JP6487699B2 - 電気二重層キャパシタの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電気二重層キャパシタ製造方法に関し、より詳細には高い電気的特性を有するカーボンナノチューブ(CNT)を利用した電気二重層キャパシタ製造方法に関するものである。
二次電池は、使い切ったら充電して何度でも再利用できるため、広く普及してきている。この二次電池としては、ニッカド電池、ナトリュウム硫黄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等が現在主流となっている。ところが、この二次電池において、発火爆発事故が多数発生しており、特にリチウムイオン電池の事故が多い。このため、現状では安全な大容量蓄電素子が見つからない状況である。このため、リチウムやナトリュウム、硫黄、水素などの危険な材料を用いないメタルフリーで長寿命かつ低コストで安全な蓄電素子が望まれている。
そこで、近年においては、太陽光、風力発電等によるクリーンエネルギーの蓄電システムの一つである電気二重層キャパシタの開発が行われている。電気二重層キャパシタは、イオンの静電気的吸着と脱着によって電気を蓄積するキャパシタである。電気二重層キャパシタは、化学反応を利用するバッテリーと異なって、分極性電極と電解質への単純なイオンの移動や物理的吸着による充電現象を利用するものであり、急速充放電が可能であり、高い充放電効率及び半永久的なサイクル寿命特性を有する。集電極、セパレータ及び分極性電極はこの電気二重層キャパシタに必須な構成要素である。
図1に従来の一般的な電気二重層キャパシタの構造を示す。この電気二重層キャパシタ200は、セパレータ(分離膜)201を挟んで正極側の分極性電極(陽極)202a及び負極側の分極性電極(陰極)202bが配され、その両側に金属箔からなる正極側の集電極203a及び負極側の集電極203bが配され、陽極/分離膜/陰極で構成されたキャパシタとし、これを容器(図示せず)に収納した後、電解液を注入し、真空封止することにより製造される。
従来のこのような構成を有する電気二重層キャパシタ200において、分極性電極202a、202bに数ボルトの電圧を加えると、電場が形成され、これにより電解質内のイオンが移動して分極性電極202a、202bの電気二重層に吸着されて電気が蓄積される。
電極は電気を集める重要な働きをする構成要素である。集電極203a、203bは電極202a、202bの電荷を集める作用をする。この集電極203a、203bに使用される金属箔には一般的にはアルミ箔やステンレス箔が用いられている。この金属箔は伝導性を良くするために用いられる。
電気二重層キャパシタは、電気二重層という界面現象を利用したキャパシタであり、その静電容量は分極性電極界面の表面積が大きいほど向上するため、その電極材料としては、比表面積の大きい活性炭が主に用いられてきた。ところが、大比表面積を有する活性炭は一般的に電気伝導度が小さく、電気二重層キャパシタの電極材料として活性炭のみを用いた場合は、分極性電極の内部抵抗が大きくなり過ぎるため、大電流を取り出す用途には適さない。また、静電容量も大きなものが得られないことや構造の脆弱性があり振動環境に弱いという課題があった。
そのため、主に分極性電極の内部抵抗を下げることを目的として、分極性電極中に主成分としての活性炭に加えて、カーボンブラックなどを混合することが一般的に行われている。しかし、導電性を高めるための活性炭以外の材料の混合割合が高くなるほど、内部抵抗は低下するのに対して、活性炭の混合割合は低くなるため、キャパシタの単位質量当りの静電容量は減少してしまう。
そこで、分極性電極材料として、活性炭に代えてカーボンナノチューブを用いる提案がなされている。
例えば、特許文献1には、単層カーボンナノチューブを活性炭粉末及びカーボンブラックと混合して分極性電極材料とし、これを用いて分極性電極を形成することで、静電容量が向上した電気二重層キャパシタが得られることが開示されている。
また、特許文献2には、カーボンナノチューブ膜に電解液を含浸させたものを分極性電極として用いることで、高容量化及び充放電の高速化が図られた電気二重層キャパシタが得られることが開示されている。
しかし、電気二重層キャパシタが大型化すると、分極性電極202a、202bの電子やイオンの伝導性が阻害されて、蓄えられる電荷量が期待するほど大きくできない。そのため、実現できる静電容量は、電極材料換算で、単層カーボンナノチューブの場合で30から50F/g、多層カーボンナノチューブの場合で10F/gが限界である。また、カーボンナノチューブの電気的接続がうまくゆかないために大型化が困難であり、大型化すると構造に不安定さがあった。つまり、名刺大やそれ以上の大きな分極性電極を作ろうとすると、表面の面方向でのカーボンナノチューブの電気的接続が十分に確保できず、内部抵抗が数オームと大きくなり、静電容量が大きくならないという問題があった。
その理由は、カーボンナノチューブを分散して電極に形成するとき、その再凝集が強力に起こるため小さな塊が生ずる。そして、このカーボンナノチューブの塊の間の電気的接続が悪くなり抵抗が大きくなってしまう。また、再凝集により固い塊になるので比表面積が小さくなってしまう。つまり、分散しても電極になると再凝集して分散の効果がなくなり、比表面積が小さくなり、電気的接続が悪くなるわけである。この現象は活性炭を用いたり導電性繊維を用いてカーボンナノチューブに混合する従来の方法では解決できないことを実験的に確認した。すなわち、いずれの方法でも電極の大きさを4センチ角以上に大きくすると、極端に性能が悪化してしまい、一桁小さいレベルの静電容量しか発揮できない。
本発明者は、長期間にわたり検討を重ねた結果、電気二重層キャパシタの正極側及び負極側の分極性電極として、不織布を、カーボンナノチューブ粉末を水に分散させたカーボンナノチューブ分散液に浸漬させ、乾燥させて、不織布の繊維にカーボンナノチューブを付着させたものを用いることにより、上記の問題が解決することを見出し、特許文献3等において開示した。これらの文献に記載された技術により、再凝集の問題が解決され、カーボンナノチューブの優れた電気的性質を生かした低内部抵抗化、高容量化を図った電気二重層キャパシタが実現された。
しかしながら、特許文献3に記載された技術には、カーボンナノチューブが不織布に十分浸透しないという問題があった。すなわち、カーボンナノチューブを分散した液を不織布に含浸しても、カーボンナノチューブが直ちに再凝集して大きな粒となるため、不織布の内部に浸透せず、表面にとどまってしまう。このため、不織布内部に大きな気泡が生じて、内部抵抗が大きく静電容量が増えないという課題があり、さらに改善の余地があった。
また、カーボンナノチューブをより多量に不織布に含浸させ、不織布の繊維間の空間に再凝集することなく、クラック無しの分散状態のままでこのような構造を維持するようになると、電気二重層キャパシタの分極性電極以外の他の電極にも利用可能な導電性複合体を実現することが期待される。
特開2000−124079号公報 特開2008−44820号公報 実用新案登録第3187172号公報
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、カーボンナノチューブをより多量に不織布に含浸させ、不織布の繊維間の空間に再凝集することなく、クラック無しの分散状態のままでこのような構造を維持させることのできる導電性複合体を分極性電極に用い、内部抵抗をより小さくでき静電容量をより増加させ、大きな静電容量を持ち高速充放電可能な電気二重層キャパシタを低コストで提供することを課題とする。
すなわち、第1には、本発明によれば、セパレータと、前記セパレータの両面に配された正極側及び負極側の一対の分極性電極と、さらに前記一対の分極性電極を挟み込むように配された一対の正極側及び負極側の集電極とを備え、前記分極性電極に電解液を含浸させてなる電気二重層キャパシタを製造する方法において、前記正極側及び負極側の分極性電極が、前記分極性電極の形状に裁断した不織布を、カーボンナノチューブ粉末を水にカーボンナノチューブの濃度が水100重量部に対して0.3から0.5重量部になるように分散させ且つ分散剤を混合させた第1のカーボンナノチューブ水分散液中に一定時間浸して含浸させた後、乾燥させる操作を複数回繰り返すことにより、前記カーボンナノチューブ粉末を前記不織布の繊維表面に付着させる第1段階のカーボンナノチューブ付着工程と、次いで、前記不織布を、カーボンナノチューブ粉末を水にカーボンナノチューブののどが水100重量部に対して0.6から1.5重量部となるように分散させ且つ分散剤を混合させた第2のカーボンナノチューブ水分散液中に一定時間浸して含浸させた後、乾燥させる操作を複数回繰り返すことにより、前記カーボンナノチューブ粉末をさらに前記不織布の繊維表面に付着させる第2段階のカーボンナノチューブ付着工程を施すことにより形成されることを特徴とする電気二重層キャパシタの製造方法が提供される。
また、第2には、上記第1の発明において、分散剤が、カルボキシメチルセルロース、アンモニア塩型カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)、3−(N,N−ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、n−ヘキサデシル−N,N’−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、2−メタクロイルオキシホスホリルコリン(MPC)、n−ブチメタクリレート(BMA)、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインからなる群から選ばれる少なくとも一種を混合させることを特徴とする電気二重層キャパシタの製造方法が提供される。
また、第3には、上記第1又は第2の発明において、第1のカーボンナノチューブ付着工程の前に、裁断した不織布の片面に集電極として金属箔を導電性接着剤で貼り合わせて積層体にすることを特徴とする電気二重層キャパシタの製造方法が提供される。
また、第4には、上記第1から第3のいずれかの発明において、前記セパレータの両面に、電解液を含浸させた前記一対の分極性電極をそれぞれ接合し、ケースにこれらを収納し前記ケースを真空封止することを特徴とする電気二重層キャパシタの製造方法が提供される。
また、第5には、上記第1から第4のいずれかの発明において、前記不織布として、炭素繊維又は導電性ポリマー繊維よりなる不織布を用いることを特徴とする電気二重層キャパシタの製造方法が提供される。
また、第6には、上記第1から第5のいずれかの発明において、前記カーボンナノチューブとして多層カーボンナノチューブ及び単層カーボンナノチューブの少なくともいずれかを用いることを特徴とする電気二重層キャパシタの製造方法が提供される。
また、第7には、上記第1から第6のいずれかの発明において、カーボンナノチューブ粉末に加えグラフェン薄片及びグラファイト粒子の少なくともいずれかを混合させることを特徴とする電気二重層キャパシタの製造方法が提供される。
本発明によれば、カーボンナノチューブをより多量に不織布に含浸させ、不織布の繊維間の空間に再凝集することなく、クラック無しの分散状態のままでこのような構造を維持させることのできる導電性複合体を分極性電極に用いた電気二重層キャパシタを提供することが可能となる。
また、本発明によれば、正極側及び負極側の分極性電極を、不織布を、カーボンナノチューブ粉末を水にカーボンナノチューブの濃度が水100重量部に対して0.3から0.5重量部となるように分散させ且つ分散剤を混合させた第1のカーボンナノチューブ水分散液中に浸して含浸させた後、乾燥させる操作を複数回繰り返す第1段階のカーボンナノチューブ付着工程と、次いで、前記不織布を、カーボンナノチューブ粉末を水にカーボンナノチューブの濃度が水100重量部に対して0.6から1.5重量部となるように分散させ且つ分散剤を混合させた第2のカーボンナノチューブ水分散液中に浸して含浸させた後、乾燥させる操作を複数回繰り返す第2段階のカーボンナノチューブ付着工程の2段階の付着工程を施すことにより形成するようにしたので、内部抵抗をより小さくでき静電容量を増加させ、大きな静電容量を持ち高速充放電可能な電気二重層キャパシタを低コストで提供することができる。
従来の電気二重層キャパシタの構成を示す断面図である。 導電性複合体の作製例で用いる不織布の100倍顕微鏡写真である。 導電性複合体の作製例で用いる不織布の1000倍顕微鏡写真である。 第1段階の付着工程完了後の不織布の100倍写真である。 第1段階の付着工程完了後の繊維の500倍写真である。 第1段階の付着工程完了後の繊維の1000倍写真である。 第2段階の付着工程完了後の複合体の100倍写真である。 第2段階の付着工程完了後の複合体の300倍写真である。 本発明の電気二重層キャパシタの分極性電極に用いる導電性複合体におけるカーボンナノチューブの様子を示す電子顕微鏡写真(10000倍)である。 本発明の電気二重層キャパシタの分極性電極に用いる導電性複合体におけるカーボンナノチューブの様子を示す電子顕微鏡写真(30000倍)である。 本発明の方法で製造された電気二重層キャパシタの構成例を示す図で、(a)はケースの上側を切り取ったとした場合の平面図、(b)は断面図である。 第1段階の付着工程が完了した時点の分極性電極の内部抵抗の測定データを示す図である。 電解液を入れる前の電気二重層キャパシタの内部抵抗の測定データを示す図である。 本発明の製造方法により作製された電気二重層キャパシタの静電容量の連続充放電の状況を示す図である。 実施例1の電気二重層キャパシタの静電容量の静電容量の計測値を示す図である。 実施例2の電気二重層キャパシタを示す図である。 実施例2の電気二重層キャパシタの静電容量の計測値を示す図である。
以下、本発明を実施形態に基づき詳細に説明する。
先ず、本発明の電気二重層キャパシタの分極性電極に用いる導電性複合体について説明する。
この導電性複合体は、不織布とカーボンナノチューブ粉末とからなり、カーボンナノチューブ粉末が、不織布の構成繊維間の空間に再凝集することなく分散した状態で充填され付着していることを特徴としている。
不織布としては、炭素繊維や導電性ポリマー繊維などの導電性繊維、誘電体繊維で作られるアラミド繊維、ガラス繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン繊維などが用いられる。導電性をより良好なものとする観点から、特に炭素繊維や導電性ポリマー繊維が好適に用いられる。また、誘電体繊維は誘電率を高くすることで静電容量を大きくする効果がある。
カーボンナノチューブとしては、価格(単層カーボンナノチューブはg当たり数万円)の点から多層カーボンナノチューブ(gあたり数十円)を用いることが望ましいが、性能をより良好にする目的で、多層カーボンナノチューブに単層カーボンナノチューブを混合させたもの、あるいは単層カーボンナノチューブ単独のものを用いることもできる。多層カーボンナノチューブは電子顕微鏡で測定した場合の平均直径が10から20nm程度のものが好ましい。単層カーボンナノチューブは平均直径が1から2nmのものが好ましい。これらのカーボンナノチューブの長さはミクロンのオーダーである。個々のカーボンナノチューブはアスペクト比が高く細長いチューブ状のものであるが、本明細書では、粉末と称する。
また、カーボンナノチューブの粉末は、導電性複合体の用途にもよるが、例えば、電気二重層キャパシタの分極性電極として用いる場合には、不織布に対して重量基準で20から300%、より好ましくは30から130%の範囲となる量で付着させることが好ましい。
本発明では、導電性をさらに良好にする目的で、グラフェンの薄片若しくはグラファイト(黒鉛)の粒子、又はそれらを混合したものを付着させるようにすることができる。この場合、グラフェンの薄片若しくはグラファイト粒子又はそれらを混合したものの量は、カーボンナノチューブの100重量部に対し、10から30重量部程度が好ましい。この場合、グラフェンの薄片あるいはグラファイト粒子は、電子顕微鏡で測定した場合の平均の層厚は1から8ナノメータ、エリアサイズは2から25ミクロン程度のものが好ましい。
次に、本発明の電気二重層キャパシタの分極性電極に用いる導電性複合体の製造方法について説明する。
この製造方法では、次の2段階のカーボンナノチューブ付着(含浸)工程を用いる。
第1段階:所定の形状、例えば矩形形状に裁断した不織布を、カーボンナノチューブ粉末を水に予め定めた濃度(例えば、水100重量部に対して0.3から0.5重量部)で分散させた第1のカーボンナノチューブ水分散液中に一定時間浸して含浸させた後、乾燥させる操作を複数回繰り返すことにより、前記カーボンナノチューブ粉末を前記不織布の繊維表面に付着させる。
第2段階:第1段階のカーボンナノチューブ付着工程を経た不織布を、カーボンナノチ
ューブ粉末を水に前記濃度より高い濃度(例えば、水100重量部に対して0.6から1.5重量部)で分散させた第2のカーボンナノチューブ水分散液中に一定時間浸して含浸させた後、乾燥させる操作を複数回繰り返すことにより、前記カーボンナノチューブ粉末をさらに前記不織布の繊維表面に付着させる。
本発明の電気二重層キャパシタの分極性電極に用いる導電性複合体の製造方法では、第1のカーボンナノチューブ水分散液及び第2のカーボンナノチューブ水分散液を調製する際に、カーボンナノチューブを分散媒である水に十分に分散させる処理を施す。分散方法としては、例えば超音波振動子をカーボンナノチューブ水分散液(以下、CNT水分散液とも称する。)に浸して、例えば20KHz、600Wの電力を1時間から3時間この超音波振動子に印加する。
その際、水分散液には、分散剤として、セルロースであるカルボキシメチルセルロース、アンモニア塩型カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アニオン界面活性剤であるドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)、両性イオン界面活性剤として、3−(N,N−ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、n−ヘキサデシル−N,N’−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、2−メタクロイルオキシホスホリルコリン(MPC)、n−ブチメタクリレート(BMA)、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインからなる群から選ばれる少なくとも一種を混合させることが好ましい。特に両性イオン界面活性剤が好ましい。その理由は、ヒドロキシエチルセルロースなどの高分子を分散剤として用いると劣化が少なく、分散性は高いのであるが、含浸工程において分散剤の濃度が高まり、CNTの性能を悪化させることがある。例えば静電容量が30から50%も低下する。一方、両性イオン界面活性剤によるCNTの分散機能は正電荷及び負電荷を有する両性イオンが、CNTの表面上で両性イオン分子膜を形成する。この分子膜は双極子間の強い静電的相互作用によって他のCNTを覆う分子膜と静電的に結合する。この静電的な力によってCNTの塊が引き剥がされ完全に分散する。そして界面活性剤は加熱により除去することができるので影響を残さない。
分散剤の添加量は、第1のCNT水分散液及び第2のCNT水分散液で異なり、また分散剤の種類でも異なる。
第1のCNT水分散液の場合、水100重量部に対して、カルボキシメチルセルロースやアンモニア塩型カルボキシメチルセルロースでは0.1から0.3重量部程度、ヒドロキシエチルセルロースでは0.01から0.03重量部程度、両イオン性界面活性剤2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどでは0.1から3重量部程度添加する。
また、第2のCNT水分散液の場合、CNTの濃度を2倍から3倍にする。そして分散剤は水100重量部に対して、カルボキシメチルセルロースやアンモニア塩型カルボキシメチルセルロースでは0.1から0.3重量部程度、ヒドロキシエチルセルロースでは0.01から0.03重量部程度、両イオン性界面活性剤では0.1から3重量部程度添加する。
ここで、導電性複合体の作製例について述べる。
炭素繊維よりなる厚さ0.6mmの不織布(クレハ社製:商品名(クレカベールマット))を8cm×13cmに裁断した。図2に不織布の100倍顕微鏡写真を示す。炭素繊維が絡み合って、強固な土台を作っていることがわかる。図3に1000倍に拡大した不織布の繊維の顕微鏡写真を示す。繊維の太さは10ミクロン程度である。
先ず、不織布の繊維の表面にカーボンナノチューブ粉末を強固に付着して導電パスを作る。そのため、多層カーボンナノチューブ((株)名城ナノカーボン社製:商品名(MWCNT))を水に分散させてCNT水分散液を作成した。分散液の成分は、水3Lに対し多層カーボンナノチューブを10gの割合である。カーボンナノチューブの分散は、超音波振動子をCNT水分散液に浸して、600W、20KHzの電力を2時間この超音波振動子に印加した。分散開始前に分散剤(両イオン性界面活性剤:川研ファインケミカル株式会社製;ソフタゾリンNS)を水100重量部に対して1重量部の割合で混合した。
次に、上記で作成した積層体を、70℃の温度に維持したCNT水分散液に1分間浸した。その後、積層体を引き上げて250℃のオーブン内で30分間放置し、乾燥させた。再び、積層体をCNT水分散液に浸して含浸させ、その後、上記と同様にして乾燥させた。この操作を7回繰り返した。これにより、第1段階の付着工程を完了させた。
図4に第1段階の付着工程完了後の不織布の100倍写真を示す。繊維の間の空間は残り、繊維の表面にカーボンナノチューブが付着していることがわかる。図5、図6は、それぞれ第1段階の付着工程完了後の繊維の500倍、1000倍拡大写真である。繊維の表面をカーボンナノチューブが薄く覆っている状態がわかる。このときに、繊維の電気抵抗は10分の1程度まで急激に小さくなる。(2cm径の銅板で電極を挟んで交流4端子法測定したところ、4.2Ωが0.1Ωへ低減した)次に行う含浸ではカーボンナノチューブで薄く覆われた炭素繊維間の空間にカーボンナノチューブを充填、付着させる。
次に、分散液の濃度を上記第一段階における濃度の2倍にした。この濃度の濃いCNT水分散液を上記と同様にして超音波により分散させた。分散開始前に分散剤(両イオン性界面活性剤:川研ファインケミカル株式会社製;ソフタゾリンNS)を水100重量部に対して1重量部の割合で混合した。70℃の温度に維持したこのCNT水分散液に上記積層体を浸漬し、同様に含浸させた後、乾燥させた。この操作を5回繰り返し、第2段階の付着工程を完了させた。
図7、図8にそれぞれ第2段階の付着工程完了後の導電性複合体の100倍写真、300倍写真を示す。これらの写真から繊維の間にできた空間にカーボンナノチューブが入り込んで、隣の空間と密接につながっていることがわかる。また、カーボンナノチューブが再凝集しないで塊になっておらず、クラックも生じておらず、カーボンナノチューブが分散状態で充填、付着していることがわかる。
次に、上記で作製した導電性複合体におけるカーボンナノチューブの様子を電子顕微鏡で観察した。図9、図10はそれぞれ10000倍、30000倍の電子顕微鏡写真である。これらの写真からカーボンナノチューブが1本1本分離していることが確認できる。すなわち、カーボンナノチューブが完全分散して独立しており、乾燥状態に写真に示す状態を維持している。また、図9からは、カーボンナノチューブの直径が10nm程度で長さが1ミクロン程度で完全に分離して相互に接触しながら3次元的構造をつくっていることが確認できる。
この導電性複合体は、特に電気二重層キャパシタの分極性電極として好ましく使用することができる。
次に、本発明の方法で製造される電気二重層キャパシタについて説明する。
図11は、本発明の方法で製造される電気二重層キャパシタの構成例を示す図で、(a)はケースの上側を切り取ったとした場合の平面図、(b)は断面図である。
この電気二重層キャパシタ100は、セパレータ(分離膜)101を挟んで、正極側の分極性電極(正電極)102aと負極側の分極性電極(負電極)102bが配され、さらにその両側に正極側の集電極103aと負極側の集電極103bが配され、これらがケース104内に収容され、ケース104内に電解液(図示せず)が注入され正極側及び負極側の分極性電極102a、102bに電解液を含浸させて構成される。
なお、図11の例では集電極103aと103bは幅広で両側から突出しているが、これは大電流対応において好ましく、小電流対応の場合にはこれらの集電極の幅を細幅とし、片側から突出する構成としてもよい。
本発明において、電気二重層キャパシタ100のセパレータ101としては、通常の電気二重層キャパシタで使用する紙や、繊維状又は多孔質の樹脂材質のシートを用いることができる。セパレータ101は、両分極性電極102a、102bの電気的な接触を防ぎ、電解質イオンは移動可能とするものである。
本発明において、電気二重層キャパシタ100の正極側及び負極側の分極性電極102a、102bは、その電極の形状の不織布(繊維を織らずに絡み合わせたシート状のものをいう。)を用い、前述の2段階のカーボンナノチューブ付着工程を施すことにより、その不織布の繊維の表面にカーボンナノチューブの粉末を付着させたものを使用する。
不織布及びカーボンナノチューブとしては、前述したものを用いることができる。カーボンナノチューブの粉末は、不織布に対して重量基準で20から60%の範囲となるような量で付着させることが好ましい。付着させる量は内部抵抗と容量との兼ね合いで調節することができる。20から60%の量にすると内部抵抗が30ミリオーム程度のカーボンナノチューブキャパシタが得られる。100%まで付着させると内部抵抗が少し大きくなり50から100ミリオーム程度になるが、静電容量が大きなものが得られる。商品としてはΩF値(抵抗に静電容量を乗じたもの)が1秒程度のものを高速型、2秒以上のものを低速型として、高速型は回生電力吸収など、低速型は蓄電用などに用いる。
静電容量はカーボンナノチューブの量にグラムあたりの静電容量を乗ずることで計算できる。たとえば、2グラムの多層カーボンナノチューブを投入すると多層カーボンナノチューブの場合は30F/gなので60Fが得られる。単層カーボンナノチューブの場合は45F/gを用いる。このように、性能を設計できることも有利な点である。F/gの値は実験で確認したものである。
本発明では、分極性電極102a、102bの導電性をより良好にする目的で、グラフェンの薄片若しくはグラファイト(黒鉛)の粒子、又はそれらを混合したものを付着させるようにすることができる。この場合、グラフェンの薄片若しくはグラファイト粒子又はそれらを混合したものの量は、カーボンナノチューブの100重量部に対し、10から30重量部程度が好ましい。この場合、グラフェンの薄片あるいはグラファイト粒子は、前述したサイズのものを用いることができる。
集電極103a、103bは、電気二重層に蓄積された電荷を出し入れするための電極であり、例えば、市販のキャパシタ用エッチングアルミ箔を用いることができる。金、銀、銅、ステンレスなどの導電性材料からなる箔、薄膜等を用いることもできる。
ケース104としては、例えばアルミナイズドフィルムやステンレスフィルム製ケース等、これまで電気二重層キャパシタに使用されてきたケースを使用することができる。ケース104内に、正の集電極103a/正極側の分極性電極102a/セパレータ101/負極側の分極性電極102b/負の集電極103bからなるキャパシタを収納した後、電解液を注入し、真空封止する。
電解液としてはこれまで電気二重層キャパシタに使用されてきた各種の電解液を用いることができるが、例えば溶剤としてポリカーボネートにフッ化ホウ素を混合したPC−BF4等が例示される。なお、カーボンナノチューブキャパシタはリチウムイオンやチタン酸リチュウムのナノ粒子を電極に混合付加することで、容量を倍程度に大きくすることが可能と考えられる。この場合の電解液はPCにLiPF6等を溶解したものが用いられる。
本発明の方法で製造される電気二重層キャパシタに用いる分極性電極は以下のようにして作製する。
分極性電極は、その電極の形状の不織布を用い、その不織布の繊維の表面にカーボンナノチューブの粒子を2段階に分けて付着させる。予め不織布の片面に、例えば市販のキャパシタ用エッチングアルミ箔を集電極として導電性接着剤で貼り付け、積層体としておく。
第1段階では、まず、粉末状のカーボンナノチューブを水に予め決めておいた濃度、水100重量部に対して0.3から0.5重量部とする。この溶液の中で分散させてカーボンナノチューブ水分散液を作成する。分散方法としては、例えば超音波振動子をカーボンナノチューブ水分散液(以下、CNT水分散液とも称する。)に浸して、例えば600W、20KHzの電力を1時間から2時間この超音波振動子に印加する。CNT水分散液には分散剤として0.1から3重量部程度のカルボキシメチルセルロース(CMC)を混合する。カルボキシメチルセルロースを添加すると、分散とバインダ効果が効果的に現れ、静電容量の向上に一層寄与することができるようになる。分散剤として、カルボキシメチルセルロースに代えて、アンモニア塩型カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、没食子酸エピガロカテキン又はこれらを組み合わせたものを用いることができる。この場合、水100重量部に対して、アンモニア塩型カルボキシメチルセルロースでは0.1から0.3重量部程度、ヒドロキシエチルセルロースでは0.01から0.03重量部程度、両イオン性界面活性剤では0.1から3重量部程度添加する。
次に、不織布に集電極を貼り付けた積層体を、70℃の温度に維持したCNT水分散液に一定時間(例えば、1分間)浸す。その後、不織布を引き上げて250℃のオーブン内で30分から1時間乾燥させる。この乾燥処理で分散剤は昇華して消える。再び、不織布をCNT水分散液に浸して含浸させ、その後、上記と同様にして乾燥させる。この操作を5回から10回繰り返す。最後の操作を行うことにより、第1段階の付着工程を完了する。この段階で不織布の繊維にカーボンナノチューブ粉末が付着して強固なものとなり導電性を高める。この段階は、しっかりした3次元構造を不織布の内部に作ることを目的とするもので、カーボンナノチューブの粉末を不織布の繊維表面に分子間力で付着させる。
次に第2段階の付着工程を行う。CNT水分散液のカーボンナノチューブの濃度を第1段階より上げて水100重量部に対して0.6から1.5重量部とする、濃度の濃いCNT水分散液を上記と同様にして作成する。分散剤の割合は第1段階と同じで、両性イオン界面活性剤として、例えば2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインを混合する。これにより分散効果が効果的に現れ、静電容量の向上に一層寄与することができるようになる。CNT水分散液には第1段階と同様に、このCNT水分散液に上記積層体(不織布)を浸漬させて含浸させた後、乾燥させる。この操作を3回から5回繰り返す。最後に、ヒドロキシエチルセルロースを0.01〜0.03%混合したCNT分散溶液を電極の表面にスプレー法で塗布する。最後の操作を行うことにより、第2段階の付着工程が完了する。その後、ロール成形を行い、これにより、本発明の分極性電極が完成する。
ここでも、分散剤として、カルボキシメチルセルロース、アンモニア塩型カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アニオン界面活性剤であるドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)、両性イオン界面活性剤又はこれらを組み合わせたものを用いることができる。この場合、水100重量部に対して、アンモニア塩型カルボキシメチルセルロースでは0.1から0.3重量部程度、ヒドロキシエチルセルロースでは0.01から0.03重量部程度、両イオン性界面活性剤では0.1から3重量部程度添加する。
このように、カーボンナノチューブの付着工程を2段階に分けて、CNT水分散液に含まれるカーボンナノチューブの濃度を薄いものから濃いものに変えることで、不織布内部の気泡をなくすことができる。気泡が多く存在すると、内部抵抗が大きくなることを確認している。したがって、気泡を排除することが非常に重要で、含浸、乾燥を繰り返し、さらにカーボンナノチューブの付着工程を上記のように2段階にわけることが有効であることを確認した。また、不織布の繊維に付着させるので、再凝集により固く固まることがなく分散に近い状態を維持できるため、比表面積が従来の3倍以上に増大する。
さらに、カーボンナノチューブ同士の電気的接続が良くなり、内部抵抗が小さくできる。この減少は数百回を超える実験で確認した。再現性が高く、できあがった電極のばらつきも±5%で、量産においても実用可能な歩留まりである。
また、上記の第1段階と第2段階のCNT水分散液の製造において、カーボンナノチューブ(100重量部)にグラフェン薄片やグラファイト(黒鉛)粒子を20から50重量部の割合で混合すると、内部抵抗を20から30%低くできることを確認した。
上記のようにして製造した分極性電極102a(102b)と集電極103a(103b)の積層体と、セパレータ101を図2に示したように重ねて、例えばアルミナイズドフィルムのケース104に収納し、電解液を注入した後、真空封止することにより、本発明による電気二重層キャパシタを作製することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
[実施例1]
炭素繊維よりなる厚さ0.6mmの不織布(クレハ社製:商品名(クレカベールマット))を8cm×13cmに裁断した。この不織布の片面にキャパシタ用エッチングアルミ箔(MPT社製:商品名(多孔集電体))を、カーボンナノチューブ接着剤(カーボンナノチューブ100重量部とグラフェン30重量部及び黒鉛粉末20重量部、バインダ2重量部を混合して作成)を導電性接着剤としてスポット的に塗布し貼り合わせ、積層体とした。この積層体を2つ用意した。
多層カーボンナノチューブ((株)名城ナノカーボン社製:商品名(MWCNT))を水に分散させてCNT水分散液を作成した。分散液の成分は、水3Lに対し多層カーボンナノチューブを10gの割合である。カーボンナノチューブの分散は、超音波振動子をCNT水分散液に浸して、600W、20KHzの電力を3時間この超音波振動子に印加した。分散前に両性イオン界面活性剤ソフタゾリンNSを水100重量部に対して1重量部の割合で混合した。
次に、上記で作成した積層体を、70℃の温度に維持したCNT水分散液に1分間浸した。その後、積層体を引き上げて250℃のオーブン内で60分間放置し、乾燥させた。再び、積層体を多層CNT水分散液に浸して含浸させ、その後、上記と同様にして乾燥させた。この操作を10回繰り返した。これにより、第1段階の付着工程を完了させた。この時点で図12に示すように分極性電極の抵抗を2端子法で測定して4.5センチ平方の測定電極で厚さ方向に挟んで測定したところ0.1オームであった。含浸前は4.2オームであったので2%まで抵抗を小さくすることが出来た。このことは、繊維にカーボンナノチューブが付着して繊維の導電性が良くなったことを示している。そして、導電性繊維で囲まれた小さな空間が多く用意できたことになる。次に行う含浸はこの空間にカーボンナノチューブを浸透させる。
次に、分散液の濃度を上記の3倍にした。この濃度の濃い多層CNT水分散液を上記と同様にして超音波により分散させた。分散前に両性イオン界面活性剤ソフタゾリンNSを水100重量部に対して1重量部の割合で混合した。70℃の温度に維持したこの多層CNT水分散液に上記積層体を浸漬し、同様に含浸させた後、乾燥させた。この操作を7回繰り返し、第2段階の付着工程を完了させた。
上記積層体を正極性用と負極性用のために2つ作成した。そして、図11に示すように、正の集電極103a、正極側の分極性電極102a、セパレータ101、負極側の分極性電極102b、負の集電極103bを重ねてアルミナイズドフィルムのケース104に収納した後、ケース104内に電解液を注入し、正極側及び負極側の分極性電極102a、102bに電解液(PC−BF4)を1時間、真空含浸させ次いで真空封入することにより、本発明の実施例1の電気二重層キャパシタを作製した。
上記で作製した実施例の電気二重層キャパシタの電極の内部抵抗を調べた。
電解液を入れる前のキャパシタの電極の内部抵抗を図13に示すように、1kHz、4端子法で測定したところ、実施例の電極の内部抵抗は22ミリオームであった。なお、その前に含浸(付着)を上述のように行っているので、このように画期的に内部抵抗の低減が可能となった。
また、上記で作製した実施例の電気二重層キャパシタの静電容量を調べた。
図14は、本発明の製造方法により作製された電気二重層キャパシタの連続充放電の状況を示す図である。
静電容量は、北斗電子のキャパシタ試験器HJ1001SD8により定電流充放電法により測定した。静電容量の計算に用いた公式は下記の式(1)である。容量値は試験器が自動的に解析している。
式(1)
静電容量F=(放電電流×放電時間)/(放電終了時間−放電開始電圧)
静電容量は図15に示すように33.2Fであった。この素子を100枚並列にしCNTキャパシタモジュールを作ると、内部抵抗が0.22ミリオームとなり、容量3320Fで0.22mΩなので時定数は0.73秒となる。このようにして、従来の倍以上高速なCNTキャパシタモジュールが商品として製造できる。ちなみに、このモジュールのエネルギー密度は16Wh/Lとなる
この実施例では高速型なので投入するCNTの量は少なめにしている。もう少し多めにして50Fにすることは容易に出来る。50Fのセルを100枚並列にしてモジュール化すると5000Fとなる。エネルギー密度は、5000×3.8×3.8/2=10Whである。体積は416CCなので、体積で割ると24Wh/Lとなる。これは活性炭キャパシタが5から7Wh/Lなので、その3倍以上の容量となる。また、リチュウムと活性炭を組み合わせたリチュウムイオンキャパシタが20Wh/Lなので、これをもしのぐことが十分可能なものである。
さらに、上記で作製した実施例の電気二重層キャパシタの充放電による劣化特性試験を下記の条件で行った。サンプルは同条件でコイン型を作成した。
温度:26℃±1℃
充電電流:5mAと50mAの2種類
電圧:2.5V
記録速度:5mm/分
充放電試験器:北斗電子社製 HJ−201B
その結果、定電流で充放電サイクルを12000回繰り返しても放電時間の変化はゼロであった。このことから静電容量の変化がゼロとなる。
このように、実施例のカーボンナノチューブキャパシタは金属を用いず、不純物を排除して炭素だけで電極を構成するので電解液の劣化が非常に少なくなることが判明した。このため、動作電圧を3.8Vまで上げても問題無いことが確認できた。このことは性能向上に大きな効果をもたらす。
さらに、上記のように電解液の改良や単層カーボンナノチューブの利用や、金属酸化物を利用すると40Wh/L以上が十分に実現可能となる。鉛畜電池は80Wh/L程度の性能なので、二次電池の放電深度を50%と評価すると40Wh/Lである。鉛畜電池は放電深度を深くすると劣化が早いので、通常は50%以内に制限して運用されている。
従って、40Wh/Lを超えると鉛畜電池の代わりにCNTキャパシタを蓄電体用として使うことができる。例えば、繰り返し充放電する太陽電池と連携したピークカット蓄電システムや、走行中に充電できる電気自動車、燃料電池車用キャパシタ、太陽発電用蓄電システム、プリンタ用キャパシタ、家電用キャパシタなど広い用途がある。
[実施例2]
80F級のCNTキャパシタを作るため、炭素繊維よりなる厚さを1mmと厚くした。
寸法は実施例1と同じ8cm×13cmに裁断した。
実施例1と同様にしてCNT水分散液を作成した。分散液の成分は同じにした。
次に、上記で作成した積層体を、実施例1と同じ工程で含浸を行った。但し、含浸と乾燥のサイクルを10回繰り返した。これにより、第1段階の付着工程を完了させた。電極の電気抵抗は実施例1と同様に低下した。このことは、繊維にカーボンナノチューブが付着して繊維の導電性が良くなったことを示している。そして、導電性繊維で囲まれた小さな空間が多く用意できたことになる。次に行う含浸はこの空間にカーボンナノチューブを浸透させる。
次に、分散液の濃度を上記の3倍にした。この濃度の濃いCNT水分散液を実施例1と同様にして超音波により分散させた。このCNT水分散液に上記積層体を浸漬し、同様に含浸させた後、乾燥させた。この操作を18回繰り返し、第2段階の付着工程を完了させた。第2段階の含浸と乾燥のサイクルを実施例1よりも増やすことでカーボンナノチューブの投入量を増やしている。
上記積層体を正極性用と負極性用のために2つ作成した。そして、図11に示すように、実施例1と同様に組立て、図16のように本発明の実施例2の電気二重層キャパシタを作製した。
上記で作製した実施例の電気二重層キャパシタの電極の内部抵抗を調べた。
電解液を入れる前のキャパシタの電極の内部抵抗を1kHz、4端子法で測定したところ、実施例2の電極の内部抵抗は30ミリオームであった。
この素子を100枚並列にしてカーボンナノチューブキャパシタモジュールを作ると、内部抵抗が0.3ミリオームとなり、非常に小さな内部抵抗が確認された。
また、上記で作製した実施例の電気二重層キャパシタの静電容量を調べた。図17に示したように、実施例1と同じ測定器で測定して82.9Fとなった。
実施例2のカーボンナノチューブキャパシタを100枚積層したモジュールレベルの性能を計算すると、エネルギー密度は25.9Wh/Lとなる。
このときの計算は、体積を624CC、蓄電したエネルギーを16.6Whとした。体積で正規化してWh/Lを計算した。リチウムイオンキャパシタの場合は20Wh/L程度なので2.6倍の性能となる。活性炭キャパシタに比較すると約4倍になる。
(比較例)
以下、比較例を説明する。
上記実施例において、カーボンナノチューブ付着工程を1段階のみとし、CNT水分散液の濃度を水100重量部に対して0.3重量部とし、不織布のCNT水分散液への浸漬、乾燥の操作を10回繰り返したこと以外は同様にして、分極性電極を形成し、2枚の分極性電極を正極側及び負極側の電極として、電気二重層キャパシタを作製した。
そして実施例と同様の方法で電気二重層キャパシタとして容量を測定したところ10Fとなり、内部抵抗は101ミリオームとなった。第2段階の含浸を行わないと容量が大きくならないまた、内部抵抗も小さく出来ないことが確認された。以上から、比較例に対する本発明の実施例の電気二重層キャパシタの性能の優位性が実証された。
以上説明したように、含浸工程を第1段階と第2段階に分けて行うことで初期の性能を得ることが出来る。第1段階では炭素繊維の表表面にカーボンナノチューブをコーティングして、繊維の導電性を高める。第2段階ではカーボンナノチューブを繊維の空間に詰め込み、容量を大きくする。これらの組み合わせで内部抵抗が小さく大きな容量のキャパシタを作ることが出来る。どちらか一方の含浸工程だけでは性能を発揮することが出来ない。なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
地球環境を改善するための再生エネルギー、省エネに蓄電素子は不可欠である。キャパシタは他の蓄電デバイスに比較して、寿命期間中の取り扱い可能エネルギーが最大である。それは寿命が桁違いに長いためである。キャパシタの寿命期間で入出力できるエネルギー量はリチウム電池より13倍も多いエネルギーを扱える。このため、キャパシタの利用が世界的に拡大している。特に大電力を扱う電力デバイスとしての利用がこれから拡大することが予想される。ユーザは安全で、低コスト、高性能な蓄電デバイスを求めている。その需要は極めて強い。
本発明の電気二重層キャパシタを社会に提供すると、従来の蓄電素子を小型軽量にでき、寿命が長く、安全性の高い理想的な蓄電素子として利用できる。その市場における利用可能性としては下記のようなものがある。
(1)自動車市場
ハイブリットカー、電気自動車、燃料電池自動車の二次電池とカーボンナノチューブキャパシタを組み合わせると、長寿命化や高性能化が可能となり、理想的な蓄電システムとなる。
(2)蓄電装置市場
回生電力利用や劣化の少ない蓄電装置として需要が多い。
(3)携帯機器市場
パソコンなどの蓄電素子として有効。このほか、宇宙航空用の長寿命電池、医療用の安全で長寿命な電池などに利用が拡大される。
100 電気二重層キャパシタ
101 セパレータ
102a 正極側の分極性電極(正電極)
102b 負極側の分極性電極(負電極)
103a 正極側の集電極
103b 負極側の集電極
104 ケース

Claims (7)

  1. セパレータと、前記セパレータの両面に配された正極側及び負極側の一対の分極性電極と、さらに前記一対の分極性電極を挟み込むように配された一対の正極側及び負極側の集電極とを備え、前記分極性電極に電解液を含浸させてなる電気二重層キャパシタを製造する方法において、
    前記正極側及び負極側の分極性電極が、前記分極性電極の形状に裁断した不織布を、カーボンナノチューブ粉末を水にカーボンナノチューブの濃度が水100重量部に対して0.3から0.5重量部になるように分散させ且つ分散剤を混合させた第1のカーボンナノチューブ水分散液中に一定時間浸して含浸させた後、乾燥させる操作を複数回繰り返すことにより、前記カーボンナノチューブ粉末を前記不織布の繊維表面に付着させる第1段階のカーボンナノチューブ付着工程と、次いで、前記不織布を、カーボンナノチューブ粉末を水にカーボンナノチューブの濃度が水100重量部に対して0.6から1.5重量部となるように分散させ且つ分散剤を混合させた第2のカーボンナノチューブ水分散液中に一定時間浸して含浸させた後、乾燥させる操作を複数回繰り返すことにより、前記カーボンナノチューブ粉末をさらに前記不織布の繊維表面に付着させる第2段階のカーボンナノチューブ付着工程を施すことにより形成されることを特徴とする電気二重層キャパシタの製造方法。
  2. 前記分散剤が、カルボキシメチルセルロース、アンモニア塩型カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)、3−(N,N−ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、n−ヘキサデシル−N,N’−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、2−メタクロイルオキシホスホリルコリン(MPC)、n−ブチメタクリレート(BMA)、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインからなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタの製造方法。
  3. 第1のカーボンナノチューブ付着工程の前に、裁断した不織布の片面に集電極として金属箔を導電性接着剤で貼り合わせて積層体にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気二重層キャパシタの製造方法。
  4. 前記セパレータの両面に、電解液を含浸させた前記一対の分極性電極をそれぞれ接合し、ケースにこれらを収納し前記ケースを真空封止することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気二重層キャパシタの製造方法。
  5. 前記不織布として、炭素繊維又は導電性ポリマー繊維よりなる不織布を用いることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気二重層キャパシタの製造方法。
  6. 前記カーボンナノチューブとして多層カーボンナノチューブ及び単層カーボンナノチューブの少なくともいずれかを用いることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気二重層キャパシタの製造方法。
  7. カーボンナノチューブ粉末に加えグラフェン薄片及びグラファイト粒子の少なくともいずれかを混合させることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電気二重層キャパシタの製造方法。
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