JP6491003B2 - カードリーダおよびカードリーダの制御方法 - Google Patents
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Description
本発明は、ICチップが内蔵された接触式のICカードを処理するためのカードリーダに関する。また、本発明は、接触式のICカードを処理するためのカードリーダの制御方法に関する。
従来、ICチップが内蔵された接触式のICカードを処理するためのカードリーダが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のカードリーダで使用されるカードには、ICチップの外部接続端子が形成されている。また、特許文献1に記載のカードリーダは、カードが挿入される挿入口が形成されるカード挿入部を備えている。カード挿入部は、カードの外部接続端子を検知するための金属センサと、カードが通過するカード通過路を閉鎖するためのシャッタとを備えている。金属センサは、正しい向きで挿入口に挿入されたカード(すなわち、カードリーダ内でのカードの適切な処理が可能な向きで挿入口に挿入されたカード)の外部接続端子が通過する位置に配置されている。シャッタは、カードの挿入方向において、金属センサよりも奥側に配置されている。
特許文献1に記載のカードリーダでは、金属センサでの検知結果に基づいて、外部接続端子が形成されたカードが挿入口に挿入されたのか否か(すなわち、ICカードが挿入口に挿入されたのか否か)を検知することが可能となっている。また、このカードリーダでは、カードが挿入口に挿入される前の待機状態において、シャッタはカード通過路を閉鎖しており、金属センサでの検知結果に基づいて、外部接続端子が形成されたカードが挿入口に挿入されたことが検知されると、シャッタが開いて、カードリーダの内部にカードが取り込まれる。
ICチップが内蔵されたICカードの形状は、国際規格によって規定されており、国際規格に準拠するICカードは、四隅に丸みを持った略長方形状に形成されている。特許文献1に記載のカードリーダは、略長方形状に形成されるカード(ICカード)をその長手方向で取り込んでカードに対する処理を行う。また、従来、略長方形状に形成されるカード(ICカード)をその短手方向で取り込んでカードに対する処理を行うカードリーダが知られている(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2に記載のカードリーダは、カードが挿入される挿入口が形成されるカード挿入部を備えている。このカード挿入部は、カードが通過するカード通過路を閉鎖するためのシャッタを備えている。
なお、国際規格に準拠する接触式のICカードでは、図9に示すように、ICチップの外部接続端子2cは、カード2のおもて面2aに形成されている。また、外部接続端子2cは、カード2の短手方向におけるカード2の一端面2dと、カード2の長手方向におけるカード2の一端面2eとを基準とする所定の位置に形成されている。カード2の短手方向の一端面2dと外部接続端子2cとの距離L1と、カード2の短手方向の他端面2fと外部接続端子2cとの距離L2とは異なっている。具体的には、距離L1は、距離L2よりも短くなっている。また、カード2の長手方向の一端面2eと外部接続端子2cとの距離L3と、カード2の長手方向の他端面2gと外部接続端子2cとの距離L4とは異なっている。具体的には、距離L3は、距離L4よりも大幅に短くなっている。カード2の短手方向の長さから距離L1と距離L2とを引いた長さはカード2の短手方向における外部接続端子2cの長さであり、カード2の長手方向の長さから距離L3と距離L4とを引いた長さはカード2の長手方向における外部接続端子2cの長さである。
特許文献2に記載のカードリーダに、特許文献1に記載のカードリーダが有する金属センサを設ければ、特許文献2に記載のカードリーダにおいても、金属センサでの検知結果に基づいて、外部接続端子が形成されたカードが挿入口に挿入されたのか否か(すなわち、ICカードが挿入口に挿入されたのか否か)を検知することが可能となる。具体的には、特許文献2に記載のカードリーダにおいて、正しい向きで挿入口に挿入されたカード(すなわち、カードリーダ内でのカードの適切な処理が可能な向きで挿入口に挿入されたカード)の外部接続端子が通過する位置に金属センサが配置されれば、特許文献2に記載のカードリーダにおいても、金属センサでの検知結果に基づいて、外部接続端子が形成されたカードが挿入口に挿入されたのか否かを検知することが可能となる。
ここで、特許文献1に記載のカードリーダのように、略長方形状に形成されるカードがその長手方向で取り込まれて処理されるカードリーダでは、カードが正しい向きで挿入口に挿入される場合、一般に、図9(A)に示すように、おもて面2aを上側に向けた状態で一端面2e側から(すなわち、図9(A)の矢印の方向へ)カード2が挿入される。また、上述のように、特許文献1に記載のカードリーダでは、金属センサは、正しい向きで挿入口に挿入されたカードの外部接続端子が通過する位置に配置されているため、特許文献1に記載のカードリーダにおいて、裏面2bを上側に向けた状態で他端面2g側から(すなわち、図9(B)の矢印の方向へ)カード2が挿入されても、金属センサが配置された位置をカード2の外部接続端子2cが通過する。
しかしながら、特許文献1に記載のカードリーダには、シャッタが設けられており、また、距離L3と距離L4とが大きく相違するため、図9(B)の矢印の方向へカード2が挿入されても、カード2の外部接続端子2cが金属センサから遠く離れた位置で他端面2gがシャッタに当接する。したがって、このカードリーダでは、図9(B)の矢印の方向へカード2が挿入されても、金属センサでの検知結果に基づいて、正しい向きでカード2が挿入されたのか否かを判別することが可能である。
一方、特許文献2に記載のカードリーダのように、略長方形状に形成されるカードがその短手方向で取り込まれて処理されるカードリーダでは、カードが正しい向きで挿入口に挿入される場合、たとえば、図10(A)に示すように、おもて面2aを上側に向けた状態で一端面2d側から(すなわち、図10(A)の矢印の方向へ)カード2が挿入される。また、上述のように、特許文献2に記載のカードリーダにおいて、外部接続端子が形成されたカードが挿入口に挿入されたのか否かを検知することを可能とするために、特許文献2に記載のカードリーダでは、金属センサが、正しい向きで挿入口に挿入されたカードの外部接続端子が通過する位置に配置される。そのため、このカードリーダにおいて、裏面2bを上側に向けた状態で他端面2f側から(すなわち、図10(B)の矢印の方向へ)カード2が挿入されても、金属センサが配置された位置をカード2の外部接続端子2cが通過する。
また、距離L1と距離L2とが大きく相違しないため、特許文献2に記載のカードリーダでは、シャッタが設けられていても、図10(B)の矢印の方向へ挿入されたカード2の他端面2fがシャッタに当接したときに、カード2の外部接続端子2cが金属センサによって検知されるおそれがある。したがって、このカードリーダでは、図10(B)の矢印の方向へカード2が挿入されると、金属センサでの検知結果に基づいて、正しい向きでカード2が挿入されたのか否かを判別することができなくなるおそれがある。
なお、おもて面2aを上側に向けた状態でカード2が挿入される場合と、裏面2bを上側に向けた状態でカード2が挿入される場合とでは、外部接続端子2cが金属センサで検知されたときの金属センサの出力信号の信号レベルが相違する。たとえば、おもて面2aを上側に向けた状態でカード2が挿入される場合に外部接続端子2cが金属センサで検知されたときの金属センサの出力信号の信号レベルは、裏面2bを上側に向けた状態でカード2が挿入される場合に外部接続端子2cが金属センサで検知されたときの金属センサの出力信号の信号レベルよりも高くなる。そのため、金属センサの出力信号に対して閾値を適切に設定することで、裏面2bを上側に向けた状態で挿入されたカード2の外部接続端子2cが金属センサによって検知されても、金属センサでの検知結果に基づいて、正しい向きでカード2が挿入されたのか否かを判別することは可能である。
しかしながら、本願発明者の検討によると、おもて面2aを上側に向けた状態でカード2が挿入された場合でも、外部接続端子2cが金属センサで検知されたときの金属センサの出力信号の信号レベルが、一般的に市場に出回るカードと比較して、低くなるカード(以下、このカードを「低反応カード」とする)が市場に出回っていることが判明した。また、低反応カードが市場に出回っているため、金属センサの出力信号に対して閾値を適切に設定することが困難であり、その結果、金属センサでの検知結果に基づいて正しい向きでカードが挿入されたのか否かを判別することができなくなるおそれがあることが、本願発明者の検討によって明らかになった。
そこで、本発明の課題は、国際規格に準拠する略長方形状のICカードをその短手方向で取り込んで処理するカードリーダにおいて、カードが正しい向きで挿入口に挿入されたのか否かを適切に判別することが可能なカードリーダを提供することにある。また、本発明の課題は、国際規格に準拠する略長方形状のICカードをその短手方向で取り込んで処理するカードリーダの制御方法において、カードが正しい向きで挿入口に挿入されたのか否かを適切に判別することが可能となるカードリーダの制御方法を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、ICチップが内蔵されるとともに略長方形状に形成されるカードをその短手方向で取り込んでカードとデータの通信を行うカードリーダにおいて、カードが挿入される挿入口が形成されるカード挿入部と、カードリーダを制御する制御部とを備え、カード挿入部は、カードのおもて面に形成されるICチップの外部接続端子を検知するための金属検知機構と、挿入口に挿入されるカードの挿入方向におけるカードの先端を検知するための先端検知機構とを備え、金属検知機構は、挿入口に挿入されたカードの厚さ方向と挿入方向とに直交するカードの幅方向において、正しい向きで挿入された正規のカードの外部接続端子が通過する位置に配置され、金属検知機構および先端検知機構は、制御部に接続されるとともに、正規のカードが正しい向きで挿入口に挿入されたときに、先端検知機構がカードの先端を検知するよりも前に金属検知機構が外部接続端子を検知するように配置され、正規のカードでは、カードの短手方向におけるカードの一端面とカードの短手方向における外部接続端子の一端との距離は、カードの短手方向におけるカードの他端面とカードの短手方向における外部接続端子の他端との距離よりも短くなっており、制御部は、先端検知機構によってカードの先端が検知されるまでの間の少なくとも一部の時間内において、金属検知機構の出力信号に基づく金属検知信号値を所定の周期で取得するとともに、取得した複数の金属検知信号値の少なくとも一部を積算した積算値を算出し、積算値に基づいて、正規のカードが正しい向きで挿入口に挿入されたのか否かを判別することを特徴とする。
また、上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダの制御方法は、ICチップが内蔵されるとともに略長方形状に形成されるカードがその短手方向で挿入される挿入口が形成されるカード挿入部を備え、カード挿入部は、カードのおもて面に形成されるICチップの外部接続端子を検知するための金属検知機構と、挿入口に挿入されるカードの挿入方向におけるカードの先端を検知するための先端検知機構とを備え、金属検知機構は、挿入口に挿入されたカードの厚さ方向と挿入方向とに直交するカードの幅方向において、正しい向きで挿入された正規のカードの外部接続端子が通過する位置に配置され、金属検知機構および先端検知機構は、正規のカードが正しい向きで挿入口に挿入されたときに、先端検知機構がカードの先端を検知するよりも前に金属検知機構が外部接続端子を検知するように配置され、正規のカードでは、カードの短手方向におけるカードの一端面とカードの短手方向における外部接続端子の一端との距離は、カードの短手方向におけるカードの他端面とカードの短手方向における外部接続端子の他端との距離よりも短くなっているカードリーダの制御方法であって、先端検知機構によってカードの先端が検知されるまでの間の少なくとも一部の時間である検知時間において、金属検知機構の出力信号に基づく金属検知信号値を所定の周期で取得するとともに、取得した複数の金属検知信号値の少なくとも一部を積算した積算値を算出し、積算値に基づいて、正規のカードが正しい向きで挿入口に挿入されたのか否かを判別することを特徴とする。
本発明では、先端検知機構によってカードの先端が検知されるまでの間の少なくとも一部の時間内において、金属検知機構の出力信号に基づく金属検知信号値を所定の周期で取得するとともに、取得した複数の金属検知信号値の少なくとも一部を積算した積算値を算出している。上述のように、おもて面を上側に向けた状態でカードが挿入される場合と、裏面を上側に向けた状態でカードが挿入される場合とでは、外部接続端子が金属検知機構で検知されたときの金属検知機構の出力信号の信号レベルが相違する。そのため、本発明では、おもて面を上側に向けた状態でカードが挿入される場合に所定の周期で取得した複数の金属検知信号値の少なくとも一部を積算した積算値と、裏面を上側に向けた状態でカードが挿入される場合に所定の周期で取得した複数の金属検知信号値の少なくとも一部を積算した積算値との差異を大きくすることが可能になる。したがって、本発明では、積算値に基づいて、カードが正しい向きで挿入口に挿入されたのか否かを適切に判別することが可能になる。
また、国際規格に準拠する正規のカードにおいては、カードの短手方向におけるカードの一端面とカードの短手方向における外部接続端子の一端との距離が、カードの短手方向におけるカードの他端面とカードの短手方向における外部接続端子の他端との距離よりも短くなっている。また、本発明では、先端検知機構によってカードの先端が検知されるまでの間の少なくとも一部の時間内において、金属検知機構の出力信号に基づく金属検知信号値を周期的に取得するとともに、取得した複数の金属検知信号値の少なくとも一部を積算した積算値を算出している。そのため、本発明では、正しい向きで挿入された場合の低反応カードの外部接続端子が金属検知機構で検知されたときの金属検知機構の出力信号の信号レベルと、一般的に市場に出回るカードが裏面を上側に向けた状態で挿入された場合のこのカードの外部接続端子が金属検知機構で検知されたときの金属検知機構の出力信号の信号レベルとの差異が小さくても、低反応カードが正しい向きで挿入された場合の積算値と、一般的に市場に出回るカードが裏面を上側に向けた状態で挿入された場合の積算値との差異を明確することが可能になる。したがって、本発明では、低反応カードが挿入口に挿入されても、積算値に基づいて、カードが正しい向きで挿入口に挿入されたのか否かを適切に判別することが可能になる。
本発明において、カード挿入部は、挿入口にカードが挿入されたことを検知するための挿入検知機構を備え、挿入検知機構は、制御部に接続されるとともに、正規のカードが正しい向きで挿入口に挿入されたときに、カードの短手方向における外部接続端子の一端が金属検知機構に到達する前に挿入検知機構が挿入口にカードが挿入されたことを検知するように配置され、制御部は、挿入検知機構によって挿入口にカードが挿入されたことが検知されてから先端検知機構によってカードの先端が検知されるまでの間の少なくとも一部の時間を検知時間として、金属検知信号値を所定の周期で取得することが好ましい。このように構成すると、挿入口にカードが挿入される前に金属検知機構で検知されるノイズの影響を排除することが可能になる。したがって、算出される積算値の精度を高めることが可能になり、その結果、カードが正しい向きで挿入口に挿入されたのか否かをより適切に判別することが可能になる。
本発明において、制御部は、挿入検知機構によって挿入口にカードが挿入されたことが検知されたときの金属検知機構の出力信号の信号レベルを基準値として記憶し、金属検知信号値は、所定の周期で取得される金属検知機構の出力信号の信号レベルと基準値との差であることが好ましい。このように構成すると、カードリーダの周囲温度の変化等の外部環境の変動等の影響を排除した金属検知信号値を取得することが可能になる。したがって、取得される金属検知信号値の精度を高めることが可能になり、積算値の精度を高めることが可能になる。その結果、カードが正しい向きで挿入口に挿入されたのか否かをより適切に判別することが可能になる。
本発明において、カードリーダは、挿入検知機構によって挿入口にカードが挿入されたことが検知されるとカードを一定速度で搬送するカード搬送機構を備え、外部接続端子が金属検知機構を通過するようにかつカードの短手方向における一端面側から挿入口にカードが挿入される場合が、カードが正しい向きで挿入口に挿入される場合であり、正規のカードが正しい向きで挿入口に挿入されカード搬送機構によって搬送される場合の、挿入検知機構によって挿入口にカードが挿入されたことが検知されたときからカードの短手方向における外部接続端子の一端が金属検知機構に到達する前の所定の時点までの時間を第1経過時間とし、正規のカードがカードの短手方向における他端面側からかつ外部接続端子が金属検知機構を通過するように挿入口に挿入されカード搬送機構によって搬送される場合の、挿入検知機構によって挿入口にカードが挿入されたことが検知されたときからカードの短手方向における外部接続端子の他端が金属検知機構に到達する前の所定の時点までの時間を第2経過時間とすると、制御部は、挿入検知機構によって挿入口にカードが挿入されたことが検知されたときから第1経過時間が経過した後であって、かつ、挿入検知機構によって挿入口にカードが挿入されたことが検知されたときから第2経過時間が経過する前までの間の少なくとも一部の時間を検知時間として、検知時間内に取得した複数の金属検知信号値の少なくとも一部を積算して積算値を算出することが好ましい。
このように構成すると、正しい向きでカードが挿入された場合に、外部接続端子が金属検知機構に到達する前から到達した後までの金属検知信号値を積算して積算値を算出することが可能になる。また、カードの短手方向における他端面側からかつ外部接続端子が金属検知機構を通過するようにカードが挿入された場合に、外部接続端子が金属検知機構に到達する前までの金属検知信号値を積算して積算値を算出することが可能になる。したがって、正しい向きでカードが挿入された場合の積算値と、カードの短手方向における他端面側からかつ外部接続端子が金属検知機構を通過するようにカードが挿入された場合の積算値との差異をより大きくすることが可能になり、その結果、積算値に基づいて、カードが正しい向きで挿入口に挿入されたのか否かをより適切に判別することが可能になる。また、低反応カードが正しい向きで挿入された場合の積算値と、一般的に市場に出回るカードが裏面を上側に向けた状態で挿入された場合の積算値との差異をより明確することが可能になり、その結果、低反応カードが挿入口に挿入されても、積算値に基づいて、カードが正しい向きで挿入口に挿入されたのか否かをより適切に判別することが可能になる。
本発明において、たとえば、挿入方向における先端検知機構と金属検知機構との距離は、カードの短手方向におけるカードの一端面とカードの短手方向における外部接続端子の一端との距離よりも長く、かつ、カードの短手方向におけるカードの一端面とカードの短手方向における外部接続端子の他端との距離よりも短くなっている。また、本発明において、たとえば、検知時間は、先端検知機構がカードの先端を検知したときを基準時点として、正規のカードが正しい向きで挿入口に挿入されたときに、先端検知機構がカードの先端を検知するよりも前に開始されるとともに、正規のカードがカードの短手方向における他端面側からかつ外部接続端子が金属検知機構を通過するように挿入口に挿入されたときに、外部接続端子が金属検知機構に到達する前の時点までの少なくとも一部の時間内に設定されている。また、本発明において、たとえば、金属検知機構は、磁性材料で形成されるコアと、コアの軸心を巻回中心にしてコアに巻回される励磁用コイルおよび検知用コイルとを備える磁気式センサであり、先端検知機構は、発光素子と、発光素子からの光を受光する受光素子とを有する光学式センサである。
本発明において、たとえば、カードリーダは、カードを搬送するカード搬送機構を備え、挿入口にカードが挿入されたことが挿入検知機構によって検知されると、カード搬送機構を起動してカードを一定速度で搬送しながら、検知時間において金属検知信号値を所定の周期で取得し、検知時間における金属検知信号値を積算した積算値をあらかじめ定めた検知閾値と比較することにより正規のカードが正しい向きで挿入口に挿入されたのか否かを判別する。
以上のように、本発明では、国際規格に準拠する略長方形状のICカードをその短手方向で取り込んで処理するカードリーダにおいて、カードが正しい向きで挿入口に挿入されたのか否かを適切に判別することが可能になる。また、本発明では、国際規格に準拠する略長方形状のICカードをその短手方向で取り込んで処理するカードリーダの制御方法において、カードが正しい向きで挿入口に挿入されたのか否かを適切に判別することが可能になる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(カードリーダの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の斜視図である。図2は、国際規格で規定されるICカードの外部接続端子2cを構成する第1〜第8接続端子2p〜2wの配置範囲を説明するための図である。図3は、図1に示すカードリーダ1の制御部7およびカード2の取込動作に関連する構成のブロック図である。
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の斜視図である。図2は、国際規格で規定されるICカードの外部接続端子2cを構成する第1〜第8接続端子2p〜2wの配置範囲を説明するための図である。図3は、図1に示すカードリーダ1の制御部7およびカード2の取込動作に関連する構成のブロック図である。
本形態のカードリーダ1は、カード2に記録されたデータの読取およびカード2へのデータの記録の少なくとも一方を行うための装置であり、ATM(Automated Teller Machine)等の所定の上位装置に搭載されて使用される。このカードリーダ1は、カード2が挿入される挿入口3が形成されるカード挿入部4を備えている。また、カードリーダ1の内部には、挿入口3から挿入されたカード2が通過するカード通過路5(図4参照)が形成されている。すなわち、カード挿入部4には、カード2が通過するカード通過路5が形成されている。カード通過路5は、挿入口3に繋がるように形成されている。また、カードリーダ1は、カード通過路5においてカード2を搬送するカード搬送機構6と、カードリーダ1を制御する制御部7とを備えている。
カード2は、厚さが0.7〜0.8mm程度の塩化ビニール製のカードである。カード2の裏面2bには、磁気データが記録される磁気ストライプ(図示省略)が形成されている。また、本形態のカード2は、国際規格「ISO/IEC7810」に準拠したカードであり、四隅に丸みを持った略長方形状に形成されている。また、カード2には、図示を省略するICチップが内蔵されるとともに、図2(A)に示すように、カード2のおもて面2aには、ICチップの外部接続端子2cが形成されている。また、カード2は、国際規格「ISO/IEC7816−2」に準拠したカードであり、外部接続端子2cは、第1接続端子2p、第2接続端子2q、第3接続端子2r、第4接続端子2s、第5接続端子2t、第6接続端子2u、第7接続端子2vおよび第8接続端子2wによって構成されている。
国際規格「ISO/IEC7816−2」では、第1〜第8接続端子2p〜2wの配置範囲が規定されており、第1〜第8接続端子2p〜2wの配置範囲は、カード2の長手方向の一端面2eおよびカード2の短手方向の一端面2dを基準にして、図2(B)に示す寸法となっている。図2(B)に示す寸法の単位は、mm(ミリメートル)であり、図示された寸法値で第1〜第8接続端子2p〜2wが形成されると、第1〜第8接続端子2p〜2wの大きさが最小になる。
図2等に示すように、第1〜第4接続端子2p〜2sは、カード2の短手方向において一端面2d側からこの順番で配置されるとともに、カード2の長手方向において同じ位置に配置されている。また、カード2の短手方向において、第5接続端子2tは、第1接続端子2pと同じ位置に配置され、第6接続端子2uは、第2接続端子2qと同じ位置に配置され、第7接続端子2vは、第3接続端子2rと同じ位置に配置され、第8接続端子2wは、第4接続端子2sと同じ位置に配置されている。また、第5〜第8接続端子2t〜2wは、カード2の長手方向において同じ位置に配置されるとともに、第1〜第4接続端子2p〜2sよりも一端面2eから離れた位置に配置されている。なお、カード2の中には、第4接続端子2sと第8接続端子2wとが形成されないものもある。
また、上述のように、国際規格に準拠する正規のカード2では、図9(A)に示すように、カード2の短手方向の一端面2dとカード2の短手方向における外部接続端子2cの一端との距離L1は、カード2の短手方向の他端面2fとカード2の短手方向における外部接続端子2cの他端との距離L2よりも短くなっている。
本形態では、図1に示すX方向でカード2が搬送される。具体的には、X1方向にカード2が挿入されて取り込まれ、X2方向にカード2が排出される。すなわち、X方向は、カード2の搬送方向であり、X1方向は、カード2の挿入方向であり、X2方向は、カード2の排出方向である。また、X1方向側は、カード2の挿入方向における奥側であり、X2方向側は、カード2の挿入方向における手前側である。また、本形態では、カード2の短手方向とX方向とが一致するように、カード2が、カードリーダ1に挿入されてカードリーダ1内で搬送される。すなわち、挿入口3には、カード2が短手方向で挿入され、カードリーダ1は、カード2の短手方向でカード2を取り込んで、カード2とデータの通信を行う。
また、X方向に直交するZ方向は、カードリーダ1内に取り込まれたカード2の厚さ方向である。本形態では、Z方向と鉛直方向とが一致するようにカードリーダ1が配置されている。また、X方向とZ方向とに直交するY方向は、挿入口3に挿入されたカード2の幅方向であり、カードリーダ1の内部に傾きのない正しい姿勢で取り込まれたときのカード2の長手方向である。なお、以下の説明では、X方向を「前後方向」、Y方向を「左右方向」、Z方向を「上下方向」とし、また、X1方向側を「奥(後ろ)」側、X2方向側を「手前」側、Y1方向側を「右」側、Y2方向側を「左」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
カード搬送機構6は、カード2に当接してカード2を搬送する駆動ローラ、駆動ローラに対向配置されるパッドローラ、駆動ローラの駆動源となるモータ、および、モータの動力を駆動ローラに伝達する動力伝達機構等を備えている。このカード搬送機構6は、制御部7に接続されている。制御部7は、ROMやRAM等の記憶回路およびCPU等の演算回路等を備えている。また、制御部7は、カード搬送機構6を構成するモータの駆動回路や、後述のシャッタ駆動機構13を構成するソレノイドの駆動回路等を備えている。
また、カードリーダ1は、上述の構成に加えて、カード2に当接してカード2に記録された磁気データの読取やカード2への磁気データの記録を行う磁気ヘッドと、カード2の搬送方向に直交する左右方向へ磁気ヘッドを移動させるヘッド移動機構と、カード2の外部接続端子2cに接触してデータの通信を行うためのIC接点ブロックと、IC接点ブロックを移動させる接点ブロック移動機構と、カードリーダ1の内部に取り込まれたカード2を位置決めするための位置決め機構とを備えている。
ヘッド移動機構は、磁気ヘッドが搭載されるキャリッジ、左右方向へキャリッジを案内するガイド軸、キャリッジを左右方向へ送るリードスクリュー、磁気ヘッドを上下動させるためのカム板、および、ガイド軸を中心とするキャリッジの回動を防止するための回動防止軸等を備えている。このヘッド移動機構は、磁気ヘッドを左右方向へ移動させるとともに、磁気ヘッドがカード2の磁気ストライプに当接可能な位置と磁気ヘッドがカード通過路5から退避する位置との間で磁気ヘッドを上下動させる。本形態のヘッド移動機構は、カード通過路5の下側へ磁気ヘッドを退避させる。
IC接点ブロックは、カード2の外部接続端子2cに接触する複数のIC接点バネ等を備えている。接点ブロック移動機構は、IC接点バネが外部接続端子2cに接触可能な位置と、IC接点バネがカード通過路5から退避する位置との間でIC接点ブロックを移動させる。本形態の接点ブロック移動機構は、カード通過路5の上側へIC接点バネを退避させる。位置決め機構は、カードリーダ1の内部に取り込まれたカード2の奥端が当接する位置決め部材等を備えている。この位置決め機構は、磁気ヘッドやIC接点ブロックがデータの読取や記録を行う際に、カード2を位置決めする。
(カード挿入部の構成)
図4〜図6は、図1に示すカード挿入部4の概略構成を説明するための図である。図7は、図4に示す金属検知機構10の構成を説明するための図である。
図4〜図6は、図1に示すカード挿入部4の概略構成を説明するための図である。図7は、図4に示す金属検知機構10の構成を説明するための図である。
カード挿入部4は、カードリーダ1の前面側部分を構成している。このカード挿入部4は、挿入口3にカード2が挿入されたことを検知するための挿入検知機構9と、カード2の外部接続端子2cを検知するための金属検知機構10と、挿入口3に挿入されたカード2の奥端(すなわち、挿入方向におけるカード2の先端)を検知するための先端検知機構11と、カード通過路5を開閉するシャッタ部材12と、シャッタ部材12を駆動するシャッタ駆動機構13とを備えている。挿入検知機構9、金属検知機構10、先端検知機構11およびシャッタ駆動機構13は、制御部7に接続されている。
左右方向における挿入口3の幅は、カード2の長手方向の幅よりも広くなっている。カード通過路5の左端は、挿入口3に挿入されたカード2の左端面が接触する基準面5aとなっている。基準面5aは、上下方向と前後方向とから構成されるZX平面と平行に形成されている。また、基準面5aは、カード通過路5で搬送されるカード2の搬送基準面となっている。カード挿入部4には、たとえば、板バネ等の付勢部材(図示省略)が配置されており、挿入口3に挿入されたカード2は、この付勢部材の付勢力によって、カード2の左端面が基準面5aに接触するように左方向へ付勢される。
本形態では、おもて面2aを上側に向けた状態でカード2の短手方向の一端面2d側からカード2が挿入口3に挿入される場合が、カード2が正しい向きで挿入口3に挿入される場合である。そのため、正規のカード2が傾きのない正しい姿勢で挿入口3に挿入されるときには、おもて面2aが上側を向き、一端面2dが奥側に配置されるとともに、カード2の長手方向の一端面2eが基準面5aに当接する。なお、本明細書では、「カード2が正しい向きで挿入口3に挿入される」には、カード2の短手方向が前後方向に対して傾いた状態でカード2が挿入口3に挿入される場合も含まれる。一方、本明細書において、「カード2が傾きのない正しい姿勢で挿入口3に挿入される」とは、カード2が正しい向きで、かつ、カード2の短手方向が前後方向に対して傾いていない状態で、カード2が挿入口3に挿入されることを意味する。
挿入検知機構9は、たとえば、発光素子と、発光素子からの光を受光する受光素子とを有する光学式のセンサである。この挿入検知機構9は、たとえば、透過型の光学式センサである。挿入検知機構9を構成する発光素子と受光素子とは、カード通過路5を上下方向で挟むように配置されており、挿入口3に挿入されるカード2の奥端部分(先端部分)によって発光素子から受光素子へ向かう光が遮られると、挿入口3にカード2が挿入されたことが検知される。
なお、挿入検知機構9は、反射型の光学式センサであっても良いし、マイクロスイッチ等の機械式のセンサであっても良い。また、挿入検知機構9は、カード2の長手方向の両端を検知するために、左右方向におけるカード通過路5の両側に配置されるいわゆる幅検知機構を備えていても良い。この幅検知機構は、たとえば、カード2の左右の両端面のそれぞれに接触して移動するレバー部材と、このレバー部材の動きを検知する光学式または機械式のセンサとから構成されている。
先端検知機構11は、たとえば、発光素子と、発光素子からの光を受光する受光素子とを有する光学式のセンサである。この先端検知機構11は、たとえば、透過型の光学式センサである。先端検知機構11を構成する発光素子と受光素子とは、カード通過路5を上下方向で挟むように配置されており、カード2の奥端部分によって発光素子から受光素子へ向かう光が遮られると、挿入口3に挿入されたカード2の奥端(先端)が検知される。なお、先端検知機構11は、反射型の光学式センサであっても良いし、マイクロスイッチ等の機械式のセンサであっても良い。また、先端検知機構11は、カード2に接触して移動するレバー部材と、このレバー部材の動きを検知する光学式または機械式のセンサとから構成されても良い。
金属検知機構10は、図7に示すように、磁性材料で形成されるコア15と、コア15の軸心CLを巻回中心にしてコア15に巻回される一対の励磁用コイル16、17および検知用コイル18とを備える磁気式センサである。コア15は、図7の紙面垂直方向を厚さ方向とする薄板状に形成されている。このコア15は、軸心CLの軸方向における略中央に配置される中央コア部15aと、軸心CLの軸方向において中央コア部15aの両端側のそれぞれに配置される一対の軸端コア部15bと、中央コア部15aと軸端コア部15bとの間に配置される鍔部15cとによって構成されている。軸心CLの軸方向における軸端コア部15bの端面は、長方形状に形成されている。
励磁用コイル16、17は、一対の軸端コア部15bのそれぞれに巻回されている。検知用コイル18は、中央コア部15aに巻回されている。励磁用コイル16、17の一端側は、可変抵抗20に接続されている。可変抵抗20は、交流電源21に接続されている。励磁用コイル16、17の他端側は、接地されている。検知用コイル18の両端部は、制御部7に接続されている。金属検知機構10は、励磁用コイル16、17が発生させる磁界の変化を検知用コイル18で検知することで、カード2の外部接続端子2cを検知する。
金属検知機構10は、カード通過路5の上側に配置されている。また、金属検知機構10は、コア15の軸心CLの軸方向と上下方向とが一致するように配置されており、軸心CLの軸方向における軸端コア部15bの端面(下端面)は、カード通過路5を通過するカード2に対向する対向面となっている。上述のように、軸心CLの軸方向における軸端コア部15bの端面は、長方形状に形成されており、コア15は、軸心CLの軸方向における軸端コア部15bの端面の長手方向と左右方向とが一致するように配置されている。
また、金属検知機構10(より具体的には、軸端コア部15bの下端面)は、左右方向において、正しい向きで挿入口3に挿入された正規のカード2の外部接続端子2cが通過する位置に配置されている。本形態では、正規のカード2が傾きのない正しい姿勢で挿入口3に挿入されたときに、コア15の軸心CLの延長線上を第5〜第8接続端子2t〜2wが通過するように金属検知機構10が配置されている。すなわち、本形態のカード2に形成される外部接続端子2cは、たとえば、図2(B)に示す寸法に設定されており、正規のカード2が傾きのない正しい姿勢で挿入口3に挿入されたときに、カード2の外部接続端子2cのうちの、カード通過路5の基準面5aに対して遠い側の列がコア15の軸心CLの延長線上を通過するように金属検知機構10が配置されている。
また、金属検知機構10および先端検知機構11は、正規のカード2が正しい向きで挿入口3に挿入されたときに、先端検知機構11がカード2の一端面2dを検知するよりも前に金属検知機構10が外部接続端子2cを検知するように配置されている。具体的には、図4に示すように、正規のカード2が傾きのない正しい姿勢で挿入口3に挿入された場合、先端検知機構11が一端面2dを検知したときに(より具体的には、先端検知機構11の検知範囲に一端面2dが到達して、先端検知機構11の出力が変化したときに)、コア15の軸心CLと第6接続端子2uとが上下方向で重なるように(すなわち、コア15と第6接続端子2uとが対向するように)、金属検知機構10および先端検知機構11が配置されている。
すなわち、前後方向における先端検知機構11と金属検知機構10との距離は、カード2の短手方向におけるカード2の一端面2dとカード2の短手方向における外部接続端子2cの一端との距離L1よりも長く、かつ、カード2の短手方向におけるカード2の一端面2dとカード2の短手方向における外部接続端子2cの他端との距離L5(図9参照)よりも短くなっている。
本形態では、正規のカード2が傾きのない正しい姿勢で挿入口3に挿入された場合、図2(B)に示す寸法値で第1〜第8接続端子2p〜2wが形成されて第1〜第8接続端子2p〜2wの大きさが最小になっていると、先端検知機構11が一端面2dを検知したときの第5接続端子2tの奥端とコア15の軸心CLとの前後方向の距離L10(図4参照)は、2.92mmとなる。すなわち、外部接続端子2cの奥端(第5接続端子2tの奥端)は、すでにコア15の軸心CLを通過している。なお、正規のカード2が傾きのない正しい姿勢で挿入口3に挿入される場合には、第1〜第8接続端子2p〜2wの大きさが最小になっていると、挿入口3に挿入されたカード2が一定速度で奥側へ移動したときに、金属検知機構10による外部接続端子2cの検知開始時間が最も遅れる。
また、上述のように、左右方向における挿入口3の幅がカード2の長手方向の幅よりも広くなっているため、正規のカード2が正しい向きで挿入口3に挿入されるときに、カード2の短手方向が前後方向に対して傾いた状態でカード2が挿入口3に挿入される場合がある。この場合、カード2の一端面2e側が手前側となるように図6(A)に示す状態までカード2が傾いていると(すなわち、一端面2e側が手前側となるようにカード2が最も傾いていると)、挿入口3に挿入されたカード2が一定速度で奥側へ移動したときに、金属検知機構10による外部接続端子2cの検知開始時間が最も遅れる。本形態では、正規のカード2が図6(A)に示す状態まで傾いた状態で挿入口3に挿入された場合、第1〜第8接続端子2p〜2wの大きさが最小になっていると、先端検知機構11が一端面2dを検知したときの第5接続端子2tの奥端とコア15の軸心CLとの前後方向の距離L11(図6(A)参照)は、1.798mmとなる。すなわち、この場合にも、外部接続端子2cの奥端(第5接続端子2tの奥端)は、すでにコア15の軸心CLを通過している。
また、一般的に市場に出回る正規のカード2が、裏面2bを上側に向けた状態でカード2の短手方向の他端面2f側から挿入口3に挿入された場合には、図5に示すように、先端検知機構11が他端面2fを検知したときに、外部接続端子2cは、金属検知機構10が配置された位置まで到達していない。本形態では、一般的に市場に出回る正規のカード2が、傾きのない状態で、かつ、裏面2bを上側に向けた状態で他端面2f側から挿入口3に挿入された場合、先端検知機構11が他端面2fを検知したときの外部接続端子2cの奥端とコア15の軸心CLとの前後方向の距離L12(図5参照)は、1.97mmとなる。すなわち、この場合には、外部接続端子2cの奥端は、コア15まで達していない。
また、一般的に市場に出回る正規のカード2が、裏面2bを上側に向けた状態で他端面2f側から挿入口3に挿入されるときに、カード2の短手方向が前後方向に対して傾いた状態でカード2が挿入口3に挿入される場合がある。この場合、カード2の他端面2g側が手前側となるように図6(B)に示す状態までカード2が傾いていると(すなわち、他端面2g側が手前側となるようにカード2が最も傾いていると)、挿入口3に挿入されたカード2が一定速度で奥側へ移動したときに、金属検知機構10による外部接続端子2cの検知開始時間が最も早くなる。本形態では、一般的に市場に出回る正規のカード2が、裏面2bを上側に向けた状態で他端面2f側から挿入口3に挿入された場合であって、かつ、図6(B)に示す状態まで傾いた状態で挿入口3に挿入された場合、先端検知機構11が他端面2fを検知したときの外部接続端子2cの奥端とコア15の軸心CLとの前後方向の距離L13(図6(B)参照)は、0.561mmとなる。すなわち、この場合にも、外部接続端子2cの奥端は、コア15まで実質的には達していない。
また、挿入検知機構9および金属検知機構10は、正規のカード2が正しい向きで挿入口3に挿入されたときに、外部接続端子2cの奥端が金属検知機構10(具体的には、コア15の軸心CL)に到達する前に挿入口3にカード2が挿入されたことを挿入検知機構9が検知するように配置されている。
シャッタ部材12は、前後方向において、先端検知機構11よりも奥側に配置されている。シャッタ部材12には、シャッタ駆動機構13が連結されている。シャッタ部材12は、カード通過路5に配置されてカード通過路5を閉鎖する閉鎖位置と、カード通過路5の下側に退避してカード通過路5を開放する開放位置との間で移動可能となっている。
(カードの取込動作)
図8は、図1に示すカードリーダ1によるカード2の取込動作のフローを示すフローチャートである。
図8は、図1に示すカードリーダ1によるカード2の取込動作のフローを示すフローチャートである。
カードリーダ1では、挿入口3にカード2が挿入される前の待機時に、シャッタ部材12は閉鎖位置にあり、カード通過路5を閉鎖している。また、この待機時には、カード搬送機構6は停止している。また、待機時には、励磁用コイル16、17に電圧が印加されている。この状態で、挿入口3にカード2が挿入されたことが挿入検知機構9によって検知されると、カードリーダ1によるカード2の取込動作が開始される。なお、挿入検知機構9によって検知される位置までカード2が挿入されると、カード2は、カード搬送機構6を構成する駆動ローラとパッドローラとに挟まれた状態になる。
挿入口3にカード2が挿入されたことが挿入検知機構9によって検知されると、制御部7は、まず、このときの金属検知機構10の出力信号の信号レベルを基準値として記憶する(ステップS1)。すなわち、制御部7は、挿入検知機構9によって挿入口3にカード2が挿入されたことが検知されたときの、外部接続端子2cと対向していない状態における金属検知機構10の出力信号の信号レベルを基準値として、この基準値を記憶する。また、制御部7は、カード搬送機構6を起動してカード2を一定速度で搬送する(ステップS2)。すなわち、カード搬送機構6は、挿入検知機構9によって挿入口3にカード2が挿入されたことが検知されると、カード2を一定速度で搬送する。本形態では、カード搬送機構6は、190mm/secでカード2を搬送する。
その後、制御部7は、ステップS1において基準値を記憶してから所定時間が経過したか否かを判断し(ステップS3)、所定時間が経過すると、金属検知機構10の出力信号に基づく金属検知信号値を取得する(ステップS4)。具体的には、制御部7は、ステップS4において、その時点の金属検知機構10の出力信号の信号レベルとステップS1で取得した基準値との差(すなわち、変化量)を金属検知信号値として、この金属検知信号値を取得する。本形態では、ステップS3における所定時間は、1ミリ秒(msec)であるが、ステップS3における所定時間は、1msecより長くても良いし、1msecより短くても良い。
その後、制御部7は、制御部7に記憶されている金属検知信号値の数が所定数以上であるか否かを判断する(ステップS5)。ステップS5において、制御部7に記憶されている金属検知信号値の数が所定数未満である場合には、制御部7は、ステップS4で取得した最新の金属検知信号値を制御部7に記憶する(ステップS6)。一方、ステップS5において、制御部7に記憶されている金属検知信号値の数が所定数以上である場合には、制御部7は、制御部7に記憶されている最も古い金属検知信号値を消去してから(ステップS7)、ステップS6へ進んで、ステップS4で取得した最新の金属検知信号値を制御部7に記憶する。本形態では、ステップS5における所定数は、17個であるが、ステップS5における所定数は、16個以下であっても良いし、18個以上であっても良い。
なお、金属検知信号値の数を所定数に制限する操作は、金属検知機構10による検知時間を所定の期間内に制限する操作である。上述のように、正規のカード2が傾きのない正しい姿勢で挿入口3に挿入された場合、先端検知機構11が一端面2dを検知したときに、外部接続端子2cの先端(奥端)はすでにコア15の軸心CLを通過する一方で、裏面2bを上側に向けた状態でカード2の短手方向の他端面2f側から挿入口3に挿入された場合には、先端検知機構11が他端面2fを検知したときに、外部接続端子2cは、金属検知機構10が配置された位置まで到達していないから、この差を明確に把握することができるように、金属検知機構10による検知時間を所定の期間内に制限する。すなわち、先端検知機構11がカード2の奥端(一端面2dまたは他端面2f)を検知したときを基準時点として、その基準時点より前の所定の時間を検知時間として設定している。したがって、先端検知機構11がカード2の奥端(一端面2dまたは他端面2f)を検知したときの基準時点に対し、大きく離れていることになる古い金属検知信号値を消去し、検知時間として設定した有効な時間内の金属検知信号値が積算されるようになっている。
その後、制御部7は、先端検知機構11によってカード2の奥端が検知されたのか否かを判断する(ステップS8)。ステップS8において、先端検知機構11によってカード2の奥端が検知されていない場合には、ステップS3へ戻る。ステップS8を経た後のステップS3では、制御部7は、前回のステップS4において金属検知信号値を取得してから所定時間が経過したか否かを判断し、所定時間が経過すると、ステップS4へ進む。
また、ステップS8において、先端検知機構11によってカード2の奥端が検知された場合には、制御部7は、制御部7に記憶されている複数の金属検知信号値の少なくとも一部を積算した積算値を算出する(ステップS9)。本形態では、挿入検知機構9によって挿入口3にカード2が挿入されたことが検知されてから、先端検知機構11によってカード2の奥端が検知されるまでに、17msec以上が経過している。そのため、先端検知機構11によってカード2の奥端が検知されたときには、制御部7に17個の金属検知信号値が記憶されている。具体的には、先端検知機構11によってカード2の奥端が検知されたときには、先端検知機構11によってカード2の奥端が検知された時点の17msec前から1msecごとの17個の金属検知信号値が制御部7に記憶されている。また、本形態では、ステップS9において、制御部7は、先端検知機構11によってカード2の奥端が検知された時点の5msec前に記憶された金属検知信号値から17msec前に記憶された金属検知信号値までの12個の金属検知信号値を積算範囲として積算して積算値を算出する。先端検知機構11がカード2の奥端を検知したときを基準時点として、5msec前までの金属検知信号値を積算しない理由については後述する。
その後、制御部7は、ステップS9で算出された積算値が所定の検知閾値を超えているか否かを判断する(ステップS10)。ステップS10において、積算値が検知閾値を超えている場合には、制御部7は、正規のカード2が正しい向きで挿入口3に挿入されたと判断して、シャッタ駆動機構13を起動しシャッタ部材12を開放位置へ移動させ、カード2をカードリーダ1の内部へ取り込む(ステップS11)。また、内部に取り込まれたカード2に対しては、磁気ヘッドによる磁気データの読取、記録や、IC接点ブロックによるデータの読取、記録が行われる。
一方、ステップS10において、積算値が検知閾値を超えていない場合には、制御部7は、非正規のカード2が挿入口3に挿入された、あるいは、正規のカード2が誤った方向で挿入口3に挿入されたと判断して、カード搬送機構6を逆転させ挿入口3からカード2を排出する(ステップS12)。
このように、本形態では、制御部7は、ステップS3〜S8において、挿入検知機構9によって挿入口3にカード2が挿入されたことが検知されてから先端検知機構11によってカード2の奥端が検知されるまでの間に、金属検知機構10の出力信号に基づく金属検知信号値を1msecの周期で取得している。また、制御部7は、ステップS9において、取得した複数の金属検知信号値の一部を積算した積算値を算出している。さらに、制御部7は、ステップS10において、ステップS9で算出された積算値に基づいて、正規のカード2が正しい向きで挿入口3に挿入されたのか否かを判別している。
また、上述のように、本形態では、カード搬送機構6は一定の速度である190mm/secでカード2を搬送する。また、上述のように、距離L10(図4参照)は2.92mmであり、正規のカード2が傾きのない正しい姿勢で挿入口3に挿入された場合には、カード搬送機構6によって搬送されるカード2の外部接続端子2cの奥端(具体的には、第5接続端子2tの奥端)が金属検知機構10(具体的には、コア15の軸心CL)に到達するのは、先端検知機構11によってカード2の一端面2dが検知された時点の15.4msec(=2.92mm/(190mm/sec))前である。
また、上述のように、距離L11(図6(A)参照)は1.798mmであり、正規のカード2が図6(A)に示す状態で挿入口3に挿入された場合には、カード搬送機構6によって搬送されるカード2の外部接続端子2cの奥端(具体的には、第5接続端子2tの奥端)が金属検知機構10(具体的には、コア15の軸心CL)に到達するのは、先端検知機構11によってカード2の一端面2dが検知された時点の9.5msec(=1.798mm/(190mm/sec))前である。
また、上述のように、距離L12(図5参照)は1.97mmであり、一般的に市場に出回る正規のカード2が傾いていない状態でかつ裏面2bを上側に向けた状態で他端面2f側から挿入口3に挿入された場合には、カード搬送機構6によって搬送されるカード2の外部接続端子2cの奥端が金属検知機構10(具体的には、コア15の軸心CL)に到達するのは、先端検知機構11によってカード2の他端面2fが検知された時点の10.4msec(=1.97mm/(190mm/sec))後である。
また、上述のように、距離L13(図6(B)参照)は0.561mmであり、一般的に市場に出回る正規のカード2が図6(B)に示す状態で挿入口3に挿入された場合には、カード搬送機構6によって搬送されるカード2の外部接続端子2cの奥端が金属検知機構10(具体的には、コア15の軸心CL)に到達するのは、先端検知機構11によってカード2の他端面2fが検知された時点の3.0msec(=0.561mm/(190mm/sec))後である。
このように、本形態では、正規のカード2が正しい向きで挿入口3に挿入される場合には、制御部7は、外部接続端子2cの奥端が金属検知機構10に到達する前から取得した金属検知信号値をステップS9で積算している。一方、正規のカード2が裏面2bを上側に向けた状態で他端面2f側から挿入口3に挿入される場合には、制御部7は、外部接続端子2cの奥端が金属検知機構10に到達する前に金属検知信号値の取得を終了している。
すなわち、正規のカード2が正しい向きで挿入口3に挿入されカード搬送機構6によって搬送される場合の、挿入検知機構9によって挿入口3にカード2が挿入されたことが検知されたときから外部接続端子2cの奥端が金属検知機構10に到達する前の所定の時点までの時間を第1経過時間とし、正規のカード2が裏面2bを上側に向けた状態で他端面2f側から挿入口3に挿入されカード搬送機構6によって搬送される場合の、挿入検知機構9によって挿入口3にカード2が挿入されたことが検知されたときから外部接続端子2cの奥端が金属検知機構10に到達する前の所定の時点までの時間を第2経過時間とすると、制御部7は、挿入検知機構9によって挿入口3にカード2が挿入されたことが検知されたときから第1経過時間が経過した後であって、かつ、挿入検知機構9によって挿入口3にカード2が挿入されたことが検知されたときから第2経過時間が経過する前までの間の少なくとも一部の時間内に取得した複数の金属検知信号値を積算して積算値を算出している。
なお、先端検知機構11によってカード2の他端面2fが検知されたときに、外部接続端子2cの奥端は金属検知機構10に到達していないが、先端検知機構11によって他端面2fが検知される5msec前から金属検知機構10の出力信号の信号レベルが変動することが本願発明者の検討で明らかになった。そのため、本形態では、ステップS9において、制御部7は、先端検知機構11によってカード2の奥端が検知された時点の5msec前に記憶された金属検知信号値から17msec前に記憶された金属検知信号値までの12個の金属検知信号値を積算範囲として積算して積算値を算出している。すなわち、先端検知機構11がカード2の奥端を検知したときを基準時点として、その基準時点より前の所定の時間を検知時間として設定し、その検知時間のうち、特に相違が明確となる範囲を積算範囲として設定して積算値を算出している。
また、本形態では、図6(A)に示すように、正規のカード2が正しい向きで挿入口3に挿入された場合であって、かつ、金属検知機構10による外部接続端子2cの検知開始時間が最も遅れる場合であっても、外部接続端子2cの奥端が金属検知機構10に到達するのは、先端検知機構11によって一端面2dが検知された時点の9.5msec前である。そのため、本形態では、ステップS9で積算される金属検知信号値の中に、外部接続端子2cの奥端が金属検知機構10に到達した後に取得された金属検知信号値も含まれている。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、挿入検知機構9によって挿入口3にカード2が挿入されたことが検知されてから先端検知機構11によってカード2の奥端が検知されるまでの間に、金属検知機構10の出力信号に基づく金属検知信号値を所定の周期で取得するとともに、取得した複数の金属検知信号値の一部を積算した積算値を算出している。また、正しい向きで正規のカード2が挿入される場合と、裏面2bを上側に向けた状態で他端面2f側から正規のカード2が挿入される場合とでは、外部接続端子2cが金属検知機構10で検知されたときの金属検知機構10の出力信号の信号レベルが相違する。そのため、本形態では、正しい向きで正規のカード2が挿入される場合に所定の周期で取得した複数の金属検知信号値の一部を積算した積算値と、裏面2bを上側に向けた状態で他端面2f側から正規のカード2が挿入される場合に所定の周期で取得した複数の金属検知信号値の一部を積算した積算値との差異を大きくすることが可能になる。したがって、本形態では、積算値に基づいて、正規のカード2が正しい向きで挿入口3に挿入されたのか否かを適切に判別することが可能になる。
以上説明したように、本形態では、挿入検知機構9によって挿入口3にカード2が挿入されたことが検知されてから先端検知機構11によってカード2の奥端が検知されるまでの間に、金属検知機構10の出力信号に基づく金属検知信号値を所定の周期で取得するとともに、取得した複数の金属検知信号値の一部を積算した積算値を算出している。また、正しい向きで正規のカード2が挿入される場合と、裏面2bを上側に向けた状態で他端面2f側から正規のカード2が挿入される場合とでは、外部接続端子2cが金属検知機構10で検知されたときの金属検知機構10の出力信号の信号レベルが相違する。そのため、本形態では、正しい向きで正規のカード2が挿入される場合に所定の周期で取得した複数の金属検知信号値の一部を積算した積算値と、裏面2bを上側に向けた状態で他端面2f側から正規のカード2が挿入される場合に所定の周期で取得した複数の金属検知信号値の一部を積算した積算値との差異を大きくすることが可能になる。したがって、本形態では、積算値に基づいて、正規のカード2が正しい向きで挿入口3に挿入されたのか否かを適切に判別することが可能になる。
特に本形態では、正規のカード2が正しい向きで挿入口3に挿入される場合に、制御部7は、外部接続端子2cの奥端が金属検知機構10に到達する前から取得した金属検知信号値を積算し、正規のカード2が裏面2bを上側に向けた状態で他端面2f側から挿入口3に挿入される場合に、制御部7は、外部接続端子2cの奥端が金属検知機構10に到達する前に金属検知信号値の取得を終了している。そのため、本形態では、正しい向きで正規のカード2が挿入された場合の積算値と、裏面2bを上側に向けた状態で他端面2f側から正規のカード2が挿入された場合の積算値との差異をより大きくすることが可能になり、その結果、積算値に基づいて、正規のカード2が正しい向きで挿入口3に挿入されたのか否かをより適切に判別することが可能になる。
また、本形態では、正規のカード2が正しい向きで挿入口3に挿入される場合に、制御部7は、外部接続端子2cの奥端が金属検知機構10に到達する前から取得した金属検知信号値を積算し、正規のカード2が裏面2bを上側に向けた状態で他端面2f側から挿入口3に挿入される場合に、制御部7は、外部接続端子2cの奥端が金属検知機構10に到達する前に金属検知信号値の取得を終了している。そのため、本形態では、正しい向きで挿入された場合の正規かつ低反応のカード2の外部接続端子2cが金属検知機構10で検知されたときの金属検知機構10の出力信号の信号レベルと、一般的に市場に出回る正規のカード2が裏面2bを上側に向けた状態で他端面2f側から挿入された場合のこのカード2の外部接続端子2cが金属検知機構10で検知されたときの金属検知機構10の出力信号の信号レベルとの差異が小さくても、低反応のカード2が正しい向きで挿入された場合の積算値と、一般的に市場に出回るカード2が裏面2bを上側に向けた状態で他端面2f側から挿入された場合の積算値との差異を明確することが可能になる。したがって、本形態では、低反応のカード2が挿入口3に挿入されても、積算値に基づいて、正規のカード2が正しい向きで挿入口3に挿入されたのか否かを適切に判別することが可能になる。
本形態では、挿入検知機構9によって挿入口3にカード2が挿入されたことが検知されてから先端検知機構11によってカード2の奥端が検知されるまでの間に、金属検知機構10の出力信号に基づく金属検知信号値を所定の周期で取得している。そのため、本形態では、挿入口3にカード2が挿入される前に金属検知機構10で検知されるノイズの影響を排除することが可能になる。したがって、本形態では、算出される積算値の精度を高めることが可能になり、その結果、正規のカード2が正しい向きで挿入口3に挿入されたのか否かをより適切に判別することが可能になる。
本形態では、制御部7は、ステップS4において、その時点の金属検知機構10の出力信号の信号レベルとステップS1で取得した基準値との差を金属検知信号値として取得している。そのため、本形態では、カードリーダ1の周囲温度の変化等の外部環境の変動等の影響を排除した金属検知信号値を取得することが可能になる。したがって、本形態では、取得される金属検知信号値の精度を高めることが可能になり、算出される積算値の精度を高めることが可能になる。その結果、本形態では、正規のカード2が正しい向きで挿入口3に挿入されたのか否かをより適切に判別することが可能になる。
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
上述した形態では、挿入口3にカード2が挿入されたことが挿入検知機構9で検知されてから先端検知機構11によってカード2の奥端が検知されるまでの間、一定の周期で(具体的には、1msecごとに)金属検知信号値が取得されている。この他にもたとえば、挿入口3にカード2が挿入されたことが挿入検知機構9で検知されてから先端検知機構11によってカード2の奥端が検知されるまでの間の一部の時間内において、一定の周期で金属検知信号値が取得されても良い。また、上述した形態では、挿入口3にカード2が挿入されたことが挿入検知機構9で検知された後に金属検知信号値が取得されているが、挿入口3にカード2が挿入される前の待機時から金属検知信号値が取得されても良い。
上述した形態では、先端検知機構11によってカード2の奥端が検知された時点の5msec前に記憶された金属検知信号値から17msec前に記憶された金属検知信号値までの12個の金属検知信号値が積算されて積算値が算出されているが、制御部7に記憶される17個の金属検知信号値のうちの任意に選択される12個の金属検知信号値が積算されて積算値が算出されても良い。また、上述した形態では、制御部7に記憶される17個の金属検知信号値のうちの12個の金属検知信号値が積算されて積算値が算出されているが、制御部7に記憶される17個の金属検知信号値のうちの11個以下の金属検知信号値が積算されて積算値が算出されても良いし、13個以上の金属検知信号値が積算されて積算値が算出されても良い。
上述した形態では、ステップS4において、その時点の金属検知機構10の出力信号の信号レベルとステップS1で取得した基準値との差が金属検知信号値として取得されている。この他にもたとえば、外部環境の変動の小さな場所にカードリーダ1が設置されるのであれば、ステップS4において取得される金属検知信号値は、その時点の金属検知機構10の出力信号の信号レベルであっても良い。
上述した形態では、挿入検知機構9および金属検知機構10は、正規のカード2が正しい向きで挿入口3に挿入されたときに、外部接続端子2cの奥端が金属検知機構10の配置位置に到達する前に挿入口3にカード2が挿入されたことを挿入検知機構9が検知するように配置されている。この他にもたとえば、挿入検知機構9および金属検知機構10は、正規のカード2が正しい向きで挿入口3に挿入されたときに、外部接続端子2cの奥端が金属検知機構10の配置位置に到達した後に挿入口3にカード2が挿入されたことを挿入検知機構9が検知するように配置されても良い。
上述した形態では、正規のカード2が傾きのない正しい姿勢で挿入口3に挿入されたときに、コア15の軸心CLの延長線上を第5〜第8接続端子2t〜2wが通過するように金属検知機構10が配置されている。この他にもたとえば、正規のカード2が傾きのない正しい姿勢で挿入口3に挿入されたときに、軸心CLの延長線上を第1〜第4接続端子2p〜2sが通過するように金属検知機構10が配置されても良い。
上述した形態では、金属検知機構10は、コア15の軸心CLの軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。この他にもたとえば、金属検知機構10は、左右方向から見たときに、上下方向に対してコア15の軸心CLが傾くように配置されても良い。また、上述した形態では、金属検知機構10は、一対の励磁用コイル16、17を備えているが、金属検知機構10が備える励磁用コイルの数は1個であっても良い。また、上述した形態では、カード2の裏面2bに磁気ストライプが形成されているが、カード2の裏面2bに磁気ストライプが形成されなくても良い。また、カード2は、国際規格「ISO/IEC7816−2」には準拠しているが、国際規格「ISO/IEC7810」には準拠していない異形カードであっても良い。たとえば、カード2は、国際規格「ISO/IEC7816−2」には準拠しているが、他端面2fと他端面2gとが交わる角部が曲率半径の比較的大きな1/4円弧状となる異形カードであっても良い。
上述した形態では、カードリーダ1は、カード搬送機構を有するカード搬送式のカードリーダであるが、カードリーダ1は、カード搬送機構を有しない手動式のカードリーダであっても良い。たとえば、カードリーダ1は、いわゆるディップ式のカードリーダであっても良い。
1 カードリーダ
2 カード
2a おもて面
2c 外部接続端子
2d 短手方向におけるカードの一端面
2f 短手方向におけるカードの他端面
3 挿入口
4 カード挿入部
6 カード搬送機構
7 制御部
9 挿入検知機構
10 金属検知機構(磁気式センサ)
11 先端検知機構(光学式センサ)
15 コア
16、17 励磁用コイル
18 検知用コイル
CL 軸心
L1 カードの短手方向におけるカードの一端面と外部接続端子の一端との距離
L2 カードの短手方向におけるカードの他端面と外部接続端子の他端との距離
L5 カードの短手方向におけるカードの一端面と外部接続端子の他端との距離
X1 カードの挿入方向
Y カードの幅方向
Z カードの厚さ方向
2 カード
2a おもて面
2c 外部接続端子
2d 短手方向におけるカードの一端面
2f 短手方向におけるカードの他端面
3 挿入口
4 カード挿入部
6 カード搬送機構
7 制御部
9 挿入検知機構
10 金属検知機構(磁気式センサ)
11 先端検知機構(光学式センサ)
15 コア
16、17 励磁用コイル
18 検知用コイル
CL 軸心
L1 カードの短手方向におけるカードの一端面と外部接続端子の一端との距離
L2 カードの短手方向におけるカードの他端面と外部接続端子の他端との距離
L5 カードの短手方向におけるカードの一端面と外部接続端子の他端との距離
X1 カードの挿入方向
Y カードの幅方向
Z カードの厚さ方向
Claims (11)
- ICチップが内蔵されるとともに略長方形状に形成されるカードをその短手方向で取り込んで前記カードとデータの通信を行うカードリーダにおいて、
前記カードが挿入される挿入口が形成されるカード挿入部と、前記カードリーダを制御する制御部とを備え、
前記カード挿入部は、前記カードのおもて面に形成される前記ICチップの外部接続端子を検知するための金属検知機構と、前記挿入口に挿入される前記カードの挿入方向における前記カードの先端を検知するための先端検知機構とを備え、
前記金属検知機構は、前記挿入口に挿入された前記カードの厚さ方向と前記挿入方向とに直交する前記カードの幅方向において、正しい向きで挿入された正規の前記カードの前記外部接続端子が通過する位置に配置され、
前記金属検知機構および前記先端検知機構は、前記制御部に接続されるとともに、正規の前記カードが正しい向きで前記挿入口に挿入されたときに、前記先端検知機構が前記カードの先端を検知するよりも前に前記金属検知機構が前記外部接続端子を検知するように配置され、
正規の前記カードでは、前記カードの短手方向における前記カードの一端面と前記カードの短手方向における前記外部接続端子の一端との距離は、前記カードの短手方向における前記カードの他端面と前記カードの短手方向における前記外部接続端子の他端との距離よりも短くなっており、
前記制御部は、前記先端検知機構によって前記カードの先端が検知されるまでの間の少なくとも一部の時間内において、前記金属検知機構の出力信号に基づく金属検知信号値を所定の周期で取得するとともに、取得した複数の前記金属検知信号値の少なくとも一部を積算した積算値を算出し、前記積算値に基づいて、正規の前記カードが正しい向きで前記挿入口に挿入されたのか否かを判別することを特徴とするカードリーダ。 - 前記カード挿入部は、前記挿入口に前記カードが挿入されたことを検知するための挿入検知機構を備え、
前記挿入検知機構は、前記制御部に接続されるとともに、正規の前記カードが正しい向きで前記挿入口に挿入されたときに、前記カードの短手方向における前記外部接続端子の一端が前記金属検知機構に到達する前に前記挿入検知機構が前記挿入口に前記カードが挿入されたことを検知するように配置され、
前記制御部は、前記挿入検知機構によって前記挿入口に前記カードが挿入されたことが検知されてから前記先端検知機構によって前記カードの先端が検知されるまでの間の少なくとも一部の時間を検知時間として、前記金属検知信号値を所定の周期で取得することを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。 - 前記制御部は、前記挿入検知機構によって前記挿入口に前記カードが挿入されたことが検知されたときの前記金属検知機構の出力信号の信号レベルを基準値として記憶し、
前記金属検知信号値は、所定の周期で取得される前記金属検知機構の出力信号の信号レベルと前記基準値との差であることを特徴とする請求項2記載のカードリーダ。 - 前記挿入検知機構によって前記挿入口に前記カードが挿入されたことが検知されると前記カードを一定速度で搬送するカード搬送機構を備え、
前記外部接続端子が前記金属検知機構を通過するようにかつ前記カードの短手方向における一端面側から前記挿入口に前記カードが挿入される場合が、前記カードが正しい向きで前記挿入口に挿入される場合であり、
正規の前記カードが正しい向きで前記挿入口に挿入され前記カード搬送機構によって搬送される場合の、前記挿入検知機構によって前記挿入口に前記カードが挿入されたことが検知されたときから前記カードの短手方向における前記外部接続端子の一端が前記金属検知機構に到達する前の所定の時点までの時間を第1経過時間とし、正規の前記カードが前記カードの短手方向における他端面側からかつ前記外部接続端子が前記金属検知機構を通過するように前記挿入口に挿入され前記カード搬送機構によって搬送される場合の、前記挿入検知機構によって前記挿入口に前記カードが挿入されたことが検知されたときから前記カードの短手方向における前記外部接続端子の他端が前記金属検知機構に到達する前の所定の時点までの時間を第2経過時間とすると、
前記制御部は、前記挿入検知機構によって前記挿入口に前記カードが挿入されたことが検知されたときから前記第1経過時間が経過した後であって、かつ、前記挿入検知機構によって前記挿入口に前記カードが挿入されたことが検知されたときから前記第2経過時間が経過する前までの間の少なくとも一部の時間を前記検知時間として、前記検知時間内に取得した複数の前記金属検知信号値の少なくとも一部を積算して前記積算値を算出することを特徴とする請求項2または3記載のカードリーダ。 - 前記挿入方向における前記先端検知機構と前記金属検知機構との距離は、前記カードの短手方向における前記カードの一端面と前記カードの短手方向における前記外部接続端子の一端との距離よりも長く、かつ、前記カードの短手方向における前記カードの一端面と前記カードの短手方向における前記外部接続端子の他端との距離よりも短くなっていることを特徴とする請求項4記載のカードリーダ。
- 前記検知時間は、前記先端検知機構が前記カードの先端を検知したときを基準時点として、正規の前記カードが正しい向きで前記挿入口に挿入されたときに、前記先端検知機構が前記カードの先端を検知するよりも前に開始されるとともに、正規の前記カードが前記カードの短手方向における他端面側からかつ前記外部接続端子が前記金属検知機構を通過するように前記挿入口に挿入されたときに、前記外部接続端子が前記金属検知機構に到達する前の時点までの少なくとも一部の時間内に設定されていることを特徴とする請求項2記載のカードリーダ。
- 前記金属検知機構は、磁性材料で形成されるコアと、前記コアの軸心を巻回中心にして前記コアに巻回される励磁用コイルおよび検知用コイルとを備える磁気式センサであり、
前記先端検知機構は、発光素子と、前記発光素子からの光を受光する受光素子とを有する光学式センサであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のカードリーダ。 - ICチップが内蔵されるとともに略長方形状に形成されるカードがその短手方向で挿入される挿入口が形成されるカード挿入部を備え、前記カード挿入部は、前記カードのおもて面に形成される前記ICチップの外部接続端子を検知するための金属検知機構と、前記挿入口に挿入される前記カードの挿入方向における前記カードの先端を検知するための先端検知機構とを備え、前記金属検知機構は、前記挿入口に挿入された前記カードの厚さ方向と前記挿入方向とに直交する前記カードの幅方向において、正しい向きで挿入された正規の前記カードの前記外部接続端子が通過する位置に配置され、前記金属検知機構および前記先端検知機構は、正規の前記カードが正しい向きで前記挿入口に挿入されたときに、前記先端検知機構が前記カードの先端を検知するよりも前に前記金属検知機構が前記外部接続端子を検知するように配置され、正規の前記カードでは、前記カードの短手方向における前記カードの一端面と前記カードの短手方向における前記外部接続端子の一端との距離は、前記カードの短手方向における前記カードの他端面と前記カードの短手方向における前記外部接続端子の他端との距離よりも短くなっているカードリーダの制御方法であって、
前記先端検知機構によって前記カードの先端が検知されるまでの間の少なくとも一部の時間である検知時間において、前記金属検知機構の出力信号に基づく金属検知信号値を所定の周期で取得するとともに、取得した複数の前記金属検知信号値の少なくとも一部を積算した積算値を算出し、前記積算値に基づいて、正規の前記カードが正しい向きで前記挿入口に挿入されたのか否かを判別することを特徴とするカードリーダの制御方法。 - 前記カード挿入部は、前記挿入口に前記カードが挿入されたことを検知するための挿入検知機構を備え、
前記挿入検知機構は、正規の前記カードが正しい向きで前記挿入口に挿入されたときに、前記カードの短手方向における前記外部接続端子の一端が前記金属検知機構に到達する前に前記挿入検知機構が前記挿入口に前記カードが挿入されたことを検知するように配置され、
前記金属検知信号値は、所定の周期で取得される前記金属検知機構の出力信号の信号レベルと、前記挿入検知機構によって前記挿入口に前記カードが挿入されたことが検知されたときの前記金属検知機構の出力信号の信号レベルである基準値との差であることを特徴とする請求項8記載のカードリーダの制御方法。 - 前記検知時間は、前記先端検知機構が前記カードの先端を検知したときを基準時点として、正規の前記カードが正しい向きで前記挿入口に挿入されたときに、前記先端検知機構が前記カードの先端を検知するよりも前に開始されるとともに、正規の前記カードが前記カードの短手方向における他端面側からかつ前記外部接続端子が前記金属検知機構を通過するように前記挿入口に挿入された場合に前記外部接続端子が前記金属検知機構に到達する前の時点までの少なくとも一部の時間内に設定されていることを特徴とする請求項8記載のカードリーダの制御方法。
- 前記カードリーダは、前記カードを搬送するカード搬送機構を備え、
前記挿入口に前記カードが挿入されたことが前記挿入検知機構によって検知されると、前記カード搬送機構を起動して前記カードを一定速度で搬送しながら、前記検知時間において前記金属検知信号値を所定の周期で取得し、
前記検知時間における前記金属検知信号値を積算した前記積算値をあらかじめ定めた検知閾値と比較することにより正規の前記カードが正しい向きで前記挿入口に挿入されたのか否かを判別することを特徴とする請求項9記載のカードリーダの制御方法。
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