JP6452179B1 - オルゴールのついた花瓶 - Google Patents

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Abstract

【課題】所定のデザインに形成されかつオルゴールの音量が確保された、オルゴールのついた花瓶を提供する。【解決手段】オルゴールのついた花瓶100であって、底部10と、底部上に配置される支持部20と、底部に対して間隔をあけた状態で支持部に支持されかつオルゴール40の音を共鳴させて増幅する共鳴部30と、共鳴部に固定されるオルゴールと、共鳴部及びオルゴールを囲う花瓶台部50と、花瓶台部上に配置され花を挿し込み可能な花瓶部60と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、オルゴールのついた花瓶に関する。
造花を収容した容器において音を奏でるオルゴールを設けた造花装置の構成が知られている(例えば、特許文献1)。この造花装置によれば、ユーザは目で造花を鑑賞しながら同時に耳でオルゴールの音を鑑賞することができる。したがって、上記構成の造花装置は、ユーザの聴覚と視覚に対して同時に訴えることができるものとなっている。
実登3006678号公報
ところで、上記構成の造花装置はユーザにオルゴールの音とともに造花を鑑賞させるものであるが、この造花装置において、造花を収容する容器に代えて、切り花を生けることが可能な花瓶を備える構成とすることで、ユーザは花瓶に生けた生花を楽しむことができる。すなわち、オルゴール付き花瓶の構成によれば、ユーザはオルゴールの音を感じながら同時に花瓶に生けたられた状態の生花を楽しむことができる。
一般的に、オルゴールそのものが発する音量は比較的小さい。このため、オルゴール付き花瓶において用いられるオルゴールとしては、その音量を確保するため、共鳴箱などの音を増幅するための共鳴器に取り付けた状態のものを用いる必要がある。この際、共鳴器としては、オルゴール音をより大きく増幅させるものが好ましい。また、オルゴール付き花瓶において、オルゴールや共鳴器といった発音部は、花瓶の機能性や外形デザインに影響を及ぼさないように花瓶の内部に配置することが好ましい。
しかしながら、花瓶の内部にオルゴールを配置する場合、花瓶のデザインによっては、収容可能な発音部の形状や大きさに制約が生じてしまう。その結果、花瓶を所定デザインに形成すると、オルゴール付き花瓶から発するオルゴール音が小さくなってしまい、鑑賞に適する音量を確保できない場合がある。
本発明では、以上のような事情に鑑み、所定のデザインに形成されかつオルゴールの音量が確保された、オルゴールのついた花瓶を提供することを目的とする。
本発明では、オルゴールのついた花瓶であって、底部と、底部上に配置される支持部と、底部に対して間隔をあけた状態で支持部に支持されかつオルゴールの音を共鳴させて増幅する共鳴部と、共鳴部に固定されるオルゴールと、共鳴部及びオルゴールを囲う花瓶台部と、花瓶台部上に配置され花を挿し込み可能な花瓶部と、を備え、花瓶台部は、共鳴部及びオルゴールを囲むように配置された王冠又はティアラの形状を有し、共鳴部は、花瓶台部の王冠又はティアラの形状の部分の内側に入り込む外径を有する円板状にそれぞれ形成され上下方向に対向して配置される2枚の板部と、2枚の板部に挟まれた共鳴空間の外周部分の一部を閉じるように配置される側壁部と、共鳴空間の外周部分のうち側壁部を除く部分に形成された開口部と、を有し、側壁部は、共鳴空間の外周部分のうち半周程度を閉じるように板部の外周部分に沿って形成され、オルゴールは、共鳴部の上側の板部の上面において開口部側に寄せて配置され、支持部は、下側の板部の下面のうち中心部を囲む3箇所を支持し、共鳴部を3点で支持する。
また、花瓶部は、花瓶台部とは別体で形成され、花瓶部の底部分は、中央部に向けて下方に傾斜するテーパ面を有し、花瓶台部は、花瓶部を保持可能な保持部を有し、保持部は、花瓶台部の上部に形成されるとともに、テーパ面が嵌込まれるテーパ状のテーパ部を有してもよい。また、共鳴部は、共鳴空間の開口部側に配置されかつ2枚の板部を所定間隔あけた状態で接合する補強部を有してもよい。
本発明によれば、花瓶は王冠又はティアラの形状を有するので、ユーザは、オルゴール音及び花瓶部に挿し込まれた花を鑑賞できるとともに、王冠又はティアラのデザインを楽しむことができる。また、共鳴空間を規定する2枚の板部は花瓶台部の王冠又はティアラの形状の部分の内側に入り込む外径を有する円板状であるので、板部の形状が矩形状や多角形状の場合に比べて、共鳴空間の体積を確保しつつ花瓶の内部に容易に収容することができる。また、共鳴部の側壁部は共鳴空間の外周部分を閉じるように板部の外周部分に沿って形成されるので、開口部の内部空間をより広く形成できる。また、側壁部は共鳴空間の外周部分の半周程度を閉じるように形成され、かつ、オルゴールは開口部側に寄せて配置されるので、オルゴールの音を大きく増幅させることができる。また、共鳴部は底部に対して間隔をあけた状態で支持されるので、より一層オルゴールの音を大きく増幅させることができる。また、支持部は共鳴部を3点支持するので、共鳴部を底部に対して間隔をあけた状態でかつ安定的に支持することができる。
第1実施形態に係るオルゴールのついた花瓶の一例を示す分解図である。 図1のオルゴールのついた花瓶を示す部分断面図である。 図1及び図2のオルゴールのついた花瓶の支持部及び共鳴部を示す底面図である。 図1及び図2のオルゴールのついた花瓶の共鳴部を示し、(a)は分解斜視図、(b)は平面図、(c)は背面図である。 図1及び図2のオルゴールのついた花瓶の共鳴部及びオルゴールを示し、(a)は平面図、(b)は斜視図である。 図1及び図2のオルゴールのついた花瓶を示し、その一部を透過して見た平面図である。 第2実施形態に係るオルゴールのついた花瓶の要部の一例を示し、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は(a)の部分拡大図である。 第3実施形態に係るオルゴールのついた花瓶の要部の一例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線の沿った断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、図面においては、実施形態を説明するため、模式的に記載するとともに、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系は、オルゴールのついた花瓶の前後方向をX方向と表記し、垂直方向をY方向と表記する。また、X方向及びY方向のいずれの方向にも直交する方向(左右方向)をZ方向と表記する。X方向、Y方向、及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。
<第1実施形態>
第1実施形態に係るオルゴールのついた花瓶100について、図1〜図6を参照しながら詳細に説明する。図1は、第1実施形態に係るオルゴールのついた花瓶100の一例を示す分解図である。図1に示すように、オルゴールのついた花瓶(以下、単に「花瓶」と称する場合がある。)100は、−Y側から+Y側にかけて、底部10と、支持部20と、共鳴部30と、オルゴール40と、花瓶台部50と、花瓶部60とを有している。図2は、図1のオルゴールのついた花瓶100を示す部分断面図である。図2において、底部10、共鳴部30、花瓶台部50、及び花瓶部60については、YZ平面と平行な断面を表している。また、図2において、支持部20及びオルゴール40については、−X方向に花瓶台部50を透過して見た際の側面を表している。図1及び図2において、オルゴールのついた花瓶100の+X側は正面側であり、−X側は背面側である。
図1及び図2に示すように、底部10は、オルゴールのついた花瓶100において−Y側端部に配置されている。底部10は、後述する花瓶台部50の開口51を−Y側から閉じるように配置され、花瓶台部50に取り付けられている。底部10は、XZ平面と平行な円板状の底板部11と、底板部11の上面(+Y側の面)11aから+Y方向にリング状に突出する突出部12を有している。底板部11の上面11aにおいて突出部12に囲まれた円形状の領域(底部10上面の凹部底面)13は、XZ平面と平行な平面状となっており、支持部20が配置されている。突出部12の外周面12aには、不図示の雄ネジが形成されている。この雄ネジは、後述する花瓶台部50の雌ネジと螺合する。底部10は、例えば、金属製であり、鋳造等により一体形成されている。
なお、底部10は、上記した構成に限定されない。例えば、底部10は、突出部12を有さず底板部11のみから構成されてもよいし、プラスチックなどの樹脂製や木製などであってもよい。また、底部10は、例えばボルト及びナット等の接続部材を介して花瓶台部50に取り付けられてもよい。また、底板部11の上面11aにおいて支持部20が配置される領域13には、支持部20を所定位置に位置決めするため、支持部20を入り込ませることで支持部20の相対的な移動を規制する凹状の部分や、支持部20を当接させることで支持部20の相対的な移動を規制する凸状の部分が設けられてもよい。
支持部20は、底部10上に配置され、底部10に対して間隔をあけた状態で共鳴部30を支持する。支持部20は、底板部11の上面11aの突出部12に囲まれた領域13に配置されている。支持部20の下面(−Y側の面)21は、接合材(不図示)を介して底部10に固着されている。支持部20の上面(+Y側の面)22は、接合材(不図示)を介して共鳴部30に固着されている。この接合材としては、例えば、木工用ボンドが用いられる。木工用ボンドとしては、例えば、ポリウレタン系や、イソシアネート系、酢酸ビニル系、イソブテン・無水マイレン酸共重合系、にかわなどを主成分とするものが用いられる。なお、支持部20は、上記したように接合材(不図示)を介して底部10及び共鳴部30に固着されることに限定されず、例えば、支持部20は、ネジ(不図示)を介して底部10及び共鳴部30と接合されてもよい。
図3は、図1及び図2のオルゴールのついた花瓶100の支持部20及び共鳴部30を示す底面図である。図3に示すように、支持部20は、3つの支持部材23,23,23から構成されている。支持部材23は、木材からなる四角柱形状の部材である。なお、支持部20は、上記構成に限定されず、例えば、支持部20は、樹脂製や金属製であってもよいし、円柱形状や錐台形状などであってもよい。
3つの支持部材23,23,23のそれぞれの形状及び寸法は、すべて同一に設定されている。3つの支持部材23等は、XZ方向に等間隔で配置されている。また、3つの支持部材23等のそれぞれは、Y方向に見た際の共鳴部30の中心部30Aを囲むように中心部30Aを基準としてその周りに120°ずつずれた位置に配置されている。すなわち、支持部20は、後述する下側の板部32の下面32bのうち中心部32oを囲む3箇所を支持し、したがって共鳴部30を3点で支持している。
なお、支持部20は、上記した構成に限定されず、共鳴部30を3点で支持する構成であれば任意である。例えば、3つの支持部材23等は、形状又は寸法が互いに異なって形成されてもよいし、それぞれ異なる間隔で配置されてもよい。また、支持部20は、3つの支持部材23等を一体化した構成であってもよい。また、支持部20は、底部10に固着されずに底部10上に載置された状態で配置されてもよい。
共鳴部30は、オルゴール40の音を共鳴させて増幅するために設けられる。図2に示すように、共鳴部30は、底部10に対して間隔d1をあけた状態で支持部20に支持される。共鳴部30は、底部10及び花瓶台部50に離間した状態で配置されるが、底部10あるいは花瓶台部50と当接した状態で配置されてもよい。
図4は、図1及び図2のオルゴールのついた花瓶100の共鳴部30を示し、(a)は分解斜視図、(b)は平面図、(c)は背面図である。図4(a)〜(c)に示すように、共鳴部30は、2枚の板部31,32と、側壁部33と、開口部34とを有している。
2枚の板部31,32は、それぞれ同一の形状及び大きさに形成されている。板部31,32は、それぞれY方向を厚さ方向とするXZ方向に平行な円板状に形成されている。板部31,32は、後述する花瓶台部50の側部52の内側に入り込む外径Dを有している。2枚の板部31,32は、上下方向(Y方向)に対向して、XZ方向に平行に配置されている。2枚の板部31,32は、側壁部33を挟んで配置されている。上側の板部31の下面31bは、側壁部33の上面33aと接合されており、下側の板部32の上面32aは、側壁部33の下面33bと接合されている。板部31,32と側壁部33とは、例えば木工用ボンドなどの接合材(不図示)を介して接合されている。板部31,32は、MDF合板(中密度繊維板)から形成される。このように板部31,32がMDF合板から形成されることで、オルゴール40の音を大きく増幅することができる。なお、2枚の板部31,32は、上記した構成に限定されず、例えば、それぞれ異なる大きさ、厚さで形成されてもよいし、MDF合板から形成されることに限定されず、例えば木板製や樹脂製などであってもよい。
側壁部33は、2枚の板部31,32に挟まれた共鳴空間Sの外周部分の一部を閉じるように配置される。側壁部33は、共鳴空間Sの外周部分のうち半周程度を閉じるように板部31,32の外周部分31c,32cに沿って形成されている。側壁部33は、Y方向から見て、板部31,32の中心部31o,32oを基準とする半円の円弧状に形成されている。すなわち、Y方向から見て、板部31,32の中心部31o,32oまわりにおける側壁部33の形成領域の範囲の角度をθとした際に、角度θは、例えば160°〜200°となっている。ただし、角度θは、好ましくは170°〜190°であり、より好ましくは175°〜185°であり、さらに好ましくは180°である。なお、図4では、角度θが180°の場合を示している。側壁部33は、例えば木製である。側壁部33は、木材を半円の円弧状に加工して形成されてもよいし、複数の木片を半円状に隙間なく並べて形成されてもよい。なお、側壁部33は、共鳴空間Sの外周部分のうち半周程度を閉じるように配置されることに限定されず、例えば、共鳴空間Sの外周部分のうち全周あるいはほぼ全周を閉じるように配置されてもよい。この場合、角度θは、360°あるいは360°に近い角度に設定される。
開口部34は、共鳴空間Sの外周部分のうち側壁部33を除く部分に形成されており、Y方向から見て共鳴空間Sの外周部分のうち側壁部33とは反対側(+X側)の約半周の部分に形成されている。
図5は、図1及び図2のオルゴールのついた花瓶100の共鳴部30及びオルゴール40を示し、(a)は平面図、(b)は斜視図である。図5に示すように、オルゴール40は、共鳴部30の上側の板部31の上面(+Y側の面)31aに配置され、共鳴部30の上面31aにおいて開口部34側(−X側)に寄せて配置されている。すなわち、オルゴール40は、共鳴部30の上側の板部31の自由端側に配置されている。また、オルゴール40は、Y方向から見て共鳴部30の側壁部33と重ならないように配置されるとともに、共鳴部30の左右方向(Z方向)の幅の中央部分に配置されている。オルゴール40は、例えば不図示のネジを介して共鳴部30に固定されている。
オルゴール40は、例えば機械式オルゴールである。オルゴール40は、フレーム部41と、シリンダ部42と、振動板43と、ゼンマイ部44とを有している。フレーム部41は、共鳴部30の上面(板部31の上面)31aに固定されている。シリンダ部42、振動板43、及びゼンマイ部44は、フレーム部41上に配置されている。シリンダ部42は、X方向を高さ方向とする円柱形状である。シリンダ部42は、X方向に平行な軸回りに回転するように支持されている。シリンダ部42の外周面には、複数の針部Nが植立されている。複数の針部Nは、振動板43を弾くことで楽曲を奏でる位置に配置されている。振動板43は、例えばXZ平面と略平行に配置された金属板である。振動板43の先端部(−Z側の端部)は、櫛歯状に形成されている。振動板43としては、例えば、18弁あるいは23弁のものが用いられる。ゼンマイ部44は、渦状に巻かれたゼンマイを備え、回転エネルギーを蓄積可能となっている。ゼンマイ部44の上部には、ハンドル45が設けられている。ゼンマイ部44は、オルゴール40の−X側に配置されている。
オルゴール40は、ゼンマイがその中心軸(不図示)回りに巻きつくようにハンドル45を回転させることで、ゼンマイ部44に回転エネルギーが蓄積されるように構成されている。オルゴール40は、上記したフレーム部41等の部材に加えて、図示しないが、ゼンマイ部44とシリンダ部42との間に介在された調速機やギアなどを備えている。
なお、オルゴール40は、上記した構成に限定されない。例えば、オルゴール40は、ゼンマイを動力源とする構成に限定されず、例えば電動モータを搭載した構成であってもよく、電動モータを駆動してシリンダ部42を回転させるものであってもよい。この場合、電動モータの制御を、花瓶100の外側に設置したスイッチや花瓶100から離れた位置からワイヤレススイッチにより行われるようにしてもよい。
オルゴール40は、後述する花瓶台部50の隙間Gや間隔gをあけた部分を介して外部から視認可能となっている。このため、オルゴール40は、布で覆われた状態で配置されてもよい。この場合、布はハンドル45を露出させた状態でオルゴール40を覆うようにしてもよい。オルゴール40を布で覆うことで、オルゴール40を保護することができるとともに、オルゴール40が外部から視認されることによる花瓶100の美的外観に及ぼす影響を低減できる。
図1及び図2に戻り、花瓶台部50は、底部10の上側(+Y側)に配置され、共鳴部30及びオルゴール40を囲んで配置されている。花瓶台部50は、側部52と、アーチ部53と、保持部54とを有している。図6は、図1及び図2のオルゴールのついた花瓶100を示す平面図である。なお、図6において、オルゴールのついた花瓶100は、保持部54の+Y側の部分及び花瓶部60を透過して表している。また、図6(b)は、図6(a)のオルゴール40を透過して表した図である。図1、図2、及び図6に示すように、花瓶部60は、左右方向(Z方向)の中心部を通りかつXY平面と平行な面に対して対称的に形成されている。花瓶台部50は、側部52及びアーチ部53の構成により、共鳴部30及びオルゴール40を囲むように配置された王冠を模した形状を呈している。花瓶台部50は、例えば、金属製であり、鋳造や溶接などにより一体形成されている。
側部52は、共鳴部30及びオルゴール40を円状に囲んで形成され、王冠の側部に相当するデザイン形状を有している。側部52の外周部分は、王冠において適用される装飾模様の形状となっている。
アーチ部53は、側部52の上端(+Y側端部)52aから保持部54の下部54bにかけてアーチ状に形成されている。アーチ部53は、その長さ方向の中央部分が+Y側に凸状となった曲線状に形成されている。アーチ部53は、保持部54の下部54bに接続され、保持部54を支持している。
図6に示すように、アーチ部53は、Y方向に見て、花瓶台部50の中央部分から放射状に6本配置されている。これら6本のアーチ53aのうち最も−X側に位置する2本のアーチ53A,53Aの互いの間隔g2は、他のアーチ53aどうしの間隔ならびに最も−X側のアーチ53Aと他のアーチ53aとの間隔g1よりも広く設定されている。したがって、花瓶台部50の背面側(−X側)であって、左右方向(Z方向)の幅の中央部分は、周囲に比べて広く開放された状態となっている。このように、花瓶台部50の背面側には開放部55が形成されている。
ここで、上述したように、上部にハンドル45を有するゼンマイ部44はオルゴール40の−X側に配置され、かつ、オルゴール40は共鳴部30の左右方向(Z方向)の幅の中央部分に−X側に寄せて配置されている。このため、オルゴール40のハンドル45は、花瓶台部50において広く開放された部分に配置される。これにより、ハンドル45がアーチ部と干渉することを回避するとともに、ユーザが上記開放された部分に容易に手を入れ、ハンドル45を確実に回すことができるようにしている。
図1及び図6に示すように、側部52はその周方向において隙間Gを有しており、かつ、アーチ部53は互いに間隔gをあけて配置されている。これにより、花瓶台部50の内側は、外側と通気可能な状態となっている。このため、オルゴール40の音は、花瓶台部50の内側でこもることなく、側部52の外側へ伝わるようになっている。
側部52の下端部(−Y側端部)には、開口51が形成されている。開口51は、円形状となっている。上述したように、開口51は底部10によって−Y側から閉じられている。
図1及びに図2に示すように、保持部54は、花瓶台部50の上部(+Y側の部分)の中央部分に形成されている。保持部54は、花瓶部60が嵌め込まれた状態で花瓶部60を保持可能に形成されている。保持部54は、上端部(+Y側端部)に開口54aを有する有底円筒状に形成されている。保持部54は、上側(+Y側)から下側(−Y側)にかけて、XZ平面と平行な断面の内径dが徐々に小さくなるテーパ形状のテーパ部54Aを有している。テーパ部54Aは、後述する花瓶部60のテーパ面62が嵌込み可能に形成されている。したがって、テーパ部54Aは、花瓶部60のテーパ面62の形状及び大きさに対応して形成されており、テーパ部54Aの表面の曲率は、テーパ面62の表面の曲率とほぼ同一に設定されている。なお、テーパ部54A及びテーパ面62は、同一のテーパ角度で形成されてもよい。
花瓶部60は、オルゴールのついた花瓶100において+Y側端部に配置されている。花瓶部60は、花瓶台部50上に配置されている。花瓶部60は、花瓶台部50とは別体であり、花瓶台部50に対して分離可能となっている。花瓶部60は、中空状に形成され、上端(+Y側端部)に開口61を有している。花瓶部60は、一般的な花瓶のように、開口61を介して花を挿し込み可能に形成されている。また、花瓶部60は、生花を生けることが可能に形成され、内部に水あるいは保水材を溜めることが可能となっている。花瓶部60に挿し込まれる花は、生花であるが、造花であってもよい。花瓶部60は、ガラス製である。なお、花瓶部60はガラス製に限定されず、例えばプラスチック等の樹脂製や金属製であってもよい。
花瓶部60の底部分63は、その中央部に向けて下方(−Y側)に傾斜するテーパ面62を有している。テーパ面62は、花瓶台部50のテーパ部54Aに嵌め込まれるように形成されている。テーパ面62は、曲線状に傾斜しているが、直線状に傾斜してもよい。花瓶部60は、テーパ面62が花瓶台部50のテーパ部54Aに嵌め込まれた状態で保持部54に保持される。
花瓶部60は、花瓶台部50に対して+Y方向に離間させることで、保持部54からの取り外しが可能となっている。また、保持部54から取り外された花瓶部60は、底部分63を−Y方向に向けた状態で、開口54aを介して保持部54に挿入することで、テーパ部54Aにテーパ面62が嵌め込まれ、再び保持部54に取り付けることが可能となっている。
本実施形態に係るオルゴールのついた花瓶100の寸法は、それぞれ、例えば以下のとおりに設定されている。なお、以下の花瓶100の各寸法は、一例であって、これに限定されるものではなく、例えば、配置スペースやデザインの変更などに応じて変更可能である。
底板部11の厚さ(Y方向の幅)は5mm、支持部20の底面(XZ平面と平行な面)の縦及び横の長さはそれぞれ10mm、支持部20の高さ(Y方向の長さ)は5mm、共鳴部30の板部31,32の外径Dはそれぞれ100mm、板部31,32の間隔(Y方向の距離)D1は10mmに設定されている。また、板部31,32の厚さ(Y方向の幅)D2は、例えばオルゴール40の奏でる曲の音の周波数に応じて設定され、2mm〜4mm、あるいは6mmに設定されているが、好ましくは2mmである。板部31,32の厚さD2が2mmに設定される場合、オルゴール40の音をより一層大きく増幅させることができることが多い。
次に、本実施形態に係るオルゴールのついた花瓶100の動作の一例及び使用例について説明する。
ユーザは、花瓶100を置物として使用する際には、例えば玄関やリビングなどにおいて花瓶100を見やすい場所に配置する。この際、花瓶100の背面側(−X側)を壁側に向けた状態とし、花瓶100の正面側(+X側)が見えるように配置する。
また、ユーザは、オルゴール音を楽しむ際には、まず、花瓶100の背面側の開放部55を介してハンドル45を回す。すると、ゼンマイ部44には回転エネルギーが蓄積される。ゼンマイ部44に蓄積された回転エネルギーは、不図示の調速機及びギアを介してシリンダ部42に伝達され、シリンダ部42を回転駆動させる。シリンダ部42が回転すると、楽曲を奏でるように、針部Nは振動板43を順次弾いていき発音する。
また、針部Nを弾くことで生じた振動板43の振動エネルギーは、オルゴール40のフレーム部を介して共鳴部30に伝播する。そして、共鳴空間Sで共鳴により増幅されたオルゴール音は開口部34を介して外部へ伝えられる。
また、ユーザは、花瓶部60を使用する際には、花瓶部60内に水を張って、切り花を挿し込む。花瓶部60内に水を張る際、水を交換する際、花瓶部60内部を洗浄する際には、花瓶部60を花瓶台部50から取外した状態で行う。なお、花瓶部60に水に代えて保水材を入れて使用する場合についても同様である。
このように、第1実施形態によれば、花瓶100は王冠の形状を有するので、ユーザは、オルゴール40の音及び花瓶部60に挿し込まれた花を楽しむことができるとともに、王冠状のデザインを楽しむことができる。また、共鳴空間Sを規定する2枚の板部31,32は花瓶台部50の王冠形状部分の内側に入り込む外径Dを有する円板状であるので、板部31等の形状が矩形状や多角形状の場合に比べて、共鳴空間Sの体積を確保しつつ花瓶100の内部に容易に収容することができる。また、共鳴部30の側壁部33は共鳴空間Sの外周部分を閉じるように板部31等の外周部分31c等に沿って形成されるので、開口部34の内部の空間をより広く形成できる。また、側壁部33は共鳴空間Sの外周部分の半周程度を閉じるように形成されるとともに、オルゴール40は開口部34側に寄せて配置されるので、オルゴール40の音を大きく増幅させることができる。また、共鳴部30は底部10に対して間隔d1をあけた状態で支持されるので、より一層オルゴール40の音を大きく増幅させることができる。また、共鳴部30は、支持部20により3点支持されるので、共鳴部30を底部10に対して間隔d1をあけた状態で安定的に支持することができる。
また、花瓶部60は花瓶台部50から容易に取り外すことができるので、ユーザは、花瓶部60内の水(保水材)を交換する際や花瓶部60を洗浄する際などに、花瓶部60を花瓶台部50から取り外して容易に作業することができる。また、花瓶部60を保持部54に嵌め込むだけで、花瓶部60を花瓶台部50に容易に取り付けることができる。花瓶部60の下部及び花瓶台部50の保持部54は、テーパ状となっているので、ユーザは、花瓶部60を保持部54に容易に挿し込むことができる。
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態について、図7を用いて説明する。図7は、第2実施形態に係るオルゴールのついた花瓶200の要部の一例を示し、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は(a)の部分拡大図である。なお、以下の説明において第1実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。第2実施形態に係るオルゴールのついた花瓶200は、補強部70を備える点で、上記した第1実施形態とは異なる。
図7に示すように、オルゴールのついた花瓶200は、共鳴部230を有している。共鳴部230は、補強部70を有している。補強部70は、Y方向に延びる棒状の柱部71と、+Y側及び−Y側の両端部に形成されたフランジ部72,73とを有している。柱部71は、例えば、Y方向を高さ方向とする円柱形状に形成されている。フランジ部72,73は、柱部71の外周面71aから外側に向けてXZ平面方向に突出するようにXZ平面と平行な円板状に形成されている。
補強部70は、共鳴部230の2枚の板部31,32の間に介挿され、2枚の板部31,32を所定間隔D1あけた状態で保持している。補強部70は、共鳴空間Sの開口部34側(−X側)であって共鳴空間Sの左右方向(Z方向)の幅の中央部分の位置に配置されている。補強部70は、例えば木製であり、例えば木工用ボンド等の接合材を介して板部31,32と接合されている。補強部70の+Y側のフランジ部72の上面72aは、上側の板部31の下面31bと接合されている。また、補強部70の−Y側のフランジ部73の下面73bは、下側の板部32の上面32aと接合されている。補強部70は、柱部71の長さ方向(Y方向)の端部にそれぞれフランジ部72,73を有することで、板部31,32との接合面の面積を確保している。
なお、補強部70は、上記した構成に限定されない。例えば、補強部70は、フランジ部72,73を備えない柱部71のみの構成であってもよいし、共鳴部230において複数設けられてもよい。共鳴部230において複数の補強部70が設けられる場合、これら複数の補強部70は開口部34の周方向に沿ってそれぞれ等間隔で並ぶように配置されてもよい。
このように、第2実施形態によれば、共鳴部230は補強部70を備える構成であることにより、共鳴部230の構造上の強度をより一層確保することができる。したがって、第2実施形態によれば、より一層信頼性の高い花瓶200を提供することができる。
続いて、第3実施形態について、図8を用いて説明する。図8は、第3実施形態に係るオルゴールのついた花瓶300の要部の一例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線の沿った断面図である。なお、図8(a)では、図6と同様に、保持部54の+Y側の部分及び花瓶部60を透過して表している。また、図8(b)では、花瓶部60を省略して表している。以下の説明において第1実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。図8に示すように、オルゴールのついた花瓶300は、ストッパー部81及び共鳴部330を有している。共鳴部330は、切り欠き部31dを有している。
ストッパー部81は、例えば略四角柱形状に形成されており、花瓶台部50の内側に配置されている。ストッパー部81の−X側の端部は、側部52の内側面と接合されている。これにより、ストッパー部81は、花瓶台部50と一体的となっている。また、ストッパー部81の+X側の端部は、切り欠き部31dに嵌め込まれている。なお、ストッパー部81の−X側の端部は、側部52の内側面と接合されることに代えて、側部52の内側面に形成された溝に嵌め込まれるようにしてもよい。また、ストッパー部81は、花瓶台部50と一体で形成されてもよい。
切り欠き部31dは、上側の板部331の外周部331cの一部を切り欠いた形状となっており、ストッパー部81に対応する位置に形成されている。切り欠き部31dは、ストッパー部81を嵌め込み可能に形成され、例えば四角柱形状に対応する形状となっている。切り欠き部31dは、上側の板部331の外周部331cのうち、オルゴール40のハンドル45に近接する−X側端部近傍に形成されている。なお、切り欠き部31dは、上側の板部331に代えてあるいは上側の板部331とともに、下側の板部32の外周部32cに形成されてもよい。
ストッパー部81が切り欠き部31dに嵌め込まれることで、共鳴部330が花瓶台部50に対して相対的に回転することが防止される。なお、ストッパー部81及び切り欠き部31dは、花瓶300の−X側の部分に1つ設けられているが、これに限定されず、例えば、花瓶300の+X側,+Z側,又は−Z側の部分に設けられてもよいし、複数設けられてもよい。また、ストッパー部81は、切り欠き部31dに嵌め込まれる構成であるが、これに代えて、共鳴部330に接合する構成であってもよく、この場合、切り欠き部31dは設けられなくてもよい。
以上説明したように、第3実施形態によれば、ストッパー部81は切り欠き部31dに嵌め込まれており、この状態で、花瓶台部50と共鳴部30とは互いに係合している。このため、ユーザがオルゴール40のハンドル45を回転させた際に、共鳴部330に対して相対的な回転力が作用する場合であっても、共鳴部330と他との接合状態を維持して、花瓶300から共鳴部330及びオルゴール40が外れるのを防ぐことができる。したがって、第3実施形態によれば、より一層信頼性の高い花瓶300を提供することができる。
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上記した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、上記の実施形態で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記の実施形態の構成を組み合わせてもよい。例えば、第1実施形態に係る花瓶100の構成において、補強部70及びストッパー部81の双方を含む構成としてもよい。
また、上記した実施形態では、オルゴール40は共鳴部30の上面31aにおいて開口部34側(−X側)に寄せて配置されるが、この際、オルゴール40の一部が共鳴部30の上面31aの−X側の領域に入るように配置されてもよいし、オルゴール40の全体が共鳴部30の上面31aの−X側の領域に入るように配置されてもよいし、オルゴール40を共鳴部30の上面31aの−X側端部上まで寄せて配置してもよい。また、オルゴール40は、共鳴部30の左右方向(Z方向)の幅の中央部分から+Z方向又は−Z方向にずれた位置に配置されてもよい。
また、上記した実施形態では、花瓶台部50は、共鳴部30及びオルゴール40を囲むように配置された王冠の形状を有する側部52及びアーチ部53を有しているが、王冠の形状に代えてティアラの形状を有するものであってもよい。この場合、側部52をティアラの形状に形成してもよい。なお、ティアラとは、例えば、宝石をちりばめた冠形の女性用髪飾りをいう。花瓶台部50は、花瓶台部50が王冠又はティアラの形状を有し形成されることにより、例えば、冠形状を有する形状に形成される。また、花瓶台部50は、側部52及びアーチ部53のいずれか一方を含まずに構成されてもよい。花瓶台部50がアーチ部53を含まずに構成される場合、花瓶台部50の保持部54及び花瓶部60を支持するための部材が別途設けられてもよい。
また、上記した実施形態では、花瓶部60は、花瓶台部50とは別体で形成されていたが、花瓶台部50と一体で形成されてもよい。また、上記した実施形態では、花瓶部60と花瓶台部50とは、花瓶台部50に対して花瓶部60が嵌め込まれた状態で一体化する構成であったが、これに代えて、例えば、ボルト及びナット等の接続部材を介して一体化する構成であってもよいし、花瓶台部50の上部に雌ねじ、花瓶部60の下部に雄ねじをそれぞれ設け、花瓶部60を花瓶台部50に対して回転させて雄ねじを雌ねじに螺合させることで一体化する構成であってもよい。また、花瓶部60と花瓶台部50との接続面の形状についても、テーパ状を採用するか否かは任意である。
10 底部
20 支持部
30,230,330 共鳴部
31,331,32 板部
31a 上側の板部の上面
32b 下側の板部の下面
31c,331c,32c 板部の外周部
33 側壁部
34 開口部
40 オルゴール
50 花瓶台部
54 保持部
54A テーパ部
60 花瓶部
62 テーパ面
63 底部分
70 補強部
100,200,300 オルゴールのついた花瓶
S 共鳴空間

Claims (3)

  1. オルゴールのついた花瓶であって、
    底部と、前記底部上に配置される支持部と、前記底部に対して間隔をあけた状態で支持部に支持されかつ前記オルゴールの音を共鳴させて増幅する共鳴部と、前記共鳴部に固定される前記オルゴールと、前記共鳴部及び前記オルゴールを囲う花瓶台部と、前記花瓶台部上に配置され花を挿し込み可能な花瓶部と、を備え、
    前記花瓶台部は、前記共鳴部及び前記オルゴールを囲むように配置された王冠又はティアラの形状を有し、
    前記共鳴部は、前記花瓶台部の前記王冠又はティアラの形状の部分の内側に入り込む外径を有する円板状にそれぞれ形成され上下方向に対向して配置される2枚の板部と、前記2枚の板部に挟まれた共鳴空間の外周部分の一部を閉じるように配置される側壁部と、前記共鳴空間の外周部分のうち前記側壁部を除く部分に形成された開口部と、を有し、
    前記側壁部は、前記共鳴空間の外周部分のうち半周程度を閉じるように前記板部の外周部分に沿って形成され、
    前記オルゴールは、前記共鳴部の上側の板部の上面において前記開口部側に寄せて配置され、
    前記支持部は、下側の板部の下面のうち中心部を囲む3箇所を支持し、前記共鳴部を3点で支持する、
    ことを特徴とする、オルゴールのついた花瓶。
  2. 前記花瓶部は、前記花瓶台部とは別体で形成され、
    前記花瓶部の底部分は、その中央部に向けて下方に傾斜するテーパ面を有し、
    前記花瓶台部は、前記花瓶部を保持可能な保持部を有し、
    前記保持部は、前記花瓶台部の上部に形成されるとともに、前記テーパ面が嵌込まれるテーパ状のテーパ部を有することを特徴とする請求項1記載のオルゴールのついた花瓶。
  3. 前記共鳴部は、前記共鳴空間の前記開口部側に配置されかつ前記2枚の板部を所定間隔あけた状態で接合する補強部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のオルゴールのついた花瓶。
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