JP6451278B2 - 生産・物流スケジュール作成方法、装置及びプログラム - Google Patents

生産・物流スケジュール作成方法、装置及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、離散事象プロセスである生産・物流プロセスにおける生産・物流スケジュー
ルを作成する生産・物流スケジュール作成方法、装置及びプログラムに関する。
生産・物流プロセスにおける生産・物流スケジュールを作成する手法として、例えば特
許文献1の「生産計画評価方法及びシステム」に開示されているように、コンピュータ上
に構築した工場を模したシミュレーション上で、実機器と同じインタフェースから取得し
た情報を使用して実機器の稼動を予測し、稼動予測に基づいて、実機器より速い速度で仮
想的な生産を行い、仮想的な生産の過程及び結果を用いて、精度の高い指標を提示するこ
とによって、生産計画の評価及び選択を可能にする手法がある。
また、例えば特許文献2の「物流計画作成装置」に開示されているように、線形計画法
、数理計画法等の最適性が保証される手法に基づいてスケジュールを作成する手法がある
特開2002−366219号公報 特開2000−172745号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているように、シミュレータを用いて生産・物流
スケジュールを作成する手法では、満足できる結果が得られるまでには、(1)条件を種
々に変えながらシミュレーションを行い、その結果の評価を何回も繰返し行う必要があっ
た。したがって、(2)大規模工場では生産・物流スケジュールを作成するのに多くの時
間がかかってしまう問題点があった。
また、特許文献2に開示されているように、線形計画法、数理計画法等のように、最適
性が保証される手法に基づいてスケジュールを作成する手法では、生産・物流スケジュー
ルを作成する規模が大きくなると、実用的な時間内に解くことが困難になってしまう問題
点があった。
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、実用的な時間内に、最適性が確
保された精度の高い生産・物流スケジュールを作成できるようにすることを目的とする。
本発明の生産・物流スケジュール作成方法は、離散事象プロセスである生産・物流プロセスにおける生産・物流スケジュールを作成する生産・物流スケジュール作成方法であって、前記生産・物流プロセスの初期状態と目標状態との組み合わせについて、所定の期間Nにおいて、前記生産・物流プロセスを表現するモデルについて拘束条件を有する状態方程式、及び最終状態と目標状態との関係を含む評価関数で表される最適制御問題を解き、初期状態と、最終状態と、該初期状態から該最終状態までの状態遷移を実現する最適な制御入力との組み合わせである生産・物流方策の集合であるデータベースを作成するステップと、与えられた初期状態及び目標状態に基づいて、前記データベースから生産・物流方策を探索して、生産・物流スケジュールを作成するステップとを有することを特徴とする。
本発明の生産・物流スケジュール作成方法の他の特徴とするところは前記生産・物流スケジュールを作成するステップでは、
前記えられた初期状態を初期状態とする生産・物流方策を前記データベースから探索し、前記探索した生産・物流方策の最終状態が前記えられた目標状態と一致すれば、前記探索した生産・物流方策を生産・物流スケジュールとし、
前記探索した生産・物流方策の最終状態が前記えられた目標状態と一致しない場合、前記探索した生産・物流方策の最終状態を新しい初期状態とし、そこから始まる生産・物流方策を前記データベースから探索することを、最終状態が前記えられた目標状態と一致するまで繰り返し、これにより探索した複数の生産・物流方策を時間的に連続させて生産・物流スケジュールとする点にある
本発明の生産・物流スケジュール作成方法の他の特徴とするところは、前記所定の期間Nにおいて前記最適制御問題を解き、前記データベースを第1のデータベースとして作成するステップと、
1から(N−1)までの複数の期間それぞれで、最終状態と目標状態との関係を含まない評価関数を用いるとともに、最終状態が拘束集合を満たす条件で最適制御問題を解き、生産・物流方策の集合である複数の第2のデータベースを作成するステップとを有する点にある
この場合、前記生産・物流スケジュールを作成するステップでは、
前記第2のデータベースに、前記えられた初期状態が存在するか否かを1から(N−1)までの期間について順番に確認し、いずれかの前記第2のデータベースに存在すれば、該第2のデータベースに記述された生産・物流方策を生産・物流スケジュールとし、
前記第2のデータベースのいずれにも、前記えられた初期状態が存在しない場合、前記えられた初期状態を初期状態とする生産・物流方策を前記第1のデータベースから探索し、前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策の最終状態が前記えられた目標状態と一致すれば、前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策を生産・物流スケジュールとし、
前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策の最終状態が前記えられた目標状態と一致しない場合、前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策の最終状態を新しい初期状態とする第1のステップと、
前記第2のデータベースに、前記新しい初期状態が存在するか否かを1から(N−1)までの期間について順番に確認し、いずれかの前記第2のデータベースに存在すれば、該第2のデータベースに記述された生産・物流方策を、それまでに前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策に時間的に連続させて生産・物流スケジュールとし、
前記第2のデータベースのいずれにも、前記新しい初期状態が存在しない場合、前記新しい初期状態を初期状態とする生産・物流方策を前記第1のデータベースから探索し、前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策の最終状態が前記えられた目標状態と一致すれば、今回前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策を、それまでに前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策に時間的に連続させて生産・物流スケジュールとし、
今回前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策の最終状態が前記与えられた目標状態と一致しない場合、今回前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策の最終状態を新たに新しい初期状態として、当該第2のステップを繰り返す第2のステップとを有するようにしてもよい。
本発明の生産・物流スケジュール作成方法の他の特徴とするところは、前記生産・物流スケジュールを作成するステップは、前記データベースからの生産・物流方策の探索と、前記生産・物流プロセスを模擬するシミュレータによるシミュレーションとを連動させて、前記シミュレータによるシミュレーションの結果を用いて生産・物流スケジュールを作成する点にある。
この場合、前記生産・物流スケジュールを作成するステップは、
予め設定した方策探索期間に基づいて、前記与えられた初期状態を初期状態とする生産・物流方策を前記データベースから探索する第1ステップと、
前記第1ステップで探索した生産・物流方策を前記シミュレータに与えて、予め設定したシミュレーション期間に基づいてシミュレーションを実行する第2ステップと、
前記第2ステップでのシミュレーションの結果のうち予め設定した確定期間の結果を生産・物流スケジュールとして確定する第3ステップと、
前記第3ステップで前記確定期間内で前記シミュレーションにより得た状態が、前記えられた目標状態に一致するか否かを確認して、一致しなければ、前記確定期間の終了時点の直後を新たな立案開始時点として設定するとともに、前記確定期間の終了時点でシミュレーションにより得た最終状態を新たな初期状態とし、一致すれば、前記確定期間内で前記与えられた目標状態に一致するまでのシミュレーションの結果を生産・物流スケジュールとして確定し、それまでに確定したものとされた一連の生産・物流スケジュールを時間的に連続させて生産・物流スケジュールを完成させる4ステップとを有し、
前記第4ステップで前記新たな初期状態が与えられると、前記第1ステップでは、前記方策探索期間に基づいて、前記データベースから前記新たな初期状態を初期状態とする生産・物流方策を探索し、前記第2ステップ以降の処理を繰り返すようにしてもよい。
また、前記第1ステップでは、
前記えられた初期状態を初期状態とする生産・物流方策を前記データベースから探索し、前記探索した生産・物流方策の最終状態が前記えられた目標状態と一致するか、前記方策探索期間の最終時点に達するかすれば前記探索を終了し、
前記探索した生産・物流方策の最終状態が前記与えられた目標状態と一致せず、前記方策探索期間の最終時点に達しない場合、前記探索した生産・物流方策の最終状態を新しい初期状態とし、そこから始まる生産・物流方策を前記データベースから探索することを、最終状態が前記えられた目標状態と一致するか、前記方策探索期間の最終時点に達するかするまで繰り返し、これにより探索した生産・物流方策を時間的に連続させるようにしてもよい。
また、前記データベースを作成するステップでは、
前記所定の期間Nにおいて前記最適制御問題を解き、前記データベースを第1のデータベースとして作成するステップと、
1から(N−1)までの複数の期間それぞれで、最終状態と目標状態との関係を含まない評価関数を用いるとともに、最終状態が拘束集合を満たす条件で最適制御問題を解き、生産・物流方策の集合である複数の第2のデータベースを作成するステップとを有し、
前記第1ステップでは、
前記第2のデータベースに、前記えられた初期状態が存在するか否かを1から(N−1)までの期間について順番に確認し、いずれかの前記第2のデータベースに存在すれば探索を終了するステップAと、
前記第2のデータベースのいずれにも、前記えられた初期状態が存在しない場合、前記えられた初期状態を初期状態とする生産・物流方策を前記第1のデータベースから探索し、前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策の最終状態が前記えられた目標状態と一致するか、前記方策探索期間の最終時点に達するかすれば探索を終了するステップBと、
前記探索した生産・物流方策の最終状態が前記えられた目標状態と一致せず、前記方策探索期間の最終時点に達しない場合、前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策の最終状態を新しい初期状態とするステップCと、
前記第2のデータベースに、前記新しい初期状態が存在するか否かを1から(N−1)までの期間について順番に確認し、いずれかの前記第2のデータベースに存在すれば、該第2のデータベースに記述された生産・物流方策を、それまでに前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策に時間的に連続させるステップDと、
前記第2のデータベースのいずれにも、前記新しい初期状態が存在しない場合、前記新しい初期状態を初期状態とする生産・物流方策を前記第1のデータベースから探索し、前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策の最終状態が前記与えられた目標状態と一致するか、前記方策探索期間の最終時点に達するかすれば前記探索を終了し、今回前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策を、それまでに前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策に時間的に連続させる一方、前記えられた目標状態と一致せず、前記方策探索期間の最終時点に達しない場合、前記ステップCに戻るステップEとを行うようにしてもよい。
本発明の生産・物流スケジュール作成方法の他の特徴とするところは、前記データベー
スを作成するステップでは、操業上又は設備上のうち少なくともいずれかの制約条件を課
して初期状態を限定して前記データベースを作成する点にある。前記制約条件を、例えば
前記モデルで各状態を表わす状態変数に含まれる所定の複数の変数の和が一定であるとす
る制約式で表現したり、前記モデルで各状態を表わす状態変数に含まれる所定の変数が一
定値であるとする制約式で表現したりすればよい。
本発明の生産・物流スケジュール作成装置は、離散事象プロセスである生産・物流プロセスにおける生産・物流スケジュールを作成する生産・物流スケジュール作成装置であって、前記生産・物流プロセスの初期状態と目標状態との組み合わせについて、所定の期間において、前記生産・物流プロセスを表現するモデルについて拘束条件を有する状態方程式、及び最終状態と目標状態との関係を含む評価関数で表される最適制御問題を解くことにより作成された、初期状態と、最終状態と、該初期状態から該最終状態までの状態遷移を実現する最適な制御入力との組み合わせである生産・物流方策の集合であるデータベースを保持するデータベース保持手段と、与えられた初期状態及び目標状態に基づいて、前記データベースから生産・物流方策を探索して、生産・物流スケジュールを作成する生産・物流スケジュール作成手段とを備えたことを特徴とする。
本発明のプログラムは、離散事象プロセスである生産・物流プロセスにおける生産・物流スケジュールを作成するためのプログラムであって、前記生産・物流プロセスの初期状態と目標状態との組み合わせについて、所定の期間において、前記生産・物流プロセスを表現するモデルについて拘束条件を有する状態方程式、及び最終状態と目標状態との関係を含む評価関数で表される最適制御問題を解くことにより作成された、初期状態と、最終状態と、該初期状態から該最終状態までの状態遷移を実現する最適な制御入力との組み合わせである生産・物流方策の集合であるデータベースを保持するデータベース保持手段と、与えられた初期状態及び目標状態に基づいて、前記データベースから生産・物流方策を探索して、生産・物流スケジュールを作成する生産・物流スケジュール作成手段としてコンピュータを機能させる。
本発明によれば、生産・物流方策(初期状態と、最終状態と、該初期状態から該最終状
態までの状態遷移を実現する最適な制御入力との組み合わせ)の集合であるデータベース
を作成しておき、生産・物流スケジュールを作成するときはデータベースを探索すればよ
いので、実用的な時間内に、所望の初期状態及び目標状態となる生産・物流スケジュール
を作成することができる。しかも、データベースは、生産・物流プロセスを表現するモデ
ルについて拘束条件を有する状態方程式、及び評価関数で表される最適制御問題を解いて
得られたものであるので、最適性が確保された精度の高い生産・物流スケジュールを作成
することができる。
第1の実施形態に係る生産・物流スケジュール作成装置の構成を示す図である。 生産・物流プロセスの一例であるクレーン物流プロセスを説明するための図である。 クレーン物流プロセスにおける状態を説明するための図である。 クレーン物流プロセスにおける状態遷移を説明するための図である。 クレーン物流プロセスとペトリネットグラフとの対応関係を説明するための図である。 ペトリネットグラフの状態遷移の例を示す図である。 データベースの例を示す図である。 データベースの考え方を説明するためのペトリネットグラフのモデル例を示す図である。 データベースの例を示す図である。 生産・物流スケジュール作成の結果を示す図である。 生産・物流スケジュール作成を実行するペトリネットグラフのモデル例を示す図である。 データベースの例を示す図である。 生産・物流スケジュール作成の結果を示す図である。 第2の実施形態における生産・物流スケジュールの作成の流れを示す図である。 第1のデータベースの作成を概念的に示す図である。 第1のデータベースの作成を概念的に示す図である。 クレーン物流プロセスにおける状態遷移を説明するための図である。 データベースの例を示す図である。 生産・物流スケジュール作成の結果を示す図である。 作成される生産・物流スケジュールの期間を示す図である。 第3の実施形態に係る生産・物流スケジュール作成装置の構成を示す図である。 第3の実施形態に係る生産・物流スケジュール作成装置による生産・物流スケジュールの作成手順を示すフローチャートである。 第3の実施形態に係る生産・物流スケジュール作成装置による生産・物流スケジュールの作成手順を説明するための図である。 クレーン物流プロセスにおける状態遷移を説明するための図である。 ペトリネットグラフにおける拘束条件を説明するための図である。 最適制御問題(1)を解いてデータベース(xsetなし)を作成することを説明するための図である。 最適制御問題(2)を解いてデータベース(xsetあり)を作成することを説明するための図である。 データベース(xsetあり)の例を示す図である。 データベース(xsetなし)の例を示す図である。 データベースの探索と、ペトリネットグラフの状態との関係を示す図である。 データベースの探索結果を示す図である。 第5の実施形態において問題の状態空間に制約条件を課して初期状態を限定する手法の例を説明するための図である。 データベースの例を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
図1に、第1の実施形態に係る生産・物流スケジュール作成装置100の構成を示す。
本発明でいう生産・物流プロセスとは、物を生産したり、物を運搬したりするプロセス
をいい、離散事象プロセス(プロセスの状態が取りうる値が離散値で、状態が事象によっ
て離散的に遷移するプロセス)を対象とする。すなわち、本実施形態に係る生産・物流ス
ケジュール作成装置100は、離散事象プロセスである生産・物流プロセスにおける生産
・物流スケジュールを作成する。ここで、生産・物流スケジュールとは、生産・物流プロ
セスの状態を、所与の初期状態から所望の目標状態まで遷移させるための、生産・物流プ
ロセスへの一連の物の生産や運搬の命令のシーケンスを指す。
図1において、101は入力部であり、ユーザが入力装置200を介して入力した情報
を取り込む。入力部101は、例えば生産・物流プロセスを表現するペトリネット(Petr
i net)グラフ等のモデルを構築するための情報や、構築したモデルについて最適制御問
題を解くための情報を入力する。また、生産・物流スケジュールを作成するときには、生
産・物流プロセスにおけるユーザ所望の初期状態及び目標状態を入力する。なお、入力部
101としては、キーボードやマウス等で入力されるデータを取得する手段でもよいし、
ネットワーク上の機器からデータを入力する手段でもよい。
102は最適制御問題解析部であり、生産・物流プロセスを表現するペトリネットグラ
フ等のモデルについて拘束条件を有する状態方程式、及び評価関数で表される最適制御問
題を、生産・物流プロセスの初期状態と目標状態との組み合わせについて解く。そして、
初期状態と、最終状態と、該初期状態から該最終状態までの状態遷移を実現する最適な制
御入力との組み合わせの集合であるデータベースを作成する。
103はデータベース保持部であり、最適制御問題解析部102で作成したデータベー
スを保持する。
104は探索部であり、入力部101に与えられた初期状態及び目標状態に基づいて、
データベース保持部103で保持するデータベースから生産・物流方策を探索する。
105は生産・物流スケジュール作成部であり、探索部104で探索した生産・物流方
策に基づいて、入力部101に与えられた初期状態及び目標状態を満たす生産・物流スケ
ジュールを作成する。
106は出力部であり、生産・物流スケジュール作成部105で作成した生産・物流ス
ケジュールを出力する。生産・物流スケジュールの出力としては、例えば表示装置300
に表示等する。
なお、図1では一つの装置として図示したが、複数の装置が協働して生産・物流スケジ
ュール作成装置100として機能する形態であってもかまわない。例えば最適制御問題解
析部102やデータベース保持部103を別の装置として構成し、この別の装置上のデー
タベース保持部103に探索部104がアクセスするような構成でもよい。
[生産・物流プロセスの例]
生産・物流プロセスでは、その状態や入力(制御入力、すなわち物の生産や運搬の命令
)等に拘束条件を有する場合が多い。その一例として、例えば図2に示すようなクレーン
物流プロセスでは、クレーンで運搬する材料は分割することができず、クレーン物流プロ
セスの状態に対応する材料の個数は0個、1個、2個、・・・のように整数値で扱う(状
態に関する拘束条件)。また、クレーンに材料を運搬させる命令を与えるスイッチはon
/offであり、クレーン物流プロセスの入力に対応するスイッチはonになると入力の
値を1、offになると入力の値を0として扱う(入力に関する拘束条件)。このように
状態、入力の値が整数値のみ取るという拘束条件(整数制約)を有する。
以下、拘束条件(整数制約)を有するクレーン物流プロセスにおいて、材料を任意の離
散時刻に運搬するという事例を説明する。材料を加工・保管する場所に材料があり、クレ
ーンに材料を運搬させる命令を与えるスイッチがonになると、クレーンで材料を運搬す
る。
クレーン物流プロセスは、以下のような拘束条件(整数制約)を有する。
(a)クレーン物流プロセスの状態に関する拘束条件(整数制約)
クレーンで運搬する材料は分割することができず、クレーン物流プロセスの状態に対応
する材料の個数は0個、1個、2個、・・・のように整数個で扱う。
(b)クレーン物流プロセスの入力に関する拘束条件(整数制約)
クレーンに材料を運搬させる命令を与えるスイッチはon/offであり、クレーン物
流プロセスの入力に対応するスイッチはonになると入力の値を1、offになると入力
の値を0として扱う。
[離散事象プロセス]
クレーン物流プロセスは離散事象プロセスである。
(a)プロセスの状態が取りうる値が離散値である。
クレーン物流プロセスでは、クレーンで運搬する材料の個数がプロセスの状態に対応す
る。クレーンで運搬する材料は分割することができず、0個、1個、2個、・・・のよう
に0以上の整数値、すなわち離散値となる。つまり、クレーン物流プロセスの状態は図3
(a)のようになり、図3(b)のようにはならない。
(b)プロセスの状態が事象によって離散的に遷移する。
クレーン物流プロセスでは、クレーンに材料を運搬する命令を与えるスイッチ(のon
/off)が事象に対応する。スイッチがonになると材料がある場所から別の場所に運
搬され、両場所で加工・保管される材料は整数個だけ増加/減少、すなわち離散的に遷移
する。例として、図4では左側の場所に加工・保管される材料数は2個→1個、右側の場
所に加工・保管される材料数は0個→1個に遷移する。
[ペトリネットグラフ]
次に、離散事象プロセスを簡便に表現するペトリネットグラフについて説明する。後述
するように、ペトリネットグラフは差分方程式で表現し直すことが可能なので、クレーン
物流プロセスを差分方程式で表現し直すことができる。
ペトリネットとは、離散事象プロセスをグラフ表現する方法である。グラフとは、ノー
ド(節)とそのノードを接続するアーク(枝)からなる図的モデルのことである。なお、
「ペトリネット」のことを「ペトリネットグラフ」と表現するが、意味的には両者とも同
義である。
ペトリネットグラフは、2種類のノード(プレース、トランジション)とアークによっ
てプロセスの構造を表し、トークンによってプロセスの状態を表す。そのプロセスの構造
は、プレースの有限集合P={pin i=1、トランジションの有限集合T={tjm j=1
及びtjからpiへのアークとpiからtjへのアークに対応する関係を示すFとの3項組(
P,T,F)によって定義される。
2種類のノードとアーク、トークンの記号を表1に、これらの記号のクレーン物流プロ
セスとの対応を図5に示す。
ペトリネットグラフでは、アークはプレースとトランジションとを結合する有向枝であ
り、始点がプレースのときは終点がトランジションであり、始点がトランジションのとき
は終点がプレースである。すなわち、プレースからプレースヘ、或いはトランジションか
らトランジションヘのアークは存在しない。
ペトリネットグラフでは、プロセスの状態をトークンのプレース内の分布状況で示し、
プロセスの状態遷移はトークンの移動によって表される。トークンの移動はトランジショ
ンの発火によるが、トランジションの発火とトークンの移動は以下の規則に従う。
[規則1]トランジションtjへの入力プレースpiにおいて(入力プレースが複数個の
場合はすべての入力プレースにおいて)、piからtjへのアーク数以上のトークンがpi
内に存在するとき、tjは発火可能である。
[規則2]トランジションの発火は瞬間的であり、異なる2個のトランジションが同時
に発火することはない。
[規則3]トランジションtjの発火に伴い、入力プレースpiから(複数個の場合はす
べての入力プレースから)、piからtjへのアーク数に等しいトークンを取り去る。
[規則4]トランジションtjの発火に伴い、tjからの出力アーク数に等しいトークン
を生成し、出力プレースpkに対して(出力プレースが複数個の場合はすべての出力プレ
ースに対して)、tjからpkへのアーク数に等しいトークンを割り当てる。
図6に、ペトリネットグラフの状態遷移の例を示す。図6において、p1〜p3はプレー
スを、t1〜t3はトランジションをそれぞれ示す。図6(a)では、発火可能なトランジ
ションはt1のみであり、t1が発火すると、トークンの分布は図6(b)のようになる。
[ペトリネットグラフの状態方程式]
上述したように、プロセスの状態はペトリネットグラフのトークンの分布により表現さ
れる。ペトリネットグラフにおいて、トランジションの発火によりトークンの分布が変化
する様子は差分方程式(状態方程式)で表現することができる。
(接続行列)
プロセスは、プレースとトランジション及びそれらの結合関係によって表現される。プ
レースとトランジションの結合関係に対応する接続行列は、トランジションの入力行列と
トランジションの出力行列によって表現することができる。
トランジションの入力行列B-は、トランジションヘの入力アークを表したものである
。例えば、図6(a)のグラフの各トランジションの入力アーク数は表2のようであるか
ら、トランジションの入力行列B-は式(1)のように表現される。
トランジションの出力行列B+は、トランジションからの出力アークを表したものであ
る。例えば、図6(a)のグラフの各トランジションの出力アーク数は表3のようである
から、トランジションの出力行列B+は式(2)のように表現される。
式(1)のj列は、トランジションtjの発火により各プレースから減るトークン数を
表し、式(2)のj列はトランジションtjが発火したときに各プレースに加わるトーク
ン数を表す。つまり、両者の差はtjの発火による各プレースのトークン数の増減を表し
ており、接続行列Bはそれを表すものである。
接続行列Bはトランジションの出力行列B+とトランジションの入力行列B-の差(B=
+−B-)のように表現される。
例えば、図6(a)における接続行列B、すなわち各トランジションの発火によるトー
クン数の増減は式(3)のように表現される。
(状態ベクトル)
プロセスの状態に対応する状態ベクトルは、各プレース内のトークン数を表すものであ
り、状態ベクトルの各要素は各プレースに対応する。
離散時刻k(k={0、1、2、・・・})におけるプレースpi内のトークン数をxi
(k)∈{0、1、2、・・・}で表すと、状態ベクトルx(k)は式(4)のように表現さ
れる。例えば、図6(a)において状態ベクトルx(k)は式(5)のように表現される。
(発火ベクトル)
プロセスの事象に対応する発火ベクトルは、どのトランジションが発火したかを表すも
のであり、発火ベクトルの各要素は各トランジションに対応し、その値は発火のとき1、
非発火のとき0をとる。
離散時刻k(k={0、1、2、・・・})におけるトランジションtjの発火状況を
j(k)∈{0、1}で表すと、発火ベクトルu(k)は式(6)のように表現される。例
えば、図6(a)においてトランジションt1が発火すると、発火ベクトルu(k)は式(
7)のように表現される。
(状態方程式)
ペトリネットグラフにおいて、離散時刻k(k={0、1、2、・・・})におけるプ
ロセスの状態は状態ベクトルx(k)で、発火状況は発火ベクトルu(k)で表現されるので
、離散時刻kでの発火によるトークン数の増減はBu(k)と表現される。よって、ペトリ
ネットグラフでの離散時刻k+1におけるプロセスの状態x(k+1)は式(8)の差分方
程式で表現される。式(8)がペトリネットグラフの状態方程式である。
図6(a)でトランジションt1が発火することにより図6(b)のようになる場合、
状態方程式は式(9)のように表される。
また、ペトリネットグラフの状態方程式(式(8))は、状態x(k)、入力u(k)に式
(10)、式(11)のような拘束条件(整数制約)を有する。ここで、xi(k)は離散
時刻kにおける状態ベクトルx(k)の第i要素、uj(k)は離散時刻kにおける発火ベク
トルu(k)の第j要素である。また、式(10)は各プレースのトークンの数は0以上の
整数個であること、式(11)は各トランジションは発火のとき1、非発火のとき0であ
ることを意味する。
以上により、ペトリネットグラフを、拘束条件(整数制約)を有する状態方程式で表現
することができた。これは、クレーン物流プロセスを、拘束条件(整数制約)を有する状
態方程式で表現することができることを意味する。これにより、評価関数を適切に設定す
ることにより、クレーン物流プロセスにおける最適なスケジュールの計算を実行すること
ができる。
[最適制御問題]
あるプロセスについて何らかの最適制御問題を解くことで、その最適制御問題における
評価関数を最小にするような解、すなわち離散時刻における入力を求めることができる。
ここでは、LTIシステム(linear time-invariant)について拘束付有限時間最適制
御(CFTOC)問題を解くことを考える。LTIシステムのCFTOC問題は、一般的
には式(12a)〜式(12e)のように表現される。
ここで、Nは予測ホライズンであり、有限時間(区間)[k0,k0+N]を表しており
、初期状態x(k0)=xk0を与えて離散時刻k(k∈{k0、k0+1、・・・、k0+N−
1})の最適な入力u(k|xk0)を求めるということを意味する。JN(xk0)は評価関数
であり、線形(l∈{1,∞})又は2次系(l=2)である。Q、R、Qfは状態と入
力に対して各自で定義する重み行列である。||Qx(k)||l、||Ru(k)||l、||Qx(k0
+N)||lはノルムである。ノルムとは、線形ベクトル空間Vの要素であるn次元ベクトル
v、w∈V(式(13)、式(14))と、スカラーαに対して以下の条件を満たすもの
であり、||v||と表す。
(a)すべてのv∈Vに対して||v||≧0(等号は||v||=0のときに限り成立)
(b)すべてのv∈Vとすべてのαに対して||αv||=|α| ||v||
(c)すべてのv、w∈Vに対して||v+w||≦||v||+||w||
線形ベクトル空間の主なノルムには1ノルム(l=1)、2ノルム(l=2)、無限ノ
ルム(l=∞)の3種類がある(式(15)〜式(17)を参照)。
CFTOC問題(式(12a)〜式(12e))を解く目的は、有限時間(区間)[k
0,k0+N]において、初期状態x(k0)=xk0を与え、重み行列Q、R、Qfを上手く調
節することで、評価関数JN(xk0)を最小にするような解、すなわち初期状態x(k0)=x
k0の関数である最適な入力U(xk0)=[uT(k0|xk0)、uT(k0+1|xk0)、・・・、
T(k0+N−1|xk0)]Tを求めることである。なお、CFTOC問題を解く手法につ
いては公知であり、例えばMATLABのMPT(Multi-Parametric Toolbox)等を用い
ることにより解法可能であるので、ここではその説明は省略する。
クレーン物流プロセスのスケジュール作成では、式(18a)〜式(18e)のような
最適制御問題解く。ここで、xrefは最終状態x(k0+N)に対する目標状態である。
有限時間(区間)[k0,k0+N]において、初期状態x(k0)=xk0を与え、重み行
列Q、R、Qfを上手く調節して最適制御問題(式(18a)〜式(18e))を解くこ
とで、最終状態x(k0+N)を目標状態xrefに近づけるような最適な入力U(xk0)=[u
T(k0|xk0)、uT(k0+1|xk0)、・・・、uT(k0+N−1|xk0)]Tを求めたい。
[生産・物流スケジュール作成]
(データベースの作成)
最適制御問題(式(18a)〜式(18e))を解くにあたり、予測ホライズンNが小
さい場合は、実用的な計算時間内でスケジュール作成を実行できる。しかし、予測ホライ
ズンNが大きい場合、例えばN=10程度では、初期状態と最終状態との可能な組み合わ
せの数が非常に多くなり、実用的な時間内での求解ができなくなることが多い。
そこで、予測ホライズンNが小さい最適制御問題(式(18a)〜式(18e))を解
くことで、初期状態x(k0)=xk0と、最終状態x(k0+N)と、初期状態x(k0)=xk0
から最終状態x(k0+N)までの状態遷移を実現する最適な制御入力との組み合わせの集
合であるデータベースを作成し、与えられた初期状態x(0)と目標状態xrefを満たす状
態遷移を実現する最適な制御入力をデータベースにより求めることを考える。ここで、初
期状態と、最終状態と、該初期状態から該最終状態までの状態遷移を実現する最適な制御
入力との1つの組み合わせを生産・物流方策と呼ぶことにする。したがって、上記データ
ベースは、予測ホライズンNと目標状態を与えた場合の、様々な初期状態に対応する生産
・物流方策の集合の形となる。
スケジュール作成のアルゴリズムを以下に示す。
1.予測ホライズンNを小さくして最適制御問題(式(18a)〜式(18e))を解
く。具体的には、十分に小さい適当なNを選択して最適制御問題を解き、データベースを
作成するオフライン計算を、順次Nを大きくして繰り返し、実用的な計算時間の範囲でな
るべく大きいNに決定する。
2.図7に示すように、生産・物流方策(初期状態x(k0)=xk0と、最終状態x(k0
+N)と、初期状態x(k0)=xk0から最終状態x(k0+N)までの状態遷移を実現する最
適な制御入力との組み合わせ)の集合であるデータベースが作成される。図7の1行が1
組の生産・物流方策を示す。
3.データベースにより最終状態x(k0+N)を求める。
4.最終状態x(k0+N)が目標状態xrefと一致するか否かを調べる。最終状態x(k0
+N)が目標状態xrefと一致すれば、データベースの探索を終了する。最終状態x(k0
N)が目標状態xrefと一致しなければ、最終状態x(k0+N)を新しい初期状態xk0+N
して、データベースにより新しい最終状態x(k0+2N)を求める。
5.最終状態が目標状態xrefと一致するまで繰り返す。
図8に、データベースの考え方を説明するためのペトリネットグラフのモデル例を示す
。図8のペトリネットグラフの状態方程式は式(19)のようになる。また、拘束条件(
整数制約)は式(20)、式(21)のようになる。
図8のペトリネットグラフについて、式(22a)〜式(22e)のような最適制御問
題を解くとする。
目標状態xrefは図8に示すようにxref=[0 4](以下、[a b]の表記はaが上
に、bが下に記述されているものとする。同様に、[a b c]の表記はaが上に、bが
中に、cが下に記述されているものとする)とし、重み行列Q、R、Qfは式(23)〜
式(25)のように調節したとする。重み行列Q、Qfは、現実の工場や工程での原料や
製品が工場や工程の入側から出側に流れるように、入側の状態X1から出側の状態X2へト
ークンが動くように、入側の状態X1を出側の状態X2よりも大きく設定した。重み行列R
については、入側の状態X1から出側の状態X2へトークンが動くように、入側の状態X1
よりも小さく設定した。
以上のようにして最適制御問題を解くと、図9に示すようなデータベースが作成される
。このデータベースは、初期状態x(k0)=xk0と、最終状態x(k0+2)と、初期状態x
(k0)=xk0から最終状態x(k0+2)までの状態遷移を実現する最適な制御入力との組み
合わせである生産・物流方策の集合である。
データベースより、図8で与えられた初期状態x0=[4 0]に対応する最終状態x(
2)=[2 2]とわかる。この最終状態x(2)は図8で与えられた目標状態xrefと一
致しないので、この最終状態x(2)を新しい初期状態x(2)=[2 2]とする。
データベースより、新しい初期状態x(2)=x2=[2 2]に対応する最終状態x(4
)=[0 4]とわかる。この最終状態x(4)は図8で与えられた目標状態xrefと一致
するので、スケジュール作成を終了する。
図10に、生産・物流スケジュール作成の結果を示す。図10(a)における横軸は離
散時刻を、縦軸は状態プレースp1、p2の状態x1、x2を示す。また、図10(b)
における横軸は離散時刻を、縦軸は発火ベクトルu(k)を示す。
図10(a)を見ると、離散時刻k=0で初期状態x(0)=x0=[4 0]、離散時
刻k=4で初期状態x(4)=[0 4]であることがわかる。これより、図8で与えられ
た初期状態x(0)=[4 0]、目標状態xref=[0 4]を満たすように状態x(k)
が遷移したことがわかる。
[スケジュール作成の内容と結果]
図11に、生産・物流スケジュール作成を実行するペトリネットグラフのモデル例を示
す。図11のペトリネットグラフの状態方程式は式(26)のようになる。また、拘束条
件(整数制約)は式(27)、式(28)のようになる。
図11のペトリネットグラフについて、式(29a)〜式(29e)のような最適制御
問題を解く。
目標状態xrefは図11に示すようにxref=[0 0 2]とし、重み行列Q、R、Q
fは式(30)〜式(32)のように調節した。具体的な調節の手順としては、重み行列
Q、Qfは、現実の工場や工程での原料や製品が工場や工程の入側から出側に流れるよう
に、入側の状態X1から出側の状態X3へトークンが動くように、入側の状態X1を中間の
状態X2よりも大きく、中間の状態X2は出側の状態X3よりも大きく設定した。重み行列
Rについては、入側の状態X1から出側の状態X3へトークンが動くように、入側の状態X
1や中間の状態X2よりも小さく設定した。
図12に、最適制御問題(式(29a)〜式(29e))を解くことで得られたデータ
ベースを示す。
データベースより、図11で与えられた初期状態x(0)=x0=[2 0 0]に対応
する最終状態はx(2)=[0 1 1]とわかる。この最終状態は図11で与えられた目
標状態xrefと一致しないので、この最終状態x(2)を新しい初期状態x(2)を新しい初
期状態x(2)=[0 1 1]とする。
データベースより、新しい初期状態x(2)=x2=[0 1 1]に対応する最終状態
はx(4)=[0 0 2]とわかる。この最終状態x(4)は図11で与えられた目標状態
refと一致するので、スケジュール作成を終了する。
図13に、生産・物流スケジュール作成の結果を示す。図13(a)を見ると、離散時
刻k=0で初期状態x(0)=x0=[2 0 0]、離散時刻k=3でx(3)=[0 0
2]であることがわかる。これにより、図11で与えられた初期状態x(0)=x0=[
2 0 0]、目標状態xref=[0 0 2]を満たすように状態x(k)が遷移したこ
とがわかる。
以上、簡単な例を参照して、本発明を適用した生産・物流スケジュール作成の基本的な
概念を説明した。
図1に説明を戻して、データベースの作成から、生産・物流スケジュールの作成までの
流れを説明する。
[データベースの作成]
対象とする生産・物流プロセスが確定すると、ユーザは、生産・物流スケジュール作成
装置100において、その生産・物流プロセスを表現するペトリネットグラフを構築する
。そして、入力部101を介してペトリネットグラフについて最適制御問題を解くための
情報、例えば予測ホライズンN、評価関数JN(xk0)、重み行列Q、R、Qfを設定する。
最適制御問題解析部102では、ペトリネットについて拘束条件を有する状態方程式、
及び評価関数で表される最適制御問題を、該対象とする生産・物流プロセスの初期状態と
最終状態との組み合わせについて解き、生産・物流方策(初期状態と、最終状態と、該初
期状態から該最終状態までの状態遷移を実現する最適な制御入力との組み合わせ)の集合
であるデータベースを作成する。この場合に、生産・物流プロセスにおいて考えられる全
ての初期状態、目標状態に対応する生産・物流方策を網羅的に計算し、データベースを作
成しておく。最適制御問題解析部102で作成したデータベースは、データベース保持部
103により保持される。
[生産・物流スケジュールの作成]
生産・物流スケジュールを作成するときには、ユーザは、入力部101を介して生産・
物流プロセスにおける所望の初期状態及び目標状態を入力する。
探索部104では、入力として与えられた初期状態を初期状態とする生産・物流方策を
データベースから探索する。
その結果、探索した生産・物流方策の最終状態が、入力として与えられた目標状態と一
致すれば、生産・物流スケジュール作成部105では、探索部104で探索した生産・物
流方策を生産・物流スケジュールとする。すなわち、作成される生産・物流スケジュール
の期間は、予測ホライズンNと一致するものとなる。
また、探索部104は、探索した生産・物流方策の最終状態が、入力として与えられた
目標状態と一致しない場合、その生産・物流方策の最終状態を初期状態とし、そこから始
まる生産・物流方策をデータベースから探索することを、最終状態が、入力として与えら
れた目標状態と一致するまで繰り返す。生産・物流スケジュール作成部105では、探索
部104で探索した複数の生産・物流方策を時間的に連続させて生産・物流スケジュール
とする。すなわち、作成される生産・物流スケジュールの期間は、予測ホライズンNの整
数倍の長さとなる。
以上のように、生産・物流方策(初期状態と、最終状態と、該初期状態から該最終状態
までの状態遷移を実現する最適な制御入力との組み合わせ)の集合であるデータベースを
作成しておき、生産・物流スケジュールを作成するときはデータベースを探索すればよい
ので、実用的な時間内に、所望の初期状態及び目標状態となる生産・物流スケジュールを
作成することができる。しかも、データベースは、生産・物流プロセスを表現するペトリ
ネットグラフ等のモデルについて拘束条件を有する状態方程式、及び評価関数で表される
最適制御問題を解いて得られたものであるので、最適性が確保された精度の高い生産・物
流スケジュールを作成することができる。
なお、データベースは予め作成されるとしたが、データベース作成時の漏れや、最適制
御問題を解くための情報の変更等があった場合等には、追加作成してもよいことは言うま
でもない。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態を説明する。なお、生産・物流スケジュール作成装置の構成は第
1の実施形態で説明したものと同様であり、以下では、第1の実施形態との相違点を中心
に説明する。
[データベースの作成]
第2の実施形態では、最適制御問題解析部102において、2種類のデータベースを作
成する。すなわち、第1の実施形態と同様、予測ホライズンNで、最終状態と目標状態と
の関係を含む評価関数を用いて最適制御問題(最適制御問題(1))を解き、生産・物流
方策(初期状態と、最終状態と、該初期状態から該最終状態までの状態遷移を実現する最
適な制御入力との組み合わせ)の集合である第1のデータベースを作成する。また、1か
ら(N−1)期間それぞれで、最終状態と目標状態との関係を含まない評価関数を用いる
とともに、最終状態が拘束集合を満たす条件で最適制御問題(最適制御問題(2))を解
き、生産・物流方策(初期状態と、最終状態と、該初期状態から該最終状態までの状態遷
移を実現する最適な制御入力との組み合わせ)の集合である複数の第2のデータベースを
作成する。
図15に示すように、第1のデータベースを作成するときは、予測ホライズンN=Nf
(Nfは各自で設定した予測ホライズン)で、例えば式(33a)〜式(33f)のよう
な最適制御問題(1)を解く。
図16に示すように、第2のデータベースを作成するときは、予測ホライズンN=1、
2、・・・、Nf−1で、例えば式(34a)〜式(34g)のような最適制御問題(2
)を解く。第2のデータベースは、Nf−1個作成されることになる。
ここで、第1のデータベースを作成するための最適制御問題(1)では、最終状態x(
0+N)と目標状態xrefとの関係が評価関数(式(33a))に含まれており、最終状
態x(k0+N)を目標状態xrefに近づけるような入力U(xk0)を求めるものとなっている

それに対して、第2のデータベースを作成するための最適制御問題(2)では、最終状
態x(k0+N)と目標状態xrefとの関係が評価関数(式(34a))に含まれておらず、
最終状態x(k0+N)が拘束集合xsetを満たす条件(式(34c))で入力U(xk0)を求
めるものとなっている。最終状態x(k0+N)が拘束集合xsetを満たす条件としては、例
えば最終状態x(k0+N)が目標状態xrefと一致するとの条件を設定してもよいし、より
一般的には、目標状態xrefの周りにある小さな範囲を設定しその範囲内に最終状態x(k
0+N)が入れば一致したとしてもよい。
なお、第1のデータベースをデータベース(xsetなし)、第2のデータベースをデー
タベース(xsetあり)とも称する。
[生産・物流スケジュールの作成]
図14に、第2の実施形態における生産・物流スケジュールの作成の流れを示す。
生産・物流スケジュールを作成するときには、ユーザは、入力部101を介して生産・
物流プロセスにおける所望の初期状態及び目標状態を入力する。
探索部104では、予測ホライズンN=1のデータベース(xsetあり)に初期状態x(
0)=xk0が存在するか否かを確認する(ステップS1)。データベース(xsetあり)
では、最終状態x(k0+N)が拘束集合xsetを満たすので、初期状態x(k0)=xk0が存
在するか否かを確認するだけでよい。予測ホライズンN=1のデータベース(xsetあり
)に初期状態x(k0)=xk0が存在すれば、本アルゴリズムを終了するとともに、生産・
物流スケジュール作成部105では、予測ホライズンN=1のデータベース(xsetあり
)に記述された生産・物流方策を生産・物流スケジュールとする。
予測ホライズンN=1のデータベース(xsetあり)に初期状態x(k0)=xk0が存在し
ない場合、以下同様に、予測ホライズンN=2、・・・、Nf−1の順番で、各データベ
ース(xsetあり)に初期状態x(k0)=xk0が存在するか否かを確認する(ステップS2
〜S(Nf−1))。いずれかのデータベース(xsetあり)に初期状態x(k0)=xk0
存在すれば、その時点で本アルゴリズムを終了するとともに、生産・物流スケジュール作
成部105では、初期状態x(k0)=xk0が存在したデータベース(xsetあり)に記述さ
れた生産・物流方策を生産・物流スケジュールとする。
予測ホライズンN=Nf−1のデータベース(xsetあり)に初期状態x(k0)=xk0
存在しない場合(すなわち、Nf−1個のデータベース(xsetあり)のいずれにも初期状
態x(k0)=xk0が存在しない場合)、初期状態x(k0)=xk0の生産・物流方策をデータ
ベース(xsetなし)から探索し、探索した生産・物流方策の最終状態が、入力として与
えられた目標状態xrefと一致するか否かを確認する(ステップS100)。探索した生
産・物流方策の最終状態が、入力として与えられた目標状態xrefと一致すれば、本アル
ゴリズムを終了するとともに、生産・物流スケジュール作成部105では、データベース
(xsetなし)から探索した生産・物流方策を生産・物流スケジュールとする。
データベース(xsetなし)から探索した生産・物流方策の最終状態が、入力として与
えられた目標状態xrefと一致しない場合、最終時刻k0+Nfを新しい初期時刻k0←k0
+Nf、最終状態x(k0+Nf)を新しい初期状態xk0←x(k0+Nf)として(ステップS
101)、ステップS1に戻り、以下の処理を繰り返す。
すなわち、予測ホライズンN=1〜Nf−1のデータベース(xsetあり)に、新しい初
期状態が存在するか否かを順番に確認する(ステップS1〜S(Nf−1))。その結果
、いずれかのデータベース(xsetあり)に存在すれば、該データベース(xsetあり)に
記述された生産・物流方策を、それまでにデータベース(xsetなし)から探索した生産
・物流方策に時間的に連続させて生産・物流スケジュールとする。
予測ホライズンN=1〜Nf−1のデータベース(xsetあり)のいずれにも、新しい初
期状態が存在しない場合、新しい初期状態の生産・物流方策をデータベース(xsetなし
)から探索し(ステップS101)、探索した生産・物流方策の最終状態が、入力として
与えられた目標状態xrefと一致するか否かを確認する。その結果、探索した生産・物流
方策の最終状態が、入力として与えられた目標状態xrefと一致すれば、今回データベー
ス(xsetなし)から探索した生産・物流方策を、それまでにデータベース(xsetなし)
から探索した生産・物流方策に時間的に連続させて生産・物流スケジュールとする。
第2の実施形態について、図17に示すペトリネットグラフを例にして説明する。初期
状態、予測ホライズン、重み行列、最終状態への拘束条件、入力への拘束条件は下記のと
おりである。
以下のような最適制御問題(1)を解く。この最適制御問題(1)では、最終状態x(
0+Nf)について拘束条件xsetは存在しないが、評価関数に||Qf(x(k0+Nf)−xr
ef)||1が存在する。予測ホライズンはN=3(=Nf)の場合を解く。図18(c)に、
N=3のデータベース(xsetなし)を示す。
また、以下のような最適制御問題(2)を解く。この最適制御問題(2)では、最終状
態x(k0+Nf)について拘束条件xsetが存在するが、評価関数に||Qf(x(k0+Nf)−
ref)||1は存在しない。予測ホライズンはN=1、2のそれぞれの場合を解く。図18
(a)、(b)に、N=1、2のデータベース(xsetあり)を示す。
図18(a)、(b)に示す予測ホライズンN=1、2のデータベース(xsetあり)
に、初期状態x(0)=x0=[4 0 0]は存在しない(ステップS1、2)。
そこで、次に図18(c)に示すデータベース(xsetなし)から、初期状態x(0)=
0=[4 0 0]の生産・物流方策を探索する(ステップS100)。その結果、最
終状態x(3)=[1 1 2]が得られるが(図18(c)の★印を参照)、目標状態x
ref=[0 0 4]と一致しない。
そこで、次に最終状態x(3)=[1 1 2]を新しい初期状態として(ステップS1
01)、再度、図18(a)、(b)に示す予測ホライズンN=1、2のデータベース(
setあり)を探索すると(ステップS1、2)、その初期状態は、予測ホライズンN=
1のデータベース(xsetあり)に存在しないが、予測ホライズンN=2のデータベース
(xsetあり)に存在し、対応する最終状態はx(5)=[0 0 4]=xrefであること
がわかる(図18(b)の★印を参照)。
この場合、作成される生産・物流スケジュールは、図18(c)の★印の生産・物流方
策と、図18(b)の★印の生産・物流方策とを時間的に連続させたものとなる。
図19に、生産・物流スケジュール結果を示す。図19(a)を見ると、離散時刻k=
0で初期状態x(0)=x0=[4 0 0]から、x(1)=[3 1 0]、x(2)=[
2 1 1]、x(3)=[1 1 2]、x(4)=[0 1 3]という生産・物流方策
を経て、離散時刻k=5でx(5)=[0 0 4]となることがわかる。
次に、図20を参照して、第2の実施形態での効果を説明する。
第1の実施形態で生産・物流スケジュールを作成する場合、換言すれば第2の実施形態
でいうデータベース(xsetなし)だけを利用して生産・物流スケジュールを作成する場
合、図20(a)に示すように、作成される生産・物流スケジュールの期間は予測ホライ
ズンN(=Nf)の整数倍の長さとなる。
この場合に、実は、時点nで、予測ホライズンN=Nfのデータベースに記述されてい
ない、ある生産・物流方策があれば、目標状態に到達していた可能性もある。
第2の実施形態では、予測ホライズンN=Nfのデータベースと、予測ホライズンN=
1〜Nf−1のデータベースとを組み合わせることにより、図20(b)に示すように、
作成される生産・物流スケジュールの期間を予測ホライズンNの整数倍以外の長さとする
ことが可能になる。したがって、期間を短くした生産・物流スケジュールを作成できる場
合もある。
(第3の実施形態)
図21に、第3の実施形態に係る生産・物流スケジュール作成装置100の構成を示す

第3の実施形態では、データベースの作成は第1の実施形態と同じであるが、データベ
ースからの生産・物流方策の探索と、生産・物流プロセスを模擬するシミュレータによる
シミュレーションとを連動させて、シミュレータによるシミュレーションの結果を用いて
生産・物流スケジュールを作成するようにしている。
以下では、第1の実施形態に係る生産・物流スケジュール作成装置と同様の構成要素に
は同一の符号を付して説明する。
図21において、101は入力部であり、ユーザが入力装置200を介して入力した情
報を取り込む。入力部101は、例えば生産・物流プロセスを表現するペトリネット(Pe
tri net)グラフ等のモデルを構築するための情報や、構築したモデルについて最適制御
問題を解くための情報を入力する。また、生産・物流スケジュールを作成するときには、
生産・物流プロセスにおけるユーザ所望の初期状態及び目標状態、スケジュール作成期間
、方策探索期間、シミュレーション期間、確定期間を入力する。なお、入力部101とし
ては、キーボードやマウス等で入力されるデータを取得する手段でもよいし、ネットワー
ク上の機器からデータを入力する手段でもよい。
102は最適制御問題解析部であり、生産・物流プロセスを表現するペトリネットグラ
フ等のモデルについて拘束条件を有する状態方程式、及び評価関数で表される最適制御問
題を、生産・物流プロセスの初期状態と目標状態との組み合わせについて解く。そして、
初期状態と、最終状態と、該初期状態から該最終状態までの状態遷移を実現する最適な制
御入力との組み合わせの集合であるデータベースを作成する。
103はデータベース保持部であり、最適制御問題解析部102で作成したデータベー
スを保持する。
104は探索部であり、入力部101に与えられた初期状態や、後述するシミュレーシ
ョン部107から与えられる新たな初期状態、及び入力部101に与えられた目標状態に
基づいて、データベース保持部103で保持するデータベースから生産・物流方策を探索
する。
107はシミュレーション部であり、生産・物流プロセスを精度良く模したシミュレー
タ、すなわち生産・物流スケジュールを作成するのに考慮すべき生産・物流状態、制約を
全て記載したシミュレータ107aを含む。シミュレータ107aはペトリネットグラフ
等のモデルで構成され、事象(シミュレータのイベント)毎に物を動かす離散系として構
成される。シミュレーション部107は、探索部104で探索した方策探索期間の生産・
物流方策と、シミュレーション期間とに基づいてシミュレーションを実行する。
ここで、実操業を模擬するため、シミュレータ107aにはペトリネット形式で記述で
きない制約をプログラムの形で組み込む。例えば後述する図2に示すようなクレーン物流
プロセスでは、(1)クレーン毎の移動にかかる時間の違いや、運搬する物による移動時
間の違い、(2)日々進歩する操業方案の小さな効率化、例えば設備更新による運搬する
物による移動時間の短縮、運搬する物の統合や分割による操業方案の変化によるクレーン
移動時間の短縮、等、数分程度の時間のずれがあり、これらをシミュレータ107aにプ
ログラムとして組み込む。このように、正確にシミュレーションすることで、実操業に求
められる細かな制約まで考慮した高精度の生産・物流スケジュールの立案が可能となる。
また、(3)毎日発生する非定常な操業トラブル等による短い設備休止は再スケジュール
作成前にシミュレータ107aのパラメータを変更することで対応可能となる。また、(
2)日々進歩する操業方案の小さな効率化は、その都度生産・物流方策の計算を実施せず
、操業方案がまとまったところでまとめて計算しデータベースを更新することが可能とな
る。
105は生産・物流スケジュール作成部であり、シミュレーション部107による確定
期間でのシミュレーションの結果を用いて、生産・物流スケジュールを作成する。
106は出力部であり、生産・物流スケジュール作成部105で作成した生産・物流ス
ケジュールを出力する。生産・物流スケジュールの出力としては、例えば表示装置300
に表示等する。
なお、図1では一つの装置として図示したが、複数の装置が協働して生産・物流スケジ
ュール作成装置100として機能する形態であってもかまわない。例えば最適制御問題解
析部102やデータベース保持部103を別の装置として構成し、この別の装置上のデー
タベース保持部103に探索部104がアクセスするような構成でもよい。
次に、データベースの作成から、生産・物流スケジュールの作成までの流れを説明する

[データベースの作成]
対象とする生産・物流プロセスが確定すると、ユーザは、生産・物流スケジュール作成
装置100において、その生産・物流プロセスを表現するペトリネットグラフを構築する
。そして、入力部101を介してペトリネットグラフについて最適制御問題を解くための
情報、例えば予測ホライズンN、評価関数JN(xk0)、重み行列Q、R、Qfを設定する。
最適制御問題解析部102では、ペトリネットについて拘束条件を有する状態方程式、
及び評価関数で表される最適制御問題を、該対象とする生産・物流プロセスの初期状態と
最終状態との組み合わせについて解き、生産・物流方策(初期状態と、最終状態と、該初
期状態から該最終状態までの状態遷移を実現する最適な制御入力との組み合わせ)の集合
であるデータベースを作成する。この場合に、生産・物流プロセスにおいて考えられる全
ての初期状態、目標状態に対応する生産・物流方策を網羅的に計算し、データベースを作
成しておく。最適制御問題解析部102で作成したデータベースは、データベース保持部
103により保持される。
[生産・物流スケジュールの作成]
図22に、生産・物流スケジュールの作成手順を示す。
生産・物流スケジュールを作成するときには、ユーザは、入力部101を介して生産・
物流プロセスにおける所望の初期状態及び目標状態、スケジュール作成期間、方策探索期
間、シミュレーション期間、確定期間を入力する(ステップS11)。スケジュール作成
期間としては、過去の実績等から、初期状態から目標状態に状態遷移するのにどの程度の
期間を要するか予測し、それより大きい期間を与える。すなわち、スケジュール作成期間
は、計算終了時間のMAXを決めるためと、遠い将来までの計算を行わないために設定し
ている。
探索部104では、入力部101に与えられた初期状態を初期状態とする生産・物流方
策をデータベースから探索する(ステップS12)。この場合に、目標状態に達しなくて
も、方策探索期間の最終時点に達したら、データベースの探索を打ち切って探索を終了す
る。なお、データベースの探索を打ち切らずに、スケジュール作成期間に達するまで探索
を進めるという選択もあるが、これは方策探索期間を長い期間、例えばスケジュール作成
時間と同じとする場合に相当する。
このように、入力として与えられた初期状態を初期状態とする生産・物流方策をデータ
ベースから探索し、該探索した生産・物流方策の最終状態が目標状態と一致するか、方策
探索期間の最終時点に達するかすれば探索を終了する。該探索した生産・物流方策の最終
状態が目標状態と一致せず、方策探索期間の最終時点に達しない場合、該探索した生産・
物流方策の最終状態を新しい初期状態とし、そこから始まる生産・物流方策をデータベー
スから探索することを、最終状態が目標状態と一致するか、方策探索期間の最終時点に達
するかするまで繰り返し、これにより探索した生産・物流方策を時間的に連続させる。
探索部104は、上記のようにしてデータベースから探索した生産・物流方策をシミュ
レーション部107に与える。図22のフローチャートの1回目のループであれば、生産
・物流方策には、入力部101に与えられた初期状態と、探索を打ち切った時点での最終
状態と、該初期状態から該最終状態までの状態遷移を実現する最適な制御入力とが含まれ
る。そして、次回以降のループであれば、生産・物流方策には、シミュレーション部10
7から与えられる初期状態と、探索を打ち切った時点での最終状態と、該初期状態から該
最終状態までの状態遷移を実現する最適な制御入力とが含まれる。
シミュレーション部107は、探索部104で探索した生産・物流方策と、シミュレー
ション期間とに基づいてシミュレーションを実行する(ステップS13)。一つのイベン
トの所要時間が必ずしもシミュレーション期間のちょうど最終時点になるとは限らないが
、イベント毎にシミュレーションを進めて、少なくともシミュレーション期間をカバーす
るようにシミュレーションを実行する。このとき、一つ一つのイベント毎に、シミュレー
ションによる状態遷移と、生産・物流方策による状態遷移とを比較して、両者にずれが生
じた場合には、ずれが生じたイベントの一つ前のイベントでシミュレーションを終了する
そして、シミュレーション部107は、確定期間でのシミュレーションの結果を生産・
物流スケジュールとして確定し、生産・物流スケジュール作成部105に与える(ステッ
プS14)。
また、シミュレーション部107は、確定期間内でシミュレーションにより得た状態が
、入力部101に与えられた目標状態に一致するか否かを確認する(ステップS15)。
この結果、目標状態に一致しなければ、確定期間の終了時点の直後を新たな立案開始時点
として設定するとともに、確定期間の終了時点でシミュレーションにより得た最終状態を
探索部104に新たな初期状態として与え(ステップS16)、ステップS12以降の処
理を繰り返す。それに対して、目標状態に一致すれば、確定期間内で目標状態に一致する
までのシミュレーションの結果を生産・物流スケジュールとして確定し、生産・物流スケ
ジュール作成部105に与えるとともに、生産・物流スケジュール作成部105に終了で
あることを伝える。
生産・物流スケジュール作成部105は、シミュレーション部107から終了であるこ
とが伝えられると、それまでに確定したものとしてシミュレーション部107から与えら
れた一連の生産・物流スケジュールを時間的に連続させて生産・物流スケジュールを完成
させる(ステップS17)。
具体例を、図23を参照しながら説明する。なお、本例は、シミュレーション期間と確
定期間とが同じ期間であるとした例である。
図23に示すように、スケジュール作成期間は4日間と設定され、1日目は、方策探索
期間が24時間、確定期間及びシミュレーション期間が最初の8時間と設定されている。
2日目以降は、方策探索期間が48時間、確定期間及びシミュレーション期間が最初の2
4時間と設定されている。作成した生産・物流スケジュールの内で確定期間に入らなかっ
た部分については、確定せずに破棄する。
第1ループで、探索部104は、1日目の0時〜24時の方策探索期間について、入力
部101に与えられた初期状態を初期状態とする生産・物流方策をデータベースから探索
する。そして、シミュレーション部107は、探索部104で探索した生産・物流方策と
、シミュレーション期間とに基づいてシミュレーションを実行し、最初の8時間分(1日
目の0時〜8時)のシミュレーションの結果を生産・物流スケジュールAとして確定する
次に、第2ループでは、第1ループでの確定期間の直後の日時を新たな立案開始日時と
して設定して生産・物流スケジュールを立案する。この例の場合は、第1ループで1日目
の8時まで確定したので、第2ループでは立案開始日を1日目の8時に更新する。
第2ループで、探索部104は、1日目の8時〜2日目の8時の方策探索期間について
、第1ループの確定期間の終了時点でシミュレーションにより得た最終状態を初期状態と
する生産・物流方策をデータベースから探索する。そして、シミュレーション部107は
、探索部104で探索した生産・物流方策と、シミュレーション期間とに基づいてシミュ
レーションを実行し、最初の8時間分(1日目の8時〜16時)のシミュレーションの結
果を生産・物流スケジュールBとして確定する。
次に、第3ループでは、第2ループでの確定期間の直後の日時を新たな立案開始日時と
して設定して生産・物流スケジュールを立案する。この例の場合は、第2ループで1日目
の16時まで確定したので、第3ループでは立案開始日を1日目の16時に更新する。
第3ループで、探索部104は、1日目の16時〜2日目の16時の方策探索期間につ
いて、第2ループの確定期間の終了時点でシミュレーションにより得た最終状態を初期状
態とする生産・物流方策をデータベースから探索する。そして、シミュレーション部10
7は、探索部104で探索した生産・物流方策と、シミュレーション期間とに基づいてシ
ミュレーションを実行し、最初の8時間分(1日目の16時〜2日目の0時)のシミュレ
ーションの結果を生産・物流スケジュールCとして確定する。
次に、第4ループでは、第3ループでの確定期間の直後の日時を新たな立案開始日時と
して設定して生産・物流スケジュールを立案する。この例の場合は、第3ループで2日目
の0時まで確定したので、第4ループでは立案開始日を2日目の0時に更新する。
2日目以降は、方策探索期間が48時間、確定期間及びシミュレーション期間が最初の
24時間と設定されている。第4ループで、探索部104は、2日目の0時〜4日目の0
時の方策探索期間について、第3ループの確定期間の終了時点でシミュレーションにより
得た最終状態を初期状態とする生産・物流方策をデータベースから探索する。そして、シ
ミュレーション部107は、探索部104で探索した生産・物流方策と、シミュレーショ
ン期間とに基づいてシミュレーションを実行し、最初の24時間分(2日目の0時〜3日
目の0時)のシミュレーションの結果を生産・物流スケジュールDとして確定する。
次に、第5ループでは、第4ループでの確定期間の直後の日時を新たな立案開始日時と
して設定して生産・物流スケジュールを立案する。この例の場合は、第4ループで3日目
の0時まで確定したので、第5ループでは立案開始日を3日目の0時に更新する。
第5ループで、探索部104は、3日目の0時〜4日目の24時の方策探索期間につい
て、第4ループの確定期間の終了時点でシミュレーションにより得た最終状態を初期状態
とする生産・物流方策をデータベースから探索する。そして、シミュレーション部107
は、探索部104で探索した生産・物流方策と、シミュレーション期間とに基づいてシミ
ュレーションを実行し、最初の24時間分(3日目の0時〜4日目の0時)のシミュレー
ションの結果を生産・物流スケジュールEとして確定する。
次に、第6ループでは、第5ループでの確定期間の直後の日時を新たな立案開始日時と
して設定して生産・物流スケジュールを立案する。この例の場合は、第5ループで4日目
の0時まで確定したので、第6ループでは立案開始日を4日目の0時に更新する。
第6ループでは、4日目の0時から4日目の24時までの24時間を方策探索期間とし
て、第5ループの確定期間の終了時点でシミュレーションにより得た最終状態を初期状態
とする生産・物流方策をデータベースから探索する。そして、シミュレーション部107
は、探索部104で探索した生産・物流方策と、シミュレーション期間とに基づいてシミ
ュレーションを実行するが、この場合、24時間について生産・物流スケジュールFとし
て確定するようにしている。
本具体例では、第6ループが終了した時点で4日分の生産・物流スケジュールが全て作
成されるので、処理を終了する。また、生産・物流計スケジュールの確定は、生産・物流
指示を必要とする事象が発生する毎に行ってもよい。
以上のように、生産・物流方策(初期状態と、最終状態と、該初期状態から該最終状態
までの状態遷移を実現する最適な制御入力との組み合わせ)の集合であるデータベースを
作成しておき、データベースからの生産・物流方策の探索と、シミュレータ107aによ
るシミュレーションとを連動させて、シミュレーションの結果を用いて生産・物流スケジ
ュールを作成するようにしている。このとき、初期状態を移動させながらスケジュール作
成範囲を分割するようにしているので、計算負荷が大きなスケジュールを計算する場合に
おいても実用時間内で計算することが可能となる。したがって、計算要素が莫大な大規模
工場の生産・物流スケジュールを作成する場合においても、実用時間でスケジュールを作
成することができる。特に、データベースの探索とシミュレーションとを連動させて分割
処理を行っているので、各々の事象において多少のずれが生じた場合でも、事象毎に微調
整を行うことが可能となり、最適な生産・物流スケジュールを実用時間内で作成すること
ができるようになる。
このようにデータベースからの生産・物流方策の探索と、シミュレータ107aによる
シミュレーションとを連動させて、シミュレーションの結果を用いて生産・物流スケジュ
ールを作成するようにしたので、(1)計算の繰り返しをしないでスケジュールを作成す
ることができる。また、(2)データベースから探索することで計算時間を短縮すること
ができるとともに、(3)大規模問題を解くことが可能になる。
また、シミュレータ107aには、考慮すべき生産・物流状態、制約を全て記載するこ
とができるので、1回のシミュレーションを行って作成された作成された生産・物流スケ
ジュールは現実に実行可能となることが保証される。これにより、(4)スケジュール精
度を高くすることができるとともに、(5)実行可能性を検証が取れているスケジュール
を作成することができる。
例えば、図23に示した例のような場合に、スケジュール作成期間の1日目は生産・物
流方策の計算を1時間単位とし、2日目以降は2時間単位とする等、シミュレータ107
aによるシミュレーションでは、スケジュール作成期間を通して分単位でシミュレーショ
ンを行うことが可能であり、生産・物流方策の計算間隔の違いに影響されることなく計画
精度を一定に保つことができる。このような記載の細かな、しかし現場へ適応するために
は必要不可欠な制約を全てペトリネットグラフ等のモデルとして記述することはモデル作
成やモデル改造メンテナンスの意味でも膨大な時間が掛かるし、生産・物流方策の計算を
オフライン化し計画作成時間を短縮化しているとは言え、膨大な規模のモデルを用いて計
算を行うことは非効率である。
なお、データベースは予め作成されるとしたが、データベース作成時の漏れや、最適制
御問題を解くための情報の変更等があった場合等には、追加作成してもよいことは言うま
でもない。
第3の実施形態での効果を説明する。第1の実施形態、及び第2の実施形態では、生産
・物流スケジュールに反映させるべき制約や条件は、全てデータベースを作成する際に実
施する最適化計算に用いる数式に記述する必要がある。換言すると、数式で記述できない
制約や条件が存在する場合には、それらに起因する誤差が生じるため、得られた生産・物
流スケジュールが、厳密な意味で実行可能で無い場合が生じる虞があり、生産・物流スケ
ジュールの精度に対する要求が厳しい場合には問題になる場合がある。第3の実施形態に
よれば、生産・物流方策(初期状態と、最終状態と、該初期状態から該最終状態までの状
態遷移を実現する最適な制御入力との組み合わせ)の集合であるデータベースを作成して
おき、データベースからの生産・物流方策の探索と、詳細な制約や条件まで反映させて生
産・物流プロセスを模擬するシミュレータによるシミュレーションとを連動させて、シミ
ュレータによるシミュレーションの結果を用いて生産・物流スケジュールを作成するよう
にしたので、シミュレーションを繰り返し行うことなく最適なシミュレーションの結果を
得ることができるようにして、スケジュール作成対象の生産・物流プロセスで実際に使用
可能であることが保証された生産・物流スケジュールを高速に、且つ高精度に作成するこ
とができる。
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態を説明する。なお、生産・物流スケジュール作成装置の構成は第
3の実施形態で説明したものと同様であり、以下では、第3の実施形態との相違点を中心
に説明する。
[データベースの作成]
第4の実施形態では、最適制御問題解析部102において、2種類のデータベースを作
成する。すなわち、第3の実施形態と同様、予測ホライズンNで、最終状態と目標状態と
の関係を含む評価関数を用いて最適制御問題(最適制御問題(1))を解き、生産・物流
方策(初期状態と、最終状態と、該初期状態から該最終状態までの状態遷移を実現する最
適な制御入力との組み合わせ)の集合である第1のデータベースを作成する。また、1か
ら(N−1)期間それぞれで、最終状態と目標状態との関係を含まない評価関数を用いる
とともに、最終状態が拘束集合を満たす条件で最適制御問題(最適制御問題(2))を解
き、生産・物流方策(初期状態と、最終状態と、該初期状態から該最終状態までの状態遷
移を実現する最適な制御入力との組み合わせ)の集合である複数の第2のデータベースを
作成する。
図15に示したように、第1のデータベースを作成するときは、予測ホライズンN=N
f(Nfは各自で設定した予測ホライズン)で、例えば式(33a)〜式(33f)のよう
な最適制御問題(1)を解く。
図16に示したように、第2のデータベースを作成するときは、予測ホライズンN=1
、2、・・・、Nf−1で、例えば式(34a)〜式(34g)のような最適制御問題(
2)を解く。第2のデータベースは、Nf−1個作成されることになる。
ここで、第1のデータベースを作成するための最適制御問題(1)では、最終状態x(
0+N)と目標状態xrefとの関係が評価関数(式(33a))に含まれており、最終状
態x(k0+N)を目標状態xrefに近づけるような入力U(xk0)を求めるものとなっている

それに対して、第2のデータベースを作成するための最適制御問題(2)では、最終状
態x(k0+N)と目標状態xrefとの関係が評価関数(式(34a))に含まれておらず、
最終状態x(k0+N)が拘束集合xsetを満たす条件(式(34c))で入力U(xk0)を求
めるものとなっている。最終状態x(k0+N)が拘束集合xsetを満たす条件としては、例
えば最終状態x(k0+N)が目標状態xrefと一致するとの条件を設定してもよいし、より
一般的には、目標状態xrefの周りにある小さな範囲を設定しその範囲内に最終状態x(k
0+N)が入れば一致したとしてもよい。
なお、第1のデータベースをデータベース(xsetなし)、第2のデータベースをデー
タベース(xsetあり)とも称する。
[生産・物流スケジュールの作成]
図14に、第4の実施形態における生産・物流スケジュールの作成の流れを示す。ここ
では、基本的な概念の理解のために、データベースを探索することでスケジュール作成す
るアルゴリズムを説明し、シミュレーション部107を連動させる仕組みについては後述
する。
生産・物流スケジュールを作成するときには、ユーザは、生産・物流プロセスにおける
所望の初期状態及び目標状態を入力する。
予測ホライズンN=1のデータベース(xsetあり)に初期状態x(k0)=xk0が存在す
るか否かを確認する(ステップS1)。データベース(xsetあり)では、最終状態x(k
0+N)が拘束集合xsetを満たすので、初期状態x(k0)=xk0が存在するか否かを確認す
るだけでよい。予測ホライズンN=1のデータベース(xsetあり)に初期状態x(k0)=
k0が存在すれば、本アルゴリズムを終了するとともに、予測ホライズンN=1のデータ
ベース(xsetあり)に記述された生産・物流方策を生産・物流スケジュールとする。
予測ホライズンN=1のデータベース(xsetあり)に初期状態x(k0)=xk0が存在し
ない場合、以下同様に、予測ホライズンN=2、・・・、Nf−1の順番で、各データベ
ース(xsetあり)に初期状態x(k0)=xk0が存在するか否かを確認する(ステップS2
〜S(Nf−1))。いずれかのデータベース(xsetあり)に初期状態x(k0)=xk0
存在すれば、その時点で本アルゴリズムを終了するとともに、初期状態x(k0)=xk0
存在したデータベース(xsetあり)に記述された生産・物流方策を生産・物流スケジュ
ールとする。
予測ホライズンN=Nf−1のデータベース(xsetあり)に初期状態x(k0)=xk0
存在しない場合(すなわち、Nf−1個のデータベース(xsetあり)のいずれにも初期状
態x(k0)=xk0が存在しない場合)、初期状態x(k0)=xk0の生産・物流方策をデータ
ベース(xsetなし)から探索し、探索した生産・物流方策の最終状態が、入力として与
えられた目標状態xrefと一致するか否かを確認する(ステップS100)。探索した生
産・物流方策の最終状態が、入力として与えられた目標状態xrefと一致すれば、本アル
ゴリズムを終了するとともに、データベース(xsetなし)から探索した生産・物流方策
を生産・物流スケジュールとする。
データベース(xsetなし)から探索した生産・物流方策の最終状態が、入力として与
えられた目標状態xrefと一致しない場合、最終時刻k0+Nfを新しい初期時刻k0←k0
+Nf、最終状態x(k0+Nf)を新しい初期状態xk0←x(k0+Nf)として(ステップS
101)、ステップS1に戻り、以下の処理を繰り返す。
すなわち、予測ホライズンN=1〜Nf−1のデータベース(xsetあり)に、新しい初
期状態が存在するか否かを順番に確認する(ステップS1〜S(Nf−1))。その結果
、いずれかのデータベース(xsetあり)に存在すれば、該データベース(xsetあり)に
記述された生産・物流方策を、それまでにデータベース(xsetなし)から探索した生産
・物流方策に時間的に連続させて生産・物流スケジュールとする。
予測ホライズンN=1〜Nf−1のデータベース(xsetあり)のいずれにも、新しい初
期状態が存在しない場合、新しい初期状態の生産・物流方策をデータベース(xsetなし
)から探索し(ステップS101)、探索した生産・物流方策の最終状態が、入力として
与えられた目標状態xrefと一致するか否かを確認する。その結果、探索した生産・物流
方策の最終状態が、入力として与えられた目標状態xrefと一致すれば、今回データベー
ス(xsetなし)から探索した生産・物流方策を、それまでにデータベース(xsetなし)
から探索した生産・物流方策に時間的に連続させて生産・物流スケジュールとする。
第4の実施形態について、図24に示すペトリネットグラフを例にして説明する。
ここで、図25(a)に示すように、プレースp2にはトークンが1個しか存在できな
い。また、図25(b)に示すように、トランジションt1とトランジションt2は同時に
発火することができない。また、図25(c)に示すように、トランジションt1とトラ
ンジションt3は同時に発火することができない。また、図25(d)に示すように、ト
ランジションt2とトランジションt5は同時に発火することができない。これらの拘束条
件は、式(35a)〜式(35d)で表される。
また、状態方程式、拘束条件(整数制約)、拘束条件(非負制約)はそれぞれ式(36
)〜式(38)で表される。
式(39a)〜式(39f)のような最適制御問題(1)を解く。この最適制御問題(
1)では、最終状態x(k0+N|xk0)について拘束条件xsetは存在しないが、評価関数
に||Qf(x(k0+Nf)−xref)||1が存在する。図26に示すように、予測ホライズンN
=3の場合を解いて、データベース(xsetなし)を作成する。初期状態、目標状態、重
み行列、最終状態への拘束条件は表4のとおりである。
また、式(40a)〜式(40g)のような最適制御問題(2)を解く。この最適制御
問題(2)では、最終状態x(k0+N|xk0)について拘束条件xsetが存在するが、評価
関数に||Qf(x(k0+N|xk0)−xref)||1は存在しない。図27(a)、(b)に示
すように、N=1、2の場合を解いて、データベース(xsetあり)を作成する。
図28(a)、(b)に示すように、予測ホライズンN=1、2のデータベース(xse
tあり)に、初期状態x(0)=x0=[4 0 0 0 0]Tは存在しない(ステップS
1、2)。
したがって、次に図29(a)に示すように、データベース(xsetなし)から、初期
状態x(0)=x0=[4 0 0 0 0]の生産・物流方策を探索する(ステップS1
00)。その結果、最終状態x(3|x0)=[1 1 1 0 1]Tが得られるが、目標
状態xref=[0 0 0 0 4]Tと一致しない。
図30(a)に、ここまでのデータベースの探索と、ペトリネットグラフの状態との関
係を示す。
そこで、最終時刻k0+Nを新しい初期時刻(k0←k0+N)に更新して、最終状態x(
0+N|xk0)を新しい初期状態(xk0←x(k0+N|xk0))に更新する。すなわち最
終状態x(3|x0)=[1 1 1 0 1]Tを新しい初期状態として(ステップS10
1)、図28(a)、(b)に示すように、再度、予測ホライズンN=1、2のデータベ
ース(xsetあり)を探索すると(ステップS1、2)、その初期状態は存在しない。
したがって、次に図29(b)に示すように、データベース(xsetなし)から、初期
状態x(3)=x3=[1 1 1 0 1]Tの生産・物流方策を探索する(ステップS1
00)。その結果、目標状態xrefに一致する最終状態x(6|x3)=[0 0 0 0
4]Tが得られる。
図30(b)に、ここまでのデータベースの探索と、ペトリネットグラフの状態との関
係を示す。
この場合、シミュレーション部107に与えられる生産・物流方策は、図29(a)の
生産・物流方策と、図29(b)の生産・物流方策とを時間的に連続させたものとなる。
図31に、データベースの探索結果を示す。図31(a)を見ると、離散時刻k=0で
初期状態x(0)=x0=[4 0 0 0 0]Tから、x(1)=[3 1 0 0 0]
T、x(2)=[2 0 1 0 1]T、x(3)=[1 1 1 0 1]T、x(4)=[
0 0 1 1 2]T、x(5)=[0 0 0 1 3]Tという生産・物流方策を経て
、離散時刻k=5でx(5)=[0 0 0 0 4]Tとなることがわかる。
また、図31からわかるように、既述したペトリネットグラフにおける拘束条件、すな
わちプレースp2にはトークンが1個しか存在できない、トランジションt1とトランジシ
ョンt2は同時に発火することができない、トランジションt1とトランジションt3は同
時に発火することができない、トランジションt2とトランジションt5は同時に発火する
ことができないという拘束条件が満たされている。
第4の実施形態では、シミュレーション部107に与える生産・物流方策を次のように
して求める。
データベース(xsetあり)に、入力として与えられた初期状態が存在するか否かを1
から(N−1)(Nは予測ホライズン)について順番に確認し、いずれかのデータベース
(xsetあり)に存在すれば探索を終了する(ステップA)。
ステップAにおいてデータベース(xsetあり)のいずれにも初期状態が存在しない場
合、該初期状態を初期状態とする生産・物流方策をデータベース(xsetなし)から探索
し、該探索した生産・物流方策の最終状態が目標状態と一致するか、方策探索期間の最終
時点に達するかすれば探索を終了する(ステップB)。
ステップBにおいて探索した生産・物流方策の最終状態が目標状態と一致せず、方策探
索期間の最終時点に達しない場合、該探索した生産・物流方策の最終状態を新しい初期状
態とする(ステップC)。
データベース(xsetあり)に、新しい初期状態が存在するか否かを1から(N−1)
について順番に確認し、いずれかのデータベース(xsetあり)に存在すれば探索を終了
する。この場合、データベース(xsetあり)に記述された生産・物流方策を、それまで
にデータベース(xsetなし)から探索した生産・物流方策に時間的に連続させる(ステ
ップD)。
ステップDにおいてデータベース(xsetあり)のいずれにも新しい初期状態が存在し
ない場合、新しい初期状態を初期状態とする生産・物流方策をデータベース(xsetなし
)から探索し、該探索した生産・物流方策の最終状態が目標状態と一致するか、方策探索
期間の最終時点に達するかすれば探索を終了する。この場合、今回データベース(xset
なし)から探索した生産・物流方策を、それまでにデータベース(xsetなし)から探索
した生産・物流方策に時間的に連続させる。一方、目標状態と一致せず、方策探索期間の
最終時点に達しない場合、ステップCに戻る(ステップE)。
次に、図20を参照して、第4の実施形態での効果を説明する。
第3の実施形態で生産・物流スケジュールを作成する場合、換言すれば第4の実施形態
でいうデータベース(xsetなし)だけを利用して生産・物流スケジュールを作成する場
合、図20(a)に示すように、作成される生産・物流スケジュールの期間は予測ホライ
ズンN(=Nf)の整数倍の長さとなる。
この場合に、実は、時点nで、予測ホライズンN=Nfのデータベースに記述されてい
ない、ある生産・物流方策があれば、目標状態に到達していた可能性もある。
第4の実施形態では、予測ホライズンN=Nfのデータベースと、予測ホライズンN=
1〜Nf−1のデータベースとを組み合わせることにより、図20(b)に示すように、
作成される生産・物流スケジュールの期間を予測ホライズンNの整数倍以外の長さとする
ことが可能になる。したがって、期間を短くした生産・物流スケジュールを作成できる場
合もある。
<第5の実施形態>
実機規模の問題を対象とすると、各状態を表わす状態変数が格段に増加し、データベー
スの計算に使用する初期状態は状態変数の掛け算で増加することは容易に想定できる。
第1〜第4の実施形態では、オフラインでのデータベースを作成する計算量を決定する
初期状態は、この問題の有限集合である状態空間の全状態を想定している。予め予想され
る設備、操業等の変動を許容するよう定式化をしておけば、状態空間の全状態を初期状態
とすることで、予め予想された設備、操業等の変動を吸収してスケジュールを作成するこ
とができる。そして、スケジュール作成の対象となる設備、操業等が変化しないか、又は
予め予想された設備、操業等の変動であれば、オフライン計算は1回のみ行えば良いので
、第1〜第4の実施形態でも実機適用の上で差し支えは無いし、設備や操業変動に強い。
しかしながら、例えばスケジュール作成の対象となる設備、操業等が短期間ではあるがそ
れまでの想定以上に変更される場合や長期に渡り頻繁に変更を繰り返す場合、また、試験
的に設備や操業を変更する場合等、オフライン計算を何度も行う必要がある場合や、新た
な設備や操業の下で、至急にスケジュール作成を行う必要がある場合等は、問題の状態空
間に何らかの制限を加えて、初期状態を限定しオフラインでのデータベースを作成する計
算量を削減することが必要となることが試験操業や実操業では発生する場合もある。
そこで、第5の実施形態では、問題の状態空間に制約条件を課して初期状態を限定し、
オフラインでの計算量を削減することを提案する。
簡単な具体例を示す。建屋を3つの領域に分け、建屋の各領域のクレーンの機数を状態
変数(x1、x2、x3)とする。各変数x1、x2、x3は0〜Xの非負整数値を取るとする
と、状態空間は図32(a)に示すような3次元空間中の格子点の集合となる。
ここで、例えばクレーン機数は一定(例えばX台)という制約条件(クレーン機数一定
制約)を適用すると、状態変数(x1、x2、x3)の合計がXとなる制約式で表現するこ
とができ、状態空間は図32(b)に示すように(X、0、0)、(0、X、0)、(0
、0、X)の3点を通る平面上の格子点の集合に限定される。
また、例えば建屋の第3領域にはクレーンが1機のみしか侵入できないという制約条件
(建屋制約)を適用すると、x3=1となる制約式で表現することができる。クレーン機
数一定制約の制約式x1+x2+x3=Xと建屋制約の制約式x3=1の交わる直線上の格子
点の集合に限定される。
実問題では、操業上、及び、クレーンや建屋等の設備上、有限の数の制約が数多く存在
し、制約式は状態変数の単純な関係式として表現できることを利用し、初期状態の数を大
幅に減らすことができる。
第1の実施形態で説明したが、図8に、データベースの考え方を説明するためのペトリ
ネットグラフのモデル例を示す。図8のペトリネットグラフの状態方程式は式(19)の
ようになる。また、拘束条件(整数制約)は式(20)、式(21)のようになる。この
モデルについて最適制御問題を解くと、図33に示すようなデータベースが作成される。
なお、図33は図9に示したデータベースと同じものである。このデータベースは、初期
状態x(k0)=xk0と、最終状態x(k0+2)と、初期状態x(k0)=xk0から最終状態x(
0+2)までの状態遷移を実現する最適な制御入力との組み合わせである生産・物流方策
の集合である。
ここで、制約条件として、状態の合計が4であるとする制約式X1+X2=4を追加する
と、図33において丸で囲んだ部分のみを要素とする5分1の大きさのデータベースが作
成されることになる。
データベースより、図8で与えられた初期状態x0=[4 0]に対応する最終状態x(
2)=[2 2]とわかる。この最終状態x(2)は図8で与えられた目標状態xrefと一
致しないので、この最終状態x(2)を新しい初期状態x(2)=[2 2]とする。
データベースより、新しい初期状態x(2)=x2=[2 2]に対応する最終状態x(4
)=[0 4]とわかる。この最終状態x(4)は図8で与えられた目標状態xrefと一致
するので、スケジュール作成を終了する。
以上のように、第1の実施形態について、状態空間に制約条件を課して初期状態を限定
し、オフラインの計算量を削減することができる。また、データベースの規模も削減する
ことができ、オンラインでのデータベースの探索時間の削減にもつながる。同様に第2、
第3、第4の実施形態についても、それぞれの状態空間に制約条件を課して初期状態を限
定し、オフラインの計算量を削減することができる。また、データベースの規模も削減す
ることができ、オンラインでのデータベースの探索時間の削減を行うことが可能である。
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限
定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。例えば上記実施形態では
、生産・物流プロセスをペトリネットグラフで表現する例を説明したが、離散事象プロセ
スを表現できるモデルであれば特に限定されるものではない。
本発明を適用した生産・物流スケジュール作成装置は、例えばCPU、ROM、RAM
等を備えたコンピュータ装置により実現される。
また、本発明は、本発明の生産・物流スケジュール作成装置としての機能を実現するソ
フトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装
置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータがプログラムを読み出して実行する
ことによっても実現可能である。
100:生産・物流スケジュール作成装置、101:入力部、102:最適制御問題解
析部、103:データベース保持部、104:探索部、105:生産・物流スケジュール
作成部、106:出力部、107:シミュレーション部、107a:シミュレータ

Claims (12)

  1. 離散事象プロセスである生産・物流プロセスにおける生産・物流スケジュールを作成する生産・物流スケジュール作成方法であって、
    前記生産・物流プロセスの初期状態と目標状態との組み合わせについて、所定の期間Nにおいて、前記生産・物流プロセスを表現するモデルについて拘束条件を有する状態方程式、及び最終状態と目標状態との関係を含む評価関数で表される最適制御問題を解き、初期状態と、最終状態と、該初期状態から該最終状態までの状態遷移を実現する最適な制御入力との組み合わせである生産・物流方策の集合であるデータベースを作成するステップと、
    与えられた初期状態及び目標状態に基づいて、前記データベースから生産・物流方策を探索して、生産・物流スケジュールを作成するステップとを有することを特徴とする生産・物流スケジュール作成方法。
  2. 前記生産・物流スケジュールを作成するステップでは、
    前記えられた初期状態を初期状態とする生産・物流方策を前記データベースから探索し、前記探索した生産・物流方策の最終状態が前記えられた目標状態と一致すれば、前記探索した生産・物流方策を生産・物流スケジュールとし、
    前記探索した生産・物流方策の最終状態が前記えられた目標状態と一致しない場合、前記探索した生産・物流方策の最終状態を新しい初期状態とし、そこから始まる生産・物流方策を前記データベースから探索することを、最終状態が前記えられた目標状態と一致するまで繰り返し、これにより探索した複数の生産・物流方策を時間的に連続させて生産・物流スケジュールとすることを特徴とする請求項に記載の生産・物流スケジュール作成方法。
  3. 前記データベースを作成するステップでは、
    前記所定の期間Nにおいて前記最適制御問題を解き、前記データベースを第1のデータベースとして作成するステップと、
    1から(N−1)までの複数の期間それぞれで、最終状態と目標状態との関係を含まない評価関数を用いるとともに、最終状態が拘束集合を満たす条件で最適制御問題を解き、生産・物流方策の集合である複数の第2のデータベースを作成するステップとを有することを特徴とする請求項に記載の生産・物流スケジュール作成方法。
  4. 前記生産・物流スケジュールを作成するステップでは、
    前記第2のデータベースに、前記えられた初期状態が存在するか否かを1から(N−1)までの期間について順番に確認し、いずれかの前記第2のデータベースに存在すれば、該第2のデータベースに記述された生産・物流方策を生産・物流スケジュールとし、
    前記第2のデータベースのいずれにも、前記えられた初期状態が存在しない場合、前記えられた初期状態を初期状態とする生産・物流方策を前記第1のデータベースから探索し、前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策の最終状態が前記えられた目標状態と一致すれば、前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策を生産・物流スケジュールとし、
    前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策の最終状態が前記えられた目標状態と一致しない場合、前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策の最終状態を新しい初期状態とする第1のステップと、
    前記第2のデータベースに、前記新しい初期状態が存在するか否かを1から(N−1)までの期間について順番に確認し、いずれかの前記第2のデータベースに存在すれば、該第2のデータベースに記述された生産・物流方策を、それまでに前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策に時間的に連続させて生産・物流スケジュールとし、
    前記第2のデータベースのいずれにも、前記新しい初期状態が存在しない場合、前記新しい初期状態を初期状態とする生産・物流方策を前記第1のデータベースから探索し、前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策の最終状態が前記えられた目標状態と一致すれば、今回前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策を、それまでに前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策に時間的に連続させて生産・物流スケジュールとし、
    今回前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策の最終状態が前記与えられた目標状態と一致しない場合、今回前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策の最終状態を新たに前記新しい初期状態として、当該第2のステップを繰り返す第2のステップとを有することを特徴とする請求項に記載の生産・物流スケジュール作成方法。
  5. 前記生産・物流スケジュールを作成するステップは、前記データベースからの生産・物流方策の探索と、前記生産・物流プロセスを模擬するシミュレータによるシミュレーションとを連動させて、前記シミュレータによるシミュレーションの結果を用いて生産・物流スケジュールを作成することを特徴とする請求項1に記載の生産・物流スケジュール作成方法。
  6. 前記生産・物流スケジュールを作成するステップは、
    予め設定した方策探索期間に基づいて、前記与えられた初期状態を初期状態とする生産・物流方策を前記データベースから探索する第1ステップと、
    前記第1ステップで探索した生産・物流方策を前記シミュレータに与えて、予め設定したシミュレーション期間に基づいてシミュレーションを実行する第2ステップと、
    前記第2ステップでのシミュレーションの結果のうち予め設定した確定期間の結果を生産・物流スケジュールとして確定する第3ステップと、
    前記第3ステップで前記確定期間内で前記シミュレーションにより得た状態が、前記えられた目標状態に一致するか否かを確認して、一致しなければ、前記確定期間の終了時点の直後を新たな立案開始時点として設定するとともに、前記確定期間の終了時点でシミュレーションにより得た最終状態を新たな初期状態とし、一致すれば、前記確定期間内で前記与えられた目標状態に一致するまでのシミュレーションの結果を生産・物流スケジュールとして確定し、それまでに確定したものとされた一連の生産・物流スケジュールを時間的に連続させて生産・物流スケジュールを完成させる4ステップとを有し、
    前記第4ステップで前記新たな初期状態が与えられると、前記第1ステップでは、前記方策探索期間に基づいて、前記データベースから前記新たな初期状態を初期状態とする生産・物流方策を探索し、前記第2ステップ以降の処理を繰り返すことを特徴とする請求項に記載の生産・物流スケジュール作成方法。
  7. 前記第1ステップでは、
    前記えられた初期状態を初期状態とする生産・物流方策を前記データベースから探索し、前記探索した生産・物流方策の最終状態が前記えられた目標状態と一致するか、前記方策探索期間の最終時点に達するかすれば前記探索を終了し、
    前記探索した生産・物流方策の最終状態が前記与えられた目標状態と一致せず、前記方策探索期間の最終時点に達しない場合、前記探索した生産・物流方策の最終状態を新しい初期状態とし、そこから始まる生産・物流方策を前記データベースから探索することを、最終状態が前記与えられた目標状態と一致するか、前記方策探索期間の最終時点に達するかするまで繰り返し、これにより探索した生産・物流方策を時間的に連続させることを特徴とする請求項に記載の生産・物流スケジュール作成方法。
  8. 前記データベースを作成するステップでは、
    前記所定の期間Nにおいて前記最適制御問題を解き、前記データベースを第1のデータベースとして作成するステップと、
    1から(N−1)までの複数の期間それぞれで、最終状態と目標状態との関係を含まない評価関数を用いるとともに、最終状態が拘束集合を満たす条件で最適制御問題を解き、生産・物流方策の集合である複数の第2のデータベースを作成するステップとを有し、
    前記第1ステップでは、
    前記第2のデータベースに、前記えられた初期状態が存在するか否かを1から(N−1)までの期間について順番に確認し、いずれかの前記第2のデータベースに存在すれば探索を終了するステップAと、
    前記第2のデータベースのいずれにも、前記えられた初期状態が存在しない場合、前記えられた初期状態を初期状態とする生産・物流方策を前記第1のデータベースから探索し、前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策の最終状態が前記えられた目標状態と一致するか、前記方策探索期間の最終時点に達するかすれば探索を終了するステップBと、
    前記探索した生産・物流方策の最終状態が前記えられた目標状態と一致せず、前記方策探索期間の最終時点に達しない場合、前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策の最終状態を新しい初期状態とするステップCと、
    前記第2のデータベースに、前記新しい初期状態が存在するか否かを1から(N−1)までの期間について順番に確認し、いずれかの前記第2のデータベースに存在すれば、該第2のデータベースに記述された生産・物流方策を、それまでに前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策に時間的に連続させるステップDと、
    前記第2のデータベースのいずれにも、前記新しい初期状態が存在しない場合、前記新しい初期状態を初期状態とする生産・物流方策を前記第1のデータベースから探索し、前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策の最終状態が前記与えられた目標状態と一致するか、前記方策探索期間の最終時点に達するかすれば前記探索を終了し、今回前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策を、それまでに前記第1のデータベースから探索した生産・物流方策に時間的に連続させる一方、前記えられた目標状態と一致せず、前記方策探索期間の最終時点に達しない場合、前記ステップCに戻るステップEとを行うことを特徴とする請求項に記載の生産・物流スケジュール作成方法。
  9. 前記データベースを作成するステップでは、操業上又は設備上のうち少なくともいずれかの制約条件を課して初期状態を限定して前記データベースを作成することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の生産・物流スケジュール作成方法。
  10. 前記制約条件を、前記モデルで各状態を表わす状態変数に含まれる所定の複数の変数の和が一定であるとする制約式、及び前記モデルで各状態を表わす状態変数に含まれる所定の変数が一定値であるとする制約式のうち少なくともいずれかで表現することを特徴とする請求項に記載の生産・物流スケジュール作成方法。
  11. 離散事象プロセスである生産・物流プロセスにおける生産・物流スケジュールを作成する生産・物流スケジュール作成装置であって、
    前記生産・物流プロセスの初期状態と目標状態との組み合わせについて、所定の期間において、前記生産・物流プロセスを表現するモデルについて拘束条件を有する状態方程式、及び最終状態と目標状態との関係を含む評価関数で表される最適制御問題を解くことにより作成された、初期状態と、最終状態と、該初期状態から該最終状態までの状態遷移を実現する最適な制御入力との組み合わせである生産・物流方策の集合であるデータベースを保持するデータベース保持手段と、
    与えられた初期状態及び目標状態に基づいて、前記データベースから生産・物流方策を探索して、生産・物流スケジュールを作成する生産・物流スケジュール作成手段とを備えたことを特徴とする生産・物流スケジュール作成装置。
  12. 離散事象プロセスである生産・物流プロセスにおける生産・物流スケジュールを作成するためのプログラムであって、
    前記生産・物流プロセスの初期状態と目標状態との組み合わせについて、所定の期間において、前記生産・物流プロセスを表現するモデルについて拘束条件を有する状態方程式、及び最終状態と目標状態との関係を含む評価関数で表される最適制御問題を解くことにより作成された、初期状態と、最終状態と、該初期状態から該最終状態までの状態遷移を実現する最適な制御入力との組み合わせである生産・物流方策の集合であるデータベースを保持するデータベース保持手段と、
    与えられた初期状態及び目標状態に基づいて、前記データベースから生産・物流方策を探索して、生産・物流スケジュールを作成する生産・物流スケジュール作成手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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