JP6447825B2 - 偏波無依存型光アイソレータ - Google Patents

偏波無依存型光アイソレータ Download PDF

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本発明は、磁性ガーネット単結晶により構成されたファラデー回転子と一対の楔形複屈折結晶板を用いた偏波無依存型光アイソレータに係り、特に、磁性ガーネット単結晶の光吸収に起因した温度上昇に伴う特性の劣化や破損を防止できかつ小型、軽量化も図れる偏波無依存型光アイソレータの改良に関するものである。
光通信に利用されている半導体レーザやレーザ加工等に利用されている固体レーザ等は、レーザ共振器外部の光学面や加工面で反射された光がレーザ素子に戻ってくるとレーザ発振が不安定になる。レーザ発振が不安定になると、光通信の場合は信号ノイズとなり、加工用レーザの場合はレーザ素子が破壊されてしまうことがある。このため、反射戻り光がレーザ素子に戻らないように遮断する光アイソレータが使用されており、半導体レーザモジュールに使用されるような偏波依存型光アイソレータと、光ファイバアンプの前後で用いられるような偏波無依存型光アイソレータとがある。
上記偏波無依存型光アイソレータとしては、図5(A)〜(B)に示すように、磁性ガーネット単結晶から成るファラデー回転子7と、該ファラデー回転子7の順方向入射側に配置された第1の楔形複屈折結晶板5と、順方向出射側に配置された第2の楔形複屈折結晶板9と、磁性ガーネット単結晶から成るファラデー回転子7を取り囲む永久磁石13とで構成されたものが知られている。
尚、図5(A)〜(B)中、符号2はコリメータレンズを示し、符号3はアパーチャー(第1のアパーチャー)を示している。
また、図5(A)は偏波無依存型光アイソレータの順方向に光(レーザ)が進むときの様子を示しており、コリメータレンズ2から出た光(レーザ)は、第1の楔形複屈折結晶板5に入射した後に常光と異常光に分離するが、ファラデー回転子7により偏光が45度回転させられ、かつ、第2の楔形複屈折結晶板9の光学軸が第1の楔形複屈折結晶板5と45度ずれているため、第2の楔形複屈折結晶板9においても常光は常光として、異常光は異常光として入射され、共に入射光と平行な光として第2の楔形複屈折結晶板9から出射、すなわち、偏波無依存型光アイソレータから出射される。
一方、逆方向からの光(戻り光)は、図5(B)に示すように第2の楔形複屈折結晶板9に入射した後に常光と異常光に分離され、分離した常光と異常光は第1の楔形複屈折結晶板5に到達するまで順方向と同じ経路を辿るが、ファラデー回転子にて45度回転させられた後は、第1の楔形複屈折結晶板5には常光は異常光として、異常光は常光として入射されるため第1の楔形複屈折結晶板5を出た光は平行光にはならず、コリメータレンズ2に結合しないことから光アイソレータとして機能する。
尚、図5(B)中、符号θbは一対の楔形複屈折結晶板5、9における楔部の角度を示し、符号θdは第1の楔形複屈折結晶板5から出射した戻り光(逆方向からの光)の常光若しくは異常光の光軸と上記楔形複屈折結晶板5に入射する入射光の光軸または該光軸と平行な水平軸とのなす角度を示している。
また、偏波無依存型光アイソレータにおいては、通常、偏光子に、ルチル、YVO、LiNbO等の楔形複屈折結晶板を使用し、2枚の楔形複屈折結晶板間に、ファラデー回転子として磁性ガーネット単結晶から成る平板を配置している。このファラデー回転子も偏光を45度回転させるように結晶の厚みが調整されており、2枚の楔形複屈折結晶板はそれ等光学軸の方位を互いに45度ずらして配置されている。尚、ファラデー回転子は、1枚の磁性ガーネット単結晶板で構成される場合と複数枚の磁性ガーネット単結晶板を用いて構成される場合がある。
尚、ファラデー回転子を構成する上記磁性ガーネット単結晶は、近赤外波長域、特に光通信で用いられる波長域付近(1.2μm〜1.7μm)において優れた光学的透明性を示し、数百mW程度であれば光の吸収に起因する温度上昇も少なく問題は殆ど無い。
しかし、上記波長域よりも短波長域、特にYAGレーザやYAGレーザの代替として注目されているファイバーレーザや光ファイバー増幅器の励起光のような1μm前後の波長域では、磁性ガーネット単結晶における光の吸収が大きくなり、数百mW級のレーザパワーでは無視できない程の温度上昇となる。
そこで、ファラデー回転子を構成する材料として磁性ガーネット単結晶を用いつつ高出力レーザ耐性を有する光アイソレータを実現させるため、磁性ガーネット単結晶の光学面に放熱用サファイア単結晶板を接合させることで温度上昇を抑制した偏波無依存型光アイソレータが特許文献1に記載されている。
特開2012−242591号公報
ところで、光アイソレータ前段に光ファイバー増幅器が配置される場合、光ファイバー増幅器の利得は一般に20dB程度であることから、光アイソレータのアイソレーションも20dB以上あれば、反射戻り光が100%全反射した場合であっても光ファイバー増幅器に入射する光と同じパワーとなるので、光ファイバーレーザ内のレーザ素子が破壊されることはなく安定動作が可能となる。
しかし、楔形複屈折結晶板を用いた偏波無依存型光アイソレータにおいては、光ファイバーレーザから出力されるレーザ光の波長1030nm〜1090nmに対してアイソレーションの波長依存性があることが知られており、そのアイソレーション特性は特定の波長でピークをもつ凸状に分布する。このため、波長1030nm〜1090nmの全範囲において20dB以上のアイソレーションとするにはピークアイソレーションを35dB以上とすることが望ましい。
そして、特許文献1に記載された偏波無依存型光アイソレータは、入射側の楔形複屈折結晶板を通過した常光と異常光の光軸がなす角度の垂直2等分線で表される仮想光のサファイア単結晶板への入射角度(特許文献1において符号θaと表示)と、磁性ガーネット単結晶の光学面に接合させたサファイア単結晶板のc面からのオフセット角度(特許文献1において符号θoffと表示)を特定範囲に設定することで高アイソレーションの光アイソレータを実現している。
但し、特許文献1に記載された偏波無依存型光アイソレータにおいては、図5(A)〜(B)に示すように入射光が第1の楔形複屈折結晶板5を通過した後、常光と異常光に分離されて拡がりつつ斜め方向に進むため、ファラデー回転子7の直径は入射光のビーム直径分だけでなく常光と異常光の分離距離も含めて十分に大きくする必要がある。このため、ファラデー回転子7とこれを取り囲む永久磁石13の小型化を図れないことから省コスト化が課題となっている。
更に、特許文献1に記載された偏波無依存型光アイソレータをファイバーレーザ最終段の出力3W以上の高出力用光アイソレータに使用した場合、従来の出力数百mWの光通信用光アイソレータに使用した場合と比較して光アイソレータに戻る反射戻り光の強度が格段に強いため、入射側光ファイバーのクラッドへ戻り光が例え結合しなくとも、戻り光が光ファイバーのクラッド近傍に照射されるだけで、その照射熱が部材を伝播して入射側光ファイバーの入り口側に配置されている光学系を損傷させる課題も存在した。
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、波長1.1μm以下、具体的には波長1030〜1090nmでかつ出力3W以上の高出力レーザ光を入射してもファラデー回転子の温度上昇並びに反射戻り光に起因した発熱による損傷を防止でき、安定かつ必要十分なアイソレーション特性が得られると共に、省コストで小型かつ軽量な偏波無依存型光アイソレータを提供することにある。
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
光路上に配置された一対のプリズムおよびその内側に配置された一対の楔形複屈折結晶板と、これ等楔形複屈折結晶板間の光路上に配置されかつ磁性ガーネット単結晶により構成されたファラデー回転子と、該ファラデー回転子の各光透過面に接合されたサファイア単結晶板を備え、隣り合う楔形複屈折結晶板の楔部とプリズムの頂角部が光路を挟んで反対側となるように配置される偏波無依存型光アイソレータであって、
一対の上記プリズムがBK7ガラスまたは石英ガラスで構成され、一対の上記楔形複屈折結晶板がYVO単結晶で構成されると共に、各サファイア単結晶板の光透過面が楔形複屈折結晶板の非傾斜光透過面と平行でかつサファイア単結晶板のc面からオフセットされるように形成されており、
上記楔形複屈折結晶板における楔部の角度(θb)が8.0度以上、16.0度以下の範囲に設定され、かつ、上記プリズムにおける頂角部の角度(θc)が10.6度以上、21.1度以下の範囲に設定されていると共に、上記楔形複屈折結晶板で分離された常光と異常光の光軸がなす角度の2等分線で表される仮想光がサファイア単結晶板に入射した後における仮想光の進む角度(θa3)とサファイア単結晶板におけるc面のオフセット角(θoff)が1.7度以上、4.5度以下の範囲から選択された同一角度に設定されていることを特徴とするものである。
また、本発明に係る第2の発明は、
第1の発明に記載の偏波無依存型光アイソレータにおいて、
ファラデー回転子を中央にして少なくとも一方のプリズムの外側光路上に配置されたコリメータレンズと当該プリズムとの光路間に、レーザビーム直径の1.5倍以上の孔径を有する高熱伝導性アパーチャーが配置されていることを特徴とし、
第3の発明は、
第1の発明または第2の発明に記載の偏波無依存型光アイソレータにおいて、
37.0dB以上のピークアイソレーション特性を備え、かつ、ファイバーレーザ用の光アイソレータに適用されることを特徴とするものである。
本発明に係る偏波無依存型光アイソレータは、
光路上に配置された一対のプリズムおよびその内側に配置された一対の楔形複屈折結晶板と、これ等楔形複屈折結晶板間の光路上に配置されかつ磁性ガーネット単結晶により構成されたファラデー回転子と、該ファラデー回転子の各光透過面に接合されたサファイア単結晶板を備え、隣り合う楔形複屈折結晶板の楔部とプリズムの頂角部が光路を挟んで反対側となるように配置される偏波無依存型光アイソレータであって、
一対の上記プリズムがBK7ガラスまたは石英ガラスで構成され、一対の上記楔形複屈折結晶板がYVO単結晶で構成されると共に、各サファイア単結晶板の光透過面が楔形複屈折結晶板の非傾斜光透過面と平行でかつサファイア単結晶板のc面からオフセットされるように形成されており、
上記楔形複屈折結晶板における楔部の角度(θb)が8.0度以上、16.0度以下の範囲に設定され、かつ、上記プリズムにおける頂角部の角度(θc)が10.6度以上、21.1度以下の範囲に設定されていると共に、上記楔形複屈折結晶板で分離された常光と異常光の光軸がなす角度の2等分線で表される仮想光がサファイア単結晶板に入射した後における仮想光の進む角度(θa3)とサファイア単結晶板におけるc面のオフセット角(θoff)が1.7度以上、4.5度以下の範囲から選択された同一角度に設定されていることを特徴としている。
そして、本発明に係る偏波無依存型光アイソレータによれば、光アイソレータに入射される光軸(入射光軸)と光アイソレータから出射される光軸(出射光軸)が略同一軸線上の狭い範囲内に収まり、かつ、楔形複屈折結晶板で分離された常光と異常光がサファイア単結晶板内のc面に略垂直となるように入射される構造になるため、光アイソレータに波長1.1μm以下で出力3W以上の高出力レーザ光が入射されてもファラデー回転子の温度上昇並びに反射戻り光に起因した発熱による損傷を防止でき、安定かつ必要十分なアイソレーション特性が得られると共に、省コストで小型かつ軽量な偏波無依存型光アイソレータを提供することが可能となる。
図1(A)は本発明に係る偏波無依存型光アイソレータの概略構成と順方向に光(レーザ)が進むときの光路を示す説明図、図1(B)は図1(A)の部分拡大図。 本発明に係る偏波無依存型光アイソレータの反射戻り光(レーザ)が進むときの光路を示す説明図。 反射戻り光(レーザ)を遮断するためのアパーチャー(第1のアパーチャー)と第1の楔形複屈折結晶板若しくは第1のプリズムとの距離L1、および、アパーチャーの孔径とレーザビーム直径Dとの関係等を示す説明図。 本発明に係る偏波無依存型光アイソレータの「アイソレータ入射端からの距離(mm)」と「入射光と出射光の位置(mm)」との関係を示すグラフ図。 図5(A)は従来例に係る偏波無依存型光アイソレータの概略構成と順方向に光(レーザ)が進むときの光路を示す説明図、図5(B)は反射戻り光(レーザ)が進むときの光路を示す説明図。 従来例に係る偏波無依存型光アイソレータの「アイソレータ入射端からの距離(mm)」と「入射光と出射光の位置(mm)」との関係を示すグラフ図。 偏波無依存型光アイソレータを構成する「楔形複屈折結晶板の楔角度(楔部の角度)」と「アイソレーションの最高値(dB)」との関係を示すグラフ図。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明は、波長1.1μm以下でかつ出力3W以上の高出力レーザ光が入射されてもファラデー回転子の温度上昇並びに反射戻り光に起因した発熱による損傷を防止でき、安定して必要十分なアイソレーション特性が得られ、更に、省コストで小型かつ軽量な偏波無依存型光アイソレータを提供することを目的とし、本発明者等が行った以下の「技術的検討」を経て完成されたものである。
「技術的検討」
(1)ファイバーコリメータ(光ファイバーとコリメータレンズ等の複合体)の反射戻り光による破壊の影響を少なくするための楔形複屈折結晶板における楔部の角度(θb)
波長1.1μm以下かつ出力3W以上の高出力レーザの反射戻り光による光学系の損傷を防止するため楔形複屈折結晶板における楔部の角度(θb)を検討した。
磁性ガーネット単結晶から成るファラデー回転子7、第1の楔形複屈折結晶板5、第2の楔形複屈折結晶板9および永久磁石13とで構成される図5(A)〜(B)に示した従来例に係る偏波無依存型光アイソレータの場合、反射戻り光はファラデー回転子7で45度回転するため、第1の楔形複屈折結晶板5に常光は異常光として、異常光は常光として入射されることから、第1の楔形複屈折結晶板5を出た常光および異常光は、第1の楔形複屈折結晶板5に入射する入射光の光軸または該光軸と平行な水平軸に対し、図5(B)に示す一定の角度(θd)が形成されるように屈折する。このため、反射戻り光が入射側光ファイバー(図示せず)に結合することはないが、反射戻り光の出力が2W程度になると、入射側光ファイバーの近傍に戻った反射戻り光による発熱の影響で、入射側光ファイバーとコリメータレンズとで構成される入射側ファイバーコリメータが破壊されてしまうことがある。
そこで、出力3W以上、例えば20Wの高出力レーザの反射戻り光が入射側光ファイバー近傍に戻った場合においても入射側ファイバーコリメータが破壊されないようにするため、楔形複屈折結晶板5から出射した戻り光(逆方向からの光)の常光若しくは異常光の光軸と楔形複屈折結晶板5に入射する入射光(順方向の光)の光軸または該光軸と平行な水平軸とのなす角度、すなわち、屈折角度(θd)は可能な限り大きくすることが望ましい。しかし、屈折角度(θd)はスネルの法則により決定されるため、楔形複屈折結晶板5における楔部の角度(θb)が大きい程、表1に示すように上記屈折角度(θd)は大きくなることから、入射側ファイバーコリメータに与える悪影響を小さくすることが可能となる。
Figure 0006447825
すなわち、反射戻り光による破壊の影響を少なくするためには、楔形複屈折結晶板5における楔部の角度(θb)が大きい程、好ましいことが確認される。
(2)反射戻り光を遮断するためのアパーチャー(第1のアパーチャー)と第1の楔形複屈折結晶板(第1のプリズム)との距離L1
良好な品質のレーザ光におけるビーム直径はガウス分布に従い、その直径はピーク強度から強度が1/e2(13.5%)に落ちたときの幅で一般に定義されるが、入射側の光ファイバーから出射したレーザ光は、光ファイバーの開口数NAに従った拡がり角をもってコリメータレンズに入射し、レンズの焦点距離f(mm)に見合う下記数式1に示すビーム直径(D)となる。
ビーム直径(D)=2×NA×f ・・・(数式1)
反射戻り光をアパーチャー(第1のアパーチャー)で遮断するためにはアパーチャー径を小さくする必要があるが、他方、アパーチャー(第1のアパーチャー)を通過する入射光(順方向の光)を損失なく透過させるにはアパーチャー径は大きい方が望ましく、損失を0.1dB(透過率97.7%)に抑えるにはアパーチャー径をガウス分布でいうところの4σに相当する入射光ビーム直径Dの更に1.5倍の6σとする必要がある。
従って、図5(A)〜(B)に示すアパーチャー(第1のアパーチャー)3の直径をビームDの1.5倍とすると、反射戻り光がアパーチャー(第1のアパーチャー)3で完全に遮られるためには、以下の数式2を満足する必要がある。
L1>[2.5D/2]÷tan(θd)・・・(数式2)
因みに、上記数式2は、反射戻り光(レーザ)を遮断するためのアパーチャー(第1のアパーチャー)3と第1の楔形複屈折結晶板(プリズムが設けられる場合は第1のプリズム)5との距離L1、および、アパーチャーの孔径とレーザビーム直径Dとの関係等を示す図3の説明図から求められる。
すなわち、L1×tan(θd)>1.5D/2+D/2=2.5D/2より、
L1>[2.5D/2]÷tan(θd)・・・(数式2)
例えば、ビーム直径(D)が0.6mmの場合、アパーチャー(第1のアパーチャー)3と第1の楔形複屈折結晶板(プリズムが設けられる場合は第1のプリズム)5との距離L1は、以下の表2中に示す数値以上の距離が必要で、第1の楔形複屈折結晶板における楔部の角度(θb)は可能な限り大きい方が距離L1を小さくできるため、光アイソレータの小型化および軽量化に有利となる。
Figure 0006447825
すなわち、光アイソレータの小型化および軽量化を図るには、楔形複屈折結晶板5における楔部の角度(θb)が大きい程、好ましいことが確認される。
(3)ファラデー回転子の大きさを最小とするプリズムにおける頂角部の角度(θc)
前記(1)に記載したように第1の楔形複屈折結晶板5における楔部の角度は、可能な限り大きい方が反射戻り光の入射側光学系に与える影響を小さくすることができる。しかし、図5(A)〜(B)に示した従来例に係る偏波無依存型光アイソレータにおいては、該光アイソレータ中を進む入射光と反射戻り光の光線図が図6のようになり、第1の楔形複屈折結晶板における楔部の角度(θb)を10度かつ楔形複屈折結晶板における入射光の位置を0mmとした場合、ファラデー回転子中の光の下限位置は−1.4mm(図6参照)となることから、ファラデー回転子の大きさは以下の数式3で示される数値が最少となり、これがファラデー回転子の大きさを決めている。
ファラデー回転子の大きさ(mm)=1.5×D+1.4・・・(数式3)
例えば、ビーム直径D(4σ)が0.6mmである場合、ファラデー回転子を通過するときの透過率を97.7%(0.1dB)以上とするには、0.6mmの1.5倍、つまり0.9mmの大きさが必要であり、数式3を適用するとファラデー回転子の大きさ(mm)は「0.9+1.4=2.3mm」となる。
前記(1)、(2)に記載の技術的検討からは、第1の楔形複屈折結晶板5における楔部の角度(θb)は、可能な限り大きい方が反射戻り光の入射側光学系に与える影響を小さくできる上、アパーチャー(第1のアパーチャー)と第1の楔形複屈折結晶板(プリズムが設けられる場合は第1のプリズム)との距離L1が短くなるため小型化に有利であることが確認されたが、その反面、楔形複屈折結晶板5における楔部の角度(θb)が大きい程、ファラデー回転子は大きくなってしまうことが分る。すなわち、楔形複屈折結晶板5における楔部の角度(θb)を大きくし過ぎると、光の屈折による光軸のシフト量(移動量)が大きくなるため、楔形複屈折結晶板やファラデー回転子のサイズを大きくする必要がある分、省コスト化を難しくしている。
そこで、上記楔部の角度(θb)が大きい楔形複屈折結晶板を適用した場合においてもファラデー回転子が大きくならない対策として、図1(A)に示すようにファラデー回転子7を中央にして第1の楔形複屈折結晶板5と第2の楔形複屈折結晶板9の外側光路上に一対のプリズム(第1のプリズム4と第2のプリズム10)を配置する方法を検討した。すなわち、第1の楔形複屈折結晶板5と第2の楔形複屈折結晶板9の外側光路上に第1のプリズム4と第2のプリズム10を組み込むことにより、第1の楔形複屈折結晶板5における入射光の位置を0mmとした場合でも、第1の楔形複屈折結晶板5における出射光の位置を0mmとすることができれば、偏波無依存型光アイソレータ中を進む入射光と反射戻り光の光線図は、図4に示すように入射光軸(光アイソレータに入射される光軸)と出射光軸(光アイソレータから出射される光軸)が略同一軸線上の狭い範囲内に収まるようなグラフ図になるため、光の屈折による光軸のシフト量があっても楔形複屈折結晶板やファラデー回転子のサイズを大きくする必要はない。つまり、所定角度(θc)の頂角部を有するプリズムを組み込むことにより、楔形複屈折結晶板5における楔部の角度(θb)が大きくなっても楔形複屈折結晶板やファラデー回転子のサイズを大きくする必要がなくなるため、光アイソレータの小型、軽量化を図ることが可能となる。
例えば、第1の楔形複屈折結晶板5における楔部の角度(θb)が12度でかつ楔形複屈折結晶板における入射光の位置を0mmとした場合、ファラデー回転子中における光の下限位置は図4に示すように−0.4mm(図6においては−1.4mm)となることから、ファラデー回転子の大きさは以下の数式4で示される数値が最少となり、ビーム直径D(4σ)が0.6mmである場合、ファラデー回転子を通過するときの透過率を97.7%(0.1dB)以上とするには、0.6mmの1.5倍、つまり0.9mmの大きさが必要であり、以下に示す数式4を適用するとファラデー回転子の大きさ(mm)は「0.9+0.4=1.3mm」となる。
ファラデー回転子の大きさ(mm)=1.5×D+0.4・・・(数式4)
そして、従来例に係る偏波無依存型光アイソレータのファラデー回転子と、第1のプリズム4並びに第2のプリズム10が組み込まれた偏波無依存型光アイソレータのファラデー回転子の面積を比較すると、従来例に係る偏波無依存型光アイソレータのファラデー回転子が2.3mm角であったのに対し、第1のプリズム4並びに第2のプリズム10が組み込まれた偏波無依存型光アイソレータのファラデー回転子では1.3mm角となり、これを面積比で比較すると従来比で1/3まで小さくできることから、適正な角度(θc)の頂角部を有するプリズムを組み込むことは、ファラデー回転子のサイズを小さくできかつ省コスト化に有利であることが確認できる。
入射光軸(光アイソレータに入射される光軸)と出射光軸(光アイソレータから出射される光軸)のずれを0mmにすることができる第1の楔形複屈折結晶板5における楔部の角度(θb)と、第1のプリズム4における頂角部の角度(θc)の例を表3に示す。
Figure 0006447825
(4)高い消光比とするためのサファイア単結晶板のc面のオフセット角度(θoff)
上述したようにファラデー回転子に磁性ガーネット単結晶を用いつつ高出力レーザ耐性を有する光アイソレータを実現させるため、磁性ガーネット単結晶の光学面に放熱用サファイア単結晶板を接合させ、かつ、サファイア単結晶板のc面をオフセットさせることによってアイソレーションの劣化を防止する方法が特許文献1に示されている。
一方、前記(3)に記載の技術的検討から、第1の楔形複屈折結晶板5における楔部の角度(θb)と第1のプリズム4における頂角部の角度(θc)が決まると、入射側の楔形複屈折結晶板で分離された常光と異常光のサファイア単結晶板中の進路が定まるが、上記楔部の角度(θb)ごとにサファイア単結晶板中における常光の光軸角度(θa1)、異常光の光軸角度(θa2)および常光と異常光の光軸がなす角度の2等分線で表される仮想光の光軸がサファイア単結晶板中を進む角度(θa3)の数値が変わることから、高い消光比のファラデー回転子とするためには、サファイア単結晶板におけるc面のオフセット角度(θoff)を上記仮想光の光軸がサファイア単結晶板中を進む角度(θa3)と一致させ、これにより常光と異常光がサファイア単結晶板のc面へ略垂直に入射されるようにしてサファイア単結晶基板における複屈折の影響を受け難くすることが望ましい。
尚、上記仮想光の光軸がサファイア単結晶板中を進む角度(θa3)と、常光の光軸角度(θa1)、および、異常光の光軸角度(θa2)は、数式5に示す関係となる。
θa3=(θa1+θa2)/2 ・・・(数式5)
Figure 0006447825
すなわち、高い消光比とするためには、楔形複屈折結晶板で分離された常光と異常光の光軸がなす角度の2等分線で表される仮想光がサファイア単結晶板に入射した後における仮想光の進む角度(θa3)とサファイア単結晶板におけるc面のオフセット角(θoff)を同一角度に設定することが好ましいことが確認される。
(5)高いピークアイソレーションとするための楔形複屈折結晶板における楔角度(楔部の角度θb)
次に、前記(4)で検討された常光の光軸角度(θa1)、異常光の光軸角度(θa2)および仮想光の光軸がサファイア単結晶板中を進む角度(θa3)の関係を示す上記数式5に基づいて光アイソレータのピークアイソレーションの推定が可能となることからその技術的検討を行った。
常光と異常光の光軸がなす角度の2等分線で表される仮想光の光軸がサファイア単結晶板中を進む角度(θa3)とサファイア単結晶板におけるc面のオフセット角度(θoff)とが一致する高い消光比とする条件において光アイソレータを構成した場合、そのピークアイソレーションは以下の数式6を適用することで求めることができる。
ピークアイソレーション=
−10log(1−cos[(θa2−θa1)/2])・・・(数式6)
そして、上記楔形複屈折結晶板における楔部の角度(θb)を4度から24度まで変化させた場合のピークアイソレーションを上記数式6から求めると、表5と図7のグラフ図に示されているように47.3dBから34.9dBの範囲となる。
ピークアイソレーションは上述したように35dB以上であることが望ましいことから、表5に示す楔形複屈折結晶板における楔部の角度(θb)は20度を超えない範囲が好適であることが確認され、この結果、表4の角度(θb)=16.0°欄から上記仮想光の光軸がサファイア単結晶板中を進む角度(θa3)とサファイア単結晶板におけるc面のオフセット角度(θoff)は「4.5°以下」とすることが好ましい。また、上記仮想光の光軸がサファイア単結晶板中を進む角度(θa3)とオフセット角度(θoff)の下限値は、後述する比較例1により楔形複屈折結晶板における楔部の角度(θb)が4.0°を超える範囲が好適であることが確認されていることから、表4の角度(θb)=8.0°欄から「1.7°」が好ましい。
Figure 0006447825
すなわち、高いピークアイソレーションとするための楔形複屈折結晶板における楔角度(楔部の角度θb)は8.0度以上、16.0度以下が好ましく、上記楔角度の条件と表3の角度(θc)欄から、プリズムにおける頂角部の角度(θc)は10.6度以上、21.1度以下が好ましく、更に、常光と異常光の光軸がなす角度の2等分線で表される仮想光の光軸がサファイア単結晶板中を進む角度(θa3)とサファイア単結晶板におけるc面のオフセット角度(θoff)は上述したように1.7度以上、4.5度以下の範囲から選択された同一角度に設定することが好ましい。
以下、本発明の実施例について比較例も挙げて具体的に説明する。
[実施例1]
ファラデー回転子を構成する磁性ガーネット単結晶7(図1参照)は、液相エピタキシャル法で育成したもので、ファラデー回転角が45度となるように研磨により厚みが調整されている。
楔形複屈折結晶板としては、楔角度(楔部の角度θb)が12度のYVO単結晶(YAGレーザの波長1.06μmの光に対し常光の屈折率n=1.96、異常光の屈折率n=2.16)を選定し、ファラデー回転子の大きさを最小とするための技術的検討から求めたプリズム角度(頂角部における角度θc)が15.8度のBK7を組み合わせると、楔形複屈折結晶板で分離された常光はサファイア単結晶板中を角度θa1が1.9度、異常光は角度θa2が4.2度で進む。これ等の光軸がなす角度の2等分線で表される仮想光のサファイア単結晶板中への入射角θa3[図1(B)参照]が3.1度となることから、サファイア単結晶のc面の角度θoffを入射角θa3と同一の3.1度に調整した磁性ガーネット結晶とサファイア単結晶板からなるファラデー回転子を作り、それを組み込んで実施例1に係る光アイソレータコアを製作した。
尚、磁性ガーネット単結晶7は1個でファラデー回転角が15度となるように研磨したものであって、それらは間を置いて3個配置されかつ3個の各磁性ガーネット単結晶における光透過面には上記サファイア単結晶板が接合されており、3個のファラデー回転角の合計が45度となっている。3個に分割することで高出力レーザ入射時に発生する発熱を従来の1か所から3か所に分散し、これにより放熱性が高められることで高出力レーザ入射の熱からファラデー回転子の破壊を防止する工夫がなされている。
実施例1に係る光アイソレータコアは、図1に示す部品(符号4で示す第1のプリズムから符号11で示すビームシフターおよび符号13で示す永久磁石)が組み立てられたものであり、光ファイバー1、コリメータレンズ2およびアパーチャー3、12は含んでいない。
この光アイソレータコアにビーム直径Dが0.6mmで波長1064nmかつ出力1mWのレーザを照射したところ、実測値で挿入損失が0.5dBの特性(表6参照)が得られた。一般に、磁性ガーネット単結晶の損失は0.5dB前後であり、前記技術的検討に従うことにより入射光はアイソレータコア中を損失無く進むことが確認されている。また、この光アイソレータコアにビーム直径Dが0.6mmで波長1064nmかつ出力20Wのレーザを照射したところ挿入損失は1.5dBとなる特性が得られた。
磁性ガーネット単結晶をファラデー回転子とする図5(A)〜(B)に示す従来の光アイソレータコアでは破壊を免れない程のレーザ出力であったにもかかわらず、実施例1に係る光アイソレータコアであれば正常に動作することを確認している。また、出射ビームの真円度が98%と高く、外形の全長が20mmと小型化も実現できている。
Figure 0006447825
次に、上記光アイソレータコアに、図1に示す光ファイバー1、コリメータレンズ2、アパーチャー3からなるファイバーコリメータと出射側のアパーチャー12を組み込み、ピグテイル型光アイソレータを作製した。
光ファイバーの種類に制約はなく、標準的な単一モードファイバーやラージモードエリア(LMA)ファイバー等の各種光ファイバーを適用できるが、本実施例1においては開口数が0.07、コア直径が25μm、クラッド直径が250μmのLMAファイバーを用いた。LMAファイバーと焦点距離4.3mmの非球面レンズとを組み合わせてビーム直径Dが0.6mmとなるように調整してファイバーコリメータを製作し、前記光アイソレータコアにこのファイバーコリメータを固着して組み立てた。
ファイバーコリメータのアパーチャーと出射側アパーチャーのアパーチャー径はビーム直径の1.5倍である0.9mmとした。尚、固着には、光学部品用の接着剤を用いたが、ねじ止め、はんだ付け、レーザ溶接等の方法も可能である。
そして、前記ファイバーコリメータから波長1064nmかつ出力1mWのレーザを照射したところ、実測値では挿入損失が0.5dBであり、同じく出力20Wのレーザ照射では挿入損失が1.5dBであった。
また、ファイバーコリメータを固着した側と反対方向の出射側から、出力1mWのレーザ光と出力20Wのレーザ光を照射し、アイソレーションを評価したところ、どちらの場合も37dBであり、必要かつ十分である35dB以上のアイソレーション特性が確認されている。
更に、本実施例1に係るピグテイル型光アイソレータでは、全長70mmの小型化を実現できた。具体的に説明すると、光アイソレータコア長さが20mm、第1のアパーチャー3と第1のプリズム4との距離が20mm、図1に示す光ファイバー1、コリメータレンズ2、第1のアパーチャー3から成るファイバーコリメータ長さが30mmの合計長さで構成されている。
Figure 0006447825
更に、入射側にのみファイバーコリメータを付けたピグテイル型光アイソレータの第2のアパーチャー12に替えて、出射側にも入射側と同じファイバーコリメータを設置することで、インライン型光アイソレータを組み立て、評価した。
インライン型光アイソレータとは、光アイソレータコアを中心とし、そのレーザ入射側と出射側にアパーチャー、コリメータレンズおよび光ファイバーからなるファイバーコリメータを配置して成るもので、光ファイバーとコリメータレンズを通して光アイソレータコアへ入射した光を出射側に配置した光ファイバーから取り出すように構成したものである。
インライン型光アイソレータでは、光ファイバーから入射した光を再び光ファイバーに集光して出射させることから、前記光ファイバーコアや入射側にのみ光ファイバーを付けた光アイソレータと較べて、出射側光ファイバーにレーザ光を結合する際に失うレーザ出力分だけ挿入損失が悪化する。このため、LMAファイバーとレンズの組み合わせから成るファイバーコリメータにおける結合損失の実測値「0.5dB」が損失として上乗せされることになる。本実施例に係るインライン型光アイソレータの挿入損失は、前記損失を加えた分だけ悪化していることが表8の実測結果から確認できており、インライン型光アイソレータとしては従来品と比較しても全く問題がないことを確認している。
尚、インライン型光アイソレータの全長は100mmであり、その内訳は、光アイソレータコア長さが20mm、第1のアパーチャーと第1のプリズムとの距離が20mm、図1に示す光ファイバー1、コリメータレンズ2、アパーチャー3から成る入射側ファイバーコリメータ長さが30mm、かつ、同出射側ファイバーコリメータ長さ30mmの合計長さで構成されており、小型化が実現されている。
Figure 0006447825
[比較例1]
楔形複屈折結晶板として楔角度(楔部の角度θb)が4.0度のYVO単結晶、ファラデー回転子の大きさを最小とするプリズム角度(頂角部における角度θc)が5.4度のBK7ガラス、および、サファイア単結晶板におけるc面のオフセット角度(θoff)をサファイア単結晶板中への仮想光の入射角θa3と同一の1.1度に調整した磁性ガーネット結晶とサファイア単結晶板からなるファラデー回転子が適用された点を除き実施例1と同様にして、入射側にのみファイバーコリメータが付けられた比較例1に係るピグテイル型光アイソレータを組み立てた。
比較例1に係るピグテイル型光アイソレータの評価結果を以下の表9に示す。
Figure 0006447825
実施例1に係るピグテイル型光アイソレータと較べた場合、挿入損失は同一の特性が得られており良好で、アイソレーションは43dBに向上していることが確認された。高いアイソレーションは光アイソレータにとって重要な要素ではある一方、ピグテイル型光アイソレータの全長が110mmとなっており、小型かつ軽量化を満足するものではなかった。
尚、比較例1に係るピグテイル型光アイソレータの全長(110mm)を説明すると、光アイソレータコア長さが20mm、第1のアパーチャーと第1のプリズムとの距離が60mm、光ファイバー1、コリメータレンズ2、第1のアパーチャー3から成るファイバーコリメータ長さが30mmの合計長さで構成されている。
[比較例2]
楔形複屈折結晶板として楔角度(楔部の角度θb)が20.0度のYVO単結晶、ファラデー回転子の大きさを最小とするプリズム角度(頂角部における角度θc)が26.3度のBK7ガラス、および、サファイア単結晶板におけるc面のオフセット角度(θoff)をサファイア単結晶板中への仮想光の入射角θa3と同一の5.2度に調整した磁性ガーネット結晶とサファイア単結晶板からなるファラデー回転子が適用された点を除き実施例1と同様にして、入射側にのみファイバーコリメータが付けられた比較例2に係るピグテイル型光アイソレータを組み立てた。
比較例2に係るピグテイル型光アイソレータの評価結果を以下の表10に示す。
Figure 0006447825
実施例1に係るピグテイル型光アイソレータと較べた場合、挿入損失は同一の特性が得られており良好で、アイソレーションは29dBに低下したことが確認された。
楔形複屈折結晶板を用いた偏波無依存型光アイソレータにおいては、光ファイバーレーザから出力する波長1030nm〜1090nmのレーザ光に対しアイソレーションの波長依存性があることが知られており、そのアイソレーション特性は特定波長でピークをもつ凸状に分布している。そして、波長1030nm〜1090nmの全範囲で20dB以上のアイソレーションとするためには、上述したようにピークアイソレーションを35dB以上にする必要があり、比較例2に係るピグテイル型光アイソレータの「29dB」というピークアイソレーションの場合、安定かつ十分なアイソレーション特性が実現されていないことから、ピグテイル型光アイソレータの全長が65mmと小型かつ軽量化を満足したとしても意味がないことである。
尚、比較例2に係るピグテイル型光アイソレータの全長(65mm)を説明すると、光アイソレータコア長さが20mm、第1のアパーチャーと第1のプリズムとの距離が15mm、光ファイバー1、コリメータレンズ2、第1のアパーチャー3から成るファイバーコリメータ長さが30mmの合計長さで構成されている。
本発明に係る偏波無依存型光アイソレータによれば小型化と低コスト化を両立することができる上、1.1μm以下の波長で出力3W以上の高出力レーザ光が入射されても光アイソレーション特性の低下が少ないことから光通信や光計測およびレーザ加工等における高出力レーザ用の光アイソレータとして広く利用される産業上の利用可能性を有している。
1 光ファイバー
2 コリメータレンズ
3 第1のアパーチャー
4 第1のプリズム
5 第1の楔形複屈折結晶板
6 第1のサファイア単結晶板
7 磁性ガーネット単結晶(ファラデー回転子)
8 第2のサファイア単結晶板
9 第2の楔形複屈折結晶板
10 第2のプリズム
11 ビームシフター
12 第2のアパーチャー
13 永久磁石
14 サファイア単結晶板のC面
100 楔形複屈折結晶板の非傾斜光透過面
200 サファイア単結晶板の光透過面
300 常光と異常光の光軸がなす角度の2等分線で表される仮想光の光軸
L1 第1のアパーチャーと第1の楔形複屈折結晶板との距離
θa1 常光の光軸がサファイア単結晶板中を進む角度
θa2 異常光の光軸がサファイア単結晶板中を進む角度
θa3 常光と異常光の光軸がなす角度の2等分線で表される仮想光の光軸がサファイア単結晶板中を進む角度
θb 楔形複屈折結晶板における楔角度(楔部の角度)
θc プリズムにおける頂角部の角度
θd 戻り光の常光若しくは異常光の光軸と楔形複屈折結晶板に入射する入射光の光軸または該光軸と平行な水平軸とのなす角度(屈折角度)
θoff サファイア単結晶板のC面のオフセット角度

Claims (3)

  1. 光路上に配置された一対のプリズムおよびその内側に配置された一対の楔形複屈折結晶板と、これ等楔形複屈折結晶板間の光路上に配置されかつ磁性ガーネット単結晶により構成されたファラデー回転子と、該ファラデー回転子の各光透過面に接合されたサファイア単結晶板を備え、隣り合う楔形複屈折結晶板の楔部とプリズムの頂角部が光路を挟んで反対側となるように配置される偏波無依存型光アイソレータであって、
    一対の上記プリズムがBK7ガラスまたは石英ガラスで構成され、一対の上記楔形複屈折結晶板がYVO単結晶で構成されると共に、各サファイア単結晶板の光透過面が楔形複屈折結晶板の非傾斜光透過面と平行でかつサファイア単結晶板のc面からオフセットされるように形成されており、
    上記楔形複屈折結晶板における楔部の角度(θb)が8.0度以上、16.0度以下の範囲に設定され、かつ、上記プリズムにおける頂角部の角度(θc)が10.6度以上、21.1度以下の範囲に設定されていると共に、上記楔形複屈折結晶板で分離された常光と異常光の光軸がなす角度の2等分線で表される仮想光がサファイア単結晶板に入射した後における仮想光の進む角度(θa3)とサファイア単結晶板におけるc面のオフセット角(θoff)が1.7度以上、4.5度以下の範囲から選択された同一角度に設定されていることを特徴とする偏波無依存型光アイソレータ。
  2. ファラデー回転子を中央にして少なくとも一方のプリズムの外側光路上に配置されたコリメータレンズと当該プリズムとの光路間に、レーザビーム直径の1.5倍以上の孔径を有する高熱伝導性アパーチャーが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の偏波無依存型光アイソレータ。
  3. 37.0dB以上のピークアイソレーション特性を備え、かつ、ファイバーレーザ用の光アイソレータに適用されることを特徴とする請求項1または2に記載の偏波無依存型光アイソレータ。
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