JP6478184B2 - 水素発生装置及び水素発生方法 - Google Patents

水素発生装置及び水素発生方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6478184B2
JP6478184B2 JP2014255821A JP2014255821A JP6478184B2 JP 6478184 B2 JP6478184 B2 JP 6478184B2 JP 2014255821 A JP2014255821 A JP 2014255821A JP 2014255821 A JP2014255821 A JP 2014255821A JP 6478184 B2 JP6478184 B2 JP 6478184B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrogen
group
visible light
hydrogen generator
semiconductor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014255821A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016113350A (ja
Inventor
光丈 押切
光丈 押切
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute for Materials Science
Original Assignee
National Institute for Materials Science
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute for Materials Science filed Critical National Institute for Materials Science
Priority to JP2014255821A priority Critical patent/JP6478184B2/ja
Publication of JP2016113350A publication Critical patent/JP2016113350A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6478184B2 publication Critical patent/JP6478184B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/36Hydrogen production from non-carbon containing sources, e.g. by water electrolysis

Landscapes

  • Catalysts (AREA)

Description

本発明は、水素発生装置及び水素発生方法に関する。
水素を発生させる方法として、水又は水溶液中に触媒を分散させてから光照射して水を分解して水素を発生させる方法が知られている。この触媒としては、酸化チタン(TiO)等が知られている。
近年は、酸化チタンからなる主触媒に、貴金属である白金(Pt)からなる助触媒を担持させた光触媒が用いられている。この光触媒は、光照射時に酸化チタンで生じた電子が白金表面に移動してトラップされるため、光励起により生成された電子とホールの無効再結合を防ぐことができ、光触媒活性を維持できる。
しかし、酸化チタンはバンドギャップが約3.0eV以上で、紫外光は吸収できるものの、420nmから780nmの波長の可視光はほとんど吸収できない。よって、これに可視光照射しても、ほとんど水素を生成できない。そのため、可視光による水素発生用の光触媒としては利用できない。また、白金は資源的に少ない希少金属であり、価格が高く、用途も限定されるし、できれば、助触媒を担持させることなく高活性が得られる水素発生システムが望まれる。
可視光照射して用いる光触媒に係る報告には、以下のものがある。
例えば、特許文献1は、バリウム、ジルコニウム、酸素及び窒素の元素で構成された、光励起半導体に関するものであり、可視光照射により励起して、光触媒として機能できると記載されている。
特許文献2は、水溶液溶媒中に半導体光触媒粉末と銅粉末を懸濁させ、これに人工光源若しくは太陽光源からの紫外線及び可視光線を照射して水素を生成させ、発生した水素を有効利用することを特徴とする大気環境修復方法に関するものである。
特許文献3は、多面体構造を備えた少なくともGaNを主成分とする結晶の各表面部位に、酸化あるいは還元反応を促進させる少なくとも1種類以上の浮島状の助触媒を備えた光触媒であって、前記光触媒の複数個が少なくとも可視光を吸収するバインダで互いに固定されていることを特徴とする光触媒集合体に関するものであり、該装置内に発生する気体を、水素と酸素に分離する分離手段を備えていることを特徴とする光反応装置が記載されている。
特許文献4は、少なくとも光を閉じこめる二次構造を有する半導体光触媒であって、当該二次構造は、半導体光触媒前駆体溶液の過酸化物の存在下での加熱酸化分解により形成されたものであり、その二次構造が保持されていることを特徴とする可視光応答性の半導体光触媒に関するものであり、その形状が粉末又は薄膜であることが開示されている。
なお、水を光分解させる触媒としては、「水素」及び「酸素」を両方の生成が確認されているもの、水素の生成が確認されているもの、酸素の生成が確認されているものがある。水素の生成が確認できている触媒としては、InVO等があり、酸素の生成が確認できている光触媒としては、BiVO、WO等がある。
可視光照射の場合、TiOの1時間当たりの水素生成能力はほぼゼロマイクロモル程度である。非特許文献1には、InTaOやその関連物質In1−xNiTaOが可視光で水を分解し水素と酸素を発生することが開示されており、In0.9Ni0.1TaOが毎時16.6マイクロモルの水素の生成速度を示している。これは、上記物質中、最高の値である。
非特許文献2は、InVOの可視光による水の分解で、水素の発生のみを確認した報告であり、その水素生成速度は毎時約3マイクロモル程度である。
非特許文献3はBiVOによる水の可視光照射による分解に関するものである。また、非特許文献4はWOによる水の可視光照射による分解に関するものである。これらの文献では、酸素の生成は確認されているものの、水素の生成は確認されていない。
非特許文献5は、“Electronic structures of promising photo−catalysts InMO (M=V,Nb,Ta) and BiVO for water decomposition in the visible wavelength region”に関するものであり、可視光で純水を水分解したときの10時間当たりの水素生成量が記載されている。ほぼ同様の条件では、InTaO、InNbOが1時間当たりで1マイクロモル程度、InVOが1時間当たりで4マイクロモル程度の水素生成速度であり、TiOでは1時間当たりでほぼゼロマイクロモル程度の水素生成速度である。また、BiVOは、ほとんど酸素のみしか発生させることができなかった。
以上のように、太陽エネルギーの大部分を占める可視光領域の光を利用した水素発生効率は低く、短時間で十分な量の水素を供給することがこれまでできなかった。
特開2013−627号公報 特開2011−511号公報 特開2009−195809号公報 特開2009−189952号公報
Z.Zou,J.Ye,K.Sayama and H.Arakawa,Nature vol.414,pp.625−627,(2001). J.Ye,Z Zou,M.Oshikiri,A.Matsusita,M.Shimoda,M.Imai,T.Shishido,Chemical Physics Letters,Vol.356,pp.221−226,(22,April,2002). Akihiko Kudo,Kazuhiro Ueda,Hideki Kato,Ikko Mikami,Catalysis Letters,Vol.53,Issue3−4,pp229−230,(1998) Wilson Erbs,Jean Desilvestro,Enrico Borgarello,Michael Graetzel,The journal of physical chemistry,Vol.88,No.18,pp.4004−4006,(1984) M.Oshikiri,M.Boero,J.Ye,Z.Zou,G.Kido,Journal of Chemical Physics,Vol.117,No.15,pp.7313−7318,(2002).
本発明は、可視光照射により、効率高く、短時間で十分な量の水素を発生可能な水素発生装置及び水素発生方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記事情を鑑みて、試行錯誤することにより、バンドギャップが2.95eV未満で比較的イオン結合性の小さい半導体粒子を水あるいは電解質溶液などで構成される反応液に分散させた懸濁液を調製し、この懸濁液に可視光照射することにより、前記課題を解決できることを見出して、本発明を完成した。
本発明は、以下の構成を有する。
(1) 反応容器と、前記反応容器内に貯蔵された懸濁液と、を有し、前記懸濁液は、反応液と、前記反応液中に分散された光触媒とからなり、前記反応液が水又は有機溶媒含有水溶液であり、前記光触媒が半導体粒子からなる粉末であり、前記半導体粒子は、イオン結合性が1以下であり、バンドギャップが2.95eV未満であることを特徴とする水素発生装置。
(2) 前記半導体粒子が粒径100μm以下であることを特徴とする(1)に記載の水素発生装置。
(3) 前記半導体粒子がIV族半導体材料、III−V族化合物半導体材料又は前記IV族半導体材料と前記III−V族化合物半導体材料が混合化合した複合化合物半導体材料のいずれか一の材料からなることを特徴とする(1)又は(2)に記載の水素発生装置。
(4) 前記IV族半導体材料がC、Si、Geの群から選択されるいずれか一又は二以上の元素であることを特徴とする(3)に記載の水素発生装置。
(5) 前記III−V族化合物半導体材料がIII族半導体材料とV族半導体材料の化合物であり、前記III族半導体材料がB、Al、Gaの群から選択されるいずれか一又は二以上の元素であり、前記V族半導体材料がN、P,Asの群から選択されるいずれか一又は二以上の元素であることを特徴とする(3)に記載の水素発生装置。
(6) 前記半導体粒子が間接遷移型半導体であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の水素発生装置。
(7) 前記半導体粒子が、Co、Ni、Cu、Ag、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Auの群から選択されるいずれか一の金属又は二以上の金属からなる合金からなる助触媒を担持することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の水素発生装置。
(8) 前記有機溶媒含有水溶液が、有機溶媒を含む水溶液であり、前記有機溶媒が水酸基を含む有機化合物からなることを特徴とする(1)に記載の水素発生装置。
(9) 前記反応液が電解質を含むことを特徴とする(1)に記載の水素発生装置。
(10) 前記電解質が、水溶性であって、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びアルミニウムの群から選択される一又は二以上の金属元素の硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、亜硝酸塩又は亜硫酸塩のいずれか一又は二以上の塩であることを特徴とする(9)に記載の水素発生装置。
(11) 前記電解質が、LiNO、NaNO、KNO、Mg(NO、Ca(NO、Al(NO、LiCO、NaCO、KCO、LiSO、NaSO、KSO、MgSO、Al(SO、NaPO、KPO、LiNO、NaNO、KNO、Mg(NO、Ca(NO、LiSO、NaSO、KSO、MgSOの群から選択されるいずれか一又は二以上の塩であることを特徴とする(9)に記載の水素発生装置。
(12) 前記反応液が中性又は弱酸性であることを特徴とする(1)に記載の水素発生装置。
(13) 前記反応容器の内部が外部に対し閉鎖系とされていることを特徴とする(1)に記載の水素発生装置。
(14) 前記懸濁液に前記反応容器の外部から可視光照射可能とされていることを特徴とする(1)に記載の水素発生装置。
(15) 前記反応容器の少なくとも一部が可視光の各波長の透過率が70%以上である光透過性材料で作製されていることを特徴とする(14)に記載の水素発生装置。
(16) 水、有機溶媒含有水溶液又は電解質水溶液からなる反応液に、イオン結合性が1以下であり、バンドギャップが2.95eV未満である半導体粒子からなる粉末の光触媒又は助触媒を担持した光触媒を分散して、懸濁液を調製する工程と、可視光の各波長の透過率が70%以上である光透過性材料からなる反応容器の内部に、前記懸濁液を貯蔵し、前記反応容器の内部を閉鎖系とする工程と、前記反応容器の外部から前記光懸濁液に可視光を照射する工程と、を有することを特徴とする水素発生方法。
本発明の水素発生装置は、反応容器と、前記反応容器内に貯蔵された懸濁液と、を有し、前記懸濁液は、反応液と、前記反応液中に分散された光触媒とからなり、前記反応液が水又は有機溶媒含有水溶液であり、前記光触媒が半導体粒子からなる粉末であり、前記半導体粒子は、イオン結合性が1以下であり、バンドギャップが2.95eV未満である構成なので、可視光照射により、効率高く、短時間で十分な量の水素を発生可能な水素発生装置及び水素発生方法を提供できる。
本発明の水素発生方法は、水、有機溶媒含有水溶液又は電解質水溶液からなる反応液に、イオン結合性が1以下であり、バンドギャップが2.95eV未満である半導体粒子からなる粉末の光触媒又は助触媒を担持した光触媒を分散して、懸濁液を調製する工程と、可視光の各波長の透過率が70%以上である光透過性材料からなる反応容器の内部に、前記懸濁液を貯蔵し、前記反応容器の内部を閉鎖系とする工程と、前記反応容器の外部から前記光懸濁液に可視光を照射する工程と、を有する構成なので、可視光照射により、効率が高く、短時間で十分な量の水素を発生させることができる。
本発明の実施形態である水素発生装置の一例を示す図である。 立方晶でダイヤモンド構造のSi単体半導体の結晶構造概略図である。 可視光照射したときの様子を示す図である。 本発明の第2の実施形態である水素発生装置の一例を示す図であって、可視光照射したときの様子を示す図である。 反応液中の光触媒表面状態を説明する図である。 本発明の第3の実施形態である水素発生装置の一例を示す図であって、可視光照射したときの様子を示す図である。 反応液中の光触媒表面状態を説明する図である。
(本発明の第1の実施形態)
(水素発生装置)
まず、本発明の第1の実施形態である水素発生装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態である水素発生装置の一例を示す図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態である水素発生装置11は、反応容器21と、反応容器21内に貯蔵された懸濁液22と、を有して概略構成されている。
懸濁液22は、反応液24と、反応液24中に分散された光触媒33と、からなる。
<反応液>
反応液24は水又は有機溶媒含有水溶液である。有機溶媒としては、水酸基を有するものが好ましく、アルコールを挙げることができる。メタノール等の低級アルコールがその典型例である。これにより、可視光を触媒表面に照射することにより、光触媒33の表面で反応液24に含有された水あるいは水酸基を有する有機溶媒の分解反応をさせて、水素を発生させることができる。なお、反応液24は、分解反応により水素ガスを発生し、消滅した水あるいは水酸基を有する有機溶媒を触媒表面に常に十分な量を供給できるだけの量の水あるいは水酸基を有する有機溶媒を含有していることを要する。
<光触媒>
光触媒33は半導体粒子23からなる粉末である。
<半導体粒子>
[粒径]
半導体粒子23は、粒径100μm以下の粒子である。粒径100μm以下であれば、系において、各粒子で光を有効に吸収して、触媒反応させることができる。粒径が大きいと材料コストの点で不経済でもある。
10μm以下とされていることがより好ましい。径は小さい方が、表面積が大きくできるためである。しかし、径は0.02μm(20nm)以上とすることが好ましい。20nm未満にするとバルクとしての電子構造を保持できない可能性があることと、触媒自体の耐久性が低下する恐れがあるからである。
[厚さ]
板状粒子を利用する場合は、膜厚100μm以下とすることが好ましい。材料コストの観点から薄いことが望まれるためである。大抵の半導体の屈折率は反応液の屈折率より大きいが、その場合は、厚みがその半導体中の光学波長の4分の1の偶数倍であれば反射光を小さくでき、反射損失を小さくできる。一方、その半導体中の光学波長の4分の1の奇数倍の厚みであれば、薄膜の反射率が高くなり反射損失が大きくなる。例えば、波長630nmの可視光を利用する場合、その波長に対するダイヤモンド構造の半導体Si膜の屈折率は約3.9であることが知られている。これから、光学波長の4分の1の2倍のSiの厚みは、(630nm÷4×2)÷3.9=80.8nmとなり、その波長の光に対する反射損失はその厚みで相当に小さくできる。また、光の当たる面にだけ、その半導体と異なる屈折率の膜を形成し、その厚みを調節して、反射率を下げる工夫をしても良い。この場合、水素は膜が形成されていない面から発生することになる。
[イオン結合性]
半導体粒子23のイオン結合性は小さい。
イオン結合性が小さいとは、「その半導体の構成原子のポーリングの電気陰性度で最大のものと最少のものとの差が1以下」のものと規定した。1以下の中でもイオン結合性がより小さい方が好ましく、例えば、0.7以下がより望ましい。
例えば、SiC半導体は、電気陰性度の最大値2.55(C)−最小値1.90(Si)=0.65(差)となる。GaP半導体の差は2.19(P)−1.81(Ga)=0.38となる。ZnS半導体の差は2.58(S)−1.65(Zn)=0.93である。C0.1Si0.7Ge0.2化合物半導体は、電気陰性度はC>Ge>Siであり、2.55(C)−1.90(Si)=0.65となる。Ga0.1Si0.80.1化合物半導体は、電気陰性度はP>Si>Gaだから、2.19(P)−1.81(Ga)=0.38となる。よって、SiC、GaP、ZnS、C0.1Si0.7Ge0.2、Ga0.1Si0.80.1はイオン結合性の小さい半導体である。
一方、ZnO半導体のその差は3.44(O)−1.65(Zn)=1.79となる。GaN半導体の差は3.04(N)−1.81(Ga)=1.23となる。よって、ZnO、GaNはイオン結合性の大きい半導体である。
イオン結合性の小さい半導体の典型的な一例は、立方晶でダイヤモンド構造のシリコン結晶である。この結晶は、一つの原子に着目するとその原子は4個の他の原子が配位する形をとるが、切断面では配位する原子が4個未満になることがあり、その部分に水素原子が吸着しやすくなる。
イオン結合性の小さい半導体の典型的な別の一例は、六方晶のSiCである。この結晶は、一つの原子に着目するとその原子はその近くに3個の他の原子が配位する形をとり、層状構造で炭素原子とシリコン原子が6角形の頂点をなすように連続的に配列し、一つの面(これを以後c面と呼ぶ。)を形成し、この面上には水素原子は吸着しにくいが、六方晶のSiCを粉砕したときに生ずるc面に垂直な面では、炭素原子あるいはシリコン原子に対する配位構造が不完全(配位数が2以下)となり、その面には水素原子が吸着しやすくなる。
よって、これらのイオン結合性の小さい半導体を用いることにより、可視光照射で励起した電子の波動関数の広がりが格子定数に比べてずっと大きいものとなるため、吸着した水素イオンに電子を供給しやすい。つまり水素イオンを還元し易く、効率良く水素を発生させるための必要条件が調うことになる。
例えば、よく知られた光触媒物質TiOの場合、イオン結合性が大きく(実施例の表2参照)、水素イオンは表面に露出したTi原子近くではなく、表面に露出した酸素原子近くに吸着する傾向が極めて強く、表面Tiサイト周辺に励起されがちな光励起電子を吸着水素イオンが受け取り難い状況となる。本発明はこの問題を本質的に解決している。
つまり、イオン結合性の小さい半導体表面では、結晶の切断により本来の配位構造をとれないため、それを補うかのように、Hを表面に吸着しやすくなり、結晶表面の極近い位置に存在できるようになり、光励起された電子は吸着したHに移動しやすい状況ができる。そのため還元反応が起こりやすくなり、水あるいは水酸基を含む有機物の分解反応を効率よく行うことができ、短時間で大量のHガスを生成することができる。
[バンドギャップ]
半導体粒子23のバンドギャップは2.95eV未満である。バンドギャップより大きいエネルギー領域の光照射により、価電子帯から伝導帯に電子を励起することができる。
例えば、シリコンのバンドギャップエネルギーEgは約1.2eVなので、1.59〜2.95eV(420nm−780nm)の光子エネルギー域の可視光照射により、価電子帯の電子を伝導帯に励起することができる。
SiC、GaP、ZnS、C0.1Si0.7Ge0.2、Ga0.1Si0.80.1はイオン結合性の小さい半導体であるが、バンドギャップの大きさからすると、ZnSは2.95eV以上であり、本願の半導体材料ではない。
特に、GaN、ZnOは、バンドギャップ2.95eV以上であり、かつ、イオン結合性も大きいので、本願の半導体材料ではない。
半導体粒子23としては、C、Si、Geの群から選択されるいずれか一の単体半導体又はC、Si、Geの群から選択されるいずれか一の元素を含む化合物半導体からなる。あるいは、GaP化合物半導体又は、GaP化合物半導体と以下、C、SiあるいはGeから選択されるいずれか一又は二以上の元素との化合物からなる複合化合物半導体からなる。
具体的には、Si1−x化合物半導体(0<x<1)、SiGe1−x化合物半導体(0<x<1)、Ge1−x化合物半導体(0<x<1)、GeSi1−x−y化合物半導体(xとyはともに正であり、かつ、0<x+y<1)、GaP化合物半導体あるいは、GaP化合物半導体と以下、C、SiあるいはGeから選択されるいずれか一又は二以上の元素との化合物からなる複合化合物半導体、から選択されるいずれか一又は二以上の半導体からなる。
[結晶構造]
光触媒の結晶構造の特徴として、その表面部分を除けば、以下(イ)あるいは(ロ)の特徴を有する構造を持つ。
(イ)構成原子の一つに注目すると、その原子から2.6Å以内に4個の原子が配位し、注目する原子が近隣原子を頂点とする4面体に囲まれた局所構造を形成し、その局所構造が連なった構造を有する。例えば、Ge単体の場合、Ge−Ge距離は約2.5Åである。また、GaP化合物の場合では閃亜鉛鉱構造のものが知られている。そのGa−P距離は約2.4Åである。しかしながら、この原子配列的構造条件(イ)を満たせば良く、例えば、GaP化合物が閃亜鉛鉱構造に限定されるものではない。
(ロ)構成原子の一つに注目すると、その原子から2.6Å以内に3個の原子が配位した局所構造を有し、その局所構造が連なった構造を有する。例えば、六方晶のα−SiCの場合、その局所構造を特徴付ける原子間距離(C−Si距離)は約1.9Åである。
[表面構造]
ダイヤモンド構造をとる、一般的な立方晶Si単体半導体を例にとり、表面構造について説明する。
図2は、立方晶でダイヤモンド構造のSi単体半導体の結晶構造概略図である。
図2(a)は、Si単結晶及び表面緩和していない(001)面を表し、図2(b)は、室温環境における表面緩和のため、表面原子が再配列した様子を表す図であり、量子分子動力学理論を用いて計算した構造である。
表面緩和がなければ、この(001)面で切断した面では、表面のSi原子は近隣に2原子を配位させる構造となるが、この切断表面の原子配列は不安定であるため、室温程度の温度環境下では、周辺の原子を引き寄せ、より安定な構造を取ろうとし、その結果、図2(b)にみられるように、3配位の構造になる場合が多い。
同様に他の面で切断しても、その表面ではその配位数が、結晶内部の配位数より小さくなってしまうため、結晶内部の配位構造に近づけるかのように緩和し、配位数を増やして安定化させようとする。しかしながら、完全には回復することができず、多かれ少なかれ配位不飽和な状態が表面に形成される。これは薄膜であっても粒子であっても同様である。
Si薄膜も粒子も、配位不飽和な表面構造を有することになるが、そのような表面部分にはプロトンが吸着し易く、−Si−H構造(Si−Hの距離はおおよそ1.5Å程度)を形成する。
図2(c)はこの様子を表す図であり、図2(b)同様、量子分子動力学理論を用いて計算した構造である。これにより、可視光励起された電子が、−Si−H構造を通じてHに供給され、還元されてHガスが効率よく発生することになる。先に述べたように、よく知られた光触媒物質TiOの場合、イオン結合性が大きく、水素イオンは表面に露出したTi原子近くではなく、表面に露出した酸素原子近くに吸着する傾向が強く、表面に形成される−O−H構造のHと表面に露出したTiサイトとの距離が大きくなる(Ti−Hの距離はおおよそ2.4Å程度である。)。さらに、水素原子の1s軌道のエネルギーが、TiOの伝導帯底部を形成するd軌道のエネルギーから比較的離れていることもあり、表面Tiサイト周辺に励起されがちな光励起電子を吸着水素イオンが受け取り難くなる致命的な欠点があった。本発明ではこの欠点が本質的に改善されている。
[電子構造]
例えば、シリコン半導体単結晶の電子構造の特徴は、その価電子帯上部と伝導帯底部の電子波動関数がいわゆるsp3混成軌道で構成されることになる。しかし、粒子にして、その粒子を構成するシリコン原子の全原子数に対し、表面に露出したシリコン原子の数が比較的多くなると、表面近傍のシリコン原子配列が単結晶時のものと異なるため、その粒子の価電子帯上部と伝導帯底部の電子波動関数はsp3混成軌道から少しずれた形になる。しかしながら、波動関数の主成分が、s軌道やp軌道であることに変わりはない。一方、その粒子が、反応液、例えば水に接していて、その表面に水分子の吸着が起こると、一部に−Si−H構造(Si−Hの距離はおおよそ1.5Å程度)を形成することになるため、伝導帯底部の波動関数成分が変化し、その伝導帯底部の成分中に水素原子の1s軌道成分が増えることになる。これは、Si−Hの距離が近いためのみならず、水素原子のs軌道のエネルギーが、シリコン半導体の伝導帯底部を形成するs軌道とp軌道混成軌道のエネルギーと比較的近いことにも起因する。そのため、価電子帯から励起された電子はプロトンに行き渡り易くなり、水素イオンが水素へ還元されやすくなる。シリコン以外でも、C、 Ge、GaP等で同様の傾向が見られる。光励起された電子の無効再結合を防ぎキャリア寿命を延ばすため、間接遷移型の半導体の使用が望ましい。
半導体粒子23は、単結晶からなることが好ましいが、多結晶でも、アモルファスでもよい。また、単結晶にしろ、多結晶にしろ、アモルファスにしろ、キャリア数の非常に多いn型半導体は光励起の妨げになるのであまり好ましくない。
[半導体]
C単体、Si単体、Ge単体、あるいはそれら元素少なくとも2つ以上の化合物、組成比1:1のGaP化合物、また、GaとP原子が同数含まれる、C、Si、Ge元素の少なくとも1つの元素で構成される単体か2つ以上の元素で構成される化合物とGaP化合物の複合化合物の結晶構造が、その表面部分を除いて以下(イ)あるいは(ロ)の特徴を有する構造を持てば、ごく少数の例外を除き半導体となる。
(イ)構成原子の一つに注目すると、その原子から2.6Å以内に4個の原子が配位し、注目する原子が近隣原子を頂点とする4面体に囲まれた局所構造を形成し、その局所構造が連なった構造を有する。例えば、Ge単体の場合、Ge−Ge距離は約2.5Åである。また、GaP化合物の場合では閃亜鉛鉱構造のものが知られているそのGa−P距離は約2.4Åである。しかしながら、この原子配列的構造条件(イ)を満たせば良いのであって、例えばGaP化合物が閃亜鉛鉱構造に限定されるものではない。(ただし、この条件下で、例外として、C単体でダイヤモンド構造のいわゆるダイヤモンドは、半導体にはなるものの、バンドギャップは約5.5eVと非常に大きなものとなる。)
(ロ)構成原子の一つに注目すると、その原子から2.6Å以内に3個の原子が配位した局所構造を有し、その局所構造が連なった構造を有する。例えば、六方晶のα−SiCの場合、その局所構造を特徴付ける原子間距離(C−Si距離)は約1.9Åである。(ただし、この条件下で、例外として、C単体で構成されるグラファイトは半金属となる。)したがって、Si単体半導体で光触媒機能が発現すれば、電子構造の類似性から、Ge単体半導体、SiC化合物半導体、SiGe化合物半導体、GaP化合物半導体などは多かれ少なかれ同様の光触媒機能が発現する。それらの性能の違いは、それらのバンドギャップ値の違いなど電子構造の違いにも依存する。また、反応物質の吸着構造に依存するところも大きい。
[半導体粒子濃度]
反応液24中の半導体粒子23の濃度は、例えばSi粒子の場合、0.5g/200cc以上2g/200cc以下とすることが好ましい。懸濁液22に可視光照射して水素発生させる方法では、濃度を上げた場合、濃度1g/200cc位まではリニアに水素生成量が増加し、濃度2g/200ccぐらいまではリニアではないが水素生成量が増加する。一方、濃度2g/200cc超とすると、懸濁液22中の半導体粒子23の量が多くなり、半導体粒子23自体が日陰を作り、水素生成量が飽和する。
Si粒子の場合、0.5g/200cc以上2g/200cc以下で懸濁液は、濃いグレー色になる。なお、望ましい粒子濃度は粒子の直径分布や粒子半導体材料の密度に依存するため、適宜調整すれば良い。
<反応容器>
[可視光透過性]
反応容器21は、懸濁液22を貯蔵可能な容器であって、内部に貯蔵した反応液24及び光触媒33とからなる懸濁液22に外部から可視光照射可能とされている容器である。反応容器21として、図1に示すように、例えば、三口フラスコを用いることができる。三口フラスコは、可視光に対して透明なガラス製であるので、反応容器21の全体が可視光に対し透明な材料で作製されており、いずれの方向からでも、内部に貯蔵した懸濁液22に外部から可視光を照射でき、光触媒による水の分解反応を発生させることができる。これに限られるものではなく、反応容器21の一部が可視光領域の光に対し透明な材料で作製されていてもよい。例えば窓部が形成されてもよい。これにより、窓部を介して可視光を通過させて、懸濁液22に外部から可視光照射できる。
窓部は、可視光の各波長の透過率が70%以上である光透過部であればよい。屈折率1.3〜1.8で、光吸収が10%以下の物質を用いれば、70%以上の透過率を有する光透過部を形成できる。厚みに依存するが、ガラスやアクリル板は70%以上の透過率になり得る。
[閉鎖系]
反応容器21は、内部が外部に対して閉鎖系とされていることが好ましい。これにより、触媒活性の低下を抑制でき、発生した水素ガスを洩れなく回収できる。三口フラスコを用いる場合には、例えば、3つの口にはバルブ(図示略)を取り付けて、内部を閉鎖系とする。また、例えば、反応容器21の管21cに、バルブを介して、ガス排出管(図示略)の一端を取り付け、ガス排出管の他端にガス貯蔵容器(図示略)を取り付ける。これにより、このバルブを開として、発生した水素ガスを洩れなく、ガス貯蔵容器に貯蔵することができる。
(水素発生方法)
次に、本発明の実施形態である水素発生方法を、図3を用いて、説明する。
本発明の実施形態である水素発生方法は、懸濁液調製工程S1と、閉鎖系とする工程S2と、可視光照射工程S3と、を有する。
<懸濁液調製工程S1>
この工程では、水又は有機溶媒含有水溶液からなる反応液24に、イオン結合性が1以下であり、バンドギャップが2.95eV未満である半導体粒子23からなる粉末の光触媒33を分散して、懸濁液22を調製する。例えば、間接遷移型でバンドギャップ約1.2eV、その価電子帯と伝導帯がsp3混成軌道で構成される結晶構造がダイヤモンド構造のSi粒子(光触媒)を用いる。
<閉鎖系とする工程S2>
この工程では、可視光の各波長の透過率が70%以上である光透過性材料からなる反応容器21の内部に、懸濁液22を貯蔵し、前記反応容器の内部を閉鎖系とする。例えば、透明なガラス製の3つ口フラスコに、水を入れ、Si粒子(光触媒)をいれて撹拌し、懸濁液22を貯蔵し、口21a、21b、21cにバルブをつけて、閉鎖系とする。
<可視光照射工程S3>
この工程では、反応容器21の外部から光懸濁液22に可視光31を照射する。例えば、左側面方向から、底面に平行な方向で、可視光照射する。
図3は、可視光照射したときの様子を示す図である。光触媒33の表面で反応液24である水を分解して水素ガス27が発生する。なお、発生させた水素ガス27は、口21cのバルブを開として、矢印28の方向に吸引して、水素ガス貯蔵タンク(図示略)に貯蔵する。
[原理]
1.59〜2.95eV(420nm−780nm)の光子エネルギー域の可視光照射が、例えば、シリコン微粒子に照射されると、シリコンのバンドギャップエネルギーEgである1.2eV以上であるので、伝導帯に電子が励起され、表面に吸着したプロトンに電子を供給し、水素イオンを還元して水素が生成される。
この反応素過程において水中のHは消費されるたびに、常に結晶表面に供給される。また、光触媒結晶中に光励起された電子は表面を伝搬し、結晶表面に吸着されたHに常に供給され、水素を発生する。反応は水が電子を供給できる限り継続される。
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態である水素発生装置について説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態である水素発生装置の一例を示す図であって、可視光照射したときの様子を示す図である。
図4に示すように、本発明の第2の実施形態である水素発生装置12は、反応液として、電解質35である塩MXを溶解した水を用いた他は、第1の実施形態と同様の構成とされている。
<電解質>
反応液24が、電解質35を含むことが好ましい。
電解質(塩)35は、反応液24中で陽イオンと陰イオンとして存在する。陽イオンはH1sの空の軌道成分のエネルギーを下げる。一方、陰イオンはSi由来の非占有準位を上げる。したがって、反応液24が電解質35を含むことにより、非占有準位の底部周辺の波動関数成分に於けるH1s成分が増え、水素生成効率は高くなる。
また、電解質35が水に可溶なアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はアルミニウムの硝酸塩又は炭酸塩又は硫酸塩又はリン酸塩又は亜硝酸塩又は亜硫酸塩であることが好ましい。特に、Li、Na、Kのアルカリ金属又は、Mg、Caのアルカリ土類金属の、水に可溶な硝酸塩又は炭酸塩又は硫酸塩又は亜硝酸塩又は亜硫酸塩であることが好ましい。これらの陽イオンは、同じイオン価数で比較すると、Rb、Cs、Sr、Baよりもイオン半径が小さく、H1sの空の軌道成分のエネルギーを下げる効果が大きく、光触媒による水の分解反応を促進できるためである。なお、Beは毒性の懸念があり、好ましくない。
電解質35として、LiNO、NaNO、KNO、Mg(NO、Ca(NO、Al(NO、LiCO、NaCO、KCO、LiSO、NaSO、KSO、MgSO、Al(SO、NaPO、KPO、LiNO、NaNO、KNO、Mg(NO、Ca(NO、LiSO、NaSO、KSO、MgSOの群から選択されるいずれか一又は二以上の塩を挙げることができる。
電解質濃度に特に制限はない。水素発生効率を最大とする濃度は、電解質35の種類に依存して異なる。また、飽和濃度を超える場合は、沈殿し、水素発生反応に関与しない場合もあるが、触媒表面に付着すると性能の劣化を招くので、使用温度域に於いて飽和濃度に達することがないように注意する必要がある。また光触媒の腐食をさけるため、利用する半導体に応じて液性にも注意が必要である。半導体としてSiを用いる場合、中性あるいは弱酸性が望ましい。
図5は、反応液中の光触媒表面状態を説明する図である。
溶解させた塩MXのイオンMが、その周辺に水分子を配位させ、また、イオンXが光触媒表面近くに存在する場合がある他は、第1の実施形態と同様の構成となる。このことにより、光触媒と反応液とで構成されるその組み合わせ独特の表面構造と電子構造が形成され、水素生成にとって有利となる。
(本発明の第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態である水素発生装置について説明する。
図6は、本発明の第3の実施形態である水素発生装置の一例を示す図であって、可視光照射したときの様子を示す図である。
図6に示すように、本発明の第3の実施形態である水素発生装置13は、助触媒37を用いた他は、第2の実施形態と同様の構成とされている。
<助触媒>
光触媒半導体薄膜あるいは光触媒粒子にCo、Ni、Cu、Ag、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Auの群中の単体金属、あるいはそれらの少なくとも2種類以上の金属からなる合金から選択されるいずれか一又は二以上の助触媒37を担持することが好ましい。光励起された電子が助触媒37に分離され、電子とホールの無効再結合による失活を回避させる効果や、光触媒表面の耐久性を高める効果が期待できる。
図7は、反応液中の光触媒表面状態を説明する図である。
光触媒表面上に助触媒Ptが担持され、光触媒の表面に−Si−Pt構造を形成している他は、第2の実施形態と同様の構成とされている。このことにより、光触媒と助触媒と反応液とで構成されるその組み合わせ独特の表面構造と電子構造が形成され、水素生成にとって有利となる。
本発明の実施形態である水素発生装置11、12、13は、反応容器21と、前記反応容器内に貯蔵された懸濁液22と、を有し、前記懸濁液は、反応液24と、前記反応液中に分散された光触媒33とからなり、前記反応液が水又は有機溶媒含有水溶液であり、前記光触媒が半導体粒子23からなる粉末であり、前記半導体粒子は、イオン結合性が1以下であり、バンドギャップが2.95eV未満である構成なので、前記半導体粒子が、バンドギャップが2.95eV未満であり、イオン結合性の小さく、(イ)構成原子の一つに注目すると、その原子から2.6Å以内に4個の原子が配位し、注目する原子が近隣原子を頂点とする4面体に囲まれた局所構造を形成し、その局所構造が連なった構造を有する結晶構造的特徴、又は、(ロ)構成原子の一つに注目すると、その原子から2.6Å以内に3個の原子が配位した局所構造を有し、その局所構造が連なった結晶構造的特徴を有するようにできる。例えば、前記半導体をダイヤモンド構造のSiで構成する場合、その結晶内部は(イ)の4配位構造となるが、表面では表面緩和がなければ、例えば(001)面で切断された面では、表面のSi原子は近隣に2原子を配位させる不安定な構造となり、室温程度の温度環境下では、周辺のSi原子を引き寄せ、より安定な構造を取ろうとして3配位の構造になる場合もある。これらの配位不飽和な表面構造の表面部分にはプロトンが吸着し易く、−Si−H構造(Si−Hの距離はおおよそ1.5Å程度)を形成させることができる。さらに、前記電子構造的特徴から、吸着したプロトンへの電子移動効率も高まるという状況が調う。また、例えば助触媒がPtである場合、−Si−Pt−Hなる構造も表面に形成される。電子構造の特質から、光励起された電子はPtに移動し易く、さらにその電子は、接近するプロトンへも電子を引き渡し易い。従ってこの状況下で光子エネルギー2.95eV未満の可視光を照射することにより、価電子帯から伝導帯に電子が光励起され、光触媒や助触媒表面に励起電子が出現し、Si光触媒やPt助触媒表面に吸着したHにスムースに電子が引き渡され、これがのちに水素分子を形成し、水素を発生させることができる。短時間で十分な量の水素を発生可能な水素発生装置及び水素発生方法を提供できる。また、前記反応液が水又は水と有機溶媒の混合溶液にして、十分な量の水を光触媒の表面に常に供給でき、光子エネルギー2.95eV未満の可視光照射により、効率高く、短時間で十分な量の水素を発生可能な水素発生装置及び水素発生方法を提供できる。
本発明の実施形態である水素発生装置11、12、13は、半導体粒子23が粒径100μm以下である構成なので、単位質量あたりの表面積を広げることができ、表面での水分解反応を広い面積で行うことができ、可視光照射により、効率高く、短時間で十分な量の水素を発生可能な水素発生装置及び水素発生方法を提供できる。
本発明の実施形態である水素発生装置11、12、13は、半導体粒子23がIV族半導体材料、III−V族化合物半導体材料又は前記IV族半導体材料と前記III−V族化合物半導体材料が混合化合した複合化合物半導体材料のいずれか一の材料からなる構成なので、光子エネルギー2.95eV未満の可視光照射により、価電子帯から伝導帯に電子が光励起され、粒子表面に励起電子が出現し、表面に吸着されたHに電子が引き渡され、これがのちに水素分子を形成し、水素を発生させることができる。
本発明の実施形態である水素発生装置11、12、13は、前記IV族半導体材料がC、Si、Geの群から選択されるいずれか一又は二以上の元素である構成なので、光子エネルギー2.95eV未満の可視光照射により、価電子帯から伝導帯に電子が光励起され、粒子表面に励起電子が出現し、表面に吸着されたHに電子が引き渡され、これがのちに水素分子を形成し、水素が発生する。吸着したプロトンへの電子移動効率が高いため、短時間で十分な量の水素を発生させることができる。
本発明の実施形態である水素発生装置11、12、13は、前記III−V族化合物半導体材料がIII族半導体材料とV族半導体材料の化合物であり、前記III族半導体材料がB、Al、Gaの群から選択されるいずれか一又は二以上の元素であり、前記V族半導体材料がN、P、Asの群から選択されるいずれか一又は二以上の元素である構成なので、光子エネルギー2.95eV未満の可視光照射により、価電子帯から伝導帯に電子が光励起され、粒子表面に励起電子が出現し、表面に吸着されたHに電子が引き渡され、これがのちに水素分子を形成して、水素を発生させることができる。
本発明の実施形態である水素発生装置11、12、13は、半導体粒子23が間接遷移型半導体である構成なので、光子エネルギー2.95eV未満の可視光照射により、価電子帯から伝導帯に電子が光励起され、粒子表面に励起電子が出現し、表面に吸着されたHに電子が引き渡され、これがのちに水素分子を形成し、水素を発生させることができる。
本発明の実施形態である水素発生装置11、12、13は、半導体粒子23が、Co、Ni、Cu、Ag、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Auの群から選択されるいずれか一の金属又は二以上の金属からなる合金からなる助触媒を担持する構成なので、光子エネルギー2.95eV未満の可視光照射時に光触媒で生じた電子を助触媒表面に移動分離して、電子がホールとの無効再結合を防ぐことができ、光子エネルギー2.95eV未満の可視光照射により、効率高く、短時間で十分な量の水素を発生させることができる。
本発明の実施形態である水素発生装置11、12、13は、前記有機溶媒含有水溶液が、有機溶媒を含む水溶液であり、前記有機溶媒が水酸基を含む有機化合物からなる構成なので、水酸基を含む有機溶媒は、十分な量の水を光触媒の表面に常に供給することを妨げることなく、光子エネルギー2.95eV未満の可視光照射により、効率高く、短時間で十分な量の水素を発生させることができる。
本発明の実施形態である水素発生装置12、13、反応液24が電解質35を含む構成なので、水素生成に有利な電子構造を構築できることになり、光子エネルギー2.95eV未満の可視光照射により、効率高く、短時間で十分な量の水素を発生させることができる。
本発明の実施形態である水素発生装置12、13は、電解質35が、水溶性であって、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びアルミニウムの群から選択される一又は二以上の金属元素の硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、亜硝酸塩又は亜硫酸塩のいずれか一又は二以上の塩である構成なので、水素生成に有利な電子構造を構築できることになり、光子エネルギー2.95eV未満の可視光照射により、効率高く、短時間で十分な量の水素を発生させることができる。
本発明の実施形態である水素発生装置12、13は、電解質35が、LiNO、NaNO、KNO、Mg(NO、Ca(NO、Al(NO、LiCO、NaCO、KCO、LiSO、NaSO、KSO、MgSO、Al(SO、NaPO、KPO、LiNO、NaNO、KNO、Mg(NO、Ca(NO、LiSO、NaSO、KSO、MgSOの群から選択されるいずれか一又は二以上の塩である構成なので、水素生成に有利な電子構造を構築できることになり、光子エネルギー2.95eV未満の可視光照射により、効率高く、短時間で十分な量の水素を発生させることができる。
本発明の実施形態である水素発生装置12、13は、反応液24が中性又は弱酸性である構成なので、光触媒の腐食を防ぎ、光触媒寿命を延ばすことができ、光子エネルギー2.95eV未満の可視光照射により、より長期間安定に、短時間で十分な量の水素を発生させることができる。
本発明の実施形態である水素発生装置11、12、13は、反応容器21の内部が外部に対し閉鎖系とされている構成なので、水素ガスの洩れなく、可視光照射により、効率高く、短時間で十分な量の水素を発生させることができる。
本発明の実施形態である水素発生装置11、12、13は、懸濁液22に反応容器21の外部から可視光照射可能とされている構成なので、可視光を洩れなく光触媒に照射して、光触媒反応を効率的に行うことができ、可視光照射により、効率高く、短時間で十分な量の水素を発生させることができる。
本発明の実施形態である水素発生装置11、12、13は、反応容器21の少なくとも一部が可視光の各波長の透過率が70%以上である光透過性材料で作製されている構成なので、可視光を洩れなく光触媒に照射して、光触媒反応を効率的に行うことができ、可視光照射により、効率高く、短時間で十分な量の水素を発生させることができる。
本発明の実施形態である水素発生方法は、水又は有機溶媒含有水溶液からなる反応液24に、イオン結合性が1以下であり、バンドギャップが2.95eV未満である半導体粒子23からなる粉末の光触媒33を分散して、懸濁液22を調製する工程S1と、可視光の各波長の透過率が70%以上である光透過性材料からなる反応容器21の内部に、前記懸濁液を貯蔵し、前記反応容器の内部を閉鎖系とする工程S2と、前記反応容器の外部から前記光懸濁液に可視光31を照射する工程S3と、を有する構成なので、光を洩れなく光触媒に照射して、光触媒反応を効率的に行うことができ、可視光照射により、効率高く、短時間で十分な量の水素を発生させることができる。
本発明の実施形態である水素発生装置及び水素発生方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。本実施形態の具体例を以下の実施例で示す。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
参考例1)
まず、純水220ccに、Si結晶粉末0.5gを縣濁させた。
100μm以下の粉末径のものを使用した(以下、実施例25、参考例6〜7、実施例8、参考例9、参考例13、実施例14でも同様)。
次に、300Wのキセノンランプの可視光成分のみの光(波長420nmより長い)を照射した。1時間で約0.27ミリモルの水素が発生した。光を照射しない場合、1時間で水素はほとんど生成されないことを確認した。
なお、以下の記載において、実施例1とあるのは、参考例1と読み替えるものとする。
(実施例2)
まず、純水220ccに炭酸ナトリウムNaCOを溶かし、濃度を0.33mol/Lに調整してから、その溶液中に、Si結晶粉末0.1gを縣濁させた。
次に、300Wのキセノンランプの可視光成分のみの光(波長420nmより長い)を照射した。1時間で約0.11ミリモルの水素が発生した。この水素量は、触媒量が0.5gとして換算すると、1時間で0.75ミリモルに相当する。
(実施例3)
まず、純水220ccに硝酸ナトリウムNaNOを溶かし、濃度を0.42mol/Lに調整してから、その溶液中に、Si結晶粉末0.5gを縣濁させた。
次に、300Wのキセノンランプの可視光成分のみの光(波長420nmより長い)を照射した。1時間で約2.6ミリモルもの水素が発生した。
(実施例4)
まず、純水220ccに硝酸カリウムKNOを溶かし、濃度を0.42mol/Lに調整してから、その溶液中に、Si結晶粉末0.5gを縣濁させた。
次に、300Wのキセノンランプの可視光成分のみの光(波長420nmより長い)を照射した。1時間で約3.0ミリモルもの水素が発生した。
(実施例5)
まず、純水220ccに硝酸リチウムLiNOを溶かし、濃度を0.42mol/Lに調整してから、その溶液中に、Si結晶粉末0.5gを縣濁させた。
次に、300Wのキセノンランプの可視光成分のみの光(波長420nmより長い)を照射した。1時間で約4.8ミリモルもの水素が発生した。
参考例6)
まず、純水220ccに硫酸ナトリウムNaSOを溶かし、濃度を0.21mol/Lに調整してから、その溶液中に、Si結晶粉末0.5gを縣濁させた。
次に、300Wのキセノンランプの可視光成分のみの光(波長420nmより長い)を照射した。1時間で約1.2ミリモルもの水素が発生した。
なお、以下の記載において、実施例6とあるのは、参考例6と読み替えるものとする。
参考例7)
まず、純水220ccに硫酸マグネシウムMgSOを溶かし、濃度を0.10mol/Lに調整してから、その溶液中に、Si結晶粉末0.5gを縣濁させた。
次に、300Wのキセノンランプの可視光成分のみの光(波長420nmより長い)を照射した。1時間で約0.50ミリモルもの水素が発生した。
なお、以下の記載において、実施例7とあるのは、参考例7と読み替えるものとする。
(実施例8)
まず、純水220ccに亜硝酸ナトリウムNaNOを溶かし、濃度を0.42mol/Lに調整してから、その溶液中に、Si結晶粉末0.5gを縣濁させた。
次に、300Wのキセノンランプの可視光成分のみの光(波長420nmより長い)を照射した。1時間で約6.0ミリモルもの水素が発生した。
参考例9)
まず、純水170mlとメタノール18mlとアセトン32mlを混合し、その溶液中に、Si結晶粉末0.5gを縣濁させた。
次に、300Wのキセノンランプの可視光成分のみの光(波長420nmより長い)を照射した。1時間で約4.0マイクロモルの水素が発生し、可視光応答性が確認された。
なお、以下の記載において、実施例9とあるのは、参考例9と読み替えるものとする。
参考例10)
まず、純水220ccに、粒径50μm以下のα−SiC (6H 六方晶構造)粉末0.5gを縣濁させた。
次に、300Wのキセノンランプの可視光成分のみの光(波長420nmより長い)を照射した。1時間で約0.53マイクロモルの水素が発生し、可視光応答性が確認された。
なお、以下の記載において、実施例10とあるのは、参考例10と読み替えるものとする。
参考例11)
まず、純水220ccに、粒径50μm以下のGe結晶粉末0.5gを縣濁させた。
次に、300Wのキセノンランプの可視光成分のみの光(波長420nmより長い)を照射した。1時間で約0.23マイクロモルの水素が発生し、可視光応答性が確認された。
なお、以下の記載において、実施例11とあるのは、参考例11と読み替えるものとする。
(実施例12)
まず、純水220ccに硝酸ナトリウムNaNOを溶かし、濃度を0.42mol/Lに調整してから、その溶液中に、粒径50μm以下のGaP結晶粉末0.2gを縣濁させた。
次に、300Wのキセノンランプの可視光成分のみの光(波長420nmより長い)を照射した。1時間で約0.61マイクロモルの水素が発生し、可視光応答性が確認された。この水素量は、触媒量が0.5gとして換算すると、1時間で1.5マイクロモルに相当する。
参考例13)
まず、純水220ccに、Si結晶粉末0.5gを縣濁させて、さらに濃度約1wt%の塩化白金酸HPtCl・6HO溶液0.67mlを入れ、300Wのキセノンランプを約30分照射し、Pt助触媒を光触媒粒子表面に光電着した。
次に、300Wのキセノンランプの可視光成分のみの光(波長420nmより長い)を照射した。1時間で約28マイクロモルの水素が発生した。
なお、以下の記載において、実施例13とあるのは、参考例13と読み替えるものとする。
(実施例14)
まず、硝酸アルミニウム九水和物Al(NO・9HOを純水に溶かし、濃度0.42mol/Lの220cc硝酸アルミニウム水溶液を調整してから、その溶液にSi結晶粉末0.5gを縣濁させた。
次に、300Wのキセノンランプの可視光成分のみの光(波長420nmより長い)を照射した。1時間で約3.2マイクロモルの水素が発生した。
実施例A
まず、純水220ccに硝酸ナトリウムNaNOを溶かし、濃度を0.42mol/Lに調整してから、その溶液中に、厚み250μmのSi結晶薄片1.2gを分散させた。
次に、300Wのキセノンランプの可視光成分のみの光(波長420nmより長い)を照射した。1時間で約13マイクロモルもの水素が発生した。この水素量は、触媒量が0.5gとして換算すると、1時間で約6マイクロモルに相当する。
なお、以下の記載において、比較例1とあるのは、実施例Aと読み替えるものとする。
(比較例2)
まず、純水220ccに、TiO結晶粉末0.5gを縣濁させた。50μm以下の粉末径のものを使用した(以下、比較例3〜7でも同様)。
次に、300Wのキセノンランプの可視光成分のみの光(波長420nmより長い)を照射した。水素は発生しなかった。
(比較例3)
まず、純水220ccに硝酸カリウムKNOを溶かし、濃度を1.67mol/lに調整してから、その溶液中に、白金助触媒を担持したTiO結晶粉末0.5gを縣濁させた。
次に、300Wのキセノンランプの可視光成分のみの光(波長420nmより長い)を照射した。水素は発生しなかった。
(比較例4)
まず、純水220ccに、白金助触媒を担持したTiO結晶粉末0.5gを縣濁させた。
次に、300Wのキセノンランプの可視光成分のみの光(波長420nmより長い)を照射した。水素は発生しなかった。
(比較例5)
まず、純水220ccに、TiO結晶粉末0.5gを縣濁させた。
次に、300Wのキセノンランプの光(紫外線成分をも含んだ光)を照射した。1時間で僅か約0.6マイクロモルの水素しか発生しなかった。
(比較例6)
まず、純水220ccに硝酸カリウムKNOを溶かし、濃度を1.67mol/lに調整してから、その溶液中に、白金助触媒を担持したTiO結晶粉末0.5gを縣濁させた。
次に、300Wのキセノンランプの光(紫外線成分をも含んだ光)を5時間35分照射した。水素は発生しなかった。
(比較例7)
まず、純水220ccに、白金助触媒を担持したTiO結晶粉末0.5gを縣濁させた。
次に、300Wのキセノンランプの光(紫外線成分をも含んだ光)を照射した。1時間で僅か約14マイクロモルの水素しか発生しなかった。
表1は、実験条件及び結果をまとめたものである。
表2は、使用した半導体粒子の特性をまとめたものである。
<半導体粒子について>
実施例1、10、11、比較例2の結果は、半導体粒子の特性の違いによってもたらされたものである。つまり、TiOは、バンドギャップが大きいので、420nm以上の可視光を照射しても、価電子帯の電子を伝導帯に励起できず、光触媒作用を発揮させることができなかったことが、結果の主な要因の一つである。TiOは、イオン結合性が強く(電気陰性度の差が1.0以下でないことに関連する。)、Hが陽イオンの表面Tiに近づくことができず、かつ、伝導帯底部の波動関数の広がりが比較的小さいため(伝導帯底部のs軌道とp軌道成分の和が50%未満であること、Tiに酸素が6配位することに関連する。)、伝導帯底部の波動関数に対する水素原子の1s軌道成分が少ないことも水素を発生しなかったという結果の要因である。そのため比較例5に示されるように、420nm以下の光を含む光を照射しても水素生成効率は低いことになる。
<粉末径について>
実施例3と比較例1の水素生成速度の差は、半導体粒子の大きさが違うための表面積の違いによってもたらされたものである。半導体粒子の微細化が非常に重要であることがわかる。
<有機溶媒含有水溶液について>
実施例1と実施例9の結果を比較すると、実施例1の方が水素を発生させたことから、有機溶媒含有水溶液を用いるよりも純水のみの方が水素を発生させるという結果が得られた。有機溶媒は、水素を発生させる際に阻害要因となったと考えられる。
<電解質について>
実施例1〜8を比較することにより、電解質を加えると、水素発生量が増加する結果が得られた。NaNOがベストであり、LiNOが二番目であった。実施例1と実施例14の比較から硝酸アルミニウムは、水素生成を阻害していると考えられるものの、助触媒なしの純水に対する酸化チタンにおける水素生成能力(比較例5)を凌駕している。
<Pt助触媒の効果について>
実施例1と実施例13を比較すると、一見Pt助触媒が水素発生を阻害しているように見える。しかし、実施例13は、投入した白金量が多かったため、光触媒表面の大部分がPt薄膜で被覆されてしまい、光触媒機能が劣化してしまったものと考えられる。20〜2000Åの厚みで被覆された可能性が高い。被覆が薄い部分は光が通るため、光触媒として機能する。しかしながらなおもって酸化チタン光触媒より水素生成能力は高い。比較例5と比較例7の比較により、Pt助触媒を加えると、水素発生量が増加した。
<Pt助触媒に対する電解質の効果について>
比較例6と比較例7の比較により、KNO電解質を加えると、Pt助触媒の効果を阻害した。
本発明の水素発生装置及び水素発生方法は、可視光照射により、効率高く、短時間で十分な量の水素を発生可能な水素発生装置及び水素発生方法を提供でき、水素エネルギー産業、光触媒産業等において利用可能性がある。
11…水素発生装置、21…反応容器、21a、21b、21c…口、22…懸濁液、23…半導体粒子、24…反応液、27…水素ガス、28…矢印(水素ガスの移動方向)、31…可視光、33…光触媒、35…電解質(塩)、37…助触媒。

Claims (15)

  1. 反応容器と、前記反応容器内に貯蔵された懸濁液と、を有し、前記懸濁液は、反応液と、前記反応液中に分散された光触媒とからなり、前記反応液が水又は有機溶媒含有水溶液であり、前記光触媒が半導体粒子からなる粉末であり、前記半導体粒子は、イオン結合性が1以下であり、バンドギャップが2.95eV未満であり、
    前記反応液が、電解質を含み、
    前記電解質が、水溶性であって、Na、K、Li、及び、Alからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素の硝酸塩、炭酸塩又は亜硝酸塩のいずれか一又は二の塩である、水素発生装置。
  2. 前記反応液が水である、請求項1に記載の水素発生装置。
  3. 前記半導体粒子が粒径100μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水素発生装置。
  4. 前記半導体粒子がIV族半導体材料、III−V族化合物半導体材料又は前記IV族半導体材料と前記III−V族化合物半導体材料が混合化合した複合化合物半導体材料のいずれか一の材料からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水素発生装置。
  5. 前記IV族半導体材料がC、Si、Geの群から選択されるいずれか一又は二以上の元素であることを特徴とする請求項に記載の水素発生装置。
  6. 前記III−V族化合物半導体材料がIII族半導体材料とV族半導体材料の化合物であり、前記III族半導体材料がB、Al、Gaの群から選択されるいずれか一又は二以上の元素であり、前記V族半導体材料がN、PAsの群から選択されるいずれか一又は二以上の元素であることを特徴とする請求項に記載の水素発生装置。
  7. 前記半導体粒子が間接遷移型半導体であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の水素発生装置。
  8. 前記半導体粒子が、Co、Ni、Cu、Ag、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Auの群から選択されるいずれか一の金属又は二以上の金属からなる合金からなる助触媒を担持することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の水素発生装置。
  9. 前記有機溶媒含有水溶液が、有機溶媒を含む水溶液であり、
    前記有機溶媒が水酸基を含む有機化合物からなることを特徴とする請求項1に記載の水素発生装置。
  10. 前記電解質が、LiNO、NaNO、KNO 、Al(NO、LiCO、NaCO、KCO 、LiNO、NaNO、KNO からなる群から選択されるいずれか一又は二以上の塩であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の水素発生装置。
  11. 前記反応液が中性又は弱酸性であることを特徴とする請求項1に記載の水素発生装置。
  12. 前記反応容器の内部が外部に対し閉鎖系とされていることを特徴とする請求項1に記載の水素発生装置。
  13. 前記懸濁液に前記反応容器の外部から可視光照射可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の水素発生装置。
  14. 前記反応容器の少なくとも一部が可視光の各波長の透過率が70%以上である光透過性材料で作製されていることを特徴とする請求項1に記載の水素発生装置。
  15. 又は有機溶媒含有水溶液からなる反応液であって、前記反応液が電解質を含み、前記電解質が、水溶性であって、Na、K、Li、及び、Alからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素の硝酸塩、炭酸塩、又は亜硝酸塩のいずれか一又は二の塩である、前記反応液に、イオン結合性が1以下であり、バンドギャップが2.95eV未満である半導体粒子からなる粉末の光触媒又は助触媒を担持した前記光触媒を分散して、懸濁液を調製する工程と、可視光の各波長の透過率が70%以上である光透過性材料からなる反応容器の内部に、前記懸濁液を貯蔵し、前記反応容器の内部を閉鎖系とする工程と、前記反応容器の外部から前記懸濁液に可視光を照射する工程と、を有することを特徴とする水素発生方法。
JP2014255821A 2014-12-18 2014-12-18 水素発生装置及び水素発生方法 Active JP6478184B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014255821A JP6478184B2 (ja) 2014-12-18 2014-12-18 水素発生装置及び水素発生方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014255821A JP6478184B2 (ja) 2014-12-18 2014-12-18 水素発生装置及び水素発生方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016113350A JP2016113350A (ja) 2016-06-23
JP6478184B2 true JP6478184B2 (ja) 2019-03-06

Family

ID=56139698

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014255821A Active JP6478184B2 (ja) 2014-12-18 2014-12-18 水素発生装置及び水素発生方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6478184B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109876800A (zh) * 2019-03-11 2019-06-14 昆明理工大学 一种制备铂/碳纳米催化剂的制备方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6186943A (ja) * 1984-10-04 1986-05-02 Mitsubishi Chem Ind Ltd 光触媒
US20050051439A1 (en) * 2003-09-08 2005-03-10 Jang Bor Z. Photo-electrolytic catalyst systems and method for hydrogen production from water
US7625835B2 (en) * 2005-06-10 2009-12-01 Gm Global Technology Operations, Inc. Photocatalyst and use thereof
JP5424190B2 (ja) * 2008-02-10 2014-02-26 国立大学法人 宮崎大学 光触媒を使ったバイオマス由来の燃料および/または燃料前駆体の製造方法
JP4992812B2 (ja) * 2008-04-21 2012-08-08 富士電機株式会社 光触媒

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016113350A (ja) 2016-06-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Bian et al. Layered double hydroxide‐based photocatalytic materials toward renewable solar fuels production
Ran et al. Cocatalysts in semiconductor‐based photocatalytic CO2 reduction: achievements, challenges, and opportunities
Chong et al. Hydroxyapatite decorated TiO2 as efficient photocatalyst for selective reduction of CO2 with H2O into CH4
Zhang et al. Facile formation of metallic bismuth/bismuth oxide heterojunction on porous carbon with enhanced photocatalytic activity
Tee et al. Recent progress in energy‐driven water splitting
Li et al. Recent progress and strategies for enhancing photocatalytic water splitting
Jo et al. Synthesis of MoS2 nanosheets loaded ZnO–g-C3N4 nanocomposites for enhanced photocatalytic applications
Marszewski et al. Semiconductor-based photocatalytic CO 2 conversion
Zhang et al. Nickel sulfide as co-catalyst on nanostructured TiO2 for photocatalytic hydrogen evolution
Xue et al. A facile strategy for the synthesis of hierarchical TiO 2/CdS hollow sphere heterostructures with excellent visible light activity
Zhang et al. Recent advances in Cu 2 O-based composites for photocatalysis: a review
Vaiano et al. Photocatalytic H2 production from glycerol aqueous solutions over fluorinated Pt-TiO2 with high {001} facet exposure
JP6265410B2 (ja) コア−シェル型光触媒の製造方法
Yoshida et al. Lanthanoid Oxide Layers on Rhodium-Loaded (Ga1–x Zn x)(N1–x O x) Photocatalyst as a Modifier for Overall Water Splitting under Visible-Light Irradiation
Kolivand et al. Enhanced photocatalytic hydrogen evolution from water splitting by Z‐scheme CdS/BiFeO3 heterojunction without using sacrificial agent
Nashim et al. Heterojunction conception of n-La 2 Ti 2 O 7/p-CuO in the limelight of photocatalytic formation of hydrogen under visible light
Wu et al. One-pot synthesis of NF-Cr-doped anatase TiO 2 microspheres with nearly all-(001) surface for enhanced solar absorption
Sherryna et al. Recent developments in layered double hydroxide structures with their role in promoting photocatalytic hydrogen production: A comprehensive review
Lu et al. The effect of different co-catalysts (CuO, MoS2 and Pt) on hydrogen production of Er3+: YAlO3/NaTaO3 by visible-light-induced methanol splitting
Shaikh et al. ZnSe/ZnO Nano‐heterostructures for enhanced solar light hydrogen generation
Zhang et al. Modification of oxysulfides with two nanoparticulate cocatalysts to achieve enhanced hydrogen production from water with visible light
Zhang et al. Morphology modulation of SnO photocatalyst: from microplate to hierarchical architectures self-assembled with thickness controllable nanosheets
Wang et al. Effect of Zn in Ag-loaded Zn-modified ZnTa2O6 for photocatalytic conversion of CO2 by H2O
Sathish et al. Latest avenues on solar light-driven photocatalytic hydrogen generation using surface modified nanomaterials towards sustainable environment and circular bioeconomy
Shao et al. Layer‐by‐Layer Electrodeposition of FTO/TiO2/CuxO/CeO2 (1< x< 2) Photocatalysts with High Peroxidase‐Like Activity by Greatly Enhanced Singlet Oxygen Generation

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170920

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180605

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180806

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190122

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190125

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6478184

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250