JP6504236B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
一般的な液晶表示装置としては、例えば、バックライト光源、該バックライト側の偏光板、液晶セル、カラーフィルター及び表示側の偏光板を有する構造が挙げられる。
液晶表示装置の2枚の偏光板は、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。また、液晶セルは2枚の偏光板の間に配置されている。
液晶表示装置の輝度には、バックライト光源が直接的に関連しており、従来、液晶表示装置のバックライト光源としては、CCFL、EEFL、FFL、LED等が用いられており、LED光源は、CCFL光源に比べて応答速度が速く、色表現性が優れており、環境にやさしいということで採用が多くなっていた。
しかしながら、超精細な液晶表示装置の開発とともに、これまでよりも広い色域(国際規格、ITU−R勧告BT.2020)を満たす色表現が求められるところ、従来の白色LED光源(例えば、青色LEDと黄色蛍光体とを組み合わせたLED光源)を用いた液晶表示装置では、このような広色域の国際規格を充分にカバーすることはできなかった。
量子ドット(QD)とは、10億分の1メートルサイズの小さい粒子を意味する「ナノ(nano)」素材であり、量子サイズ効果によりバルク半導体とは異なる光学的特性を持つ。この量子ドットは、光を吸収して異なる波長の光を発生させることができ、サイズを調節することで、赤外から紫外の広い波長範囲の光を出すことができる。また、様々なサイズの量子ドットが共に存在するときに一つの波長で光を発するようにすると、様々な色を一度に出すこともできる。
この量子ドットを用いたQD光源では、従来の白色LED光源と比べて発光スペクトルの半値全幅(FWHM)が狭いため、色純度が高くカラーフィルターによる光ロスも少ない。また、量子ドットを用いたQD光源は、高い変換効率を有するため、高輝度、且つ広色域のバックライト光源となり得る。
しかしながら、このようなセルロースエステルフィルムを、今後も拡大する液晶表示装置産業を支える部材として考えた場合、種々の問題点が存する。なかでも特に重大な問題点としては、次のようなものが指摘されている。
まず、セルロースエステルフィルムの製造は、有機溶媒にセルロースエステルを溶解した溶液を、支持体上にキャスティングし、溶媒を乾燥した後、これを剥離することによって製膜する、いわゆる溶液製膜法によって製造されるのが一般的である。しかしながら、このような溶液製膜法を実施するには、溶媒の乾燥工程等を含めて大規模な設備と特別な技術を要することから、特殊な技術を保有する者にしか製造することができず、拡大する液晶表示装置市場に対応する需給を満たすことができていない。このため、今後も偏光板保護フィルムとしてセルロースエステルフィルムに依存することは、今や我が国の主幹産業と言っても過言ではない液晶表示装置産業の発展を阻害することになりかねない。
また、一般的にセルロースエステルフィルムを上述した溶液製膜方法にて製造する場合、セルロースエステル溶液に用いられる有機溶媒としては、ジクロロメタンが主溶媒として用いられている。しかしながら、当該ジクロロメタンは、人体に対する危険性が疑われているものであるため、将来にわたってセルロースエステルフィルムに依存することは、液晶表示装置産業の発展に伴ってジクロロメタン使用量・排出量を増加させることになり、環境面においても望ましいものではなかった。
特に、バックライト光源としてQD光源を用いた場合、該QD光源は、従来のLED光源よりも発光スペクトルの半値全幅が狭いため、ポリエステルフィルムのような面内に複屈折を有するフィルムを偏光板保護フィルムとして使用した場合にニジムラが見えやすくなっていた。
このため、液晶表示装置のバックライト光源としてQD光源を用いて充分な輝度が得られたとしても、ニジムラが生じてしまうという問題があった。
C(0.25)−C(0.125)≧2% (1)
C(0.125)≧65% (2)
Ra(100)/Ra(100−1000)≦0.5 (3)
0.04μm≦Ra(100−1000)≦0.12μm (4)
また、上記Ra(100)が下記式(5)を満たすことが好ましい。
Ra(100)≦0.03μm (5)
また、上記光学層上に設けられた機能層を更に備え、上記機能層の表面が上記光学積層体の表面となっていることが好ましい。
また、上記光学層は、バインダー樹脂と微粒子とを含むことが好ましく、上記微粒子は、無機酸化物微粒子であることが好ましい。
また、上記無機酸化物微粒子の平均一次粒径が1nm以上100nm以下であることが好ましく、上記無機酸化物微粒子は、表面が疎水化処理された無機酸化物微粒子であることが好ましい。
また、本発明の液晶表示装置において、上記光学積層体は、全ヘイズ値が0%以上1%以下であり、内部ヘイズ値が実質的に0%であることが好ましい。
以下に、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において、「樹脂」とは、特に言及しない限り、モノマー、オリゴマー等も包含する概念である。
ここで、ある程度高いリタデーション値を有するポリエステルフィルムを偏光板保護フィルムとして用いた液晶表示装置としては、例えば、特開2011−107198号公報に記載の液晶表示装置が知られている。この液晶表示装置は、液晶セルの視認側に偏光板が設けられ、該偏光板の視認側に3000〜30000nmのリタデーションを有する高分子フィルムを配置し、該高分子フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角を凡そ45度とした液晶表示装置であって、高分子フィルムとして、配向ポリエステルフィルムを用いるものである。この液晶表示装置によればサングラス等の偏光板を介して表示画像を見た場合であっても、従来のポリエステルフィルムを偏光板保護フィルムとして用いた場合と比較して、ニジムラの発生はある程度改善できるものと考えられる。
しかしながら、近年の超高精細な液晶表示装置に対しては、表示画面に生じるニジムラは極めて高度に抑制することが必要となってきている。
ところが、従来の偏光板保護フィルムでは、このような極めて高度なニジムラの抑制に充分に応えることができなかった。
これは、上述のように、QD光源は、従来のLED光源よりも発光スペクトルの半値全幅が狭いため、ポリエステルフィルムのような面内に複屈折を有するフィルムを偏光板保護フィルムとして使用した場合にニジムラが見えやすくなっていたことに加え、本発明者らの更なる検討の結果、従来のある程度高いリタデーション値を有する配向ポリエステルフィルムを偏光板保護フィルムとして用いた液晶表示装置では、透過光であるバックライト光の影響に関してのみに着目して種々の研究がなされていたため、外光や蛍光灯の光のある環境下における液晶表示装置の外部からの光の影響を失念していたこと、及び、カラーフィルターによる波長均一性の変化を加味していなかったことが原因であることが判明した。
すなわち、従来のある程度高いリタデーション値を有する配向ポリエステルフィルムを偏光板保護フィルムとして用いた液晶表示装置であっても、カラーフィルターによる波長均一性の変化、及び、外光や蛍光灯の光の反射光によりニジムラが発生し、表示品質を低下させるといった不具合が生じてしまい、高度なニジムラの抑制に充分応えることができなかった。
これに対して、本発明者らの研究によると、偏光板保護フィルムを、その遅相軸が偏光板の吸収軸に対してなす角度がほぼ0°又は90°となるように配設することで、外光や蛍光灯の光のある環境下で使用した場合であっても、表示画像にニジムラが生じることを極めて高度に抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
図1に示したように、本発明の液晶表示装置10は、液晶セル11、カラーフィルター12、偏光板13及び偏光板保護フィルム14がこの順序で配置された構成を有する。
また、図1には示していないが、本発明の液晶表示措置10は、液晶セル11のカラーフィルター12と反対側にバックライト光源を有するものであり、更に、液晶セル11は、2つの偏光板で挟持された構造であってもよく、この場合、液晶セル11のカラーフィルター12と反対側面に偏光板13と同構成の偏光板が設けられることとなるが、これら2つの偏光板は、通常、互いの吸収軸が90°(クロスニコル)となるよう配設される。
図2は、上記量子ドットを含有する光透過層を含むバックライト光源の一例を模式的に示す断面図である。
図2に示したように、上記バックライト光源は、光源部20と光透過層200とから構成されており、光源部20は、フレーム21と該フレーム21の光透過層200面上に設けられた凹部に青色LED22が実装されており、光透過層200は、バインダー樹脂210中に量子ドット(赤色量子ドット220及び緑色量子ドット230)が分散されている。なお、光源部20の青色LED22から放出された青色光は、光透過層200を透過することで白色光に変換される。
また、上記量子ドットは、通常、中心体と該中心体を被覆する殻で構成され、該殻の外表面に高分子コーティングされた構成を有する。
上記量子ドットの中心体及び殻としては特に限定されず、例えば、CdSe、CdTe、CdS、ZnO、ZnS、ZnSe、InP、PbSe等が挙げられる。
また、量子ドットの形状としては特に限定されず、例えば、球状、棒状、円盤状、その他の形状(例えば、断面形状が三角形、四角形又は楕円形となる形状等)が挙げられる。
なお、上記量子ドットの平均粒径は、上記光透過層の断面TEM又はSTEM観察にて測定された20個の量子ドットの粒径を平均した値である。
上記光透過層は、例えば、上述した量子ドット及びバインダー樹脂のモノマー成分に、必要に応じて公知の溶剤及び光重合開始剤等を添加した光透過層用組成物を調製し、該光透過層用組成物を、公知の方法で塗布、乾燥、硬化させることで製造することができる。
上述したように、本発明の画像表示装置は、バックライト光源が上記量子ドットを含有する光透過層を有するため、高輝度及び高色域化を図ることができる。
上記偏光板保護フィルムのリタデーションは、ニジムラ防止性及び薄膜化の観点から、15000〜2万nmであることが好ましい。
リタデーション(Re)=(nx−ny)×d
また、上記リタデーションは、例えば、王子計測機器社製KOBRA−WRによって測定(測定角0°、測定波長548.2nm)することができる。
なお、本発明では、上記nx−ny(以下、Δnとも表記する)は、0.05以上であることが好ましい。上記Δnが0.05未満であると、充分なニジムラの抑制効果が得られないことがある。また、上述したリタデーション値を得るために必要な膜厚が厚くなるため、好ましくない。上記Δnのより好ましい下限は0.07である。
上記偏光板保護フィルムは、液晶表示装置の表示画面側に配置されるため、該液晶表示装置の周囲の環境、特に湿度の影響を受けやすい。このため、上記偏光板保護フィルムがセルロースアセテートフィルムであると、該セルロースアセテートフィルムは、適度な透水性を有することから、液晶表示装置の周囲の湿度により膨潤してしまい、形状を安定的に保持することができず、その結果、QD光源により照射された光を、効率よく表示画面まで透過させることができなくなることがある。
これに対して、上記PETフィルムのようなポリエステルからなる偏光板保護フィルムは、液晶表示装置の周囲の湿度により膨潤することは殆どなく、形態安定性に極めて優れたものとなり、QD光源により照射された光を、極めて効率よく表示画面まで透過させることが可能となる。
上記横延伸温度としては、80〜130℃が好ましく、より好ましくは90〜120℃である。また、横延伸倍率は2.5〜6.0倍が好ましく、より好ましくは3.0〜5.5倍である。上記横延伸倍率が6.0倍を超えると、得られるポリエステルからなる偏光板保護フィルムの透明性が低下しやすくなり、横延伸倍率が2.5倍未満であると、延伸張力も小さくなるため、得られる偏光板保護フィルムの複屈折が小さくなり、リタデーションを12000nm以上とできないことがある。
また、本発明においては、二軸延伸試験装置を用いて、上記未延伸ポリエステルの横延伸を上記条件で行った後、該横延伸に対する流れ方向の延伸(以下、縦延伸ともいう)を行ってもよい。この場合、上記縦延伸は、延伸倍率が2倍以下であることが好ましい。上記縦延伸の延伸倍率が2倍を超えると、Δnの値を上述した好ましい範囲にできないことがある。
すなわち、外光や蛍光灯の光のない環境下(以下、このような環境下を「暗所」ともいう)では、本発明の液晶表示装置の偏光板保護フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角度は、0°及び90°、又は、45°に設置することで、ニジムラの発生を抑制できる。上記偏光板保護フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角度が0°及び90°の場合は、下記式における「sin22θ」が0となり、光が透過しなくなるためニジムラは発生しない。一方、上記偏光板保護フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角度が45°の場合は、光の透過率が最大となり、連続的な幅広いスペクトルを有するバックライト光源であれば、ニジムラの発生が抑制できる。なお、下記式において、I/I0は、クロスニコル状態に置かれた2枚の偏光板を透過する光の透過率を示し、Iは、クロスニコル状態に置かれた2枚の偏光板を透過した光の強度を、I0は、クロスニコル状態に置かれた2枚の偏光板に入射する光の強度を、それぞれ示す。
I/I0=sin22θ・sin2(πRe/λ)
しかしながら、外光や蛍光灯の光のある環境下(以下、このような環境下を「明所」ともいう)においては、外光や蛍光灯の光は、連続的な幅広いスペクトルを有するものばかりではないため、偏光板保護フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角度を上述の範囲にしないと、ニジムラが生じてしまい表示品位が低下してしまう。
この現象は、例えば、液晶表示画面に入射する蛍光灯の反射光が、S偏光(表示画面の左右方向に振動する光)が多いことが原因であると考えられる。S偏光が、偏光板保護フィルムを通過し、偏光子との界面で反射し、観測者側に戻ってくるのであるが、この時、偏光板保護フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角度を45°に設置した場合は、連続的な幅広いスペクトルを有さない光が位相差を受けることとなり、ニジムラが発生してしまうと考えられる。
更に、カラーフィルターを透過したバックライトの光も連続的な幅広いスペクトルを有するものばかりではないため、偏光板保護フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角度を上述の範囲にしないと、ニジムラが生じてしまい表示品位が低下してしまうと推測している。
本発明の液晶表示装置の表示画像は、上記バックライト光源から照射された光が上記カラーフィルターを透過することでカラー表示される。ところが、上記カラーフィルターを透過する光が単色表示となるように制御した場合、上記偏光板保護フィルムとして従来の配向ポリエステルフィルムを用いると、ニジムラがより強く生じる場合がある。これに対して、本発明の液晶表示装置は、上述した偏光板保護フィルムを有するため、このような単色表示とした場合であっても、ニジムラの発生を好適に抑制することができる。
上記セルロースアセテートとしては、平均酢化度が57.5〜62.5%(置換度:2.6〜3.0)のトリアセチルセルロースを用いることが最も好ましい。ここで、酢化度とは、セルロース単位質量当りの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)におけるアセチル化度の測定及び計算により求めることができる。
なお、上記シクロオレフィン系ポリマーとしては、シクロオレフィンポリマー(COP)又はシクロオレフィンコポリマー(COC)のいずれであっても好適に用いることができる。上記シクロオレフィン系ポリマーは、上記環状オレフィンからなるモノマーの単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。
ここで、上記飽和吸水率は、ASTMD570に準拠し23℃の水中で1週間浸漬して
増加重量を測定することにより求められる。
すなわち、本発明では、上記別の偏光板保護フィルムとして、液晶表装置用の光学補償フィルム(位相差フィルム)を用いることができる。上記別の偏光板保護フィルムが光学補償機能を有する態様としては、上述したような材料からなるフィルム中に、屈折率異方性を有する化合物が含有される態様や、上記フィルム上に、屈折率異方性を有する化合物を含有する層が形成された態様等が挙げられる。
本発明においてはこれらいずれの態様であっても好適に用いることができるが、用途に応じて屈折率異方性を任意に調整することが容易であるという点において、後者の態様が好適に用いられる。
上記接着剤層に用いられる接着剤としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の親水性接着剤や、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤等が挙げられる。なかでも、例えば、PETのような疎水性である偏光板保護フィルムにおいては、紫外線硬化型の接着剤層であることが好ましい。
また、紫外線透過率の高い偏光板保護フィルムにおいては、上記接着剤層に紫外線吸収剤を含有させておくことも好ましい態様である。
上記光学層としては、例えば、反射防止性、ハードコート性、防眩性、帯電防止性、又は、防汚性等の機能を発揮する層等が挙げられる。
C(0.25)−C(0.125)≧2% (1)
C(0.125)≧65% (2)
まず、上記光学積層体において、防眩性を得るために、光学層の表面に凹凸形状を形成するが、この凹凸形状における凹凸がレンズのように作用してしまうことがある(レンズ効果)。そして、このようなレンズ効果が生じると、液晶表示装置の画素を仕切るブラックマトリクスや画素からの透過光がランダムに強調されてしまい、これによりギラツキが生じるものと考えられる。透過像鮮明度が低い光学積層体は、透過像鮮明度が高い光学積層体よりも、レンズとして作用する凹凸が多くなり、ギラツキが悪化する傾向があると考えられる。この点について、本発明者らが鋭意研究を重ねたところ、具体的には、C(0.125)の値が65%未満であると、レンズとして作用する凹凸が多くなり過ぎてしまい、ギラツキが悪化してしまう。また、本発明者らがさらに鋭意研究を重ねたところ、理由は定かではないが、C(0.25)の値とC(0.125)の値の差が小さい防眩フィルムは、この差が大きい防眩フィルムよりも、レンズ効果が強くなり、ギラツキが悪化する傾向があることを見出した。具体的には、C(0.25)の値とC(0.125)の値の差が2%未満であると、レンズ効果が強くなり過ぎてしまい、ギラツキが悪化してしまう。このようなことから、防眩フィルムが、上記式(1)及び(2)を満たすことが必要であるとしている。なお、通常、当業者であれば、ギラツキを抑制する観点からは、C(0.25)の値とC(0.125)の値の差は小さい方がよく、この差が大きいと、ギラツキが悪化すると予測する。このことは、例えば、特開2010−269504号公報によっても裏付けられている。この公報には、ギラツキを抑制する観点から、0.125mmの光学くしを用いた透過像鮮明度と2.0mmの光学くしを用いた透過像鮮明度の比を0.70以上とすること、及び、この比を好ましくは0.80以上0.93以下とすることが記載されている。すなわち、この公報においては、0.25mmの光学くしを用いていないが、上記比は0.70以上より0.80以上である方が好ましいと記載されているので、0.125mmの光学くしを用いた透過像鮮明度と2.0mmの光学くしを用いた透過像鮮明度との差は小さい方が好ましいという方向性を示している。
これに対し、この予測とは逆に、本発明においては、ギラツキを抑制するために、C(0.25)の値とC(0.125)の値との差が2%以上であることを好ましい範囲にしている。したがって、上記(1)及び(2)を満たす光学積層体は、従来の防眩性を付与された光学積層体の技術水準に照らして、予測され得る範囲を超えたものであると言える。
C(n)={(M−m)/(M+m)}×100(%) (A)
上記式(A)中、C(n)は、光学くしの幅n(mm)のときの透過像鮮明度(%)、Mは光学くしの幅n(mm)のときの最高光量であり、mは光学くしの幅n(mm)のときの最低光量である。
Ra(100)/Ra(100−1000)≦0.5 (3)
0.04μm≦Ra(100−1000)≦0.12μm (4)
Ra(100)≦0.03μm (5)
上記バインダー樹脂は、光重合性化合物の重合物(架橋物)の他、溶剤乾燥型樹脂や熱硬化性樹脂を含んでいてもよい。
上記光重合性化合物は、光重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。なお、本明細書における、「光重合性官能基」とは、光照射により重合反応し得る官能基である。
このような光重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合を含む官能基が挙げられる。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の両方を含む意味である。
また、上記光重合性化合物を重合する際に照射される光としては、可視光線、並びに、紫外線、X線、電子線、α線、β線及びγ線のような電離放射線が挙げられる。
上記光重合性化合物としては、光重合性モノマーと、光重合性オリゴマー又は光重合性ポリマーとの組み合わせが好ましい。
上記2官能以上のモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートや、これらをPO、EO等で変性したものが挙げられる。
これらの中でも硬度が高い光学層を得る観点から、上記光重合性モノマーとしては、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)等が好ましい。
上記光重合性オリゴマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記光重合性オリゴマーとしては、2官能以上の多官能オリゴマーが好ましく、光重合性官能基が3つ(3官能)以上の多官能オリゴマーが好ましい。
上記光重合性ポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記光学層が緩やかな凝集体により形成されている場合、膜厚を調整することによって緩やかな凝集体の大きさを調整することも可能である。すなわち、膜厚が大きいと緩やかな凝集体の大きさがより大きくなりやすい。それにより、凹凸の大きさをより大きく、凹凸の間隔をより広くすることができる。
上記フュームドシリカとは、乾式法で作製された200nm以下の粒径を有する非晶質のシリカであり、ケイ素を含む揮発性化合物を気相で反応させることにより得ることができる。具体的には、例えば、四塩化ケイ素(SiCl4)等のケイ素化合物を酸素と水素の炎中で加水分解して生成されたもの等が挙げられる。上記フュームドシリカの市販品としては、例えば、日本アエロジル社製のAEROSIL R805等が挙げられる。
疎水性のフュームドシリカは、フュームドシリカの表面に存在するシラノール基に上記のような表面処理剤を化学的に反応させることにより得ることができる。上記のような凝集体を容易に得るという観点からは、フュームドシリカはオクチルシラン処理されていることが最も好ましい。
まず、上記偏光板保護フィルムの表面に、以下の光学層用組成物を塗布する。
上記光学層用組成物を塗布する方法としては、例えば、スピンコート、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法等の公知の塗布方法が挙げられる。
このような溶剤としては、例えば、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロヘプタノン、ジエチルケトン等)、エーテル類(1,4−ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
このような重合開始剤は、光照射によりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であれば特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、具体例には、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
例えば、乾燥温度を低く、及び/又は、乾燥風速を小さくすることで、乾燥速度を遅くすることにより、微粒子がより凝集しやすくなるため、凹凸が大きくかつ凹凸の間隔が広い形状としやすくすることができる。
具体的な乾燥温度としては、30〜120℃、乾燥風速では0.2〜50m/sであることが好ましく、この範囲内で適宜調整した乾燥処理を、1回又は複数回行うことで微粒子の分布状態を所望の状態に調整することができる。
具体的には、例えば、光重合性化合物、溶剤乾燥型樹脂、及び、微粒子を含む光学層用組成物を用いて、上記と同様の方法により偏光板保護フィルム上に光学層用組成物の塗膜を形成し、上記と同様に光学層用組成物を硬化させる。
上記バインダー樹脂を形成する材料として、光重合性化合物と溶剤乾燥型樹脂とを併用した場合、光重合性化合物のみを用いた場合に比べて粘度を上昇させることができ、また、硬化収縮(重合収縮)を少なくすることができるので、乾燥時及び硬化時に、光学層の凹凸面が微粒子の形状に追随することなく形成され、特異な凹凸面を形成することができる。ただし、光学層の凹凸面の凹凸形状は、光学層の膜厚等の影響を受けるので、このような方法で光学層を形成する場合であっても、光学層の膜厚等を適宜調整する必要があることは言うまでもない。
上記下地凹凸層は、光学層であってもよい。
上記表面調整層は、上記下地凹凸層の表面に存在する微細な凹凸を埋めて、滑らかな凹凸面を得るため、及び/又は、凹凸層の表面に存在する凹凸の間隔、大きさ等を調整するための層である。上記表面調整層は、表面が凹凸面となっており、該表面調整層の凹凸面が特異な凹凸面となっている。ただし、光学層が多層構造の場合には、製造工程が複雑となり、また製造工程の管理が1層構造の場合に比べて困難となるおそれがあるので、光学層は1層構造が好ましい。
そして、この塗膜を乾燥した後に、塗膜に紫外線等の光を照射して、光重合性化合物を重合(架橋)させることにより下地凹凸層用組成物を硬化させて、下地凹凸層を形成する。
その後、下地凹凸層上に、表面調整層用組成物を塗布し、表面調整層用組成物の塗膜を形成する。そして、この塗膜を乾燥した後、塗膜に紫外線等の光を照射して、光重合性化合物を重合(架橋)させることにより表面調整層用組成物を硬化させて、表面調整層を形成する。これにより、緩やかな凝集体を形成する微粒子を用いなくとも、特異な凹凸面を有する光学層を形成することができる。ただし、光学層の凹凸面の凹凸形状は、塗膜の乾燥条件、並びに、下地凹凸層及び表面調整層の膜厚等によっても影響を受けるので、このような方法で光学層を形成する場合であっても、塗膜の乾燥条件および下地凹凸層および表面調整層の膜厚等を適宜調整する必要があることは言うまでもない。
上記凹凸層としては、上述したバインダー樹脂及び微粒子を含んでなる光学層と同様のもの組成及び方法で形成されたものが挙げられる。
上記低屈折率層は、外部からの光(例えば蛍光灯、自然光等)が光学積層体の表面にて反射する際、その反射率を低くするという役割を果たす層である。低屈折率層としては、好ましくは1)シリカ、フッ化マグネシウム等の低屈折率粒子を含有する樹脂、2)低屈折率樹脂であるフッ素系樹脂、3)シリカ又はフッ化マグネシウムを含有するフッ素系樹脂、4)シリカ、フッ化マグネシウム等の低屈折率物質の薄膜等のいずれかで構成される。フッ素系樹脂以外の樹脂については、上述した光学層を構成するバインダー樹脂と同様の樹脂を用いることができる。
また、上述したシリカは、中空シリカ微粒子であることが好ましく、このような中空シリカ微粒子は、例えば、特開2005−099778号公報の実施例に記載の製造方法にて作製できる。
これらの低屈折率層は、その屈折率が1.45以下、特に1.42以下であることが好ましい。
また、低屈折率層の厚みは限定されないが、通常は30nm〜1μm程度の範囲内から適宜設定すれば良い。
また、上記低屈折率層は単層で効果が得られるが、より低い最低反射率、あるいはより高い最低反射率を調整する目的で、低屈折率層を2層以上設けることも適宜可能である。上記2層以上の低屈折率層を設ける場合、各々の低屈折率層の屈折率及び厚みに差異を設けることが好ましい。
上記電離放射線で硬化する官能基と熱硬化する極性基とを併せ持つ重合性化合物としては、アクリル又はメタクリル酸の部分及び完全フッ素化アルキル、アルケニル、アリールエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類、完全又は部分フッ素化ビニルエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルケトン類等を例示することができる。
上記電離放射線硬化性基を有する重合性化合物の含フッ素(メタ)アクリレート化合物を少なくとも1種類含むモノマー又はモノマー混合物の重合体;上記含フッ素(メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種類と、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートの如き分子中にフッ素原子を含まない(メタ)アクリレート化合物との共重合体;フルオロエチレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンのような含フッ素モノマーの単独重合体又は共重合体など。これらの共重合体にシリコーン成分を含有させたシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体も用いることができる。この場合のシリコーン成分としては、(ポリ)ジメチルシロキサン、(ポリ)ジエチルシロキサン、(ポリ)ジフェニルシロキサン、(ポリ)メチルフェニルシロキサン、アルキル変性(ポリ)ジメチルシロキサン、アゾ基含有(ポリ)ジメチルシロキサン、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、アルキル・アラルキル変性シリコーン、フルオロシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、メチル水素シリコーン、シラノール基含有シリコーン、アルコキシ基含有シリコーン、フェノール基含有シリコーン、メタクリル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が例示される。なかでも、ジメチルシロキサン構造を有するものが好ましい。
dA=mλ/(4nA) (B)
(上記式中、
nAは低屈折率層の屈折率を表し、
mは正の奇数を表し、好ましくは1を表し、
λは波長であり、好ましくは480〜580nmの範囲の値である)
を満たすものが好ましい。
120<nAdA<145 (C)
を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
まず、下記に示す組成となるように各成分を配合して、光学層用組成物を得た。
(光学層用組成物)
シリカ微粒子(オクチルシラン処理フュームドシリカ、平均一次粒子径12nm、日本アエロジル社製) 0.5質量部
シリカ微粒子(メチルシラン処理フュームドシリカ、平均一次粒子径12nm、日本アエロジル社製) 0.2質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)(製品名「PETA」、ダイセル・サイテック社製) 50質量部
ウレタンアクリレート(製品名「V−4000BA」、DIC社製) 50質量部
重合開始剤(イルガキュア184、BASFジャパン社製) 5質量部
ポリエーテル変性シリコーン(製品名「TSF4460」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製) 0.025質量部
トルエン 70質量部
イソプロピルアルコール 40質量部
シクロヘキサノン 40質量部
次に、下記に示す組成となるように各成分を配合して、低屈折率層用組成物を得た。
中空シリカ微粒子(中空シリカ微粒子の固形分:20質量%、溶液:メチルイソブチルケトン、平均粒径:50nm) 40質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(製品名:PETIA、ダイセル・サイテック社製) 10質量部
重合開始剤(イルガキュア127;BASFジャパン社製) 0.35質量部
変性シリコーンオイル(X22164E;信越化学工業社製) 0.5質量部
メチルイソブチルケトン(MIBK) 320質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA) 161質量部
ポリエチレンテレフタレート材料を290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置(東洋精機製)にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃にて、延伸倍率4.5倍に延伸した後、片側にポリエステル樹脂の水分散体を固形分で28.0質量部と水72.0質量部とからなるプライマー層用樹脂組成物を、ロールコーターにて均一に塗布した。次いで、この塗布フィルムを95℃で乾燥し、先の延伸方向とは90度の方向に延伸倍率1.5倍にて延伸を行い、Δn=0.10、膜厚=50μm、リタデーション=5000nmの偏光板保護フィルム1を得た。
得られた偏光板保護フィルム1の片面に、光学層用組成物を塗布し、塗膜を形成した。
次いで、形成した塗膜に対して、0.2m/sの流速で50℃の乾燥空気を15秒間流通させた後、更に10m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて積算光量が50mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させることにより、4μm厚み(硬化時)の防眩性能を有する光学層を形成した。
次いで、光学層の表面に、低屈折率層用組成物を、乾燥後(40℃×1分)の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて、積算光量100mJ/cm2で紫外線照射を行って硬化させて低屈折率層を形成して光学積層体1を作製した。
偏光板保護フィルム1と同様にして得られた未延伸フィルムの延伸倍率を調整して、Δn=0.10、膜厚=80μm、リタデーション=8000nmの偏光板保護フィルム2を作製した。
得られた偏光板保護フィルム2を用いた以外は実施例1と同様にして光学層と低屈折率層とが形成された光学積層体2を作製した。
偏光板保護フィルム1と同様にして得られた未延伸フィルムの延伸倍率を調整して、Δn=0.10、膜厚=100μm、リタデーション=10000nmの偏光板保護フィルム3を作製した。
得られた偏光板保護フィルム3を用いた以外は実施例1と同様にして光学層と低屈折率層とが形成された光学積層体3を作製した。
ポリエチレンナフタレート材料を290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置(東洋精機社製)にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃にて、延伸倍率4.5倍に延伸した後、片側にポリエステル樹脂の水分散体を固形分で28.0質量部と水72.0質量部とからなるプライマー層用樹脂組成物を、ロールコーターにて均一に塗布した。次いで、この塗布フィルムを95℃で乾燥し、先の延伸方向とは90度の方向に延伸倍率1.5倍にて延伸を行い、Δn=0.21、膜厚58μm、リタデーション=12000nmの偏光板保護フィルム4を得た。
得られた偏光板保護フィルム4を用いた以外は実施例1と同様にして光学層と低屈折率層とが形成された光学積層体4を作製した。
偏光板保護フィルム4と同様にして得られた未延伸フィルムの延伸倍率を調整して、Δn=0.21、膜厚72μm、リタデーション=15000nmの偏光板保護フィルム5を作製した。
得られた偏光板保護フィルム5を用いた以外は実施例1と同様にして光学層と低屈折率層とが形成された光学積層体5を作製した。
液晶表示装置1として、バックライトに蛍光体を使用した白色LEDを備えた液晶表示装置(FLATORON IPS226V(LG Electronics Japan社製))を用いた。
液晶表示装置2として、バックライトにQD光源を備えた液晶表示装置(Amazon社製、Kindle Fire HDX)を用いた。
実施例及び比較例にて作製した液晶表示装置を、暗所及び明所(液晶モニター周辺照度400ルクス)にて、5人の人間が、正面及び斜め方向(約50度)から目視及び偏光サングラス越しに表示画像の観測を行い、ニジムラの有無を以下の基準に従い評価した。
◎:ニジムラが観測されない。
○:ニジムラが観測されるが、薄く、実使用上問題ないレベル。
△:ニジムラが観測される。
×:ニジムラが強く観測される。
これに対し、比較例1〜9に係る液晶表示装置では、比較例1及び比較例5に係る液晶表示装置のニジムラの評価に劣っていたが、それ以外の比較例ではニジムラの評価は実施例と同等であった。しかしながら、図4に示したように、比較例1〜9に係る液晶表示装置1のバックライト光源である蛍光体を使用したLEDの発光スペクトルは、実施例で使用した液晶表示装置2のバックライト光源であるQD光源の発光スペクトルと比較してピークが小さく半値全幅も広く、色純度が低いものであった。なお、図4は、実施例及び比較例で使用した液晶表示装置の正面での発光スペクトルを、分光放射計SR−UL1R(トプコン社製)にて測定したグラフである。
また、比較例10〜14に係る液晶表示装置は、偏光板保護フィルムのリタデーション値が小さく、また、比較例15に係る液晶表示装置は、偏光板保護フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角度が45°であったため、目視又は偏光サングラス越しの何れか又は両方の評価に劣っていた。
また、バックライトにQD光源を備えた液晶表示装置2を用いた実施例及び比較例10〜15では、いずれにおいても高輝度で高色域化を図ることができたが、バックライトに蛍光体を使用した白色LEDを備えた液晶表示装置1を用いた比較例1〜9では、液晶表示装置2を用いた実施例等と比較して高輝度で高色域化は図ることができなかった。
11 液晶セル
12 カラーフィルター
13 偏光板
14 偏光板保護フィルム
20 光源部
21 フレーム
22 青色LED
100 透過像鮮明度測定装置
101 光源
102 スリット
103、104 レンズ
105 光学くし
106 受光器
107 光学積層体
200 光透過層
210 バインダー樹脂
220 赤色量子ドット
230 緑色量子ドット
Claims (11)
- バックライト光源、液晶セル、カラーフィルター、偏光板及び偏光板保護フィルムがこの順序で配置された構成を有する液晶表示装置であって、
前記バックライト光源は、量子ドットを含有する光透過層を含み、
前記偏光板保護フィルムは、膜厚が20〜72μmの範囲内で、12000nm以上のリタデーションを有するものであり、かつ、前記偏光板の吸収軸と前記偏光板保護フィルムの遅相軸とのなす角度が、0°±10°又は90°±10°となるように配設されており、
前記偏光板保護フィルムを構成する材料がポリエチレンナフタレートである
ことを特徴とする液晶表示装置。 - 偏光板保護フィルムの偏光板側と反対側面上に、表面に凹凸形状を有する光学層が積層されており、前記偏光板保護フィルムと前記光学層とを有する光学積層体は、全ヘイズ値が0%以上5%以下であり、内部ヘイズ値が0%以上5%以下であり、0.125mm幅の光学くしを用いて測定される透過像鮮明度をC(0.125)とし、0.25mm幅の光学くしを用いて測定される透過像鮮明度をC(0.25)としたとき、下記式(1)及び式(2)を満たす請求項1記載の液晶表示装置。
C(0.25)−C(0.125)≧2% (1)
C(0.125)≧65% (2) - 偏光板保護フィルムの偏光板側と反対側面上に、表面に凹凸形状を有する光学層が積層されており、前記偏光板保護フィルムと前記光学層とを有する光学積層体は、全ヘイズ値が0%以上5%以下であり、内部ヘイズ値が0%以上5%以下であり、長波長カットオフ波長を100μmとしたときの前記光学積層体の表面の算術平均粗さをRa(100)[μm]とし、短波長カットオフ波長を100μmとし、かつ、長波長カットオフ波長を1000μmとしたときの前記光学積層体の表面の算術平均粗さをRa(100−1000)[μm]としたとき、下記式(3)及び式(4)を満たす請求項1記載の液晶表示装置。
Ra(100)/Ra(100−1000)≦0.5 (3)
0.04μm≦Ra(100−1000)≦0.12μm (4) - Ra(100)が下記式(5)を満たす請求項3記載の液晶表示装置。
Ra(100)≦0.03μm (5) - 光学層の凹凸面が光学積層体の表面となっている、請求項2、3又は4記載の液晶表示装置。
- 光学層上に設けられた機能層を更に備え、前記機能層の表面が前記光学積層体の表面となっている請求項2、3又は4記載の液晶表示装置。
- 光学層は、バインダー樹脂と微粒子とを含む請求項2、3、4、5又は6記載の液晶表示装置。
- 微粒子は、無機酸化物微粒子である請求項7載の液晶表示装置。
- 無機酸化物微粒子の平均一次粒径が1nm以上100nm以下である請求項8記載の液晶表示装置。
- 無機酸化物微粒子は、表面が疎水化処理された無機酸化物微粒子である請求項8又は9記載の液晶表示装置。
- 光学積層体は、全ヘイズ値が0%以上1%以下であり、内部ヘイズ値が実質的に0%である請求項2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の液晶表示装置。
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