JP6513472B2 - ロケットのペイロード緊急脱出システム - Google Patents

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Description

本発明は、人工衛星等のペイロードを搭載したロケットにおいて、打ち上げ後に異常が発生した際に用いられるロケットのペイロード緊急脱出システムに関するものである。
従来、打ち上げ後に異常が発生した際に用いられるロケットのシステムとしては、例えば、固体燃料打ち上げビークルの破壊システム及び方法の名称で、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載のシステムは、ビークルの打ち上げ後に異常が発生し、そのまま飛翔を続けると地上に危険を及ぼすと判断した場合、ビークル全体を破壊して地上への影響を回避するものである。このシステムは、モータケースの加圧手段や爆発手段を備え、ビークルの打ち上げ後、地上からの破壊信号により加圧手段及び爆発手段を作動させて、推進剤及びモータケースを小さい破片に破砕するようになっている。
特表平10−511174号公報
しかしながら、上記したような従来のシステムにあっては、ロケット全体を破壊するものであるから、当然のことながら搭載した人工衛星等のペイロードも破壊され、それらを回収して再利用することは到底不可能であるという問題点があり、このような問題点を解決することが課題であった。
本発明は、上記従来の課題に着目して成されたもので、打ち上げ後の異常発生によりロケットの破壊を行う際に、搭載したペイロードを離脱させて安全な空域まで速やかに移動させることが可能であって、ペイロードの保護及び回収を行うことができるロケットのペイロード緊急脱出システムを提供することを目的としている。
本発明に係わるロケットの緊急脱出システムは、最下段である第1段と、最上段においてペイロードを保持する搭載用ステージと、搭載用ステージ上でペイロードを覆うフェアリングとを備えたロケットにおいて、ペイロード及びフェアリングを具備した搭載用ステージに第1段から離脱する推進力を機軸方向に付与する離脱用ロケットと、第1段の破壊指令の受信に基づいて搭載用ステージと第1段との間を分離するとともに離脱用ロケットによる搭載用ステージの離脱を実行する緊急脱出手段と、第1段から離脱した搭載用ステージを減速降下させる減速降下手段とを備え、離脱用ロケットが、第1段と搭載用ステージとの間に設けた第2段のロケットであって、緊急脱出手段が、第1段と第2段との間を分離可能に結合する段間分離装置と、前記離脱用ロケットの点火手段とを含む構成としており、上記構成をもって従来の課題を解決するための手段としている。

本発明に係わるロケットのペイロード緊急脱出システムは、打ち上げ後のロケットに異常が発生し、地上への影響を回避するためにロケットを破壊する際に、搭載したペイロードを保護し且つ回収するものである。また、打ち上げ後のロケットを破壊するような事態は、主に大気圏内で発生するので、ロケットが正常な軌道から大きく外れる前に速やかに行う必要がある。そこで、本発明に係わるロケットのペイロード緊急脱出システムは、打ち上げに用いる第1段の破壊指令により作動する。
なお、ロケットの第1段は、一般的には、推進装置を含む複数の段部を結合した多段式ロケットの最下段部を指すのであるが、本発明に係わるペイロード緊急脱出システムは段部の数に関わらず適用可能であるから、地上からの打ち上げの際に最初に使用する推進装置を含む段部を最下段である第1段と定義する。したがって、上記した本発明の構成における第1段は、推進装置を含む下段部と搭載用ペイロードを含む上段部とで構成されたロケットの場合にはその下段部であり、多段式ロケットの場合には最下段部である。また、離脱用ロケットは、推進力を機軸方向に付与するものとして、離脱のための充分な推進力を有する既存のロケット(第1段以外のロケット)を使用することが可能である。
本発明に係わるロケットのペイロード緊急脱出システムは、緊急脱出手段が、第1段の破壊指令の受信に基づいて搭載用ステージと第1段との間を分離すると共に、離脱用ロケットにより推進力を機軸方向に付与し、フェアリング及びペイロードを具備した搭載用ステージを第1段から離脱させて積極的に且つ速やかに移動させる。その後、第1段には所定の破壊処理が成される。また、フェアリング及びペイロードを具備した搭載用ステージは、減速降下手段により緩降下して回収される。
これにより、本発明に係わるロケットのペイロード緊急脱出システムによれば、人工衛星等のペイロードを搭載したロケットにおいて、打ち上げ後の異常発生により第1段の破壊を行う際に、搭載したペイロードを第1段から離脱させて安全な空域まで積極的に且つ速やかに移動させることが可能になり、ペイロードの保護及び回収を行うことができる。
本発明に係わるロケットのペイロード緊急脱出システムの第1実施形態を説明するロケットの側面図(A)、及び緊急時の状態を示す側面図(B)である。 第1実施形態の通常時及び緊急時の動作を説明するフローチャートである。 第1実施形態の緊急時の過程を示す説明図である。 本発明に係わるロケットのペイロード緊急脱出システムの第2実施形態を説明するロケットの側面図(A)、緊急時の状態を順に示す各々側面図(B)(C)である。 第2実施形態の通常時及び緊急時の動作を説明するフローチャートである。 本発明に係わるロケットのペイロード緊急脱出システムの第3実施形態を説明するロケットの側面図(A)、通常時のフェアリング分離を示す側面図(B)、及び緊急時の状態を示す側面図(C)である。 第3実施形態の通常時及び緊急時の動作を説明するフローチャートである。
図1〜図3は、本発明に係わるロケットのペイロード緊急脱出システムの第1実施形態を説明する図である。
図1(A)に示すロケットRは、最下段である第1段R1と、その上段である第2段R2と、最上段において人工衛星等のペイロードPLを保持する搭載用ステージPSと、搭載用ステージPS上でペイロードPLを覆うフェアリングFとを備えている。
第1段R1及び第2段R2は、固体推進薬を用いるロケットモータや、液体の燃料及び酸化剤を用いるロケットエンジン等の推進装置を主な構成としており、双方は、第1の段間分離装置B1により分離可能に結合してある。段間分離装置B1には、分離バンド、ボルトカッタ、セパレーションナット及び線状火工品などの周知の機器類を用いた装置が適用可能であり、以下に説明する他の段間分離装置も同様である。
搭載用ステージPSは、ペイロードPLの保持機構及び分離機構や、ロケット又はスラスタ等の推進機構を含むものであって、第2の段間分離装置B2により、その下段部である第2段R2と分離可能に結合してある。
フェアリングFは、大気圏内においてペイロードPLを空力加熱等から保護するものであり、第3の段間分離装置B3により、搭載用ステージPSと分離可能に結合してあり、開頭式又は脱頭式に開放される。また、フェアリングFの頭部には、離脱後の搭載用ステージPSを減速降下させるための減速降下手段が収容してある。
この実施形態の減速降下手段は、パラシュートPC(図3参照)であって、ペイロードPL、フェアリングF及び搭載用ステージPSの総重量に応じて大きさや数が設定され、同パラシュートPCを引き出して放出展開させるための補助パラシュートや、補助パラシュートの放出装置などで構成されている。この減速降下手段としては、パラシュートPCのほか、滑空機能を有するパラフォイル(パラグライダ)や展開式翼などを挙げることができ、これらを組み合わせて用いても良い。
上記のロケットRにおけるペイロード緊急脱出システムは、ペイロードPL及びフェアリングFを具備した搭載用ステージPSに第1段R1から離脱する推進力を機軸方向に付与する離脱用ロケットと、第1段R1の破壊指令の受信に基づいて搭載用ステージPSと第1段R1との間を分離するとともに離脱用ロケットによる搭載用ステージの離脱を実行する緊急脱出手段(E)と、第1段R1から離脱した搭載用ステージを減速降下させる減速降下手段(PC)とを備えている。
この実施形態のペイロード緊急脱出システムでは、推進力を機軸方向に付与する離脱用ロケットとして、第1段R1と搭載用ステージPSとの間に設けた第2段R2のロケットを利用している。また、緊急脱出手段(E)は、搭載用ステージPSとその下段部とを分離可能に結合する段間分離装置としての第1の段間分離装置B1と、離脱用ロケット(第2段R2のロケット)の点火手段とを含むものとなっている。
次に、図1〜3を用いて、上記構成を備えたロケットRの通常時の動作と、ペイロード緊急脱出システムの緊急時の動作を説明する。なお、図2に示すフローチャートは、ロケットRの基本的な動作を説明するものであって、実際に使用する各制御系の詳細な処理フローを示すものではない。
ロケットRは、図2中のステップS1において第1段R1の点火により打ち上げられ、ステップESにおいて破壊指令が入力されたか否かを判断し、通常時には破壊指令が入力されない(NO)ので、ステップS2において第1段R1の作動終了後、ステップS3において第1の段間分離装置B1により第1段R1と第2段R2を分離する。
続いて、ロケットRは、ステップS4において第2段R2の点火を行い、ステップS5において第2段R2の作動終了後、必要に応じて第2の段間分離装置B2により第2段R2と搭載用ステージPSを分離し、ステップS6において第3の段間分離装置B3により搭載用ステージPSとフェアリングFを開放する。このフェアリングFの開放は、大気圏外で行われる。これにより、ペイロードPLは、宇宙空間に曝露状態となり、搭載用ステージPSにより姿勢や軌道を調整した後に、搭載用ステージPSからの分離が行われる。
次に、打ち上げ後のロケットRに異常が発生し、そのまま飛翔を続けると地上に影響を及ぼす可能性があると判断した場合には、図3に示すように、地上局LSからロケットRに破壊指令が送信される。これにより、ロケットRでは、図2中のステップESにおいて、破壊指令が入力された(YES)と判断し、ペイロード緊急脱出システムの緊急時の動作、すなわち緊急脱出手段EのステップS7〜S12に移行する。
緊急脱出手段Eは、ステップS7において、可能ならば第1段R1の燃焼を停止し、第1の段間分離装置B1により第1段R1と第2段R2を分離する。次いで、ステップS8において第2段R2のロケットに点火し、図1(B)及び図3に示すように、ステップS9において、第2段R2とともにペイロードPL及びフェアリングFを具備した搭載用ステージPSを第1段R1から離脱させて、同搭載用ステージPSを安全な空域まで速やかに移動させる。その後、第1段R1の破壊処理(図3参照)が行われる。
次に、緊急脱出手段Eは、ステップS10において第2段R2のロケットの作動終了後、ステップS11において、第2の段間分離装置B2により第2段R2と搭載用ステージPSを分離し、その後、ステップS12においてパラシュート(図3参照)を放出する。このパラシュートPCの放出には、様々な機構を用いることが可能であり、例えば、フェアリングFの頭部に、補助パラシュートを含むパラシュートPCの収容部と、この収容部を開放する蓋を設け、蓋を開放させた収容部から補助シュート又はパラシュートPCを放出して開傘させる機構などを採用することができる。
なお、第2段R2と搭載用ステージPSの分離(S11)は、ステップS7で切り離した第1段R1から充分に離れたところで行えば良く、可能ならば、ステップS10以前に第2段R2のロケットの燃焼を停止させてから行っても良い。また、分離後の第2段R2は、図3に示す如く破壊処理をしても良い。これにより、ペイロードPLは、緩降下して軟着陸(又は着水)し、その後に回収される。
このように、上記実施形態のロケットRのペイロード緊急脱出システムによれば、人工衛星等のペイロードPLを搭載したロケットRにおいて、打ち上げ後の異常発生により第1段R1の破壊を行う際に、離脱用ロケットである第2段R2のロケットにより、搭載したペイロードPLを第1段R1から離脱させて、安全な空域まで積極的に且つ速やかに移動させることが可能になり、ペイロードPLの保護及び回収を行うことができる。また、離脱用ロケットには、推進力を機軸方向に付与するものとして、離脱及び移動のための充分な推進力を有する既存の第2段R2のロケットを使用することができる。
また、上記のペイロード緊急脱出システムは、回収したペイロードPLを再利用することも可能になるので、ロケット全体の製作費の節減等に貢献することができる。フェアリングFは、空力加熱等からペイロードPLを保護する本来の機能に加えて、第1段R1を破壊する際にペイロードPLを保護し、地表で回収されるまでの間においてもペイロードPLを保護し得るものとなる。
さらに、上記のペイロード緊急脱出システムは、推進力を機軸方向に付与する離脱用ロケットとして、第2段R2のロケットを使用すると共に、搭載用ステージPSとその下段部である第1段R1とを結合する第1の段間分離装置B1と、第2段R2のロケットの点火手段とを備えた緊急脱出手段Eを採用している。これにより、ペイロード緊急脱出システムは、既存の第2段R2のロケット及び点火手段、並びに第1の段間分離装置B1を緊急用として使用することができるので、ロケット構造の複雑化や重量増大を抑制し得ると共に、製作費のさらなる低減を実現することが可能である。また、第2段R2は、元々、搭載用ステージPSを含む上段部の推進装置であるから、充分な推進力を有しており、異常が発生した第1段R1から搭載用ステージPSを素早く離間させることができる。
なお、上記の実施形態では、図2はロケットRの基本動作を説明するものであるから、判断ステップESはロケットRの破壊指令入力の有無を判断するものとし、その破壊指令入力に基づいてペイロード緊急脱出システムが起動されるものとした。しかし、ペイロード緊急脱出システムの基本動作には、ロケットの破壊を直接含まないので、判断ステップESは緊急脱出手段Eの起動指令入力の有無の判断であっても良い。
図4及び図5は、本発明に係わるロケットのペイロード緊急脱出システムの第2実施形態を説明する図であり、また、図6及び図7は、本発明に係わるロケットのペイロード緊急脱出システムの第3実施形態を説明する図である。以下の各実施形態において、第1実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図4(A)に示すロケットRは、最下段である第1段R1と、その上段部である第2段R2と、最上段において人工衛星等のペイロードPLを保持する搭載用ステージPSと、搭載用ステージPS上でペイロードPLを覆うフェアリングFとを備えている。また、ロケットRは、第1段R1に、固体推進薬を装填したロケットモータから成る複数のブースタロケットBRを備えている。
上記のロケットRにおけるペイロード緊急脱出システムは、ペイロードPL及びフェアリングFを具備した搭載用ステージPSに第1段R1から離脱する推進力を機軸方向に付与する離脱用ロケットと、第1段R1の破壊指令の受信に基づいて搭載用ステージPSと第1段R1との間を分離するとともに離脱用ロケットによる搭載用ステージの離脱を実行する緊急脱出手段(E)と、第1段R1から離脱した搭載用ステージPSを減速降下させる減速降下手段(図3参照)とを備えている。
この実施形態のペイロード緊急脱出システムでは、推進力を機軸方向に付与する離脱用ロケットとして、第1段R1に設けたブースタロケットBRを利用している。また、緊急脱出手段(E)は、第1段R1に対するブースタロケットBRの拘束を解除するブースタ解除装置11と、拘束解除されたブースタロケットBRを第1段R1から搭載用ステージPSまで移動させるためのブースタガイド12と、搭載用ステージPSとその下段部である第2段R2とを分離可能に結合する第2の段間分離装置B2とを含むものである。
ブースタ解除装置11は、ブースタロケットBRの推進力を第1段R1側に伝達すると共に、ブースタガイド12との係合を維持したままの状態で、第1段R1に対する拘束を解除し得るものである。このブースタ解除装置11は、ブースタガイド12との係合を解除してロケット本体から完全に分離させる機能も有している。ブースタガイド12は、個々にブースタロケットBRに対して設けられ、第1段R1の側面から搭載用ステージPSの側面にかけて直線的に配置してあると共に、夫々の段間部で分離可能である。
上記構成を備えたロケットRは、図5中のステップS21において第1段R1及びブースタロケットBRの点火により打ち上げられ、ステップESにおいて破壊指令が入力されたか否かを判断し、通常時には破壊指令が入力されない(NO)ので、ステップS22において第1段R1及びブースタロケットBRの作動終了後、ステップS23において第1の段間分離装置B1により第1段R1と第2段R2を分離する。
続いて、ロケットRは、ステップS24において第2段R2の点火を行い、ステップS25において第2段R2の作動終了後、必要に応じて、第2の段間分離装置B2により第2段R2と搭載用ステージPSを分離し、ステップS26において第3の段間分離装置B3によりフェアリングFを開放する。その後は、第1実施形態と同様である。
次に、打ち上げ後のロケットRに異常が発生し、地上局(LS)からロケットRに破壊指令が送信された場合には、図5中のステップESにおいて、破壊指令が入力された(YES)と判断し、緊急脱出手段EのステップS27〜S32に移行する。
緊急脱出手段Eは、ステップS27において、ブースタ解除装置11により第1段R1に対するブースタロケットBRの拘束を解除すると、図4(B)に示すように、ステップS28において、燃焼中のブースタロケットBRがブースタガイド12に沿って移動して搭載用ステージPSの側部に位置決めされる。
その後、緊急脱出手段Eは、ステップS29において第2の段間分離装置B2により第2段R2と搭載用ステージPSを分離し、図4(C)に示すように、ステップS30において、ブースタロケットBRの推進力により、ペイロードPL及びフェアリングFを具備した搭載用ステージPSを第2段R2から離脱させて、同搭載用ステージPSを安全な空域まで速やかに移動させる。
そして、緊急脱出手段Eは、ステップS31において、搭載用ステージPSからブースタロケットBRを分離し、ステップS32においてパラシュート(図3参照)を放出する。これにより、ペイロードPLは、緩降下して軟着陸(又は着水)し、回収される。なお、分離後のブースタロケットBRは、破壊処理しても良い。
このように、上記のロケットRのペイロード緊急脱出システムによれば、第1実施形態と同様に、打ち上げ後の異常発生により第1段R1の破壊を行う際に、離脱用ロケットとしてのブースタロケットBRにより、搭載したペイロードPLを第1段R1から離脱させて、安全な空域まで積極的に且つ速やかに移動させることが可能になり、ペイロードPLの保護及び回収を行うことができ、ペイロードPLの再利用も可能になる。
また、上記のペイロード緊急脱出システムは、機軸方向に推進力を付与する離脱用ロケットとしてブースタロケットBRを使用すると共に、ブースタ解除装置11と、ブースタガイド12と、第2の段間分離装置B2とを備えた緊急脱出手段Eを採用している。これにより、ペイロード緊急脱出システムは、既存のブースタロケットBR、及び第2の段間分離装置B2を緊急用として使用することができるので、ロケット構造の複雑化や重量増大を抑制し得ると共に、制作費のさらなる低減を実現することが可能である。また、ブースタロケットBRは、元々、打ち上げ時に用いる推進装置であるから、充分な推進力を有しており、異常が発生した第1段R1から搭載用ステージPSを素早く離間させることができる。
図6(A)に示すロケットRは、最下段である第1段R1と、その上段である第2段R2と、最上段において人工衛星等のペイロードPLを保持する搭載用ステージPSと、搭載用ステージPS上でペイロードPLを覆うフェアリングFとを備えている。
この実施形態のフェアリングFは、その頭部に、搭載用ステージPSから当該フェアリングFを離脱させるための離脱用ロケットVRを備えている。フェアリングFの離脱用ロケットVRは、例えば固体推進薬を装填したロケットモータであって、イグナイタを含む点火手段を備えると共に、燃料ガスがフェアリングFに直接当たらないように、斜め下方に向けた複数のノズルを備えており、これにより機軸方向に推進力を付与する。
上記の離脱用ロケットVRを備えた構成では、第3の段間分離機構B3の簡略化や、フェアリングFの速やかな移動が可能になる。第3の段間分離機構B3は、第1及び第2の実施形態のように、通常時にフェアリングFを開放する場合には、搭載用ステージPSとフェアリングFを分離可能に結合する手段と、分離後のフェアリングFに分離力を付与する手段とで構成される。これに対して、離脱用ロケットVRを備えた構成では、分離力を付与する手段が不要になる分、第3の段間分離機構B3の構造の簡略化や軽量化が可能になる。また、離脱用ロケットVRにより、分離後のフェアリングFを搭載用ステージPSから素早く離脱させることができる。しかも、第3の段間分離機構B3は、緊急時には、ペイロードPLの保護体となるフェアリングFを搭載用ステージPSに固定維持する役割を果たすこととなり、このような機能は各実施形態において共通である。
上記のロケットRにおけるペイロード緊急脱出システムは、少なくとも搭載用ステージPSに第1段R1から離脱する推進力を付与する離脱用ロケットと、第1段R1の破壊指令の受信に基づいて搭載用ステージPSと第1段R1との間を分離するとともに離脱用ロケットによる搭載用ステージの離脱を実行する緊急脱出手段(E)と、第1段R1から離脱した搭載用ステージPSを減速降下させる減速降下手段(図3参照)とを備えている。
この実施形態のペイロード緊急脱出システムでは、推進力を機軸方向に付与する離脱用ロケットとして、搭載用ステージPSからフェアリングFを離脱させるための離脱用ロケットVRを利用している。また、緊急脱出手段(E)は、搭載用ステージPSとその下段部とを分離可能に結合する段間分離装置としての第2の段間分離装置B2と、離脱用ロケットVRの点火手段とを含むものとなっている。
上記構成を備えたロケットRは、図7中のステップS41において第1段R1の点火により打ち上げられ、ステップESにおいて破壊指令が入力されたか否かを判断し、通常時には破壊指令が入力されない(NO)ので、ステップS42において第1段R1の作動終了後、ステップS43において第1の段間分離装置B1により第1段R1と第2段R2を分離する。
続いて、ロケットRは、ステップS44において第2段R2の点火を行い、ステップS45において第2段R2の作動終了後、必要に応じて第2の段間分離装置B2により第2段R2と搭載用ステージPSを分離し、ステップS46において第3の段間分離装置B3により搭載用ステージPSとフェアリングFを分離する。
そして、ロケットRは、ステップS47において、図6(B)に示すように、離脱用ロケットVRの点火によりフェアリングFを開放する。つまり、この実施形態では、離脱用ロケットVRにより、搭載用ステージPSからフェアリングFを離脱させて脱頭式に開放する。その後は、第1実施形態と同様である。
次に、打ち上げ後のロケットRに異常が発生し、地上局(LS)からロケットRに破壊指令が送信された場合には、図7中のステップESにおいて、破壊指令が入力された(YES)と判断し、緊急脱出手段EのステップS48〜S53に移行する。
緊急脱出手段Eは、ステップS48において、可能ならば第1段R1の燃焼を停止し、第2の段間分離装置B2により第2段R2と搭載用ステージPSを分離する。そして、ステップS49において離脱用ロケットVRに点火し、図6(C)に示すように、ステップS50において、ペイロードPL及びフェアリングFを具備した搭載用ステージPSを第2段R2から離脱させて、同搭載用ステージPSを安全な空域まで移動させる。その後、第1段R1及び第2段R2には、破壊処理(図3参照)が行われる。
次に、緊急脱出手段Eは、ステップS51において離脱用ロケットVRの作動終了後、ステップS52において離脱用ロケットVRを分離し、ステップS53において減速降下手段であるパラシュート(図3参照)を放出する。これにより、ペイロードPLは、緩降下して軟着陸(又は着水)し、回収される。
このように、上記のロケットRのペイロード緊急脱出システムによれば、第1実施形態と同様に、打ち上げ後の異常発生により第1段R1の破壊を行う際に、推進力を機軸方向に付与する離脱用ロケットとしてのフェアリングFの離脱用ロケットVRにより、搭載したペイロードPLを第1段R1から離脱させて安全な空域まで積極的に且つ速やかに移動させることが可能になり、ペイロードPLの保護及び回収を行うことができ、ペイロードPLの再利用も可能になる。
また、上記のペイロード緊急脱出システムは、推進力を機軸方向に付与する離脱用ロケットとして、フェアリングFの離脱用ロケットVRを使用すると共に、搭載用ステージPSとその下段部である第2段R2とを結合する第2の段間分離装置B2と、離脱用ロケットVRの点火手段とを備えた緊急脱出手段Eを採用している。これにより、ペイロード緊急脱出システムは、既存の離脱用ロケットVR及び点火手段、並びに第2の段間分離装置B2を緊急用として使用することができるので、ロケット構造の複雑化や重量増大を抑制し得ると共に、製作費のさらなる低減を実現することが可能である。
本発明に係わるロケットのペイロード緊急脱出システムは、その構成が上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成を適宜変更することが可能である。また、適用可能なロケットとしては、上記各実施形態のほか、第2段が無いロケットや、第1段と搭載用ステージとの間に複数の段を分離可能に備えた多段式ロケットであっても良い。
さらに、上記の第1〜第3の実施形態では、離脱用ロケットとして、第2段R2のロケット、ブースタロケットBR、及びフェアリングFの離脱用ロケットVRを使用する構成を例示したが、例えば、搭載用ステージPSに専用の離脱用ロケットを設けることも可能である。この場合、専用の離脱用ロケットは、搭載用ステージPSをその下段部から離脱させるものとして、通常時及び緊急時のいずれにも使用可能なものでも良いし、緊急時のみに使用するものでも良い。
B1 第1の段間分離装置(緊急脱出手段)
B2 第2の段間分離装置(緊急脱出手段)
BR ブースタロケット(離脱用ロケット)
E 緊急脱出手段
F フェアリング
PC パラシュート(減速降下手段)
PL ペイロード
PS 搭載用ステージ
R ロケット
R1 第1段
R2 第2段(離脱用ロケット)
VR 離脱用ロケット
11 ブースタ解除装置(緊急脱出手段)
12 ブースタガイド(緊急脱出手段)

Claims (2)

  1. 最下段である第1段と、最上段においてペイロードを保持する搭載用ステージと、搭載用ステージ上でペイロードを覆うフェアリングとを備えたロケットにおいて、
    ペイロード及びフェアリングを具備した搭載用ステージに第1段から離脱する推進力を機軸方向に付与する離脱用ロケットと、
    第1段の破壊指令の受信に基づいて搭載用ステージと第1段との間を分離するとともに離脱用ロケットによる搭載用ステージの離脱を実行する緊急脱出手段と、
    第1段から離脱した搭載用ステージを減速降下させる減速降下手段とを備え
    離脱用ロケットが、第1段と搭載用ステージとの間に設けた第2段のロケットであって、 緊急脱出手段が、第1段と第2段との間を分離可能に結合する段間分離装置と、前記離脱用ロケットの点火手段とを含むことを特徴とするロケットのペイロード緊急脱出システム。
  2. 最下段である第1段と、最上段においてペイロードを保持する搭載用ステージと、搭載用ステージ上でペイロードを覆うフェアリングとを備えたロケットにおいて、
    ペイロード及びフェアリングを具備した搭載用ステージに第1段から離脱する推進力を機軸方向に付与する離脱用ロケットと、
    第1段の破壊指令の受信に基づいて搭載用ステージと第1段との間を分離するとともに離脱用ロケットによる搭載用ステージの離脱を実行する緊急脱出手段と、
    第1段から離脱した搭載用ステージを減速降下させる減速降下手段とを備え、
    離脱用ロケットが、第1段に設けたブースタロケットであって、
    緊急脱出手段が、第1段に対するブースタロケットの拘束を解除するブースタ解除装置と、拘束解除されたブースタロケットを第1段から搭載用ステージまで移動させるためのブースタガイドと、搭載用ステージとその下段部とを分離可能に結合する段間分離装置とを含むことを特徴とするロケットのペイロード緊急脱出システム。
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