これより本発明の様々な実施形態が詳細に参照されるが、そのうちの一又は複数の例が図に示されている。図面に関する以下の説明の中で、同一の参照番号は、同一の構成要素を指す。概して、個々の実施形態に関する相違のみが説明される。各例は、本発明を説明する目的で提供されており、本発明を限定するものではない。更に、ある実施形態の一部として例示又は記載された特徴を、他の実施形態で使用したり、又は他の実施形態と併用したりしてもよく、それにより、更に別の実施形態が生み出される。本明細書には、そのような変更及び変形が含まれることが意図されている。
図1は、真空チャンバ110の中の位置にある蒸発源100を示す。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、蒸発源は、並進運動及び軸の周りでの回転のために構成される。蒸発源100は、一又は複数の蒸発るつぼ104と、一又は複数の分配管106とを有している。2つの蒸発るつぼ及び2つの分配管が図1に示されており、蒸発るつぼ及び分配管を支持体102の上に提供することができる。蒸発るつぼ104を有する分配管106は、支持体102によって支持される。2つの基板121が、真空チャンバ110内に設けられる。金属又は金属合金などの金属材料が、分配管106から蒸発する。
本明細書に記載された実施形態によれば、基板は、本質的に垂直位置において金属材料でコーティングされている。例えば、金属材料は、カルシウム、アルミニウム、バリウム、ルテニウム、マグネシウム−銀合金、銀、又はこれらの組み合わせなどの金属又は金属合金とすることができる。図1に示された図は、蒸発源100を含む装置の上面図である。典型的には、分配管は、蒸気分配シャワーヘッド、特に、線形の蒸気分配シャワーヘッドである。分配管は、本質的に垂直に延びる線源を提供する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、本明細書に記載の実施形態によれば、本質的に垂直とは、特に基板配向に言及する際に、20°以下、例えば、10°以下、の垂直方向からのずれを許容すると理解される。この垂直方向からのずれは、基板又はその上に堆積した層の上での粒子発生を減らすために使用することができる。代替的には、例えば、垂直配向からのいくらかのずれを有する基板支持体がより安定した基板位置をもたらし得るので、ずれが設けられてもよい。しかし、金属材料の堆積中の基板配向は、本質的に垂直と考えられ、水平な基板配向とは異なると考えられる。垂直配向の基板の表面は、1つの基板寸法に対応する1つの方向に延びる線源、及び他の基板寸法に対応する他の方向に沿った並進運動によってコーティングされる。
図1は、真空チャンバ110内で、金属又は金属合金などの金属材料を堆積させるための堆積装置200の実施形態を示す。蒸発源100は、例えば、ループ状軌道(例えば、図11Aに示される)などの、軌道又は線形ガイド220上で真空チャンバ110内に提供される。線形ガイド220の軌道が、蒸発源100の並進運動のために構成されている。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる異なる実施形態によれば、並進運動のためのドライバを、蒸発源100の中に、軌道又は線形ガイド220に、真空チャンバ110内に、又はそれらの組み合わせにおいて、提供することができる。
図1Aは、バルブ205、例えばゲートバルブなどを示す。バルブ205は、隣接する真空チャンバ(図1に示されず)に対する真空密閉を可能にする。バルブは、真空チャンバ110の中への又は真空チャンバ110の外への基板121又はフレーム131の搬送のために開放することができる。フレーム131は、基板121のエッジをマスクしているマスクを支持することができる。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、保守真空チャンバ210などの更なる真空チャンバが、真空チャンバ110に隣接して提供される。真空チャンバ110及び保守真空チャンバ210は、バルブ207で連結される。バルブ207は、真空チャンバ110と保守真空チャンバ210との間の真空密閉を開閉するように構成される。蒸発源100は、バルブ207が開放状態にある間、保守真空チャンバ210に移送することができる。その後、バルブは、真空チャンバ110と保守真空チャンバ210との間に真空密閉を提供するために閉鎖することができる。バルブが閉鎖される場合、保守真空チャンバ210は、真空チャンバ110の中の真空を破壊せずに、蒸発源100保守のために換気及び開放することができる。したがって、保守真空チャンバ210が保守目的で換気される間に、真空チャンバ110の中の蒸発源100を操作することもまた可能であり得る。
2つの基板121は、真空チャンバ110内のそれぞれの搬送軌道上で支持される。更に、例えばマスクのフレームなどのフレーム131を提供するための2つの軌道がその上に提供される。基板121のコーティングは、それぞれのマスクによってマスクすることができ、フレーム131によって支持され得る。典型的な実施形態によれば、フレーム131、すなわち、第1の基板121に対応する第1のフレーム131と、第2の基板121に対応する第2のフレーム131とは、所定の位置に設けられる。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、基板121は、位置合わせユニット112に結合された基板支持体126によって支持することができる。位置合わせユニット112は、マスク131に対する基板121の位置を調節することができる。図1は、基板支持体126が位置合わせユニット112に連結されている実施形態を示す。したがって、金属材料の堆積中に基板とフレームとの間の適切な位置合わせを行うため、基板がフレーム131及び/又はマスクに対して移動する。フレーム及び/又はマスクの何れかを基板121に対して位置付けることができ、又はフレーム131及び基板121の両方を互いに対して位置付けることができる。位置合わせユニット112は、基板121とマスク131との間で互いに対して位置を調節するように構成され、堆積処理中にフレームの正しい位置合わせを可能にするが、これは、高品質のOLEDディスプレイ製造に有益である。
フレーム及び基板の互いに対する位置合わせの例は、基板の平面及びフレームの平面に本質的に平行である平面を画定する少なくとも2つの方向における相対的な位置合わせを可能にする位置合わせユニットを含む。例えば、位置合わせは、少なくとも、x−方向及びy−方向で、即ち、上記平行な平面を画定する2つのデカルト方向に行うことができる。典型的には、フレーム及び基板は、本質的に互いに平行とすることができる。特に、位置合わせは、更に、基板の平面及びマスクの平面に本質的に垂直な方向に更に行うことができる。したがって、位置合わせユニットは、少なくともX−Yの位置合わせ、特にフレーム及び基板の互いに対するX−Y−Zの位置合わせのために構成される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの特定の例は、基板をフレームに対してx−方向、y−方向及びz−方向に位置合わせすることであって、フレームは、真空チャンバ110の中で静止して保持することができる。
図1に示されるように、線形ガイド220は、蒸発源100の並進運動の方向を提供する。蒸発源100の両側で、蒸発源100の対向する側面における基板121は、並進運動の方向に本質的に平行に延びることができる。典型的な実施形態によれば、バルブ205を介して、真空チャンバ110の中及び真空チャンバ110の外へ、基板121を移動させることができる。堆積装置200は、基板121各々の搬送用のそれぞれの搬送軌道を含むことができる。例えば、搬送軌道は、図1に示される基板位置に平行に、真空チャンバ110内へかつ真空チャンバ110から延びることができる。
典型的には、フレーム131を支持する更なる軌道が設けられる。したがって、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態は、真空チャンバ110内に4つの軌道を含むことができる。例えばフレーム131の洗浄のためなど、チャンバからフレーム131の1つを移動させるために、フレームは、基板121の搬送軌道上に移動させることができる。次に、それぞれのフレームは、基板の搬送軌道上で真空チャンバ110を出入りすることができる。真空チャンバ110内への及び真空チャンバ110からの別個の搬送軌道をフレーム131に提供することが可能であっても、堆積装置200の所有コストは、ただ2つの軌道、即ち、基板の搬送軌道が、真空チャンバ110内に及び真空チャンバ110から延びる場合に、加えて、フレーム131が、適切なアクチュエータ又はロボットによって基板の搬送軌道のそれぞれ1つの上に移動させることができる場合に、削減することができる。
図1は、蒸発源100の例示的実施形態を示す。蒸発源100は、支持体102を含む。支持体102は、線形ガイド220に沿った並進運動のために構成される。支持体102は、一又は複数の、例えば2つの、蒸発るつぼ104、及び蒸発るつぼ104の上に設けられた一又は複数の、例えば2つの、2つの分配管106を支持することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、本明細書に記載の実施形態によれば、分配管及び蒸発るつぼは、1つの単一部品として提供される。この単一部品において、蒸発るつぼで生成された蒸気は、上に向かって、分配管の一又は複数の排出口から移動することができる。本明細書に記載の実施形態によれば、分配管106はまた、例えば、線形蒸気分配シャワーヘッドなどの、蒸気分配シャワーヘッドと見なすこともできる。
図2は、本明細書に記載の実施形態による蒸発源の部分の図を示す。蒸発源は、分配管106と蒸発るつぼ104とを含むことができる。蒸発るつぼ104は、例えば溶接によるなど、着脱不能な方法で、分配管106の第1の端に固定することができる。したがって、蒸発るつぼ104及び分配管106は、単一部品として提供される。コンタクトエリア230にはガス又はスリットが存在せず、コンタクトエリア230の密閉閉鎖が可能になる。本明細書に記載の実施形態によれば、蒸発るつぼと分配管との間には間隙及び/又はスリットが存在しない。特に、蒸発るつぼの内部及び分配管の内部は、1つの共通の空洞スペースを形成する。空洞スペースには、例えば、蒸発るつぼと分配管との間の間隙又はスリットなどの間隙又はスリットがない。蒸発るつぼ及び分配管を1つの単一部品として提供することなく、ガス又はスリットは、蒸発るつぼ104と分配管106との間のコンタクトエリア230に存在し得る。例えば、蒸発るつぼ及び分配管は、互いに対して溶接することができ、よって蒸発るつぼ及び分配管のコンタクトエリアの間隙又はスリットを回避することができる。
第1の端と対向する分配管106の第2の端で、閉鎖プレート236は、例えば溶接によるなどの着脱不能な方法で固定することができ、また、コンタクトエリア230を密閉閉鎖するために間隙又はスリットが存在することはない。カバープレート236には、蒸発材料を蒸発源100又は蒸発るつぼ104にそれぞれ充填するための開口又は開孔238を提供することができる。この開口又は開孔238は、ねじ、ボルト、プラグ又は任意の適したシールなどの閉鎖部240による蒸気気密方法で着脱可能に密閉することができる。幾つかの実施形態では、蒸発源100又は蒸発るつぼ104を蒸発材料で充填するための1つの開口又は開孔を提供することができる。しかしまた、複数の開口又は開孔を設けることもできる。従って、蒸発るつぼ及び分配管を単一部品として提供することによって設けられる空洞スペースは、例えばノズルなどの一又は複数の排出口712において、蒸発材料で蒸発源100又は蒸発るつぼ104を充填するための一又は複数の開口又は開孔においてのみ外側に開放される。一又は複数の排出口712は、金属蒸気又は金属合金蒸気などの蒸発した材料を基板に方向付ける。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、堆積材料を提供することができる空洞スペース又は空間(volume)は、分配管と分配管内部のインナチューブとの間、及び/又はるつぼ壁とるつぼ内部のインナチューブとの間に提供される。
実施形態によれば、分配管106は、図2に示されるように、インナチューブ232及びアウタチューブ234を含む細長管とすることができる。インナチューブ232は、1つの閉鎖端及び1つの開放端を有する円筒として形成することができる。インナチューブ232、アウタチューブ234、及び閉鎖部236は、1つの単一部品を形成するために溶接することができる。更に、インナチューブ232、アウタチューブ234、閉鎖部236、及びるつぼ104は、1つの単一部品として蒸発源100を形成するために溶接することができる。
本明細書に記載の実施形態によれば、蒸発源100は、分配管106及び蒸発るつぼ104を含み、分配管及び蒸発るつぼは、1つの単一部品として提供される。1つの単一部品として形成された蒸発源は、スリット又は間隙を有していない蒸発源の空間の閉鎖ハウジング又は境界を提供する。この構造又は設計の利点は、液体金属又は金属蒸気のスリット又は間隙への流入を防止することである。濡れ性がそのようなスリット又は間隙を通る流れを引き起こす可能性がある既知の金属が存在する。そのような液体金属は、スリット又は間隙を通って徐行し、ゆっくり進み、流れ、又は滲み出し、蒸発源の外側に到達する。その結果、コーティング機の内部の汚濁若しくは汚染、又は精度が高い機械部品の破壊が起こり得る。更に、液体金属が電気的短絡を引き起こす可能性がある。
本明細書に記載の実施形態によれば、スリット又はギャップなしに分配管及び蒸発るつぼを1つの単一部品として提供することは、これらの部品が、例えば、溶接、焼結、はんだ付け、ろう付け、単一部品からの製造、圧接若しくは圧入、3D印刷、結合、融着、又は他の適切な手段などによって、着脱不能な方法で一体的に接合されるようなものであると本明細書では理解され得る。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、分配管106は、第1のアウタチューブ234及び第1のインナチューブ232を備える。分配管の第1のアウタチューブ及び第1のインナチューブは、スリット又は間隙なしに1つの単一部品を形成するために、例えば、溶接又は上述の任意の他の適切な手段によるなどして、着脱不能な方法で一体的に接合され得る。更に、分配管は、第1のインナチューブ232内部に配置されている第1の加熱要素715を備える。蒸発源の空洞スペース、閉鎖されたハウジング又は空間の一部が、第1のアウタチューブの壁と第1のインナチューブの壁との間に形成される。従って、第1の加熱要素は、層堆積用の材料が供給される蒸発源の空洞スペース、閉鎖されたハウジング又は空間内部にはない。しかし、第1の加熱要素は、第1のアウタチューブ及び第1のインナチューブ内にある。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態によれば、分配管104は、第2のアウタチューブ248及び第2のインナチューブ244を備える。蒸発るつぼの第2のアウタチューブ及び第2のインナチューブは、スリット又は間隙なしに1つの単一部品を形成するために、例えば、溶接又は上述の任意の他の適切な手段によるなどして、着脱不能な方法で一体的に接合され得る。更に、蒸発るつぼは、第2のインナチューブ内部に配置されている第2の加熱要素725を備える。蒸発源の空洞スペース、閉鎖されたハウジング又は空間の更なる一部が、第2のアウタチューブの壁と第2のインナチューブの壁との間に形成される。従って、第2の加熱要素は、層堆積用の材料が供給される蒸発源の空洞スペース、閉鎖されたハウジング又は空間内部にはない。しかし、第2の加熱要素は、第2のアウタチューブ及び第2のインナチューブ内にある。
分配管は、ノズルとして形成され得る一又は複数の排出口を更に備える。一又は複数の排出口又はノズルは、蒸発方向に沿って延びる。蒸発方向は、本質的に水平とすることができる。分配管は、一又は複数の排出口を有する蒸発分配シャワーヘッドとすることができる。特に、蒸発分配シャワーヘッドは、金属蒸気用の線形源を提供する線形蒸気分配シャワーヘッドとすることができる。実施形態によれば、蒸発源の一又は複数の排出口は、25mm以下の距離を有する。更に、蒸発源の一又は複数の排出口又はノズルの開口は、直径1mmから6mmの間、例えば、1mmから3mmの間の断面を有している。
分配管は、蒸発源100又は蒸発るつぼ104を蒸発材料で充填するための一又は複数の開口を更に備える。蒸発源100又は蒸発るつぼ104を蒸発材料で充填するためのこの開口は、ねじ又はボルトで密閉可能であり得る。密閉可能とは、本明細書では、蒸発源又は蒸発るつぼを蒸発材料で充填するために着脱可能である蒸気気密閉鎖部として理解され得る。蒸気気密密閉は、リッド又はキャップを使用することによって実現され得る。リッド又はキャップは、ねじ又はボルトによって提供することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、リッド又はキャップは、グラファイトから作ることができる。別の実施形態によれば、蒸発るつぼは、モリブデン又はタンタルから作ることができる。
更なる実施形態によれば、分配管は、モリブデン又はタンタルから作ることができる。更に、モリブデン又はタンタルのノズルバーを製造することが可能である。更なる実施形態によれば、蒸発るつぼ、分配管及びノズルバーは、モリブデン又はタンタルから作ることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態によれば、蒸発源は、分配管が分配管の長さに垂直な非円形の断面を有するように形成することができる。蒸発源は、三角形の部分に対応する主要部分を有することができる。分配管の長さに垂直な断面は、三角形として丸みを帯びた角及び/又は切断された角を有する三角形とすることができる。更に、蒸発源は、三角形の断面を有することができる。
上記の設計は、アレイを形成するために第1の蒸発源と第2の蒸発源とを組み合わせる可能性を提供する。蒸発源のアレイは、金属又は金属合金の蒸発速度を増加させるために使用することができる。更に、蒸発源のアレイは、2つの異なる金属又は金属合金の同時蒸発に使用することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、蒸発源のアレイは、各蒸発源の一又は複数の排出口の蒸発方向が、分配管の長さに沿って設けられる対称平面に対して傾斜するように配置することができる。例えば、分配源の傾斜角、例えば、蒸発源の主要な蒸発方向が基板表面に直交する表面に対して放射する角度は、20度以下、例えば3度から10度の間とすることができる。一又は複数の排出口又はノズルのこの配向は、蒸発源のアレイと基板との間の距離の短縮を実現する可能性を提供する。
実施形態によれば、第1の蒸発源の蒸発した材料は銀(Ag)とすることができ、第2の蒸発源の蒸発した材料はマグネシウム(Mg)とすることができる。第1及び第2の蒸発した材料は、1:2≦Ag:Mg≦7:1の割合、特に1:1≦Ag:Mg≦5:1の割合で蒸発する可能性がある。本明細書に記載の実施形態によれば、蒸発源は、一又は複数の蒸発るつぼと、一又は複数の分配管とを含み、一又は複数の分配管のそれぞれ1つが、一又は複数の蒸発るつぼのそれぞれ1つと流体連通することができる。OLEDデバイス製造への様々な適用は、一又は複数の金属材料が同時に蒸発する処理を含む。
したがって、例えば図4に示したように、2つの分配管及び対応する蒸発るつぼを、各々単一部品として、互いに隣接して提供することができる。したがって、蒸発源100はまた、蒸発源アレイと呼ばれることがあり、例えば、2種類以上の金属材料が同時に蒸発させられる。本明細書に記載されるように、蒸発源アレイそれ自体を、2以上の金属材料、例えば金属又は金属アレイのための蒸発源と呼ぶことができる。
本明細書に記載されるように、金属材料のための蒸発源及び蒸発源アレイはそれぞれ、異なる金属を互いに独立して又は組み合わせて堆積させたいという願望に対して改善することができる。同一のるつぼから2以上の金属材料を蒸発させる蒸発源は、基板に2以上の金属合金材料を堆積させるときに、金属合金材料が十分に混合されない恐れがある。したがって、例えば、基板に1つの金属合金層を提供するために、2つの異なる金属材料を堆積させる用途のために金属合金材料の混合を改善することが望ましい。
分配管の一又は複数の排出口は、例えば、シャワーヘッド又は別の蒸気分配システムの中に提供することができるなどの、一又は複数の開口若しくは一又は複数のノズルとすることができる。蒸発源は、例えば、複数のノズル又は開口を有する線形蒸気分配シャワーヘッドなどの、蒸気分配シャワーヘッドを含むことができる。シャワーヘッドは、シャワーヘッドの中の圧力がシャワーヘッドの外側の圧力よりも、例えば、少なくとも1桁ほど、高くなるような開口を有する筐体を含むものとして、本明細書では理解することができる。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、本明細書に記載の実施形態によれば、分配管の回転は、蒸発るつぼ及び分配管が装着される蒸発器制御ハウジングの回転により提供することができる。例えば、蒸発るつぼ及び分配管は、溶接によって1つの単一部品として提供することができる。追加的に又は代替的には、分配管の回転は、ループ状軌道(例えば、図11Aを参照)の湾曲部分に沿って蒸発源を移動させることによって提供することができる。したがって、材料源は、分配管と蒸発るつぼとを含み、その双方が回転可能に装着されうる、即ち、一体的となり得る。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、蒸発源は、分配管(例えば、蒸発管)を含む。分配管は、実施されるノズルアレイなどの複数の開口を有し得る。更に、蒸発源は、蒸発材料を含有する、るつぼを含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、分配管又は蒸発管は、三角形に設計することができ、ゆえに開口又はノズルアレイを互いにできるだけ接近させることが可能である。これにより、例えば、2つ、3つ又は更に多い異なる金属材料の同時蒸発の場合など、異なる金属材料の改良された混合が実現可能となる。
追加的に又は代替的に実施することができる更なる実施形態によれば、本明細書に記載の蒸発源は、温度感知有機材料を堆積させた基板の温度上昇を抑制する。これは、例えば、5ケルビン未満、又は1ケルビン未満であり得る。蒸発源から基板への熱伝達は、改善した冷却によって減少させることができる。追加的に又は代替的には、蒸発源の三角形状を考慮すると、基板に向かって放射状に広がる面積は、低減される。加えて、例えば、10までの金属板など、大量の金属板が、蒸発源から基板までの熱伝達を低下させるために提供することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、熱シールド又は金属板には、排出口又はノズルに対してオリフィスを提供することができ、蒸発源の少なくとも前側、即ち、基板に面する側面に取り付けられ得る。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、典型的な実施形態によれば、分配管106は、線源を提供する。例えば、ノズルなどの複数の開口及び/又は排出口712が、少なくとも1つの線に沿って配置される。代替的実施形態によれば、少なくとも1つの線に沿って延びる1つの細長い開口を提供することができる。例えば、細長い開口は、スリットとすることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、線は基本的に垂直に延びる。例えば、分配管106の長さ又は複数の開口及び/又は排出口の長さは、少なくとも堆積装置の中に堆積させる基板の高さに対応する。多くの場合、分配管106の長さ又は複数の開口及び/又は排出口の長さは、堆積させる基板の高さよりも、少なくとも10%ほど又は20%ほどさえも長いことがあるだろう。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、分配管の長さ又は複数の開口及び/若しくは排出口の長さには、基板の高さをH、突起又は張り出しをPとすると、分配管の全長又は複数の開口及び/若しくは排出口の長さがH+2・Pで与えられるような、Hに対する一定のPを提供することができる。この一定の突起又は張り出しによって、基板の上端及び/又は基板の下端に均一の堆積を提供することができる。
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ得る幾つかの実施形態によれば、分配管の長さは、1.3m以上、例えば、2.5m以上であり得る。1つの構成によれば、図2に示されるように、蒸発るつぼ104は、分配管106の下端に提供される。金属材料は、蒸発るつぼ104の中で蒸発する。金属材料の蒸気が、分配管の底で分配管106に入り、本質的に横に分配管の中の複数の開口を通って、例えば、本質的に垂直な基板の方へ案内される。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、排出口(例えば、ノズル)は、主要な蒸発方向が水平に±20度となるように配置される。幾つかの特定の実施形態によれば、蒸発方向は、僅かに上方に、例えば、3°から7°上方になど、水平から15°までの範囲で上方に配向することができる。同様に、蒸発方向に対して実質的に垂直となるように基板を僅かに傾斜させることができる。蒸発方向及び基板のこの僅かに傾斜した配向は、望ましくない粒子の生成を低減することができる。例示的目的で、蒸発るつぼ104及び分配管106が、熱シールドを含まない状態で図2に示される。第1の加熱要素715及び第2の加熱要素725が、図3Bに示される概略斜視図に見られる。
図3A及び図3Bは、本明細書に記載の実施形態による、蒸発源又は蒸発管それぞれの部分の概略断面図を示す。蒸発るつぼは、蒸発することになる金属材料のためのリザーバとすることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、第1の加熱要素には分配管を設けることができ、第2の加熱要素には蒸発るつぼを設けることができる。例えば、第1の加熱要素及び第2の加熱要素は、分配管及び蒸発るつぼそれぞれの内部から、分配管及び蒸発るつぼそれぞれを加熱するために設けることができる。従って、加熱電力全体を削減することができ、次に基板又はマスクの上の熱負荷も結果的に削減され得る。しかし、第1の加熱要素及び第2の加熱要素のうちの1つはまた、外側から源を加熱するために提供されてもよい。
図3Aは、第2の加熱要素725を示す。第2の加熱要素725は、蒸発るつぼ104の底部板242に設けることができ、又は蒸発るつぼの外部を包囲するように構成することができる(図示されず)。蒸発るつぼ104の体積は、100cm3から3000cm3までの間、特に700cm3から1700cm3までの間、より具体的には1200cm3とすることができる。第1の加熱要素715は、分配管106のインナチューブ232の内側に配置することができ、分配管を加熱するために設けられる。第1の加熱要素715及び第2の加熱要素725の両方は、それぞれ別個に独立して温度制御及び/又は電力制御することができる。したがって、蒸発るつぼ104によって供給される金属材料の蒸気が、分配管106、例えば分配管106の壁の内部などで凝縮しない温度まで、分配管106を加熱することができる。蒸発るつぼ104は、基板上に堆積させる対象とされる金属層の厚さに必要な金属蒸気の流れを生成及び保証するために、例えば、金属又は金属合金などの金属材料が適した蒸発速度で蒸発するような温度まで加熱することができる。
図3Bは、本明細書に記載の更なる実施形態による、蒸発源又は蒸発管それぞれの下部の概略断面図を示す。図3Bから分かるように、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、蒸発源100は、分配管106及び蒸発るつぼ104を備える。分配管106は、アウタチューブ234及びインナチューブ232を備える。蒸発るつぼ104は、アウタチューブ248、インナチューブ244、及び底部板242を備える。両インナチューブ232及び244は、1つの閉鎖端及び1つの開放端を有する円筒として形成することができる。円筒は、円形、楕円形、三角形、四角形、六角形、又は多角形などの任意の断面形状を有し得る。しかし、円筒は、対称性がより高い熱放射を提供する。分配管106を過熱するための第1の加熱要素715は、インナチューブ232の内側に配置することができる。るつぼ104を過熱するための第2の加熱要素725は、インナチューブ244の内側に配置することができる。第1及び/又は第2の加熱要素は、図3Bに例示的に示された電気加熱要素であり得る。
インナチューブ232及び244内に加熱要素を配置することにより、蒸発源の外側のエリアへの熱損失を低減する。従って、加熱電力全体を削減することができ、次に基板又はマスクの上の熱負荷も削減され得る。更に、チューブ内に加熱要素を有することにより、例えば、加熱要素と分配管及びるつぼのインナチューブの間に改善された熱接触をもたらすロッドのような加熱要素などの熱膨張が生じる可能性がある。したがって、加熱電力が、第1の加熱要素715及び第2の加熱要素725から分配管のインナチューブ232及びるつぼのインナチューブ244までそれぞれ効果的に移送されることを保証できる。更に、操作中に真空中に置かれる加熱要素が被加熱物に対する熱的接触が低く、熱を放散することができない場合に起こり得る加熱要素の熱的損傷が防止される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、加熱要素は、インナチューブよりも大きな熱膨張又はより大きい熱膨張係数を示すことができる。従って、加熱要素を加熱すると、加熱要素とインナチューブとの間の熱接触は改善する。
分配管106の第1のインナチューブ232及びるつぼ104の第2のインナチューブ244は、双方の閉鎖端が互いに対向する表面246を有することができる。実施形態によれば、分配管106の第1のインナチューブ232及び蒸発るつぼ104の第2のインナチューブ244は、機械的に接触していなくても互いに対向し得る。別の実施形態によれば、分配管106の第1のインナチューブ232及び蒸発るつぼの第2のインナチューブ244は、機械的に接触していてもよい。表面246では、インタチューブ232及び244は、直接的に接触することも間接的に接触することもできる。閉鎖端は、凹み及び突起を提供することができる。例えば、凹み及び突起は、スロット及びキーのように形成され得る。表面246において、第1のインナチューブ232及び第2のインナチューブ244には、凹み及び突起によって包囲される空間を提供することができる。この空間は、加熱要素715及び725の熱制御を熱的に分離するために、低熱伝導率を示す材料で充填することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、インナチューブ232及び244は、浮遊接触している2つの異なる部分から作ることができ、インナチューブ双方の例えばスロット及びキーなどの凹み及び突起が提供された端には熱膨張用の十分なスペースが提供される。
更に別の実施形態によれば、分配管の第1のインナチューブ232及び蒸発るつぼの第2のインナチューブ244は、直接的だが着脱可能に機械的に接触していてもよい。分配管の第1のインナチューブ232と蒸発るつぼの第2のインナチューブ244との間のスリット又は間隙は、蒸発源100の機能性に影響を与えない。蒸発源のこの部分には、蒸発源の外部への開口が存在しない。第1及び第2のインナチューブ各々は、この端で密閉閉鎖される。第1及び第2のインナチューブは、第1及び第2のインナチューブ内に加熱要素715、725を載置するためのこれらの端に対向する端に開口を示している。前述のように着脱不能な方法で第1のインナチューブ232の開放端を閉鎖プレート236に接合することによって、蒸発源100の外部へのスリット、間隙又は開口が存在しない。同じことが、蒸発るつぼ104の底部板242において第2のインナチューブ244に当てはまる。
また更なる実施形態によれば、分配管106の第1のインナチューブ232及び蒸発るつぼ104の第2のインナチューブ244は、1つの単一部品を形成するために、例えば、溶接又は上述の任意の他の適切な手段によるなどして、着脱不能な方法で一体的に接合され得る。双方を形成すると、第1及び第2のインナチューブは、1つの単一部品として、1つの更なる組み立て動作を有することなく、溶接、はんだ付け、又は別の着脱不能な方法によって、分配管及び蒸発るつぼそれぞれにそれを接合する可能性がある。代替的には、インナチューブ232及び244は、1つの単一部品として作ることができる。この組み合わされたインナチューブは、蒸発源100を1つの単一部品として形成するために、閉鎖プレート236、アウタチューブ234及び248並びに底部板242の上に溶接することができる。
上述の実施形態は、分配管106又は蒸発るつぼ104それぞれにおいて蒸発材料240を充填するための意図された開孔を除いて、スリット又はギャップのような開口のない閉鎖された蒸発空間を提供する一部品から作られた蒸発源100を提供する。更に、蒸気を基板に方向付けるための一又は複数の開口又はノズルが存在する。
図4は、本明細書に記載の実施形態による、2つの蒸発源又は2つの蒸発管それぞれのアレイの概略上断面図を示す。分配管106は、線源を提供する。インナチューブ232は、分配管106のアウタチューブ234内に配置することができる。例えば、ノズルなどの複数の開口及び/又は排出口712が、少なくとも1つの線に沿って配置される。代替的な実施形態によれば、少なくとも1つの線に沿って延びる1つの細長い開口は、各分配管106の上に提供することができる。例えば、細長い開口は、スリットとすることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、これらの線は、本質的に垂直に、即ち図4において図面平面内に延びる線に沿って延びる。図4から分かるように、各分配管のノズルなどの開口及び/又は排出口712は、一又は複数の開口及び/又は排出口712の蒸発方向が各分配管の長さに沿って提供される対称平面に対して傾斜して配置されるように、配置される。傾斜角度は、蒸発材料のビームの中心が、開口又はノズルと分配管106の開口又はノズルアレイに対して距離Dで位置することができる基板121との間の距離を覆ったときに互いに接触するように、適合することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、基板121は、固定位置で保持することができ、分配管106のアレイは、線形ガイド220によって提供される基板表面に平行な搬送線に沿って移動する。
基板と分配管106の開口又はノズルとの間の距離Dは、500mm以下、例えば145mm以下などであり得る。例えば、距離Dは、50〜1000mm、特に50〜500mmとすることができる。
図5Aは、分配管106の断面を示す。分配管106は、内部空洞スペース710を取り囲む壁322、326、及び324を有している。インナチューブ232は、アウタチューブ内に配置される。壁322は、排出口712が設けられる蒸発るつぼの排出口側に設けられる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、排出口712は、ノズル312によって提供することができる。分配管の断面は、本質的に三角形ということができる、即ち、分配管の主要部分が三角形の部分に対応し、分配管の断面は、丸みを帯びた角及び/又は切断された角を有する三角形であり得る。図5Aに示されるように、例えば、排出口側の三角形の角は切断される。
分配管の排出口側の幅、例えば、図5Aに示された断面の壁322の寸法は、矢印352によって示される。更に、分配管106の断面の他の寸法は、矢印354及び矢印355によって示される。本明細書に記載の実施形態によれば、分配管の排出口側の幅は、断面の最大寸法の30%又はそれを下回り、例えば、矢印354及び355によって示された寸法のより大きな寸法の30%である。これを考慮すると、隣接する分配管106の排出口712は、距離をより小さくして提供することができる。距離がより短いと、互いに隣り合って蒸発する金属材料の混合が改善される。このことは、図5C、図9A、図9B、図10A、及び図10Bを参照すると、より良く理解することができる。また更に、追加的に又は代替的には、金属材料の混合が改善されることとは別に、本質的に平行に、堆積エリア又は基板それぞれ面した壁の幅を低減することができる。したがって、例えば、壁322などの、本質的に平行に、堆積エリア又は基板にそれぞれ面した壁の表面積は、低減できる。これにより、堆積エリアの中で又は堆積エリア以前にわずかに支持されるマスク又は基板に提供される熱負荷が低減される。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、分配管の長さと分配管の水力直径によって除算された分配管のすべての排出口の面積との積、即ち、公式N*A*L/Dによって計算された値は、7000mm2以下、例えば、1000mm2から5000mm2とすることができる。この式において、Nは、分配管の排出口の数であり、Aは、1つの排出口の断面積であり、Lは、分配管の長さであり、Dは、分配管の水力直径である。
図5Bは、本明細書に記載の幾つかの実施形態による分配管106の更なる詳細を示す。加熱要素は、分配管106のインナチューブ232内部及び蒸発るつぼ104のインナチューブ244内部に配置される電気ヒータとすることができる。例えば、加熱要素は、インナチューブ232又は244に留められた又は別な方法で固定された加熱ワイヤ、例えば、コーティングされた加熱ワイヤなどによって提供することができる。
2以上の熱シールド372が、分配管106の管又は分配管のアウタチューブ周囲にそれぞれ提供される。例えば、熱シールド372は、互いに間隔を空けることができる。熱シールドの1つにスポットとして提供することができる突出部373は、熱シールドを互いに対して分離する。したがって、熱シールド372のスタックが提供される。例えば、2以上の熱シールド、例えば、5又はそれを上回る熱シールド、又は実に10もの熱シールドを提供することができる。幾つかの実施形態によれば、このスタックは、プロセス中に源の熱膨張を補償するように設計され、したがって、ノズルは決して遮断されない。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、最も外側のシールドは、水冷式とすることができる。
図5Bに例示的に示されるように、図5Bに示された断面に示されている排出口712には、ノズル312が提供される。ノズル312は、熱シールド372を通って延びる。これにより、ノズルが、この熱シールドのスタックを通って金属材料を案内するので、熱シールドでの金属材料の凝結を低減することができる。ノズルは、分配管106内部の温度と同じくらいの温度まで加熱することができる。ノズル312の加熱を改善するために、例えば、図6に示された例に関して、分配管の加熱された壁と接触しているノズル支持体部分412を提供することができる。
図5Cは、2つの分配管が互いに隣り合って設けられる場合の実施形態を示す。したがって、図5Cに示されるような分配管配列を有する蒸発源は、互いに隣り合って2つの金属材料を蒸発させることができる。したがって、そのような蒸発源はまた、蒸発源アレイとも呼ぶことができる。図5Cに示されるように、分配管106の断面形状により、隣接する分配管の排出口又はノズルを互いに接近して置くことが可能になる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、第1の分配管の第1の排出口又はノズルと、第2の分配管の第2の排出口又はノズルとは、25mm又はそれ未満の距離、例えば、5mmから25mmまでの距離などを有することができる。更に具体的には、第1の排出口又はノズルの第2の排出口又はノズルまでの距離は、10mm又はそれ未満とすることができる。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、ノズル312の管を延長することができる。分配管の間の距離が小さいことを考慮すると、そのように管を延長することは、内部での詰まり又は凝結を回避するのに些細なことであり得る。管の延長は、2つの源又は3つの源でさえも互いの上に一直線に、即ち、垂直な延長でありうる分配管の延長に沿って一直線に提供できるように、設計することができる。この特別な設計により、2つ又は3つの源のノズルを小さな管の延長上に一直線に配列することすら可能になり、したがって完璧な混合が実現される。
図5Cは、本明細書に記載の実施形態による低減された熱負荷を更に示す。堆積エリア312が、図5Cに示される。典型的には、基板は、基板上での金属材料の堆積用の堆積エリアの中に提供することができる。側壁326と堆積エリア312との間の角度395が、図5Cに示される。理解できるように、側壁326は、熱シールド及び冷却要素に関わらず発生しうる熱放射が、堆積エリアに向かって直接放射されないように、比較的大きな角度で傾斜している。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、角度395は、15度又はそれを上回るとすることができる。したがって、矢印392によって示される寸法又は面積は、矢印394によって示される寸法又は面積と比較するとかなり小さい。矢印392により示される寸法は、分配管106に対して、堆積エリアに面した表面が、本質的に平行であり、又は30度若しくはそれを下回る、又は15度若しくはそれを下回る角度を有するような、分配管106の断面の寸法に対応する。対応するエリア、即ち、直接的な熱負荷を基板に提供するエリアは、分配管の長さと乗算された、図5Cに示される寸法である。矢印394によって示された寸法は、それぞれの断面で蒸発源全体の堆積エリア312上の投射影(projection)である。対応するエリア、即ち、堆積エリアの表面上への投射影のエリアは、分配管の長さと乗算された、図5Cに示される寸法(矢印394)である。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、本明細書に記載の実施形態によれば、矢印392によって示されたエリアは、矢印394によって示されたエリアと比較すると30%又はそれを下回る可能性がある。上記を考慮すると、分配管106の形状は、堆積エリアに向かって放出される直接的な熱負荷を低減する。したがって、基板及び基板前方に提供されたマスクの温度安定性を改善することができる。
図6は、本明細書に記載の実施形態による蒸発源の更なる任意選択的変形例を示す。図6は、分配管106の断面を示す。分配管106の壁は、内部空洞スペース710を包囲する。インナチューブ232は、アウタチューブ内に配置される。蒸気は、ノズル312を通って空洞スペースを出ることができる。ノズル312の加熱を改善するために、分配管106の加熱された壁と接触しているノズル支持体部分412が提供される。分配管106を取り囲む外側シールド402は、熱負荷を更に低減するための冷却シールドである。更に、冷却シールド404は、更に基板の堆積エリアに向かう熱負荷をそれぞれ低減するように提供される。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、冷却シールドは、シールドに取り付けられた又はシールド内部に提供された、水などの冷却流体用の導管を有する金属板として提供することができる。加えて、又は代替的には、熱電性冷却手段又は他の冷却手段を冷却シールドを冷却するために提供できる。典型的には、外側シールド、即ち、分配管の内部空洞スペースを取り囲む最も外側のシールドを冷却することができる。
図6は、幾つかの実施形態により提供することができる更なる態様を示す。シェーパシールド405が、図6に示される。シェーパシールドは、典型的には、蒸発源の一部から基板又は堆積エリアに向かって延びる。したがって、排出口を通り、一又は複数の分配管を出る蒸気の方向を制御することができる、即ち、蒸気放出の角度を低減することができる。幾つかの実施形態によれば、排出口又はノズルを通って蒸発する金属材料の少なくとも一部は、シェーパシールドによって遮断される。このような配置によって、放出角度の幅を制御することができる。幾つかの実施形態によれば、シェーパシールド405は、堆積エリアに向かって放出される熱放射を更に低下させるために、冷却シールド402及び404と同じくらいまで冷却することができる。
図7Aは、蒸発源の一部を示す。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、蒸発源又は蒸発源アレイは、垂直線形源(vertical linear source)である。したがって、3つの排出口712は、垂直排出口アレイの一部である。図7Aは、例えば、スクリュー又は同類のものなどの、固定要素573によって分配管に取り付けることができる熱シールド572のスタックを示す。更に、外側シールド404は、その内部に設けられた更なる開口を有する冷却シールドである。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、外側シールドの設計は、蒸発源の構成要素の熱膨張を可能にするように構成することができ、この場合、動作温度に達すると、開口が分配管のノズルとの位置合わせを維持し、又は分配管のノズルとの位置合わせに至る。図7Bは、冷却外側シールド404の側面図を示す。冷却外側シールドは、本質的に、分配管の長さに沿って延びることができる。代替的には、2つ又は3つの冷却外側シールドが、分配管の長さに沿って延びるように、互いに隣り合わせに提供することができる。冷却外側シールドは、例えば、スクリューなどの固定要素502によって、蒸発源に取り付けられ、この場合、固定要素は、本質的に、長さの延長に沿って分配管の中心(±10%又は±20%)に提供される。分配管が熱膨張すると、熱膨張にさらされる外側シールド404の部分の長さが短縮される。外側シールド404の開口531は、固定要素502に近接するときに円形とすることができ、また固定要素からの距離が大きくなるときには楕円形状を有することができる。幾つかの実施形態によれば、蒸発管の縦軸に平行な方向の開口531の長さは、固定要素からの距離が大きくなればなるほど、増加する可能性がある。典型的には、蒸発管の縦軸に垂直な方法の開口531の幅は、一定にすることができる。上記を考慮すると、外側シールド404は、特に蒸発管の縦軸に沿って熱膨張すると延びる可能性があり、蒸発管の縦軸に平行に寸法が増加すると、熱膨張を補償する又は少なくとも部分的に補償する可能性がある。したがって、蒸発源は、ノズルを遮断する外側シールド404に開口がなくても、広い温度範囲で操作することができる。
図7Cは、本明細書に記載の他の実施形態にも同様に提供することができる、本明細書に記載の実施形態の更なる任意選択的特徴を示す。図7Cは、シールド572が壁322に提供されている場合の、壁322(図5Aを参照)の側面からの側面図を示す。更に、側壁326が図7Cに示される。図7Cから分かるように、シールド572又はシールドのスタックの中のシールドは、蒸発パイプの長さに沿ってセグメント化される。シールド部分の長さは、200mm又はそれ未満、例えば120mm又はそれ未満、60mmから100mmまでなどとすることができる。したがって、シールド部分、例えば、シールドのスタック、の長さは、その熱膨張を低減するために短縮される。したがって、それを通してノズルを延長することができ、排出口712に対応する、シールドの中の開口の位置合わせは、ほとんど重要ではない。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、2以上の熱シールド372が、分配管106の内側空洞スペース710と加熱部分周囲に提供される。したがって、分配管106の加熱部分から基板、マスク又は堆積装置の別の部分に向かった熱放射を低減することができる。1つの例として、図7Aに示されるように、熱シールド572のより多くの層を、開口又は排出口が提供される側面に提供することができる。熱シールドのスタックが提供される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的実施形態によれば、熱シールド372及び/又は572は、約0.1mmから3mmほど互いに間隔が空いている。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、熱シールドのスタックは、図7Aから図7Cに関して記載されたように、処理中に源の熱膨張を補償するように設計され、これによりノズルが遮断されることは決してない。加えて、最も外側のシールドは、例えば、水冷式など、冷却することができる。したがって、幾つかの実施形態によれば、特に開口がその側面に提供されている外側シールド404は、例えば、円錐形状の開口がその内部に提供されている、冷却シールドとすることができる。したがって、そのような装置は、たとえノズルが約1300℃の温度を有していようとも、1℃のΔTのずれを有する温度安定性を可能にする。
図8は、蒸発源100の更なる図を示す。蒸発るつぼ104は、金属材料を蒸発させるために提供される。第2の加熱要素は、蒸発るつぼ104を加熱するために第2のインナチューブ244内に設けられる(双方とも図8には示されず)。分配管106は、蒸発るつぼと流体連通しており、これにより蒸発るつぼの中で蒸発した金属材料を、分配管106の中に分配することができる。蒸発した金属材料は、開口(図8に示されず)を通って分配管106を出る。蒸発るつぼ106は、側壁326、排出口側の壁に対向する壁324、及び上壁325を有している。上壁325及び第1のインナチューブ232は、例えばスリット又は間隙のような開口が設けられないように、溶接などによって接合される。第1の加熱要素(図8には示されず)は、分配管106の第1のインナチューブ232内に配置される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、蒸発源及び/又は壁の一又は複数はそれぞれ、モリブデン又はタンタルで作ることができる。特に、蒸発源及び/又は壁の一又は複数は、モリブデン又はタンタルで作ることができる。両セクション、蒸発るつぼ104及び分配管106は、互いから独立して加熱することができる。
堆積エリアに向かう熱放出を更に低減するシールド404は、冷却要素680によって冷却される。例えば、冷却流体をその内部に提供するための導管をシールド404に装着することができる。図8に示されるように、シェーパシールド405を冷却シールド404に追加的に提供することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、シェーパシールドはまた、例えば、水冷式など、冷却することができる。例えば、シェーパシールドは、冷却シールド又は冷却シールド装置に取り付けることができる。金属材料の堆積膜の厚さ均一性は、一又は複数の排出口又はノズルのわきに置くことができるノズルアレイ及び追加のシェーパシールド上で調整することができる。源の設計をコンパクトにすることにより、堆積装置の真空チャンバの中で駆動機構により源を移動させることができる。この場合、すべてのコントローラ、電源及び追加的支持体機能が、源に取り付けられる大気ボックスの中で実施される。
図9A/図9Bは、分配管106の断面を含む更なる上面図を示す。図9Aは、蒸発器制御ハウジング702上に提供される3つの分配管106を有する実施形態を示す。蒸発器制御ハウジングは、内部で大気圧を維持するように構成され、かつスイッチ、バルブ、コントローラ、冷却ユニット、冷却制御ユニット、加熱制御ユニット、電源、及び測定デバイスから成る群から選択された少なくとも1つの要素を収納するように構成される。したがって、蒸発源アレイの蒸発源を操作するための構成要素を、大気圧下で蒸発るつぼ及び分配管に接近して提供することができ、蒸発源と共に堆積装置を通って移動することができる。
図9Aに示した分配管106は、第1のインナチューブ232内に提供される第1の加熱要素によって加熱される。冷却シールド402は、分配管106を取り囲むように提供される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、1つの冷却シールドは、2以上の分配管106を取り囲むことができる。蒸発るつぼの中で蒸発する金属材料は、分配管106のそれぞれに分配され、排出口712を通って分配管を出ることができる。典型的には、複数の排出口は、分配管106の長さに沿って分散される。図9Bは、2つの分配管が提供される場合の、図9Aに類似の実施形態を示す。排出口は、ノズル312によって提供される。各分配管は、蒸発るつぼ(図9A及び図9Bに示されず)と流体連通し、この場合、分配管は、非円形であって、一又は複数の排出口が提供される排出口側を含む、分配管の長さに垂直な断面を有しており、断面の排出口の幅が、断面の最大寸法の30%又はそれを下回る。
図10Aは、本明細書に記載の更なる実施形態を示す。3つの分配管106が提供される。蒸発器制御ハウジング702は、分配管に隣接し、かつ熱絶縁体879を介して分配管に連結され提供される。先ほど記載されたように、内部で大気圧を維持するように構成された蒸発器制御ハウジングは、スイッチ、バルブ、コントローラ、冷却ユニット、冷却制御ユニット、加熱制御ユニット、電源、及び測定デバイスから成る群から選択された少なくとも1つの要素を収納するように構成される。冷却シールド402に加え、側壁804を有している冷却シールド404が提供される。冷却シールド404及び側壁804は、堆積エリア、即ち、基板及び/又はマスクに向かう、熱放射を低減するために、U字型の冷却された熱シールドを提供する。矢印811、812、及び813はそれぞれ、分配管106を出る蒸発した金属材料を示す。分配管が本質的に三角形であるため、3つの分配管に基づく蒸発円錐は、互いに接近しており、そのため異なる分配管からの金属材料の混合を改善することができる。
図10Aに更に示されるように、シェーパシールド405が、例えば、冷却シールド404に取り付けられ、又は冷却シールド404の一部として、提供される。幾つかの実施形態によれば、シェーパシールド405はまた、堆積エリアに向かって放出される熱負荷を更に低減するために冷却することができる。シェーパシールドは、基板に向かって分散された金属材料の分配円錐の範囲を定める、即ち、シェーパシールドは、金属材料の少なくとも一部を遮断するように構成される。
図10Bは、本明細書に記載の実施形態による、更に別の蒸発源の断面図を示す。3つの分配管が示されており、各分配管は、インナチューブに設けられた加熱要素(双方とも図10Bに示されず)によって加熱される。蒸発るつぼ(図示されず)で生成される蒸気は、ノズル312及び612それぞれを通って、分配管を出る。ノズルの排出口712を共により近くに位置させるために、外側ノズル612は、中心分配管のノズルチューブに向かって延びる短い管を含む、管延長部を含む。幾つかの実施形態によれば、管延長部612は、60度から120度、例えば、90度などの屈曲を有することができる。複数のシールド572は、蒸発源の排出口側壁に設けられる。例えば、少なくとも5つ、又は更に少なくとも7つのシールド572が、蒸発管の排出口側に設けられる。シールド402には、一又は複数の分配管が設けられ、そこに冷却要素822が設けられる。分配管とシールド402との間に、複数のシールド372が設けられる。例えば、少なくとも2つ、又は更に少なくとも5つのシールド372が、蒸発管とシールド402との間に設けられる。複数のシールド572及び複数のシールド372は、シールドのスタックとして提供され、例えば、シールドは、0.1mmから3mmほど互いから距離がある。
本明細書に記載されている他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、更なるシールド812を分配管の間に提供することができる。例えば、更なるシールド812は、冷却シールド又は冷却ラグとすることができる。このような更なるシールドによって、分配管の温度は、互いに独立して制御することができる。例えば、異なる材料が隣接する分配管を通って蒸発する場合に、これらの材料は、異なる温度で蒸発させる必要があり得る。したがって、更なるシールド812、例えば、冷却シールドは、蒸発源又は蒸発源アレイの中の分配管の間のクロストークを低減することができる。
本明細書に記載の実施形態は、金属材料を基板上に堆積させるための蒸発源及び蒸発装置に最も関係しており、その一方で、基板は、本質的に垂直に配向される。本質的に垂直な基板配向により、堆積装置の小さな設置面積、及び特にOLED製造用の基板の上で有機材料又は金属材料の幾つかの層をコーティングするための幾つかの堆積装置を含む堆積システムの小さな設置面積が可能になる。本明細書に記載の装置は、大面積基板処理又は大面積キャリアの中での複数の基板の処理のために構成される。垂直配向は、現在及び未来の基板サイズ生成、即ち、現在及び未来のガラスサイズにとって良好なスケーラビリティを更に可能にする。しかし、改善された断面形状及び熱シールド及び冷却要素の概念を有する蒸発源はまた、水平基板上での材料堆積のために提供することができる。
図11A及び図11Bは、堆積装置500の更なる実施形態を示す。図11Aは、堆積装置500の概略上面図を示す。図11Bは、堆積装置500の概略側面断面図を示す。堆積装置500は、真空チャンバ110を含む。例えば、ゲートバルブなどのバルブ205は、隣接する真空チャンバへの真空密閉を可能にする。バルブは、基板121又はマスク132の真空チャンバ110内への又は真空チャンバ110からの搬送のために開放することができる。2以上の蒸発源100が、真空チャンバ110の中に提供される。図11Aに示される例は、7つの蒸発源を示す。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、2つの蒸発源、3つの蒸発源、又は4つの蒸発源を、有利には提供することができる。また幾つかの実施形態により提供されうる多数の蒸発源と比較して、限定数の蒸発源(例えば、2つから4つ)の保守のロジスティックスがより容易であり得る。したがって、所有コストは、そのようなシステムに対してより良好であり得る。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、図11Aに示されている例に関して、ループ状軌道530を提供することができる。ループ状軌道530は、真っすぐな部分534及び湾曲した部分533を含むことができる。ループ状軌道530は、蒸発源の並進運動及び蒸発源の回転を提供する。上述のように、蒸発源は、典型的には、線源、例えば、線形蒸気分配シャワーヘッドなどとすることができる。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、ループ状軌道は、ループ状軌道に沿って一又は複数の蒸発源を移動させるために、レール若しくはレール装置、ローラ装置又は磁気ガイドを含む。
ループ状軌道530に基づき、源の列は、典型的にはマスク132によってマスクされる基板121に沿って並進運動で移動することができる。ループ状軌道530の湾曲部分533は、蒸発源100を回転させる。更に、湾曲部分533は、第2の基板121の前に蒸発源を位置付けるために提供することができる。ループ状軌道530の更なる真っすぐな部分534は、更なる基板121に沿って更なる並進運動を提供する。前述のように、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、基板121及びオプションでマスク132は、堆積中に本質的に静止したままである。線源、例えば、複数の線源を線の本質的に垂直配向に提供する蒸発源は、静止した基板に沿って移動される。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、真空チャンバ110の中に示された基板121は、ローラ403及び424を有する基板支持体によって、更に静止した堆積位置では、位置合わせユニット112に連結されている基板支持体126によって、支持することができる。位置合わせユニット112は、マスク132に対する基板121の位置を調整することができる。したがって、基板は、金属材料の堆積中に、基板とマスクとの間で正確な位置合わせを行うために、マスク132に対して移動することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる更なる実施形態によれば、代替的に又は追加的に、マスク132及び/又はマスク132を保持するマスクフレーム131を位置合わせユニット112に結合することができる。マスクを基板121に対して位置付けることができるか、マスク132及び基板121の双方を互いに対して位置付けることができるかのどちらかである。
図11A及び図11Bに示される実施形態は、真空チャンバ110の中に提供された2つの基板121を示す。しかし、特に真空チャンバの中の蒸発源100の列を含む実施形態については、少なくとも3つの基板又は少なくとも4つの基板を提供することができる。このように、基板の交換、即ち、真空チャンバへの新たな基板の搬送、及び真空チャンバからの処理基板の搬送、のための十分な時間を、多数の蒸発源と、ゆえにより高いスループットとを有する堆積装置500にさえ提供することができる。
図11A及び図11Bは、第1の基板121に対する第1の搬送軌道、及び第2の基板121に対する第2の搬送軌道を示す。第1のローラアセンブリが、真空チャンバ110の1つの側面に示される。第1のローラアセンブリは、ローラ424を含む。更に、搬送システムは、磁気案内要素524を含む。同様に、ローラ及び磁気案内要素を有する第2の搬送システムが、真空チャンバの反対側に提供される。キャリア421の上部は、磁気案内要素524によって案内される。同様に、幾つかの実施形態によれば、マスクフレーム131は、ローラ403及び磁気案内要素503によって支持することができる。
図11Bは、ループ状軌道530のそれぞれ真っすぐな部分534上に提供された2つの支持体102を例示的に示す。蒸発るつぼ104及び分配管106は、それぞれの支持体102によって支持される。図7Bは、支持体102によって支持された2つの分配管106を示す。支持体102は、ループ状軌道の真っすぐな部分534上に案内されるものとして示されている。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、幾つかの実施形態によれば、アクチュエータ、ドライバ、モータ、ドライバベルト、及び/又はドライバチェーンは、ループ状軌道に沿って、即ち、ループ状軌道の真っすぐな部分534に沿って、かつループ状軌道の湾曲部分533(図11Aを参照)に沿って、支持体102を移動させるように提供することができる。
本明細書に記載の堆積装置の実施形態によれば、例えば、線形蒸気分配シャワーヘッドなどの線源の並進運動と、例えば、線形蒸気分配シャワーヘッドなどの線源の回転との組み合わせにより、OLEDディスプレイ製造に対する高い蒸発源効率と高い材料利用率が可能になり、この場合、高精度の基板のマスキングが所望される。源の並進運動は、基板及びマスクが静止状態を維持することができるので、高いマスキング精度を可能にする。回転運動は、1つの基板の基板交換を可能にし、その一方で、別の基板が、材料でコーティングされる。これにより、アイドル時間、即ち、蒸発源が基板をコーティングせずに材料を蒸発させる時間が、著しく短縮されるので、材料利用率が改善される。
本明細書に記載された実施形態は、特に、例えば、OLEDディスプレイ製造のための大面積基板上での、金属材料の堆積に関する。幾つかの実施形態によれば、大面積基板、又は一又は複数の基板を支持するキャリア、即ち、大面積キャリアは、少なくとも0.174m2又は少なくとも1.4m2のサイズを有し得る。典型的には、キャリアのサイズを、約1.4m2から約8m2、より典型的には、約2m2から約9m2、又は更に12m2までとすることができる。典型的には、基板が支持され、本明細書に記載された実施形態による保持配列、装置及び方法が提供される、長方形のエリアは、本明細書に記載されたような大面積基板用のサイズを有するキャリアである。例えば、単一の大面積基板の面積に対応するであろう大面積キャリアを、約1.4m2の基板(1.1m×1.3m)に対応するGEN5、約4.29m2の基板(1.95m×2.2m)に対応するGEN7.5、約5.7m2の基板(2.2m×2.5m)に対応するGEN8.5、又は約8.7m2の基板(2.85m×3.05m)に対応するGEN10とすることができる。GEN11及びGEN12などのより大きな世代並びに対応する基板面積も同様に実施することができる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、基板の厚さを0.1から1.8mmとすることができ、保持装置、特に保持デバイスは、そのような基板の厚さに適合することができる。しかしながら、特に基板の厚さは、約0.9mm又はそれを下回る、0.5mm又は0,3mmなどとすることができ、保持装置、及び特に保持デバイスは、そのような基板の厚さに適合される。典型的には、基板は、材料堆積に適した任意の材料から作られ得る。例えば、基板は、ガラス(例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラスなど)、金属、ポリマー、セラミック、複合材料、炭素繊維材料、又は堆積処理によってコーティングできる任意の他の材料若しくは材料の組合せからなる群から選択された材料から作られ得る。
良好な信頼性及び歩留まり率を実現するために、本明細書に記載の実施形態は、金属材料の堆積中に基板を静止状態に維持する。大面積基板の均一なコーティングのための可動線形源が提供される。各堆積後に、基板が交換される必要があり、マスク及び基板の互いに対する新たな位置合わせの処理を含む操作と比較して、アイドル時間が短縮される。アイドル時間中に、源は、材料を浪費している。従って、堆積位置でマスクに対して容易に位置合わせされる第2の基板を有することにより、アイドル時間が短縮され、材料利用率が増加する。
本明細書に記載の実施形態は、マスクが、5℃若しくはそれを下回る温度範囲内にある、又は1℃若しくはそれを下回る温度範囲内にすらある、本質的に一定の温度で保持することができるように、堆積エリア、即ち、基板及び/又はマスクに向って低減された熱放射を有する蒸発源(又は蒸発源アレイ)を更に提供する。また更に、隣接した分配管の排出口は、例えば、25mm又はそれを下回る距離などで、接近して提供することができるので、排出口側においては幅が小さい分配管(単数又は複数)の形状が、マスクにおける熱負荷を低減し、異なる金属材料の混合を更に改善する。
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、蒸発源は、少なくとも1つの蒸発るつぼと、少なくとも1つの分配管、例えば、少なくとも1つの線形蒸気分配シャワーヘッドとを含む。しかしながら、蒸発源は、2つ又は3つ、最終的には、4つ又は5つの蒸発るつぼ、及び対応する分配管を含むことができる。蒸発源が幾つかの分配管のうちの少なくとも2つを含んだ状態で、異なる金属材料は、幾つかのるつぼのうちの少なくとも2つの中で蒸発させることができ、したがって異なる金属材料は、基板の上に1つの金属層又は金属合金層を形成する。追加的に又は代替的には、類似の金属材料を、幾つかのるつぼのうちの少なくとも2つの中で蒸発させることができ、したがって、堆積速度を増加させることができる。
本明細書に記載の実施形態によれば、蒸発源、堆積装置、蒸発源及び/又は堆積装置を操作する方法、並びに蒸発源及び/又は堆積装置を製造する方法が、垂直堆積のために構成される、即ち、基板は、層堆積中に、本質的に垂直配向(例えば、垂直±10度)で支持される。更に、線源、並進運動及び蒸発方向の回転、特に本質的に垂直である軸、例えば、基板配向及び/又は線源の線延長方向に平行である軸の周りの回転の組み合わせにより、約80%又はそれを上回る高い材料利用率が可能になる。これは、他のシステムと比較して、少なくとも30%の改善である。
処理チャンバ内、即ち、内部での層堆積用の真空チャンバ内での移動可能かつ回転可能な蒸発源により、高い材料利用率での連続的又はほぼ連続的なコーティングが可能になる。一般的に、本明細書に記載の実施形態は、2つの基板を交互にコーティングするために、180度旋回機構での走査源アプローチを使用することによって、高い堆積源効率(85%を上回る)及び高い材料利用率(50%以上)を可能にする。本明細書に記載の源効率は、コーティングされることになる基板の全面積の均一なコーティングを可能にするために、蒸気ビームが大面積基板のサイズに広がることから発生する材料損失を考慮する。材料利用率は、蒸発源のアイドル時間中に、即ち、蒸発源が蒸発した材料を基板上に堆積させることができない時間中に、発生する損失をさらに考慮する。
また更に、本明細書に記載され、垂直基板配向に関する実施形態により、堆積装置の小さな設置面積、及び特に基板上で有機材料及び金属材料の幾つかの層をコーティングするための幾つかの堆積装置を含む堆積システムの小さな設置面積が可能になる。本明細書に記載の装置は、大面積基板処理又は大面積キャリアの中での複数の基板の処理のために構成される。垂直配向は、現在及び未来の基板サイズ生成、即ち、現在及び未来のガラスサイズにとって良好なスケーラビリティを更に可能にする。
図12は、本明細書に記載の実施形態による分配管を有する、例えば金属又は金属合金などの金属材料堆積のための方法700のフローチャートを示す。分配管は、有機発光ダイオード(OLED)の製造用真空ツールの中に配置され得る。
本開示の態様によれば、方法700は、ブロック710で、第1の金属又は金属合金を第1の蒸発源で蒸発させることを含む。幾つかの実施形態によれば、方法700は、第2の金属又は金属合金を第2の蒸発源で蒸発させるブロック720を更に含む。本明細書に記載の実施形態によれば、方法700は、ブロック730において、第1の蒸発源で蒸発させた第1の金属又は金属合金を含む層を基板上に形成することを更に含む。本明細書に記載の代替的実施形態によれば、方法700のブロック730は、第2の蒸発源で蒸発させた第2の金属又は金属合金を含む層を基板上に形成することを記載している。更に別の実施形態によれば、方法700のブロック730は、第1及び第2の蒸発源でそれぞれ蒸発させた第1の金属又は金属合金と第2の金属又は金属合金との混合物を含む層を基板上に形成する処理を更に含む。実施形態によれば、第1の蒸発源の蒸発した材料は、銀(Ag)であり得る。別の実施形態によれば、第2の蒸発源の蒸発した材料は、マグネシウム(Mg)であり得る。第1の蒸発源の蒸発した材料、例えばAgと、第2の蒸発源の蒸発した材料、例えばMgとは、1:2≦Ag:Mg≦7:1の割合、特に1:1≦Ag:Mg≦7:1の割合、更に具体的には1:1≦Ag:Mg≦5:1の割合で蒸発し得る。
本明細書に記載された実施形態によれば、基板は、本質的に垂直位置において金属材料でコーティングされている。分配管は、本質的に垂直に延びる線源を提供する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、本明細書に記載の実施形態によれば、本質的に垂直とは、特に基板配向に言及する際に、20°以下、例えば、10°以下、の垂直方向からのずれを許容すると理解される。この垂直方向からのずれは、基板又はその上に堆積した層の上での粒子発生を減らすために使用することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる異なる実施形態によれば、蒸発源は、軌道、例えばループ状軌道又は線形ガイドなどの上の真空チャンバ内に設けられ得る。線形ガイドの軌道は、蒸発源の並進運動のために構成される。並進運動のためのドライバは、蒸発源の中、軌道若しくは線形ガイド、真空チャンバ内、又はこれらの組み合わせ内に設けることができる。
上記は本発明の実施形態を対象とするが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の他の更なる実施形態を考案することもでき、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。