以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
[1.第一実施形態]
本発明の第一実施形態に係る検体情報処理装置3は、図1に示すように、検体情報検出装置13と、情報処理装置23とを備えて構成されている。以降、第一実施形態を、単に本実施形態とも呼ぶ。
[1−1.検体情報処理装置の構成]
本実施形態に係る検体情報処理装置3、検体情報検出装置13、及び情報処理装置23の構成、並びに各部を構成する要素について説明する。図1は、本実施形態に係る検体情報処理装置3の構成を模式的に表わしたものである。
[1−1−1.検体情報検出装置の構成]
検体情報検出装置13は、図1に示すように、検体情報検出ユニット32と、接続部53とを備えて構成されている。
<検体情報検出ユニット>
検体情報検出ユニット32は、右耳用のヘッドホンユニット35(Rヘッドホンユニット)と、左耳用のヘッドホンユニット37(Lヘッドホンユニット)とを備えている、ヘッドホンである。Rヘッドホンユニット35とLヘッドホンユニット37とは、左右の耳の構造にあわせて対称の形状に作られているが、その構成及び機能としては同等である。このため、本実施形態では主にRヘッドホンユニット35を例に挙げて説明する。
図1に示すように、Rヘッドホンユニット35の信号線36が、接続部53のスイッチ回路68と接続される。Lヘッドホンユニット37の信号線38が、接続部53の第一プラグ62に設けられたLヘッドホン端子66と接続される。また、Rヘッドホンユニット35のグランド線41a、及びLヘッドホンユニット37のグランド線41bが合流したグランド線41が、接続部53の第一プラグ62に設けられたグランド端子64と接続される。
検体情報検出ユニット32には、ヘッドホンのドライバユニットであって血管の脈動性信号を検出するセンサと、内部にセンサを備える筐体部とが設けられている。検体情報検出ユニット32は、検体の外耳を構成する部位に向けて装着される。筐体部が検体に対向して、あるいは検体を含んで装着された際には、筐体部と検体とによって囲まれてセンサに連通する内部の空間と、内部の空間の外側にあって筐体部によって遮られる外部の空間とが形成される。このとき、筐体部は、検体に装着された状態で、外耳を構成する部位を外部の空間から隔離するとともに、閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞を形成する。
筐体部が外耳を構成する部位を外部の空間から隔離する場合に、閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞が形成される態様は、検体情報検出ユニット32の検体への装着の仕方、筐体部の形状、及び筐体部と外耳を構成する部位との関係で変化する。一つの態様としては、筐体部は、外耳を構成する部位とともに閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞を形成する。別の態様としては、筐体部は、外耳を構成する部位を含み閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞を形成する。また、筐体部は、外耳を構成する部位の一部分とともに、外耳を構成する部位の他の部分を含み閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞を形成してもよい。
このような空洞を形成する検体情報検出ユニット32としては、例えば、カナル型のインナーイヤータイプのヘッドホン、オンイヤータイプのヘッドホン、またはアラウンドイヤータイプのヘッドホンのいずれかを用いることができる。
検体情報検出ユニット32の例として、図2に示すように、外耳道104の外部開口部105に筐体部211を挿入した状態で使用する、カナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンである、検体情報検出ユニット32aを用いることができる。カナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンは、カナル型のインナーイヤーイヤホンとも呼ばれることがある。
検体情報検出ユニット32aは、図2に示すように、外耳107を構成する部位である外耳道104とともに、閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞109aを形成する筐体部211を備える。すなわち、検体情報検出ユニット32aは、検体101に装着した際に形成される空洞109aが、閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造を形成し、空洞109a内の容積が一定に保たれるような構成を備える。
または、図3、図5に示すように、外耳107を構成する部位である耳介108の上の位置601に筐体部612を装着した状態で使用する、オンイヤータイプのヘッドホンである、検体情報検出ユニット32bを用いることができる(図6参照)。
検体情報検出ユニット32bは、図3に示すように、外耳道104及び耳介108とともに閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞109bを形成する筐体部612を備える。すなわち、検体情報検出ユニット32bは、検体101に装着した際に形成される空洞109bが、閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造を形成し、空洞109b内の容積が一定に保たれるような構成を備える。また、このとき、筐体部612は、外耳107の一部を覆うことで、耳介108の一部を含み閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞109bを形成している。
または、図4、図5に示すように、耳介108の周囲を覆う、頭部110の上の位置602に筐体部622を装着した状態で使用する、アラウンドイヤータイプのヘッドホンである、検体情報検出ユニット32cを用いることができる(図7参照)。アラウンドイヤータイプのヘッドホンは、オーバーイヤータイプのヘッドホンとも呼ばれることがある。
検体情報検出ユニット32cは、図4に示すように、耳介108を含み閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞109cを形成する筐体部622を備える。また、このとき、筐体部622は、外耳道104及び耳介108とともに、閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞109cを形成している。すなわち、検体情報検出ユニット32cは、検体101に装着した際に形成される空洞109cが、閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造を形成し、空洞109c内の容積が一定に保たれるような構成を備える。
以上のオンイヤータイプのヘッドホンとアラウンドイヤータイプのヘッドホンは、あわせてオーバーヘッドタイプのヘッドホンとも呼ばれることがある。
以下に、各ヘッドホンの構造と、それぞれのヘッドホンに対応する検体情報検出ユニット32の構成について詳細に説明する。検体情報検出ユニット32a,32b,32cを特に区別しない場合には、「検体情報検出ユニット32」として同じ符号を付して説明し、各検体情報検出ユニットに共通する部分についても同じ符号を付して説明する場合がある。また、空洞109a,109b,109cについても特に区別しない場合には、「空洞109」として同じ符号を付して説明する。
なお、図2、図3、図4は、第一実施形態に係る検体情報検出装置13の検体情報検出ユニット32と外耳107との関係の一例を模式的に表す図である。図2、図3、図4では検体101として人の頭部110における耳の構造を模式的に示しており、蝸牛と三半規管とを有し前庭神経及び蝸牛神経に接続する内耳、耳小骨と耳菅とを有し鼓膜106から奥の部分である中耳、外耳道104と耳介108を有する外耳107が図示されている。
また、図5は、外耳107の一部である耳介108の構造を模式的に示すものである。耳介108の各部位はそれぞれ、図5に示すように、外耳道104を覆う位置にある耳珠111、珠間切痕112、耳垂113、対珠114、対輪115、耳輪116、舟状窩117、上対輪脚118、三角窩119、下対輪脚120、耳甲介121と呼ばれる。
<カナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンの構造>
カナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンである検体情報検出ユニット32aは、図2に示すように、センサ212を内蔵する筐体部211を有しており、これを左右一対備えている。これらがRヘッドホンユニット35とLヘッドホンユニット37にそれぞれ対応する。
Rヘッドホンユニット35は、筐体部211をそなえ、筐体部211は、内部にセンサ212が設けられている。センサ212は、入力された信号に応じて空気振動を生じさせるスピーカーとして機能するとともに、空気振動の圧力情報を検出して信号を入力するマイクロホンとしても機能する。以下、検体情報検出ユニット32aの構成について、Rヘッドホンユニット35を例に挙げて、図2を参照して説明する。
(筐体部)
筐体部211は、図2に示すように、検体101の外耳道104における外部開口部105を塞いで、外耳道104を閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞109aとして形成可能に検体101の外耳107に装着することのできるものである。筐体部211は内部にセンサ212を備え、センサ212を収納するハウジング218と、ハウジング218に取り付けられるイヤーピース213を備えている。ハウジング218は合成樹脂、金属、又は木材等の硬質の素材よりなり、内部に空間を有している。このハウジング218の内部には、図2に示すように、センサ212が設けられている。
イヤーピース213は、外部開口部105を塞いで外耳道104を閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞109aとして形成可能に装着するために、図2に示すように、円筒状、ドーム形状、砲弾形状又は釣鐘形状の外形を有することが好ましい。イヤーピース213はこの外形を有することにより、円筒状、ドーム形状、砲弾形状、又は釣鐘形状の筐体部211の頂部216側を外耳道104の奥方向に向けて挿入することができる。これにより、イヤーピース213の頂部216から端部217への外径の広がりに合わせて外部開口部105を好適に塞ぐことができる。
また、イヤーピース213は、頂部216側を外耳道104に挿入した際に外部開口部105を防ぐ大きさを有することが好ましく、イヤーピース213の周方向の直径が、外耳道104の外部開口部105の内径と略同一か大きいサイズであることが好ましい。この構成により、筐体部211は外部開口部105を好適に塞ぐことができる。
また、イヤーピース213は、弾性素材で構成されていることが好ましく、例えばゴムやシリコンゴムが用いられる。イヤーピース213が外耳道104の外部開口部105の内部形状に合わせて弾性変形するとともに、外部開口部105を塞ぐように構成されていることが好ましい。この材質により、イヤーピース213は外耳道104の形状に合わせて外部開口部105を塞ぐことができる。
このような構成を有するイヤーピース213として、図2に示すように、例えばカナル型インナーイヤホンに用いられるイヤーピース(イヤーチップ、イヤーバッドとも呼ばれることがある。)を用いることができる。
イヤーピース213は、図2に示すように、頂部216の中心からイヤーピース213の内部に向けて凹状に円筒形状の空間を有する凹状部214が形成されている。凹状部214にはイヤーピース213の頂部216側と端部217側とを連通する開口部215が設けられている。さらに、イヤーピース213の開口部215に向けてセンサ212が設けられることで、センサ212が開口部215の端部217側を塞ぐ。これにより、筐体部211が外部開口部105を塞いだ際に、センサ212が開口部215を通じて血管の脈動性信号を検出するように構成されている。
(センサ)
ハウジング218の内部の空間にはドライバユニットが収納されている。検体情報検出ユニット32aをヘッドホンとして利用して音楽等を聴く場合には、ドライバユニットはヘッドホンのスピーカーユニットとして機能する。検体情報検出ユニット32aは、このドライバユニットを、センサ212として利用している。ドライバユニットとして、ダイナミック型、バランスドアーマチュア型、またはコンデンサ型のドライバユニットを用いることができる。
センサ212としては、血管の脈動性信号を検出するものであれば、上述のドライバユニットに限定されない。外耳107を構成する部位における血管の脈動に起因する、外耳107を構成する部位における皮膚または鼓膜106部分の振動によって生じる空気の振動(音圧情報)を電気的に検出するマイクロホン、又は圧電素子のような感圧素子を好適に用いることができる。マイクロホンの中でも、指向性、S/N比、感度の点からコンデンサマイクロホン(コンデンサマイク)が好ましく、ECM(electret condenser microphone;エレクトレットコンデンサーマイクロホン、以下、単に「ECM」ともいう)を好適に用いることができる。また、MEMS(microelectromechanical system)技術を用いて作製したECMである、MEMS型ECM(以下、「MEMS−ECM」ともいう)を好適に用いることができる。圧電素子としては、高い圧電性を示すセラミックスとして、チタン酸ジルコン酸鉛(PZTともいう)を使用したPZT圧電素子を好適に用いることができる。
なお、外耳107を構成する部位における血管という場合、外耳道104、鼓膜106、または耳介108に存在する血管をいう。
センサ212は、信号線36及びグランド線41aと接続されている。信号線36は、接続部53のスイッチ回路68を介してゲイン切り替え部95に接続されている(図1)。
(空洞)
検体101は、外部開口部105にイヤーピース213を挿入するようにして検体情報検出ユニット32aを外耳107に装着する。図2に示すように、検体101が検体情報検出ユニット32aを装着した際に、筐体部211のイヤーピース213と外部開口部105とが気密をとるようにして接触することで、検体101の外耳道104における外部開口部105が塞がれる。これにより、外耳道104と、鼓膜106と、筐体部211とによって、外耳道104が閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となるよう空洞109aが形成される。このように空洞109aが形成する閉鎖された空間構造を、「Closed Cavity;クローズドキャビティ」ともいう。なお、イヤーピース213の開口部215にセンサ212が設けられた場合、外部開口部105が筐体部211及びセンサ212によって塞がれることで、外耳道104と、鼓膜106と、筐体部211と、センサ212とによって空洞109aが形成されるようになっている。
筐体部211により外部開口部105を塞ぐことで外耳道104が閉鎖された空間構造となるようにすることができるが、実際には、例えば外耳道104内に存在する体毛により筐体部211と外耳道104との間に空隙が生じて完全には閉鎖できない場合がある。このため、筐体部211により外部開口部105を塞ぐことで、外耳道104が完全に閉じられた空間構造となる空洞として形成されている場合を、外耳道104が閉鎖された空間構造をとるという。一方、筐体部211により外部開口部105を塞いだ際に、例えば上述したような体毛等の影響により、外部開口部105が塞がれているものの外耳道104が完全に閉じられた空間構造とはならない空洞として形成されている場合を、ほぼ閉鎖された空間構造という。
上述のような外耳道104を完全には閉鎖できない要素が存在するために、筐体部211により外耳道104を塞いだ際には、外耳道104を閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞109aとして形成することになる。
このとき、外耳道104における血管の脈動に伴う外耳道104の皮膚または鼓膜106部分の振動によって生じる空気の振動が、空洞109a内を伝播して、開口部215を通じてセンサ212に伝わる。センサ212は、この空気の振動を検出する。すなわち、センサ212は、外耳道104における血管の脈動性信号を、該脈動性信号に起因し空洞109a内を伝播する圧力情報として検出する。これにより、外耳道104の内部または鼓膜106に存在する血管の脈動性信号に起因する圧力情報を受けて、センサ212が検体101における血管の脈動性信号を検出することができる。言い換えれば、検体情報検出ユニット32aは、検体101の脈動性信号を、脈動性信号に起因し空洞109a内を伝播する圧力情報として検出することができる。センサ212は検出された信号を、脈動性信号として信号線36に出力する。この信号は、検体情報検出ユニット32に接続される接続部53のゲイン切り替え部95に入力される。
<オンイヤータイプのヘッドホンの構造>
オンイヤータイプのヘッドホンである検体情報検出ユニット32bは、図6に示すように、センサ212を内蔵する左右一対の筐体部612を備えており、これらがRヘッドホンユニット35とLヘッドホンユニット37にそれぞれ対応する。さらに、検体情報検出ユニット32bは、筐体部612に接続されて検体101へ筐体部612を装着するための装着部材615を備えている。以下、検体情報検出ユニット32bの構成について、Rヘッドホンユニット35を例に挙げて、図3、図6を参照して説明する。検体情報検出ユニット32bは、一部の構成が上述の検体情報検出ユニット32aと同様に構成されており、上述の検体情報検出ユニット32aと同様のものについては説明を省略する。
筐体部612は内部にセンサ212を備え、センサ212を収納するハウジング613と、ハウジング613に取り付けられるイヤーパッド614を備えている。
ハウジング613は、合成樹脂、金属、又は木材等の硬質の素材よりなり、内部に空間を有する背の低い円筒状またはドーム状に形成されている。ハウジング613は、イヤーパッド614の形状及び大きさにあわせて、耳介108の上の位置601と同程度の大きさの長円状または楕円状に形成されている。
ハウジング613の内部の空間にはドライバユニットが収納されている。検体情報検出ユニット32bをヘッドホンとして利用して音楽等を聴く場合には、ドライバユニットはヘッドホンのスピーカーユニットとして機能する。検体情報検出ユニット32bは、このドライバユニットを、センサ212として利用している。ドライバユニットとして、ダイナミック型、バランスドアーマチュア型、コンデンサ型のドライバユニットを用いることができるのは、上述のカナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンの場合と同様である。
ハウジング613には、検体101が検体情報検出ユニット32bを装着した際に検体101と向き合う側の面に開口部616を有しており、この開口部616をイヤーパッド614が塞ぐようにして設けられている。ハウジング613の内部のドライバユニットには、この開口部616とイヤーパッド614を通じて外部の空気の振動が伝わるようになっている。
ハウジング613には、上述した開口部616以外の部分が密閉されている密閉型(クローズドタイプ)と、開口部616以外の部分が開放されている開放型(オープンエアタイプ)と、密閉型と開放型との中間的に閉じられた半開放型(セミオープンタイプ)のものが存在する。密閉型の場合には、検体101が検体情報検出ユニット32bを装着した際に、クローズドキャビティの閉鎖レベルを高めることができるため、脈動性信号の検出には好ましい。半開放型の場合であっても、密閉型の場合よりもクローズドキャビティの閉鎖レベルは低下するものの、脈動性信号の検出は可能である。本実施形態では、ハウジング613が密閉型の場合について説明する。
イヤーパッド614は、略円盤状に形成されたクッション性のある内部材617と、内部材617を覆い検体101と接触する外部材618からなる。内部材617は合成樹脂またはゴムを原料とし、弾力変形する多孔質の素材であり、中央部がやや窪んだ略円盤状に形成されている。内部材617の素材は主にウレタンが用いられる。外部材618は、合成皮革、人工皮革、布、または合成樹脂からなる、柔軟性を有する薄いシート状の部材である。イヤーパッド614はハウジング613の上述した開口部616を覆うことで、検体101が検体情報検出ユニット32bを装着した際に、検体101と接触する部分に取り付けられている。
装着部材615は左右一対の筐体部612の間を連結している。装着部材615は略C字状に形成され、その両端部分に筐体部612がイヤーパッド614部分を内側に向け合うように取り付けられている。装着部材615は略C字状の両端部分を内側部分に向けて張力を付勢するよう形成されている。装着部材615は伸縮可能または折りたたみ可能に作られている。これにより、筐体部612の間の長さを、所定の長さとなるようにして位置決めすることができる。このため、検体101の頭部110の大きさまたは耳介108の位置に併せて装着部材615の長さを伸長または短縮させることで、検体101が検体情報検出ユニット32bを装着する際に、筐体部612がそれぞれ右耳と左耳の位置に来るようにして装着することができる。また、装着部材615が折りたたみ可能な場合には、折りたたみ部分を使用時には延ばし、収納時または運搬時には折りたたむことで、省スペースな保存と容易な運搬が可能となる。
検体101は、耳介108の上の位置601にイヤーパッド614をあてて、装着部材615を頭の上に掛けるようにして検体情報検出ユニット32bを頭に装着する。イヤーパッド614は装着部材615の張力によって頭部110に押し付けられるようにして圧迫を受け、頭部110及び耳介108の形状にあわせて変形する。これにより、検体101は、イヤーパッド614と、頭部110及び耳介108との間に隙間が生じるのを防ぐようにして、検体情報検出ユニット32bを装着することができる。このとき、イヤーパッド614は、鼓膜106とセンサ212の間に介在し、空気の振動を透過することができる。
上述のようにして、筐体部612により外耳107を構成する部位を外部の空間から隔離することで、空洞109bが閉鎖された空間構造となるようにすることができる。しかしながら、実際には、イヤーパッド614の内部材617の多孔質部分、または外部材618の素材自体が有する空隙、またはハウジング613が密閉型で無い場合にはハウジング613に隙間が存在する場合がある。または、イヤーパッド614と検体101の頭部110または耳介108との間は、頭部110または耳介108の形状にあわせたイヤーパッド614の変形が不十分であったり、もしくは毛髪や体毛が挟まったりするなどして、空隙が生じる場合がある。このような要素が存在するために、空洞109bを完全には閉鎖できない場合がある。よって、筐体部612により外耳107を構成する部位を外部の空間から隔離した際には、外耳107を構成する部位とともに、耳介108の一部を含み閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞109bを形成することになる。
検体101が検体情報検出ユニット32bを装着した際に、筐体部612のイヤーパッド614と耳介108とが気密をとるようにして接触することで、外耳107を構成する部位が外部の空間から塞がれる。これにより、外耳道104と、鼓膜106と、耳介108と、筐体部612とによって、外耳107を構成する部位とともに閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞109bが形成される。すなわち、外耳道104の内部の空間と、外耳道104及び耳介108とイヤーパッド614との間の空間と、筐体部612の内部の空間とからなり、耳介108の一部を含む空洞109bが形成される。これにより、外耳道104の内部、鼓膜106、または耳介108に存在する血管の脈動性信号に起因する圧力情報を受けて、センサ212が検体101における血管の脈動性信号を検出することができる。
<アラウンドイヤータイプのヘッドホンの構造>
アラウンドイヤータイプのヘッドホンである検体情報検出ユニット32cは、図7に示すように、センサ212を内蔵する左右一対の筐体部622を備えており、これらがRヘッドホンユニット35とLヘッドホンユニット37にそれぞれ対応する。さらに、検体情報検出ユニット32bは、筐体部622に接続されて検体101へ筐体部622を装着するための装着部材625を備えている。以下、検体情報検出ユニット32cの構成について、Rヘッドホンユニット35を例に挙げて、図4、図7を参照して説明する。検体情報検出ユニット32cは、一部の構成が上述の検体情報検出ユニット32bと同様に構成されており、上述の検体情報検出ユニット32bと同様のものについては説明を省略する。
筐体部622は内部にセンサ212を備え、センサ212を収納するハウジング623と、ハウジング623に取り付けられるイヤーパッド624を備えている。なお、図7では、一方のイヤーパッド624が図示手前側を向き、他方のイヤーパッド624が図示奥側を向けるようにして示しているが、使用時には一対の筐体部622がイヤーパッド624部分を内側に向けあうようにして装着する。
ハウジング623は、ハウジング613と同様に構成されているが、イヤーパッド624の形状及び大きさにあわせて、耳介108の上の位置601よりも一回り大きく、耳介108を覆う位置602と同程度の大きさの長円状または楕円状に形成されている。
イヤーパッド624は、イヤーパッド614と同様に構成されているが、内部材627が耳介108を覆う位置602と同程度の大きさとなる略円環状に形成された円環部629を有し、これを外部材628が覆っている。また、この円環部629は、検体101が検体情報検出ユニット32cを装着した際に、円環部629の内側部分630が耳介108を圧迫しない程度の厚みをもって形成されている。さらに、イヤーパッド624は、円環部629の内側部分630において、ハウジング623の開口部626を覆うように取り付けられている。
装着部材625は、装着部材615と同様に構成されている。
検体101は、耳介108を覆う、頭部110の上の位置602にイヤーパッド624をあてて、装着部材625を頭の上に掛けるようにして検体情報検出ユニット32cを頭に装着する。このとき、イヤーパッド624の円環部629の内側部分630に耳介108が収まるようにして装着する。イヤーパッド624は装着部材625の張力によって頭部110に押し付けられるようにして圧迫を受け、頭部110の形状にあわせて変形する。これにより、検体101は、イヤーパッド624と、頭部110との間に隙間が生じるのを防ぐようにして、検体情報検出ユニット32cを装着することができる。このとき、イヤーパッド624は、円環部629の内側部分630が鼓膜106とセンサ212の間に介在し、空気の振動を透過することができる。
上述のようにして、筐体部622により外耳107を構成する部位を外部の空間から隔離することで、空洞109cが閉鎖された空間構造となるようにすることができる。しかしながら、筐体部612と同様に、実際には、空隙が生じて空洞109cを完全には閉鎖できない場合がある。よって、筐体部622により外耳107を構成する部位を外部の空間から隔離した際には、外耳107を構成する部位とともに、耳介108を含み閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞109cを形成することになる。
検体101が検体情報検出ユニット32cを装着した際に、筐体部622のイヤーパッド624と頭部110とが気密をとるようにして接触することで、外耳107を構成する部位が外部の空間から塞がれる。これにより、外耳道104と、鼓膜106と、筐体部622と、頭部110とによって、外耳107を構成する部位とともに閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となるよう空洞109cが形成される。すなわち、外耳道104の内部の空間と、外耳道104及び頭部110とイヤーパッド624に囲まれた部分の空間と、筐体部622の内部の空間とからなり、耳介108を含む空洞109cが形成される。これにより、外耳道104の内部、鼓膜106、または耳介108に存在する血管の脈動性信号に起因する圧力情報を受けて、センサ212が検体101における血管の脈動性信号を検出することができる。
<接続部>
本実施形態に係る接続部53は、図1に示すように、スイッチ回路68、スイッチ69、ゲイン切り替え部95、波形等化処理部271及び波形判定部272を有する周波数特性補償部96、電源71、FET72、並びに第一プラグ62を備えている。以下、接続部53の構成について、図1を参照して説明する。
接続部53は、第一プラグ62を情報処理装置23の第一ジャック81に挿入することで、第一プラグ62及び第一ジャック81を介して、検体情報検出装置13と、情報処理装置23とを接続している。接続部53は、スマートフォン23のジャック(第一ジャック81)に挿入される、ヘッドホンとしての検体情報検出ユニット32のプラグ部分を構成する。
(スイッチ回路及びスイッチ)
スイッチ回路68は、Rヘッドホンユニット35の信号線36が、ゲイン切り替え部95と接続するか、第一プラグ62のRヘッドホン端子65と接続するかを切り替えるスイッチ手段である。言い換えれば、スイッチ回路68は、センサ212からゲイン切り替え部95及び周波数特性補償部96を経由しての第一プラグ62のマイク端子63への接続と、センサ212からRヘッドホン端子65への接続とを切り替えるものである。
スイッチ69は、接続部53の外部からスイッチ回路68を操作可能に設けられたスイッチであり、例えば、プッシュスイッチ、スライドスイッチ、又はトグルスイッチ等が用いられる。スイッチ69の操作により、スイッチ回路68の接続を切り替えられるように構成されている。
(ゲイン切り替え部)
ゲイン切り替え部95は、入力された信号のゲインを調節して増幅または減衰を行い、信号のレベルを調整する、レベル調整処理を施すものである。中でも、ゲイン切り替え部95は、センサ212により検出された信号の飽和を検出し、飽和が検出された際に信号のレベルを減少させる処理を施す。ゲイン切り替え部95により処理された信号は、周波数特性補償部96に入力される。
(周波数特性補償部)
周波数特性補償部96は、波形等化処理部271及び波形判定部272を有し、入力された信号の周波数特性を補正するものである。具体的には、波形等化処理部271が、検体情報検出ユニット32から出力された信号に対して、血管の脈波情報が検出される周波数帯域である脈波情報検出帯域を含む低周波数領域の位相補償を行うことで、この低周波数領域の周波数応答を補償する波形等化処理を施す。また、波形判定部272は、波形等化処理部271により位相補償をされた信号の脈波について、この脈波が示す信号のパターンと、速度脈波または加速度脈波が示す信号のパターンとを比較する波形比較処理を施す。周波数特性補償部96により処理された信号は、FET72のゲート端子に入力される。
(第一プラグ)
第一プラグ62は、図1に示すように、プラグの根元から先端へ、マイク端子63、グランド端子64、右耳用のヘッドホン端子65(Rヘッドホン端子)、及び左耳用のヘッドホン端子66(Lヘッドホン端子)を順に有する。マイク端子63、グランド端子64、Rヘッドホン端子65、及びLヘッドホン端子66は、導電性の金属板が略円筒状に加工されて形成されている。
マイク端子63とグランド端子64との間、グランド端子64とRヘッドホン端子65との間、Rヘッドホン端子65とLヘッドホン端子66との間には、絶縁部材67a、67b、67cがそれぞれ設けられている。絶縁部材67a、67b、67cは、絶縁性の樹脂又はゴム製の素材からなり、導電性の各端子の間に介設されることで、各端子が互いに絶縁されている。
[1−1−2.情報処理装置の構成]
情報処理装置23の構成について、図1を参照して説明する。
本実施形態に係る情報処理装置23は、検出された信号を処理するためのモバイル端末機としての携帯情報端末(スマートフォン)である。
情報処理装置23としてのスマートフォンは、図示しない入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等のメモリ)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ、及び無線送信部等を含んで構成される。
情報処理装置23は、図1に示すように、第一ジャック81、アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部89、周波数補正処理部90、デジタル信号をアナログ信号に変換するDA変換部91、及び音源92を備えて構成されている。
(第一ジャック)
第一ジャック81は、第一プラグ62が挿入される挿入孔82を備える。図1に示すように、第一ジャック81の挿入孔82の内部には、挿入孔82の手前から奥へ、マイク端子83、グランド端子84、Rヘッドホン端子85、及びLヘッドホン端子86を順に有する。マイク端子83、グランド端子84、Rヘッドホン端子85、及びLヘッドホン端子86は、導電性の金属板が板状に加工されて、第一ジャック81の挿入孔82の壁面に設けられることで形成されている。板状の端子が挿入孔82の中心方向に向けて屈曲して、曲げ弾性を有する凸部を形成しており、この端子の凸部が挿入孔82の中心方向に張り出すようにして設けられている。
第一ジャック81の構造を図8(a)〜図8(c)を参照して説明する。図8(a)〜図8(c)では、第一ジャック81の輪郭形状を二点鎖線で示している。図8(a)は、第一ジャック81を横方向から見た図であり、マイク端子83の配置を示している。図8(b)は、第一ジャック81のA−A’矢視端面を示す図であり、マイク端子83、グランド端子84、Rヘッドホン端子85、及びLヘッドホン端子86の配置を示している。図8(c)は、第一ジャック81のB−B’矢視端面を示す図であり、グランド端子84、Rヘッドホン端子85、及びLヘッドホン端子86の配置を示している。
第一プラグ62が第一ジャック81の挿入孔82に挿入された場合に、図1に示すように、第一プラグ62のマイク端子63と第一ジャック81のマイク端子83とが接触し、第一プラグ62のグランド端子64と第一ジャック81のグランド端子84とが接触し、第一プラグ62のRヘッドホン端子65と第一ジャック81のRヘッドホン端子85とが接触し、第一プラグ62のLヘッドホン端子66と第一ジャック81のLヘッドホン端子86とが接触するように、第一プラグ62及び第一ジャック81は形成されている。
第一プラグ62が第一ジャック81に挿入された場合の構造を図9(a)〜図9(c)を参照して説明する。図9(a)〜図9(c)では、第一ジャック81の輪郭形状を二点鎖線で示している。図9(a)は、第一ジャック81を横方向から見た図であり、第一プラグ62及びマイク端子83の配置を示している。図9(b)は、第一ジャック81のC−C’矢視端面を示す図であり、第一プラグ62、マイク端子83、グランド端子84、Rヘッドホン端子85、及びLヘッドホン端子86の配置を示している。図9(c)は、第一ジャック81のD−D’矢視端面を示す図であり、第一プラグ62、グランド端子84、Rヘッドホン端子85、及びLヘッドホン端子86の配置を示している。
第一プラグ62が第一ジャック81の挿入孔82に挿入された場合には、図9(a)〜図9(c)に示すように、マイク端子83、グランド端子84、Rヘッドホン端子85、及びLヘッドホン端子86は、対向する第一プラグ62の各々の端子と接触するとともに各々の端子の形状にあわせて弾性変形する。このとき、各々の端子の凸部における曲げ弾性により接触状態が維持される。これにより、マイク端子63とマイク端子83とが接続され、グランド端子64とグランド端子84とが接続され、Rヘッドホン端子65とRヘッドホン端子85とが接続され、Lヘッドホン端子66とLヘッドホン端子86とが接続される。
図1に示すように、第一ジャック81のマイク端子83は、AD変換部89に接続されており、第一プラグ62のマイク端子63に入力された信号が、第一ジャック81を介してAD変換部89に入力される。第一ジャック81のグランド端子84は接地されており、第一プラグ62のグランド端子84に接続されたグランド線41が、第一ジャック81を介して接地される。第一ジャック81のRヘッドホン端子85は、右耳用の音源92に対応するDA変換部91に接続されており、第一プラグ62のRヘッドホン端子65、及びRヘッドホン端子65に接続される信号線36に、右耳用の音源92に対応するDA変換部91からの信号が入力される。第一ジャック81のLヘッドホン端子86は、左耳用の音源92に対応するDA変換部91に接続されており、第一プラグ62のLヘッドホン端子66、及びLヘッドホン端子66に接続される信号線38に、左耳用の音源92に対応するDA変換部91からの信号が入力される。
(周波数補正処理部)
周波数補正処理部90は、入力された信号に対して、脈動性信号の有する周波数で少なくとも増幅動作、積分動作および微分動作のうちの1つの動作を行なうことにより、少なくとも脈動性容積信号、脈動性速度信号および脈動性加速度信号のうちの1つの信号を取り出す周波数補正処理を施すものである。周波数補正処理部90により脈動性容積信号、脈動性速度信号、及び脈動性加速度信号のうちの一つの信号を取り出す処理を、補正処理ともいう。
[1−1−3.検体情報処理装置の構成]
<検体情報処理装置の構成>
本実施形態に係る検体情報処理装置3は、図1に示すように、検体情報検出装置13と、情報処理装置23とを備えて構成されている。
<検体>
検体情報検出装置13及び検体情報処理装置3を適用する検体101としては、筐体部211,612,622により、外耳107を構成する部位を外部の空間から隔離して閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞109を形成するために、外耳107を構成する部位に対向するように、または外耳107を構成する部位を覆うように装着することが好ましい。
外耳107を構成する部位とは、外耳道104、図5に示す耳介108のいずれかの部位、及び図5に示した耳介108の裏側の部位のうち、少なくとも一以上の部位をいう。検体101には、検体情報検出ユニット32が少なくとも外耳107を構成する部位の一部を外部の空間から隔離して空洞109を形成するように装着すればよい。外耳107を構成する部位の一部を外部の空間から隔離して空洞109を形成可能であれば、筐体部211,612,622が外耳107を構成する部位とは別の周辺部位も含めて空洞109を形成するようにして検体情報検出ユニット32を装着してもよい。例えば、頭部110の耳介108の周囲の部分とともに空洞109を形成して、耳介108を外部の空間から隔離してもよい。
外耳107を構成する部位の中でも、検出される脈動性信号の強度が大きく、また鋭いピークが得られる点から、外耳道104、耳珠111、または耳垂113を外部の空間から隔離して空洞109を形成するよう検体101に装着することが好ましい。検出される信号量の大きさから、外耳107を構成する部位の中でも、外耳道104、または耳珠111がより好ましく、耳珠111が特に好ましい。
また、外耳107を構成する複数の部位が外部の空間から隔離された場合、空洞109内の複数の振動源に由来する信号が合わさることで、強度が大きい信号が得られる。このため、複数の振動源を外部の空間から隔離して空洞109を形成してもよく、外耳107または耳介108について、全体を外部の空間から隔離して空洞109を形成してもよい。中でも、外耳道104、及び耳珠111を外部の空間から隔離して空洞109を形成してもよい。また、外耳道104、耳珠111、及び耳垂113を外部の空間から隔離して空洞109を形成してもよい。
<検体情報検出装置及び検体情報処理装置について>
本実施形態に係る検体情報検出装置13及び検体情報処理装置3は、上述のように構成されており、検体情報検出ユニット32の筐体部211,612,622により、外耳107を構成する部位を外部の空間から隔離して閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞109を形成する。この状態で、検体101における外耳道104の内部、鼓膜106、または耳介108に存在する血管の脈動性信号に起因する圧力情報を受けて、検体101における血管の脈波情報に基づく脈動性信号を検出するものである。なお、上述した「血管の脈波情報」とは、血管を伝わる脈波情報のことであって、検体101の心臓の拍動に伴って生じる血管内を伝わってくる振動を示す情報(信号)である。以降、これを単に「血管の脈波情報」とも称する。
[1−2.検体情報処理装置の機能構成]
検体情報処理装置3を機能的に表すとき、検体情報処理装置3は、図1に示すように、検体情報検出装置13及び情報処理装置23を備えている。検体情報検出装置13は、検体情報検出ユニット32と、ゲイン切り替え部95及び周波数特性補償部96を有する接続部53とを備えている。情報処理装置23は、AD変換部89、周波数補正処理部90、DA変換部91、及び音源92を備えている。
本実施形態に係る情報処理装置23としてのスマートフォン23には、信号処理用のアプリケーションソフトがダウンロードされており、このアプリケーションソフトを起動させることで、スマートフォン23によって信号処理を行うことができる。
本実施形態に係る情報処理装置23では、周波数補正処理部90は、上述したアプリケーションソフトがメモリ上に展開されてCPUにより実行されることで、周波数補正処理手段として機能する。また、ゲイン切り替え部95及び周波数特性補償部96は、接続部53に内蔵されるアナログ回路により処理がなされる。
<ゲイン切り替え部>
ゲイン切り替え部95を機能的に表すとき、ゲイン切り替え部95は、図10に示すように、AGC(automatic gain control;自動利得制御)261、飽和検出部262、PLL(Phase-locked loop;位相同期回路)263、ロック検出部264を備えている。
センサ212で検出された脈動性信号出力がゲイン切り替え部95に入力されると、この信号は、まずAGC261に入力される。AGC261は、入力された信号に対して自動的に信号の増幅率(利得)を調節する自動利得制御を行い、入力された信号の増幅または減衰を行う。AGC261は、処理した脈動性信号を飽和検出部262に出力する
飽和検出部262は、入力された脈動性信号が飽和しているかどうかを判定することで、信号の飽和の検出を行う。特には、血管の脈波情報が検出される周波数帯域である脈波情報検出帯域(脈波検出帯域ともいう。)となる、0.1〜10Hzの低周波数領域における飽和の検出を行う。飽和しているかどうかの判定は、入力された信号のレベルの絶対値を所定の閾値と比較して、入力された信号のレベルの絶対値が所定の閾値以上となる状態が一定時間以上続くときに、信号が飽和していると判定することにより行う。また、入力された信号のレベルの絶対値が所定の閾値より低いときに、信号が飽和していないと判定する。所定の閾値とは、入力された脈動性信号の脈波波形において、その波形、中でもピーク位置のレベルが大きくなった場合に、あるレベル以上のピークトップ部分の信号のカットが生じるときのレベルの値をいう。飽和検出部262で飽和が検出された場合には、飽和検出部262はAGC261へ飽和検出信号を出力する。AGC261は飽和検出信号が送られたときに、再度、信号の自動利得制御を行う。一方、飽和検出部262で飽和が検出されなかった場合には、飽和検出部262は脈動性信号をPLL263に出力する。なお、この動作は、いつも行うものではなく、一種の校正作業である。
PLL263は、例えば、入力された脈動性信号の波形の立ち上がりを検出し、さらに脈動性信号の立ち上がりから次の脈動性信号の立ち上がりまでを1周期として検出して、信号にロックかける。このとき、PLL263は、この1周期を例えば128のクロックにより分割して、0から127までの計128のロック位相(タイミングまたはクロックともいう。)を、周波数特性補償部96の波形判定部272に出力する。また、PLL263は、入力信号と出力信号との位相差信号をロック検出部264に出力する。
ロック検出部264は、入力された位相差信号の大きさを所定の設定値と比較して、PLL263が脈動性信号をロックしたかどうかを検出する。入力された位相差信号の大きさと所定の設定値とを比較して、入力された位相差信号の大きさが所定の設定値よりも小さいときに、ロックしていると判定する。また、入力された位相差信号の大きさが所定の設定値以上のときに、ロックしていないと判定する。ロック検出部264でロックが検出された場合には、AGC261にロック検出信号を出力する。ロック検出部264でロックが検出されない場合には、AGC261にアンロック検出信号を出力する。
AGC261はロック検出信号が入力された場合には、自動利得制御による増幅率の調節を停止して、ゲインを動かさないようにした状態で増幅または減衰を行った脈動性信号を、周波数特性保証部96の波形等化処理部271に出力する。一方、AGC261はアンロック検出信号が入力された場合には、自動利得制御による増幅率を高めることでゲインを増加させて、ロック状態となるよう制御を行う。
ゲイン切り替え部95によれば、上述した構成により、AGC261が入力された脈動性信号の増幅又は減衰を行い、一定の増幅率または減衰率によって信号のレベルが調整された脈動性信号を出力する。これにより、PLL263でロックできる程度のピーク、ゲインを有する脈動性信号が出力される。またこのとき、ゲイン切り替え部95は、センサ212により検出された信号が飽和している場合には信号のレベルを減少させて、飽和が解消された信号を出力する。
<周波数特性補償部>
周波数特性補償部96を機能的に表すとき、周波数特性補償部96は、図10に示すように、波形等化処理部271と、波形判定部272と、AGC273とを備えている。ゲイン切り替え部95のAGC261で処理された脈動性信号は、波形等化処理部271に入力される。
(波形等化処理部)
波形等化処理部271は、検体情報検出ユニット32から出力された信号に対して、低周波数領域の位相補償を行うことで、この低周波数領域の周波数応答を補償する波形等化処理を施す。波形等化処理部271による波形等化処理とは、積分型または微分型の位相補償により、センサ212の電磁変換系、空洞109の空気漏れ、もしくは検体情報検出ユニット32が備えるDSPに起因する、微分応答または積分応答のいずれか、またはこれらがあわさった周波数応答を補償する処理である。本実施形態では、波形等化処理部271が、積分型の位相補償を行い、検体情報検出ユニット32から出力された脈動性信号に加わった微分応答の補償を行って、速度脈波として出力する場合について説明する。
波形等化処理部271による積分型の位相補償は、入力された脈動性信号を、図11に示すように脈波検出帯域である0.1〜10Hzの低周波数領域を上昇させるような周波数特性を持つ電気回路に入れることにより行う処理である。ここでいう低周波数領域とは、血管の脈波情報が検出される周波数帯域である脈波情報検出帯域を含む周波領域をいう。波形等化処理部271は、脈動性信号をこのような電気回路に1段入れて処理してもよく、2段入れて処理してもよい。本実施形態では、1段入れて処理を行うことで、およそ1回の積分を行う。
なお、図11では、一例として、0.1Hzから0.68Hzまで、0.1Hzから7Hzまで、0.1Hzから10.6Hzまで、−20dB/decでその後はフラットなカーブを通過させる、3通りの周波数特性の補償パターンを示している。これらは、それぞれ0.1〜10Hzの低周波数領域を上昇させる、積分型の位相補償のブースト量が異なる位相補償パターンを示すものである。すなわち、図11は、脈波情報検出帯域より高い周波数成分を通過させて、脈波情報検出帯域の周波数成分のゲインを周波数の減少とともに漸増させて、脈波情報検出帯域より低い周波数成分のゲインを増幅させる、積分型の位相補償の例を示すものである。
このような周波数特性の補償を実現できる電気回路として、例えば図12のような回路が挙げられる。図12の電気回路は、演算増幅器(以下、オペアンプという)221、容量C1のコンデンサ222、抵抗値R1の抵抗223、抵抗値R2の抵抗224、抵抗値R3の抵抗225からなる。
図12の電気回路の伝達関数は下記式(1)のように表すことができる。
図12の回路構成に示されるように、波形等化処理部271は、有限直流ゲインの不完全積分回路であり、入力された信号を、低周波数領域の減衰を増幅された信号として出力するものである。
また、図12の電気回路をボード線図で表すと、図13のように表すことができる。
図12、図13のR1〜R3及び/またはC1の値を変化させることで、図13に示す位相補償の周波数特性の横軸(周波数)の「1/(R2+R3)C1」または「1/R3C1」、縦軸(ゲイン)の「−(R2/R1)・R3/(R2+R3)」または「R2/R1」の値が変化する。これにより、図13に示す位相補償の周波数特性において、ゲインの漸増の程度(傾き)、ゲインの増幅の大きさ、ゲインを漸増させる周波数帯域(コーナー周波数、立ち上がり周波数)、ゲインを増幅させる周波数帯域、信号を通過させる周波数帯域等を所定の値に設定することで、位相補償の周波数特性を調節することができる。これにより、図11に示されるような3種類の周波数特性の補償パターンを実現することが出来る。中でも、R3を変化させることで、図11に示す3パターンのように位相補償パターンの周波数特性を変化させることができる。アナログ回路ではこのR3を連続的に変化させることが困難である場合があるため、何個かのR3の値を準備してそれらを切り替えて最適なものを選ぶことで、R3の値を変化させることができる。
波形等化処理においては、検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号が示す周波数応答を補償するために、適正な周波数特性の位相補償を行うことが好ましい。波形等化処理部271は、位相補償した信号を波形判定部272へ出力する。波形判定部272は、入力された信号につき、波形等化処理における位相補償(波形等化処理の条件)が適切かどうかを判定する。
(波形判定部)
波形判定部272は、波形等化処理部271により位相補償をされた信号の脈波について、脈波の1周期を所定の数のクロックで等分割したときに特定のタイミングのクロックにおける信号の強度が示すパターンと、速度脈波または加速度脈波を示す場合の脈波を同数のクロックで等分割したときに同じタイミングのクロックにおける信号の強度が示すパターンとを比較する脈波比較処理を行う。
波形判定部272は、まず、PLL263から入力されたクロックにより、波形等化処理部271から入力された脈動性信号を、1周期のクロックで等分割して、特定のタイミングのクロックにおいて複数のサンプリング点をとる。このときのクロック数は、PLL263のクロック数により決まる。ここでは、例として、5つのサンプリング点a〜eをとる場合について説明する。
速度脈波または加速度脈波は、その波形が特徴的な形状(ピーク)を示すことが知られている。また、波形等化処理部271により位相補償を行った際に、処理後の波形が速度脈波として得られる場合には、当然にその波形も、速度脈波に特徴的な形状を示すことになる。そこで、脈波が速度脈波または加速度脈波を示す場合に、この脈波をPLL263から入力されるクロックで等分割して、波形が特徴的な形状を示す特定のタイミングのクロックにサンプリング点を配置して、そのクロックにおける信号の強度(サンプル値)を得る。このように、信号の強度を波形が特徴的な形状を示す複数のポイントで得る、サンプリング動作を行うことにより、1周期の間に速度脈波または加速度脈波の信号の強度が示す特有のパターンを得ることができる。
サンプリングについて、図14を参照して説明する。図14に示す波形は速度脈波を示すものである。PLL263により得られた0〜127までの計128のクロックにより、脈波の1周期を等分割する。そして、脈波波形がピークをとるPeak値をPLLの同期位相0として、このタイミングにサンプリング点bを配置する。このサンプリング点bの時間軸の前後のタイミングの特定のクロックにサンプリング点aとサンプリング点cを配置する。そして脈波の極性でマイナスに触れる点、すなわち容積脈波の偏曲点となる特定のタイミングのクロックにサンプリング点eを配置する。そしてサンプリング点cとサンプリング点eとの間の特定のタイミングのクロックにサンプリング点dを配置する。このようにして、速度脈波または加速度脈波の波形の特徴的なポイントとなる、特定のタイミングのクロックにサンプリング点を配置する。さらに、各サンプリング点a〜eにおける信号の強度をサンプル値として得て、速度脈波または加速度脈波の信号の強度が示す特有のパターンを取得しておく。
波形判定部272は、波形等化処理部271により位相補償をされた信号の脈波について、上述した速度脈波または加速度脈波についてサンプリングを行った場合と同数の計128のクロックとなるよう設定されたPLL263により得られたクロックにより、脈波の1周期を等分割する。そして、波形判定部272は、上述した速度脈波または加速度脈波の場合の各サンプリング点a〜eに対応する特定のタイミングのクロックにおける信号の強度を、それぞれサンプル値A〜Eとして得る。これによって、波形判定部272は、入力された信号について、速度脈波または加速度脈波が特徴的な形状を示す特定のタイミングのクロックに対応した信号強度のサンプル値A〜Eと、これらの信号の強度のサンプル値A〜Eが示す波形のパターンを取得することができる。
さらに、波形判定部272は、波形等化処理部271により位相補償をされた信号の脈波の示すサンプル値A〜Eのパターンと、速度脈波または加速度脈波が示すパターンとを比較して、これらが一致または近似する場合には、所望の速度脈波または加速度脈波が得られたと判定できる。このときは、適切な周波数特性の位相補償によって、入力された信号の周波数応答が補償された波形等化処理を行えたということができる。
例えば、位相補償のブースト量がほぼ最適となるような、適切な位相補償により波形等化処理を行った場合には、サンプリング点eのサンプル値Eが負の値となり、サンプリング点dのサンプル値Dが0に近い値となり、サンプリング点aとサンプリング点cのサンプル値AとCがサンプリング点bのサンプル値B(ピーク値)の約1/2付近となるというパターンを示す。
一方で、速度脈波に微分要素又は積分要素が残っている場合には、それに応じて波形が変化する。例えば、位相補償によるブースト量が不足する場合には、微分要素が残り、サンプリング点dのサンプル値Dが負の値になる傾向が強い。またサンプリング点bでのサンプル値Bが大きく、サンプリング点aとcでのサンプル値AとCが小さくなり、波形の形状としては本来の波形よりもピークがスリム(急峻)になるというパターンを示す。
また、位相補償によるブースト量が過多となる場合には、積分要素が残り、サンプリング点bのサンプル値Bが、他の位相補償を行った場合に比べて低くなるというパターンを示す。
このように、位相補償の周波数特性が異なることでブースト量が変わることにより、位相補償後に得られる波形が変化し、サンプリング点a〜eにおけるサンプル値A〜Eが変化する。波形判定部272では各サンプリング点のサンプル値と、基準となる速度脈波または加速度脈波の波形に表れるパターンとを比較することにより、各サンプル値がこのパターンと十分に近い値となった場合には、波形等化処理部271に波形等化適性信号を出力する。一方、各サンプル値が位相補償のブースト量が最適となる場合に表れるパターンから離れた値となった場合には、波形等化処理部271に波形等化不適信号を出力する。
波形等化処理部271は、波形等化適性信号が入力された場合には、位相補償した信号をAGC273に出力する。一方、波形等化処理部271は波形等化不適信号が入力された場合には、周波数特性を変えて位相補償を行い、位相補償した信号を波形判定部272に出力する。このようにして、位相補償による補償が十分となるまで、位相補償とその判定と繰り返し行うことで、適切な周波数特性により位相補償を行い、周波数応答が補償された信号を得ることができる。これにより、周波数特性補償部96によれば、検体情報検出ユニット32から出力された脈動性信号について、脈波検出帯域を含む低周波数領域の微分応答を補償して、速度脈波として得ることができる。
(AGC)
AGC273は、入力された信号の増幅または減衰を行い、処理後の信号を周波数特性補償部96の外部に出力する。これは、波形等化処理部271による波形等化処理の結果、信号のピークレベルが変化する場合があるために、これを再調整するものである。
<接続部の機能構成>
接続部53の回路構成は、図1により示される。
Rヘッドホンユニット35の信号線36は、スイッチ回路68と接続される。信号線36は、スイッチ回路68により、第一プラグ62のRヘッドホン端子65、またはゲイン切り替え部95との接続が切り替えられる。
ゲイン切り替え部95は、その電源71と接続される。また、ゲイン切り替え部95は、周波数特性補償部96と接続される。周波数特性補償部96が、FET72のゲート端子(G)に接続されることで、ゲイン切り替え部95及び周波数特性補償部96によって処理された信号は、FET72のゲート端子(G)に入力される。FET72のドレイン端子(D)は、接続部53の第一プラグ62に設けられたマイク端子63と接続する。FET72のソース端子(S)はグランド線41と合流して、第一プラグ62に設けられたグランド端子64と接続する。
上述した回路構成により、スイッチ回路68によって信号線36がゲイン切り替え部95と接続した場合には、センサ212で検出された信号がゲイン切り替え部95に入力される。さらに、ゲイン切り替え部95及び周波数特性補償部96により処理された信号が、マイク端子63に入力され、第一ジャック81のマイク端子83を介して情報処理装置23のAD変換部89に入力される。この場合、センサ212はマイクロホンとして機能する。スイッチ回路68によって信号線36がRヘッドホン端子65と接続した場合には、Rヘッドホンユニット35のセンサ212へ音源92からの音信号が入力される。この場合、センサ212はスピーカーとして機能する。
このようにして、検体情報検出装置13は、センサ212により検出されてゲイン切り替え部95及び周波数特性補償部96により処理された信号を、情報処理装置23に出力する。
<周波数補正処理部>
周波数補正処理部90は、前述のごとく、入力された信号について周波数補正処理を施すことで、少なくとも上記の脈動性容積信号、脈動性速度信号および脈動性加速度信号のうちの1つの信号を取り出すものである。
周波数補正処理部90を機能的に表すとき、周波数補正処理部90は、図15に示すように、増幅器131、積分補正部132、微分補正部133を備えている。
センサ212で得られた脈動性信号出力が、周波数補正処理部90の増幅器131に入力されると、増幅処理が行われる。波形等化処理部271により脈動性信号を1段処理した場合、検体情報検出装置13の出力信号は速度脈波が得られる。このような検体情報検出装置13からの信号が入力された場合には、周波数補正処理部90では増幅処理以外の周波数補正処理を行わずに、速度脈波を得ることができる。また、増幅器131の出力信号を積分補正部132に入力し、積分回路での補償を行うことにより、容積脈波を得ることができる。また、増幅器131の出力信号を微分補正部133に入力し、微分回路での補償を行うことにより、加速度脈波を得ることができる。
<音源>
音源92は、Rヘッドホンユニット35及びLヘッドホンユニット37から音を出力するためのデジタル形式の音信号を出力するものである。
[1−3.信号特性と信号処理]
本実施形態において検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号は、外耳107を構成する部位を外部の空間から隔離して、閉鎖またはほぼ閉鎖されたクローズドキャビティを形成するようにした状態で、センサ212によって検出されるものである。ここで、心臓の収縮に伴う血管の脈動に起因する血管の容積変化を検出する場合、本来は容積脈波として検出されるとも考えられる。実際に、光学的方式により検出した場合には、脈動性信号は容積脈波として得られる。しかしながら、検体情報検出ユニット32から出力される信号は、センサ212の周波数特性によって信号のレベルまたは周波数特性に影響を受ける。また、検体情報検出ユニット32により検出される信号は、クローズドキャビティの閉鎖レベル、すなわち空洞109の空気漏れによって信号のレベルまたは周波数特性に影響を受ける。さらには、検体情報検出ユニット32がDSP備え、このDSPがセンサ212によって検出された信号に処理を加える場合には、これによっても信号のレベルまたは周波数特性に影響を受ける。また、検体情報検出ユニット32によって検出される振動源によっても、検出される波形または信号のレベルは影響を受ける。
このため、検体情報処理装置3における信号処理は、上述したような、センサ212の特性、クローズドキャビティの閉鎖レベル、及びDSPによる処理により受ける影響を軽減するようにして行うことが好ましい。すなわち、周波数特性補償部96では、波形等化処理によって、これらの影響によって検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号が示す周波数応答を補償する。また、ゲイン切り替え部95では、レベル調整処理によって、これらの影響による検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号のレベルの変化に応じて、信号のレベルの調整を行う。以下に、検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号が受ける影響と信号処理との関係について、検体情報検出ユニット32により検出される脈波波形の例を挙げて説明する。
[1−3−1.センサの周波数特性と周波数応答]
センサ212として用いられるドライバユニットの100Hz以下の低周波数領域の周波数特性は、横軸に周波数(Hz)のスケールをLog(対数)としたものとり、縦軸にGain(dB)をとることで、図16(a)のように表わされる。図16(a)に示すように、ドライバユニットは、低周波数領域に向かって20dB/decの感度低下する応答を示す。これは、例えばダイナミック型のドライバユニットの場合であれば、ダイヤフラムの振動を電流に変換する際の電磁変換系が微分応答であることに起因していると考えられる。
センサ212が上述したような電磁変換系に起因する周波数特性を示すため、検体情報検出ユニット32により検出される脈動性信号も同様の微分応答が加わった周波数特性を示す信号として検出される。この電磁変換系に起因する微分応答を補償するためには、図16(b)に示すような周波数特性を示す電気回路(補償回路)を通過させる、積分型の位相補償を適用すればよい。すなわち、センサ212の出力に対して、図16(b)に示すように超低周波数領域から100Hz付近まで−20dB/decでその後はフラットなカーブを通過させる位相補償を行えばよい。
[1−3−2.クローズドキャビティの閉鎖レベルと周波数応答]
<クローズドキャビティの閉鎖レベル>
検体101が検体情報検出ユニット32を装着した際に、筐体部211,612,622が外耳107を構成する部位を外部の空間から隔離して空洞109を形成したとしても、上述のように空洞109を完全には閉鎖できない要素が存在する。このために、筐体部211,612,622により空洞109を形成した際には、空洞109を閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造として形成することになる。このとき、空洞109が完全に閉じられた空間構造とはならないことにより、空気漏れが生じることによって、検体情報検出ユニット32により検出される脈動性信号の周波数特性が影響を受ける。このように、空洞109が完全に閉じられた空間構造とはならずに形成されている場合、すなわち完全なクローズドキャビティを形成できない場合を、クローズドキャビティの閉鎖レベルが「ほぼ閉鎖」であるという。
ここで、「クローズドキャビティの閉鎖レベル」とは、空洞109の閉鎖の度合いを表すものであり、単に「閉鎖レベル」ともいう。検体情報検出ユニット32が、カナル型のインナーイヤータイプ、オンイヤータイプ、またはアラウンドイヤータイプのヘッドホンのいずれかのヘッドホンであるかによって、クローズドキャビティの閉鎖レベルは変化する。また、イヤーピース213、イヤーパッド614,624、筐体部211,612,622の種類、形状、材質によっても閉鎖レベルは変化する。さらには、検体101の頭部110や耳介108の形状、頭髪または体毛の有無によって、または検体101が検体情報検出ユニット32をどのように装着しているかによっても閉鎖レベルは変化する。そして、このクローズドキャビティの閉鎖レベルが、検体情報検出ユニット32により検出される脈動性信号が示す周波数特性に影響を及ぼす。
なお、オンイヤータイプのヘッドホン、またはアラウンドイヤータイプのヘッドホンを装着した場合には、カナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンを装着した場合よりもクローズドキャビティの閉鎖レベルが低いと推測される。このため、検体情報検出ユニット32b,32cを用いた場合は、検体情報検出ユニット32aを用いた場合よりも、空洞109の空気漏れが大きく、空気漏れに起因する微分応答の度合いが大きいと推測される。
<カナル型のインナーイヤータイプの場合のクローズドキャビティの閉鎖レベルと周波数応答の変化>
検体情報検出ユニット32aを用いた場合、すなわち検体情報検出ユニット32がカナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンである場合に検出される信号の周波数特性は、図17(a)のように表される。図17(a)に示されるように、高周波数領域から10Hz付近まではフラットな周波数特性となる。しかしながら、空洞109aを完全に閉鎖できないことから、脈波情報検出帯域である0.1〜10Hzの低周波数領域にコーナー周波数を有し、クローズドキャビティの閉鎖レベルに応じてコーナー周波数が変動するのに応じて減衰度合いが変化してGainが落ちる微分応答を示す。これにより、検出される脈波の波形が乱れることになる。
このためクローズドキャビティの閉鎖レベルがほぼ閉鎖の場合には、図17(b)に示すように、脈波検出帯域である0.1〜10Hzの低周波数領域にコーナー周波数を有するゲインの減衰にあわせて、信号のゲインを上昇させるような位相補償を行う必要がある。なお、クローズドキャビティの閉鎖レベルによって、微分応答のコーナー周波数が変化して、図17(a)に示すような低周波数領域の減衰は変化することになるため、変化に応じて補償を行うブースト量を変化させて位相補償を行う必要がある。
参考として、指先または腕においてクローズドキャビティを形成、すなわち完全に閉鎖した状態で、血管の脈動性信号を検出した際に得られる脈波の波形の一例を表すのが図18(b)である。図18(b)に表される波形は、その波形の形状から、速度脈波であるといえる。図18(b)の波形を示す速度脈波の脈動性信号を積分することで、図18(a)の波形を示す容積脈波が得られる。また、図18(b)の波形を示す速度脈波の脈動性信号を微分することで、図18(c)に示す加速度脈波が得られる。
なお、図18(a)〜図18(c)において、図中横軸の単位[s]は秒を表す(以降、図中の単位[s]についても同様。)。
一方、検体情報検出ユニット32aとして、カナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンを用いて、外耳道104を閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞109aとして形成するようにして、血管の脈動性信号を検出した際に得られる波形の一例を表すのが図19(b)である。図19(b)の波形を示す脈動性信号を積分することで、図19(a)の波形を示す脈波が得られる。また、図19(b)の波形を示す脈動性信号を微分することで、図19(c)に示す脈波が得られる。
このとき、図18(a)〜図18(c)の各波形と、図19(a)〜図19(c)の各波形とを比較すると、図19(a)の波形は図18(b)の速度脈波に近く、図19(b)の波形は図18(c)の加速度脈波に近く、図19(c)の波形は図18(b)の速度脈波の2重微分の波形、又は図18(c)の加速度脈波の微分波形に近いことが分かる。このことは、カナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンを用いて脈動性信号を検出した場合の図19(a)〜図19(c)に表される波形は、完全に閉鎖されたクローズドキャビティを形成して脈動性信号を検出した場合の図18(a)〜図18(c)に表される波形と比較して、これら脈波成分の周波数で新たな微分要素が加わっていることを示す。
上述の通り、検体情報検出ユニット32としてカナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンを用いて検出される脈動性信号は、微分要素が加わった周波数特性を示す信号として検出される。この空洞109aの空気漏れに起因する微分応答を補償するためには、図17(b)に示すような周波数特性を有する電気回路(補償回路)を通過させる、積分型または半積分型の位相補償を適用すればよい。
<オンイヤータイプの場合のクローズドキャビティの閉鎖レベルと周波数応答の変化>
検体情報検出ユニット32bを用いた場合、すなわち、検体情報検出ユニット32がオンイヤータイプのヘッドホンである場合に検出される信号の周波数特性は、図20(a)のように表される。空洞109bを完全に閉鎖できないことから、高周波数領域ではフラットな周波数特性であるものの、脈波情報検出帯域である0.1〜10Hzの低周波数領域を含む領域が、クローズドキャビティの閉鎖レベルに応じて減衰してGainが落ちることで、検出される脈波の波形が影響を受けることになる。
検体情報検出ユニット32bを用いた場合には、図20(b)に示すように、脈波検出帯域である0.1〜10Hzの低周波数領域を含む領域のゲインの減衰にあわせて、信号のゲインを上昇させるような位相補償を行う。すなわち、脈波検出帯域を含む低周波数領域のゲインの低下を補償するようにして、低周波数領域のゲインを増幅させるような位相補償を行えばよい。
なお、筐体部として、カナル型のインナーイヤーイヤホンに用いられるイヤーピース213を用いた場合では、図17(a)に示すように、脈波検出帯域付近に微分応答のコーナー周波数を有して減衰することによりGainが落ちる。これに対して、オンイヤータイプ、アラウンドイヤータイプのイヤーパッド614,624を用いた場合では、脈波検出帯域付近よりも高い領域から減衰して、カナル型のインナーイヤーイヤホンに用いられるイヤーピース213の場合よりも大きくGainが落ちる。このとき、減衰の落ち始めとなるコーナー周波数が脈波周波数より大きく離れているため、脈波検出帯域付近のゲインの低下が安定しているという特徴がある。このため、検体情報検出ユニット32aでは、外耳道104にイヤーピース213を入れた際に隙間無くおさまった時に、空気漏れによる微分応答のコーナー周波数が脈波の周波数に近いかこれよりも小さくなる場合がある。このときには、上述した電磁変換系の微分応答の影響を受けて、信号の波形が速度応答に近い波形となって検出される。一方、検体情報検出ユニット32b,32cでは、通常、空気漏れによる微分応答のコーナー周波数が脈波の周波数より十分に高くなる。このため、上述した電磁変換系の微分応答と、空気漏れによる微分応答の影響を受けて、信号の波形が安定な加速度応答になって検出される。
例えば、オンイヤータイプのヘッドホンまたはアラウンドイヤータイプのヘッドホンを用いた場合には、脈波情報検出帯域を含む周波数領域の周波数成分のゲインを周波数の減少とともに20dB/decで漸増させる補償パターンにより周波数特性の補償を行えば、空気漏れに起因する微分応答を補償できると考えられる。一方、カナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンを用いた場合には、オンイヤータイプのヘッドホンまたはアラウンドイヤータイプの場合よりも空気漏れが小さいため、位相補償のブースト量が少なくとも空気漏れに起因する微分応答を補償できると考えられる。
ただし、オンイヤータイプのヘッドホンまたはアラウンドイヤータイプのヘッドホンを用いた場合であっても、クローズドキャビティの閉鎖レベルに影響を受けることがある。このとき、図20(a)に示すような周波数特性の減衰度合いは、クローズドキャビティの閉鎖レベルに応じて空隙の影響によりコーナー周波数が変動するのに応じて変化する。このような場合としては、検体情報検出ユニット32bの装着の仕方や、イヤーパッド614の耳介108へのフィット具合、筐体部612,622の密閉度合等により、通常よりも閉鎖レベルが高くなる場合が挙げられる。このように、空気漏れによる微分応答のコーナー周波数が脈波の周波数に近づく場合には、この変化に応じて補償を行うブースト量を変化させて位相補償を行う必要がある。
検体情報検出ユニット32bとして、オンイヤータイプのヘッドホンを用いて、閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞109bを形成するようにして血管の脈動性信号を検出した際に得られる波形の一例を表すのが図21(a)である。さらに、図21(a)の波形を示す脈動性信号を積分することで、図21(b)の波形を示す脈波が得られる。
このとき、図21(a),図21(b)の波形と、図18(a)〜図18(c)の各波形とを比較すると、図21(a)の波形は図18(c)の加速度脈波と同様の波形であり、図21(b)の波形は図18(b)の速度脈波と同様の波形であることが分かる。また、図19(a)〜図19(c)の各波形と比較すると、図21(a)の波形は加速度脈波に近い図19(b)の波形よりもピークが明りょうであることが分かる。また、図21(b)の波形は速度脈波に近い図19(a)の波形よりもピークが明りょうであることが分かる。
このことから、検体情報検出ユニット32bとしてオンイヤータイプのヘッドホンを用いた場合には、カナル型のインナーイヤーイヤホンを用いた場合よりも、ピークが明りょうでS/N比に優れた脈動性信号を検出できることがわかる。
なお、カナル型のインナーイヤーイヤホンを用いて、クローズドキャビティを形成した状態で脈動性信号を検出した場合には、ダイナミック型の電磁変換系の微分応答の影響により速度脈波の波形が観測される。しかしながら、通常、カナル型のインナーイヤーイヤホンを用いた場合には、クローズドキャビティの閉鎖レベルが閉鎖またはほぼ閉鎖された状態であるため、ダイナミック型の電磁変換系の微分応答と、コーナー周波数が脈波周波数に近いことの影響を受ける。これにより、完全に閉鎖されたクローズドキャビティを形成して脈動性信号を検出した場合と比較して、脈波成分の周波数で新たな微分要素が加わったことにより、速度脈波よりやや加速度脈波の傾向が加わった波形が観測されることになる。これに対して、オンイヤータイプのヘッドホンを用いた場合には、完全に閉鎖されたクローズドキャビティを形成して脈動性信号を検出した場合と比較して、ほぼ1回微分が加わった状態で、完全な加速度脈波として脈動性信号が検出されたことが分かる。
これは、図20(a)に示したように、検体情報検出ユニット32bとしてオンイヤータイプのヘッドホンを用いた場合には、脈波検出帯域付近よりも高い領域から減衰してGainが落ちる周波数特性であることが影響しているものと考えられる。また、オンイヤータイプの場合には、カナル型のインナーイヤーイヤホンの場合よりもクローズドキャビティの閉鎖レベルが低いため、空気の漏れによる微分要素が強くなることで、安定な加速度応答になって脈動性信号が検出されたと推測される。
上述の通り、検体情報検出ユニット32としてオンイヤータイプのヘッドホンを用いて検出される脈動性信号は、速度応答に1回微分が加わった周波数特性を示す信号として検出される。この空洞109bの空気漏れに起因する微分応答を補償するためには、図20(b)に示すような周波数特性を有する電気回路(補償回路)を通過させる、積分型の位相補償を適用すればよい。
<アラウンドイヤータイプの場合のクローズドキャビティの閉鎖レベルと周波数応答の変化>
検体情報検出ユニット32cを用いた場合、すなわち、検体情報検出ユニット32がアラウンドイヤータイプのヘッドホンである場合に検出される信号の周波数特性は、検体情報検出ユニット32bと同様に、図20(a)のように表される。
検体情報検出ユニット32cを用いた場合には、図20(b)に示すように、脈波検出帯域である0.1〜10Hzの低周波数領域を含む領域のゲインの減衰にあわせて、信号のゲインを上昇させるような位相補償を行う。すなわち、脈波検出帯域を含む低周波数領域のゲインの低下を補償するようにして、低周波数領域のゲインを増幅させるような位相補償を行えばよい。
アラウンドイヤータイプのヘッドホンを用いた場合のクローズドキャビティの閉鎖レベルは、オンイヤータイプのヘッドホンを用いた場合と同等と推測される。
検体情報検出ユニット32cとして、アラウンドイヤータイプのヘッドホンを用いて、閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞109cを形成するようにして血管の脈動性信号を検出した際に得られる波形の一例を表すのが図22(a)である。さらに、図22(a)の波形を示す脈動性信号を積分することで、図22(b)の波形を示す脈波が得られる。
このとき、図22(a),図22(b)の波形は、図21(a),図21(b)の波形と同様の波形として得られている。このことから、検体情報検出ユニット32cとしてアラウンドイヤータイプのヘッドホンを用いた場合にも、オンイヤータイプのヘッドホンを用いた場合と同様に、カナル型のインナーイヤーイヤホンを用いた場合よりも、ピークが明りょうでS/N比に優れた脈動性信号を検出できることがわかる。また、アラウンドイヤータイプのヘッドホンを用いた場合にも、完全に閉鎖されたクローズドキャビティを形成して脈動性信号を検出した場合と比較して、ほぼ1回微分が加わった状態で、安定な加速度応答になって脈動性信号が検出されたことが分かる。
上述の通り、検体情報検出ユニット32としてアラウンドイヤータイプのヘッドホンを用いて検出される脈動性信号は、速度応答に1回微分が加わった周波数特性を示す信号として検出される。この空洞109cの空気漏れに起因する微分応答を補償するためには、オンイヤータイプのヘッドホンを用いた場合と同様に、図20(b)に示すような周波数特性を有する、積分型の電気回路(補償回路)を通過させる位相補償を適用すればよい。
[1−3−3.DSPに起因する周波数応答の変化]
ここで、検体情報検出ユニット32として、オンイヤータイプのヘッドホンを用いて脈動性信号を検出した際に得られる波形の別の例を表すのが図23(a)である。さらに、図23(a)の波形を示す脈動性信号を積分することで、図23(b)の波形を示す脈波が得られる。なお、ここで用いたオンイヤータイプのヘッドホンは、イヤーパッド614の外部材618が合成皮革により形成されている。この場合、図23(a)の波形は、図20(a),図21(a)と同様に、加速度脈波になって検出されている。また、図23(b)の波形は、図20(b),図21(b)と同様に、速度脈波になって検出されている。
一方、検体情報検出ユニット32として、第二のアラウンドイヤータイプのヘッドホンを用いて脈動性信号を検出した際に得られる波形の別の例を表すのが図24(a)である。さらに、図24(a)の波形を示す脈動性信号を積分することで、図24(b)の波形を示す脈波が得られる。なお、ここで用いた第二のアラウンドイヤータイプのヘッドホンは、上述の図23(a),図23(b)を参照して説明したオンイヤータイプのヘッドホンと同様に、イヤーパッド614の外部材628が合成皮革により形成されている。さらに、第二のアラウンドイヤータイプのヘッドホンは、内部にDSPを備えており、このDSPが検出した信号に処理を加える。
この場合、図24(a)は、加速度脈波ではなく、微分応答に近い波形、すなわち加速度脈波よりも速度脈波に近い波形が観測されている。また、積分後に得られる図24(b)では、速度脈波ではなく、容積脈波に近い波形が観測されている。これは、第二のアラウンドイヤータイプのヘッドホンが備えるDSPにより、脈波検出帯域を含む周波数成分をブーストするように補正することで、検体情報検出ユニット32により検出される脈動性信号に積分要素が加わっているためであると考えられる。
上述の通り、検体情報検出ユニット32として、DSPを備えるヘッドホンを用いて検出される脈動性信号は、積分要素または積分要素が加わった周波数特性を示す信号として検出される場合がある。このDSPに起因する微分応答を補償するためには、DSPの周波数特性が必ずしも明らかではないため、図13に示すような周波数特性を有する電気回路において、パラメーターを適宜調節してこれを通過させる、積分型または半積分型の位相補償を適用すればよい。
[1−3−4.周波数応答と波形等化処理]
検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号は、上述したような、センサ212の特性、クローズドキャビティの閉鎖レベル、及びDSPによる処理等に起因して、周波数特性が変化している。検体情報検出装置13によれば、周波数特性補償部96(波形等化処理部271)によって波形等化処理を行うことにより、検体情報検出ユニット32から出力された脈動性信号の周波数応答を補償して、所望の波形に波形等化(Equalizing)された信号として出力する。
なお、上述した周波数応答の変化の説明では、個々の周波数応答について、それぞれ位相補償をする場合について説明を行ったが、実際には、複数の周波数応答が合わさった脈動性信号が検体情報検出ユニット32から出力される。
周波数特性補償部96では、波形等化処理部271により位相補償された波形について、波形判定部272によって判定の基準となる波形と比較して、位相補償の周波数特性が適正になるまで繰り返し位相補償と判定とを行う。また、位相補償の条件を、図13に示す周波数特性のゲインの漸増の程度、ゲインの増幅の大きさ、ゲインを漸増させる周波数帯域、ゲインを増幅させる周波数帯域、信号を通過させる周波数帯域等について、適宜変更して行う。このとき、判定の基準となる波形を、所望の特性を有する波形とすることにより、周波数応答が補償された所望の特性を有する波形として得ることができる。これによって、複数の周波数応答が合わさった脈動性信号についても周波数応答を補償して、所望の波形を得ることができる。
例えば、センサ212の電磁系に起因する微分応答と、オンイヤータイプのヘッドホンの空気漏れによる微分応答が合わさることで、検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号は、加速度応答の脈波(加速度脈波)として出力される。このような脈動性信号に対して、周波数特性補償部96では、判定の基準となる波形を速度脈波として、検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号につき、積分型の位相補償を行うことで、1回分の微分応答が補償された速度脈波として得ることができる。
また例えば、センサ212の電磁系に起因する微分応答と、カナル型のインイヤータイプのヘッドホンの空気漏れによる微分要素が合わさることで、検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号は、速度応答の脈波(速度脈波)に微分要素が加わった脈波として出力される。このような脈動性信号に対して、周波数特性補償部96では、判定の基準となる波形を速度脈波として、検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号につき、半積分型の位相補償を行うことで、空気漏れによる微分要素が補償された速度脈波として得ることができる。
また例えば、例えば、センサ212の電磁系に起因する微分応答と、オンイヤータイプのヘッドホンの空気漏れによる微分応答と、検体情報検出ユニット32のDSPによるブースト(積分要素)とが合わさることで、検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号は、加速度応答の脈波(加速度脈波)に積分要素が加わった脈波として出力される。このような脈動性信号に対して、周波数特性補償部96では、判定の基準となる波形を速度脈波として、検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号につき、半積分型の位相補償を行うことで、1回分の微分応答と積分要素とが補償された速度脈波として得ることができる。
このようにして、検体情報検出装置13によれば、検体情報検出ユニット32から出力された脈動性信号に位相補償を行うことで、周波数応答が補償された所望の特性を有する波形を得ることができる。なお、閉鎖レベルに応じて必要なブースト量が変化する場合や、DSPの特性によって必要なブースト量が変化する場合についても、波形判定部272によって判定を行うことで、基準となる波形と同様の所望の特性を有する波形を得ることができる。
[1−3−5.信号レベルとゲイン切り替え]
<空気漏れと信号レベルの変化>
検体情報検出ユニット32として、第三のアラウンドイヤータイプのヘッドホンを用いて脈動性信号を検出した際に得られる波形の例を表すのが図25(a)である。さらに、図25(a)の波形を示す脈動性信号を積分することで、図25(b)の波形を示す脈波が得られる。なお、ここで用いた第三のアラウンドイヤータイプのヘッドホンは、イヤーパッド614の外部材628が布により形成されている。
この場合、積分後に得られる図25(b)では、DC的に波形が上下している。これは、第三のアラウンドイヤータイプのヘッドホンでは、イヤーパッド614が布製であることにより、測定時に空洞109の空気の漏れが変動しているためと考えられる。これにより、検体情報検出ユニット32により検出される脈動性信号は、空気漏れに起因して、信号のレベルが変化することが理解される。このような信号レベルの動的な変化についても、ゲイン切り替え部95によって適切なゲインに自動的に補正することが好ましい。
検体情報検出装置13によれば、ゲイン切り替え部95が、検体情報検出ユニット32から入力された信号に応じて信号のレベルを自動的に調整する。中でも、ゲイン切り替え部95によって信号の飽和を解消することができるため、いかなるタイプのヘッドホンを使用した場合であっても、自動的にゲインを切り替えて適正なゲインの信号を得ることができる。また、インナーイヤータイプのヘッドホンの場合は、オンイヤータイプまたはアラウンドイヤータイプのヘッドホンの場合よりも検出される信号の強度が低い。このために、PLLによるロックをかけることができない等、情報処理装置23に入力される信号が、信号処理に適さない場合がある。検体情報検出装置13によれば、ゲイン切り替え部95によって適切なゲインに増幅された信号を得ることができる。また、ゲイン切り替え部95によれば、信号レベルの動的に変化した場合であっても、適切なゲインに自動的に補正することができる。
<検体情報検出ユニットと振動源と信号レベルの変化>
検体情報検出ユニット32としては、カナル型のインナーイヤータイプ、オンイヤータイプ、またはアラウンドイヤータイプのヘッドホンのいずれかのヘッドホンを用いることができる。通常、オンイヤータイプまたはアラウンドイヤータイプのヘッドホンの場合は、インナーイヤータイプのヘッドホンの場合よりも検出される信号が大きく、情報処理装置23に入力される信号が飽和することがある。これは、例えばコンデンサ型のドライバユニットであれば、オンイヤータイプまたはアラウンドイヤータイプのヘッドホンの場合はダイヤフラムの径が大きいことが一因として考えられる。また、センサ212により得られる信号レベルは、センサ212として用いられるドライバユニットの特性により影響を受けることも一因として考えられる。
なお、一般的にヘッドホンのダイヤフラムの直径は、データ上では、カナル型のインナーイヤーイヤホンの場合であれば、8.8mmφから12.5mmφとされている。一方、オンイヤータイプ又はアラウンドイヤータイプの場合であれば、30mmφから53mmφとされている。なお、これらの値はダイヤフラムの周りのフリンジを含めた外形であり、振動に寄与するダイヤフラムの有効径は上記の値よりも小さくなる。仮に、上記のこれらのデータ上のダイヤフラム径を利用してそのまま面積を求めてみると、8mmφと53mmφでは、面積比で約33倍の差がある。
また、カナル型のインナーイヤーイヤホンを外耳道104に挿入した時に形成される空洞109の容積は2ccであるとされている。一方、オンイヤータイプ又はアラウンドイヤータイプの場合であれば、ヘッドホンの容積は約6ccとされている。これらの数値から、計算上は約一桁、オンイヤータイプ又はアラウンドイヤータイプのヘッドホンの方が検出される信号が大きくなるとも予測される。
ここで、ダミーヘッドの外耳道104にスピーカーを設けて0.1Hz〜20Hzの信号を発生させた場合に、オンイヤータイプのヘッドホン、アラウンドイヤータイプのヘッドホン、及びカナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンにより、それぞれ信号の検出を試みた。このとき、オンイヤータイプ及びアラウンドイヤータイプにより、外耳道104の外部開口部105を覆うように装着してクローズドキャビティを形成して測定を行なった。また、カナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンにより、外耳道104の外部開口部105を塞いでクローズドキャビティを形成して測定を行なった。その結果、同じ強さの信号の入力に対して、オンイヤータイプのヘッドホンまたはアラウンドイヤータイプのヘッドホンから得られる信号の量は、カナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンから得られる信号の数分の1程度となった。
この結果は、外耳道104のみを振動源とする場合に、オンイヤータイプまたはアラウンドイヤータイプのヘッドホンを用いた場合に得られる信号の量は、カナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンを用いた場合に得られる信号よりも、数分の1程度に少なくなることを示している。これは、オンイヤータイプまたはアラウンドイヤータイプのヘッドホンを用いた場合には、カナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンの場合よりも、形成される空洞109の容積が大きいこと、クローズドキャビティの閉鎖レベルが低いために空洞109から空気が漏れること、またセンサ212と振動源である外耳道104からの距離が遠いことが要因であると推測される。これにより、オンイヤータイプまたはアラウンドイヤータイプのヘッドホンを用いた場合には血管の脈動に起因して生じる空気の振動の検出が弱まることで、ダイヤフラムの有効径の大きさにも関わらず、得られる信号の量が少なくなると考えられる。
次に、検体101にオンイヤータイプのヘッドホンとアラウンドイヤータイプのヘッドホンとを装着して脈動性信号の検出を行う際に、外耳道104の外部開口部105をパテで覆って閉鎖した場合と、パテで覆わずに外耳道104を開放した場合との検出を試みた。
検体情報検出ユニット32としてオンイヤータイプのヘッドホンを用いて、外耳道104を開放した場合に得られる波形の例を表すのが図26、外耳道104を閉鎖した場合に得られる波形の例を表すのが図27である。また、検体情報検出ユニット32としてアラウンドイヤータイプのヘッドホンを用いて、外耳道104を開放した場合に得られる波形の例を表すのが図28、外耳道104を閉鎖した場合に得られる波形の例を表すのが図29である。
図26と図27とを比較すると、オンイヤータイプのヘッドホンを用いた際に、外耳道104の閉鎖により、検出される信号の波形は大きく変化はしないものの、信号の強度が低下していることが分かる。また、図28と図29とを比較すると、アラウンドイヤータイプのヘッドホンを用いた際も同様に、外耳道104の閉鎖により、検出される信号の波形は大きく変化はしないものの、信号の強度が低下していることが分かる。さらに、図26と図28、図27と図29を比較すると、外耳道104を開放した場合と外耳道104を閉鎖した場合とともに、アラウンドイヤータイプのヘッドホンにより検出される信号は、オンイヤータイプのヘッドホンにより検出される信号よりも大きいことが分かる。
より詳細に、検出された信号の波形それぞれにおいて、加速度脈波の5つのパルスのトップピークとボトムピークの信号の強度の差を求め、5パルス分の平均値を算出した。その結果、オンイヤータイプのヘッドホンで検出した脈動性信号のうち、外耳道104を閉鎖した場合の信号の強度の平均値は、外耳道104を開放した場合の約70%となった。また、アラウンドイヤータイプのヘッドホンで検出した脈動性信号のうち、外耳道104を閉鎖した場合の信号の強度の平均値は、外耳道104を開放した場合の約80%となった。
外耳道104を開放した場合の信号の強度と、外耳道104を閉鎖した場合の信号の強度の差は、外耳道104に由来する信号の強度に相当すると考えられる。すなわち、この結果から、オンイヤータイプのヘッドホンで検出される脈動性信号のうち、約30%が外耳道104に由来する信号であり、約70%が外耳道104以外に由来する信号であることを示している。また、アラウンドイヤータイプのヘッドホンで検出される脈動性信号のうち、約20%が外耳道104に由来する信号であり、約80%が外耳道104以外に由来する信号であることを示している。
上述のダミーヘッドを用いた測定結果と、パテで外耳道104を閉鎖した場合の測定結果とを考慮すると、外耳道104以外を振動源として、複数の振動源に由来する脈動性信号を検出することが、オンイヤータイプまたはアラウンドイヤータイプのヘッドホンを用いた場合に検出される信号強度の大きさの主要因となっていることが推測される。
すなわち、検体情報検出ユニット32としてオンイヤータイプまたはアラウンドイヤータイプのヘッドホンを用いた場合には、外耳道104、耳珠111、及び耳垂113を含んだ空洞109を形成することができる。このとき、カナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンを用いて外耳道104の外部開口部105に挿入する場合と比較して、外耳道104に加えて、耳珠111及び耳垂113に由来する血管の脈動性信号を検出することができる。中でも、耳珠111から検出される信号は、強度が大きく、またピークが鋭い。これによって、オンイヤータイプまたはアラウンドイヤータイプのヘッドホンを用いた場合に、カナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンの場合よりも、信号の強度が大きく、波形のピークが鋭い脈動性信号の検出を行うことができるものと考えられる。さらに、また、オンイヤータイプは耳介108の一部を覆うのに対して、アラウンドイヤータイプのヘッドホンは耳介108の全体を覆うことで、オンイヤータイプよりも大きな信号が得られていると考えられる。
このような検体情報検出ユニット32から出力される信号のレベルの相違について、ゲイン切り替え部95によって適切なゲインに自動的に補正することが好ましい。
なお、検体情報検出ユニット32としてカナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンを用いて、耳珠111に開口部215を向けて、イヤーピース213を押し当てて接触させることで装着して、脈動性信号を検出した際に得られる波形の例を表すのが図30である。また、検体情報検出ユニット32としてカナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンを用いて、耳垂113に開口部215を向けて、イヤーピース213を押し当てて接触させることで装着して、脈動性信号を検出した際に得られる波形の例を表すのが図31である。これらは、耳珠111のみ、または耳垂113のみを振動源として検出される信号の波形を表すものである。
図30と図31との比較から、カナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンの開口部215の大きさという同一表面積あたりで比較すると、耳珠111から得られる信号の強度は、耳垂113から得られる信号よりも大きいことが分かる。なお、外耳道104から得られる信号量を1とした場合、耳珠111から得られる信号量はおよそ2.3、耳珠111等の耳介108の他の部位から得られる信号量はおよそ0.5と推測される。
[1−3−6.周波数補正処理]
周波数補正処理は、図32に示すような周波数応答をする電気回路(補償回路)を通過させる処理として説明することができる。または、このような処理はハードウェア回路やソフトウェア、あるいはハードウェアとソフトウェアとを組み合わせたものによって実現してもよい。
検体情報検出ユニット32の出力からされた脈動性信号が、波形等化処理により速度脈波となっている場合において、容積脈波、速度脈波、または加速度脈波を得るには、図32に示すような周波数応答をする電気回路を通過させる周波数補正処理を適用すればよい。
このとき、図32に示すように、波形等化処理後の脈動性信号に対して超低周波域から100Hzまで−20dB/decでその後はフラットなカーブの周波数特性を有する電気回路を通過させる積分動作により、(容積)脈波が得られることになる。容積脈波は、周波数の変化に伴うゲインの変化は0dB/decであり、脈波の周波数付近ではフラットな周波数特性となっている。
また、図32に示すように、波形等化処理後の脈動性信号に対して超低域から100Hzまで20dB/decで上昇しその後フラットなカーブの周波数特性を有する電気回路を通過させる微分動作により、加速度脈波が得られることになる。加速度脈波は、周波数が高くなるにつれて40dB/decでゲインが上昇しており、脈波の周波数付近では速度応答を示す周波数特性となっている。
また、図32に示すように、波形等化処理後の脈動性信号に対して積分動作または微分動作を行わずに通過させる場合には、速度脈波が得られる。速度脈波は、周波数が高くなるにつれて20dB/decでゲインが上昇しており、脈波の周波数付近では加速度応答を示す周波数特性となっている。
すなわち、周波数補正処理とは、波形等化処理によって得られた速度脈波について、脈波の周波数1Hzに対して、積分動作を行うことで容積脈波を得て、微分動作を行うことで加速度脈波を得て、増幅動作を行うことで速度脈波を得る処理であるということもできる。
[1−4.検体情報処理装置の動作]
検体情報処理装置3の動作を、センサ212から検出された信号が情報処理装置23へ入力される入力処理と、音源92からの信号が検体情報検出装置13へ出力される出力処理とについてそれぞれ説明する。
なお、スイッチ回路68が、Rヘッドホンユニット35の信号線36とゲイン切り替え部95とを接続している場合には、入力処理が行われる。一方、スイッチ回路68が、Rヘッドホンユニット35の信号線36と第一プラグ62のRヘッドホン端子65とを接続している場合には、出力処理が行われる。
(入力処理)
図33に示すフローチャートに従って、センサ212から検出された信号が情報処理装置23へ入力される場合の検体情報処理装置3の動作を説明する。
検体情報処理装置3では、図33に示すように、まず、検体情報検出ユニット32が、Rヘッドホンユニット35におけるセンサ212によって脈動性信号を検出する(ステップS11)。検体情報検出ユニット32により検出された脈動性信号は、接続部53に入力される。このとき、接続部54に入力される信号は、センサ212の電磁変換系、空気漏れ、または検体情報検出ユニット32がDSPを備える場合にはその特性に起因した周波数特性を示すものとなっている。
接続部53に入力された脈動性信号は、スイッチ回路68を介して、ゲイン切り替え部95に入力される。ゲイン切り替え部95では、検体情報検出ユニット32から出力された脈動性信号に対してレベル調整処理を施して、信号のレベルを調整する(ステップS12)。ゲイン切り替え部95により処理された信号は、周波数特性補償部96に入力される。
周波数特性補償部96では、ゲイン切り替え部95で処理された信号に対して波形等化処理を施す(ステップS13)。このとき信号は、波形等化処理により脈波検出帯域の周波数応答が補償されて、速度脈波となっている。周波数特性補償部96により処理された信号は、FET72を介して、第一プラグ62のマイク端子63に入力され、第一ジャック81のマイク端子83を介して情報処理装置23に入力される(ステップS14)。
情報処理装置23に入力された信号は、AD変換部89に入力されて、AD変換部89によりデジタル信号に変換される(ステップS15)。デジタル信号に変換された信号は、周波数補正処理部90に入力される。
周波数補正処理部90は、AD変換部89により変換された信号に対して、周波数補正処理を施し、脈動性容積信号、脈動性速度信号、及び脈動性加速度信号のうちの一つの信号を取り出す(ステップS16)。周波数補正処理部90に入力される信号は速度脈波であるから、積分動作を行うことで容積脈波を得て、微分動作を行うことで加速度脈波を得て、増幅動作を行うことで速度脈波を得る。
(出力処理)
音源92からのデジタル形式の音信号は、左耳用の音信号と右耳用の音信号とでそれぞれDA変換部91に入力される。DA変換部91により、左耳用の音信号と右耳用の音信号は、それぞれアナログ形式の音信号に変換される。
DA変換部91により処理された右耳用の音信号は、第一ジャック81のRヘッドホン端子85に入力されて、第1プラグ62を介して検体情報検出装置13に出力される。また、DA変換部91により処理された左耳用の音信号は、第一ジャック81のLヘッドホン端子73に入力されて、第1プラグ62を介して検体情報検出装置13に出力される。
検体情報検出装置13に出力された右耳用の音信号は、スイッチ回路68を介して、Rヘッドホンユニット35に入力され、音源92の右耳用の音信号に対応する音が、Rヘッドホンユニット35のヘッドホン(スピーカー)から出力される。検体情報検出装置13に出力された左耳用の音信号は、Lヘッドホンユニット37に入力され、音源92の左耳用の音信号に対応する音が、Lヘッドホンユニット37のヘッドホン(スピーカー)としてのセンサ212から出力される。
(脈波の検出)
本実施形態に係る検体情報処理装置3は上述したように構成されており、脈波を測定する際には、スイッチ69を操作してスイッチ回路68により、センサ212とゲイン切り替え部95とを接続する。これにより、検体101に装着したRヘッドホンユニット35のセンサ212により脈波を検出することができる。
実施形態に係る検体情報処理装置3によれば、センサ212として、ヘッドホンをマイクロホンとして利用しているため、Rヘッドホンユニット35を装着したまま、装着しているRヘッドホンユニット35により脈波を検出可能である。この場合、検体101が、例えば脈波の測定時には音楽を聴いている状態から切り替えて、長時間脈波を測定するのに適している。
[1−5.第一実施形態に係る検体情報検出装置及び検体情報処理装置の効果]
第一実施形態に係る検体情報検出装置13及び検体情報処理装置3によれば、筐体部211,612,622により検体101の外耳107を構成する部位を外部の空間から隔離して閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞109を形成する。この状態で、センサ212が外耳107を構成する部位における血管の脈動性信号を、脈動性信号に起因し空洞109内を伝播する圧力情報として検出することにより、外耳107を構成する部位に存在する血管、中でも外耳道104、耳珠111、耳垂113、または鼓膜106に存在する血管を利用して、検体101の脈動性信号を検出することが出来る。
また、第一実施形態に係る検体情報検出装置13及び検体情報処理装置3によれば、外耳107を構成する部位と、筐体部211,612,622と、センサ212とが閉鎖された空間構造(クロ−ズドキャビティ)を形成するようにして測定する。このように、センサ212と振動源との関係において、クローズの状態にして測定することによって、脈波が検出される低周波数領域の周波数応答を向上させることができる。したがって、センサをオープンの状態で脈動性信号を検出する従来の場合と比較して、低周波数領域における脈動性信号のS/N比及び感度が改善される。
第一実施形態に係る検体情報検出装置13及び検体情報処理装置3によれば、ゲイン切り替え部95により、検体情報検出ユニット32から出力された信号が飽和する場合に信号を減衰させる。これにより、検体情報検出ユニット32によって検出される信号のレベルが変化したとしても、自動的にゲインを切り替えて、信号レベルが調整された適切な信号を出力することができる。
これにより、外耳107を構成する部位を外部の空間から隔離するとともに閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞109を形成可能に検体101の外耳107に装着することのできる、カナル型のインナーイヤータイプ、オンイヤータイプまたはアラウンドイヤータイプのヘッドホンであれば、その種類を問わずに脈動性信号の検出が可能である。また、このようなヘッドホンを検体情報検出ユニット32として利用することで、手軽に、日常的な測定が可能となる。
さらに、第一実施形態に係る検体情報検出装置13及び検体情報処理装置3によれば、波形等化処理部271によって波形等化処理を行うことで、センサ212により検出されて検体情報検出ユニット32から出力された信号が示す、脈波情報検出帯域の周波数応答を補償することができる。これにより、センサ212の電磁変換系、空洞109の空気漏れ、もしくは検体情報検出ユニット32が備えるDSPに起因する、微分応答または積分応答のいずれか、またはこれらがあわさった周波数応答を補償することができる。また、波形等化処理部271によって、脈動性信号を、微分要素または積分要素が加わっていない速度脈波信号または加速度脈波信号として得ることができる。
また、周波数特性補償部96において、波形等化処理部271により波形等化処理を行うとともに、波形判定部272により波形比較処理を施す。これにより、周波数特性補償部96は、検体情報検出ユニット32から出力された信号について、基準となる波形と同様のパターンを示すように周波数応答が補償された脈動性信号を得ることができる。また、波形判定部272では、入力された脈波をクロックで分割して正規化した時間において、同数のクロックで分割した基準となる波形と比較する。これにより、検体情報検出ユニット32から出力された信号の波形の時間軸が揺らいだ際にも、同じタイミングにより脈波の信号の強度が示すパターンを比較することができる。
さらに、第一実施形態に係る検体情報処理装置3によれば、周波数補正処理部90により、速度脈波、積分動作により容積脈波、又は微分動作により加速度脈波を得ることができる。
また、第一実施形態に係る検体情報検出装置13及び検体情報処理装置3によれば、接続部53がゲイン切り替え部95及び波形等化処理部271を有する。このため、情報処理装置23(スマートフォン23)に接続されるヘッドホンとして、本実施形態に係る検体情報検出装置13を用いることで、スマートフォン23にレベル調整処理及び波形等化処理を施した脈動性信号を入力することができる。すなわち、スマートフォン23に変更を加えることなく、スマートフォン23に入力される脈動性信号にレベル調整処理及び波形等化処理を施すことができる。
また、第一実施形態に係る検体情報検出装置13及び検体情報処理装置3によれば、接続部54が第一プラグ62を有し、情報処理装置23は第一プラグ62が接続される第一ジャック81を有し、ゲイン切り替え部95及び波形等化処理部271により処理された脈動性信号が、第一ジャック81を介して情報処理装置23に入力される。このため、情報処理装置23に脈動性信号以外の情報、例えば音声信号を入力する際には、第一ジャック81に接続される検体情報検出装置13を取り外し、ゲイン切り替え部95及び波形等化処理部271を有さない通常のヘッドホンマイクを接続すればよい。
[2.第一実施形態の変形例]
本発明の第一実施形態の変形例に係る検体情報処理装置4は、一部の構成が上述の第一実施形態に係る検体情報処理装置3と同様に構成されており、上述の第一実施形態に係る検体情報処理装置3と同様のものについては説明を省略し、同符号を用いて説明する。以降、第一実施形態の変形例を、単に本変形例とも呼ぶ。
本変形例に係る検体情報処理装置4は、図34に示すように、検体情報検出装置14と、情報処理装置23とを備えて構成されている。ここで、第一実施形態に係る検体情報処理装置3では、検体情報検出ユニット32が接続部53と直接接続されていたのに対し、本変形例に係る検体情報処理装置4では、検体情報検出ユニット33が第二プラグ42及び第二ジャック73を介して接続部54と接続されている点で相違している。
[2−1.検体情報処理装置の構成]
本変形例に係る検体情報処理装置4、検体情報検出装置14、及び情報処理装置23の構成、並びに各部を構成する要素について説明する。図34は、本変形例に係る検体情報処理装置4の構成を模式的に表わしたものである。
[2−1−1.検体情報検出装置の構成]
検体情報検出装置14は、図34に示すように、検体情報検出ユニット33と、接続部54とを備えて構成されている。接続部54のことをインターフェース装置54ともいう。
<検体情報検出ユニット>
検体情報検出ユニット33は、右耳用のヘッドホンユニット35(Rヘッドホンユニット)と、左耳用のヘッドホンユニット37(Lヘッドホンユニット)と、第二プラグ42とを備えている、ヘッドホンである。検体情報検出ユニット33は、第二プラグ42及び第二ジャック73を介して接続部54と接続されている他は、検体情報検出ユニット32と同様に構成されている。検体情報検出ユニット33は、検体情報検出ユニット32と同様に、例えば、カナル型のインナーイヤータイプのヘッドホン、オンイヤータイプのヘッドホン、またはアラウンドイヤータイプのヘッドホンのいずれかを用いることができる。
(第二プラグ)
第二プラグ42は、図34に示すように、プラグの根元から先端へ、グランド端子43、Rヘッドホン端子44、及びLヘッドホン端子45を順に有する。グランド端子43、Rヘッドホン端子44、及びLヘッドホン端子45は、導電性の金属板が略円筒状に加工されて形成されている。
グランド端子43とRヘッドホン端子44との間、Rヘッドホン端子44とLヘッドホン端子45との間には、絶縁部材46a、46bがそれぞれ設けられている。絶縁部材46a、46bは、絶縁性の樹脂又はゴム製の素材からなり、導電性の各端子の間に介設されることで、各端子が互いに絶縁されている。
図34に示すように、Rヘッドホンユニット35の信号線36が、第二プラグ42に設けられたRヘッドホン端子44と接続される。Lヘッドホンユニット37の信号線38が、第二プラグ42に設けられたLヘッドホン端子45と接続される。また、Rヘッドホンユニット35のグランド線41a、及びLヘッドホンユニット37のグランド線41bが合流したグランド線41が、第二プラグ42に設けられたグランド端子43と接続している。
<接続部>
本変形例に係る接続部54は、第二ジャック73、スイッチ回路68、スイッチ69、ゲイン切り替え部95、波形等化処理部271及び波形判定部272を有する周波数特性補償部96、電源71、FET72、並びに第一プラグ62を備えている。以下、接続部54の構成について、図34を参照して説明する。
接続部54は、第二ジャック73に検体情報検出ユニット33の第二プラグ42が挿入されることで、第二プラグ42及び第二ジャック73を介して、検体情報検出ユニット33と、接続部54とを接続している。また、接続部54は、第一プラグ62を情報処理装置23の第一ジャック81に挿入することで、第一プラグ62及び第一ジャック81を介して、検体情報検出装置14と、情報処理装置23とを接続している。接続部54は、スマートフォン23のジャック(第一ジャック81)に挿入されるとともに、接続部54の第二ジャック73にヘッドホンとしての検体情報検出ユニット33が挿入されることで、検体情報検出ユニット33とスマートフォン23とに介挿されるアダプタを構成する。
(第二ジャック)
第二ジャック73は、第二プラグ42が挿入される挿入孔74を備える。図34に示すように、第二ジャック73の挿入孔74の内部には、挿入孔74の手前から奥へ、グランド端子75、Rヘッドホン端子76、及びLヘッドホン端子77を順に有する。グランド端子75、Rヘッドホン端子76、及びLヘッドホン端子77は、導電性の金属板が板状に加工されて、第二ジャック73の挿入孔74の壁面に設けられることで形成されている。板状の端子が挿入孔74の中心方向に向けて屈曲して、曲げ弾性を有する凸部を形成しており、この端子の凸部が挿入孔74の中心方向に張り出すようにして設けられている。
第二ジャック73の構造を図35(a)〜図35(c)を参照して説明する。図35(a)〜図35(c)では、第二ジャック73の輪郭形状を二点鎖線で示している。図35(a)は、第二ジャック73を横方向から見た図であり、Rヘッドホン端子76、及びLヘッドホン端子77の配置を示している。図35(b)は、第二ジャック73のE−E’矢視端面を示す図であり、グランド端子75、Rヘッドホン端子76、及びLヘッドホン端子77の配置を示している。図35(c)は、第二ジャック73のF−F’矢視端面を示す図であり、グランド端子75,及びLヘッドホン端子77の配置を示している。
第二プラグ42が第二ジャック73の挿入孔74に挿入された場合に、図34に示すように、第二プラグ42のグランド端子43と第二ジャック73のグランド端子75とが接触し、第二プラグ42のRヘッドホン端子44と第二ジャック73のRヘッドホン端子76とが接触し、第二プラグ42のLヘッドホン端子45と第二ジャック73のLヘッドホン端子77とが接触するように、第二プラグ42及び第二ジャック73は形成されている。
第二プラグ42が第二ジャック73に挿入された場合の構造を図36(a)〜図36(c)を参照して説明する。図36(a)〜図36(c)では、第二ジャック73の輪郭形状を二点鎖線で示している。図36(a)は、第二ジャック73を横方向から見た図であり、第二プラグ42、Rヘッドホン端子76、及びLヘッドホン端子77の配置を示している。図36(b)は、第二ジャック73のG−G’矢視端面を示す図であり、第二プラグ42、グランド端子75、Rヘッドホン端子76、及びLヘッドホン端子77の配置を示している。図36(c)は、第二ジャック73のH−H’矢視端面を示す図であり、第二プラグ42、グランド端子75,及びLヘッドホン端子77の配置を示している。
第二プラグ42が第二ジャック73の挿入孔74に挿入された場合に、グランド端子75、Rヘッドホン端子76、及びLヘッドホン端子77は、対向する第二プラグ42の各々の端子と接触するとともに各々の端子の形状にあわせて弾性変形する。このとき、各々の端子の凸部における曲げ弾性により接触状態が維持される。これにより、グランド端子43とグランド端子75とが接続され、Rヘッドホン端子44とRヘッドホン端子76とが接続され、Lヘッドホン端子45とLヘッドホン端子77とが接続される。
図34に示すように、第一ジャック81のグランド端子84は接地されており、第二プラグ42のグランド端子43に接続されたグランド線41が、第二ジャック73、第一プラグ62、及び第一ジャック81を介して接地される。第一ジャック81のRヘッドホン端子85は、右耳用の音源92に対応するDA変換部91に接続されており、第二プラグ42のRヘッドホン端子44、及びRヘッドホン端子44に接続される信号線36に、右耳用の音源92に対応するDA変換部91からの信号が入力される。第一ジャック81のLヘッドホン端子86は、左耳用の音源92に対応するDA変換部91に接続されており、第一プラグ62のLヘッドホン端子45、及びLヘッドホン端子45に接続される信号線38に、左耳用の音源92に対応するDA変換部91からの信号が入力される。
(スイッチ回路及びスイッチ)
スイッチ回路68は、第二ジャック73のRヘッドホン端子76が、ゲイン切り替え部95と接続するか、第一プラグ62のRヘッドホン端子65と接続するかを切り替えるスイッチ手段である。言い換えれば、スイッチ回路68は、センサ212からゲイン切り替え部95及び周波数特性補償部96を経由しての第一プラグ62のマイク端子63への接続と、センサ212からRヘッドホン端子65への接続とを切り替えるものである。
(ゲイン切り替え部)
本変形例に係るゲイン切り替え部95は、検体情報検出ユニット33により検出された検出信号が、第二プラグ42及び第二ジャック73を介して入力される以外は、第一実施形態に係るゲイン切り替え部95と同様に構成されている。
(周波数特性補償部)
本変形例に係る周波数特性補償部96は、検体情報検出ユニット33により検出された検出信号が、第二プラグ42及び第二ジャック73を介して入力される以外は、第一実施形態に係る周波数特性補償部96と同様に構成されている。
[2−1−2.情報処理装置の構成]
本変形例に係る情報処理装置23(スマートフォン23)は、第一実施形態に係る情報処理装置23と同様に構成されている。
[2−2.検体情報処理装置の機能構成]
検体情報処理装置4を機能的に表すとき、検体情報処理装置4は、図34に示すように、検体情報検出装置14及び情報処理装置23を備えている。検体情報検出装置14は、検体情報検出ユニット33と、ゲイン切り替え部95及び周波数特性補償部96を有する接続部54とを備えている。本実施形態に係る情報処理装置23は、第一実施形態に係る情報処理装置23と同様に構成されている。
本変形例に係る情報処理装置23では、周波数補正処理部90は、上述したアプリケーションソフトがメモリ上に展開されてCPUにより実行されることで、周波数補正処理手段として機能する。また、ゲイン切り替え部95及び周波数特性補償部96は、接続部54に内蔵されるアナログ回路により処理がなされる。
(接続部の機能構成)
接続部54の回路構成は、図34により示される。
Rヘッドホンユニット35の信号線36は、第二プラグ42のRヘッドホン端子44と接続される。Rヘッドホン端子44は、第二ジャック73のRヘッドホン端子76と接続される。Rヘッドホン端子76は、スイッチ回路68に接続される。スイッチ回路68により、信号線36と、ゲイン切り替え部95、または第一プラグ62のRヘッドホン端子65との接続が切り替えられる。
ゲイン切り替え部95はその電源71と接続される。また、ゲイン切り替え部95は、周波数特性補償部96と接続される。周波数特性補償部96が、FET72のゲート端子(G)に接続されることで、ゲイン切り替え部95及び周波数特性補償部96によって処理された信号は、FET72のゲート端子(G)に入力される。FET72のドレイン端子(D)は、接続部54の第一プラグ62に設けられたマイク端子63と接続する。FET72のソース端子(S)はグランド線41と合流して、第一プラグ62に設けられたグランド端子64と接続する。
上述した回路構成により、スイッチ回路68によって信号線36がゲイン切り替え部95と接続した場合には、センサ212で検出された信号がゲイン切り替え部95に入力される。さらに、ゲイン切り替え部95及び周波数特性補償部96により処理された信号が、マイク端子63に入力され、第一ジャック81のマイク端子83を介して情報処理装置23のAD変換部89に入力される。この場合、センサ212はマイクロホンとして機能する。スイッチ回路68によって信号線36がRヘッドホン端子65と接続した場合には、Rヘッドホンユニット35のセンサ212へ音源92からの音信号が入力される。この場合、センサ212はスピーカーとして機能する。
このようにして、検体情報検出装置14は、センサ212により検出されてゲイン切り替え部95及び周波数特性補償部96により処理された信号を、情報処理装置23に出力する。
[2−3.信号特性と信号処理]
本変形例の検体情報検出装置14及び検体情報処理装置4における、検体情報検出ユニット33から出力される脈動性信号が信号特性に受ける影響と信号処理との関係は、上述した第一実施形態に係る検体情報検出装置13及び検体情報処理装置3と同様である。
[2−4.検体情報処理装置の動作]
検体情報処理装置4の動作を、センサ212から検出された信号が情報処理装置23へ入力される入力処理と、音源92からの信号が検体情報検出装置14へ出力される出力処理とについてそれぞれ説明する。
なお、スイッチ回路68が、第二ジャック73のRヘッドホン端子76とゲイン切り替え部95とを接続している場合には、入力処理が行われる。一方、スイッチ回路68が、第二ジャック73のRヘッドホン端子76と第一プラグ62のRヘッドホン端子65とを接続している場合には、出力処理が行われる。
(入力処理)
検体情報処理装置4における入力処理は、第一実施形態に係る検体情報処理装置3では、検体情報検出ユニット32により検出された脈動性信号が、スイッチ回路68を介してゲイン切り替え部95に入力されるのに対して、検体情報処理装置4では、検体情報検出ユニット33により検出された脈動性信号が、Rヘッドホン端子44及びRヘッドホン端子76、並びにスイッチ回路68を介してゲイン切り替え部95に入力される以外は、検体情報処理装置3における入力処理と同様になっている。
(出力処理)
検体情報処理装置4における右耳用の音信号の出力処理は、第一実施形態に係る検体情報処理装置3では、検体情報検出装置13に出力された右耳用の音信号は、スイッチ回路68を介して、Rヘッドホンユニット35に入力されるのに対して、検体情報処理装置4では、検体情報検出装置14に出力された右耳用の音信号が、スイッチ回路68、並びにRヘッドホン端子76及びRヘッドホン端子44を介して、Rヘッドホンユニット35に入力される以外は、検体情報処理装置3における入力処理と同様になっている。
また、検体情報処理装置4における左耳用の音信号の出力処理は、第一実施形態に係る検体情報処理装置3では、検体情報検出装置13に出力された左耳用の音信号は、Lヘッドホンユニット37に入力されるのに対して、検体情報処理装置4では、検体情報検出装置14に出力された左耳用の音信号が、Lヘッドホン端子77及びLヘッドホン端子45を介して、Lヘッドホンユニット37に入力される以外は、検体情報処理装置3における入力処理と同様になっている。
(脈波の検出)
本変形例に係る検体情報処理装置4は上述したように構成されており、脈波を測定する際には、スイッチ69を操作してスイッチ回路68により、センサ212とゲイン切り替え部95とを接続する。これにより、検体101に装着したRヘッドホンユニット35のセンサ212により脈波を検出することができる。
本変形例に係る検体情報処理装置4によれば、第一実施形態に係る検体情報処理装置3と同様に、検体101が、例えば脈波の測定時には音楽を聴いている状態から切り替えて、長時間脈波を測定するのに適している。
[2−5.第一実施形態の変形例に係る検体情報検出装置及び検体情報処理装置の効果]
第一実施形態の変形例に係る検体情報検出装置14、及び検体情報処理装置4によれば、前記第一実施形態で得られる効果に加えて、以下に記載の効果を奏する。
第一実施形態の変形例に係る検体情報検出装置14及び検体情報処理装置4によれば、接続部54(インターフェース装置54)により、検体情報検出ユニット33と情報処理装置23とを接続することができる。これにより、ゲイン切り替え部95及び周波数特性補償部96を備えない検体情報検出ユニット33であっても、接続部54を用いて情報処理装置23に接続することで、レベル調整処理及び波形等化処理を行う、第一実施形態に係る脈波を出力することができる。
また、第一実施形態の変形例に係る情報処理装置14及び検体情報処理装置4によれば、インターフェース装置54がゲイン切り替え部95及び周波数特性補償部96を有するとともに、インターフェース装置54により、検体情報検出ユニット33と情報処理装置23(スマートフォン23)とを接続することができる。このため、インターフェース装置54に接続される検体情報検出ユニット33は特に制限されず、第二プラグ42を有し検出された信号を入力可能なヘッドホンであれば第二ジャック73に接続して用いることができる。このとき、インターフェース装置54を介して、スマートフォン23にレベル調整処理及び波形等化処理を施した信号を入力することができる。また、スマートフォン23に変更を加えることなく、スマートフォン23に入力される信号にレベル調整処理及び波形等化処理を施すことができる。
[3.第二実施形態]
本発明の第二実施形態に係る検体情報処理装置5は、一部の構成が上述の第一実施形態に係る検体情報処理装置3と同様に構成されており、上述の第一実施形態に係る検体情報処理装置3と同様のものについては説明を省略し、同符号を用いて説明する。以降、第二実施形態を、単に本実施形態とも呼ぶ。
本実施形態に係る検体情報処理装置5は、図37に示すように、検体情報検出装置15と、情報処理装置25とを備えて構成されている。ここで、第一実施形態に係る検体情報処理装置3では、ゲイン切り替え部95、並びに波形等化処理部271及び波形判定部272を有する周波数特性補償部96が接続部53に備えられていたのに対し、本実施形態に係る検体情報処理装置5では、ゲイン切り替え部95及び周波数特性補償部96が情報処理装置25に備えられている点で相違している。
[3−1.検体情報処理装置の構成]
本実施形態に係る検体情報処理装置5、検体情報検出装置15、及び情報処理装置25の構成、並びに各部を構成する要素について説明する。図37は、本実施形態に係る検体情報処理装置5の構成を模式的に表わしたものである。
[3−1−1.検体情報検出装置の構成]
検体情報検出装置15は、図37に示すように、検体情報検出ユニット32と、接続部55とを備えて構成されている。
<検体情報検出ユニット>
本実施形態に係る検体情報検出ユニット32は、上述の第一実施形態に係る検体情報検出ユニット32と同様に構成されている。
図37に示すように、Rヘッドホンユニット35の信号線36が、接続部55のスイッチ回路68と接続される。Lヘッドホンユニット37の信号線38が、接続部55の第一プラグ62に設けられたLヘッドホン端子66と接続される。また、Rヘッドホンユニット35のグランド線41a、及びLヘッドホンユニット37のグランド線41bが合流したグランド線41が、接続部55の第一プラグ62に設けられたグランド端子64と接続される。
<接続部>
本実施形態に係る接続部55は、スイッチ回路68、スイッチ69、FET72、及び第一プラグ62を備えている。以下、接続部55の構成について、図37を参照して説明する。
接続部55は、第一プラグ62を情報処理装置25の第一ジャック81に挿入することで、第一プラグ62及び第一ジャック81を介して、検体情報検出装置15と、情報処理装置25とを接続している。接続部55は、スマートフォン23のジャック(第一ジャック81)に挿入される、ヘッドホンとしての検体情報検出ユニット32のプラグ部分を構成する。
(スイッチ回路及びスイッチ)
スイッチ回路68は、Rヘッドホンユニット35の信号線36が、FET72と接続するか、第一プラグ62のRヘッドホン端子65と接続するかを切り替えるスイッチ手段である。言い換えれば、スイッチ回路68は、センサ212からFET72を経由しての第一プラグ62のマイク端子63への接続と、センサ212からRヘッドホン端子65への接続とを切り替えるものである。
[3−1−2.情報処理装置の構成]
情報処理装置25の構成について、図37を参照して説明する。
本実施形態に係る情報処理装置25(スマートフォン25)は、ゲイン切り替え部95、並びに波形等化処理部271及び波形判定部272を有する周波数特性補償部96をさらに備えている以外は、第一実施形態に係る情報処理装置23と同様に構成されている。
すなわち、情報処理装置25は、図37に示すように、第一ジャック81、ゲイン切り替え部95、周波数特性補償部96、AD変換部89、周波数補正処理部90、DA変換部91、及び音源92を備えて構成されている。
(ゲイン切り替え部)
本実施形態に係るゲイン切り替え部95は、情報処理装置25に備えられている以外は、第一実施形態に係るゲイン切り替え部95と同様に構成されている。ゲイン切り替え部95により処理された信号は、周波数特性補償部96に入力される。
(周波数特性補償部)
本実施形態に係る周波数特性補償部96は、情報処理装置25に備えられている以外は、第一実施形態に係る周波数特性補償部96と同様に構成されている。周波数特性補償部96により処理された信号は、AD変換部89に入力される。
[3−2.検体情報処理装置の機能構成]
検体情報処理装置5を機能的に表すとき、検体情報処理装置5は、図37に示すように、検体情報検出装置15及び情報処理装置25を備えている。検体情報検出装置15は、検体情報検出ユニット32と、接続部55とを備えている。情報処理装置25は、ゲイン切り替え部95、周波数特性補償部96、AD変換部89、周波数補正処理部90、DA変換部91、及び音源92を備えている。
本実施形態に係る情報処理装置25としてのスマートフォン25には、信号処理用のアプリケーションソフトがダウンロードされており、このアプリケーションソフトを起動させることで、スマートフォン25によって信号処理を行うことができる。
本実施形態に係る情報処理装置25では、周波数補正処理部90は、上述したアプリケーションソフトがメモリ上に展開されてCPUにより実行されることで、周波数補正処理手段として機能する。また、ゲイン切り替え部95及び周波数特性補償部96は、スマートフォン25に内蔵されるアナログ回路により処理がなされる。
(ゲイン切り替え部)
本実施形態に係るゲイン切り替え部95の機能構成は、情報処理装置25に備えられている以外は、第一実施形態に係るゲイン切り替え部95と同様に構成されている。
(周波数特性補償部)
本実施形態に係る周波数特性補償部96の機能構成は、情報処理装置25に備えられている以外は、第一実施形態に係る周波数特性補償部96と同様に構成されている。
(接続部の機能構成)
接続部55の回路構成は、図37により示される。
Rヘッドホンユニット35の信号線36は、スイッチ回路68と接続される。信号線36は、スイッチ回路68により、FET72、または第一プラグ62のRヘッドホン端子65との接続が切り替えられる。
スイッチ回路68が、FET72のゲート端子(G)に接続されることで、センサ212により検出された信号は、FET72のゲート端子(G)に入力される。FET72のドレイン端子(D)は、接続部55の第一プラグ62に設けられたマイク端子63と接続する。FET72のソース端子(S)はグランド線41と合流して、第一プラグ62に設けられたグランド端子64と接続する。
上述した回路構成により、スイッチ回路68によって信号線36がFET72と接続した場合には、センサ212で検出された信号がFET72に入力される。さらに、センサ212で検出された信号が、マイク端子63に入力され、第一ジャック81のマイク端子83を介して情報処理装置25のゲイン切り替え部95に入力される。この場合、センサ212はマイクロホンとして機能する。スイッチ回路68によって信号線36がRヘッドホン端子65と接続した場合には、Rヘッドホンユニット35のセンサ212へ音源92からの音信号が入力される。この場合、センサ212はスピーカーとして機能する。
このようにして、検体情報検出装置15は、センサ212により検出された検出信号を、情報処理装置25に出力する。
[3−3.周波数特性と信号処理]
本実施形態に係る検体情報検出装置15及び検体情報処理装置5における、検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号が信号特性に受ける影響と信号処理との関係は、上述した第一実施形態に係る検体情報検出装置13及び検体情報処理装置3と同様である。
[3−4.検体情報処理装置の動作]
検体情報処理装置5の動作を、センサ212から検出された信号が情報処理装置25へ入力される入力処理について説明する。なお、音源92からの信号が検体情報検出装置15へ出力される出力処理については、第一実施形態に係る検体情報処理装置3における出力処理と同様の処理となっている。
スイッチ回路68が、Rヘッドホンユニット35の信号線36とFET72とを接続している場合には、入力処理が行われる。一方、スイッチ回路68が、Rヘッドホンユニット35の信号線36と第一プラグ62のRヘッドホン端子65とを接続している場合には、出力処理が行われる。
(入力処理)
図38に示すフローチャートに従って、センサ212から検出された信号が情報処理装置25へ入力される場合の検体情報処理装置5の動作を説明する。
検体情報処理装置5では、図38に示すように、まず、検体情報検出ユニット32が、Rヘッドホンユニット35におけるセンサ212によって脈動性信号を検出する(ステップS21)。検体情報検出ユニット32により検出された脈動性信号は、接続部55に入力される。このとき、接続部55に入力される信号は、センサ212の電磁変換系、空気漏れ、または検体情報検出ユニット32がDSPを備える場合にはその特性に起因した周波数特性を示すものとなっている。
検体情報検出ユニット32から出力された脈動性信号は、スイッチ回路68及びFET72を介して、第一プラグ62のマイク端子63に入力され、さらに、第一ジャック81のマイク端子83を介して、情報処理装置25に入力される(ステップS22)。
情報処理装置25に入力された脈動性信号は、ゲイン切り替え部95に入力される。ゲイン切り替え部95では、検体情報検出ユニット32から出力された脈動性信号に対してレベル調整処理を施して、信号のレベルを調整する(ステップS23)。ゲイン切り替え部95により処理された信号は、周波数特性補償部96に入力される。
周波数特性補償部96では、ゲイン切り替え部95で処理された信号に対して波形等化処理を施す(ステップS24)。このとき信号は、波形等化処理により脈波検出帯域の周波数応答が補償されて、速度脈波となっている。周波数特性補償部96により処理された信号は、AD変換部89に入力されて、AD変換部89によりデジタル信号に変換される(ステップS25)。デジタル信号に変換された信号は、周波数補正処理部90に入力される。
周波数補正処理部90は、AD変換部89により変換された信号に対して、周波数補正処理を施し、脈動性容積信号、脈動性速度信号、及び脈動性加速度信号のうちの一つの信号を取り出す(ステップS26)。周波数補正処理部90に入力される信号は速度脈波であるから、積分動作を行うことで容積脈波を得て、微分動作を行うことで加速度脈波を得て、増幅動作を行うことで速度脈波を得る。
(脈波の検出)
本変形例に係る検体情報処理装置5は上述したように構成されており、脈波を測定する際には、スイッチ69を操作してスイッチ回路68により、センサ212とFET72とを接続する。これにより、検体101に装着したRヘッドホンユニット35のセンサ212により脈波を検出することができる。
本実施形態に係る検体情報処理装置5によれば、第一実施形態に係る検体情報処理装置3と同様に、検体101が、例えば脈波の測定時には音楽を聴いている状態から切り替えて、長時間脈波を測定するのに適している。
[3−5.第二実施形態に係る検体情報処理装置の効果]
第二実施形態に係る検体情報処理装置5によれば、前記第一実施形態で得られる効果に加えて、以下に記載の効果を奏する。
第二実施形態に係る情報処理装置25及び検体情報処理装置5によれば、ゲイン切り替え部95により、検体情報検出ユニット32から出力された信号が飽和する場合に信号を減衰させる。これにより、検体情報検出ユニット32によって検出される信号のレベルが変化したとしても、自動的にゲインを切り替えて、信号レベルが調整された適切な信号を得ることができる。
さらに、第二実施形態に係る情報処理装置25及び検体情報処理装置5によれば、波形等化処理部271によって波形等化処理を行うことで、センサ212により検出されて検体情報検出ユニット32から出力された信号が示す、脈波情報検出帯域の周波数応答を補償することができる。これにより、センサ212の電磁変換系、空洞109の空気漏れ、もしくは検体情報検出ユニット32が備えるDSPに起因する、微分応答または積分応答のいずれか、またはこれらがあわさった周波数応答を補償することができる。また、波形等化処理部271によって、脈動性信号を、微分要素または積分要素が加わっていない速度脈波信号または加速度脈波信号として得ることが出来る。
また、周波数特性補償部96において、波形等化処理部271により波形等化処理を行うとともに、波形判定部272により波形比較処理を施す。これにより、周波数特性補償部96は、検体情報検出ユニット32から出力される信号について、基準となる波形と同様のパターンを示すように周波数応答が補償された脈動性信号を得ることができる。また、波形判定部272では、入力された脈波をクロックで分割して正規化した時間において、同数のクロックで分割した基準となる波形と比較する。これにより、検体情報検出ユニット32から出力された信号の波形の時間軸が揺らいだ際にも、同じタイミングにより脈波の信号の強度が示すパターンを比較することができる。
[4.第二実施形態の変形例]
本発明の第二実施形態の変形例に係る検体情報処理装置6は、一部の構成が、上述の第二実施形態に係る検体情報処理装置5、または第一実施形態の変形例に係る検体情報処理装置4と同様に構成されており、上述の第二実施形態に係る検体情報処理装置5、または第一実施形態の変形例に係る検体情報処理装置4と同様のものについては説明を省略し、同符号を用いて説明する。以降、第二実施形態の変形例を、単に本変形例とも呼ぶ。
本変形例に係る検体情報処理装置6は、図39に示すように、検体情報検出装置16と、情報処理装置25とを備えて構成されている。ここで、第二実施形態に係る検体情報処理装置5では、検体情報検出ユニット32が接続部53と直接接続されていたのに対し、本変形例に係る検体情報処理装置6では、検体情報検出ユニット33が第二プラグ42及び第二ジャック73を介して接続部56と接続されている点で相違している。
[4−1.検体情報処理装置の構成]
本変形例に係る検体情報処理装置6、検体情報検出装置16、及び情報処理装置25の構成、並びに各部を構成する要素について説明する。図39は、本実施形態に係る検体情報処理装置6の構成を模式的に表わしたものである。
[4−1−1.検体情報検出装置の構成]
検体情報検出装置16は、図39に示すように、検体情報検出ユニット33と、接続部56とを備えて構成されている。接続部56のことをインターフェース装置56ともいう。
<検体情報検出ユニット>
本変形例に係る検体情報検出ユニット33は、上述の第一実施形態の変形例に係る検体情報検出ユニット33と同様に構成されている。
<接続部>
本実施形態に係る接続部56は、第二ジャック73、スイッチ回路68、スイッチ69、FET72、及び第一プラグ62を備えている。以下、接続部56の構成について、図39を参照して説明する。
接続部56は、第二ジャック73に検体情報検出ユニット33の第二プラグ42が挿入されることで、第二プラグ42及び第二ジャック73を介して、検体情報検出ユニット33と、接続部56とを接続している。また、接続部56は、第一プラグ62を情報処理装置25の第一ジャック81に挿入することで、第一プラグ62及び第一ジャック81を介して、検体情報検出装置16と、情報処理装置25とを接続している。接続部56は、スマートフォン25のジャック(第一ジャック81)に挿入されるとともに、接続部56の第二ジャック73にヘッドホンとしての検体情報検出ユニット33が挿入されることで、検体情報検出ユニット33とスマートフォン25とに介挿されるアダプタを構成する。
(第二ジャック)
本変形例に係る第二ジャック73は、第一実施形態の変形例に係る第二ジャック73と同様に構成されている。
(スイッチ回路及びスイッチ)
スイッチ回路68は、第二ジャック73のRヘッドホン端子44が、FET72と接続するか、第一プラグ62のRヘッドホン端子65と接続するかを切り替えるスイッチ手段である。言い換えれば、スイッチ回路68は、センサ212からFET72を経由しての第一プラグ62のマイク端子63への接続と、センサ212からRヘッドホン端子65への接続とを切り替えるものである。
[4−1−2.情報処理装置の構成]
本変形例に係る情報処理装置25(スマートフォン25)は、第二実施形態に係る情報処理装置25と同様に構成されている。
[4−2.検体情報処理装置の機能構成]
検体情報処理装置6を機能的に表すとき、検体情報処理装置6は、図39に示すように、検体情報検出装置16及び情報処理装置25を備えている。検体情報検出装置16は、検体情報検出ユニット33と接続部56とを備えている。本変形例に係る情報処理装置25は、第二実施形態に係る情報処理装置25と同様に構成されている。
本実施形態に係る情報処理装置25では、周波数補正処理部90は、上述したアプリケーションソフトがメモリ上に展開されてCPUにより実行されることで、周波数補正処理手段として機能する。また、ゲイン切り替え部95及び周波数特性補償部96は、スマートフォン25に内蔵されるアナログ回路により処理がなされる。
(接続部の機能構成)
接続部56の回路構成は、図39により示される。
Rヘッドホンユニット35の信号線36は、第二プラグ42のRヘッドホン端子44と接続される。Rヘッドホン端子44は、第二ジャック73のRヘッドホン端子76と接続される。Rヘッドホン端子76は、スイッチ回路68と接続される。スイッチ回路68により、信号線36と、FET72、または第一プラグ62のRヘッドホン端子65との接続が切り替えられる。
スイッチ回路68が、FET72のゲート端子(G)に接続されることで、センサ212により検出された信号は、FET72のゲート端子(G)に入力される。FET72のドレイン端子(D)は、接続部56の第一プラグ62に設けられたマイク端子63と接続する。FET72のソース端子(S)は、グランド線41と接続するグランド端子75からグランド端子64への配線に合流して、第一プラグ62に設けられたグランド端子64と接続する。
上述した回路構成により、スイッチ回路68によって信号線36がFET72と接続した場合には、センサ212で検出された信号がFET72に入力される。さらに、センサ212で検出された信号が、マイク端子63に入力され、第一ジャック81のマイク端子83を介して情報処理装置25のゲイン切り替え部95に入力される。この場合、センサ212はマイクロホンとして機能する。スイッチ回路68によって信号線36がRヘッドホン端子65と接続した場合には、Rヘッドホンユニット35のセンサ212へ音源92からの音信号が入力される。この場合、センサ212はスピーカーとして機能する。
このようにして、検体情報検出装置16は、センサ212により検出された検出信号を、情報処理装置25に出力する。
[4−3.周波数特性と信号処理]
本変形例の検体情報検出装置16及び検体情報処理装置6における、検体情報検出ユニット33から出力される脈動性信号が信号特性に受ける影響と信号処理との関係は、上述した第二実施形態に係る検体情報検出装置15及び検体情報処理装置5と同様である。
[4−4.検体情報処理装置の動作]
検体情報処理装置6の動作を、センサ212から検出された信号が情報処理装置25へ入力される入力処理と、音源92からの信号が検体情報検出装置16へ出力される出力処理とについてそれぞれ説明する。
なお、スイッチ回路68が、Rヘッドホンユニット35の信号線36とFET72とを接続している場合には、入力処理が行われる。一方、スイッチ回路68が、Rヘッドホンユニット35の信号線36と第一プラグ62のRヘッドホン端子65とを接続している場合には、出力処理が行われる。
(入力処理)
検体情報処理装置6における入力処理は、第二実施形態に係る検体情報処理装置5では、検体情報検出ユニット32により検出された脈動性信号が、スイッチ回路68を介して、FET72に入力されるのに対して、検体情報処理装置6では、検体情報検出ユニット33により検出された脈動性信号が、Rヘッドホン端子44及びRヘッドホン端子76、並びにスイッチ回路68を介してFET72に入力される以外は、検体情報処理装置5における入力処理と同様になっている。
(出力処理)
検体情報処理装置6における右耳用の音信号の出力処理は、第二実施形態に係る検体情報処理装置5では、検体情報検出装置15に出力された右耳用の音信号は、スイッチ回路68を介して、Rヘッドホンユニット35に入力されるのに対して、検体情報処理装置6では、検体情報検出装置16に出力された右耳用の音信号が、スイッチ回路68、並びにRヘッドホン端子76及びRヘッドホン端子44を介して、Rヘッドホンユニット35に入力される以外は、検体情報処理装置5における入力処理と同様になっている。
また、検体情報処理装置6における左耳用の音信号の出力処理は、第二実施形態に係る検体情報処理装置5では、検体情報検出装置15に出力された左耳用の音信号は、Lヘッドホンユニット37に入力されるのに対して、検体情報処理装置6では、検体情報検出装置16に出力された左耳用の音信号が、Lヘッドホン端子77及びLヘッドホン端子45を介して、Lヘッドホンユニット37に入力される以外は、検体情報処理装置5における入力処理と同様になっている。
(脈波の検出)
本変形例に係る検体情報処理装置6は上述したように構成されており、脈波を測定する際には、スイッチ69を操作してスイッチ回路68により、センサ212とFET72とを接続する。これにより、検体101に装着したRヘッドホンユニット35のセンサ212により脈波を検出することができる。
本変形例に係る検体情報処理装置6によれば、第二実施形態に係る検体情報処理装置5と同様に、検体101が、例えば脈波の測定時には音楽を聴いている状態から切り替えて、長時間脈波を測定するのに適している。
[4−5.第二実施形態の変形例に係る検体情報処理装置の効果]
第二実施形態の変形例に係る情報処理装置25及び検体情報処理装置6によれば、前記第二実施形態で得られる効果に加えて、以下に記載の効果を奏する。
第二実施形態の変形例に係る情報処理装置25及び検体情報処理装置6では、情報処理装置25(スマートフォン25)がゲイン切り替え部95及び波形等化処理部271を有し、接続部56(インターフェース装置56)により、検体情報検出ユニット33とスマートフォン25とを接続することができる。このため、接続部56に接続される検体情報検出ユニット33は特に制限されず、第二プラグ42を有し検出された信号を入力可能なヘッドホンであれば第二ジャック73に接続して用いることができる。
[5.第三実施形態]
本発明の第三実施形態に係る検体情報処理装置7は、一部の構成が上述の第一実施形態に係る検体情報処理装置3と同様に構成されており、上述の第一実施形態に係る検体情報処理装置3と同様のものについては説明を省略し、同符号を用いて説明する。以降、第三実施形態を、単に本実施形態とも呼ぶ。
第三実施形態に係る検体情報処理装置7は、図40に示すように、検体情報検出装置17と、情報処理装置27とを備えて構成されている。
[5−1.検体情報処理装置の構成]
本実施形態に係る検体情報処理装置7、検体情報検出装置17、及び情報処理装置27の構成、並びに各部を構成する要素について説明する。図40は、本実施形態に係る検体情報処理装置7の構成を模式的に表わしたものである。
[5−1−1.検体情報検出装置の構成]
検体情報検出装置17は、図40に示すように、検体情報検出ユニット32と、接続部57とを備えて構成されている。
<検体情報検出ユニット>
本実施形態に係る検体情報検出ユニット32は、上述の第一実施形態に係る検体情報検出ユニット32と同様に構成されている。
図40に示すように、Rヘッドホンユニット35の信号線36が、接続部57の第一プラグ62に設けられたRヘッドホン端子65と、第一プラグ62に設けられたマイク端子63にFET72を介して接続される入力処理部97とに接続している。
<接続部>
本実施形態に係る接続部57は、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、波形等化処理部271及び波形判定部272を有する周波数特性補償部96、電源71、FET72、並びに第一プラグ62を備えている。以下、接続部57の構成について、図40を参照して説明する。
接続部57は、第一プラグ62及び第一ジャック81を介して、検体情報検出装置17と、情報処理装置27とを接続している。接続部57は、スマートフォン27のジャック(第一ジャック81)に挿入される、ヘッドホンとしての検体情報検出ユニット32のプラグ部分を構成する。
(入力処理部)
入力処理部97は、検体情報検出ユニット32により検出された検出信号に対して、血管の脈波情報が検出される周波数帯域である脈波情報検出帯域より高い周波数成分を減衰させて、脈波情報検出帯域の周波数成分を通過させるLPF(ローパスフィルタ)処理(単に、LPFともいう)施すものである。入力処理部97により処理された信号は、ゲイン切り替え部95に入力される。
(ゲイン切り替え部)
本実施形態に係るゲイン切り替え部95は、検体情報検出ユニット32により検出された検出信号が、入力処理部97を通過してから入力される以外は、第一実施形態に係るゲイン切り替え部95と同様に構成されている。
(周波数特性補償部)
本実施形態に係る周波数特性補償部96は、検体情報検出ユニット32により検出された検出信号が、入力処理部97を通過してから入力される以外は、第一実施形態に係る周波数特性補償部96と同様に構成されている。
[5−1−2.情報処理装置の構成]
情報処理装置27の構成について、図40を参照して説明する。
本実施形態に係る情報処理装置27は、検出された信号を処理するためのモバイル端末機としての携帯情報端末(スマートフォン)である。
情報処理装置27は、図40に示すように、第一ジャック81、AD変換部89、周波数補正処理部90、DA変換部91、音源92、及び出力処理部94を備えて構成されている。
(出力処理部)
出力処理部94は、音源92からの検体情報検出装置17に出力する右耳用の音信号に対して、血管の脈波情報が検出される周波数帯域である脈波情報検出帯域の周波数成分を減衰させて、該脈波情報検出帯域より高い周波数成分を通過させるHPF(ハイパスフィルタ)処理(単に、HPFともいう)を施すものである。この出力処理部94によるHPF処理を出力処理ともいう。
[5−1−3.検体情報処理装置の構成]
<検体情報処理装置の構成>
本実施形態に係る検体情報処理装置7は、図40に示すように、検体情報検出装置17と、情報処理装置27とを備えて構成されている。
<検体>
検体情報検出装置17及び検体情報処理装置7を適用する検体101としては、筐体部211,612,622により、外耳107を構成する部位を外部の空間から隔離して閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞109を形成するために、外耳107を構成する部位に対向するように、または外耳107を構成する部位を覆うように装着することが好ましい。
<検体情報検出装置及び検体情報処理装置について>
本実施形態に係る検体情報検出装置17及び検体情報処理装置7は、上述のように構成されており、検体情報検出ユニット32の筐体部211,612,622により、外耳107を構成する部位を外部の空間から隔離して閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞109を形成する。この状態で、検体101における外耳道104の内部、鼓膜106、または耳介108に存在する血管の脈動性信号に起因する圧力情報を受けて、検体101における血管の脈波情報に基づく脈動性信号を検出するものである。
[5−2.検体情報処理装置の機能構成]
検体情報処理装置7を機能的に表すとき、検体情報処理装置7は、図40に示すように、検体情報検出装置17及び情報処理装置27を備えている。検体情報検出装置17は、検体情報検出ユニット32と、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、及び周波数特性補償部96を有する接続部57とを備えている。情報処理装置27は、AD変換部89、周波数補正処理部90、DA変換部91、音源92、及び出力処理部94を備えている。
本実施形態に係る情報処理装置27としてのスマートフォン27には、信号処理用のアプリケーションソフトがダウンロードされており、このアプリケーションソフトを起動させることで、スマートフォン27によって信号処理を行うことができる。
本実施形態に係る情報処理装置27では、周波数補正処理部90は、上述したアプリケーションソフトがメモリ上に展開されてCPUにより実行されることで、周波数補正処理手段として機能する。また、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、及び周波数特性補償部96は、接続部57に内蔵されるアナログ回路により処理がなされる。
(入力処理部)
入力処理部97の回路構成は、図41により示される。入力処理部97は、図41に示すように、オペアンプ231、コンデンサ232,233、及び抵抗234,235,236から構成されたアクティブフィルタである。入力処理部97は、入力された信号について、所定の周波数よりも高い周波数成分を減衰させて、所定の周波数よりも低い周波数成分を通過させるLPFを施した信号を出力するローパスフィルタである。
より詳細には、入力処理部97は、血管の脈波情報が検出される周波数帯域である脈波情報検出帯域よりも高い周波数成分を減衰させて、脈波情報検出帯域の周波数成分と脈波情報検出帯域よりも低い周波数成分を通過させるものである。このLPFは、センサ212により検出される脈動性信号の強度が他の周波数成分よりも低いために、血管の脈波情報が含まれない高周波成分の信号を遮断するために行うものである。血管の脈波情報が検出される周波数帯域とは、0.1〜10Hzの低周波数領域である。
(出力処理部)
出力処理部94は、音源92からの検体情報検出装置17に出力する右耳用の音信号に対して、血管の脈波情報が検出される周波数帯域である脈波情報検出帯域の周波数成分を減衰させて、該脈波情報検出帯域より高い周波数成分を通過させる出力処理を施すものである。出力処理部94により処理された信号は、DA変換部91に入力される。
血管の脈波情報が検出される周波数帯域とは0.1〜10Hzの低周波数領域であるが、脈波を検出する際に、センサ212に入力される信号に応じて発せられる音の影響を低減するためには、より広い周波数帯域の周波数成分を低減させることが好ましい。ただし、過度に広い周波数帯域の周波数成分を低減させると、センサ212から発せられる音の品質が損なわれる場合がある。このため、本実施形態に係る出力処理部94は、100Hz以下の周波数成分を減衰させて、100Hzより高い周波数成分を通過させる。
(接続部の機能構成)
接続部57の回路構成は、図40により示される。
ゲイン切り替え部95は、その電源71と接続される。また、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、周波数特性補償部96は、順に接続されている。周波数特性補償部96が、FET72のゲート端子(G)に接続されることで、周波数特性補償部96によって処理された信号は、FET72のゲート端子(G)に入力される。FET72のドレイン端子(D)は、接続部57の第一プラグ62に設けられたマイク端子63と接続する。FET72のソース端子(S)はグランド線41と合流して、第一プラグ62に設けられたグランド端子64と接続する。
Rヘッドホンユニット35の信号線36は、接続部57の第一プラグ62に設けられたRヘッドホン端子65と接続しているともに、第一プラグ62に設けられたマイク端子63にFET72を介して接続される入力処理部97とも接続している。
上述した回路構成により、Rヘッドホンユニット35のセンサ212へ、音源92からの音信号が入力されるとともに、センサ212で検出された信号が、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、周波数特性補償部96に入力され、さらに情報処理装置27に入力される。すなわち、センサ212はスピーカーとしてもマイクロホンとしても同時に機能する。このとき、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、及び周波数特性補償部96により処理された信号は、マイク端子63に入力され、第一ジャック81のマイク端子83を介して、情報処理装置27のAD変換部89に入力される。
このようにして、検体情報検出装置17は、センサ212により検出され、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、及び周波数特性補償部96により処理された信号を、情報処理装置27に出力する。
[5−3.周波数特性と信号処理]
本実施形態に係る検体情報検出装置17及び検体情報処理装置7における、検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号が信号特性に受ける影響と信号処理との関係は、上述した第一実施形態に係る検体情報検出装置13及び検体情報処理装置3と同様である。ここではさらに、入力処理部97で行われるLPFと、出力処理部94で行われるHPFとの関係について説明する。
[5−3−1.LPFとHPF]
本実施形態に係る検体情報処理装置7では、センサ212が、スピーカーとしてもマイクロホンとしても同時に機能する。これは、Rヘッドホンユニット35のセンサ212へ音源92からの音信号が入力されるとともに、センサ212で検出された信号が入力処理部97を介して情報処理装置27に入力されることによる。
このとき、音源92から出力される音信号には、脈波情報検出帯域の周波数成分も含まれるため、音源92から出力される音信号をそのままセンサ212へ入力した場合には、音源92から出力される音信号により脈波の検出が困難となる。また、スピーカーとしてのセンサ212から出力された音が、マイクとしてのセンサ212に帰還されることになる。また、音源92から検体情報検出装置17に出力された音信号が、情報処理装置27に帰還される。
上記の問題を解決するため、本実施形態に係る検体情報処理装置7では、出力処理部94におけるHPFにより、センサ212に出力される脈波情報検出帯域の周波数成分を減衰させている。また、入力処理部97におけるLPFにより、センサ212により検出された検出信号に対して、脈波情報検出帯域よりも高い周波数成分を減衰させている。
これにより、本実施形態に係る検体情報処理装置7によれば、センサ212から発せられる音が脈波情報検出帯域の周波数成分が低減されるよう、脈波の検出への影響を抑えた音信号を検体情報検出装置17に出力することができる。また、センサ212により検出された検出信号は、脈波の検出に必要な周波数成分のみを、情報処理装置27に入力することができる。
入力処理部97は、コーナー周波数より高い周波数の成分を逓減するローパスフィルタである。入力処理部97は、遷移域においてそのコーナー周波数より高い周波数成分を周波数の増加とともに漸減させる。入力処理部97によるローパスフィルタのコーナー周波数は、脈波情報検出帯域よりも高い周波数であれば特に限定されないがS/N比を向上させるためには10Hz程度に設定するのがよい。但し、波形の揺らぎなどを見る場合には10Hz以上で100Hz程度まで伸ばしてもよい。
出力処理部94は、コーナー周波数より低い周波数の成分を逓減するハイパスフィルタである。出力処理部94は、遷移域においてそのコーナー周波数より低い周波数成分を周波数の減少とともに漸減させる。出力処理部94によるハイパスフィルタのコーナー周波数は、脈波情報検出帯域よりも高い周波数であれば特に限定されない。
[5−4.検体情報処理装置の動作]
検体情報処理装置7の動作を、センサ212から検出された信号が情報処理装置27へ入力される入力処理と、音源92からの信号が検体情報検出装置17へ出力される出力処理とについてそれぞれ説明する。
(入力処理)
図42に示すフローチャートに従って、センサ212から検出された信号が情報処理装置27へ入力される場合の検体情報処理装置7の動作を説明する。
検体情報処理装置7では、図42に示すように、まず、検体情報検出ユニット32が、Rヘッドホンユニット35におけるセンサ212によって脈動性信号を検出する(ステップS31)。検体情報検出ユニット32により検出された脈動性信号は、接続部57に入力される。このとき、接続部57に入力される信号は、センサ212の電磁変換系、空気漏れ、または検体情報検出ユニット32がDSPを備える場合にはその特性に起因した周波数特性を示すものとなっている。
接続部53に入力された脈動性信号は、入力処理部97に入力される。入力処理部97は、検体情報検出ユニット32から出力された脈動性信号に対して、脈波情報検出帯域より高い周波数成分を減衰させて、脈波情報検出帯域の周波数成分を通過させるLPFを施す(ステップS32)。このときの信号は、LPFにより、脈波情報検出帯域の周波数成分からなるものとなっている。入力処理部97により処理された信号は、ゲイン切り替え部95に入力される。
ゲイン切り替え部95では、入力処理部97で処理された信号に対してレベル調整処理を施して、信号のレベルを調整する(ステップS33)。ゲイン切り替え部95により処理された信号は、周波数特性補償部96に入力される。
周波数特性補償部96では、ゲイン切り替え部95で処理された信号に対して波形等化処理を施す(ステップS34)。このとき信号は、波形等化処理により脈波検出帯域の周波数応答が補償されて、速度脈波となっている。周波数特性補償部96により処理された信号は、FET72を介して、第一プラグ62のマイク端子63に入力され、第一ジャック81のマイク端子83を介して情報処理装置27に入力される(ステップS35)。
情報処理装置27に入力された信号は、AD変換部89に入力されて、AD変換部89によりデジタル信号に変換される(ステップS36)。デジタル信号に変換された信号は、周波数補正処理部90に入力される。
周波数補正処理部90は、AD変換部89により変換された信号に対して、周波数補正処理を施し、脈動性容積信号、脈動性速度信号、及び脈動性加速度信号のうちの一つの信号を取り出す(ステップS37)。周波数補正処理部90に入力される信号は速度脈波であるから、積分動作を行うことで容積脈波を得て、微分動作を行うことで加速度脈波を得て、増幅動作を行うことで速度脈波を得る。また、これらの信号はいずれも、脈波情報検出帯域の周波数成分からなるものとなっている。
(出力処理)
デジタル形式の右耳用の音信号は、音源92から出力処理部94に入力される。出力処理部94は、脈波情報検出帯域の周波数成分を減衰させて、脈波情報検出帯域より高い周波数成分を通過させる出力処理(HPF)を施す。出力処理部94により処理された右耳用の音信号は、DA変換部91に入力される。DA変換部91により、出力処理部94により処理された右耳用の音信号は、アナログ形式の音信号に変換される。
出力処理部94及びDA変換部91により処理された右耳用の音信号は、第一ジャック81のRヘッドホン端子85に入力されて、第1プラグ62を介して検体情報検出装置17に出力される。検体情報検出装置17に出力された右耳用の音信号は、Rヘッドホンユニット35に入力される。このとき、音源92の右耳用の音信号の脈波情報検出帯域より高い周波数成分からなる音が、Rヘッドホンユニット35のヘッドホン(スピーカー)としてのセンサ212から出力される。
デジタル形式の左耳用の音信号は、音源92からのDA変換部91に入力される。DA変換部91により、左耳用の音信号はアナログ形式の音信号に変換される。DA変換部91により処理された左耳用の音信号は、第一ジャック81のLヘッドホン端子73に入力されて、第1プラグ62を介して検体情報検出装置17に出力される。
検体情報検出装置17に出力された左耳用の音信号は、Lヘッドホンユニット37に入力され、音源92の左耳用の音信号に対応する音が、Lヘッドホンユニット37のヘッドホン(スピーカー)から出力される。
(脈波の検出)
本実施形態に係る検体情報処理装置7は上述したように構成されており、出力処理部94によりHPFを受けた音信号がセンサ212に出力されて、センサ212からは脈波情報検出帯域の周波数成分が減衰された音が出力される。また、センサ212により検出された脈動性信号は、入力処理部97によりLPFを受けて脈波情報検出帯域の周波数成分からなる信号として情報処理装置27に入力される。
本実施形態に係る検体情報処理装置7によれば、外耳107に装着したRヘッドホンユニット35のセンサ212が、スピーカーとして音を発するとともに、同時にマイクロホンとして脈波を検出ことができる。この場合、検体101が、例えば音楽を聴きながら、常時脈波を測定するのに適している。
[5−5.第三実施形態に係る検体情報処理装置の効果]
第三実施形態に係る検体情報処理装置7によれば、前記第一実施形態で得られる効果に加えて、以下に記載の効果を奏する。
第三実施形態に係る検体情報検出装置17及び検体情報処理装置7によれば、ゲイン切り替え部95により、検体情報検出ユニット32から出力された信号が飽和する場合に信号を減衰させる。これにより、検体情報検出ユニット32によって検出される信号のレベルが変化したとしても、自動的にゲインを切り替えて、信号レベルが調整された適切な信号を出力することができる。
さらに、第三実施形態に係る検体情報検出装置17及び検体情報処理装置7によれば、波形等化処理部271によって波形等化処理を行うことで、センサ212により検出されて検体情報検出ユニット32から出力された信号が示す、脈波情報検出帯域の周波数応答を補償することができる。これにより、センサ212の電磁変換系、空洞109の空気漏れ、もしくは検体情報検出ユニット32が備えるDSPに起因する、微分応答または積分応答のいずれか、またはこれらがあわさった周波数応答を補償することができる。また、波形等化処理部271によって、脈動性信号を、微分要素または積分要素が加わっていない速度脈波信号または加速度脈波信号として得ることが出来る。
また、周波数特性補償部96において、波形等化処理部271により波形等化処理を行うとともに、波形判定部272により波形比較処理を施す。これにより、周波数特性補償部96は、検体情報検出ユニット32から出力された信号について、基準となる波形と同様のパターンを示すように周波数応答が補償された脈動性信号を得ることができる。また、波形判定部272では、入力された脈波をクロックで分割して正規化した時間において、同数のクロックで分割した基準となる波形と比較する。これにより、検体情報検出ユニット32から出力された信号の波形の時間軸が揺らいだ際にも、同じタイミングにより脈波の信号の強度が示すパターンを比較することができる。
さらに、本実施形態に係る検体情報検出装置17及び検体情報処理装置7によれば、入力処理部97により、センサ212により検出された検出信号に対して、脈波情報検出帯域より高い周波数成分を減衰させて、脈波情報検出帯域の周波数成分を通過させるLPF処理を施す。また、出力処理部94により、検体情報検出装置17に出力する信号に対して、脈波情報検出帯域の周波数成分を減衰させて、脈波情報検出帯域より高い周波数成分を通過させる出力処理を施す。これにより、検体情報処理装置7は、センサ212がスピーカーとして音を発するとともに、同時にマイクロホンとして脈波を検出ことができることで、検体101が、例えば音楽を聴きながら、常時脈波を測定することができる。
また、第三実施形態に係る検体情報検出装置17及び検体情報処理装置7によれば、接続部57が第一プラグ62を有し、情報処理装置27は第一プラグ62が接続される第一ジャック81を有し、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、及び波形等化処理部271により処理された信号が、第一ジャック81を介して情報処理装置27に入力される。このため、情報処理装置27に脈動性信号以外の情報、例えば音声信号を入力する際には、第一ジャック81に接続される検体情報検出装置17を取り外し、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、及び波形等化処理部271を有さない通常のヘッドホンマイクを接続すればよい。
[6.第三実施形態の変形例]
本発明の第三実施形態の変形例に係る検体情報処理装置8は、一部の構成が上述の第三実施形態に係る検体情報処理装置7、または第一実施形態の変形例に係る検体情報処理装置4と同様に構成されており、上述の第三実施形態に係る検体情報処理装置7、または第一実施形態の変形例に係る検体情報処理装置4と同様のものについては説明を省略し、同符号を用いて説明する。以降、第三実施形態の変形例を、単に本変形例とも呼ぶ。
本変形例に係る検体情報処理装置8は、図43に示すように、検体情報検出装置18と、情報処理装置27とを備えて構成されている。ここで、第三実施形態に係る検体情報処理装置7では、検体情報検出ユニット32が接続部57と直接接続されていたのに対し、本変形例に係る検体情報処理装置8では、検体情報検出ユニット33が第二プラグ42及び第二ジャック73を介して接続部58と接続されている点で相違している。
[6−1.検体情報処理装置の構成]
本変形例に係る検体情報処理装置8、検体情報検出装置18、及び情報処理装置27の構成、並びに各部を構成する要素について説明する。図43は、本変形例に係る検体情報処理装置8の構成を模式的に表わしたものである。
[6−1−1.検体情報検出装置の構成]
検体情報検出装置18は、図43に示すように、検体情報検出ユニット33と、接続部58とを備えて構成されている。接続部58のことをインターフェース装置58ともいう。
<検体情報検出ユニット>
本変形例に係る検体情報検出ユニット33は、上述の第一実施形態の変形例に係る検体情報検出ユニット33と同様に構成されている。
<接続部>
本変形例に係る接続部58は、第二ジャック73、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、波形等化処理部271及び波形判定部272を有する周波数特性補償部96、電源71、FET72、並びに第一プラグ62を備えている。以下、接続部58の構成について、図43を参照して説明する。
接続部58は、第二ジャック73に検体情報検出ユニット33の第二プラグ42が挿入されることで、第二プラグ42及び第二ジャック73を介して、検体情報検出ユニット33と、接続部58とを接続している。また、接続部58は、第一プラグ62を情報処理装置27の第一ジャック81に挿入することで、第一プラグ62及び第一ジャック81を介して、検体情報検出装置18と、情報処理装置27とを接続している。接続部58は、スマートフォン27のジャック(第一ジャック81)に挿入されるとともに、接続部58の第二ジャック73にヘッドホンとしての検体情報検出ユニット33が挿入されることで、検体情報検出ユニット33とスマートフォン27とに介挿されるアダプタを構成する。
(第二ジャック)
本変形例に係る第二ジャック73は、第一実施形態の変形例に係る第二ジャック73と同様に構成されている。
(入力処理部)
本変形例に係る入力処理部97は、検体情報検出ユニット33により検出された検出信号が、第二プラグ42及び第二ジャック73を介して入力される以外は、第三実施形態に係る入力処理部97と同様に構成されている。
(ゲイン切り替え部)
本変形例に係るゲイン切り替え部95は、検体情報検出ユニット33により検出された検出信号が、第二プラグ42及び第二ジャック73を介して入力される以外は、第三実施形態に係るゲイン切り替え部95と同様に構成されている。
(周波数特性補償部)
本変形例に係る周波数特性補償部96は、検体情報検出ユニット33により検出された検出信号が、第二プラグ42及び第二ジャック73を介して入力される以外は、第三実施形態に係る周波数特性補償部96と同様に構成されている。
[6−1−2.情報処理装置の構成]
本変形例に係る情報処理装置27(スマートフォン27)は、第三実施形態に係る情報処理装置27と同様に構成されている。
[6−2.検体情報処理装置の機能構成]
検体情報処理装置8を機能的に表すとき、検体情報処理装置8は、図43に示すように、検体情報検出装置18及び情報処理装置27を備えている。検体情報検出装置18は、検体情報検出ユニット33と、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、及び周波数特性補償部96を有する接続部58とを備えている。本変形例に係る情報処理装置27は、第三実施形態に係る情報処理装置27と同様に構成されている。
本変形例に係る情報処理装置27では、周波数補正処理部90は、上述したアプリケーションソフトがメモリ上に展開されてCPUにより実行されることで、周波数補正処理手段として機能する。また、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、及び周波数特性補償部96は、接続部58に内蔵されるアナログ回路により処理がなされる。
(接続部の機能構成)
接続部58の回路構成は、図43により示される。
Rヘッドホンユニット35の信号線36は、第二プラグ42のRヘッドホン端子44と接続される。Rヘッドホン端子44は、第二ジャック73のRヘッドホン端子76と接続される。Rヘッドホン端子76が、接続部58の第一プラグ62に設けられたRヘッドホン端子65と、入力処理部97とに接続されることで、Rヘッドホンユニット35の信号線36は、Rヘッドホン端子65と、入力処理部97とに接続される。
ゲイン切り替え部95は、その電源71と接続される。また、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、周波数特性補償部96は、順に接続されている。周波数特性補償部96が、FET72のゲート端子(G)に接続されることで、周波数特性補償部96によって処理された信号は、FET72のゲート端子(G)に入力される。FET72のドレイン端子(D)は、接続部58の第一プラグ62に設けられたマイク端子63と接続する。FET72のソース端子(S)は、グランド線41と接続するグランド端子75からグランド端子64への配線に合流して、第一プラグ62に設けられたグランド端子64と接続する。
上述した回路構成により、Rヘッドホンユニット35のセンサ212へ、音源92からの音信号が入力されるとともに、センサ212で検出された信号が、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、周波数特性補償部96に入力され、さらに情報処理装置27に入力される。すなわち、センサ212はスピーカーとしてもマイクロホンとしても同時に機能する。このとき、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、及び周波数特性補償部96により処理された信号は、マイク端子63に入力され、第一ジャック81のマイク端子83を介して、情報処理装置27のAD変換部89に入力される。
このようにして、検体情報検出装置18は、センサ212により検出され、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、及び周波数特性補償部96により処理された信号を、情報処理装置27に出力する。
[6−3.周波数特性と信号処理]
本変形例の検体情報検出装置18及び検体情報処理装置8における、検体情報検出ユニット33から出力される脈動性信号が信号特性に受ける影響と信号処理との関係は、上述した第一実施形態に係る検体情報検出装置13及び検体情報処理装置3と同様である。また、入力処理部97で行われるLPFと、出力処理部94で行われるHPFとの関係は、第三実施形態に係る検体情報処理装置7と同様である。
[6−4.検体情報処理装置の動作]
検体情報処理装置8の動作を、センサ212から検出された信号が情報処理装置27へ入力される入力処理と、音源92からの信号が検体情報検出装置18へ出力される出力処理とについてそれぞれ説明する。
(入力処理)
検体情報処理装置8における入力処理は、第三実施形態に係る検体情報処理装置7では、検体情報検出ユニット32により検出された脈動性信号が、入力処理部97に入力されるのに対して、検体情報処理装置8では、検体情報検出ユニット33により検出された脈動性信号が、Rヘッドホン端子44及びRヘッドホン端子76を介して入力処理部97に入力される以外は、検体情報処理装置7における入力処理と同様になっている。
(出力処理)
検体情報処理装置8における右耳用の音信号の出力処理は、第三実施形態に係る検体情報処理装置7では、検体情報検出装置17に出力された右耳用の音信号は、Rヘッドホンユニット35に入力されるのに対して、検体情報処理装置8では、検体情報検出装置18に出力された右耳用の音信号が、Rヘッドホン端子76及びRヘッドホン端子44を介して、Rヘッドホンユニット35に入力される以外は、検体情報処理装置7における入力処理と同様になっている。
また、検体情報処理装置8における左耳用の音信号の出力処理は、第三実施形態に係る検体情報処理装置7では、検体情報検出装置17に出力された左耳用の音信号は、Lヘッドホンユニット37に入力されるのに対して、検体情報処理装置8では、検体情報検出装置18に出力された左耳用の音信号が、Lヘッドホン端子77及びLヘッドホン端子45を介して、Lヘッドホンユニット37に入力される以外は、検体情報処理装置7における入力処理と同様になっている。
(脈波の検出)
本変形例に係る検体情報処理装置8は上述したように構成されており、出力処理部94によりHPFを受けた音信号がセンサ212に出力されて、センサ212からは脈波情報検出帯域の周波数成分が減衰された音が出力される。また、センサ212により検出された脈動性信号は、入力処理部97によりLPFを受けて脈波情報検出帯域の周波数成分からなる信号として情報処理装置27に入力される。
本変形例に係る検体情報処理装置8によれば、第三実施形態に係る検体情報処理装置7と同様に、外耳107に装着したRヘッドホンユニット35のセンサ212が、スピーカーとして音を発するとともに、同時にマイクロホンとして脈波を検出ことができる。この場合、検体101が、例えば音楽を聴きながら、常時脈波を測定するのに適している。
[6−5.第三実施形態の変形例に係る検体情報処理装置の効果]
第三実施形態の変形例に係る検体情報処理装置8によれば、前記第三実施形態で得られる効果に加えて、以下に記載の効果を奏する。
第三実施形態の変形例に係る検体情報検出装置18及び検体情報処理装置8によれば、接続部58(インターフェース装置58)が入力処理部97、ゲイン切り替え部95、及び波形等化処理部271を有するとともに、インターフェース装置58により、検体情報検出ユニット33と情報処理装置27(スマートフォン27)とを接続することができる。このため、インターフェース装置58に接続される検体情報検出ユニット33は特に制限されず、第二プラグ42を有し検出された信号を入力可能なヘッドホンであれば第二ジャック73に接続して用いることができる。このとき、インターフェース装置58を介して、LPF、レベル調整処理、及び波形等化処理を施した信号を入力することができる。
[7.第四実施形態]
本発明の第四実施形態に係る検体情報処理装置9は、一部の構成が上述の第三実施形態に係る検体情報処理装置7と同様に構成されており、上述の第三実施形態に係る検体情報処理装置7と同様のものについては説明を省略し、同符号を用いて説明する
第四実施形態に係る検体情報処理装置9は、図44に示すように、検体情報検出装置19と、情報処理装置29とを備えて構成されている。ここで、第三実施形態に係る検体情報処理装置7では、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、並びに波形等化処理部271及び波形判定部272を有する周波数特性補償部96が接続部57に備えられていたのに対し、本実施形態に係る検体情報処理装置9では、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、及び周波数特性補償部96が情報処理装置29に備えられている点で相違している。
[7−1.検体情報処理装置の構成]
本実施形態に係る検体情報処理装置9、検体情報検出装置19、及び情報処理装置29の構成、並びに各部を構成する要素について説明する。図44は、本実施形態に係る検体情報処理装置9の構成を模式的に表わしたものである。
[7−1−1.検体情報検出装置の構成]
検体情報検出装置19は、図44に示すように、検体情報検出ユニット32と、接続部59とを備えて構成されている。
<検体情報検出ユニット>
本実施形態に係る検体情報検出ユニット32は、上述の第一実施形態に係る検体情報検出ユニット32と同様に構成されている。
図44に示すように、Rヘッドホンユニット35の信号線36が、接続部59の第一プラグ62に設けられたRヘッドホン端子65と、第一プラグ62に設けられたマイク端子63に接続されるFET72とに接続している。
<接続部>
本実施形態に係る接続部59は、図44に示すように、FET72、及び第一プラグ62を備えている。
接続部59は、第一プラグ62及び第一ジャック81を介して、検体情報検出装置19と、情報処理装置29とを接続している。接続部59は、スマートフォン29のジャック(第一ジャック81)に挿入される、ヘッドホンとしての検体情報検出ユニット32のプラグ部分を構成する。
[7−1−2.情報処理装置の構成]
情報処理装置29の構成について、図44を参照して説明する。
本実施形態に係る情報処理装置29(スマートフォン29)は、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、並びに波形等化処理部271及び波形判定部272を有する周波数特性補償部96をさらに備えている以外は、第三実施形態に係る情報処理装置27と同様に構成されている。
すなわち、情報処理装置29は、図44に示すように、第一ジャック81、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、及び周波数特性補償部96、AD変換部89、周波数補正処理部90、DA変換部91、音源92、及び出力処理部94を備えて構成されている。
(入力処理部)
本実施形態に係る入力処理部97は、情報処理装置29に備えられている以外は、第三実施形態に係る入力処理部97と同様に構成されている。入力処理部97により処理された信号は、ゲイン切り替え部95に入力される。
(ゲイン切り替え部)
本実施形態に係るゲイン切り替え部95は、情報処理装置29に備えられている以外は、第三実施形態に係るゲイン切り替え部95と同様に構成されている。ゲイン切り替え部95により処理された信号は、周波数特性補償部96に入力される。
(周波数特性補償部)
本実施形態に係る周波数特性補償部96は、情報処理装置29に備えられている以外は、第三実施形態に係る周波数特性補償部96と同様に構成されている。周波数特性補償部96により処理された信号は、AD変換部89に入力される。
[7−2.検体情報処理装置の機能構成]
検体情報処理装置9を機能的に表すとき、検体情報処理装置9は、図44に示すように、検体情報検出装置19及び情報処理装置29を備えている。検体情報検出装置19は、検体情報検出ユニット32と、接続部59とを備えている。情報処理装置29は、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、及び周波数特性補償部96、AD変換部89、周波数補正処理部90、DA変換部91、音源92、及び出力処理部94を備えている。
本実施形態に係る情報処理装置29としてのスマートフォン29には、信号処理用のアプリケーションソフトがダウンロードされており、このアプリケーションソフトを起動させることで、スマートフォン29によって信号処理を行うことができる。
本実施形態に係る情報処理装置29では、周波数補正処理部90は、上述したアプリケーションソフトがメモリ上に展開されてCPUにより実行されることで、周波数補正処理手段として機能する。また、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、及び周波数特性補償部96はスマートフォン29に内蔵されるアナログ回路により処理がなされる。
(入力処理部)
本実施形態に係る入力処理部97の機能構成は、情報処理装置29に備えられている以外は、第三実施形態に係る入力処理部97と同様に構成されている。
(ゲイン切り替え部)
本実施形態に係るゲイン切り替え部95の機能構成は、情報処理装置29に備えられている以外は、第三実施形態に係るゲイン切り替え部95と同様に構成されている。
(周波数特性補償部)
本実施形態に係る周波数特性補償部96の機能構成は、情報処理装置29に備えられている以外は、第三実施形態に係る周波数特性補償部96と同様に構成されている。
(接続部の機能構成)
接続部59の回路構成は、図44により示される。
Rヘッドホンユニット35の信号線36は、接続部59の第一プラグ62に設けられたRヘッドホン端子65と接続しているともに、第一プラグ62に設けられたマイク端子63に接続されるFET72のゲート端子(G)と接続している。
信号線36が、FET72のゲート端子(G)に接続されることで、センサ212により検出された信号は、FET72のゲート端子(G)に入力される。FET72のドレイン端子(D)は、接続部59の第一プラグ62に設けられたマイク端子63と接続する。FET72のソース端子(S)はグランド線41と合流して、第一プラグ62に設けられたグランド端子64と接続する。
上述した回路構成により、Rヘッドホンユニット35のセンサ212へ、音源92からの音信号が入力されるとともに、センサ212で検出された信号が、情報処理装置29に入力される。すなわち、センサ212はスピーカーとしてもマイクロホンとしても同時に機能する。このとき、センサ212で検出された信号は、マイク端子63に入力され、第一ジャック81のマイク端子83を介して、情報処理装置29の入力処理部97に入力される。
このようにして、検体情報検出装置19は、センサ212により検出された検出信号を、情報処理装置29に出力する。
[7−3.周波数特性と信号処理]
本実施形態に係る検体情報検出装置19及び検体情報処理装置9における、検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号が信号特性に受ける影響と信号処理との関係は、上述した第一実施形態に係る検体情報検出装置13及び検体情報処理装置3と同様である。また、入力処理部97で行われるLPFと、出力処理部94で行われるHPFとの関係は、第三実施形態に係る検体情報処理装置7と同様である。
[7−4.検体情報処理装置の動作]
検体情報処理装置9の動作を、センサ212から検出された信号が情報処理装置29へ入力される入力処理について説明する。なお、音源92からの信号が検体情報検出装置19へ出力される出力処理については、第三実施形態に係る検体情報処理装置7における出力処理と同様の処理となっている。
(入力処理)
図45に示すフローチャートに従って、センサ212から検出された信号が情報処理装置29へ入力される場合の検体情報処理装置9の動作を説明する。
検体情報処理装置9では、図45に示すように、まず、検体情報検出ユニット32が、Rヘッドホンユニット35におけるセンサ212によって脈動性信号を検出する(ステップS41)。検体情報検出ユニット32により検出された脈動性信号は、接続部59に入力される。このとき、接続部59に入力される信号は、センサ212の電磁変換系、空気漏れ、または検体情報検出ユニット32がDSPを備える場合にはその特性に起因した周波数特性を示すものとなっている。
接続部53に入力された脈動性信号は、FET72を介して、第一プラグ62のマイク端子63に入力され、さらに、第一ジャック81のマイク端子83を介して、情報処理装置29に入力される(ステップS42)。
情報処理装置29に入力された脈動性信号は、入力処理部97に入力される。入力処理部97は、検体情報検出ユニット32から出力された脈動性信号に対して、脈波情報検出帯域より高い周波数成分を減衰させて、脈波情報検出帯域の周波数成分を通過させるLPFを施す(ステップS43)。このときの信号は、LPFにより、脈波情報検出帯域の周波数成分からなるものとなっている。入力処理部97により処理された信号は、ゲイン切り替え部95に入力される。
ゲイン切り替え部95では、入力処理部97により処理された信号に対してレベル調整処理を施して、信号のレベルを調整する(ステップS44)。ゲイン切り替え部95により処理された信号は、周波数特性補償部96に入力される。
周波数特性補償部96では、ゲイン切り替え部95により処理された信号に対して波形等化処理を施す(ステップS45)。このとき信号は、波形等化処理により脈波検出帯域の周波数応答が補償されて、速度脈波となっている。周波数特性補償部96により処理された信号は、AD変換部89に入力されて、AD変換部89によりデジタル信号に変換される(ステップS46)。デジタル信号に変換された信号は、周波数補正処理部90に入力される。
周波数補正処理部90は、AD変換部89により変換された信号に対して、周波数補正処理を施し、脈動性容積信号、脈動性速度信号、及び脈動性加速度信号のうちの一つの信号を取り出す(ステップS47)。周波数補正処理部90に入力される信号は速度脈波であるから、積分動作を行うことで容積脈波を得て、微分動作を行うことで加速度脈波を得て、増幅動作を行うことで速度脈波を得る。また、これらの信号はいずれも、脈波情報検出帯域の周波数成分からなるものとなっている。
(脈波の検出)
本実施形態に係る検体情報処理装置9は上述したように構成されており、出力処理部94によりHPFを受けた音信号がセンサ212に出力されて、センサ212からは脈波情報検出帯域の周波数成分が減衰された音が出力される。また、センサ212により検出された脈動性信号は情報処理装置29に入力され、入力処理部97によりLPFを受けて脈波情報検出帯域の周波数成分からなる信号として得られる。
本実施形態に係る検体情報処理装置9によれば、第三実施形態に係る検体情報処理装置7と同様に、外耳107に装着したRヘッドホンユニット35のセンサ212が、スピーカーとして音を発するとともに、同時にマイクロホンとして脈波を検出ことができる。この場合、検体101が、例えば音楽を聴きながら、常時脈波を測定するのに適している。
[7−5.第四実施形態に係る検体情報処理装置の効果]
第四実施形態に係る検体情報処理装置9によれば、前記第一実施形態で得られる効果に加えて、以下に記載の効果を奏する。
第四実施形態に係る情報処理装置29及び検体情報処理装置9によれば、ゲイン切り替え部95により、検体情報検出ユニット32から出力された信号が飽和する場合に信号を減衰させる。これにより、検体情報検出ユニット32によって検出される信号のレベルが変化したとしても、自動的にゲインを切り替えて、信号レベルが調整された適切な信号を得ることができる。
さらに、第四実施形態に係る情報処理装置29及び検体情報処理装置9によれば、波形等化処理部271によって波形等化処理を行うことで、センサ212により検出されて検体情報検出ユニット32から出力された信号が示す、脈波情報検出帯域の周波数応答を補償することができる。これにより、センサ212の電磁変換系、空洞109の空気漏れ、もしくは検体情報検出ユニット32が備えるDSPに起因する、微分応答または積分応答のいずれか、またはこれらがあわさった周波数応答を補償することができる。また、波形等化処理部271によって、脈動性信号を、微分要素または積分要素が加わっていない速度脈波信号または加速度脈波信号として得ることができる。
また、周波数特性補償部96において、波形等化処理部271により波形等化処理を行うとともに、波形判定部272により波形比較処理を施す。これにより、周波数特性補償部96は、検体情報検出ユニット32から出力された信号について、基準となる波形と同様のパターンを示すように周波数応答が補償された脈動性信号を得ることができる。また、波形判定部272では、入力された脈波をクロックで分割して正規化した時間において、同数のクロックで分割した基準となる波形と比較する。これにより、検体情報検出ユニット32から出力された信号の波形の時間軸が揺らいだ際にも、同じタイミングにより脈波の信号の強度が示すパターンを比較することができる。
さらに、本実施形態に係る情報処理装置29及び検体情報処理装置9によれば、入力処理部97により、検体情報検出装置19から出力された信号に対して、脈波情報検出帯域より高い周波数成分を減衰させて、脈波情報検出帯域の周波数成分を通過させるLPF処理を施す。また、出力処理部94により、検体情報検出装置19に出力する信号に対して、脈波情報検出帯域の周波数成分を減衰させて、脈波情報検出帯域より高い周波数成分を通過させる出力処理を施す。これにより、検体情報処理装置9は、センサ212がスピーカーとして音を発するとともに、同時にマイクロホンとして脈波を検出ことができることで、検体101が、例えば音楽を聴きながら、常時脈波を測定することができる。
[8.第四実施形態の変形例]
本発明の第四実施形態の変形例に係る検体情報処理装置10は、一部の構成が上述の第四実施形態に係る検体情報処理装置9、または第一実施形態の変形例に係る検体情報処理装置4と同様に構成されており、上述の第四実施形態に係る検体情報処理装置9、または第一実施形態の変形例に係る検体情報処理装置4と同様のものについては説明を省略し、同符号を用いて説明する。以降、第四実施形態の変形例を、単に本変形例とも呼ぶ。
本変形例に係る検体情報処理装置10は、図46に示すように、検体情報検出装置20と、情報処理装置29とを備えて構成されている。ここで、第四実施形態に係る検体情報処理装置9では、検体情報検出ユニット32が接続部59と直接接続されていたのに対し、本変形例に係る検体情報処理装置10では、検体情報検出ユニット33が第二プラグ42及び第二ジャック73を介して接続部60と接続されている点で相違している。
[8−1.検体情報処理装置の構成]
本変形例に係る検体情報処理装置10、検体情報検出装置20、及び情報処理装置29の構成、並びに各部を構成する要素について説明する。図46は、本変形例に係る検体情報処理装置10の構成を模式的に表わしたものである。
[8−1−1.検体情報検出装置の構成]
検体情報検出装置20は、図46に示すように、検体情報検出ユニット33と、接続部60とを備えて構成されている。接続部60のことをインターフェース装置60ともいう。
<検体情報検出ユニット>
本変形例に係る検体情報検出ユニット33は、上述の第一実施形態の変形例に係る検体情報検出ユニット33と同様に構成されている。
<接続部>
本変形例に係る接続部60は、第二ジャック73、FET72、及び第一プラグ62を備えている。以下、接続部60の構成について、図46を参照して説明する。
接続部60は、第二ジャック73に検体情報検出ユニット33の第二プラグ42が挿入されることで、第二プラグ42及び第二ジャック73を介して、検体情報検出ユニット33と、接続部60とを接続している。また、接続部60は、第一プラグ62を情報処理装置29の第一ジャック81に挿入することで、第一プラグ62及び第一ジャック81を介して、検体情報検出装置20と、情報処理装置29とを接続している。接続部60は、スマートフォン29のジャック(第一ジャック81)に挿入されるとともに、接続部60の第二ジャック73にヘッドホンとしての検体情報検出ユニット33が挿入されることで、検体情報検出ユニット33とスマートフォン29とに介挿されるアダプタを構成する。
(第二ジャック)
本変形例に係る第二ジャック73は、第一実施形態の変形例に係る第二ジャック73と同様に構成されている。
[8−1−2.情報処理装置の構成]
本変形例に係る情報処理装置29(スマートフォン29)は、第四実施形態に係る情報処理装置29と同様に構成されている。
[8−2.検体情報処理装置の機能構成]
検体情報処理装置10を機能的に表すとき、検体情報処理装置10は、図46に示すように、検体情報検出装置20及び情報処理装置29を備えている。検体情報検出装置20は、検体情報検出ユニット33と、接続部60とを備えている。本変形例に係る情報処理装置29は、第四実施形態に係る情報処理装置29と同様に構成されている。
本変形例に係る情報処理装置29では、周波数補正処理部90は、上述したアプリケーションソフトがメモリ上に展開されてCPUにより実行されることで、周波数補正処理手段として機能する。また、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、及び周波数特性補償部96はスマートフォン29に内蔵されるアナログ回路により処理がなされる。
(接続部の機能構成)
接続部60の回路構成は、図46により示される。
Rヘッドホンユニット35の信号線36は、第二プラグ42のRヘッドホン端子44と接続される。Rヘッドホン端子44は、第二ジャック73のRヘッドホン端子76と接続される。Rヘッドホン端子76が、接続部60の第一プラグ62に設けられたRヘッドホン端子65と、FET72とに接続されることで、Rヘッドホンユニット35の信号線36は、Rヘッドホン端子65と、FET72とに接続される。
信号線36が、FET72のゲート端子(G)に接続されることで、センサ212により検出された信号は、FET72のゲート端子(G)に入力される。FET72のドレイン端子(D)は、接続部60の第一プラグ62に設けられたマイク端子63と接続する。FET72のソース端子(S)はグランド線41と合流して、第一プラグ62に設けられたグランド端子64と接続する。
上述した回路構成により、Rヘッドホンユニット35のセンサ212へ、音源92からの音信号が入力されるとともに、センサ212で検出された信号が、情報処理装置29に入力される。すなわち、センサ212はスピーカーとしてもマイクロホンとしても同時に機能する。このとき、センサ212で検出された信号は、マイク端子63に入力され、第一ジャック81のマイク端子83を介して、情報処理装置29の入力処理部97に入力される。
このようにして、検体情報検出装置20は、センサ212により検出された信号を、情報処理装置29に出力する。
[8−3.周波数特性と信号処理]
本変形例の検体情報検出装置20及び検体情報処理装置10における、検体情報検出ユニット33から出力される脈動性信号が信号特性に受ける影響と信号処理との関係は、上述した第一実施形態に係る検体情報検出装置13及び検体情報処理装置3と同様である。また、入力処理部97で行われるLPFと、出力処理部94で行われるHPFとの関係は、第三実施形態に係る検体情報処理装置7と同様である。
[8−4.検体情報処理装置の動作]
検体情報処理装置10の動作を、センサ212から検出された信号が情報処理装置29へ入力される入力処理と、音源92からの信号が検体情報検出装置20へ出力される出力処理とについてそれぞれ説明する。
(入力処理)
検体情報処理装置10における入力処理は、第四実施形態に係る検体情報処理装置9では、検体情報検出ユニット32により検出された脈動性信号が、FET72に入力されるのに対して、検体情報処理装置10では、検体情報検出ユニット33により検出された脈動性信号が、Rヘッドホン端子44及びRヘッドホン端子76を介してFET72に入力される以外は、検体情報処理装置9における入力処理と同様になっている。
(出力処理)
検体情報処理装置10における右耳用の音信号の出力処理は、第四実施形態に係る検体情報処理装置9では、検体情報検出装置19に出力された右耳用の音信号は、Rヘッドホンユニット35に入力されるのに対して、検体情報処理装置10では、検体情報検出装置20に出力された右耳用の音信号が、Rヘッドホン端子76及びRヘッドホン端子44を介して、Rヘッドホンユニット35に入力される以外は、検体情報処理装置9における入力処理と同様になっている。
また、検体情報処理装置10における左耳用の音信号の出力処理は、第四実施形態に係る検体情報処理装置9では、検体情報検出装置19に出力された左耳用の音信号は、Lヘッドホンユニット37に入力されるのに対して、検体情報処理装置10では、検体情報検出装置20に出力された左耳用の音信号が、Lヘッドホン端子77及びLヘッドホン端子45を介して、Lヘッドホンユニット37に入力される以外は、検体情報処理装置9における入力処理と同様になっている。
(脈波の検出)
本変形例に係る検体情報処理装置10は上述したように構成されており、出力処理部94によりHPFを受けた音信号がセンサ212に出力されて、センサ212からは脈波情報検出帯域の周波数成分が減衰された音が出力される。また、センサ212により検出された脈動性信号は情報処理装置29に入力され、入力処理部97によりLPFを受けて脈波情報検出帯域の周波数成分からなる信号として得られる。
本変形例に係る検体情報処理装置10によれば、第四実施形態に係る検体情報処理装置9と同様に、外耳107に装着したRヘッドホンユニット35のセンサ212が、スピーカーとして音を発するとともに、同時にマイクロホンとして脈波を検出ことができる。この場合、検体101が、例えば音楽を聴きながら、常時脈波を測定するのに適している。
[8−5.第四実施形態の変形例に係る検体情報処理装置の効果]
第四実施形態の変形例に係る検体情報処理装置10によれば、前記第四実施形態で得られる効果に加えて、以下に記載の効果を奏する。
第四実施形態の変形例に係る情報処理装置29及び検体情報処理装置10によれば、接続部60(インターフェース装置60)により、検体情報検出ユニット33と情報処理装置29(スマートフォン29)とを接続することができる。このため、接続部60に接続される検体情報検出ユニット33は特に制限されず、第二プラグ42を有し検出された信号を入力可能なヘッドホンであれば第二ジャック73に接続して用いることができる。
[9.その他]
[9−1.装置の構成について]
上記の実施形態においては、Rヘッドホンユニット35に設けられたセンサ212により、血管の脈動性信号を検出する場合について説明したが、Lヘッドホンユニット37に設けられたセンサ212により、血管の脈動性信号を検出してもよい。
上記の実施形態においては、プラグの根元から先端へ、マイク端子63、グランド端子64、Rヘッドホン端子65、及びLヘッドホン端子66を順に有する第一プラグ62、及びプラグの根元から先端へ、グランド端子43、Rヘッドホン端子44、及びLヘッドホン端子45を順に有する第二プラグ42を例に挙げて説明したが、プラグの構成はこれらに限定されず、第一プラグ62及び第二プラグ42の端子の順序は任意である。また、第一ジャック81及び第二ジャック73についても、第一プラグ62及び第二プラグ42の端子の順序と適合するものであれば任意である。
上記の実施形態においては、Rヘッドホンユニット35及びLヘッドホンユニット37を備える検体情報検出ユニット31,32を備える構成について説明したが、Rヘッドホンユニット35又はLヘッドホンユニット37のいずれか1方のヘッドホンユニットを備え、いずれか一方のヘッドホンユニットのセンサ212により、血管の脈動性信号を検出してもよい。
上記の実施形態においては、Rヘッドホンユニット35及びLヘッドホンユニット37に対応する音源92がステレオである場合について説明したが、音源92が、Rヘッドホンユニット35及びLヘッドホンユニット37に同じ音信号を出力するモノラルであってもよい。
上記の実施形態においては、音源92から音信号が出力される構成について説明したが、音源92としては、例えばスマートフォンに保存される音楽のデータであってもよく、または通話による受話音声を音源92としてもよい。
上記の実施形態においては、接続部53〜60が第一プラグ62を備え、検体情報検出装置13〜20と、情報処理装置23,25,27,29とが、プラグとジャックにより接続されて信号を入出力する構成について説明したが、センサ212から、情報処理装置23,25,27,29への信号の入出力はこれらに限定されない。例えば、センサ212と、情報処理装置23,25,27,29とを、USB(Universal Serial Bus)規格のコネクタ及びケーブルを介して接続してもよい。または、Wifi(登録商標)又はBluetooth(登録商標)を利用した無線通信によって、センサ212から、情報処理装置23,25,27,29への信号の入出力を行ってもよい。
また、上記の実施形態では、情報処理装置23,25,27,29としてスマートフォンを例示したが、情報処理装置はこれに限るものではない。例えば、タブレット型の端末(タブレットPC)、デスクトップパソコン、ノートパソコン等、またはその他の測定機器、表示機器にも適用できる。
[9−2.信号処理について]
上記の実施形態及び変形例においては、入力処理部97、ゲイン切り替え部95、及び周波数特性補償部96による処理をアナログ回路による処理について説明したが、デジタル回路、例えばデジタルシグナルプロセッサ(以下、「DSP」ともいう)を含む回路とアナログ回路とを組み合わせたり、演算処理装置(CPU)やDSPを組み合わせたりして、このデジタル回路を含む回路により信号を処理する構成としてもよい。または、情報処理装置23,25,27,29が備えるメモリ上に信号処理用のアプリケーションソフトが展開されてCPUにより実行されることで、入力処理手段、ゲイン切り替え手段、及び周波数特性補償手段として機能するようにしてもよい。
また、上記の第一実施形態においては、接続部53の回路構成について、図1、図47(a)により示されるように、周波数特性補償部96がFET72のゲート端子(G)に接続される構成について説明したが、図47(b)に示すように、周波数特性補償部96がコンデンサ79を介して第一プラグ62のマイク端子63に接続される構成にしてもよい。または、図47(c)に示すように、直流結合が可能であれば、周波数特性補償部96がマイク端子63に直接接続される構成にしてもよい。
また、上述した接続部53の回路構成についての図47(b)、図47(c)についての変形例は、接続部54,55,56,57,58,59,60に適用してもよい。すなわち、Rヘッドホンユニット35の信号線36と、第一プラグ62のマイク端子63との接続は、図47(a)により示されるように、FET72のゲート端子(G)とドレイン端子(D)を介して接続してもよい。または、図47(b)により示されるように、コンデンサ79を介して接続してもよい。または、図47(c)により示されるように、直接接続してもよい。
また、上記の実施形態及び変形例においては、情報処理装置23,25,27,29によって信号の処理の一部を行う構成について説明したが、入力された信号をAD変換部89によりデジタル信号に変換した後、他の情報処理装置によって信号処理を行ってもよい。例えば入力された信号情報を記録媒体に保存して、その記録媒体により他の情報処理装置に信号情報を写してもよく、入力された信号情報を無線又は有線により他の情報処理装置に信号情報を送ってもよい。
上記の実施形態及び変形例においては、接続部53〜60または情報処理装置23,25,27,29が、ゲイン切り替え部95と周波数特性補償部96とを共に備え、順に処理を行う構成について説明した。ゲイン切り替え部95と周波数特性補償部96とは、接続部53〜60と情報処理装置23,25,27,29とのいずれかが備えていればよい。例えば、接続部53〜60に備えられたゲイン切り替え部95によりレベル調整処理を行い、情報処理装置23,25,27,29に備えられた周波数特性補償部96により波形等化処理及び波形比較処理を行うようにしてもよい。ただし、この場合、PLL263からのクロック信号を、波形判定部272に送信するよう構成されていることが好ましい。
[9−3.波形等化処理について]
上記の実施形態及び変形例の波形等化処理においては、図11を参照して、波形等化処理部271が、積分型の位相補償を行い、検体情報検出ユニット32から出力された脈動性信号に加わった微分応答の補償を行って、速度脈波として出力する場合について説明した。波形等化処理はこれに限定されず、波形等化処理部271が、微分型の位相補償を行い、検体情報検出ユニット32から出力された脈動性信号に加わった積分応答の補償を行ってもよい。この場合、脈波情報検出帯域より高い周波数成分を通過させて、脈波情報検出帯域の周波数成分のゲインを周波数の減少とともに漸減させて、脈波情報検出帯域より低い周波数成分のゲインを減衰させる、微分型の位相補償を行えばよい。
または、波形等化処理部271が、脈動性信号に加わった微分要素または積分要素を除く程度の位相補償を行い、検体情報検出ユニット32から出力された脈動性信号に加わった微分要素または積分要素の補償を行ってもよい。この場合、積分型または微分型の位相補償において、ブースト量を抑えたものとすればよい。
または、波形判定部272によって判定の基準となる波形を加速度脈波として、これと波形等化処理部271により位相補償された波形とを比較して、位相補償の周波数特性が適正になるまで繰り返し位相補償と判定とを行ってもよい。
例えば、センサ212の電磁系に起因する微分応答と、オンイヤータイプのヘッドホンの空気漏れによる微分応答が合わさることで、検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号は、加速度応答の脈波(加速度脈波)として出力される。このとき、センサ212の電磁系に起因する微分応答、またはオンイヤータイプのヘッドホンの空気漏れによる微分応答が安定な微分応答となっていない場合には、検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号は、完全な加速度脈波となっていない。このような脈動性信号に対して、周波数特性補償部96では、判定の基準となる波形を加速度脈波として、検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号につき、微分要素または積分要素を除く程度の位相補償を行うことで、周波数応答が補償された加速度脈波として得ることができる。
また例えば、センサ212の電磁系に起因する微分応答と、カナル型のインイヤータイプのヘッドホンの空気漏れによる微分要素が合わさることで、検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号は、速度応答の脈波(速度脈波)に微分要素が加わった脈波として出力される。このような脈動性信号に対して、周波数特性補償部96では、判定の基準となる波形を加速度脈波として、検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号につき、半微分型の位相補償を行うことで、空気漏れによる微分要素が補償された加速度脈波として得ることができる。
また例えば、例えば、センサ212の電磁系に起因する微分応答と、オンイヤータイプのヘッドホンの空気漏れによる微分応答と、検体情報検出ユニット32のDSPによるブースト(積分要素)とが合わさることで、検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号は、加速度応答の脈波(加速度脈波)に積分要素が加わった脈波として出力される。このような脈動性信号に対して、周波数特性補償部96では、判定の基準となる波形を加速度脈波として、検体情報検出ユニット32から出力される脈動性信号につき、半微分型の位相補償を行うことで、DSPによる積分要素が補償された加速度脈波として得ることができる。
上記の実施形態及び変形例のゲイン切り替え部95及び周波数特性補償部96においては、PLL263が128のクロックを出力する場合について説明したが、クロックはこれに限定されず適宜変更してもよい。例えば、クロックを256、512、または1024としてもよい。このとき、クロックが多いほど、PLLの特性を決めるループゲインがその分低下することになるためにいわゆるロックレンジが小さくなる傾向にあるが、波形判定の精度が高くなる点からは好ましい。また、クロックが小さいほど、PLLを構成する要素の一つであるVCO(電圧制御発振器)を低周波において安定に発振させるよう制御が必要となる傾向にあるが、ループゲインの低下はない点からは好ましい。
上記の実施形態及び変形例では、ロック検出部264が入力された位相差信号の大きさを所定の設定値と比較して、PLL263が脈動性信号をロックしたかどうかを検出する場合について説明したが、ロックしたかどうかの検出は上記構成に限定されない。例えばPLLを構成する位相比較器の二つの信号入力が所定のシーケンスに従っているときに、ロックしていると判定してもよい。また、上記二つの信号が所定のシーケンスに従っていない時に、ロックしていないと判定してもよい。
[9−4.両耳で脈動性信号を検出する場合について]
上記の実施形態では、検体情報検出ユニット32,33のRヘッドホンユニット35におけるセンサ212によって脈動性信号を検出する場合について説明した。脈動性信号の検出は、Rヘッドホンユニット35に限られず、Rヘッドホンユニット35及びLヘッドホンユニット37によって検出した信号の両方を用いて信号処理を行ってもよい。
図48は、検体情報検出ユニット32がカナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンの場合に、Rヘッドホンユニット35及びLヘッドホンユニット37によってそれぞれ検出した信号を重ね合わせて表示した波形を表す図である。ここでは、Rヘッドホンユニット35によって検出された信号の波形を実線で、Rヘッドホンユニット35によって検出された信号の波形を破線で示している。図48に示すように、Rヘッドホンユニット35で得られた信号とLヘッドホンユニット37で得られた信号とは、同様の波形を示すことが分かる。中でも、負の値を示すピーク部分はおおむね一致している。
図49は、図48に示した波形について、負の値を示すピーク部分の一部を拡大して示すものである。図49では、図48と同様に、Rヘッドホンユニット35によって検出された信号の波形を実線で、Rヘッドホンユニット35によって検出された信号の波形を破線で示している。図49に示すように、Rヘッドホンユニット35で得られた信号の波形とLヘッドホンユニット37で得られた信号の波形とは、ピーク位置が約4msec程ずれている。これは、心臓から右耳と左耳までの距離がそれぞれ異なることが一因であると考えられる。
Rヘッドホンユニット35で得られた信号とLヘッドホンユニット37で得られた信号とでは、約4msec程のずれがあるとはいえ、波形全体として考えた場合には大きなずれではないと考えられる。このため、Rヘッドホンユニット35で得られた信号と、Lヘッドホンユニット37で得られた信号とを利用して信号処理を行うことで、単独の場合よりも有用な脈波波形を得ることができる。
図50(a)〜(c)は、Rヘッドホンユニット35で得られた信号とLヘッドホンユニット37で得られた信号とを加算する、加算処理による信号処理の例を説明するための図である。図50(a)は、Rヘッドホンユニット35で得られた信号の波形を表し、図50(b)はLヘッドホンユニット37で得られた信号の波形を表す。このような波形を示す、Rヘッドホンユニット35で得られた信号とLヘッドホンユニット37で得られた信号とを加算した波形を示したのが図50(c)である。図50(c)に示すように、信号を加算することで、図50(a)及び図50(b)に示す波形においてそれぞれ見られていたノイズが軽減されて、加算された信号のS/N比が向上していることが分かる。
外耳107を構成する部位において検出される脈動性信号には、様々な要因によりノイズ(外乱)が含まれる。例えば、Rヘッドホンユニット35及びLヘッドホンユニット37で検出された信号が、信号線36,38を介して情報処理装置22,23,25,27,29に入力されるまでに、信号線36,38が検体101の体や衣服等に触れることで、脈動性信号にノイズが発生することがある。また、血管の脈波情報に基づく信号以外の外来の音の信号が、センサ212によってノイズとして検出される場合がある。Rヘッドホンユニット35で得られた信号とLヘッドホンユニット37で得られた信号とを加算処理することによって、左右のヘッドホンユニットにおいてそれぞれ別に入ってきた信号を軽減することが出来るために有効である。
図51(a)〜(c)は、Rヘッドホンユニット35で得られた信号とLヘッドホンユニット37で得られた信号とを積算する、積算処理による信号処理の例を説明するための図である。図51(a)は、Rヘッドホンユニット35で得られた信号の波形を表し、図51(b)はLヘッドホンユニット37で得られた信号の波形を表す。このような波形を示す、Rヘッドホンユニット35で得られた信号と、Lヘッドホンユニット37で得られた信号とを積算した波形を示したのが図51(c)である。図51(c)に示すように、信号を積算することで、脈波に含まれている信号の振幅に応じて、大きい信号部分が大きくなり、小さい信号部分が小さくなる波形として得られる。
以下に、加算処理を行う検体情報検出装置及び検体情報処理装置の変形例の構成について説明する。また、加算除算処理を行う検体情報検出装置及び検体情報処理装置の変形例の構成についても説明する。
<加算処理を行う検体情報処理装置の変形例>
図1を参照して説明した第一実施形態について、加算処理部241を備えるようにして、Rヘッドホンユニット35で得られた信号とLヘッドホンユニット37で得られた信号とを加算する加算処理を行う変形例を説明する。この第一実施形態の変形例に係る検体情報処理装置3bは、一部の構成が上述の第一実施形態に係る検体情報処理装置3と同様に構成されており、上述の第一実施形態に係る検体情報処理装置3と同様のものについては説明を省略し、同符号を用いて説明する。
検体情報処理装置3bの検体情報検出装置13bでは、図52に示すように、Rヘッドホンユニット35の信号線36が、接続部53bのスイッチ回路68と接続され、Lヘッドホンユニット37の信号線38が、接続部53bのスイッチ回路80と接続される。
Lヘッドホンユニット37は左耳の外耳道に挿入されるヘッドホンユニットであって、Rヘッドホンユニット35と同様に構成されている。
スイッチ回路68は、信号線36が、加算処理部241と接続するか、第一プラグ62のRヘッドホン端子65と接続するかを切り替えるスイッチ手段である。スイッチ回路80は、信号線38が、加算処理部241と接続するか、第一プラグ62のLヘッドホン端子66と接続するかを切り替えるスイッチ手段である。
スイッチ69は、接続部53bの外部からスイッチ回路68,80を操作可能に設けられたスイッチであり、スイッチ69の操作により、スイッチ回路68,80の接続を同時に切り替えられるように構成されている。
加算処理部241は、Rヘッドホンユニット35で得られた信号とLヘッドホンユニット37で得られた信号とを加算する、加算処理を施すものである。加算処理部241により処理された信号は、ゲイン切り替え部95に入力される。
上述した構成により、スイッチ回路68,80によって信号線36,38が加算処理部241と接続した場合には、Rヘッドホンユニット35及びLヘッドホンユニット37におけるそれぞれのセンサ212で検出された信号が、加算処理部241に入力される。さらに、加算処理部241により処理された信号が、ゲイン切り替え部95、周波数特性補償部96、FET72を介して、マイク端子63に入力され、第一ジャック81のマイク端子83を介して情報処理装置23の信号入力部87に入力される。この場合、センサ212はマイクロホンとして機能する。一方、スイッチ回路68,80によって信号線36がRヘッドホン端子65と接続し、信号線38がLヘッドホン端子66と接続した場合には、Rヘッドホンユニット35及びLヘッドホンユニット37のセンサ212へ音源92からの音信号が入力される。この場合、センサ212はスピーカーとして機能する。
このように、検体情報検出装置13bは、Rヘッドホンユニット35及びLヘッドホンユニット37におけるそれぞれのセンサ212により検出され、加算処理部241により加算された信号を、情報処理装置23に出力する。これにより、ノイズが軽減されて、S/N比が向上した信号を出力することができる。
上述した加算処理を行う変形例の説明では、図52を参照して第一実施形態の変形例について説明したが、検体情報検出ユニット32,33により検出された信号について、Rヘッドホンユニット35で得られた信号とLヘッドホンユニット37で得られた信号とを加算する加算処理を行うものであれば、これに限定されない。例えば、第二実施形態〜第四実施形態及びこれらの変形例、並びに第一実施形態の変形例について、加算処理部241を備えるものであっても同様に行うことができる。
<加算除算処理を行う検体情報処理装置の変形例>
図1を参照して説明した第一実施形態について、波形乱れ検出部251,252、加算除算処理部253、及びセレクタ254を備えるようにして、Rヘッドホンユニット35で得られた信号とLヘッドホンユニット37で得られた信号とについて加算と除算をする加算除算処理を行う変形例を説明する。この第一実施形態の変形例に係る検体情報処理装置3cは、一部の構成が上述の第一実施形態に係る検体情報処理装置3と同様に構成されており、上述の第一実施形態に係る検体情報処理装置3と同様のものについては説明を省略し、同符号を用いて説明する。
検体情報処理装置3cの検体情報検出装置13cでは、図53に示すように、Rヘッドホンユニット35の信号線36が、接続部53bのスイッチ回路68と接続され、Lヘッドホンユニット37の信号線38が、接続部53bのスイッチ回路80と接続される。
Lヘッドホンユニット37は左耳の外耳道に挿入されるヘッドホンユニットであって、Rヘッドホンユニット35と同様に構成されている。
スイッチ回路68は、信号線36が、波形乱れ検出部251及びセレクタ254の端子256と接続するか、第一プラグ62のRヘッドホン端子65と接続するかを切り替えるスイッチ手段である。スイッチ回路68が、波形乱れ検出部251及びセレクタ254の端子256と接続する側に接続した場合、Rヘッドホンユニット35で得られた信号は、波形乱れ検出部251とセレクタ254の端子256にそれぞれ入力される。
スイッチ回路80は、信号線38が、波形乱れ検出部252及びセレクタ254の端子257と接続するか、第一プラグ62のLヘッドホン端子66と接続するかを切り替えるスイッチ手段である。スイッチ回路80が、波形乱れ検出部252及びセレクタ254の端子257と接続する側に接続した場合、Lヘッドホンユニット37で得られた信号は、波形乱れ検出部252とセレクタ254の端子257にそれぞれ入力される。
スイッチ69は、接続部53cの外部からスイッチ回路68,80を操作可能に設けられたスイッチであり、スイッチ69の操作により、スイッチ回路68,80の接続を同時に切り替えられるように構成されている。
波形乱れ検出部251,252は、入力された信号のレベルに応じて、波形の乱れの有無を表す「波形乱れ検出出力」をセレクタ254に出力するものである。波形乱れ検出部251,252の動作を、図54を参照して説明する。
図54(a)は、波形乱れ検出部251,252に入力された脈波波形の一例を示す図であり、図中右側の5分の1程の領域において大きな外乱が表れている。このような波形の乱れは、電源電圧一杯に脈波の振幅を大きくして脈動性信号の検出を行っている際に、例えば、ヘッドホンリードとしての信号線36,38のいずれかが検体101の身体又は衣服等に触れた場合の結果として、脈波波形にパルス状の乱れが加わったことにより生じる。ここでは、波形乱れ検出部251,252は、図54(b)に示すように、波形乱れ検出出力として、波形の乱れを検出していない場合には信号0を出力する。一方で、脈波の波形がプラス側に振り切る程の一定以上のレベルを検出した場合には、リトリガブルのような設定で波形乱れを検出したことを表す信号1を出力する。
このとき、波形乱れ検出部251からの出力を波形乱れ検出出力Aとし、波形乱れ検出部252からの出力を波形乱れ検出出力Bとして、これらがそれぞれセレクタ254の端子259,260に入力される。
セレクタ254は、入力されたRヘッドホンユニット35で得られた信号とLヘッドホンユニット37で得られた信号とを、それぞれセレクタ254の端子256,257から加算除算処理部253に出力する。なお、セレクタ254は、端子258が接地されている。
加算除算処理部253は、入力された二つの信号の加算を行い、次に2で除算する処理を行うものである。すなわち、加算除算処理部253は、入力された信号の平均を取った信号を出力する。具体的には、加算除算処理部253は、セレクタ254からRヘッドホンユニット35で得られた信号とLヘッドホンユニット37で得られた信号が入力され、これらの信号が平均された信号をセレクタ254の端子255に出力する。加算除算処理部253では、2で除算する処理について、例えば、アナログ回路で行う場合にはオペアンプ1個で行うことができ、デジタル処理する場合にはでは1ビットシフトで行うことができる。
セレクタ254では、波形乱れ検出出力A,Bに応じて、ゲイン切り替え部95に信号を出力する。波形乱れ検出出力A,Bがともに信号0である場合には、加算除算処理部253により処理された、Rヘッドホンユニット35で得られた信号とLヘッドホンユニット37で得られた信号との平均を取った結果を出力する。波形乱れ検出出力Aが0で波形乱れ検出出力Bが1である場合には、Rヘッドホンユニット35で得られた信号を出力する。波形乱れ検出出力Aが1で波形乱れ検出出力Bが0ある場合には、Lヘッドホンユニット37で得られた信号を出力する。さらに、波形乱れ検出出力A,Bがともに信号1である場合には、0Vをセレクタ254が選んで出力する。
上述した構成により、スイッチ回路68,80によって信号線36,38がそれぞれ波形乱れ検出部251,252とセクレタ254とに接続した場合には、Rヘッドホンユニット35及びLヘッドホンユニット37におけるそれぞれのセンサ212で検出された信号について、波形乱れ検出部251,252が波形の乱れを検出して波形乱れ検出出力A,Bをセレクタ254に出力する。また、セレクタ254には、Rヘッドホンユニット35及びLヘッドホンユニット37においてそれぞれ検出された信号が入力されて、これらの信号が加算除算処理部253に出力されて信号の平均をとる処理がなされる。セレクタ254からは、波形乱れ検出出力A,Bに応じた信号が、ゲイン切り替え部95、周波数特性補償部96、FET72を介して、マイク端子63に入力され、第一ジャック81のマイク端子83を介して情報処理装置23の信号入力部87に入力される。この場合、センサ212はマイクロホンとして機能する。一方、スイッチ回路68,80によって信号線36がRヘッドホン端子65と接続し、信号線38がLヘッドホン端子66と接続した場合には、Rヘッドホンユニット35及びLヘッドホンユニット37のセンサ212へ音源92からの音信号が入力される。この場合、センサ212はスピーカーとして機能する。
このように、検体情報検出装置13cは、Rヘッドホンユニット35及びLヘッドホンユニット37におけるそれぞれのセンサ212により検出された信号について、波形乱れ検出出力A,Bに応じた信号を情報処理装置23に出力する。このとき、Rヘッドホンユニット35で得られた信号とLヘッドホンユニット37で得られた信号との双方に乱れが無いのであれば、加算除算処理部253により平均を取る処理がなされることで、ノイズが軽減されてS/N比の向上した信号が出力される。また、Rヘッドホンユニット35で得られた信号とLヘッドホンユニット37で得られた信号とのいずれかに乱れが無いのであれば、乱れが無い側の検出された信号を出力することができる。
本変形例に係る検体情報処理装置3cによれば、Rヘッドホンユニット35で得られた信号とLヘッドホンユニット37で得られた信号とを加算してから2で除算して平均を取る加算除算処理を行い、S/N比が向上した信号を得ることができる。また、Rヘッドホンユニット35で得られた信号とLヘッドホンユニット37で得られた信号との波形の乱れに応じて、適切な信号を出力することができる。
上述した加算除算処理を行う変形例の説明では、図53を参照して第一実施形態の変形例について説明したが、検体情報検出ユニット32,33により検出された信号について、Rヘッドホンユニット35で得られた信号とLヘッドホンユニット37で得られた信号とについて平均を取る加算除算処理を行うものであれば、これに限定されない。例えば、第二実施形態〜第四実施形態及びこれらの変形例、並びに第一実施形態の変形例について、波形乱れ検出部251,252、加算除算処理部253、及びセレクタ254を備えるものであっても同様に行うことができる。
[9−5.ヘッドホンのドライバユニットについて]
上記の実施形態においては、センサ212として、ヘッドホンのドライバユニットにより脈波を検出することについて説明した。ここで、ヘッドホンにはドライバユニットが複数設けられている、ドライバユニットがハイブリッドのヘッドホンが知られている。例えば、主に低音を出力するウーハーと、高音を出力するツイーターとの2種類のドライバユニットを備えるものがある。また、さらに中間の領域をカバーするドライバユニットを備えるものについても知られている。
本発明のセンサ212としては、このようなドライバユニットがハイブリッドのヘッドホンを用いて脈波を検出することができる。このとき、ドライバユニットの周波数特性の適性の観点から、低音の出力に用いられるドライバユニット(ウーハー)を用いて脈波の検出を行うことが好ましい。
[9−6.カナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンの装着部位の変形例]
上記の実施形態においては、カナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンである検体情報検出ユニット32aについて、外耳道104の外部開口部105にイヤーピース213を挿入することで外耳107に装着する場合について説明した。検体情報検出ユニット32aの装着部位はこれには限定されず、外耳107を構成する部位を外部の空間から隔離して、閉鎖またはほぼ閉鎖された空間構造となる空洞109を形成可能であれば、他の部位に装着してもよい。
例えば、耳珠111に開口部215を対向させて、イヤーピース213を押し当てて接触させることで装着してもよい。または、耳垂113に開口部215を対向させて、イヤーピース213を押し当てて接触させることで装着してもよい。このとき、耳珠111または耳垂113における血管の振動が、空洞109内を伝播して、開口部215を通じてセンサ212に伝わることにより、センサ212は、耳珠111または耳垂113における血管の脈動性信号を、該脈動性信号に起因し空洞109内を伝播する圧力情報として検出する。
[9−7.オーバーヘッドタイプのヘッドホンの適用例]
上述したオーバーヘッドタイプのヘッドホンである検体情報検出ユニット32b,32cの適用例としては、例えば、救急車で搬送される患者への利用が挙げられる。カナル型のインナーイヤータイプのヘッドホンである検体情報検出ユニット32aの場合には、装着時に、検体情報検出ユニット32aを患者の外耳道104に向けて挿入して、外部開口部105を塞ぐように押し込む必要があった。また、検体情報検出ユニット32aでは、患者が動いた際に筐体部211が外耳道104から抜け落ちて、外れてしまうことがあった。一方、検体情報検出ユニット32b,32cによれば、筐体部612,622の間を広げて、患者の両耳を挟み込むようにして装着できるため、インナーイヤータイプの場合よりも手早く装着することができる。また、筐体部612,622を装着部材615,625によって頭部110または耳介108に押し付けるようにして装着することから、患者が動いても外れにくく、さらにはクローズドキャビティの閉鎖レベルを保った状態で、脈動性信号を検出することができる。
[9−8.その他ヘッドホンの変形例]
上述の検体情報検出ユニット32b,32cは、筐体部612,622が密閉型の場合について説明したが、半密閉型の場合でも脈動性信号の検出を行うことができる。このとき、クローズドキャビティの閉鎖レベルがさらに低下すると考えられるため、閉鎖レベルの低下に応じて位相補償を行うことで、波形等化処理を施せばよい。
筐体部612,622は通常、左耳用と右耳用との一対を備えるが、筐体部612,622を1個だけ備えるものであってもよい。この場合、1個の筐体部612,622のイヤーパッド614,624が、装着部材615,625の他端部によって検体101の頭部110または耳介108に圧迫されて変形することにより装着される。
装着部材615,625が、筐体部612,622を連結して、装着時に首の周りを周回する形状を有するネックバンドとともに、耳介108に引っ掛けるループ状の構造を有するものであってもよい。このような装着部材を有するヘッドホンは、いわゆるネックバンドタイプと呼ばれる。この場合、ネックバンド部分の張力により筐体部612,622を耳介108に押し付けて、クローズドキャビティの閉鎖レベルが脈動性信号の検出に十分な程度となるよう圧迫することが好ましい。