラグメント、インテグリン拮抗薬、様々な光線力学療法などをさらに含めることが可能である。
本発明のさらに別の態様において、対象の眼球に活性薬剤を送達する方法を提供する。そのような方法は対象の眼球に対し白内障除去手術を行う工程、さらに対象の眼球から既存のレンズを除去する工程、対象の眼球に眼内レンズを挿入する工程、および眼内レンズと本明細書において記述されているようなデバイスとを結合する工程を含むことが可能である。送達デバイスは眼内レンズから着脱させる可能性がある。送達デバイスは眼球の標的部位へ活性薬剤を効果的に放散させるため、実際の接触または十分な近接により結合することが可能である。送達デバイスは、それ自体生物分解性のマトリックスまたはリザーバーシステムであることが可能である。生物分解性のシステムは、所定の白内障手術において、さもなければ患者による点眼剤の使用を要する手術後の薬の短期間の/時限的な送達を可能にするため有用性が高い。除去されるレンズは眼球の元々の天然レンズであることがあり、またはそれは以前に前回の手術の結果として眼球に挿入されたレンズであることがある。
眼球にデバイスを結合する多数の方法が考えられる。例えば、1態様において、デバイスを眼内レンズを目に挿入する前に、眼内レンズと結合させることが可能である。そのような場合、外科的措置の任意の必要条件を満たすようにデバイスを構成することが必要である。例えば、白内障手術は小さな切開部を通し多くの場合行われる。1つの標準的な切開部のサイズは約2.75mmである;ただし、このデバイスはより小さいまたはより大きいサイズの切開部とも同様に適合性を持つが。そのようなものとして、眼内レンズアセンブリは、この小さな開口を通し挿入することが可能な形状に形成することが可能である。従って、活性薬剤の送達デバイスはまた、例えばデバイスの形状、ならびに弾性および可撓性材料の選択により、眼内レンズアセンブリにより挿入されるように構成される必要がある。さらに、活性薬剤の送達デバイスはまた、アセンブリの眼球への挿入に先立ち、眼内レンズアセンブリに物理的に結合または分離することが可能である。別の態様において、眼球へのレンズの挿入の後、デバイスを眼内レンズアセンブリと結合させることが可能である。その嚢バッグは、以前に白内障手術を受けた患者の場合、容易に再度開くことが可能である。従って、送達デバイスの挿入は、眼内レンズの挿入の直前、または別々の手術として時間的に後で行うことが可能である。
上記の原則と一致し、別の任意の構成は、活性薬剤マトリックスおよび活性薬剤を形成する均質な送達デバイスの使用を含む。目の活性薬剤の送達デバイスは、眼球の水晶体嚢または毛様溝の中で適合するように構成されることが可能である。送達デバイスは、水晶体嚢または毛様溝への挿入を可能にする任意の配置により形成することが可能である。寸法を変化させることが可能であるが、典型的な寸法は幅約0.5mm〜約4mmおよび厚さ約0.2mm〜約1mmの範囲であることが可能である。送達デバイスの総質量を変化させることが可能であるが、多くの場合、総質量は0.2mg〜4mgまであることが可能である。例えば、標的組織領域の中で適合するよう全体的なサイズのバランスもまたあるが、約2mgの総質量は効果的活性薬剤量を提供することが可能である。
生物分解性のポリマーマトリックスを含む活性薬剤の送達デバイスは、活性薬剤の送達の持続時間に従い、1若しくは複数の賦形剤を含むことが可能である。デバイスは図4で示すように、以下の寸法、例えば直径2〜2.5mmおよび厚さ1.0−1.5mmであることが可能である。デバイスの設置は、眼内レンズ(IOL)より下方にあることが可能であり、白内障手術の間に移植することが可能である。目の活性薬剤の送達デバイスを眼球の水晶体嚢または毛様溝の中で適合するよう構成することが可能である。送達デバイスは、水晶体嚢または毛様溝への挿入を可能にする任意の配置により形成することが可能である。デバイスは、ディスク、ペレット、ロッド、正方形、三日月形、ドーナツ形または他の形の形状であることが可能である。必要用量に従い、1つまたは2つのデバイスを眼球ごとに移植することが可能である。
適切な活性薬剤マトリックスは、デキサメタゾンまたはこれまでに活性薬剤担体として報告されているそれらを含むことが可能である。活性薬剤マトリックス材料の非限定的な例は、高分子および非高分子材料を含むことが可能である。適切なマトリックス材料の特定の非限定的な例は、PLGA(グリコリド含有量に対する乳酸の異なる比率および酸またはエステル末端のような末端基)、PVA、PEG、PLA、PGA、HPMC、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、ポリカプロラクトン、ヒアルロン酸、アルブミン、その塩化ナトリウムブロック共重合体などのような生物分解性ポリマーを含む。ポリ乳酸−ポリグリコール酸ブロック共重合体(PLGA)、ポリグリコール酸−ポリビニルアルコールブロック共重合体(PGA/PVA)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリカプロラクトンポリエチレングリコールブロック共重合体、クロスカルメロースなどのような特定の共重合体は、特に効果的であることがある。1態様において、活性薬剤マトリックスは、約65%PLAおよび35%PGAのような、約45−80%PLAおよび55−20%PGAを有するPLGAでることが可能である。別の他の実施形態において、PLGA、デキサメタゾンおよびクロスカルメロースナトリウムの比率は、60−90/5−25/5−25または50−75/10−40/10−40の割合であることが可能である。
均質な送達デバイスは、例えば、マトリックス分散を形成するよう活性薬剤の充填量をポリマー材料と混合することにより形成することが可能である。充填量は、拡散の間、望ましい用量と一致するよう選択することが可能である。充填量は、ポリマーおよび活性薬剤、残留する活性薬剤、送達時間などの拡散の特性を考慮することが可能である。その後、マトリックス分散は、任意の適切な技術を用いデバイスの形状を形成することが可能である。例えば、マトリックス分散は鋳造、スプレーおよび乾燥、押出、型打ちまたはその他であることが可能である。そのような構造は多くの場合、非生物分解性の材料もまた用いられることが可能であるが、生物分解性のマトリックスを用い形成される。例えば、1実施形態において、マトリックス分散は円形断面を持つ型より押し出すことが可能であり、その後、押し出されたマトリックス分散をディスク形状の移植片を作り出すためスライスすることが可能である。1つ別の製剤において、デバイスは生物分解性のポリマーマトリックス前駆物質中でin situにおいて活性薬剤の懸濁液から形成することが可能である。標的部位への送達と同時に、生物分解性のポリマーマトリックス前駆物質は、(沈殿および/または重合を通し)in situで生物分解性の活性薬剤マトリックスを形成することが可能である。
上記の均質な送達デバイスを用い、特定の有効性がブドウ膜炎および術後白内障手術炎症の治療に対し提供されることが可能である。例えば、デキサメタゾンは生物分解性の活性薬剤マトリックス内で分散することが可能である。デキサメタゾン投与量は変更することが可能であるが、約100mcg〜約400mcgまでがこれらの兆候に効果的であることが可能である。より詳細には、年齢、二次性合併症、既往歴などのような様々な要因により、一部の患者は低リスクであると分類され、その他の患者は高リスクであると分類されることが可能である。多くの場合、リスクの低い患者は、約100mcg〜約150mcgの低用量から恩恵を受けることが可能である。これとは対照的に、リスクの高い患者は、約250mcg〜約350mcgの高用量を投与されることが可能である。活性薬剤の送達デバイスの特定の1実施形態、「BDI−1移植」は、特別に設計され、術後手術炎症の治療用にテストされ、最大2週間まで製薬活性薬剤を送達することが可能である。「BDI−2移植」は設計され、術後手術炎症およびブドウ膜炎の治療用にテストされ、最大6−8週間まで活性薬剤を送達することが可能である。炎症の重症度に応じ、眼球につき1つまたは2つの移植片が手術中に移植されることが可能である。
前述のように、本明細書の送達デバイスは比較的短い送達持続時間、標的とし、ほとんどの場合、8週間未満である。別のものにおいては、活性薬剤は約2週間〜約6週間の送達持続時間を有する。送達持続時間は、マトリックス、共重合体比率および他の要因において用いられるポリマーの種類の機能となることがありうる。他の生物分解性ポリマーがこれまでにリストされるそれらのように適切であることがあるが、特に適切なポリマーはポリ(乳酸−コ−グリコリド)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリグリコリド−ポリビニルアルコール、クロスカルメロース、ポリカプロラクトン、オイドラギットL100、オイドラギットRS100、ポリ(エチレングリコール)4000、ポリ(エチレングリコール)8000およびポリ(エチレングリコール)20,000の少なくとも1つを含むことが可能である。生物分解性の活性薬剤マトリックスは、52/48〜90/10までの共重合体比率を有するポリ(乳酸−コ−グリコリド)を含むことが可能である。1つの具体例において、共重合体比率が52−78/48−22であり、別の具体例では60−90/40−10であることが可能である。分解率がそのような比率に依存していることが可能であるが、さらなる他のアプローチはまたデバイスコーティング、粒子のカプセル封入などのように有益であることがある。
眼内レンズ(アクリソフSA60AT、アルコン社)移植を伴う標準的な透明な角膜の水晶体超音波乳化吸引を35匹のウサギに対して施した。各々の手術時に活性薬剤を含む眼内デバイスを各々のウサギの水晶体嚢に挿入した。眼内デバイスの活性薬剤によりウサギを4つのグループに分けた。デバイスにはアバスチン、チモロール、ブリモニジンまたはラタノプロストのいずれかを5−15mg充填した。各々のグループを眼内デバイスおよびレンズ安定性、嚢線維症および白内障創傷および前眼部の治癒状態を決定するために評価した。眼球のサブグループを週に1回、炎症について4週間にわたり評価し、嚢およびCDRの完全性を組織病理学的に評価するため、1ヵ月経過した時点で採取した。
房水穿刺および硝子体穿刺を2週間に1回実施し、HPLCおよび/またはELISAにより薬物濃度を検定した点を除き、実施例1で説明した手術およびセットアップを繰り返した。各々の薬物グループにおいて、1カ月経過時点で片方の眼球を採取し、もう片方の眼球を2カ月経過時点で採取した。これは、以下の通り行った。ウサギを屠殺し、眼球を摘出した直後に、眼球組織内における薬物の揺動および再分配を妨ぐため、眼球を液体窒素内で凍結させた。その後、解剖的な毒性および組織薬物濃度を評価するため、眼球を3つの部位(房水、硝子体および網膜/脈絡膜層)に解剖した。眼内デバイスを回収し、残存薬物量を評価した。異なる送達方法を直接的に比較するため、眼内デバイスの分配プロフィールを従来の2.5mg/0.1ccアバスチン(登録商標)の硝子体内注射の場合と比較した。
2ヶ月および4ヵ月経過時点で、ウサギの残りのサブグループから眼球を摘出し、10%のホルマリンにより固定し、パラフィンに包埋し、段階的に切片化し、ヘマトキシリンおよびエオシン(HおよびE)により染色し、組織学的な変化について解析した。
水晶体摘出(水晶体超音波乳化吸引法)の後、全身麻酔を行ったニュージーランドホワイトウサギの眼球に3つの眼内デバイスを挿入した。デバイスの2つはアバスチンを充填し、1つはコントロールとして造影剤Galbuminを充填した。眼内デバイス位置が適切であることをMRIならびに臨床検査により確認した。
ウサギを屠殺し、移植1週間後に眼球を摘出し検定した。アバスチンはELISAにより、網膜および硝子体中において24−48mcg/mLの濃度で検出され、コントロールのウサギの眼球には存在しなかった。図3は、移植1週間後における眼球の部位ごとに分析したアバスチンの量を示す。
嚢バッグにおける移植片のその配置を確認し、短期間および長期間、前眼部および後眼部両方へ薬物を送達するため、PLGA[ポリ(d,l−ラクチド−コ−グリコリド)、MW、7000−17000、酸末端]、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)およびデキサメタゾンを用い微小粒子を調製した。デキサメタゾンを充填したPLGAマイクロスフェアは標準的な水中油型(o/w)エマルジョン−溶媒抽出方法を用い調製した。総量160mgのPLGAを4mLの塩化メチレンおよび1mLのアセトニトリルに溶解した。総量40mgのデキサメタゾンおよび10mgのHPMCは、5分間ボルテックスすることにより、PLGA溶液中に分散させた。その後、この有機相は2%(w/v)PVA(MW90kDa)溶液の20mLにおいて乳化し、均質化した。結果として生じたエマルジョンを2.0%(w/v)PVA(MW90kDa)溶液の200mLに注ぎ、6分間氷浴で撹拌した。混濁マイクロ粒子の懸濁液を作るため、ジクロロメタンおよびアセトニトリルを蒸発させるため室温で内容物を8時間撹拌した。凍結乾燥された粒子を得るため、微小粒子を遠心分離により分離し、2回洗浄し、脱イオン水中に再懸濁し、凍結乾燥した。調製した微小粒子を同定し、移植片を形成するため2mmの型にセットし、ベンチトップペレットプレスを用いペレット化した。
これらの移植片を殺菌し、ウサギの眼球の嚢バッグに移植した。2つの用量グループ(300および600μg)が用いられ、1、2、4、6週において低用量および高用量グループの各々から2匹のウサギを屠殺し、様々な組織サンプル(房水、硝子体液、IOL、虹彩/毛様体および網膜/脈絡膜)を収集し、サンプルを有効なLC/MS/MS法により分析した。ゼータサイザーナノおよびSEM顕微鏡写真で確認したように、マイクロスフェアは6±2μmの範囲であった。微小粒子における薬物充填は99%以上であり、最終的な産出高(すなわち封入効率)は60%であった。薬物充填は、薬物充填パーセント=(充填した薬物の質量/マイクロスフェアの質量)×100として測定した。ゼロに近いオーダーの動力学を伴う用量依存性の薬物動態学が、6週間までウサギにおいて観察された。さらに、デキサメタゾンの流れは、嚢内のスペースから前眼房および後眼房の両方に双方向性であった。眼球の前眼房および後眼房において細胞またはフィブリンの形成は認められなかった。組織学的検査により検査したすべての組織が正常で、炎症の徴候を示さないことが明らかとなった。
すべての実験動物は一旦隔離所を出ると実験室の状態を調査するため熟知されランダム化された。すべての陽性コントロール群および移植グループは、両方の眼球において晶体超音波乳化吸引および眼内レンズ(IOL)の挿入を受けた。グループIIIおよびIVは、それぞれの眼球につき1つおよび2つの移植片を受けた。
グループI、正常のコントロール群、n=6
グループII、水晶体超音波乳化吸引およびIOL挿入、DXM点眼剤(漸減を伴う最大4週間)および抗生物質点眼薬剤(最大2日間)、陽性コントロール群、n=6
グループIII、水晶体超音波乳化吸引およびIOL挿入、手術後2日間(1日2回)までの低用量のBDI移植(眼球につき1つの移植片)および抗生物質点眼薬剤、n=8
グループIV、水晶体超音波乳化吸引およびIOL挿入、手術後2日間(1日2回)までの高用量のBDI移植(眼球につき2つの移植片)および抗生物質点眼薬剤、n=8
試験管内の放出動力学の結果を図8に示す。すべてのバッチは第1日目における最初のバースト放出により二相性放出パターンを示し、その後減速し、放出を継続した。バーストの影響は、HPMCを含む移植片により若干より高かった。
合計16匹の動物(32の眼球)は、移植片を受けた。デキサメタゾン濃度は図9から図11までにおいて示す。4週間の間および第6週目までゆっくりと分解する移植片は、完全に消失した。DXMの治療濃度は最小限の全身暴露により第6週目まで確認された(高用量による40ng/mL以下)のに対し、デキサメタゾン点眼剤の全身暴露ではより高かった(第1週目にわたり150ng/mL以上)。房水、硝子体液、網膜/脈絡膜および虹彩/毛様体におけるBDI−2移植および陽性コントロール群の平均PKパラメータは表1および2に示す。
Figure 0006543431
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眼圧はすべてのグループで正常であった。さらに、細隙灯生体顕微鏡検査法で評価し、組織学的試験により確認したが、前眼房または後眼房炎症の徴候は認められなかった。デキサメタゾン点眼剤で治療した動物において網膜の厚さの増加傾向があったが、移植片では網膜の厚さは維持された。
PLGAポリマーは加水分解を通し乳酸およびグリコール酸に分解し、その後さらに体内から除去される前に二酸化炭素および水に分解する。移植片は、視野を妨げるため中央部に移動しなかった。
BDI−1移植片は蒸発を続け部分溶媒鋳造法を用い作製し、高真空下で3日間、生成物を乾燥させることにより残留する溶媒を除去した。いくつかの異なる組成物中の、PLGA[ポリ(d,l−ラクチド−コ−グリコリド)MW、7000−17000、酸末端]、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、クロスカルメロースナトリウム(架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ヒドロキシプロピルセルロースおよびデキサメタゾンを用い、様々な移植片を調製した。
移植片を形成するため乾燥粒子を2mmの金型にセットし、ベンチトップペレットプレスを用い直接ペレット化した。
(図5の試験管内の放出研究から)選択したBDI−1移植片を殺菌し、ウサギの眼球の嚢バッグに移植した。薬物動態学を確立するため、異なる組成物および用量を持つ2つの移植片をNZWウサギで生体内においてテストを行った。2、6、10、15日において2匹のウサギを屠殺し、様々な組織サンプル(房水、硝子体液、IOL、虹彩/毛様体および網膜/脈絡膜)を収集し、サンプルを有効なLC/MS/MS法により分析した。ゼロに近いオーダーの動力学を伴う薬物動態学が、15日までウサギにおいて観察された。さらに、デキサメタゾンの流れは、嚢内のスペースから前眼房および後眼房の両方に双方向性であった。眼球の前眼房および後眼房において細胞またはフィブリンの形成は認められなかった。組織学的検査では検査したすべての組織が正常で、炎症の徴候を示さないことが明らかとなった。
試験管内の放出動力学の結果を図5に示す。すべてのバッチは第1日目における最初のバースト放出によりスムーズな放出パターンを示し、その後減速し、放出を継続した。バーストの影響は、HPMCを含む移植片により若干より高かった。
合計8匹の動物(16の眼球)はDXMの120μgを含む移植片を受けた。DXM濃度は図6および図7に示される。移植片は10日以上でゆっくりと侵食され、第15日目までにDXMの底値の濃度に到達した。移植片は第15日目でその質量の80%まで分解され、第20日目で完全に分解することが見込まれる。DXMの治療濃度は最小限の全身暴露により第15日まで確認された(23ng/mL以下)のに対し、デキサメタゾン点眼剤の全身暴露ではより高かった(第1週目にわたり150ng/mL以上、組織内データ)。
我々のグループによりこれまでに報告されるように、DXMを含む微小粒子はPLGA[ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)]およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)により調製した。ニュージーランドホワイト(NZW)ウサギ(n=18)において、コンカナバリンA(コン−A)の硝子体内注射およびそれに続く水晶体超音波乳化吸引の後、BDIを嚢バッグの下円蓋に配置した。すべての眼球を細隙灯生体顕微鏡検査法を用い臨床的に評価し、ドレイズ採点基準により等級分けした。網膜の厚さの測定もまた行った。BDIは網膜の肥厚を防ぐのに効果的であった。網膜の厚さの測定は、SD−OCT(スペクトラルドメイン光干渉断層撮影法、,ハイデルベルクエンジニアリング有限会社(Heidelberg Engineering GmbH)ドイツHeidelberg)を用い行われた。ウサギは上記のように麻酔し広げた。各々の眼球から少なくとも4つの測定値を取った。測定値は平均値±SDとして記録した。網膜の厚さは、内網膜境界(硝子体液−網膜界面)と外網膜境界(網膜−網膜色素上皮界面)との間の距離として定義した。23のベースラインはSD−OCTにより測定されるように、網膜の厚さがすべての実験ウサギにおいて130±5μmであったことを意味する。標準コントロール群において、網膜浮腫は次第に増加し、構造上の崩壊が第4週目までにn=4の眼球において認められた(図6)。BDIグループにおける網膜の厚さは効果的にコントロールされ、すべての時点において正常に近い値にあった。しかしながら、局所点眼剤グループにおいて、網膜の厚さは、正常コントロールおよびBDIグループ両方と比較して、有意に(P<0.05)第1週目から第6週目まで持続して増加した。結果は図12に示す。
上記の準備は本発明の原理の例証的な適用例にすぎないことを理解すべきである。数多くの変更および代替的な構成は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者により考案される可能性がある。従って、本発明が現時点で最も実際的で好ましい実施形態であると考えられるものに関し特殊性および詳細事項を伴い上で記述されるが、これに限定されるものではないが、サイズ、材料、形状、形態、機能および動作様式、アセンブリおよび使用におけるバリエーションを含む数多くの変更が本明細書において述べられる原理および概念から逸脱することない範囲で行われる可能性があることは当業者にとっては明らかであろう。

Claims (6)

  1. 眼内活性薬剤送達デバイスであって、
    生物分解性の活性薬剤マトリックス内に分散する活性薬剤を有し、前記活性薬剤はデキサメタゾンを含み、前記送達デバイスは固体であり、かつ水晶体嚢内の眼内レンズの視線を遮ることなく、眼球の前記水晶体嚢または毛様溝の中に嵌まるように構成され、前記送達デバイスは前記活性薬剤および前記生物分解性の活性薬剤マトリックスから形成される均質なデバイスであり、前記活性薬剤は約100mcg〜約150mcgの低用量で存在し、前記活性薬剤は約2週間〜約6週間の送達持続時間を有する、眼内活性薬剤送達デバイス。
  2. 請求項1記載のデバイスにおいて、
    前記生物分解性の活性薬剤マトリックスは、ポリ(乳酸−コ−グリコリド)、ポリ乳酸−ポリグリコール酸ブロック共重合体(PLGA)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリグリコリド−ポリビニルアルコール、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリグリコール酸−ポリビニルアルコールブロック共重合体(PGA/PVA)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)およびポリカプロラクトン−ポリエチレングリコールブロック共重合体のうちの少なくとも1つを有するものであるデバイス。
  3. 請求項1記載のデバイスにおいて、
    前記生物分解性の活性薬剤マトリックスは、52/48〜90/10の共重合体比率を有するポリ(乳酸−コ−グリコリド)を有するものであるデバイス。
  4. 請求項1記載のデバイスにおいて、
    前記送達デバイスはディスクまたはペレット形状であるデバイス。
  5. 請求項1記載のデバイスにおいて、このデバイスは、さらに
    前記生物分解性の活性薬剤マトリックスの中に配置される少なくとも1つの第2の活性薬剤リザーバーを有するものであるデバイス。
  6. 請求項1記載のデバイスにおいて、前記送達デバイスは0.2mg〜4mgの総質量を有するものであるデバイス。
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