JP6505361B2 - Pla2g2fを指標とした表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤のスクリーニング方法 - Google Patents

Pla2g2fを指標とした表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤のスクリーニング方法 Download PDF

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Description

本発明は、ホスホリパーゼA2 (PLA2)G2Fを指標とした表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤のスクリーニング方法に関する。
本発明者は、リン脂質代謝に関わる酵素ホスホリパーゼA2 (PLA2)の研究を行っている。PLA2は膜リン脂質を加水分解して脂肪酸とリゾリン脂質を遊離する酵素群の総称である(図1)。この反応は、アラキドン酸など高度不飽和脂肪酸(e.g. プロスタグランジン、ロイコトリエン)や生理活性リゾリン脂質(例えば LPA、PAF)由来の脂質メディエーターの産生経路の初発段階を制御するものと考えられてきた。
哺乳動物のゲノムには30種類以上のPLA2遺伝子がコードされており、更にいくつかのサブグループに分類されることから、それぞれのアイソザイム(分子種)が異なる機能を持つことが想定される。分泌性PLA2 (sPLA2)ファミリーには11種類のアイソザイムが同定されており、構造上の特徴からClassical sPLA2, Atypical sPLA2, Very atypical sPLA2サブファミリーに分類される(図2)。そして本発明者は、これまでに、各sPLA2アイソザイムの遺伝子改変マウスを網羅的に導入し、それぞれが多彩な表現型を示すことを見出してきた。
ホスホリパーゼA2 のサブタイプであるG2Fは、classical sPLA2アイソザイムのひとつであるが、その同定以降(非特許文献1、特許文献1)、細胞レベルでの性状に関する基礎解析以外に目立った報告はなく(非特許文献2、3)、本酵素が生体内のどの部位に発現し、生体内でどのような脂質代謝に関わり、どのような生体内機能を持つかについては不明であった。
国際公開2003/033689号パンフレット
Valentin E, Ghomashchi F, Gelb MH, Lazdunski M, Lambeau G. On the diversity of secreted phospholipases A2. Cloning, tissue distribution, and functional expression of two novel mouse group II enzymes. J Biol Chem. 1999, 274, 31195-202. Murakami M, Yoshihara K, Shimbara S, Lambeau G, Gelb MH, Singer AG, Sawada M, Inagaki N, Nagai H, Ishihara M, Ishikawa Y, Ishii T, Kudo I. Cellular arachidonate-releasing function and inflammation-associated expression of group IIF secretory phospholipase A2. J Biol Chem. 2002, 277, 19145-55. Wijewickrama GT, Albanese A, Kim YJ, Oh YS, Murray PS, Takayanagi R, Tobe T, Masuda S, Murakami M, Kudo I, Ucker DS, Murray D, Cho W. Unique membrane interaction mode of group IIF phospholipase A2. J Biol Chem. 2006, 281, 32741-54.
本発明は、ホスホリパーゼA2G2Fを指標とした表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤のスクリーニング方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、ホスホリパーゼA2 のサブタイプであるG2F(以下「PLA2G2F」ともいう)が皮膚(表皮)に特異的なsPLA2アイソザイムであることを見出し、さらにPLA2G2Fの過剰発現 (Tg) マウスを作出することにより、本酵素が表皮角化細胞の増殖分化を制御していることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1) ホスホリパーゼA2G2Fをコードする遺伝子が導入されたトランスジェニック非ヒト動物を含む、表皮角化細胞の過増殖性疾患モデル動物。
(2)非ヒト動物がマウスである(1)に記載のモデル動物。
(3) 表皮角化細胞の過増殖性疾患が皮膚癌又は乾癬である(1)又は(2)に記載のモデル動物。
(4)皮膚癌誘発物質によって皮膚癌を誘発させた、(3)に記載のモデル動物。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のモデル動物に被検物質を投与し、当該被検物質投与後の前記モデル動物における表皮角化細胞の過増殖の抑制効果を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤を選択する工程を含む、当該薬剤のスクリーニング方法。
(6)ホスホリパーゼA2G2Fをコードする遺伝子が導入されたトランスジェニック非ヒト動物に被検物質を投与した後、当該動物に表皮角化細胞の過増殖性疾患誘発物質を投与し、当該疾患の抑制効果を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤を選択する工程を含む、当該薬剤のスクリーニング方法。
(7)ホスホリパーゼA2G2Fをコードする遺伝子が導入された細胞、又は上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のモデル動物若しくは当該モデル動物から採取された生体材料に被検物質を接触させ、当該接触後の前記細胞、前記生体材料又は前記モデル動物におけるホスホリパーゼA2G2Fの酵素活性又は細胞増殖分化マーカーを検出し、得られる検出結果を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤を選択する工程を含む、当該薬剤のスクリーニング方法。
(8)野生型非ヒト動物に表皮角化細胞の過増殖性疾患誘発物質を投与して当該疾患を発症させ、当該疾患発症非ヒト動物、又は当該疾患発症非ヒト動物から採取された生体材料に被検物質を接触させ、当該接触後の前記疾患発症非ヒト動物又は前記生体材料おけるホスホリパーゼA2G2Fの酵素活性又は細胞増殖分化マーカーを検出し、得られる検出結果を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤を選択する工程を含む、当該薬剤のスクリーニング方法。
(9)野生型非ヒト動物若しくは野生型非ヒト動物から採取された生体材料、又は過増殖性表皮角化細胞に被検物質を接触させ、当該接触後の前記非ヒト動物若しくは前記生体材料又は前記過増殖性表皮角化細胞におけるホスホリパーゼA2G2Fの酵素活性又は細胞増殖分化マーカーを検出し、得られる検出結果を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤を選択する工程を含む、当該薬剤のスクリーニング方法。
(10)ホスホリパーゼA2G2Fを被検物質で処理した後、当該ホスホリパーゼA2G2Fの酵素活性を検出し、得られる検出結果を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤を選択する工程を含む、当該薬剤のスクリーニング方法。
(11)表皮角化細胞の過増殖性疾患が皮膚癌又は乾癬である上記(5)〜(10)のいずれか1項に記載の方法。
本発明により、PLA2G2Fを指標とした表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤のスクリーニング方法が提供される。本発明によれば、スクリーニングされた薬剤は表皮角化細胞の過増殖性疾患、例えば皮膚癌や乾癬の治療薬又は予防薬として利用可能である。
ホスホリパーゼA2(PLA2)の作用を示す図である。 分泌型ホスホリパーゼA2のファミリーを示す図である。 PLA2G2Fが表皮の主要sPLA2アイソザイムであることを示す図である。 PLA2G2F トランスジェニックマウスにおける表皮過増殖(乾癬様)の表現型を示す図である。 PLA2G2Fが初代培養表皮細胞の分化に関わることを示す図である。 PLA2G2Fトランスジェニックマウスにおいて皮膚癌が憎悪することを示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、PLA2G2Fを指標とした表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤新規スクリーニング方法である。
本発明者は、リン脂質代謝酵素であるPLA2G2Fの過剰発現(Tg) マウスを作出し、その表現型を解析した。その結果、PLA2G2Fは表皮角化細胞の増殖分化を促進し、皮膚癌の病態増悪に関わることが明らかとなった。この新知見を元に、本発明は、PLA2G2Fを薬物標的とした表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤の新規スクリーニング方法を提供する。
1.概要
(1)PLA2G2Fは表皮のsPLA2アイソザイムである
本発明者は、野生型マウス(C57BL/6)の皮膚における各種sPLA2アイソザイムの発現を調べたところ、PLA2G2Fは皮膚の主要なアイソザイムであり、表皮に局在することを見出した(図3)。ヒトにおいても同様に、PLA2G2Fは皮膚の主要なsPLA2アイソザイムであり、表皮角化細胞の過増殖を伴う乾癬や皮膚癌の表皮において発現が増加していた(図3)。
(2)PLA2G2Fは表皮角化細胞の増殖分化に関わる
マウスPLA2G2Fを過剰発現したTgマウスは表皮角化症(epidermal hyperplasia)の表現型を示し、表皮角化細胞の増殖分化マーカーの発現が顕著に亢進した(図4)。図4において、トランスジェニックマウスでは表皮分化マーカー(乾癬マーカー)の発現が増加していることが分かる。
Tgマウスの皮膚のリピドミクス解析から、本酵素は皮膚のリン脂質(ホスファチジルエタノールアミン)からドコサヘキサエン酸(DHA)などの高度不飽和脂肪酸を遊離し、9-HODEやPD1などの脂質メディエーターの産生とリンクすることが分かった。
新生児マウスの皮膚より初代培養表皮細胞を調整し、培地にCa2+を添加すると、より分化の進んだ表皮角化細胞へと分化することが知られている。この培養系において、表皮細胞の分化増殖マーカーであるS100a9, Keratin 1の発現が顕著に増加し、これと並行してPLA2G2Fの発現が誘導された(図5)。この培養系に非特異的sPLA2阻害剤(Oslund RC, Cermak N, Gelb MH. Highly specific and broadly potent inhibitors of mammalian secreted phospholipases A2. J Med Chem. 2008, 51. 4708-14.)を添加するとS100a9の発現誘導が抑制された(図6)。以上のことから、内因性のPLA2G2Fは表皮角化細胞の増殖分化を制御しているものと結論した。
(3)PLA2G2Fは皮膚癌や乾癬の進展に関わる
以上の解析結果から、本発明者はPLA2G2Fの発現増加が表皮角化細胞の過増殖性疾患、例えば皮膚癌や乾癬の進展に関わることを予想し、本発明のトランスジェニックマウス(PLA2G2F Tgマウス)を用いてこれを検証した。例えばPLA2G2F Tgマウスの背部にDMBA(ジメチルベンズアントラセン)を塗布した後、TPA(12-O-テトラデカノイルホルボール 13-アセタート;ホルボールエステル)を24週連続塗布することで皮膚癌を惹起すると、野生型マウスと比較して腫瘍の増殖が顕著に増悪した(図6)。以上の解析結果から、PLA2G2Fは皮膚癌の増殖に対して促進的に作用することが明らかとなり、本病態に対する新規治療標的となり得ると考えるに至った。
これらの知見から、PLA2G2Fの酵素活性を阻害することにより、皮膚癌の進展を抑制できることが予想される。従って、本発明は、PLA2G2Fの酵素活性阻害を指標として、以下の表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤の新規スクリーニング系を提供する。「表皮角化細胞の過増殖性疾患」とは、表皮角化細胞が正常に分化せず異常分化・過増殖の所見を示す疾患を意味し、例えば皮膚癌、乾癬、脂漏性角化症、光線角化症、掌蹠角化症などが含まれる。
(i)本発明の一態様においては、本発明のトランスジェニック非ヒト動物(PLA2G2F Tg非ヒト動物)を表皮角化細胞の過増殖性疾患モデル動物とし、この動物に候補となる被検物質薬物を投与し、表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する抑制効果について評価する。また、本発明のモデル動物は、上記表皮角化細胞の乾癬様の過増殖性疾患を自然発症するが、DMBA-TPAなどで人為的に表皮角化細胞の癌性の過増殖性疾患を誘発させることもできる。従って、本発明においては、誘発させた疾患モデル(例えば皮膚癌モデル(図6))に対する抑制効果について評価する。
また、被検物質を投与した非ヒト動物(例えばBALB/cマウス)を乾癬誘発物質(例えばイミキモド)や皮膚癌誘発物質(例えばDMBA-TPA)で処理することにより、より生理的条件に近い状況下での薬効評価を行うことも可能である。
従って、この態様のスクリーニング方法は、本発明の表皮角化細胞の過増殖性疾患モデル動物に被検物質を投与し、当該被検物質投与後の前記モデル動物における表皮角化細胞の過増殖性疾患の抑制効果を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤(例えば抗皮膚癌薬又は抗乾癬薬)を選択する工程を含む。その際、本発明のモデル動物に、過増殖性疾患誘発物質を投与して、人為的に表皮角化細胞の過増殖性疾患を誘発させることもできる。また本発明では、PLA2G2Fをコードする遺伝子が導入されたトランスジェニック非ヒト動物に被検物質を投与した後、当該動物に表皮角化細胞の過増殖性疾患誘発物質を投与し、当該疾患の抑制効果を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤(例えば抗皮膚癌薬又は抗乾癬薬)を選択する工程を含む。
(ii)初代培養表皮細胞を表皮角化細胞に分化させる系は内因性のPLA2G2Fに強く依存することから(図5)、本発明の別の態様では、本発明のトランスジェニックマウス若しくは野生型マウス自体、又はこれらのマウス由来の表皮細胞を被検物質の存在下で培養し、細胞増殖分化マーカーの発現が抑制されるか否かについて調べる。この実験系の妥当性と有効性は、非特異的sPLA2阻害剤が野生型マウス由来の表皮細胞の分化を顕著に抑制することからも明らかである。
従って、この態様のスクリーニング方法は、PLA2G2Fをコードする遺伝子が導入された細胞、又は本発明の表皮角化細胞の過増殖性疾患モデル動物若しくは当該モデル動物から採取された生体材料に被検物質を接触させ、当該接触後の前記細胞、前記生体材料又は前記モデル動物におけるPLA2G2Fの酵素活性又は細胞増殖分化マーカーを検出し、得られる検出結果を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤(例えば抗皮膚癌薬又は抗乾癬薬)を選択する工程を含む。
さらに、本発明は、野生型非ヒト動物に表皮角化細胞の過増殖性疾患誘発物質を投与して上記疾患を発症させ、上記疾患発症非ヒト動物、又は上記疾患発症非ヒト動物から採取された生体材料に被検物質を接触させ、当該接触後の前記疾患発症非ヒト動物又は前記生体材料おけるPLA2G2Fの酵素活性又は細胞増殖分化マーカーを検出し、得られる検出結果を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤(例えば抗皮膚癌薬又は抗乾癬薬)を選択する工程を含む、前記表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤のスクリーニング方法を提供する。
さらに、本発明は、野生型非ヒト動物若しくは野生型非ヒト動物から採取された生体材料、又は癌細胞に被検物質を接触させ、当該接触後の前記非ヒト動物若しくは前記生体材料又は癌細胞におけるPLA2G2Fの酵素活性又は細胞増殖分化マーカーを検出し、得られる検出結果を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤(例えば抗皮膚癌薬又は抗乾癬薬)を選択する工程を含む。
(iii) PLA2G2F標品(例えば遺伝子工学的に作製したリコンビナントPLA2G2F標品)に被検物質を添加する。被検物質がPLA2G2Fの酵素活性阻害作用を有する場合は、リン脂質から脂肪酸を遊離する酵素活性が阻害される。対照として他のsPLA2アイソザイムと比較することによりPLA2G2Fに対する薬物の特異性も評価できることから、他のアイソザイムに対するoff-target effectを排除できる。
この態様のスクリーニング方法は、PLA2G2Fを被検物質で処理した後、当該PLA2G2Fの酵素活性を検出し、得られる検出結果を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤(例えば抗皮膚癌薬又は抗乾癬薬)を選択する工程を含む。
以上により、(i) in vivoレベル、(ii) 細胞レベル、(iii) in vitroレベルの3段階で、PLA2G2F阻害を指標とした薬効を評価し、表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤(例えば抗皮膚癌薬又は抗乾癬薬)を選択することができる。
本発明において、「抗皮膚癌薬」とは、本発明のスクリーニングの対象となる薬物であり、皮膚癌治療薬及び皮膚癌予防薬の両者を包含する。皮膚癌にはメラノーマが含まれる。
また、本発明においては、皮膚癌以外にも「抗癌薬」としてスクリーニングの対象とすることができ、この場合の癌種は、例えば脳腫瘍、頚癌、食道癌、舌癌、肺癌、乳癌、膵癌、胃癌、小腸又は十二指腸の癌、大腸癌(結腸癌、直腸癌)、膀胱癌、腎癌、肝癌、前立腺癌、子宮癌、卵巣癌、甲状腺癌、胆嚢癌、白血病(例えば、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)及び急性リンパ性白血病(ALL)、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫(MM)など)などを挙げることができる。
本発明において、「抗乾癬薬」とは、本発明のスクリーニングの対象となる薬物であり、乾癬治療薬及び乾癬予防薬の両者を包含する。乾癬には尋常性乾癬、関節症性乾癬、皮疹が小型の滴状乾癬、膿疱を伴う皮疹をもつ膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症などが含まれる。
2.表皮角化細胞の過増殖性疾患モデル非ヒト動物
本発明の表皮角化細胞の過増殖性疾患モデル非ヒト動物は、PLA2G2Fをコードする遺伝子が導入されたトランスジェニック非ヒト動物そのもののほか、当該動物に表皮角化細胞の過増殖性疾患(例えば皮膚癌)を人為的に誘発させた動物を含む。
PLA2G2Fをコードする遺伝子が導入されたトランスジェニック非ヒト動物は、公知方法を利用して作出することができる。
本発明に用いることができる非ヒト動物としては、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ブタ、イヌ、ネコ、サル(霊長類)、ヒツジ、ヤギ、ウシ及びウマ等のヒトを除く哺乳類動物、あるいは、ゼブラフィッシュ、ショウジョウバエが挙げられ、中でも、マウス、ラット等の齧歯類(ネズミ目)動物が好ましく、より好ましくはマウスである。
本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、公知の作出方法、すなわち受精卵核へのDNAマイクロインジェクションによる方法、胚性幹細胞(ES細胞)にDNAを導入した後キメラを作製する方法、及びレトロウイルスベクターを初期発生胚に感染させて導入する方法等のいずれの方法を用いることができる。これらの方法については、例えば、「Manipulating the Mouse Embryo-A Laboratory Manual, 2nd Ed. (1994) Hogan B et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press」、Kanegae, Y., Takamori, K., Sato, Y., Lee, G., Nakai, M., and Saito, I. Gene (1996) 181, 207-212 等に記載されている。
また、PLA2G2Fをコードする遺伝子が導入されたトランスジェニックマウスは既に作製されており、作出自体は文献(Ohtsuki M, TaketomiY, Arata S, Masuda S, Ishikawa Y, Ishii T, Takanezawa Y, Aoki J, Arai H, Yamamoto K, Kudo I, Murakami M. J Biol Chem. 2006, 281, 36420-33.)に記載の方法に従って行うことができる。
このようにして作出されたトランスジェニック非ヒト動物、好ましくはトランスジェニックマウスは、皮膚癌や乾癬などの表皮角化細胞の過増殖性疾患に感受性である。従って、本発明のトランスジェニック非ヒト動物は表皮角化細胞が過増殖するため、表皮角化細胞の過増殖性疾患のモデルとして使用することができる。また、表皮角化細胞の過増殖性疾患誘発性物質をトランスジェニック非ヒト動物に投与することにより、上記疾患(例えば皮膚癌や乾癬)のモデルを得ることもできる。
皮膚癌誘発性物質としては、特に限定されるものではないが、DMBA(ジメチルベンズアントラセン)、TPA(12-O-テトラデカノイルホルボール 13-アセタート;ホルボールエステル)、MNNG(N-メチル-N''-ニトロ-ニトロソグアニジン)、クリサロビン、過酸化ベンジルなどが挙げられ、これらを単独で、又は適宜組み合わせて使用することができる。
皮膚癌を誘発させるための投与方法は限定されるものではないが、トランスジェニック非ヒト動物の表皮に皮膚癌誘発物質を塗布することが好ましい。
乾癬誘発物質としては、特に限定されるものではないが、イミキモド、インターロイキン-22、インターロイキン-36などが挙げられ、これらを単独で、又は適宜組み合わせて使用することができる。乾癬を誘発させるための投与方法は限定されるものではないが、トランスジェニック非ヒト動物の表皮に上記乾癬誘発物質を塗布することが好ましい。
前記のとおり、本発明のトランスジェニックマウスにDMBAを塗布した後、TPAを24週間連続塗布すると、皮膚癌が惹起され、野生型マウスに比べて皮膚癌の増殖が憎悪した。
このようにして皮膚癌が誘発されたトランスジェニック非ヒト動物を、皮膚癌モデル動物として使用する。
3.スクリーニング方法
本発明において、表皮角化細胞の過増殖性疾患(例えば皮膚癌や乾癬)の治療薬の候補となる被検物質(候補物質)は、特に限定されるものではなく、例えば、ペプチド、タンパク質、DNA、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液などが挙げられ、これら化合物は新規化合物であってもよいし、公知化合物であってもよい。これら被検物質は塩を形成していてもよく、被検物質の塩としては、生理学的に許容される酸(例えば無機酸など)や塩基(例えば有機酸など)などとの塩が用いられ、生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩などが用いられる。被検物質は、単一の物質を独立に試験しても、混合物(ライブラリーなどを含む)について試験をしてもよい。複数の被検物質を含むライブラリーとしては、合成化合物ライブラリー(コンビナトリアルライブラリーなど)、ペプチドライブラリー(コンビナトリアルライブラリーなど)などが挙げられる。
被検物質のトランスジェニック非ヒト動物への投与方法は特に限定されるものではなく、例えば経口投与、非経口投与(注射等)などが用いられ、動物の症状、被検物質の性質などにあわせて適宜選択することができる。また、被検物質の投与量は、投与方法、被検物質の性質などに応じて適宜選択することができる。
被検物質投与の対象となるトランスジェニック非ヒト動物(被検動物)及び対照動物としては、特に限定されるものではないが、通常、同種の非ヒト動物を用いる。また被験動物及び対照動物は、同腹の動物を用いることが好ましく、同性及び同齢の動物を用いることがより好ましい。
本発明においては、トランスジェニック非ヒト動物に表皮角化細胞の過増殖性疾患誘発物質を投与して表皮角化細胞の過増殖性疾患を発症させた後(皮膚癌又は乾癬モデル動物の作出後)に、このモデル動物に被検物質を投与して表皮角化細胞の過増殖性疾患の抑制効果を調べる態様と、トランスジェニック非ヒト動物に被検物質を投与した後に表皮角化細胞の過増殖性疾患誘発物質を投与して当該疾患の抑制効果を調べる態様がある。どちらの態様も、抑制効果が得られた被検物質は、表皮角化細胞の過増殖性疾患(例えば皮膚癌又は乾癬)の治療薬又は予防薬として選択することができる。
被検物質が表皮角化細胞の過増殖性疾患を抑制したかどうかを評価するための対象としては、例えば、表皮角化細胞の過増殖性疾患発症の有無、当該疾患の縮小の有無又は度合い、表皮角化細胞の増殖の有無又は度合い等が挙げられる。これらの評価は、動物の外見、組織学的解析、動物におけるPLA2G2Fの発現量等を指標として行うことができる。そして、表皮角化細胞の過増殖性疾患の抑制効果について、疾患の発症抑制、疾患の縮小、表皮角化細胞(皮膚癌細胞等)の増殖抑制などの効果の少なくとも1つが観察されたときは、被検物質は表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する抑制作用(例えば抗皮膚癌作用又は抗乾癬作用)を有する物質であると判定する。
ここで、表皮角化細胞の過増殖性疾患の抑制効果を評価するには、比較対照としてPLA2G2F遺伝子が導入されていない野生型非ヒト動物、あるいはPLA2G2F遺伝子が導入されているが誘発物質が投与されていない動物などを用いることが好ましい。
また、本発明においては、上記疾患モデル非ヒト動物自体を用いる態様に限定されず、トランスジェニック非ヒト動物自体、若しくはトランスジェニック非ヒト動物から採取された生体材料、又はPLA2G2Fをコードする遺伝子が導入された形質転換細胞を被検物質と接触させ、接触後にPLA2G2Fの酵素活性又は細胞増殖マーカーの発現を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤を選択することもできる。
あるいは、野生型非ヒト動物自体、又は野生型非ヒト動物由来の生体材料を被検物質と接触させ、あるいは表皮角化細胞又は癌細胞を被検物質と接触させ、接触後にPLA2G2Fの酵素活性又は細胞増殖マーカーの発現を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤を選択することもできる。
この場合、野生型又はトランスジェニック非ヒト動物自体に被検物質を接触させるには、被検物質をこれらの動物に注射等により接種すればよい。また、トランスジェニック非ヒト動物若しくは野生型非ヒト動物から採取された生体材料、又は形質転換細胞、表皮角化細胞若しくは癌細胞を被検物質と接触させ、接触後におけるPLA2G2Fの酵素活性又は表皮細胞増殖分化マーカーの発現を検出し、得られる検出結果を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患(例えば皮膚癌又は乾癬)の治療薬を選択する工程を含む。生体材料は、非ヒト動物から採取される材料を意味し、細胞、組織、体液、血液、リンパ液などが挙げられる。本発明においては細胞であることが好ましい。ヒトの皮膚から採取された生体材料も使用できる。また、癌細胞を使用する場合は、樹立された培養癌細胞であってもよく、癌を発症した動物から採取された癌細胞であってもよい。癌の種類は限定されるものではないが、皮膚癌であることが好ましい。
「接触させる」とは、被検物質を非ヒト動物に投与する態様、被検物質を生体材料に添加する態様、被検物質の存在下で培養する態様などがある、被検物質を生体材料に添加する態様は、細胞の培養物に被検物質を添加すること、体液、血液又はリンパ液等に被検物質を添加することなどが挙げられる。「培養物」とは、細胞、培養液、細胞抽出物のいずれをも意味する。「被検物質の存在下で培養する」とは、細胞と被検物質とが接触する条件下で培養することを意味し、被検物質の上記細胞等との接触は、例えば、細胞培養培地や各種緩衝液(例えば、HEPES緩衝液、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水、トリス塩酸緩衝液など)の中に被検物質を添加して、細胞を一定時間インキュベートすることにより実施することができる。
培養物中に添加される被検物質の濃度は化合物の種類(溶解度、毒性等)により異なるが、例えば、1nM〜100μMの範囲で適宜選択される。インキュベート時間としては、例えば、24〜72時間が挙げられる。
「表皮細胞増殖分化マーカー」とは、表皮最下層の基底細胞が上層の表皮有棘細胞、顆粒細胞、角質細胞に増殖分化する際に特異的に発現が誘導される分子を意味し、本発明においてはKeratin 1、Keratin 10、S100a9などが挙げられる。表皮細胞分化増殖マーカーを測定するための測定手法には限定されず、定量的PCRによりmRNA発現量を解析する、あるいはウエスタンブロッティングや免疫抗体染色によりタンパク発現量を解析する。表皮細胞分化増殖マーカーを用いたときの選択基準については、Keratin 1、Keratin 10、S100a9の発現が増加したときは表皮細胞の増殖分化が進んだ状態(皮膚癌又は乾癬)であると判断する。
さらに、上記動物や細胞を用いずにPLA2G2Fの酵素活性を測定し、この測定結果を指標とすることも可能である。動物や細胞を用いない態様の場合は、PLA2G2Fを被検物質で処理してPLA2G2Fの酵素活性を検出し、得られる検出結果を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患の治療薬を選択する工程を含む。「被検物質で処理」するとは、PLA2G2Fと被検物質とが接触するアッセイ系に両者を混合させることを意味する。例えば、試験管にPLA2G2Fと被検物質とを混合すること、PLA2G2Fが含まれる試験管に被検物質を添加すること、被検物質が含まれる試験管にPLA2G2Fを添加し、必要により所定時間反応させることを意味する。
酵素活性の測定は、基質となるリン脂質にPLA2G2Fリコンビナント酵素標品を添加して、遊離される脂肪酸あるいはリゾリン脂質を定量することにより行なうことができる。例えば、Phosphatidylcholine, L-α-1-palmitoyl-, 2-linoleoyl, [linoleoyl-1-14C] (American Radiolabeled Chemicals社)、sPLA2 assay kit (Cayman社)などを用いることにより測定できる。
酵素活性の測定装置は、例えばLSC-6100液体シンチレーションカウンター(ALOKA社)、ARVO mxマルチラベルカウンター(Perkin Elmer社)などを用いることができる。
被検物質の存在下で培養された細胞において測定された測定結果、又は被検物質により処理されたPLA2G2Fの活性の測定結果が、対照と比較して阻害されたときは、被検物質を表皮角化細胞の過増殖性疾患(例えば皮膚癌又は乾癬)の治療薬として選択する。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1.トランスジェニック動物の作製
文献(Ohtsuki M, TaketomiY, Arata S, Masuda S, Ishikawa Y, Ishii T, Takanezawa Y, Aoki J, Arai H, Yamamoto K, Kudo I, Murakami M. J Biol Chem. 2006, 281, 36420-33.)に記載の方法に従った。具体的には、マウスPLA2G2Fの全長cDNAをpCALNL5ベクター(Kanegae, Y., Takamori, K., Sato, Y., Lee, G., Nakai, M., and Saito, I. Gene 1996, 181, 207-212)のEcoRIサイトに組み込み、これをHindIII/SalI(Takara社)で処理して線状DNAとした後に、マイクロマニピュレーター(Nikon社)を用いてC57BL/6マウスの受精卵前核にマイクロインジェクションした。この卵を仮親となるICRマウスの子宮内に移植し、産仔を得た。4週齢個体の尾の先端部からDNAを抽出し、PCR法によりジェノタイピングを行い、PLA2G2Fトランスジーン陽性の個体を選別した。PCRジェノタイピングは、0.1μgのDNAにpCALNL5ベクター特異的プライマーとPLA2G2F特異的プライマー(Applied Biosystems社)、ならびにEx Taqポリメラーゼ(Takara社)を添加し、PCR装置(Applied Biosystems社)を用いて行った。選別した雄個体を雌C57BL/6と交配し、得られた産仔の尾先端から再びDNAを抽出してPCRジェノタイピングを行い、トランスジーンが子孫に伝わることを確認した。この状態ではPLA2G2Fトランスジーンはまだ不活性型であり、Cre-LoxPシステムによりトランスジーンの5’側に位置するNeoカセットを除くことにより活性型に変換できる。得られた産仔をCreリコンビナーゼTgマウスと交配し、得られた産仔の尾先端から抽出したDNAに対してPCRジェノタイピングを行い、活性型PLA2G2Fトランスジーンを発現する個体をTgマウスとして、発現しない個体をWTマウスとして実験に用いた。
2.表現型の解析
図3.
マウス皮膚におけるsPLA2の発現:C57BL/6マウスを交配させ胎生17.5日(E17.5)、胎生18.5日(E18.5)、出生当日(P0)、生後5日(P5)、生後10日(P10)、生後15日(P15)、生後20日(P20)、生後25日(P25)のマウスをイソフルランで麻酔後、背部皮膚を採取し液体窒素で凍結させて-80℃で保管した。TRIZOL (Invitrogen社)をRNA調製に使用するマウス臓器100 mgに対して1 mL加え、ハンドホモジナイザー(DIAX 900)(Heidolph社)を用いて破砕した。破砕溶液にクロロホルムを1/5容量加えて激しく撹拌した後、15,000 rpm、室温で10分間遠心して上清を分取した。上清に同容量の2−プロパノールを加えて転倒混和し、-20℃で15分間静置した後、5,000 rpm、4℃で15分間遠心してRNAを沈殿させた。
上清を除いて75% (v/v) エタノールを加え、15,000 rpm、4℃で5分間遠心してRNAを洗浄した。上清を除いた沈殿は滅菌水を適量加えて再溶解させ、260 nmにおける吸光度の測定によりRNAを定量した。
High-Capacity cDNA Reverse Transcription Kits (Applied Biosystems社)を用いて逆転写反応を行い、cDNAを作製した。定量的PCRはTaqMan法またはSYBR法によって行った。TaqMan法ではTaqMan(登録商標)Universal PCR Master Mix (Applied Biosystems社)を用いて、cDNA試料1 μLに2 x PCR Master Mix 10 μL、TaqMan(R) Gene Expression Assays, Inventoried (Pla2g2f, Pla2g2d, Pla2g5, Pla2g10) (Applied Biosystems社)を加え、滅菌水で全量を20 μLに調製した。
96穴プレート(MicroAmp(登録商標)Optical 96-well Reaction Plate)(Applied Biosystems社)を用い、7300 Real-Time PCR System (Applied Biosystems社)を使用して、以下の温度条件で反応させた(50℃-2 min → 95℃-10 min → (95℃-15 sec → 60℃-1 min ) x 40 cycles)。
18S rRNAの測定はSYBR法で行い、Power SYBR Green Master Mix (Applied Biosystems社)を使用し、RT産物1μLに2 x SYBR Master Mix 10 μL、300 nM Forward primer (TCGAGGCCCTGTAATTGGAA(配列番号1))、300 nM Reverse primer (CCCTCCAATGGATCCTCGTT(配列番号2))を加え、滅菌水で全量を20μLに調製した。これを96穴プレート(Applied Biosystems社)を用いて、Real-Time PCR System(Applied Biosystems社)を用いて以下の温度条件で反応させた(50℃-2 min → 95℃-10 min → (95℃-15 sec → 60℃-1 min) x 40 cycles → 95℃-15 sec → 60℃-30 sec → 95℃-15 sec)。目的とする遺伝子発現量は比較CT法(DDCT法)を用いて産出した。In situ hybridization:出生当日(P0)のマウスをイソフルランで麻酔後、4%パラホルムアルデヒドリン酸緩衝液(pH7.4)で固定した後、ジェノスタッフ社に委託した。検出プローブはPLA2G2F mRNA断片を用いた。
Northern blotting:5週齢のC57BL/6の雌マウスから全身臓器を摘出し、定法に従ってRNAを調製した。RNA10μgを1.2% (w/v)ホルムアルデヒド-アガロースゲル(1.2% Agarose S(Nippon Gene社)、1X MOPS(Dojin社)、13% Formaldehyde(Wako社)で電気泳動し、泳動終了後、UV検出機(BioDoc-It Imaging System, UVP社)でrRNAの撮影をおこなった。ゲルをRNA変性溶液(50mM NaOH, 10mM NaCl)に15分、中和溶液(1.5M NaCl, 0.5M Tris-HCl (pH7.5))に15分、20XSSC (3M NaCl, 0.3M Trisodium Citrate Dihydrate)に10分ずつ浸した後、Immobilon-N membrane (Millipore社)にキャピラリー法にて一晩転写した。この膜を80℃で2時間インキュベートし、RNAを膜に固定した。膜を0.2X SSC/0.5% SDSで洗浄した後、Hybridization oven (Bio Rad社)内においてPrehybridization buffer(5X SSC, 5X Denhardt's (Nacalai Tesque社)、50% Formamide, 0.1% SDS, 1mM EDTA, 10mM リン酸バッファー(pH6.8))で2時間振とうした。
Prehybridization bufferを除き、Hybridization buffer(5X SSC, 1X Denhardt's (Nacalai Tesque社)、50% Formamide, 0.1% SDS, 1mM EDTA, 10mM リン酸バッファー(pH 6.8), 10% Dextran Sulfate (Sigma社) 10mg/ml Deoxyribonucletic Acid Sodium Saltを加え、[α-32P]dCTP (Perkin Elmer社)で標識したマウスPLA2G2F cDNAを加え、42℃で一晩振とうした。放射標識プローブの作製はRandom Primer DNA Labeling kit ver. 2 (Takara 社)を用いておこなった。
Hybridization終了後、膜を洗浄液1(1X SSC, 0.2% SDS, 500mM EDTA, 10mM リン酸バッファー(pH6.8))で室温10分2回、さらに洗浄液2(0.2X SSC, 0.2% SDS, 500mM EDTA, 10mM リン酸バッファー(pH6.8))で55℃15分間1回洗浄した。洗浄した膜をXSR-5フィルム(Kodak社)へ-80℃で感光させ、PLA2G2Fの特異的なバンドを検出した。
共焦点蛍光顕微鏡を用いた免疫組織染色:出生当日のマウス(P0)をイソフルランを用いて麻酔し背部皮膚を採取した。10% (w/v) 中性ホルマリン緩衝溶液(Wako社)を用いて一晩固定した組織を適当な大きさに成形し、包埋カセット(ユニカセット;Sakura Finetek社)に入れて70% エタノール中に1時間浸漬させた。真空自動固定包埋装置(サクラバキュームロータリーVRX-23;Sakura Finetek社)を用いて以下のように組織中のエタノール濃度を上げた後パラフィンに置換し、包埋した(70% エタノール → 80% エタノール → 90% エタノール → 100% エタノール(5回) → 100% キシレン(3回) → 100% キシレン (4回))(Tissue Enbedding Medium;Mc Cormick Sientific社) → 100% パラフィン (60℃) → 100% パラフィン (60℃) → 100%パラフィン (60℃)、各3時間ずつ浸漬)。
包埋したパラフィンブロックは滑走ミクロトーム(ライカSM2000R;Leica社)を用いて厚さ約7 μmに切削し、切り出した切片を42℃水浴上に浮かべて扁平にし、スライドグラス(Micro slide glass スーパーフロストホワイトS-9441;MATSUMAMI社)に貼り付けた後、42℃のティッシュー・テック(登録商標)パラフィン伸展器(PS-53;Sakura Finetek社)で一晩乾燥させた。パラフィン包埋切片のスライドを染色用バスケットに入れ、以下のように順に各液に浸して脱パラフィンした(キシレン 5 分 (4回) → 99% エタノール 30 秒 →95% エタノール 30 秒→ 90% エタノール 30 秒→ 80%エタノール 30 秒→ 70% エタノール 30 秒→ 50% エタノール 30 秒)。
脱パラフィン後のスライドをリン酸緩衝液(PBS)で2回(各3分間)洗浄し、ブロックエース(大日本製薬)を用いて室温で30分間処理して非特異的タンパク質に対するブロッキングを行った。その後、T-PBS(0.05% Tween 20含有PBS)で2回(各3分間)洗浄し、PLA2G2F抗体(1,000倍希釈)で4℃一晩反応させた。T-PBSで3回(各3分間)洗浄し、Alexa647直接標識抗ウサギ抗体(Molecular Probe社;1,000倍希釈)を用いて常温で1時間反応させた。T-PBSで3回(各3分間)洗浄し、Alexa 555 labeling kit(Molecular Probe社)で標識させた抗マウスLoricrin抗体(Covance社, 500倍希釈)、抗マウスKeratin 1抗体(Covance社, 500倍希釈)、抗マウスKeratin 5抗体(Covance社, 500倍希釈)を用いて、常温で1時間反応させた。T-PBSで3回(各3分間)洗浄し、VECTASHIELD Mounting Medium with DAPI (Vector laboratories社)で封入し、共焦点レーザー顕微鏡(LSM510; Carl Zeiss社)で観察した。
ヒト皮膚サンプルを用いた免疫組織染色:ヒトの正常皮膚、乾癬および皮膚癌の剖検切片を脱パラフィンし、PBSに3分間浸漬し、2回洗浄した後、3% (v/v) H2O2を含むPBSに5分浸漬し、内因性ペルオキシダーゼを失活させた。その後0.05% T-PBS(0.05% Tween 20含有PBS)に3分浸漬し洗浄し、抗体の非特異的反応を防ぐため、5% スキムミルク(森永) (in T-PBS) に30分浸漬しブロッキングを行い、再度T-PBSに3分浸漬することでスライドを洗浄した。
1 %スキムミルクを含むT-PBSで希釈した一次抗体と(抗ヒトPLA2G2F抗体:500倍希釈、正常ウサギ血清:500倍希釈)一晩反応させた。スライドを3回洗浄したのち、HRP標識の抗ウサギIgG抗体(EnVision system Labeled Polymer-HRP Anti-Rabbit; Dako社) を加え、室温で30分反応させた。3回洗浄後、ジアミノベンチジン (DAB) 染色液 (Liquid DAB Substrate Cheomogen System; Dako社) を用いて発色し、流水で3分間洗浄した。染色後の切片を染色用バットに入れ、70% (v/v) エタノール1分→80% (v/v) エタノール1分 → 90% (v/v) エタノール 1分 → 95% (v/v) エタノール1分 → 99% (v/v) エタノール1分 → キシレン 1分×4回の順に各溶液に浸け脱水・透徹を行った。脱水・透徹後、ソフトマウント (Wako) を用いて、カバーガラス (NEO MICRO COVER GLASS; MATSUMAMI社) により封入した。作製した組織切片は顕微鏡 (BX61; OLYMPUS社) および画像解析ソフトウェア (DP2-BSW; OLYMPUS社) を用いて観察した。
図4
ヘマトキシリン・エオシン染色:生後25日のマウスをイソフルランを用いて麻酔し背部皮膚を採取した。10% (w/v) 中性ホルマリン緩衝溶液(Wako社)で一晩固定した組織を適当な大きさに成形し、パラフィン置換をおこなった。ミクロトームを用いて厚さ約7μmに切削し、スライドグラスに貼り付けた。脱パラフィン操作を行った後、マイヤー・ヘマトキシリン溶液(Wako社)に約1分間浸漬し、水道水で3分間洗浄した。その後エオジン (0.5% Eosin Y ethanol solution; Wako社) に約1分浸漬し、再度水道水で3分間洗浄した。脱水および透徹を行った後、ソフトマウント (Wako社) を用いて、カバーガラス(NEO MICRO COVER GLASS; MATSUMAMI社) により封入した。作製した組織切片は顕微鏡 (BX61; OLYMPUS社) および画像解析ソフトウェア (DP2-BSW; OLYMPUS社) を用いて観察した。
マイクロアレイ:生後25日のマウスをイソフルランを用いて麻酔し背部皮膚を採取した。定法に従ってRNAを採取し、RNeasy mini kit(Qiagen社)を用いて完全精製した。Quick Amp Labeling kit (Agilent社)を用いて蛍光標識されたcRNAを合成し、Whole Mouse Genome Oligo Microarray (Agilent社)と反応させた。Laser Scanner GenePix 4000B (Molecular Devices社)を用いて蛍光強度を測定しGenePix Software (Molecular Devices社)を用いて解析をおこなった。
qRT-PCR:生後25日のマウスをイソフルランを用いて麻酔し背部皮膚を採取した。定法に従ってRNAを採取し、High-Capacity cDNA Reverse Transcription Kits (Applied Biosystems社)によって逆転写反応を行いcDNAを作製した。18S rRNAはSYBR法によって7300 Real-Time PCR System (Applied Biosystems社)を使用して測定した。S100a9, Krt1, Flg, Krt14, Tgm1, Tgm2は、下記に示すそれぞれの遺伝子に特異的なプライマーおよびTaqManプローブ(Roche社)を用いて測定した。
S100a9: CACCCTGAGCAAGAAGGAAT(配列番号3), TGTCATTTATGAGGGCTTCATTT(配列番号4), Universal ProbeLibrary Probe 31 (Roche社).
Krt1: TTTGCCTCCTTCATCGACA(配列番号5), GTTTTGGGTCCGGGTTGT(配列番号6), Universal ProbeLibrary Probe 62 (Roche社).
Flg: AGCACGGCTCCGGATACTA(配列番号7), AACTGCTGCTGCGTTGCT(配列番号8), Universal ProbeLibrary Probe 49 (Roche社).
Krt14: ATCGAGGACCTGAAGAGCAA(配列番号9), TCGATCTGCAGGAGGACATT(配列番号10), Universal ProbeLibrary Probe 83 (Roche社).
Tgm1: GCCCTTGAGCTCCTCATTG(配列番号11), CCCTTACCCACTGGGATGAT(配列番号12), Universal ProbeLibrary Probe 10 (Roche社).
Tgm2: GGTGATCCTCGCTTGAGTGT(配列番号13), CTCCAAATCACACCTCTCCAG(配列番号14), Universal ProbeLibrary Probe 17 (Roche社).
図5
初代表皮細胞の培養:生後3日以内のマウスを氷上に30分放置して活動を抑制させ、背部皮膚を採取した。皮膚を1mg/ml コラゲナーゼ溶液/表皮細胞培養溶液内で4℃で2日間処理をおこない、表皮を完全に剥がし、25μmのフィルターに通し、500xgで10分遠心して細胞を回収した。細胞を表皮細胞培養液(ウシ下垂体エキス、EGF、インスリン含有)に懸濁し、コラーゲンコート12-wellプレートに播き培養した。表皮細胞培養液にCaCl2が含まれていないため、この段階で表皮細胞以外の細胞は死滅する。
3日後に1mM CaCl2を添加した表皮細胞培養液(ウシ下垂体エキス、EGF、インスリン含有)と交換し、細胞を分化させた。経時的に回収した細胞から定法に従いRNAを回収してcDNAを作製し、PLA2G2F, S100a9, Keratin 14, Keratin 1に対するqPCRをおこなった。必要に応じて、非特異的sPLA2阻害剤またはその対照化合物(Oslund RC, Cermak N, Gelb MH. Highly specific and broadly potent inhibitors of mammalian secreted phospholipases A2. J Med Chem. 2008, 51. 4708-14.)を培養系に添加した。
図6
マウス皮膚癌モデル: 8 週齢の雌マウスの背中を電気バリカンにより剃毛し、2日後に2 mM DMBA 溶液(400nmol/200μL/mouse)を塗布した。1週間後に80μM TPA 溶液(200 μL/mouse)を同部位に塗布をおこない、その後、TPA 溶液を週2回、約24 週間継続的に塗布し、経時的に腫瘍の数を測定した。
結果を図3〜6に示す。
図3において、パネル(A)は胎児期から出生後のマウス皮膚におけるsPLA2アイソザイムの発現レベルを定量的PCRで測定したものであり、PLA2G2F (IIF)の発現が他のアイソザイム(V, X, IID)と比べて著しく高いことを意味している。パネル (B) は新生児マウス (P0) のマウス皮膚のin situ hybridizationであり、PLA2G2Fが表皮に限局していることを意味している。パネル (C)はマウス全身臓器におけるPLA2G2Fの発現をNorthern blottingにより調べた結果であり、PLA2G2Fが皮膚にほぼ特異的に分布(腸管にも多少発現)していることを意味している。パネル (D) はマウス表皮の共焦点レーザー免疫二重染色であり、PLA2G2Fは表皮基底層 (Basal) のマーカーであるKeratin 5とは共局在せず、より分化の進んだ有棘層 (Spinous)〜顆粒層 (Granular)〜角質層 (Cornified) のマーカーであるKeratin 1やLoricrinと共局在することを示している。左は表皮各層におけるマーカー分子発現部位の模式図である。パネル (E) はヒト皮膚におけるPLA2G2Fの免疫組織染色であり、本酵素がヒトにおいても正常皮膚の表皮に局在しており、更に乾癬や皮膚癌等の皮膚過増殖性疾患において発現が増加することを示している。
図4において、パネル(A)はPLA2G2F Tgマウスと野生型マウスの25日齢における皮膚の組織像(ヘマトキシリン-エオジン染色)であり、PLA2G2F Tgマウスの皮膚では表皮過増殖と毛包異常が顕著であることを示している。パネル(B)はPLA2G2F Tgマウスと野生型マウスの皮膚における遺伝子発現をマイクロアレイにより比べたものであり、表皮上層部(有棘層〜顆粒層〜角質層)の遺伝子群の発現がTgマウスで増加していることを示している。左は皮膚の模式図であり、各層の位置関係を示している。パネル(C)は定量的PCRによりパネル(B)の結果を検証したものであり、表皮上層部の遺伝子群の発現がTgマウスで増加していることを更に示唆するものである。なお、パネル(C)において「S100a9」は乾癬のマーカーを表す。

図5において、パネル(A)は新生児の野生型マウスから単離した初代培養表皮細胞における表皮細胞分化増殖マーカーの発現誘導を評価したものであり、PLA2G2Fが本培養系においてS100a9, Keratin 1と共に強く誘導されることを意味している。パネル(B)は野生型マウス由来表皮細胞の増殖分化に対するsPLA2阻害剤の効果を示したものであり、阻害剤添加によりS100a9の発現誘導が抑制される(=増殖分化が阻害される)ことを示している。
図6において、パネル(A)と(B)はPLA2G2F Tgマウスおよび野生型マウスにDMBA-TPA誘導皮膚癌モデルを施行した時の発症率(A)と腫瘍数(B)の経時的モニタリングであり、Tgマウスでは腫瘍の進展が早いことを意味している。パネル(C)は各時点でのマウス背部の外観を示しており、Tgマウスでは野生型マウスと比べて大きな腫瘍が多いことを示している。
配列番号1〜14:合成DNA

Claims (11)

  1. ヒト又はマウス由来のホスホリパーゼA2G2Fをコードする遺伝子が導入されたトランスジェニック非ヒト哺乳類動物を含む、表皮角化細胞の過増殖性疾患モデル動物。
  2. 非ヒト哺乳類動物がマウスである請求項1に記載のモデル動物。
  3. 表皮角化細胞の過増殖性疾患が皮膚癌又は乾癬である請求項1又は2に記載のモデル動物。
  4. 皮膚癌誘発物質によって皮膚癌を誘発させた、請求項3に記載のモデル動物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のモデル動物に被検物質を投与し、当該被検物質投与後の前記モデル動物における表皮角化細胞の過増殖の抑制効果を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤を選択する工程を含む、当該薬剤のスクリーニング方法。
  6. ヒト又はマウス由来のホスホリパーゼA2G2Fをコードする遺伝子が導入されたトランスジェニック非ヒト哺乳類動物に被検物質を投与した後、当該動物に表皮角化細胞の過増殖性疾患誘発物質を投与し、当該疾患の抑制効果を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤を選択する工程を含む、当該薬剤のスクリーニング方法。
  7. ヒト又はマウス由来のホスホリパーゼA2G2Fをコードする遺伝子が導入された細胞、又は請求項1〜4のいずれか1項に記載のモデル動物若しくは当該モデル動物から採取された生体材料に被検物質を接触させ、当該接触後の前記細胞、前記生体材料又は前記モデル動物におけるホスホリパーゼA2G2Fの酵素活性を検出し、得られる検出結果を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤を選択する工程を含む、当該薬剤のスクリーニング方法。
  8. 野生型げっ歯類動物に表皮角化細胞の過増殖性疾患誘発物質を投与して当該疾患を発症させ、当該疾患発症げっ歯類動物、又は当該疾患発症げっ歯類動物から採取された生体材料に被検物質を接触させ、当該接触後の前記疾患発症げっ歯類動物又は前記生体材料おけるホスホリパーゼA2G2Fの酵素活性を検出し、得られる検出結果を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤を選択する工程を含む、当該薬剤のスクリーニング方法。
  9. 野生型げっ歯類動物、げっ歯類動物から採取された生体材料、ヒト皮膚から採取された生体材料、又はげっ歯類動物若しくはヒト由来の過増殖性表皮角化細胞に被検物質を接触させ、当該接触後の前記げっ歯類動物、前記生体材料又は前記過増殖性表皮角化細胞におけるホスホリパーゼA2G2Fの酵素活性を検出し、得られる検出結果を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤を選択する工程を含む、当該薬剤のスクリーニング方法。
  10. ヒト又はマウス由来のホスホリパーゼA2G2Fを被検物質で処理した後、当該ホスホリパーゼA2G2Fの酵素活性を検出し、得られる検出結果を指標として表皮角化細胞の過増殖性疾患に対する薬剤を選択する工程を含む、当該薬剤のスクリーニング方法。
  11. 表皮角化細胞の過増殖性疾患が皮膚癌又は乾癬である請求項5〜10のいずれか1項に記載の方法。
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