JP6443149B2 - 画像処理装置 - Google Patents
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操作性の向上と製造コストの低減とを両立させるための工夫の1つとしては、既存のセンサーに本来の検出対象に加えて、別の対象をも検出させる技術が知られている。たとえば、特許文献5に開示された携帯電話は、タッチパネルに受話部へのユーザーの接触を検出させることにより、通話中であるか否かを判別する。
判別部は、計測部の計測した3次元座標が検出部から閾値以下の距離に位置する場合には、その3次元座標に位置する物体が指示体であると判別し、その3次元座標が検出部から閾値を超えた距離に位置する場合には更にその3次元座標の時間的変化を観察し、その時間的変化の幅が所定値以下であればその3次元座標に位置する物体が導電部材であると判別してもよい。
[画像処理装置の外観]
図1の(a)は、本発明の実施形態による画像処理装置の外観を示す斜視図である。この画像処理装置100は胴内排紙型の複合機(multi-function peripheral:MFP)であり、スキャナー、カラーコピー機、およびカラーレーザープリンターの機能を併せ持つ。図1の(a)を参照するに、このMFP100の筐体の上面には自動原稿送り装置(auto document feeder:ADF)110が開閉可能に装着されている。ADF110の直下に位置する筐体の上部にはスキャナー120が内蔵され、下部にはプリンター130が内蔵され、更にその底部には複数段の給紙カセット140が引き出し可能に取り付けられている。スキャナー120とプリンター130との間には隙間GAPが開けられ、その中に排紙トレイ150が配置されている。この隙間GAPの奥には排紙口131が設置され、そこから排紙トレイ150へシートが排紙される。隙間GAPの横に位置する筐体の前面部分には操作パネル160が取り付けられている。操作パネル160の前面にはタッチパネル161が埋め込まれ、その周囲に各種の機械的な押しボタン162が配置されている。このタッチパネル161には、タッチパッドと薄膜ディスプレイとに加え、電界型3Dジェスチャーセンサーの電極が積層されている。
図1の(b)は、この操作パネル160の側面図である。図1の(b)を参照するに、この操作パネル160は水平面に対する傾きが可変である。具体的には、操作パネル160の背面163は、MFP100の筐体101から前方に突出したヒンジ部102に揺動可能に接続されている。この背面163はレバー164を含む。ユーザーにこのレバー164を引かせることにより操作パネル160は、ヒンジ部102を水平方向(図1の(b)では紙面の法線方向)に貫く仮想的な軸のまわりに上下方向(図1の(b)では紙面の縦方向)に揺動する。この揺動に伴い、操作パネル160の前面に埋め込まれたタッチパネル161は、その画面がほぼ水平な姿勢(図1の(b)は実線で示す。)から、その画面が水平面に対して角度θだけ傾斜した姿勢(図1の(b)は一点鎖線で示す。)へ変化する。この角度、すなわち傾斜角θはたとえば約0°から約90°までの範囲で調節可能である。
[画像処理装置の電子制御系統]
図3は、MFP100の電子制御系統の構成を示すブロック図である。図3を参照するにこの系統では、画像形成部10、操作部20、画像入力部26、および主制御部30がバス40を通して互いに通信可能に接続されている。
画像形成部10は画像データに基づいてシートに画像を形成する要素であり、給送部11、作像部12、定着部13、および排紙部14を含む。給送部11は搬送ローラー群を利用して給紙カセット140からシートを1枚ずつ作像部12へ給送する。作像部12は給送部11から送られたシートの上にトナー像を形成する。定着部13は作像部12から送り出されたシートの上にトナー像を熱定着させる。排紙部14はトナー像が定着したシートを排紙トレイ150へ排紙する。
操作部20はMFP100に実装された入力装置(UI)であり、ユーザーのジェスチャー等からユーザーの操作を解釈して主制御部30に通知する。操作部20は、操作パネル160を含む。操作パネル160は、検出部21、計測部22、判別部23、制御部24、および表示部25を含む。
画像入力部26はスキャナー120に加え、メモリーインタフェース(I/F)27とネットワーク(LAN)I/F28とを含む。スキャナー120は光学機器を利用して、ADF110が取り込んだ原稿、またはその下の原稿台に置かれた原稿に光を照射し、その反射光の強度分布から、文字、図柄、または写真を読み取って画像データに変換する。メモリーI/F27は、USBポート、メモリーカードスロット等の映像入力端子を通して、USBメモリー、ハードディスクドライブ(HDD)等の外付けの記憶装置から印刷対象の画像データを読み込み、またはそれらの記憶装置へスキャナー120で取り込んだ画像データを書き出す。LANI/F28は外部のLANに有線または無線で接続され、そのLAN上の電子機器から印刷対象の画像データを取得し、またはその電子機器へスキャナー120で取り込んだ画像データを送出する。
主制御部30は、MFP100の内部に設置された1枚の印刷回路基板に実装された電子回路である。図3を参照するに主制御部30は、CPU31、RAM32、およびROM33を含む。CPU31は各種ファームウェアを実行することにより、他の要素10、20に対する制御主体としての多様な機能を実現する。たとえば、CPU31は操作部20に操作画面等のGUI画面を表示させてユーザーの入力操作を受け付けさせる。この入力操作に応じてCPU31は、稼動モード、待機モード、スリープモード等、MFP100の動作モードを決定し、その動作モードに応じた処理を各要素10、20に指示する。RAM32は、CPU31がファームウェアを実行する際の作業領域をCPU31に提供すると共に、操作部20が受け付けた印刷対象の画像データを保存する。ROM33は書き込み不可の半導体メモリー装置と、EEPROM等の書き換え可能な半導体メモリー装置またはHDDとを含む。前者はファームウェアを格納し、後者はCPU31に環境変数等の保存領域を提供する。
図4は、操作パネル160の電子制御系統を示すブロック図である。図4を参照するに検出部21は、タッチパネル161、タイミング生成部411、送信部412、および受信部413を含む。タッチパネル161は、タッチパッド4P、LCD4D、および電極群4T、4N、4S、4E、4Wを含む。これらは印刷回路基板(PCB)4Gに積層されている。タイミング生成部411、送信部412、および受信部413は、操作パネル160に内蔵の印刷回路基板に実装された電子回路である。この基板には更に、AD変換部42、計測部22、判別部23、制御部24、および通信部44が実装されている。特に、計測部22、判別部23、および制御部24はそれぞれ、信号処理回路の含む1つのモジュールとして構成されている。制御部24は更にサブモジュールとして、タッチ監視部431、表示制御部432、ボタン監視部433、ジェスチャー解釈部434、および傾斜角推測部435を含む。
ボタン監視部433は、図1の示す操作パネル160上の各種の押しボタン162が押下されたか否かを監視する。いずれかの押しボタン162が押下されたとき、ボタン監視部433はそのボタンを識別し、印刷の開始、停止等、そのボタンに対応付けられた処理を解釈し、それに関する操作情報を生成して主制御部30へ通知する。
[電界型3Dジェスチャーセンサーの構造と原理]
図5の(a)は電界型3Dジェスチャーセンサー410の電極群4T、4N、4S、4E、4Wの平面図であり、(b)は、(a)の示す直線b−bに沿った断面の一部の拡大図である。図5の(a)、(b)を参照するに、PCB4Gは矩形状であり、その表面に第1絶縁層51、送信電極4T、第2絶縁層52、および4つの受信電極4N、4S、4E、4Wが下から順に積層されている。第1絶縁層51、送信電極4T、および第2絶縁層52はPCB4Gの表面に同じ平面形状で広がっている。第1絶縁層51はPCB4Gから送信電極4Tを電気的に分離し、第2絶縁層52は送信電極4Tから受信電極4N、…、4Wを電気的に分離している。受信電極4N、…、4Wは、第2絶縁層52の表面上に広がる仮想的な矩形領域の各辺に1つずつ分離して配置されている。いずれの受信電極4N、…も細い帯状であり、その矩形領域の辺に沿って伸びている。
図7の(a)は、電界型3Dジェスチャーセンサー410で検出可能な接地導体の3次元座標の範囲を示す側面図である。図7の(a)を参照するに、この範囲は、タッチパネル161の画面に面した空間URG(以下、「表側空間」と呼ぶ。)だけでなく、タッチパネル161を隔ててその反対側に広がる空間LRG(以下、「裏側空間」と呼ぶ。)にも及ぶ。これは、図6の(a)が示すとおり、送信電極4Tの生成する電界EFLが表側空間URGだけでなく裏側空間LRGにも広がることによる。
図7の(b)は、3Dジェスチャーセンサー410による検出で識別可能な接地導体の3次元座標の仮想的な範囲を示す側面図である。図7の(b)を参照するに、この仮想的な範囲のいずれの1点にも、図7の(a)の示す表側空間URGの1点(X0、Y0、Z0)と、タッチパネル161の表面に対する裏側空間LRGの対称点(X0、Y0、−Z0)との2点が対応する。これは、これらの2点が識別不能であることを意味する。
[判別部によるユーザーのジェスチャーと操作パネルの揺動との判別]
図8の(a)は、電界型3Dジェスチャーセンサー410で検出可能な接地導体の3次元座標の範囲内に設定された監視対象の空間を示す模式図である。図8の(a)を参照するに、この監視対象の空間は、第1領域RGA、第2領域RGB、および第3領域RGCから構成される。第1領域RGAは、図7の(a)の示す表側空間URGのうち仮想的平面BNA(Z=ZB)よりもタッチパネル161の表面(Z=0)に近い領域であり、第3領域RGCはその平面BNAよりもタッチパネル161の表面から遠い領域である。第2領域RGBは、裏側空間LRGのうち仮想的平面BNB(Z=−ZB)よりもタッチパネル161の表面から遠い領域である。これら2つの仮想的平面BNA、BNBはタッチパネル161の表面(Z=0)に対して互いに対称である。
受信電圧信号RVSの波形の歪みから計測された3次元座標が境界面BNDよりもタッチパネル161の表面から遠い場合、この3次元座標に位置する接地導体は第2領域RGBに位置する導電部材801と判別される。
図9の(a)は、受信電圧信号RVSの波形の歪みから計測された3次元座標のZ軸成分の時間的変化の一例を示すグラフである。このグラフの縦軸はそのZ軸成分すなわちタッチパネル161の表面からの距離を表し、横軸は時間を表す。図9の(a)を参照するに、第1時刻t0から第2時刻t1までの期間ではZ軸成分は境界面のZ座標“ZB”よりも小さい。したがって、この期間t0−t1に計測された3次元座標に位置する接地導体を判別部23は、第1領域RGAに位置する指示体HNDと判別する。第2時刻t1ではZ軸成分が境界面のZ座標“ZB”を超え、第2時刻t1から所定時間ΔTAが経過しても境界面のZ座標“ZB”よりも大きいままである。したがって、この期間t1−t1+ΔTAに計測された3次元座標に位置する接地導体を判別部23は、第2領域RGBに位置する導電部材801と判別する。その後、第3時刻t2ではZ軸成分が再び境界面のZ座標“ZB”を下回るので、第3時刻t2以降に計測された3次元座標に位置する接地導体を判別部23は、第1領域RGAに位置する指示体HNDと判別する。
受信電圧信号RVSの波形の歪みから計測された3次元座標が境界面BNDよりもタッチパネル161の表面から遠い場合、判別部23は更にこの3次元座標の時間的変化を観察し、その時間的変化の幅に基づいてこの3次元座標に位置する接地導体を、第2領域RGBに位置する導電部材801と第3領域RGCに位置する指示体とのいずれかに判別する。
判別方法(B)は判別方法(A)とは異なり、たとえば第3領域RGCをタッチパネル161の表面から十分には離すことができない結果、この領域RGCにジェスチャー中の指示体HNDが頻繁に侵入し得る場合でも、第2領域RGBに位置する導電部材801と第3領域RGCに位置する指示体HNDとを判別可能である。確かに、第2領域RGBと第3領域RGCとは受信電極4N、…からの距離が等しいので、受信電圧信号RVSの波形の歪みへの寄与は、第2領域RGBに位置する導電部材801に起因する電界EFLの歪みと、第3領域RGCに位置する指示体HNDに起因するものとでは同程度である。しかし、導電部材801はMFP100の筐体に固定されているので実質上静止し続けるのに対し、指示体HNDはジェスチャー等の動作で絶えず動き続ける。したがって、第3領域RGCに指示体HNDが侵入した場合に計測される3次元座標の時間的変化には、その指示体HNDの動きに起因する周期の短い、かつ振幅の大きい変動成分が重畳される。一方、導電部材801は、図8の(d)の示す一定の軌跡TRCから大きく外れることはない。これらを考慮して上記の所定時間ΔTBを十分に短く、かつ所定値ΔFRを十分に大きく設定しておけば、計測される3次元座標の時間的変化から第2領域RGBに位置する導電部材801と第3領域RGCに位置する指示体HNDとを判別することができる。
図10は、判別方法(A)による処理のフローチャートである。この処理は、検出部21が受信電圧信号RVSを検出したときに開始される。
ステップS101では、計測部22がAD変換部42から、デジタル化された受信電圧信号RVSを読み込んでその波形の歪みを解析し、その歪みが、監視対象の空間RGA、RGB、RGCへの接地導体の侵入に起因する変化を含むか否かを確認する。この変化を含んでいれば処理がステップS102へ進み、含んでいなければ処理が終了する。
ステップS103では、計測部22の計測した3次元座標POSが境界面BNDよりもタッチパネル161の表面から遠いか否かを判別部23が確認する。遠ければ処理がステップS104へ進み、遠くなければ処理がステップS106へ進む。
ステップS105では、所定時間ΔTAが経過しても、計測部22の計測した3次元座標POSは境界面BNDよりもタッチパネル161の表面から遠いままである。したがって、判別部23はこの3次元座標POSを、第2領域RGBに位置する導電部材801の座標と判別する。その後、処理が終了する。
−判別方法(B)による処理の流れ−
図11は、判別方法(B)による処理のフローチャートである。この処理は、検出部21が受信電圧信号RVSを検出したときに開始される。
ステップS112では、計測部22がAD変換部42から、デジタル化された受信電圧信号RVSを読み込んでその波形の歪みを解析し、その歪みが、監視対象の空間RGA、RGB、RGCへの接地導体の侵入に起因する変化を含むか否かを確認する。この変化を含んでいれば処理がステップS113へ進み、含んでいなければ処理が終了する。
ステップS114では、計測部22の計測した3次元座標POSが境界面BNDよりもタッチパネル161の表面から遠いか否かを判別部23が確認する。遠ければ処理がステップS115へ進み、遠くなければ処理がステップS121へ進む。
ステップS116では、フラグFLが“0”であるので、3次元座標POSは処理開始後、計測部22が最初に計測した値である。判別部23はこの値POSを初期値PPSに設定すると共に、フラグFLを“1”に変更する。その後、処理はステップS117へ進む。
ステップS118では、処理開始時にステップS112で確認された波形の歪みの変化が生じた時点から所定時間ΔTBが経過しても、計測部22の計測した3次元座標POSは境界面BNDよりもタッチパネル161の表面から遠いままである。したがって、この3次元座標POSを、第2領域RGBに位置する導電部材801の座標と判別部23は判別する。その後、処理が終了する。
ステップS120では、ステップS119で計算した変化の幅MOVが所定値ΔFR以下であるか否かを判別部23が確認する。所定値ΔFR以下であれば処理がステップS117へ進み、所定値ΔFRを超えていれば処理がステップS121へ進む。
[操作パネルの傾斜角に応じた処理]
計測部22の計測した3次元座標を導電部材801の座標と判別したとき、判別部23はその3次元座標を、図4の示す傾斜角推測部435へ渡す。この3次元座標に基づいて傾斜角推測部435は操作パネル160の傾斜角θを推測する。具体的には、この3次元座標が図8の(d)の示す導電部材801の軌跡TRC上のいずれの点に相当するかを推測し、この点に対応する操作パネル160の傾斜角θを、軌跡TRC上の位置と操作パネルの傾斜角との間の対応表から検索する。
図12の(a)は、LCD4Dの表示の属性、3Dジェスチャーセンサー410による検出の特性、および操作パネル160の傾斜角θの間の対応表である。この表はたとえば制御部24に内蔵のメモリー素子に記憶されている。図12の(a)を参照するに、まず操作パネル160の傾斜角θの取り得る範囲が閾値θB未満の第1区間(θ<θB)とそれ以上の第2区間(θ≧θB)とに二分されている。次に第1区間では、LCD4Dの画面表示のサイズと、3Dジェスチャーセンサー410によって検出可能なジェスチャーの速度とがいずれも“標準”に設定され、検出可能なジェスチャーの種類として、“フリック”、“スライド”、“ローテーション”がいずれも“あり”に設定されている。一方、第2区間では、画面表示のサイズが“拡大”に設定され、検出可能なジェスチャーの速度が“ゆっくり”に設定され、検出可能なジェスチャーの種類のうち、“フリック”は“スライドへ変更”と設定されている。
図13の(d)は、操作パネル160の傾斜角θに応じた対象座標の補正値を示す表である。この表はたとえば制御部24に内蔵のメモリー素子に記憶されている。図13の(d)を参照するに、まず操作パネル160の傾斜角θの取り得る範囲が、第1閾値θ1以下の第1区間(θ≦θ1)、第1閾値θ1よりも大きく第2閾値θ2よりも小さい第2区間(θ1<θ<θ2)、および第2閾値θ2以上の第3区間(θ2≦θ)に分割されている。次に、対象座標の補正値(ΔX、ΔY)が第1区間では(0、+Δξ)に設定され、第2区間では(0、0)に設定され、第3区間では(0、−Δη)に設定されている。
図13の(a)、(b)、(c)はそれぞれ、操作パネル160の傾斜角θが、第1区間(θ≦θ1)、第2区間(θ1<θ<θ2)、第3区間(θ2≦θ)に属するときに操作パネル160の画面に向けられるユーザーの視線LS1、LS2、LS3を示す模式図である。
本発明の実施形態によるMFP100では上記のとおり、まず検出部21が監視対象の空間RGA−RGCにおける接地導体の存在に起因する電界EFLの歪みを検出する。次に計測部22がこの電界EFLの歪みから計測部22がその接地導体の3次元座標を計測し、判別部23がこの3次元座標に基づいてその接地導体が指示体HNDと導電部材801とのいずれであるかを判別する。具体的には、まず、検出部21が受信電極4N、…で検出した受信電圧信号RVSの波形の歪みから、計測部22が接地導体の重心の3次元座標を計測する。この3次元座標が図8の(b)、(d)の示す境界面BNDに位置し、またはそれよりもタッチパネル161の表面に近ければ、判別部23はこの3次元座標に位置する接地導体を、第1領域RGAに位置する指示体HNDと判別する。一方、この3次元座標が境界面BNDよりもタッチパネル161の表面から遠ければ、判別部23はこの3次元座標に位置する接地導体を、(A)第2領域RGBに位置する導電部材801と判別し、または(B)この3次元座標の時間的変化の幅に基づいて、第2領域RGBに位置する導電部材801と第3領域RGCに位置する指示体とのいずれかに判別する。
(A)図1の示す画像処理装置100はMFPである。本発明の実施形態による画像処理装置はその他に、レーザープリンター、インクジェット等の他方式のプリンター、コピー機、スキャナー、FAX等のいずれであってもよい。
(B)計測部22は、接地導体の代表点としてその重心の3次元座標を計測する。接地導体の代表点はその他に、その導体の先端、その外面の形状の対称点等、その導体の特徴的な点であってもよい。
図14の(a)は、スキャナー120の原稿台の上蓋と電界型3Dジェスチャーセンサー410による監視対象の空間との位置関係を示す模式図である。図14の(a)を参照するにこの監視対象の空間は図7の(a)の示す表側空間URGのみ、すなわち図8の(a)の示す第1領域RGAと第3領域RGCとから構成される。第3領域RGCの一部はADF110の周縁部に重なっている。ADF110はスキャナー120の原稿台の上蓋に装着されているので、この上蓋と共に開閉可能である。図14の(a)はADF110が閉じた状態を示す。第3領域RGCと重なったADF110の周縁部には導電部材802が装着されている。ADF110の周縁部が絶縁性の樹脂から成るのに対し、導電部材802は導電性の素材から成り、たとえば矩形状の金属板である。この導電部材802は更にMFP100のシャーシ等の接地部材によって接地電位に保たれている。
図14の(d)は、(c)の示す監視対象の空間RGA、RGCと3Dジェスチャーセンサー410による検出で識別可能な接地導体の3次元座標の仮想的な範囲との対応関係を示す模式図である。図14の(d)を参照するに、ADF110が開くのにつれて導電部材802は第3領域RGCの中で一定の軌跡TRCを描きながらこの仮想的な範囲から離脱する。したがって、監視対象の空間RGA、RGCに指示体HNDが存在していない場合に第3領域RGCに位置する接地導体の3次元座標が計測されれば、ADF110が閉じた状態であると判別部23は判別し、その3次元座標が計測されなければ、ADF110が開いた状態であると判別部23は判別することができる。
−筐体の前扉−
図15の(a)は、MDF100の筐体の前扉と電界型3Dジェスチャーセンサー410による監視対象の空間との位置関係を示す模式図である。図15の(a)を参照するにこの監視対象の空間は図8の(a)の示す第1領域RGAと第2領域RGBとから構成される。第2領域RGBの一部は前扉151の上端部に重なっている。図15の(a)は前扉151が閉じた状態を示す。第2領域RGBと重なった前扉151の上端部には導電部材803が装着されている。前扉151が絶縁性の樹脂から成るのに対し、導電部材803は導電性の素材から成り、たとえば矩形状の金属板である。この導電部材803は更にMFP100のシャーシ等の接地部材によって接地電位に保たれている。
図15の(d)は、(c)の示す監視対象の空間RGA、RGBと3Dジェスチャーセンサー410による検出で識別可能な接地導体の3次元座標の仮想的な範囲との対応関係を示す模式図である。図15の(d)を参照するに、前扉151が開くのにつれて導電部材803は第2領域RGBの中で一定の軌跡TRCを描きながらこの仮想的な範囲から離脱する。したがって、第1領域RGAに指示体HNDが存在していない場合、第2領域RGBに位置する接地導体の3次元座標が計測されれば、前扉151が閉じた状態であると判別部23は判別し、その3次元座標が計測されなければ、前扉151が開いた状態であると判別部23は判別することができる。このように前扉151が開くのはたとえば、画像形成部10にトナーを補充し、または紙詰まりの際に画像形成部10からシートを引き出す場合である。したがって、前扉151が開いた状態であると判別部23が判別したときに制御部24はたとえば、MFP100による処理の中断を主制御部30に要求する。
−補足−
操作パネル160の揺動、およびADF110と前扉151との開閉はいずれも手動である。その他に、自動的に移動する可動部材の位置を3Dジェスチャーセンサー410で検出することも可能である。たとえば、スキャナー120とプリンター130との隙間GAPの中で排紙トレイ150の載置面が、その上に積載されるシート数の増加に合わせて自動的に降下する場合、その載置面に装着された導電部材の位置を3Dジェスチャーセンサー410で検出してもよい。
図16の(c)の示す対応表と同様な対応表を、導電部材801に代えて、図1の(b)の示すヒンジ部102等、MFP100の筐体に固定された既存の導電部材について設定してもよい。この対応表を利用しても、計測部22が計測した3次元座標から操作パネル160の傾斜角θとジェスチャー座標とを推定することは可能である。
101 MFPの筐体
160 操作パネル
161 タッチパネル
801 導電部材
URG 表側空間
LRG 裏側空間
RGA 監視対象の空間の第1領域
RGB 監視対象の空間の第2領域
RGC 監視対象の空間の第3領域
BNA 第1領域と第3領域とを分ける仮想的平面
BNB 第2領域を裏側空間の他の領域から分ける仮想的平面
BND 境界面
θ 操作パネルの傾斜角
Claims (10)
- 操作パネルを備えた画像処理装置であり、
前記操作パネルの表面から所定の範囲に広がる空間に電界を発生させて監視対象の空間として設定すると共に、当該空間における物体の存在に起因する前記電界の歪みを検出する検出部と、
前記検出部の検出した電界の歪みから、前記監視対象の空間における前記物体の3次元座標を計測する計測部と、
前記画像処理装置のうち前記操作パネルと相対的に変位可能な部位に設けられ、前記操作パネルとの相対的な位置に応じて前記電界の歪みを変化させる導電部材と、
前記計測部が計測した3次元座標に基づいて前記物体が、前記画像処理装置に対するユーザーの入力操作に利用される指示体と前記導電部材とのいずれであるかを判別する判別部と、
前記判別部による判別結果が前記指示体である場合、前記計測部が計測した3次元座標の動きをユーザーのジェスチャーとみなして、当該ジェスチャーの指標する入力操作を解釈する解釈部と、
前記判別結果が前記導電部材である場合、前記計測部が計測した3次元座標から前記操作パネルと前記画像処理装置の部位との相対的な位置を推測する推測部と、
前記推測部が推測した位置に基づいて前記画像処理装置の動作状態を判断し、当該動作状態に応じた処理を制御する制御部と、
を備えた画像処理装置。 - 前記検出部は、
平面形状に配置された送信電極と、
前記送信電極を含む平面から所定の距離を隔てて平行に広がる矩形面の各辺に1つずつ分離して配置された4つの受信電極と、
前記送信電極に送信電圧信号を送出する送信部と、
前記送信電圧信号に応じて前記4つの受信電極のそれぞれが受ける受信電圧信号を検出する受信部と、
を含み、
前記電界の歪みを前記送信電圧信号に対する前記受信電圧信号の波形の歪みとして検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記送信電圧信号のレベルと比べれば全体の電位が実質的に一様とみなせる程度の電気伝導性を持ち、かつ前記送信電圧信号のレベルと比べれば実質的に接地電位に等しいとみなせる電位に維持された物体が前記監視対象の空間に存在するか否かに応じて前記送信電圧信号に対する前記受信電圧信号のレベルの落差に現れる変化を、前記検出部は検出し、
前記導電部材は実質的に接地電位に等しい電位に維持され、
前記計測部は前記レベルの落差に現れる変化から物体の3次元座標を計測する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。 - 前記判別部は、
前記計測部の計測した3次元座標が前記検出部から閾値以下の距離に位置する場合には、当該3次元座標に位置する物体が前記指示体であると判別し、
当該3次元座標が前記検出部から前記閾値を超えた距離に位置する場合には、当該3次元座標に位置する物体が前記導電部材であると判別する
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の画像処理装置。 - 前記判別部は、
前記計測部の計測した3次元座標が前記検出部から閾値以下の距離に位置する場合には、当該3次元座標に位置する物体が前記指示体であると判別し、
当該3次元座標が前記検出部から前記閾値を超えた距離に位置する場合には更に当該3次元座標の時間的変化を観察し、当該時間的変化の幅が所定値以下であれば当該3次元座標に位置する物体が前記導電部材であると判別する
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の画像処理装置。 - 前記操作パネルは水平面に対する表面の傾きが可変であり、
前記操作パネルの表面が水平面から傾斜する際に当該表面に対する軌跡が前記監視対象の空間を通過するように、前記導電部材が配置されている
ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の画像処理装置。 - 前記操作パネルは、操作画面を表示するための表示部を含み、
前記推測部は、前記計測部が計測した3次元座標から前記操作パネルの傾きを推測し、
前記制御部は、当該傾きに応じて前記表示部に表示の属性を変更させる
ことを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。 - 前記操作パネルは、操作画面を表示するための表示部を含み、
前記推測部は、前記計測部が計測した3次元座標から前記操作パネルの傾きを推測し、
前記解釈部は、ユーザーのジェスチャーが対象とする前記操作画面上の座標を前記操作パネルの傾きに基づいて推定する
ことを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。 - 原稿台に載せられたシートから画像を読み取るスキャナーと、
前記原稿台を覆い隠すように前記スキャナーに開閉可能に取り付けられた上蓋と、
を更に備え、
前記操作パネルは前記原稿台の縁に設置され、
前記導電部材は、前記上蓋の開閉に伴って前記操作パネルの表面に対して描く軌跡が前記監視対象の空間を通過するように配置され、
前記制御部は、前記推測部が推測した前記上蓋の位置に基づいて前記画像処理装置の動作状態を判断する
ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の画像処理装置。 - トナーまたはインクでシートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像処理装置の前面のうち、前記操作パネルの下方に位置する部位に開閉可能に取り付けられ、前記画像形成部に対するトナーもしくはインクの補充、またはシートの出し入れを可能にする前扉と、
を更に備え、
前記導電部材は、前記前扉の開閉に伴って前記操作パネルの表面に対して描く軌跡が前記監視対象の空間を通過するように配置され、
前記制御部は、前記推測部が推測した前記前扉の位置に基づいて前記画像処理装置の動作状態を判断する
ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の画像処理装置。
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