以下、下記の順序に従って本発明を説明する。
(1)第1の実施形態:
(2)第2の実施形態:
(3)第3の実施形態:
(4)第4の実施形態:
(5)第5の実施形態:
(1)第1の実施形態:
まず、本実施形態に係る脚立1の構成について、図1〜図3を参照しつつ説明する。図1、図2は、本実施形態にかかる脚立の各状態を斜めから見て示した図であり、図3は、本実施形態にかかる脚立を正面から見て示した図である。図1〜図3に示すように、本実施形態に係る脚立1は、梯子としても用いられる梯子兼用脚立であり、互いに共通の構成を有する一対の梯子体2を備える。
梯子体2は、縦部材である左右一対の支柱3と、所定の間隔を隔てて配設される一対の支柱3間に横架された複数の踏桟4とを有する。
梯子体2においては、一対の支柱3が対向する方向、つまり踏桟4が横架される方向(図1における左右方向)を左右方向とする。梯子体2において、一対の支柱3は、左右方向に対称に構成されている。
各支柱3は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属製の部材であり、他方の支柱3との関係で互いに平行となる垂直部3aと、垂直部3aの下側に設けられ他方の支柱3との関係で一対の支柱3間の間隔が下方に近づくほど徐々に広がる傾斜部3bと、を有する。
すなわち、脚立1は、図3に示すように、傾斜部3bにおいて、一対の支柱3間の間隔が上側から下側にかけて徐々に広がる下広がりの形状を有する。なお、本実施形態では、支柱3において、梯子体2の上部を構成する上側の1/3〜1/4の部分が垂直部3aを構成し、残りの下側の部分が傾斜部3bを構成する。
傾斜部3bは、垂直部3aの延設方向に対して外側に広がるように所定の角度αをもって傾斜状に配された態様をなす。このような構成の一対の支柱3間においては、上部の垂直部3a同士は互いに平行となり、その下側の傾斜部3b同士は、正面視で下広がりとなるように略「ハ」の字状をなす。
なお、以下の説明では、支柱3の垂直部3aの延設方向を梯子体2の上下方向とし、垂直部3aに対する傾斜部3b側を下側、その反対側を上側とする。
支柱3は、コ字状の横断面形状を有する長手状部材である。一対の支柱3は、コ字状の横断面形状の側壁部3c側を内側として、コ字状の横断面形状の開放側を左右外側に向けた状態で設けられる。支柱3は、例えば、コ字状の横断面をなす直線状の押出し成形品を所定の長さに切断した後に、垂直部3aと傾斜部3bの境目に相当する所定位置で屈曲成型して作成される。支柱3の下端部には、後述するアウトリガー部10が取付固定されている。
踏桟4は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属製の部材であり、一対の支柱3に対する架設方向を長手方向とする直線状の部材である。踏桟4は、例えば、所定の横断面形状をなす直線状の押出し成形品が所定の長さに切断されて所定の加工を受けた部材が一対の支柱3間に架設されることにより構成される。踏桟4は、一対の支柱3間において、垂直部3a間および傾斜部3b間のそれぞれにおいて架設されている。
本実施形態では、一対の支柱3間において、垂直部3a間に2本、傾斜部3b間に3本の計5本の踏桟4が、梯子体2の上下方向に略等間隔を隔てて設けられている。
垂直部3a間に架設されている2本の踏桟4は、互いに同じ長さ(長手方向の寸法)を有する。垂直部3a間に架設されている2本の踏桟4のうちの上側の踏桟4は、垂直部3aの上端部、つまり支柱3の上端部間に架設されている。傾斜部3b間に架設されている3本の踏桟4は、一対の傾斜部3b間の間隔に応じて、下側に配置される踏桟4ほど長さが長くなっている。5本の踏桟4は、長さ以外の構成、具体的には後述する横断面形状や長手方向の端部形状等については共通の構成を有する。
以上のような支柱3および踏桟4により構成された梯子体2が、対をなし、下側の部分に対して幅狭となる上端部同士を、連結部材である継手金具6を介して、左右方向を回動軸方向として、回動可能に連結させている。
継手金具6は、各支柱3の上端部に設けられており、一対の梯子体2が互いに向かい合う構成において、左右方向について共通の側にある支柱3同士が、それぞれの上端部に設けられた継手金具6を介して回動自在に連結される。
継手金具6は、互いに連結させる支柱3間においてヒンジ部を構成する部材であり、脚立1の左右両側のそれぞれで対応する支柱3同士が、各支柱3の上端に設けられた継手金具6同士が左右方向を回動軸方向として回動自在に連結されることで、一対の継手金具6を介して回動自在に連結される。これにより、梯子体2同士が左右方向を回動軸方向として回動可能に連結される。
継手金具6は、全体として板状の部材であり、支柱3に固定される部分であって略矩形状の外形を有する固定部6aと、固定部6aから突出して相手方の継手金具6と連結される部分であるヒンジ部6bとを有する。
継手金具6は、固定部6aを、支柱3の側壁部3cの内側(左右方向の内側)の面、つまり支柱3の横断面形状のコ字状における開放側と反対側の面に沿わせた状態で、複数のリベット等の固定部材により支柱3に固定される。
継手金具6は、支柱3に固定された状態において、ヒンジ部6bを、連結される他方の支柱3側に突出させる。継手金具6により互いに連結される支柱3間においては、各継手金具6のヒンジ部6bの重なり合った部分が枢支ピン等の軸支部材により相対回動自在に連結されることで、各支柱3に固定された継手金具6を介して、支柱3同士が回動自在に連結される。
このように一対の梯子体2が左右方向を回動軸方向として互いに連結された構成を備える脚立1においては、左右両側のそれぞれで継手金具6を介して互いに連結された支柱3間に開き止め金具8が設けられている。開き止め金具8は、梯子兼用の脚立1が脚立として用いられる場合において、支柱3の上端部間に架け渡された状態となることで、梯子体2同士が開く方向の回動を規制する。
すなわち、脚立1が脚立として用いられる場合、一対の梯子体2が支柱3により側面視において軸支部材による回動中心側を頂点側とする二等辺三角形の斜辺に沿うように略逆V字状をなして所定量開いた状態となり、かかる状態において、支柱3の上端部間に開き止め金具8が略水平方向に架け渡されることで、梯子体2同士の所定量以上の開きが規制される。
より具体的には、開き止め金具8は、相対回動可能に端部同士が連結された2つの細長い矩形状(短冊状)の板状部材からなる中折れ式のものである。開き止め金具8は、その一側の端部、つまり一方の板状部材における他方の板状部材に対する連結側と反対側の端部が支柱3の上端部における所定の位置に回動可能に軸支された状態で設けられている。
そして、脚立1が脚立として用いられる状態において、開き止め金具8の他方の端部が、例えば支柱3側に設けられた止めピン等の係止突部に係止凹部を嵌合させることにより、支柱3の上端部における所定の位置に係止される。これにより、開き止め金具8は、脚立1の左右両側において、略水平方向に沿う直線状の態様で支柱3間に架け渡された状態となり、梯子体2同士の開きを止める。
以上のような構成を備える本実施形態の脚立1は、継手金具6を介して回動可能に互いに連結された一対の梯子体2が側面視において互いに略平行となるように折畳み可能に構成されている。なお、脚立1の折畳み状態においては、中折れ式の開き止め金具8は、互いに略平行な梯子体2間において2つの板状部材の回動により略逆V字状に折れ曲がった状態となる
そして、脚立1は、脚立として使用される場合は、上述のとおり一対の梯子体2が側面視で略逆V字状をなして所定量開いた状態となる(図1参照)。この脚立1の脚立状態においては、開き止め金具8によって梯子体2同士の所定量以上の開きが規制される。
一方、脚立1は、梯子として使用される場合は、開き止め金具8による回動の規制が解除され、一対の梯子体2が側面視で一直線状となるまで開かれた状態となる。
この脚立1の梯子状態においては、継手金具6を介して互いに連結された状態の支柱3同士は、上端同士を互いに接触させた状態で、側面視で一直線状となるように互いに連続した状態となる。つまり、梯子状態の脚立1は、梯子体2の2倍の長さ(高さ)を有する。そして、梯子状態の脚立1では、開き止め金具8は、直線状に互いに連続する支柱3間においてその直線方向に沿って支柱3間に架設された状態とし、支柱3同士による直線状の形態を固定させ保持する機能を果たす。
次に図4〜図9を参照しつつ、脚立1のアウトリガー構造について説明する。図4〜図6は脚立1のアウトリガー構造を斜めから見て示した図であり、図7、図8は脚立1のアウトリガー構造を正面から見て示した図であり、図9は固定管の一部を破断して内部の伸縮管の状態を示した図である。
脚立1のアウトリガー部10は、一対の支柱3の間に左右に配向して固定された固定管11、固定管11の一方の開口から管内に収容され当該一方の開口から伸縮自在の管状の第1伸縮管としての左伸縮管12、左伸縮管12の左端から下方へ延接される左脚部13、固定管11の他方の開口から管内に収容され当該他方の開口から伸縮自在の管状の第2伸縮管としての右伸縮管14、右伸縮管14の右端から下方へ延設される右脚部15、を備えている。左伸縮管12及び右伸縮管14は、固定管11内に最大に収容した状態において左脚部13や右脚部15が支柱3のコ字型の横断面形状の凹部内に入り込んで支柱3から下方に略連続的に延びた状態となる。
固定管11は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属製の部材であり、一対の支柱3に対する架設方向を長手方向とする直線状の管部材である。固定管11は、所定の横断面形状をなす直線状の押出し成形品が所定の長さに切断されて所定の加工を受けた部材が一対の支柱3の下部に連結されることにより構成される。固定管11と支柱3は、固定管11の左右端部に固定された連結部材16を用いて互いに連結されている。
固定管11の左端部には左開口11aが設けられており、この左開口11aから固定管11の管内に左伸縮管12が挿入されている。同様に、固定管11の右端部には右開口11bが設けられており、この右開口11bから固定管11の管内に右伸縮管14が挿入されている。
左伸縮管12及び右伸縮管14は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属製の部材であり、固定管11の長手方向と同じ方向を長手方向とする直線状の管部材である。
左伸縮管12及び右伸縮管14は、所定の横断面形状をなす直線状の押出し成形品が所定の長さに切断されて所定の加工を受けた部材が、左伸縮管12については固定管11の左開口11aから管内に挿入され、右伸縮管14については固定管11の右開口11bから管内に挿入されることにより構成される。
固定管11と左伸縮管12、及び、固定管11と右伸縮管14の間には、それぞれ抜け止め構造が設けられており、固定管11と左伸縮管12や右伸縮管14との重複範囲が一定量を下回らないように規制している。これにより固定管11から左伸縮管12や右伸縮管14が抜けて外れないようになっている。
左伸縮管12及び右伸縮管14は、その長手方向において、少なくとも固定管11の長手方向の半分以上の長さを有しており、固定管11内にその略全体を収容可能である。左伸縮管12及び右伸縮管14は、固定管11と略同等程度の長さを有する構成とすることもできる。これにより、固定管11から左伸縮管12や右伸縮管14を引き出して伸縮可能な範囲を長くすることができる。
右伸縮管14は、その横断面形状における外形が固定管11の横断面における内形と略同等又はわずかに小さい程度とされている。特に、右伸縮管14は、横断面形状における外形の上面及び下面が固定管11の横断面における内形と略同等又はわずかに小さい程度とされている。このため、固定管11の管内における右伸縮管14の摺動移動を可能としつつ、固定管11と固定管11の管内に挿入された右伸縮管14との一体密着性が向上する。
左伸縮管12は、その横断面形状における外形が右伸縮管14の横断面形状における内形と略同等又はわずかに小さい程度とされている。特に、左伸縮管12は、横断面形状における外形の上面及び下面が右伸縮管14の横断面における内形と略同等又はわずかに小さい程度とされている。すなわち、各管の断面サイズは固定管11、右伸縮管14、左伸縮管12の順に徐々に小さくなるように形成されている。このため、固定管11の管内に挿入された左伸縮管12及び右伸縮管14が、固定管11の内部で更に右伸縮管14の管内に左伸縮管12を入れ子状に重複させて挿入した挿入状態を実現することができる。
これにより、固定管11の管内における左伸縮管12の摺動移動を可能としつつ右伸縮管14の管内における左伸縮管12の摺動移動が可能となり、固定管11と固定管11の管内に挿入された右伸縮管14との一体密着性を向上しつつ右伸縮管14と右伸縮管14の管内に挿入された左伸縮管12との一体密着性が向上する。また、左伸縮管12及び右伸縮管14の長手方向の長さを固定管11の長手方向の長さと略同程度にまで長くすることが可能になり、アウトリガー部10における左右への伸縮張り出し可能量を大きくとることができる。また、固定管11において、内部に左伸縮管12及び右伸縮管14を内に収容した部位の横断面方向における剛性を向上することができる。また、左伸縮管12と右伸縮管14を固定管11内で重複させて収容できるため、固定管11を、左伸縮管12や右伸縮管14の1本分程度の太さに抑えることができる。
なお、固定管11の横断面形状における内形は右伸縮管14の外形と略同等又はわずかに大きい程度としてあるが、固定管11の左開口11a寄りの少なくとも一部における横断面形状の内形は、固定管11の右開口11b寄りの少なくとも一部における横断面形状における内形に比べて縮径させてもよい。例えば、固定管11の左開口11a付近の少なくとも一部は、固定管11の他の部位に比べて横断面形状における内形を左伸縮管12の外形と略同等又はわずかに大きい程度に形成しても良い。具体的には、例えば、固定管11の左開口11a付近の少なくとも一部を縮径させたり、固定管11の左開口11a付近の内側面に沿って薄手の介挿物を配設したりする。これにより、左伸縮管12が出入りする固定管11の左開口11aにおいて、左伸縮管12の外側面と固定管11の内側面との間に形成される隙間を小さくして固定管11内における左伸縮管12の遊びを最適化可能となり、左伸縮管12の固定管11内でのがたつきを可及的に防止することができる。
左伸縮管12の先端部における横断面形状は、固定管11側の内端部に近づくほどその外形が縮径する先細り形状に形成されている。内端部の先細り形状は、例えば、左伸縮管12の先端にキャップ状の端具12gを取付け固定することにより実現することができる。これにより固定管11の管内において右伸縮管14の管内に左伸縮管12を入れ子状に挿入する際に、右伸縮管14の内端と左伸縮管12の内端の衝突を可及的に防止し、右伸縮管14を左伸縮管12の管内へ挿入しやすくなる。
本実施形態においては、左伸縮管12の先端の縮径量Δd1を右伸縮管14の管壁の厚みΔd2よりも大きくしてある。このため、右伸縮管14の外壁を固定管11の内壁に当接させた状態で右伸縮管14の管内に左伸縮管12を入れ子状に挿入する場合に、左伸縮管12の先端が右伸縮管14の管壁よりも内側に位置することとなり、左伸縮管12の先端が、先端部の先細り形状に案内されて右伸縮管14の管内にスムーズに挿入されることとなる。
なお、左伸縮管12の内端部を先細り形状とする代わりに、右伸縮管14の固定管11側の内端部における横断面形状を、その内端に近づくほどその内形が大きくなる拡径形状に形成しても良いし、左伸縮管12の内端部を先細り形状とすることと右伸縮管14の先端部を拡径形状とすることとを組み合わせてもよい。このようにしても、左伸縮管12の内端が、右伸縮管14の管内にスムーズに挿入されることとなる。
固定管11には、管の内外を貫通する複数の孔11c,11dが設けられており、左伸縮管12にも複数の孔12a,12bが設けられており、右伸縮管14にも複数の孔14a,14bが設けられている。
固定管11の各孔11c,11dの外面には、ロック装置17,18がそれぞれ固定されている。ロック装置17,18は、孔11c,11dを通して係止突起を管内に進出させるものである。この係止突起の固定管11の管内への最大突出長は、固定管11の壁面の厚みと右伸縮管14の壁面の厚みとの和以上とされる。これにより、固定管11の孔11c,11dに右伸縮管14の孔14a,14bや左伸縮管12の孔12a,12bを重複配置させてロック装置17,18の係止突起を固定管11内に突出させたときに、係止突起が固定管11と左伸縮管12や右伸縮管14を貫通することになる。
これにより、固定管11に対して左伸縮管12や右伸縮管14を固定することができる。また、孔を複数設けているため、複数の相対的な位置関係で固定管11に対して左伸縮管12や右伸縮管14を固定することができる。すなわち、固定管11からの左伸縮管12や右伸縮管14の伸出量を様々に調整した状態で固定することが可能となる。
次に、図10〜図15を参照しつつ、左伸縮管12の左端である外端部から下方へ延設された左脚部13と、右伸縮管14の右端である外端部から下方へ延設された右脚部15とにおいて、これら外端部から下方へ延びる左脚部13及び右脚部15の長さを伸縮調整可能な伸縮脚構造について説明する。図10は左脚部13の伸縮脚構造を斜めから見て示した図であり、図11は伸縮脚構造を分解して組み立て状態を示した斜視図であり、図12は伸縮脚構造の斜視図及び断面図であり、図13は伸縮脚構造の動作状態を示す断面図であり、図14は伸縮脚構造の変形例を示す断面図であり、図15は伸縮脚構造の他の変形例を示す断面図である。なお、左脚部13と右脚部15は同様の伸縮脚構造を有しているため、以下では左脚部13を例にとって説明を行うことにする。
左脚部13は、挿通孔21aの方向を略上下方向に配向させて左伸縮管12の外側端に固定された挿通部としての受金21と、受金21の挿通孔21aの中に長手方向を略上下方向に配向させて挿通された直線状の縦部材としての脚柱22と、当該脚柱22を挿通孔21a内の任意の挿通位置で保持する保持機構23とを有している。挿通孔21aは、左側の支柱3の傾斜部3bの長手方向と略一致する方向に延びている。
脚柱22は、左の支柱3の長手方向と略同じ方向を長手方向とする直線状の部材であり、アルミニウム合金製の部材である。脚柱22にはアルマイト処理に塗装を施してあり、これにより摺動性を良好にするとともに摩耗状態を確認できるようにしてある。挿通孔21aに挿通された脚柱22は、挿通孔21aの延びる方向に沿って配向することとなり、脚柱22の長手方向は、左側の支柱3の傾斜部3bの長手方向と略一致する方向に配向し、脚柱22は左側の支柱3の傾斜部3bの長手方向と略一致する方向に摺動移動可能となる。
脚柱22の外側面22aは第1凹凸係合面としての凹凸係合面22bが形成されており、脚柱22の長手方向に沿って規則的に凹凸が現れる凹凸形状を有している。なお、この凹凸形状は、脚柱22の外側面22aを構成する金属を表裏に貫通して形成されても良いし、外側面22aの表面に所定の深さで凹みとして形成されても良い。
保持機構23は、挿通孔21aの脚柱22の凹凸係合面22bと対面する側に設けられる。保持機構23は、挿通孔21aの中で脚柱22が自由に摺動移動できる解放状態と、挿通孔21aの中で脚柱22が摺動移動しないように規制した規制状態と、を切り替えて実現することができる。すなわち、保持機構23を解放状態にして脚柱22を適宜の位置まで摺動移動させてから保持機構23を規制状態へ切り替えることにより、任意の長さの脚柱22を左伸縮管12よりも下方に延出した状態にすることができる。これにより、脚柱22の伸縮長さを適宜に調整することができる。
本実施形態においては、保持機構23は、挿通孔21aの内部に配設された第2凹凸係合面としての凹凸係合面24aを有する凹凸係合板部材24と、凹凸係合面24aが平行移動するように凹凸係合板部材24を移動させる平行リンク機構25とによって脚柱22の伸縮長さを調整する。平行リンク機構25は、凹凸係合板部材24の凹凸係合面24aが脚柱22の外側面22aの凹凸係合面22bに対して面接触した状態と、凹凸係合板部材24の凹凸係合面24aが脚柱22の外側面22aの凹凸係合面22bに対して離間した状態とを適宜に切り替えることができる。凹凸係合板部材24はアルミニウム合金製の部材であり、無電解ニッケルメッキを施すことにより表面硬度を高めて摺動性を良好にするとともに、耐摩耗性を向上させ、耐久性や操作性を向上させてある。
本実施形態においては、脚柱22の凹凸係合面22bには左右方向を長手方向とする条溝22cが脚柱22の長手方向に沿って一定の間隔で複数形成されており、凹凸係合板部材24の凹凸係合面24aには左右方向を長手方向とする突条24bが脚柱22の長手方向に沿って一定の間隔で複数形成されている。これらの突条24bと条溝22cは、互いに対応する間隔で形成されている。
平行リンク機構25は、受金21に対して凹凸係合板部材24を平行リンクさせるジョイント部材26,27、ジョイント部材26,27を受金21に軸支される2つの固定軸、及び、ジョイント部材26,27を凹凸係合板部材24に軸支される2つの可動軸を有している。固定軸は受金21との相対的な位置関係が変動せず、可動軸は凹凸係合板部材24とともに移動して受金21との相対的な位置関係が変動する。
ジョイント部材26は、固定軸と可動軸の間を接続する接続部26aと、固定軸としての軸部材28を挿通する軸孔26bと、可動軸としての軸部26cを構成する軸部26cと、を有する。軸孔26bは、受金21に支承された軸部材28を受け入れて当該軸部材28によって枢支される。軸部26cは、凹凸係合板部材24の背面24cに形成されたジョイント凹部24dの中に遊嵌されて、当該軸部26cがジョイント凹部24d内で軸回転可能となる。これにより受金21と凹凸係合板部材24とが可動軸と固定軸を介してリンクされる。
同様に、ジョイント部材27は、固定軸と可動軸の間を接続する接続部27aと、固定軸としての軸部材29を挿通する軸孔27bと、可動軸としての軸部27cを構成する軸部27cと、を有する。軸孔27bは、受金21に支承された軸部材29を受け入れて当該軸部材29によって枢支される。軸部27cは、凹凸係合板部材24の背面24cに形成されたジョイント凹部24eの中に遊嵌されて、当該軸部27cがジョイント凹部24e内で軸回転可能となる。これにより受金21と凹凸係合板部材24とが可動軸と固定軸を介してリンクされる。ジョイント部材26,27はアルミニウム合金製の部材であり、無電解ニッケルメッキを施すことにより表面硬度を高めて摺動性を良好にするとともに、耐摩耗性を向上させ、耐久性や操作性を向上させてある。
ジョイント部材26,27の軸部26c、27cは、図10〜図12に示すように、直径が接続部26a,27aの厚みより大きい丸棒状であり、軸部26c、27cがジョイント凹部24d、24eの中に遊嵌されたとき、軸部26c、27cの直径よりも狭いジョイント凹部24d、24eの開口から接続部26a,27aから延出された状態となる。ジョイント凹部24d、24eの開口は、軸部26c、27cの直径よりも狭く、接続部26a,27aの厚みよりも広く形成されている。軸部26c、27cは、凹凸係合板部材24の側方からジョイント凹部24d、24eにスライド挿入されることによりジョイント凹部24d、24eに遊嵌される。この軸部26c、27cのジョイント凹部24d、24eへの遊嵌にはビス等が不要であり、軸孔26b,27bに枢支される軸部材28は受金21にビス等で固定する必要がある。平行リンク機構25においては少なくとも4つの軸を設ける必要があるが、近接して設けられる軸には、一方をビスの必要な軸としつつ他方をビスの不要な軸とすることにより、ビス(例えばビスの頭)の干渉を防止できる。
ジョイント部材26の固定軸としての軸部材28を挿通する軸孔26bは可動軸としての軸部26cよりも上方に位置しており、ジョイント部材27の固定軸としての軸部材29を挿通する軸孔27bは可動軸としての軸部27cよりも上方に位置する。すなわち、2つの固定軸と2つの可動軸とを結んで形成される平行四辺形において、軸部26cと軸孔27bの位置に形成される内角は鋭角となり、軸孔26bと軸部27cの位置に形成される内角は鈍角となる。このため、ジョイント部材26,27は、軸孔26b,27bの側から軸部26c,27cの側に向けて下り傾斜状となる。
ジョイント部材26は、軸孔26bを挟んで軸部26cとは反対側へ延出された操作部としてのレバー部26dを有する。このレバー部26dは、受金21に設けられた開口21bから受金21の外部に露出しており、このレバー部26dを操作することにより、平行リンク機構25の傾斜角を調整することができるようになっている。すなわちレバー部26dを引き出す方向に操作すると凹凸係合板部材24を脚柱22の外側面22aに接近する方向に移動し、逆に、レバー部26dを押し込む方向に操作すると凹凸係合板部材24を脚柱22の外側面22aから離間する方向に移動する。
レバー部26dは、凹凸係合板部材24との間にレバー部26dと凹凸係合板部材24の間を離間させる方向に付勢する円錐状のコイルばねで構成されたバネ部材としてのバネ32が介装されている。バネ32は、円錐の頂点側をレバー部26dの側に向けて、レバー部26dに対して点で接するようにして捩れにくくしてある。バネ32をレバー部26dと凹凸係合板部材24の間に介装することにより、レバー部26dと凹凸係合板部材24の背面24cとを離間させる方向に応力が加わる。これによりレバー部26dに操作がなされない状態において凹凸係合板部材24の凹凸係合面24aと脚柱22の外側面22aの凹凸係合面22bとが係合した状態を維持させて、レバー部26dに操作がなされない状態において脚柱22が挿通部21a内で摺動移動しないようにしてある。なお、レバー部26dを凹凸係合板部材24に凹部が向くように湾曲形成し、その湾曲の凹部にバネ32の一端を当接させることで、バネ32をレバー部26dと凹凸係合板部材24の間に構造的に保持するようにしてある。
凹凸係合板部材24は、その上端部に、外側面22aから離間する方向に屈曲延設された操作部としてのレバー部24fが設けられている。このレバー部24fは、受金21の上側から露出しており外部から操作可能になっている。このレバー部24fに下方への応力を加えるように操作すると、固定軸としての軸部材28,29及び可動軸としての軸部26c,27cを回動軸としてバネ32の付勢力に抗して凹凸係合板部材24が脚柱22から離間する方向に平行移動する。すなわちレバー部24fの操作によっても、凹凸係合板部材24を脚柱22の外側面22aから離間させることができる。
以上のように構成された伸縮脚構造においては、梯子体2の自重及び梯子体2を使用する使用者や梯子体2に積載される荷重が左伸縮管12を下方に押し下げる応力として働くため、この左伸縮管12に固定されている受金21及びこの受金21に固定されている固定軸としての軸部材28,29には下方向への応力が加わる。その一方で、脚柱22の下端は梯子体2の載置面に当接して使用されるため、脚柱22の外側面22aの凹凸係合面22bに凹凸係合面24aを凹凸係合する凹凸係合板部材24には、上方向への反力が加わることになる。
ここで、固定軸としての軸部材28,29と可動軸としての軸部26c,27cは水平方向においてオフセットした位置関係を有するため、可動軸には固定軸を中心として図13において反時計回り方向に回転させるトルクが発生し、梯子体2の自重及び梯子体2を使用する使用者や梯子体2に積載される荷重が大きいほど、凹凸係合板部材24の凹凸係合面24aを脚柱22の凹凸係合面22bに押し付ける力が強くなり、これら凹凸係合面の間の凹凸係合力が高まることになる。すなわち、より伸縮脚構造における脚柱22の伸縮長さを保持する力が向上することになる。
また、凹凸係合板部材24の凹凸係合面24aに形成される突条24bは、脚柱22の長手方向に沿う方向の縦断面形状において、下側の境界部の段差を凹凸係合面24aに対して略垂直な急峻なエッジ形状としつつ、上側の境界部の段差を凹凸係合面24aに対してなだらかなエッジ形状としてある。すなわち、脚柱22が受金21に対して相対的に上方向へ摺動移動することを抑制しつつ、逆に、脚柱22が受金21に対して相対的に下方向へ摺動移動しやすくしてある。これにより、レバー部26d,24f等への非操作時において、左伸縮管12よりも下方に延びる伸縮脚長さの短縮を抑制し、左伸縮管12よりも下方に延びる伸縮脚長さの伸長を容易にしてある。よって、脚柱22の上を押すか、脚柱22の下部を下に引っ張ると、脚柱22を容易に伸長することができる。
なお、上述した実施形態ではジョイント部材26,27の軸構造を、受金21との軸支構造については軸孔26bとし、凹凸係合板部材24との軸支構造についてはジョイント凹部24d,24e内で軸回転する軸部26cとしたが、受金21との軸支構造も凹凸係合板部材24との軸支構造と同様の構成としてもよい。図14に、この変形例に係る軸支構造を示した。この場合、構造的にレバー部26dを設けられないため、レバー部26dを外部に露出させるための開口21bも設けない構成としてある。
また、ジョイント部の数は2以上にしてもよく、例えば、図15に示すようにジョイント部の数を3つにしてもよい。このように、ジョイント部の数を多くすることにより、ジョイント部に係る応力を分散して製品の耐久性を向上することができる。
(2)第2の実施形態:
次に、脚立1のアウトリガー部10の他の一例について説明する。図16は本実施形態にかかるアウトリガー部10を正面から見て示した図、図17は図16に示すY−Y線に沿って切断して示した断面図、図18は図16に示すZ−Z線に沿って切断して示した断面図、図19は脚部の下端に設けられる端具形状を説明する図である。なお、本実施形態においては、上述した第1の実施形態と共通又は対応する構成については同じ符号を付して説明を行う。
まず、図16に示すアウトリガー構造は、固定管11、左伸縮管12及び右伸縮管14の断面形状、固定管11に支柱を取付けるための支柱取付部材40、左伸縮管12の左脚部13及び右伸縮管14の右脚部15の下端に取付ける端具50、並びに端具50を左伸縮管12の左脚部13及び右伸縮管14の右脚部15の下端の下端に取付ける際に用いる端具取付部材60、に特徴がある。
支柱取付部材40は、固定管11に取り付け固定される環状嵌合部41、環状嵌合部41から前後方向へそれぞれ張り出し状に形成される支持台部42,43、前後の支持台部42,43の少なくとも一方から立設される固定用壁部44、及び、ネジを挿通するネジ挿通孔部45a〜45dを有する。支柱取付部材40は、固定管11の左右端部にそれぞれ1つずつ設けられる。支柱取付部材40は環状嵌合部41に固定管11を挿通し、ネジ止め等によって固定管11に固定される。
支柱3の下端部には固定管11の横断面形状に上方から嵌合する切り欠き状の凹部46が形成されている。この凹部46を、固定管11に取り付け固定された支柱取付部材40の内側に隣接させて固定管11に嵌合することにより、支柱3のコ字状の横断面形状における左右側壁47,48の下端がちょうど支持台部42,43の上面に略当接した状態となる。この状態で、ネジ挿通孔部45a〜45dに固定用のネジを挿通させて支柱3のネジ穴49a〜49dに対してネジ止め固定する。これにより支柱3が固定管11に対して固定される。
本実施形態において、固定管11は、その長手方向に対する横断面形状において上面11e及び下面11fをその中央を突端とする山型膨出形状としてあり、全体として断面略六角管形状としてある。これにより、固定管11はその上面11eに傾斜角度の異なる2種類の面を有することとなり、固定管11の上面11eの前半分は前方側に下り傾斜の傾斜面となり、固定管11の上面11eの後半分は後方側に下り傾斜の傾斜面となる。これにより、梯子体2を傾けて設置した時に、固定管11の上面11eの前後少なくとも一方が比較的水平に近い状態となり、固定管11を梯子体2の踏桟として使用する際の利便性が向上する。
左伸縮管12と右伸縮管14には、右伸縮管14内で左伸縮管12の摺動方向を案内する案内構造が設けられている。この案内構造は、右伸縮管14の管の内側面において、管の長手方向である伸縮方向に沿う方向に延設された案内条溝としての条溝141と、左伸縮管12の管の外側面において管の長手方向である伸縮方向に沿う方向に延設された案内突条としての突条121とにより構成されている。条溝141は、右伸縮管14の長手方向に対する横断面形状において左右側面の上下端部にそれぞれ形成され、突条121は、左伸縮管12の長手方向に対する横断面形状において左右側面の上下端部にそれぞれ形成されている。
このため、右伸縮管14と左伸縮管12とが固定管11の管内で入れ子状に重複させると、右伸縮管14の条溝141に左伸縮管12の突条121が嵌合して右伸縮管14に対する左伸縮管12の摺動移動を案内する案内構造が実現される。
端具50は、脚柱22の下端部に取り付けられて梯子体2と据え付け面との間の滑り止め部材となる。端具50は、端具50の滑り止め面51が梯子体2の設置面との対面状態を維持するように、滑り止め面51と脚柱22の間の角度が梯子体2の傾き角度に応じて変化する構造を有している。端具50は、下面に滑り止め面51を有する平板上の滑り止め部材52、当該滑り止め部材52の上面に固定される軸支部材53、及び、当該軸支部材53にそれぞれ軸支される2つの回動軸としての第1の回転軸54と第2の回転軸55を有している。滑り止め部材52の滑り止め面51は、ゴムや樹脂などの摩擦係数の高い材料で形成してもよいし、滑り止めの凹凸構造を設けてもよい。
軸支部材53には、その上面に一対の軸支部(左立壁53a,右立壁53b)が立設されており、左立壁53aの第1左軸孔53a1と右立壁53bの第1右軸孔53b1(不図示)の間に第1の回転軸54が軸支され、左立壁53aの第2左軸孔53a2と右立壁53bの第2右軸孔53b2(不図示)の間に第2の回転軸55が軸支されている。この軸支状態において、第1の回転軸54と第2の回転軸55は、互いに前後に間隔を空けてオフセットした位置関係となる。
端具取付部材60は、端具50を脚柱22の下端部に固定するために用いられる部材であり、第1の回転軸54を挿通するための湾曲長孔61、第2の回転軸55を挿通するための湾曲長孔62、湾曲長孔61と湾曲長孔62の間に逆V字状に設けられる支点部63、及び、脚柱22の下端部に対してねじ止め固定するための固定部64を有している。
湾曲長孔61と湾曲長孔62は、湾曲の凹部同士を対向させた位置関係で設けられている。例えば、湾曲長孔61と湾曲長孔62は、長孔の延びる方向に対する横断面形状において、いずれも同じ1つの仮想円弧の一部を構成するように設けられ、当該仮想円の仮想中心に対して点対称となる位置関係で各湾曲長孔61,62が設けられている。
また、支点部63のV字の先端部65は、上述した仮想円の仮想円弧に対応する位置と形状で設けられており、上述した仮想円弧において湾曲長孔61と湾曲長孔62の略中間に位置している。これにより、湾曲長孔61に第1の回転軸54を挿通するとともに湾曲長孔62に第2の回転軸55を挿通して軸支部材にてそれぞれ支承すると、先端部65が端具50の上面に当接し、先端部65を支点として湾曲長孔61に挿通された第1の回転軸54と湾曲長孔62に挿通された第2の回転軸55とが揺動可能となる。
湾曲長孔61は、湾曲長孔62よりも高めの位置関係で設けられており、湾曲長孔61と湾曲長孔62は、脚柱22の長手方向に沿う方向から湾曲長孔62側に角度θだけ傾いた仮想軸線に対して軸対称に設けられている。このため、梯子体2を前方に角度θだけ傾けて梯子体2の長手方向と仮想軸線とが略平行な状態としたときに湾曲長孔61と湾曲長孔62とが垂直方向に双方向の軸線に対して軸対称となり、梯子体2の載置面の傾斜に対する端具50の揺動可能範囲が前後双方に略均等に確保される。
(3)第3の実施形態:
図20は、本実施形態にかかる脚立1の脚部(左脚部13、右脚部15)を説明する図である。なお、本実施形態においては、上述した第1の実施形態又は第2の実施形態と共通又は対応する構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。また、左脚部13と右脚部15は左右対称の構成であるため、図20には左脚部13を例示してある。
図20に示す左脚部13は、ネジ構造により上下に伸縮する伸縮脚の構造を有しており、筒軸を長手方向を支柱3と略平行な略上下方向に配向させて左伸縮管12の外端部に固定された直線状の外筒部としての上筒部302と、上筒部302の筒内に下方から挿抜自在に挿通された内筒部としての下筒部301と、上筒部302内に挿通された多条ネジとしての軸部材303と、軸部材303の上端部に固定された回転操作部としてのツマミ部304とを備えて構成されている。上筒部302は、その側面の下部よりの部位を左伸縮管12の外端部に固定されることにより左伸縮管12に対して一体的に構成されている。
軸部材303は、上筒部302の上端部に軸回転可能に固定されており、上筒部302の上端部よりも上方に突出した部位に、当該軸部材303をネジ回転させるためのツマミ部304が設けられている。軸部材303は、上筒部302の筒内を下筒部301の上端部まで延びており、当該軸部材303の側面にはネジ切りが施された多条ネジ構造を有している。
下筒部301の上部には軸部材303の多条ネジに螺合する雌ネジ部305が設けられており、軸部材303の多条ネジ構造は雌ネジ部305に螺合している。このため、ツマミ部304を回転させて軸部材303を軸中心に回転させると、その回転方向に応じて下筒部301の雌ネジ部305に対して螺合した軸部材303が上方向又は下方向に漸動する。この軸部材303の上下動に連動して軸部材303に固定された上筒部302及び当該上筒部302に固定された左伸縮管12も上下にスライド移動することになる。このように、本実施形態にかかる構成によれば、左脚部13をネジ構造により上下に伸縮させることができる。
なお、下筒部301の下端には、滑り止め端具306が取り付けられている。この滑り止め端具306としては、一軸式の滑り止め端具を採用している。滑り止め端具306は、滑り止め面307と左脚部13の間の角度が梯子体2の傾き角度に応じて変化する部材である。むろん、上述した第1の実施形態にかかるキャップ状の端具や第2の実施形態にかかる端具50を採用しても構わない。
滑り止め端具306は、下面に滑り止め面307を有する平板上の滑り止め部材308、当該滑り止め部材308の上面に固定される軸支部材309、及び、当該軸支部材309に軸支される1つの回転軸310を有している。滑り止め部材308の滑り止め面307は、ゴムや樹脂などの摩擦係数の高い材料で形成してもよいし、滑り止めの凹凸構造を設けてもよい。
軸支部材309には、その上面に左右一対の軸支部311(左立壁及び右立壁(右立壁は不図示))が立設されており、左立壁の左軸孔312と右立壁の右軸孔の間に回転軸310が軸支されている。左軸孔312と右軸孔とは上下に長い長孔の形状であり、長孔の中で回転軸310が上下に移動可能になっている。
下筒部301の下端部は、左伸縮管12の伸縮方向と略垂直な方向において斜めに形成されている。すなわち、下筒部301の下端部は、梯子体2の表側の端部が裏側の端部に比べて長くしてある。このため、回転軸310が左軸孔312と右軸孔の長孔の上端に位置しているときは下筒部301の下端部の梯子体2の表側の端部のみが滑り止め部材308の上面に略当接し、回転軸310が左軸孔312と右軸孔の長孔の下端に位置しているときは下筒部301の下端部全体が滑り止め部材308の上面に略当接する。したがって、梯子体2が所定角度だけ前方に傾いた状態では、下筒部301の下端部全体が滑り止め部材308の上面に略当接して、梯子体2の下端が安定する。
(4)第4の実施形態:
図21は、本実施形態にかかる脚立1のアウトリガー部10を説明する図である。なお、本実施形態においては、上述した第1の実施形態又は第2の実施形態の共通又は対応する構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。また、左伸縮管12及びこれに取り付けられる部材と、右伸縮管14及びこれに取り付けられる部材とは左右対称の構成であるため、図21には左伸縮管12及びこれに取り付けられる部材を例示してある。
図21に示す左伸縮管12は、左脚部13が設けられておらず、左伸縮管12の端部に対して第2の実施形態にかかる端具50を、端具取付部材60と同様の端具取付部材160を介して直接に取付け固定してある。すなわち本実施形態にかかる梯子体2は、その基部の左右幅を左右の伸縮管により拡縮自在のアウトリガー部10を有しているものの、伸縮管の先端から下方へ延びる脚部の長さを調整する伸縮脚の構成を有さない構成である。
本実施形態にかかる端具取付部材160は、第2の実施形態にかかる端具取付部材60とほぼ同一の形状及び構成を有しているが、脚柱22の下端部に対してねじ止め固定するための固定部64の形状を、左伸縮管12の構造に合わせて変形してある。
すなわち、端具取付部材160の固定部164は、左伸縮管12の前面12cと後面12dに沿って立設される前立壁165及び後立壁166により構成され、これら前立壁165及び後立壁166を前面12c及び後面12dにそれぞれねじ止め等により固定することにより左伸縮管12に対して一体的に取り付け固定されるが、左伸縮管12の横断面形状の外側の右下隅と左下隅において左右に膨出する形状であって左伸縮管12の伸縮方向に沿う方向に延設された突条12e,12fを有するため、前立壁165及び後立壁166は、前面12cと後面12dに対面する側に突条12e,12fの膨出形状に沿う凹み167,168を有している。
これら凹み167,168を突条12e,12fに凹凸係合させつつ前立壁165及び後立壁166を前面12c及び後面12dに固定するため、右伸縮管14に対する端具取付部材160の固定強度を向上することができる。
(5)第5の実施形態:
図22は、本実施形態にかかる脚立1の固定管11及びこれに取り付けられる支柱取付部材40を説明する図である。なお、本実施形態においては、上述した第1の実施形態又は第2の実施形態の共通又は対応する構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図22に示す固定管11は、固定管11の端部に、第2の実施形態にかかる支柱取付部材40と同様の構造を有しつつその下部に端具取付部材60と同様の湾曲長孔561、湾曲長孔562、及び支点部563を設けた支柱取付部材540を取付け固定してある。
すなわち、本実施形態においては、左右幅を拡縮自在のアウトリガー部10の伸縮脚の下端に湾曲長孔561に挿通された第1の回転軸54と湾曲長孔562に挿通された第2の回転軸55との二軸で揺動する端具50を備えるとともに、固定管11の左右端部の下部にも第2の実施形態にかかる端具50と同様の端具を取り付け可能に構成されている。
これにより、左右に伸縮するアウトリガー部10が不要な場合は、左伸縮管12及び右伸縮管14を固定管11から取り外すとともに、固定管11の左右端部の下部に端具50と同様の端具を取り付けることにより、一対の支柱3の下端部において第2の実施形態と同様の二軸揺動型の回転軸構成を実現することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。また,本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず,特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。