以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る情報処理システムの一例としての監視システムの全体図である。監視システムは、監視カメラ100と、監視サーバ装置110と、モバイル端末(携帯端末)120とを有している。監視カメラ100と、監視サーバ装置110と、モバイル端末120とは、互いにインターネットやイントラネット等のネットワークを介して通信を行うことができる。なお、監視カメラ100及びモバイル端末120の数は、1以上であればよく、特に限定されるものではない。
監視カメラ100は、監視対象となる監視空間内の所定の位置にそれぞれ設置されている。監視カメラ100は、設置された空間の映像を記録することができる。複数の監視カメラ100で撮影された映像は、監視サーバ装置110に蓄積される。監視サーバ装置110は、監視カメラ100から受信した映像の解析、編集を行い、適宜モバイル端末120に提供する。モバイル端末120は、ユーザが所持するものであり、装着型ディスプレイである。なお、他の例としては、モバイル端末120は、スマートフォンや、タブレット端末等であってもよい。
図2は、監視カメラ100、監視サーバ装置110及びモバイル端末120のハードウェア構成図である。CPU201は、ROM202に格納されている制御プログラムを実行することにより、各装置(監視サーバ装置110、監視カメラ100、モバイル端末120)の制御を行う。RAM203は、各構成要素からの各種データを一時記憶する。また、プログラムを展開し、各装置を実行可能な状態にする。表示装置204は、各種情報を表示する。撮影装置205は、光学装置及び撮像素子等によって構成され、CPU201からの指示に応じて、被写体の撮影を行う。記憶装置206は、各種データを記憶する。通信装置207は、他の装置との通信を行う。入力装置208は、ユーザによる各種操作を受け付ける。なお、監視サーバ装置110は、撮影装置205は有さないものとする。
図3は、監視カメラ100、監視サーバ装置110及びモバイル端末120のソフトウェア構成図である。監視カメラ100は、撮影処理部300と、通信処理部301とを有している。撮影処理部300は、設置位置近辺の映像を撮影する。通信処理部301は、撮影により得られた映像を、監視サーバ装置110に送信する。
監視サーバ装置110は、映像管理部310と、映像解析部311と、映像再生制御部312と、通信処理部313と、映像DB314と、動線DB315と、再生リストDB316とを有している。映像管理部310は、通信処理部313を介して受信した映像を映像DB314に記録する。
映像解析部311は、映像DB314に格納されている映像を解析して、移動オブジェクトの検出や動線の抽出を行い、動線に関する情報を動線DB315に格納する。なお、本実施形態においては、移動オブジェクトとして、人物を例に説明する。映像再生制御部312は、動線DB315に格納されている情報を参照して、モバイル端末120のユーザに提示する映像を特定し、さらに特定した映像の再生順を決定する。そして、映像再生制御部312は、提示映像と、再生順を定めた再生リストを生成し、これを再生リストDB316に記録する。再生リストは、通信処理部313によりモバイル端末120に送信される。映像DB314、動線DB315及び再生リストDB316を格納する記憶装置としては、フラッシュメモリ、HDD等を用いることができる。
モバイル端末120は、表示処理部320と、受付部321と、撮影処理部322と、位置情報取得部323と、通信処理部324とを有している。受付部321は、入力装置208へのユーザによる入力内容を受け付ける。例えば、受付部321は、映像取得要求を受け付ける。この場合、通信処理部324は、監視サーバ装置110に対し、映像取得要求を送信する。表示処理部320は、撮影処理部322により撮影された映像や、監視サーバ装置110から受信した映像を、自装置の表示装置204に表示する。位置情報取得部323は、自装置の位置を示す位置情報を取得する。なお、位置情報は、通信処理部324により、監視サーバ装置110に送信される。モバイル端末120は、GPS受信機を備え、位置情報取得部323は、GPS受信機から位置情報を取得するものとする。
図3において説明した各装置の機能や、後述する各機能の処理は、各装置のCPU201がROM202等に格納されているプログラムを読み出し、このプログラムを実行することにより実現されるものである。また、他の例としては、各装置の各機能や各処理は、それぞれ電子回路等のハードウェアで実現されるものであってもよい。
図4は、本実施形態に係る監視システムの利用形態の説明図である。図4(A)は、地点Aに位置し、モバイル端末120を所持するユーザ400が、監視空間内の人の流れ410を見ている様子を示している。人の流れ410の様子は、複数の監視カメラ100により撮影されている。監視サーバ装置110は、監視空間内の異なる複数の位置に設置された複数の監視カメラ100により撮影された映像をまとめて管理することにより、広範囲の監視を可能にしている。ここで、モバイル端末120を所持するユーザ400は、監視空間を含む施設のスタッフ等であり、人の流れ410は、施設内に発生した人流であるものとする。
図4(B)は、ユーザ400が、地点Aにおいて、モバイル端末120を介して人の流れ410を見たときの、モバイル端末120の表示装置204に表示される表示画面420の一例を示す図である。このとき、モバイル端末120の撮影処理部322は、人の流れ410を撮影する。そして、表示画面420には、モバイル端末120の撮影装置205により撮影された、人の流れ410の撮影映像421が表示される。さらに、撮影映像421上には、監視サーバ装置110から受信した提示映像422が重畳表示されている。提示映像422は、監視サーバ装置110が監視カメラ100により得られた撮影映像に基づいて、モバイル端末120のユーザに提示する映像として生成したものである。なお、本実施形態においては、提示映像422は、監視のために利用される監視映像である。提示映像422には、監視カメラ100により撮影された映像であり、提示映像422には、地点Aに位置するユーザからは見えない、人の流れ210の先頭の様子が映されている。さらに、表示画面420には、ユーザ400の現在位置から撮影位置までの距離や方向を示す情報が、提示映像422と共に表示されてもよい。ユーザ400は、自身が位置する地点Aからは人の流れ410の先頭を直接見ることはできないが、提示映像422によって、人の流れ410が何に起因して発生しているのかを知ることができる。
撮影映像421上には、さらに仮想オブジェクトとしての、補助表示423と、切替表示424とが重畳表示されている。補助表示423は、人の流れ410の方向や流量を示すオブジェクトである。補助表示423と提示映像422とを合わせて表示することで、ユーザ400は、提示映像422の撮影位置をより直感的に把握することができる。切替表示424は、提示映像422を他の映像に切り替え可能であることを示すオブジェクトである。ユーザ400は、入力装置208に対し切替指示を入力することにより、提示映像422を他の提示映像に切り替えることができる。なお、切替指示の入力には、フリック操作やタッチ操作、ボタン操作、ジェスチャ操作等を利用することができる。
図4(C)は、切替指示に従い切り替えられた後の表示画面430の一例を示す図である。表示画面430においては、提示映像422に替えて、提示映像432が重畳表示されている。提示映像432は、提示映像422の撮影位置から人の流れ410に沿って、後方に移動した位置の映像である。提示映像432と提示映像422は別の監視カメラ100で撮影されたものであり、すべての監視カメラ100が撮影した、すべての映像を含む映像群の中から選ばれている。人の流れ410の通過経路を網羅するように、経路の通過順に沿って、映像群の中から、提示映像422や提示映像432が選ばれる。このように、ユーザ400は、モバイル端末120において、自装置において撮影された、実際に眼の前に存在する空間の映像と、人の流れ410に沿って再生された映像とを確認することができる。したがって、人の流れ410の原因や全体の様子を効率的に把握することができる。すなわち、本実施形態に係る監視システムは、人物を移動オブジェクトとして検出し、人物の移動により生じる動線に基づいて、提示映像を生成し、これをユーザに提示することができる。
図5は、人の流れ410と提示映像の関係を示す図である。監視空間500は、撮影位置(x、y)に、撮影時刻を加えた3次元の時空間で表現される。監視カメラ100は、この時空間を撮影する。なお、撮影位置と撮影時刻を特定することで、映像を一意に定めることができる。図5に示す監視空間500には、複数の個別動線510a,510b,510c,510d,510e・・・が存在し、人の流れ410を形成している。ここで、個別動線とは、各人物の移動軌跡を示す曲線である。モバイル端末120は、複数の個別動線を解析して、人の流れ410の特徴を抽出することにより、集合動線520を得る。そして、モバイル端末120は、集合動線520に基づいて提示範囲530a,530b,530c・・・を特定し、提示範囲の映像を提示映像として、モバイル端末120に送信する。
ここで、提示範囲は、提示映像として利用する映像を特定するための情報であり、提示領域及び提示期間を特定する情報である。ここで、提示領域とは、提示対象となる提示映像に映される撮影範囲であり、提示期間とは、提示対象となる提示映像の撮影時刻の時間軸上の期間である。なお、本実施形態においては、提示期間は、最新時刻から一定期間と定められている場合について説明する。すなわち、本実施形態に係る監視サーバ装置110は、集合動線に基づいて、提示領域を特定し、特定した提示領域と、予め定められた提示期間と、に基づいて、提示範囲を特定する。
図6は、動線DB315に格納されるデータを示す図である。図6(A)は、映像DB314に蓄積された映像から得られた移動オブジェクト(人物)の移動軌跡である個別動線のデータを示す図である。個別動線の各レコードは、個別動線ID601と、時刻602と、位置603と、方向604と、速度605と、取得元606とを含んでいる。個別動線ID601は、同一人物による個別動線を特定するための情報である。同一の個別動線ID601を持つ観測点(レコード)の集合が1本の個別動線として扱われる。時刻602は、観測された時刻を示す情報である。位置603、方向604及び速度605は、それぞれ時刻602における監視空間内における動線の位置、移動方向及び移動速度を示す情報である。取得元606は、各観測点を撮影した監視カメラ100を特定するための情報である。
図6(B)は、個別動線のデータから生成された集合動線のデータを示す図である。ここで、集合動線とは、複数の個別動線から観測時刻の差を除き、移動パターンの特徴を抽出したものである。集合動線は、映像解析部311により、映像データに基づいて、生成される。共通の移動パターンを示す個別動線が1つの集合動線に集約される。集合動線の各レコードは、集合動線ID611と、系列順612と、位置613と、方向614と、速度615と、取得元616とを含んでいる。集合動線ID611は、集合動線を特定するための情報である。同一の集合動線ID307を持つ観測点(レコード)の集合が1本の集合動線として扱われる。系列順612は、集合動線上の観測点の観測順を示すものである。位置613、方向614及び速度615は、それぞれ監視空間内における集合動線の位置、移動方向及び移動速度を示す情報である。取得元616は、各観測点を撮影した監視カメラ100を特定するものである。
図6(C)は、個別動線と集合動線の対応関係のデータを示す図である。対応関係データは、いずれの個別動線からいずれの集合動線が抽出されたかの対応関係を示すものである。各レコードは、集合動線ID621が示す集合動線が、個別動線ID622が示す個別動線群から抽出されたことを示している。1つの集合動線は1つ以上の個別動線から抽出されるが、その集約度合は制御可能であり、1つの集合動線が1つの個別動線から抽出されていてもよい。また、1つの個別動線が複数の集合動線の抽出に用いられていてもよい。
図7は、提示範囲のデータを示す図である。提示範囲のデータは、映像再生制御部312により作成される。提示範囲のデータは、提示範囲を示す複数のレコードを含み、各レコードは、時刻701と、位置702と、取得元703とを含んでいる。時刻701及び位置702は、提示範囲となる時空間(提示期間及び提示領域)を定めるための情報である。また取得元703は、提示映像の取得元(監視カメラ)を示すものであり、集合動線の取得元616が引き継がれている。なお、本実施形態のように、最新時刻を提示範囲とする場合には、提示期間は予め定められているため、時刻701への時刻の記録は行わなくともよい。
図8は、再生リストDB316に格納される再生リストの一例を示す図である。提示範囲のデータに含まれる複数のレコードに基づいて、再生リストが作成される。再生リストは複数のレコードを含み、各レコードは、提示映像の再生順801と、監視カメラID802と、映像種別803と、開始時刻804と、終了時刻805と、位置806と、再生中フラグ807とを含んでいる。再生順801は、再生リストに含まれる複数の提示映像を連続して再生する際の、各提示映像の再生順序を定めるものであり、この順に沿って映像を連続して再生可能である。監視カメラID802は、監視カメラ100を特定するものであり、ここに示された監視カメラ100で撮影された映像が提示映像として選択される。
映像種別803は、提示映像が撮影中のものであるか録画されたものであるかを示している。映像種別803が撮影中の場合は、モバイル端末120において、監視カメラ100により撮影中の映像のストリーム再生が行われ、録画の場合は、録画映像が再生される。開始時刻804及び終了時刻805は、映像の開始及び終了時刻である。位置806は、映像内の移動オブジェクトの存在位置を示す。再生中フラグ807は、再生対象となっている映像を特定するために用いられる。
図9は、本実施形態に係る監視システムが利用する設定情報の一例を示す図である。図9に示す設定情報は、監視サーバ装置110の記憶装置206等に記録されているものとする。利用形態に応じて、設定情報に含まれる各項目(要素)を個別に設定することが可能である。後述するフローチャートにおける各処理は本設定値に応じて実行される。「提示領域設定」には、「集合動線の通過範囲」が設定されており、図6に示す提示範囲のデータには、集合動線内のすべての観測点(位置及び時刻)が提示範囲の時空間として記録される。また、本実施形態においては、「提示期間設定」には、「最新時刻」と設定されている。これは、提示期間が、最新時刻を含む一定期間であることを示している。これに対応し、提示範囲のデータの時刻701、再生リストの開始時刻804、終了時刻805には値が記録されない。そして、警備映像として、集合動線から特定された提示領域の、最新時刻の映像が提示映像として再生される。
図10は、監視サーバ装置110よる、動線抽出処理を示すフローチャートである。動線抽出処理において、監視サーバ装置110は、監視カメラ100が撮影した映像を解析して個別動線を抽出し、所定量の個別動線が抽出された後に、集合動線の抽出を行う。まず、ステップS1001において、映像解析部311は、映像DB314内の映像フレームを1つ以上取得する。次に、ステップS1002において、映像解析部311は、取得した映像内から移動オブジェクトを検出する。次に、ステップS1003において、映像解析部311は、移動オブジェクトの位置をはじめとする、個別動線のデータを記録する。なお、映像解析部311は、異なる映像から得られた移動オブジェクトについては、検出位置と検出時刻の対応関係から、同一の移動オブジェクトであるのか、異なる移動オブジェクトであるのかを判別する。そして、映像解析部311は、各移動オブジェクトに対応した個別動線IDを付与することとする。すなわち、この処理により、個別動線のデータが更新される。なお、移動オブジェクトの検出には、背景差分法等公知の技術を用いることができる。
次に、ステップS1004において、映像解析部311は、ステップS1002において検出した移動オブジェクトの数、すなわち個別動線の数が所定数に達したか否かを判定する。映像解析部311は、所定数に達している場合には(ステップS1004でYes)、処理をステップS1005へ進める。映像解析部311は、所定数に達していない場合には(ステップS1004でNo)、処理をステップS1001へ進め、再びステップS1001から処理を繰り返す。
ステップS1005において、映像解析部311は、ステップS1001〜ステップS1004の処理により得られた複数の個別動線を含む個別動線群から集合動線を抽出する(動線抽出処理)。そして、映像解析部311は、図6(B)に示す集合動線のデータ及び図6(C)に示す対応関係のデータを更新する。集合動線の抽出には、軌跡が類似した個別動線を集約するクラスタリング技術等の公知の技術を用いることができる。次に、ステップS1006において、映像解析部311は、集合動線の形状や流量を示す補助画像を生成する。さらに、映像解析部311は、個別動線数のカウントを初期化して、動線抽出処理を終了する。
なお、動線抽出処理は、監視カメラ100による撮影が行われている間、繰り返し実行されるものとする。また、本実施形態では、個別動線が所定数に達した後に全個別動線を参照して集合動線抽出を行うものとしたが、集合動線を抽出するタイミングは、実施形態に限定されるものではない。他の例としては、映像解析部311は、新規観測点が得られる度に、逐次集合動線を更新することとしてもよい。この場合は、常に最新の個別動線を集合動線に反映することができる。
図11は、監視サーバ装置110による、提示映像送信処理を示すフローチャートである。提示映像送信処理において、監視サーバ装置110は、提示映像として利用する映像を特定し、これをモバイル端末120に送信する。まず、ステップS1101において、通信処理部313は、モバイル端末120から、動線取得要求を受信する。ここで、動線取得要求は、モバイル端末120の表示装置204への提示対象として、監視サーバ装置110により特定された動線の取得を要求する情報である。動線取得要求には、位置情報取得部323が取得した、モバイル端末120の位置情報が含まれているものとする。なお、動線取得要求は、モバイル端末120のユーザが入力装置208を利用して、動線取得要求を入力したタイミングで、モバイル端末120から送信されることとする。また、他の例としては、モバイル端末120は、自装置の撮影装置205が、一定量以上の人の流れを検知したタイミングで、動線取得要求を送信することとしてもよい。
次に、ステップS1102において、映像解析部311は、動線抽出処理において抽出された集合動線群から、提示対象の集合動線を選択する。具体的には、映像解析部311は、抽出された集合動線の位置と、動線取得要求に含まれるモバイル端末120の位置情報とを比較し、モバイル端末120の近くにある集合動線を提示対象の集合動線として選択する。具体的には、映像解析部311は、モバイル端末120の位置から集合動線の位置までの距離が最小となる集合映像を選択する。映像解析部311はさらに、モバイル端末120の撮影装置205による撮影領域に基づいて、提示対象の集合動線をモバイル端末120の撮影領域内に含まれる範囲に、少なくともその一部が存在する集合動線に限定してもよい。このとき、モバイル端末120の撮影領域は、動線取得要求に含まれて送信されるものとする。
次に、ステップS1103において、映像解析部311は、ステップS1103において特定した、提示対象の集合動線に基づいて、提示範囲を設定する。前述の通り、提示範囲のうち提示期間は予め定められているため、ステップS1103において、映像解析部311は、まず、ステップS1102において選択された提示対象の集合動線に基づいて、提示範囲を特定する(提示範囲特定処理)。ここで、提示範囲とは、提示対象となる時空間、すなわち提示対象となる提示領域と提示期間である。具体的には、映像解析部311は、集合動線の通過経路を包含する範囲の空間を提示領域として特定する。そして、映像解析部311は、予め定められた提示期間と、提示領域とに基づいて定まる時空間を提示対象として設定する。
次に、ステップS1104において、映像解析部311は、ステップS1103において設定した提示範囲に基づいて、ユーザへの提示映像として利用する映像を特定する(提示映像特定処理)。そして、映像解析部311は、特定した映像を連続して再生するための再生リストを生成する。なお、ステップS1103及びステップS1104の処理については、後に詳述する。次に、ステップS1105において、映像解析部311は、ステップS1104において生成した再生リストの中から初期映像を設定する。本実施形態に係る映像解析部311は、図8に示す設定情報に従い、集合動線の先頭位置である再生リストの先頭が初期に表示される初期映像として設定される。すなわち、再生リストの先頭映像が再生対象映像に設定される。
ステップS1106において、通信処理部313は、提示対象の集合動線のデータと、補助表示423等の仮想オブジェクトと、再生リストとをモバイル端末120に送信する。次に、ステップS1107において、通信処理部313は、モバイル端末120から映像取得要求を受信するまで待機する。映像解析部311は、映像取得要求を受信した場合には(ステップS1107でYes)、処理をステップS1108へ進める。ステップS1108において、映像解析部311は、通信処理部313を介して、映像取得要求に係る映像、すなわち、提示映像として再生リストに示された映像を、再生順801に従い、順にモバイル端末120に送信する。ステップS1109において、映像解析部311は、モバイル端末120から終了要求を受信したか否かを判定する。映像解析部311は、終了要求を受信した場合には(ステップS1109でYes)、映像送信処理を終了する。映像解析部311は、終了要求を受信しなかった場合には(ステップS1109でNo)、処理をステップS1107へ進める。
図12は、提示範囲特定処理(ステップS1103)における、詳細な処理を示すフローチャートである。ステップS1201において、映像解析部311は、提示対象の集合動線の先頭位置を検出する。次に、ステップS1202において、映像解析部311は、ステップS1202において検出した集合動線の先頭位置から順に、集合動線の系列順に沿って、集合動線内の観測点の位置を1つ特定する。次に、ステップS1203において、映像解析部311は、ステップS1202において特定した観測点の位置に基づいて、提示領域を特定する。ここで、提示領域は、監視カメラ100により撮影された時空間内の領域であり、位置により定まる。そして、映像解析部311は、特定した提示領域と、提示期間により定まる提示範囲を特定する。そして、映像解析部311は、提示範囲のレコードを、図6に示す提示範囲のデータに追加する。
ここで、提示期間は、時空間内の期間であり、撮影時刻により定まる予め定められた期間である。本実施形態においては、図8に示すように、提示範囲時刻設定に「最新時刻」と設定されている。これは、提示期間が、最新時刻から一定時間であることを意味する。ここで、最新時刻とは、提示対象の映像がモバイル端末120に表示される表示処理時点の時刻である。このように、本実施形態においては、提示期間は予め定められている。したがって、映像解析部311は、動線から提示期間を特定する処理を行う必要はない。なお、ステップS1203の処理は、動線に基づいて、監視カメラ100により撮影された時空間において、提示範囲となる提示領域を特定し、さらに、提示領域と、予め定められた提示期間とに基づいて、提示範囲を特定する範囲特定処理の一例である。
次に、ステップS1204において、映像解析部311は、提示対象の集合動線に含まれるすべての観測点に対応する提示範囲のレコードを作成する処理が終了したか否かを判定する。映像解析部311は、処理が終了している場合には(ステップS1204でYes)、提示範囲特定処理を終了する。映像解析部311は、処理が終了していない場合には(ステップS1204でNo)、処理をS1102へ進める。この場合、ステップS1202において、映像解析部311は、未処理の観測点の位置を1つ特定し、処理を繰り返す。
図13は、再生リスト生成処理(ステップS1104)における詳細な処理を示すフローチャートである。まず、ステップ1301において、映像解析部311は、提示範囲のデータの1つのレコード、すなわち1つの提示範囲を読み込む。次に、ステップS1302において、映像解析部311は、提示範囲に対応する監視カメラ100を特定する。監視カメラ100の特定には、取得元703(図7)の情報を利用することができる。監視カメラ100が撮影している空間には重複があるため、取得元703として、2つ以上の監視カメラ100が指定されている場合もある。この場合には、映像解析部311は、提示範囲を定める提示領域に最も近い位置に配置された監視カメラ100を選ぶこととする。これにより、より視認性の高い映像を得ることができる。
次に、ステップS1303において、映像解析部311は、特定した監視カメラ100が1つ前の提示範囲のデータのレコードから特定された監視カメラ100と同一か否かを判定する。映像解析部311は、同一の場合には(ステップS1303でYes)、処理をステップS1306へ進める。映像解析部311は、同一でない場合には(ステップS1303でNo)、処理をステップS1304へ進める。ステップS1304において、映像解析部311は、再生リストの新規レコードを作成し、再生順801、監視カメラID802、映像種別803等を設定する。上述のように、提示期間として「最新時刻」が設定されている場合には、映像種別803には「撮影中」が設定される。この場合、開始時刻804及び終了時刻805の記録は不要である。次に、ステップS1305において、映像解析部311は、作成したレコードを、再生リストに追加し、処理をステップS1307へ進める。一方、監視カメラ100が同一の場合には、ステップS1302において特定した監視カメラ100は、再生リストに追加されている。そこで、ステップS1306において、映像解析部311は、直前に作成、追加されたレコードの位置806に対し、位置情報を追加し、その後処理をステップS1307へ進める。
ステップS1307において、映像解析部311は、提示範囲のデータに示されるすべてのレコード(提示範囲)について、ステップS1301〜ステップS1306の処理を終了したか否かを判定する。映像解析部311は、処理が終了した場合には(ステップS1307でYes)、再生リスト生成処理を終了する。映像解析部311は、処理が終了していない場合には(ステップS1307でNo)、処理をS1301へ進める。この場合、映像解析部311は、S1301において、未処理の撮影範囲を読み込み、S1302以降の処理を繰り返す。
なお、本実施形態においては、映像解析部311は、提示映像として特定された映像の再生順は、集合動線の先頭から最後尾までの位置の移動に応じて定めるものとする。但し、再生順は、実施形態に限定されるものではない。他の例としては、映像解析部311は、最後尾から先頭までの位置の移動に応じて再生順を定めてもよい。これにより、人の流れ410が長い行列である場合に、どこに並べばよいかを迅速に把握することができる。
図14は、モバイル端末120による、再生表示処理を示すフローチャートである。ステップS1401において、モバイル端末120の通信処理部324は、監視サーバ装置110に対し、動線取得要求を送信する。次に、ステップS1402において、通信処理部324は、監視サーバ装置110から提示対象の集合動線のデータと、仮想オブジェクトと、再生リストと、を受信する。次に、ステップS1403において、表示処理部320は、監視サーバ装置110から受信した集合動線の位置が、モバイル端末120の撮影装置205の撮影領域内に含まれるか否かを判定する。表示処理部320は、集合動線の位置が撮影領域内である場合には(ステップS1403でYes)、処理をステップS1404へ進める。表示処理部320は、集合動線の位置が撮影領域内でない場合には(ステップS1403でNo)、処理をステップS1412へ進める。ステップS1412において、通信処理部324は、監視サーバ装置110に対し、再生終了要求を送信する。以上で、モバイル端末120は、再生表示処理を終了する。動線の位置が撮影領域内でない場合には、ユーザの視認領域内に動線が存在しないためである。なお、ステップS1403の処理は、モバイル端末120の撮影領域に基づいて、提示映像を再生表示するか否かを判断する判断処理の一例である。
ステップS1404において、表示処理部320は、受信した仮想オブジェクトを、自装置の撮影装置205により撮影された撮影映像上に、重畳して表示する。ここで、仮想オブジェクトは、位置情報の羅列で構成される空間オブジェクトである。表示処理部320は、モバイル端末120が撮影装置205の撮影領域との突き合せを行うことにより、仮想オブジェクトの位置座標の、表示装置204の表示座標への変換を行う。次に、ステップS1405において、表示処理部320は、監視サーバ装置110に対して、再生リストにおいて、提示映像として特定されている映像を指定した、映像取得要求を送信する。次に、ステップS1406において、通信処理部324は、監視サーバ装置110から映像取得要求に係る映像を受信する(受信処理)。そして、表示処理部320は、受信した映像の再生表示を開始する(表示処理)。表示処理部320は、このとき再生リストの位置806を参照して、監視映像内の特定位置を拡大表示してもよい。また、映像取得要求に係る映像の映像種別が「撮影中」である場合には、通信処理部324は、表示処理時点において撮影されたリアルタイム映像を受信し、表示処理部320は、これをリアルタイムに表示する。
ステップS1407において、表示処理部320は、ユーザから映像変更指示を受け付けたか否かを判定する。表示処理部320は、映像変更指示を受け付けた場合には(ステップS1407でYes)、処理をステップS1408へ進める。表示処理部320は、映像変更指示を受け付けなかった場合には(ステップS1407でNo)、処理をステップS1709へ進める。ステップS1408において、表示処理部320は、映像変更指示に示された分、再生リスト内を移動し、再生対象の映像を変更し、処理をステップS1405へ進める。
ステップS1409において、表示処理部320は、ステップS1409の処理時点において、再生対象となっている映像の再生が終了したか否かを判定する。表示処理部320は、再生が終了した場合には(ステップS1409でYes)、処理をステップS1410へ進める。表示処理部320は、再生が終了していない場合には(ステップS1409でNo)、処理をステップS1411へ進める。ステップS1410において、表示処理部320は、再生リストを1つ進め、次の映像を再生対象に設定した上で、処理をステップS1405へ進める。ステップS1411において、表示処理部320は、受付部321が終了指示を受け付けたか否か、及び再生リスト内のすべての映像の再生を終了したか否かを判定する。表示処理部320は、終了指示を受け付けておらず、かつ再生が終了していない場合には(ステップS1411でNo)、処理をステップS1407へ進める。表示処理部320は、終了指示を受け付けた場合及び再生リストのすべての映像の再生を終了した場合の何れかの場合に該当する場合には(ステップS1411でYes)、処理をステップS1412へ進める。
以上のように、本実施形態に係る監視システムは、集合動線に対応する映像を連続再生することができる。したがって、ユーザ端末を所持するユーザは、ユーザの位置からでは直接視認することのできない場所についても、提示映像を確認することにより、効率的に把握することができる。さらに、本実施形態に係る監視システムにおいては、ユーザ端末における撮影装置の撮影範囲が、集合動線を含む場合に、この集合動線に対応する提示映像がユーザ端末の表示装置において、ユーザ端末における撮影映像上に重畳表示される。したがって、ユーザは、自身の位置から実際に視認可能な移動オブジェクトの動きと、提示映像との対応関係を容易に把握することができる。
第1の実施形態に係る監視システムの第1の変更例としては、監視サーバ装置110による提示対象の動線データ、仮想オブジェクト及び再生リストの送信タイミングは、実施形態に限定されるものではない。他の例としては、監視サーバ装置110は、最初に提示対象の集合動線データのみを送信することとしてもよい。そして、モバイル端末120において、集合動線が撮影領域内に位置すると判定された場合に、モバイル端末120からの要求に従い、撮影範囲内に位置する集合動線の仮想オブジェクト及び再生リストとを送信してもよい。これにより、モバイル端末120と監視サーバ装置110の通信量を削減することができる。
また、第2の変更例としては、監視サーバ装置110の設定情報は、実施形態に限定されるものではない。また、監視サーバ装置110は、ステップS1101において、動線取得要求と共にモバイル端末120から設定情報を受信することとしてもよい。そして、監視サーバ装置110は、ステップS1102〜ステップS1105においては、受信した設定情報の設定内容に従った処理を行うこととしてもよい。
また、第3の変更例としては、監視サーバ装置110による、提示範囲を特定する処理は、実施形態に限定されるものではない。他の例としては、監視サーバ装置110は、集合動線上での滞留発生箇所や人物密度、移動方向に基づいて、提示範囲を特定してもよい。人流が発生している箇所での滞留発生や人物密度超過、移動方向変化は、転倒等の原因になり得る。したがって、これらの箇所の映像のみを連続して再生可能にすることで、転倒が起きる前に人流整理等の対応を行うことができる。
また、第4の変更例としては、監視サーバ装置110において、予め設定された提示期間は、「最新時刻」に限定されるものではない。
また、第5の変更例としては、監視サーバ装置110は、提示領域及び提示期間のうち少なくとも一方を、動線に基づいて特定すればよい。すなわち、他の例としては、監視サーバ装置110は、動線に基づいて、提示期間のみを特定してもよい。この場合、提示領域は、予め定められているものとする。また、他の例としては、監視サーバ装置110は、動線に基づいて、提示領域及び提示期間の両方を特定してもよい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る監視システムについて説明する。なお、ここでは、第2の実施形態に係る監視システムについて、第1の実施形態に係る監視システムと異なる部分について説明する。第1の実施形態に係る監視システムは、集合動線に基づいて、提示対象の空間的位置を設定し、動線上の異なる複数の位置の映像を、モバイル端末120の表示装置204に連続再生するものである。これに対し、第2の実施形態に係る監視システムは、動線上の同一位置における異なる時刻の映像を、モバイル端末120の表示装置204に連続再生するものである。
図15は、第2の実施形態に係る監視サーバ装置110に設定されている設定情報の一例を示す図である。提示領域及び提示期間には、それぞれ「滞留発生個所」及び「滞留発生時刻」と設定されている。これは、滞留発生個所を提示領域として特定し、滞留発生中の期間を提示期間として特定することを示している。すなわち、本実施形態に係る監視サーバ装置110は、集合動線上の滞留発生個所を、提示領域として特定し、滞留発生中の期間を提示期間として特定する。そして、監視サーバ装置110は、図7に示す提示範囲に、滞留発生箇所のうち、処理時点において、モバイル端末120が存在する位置付近の滞留発生位置に対応する提示範囲のレコードを記録する。なお、開始時刻804及び終了時刻805には、滞留発生の開始時刻及び終了時刻が記録される。すなわち、開始時刻804及び終了時刻805には、滞留発生がどれだけ継続したかを示す時間情報が格納される。
本実施形態に係る監視サーバ装置110の映像解析部311は、軌跡だけでなく、加速度変化が類似した個別動線を集約することにより、集合動線を抽出する。映像解析部311はさらに、集合動線に基づいて、滞留を検出し(滞留検出処理)、滞留発生箇所を特定する。具体的には、映像解析部311は、集合動線の移動速度が閾値以下となる箇所を滞留発生箇所として特定する。また、他の例としては、映像解析部311は、集合動線の速度が閾値以下となる時間が一定時間以上となる箇所を滞留発生箇所として特定してもよい。また、他の例としては、映像解析部311は、集合動線を構成する複数の個別動線それぞれの速度変化に基づいて、滞留発生箇所を特定してもよい。
図16は、第2の実施形態に係る監視システムの利用形態の説明図である。図16(A)は、モバイル端末120を所持するユーザ1600が、監視空間としての施設内の空間1610を見ている様子を示している。ここで、ユーザ1600は、施設のスタッフ等である。図16(B)は、ユーザ1600がモバイル端末120を介して施設内の空間1610を見たときの、モバイル端末120の表示装置204に表示される表示画面1620の一例を示す図である。表示画面1620には、モバイル端末120の撮影処理部322による撮影中の撮影映像1621が表示されている。さらに、撮影映像1621上に、監視サーバ装置110から受信した提示映像1622が重畳表示されている。撮影映像1621上には、さらに仮想オブジェクトとしての、補助表示1623と、滞留位置表示1624と、切替表示1625とが重畳表示されている。補助表示1623及び切替表示1625は、それぞれ図4(B)を参照しつつ説明した、補助表示423と及び切替表示524と同様である。滞留位置表示1624は、監視空間に存在する、個別動線の滞留発生箇所(滞留発生位置)を示すオブジェクトである。
滞留位置表示1624は、この監視空間において、過去に人の滞留が発生していたことを示しており、施設のレイアウトに何らかの問題があることが想定される。しかし、滞留が発生していたという情報だけでは、その場で何が起きていたのかを正確に把握できず、どう改善すればよいのかを判断できない。これに対し、本実施形態においては、モバイル端末120は、提示映像1622を、滞留位置表示1624の位置に合わせて表示することができる。ここで、提示映像1622は、監視カメラ100によって撮影されたものであり、監視空間において滞留が発生していた時刻(滞留発生時刻)において撮影された映像である。提示映像1622には、撮影された時刻情報を付加することもできる。
図16(C)は、ユーザからの切替指示に従い切り替えられた後の表示画面1630の一例を示す図である。表示画面1630の提示映像1632は、提示映像1622の撮影時刻よりも過去の撮影時刻に撮影された映像である。このように、モバイル端末120は、滞留発生時刻の映像を、時刻を遡りながら連続して再生することができる。したがって、ユーザ1600は、モバイル端末120の表示内容から、滞留が発生している原因を効率的に把握することができる。
図17は、滞留時刻と提示映像の関係を示す図である。図5と同様に、監視空間1700は、撮影位置(x、y)に、撮影時刻を加えた3次元空間で表現される。撮影位置と撮影時刻を特定することで、映像を一意に定めることができる。本実施形態では、提示領域は、個別動線1710a,1710b,1710cにより形成された集合動線1720上の領域のうち、滞留発生位置を含む領域に固定される。そして、監視サーバ装置110は、集合動線内の個別動線の滞留発生時刻に合わせて提示期間1730を特定する。
第2の実施形態に係る提示映像送信処理は、図11を参照しつつ説明した第1の実施形態に係る監視サーバ装置110による提示映像送信処理とほぼ同様であるが、ステップS1103及びステップS1104における処理が異なっている。図18は、第2の実施形態に係る監視サーバ装置110による、提示範囲特定処理における詳細な処理を示すフローチャートである。ステップS1801において、映像解析部311は、提示対象の集合動線の滞留発生位置のうち、モバイル端末120の現在位置付近の滞留発生位置を含む領域を提示領域として特定する。
次に、ステップS1802において、映像解析部311は、ステップS1102において選択した、提示対象の集合動線に含まれる個別動線を1つ取得する。次に、ステップS1803において、映像解析部311は、取得した個別動線がステップS1801において特定した提示領域に滞留した期間を、提示期間として特定する。本実施形態においては、映像解析部311は、所定値以下の移動速度が一定時間継続した場合に、滞留が発生したと判断することとする。なお、滞留が検知された位置に対応付けて、映像解析部311は、図6に示す個別動線の速度305に対し、インデックスを付与しておくこととしてもよい。これにより、映像解析部311は、滞留発生箇所の候補を高速に抽出することができる。そして、映像解析部311は、集合動線から特定した提示領域及び提示範囲により定まる提示範囲を特定し、特定した提示範囲のレコードを、図6に示す提示範囲のデータに追加する。
ステップS1804において、映像解析部311は、集合動線に含まれるすべての個別動線について、ステップS1802及びステップS1803の処理を終了したか否かを判定する。映像解析部311は、処理が終了した場合には(ステップS1804でYes)、処理をステップS1805へ進める。映像解析部311は、処理が終了していない場合には(ステップS1804でNo)、処理をS1802へ進める。この場合、映像解析部311は、S1802において、未処理の個別動線を1つ取得し、S1803以降の処理を繰り返す。
ステップS1805において、映像解析部311は、提示時刻に基づいて、提示範囲をソートする。具体的には、映像解析部311は、提示時刻が最新時刻に近い順に、提示範囲をソートする。この処理は、次に続く、再生リスト生成処理(ステップS1104)において、時刻順となるような再生リストを作成するために行うものである。すなわち、再生リスト生成処理においては、映像解析部311は、ステップS1805においてソートされた順に従い、再生順801を決定する。
図19は、第2の実施形態に係る再生リスト生成処理(ステップS1104)における詳細な処理を示すフローチャートである。ステップS1901において、映像解析部311は、提示範囲のデータから、監視カメラ100を特定する。本実施形態においては、対象領域は固定である。したがって、提示範囲のデータに示されるすべての提示範囲について、1つの監視カメラ100を定めることができる。ステップS1901の処理は、提示領域に基づいて、撮影手段としての監視カメラ100を選択する選択処理の一例である。
次に、ステップS1902において、映像解析部311は、提示範囲のデータの先頭から順に1つのレコード、すなわち1つの提示範囲を読み込む。次に、ステップS1903において、映像解析部311は、ステップS1902において読み込んだ提示範囲の提示期間が、その直前に読み込んだ提示範囲の提示期間と連続であるか否かを判定する。なお、映像解析部311は、撮影期間の境界位置の差分が所定値以下の場合に、連続すると判断するものとする。映像解析部311は、連続しない場合には(ステップS1903でNo)、処理をステップS1904へ進める。映像解析部311は、連続する場合には(ステップS1903でYes)、処理をステップS1907へ進める。
ステップ1904において、映像解析部311は、作成済みのレコードを再生リストに追加する。次に、ステップS1905において、映像解析部311は、新規レコードを作成する。次に、ステップS1906において、映像解析部311は、新規レコードの開始時刻に、ステップS1902で読み込んだ提示期間の開始時刻を設定する。一方、ステップ1907において、映像解析部311は、新規レコードは作成せず、保持している再生リストのレコードの終了時刻に、ステップS1902で読み込んだ提示期間の終了時刻を設定する。なお、終了時刻が既に設定されている場合には、映像解析部311は、終了時刻を上書き(更新)する。
ステップS1908において、映像解析部311は、提示範囲のデータに示されるすべてのレコード(提示範囲)について、ステップS1902〜ステップS1907の処理を終了したか否かを判定する。映像解析部311は、処理が終了した場合には(ステップS1908でYes)、再生リスト生成処理を終了する。映像解析部311は、処理が終了していない場合には(ステップS1908でNo)、処理をS1902へ進める。この場合、映像解析部311は、S1902において、未処理の撮影範囲を読み込み、S1903以降の処理を繰り返す。ステップS1909において、映像解析部311は、作成済みレコードを再生リストに追加し、再生リスト生成処理を終了する。なお、第2の実施形態に係る監視システムのこれ以外の構成及び処理は、第1の実施形態に係る監視システムの構成及び処理と同様である。
以上のように、第2の実施形態に係る監視システムは、集合動線上において、滞留の発生した時刻のみを連続して再生することができる。したがって、ユーザは、施設のレイアウト上の課題や顧客の興味対象等を効率的に把握することが可能となる。
なお、第2の実施形態に係る監視システムの第1の変更例としては、監視サーバ装置110は、動線取得要求を受信した場合に、再生リストを生成するが、再生リストの生成タイミングは、実施形態に限定されるものではない。すなわち、監視サーバ装置110は、集合動線が得られた後、動線取得要求を受信する前に、事前に再生リストを生成してもよい。この場合、最新の滞留映像を提示範囲に含めることはできないが、映像再生開始までの時間を短縮することができる。
また、第2の変更例としては、監視サーバ装置110は、滞留に替えて、集合動線上の異なる時刻毎の複数点における人物の密度を特定してもよい(密度特定処理)。そして、監視サーバ装置110は、人物の密度が所定の値を超えた領域及び期間に基づいて、提示範囲を特定し、この提示範囲に基づいて、再生リストを生成してもよい。この場合には、モバイル端末120の表示装置204には、人物の密度の高い領域の映像が連続再生される。したがって、ユーザは、混雑発生の原因等を効率的に把握することが可能である。
また、第3の変更例としては、監視サーバ装置110は、提示範囲特定処理において、提示対象の集合動線に含まれるすべての個別動線に対応する提示範囲を特定するのに替えて、一部の個別動線に対応する提示範囲のみを特定してもよい。例えば、映像解析部311は、所定数の個別動線に対応する提示範囲が得られた時点で、提示範囲の特定を終了してもよい。これにより、蓄積された個別動線数が多い場合に、映像再生の開始を早めることができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る監視システムについて説明する。なお、ここでは、第3の実施形態に係る監視システムについて、他の実施形態に係る監視システムと異なる部分について説明する。第3の実施形態に係る監視システムは、ユーザにより特定された個別動線に基づいて、提示範囲を特定する。すなわち、本実施形態に係る監視サーバ装置110は、集合動線を抽出する処理は行わなくともよい。
図20は、第3の実施形態に係る監視サーバ装置110に設定されている設定情報の一例を示す図である。提示範囲及び提示期間には、それぞれ「個別動線の通過範囲」及び「個別動線の存在時刻」と設定されている。これは、個別動線の通過範囲を提示領域として特定し、個別動線が存在する期間を提示時刻として特定することを示している。したがって、図7に示す提示範囲のデータには、個別動線の観測点の時刻及び位置が記録される。そして、映像解析部311は、提示範囲のデータから、個別動線が同一の監視カメラ100によって連続して撮影されていた区間を統合し、図8に示す再生リストを生成する。
図21は、第3の実施形態に係る監視システムの利用形態の説明図である。図21(A)は、モバイル端末120を所持しているユーザ2100が、施設内の不審者2101を見ている場面である。ここでユーザ2100は、施設のスタッフ等であり、不審者2101は施設に訪れている顧客等である。図21(B)は、ユーザ2100がモバイル端末120を介して不審者2101を含む監視空間2110を見たときの、モバイル端末120の表示装置204に表示される表示画面2120の一例を示す図である。表示画面2120には、モバイル端末120の撮影処理部322による撮影中の撮影映像2121が表示されている。さらに、撮影映像2121上に、監視サーバ装置110から受信した提示映像2122が重畳表示されている。提示映像2122は、不審者2101の過去の行動を捉えた映像である。提示映像2122には、撮影された時刻や、不審者2101の個別動線を表示するオブジェクトを付加することもできる。撮影映像2121上には、さらに仮想オブジェクトとしての切替表示2123が重畳表示されている。切替表示2123は、図4(B)を参照しつつ説明した、切替表示424と同様である。
図21(C)は、ユーザからの切替指示に従い切り替えられた後の表示画面2130の一例を示す図である。表示画面2130の提示映像2132は、提示映像2122よりも過去の撮影時刻に撮影された映像である。すなわち、提示映像2132は、提示映像2122とは、撮影場所及び撮影時刻の異なる映像である。本実施形態に係る監視システムは、このように、不審者2101の移動に沿って、位置及び時刻の異なる映像を連続して再生表示することができる。したがって、ユーザは、万引き等の行動がなかったかを効率的に確認することができる。
図22は、個別動線と提示映像の関係を示す図である。図5と同様に、監視空間2200は、撮影位置(x、y)に、撮影時刻を加えた3次元空間で表現される。撮影位置と撮影時刻を特定することで、映像を一意に定めることができる。本実施形態では、提示対象の空間的位置及び時刻を、個別動線に合わせて移動することで、提示範囲2210が切り替わっている。
次に、第3の実施形態に係る監視サーバ装置110による処理について説明する。第3の実施形態においては、監視サーバ装置110は、動線抽出処理において、個別動線の抽出を行うが、集合動線の抽出は行わない。すなわち、監視サーバ装置110は、図10に示す動線抽出処理のうち、ステップS1001〜ステップS1003の処理を行う。一方、監視サーバ装置110は、ステップS1004〜ステップS1006の処理は行わなくともよい。
図23は、第3の実施形態に係る監視サーバ装置110による、提示範囲特定処理を示すフローチャートである。ステップS2301において、通信処理部313は、モバイル端末120から、移動オブジェクトの選択情報を受信する。なお、モバイル端末120においては、ユーザがモバイル端末120の入力装置208を操作し、不審人物等の移動オブジェクトが選択される。モバイル端末120の通信処理部324は、移動オブジェクトが選択されると、移動オブジェクトが選択された時刻と、選択された位置とを含む選択情報を監視サーバ装置110に送信する。
次に、ステップS2302において、映像解析部311は、選択情報に示される位置(以下、移動オブジェクト位置と称する)に近い位置に存在する個別動線を抽出する(動線抽出処理)。具体的には、映像解析部311は、移動オブジェクト位置との距離が閾値以下の個別動線を抽出する。なお、映像解析部311は、動線抽出処理時に、動線抽出時期が古い個別動線を破棄し、最近の個別動線だけをリスト化する処理を行ってもよい。これにより、選択された移動オブジェクトのものである可能性の高い個別動線を効率的に抽出することができる。次に、ステップS2303において、映像解析部311は、移動オブジェクトが選択された時刻における、移動オブジェクトの位置と、個別動線の観測点とを比較する。そして、映像解析部311は、個別動線の観測点の位置が、移動オブジェクト位置と一致する個別動線を提示対象の個別動線として選択する。
次に、ステップS2304において、映像解析部311は、ステップS2303において選択した、提示対象の個別動線に基づいて、提示範囲を設定する。なお、ステップS2304〜ステップS2310の処理は、第1の実施形態において、図11を参照しつつ説明した提示映像送信処理における、ステップS1103〜ステップS1109の処理と同様である。但し、本実施形態においては、映像解析部311は、提示対象の集合動線を参照する処理については、提示対象の集合動線に替えて、提示対象の個別動線を参照することとする。
提示範囲特定処理(ステップS2304)は、図12に示す、第1の実施形態に係る提示範囲特定処理とほぼ同様の処理を行う。但し、集合動線に替えて、提示対象の個別動線を処理対象とする。具体的には、ステップS1201において、映像解析部311は、提示対象の個別動線の先頭を検出する。次に、ステップS1202において、映像解析部311は、ステップS1201において検出した先頭位置から順に、個別動線の時刻に沿って、個別動線内の観測点を1つ特定する。次に、ステップS1203において、映像解析部311は、ステップS1202において特定した観測点の位置と時刻に基づいて、提示範囲を特定する。映像解析部311は、以上の処理を個別動線に含まれるすべての観測点に対して実行する(ステップS1204)。
図24は、第3の実施形態に係る監視サーバ装置110による、再生リスト生成処理(ステップS2305)における詳細な処理を示すフローチャートである。ステップS2401において、映像解析部311は、提示範囲のデータの先頭から順に、1つのレコード、すなわち1つの提示範囲を読み込む。次に、ステップS2402において、映像解析部311は、提示範囲に対応する監視カメラ100を特定する。次に、ステップS2403において、映像解析部311は、特定した監視カメラ100が1つ前の提示範囲のデータのレコードから特定された監視カメラ100と同一か否かを判定する。映像解析部311は、同一の場合には(ステップS2403でYes)、処理をステップS2407へ進める。映像解析部311は、同一でない場合には(ステップS2403でNo)、処理をステップS2404へ進める。
ステップS2404において、映像解析部311は、作成済みレコードを再生リストに追加する。次に、ステップS2405において、映像解析部311は、新規レコードを作成する。次に、ステップS2406において、映像解析部311は、新規レコードの開始時刻に、ステップS2401で読み込んだ提示範囲の提示期間の開始時刻を設定する。一方、ステップS2407において、映像解析部311は、新規レコードは作成せず、保持している再生リストのレコードの終了時刻に、ステップS2401で読み込んだ提示期間の終了時刻を設定する。
ステップS2408において、映像解析部311は、提示範囲のデータに示されるすべてのレコード(提示範囲)について、ステップS2401〜ステップS2407の処理を終了したか否かを判定する。映像解析部311は、処理が終了した場合には(ステップS2408でYes)、再生リスト生成処理を終了する。映像解析部311は、処理が終了していない場合には(ステップS2408でNo)、処理をS2401へ進める。この場合、映像解析部311は、S2401において、未処理の撮影範囲を読み込み、ステップS2402以降の処理を繰り返す。ステップS2409において、映像解析部311は、作成済みレコードを再生リストに追加し、再生リスト生成処理を終了する。なお、第3の実施形態に係る監視システムのこれ以外の構成及び処理は、他の実施形態に係る監視システムの構成及び処理と同様である。
以上のように、本実施形態に係る監視システムは、特定の人物に係る個別動線に沿って、その人物が映された映像を連続して再生表示することができる。したがって、ユーザは、人物の行動把握を効率的に行うことができる。ユーザは、例えば、施設内の不審人物の過去行動を映像で確認することで、万引き等の不審行動がなかったかを迅速に把握することができる。
第3の実施形態に係る監視システムの変更例としては、提示対象の個別動線を選択するための処理は、実施形態に限定されるものではない。他の例としては、監視サーバ装置110は、ユーザと同伴行動をとった後にはぐれた人物の動線を提示対象動線としてもよい。この場合には、ツアー等で引率者とはぐれたツアー客をすばやく発見することができるとともに、はぐれ時の映像を確認できるため、はぐれの原因の分析等に役立てることができる。
以上のように、本実施形態に係る監視システムによれば、ユーザは監視カメラから独立したデバイスを用いて、動線に沿って映像を移動させながら閲覧することができる。また、ユーザは、滞留発生等の動線上の特徴に基づいて、動線上の位置や時刻を切り替えた映像を閲覧することができる。このように、ユーザは、監視カメラが撮影した映像を効率的に見ることができるので、状況把握の効率化を図ることができる。
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
以上、上述した各実施形態によれば、撮影映像を活用した動線解析を自動的に行い、解析結果に応じた映像を提供することにより、観察者による映像の確認作業の効率化を図ることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。