JP6438747B2 - 複合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複合体の製造方法に関する。
従来より、電子デバイス分野等の各種の技術分野において、ポリマーを含有する組成物を部材に付与することが行われている。
例えば、半導体装置の層間絶縁層に、2以上のカチオン性官能基を有する重量平均分子量が2000〜100000のポリマーを含有する半導体用組成物を付与する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、例えば、半導体基板の表面の少なくとも一部に、カチオン性官能基を有する重量平均分子量が2000〜600000の樹脂を含有する半導体用シール組成物を付与することで半導体用シール層を形成し、半導体基板の半導体用シール層が形成された面を、25℃におけるpHが6以下のリンス液で洗浄する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)
さらに、例えば、半導体基板の少なくとも凹部の底面および側面に、カチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマーを含有する半導体用シール組成物を付与し、少なくとも凹部の底面および側面に半導体用シール層を形成し、半導体基板の半導体用シール層が形成された側の面を、温度200℃以上425℃以下の条件で熱処理し、配線の露出面上に形成された半導体用シール層の少なくとも一部を除去する技術が記載されている(例えば、特許文献3参照)。
国際公開第2010/137711号パンフレット 国際公開第2012/033172号パンフレット 国際公開第2014/013956号パンフレット
ところで、2種以上の部材を備え、かつ3次元的な凹凸構造を有する、複合部材の各部材に、ポリマーを付与する場合、特定の部材上に優先的に(好ましくは選択的に)ポリマーを残すことが求められることがある。このような複合部材の一例として、部材としての絶縁層と、別の部材としての導電部(例えば、配線、電極等)と、を備える複合部材が挙げられる。この一例に係る複合部材にポリマーを付与する場合では、絶縁層には極力ポリマーを残存させて絶縁層を保護するともに、導電部には極力ポリマーが残存しないようにして導電部表面における電気的な接続性を維持することが求められる。そのために、複合部材にポリマーを付与する際に、絶縁層へのポリマーの残存し易さと、導電部へのポリマーの残存し難さと、を両立させることが求められる。
しかしながら、絶縁層へのポリマーの残存し易さと、導電部へのポリマーの残存し難さと、を両立させた場合であっても、ポリマーの厚さを制御していないと付与されたポリマーの厚みムラが生じやすい。ポリマーの厚さを制御していない場合、ポリマーが局所的に溜まりやすくなり、導電部にポリマーが残存してしまうおそれがある。
そこで、本発明の課題は、2種以上の部材を備えた複合部材の表面にポリマーを付与して複合部材およびポリマーを備えた複合体を製造する際に、付与されたポリマーの厚さを制御でき、かつ、特定の部材へのポリマーの残存し易さと、別の部材へのポリマーの残存し難さと、を両立できる複合体の製造方法を提供することである。
前記課題を解決するための具体的手段は以下のとおりである。
<1> カチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマーを含有するpHが2.0〜11.0の組成物を準備する組成物準備工程と、1分子中に、芳香環を1以上、カルボキシル基を6以上有する、重量平均分子量が288〜2500である酸またはその無水物を含む塗布液を準備する塗布液準備工程と、部材Aと、表面の等電点が前記部材Aの表面の等電点よりも2.0以上低く、かつ表面の等電点が1.0〜7.5である部材Bと、を備えるとともに、前記部材Bの表面の等電点<前記組成物のpH<前記部材Aの表面の等電点の関係を満たす複合部材を準備する複合部材準備工程と、前記複合部材の前記部材Aの前記表面上および前記部材Bの前記表面上に、前記組成物を付与する付与工程と、前記付与工程後に、前記組成物を付与した表面に、前記塗布液を塗布する塗布工程と、を有し、前記付与工程および前記塗布工程を2回以上繰り返す、複合体の製造方法。
<2> 前記酸またはその無水物は、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格およびアントラセン骨格の少なくとも一つを1以上有する、<1>に記載の複合体の製造方法。
<3> 1以上の前記芳香環の少なくとも1つに4以上のカルボキシル基が結合している、<1>または<2>に記載の複合体の製造方法。
<4> 前記部材Aが、Cu、Al、Ti、Ni、Fe、Sn、Cr、Mn、Pt、Zn、およびMgからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含有し、前記部材Bがシリカを含有する、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の複合体の製造方法。
<5> 前記部材Aが、Cu元素を含有し、前記部材Bがシリカを含有する、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の複合体の製造方法。
<6> 前記組成物は、ナトリウムおよびカリウムの含有量がそれぞれ元素基準で10重量ppb以下である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の複合体の製造方法。
<7> 前記塗布工程の少なくとも1回は、前記付与工程後に、前記組成物が付与された表面に、前記塗布液を塗布し、前記塗布液が塗布された前記複合部材を温度70℃〜425℃の条件で加熱する工程である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の複合体の製造方法。
<8> 前記部材Bが、多孔質材料を含む、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の複合体の製造方法。
<9> 前記ポリマーは、カチオン性官能基当量が27〜430である、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の複合体の製造方法。
<10> 前記ポリマーが、ポリエチレンイミンまたはポリエチレンイミン誘導体である、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の複合体の製造方法。
<11> 前記ポリマーの分岐度が48%以上である、<1>〜<10>のいずれか1つに記載の複合体の製造方法。
<12> 前記組成物が、更に、モノカルボン酸化合物を含む、<1>〜<11>のいずれか1つに記載の複合体の製造方法。
<13> 前記モノカルボン酸化合物は、水酸基およびアミノ基を有さず、かつ、ファンデルワールス体積が40cm/mol以上である、<12>に記載の複合体の製造方法。
<14> 前記組成物が、更に、ベンゾトリアゾール、フェナントロリン、ビピリジン、トリピリジン、アセチルアセトン、トリアミノプロパンおよび8−キノリノールからなる群から選ばれる少なくとも1つである化合物を含む、<1>〜<13>のいずれか1つに記載の複合体の製造方法。
<15> 前記複合部材が、前記部材Bの表面の等電点<前記組成物のpH<{(前記部材Aの表面の等電点)−1.0}の関係を満たす、<1>〜<14>のいずれか1つに記載の複合体の製造方法。
<16> 前記塗布工程では、前記組成物を付与した表面に、温度15℃〜100℃の塗布液を塗布する、<1>〜<15>のいずれか1つに記載の複合体の製造方法。
<17> 前記付与工程および前記塗布工程を2回以上繰り返した後、更に、前記組成物が付与された前記複合部材を、温度200℃〜425℃の条件で加熱する高温加熱工程を有する、<1>〜<16>のいずれか1つに記載の複合体の製造方法。
<18> 前記複合部材が、基板と、該基板上に設けられた、前記部材Aとしての導電部および前記部材Bとしての絶縁層と、を備える、<1>〜<17>のいずれか1つに記載の複合体の製造方法。
<19> 前記複合体が半導体装置である、<1>〜<18>のいずれか1つに記載の複合体の製造方法。
本発明によれば、2種以上の部材を備えた複合部材の表面にポリマーを付与して複合部材およびポリマーを備えた複合体を製造する際に、付与されたポリマーの厚さを制御でき、かつ、特定の部材へのポリマーの残存し易さと、別の部材へのポリマーの残存し難さと、を両立できる複合体の製造方法を提供することができる。
本実施形態に係る複合体の製造方法における、組成物を付与する付与工程前の複合部材の断面を模式的に示す概略断面図である。 本実施形態に係る複合体の製造方法における、組成物を付与する付与工程後の複合部材の断面を模式的に示す概略断面図である。 本実施形態に係る複合体の製造方法における、部材Aの表面に付与された組成物を除去した後の複合体の断面を模式的に示す概略断面図である。 比較例の複合体の製造方法における、組成物を付与する付与工程後の複合部材の断面を模式的に示す概略断面図である。 比較例の複合体の製造方法における、部材Aの表面に付与された組成物を除去した後の複合体の断面を模式的に示す概略断面図である。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
≪複合体の製造方法≫
本発明の複合体の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう)は、カチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマーを含有するpHが2.0〜11.0の組成物を準備する組成物準備工程と、1分子中に、芳香環を1以上、カルボキシル基を6以上有する、重量平均分子量が288〜2500である酸またはその無水物を含む塗布液を準備する塗布液準備工程と、部材Aと、表面の等電点が前記部材Aの表面の等電点よりも2.0以上低く、かつ表面の等電点が1.0〜7.5である部材Bと、を備えるとともに、前記部材Bの表面の等電点<前記組成物のpH<前記部材Aの表面の等電点の関係を満たす複合部材を準備する複合部材準備工程と、前記複合部材の前記部材Aの前記表面上および前記部材Bの前記表面上に、前記組成物を付与する付与工程と、前記付与工程後に、前記組成物を付与した表面に、前記塗布液を塗布する塗布工程と、を有し、前記付与工程および前記塗布工程を2回以上繰り返す。
本発明の製造方法は、必要に応じその他の工程を有していてもよい。
本発明の製造方法では、付与工程および塗布工程を2回以上繰り返すことにより、部材Bの表面に付与されたポリマーの厚さが均一になるように制御することができる。さらに、2種以上の部材(部材Aおよび部材B)を備えたビア貫通孔を有する複合部材の表面にポリマーを付与して複合体を製造する際に、ビア底付近における部材B側壁上のポリマーの厚さが大きくなり不均一になることを抑制できる。これにより、所望の厚さを有し、かつコンフォーマルなポリマー層(表面の凹凸に忠実なポリマー層)を備える複合体が得られる。また、ポリマー層を所望の厚さに制御することもできる。
さらに、本発明の製造方法によれば、2種以上の部材(部材Aおよび部材B)を備えた複合部材の表面にポリマーを付与し、上記複合部材およびポリマーを備えた複合体を製造する際に、特定の部材(部材B)へのポリマーの残存し易さと、別の部材(部材A)へのポリマーの残存し難さと、を両立できる複合体の製造方法を提供することができる。
かかる効果が得られる理由は以下のように推測されるが、本発明は以下の理由によっては限定されることはない。
即ち、本発明の製造方法では、組成物のpHが2.0〜11.0の範囲にあり、かつ、部材Bの表面の等電点<組成物のpH<部材Aの表面の等電点の関係が満たされることにより、組成物に含まれるカチオン性官能基を有するポリマーと、部材Aの表面に比べて等電点が2.0以上低く、かつ等電点が1.0〜7.5である部材Bの表面(すなわち部材Aの表面に比べて負の電荷を帯びやすい表面)と、の間に静電気的な引力(以下、単に「引力」ともいう)が働く傾向となり、かつ、組成物に含まれるポリマーと、部材Bの表面に比べて等電点が2.0以上高い部材Aの表面と、の間に静電気的な反発力(以下、単に「反発力」ともいう)が働く傾向となるため、と考えられる。
具体的には、組成物のpHが2.0以上であり、かつ、「部材Bの表面の等電点<前記組成物のpH」の関係が満たされることにより、上述した部材Bの表面が負の電荷を帯び易くなり、その結果、部材Bの表面とポリマーのカチオン性官能基との間に引力が働く傾向となるためと考えられる。更に、組成物のpHが11.0以下であり、かつ、「組成物のpH<部材Aの表面の等電点」の関係が満たされることにより、上述した部材Aの表面が正の電荷を帯び易くなり、その結果、部材Aの表面とポリマーのカチオン性官能基との間に反発力が働く傾向となるためと考えられる。
これらの引力および反発力には、組成物と部材Aとの界面におけるゼータ電位、および、組成物と部材Bとの界面におけるゼータ電位が関係しているものと推測される。
なお、本発明において、組成物のpHは、25℃で測定された値を指す。
本発明の製造方法によれば、上述のとおり、部材Bへのポリマーの残存し易さと、部材Aへのポリマーの残存し難さと、を両立できる。
即ち、上記付与工程後において、部材Bにはポリマーが残存し易いが、部材Aにはポリマーが残存し難い。また、仮に上記付与工程後において部材Aにポリマーが残存した場合であっても、その後、通常の除去処理(一般的な洗浄処理や後述の高温加熱処理など)を施すことにより、部材Aに残存したポリマーの少なくとも一部を容易に除去することができ、かつ、部材Bに優先的に(好ましくは選択的に)ポリマーを残存させることができる。
部材Aに付与されたポリマーが残存し難いことにより、部材Aの表面(ポリマーが除去された場合には除去面)における電気的な接続が良好となる。ここでいう電気的な接続としては、この部材Aと、この部材Aの表面に接続される他の部材(配線、電極、はんだ等)と、の間の接続;この部材Aを抵抗測定用電極としたときの、この部材Aの表面と、抵抗測定用のプローブ等と、の接続;などが挙げられる。
また、部材Bに優先的に(好ましくは選択的に)ポリマーが残存することにより、残存したポリマーにより、部材Bが保護される。例えば、その後の工程として、プラズマ処理工程や配線形成工程が設けられる場合には、部材Bへのプラズマ成分や金属成分の拡散が抑制される。
また、部材Bに優先的に(好ましくは選択的に)ポリマーを残存させることにより、パターニングされた凹凸面を得ることができる。
本発明における組成物のpHは、3.0〜9.0が好ましく、3.0〜7.5がより好ましく、3.0〜7.0が更に好ましく、3.0〜6.5が更に好ましく、4.0〜6.0が特に好ましい。
以下、本発明における、組成物準備工程、塗布液準備工程、複合部材準備工程、付与工程および塗布工程について説明し、引き続き、必要に応じて設けられるその他の工程(加熱工程、高温加熱工程等)について説明する。
<組成物準備工程>
本発明における組成物準備工程は、カチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマーを含有するpHが2.0〜11.0の組成物を準備する工程である。
本組成物準備工程は、便宜上設けた工程である。
本工程における準備には、予め用意された組成物を付与工程に先立って準備することだけでなく、付与工程に先立って組成物を製造することも含まれる。
本発明における組成物は、カチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマーを含有し、pHが2.0〜11.0である。ここで、pHは、25℃で測定された値を指す。pHの測定方法としては、通常のpHメーターやpH試験紙を用いた手法で良い。例として、組成物に、pHメーターを浸漬して測定する。ここで、pHメーターは緩衝溶液により調整されたpH標準液で校正されていることを前提とする。
本工程では、この組成物が、部材Aの表面および部材Bの表面に付与されることにより、これらの表面に上記ポリマーを含むポリマー層が形成される。
(ポリマー)
本発明におけるポリマーは、カチオン性官能基を少なくとも1種有する。
本発明では、このカチオン性官能基と、部材Bの表面と、の相互作用により、ポリマーの部材Bへの残存性が向上する。
上記ポリマーは、一分子内にカチオン性官能基を2つ以上有することが好ましい。これにより、ポリマーが部材Bの表面に多点吸着することにより、ポリマー層の部材Bへの残存性がより向上する。
カチオン性官能基としては、正電荷を帯びることができる官能基であれば特に制限はない。カチオン性官能基としては、窒素原子(1級窒素原子、2級窒素原子、3級窒素原子、または4級窒素原子)を含む官能基が好ましい。ここでいう「窒素原子を含む官能基」には、窒素原子1つのみから構成される官能基も含まれる。
本発明において、「1級窒素原子」とは、水素原子2つおよび水素原子以外の原子1つのみに結合している窒素原子(例えば、1級アミノ基(−NH基)に含まれる窒素原子)、または、水素原子3つおよび水素原子以外の原子1つのみに結合している窒素原子(カチオン)を指す。
また、「2級窒素原子」とは、水素原子1つおよび水素原子以外の原子2つのみに結合している窒素原子(例えば、下記式(a)で表される官能基に含まれる窒素原子)、または、水素原子2つおよび水素原子以外の原子2つのみに結合している窒素原子(カチオン)を指す。
また、「3級窒素原子」とは、水素原子以外の原子3つのみに結合している窒素原子(即ち、下記式(b)で表される官能基である窒素原子)、または、水素原子1つおよび水素原子以外の原子3つのみに結合している窒素原子(カチオン)を指す。
また、「4級窒素原子」とは、水素原子以外の原子4つのみに結合している窒素原子(カチオン)を指す。
上記において、「水素原子以外の原子」としては特に限定はないが、例えば、炭素原子、ケイ素原子等が挙げられ、炭素原子が好ましい。

式(a)および式(b)において、*は、水素原子以外の原子との結合位置を示す。
ここで、前記式(a)で表される官能基は、2級アミノ基(−NHR基;ここで、Rはアルキル基を表す)の一部を構成する官能基であってもよいし、ポリマーの骨格中に含まれる2価の連結基であってもよい。
また、前記式(b)で表される官能基(即ち、3級窒素原子)は、3級アミノ基(−NR基;ここで、RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル基を表す)の一部を構成する官能基であってもよいし、ポリマーの骨格中に含まれる3価の連結基であってもよい。
本発明におけるポリマーの重量平均分子量は、2000〜1000000である。
重量平均分子量が2000以上であることは、部材Bに対するポリマーの吸着性の点で有利である。特に、ポリマーがカチオン性官能基を2以上有する場合には、部材Bへ多点で吸着し易くなる。
重量平均分子量が1000000以下であることも、部材Bに対するポリマーの被覆性の点で有利である。特に、部材Bが凹部や開口部等を有している場合には、凹部や開口部等へポリマーが入り込み易くなり、凹部や開口部の壁面に対するポリマーの被覆性が向上する。
本発明におけるポリマーの重量平均分子量は、2000〜600000であることが好ましく、10000〜200000であることが好ましく、20000〜200000であることがさらに好ましく、20000〜150000であることがより好ましい。
なお、本発明における重量平均分子量および分子量分布は、GPC(Gel Permeation Chromatography)法によって測定された、ポリエチレングリコール換算の重量平均分子量および分子量分布を指す。
具体的には、本発明における重量平均分子量および分子量分布は、展開溶媒として酢酸濃度0.5mol/L、硝酸ナトリウム濃度0.1mol/Lの水溶液を用い、分析装置Shodex GPC−101およびカラムAsahipak GF−7M HQを用いて測定し、ポリエチレングリコールを標準品として算出される。
前記ポリマーは、部材Bの表面への残存性をより向上させる観点から、カチオン密度が高いポリマーであることが好ましい。具体的には、カチオン性官能基当量が、27〜430であることが好ましく、43〜200であることがより好ましい。
ここでカチオン性官能基当量とは、カチオン性官能基当たりの重量平均分子量を意味し、ポリマーの重量平均分子量(Mw)を、1分子に相当するポリマーが含むカチオン性官能基数(n)で除して得られる値(Mw/n)である。このカチオン性官能基当量が大きいほどカチオン性官能基の密度が低く、一方、カチオン性官能基当量が小さいほどカチオン性官能基の密度が高い。
また、上記ポリマーは、必要に応じて、アニオン性官能基やノニオン性官能基をさらに有していてもよい。
前記ノニオン性官能基は、水素結合受容基であっても、水素結合供与基であってもよい。前記ノニオン性官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボニル基、エーテル基(−O−)、等を挙げることができる。
前記アニオン性官能基は、負電荷を帯びることができる官能基であれば特に制限はない。前記アニオン性官能基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸基等を挙げることができる。
本発明におけるポリマーとして具体的には、ポリアルキレンイミン(例えば、炭素数2〜12(好ましくは炭素数2〜8、より好ましくは炭素数2〜4)のアルキレンイミンの重合体であるポリアルキレンイミン、特に好ましくはポリエチレンイミン(PEI))、ポリアリルアミン(PAA)、ポリジアリルジメチルアンモニウム(PDDA)、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジン、ポリメチルピリジルビニル(PMPyV)、プロトン化ポリ(p−ピリジルビニレン)(R-PHPyV)、およびこれらの誘導体を挙げることができる。
中でも、ポリアルキレンイミン(例えば、炭素数2〜12(好ましくは炭素数2〜8、より好ましくは炭素数2〜4)のアルキレンイミンの重合体であるポリアルキレンイミン、特に好ましくはポリエチレンイミン(PEI))またはその誘導体、ポリアリルアミン(PAA)などが好ましく、より好ましくはポリアルキレンイミン(例えば、炭素数2〜12(好ましくは炭素数2〜8、より好ましくは炭素数2〜4)のアルキレンイミンの重合体であるポリアルキレンイミン、特に好ましくはポリエチレンイミン(PEI))またはその誘導体である。
ポリエチレンイミン(PEI)は、特公昭43−8828号公報、特公昭49−33120号公報、特開2001−2123958号公報、国際公開第2010/137711号パンフレット等に記載の公知の方法によって、製造することができる。ポリエチレンイミン以外のポリアルキレンイミンについても、ポリエチレンイミンと同様の方法により製造できる。
本発明におけるポリマーは、上述したポリアルキレンイミンの誘導体(ポリアルキレンイミン誘導体;特に好ましくはポリエチレンイミン誘導体)であることもまた好ましい。ポリアルキレンイミン誘導体としては、上記ポリアルキレンイミンを用いて製造可能な化合物であれば特に制限はない。具体的には、ポリアルキレンイミンにアルキル基(好ましくは炭素数1〜10のアルキル基)やアリール基を導入したポリアルキレンイミン誘導体、ポリアルキレンイミンに水酸基等の架橋性基を導入して得られるポリアルキレンイミン誘導体等を挙げることができる。
これらのポリアルキレンイミン誘導体は、上記ポリアルキレンイミンを用いて通常行われる方法により製造することができる。具体的には例えば、特開平6―016809号公報等に記載の方法に準拠して製造することができる。
また、ポリアルキレンイミン誘導体としては、ポリアルキレンイミンに対してカチオン性官能基含有モノマーを反応させることにより、ポリアルキレンイミンの分岐度を向上させて得られた高分岐型のポリアルキレンイミンも好ましい。
高分岐型のポリアルキレンイミンを得る方法としては、例えば、骨格中に複数の2級窒素原子を有するポリアルキレンイミンに対してカチオン性官能基含有モノマーを反応させ、前記複数の2級窒素原子のうちの少なくとも1部をカチオン性官能基含有モノマーによって置換する方法や、末端に複数の1級窒素原子を有するポリアルキレンイミンに対してカチオン性官能基含有モノマーを反応させ、前記複数の1級窒素原子のうちの少なくとも1部をカチオン性官能基含有モノマーによって置換する方法、が挙げられる。
分岐度を向上するために導入されるカチオン性官能基としては、アミノエチル基、アミノプロピル基、ジアミノプロピル基、アミノブチル基、ジアミノブチル基、トリアミノブチル基等を挙げることができるが、カチオン性官能基当量を小さくしカチオン性官能基密度を大きくする観点から、アミノエチル基が好ましい。
高分岐型のポリアルキレンイミンを得る方法としては、例えば、後述する「ポリマーの製造方法」の項で説明する方法を用いることができる。
また、前記ポリエチレンイミンおよびその誘導体は、市販のものであってもよい。例えば、(株)日本触媒、BASF社等から市販されているポリエチレンイミンおよびその誘導体から、適宜選択して用いることもできる。
また、本発明におけるポリマーは、分岐度が48%以上であることが好ましい。
分岐度が48%以上であると、このポリマーを含むポリマー層によって部材Bを好適に保護できる。例えば、付与工程の後にプラズマ処理や配線形成がなされる場合において、部材Bへのプラズマ成分や金属成分の拡散をより効果的に抑制できる。かかる効果が得られる理由としては、分岐構造を有するポリマーの分子鎖同士が絡み合って分子鎖間の間隙が小さくなり、分子鎖間を金属成分やプラズマ成分などが透過するのを効率よく防ぐことができるため、と推定される。
かかる効果は、部材Bが多孔質材料を含む場合に、より効果的に奏される。
ここで、「分岐度」は、下記式1によって求められる値を指す。
分岐度(%) = ((3級窒素原子の個数+4級窒素原子の個数)/(2級窒素原子の個数+3級窒素原子の個数+4級窒素原子の個数))×100 ・・・ 式1
従って、例えば、本発明のポリマーがポリアルキレンイミンである場合、直鎖状のポリアルキレンイミンは、3級窒素原子や4級窒素原子を有していないので分岐度0%のポリアルキレンイミンであり、末端を除いた骨格部分に含まれる全ての窒素原子が3級窒素原子である(即ち、最大限に分岐している)ポリアルキレンイミンは、分岐度100%のポリアルキレンイミンである。
上記分岐度は55%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、75%以上であることが特に好ましい。
ポリマーの分岐度の上限は特に限定はないが、ポリマーが2級窒素原子を含む場合には、分岐度は100%未満となる。合成容易性の観点からは、前記ポリマーの分岐度は95%以下であることが好ましい。
ポリマーの分岐度を48%以上に調整する方法には特に限定はないが、例えば、ポリマーを合成する際のモノマーの重合条件自体によって調整する方法や、ポリマーに含まれる1級窒素原子や2級窒素原子に対し、他の窒素含有化合物や、アルキル化合物を反応させることにより1級窒素原子や2級窒素原子から3級窒素原子や4級窒素原子を生成して分岐度を上昇させる方法が挙げられる。後者の方法の具体例については「ポリマーの製造方法」として後述する。
また、上記ポリマーは、3級窒素原子および4級窒素原子の少なくとも一方を含む2以上のカチオン性官能基を有することがより好ましい。
ここで、3級窒素原子および4級窒素原子の少なくとも一方を含む2以上のカチオン性官能基を有するポリマーとは、カチオン性官能基として3級窒素原子および4級窒素原子の少なくとも一方を含む2以上のカチオン性官能基を有するポリマー(即ち、2つ以上のカチオン性官能基を有し、かつ、2つ以上のカチオン性官能基のうちの少なくとも1つが3級窒素原子および4級窒素原子の少なくとも一方であるポリマー)を意味する。
上記ポリマーは、カチオン性官能基として、3級窒素原子および4級窒素原子の少なくとも一方(特に好ましくは3級窒素原子)を2つ以上有するポリマーが好ましい。
上記ポリマーは、カチオン性官能基として、1級窒素原子や2級窒素原子を含んでいてもよい。
本発明のポリマーが1級窒素原子を含む場合には、前記ポリマー中の全窒素原子中に占める1級窒素原子の割合が33モル%以上であることが好ましい。ポリマーが1級窒素原子を含むと(特に、1級窒素原子の比率が33モル%以上であると)、部材Bに対するポリマーの濡れ性がより向上し、ポリマー層の厚さの均一性がより向上する。
また、前記ポリマーが1級窒素原子を含む場合、1級窒素原子以外にも2級窒素原子などの1級以外の窒素原子を共存させることが好ましい。これにより、ポリマー層の厚さを適切な範囲に調整し易い。
また、本発明におけるポリマーは、カチオン性官能基を有する構造単位(以下、「特定構造単位」ということがある)を有することが好ましい。
この場合、カチオン性官能基は、特定構造単位において、主鎖の少なくとも一部として含まれていても、側鎖の少なくとも一部として含まれていてもよく、さらに、主鎖の少なくとも一部および側鎖の少なくとも一部として含まれていてもよい。
さらに前記特定構造単位がカチオン性官能基を2以上含む場合、2以上のカチオン性官能基は同一であっても異なっていてもよい。
また、部材Bが前述の極性基を有する場合には、前記カチオン性官能基は、部材B上に存在するカチオン性官能基の吸着点(極性基)間の平均距離に対する、特定構造単位の主鎖長の比(以下、「カチオン性官能基間の相対距離」ということがある)が、1.6以下となるように含まれていることが好ましく、0.08〜1.0となるように含まれていることがより好ましい。かかる態様であることでポリマーが部材Bに、より効率的に多点吸着できる。
前記特定構造単位は、層間絶縁層への吸着性の観点から、分子量が30〜500であることが好ましく、40〜200であることがより好ましい。尚、特定構造単位の分子量とは、特定構造単位を構成するモノマーの分子量を意味する。
前記特定構造単位は、層間絶縁層への吸着性の観点から、カチオン性官能基間の相対距離が1.6以下であって、分子量が30〜500であることが好ましく、カチオン性官能基間の相対距離が0.08〜1.0であって、分子量が40〜200であることがより好ましい。
前記特定構造単位(カチオン性官能基を有する構造単位)として、具体的には、以下に例示するカチオン性官能基含有モノマーに由来する単位構造が挙げられる。
前記カチオン性官能基含有モノマーとして、具体的には、アルキレンイミン、アリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウム塩、ビニルピリジン、リジン、メチルビニルピリジン、p−ビニルピリジン等が挙げられる。
上記アルキレンイミンとしては、炭素数2〜12のアルキレンイミンが好ましく、炭素数2〜8のアルキレンイミンがより好ましい。炭素数2〜4のアルキレンイミンが特に好ましい。
また、アルキレンイミンとしては、置換または無置換の環状アミンが好ましい。
アルキレンイミンとして、具体的には、エチレンイミン(別名:アジリジン)、プロピレンイミン(別名:2−メチルアジリジン)、ブチレンイミン、ペンチレンイミン、ヘキシレンイミン、ヘプチレンイミン、オクチレンイミン、トリメチレンイミン(別名:アゼチジン)、テトラメチレンイミン(別名:ピロリジン)、ペンタメチレンイミン(別名:ピペリジン)、ヘキサメチレンイミン、オクタメチレンイミン、等が挙げられる。中でも、エチレンイミンが特に好ましい。
上記カチオン性官能基含有モノマーとしては、上記のうち、部材Bへの吸着性の観点から、アルキレンイミン(好ましくは、炭素数2〜8のアルキレンイミン)およびアリルアミンの少なくとも一方であることが好ましく、アルキレンイミン(好ましくは炭素数2〜4のアルキレンイミン、特に好ましくはエチレンイミン)がより好ましい。
また、本発明におけるポリマーは、部材Bへの吸着性の観点から、前記特定構造単位(カチオン性官能基を有する構造単位)として、炭素数2〜8(より好ましくは炭素数2〜4)のアルキレンイミンに由来する構造単位であって3級窒素原子を含む構造単位を含むことが好ましい。
合成容易性の観点からは、本発明におけるポリマーは、前記「炭素数2〜8(より好ましくは炭素数2〜4)のアルキレンイミンに由来する構造単位であって3級窒素原子を含む構造単位」に加え、炭素数2〜8(より好ましくは炭素数2〜4)のアルキレンイミンに由来する構造単位であって2級窒素原子を含む構造単位を含むことがより好ましい。
また、分岐度を高めるために、ポリマー中の1級窒素原子および2級窒素原子の少なくとも一方に窒素含有化合物を反応させてカチオン性官能基を導入する場合、ポリマーに導入されるカチオン性官能基としては、以下に示すカチオン性官能基(「*」は、ポリマー骨格中の窒素原子との結合位置を示す)や、アミノプロピル基、ジアミノプロピル基、アミノブチル基、ジアミノブチル基、トリアミノブチル基、等を挙げることができる。

ポリマーに導入されるカチオン性官能基の中でも、カチオン性官能基当量を小さくしカチオン性官能基密度を大きくする観点から、アミノエチル基が好ましい。
本発明におけるポリマーが特定構造単位を2種以上含む場合、それぞれの特定構造単位は、含有するカチオン性官能基の種類または数、分子量等のいずれかが異なっていればよい。また前記2種以上の特定構造単位は、ブロックコポリマーとして含まれていても、ランダムコポリマーとして含まれていてもよい。
また上記ポリマーは前記特定構造単位以外の構造単位(以下、「第2の構造単位」ということがある)の少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。前記ポリマーが第2の構造単位を含む場合、前記ポリマーは、特定構造単位と第2の構造単位とを含むブロックコポリマーであってもよいし、特定構造単位と第2の構造単位とを含むランダムコポリマーであってもよい。
前記第2の構造単位としては、前記特定構造単位を構成するモノマーと重合可能なモノマーに由来する構造単位であれば特に制限はない。例えば、オレフィンに由来する構造単位等を挙げることができる。
また本発明におけるポリマーが、特定の構造単位を持たず、ポリマーを構成するモノマーが分岐的に重合して形成されるランダムな構造を有するものである場合、前記カチオン性官能基は、主鎖の少なくとも一部として含まれていても、側鎖の少なくとも一部として含まれていてもよく、さらに、主鎖の少なくとも一部および側鎖の少なくとも一部として含まれていてもよい。
また本発明におけるポリマーは、水溶媒中における臨界ミセル濃度が1質量%以上であるか、実質的にミセル構造を形成しないポリマーであることもまた好ましい。ここで実質的にミセル構造を形成しないとは、常温の水溶媒中等の通常の条件下ではミセルを形成しない、すなわち臨界ミセル濃度が測定できないことをいう。かかるポリマーであることにより、厚さが分子レベルの薄いポリマー層(例えば、5nm以下)をより効果的に形成することができる。
本発明において、組成物中における上記ポリマーの含有量には特に制限はなく、例えば0.01質量%〜5.0質量%とすることができ、0.02質量%〜0.3質量%であることが好ましい。
(ポリマーの製造方法)
ポリマーの好ましい形態である、分岐度が48%以上であるポリマーを製造する方法としては、例えば、1級窒素原子および2級窒素原子の少なくとも一方を含む原料ポリマーに、カチオン性官能基を有するモノマーを反応させる工程を有する製造方法が好適である。
上記反応により、原料ポリマーに含まれる1級窒素原子および2級窒素原子の少なくとも一方から3級窒素原子および4級窒素原子の少なくとも一方を生成することができるので、分岐度48%以上であるポリマーを好適に得ることができる。
上記反応は、水やアルコール等の溶剤中で、原料ポリマーとカチオン性官能基を有するモノマーとを合わせ、加熱還流することにより行うことができる。
反応時間は適宜調整できるが、例えば、1〜24時間が好ましく、2〜12時間がより好ましい。
上記方法における原料ポリマーとしては、1級窒素原子および2級窒素原子の少なくとも一方を含んでいれば特に限定はないが、2級窒素原子を含む原料ポリマーが好ましい。
2級窒素原子を含む原料ポリマーとしては、例えば、炭素数2〜12(好ましくは炭素数2〜8)のアルキレンイミンの重合体であるポリアルキレンイミン、ポリN−アルキルアミド、またはこれらの誘導体等が挙げられる。ここで、炭素数2〜12のアルキレンイミンの具体例については前述のとおりである。また、前記誘導体としては、例えば、アニオン性官能基が導入されたポリアルキレンイミン等が挙げられる。
前記原料ポリマーの重量平均分子量としては、カチオン性官能基を有するモノマーとの反応により、重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマーを製造し得る重量平均分子量であれば特に限定はない。
例えば、前記原料ポリマーの重量平均分子量は、1000〜500000が好ましく、2000〜200000がより好ましく、5000〜150000が特に好ましい。
また、上記の製造方法に用いるカチオン性官能基を有するモノマーとしては、例えば、窒素含有化合物が挙げられる。
また、上記の製造方法に用いるカチオン性官能基を有するモノマーにおけるカチオン性官能基は、反応条件下で安定な保護基と結合していることが好ましい。
これにより、カチオン性官能基モノマー同士が反応することを抑制できるため、より分岐度の高いポリマーを製造することができる。
前記保護基としては、一般的に用いられる保護基を用いることができる。
前記保護基としては、例えば、t−ブトキシカルボニル基(Boc基)、ベンジルオキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、フルオレニルカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、フタロイル基、アリル基、ベンジル基等が挙げられる。
保護基と結合しているカチオン性官能基を有するモノマーとしては、保護基と結合している窒素原子を有する窒素含有化合物がより好ましい。
保護基と結合している窒素原子を有する窒素含有化合物として、具体的には、下記一般式(m−1)〜(m−3)のいずれか1つで表される化合物が挙げられる。

上記式(m−1)〜(m−3)中、Rは保護基を表し、nは1〜4の整数を表す。
Rで表される保護基としては、一般的に窒素原子の保護基に用いられる官能基であれば何れでも良いが、例えば、t−ブトキシカルボニル基(Boc基)、ベンジルオキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、フルオレニルカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、フタロイル基、アリル基、ベンジル基が好ましい。
保護基と結合している窒素原子を有する窒素含有化合物(モノマー)としては、上記一般式(m−1)で表される化合物が更に好ましく、上記一般式(m−1)で表される化合物であってnが1である化合物(保護化アジリジン)が特に好ましい。
また、本発明のポリマーを製造する方法としては、2級窒素原子を含む原料ポリマー(例えば、炭素数2〜12のアルキレンイミンの重合体であるポリアルキレンイミン)に、上記一般式(m−1)で表される化合物を反応させる工程を有する製造方法が特に好ましい。
また、前記ポリマーの製造方法は、必要に応じ、ポリマーに導入された、保護基を有するカチオン性官能基を脱保護する工程など、その他の工程を有していてもよい。
(酸)
本発明で用いる組成物は、酸を少なくとも1種を含有することが好ましい。
この形態は、本発明で用いる組成物のpHを酸性よりに調整する場合に好適である。組成物のpHの好ましい範囲は前述のとおりである。
酸としては特に制限はなく、例えば、モノカルボン酸化合物、ジカルボン酸化合物、オキシジカルボン酸化合物が挙げられる。
モノカルボン酸化合物としては、脂肪族モノカルボン酸化合物(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸、乳酸、グリコール酸、グリセリン酸等)、芳香族モノカルボン酸化合物(例えば、安息香酸、ピコリン酸、サリチル酸、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸等)が挙げられる。
上記のうち、部材Aへのポリマーの残存し難さと部材Bへのポリマーの残存し易さとをより効果的に両立させる観点から、モノカルボン酸化合物が好ましく、脂肪族モノカルボン酸化合物がより好ましく、ギ酸、酢酸が特に好ましい。
上記モノカルボン酸化合物としては、水酸基およびアミノ基を有さず、かつファンデルワールス体積が40cm/mol以上であるモノカルボン酸化合物(以下、「特定モノカルボン酸化合物」ともいう)も好ましい。
組成物が特定モノカルボン酸化合物を含有することは、部材Aの表面にポリマーを含有する組成物を付与する付与工程において、部材Aの表面に組成物中のポリマーがより付着し難くなるという利点を有する。この理由は明らかではないが、以下のように推測される。ファンデルワールス体積が40cm/mol以上である特定モノカルボン酸化合物は、嵩高い疎水基と一個のカルボキシル基とから構成されている。この特定モノカルボン酸化合物およびポリマーを含有する組成物が部材A(例えば銅)の表面に付与されると、特定モノカルボン酸化合物のカルボキシル基と部材Aの表面とが反応し、部材Aの表面が嵩高い疎水基で被覆され、その結果、部材Aの表面が疎水化されると考えられる。ここで、部材Aの表面を被覆する疎水基が嵩高いことにより、部材Aの表面がより強く疎水化される(即ち、表面エネルギーがより低くなる)と考えられる。更に、特定モノカルボン酸化合物が水酸基およびアミノ基を有しないことにより、部材Aの表面がより疎水的に保たれると考えられる。これらの理由により、部材Aの表面へのポリマーの付着がより効果的に阻害され、部材Aの表面に組成物中のポリマーが付着し難くなると考えられる。
組成物が特定モノカルボン酸化合物を含有する場合について、例えば、図1を用いて説明すると、この場合、組成物が露出面20aに付与される工程において、露出面20aにポリマー層が形成され難くなるという利点を有する。
従って、例えば、露出面20a上のポリマー層の除去処理を省略することもできる。例えば、ポリマー層の除去処理を省略した場合でも、各絶縁層の露出面にポリマー層が形成され、かつ、露出面20aはポリマー層で被覆されていない状態とすることができる。
上記特定モノカルボン酸化合物のファンデルワールス体積の数値は、"CHEMICAL PROPERTIES handbook"(YAWS編、McGrawHill発行)に記載の値を用いる。
上記特定モノカルボン酸化合物のファンデルワールス体積は、40cm/mol以上85cm/mol以下であることがより好ましい。
特定モノカルボン酸化合物(水酸基およびアミノ基を有さず、かつファンデルワールス体積が40cm/mol以上であるモノカルボン酸化合物)として、具体的には、プロピオン酸、ピコリン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、アクリル酸、ピコリン酸などが好ましい。特に、プロピオン酸、ピコリン酸が好ましい。
また、部材A表面に組成物を付与する前に、部材Aの組成物が付与される面に、後述の前処理(例えば、ベンゾトリアゾール、フェナントロリン、ビピリジル等を用いた前処理)を施した場合には、上記特定モノカルボン酸化合物ではなく、蟻酸や酢酸を用いた場合でも、部材Aの表面に組成物を付与する付与工程において、部材Aの表面にポリマーを付着し難くさせることができる。
本発明で用いる組成物は、さらに疎水化剤を含有してもよい。
疎水化剤は一般的に使用されるものを用いればよく、ベンゾトリアゾール、フェナントロリン、ビピリジン、トリピリジン、アセチルアセトン、トリアミノプロパンおよび8−キノリノール等の部材Aの表面に疎水基を形成するキレート剤などが好ましい。これにより、部材A(例えば、Cu配線)に対して防腐剤としての効果があり、好ましい。
本発明で用いる組成物は、ナトリウムおよびカリウムの含有量がそれぞれ元素基準で10重量ppb以下であることが好ましい。これにより、複合体として電子デバイスを用いた場合における電気特性の低下(例えば、複合体がトランジスタを備える場合にはトランジスタの動作不良等)を抑制することができる。
本発明で用いる組成物の特に好ましい形態は、カチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であり分岐度が48%以上であるポリマーを含有し、pHが2.0〜11.0であり、ナトリウムおよびカリウムの含有量がそれぞれ元素基準で10重量ppb以下である形態である。
この形態において、更に、モノカルボン酸化合物を含むことがより好ましい。
この形態において、pHの好ましい範囲は前述のとおりである。
また、この形態は、本発明で用いる組成物を、半導体用シール組成物として用いる場合に特に好適である。
また、本発明で用いる組成物は、半導体用シール組成物としてだけではなく、各種の電子デバイス(プリント配線基板、表示装置等)におけるシール組成物としても好適である。
本発明で用いる組成物は、前記ポリマーに加えて必要に応じて溶媒を含むことができる。
溶媒としては、前記ポリマーが均一に溶解し、ミセルを形成しにくい溶媒であれば特に限定されない。例えば、水(好ましくは、超純水)、水溶性有機溶剤(例えば、アルコール類等)等を挙げることができる。本発明においては、ミセル形成性の観点から、水、または水と水溶性有機溶剤との混合物を溶媒として用いることが好ましい。また溶媒の沸点は特に制限されないが、210℃以下であることが好ましく、160℃以下がさらに好ましい。溶媒の沸点が前記範囲であることで、低い温度で溶媒を容易に除去できる。
組成物の成分については、例えば国際公開第2010/137711号パンフレットや国際公開第2012/033172号パンフレットに記載の組成物の成分を適宜参照することもできる。
本発明で用いる組成物は、動的光散乱法で測定された平均粒子径が150nm以下であることが好ましい。
平均粒子径が150nm以下であると、部材Bに対するポリマー層の被覆性がより向上する。例えば、部材Bに、凹部や開口部等が設けられている場合であっても、凹部や開口部等の壁面をポリマー層で好適に被覆できる。
ここで、平均粒子径は、大塚電子社製ELSZ−2を用いた動的光散乱法により測定され、キュムラント平均粒径として得られる。測定条件は、例えば溶液濃度0.1%から1.0%、温度23から26℃において、積算回数70回、繰り返し回数3回などの条件により行われる。必要に応じてNaClなどの電解質を添加することで安定した測定を行うことができる。
尚、組成物における上記平均粒子径が150nmを超える場合とは、例えば、前記組成物中でミセル(平均粒子径が150nmを超えるミセル)が形成されている場合や、前記組成物中に配線を研磨する際(ケミカルメカニカルポリッシング)に用いられる金属酸化物などの研粒などが含まれている場合等である。
前記平均粒子径は、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることが更に好ましく、10nm以下であることが特に好ましい。
<塗布液準備工程>
本発明における塗布液準備工程は、1分子中に、芳香環を1以上、カルボキシル基を6以上有する、重量平均分子量が288〜2500である酸(以下、「特定多価カルボン酸」ともいう)またはその無水物を含む塗布液を準備する工程である。
本塗布液準備工程は、便宜上設けた工程である。
本工程における準備には、予め用意された塗布液を塗布工程に先立って準備することだけでなく、塗布工程に先立って塗布液を製造することも含まれる。
前記塗布液は、1分子中に、芳香環を1以上、カルボキシル基を6以上有する、重量平均分子量が288〜2500である酸またはその無水物を含む。カルボキシル基を6以上有することにより、特定の部材(部材B)に、ポリマーおよび塗布液に含まれる酸が残存し易くなる。また、重量平均分子量が2500以下であることにより、特定の部材(部材A)に、ポリマーおよび塗布液に含まれる酸が残存しにくくなる。
塗布液に含まれる酸中の芳香環は、活性種(例えば、ラジカル、イオン、電子等のプラズマ活性種)を遮蔽する部位として機能する。
また、前記酸中のカルボキシル基は、上記のポリマー(カチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマー)との間で加熱により結合を形成する官能基として機能する。ポリマー層が上述したポリアルキレンイミン(好ましくはポリエチレンイミン)を含む場合は、カルボキシル基が、ポリアルキレンイミン中の1級アミノ基および2級アミノ基(イミノ基)の少なくとも一方と反応して、アミド結合やイミド結合が形成される。
このように、前記酸が一分子中に芳香環とカルボキシル基とを有することにより、ポリマー層に耐熱性、耐プラズマ性が付与される。
特に、塗布工程の後にプラズマ処理(例えば、プラズマクリーニング、プラズマCVD)を行う場合において、上記のポリマーを含むポリマー層のプラズマ耐性を向上させることができる。
塗布液に含まれる酸について、1分子中のカルボキシル基の数は6個以上であり、好ましくは42個以下である。前記酸は、カルボキシル基の一部または全てが無水化されていてもよく、エステル化されていてもよい。
カルボキシル基は、前述のように前記ポリマーとの間で加熱により結合を形成する官能基として機能する。そのため、一分子中にカルボキシル基を6つ以上有する酸の一部がエステル化している場合であっても、カルボキシル基を1つ以上有することが好ましく、2つ以上がより好ましく、3つ以上が特に好ましい。
塗布液に含まれる酸(無水物であってもよい)は、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格およびアントラセン骨格の少なくとも一つを1以上有することが好ましく、ベンゼン骨格を1以上有することがより好ましい。
また、前記酸は、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、またはアントラセン骨格にカルボキシル基が6個以上結合したものが好ましい。ここで、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、またはアントラセン骨格について、カルボキシル基と結合していない箇所は、水素、アルキル基(例えば、メチル基)、および水酸基のいずれかと結合していることが好ましい。
さらに、前記酸は、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格などの芳香環を1以上9以下有することが好ましく、芳香環に結合するカルボキシル基を1分子中に6以上38以下有することがより好ましい。
前記酸は、以下に示す式(1)で表される化合物であることが好ましい。

(式(1)中、p1およびp4はそれぞれ独立に3〜5を表す。p2およびp3はそれぞれ独立に0〜4を表す。jおよびkは、それぞれ独立に0〜7を表し、j+k≦7を満たす。iは2〜4を表す。X〜Xは、上に示すいずれかの構造を有しており、それぞれ同じ構造であってもよく、違う構造であってもよい。)
式(1)はパラ位で結合しているが、オルト位、メタ位で結合していてもよい。
例えば、式(1)で表される化合物は、以下に示すような化合物であってもよい(式(1)中、jおよびkが0、かつ、p1およびp4が4を満たす化合物)。
また、前記酸は、以下に示す式(2)で表される化合物であることが好ましい。

(式(2)中、q1〜q3はそれぞれ独立に0〜5を表し、q1+q2+q3は6〜15を満たす。mおよびnはそれぞれ独立に0または1を表す。iは2〜4を表す。Y〜Yは、上に示すいずれかの構造を有しており、それぞれ同じ構造であってもよく、違う構造であってもよい。)
また、前記酸は、以下に示す式(3)で表される化合物であることが好ましい。

(式(3)中、r1〜r4はそれぞれ独立に0〜5を表し、r1+r2+r3+r4は6〜20を満たす。mおよびnはそれぞれ独立に0または1を表す。iは2〜4を表す。Q〜Qは、上に示すいずれかの構造を有しており、それぞれ同じ構造であってもよく、違う構造であってもよい。)
前記酸は、1以上の芳香環の少なくとも1つに4以上のカルボキシル基が結合していることがより好ましく、カルボキシル基と結合していない箇所は、水素、アルキル基(例えば、メチル基)、および水酸基のいずれかと結合していることが好ましい。
また、前記酸は、1以上の芳香環の少なくとも1つに4以上のカルボキシル基が結合している化合物として、下記式A−1〜A−4で表される化合物であることがより好ましい。

さらに、上記式A−1〜A−4で表される化合物は、カルボキシル基の一部または全てが無水化またはエステル化されていてもよく、例えば、上記式A−1で表される化合物は、以下に示すように一部が無水化されていてもよい。
塗布液は、上記特定多価カルボン酸以外の酸を含んでいてもよく、この酸は、層間絶縁層を汚染又は破壊しにくいもので、かつ、半導体基板上に残留しにくいものが好ましく、具体的には、ギ酸、酢酸等のモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸、トリカバリル酸等のトリカルボン酸、ヒドロキシ酪酸、乳酸、サリチル酸等のオキシモノカルボン酸、リンゴ酸、酒石酸等のオキシジカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸等のオキシトリカルボン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノカルボン酸などの有機酸、バルビツール酸を挙げることができる。
また、ポリマー層のプラズマ耐性をより向上させるという観点から、塗布液は上記の特定多価カルボン酸以外のその他の酸を含んでいてもよく、その他の酸としては、具体的には、ナフタレンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、フェニレン二酢酸、重量平均分子量2500以下のポリアクリル酸などの多価カルボン酸が挙げられ、ナフタレンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸が好ましい。
なお、前記プラズマとしては、例えば、水素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガス、アンモニアガス等から生成されたプラズマが挙げられる。前記プラズマを発生させる条件には特に限定はないが、部材Bに形成されたポリマー層を除去しすぎない程度の条件が好ましい。このような条件の例として、例えば、全圧20〜200mTorr、ガス流量20〜100sccm、カソード電極直径5〜15cm、放電電力20〜200W、処理時間(放電時間)10〜60秒、といった条件を例示できる。
前記塗布液としては特に制限はないが、除去効率向上の観点から、極性が高い溶媒を含むことが好ましい。
前記組成物は、カチオン性官能基を有するポリマーを含んでおり極性が高いため、極性の高い溶媒に溶けやすい。このため、極性が高い溶媒を含む塗布液を用いることで、部材Aからのポリマーの除去性が更に向上する。
具体的には、前記塗布液は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの極性溶媒を含むことが好ましい。
また、このような極性溶媒は、部材Bとポリマーとの相互作用を大きく損ねることはない。このため、かかる極性溶媒を含む塗布液によって塗布を行なっても、部材Bのポリマー(有効に機能しているポリマー層)は除去されにくい点で好ましい。
また。塗布液の溶媒としては、前述の特定多価カルボン酸の溶解度が高いものが好ましい。前述の酸がカルボキシル基を多く有する場合、水、エタノールなどが好ましい。また、前述の酸におけるカルボキシル基が無水化またはエステル化されている場合、イソプロピルアルコールなどが好ましい。
また、前記塗布液は、部材Aの酸化を抑制するという観点から、還元剤や還元作用がある化合物を含むことも好ましい。還元剤や還元作用がある化合物として、たとえばホルマリンが挙げられる。
また、前記塗布液は、組成物のポリマー中の炭素−炭素結合等の解裂を防止し、部材Bからのポリマーの脱離を抑制する観点から、酸化性化合物(例えば、過酸化水素、硝酸)の含有量が10質量%以下であることが好ましく、酸化性化合物を含まないことがさらに好ましい。
また、前記塗布液は、イオン強度が0.003以上であることが好ましく、0.01以上であることが好ましい。
イオン強度が0.003以上であると、ポリマーをより溶解させ易い一方、部材Bとポリマーとの相互作用を大きく損ねることがない点で好ましい。
また、イオン強度の上限については特に限定はなく、イオン性化合物が溶解できる濃度のイオン強度であればよい。
なお上記イオン強度は、下記式で表されるものである。
イオン強度=1/2×Σ(c×Z
(cは塗布液に含まれるイオン性化合物のモル濃度、Zは塗布液に含まれるイオン性化合物のイオン原子価を表す)
また、イオン強度を調整するために、前述した酸や、有機塩基(アンモニア、ピリジン、エチルアミンなど)などのイオン性化合物を必要に応じて添加することもできる。
さらに、金属元素イオンを捕捉するポリマー(例えばポリエチレンイミン)を添加してもよい。
また、前記塗布液は、25℃におけるpHが6以下(好ましくは5以下)である塗布液であることも好ましい。かかる塗布液を用いることで、部材Aからのポリマーの除去性が更に向上する。更には、部材Aに形成された金属酸化物を溶解させ、除去することができる。
また、この場合の塗布液のpHの下限には特に限定はないが、pHは1以上が好ましく、2以上がより好ましい。
pHが1以上であれば、部材Bの溶解をより低減できるので、部材Bに付着したポリマーをより好適に維持できる。
前記塗布液のpHは、部材Aからのポリマーの除去性と、部材Bに付与されたポリマーの残存性と、をより効果的に両立させる観点より、1〜6が好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4が特に好ましい。
前記塗布液に含まれることがある、上述の溶媒、酸、還元剤、イオン性化合物などの量には特に制限はないが、例えば、前記塗布液のpHとイオン強度が上述の好ましい範囲になるように適宜、調整することができる。上述の酸(特定多価カルボン酸)の濃度については、0.05ミリモル/リットル〜100ミリモル/リットルが好ましく、0.2ミリモル/リットル〜10ミリモル/リットルがより好ましい。
また、前記塗布液は、例えば、上述の溶媒、酸、還元剤、イオン性化合物などを混合することで調製することができるが、電子回路等への汚染を防ぐために、クリーンルームなど清浄な環境下で作製するか、塗布液を作製後、精製やろ過などにより電子回路等への汚染成分を除去するのが好ましい。
<複合部材準備工程>
本発明における複合部材準備工程は、部材Aと、表面の等電点が前記部材Aの表面の等電点よりも2.0以上低く、かつ等電点が1.0〜7.5である部材Bと、を備えるとともに、部材Bの表面の等電点<組成物のpH<部材Aの表面の等電点の関係を満たす複合部材を準備する工程である。
この複合部材は、本発明の製造方法において組成物が付与される対象物である。
本準備工程は、便宜上設けた工程である。
本工程における準備には、予め用意された複合部材を付与工程に先立って準備することだけでなく、付与工程に先立って複合部材を製造することも含まれる。
複合部材では、部材Aの表面における等電点よりも部材Bの表面における等電点が低くなっており、かつ、両者の差が2.0以上となっている。
両者の差は、3.0以上が好ましく、4.0以上がより好ましく、5.0以上が特に好ましい。
部材Aの表面における等電点は、5.0〜12.0が好ましく、6.0〜11.0がより好ましい。
部材Bの表面における等電点は、1.0〜6.0が好ましく、1.5〜4.0がより好ましい。
本発明において、等電点は、電気泳動法、流動電位法、電気浸透法等によって測定された水中における基材表面のゼータ電位がゼロとなる溶媒のpH値を指す。また、固体表面の等電点の例としては、G.A.Parks:Chemical Review誌65号177項−198項(1965年)に記載された等電点を挙げる事ができる。
また、前述のとおり、上記複合部材は、部材Bの表面の等電点<組成物のpH<部材Aの表面の等電点の関係を満たす。
上記複合部材は、本発明の効果がより効果的に奏される点から、部材Bの表面の等電点<組成物のpH<{(部材Aの表面の等電点)−1.0}の関係を満たすことが好ましい。
上記関係のうち、特に、組成物のpH<{(部材Aの表面の等電点)−1.0}の関係を満たすことにより、部材Aにポリマーがより付着し難くなるため、部材Aにポリマーがより残存し難くなる。
複合部材は、部材Aを1個のみ備えてもよいし、複数備えていてもよい。
部材Aは、Cu、Al、Ti、Ni、Fe、Sn、Cr、Mn、Pt、Zn、およびMgからなる群から選ばれる少なくとも一種類の元素(以下、「特定金属元素」ともいう)を含有することが好ましく、Cuを含有することがより好ましい。
この場合、部材Aは、特定金属元素以外の金属元素や、非金属元素(例えば、窒素(N)、酸素(O)、等)を含有していてもよい。
部材Aは、上記特定金属元素を主成分として含有することが好ましい。
ここで、主成分とは、含有比率(質量%)が最も高い成分を指す(以下、同様である)。
部材A中における特定金属元素の含有比率は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上が好ましく、90質量%以上が好ましい。
部材Aは、独立して存在し得る部材の形態であることには制限されず、例えば、基板上設けられた部材の形態であってもよい。
部材Aが基板上に設けられた部材である場合、この部材Aは、スパッタリング、蒸着、CVD(Chemical Vapor Deposition)、めっき、ALD(Atomic Layer Deposition)等、公知の手段によって形成することができる。この場合の部材Aの形態としては、パターニングされていない形態(いわゆるベタ膜の形態)、エッチング等によりパターニングされた形態、絶縁層の凹部(エッチング等によって設けられた凹部)にめっき等によって埋め込まれた形態等が挙げられる。
この場合の部材Aとしては、導電部(例えば、配線、電極等)が挙げられる。
また、複合部材は、部材Bを1個のみ備えてもよいし、複数備えていてもよい。
部材Bは、シリカを含有することが好ましい。
この場合、部材Bは、シリカ以外の成分を含有していてもよい。
部材Bは、シリカを主成分として含有することが好ましい。
部材B中におけるシリカの含有比率は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上が好ましく、90質量%以上が好ましい。
部材Bは、独立した部材の形態であることには制限されず、例えば、基板(例えば基板)上に設けられた部材の形態であってもよい。
部材Bが基板上に設けられた部材である場合、この部材Bは、スパッタリング、蒸着、CVD(Chemical Vapor Deposition)、組成物の塗布など、公知の手段によって形成することができる。この層の形態としては、パターニングされていない形態(いわゆるベタ膜の形態)、エッチング等によりパターニングされた形態(パターン状の凹部または開口部が設けられた形態を含む)等が挙げられる。
この場合の部材Bとしては、絶縁層(低誘電率層を含む)等が挙げられる。
また、部材Bは、シラノール基、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基等の極性基を少なくとも1種有していてもよい。
部材Bは、多孔質材料を含むことが好ましい。
かかる形態では、部材Bに含まれる多孔質材料の表面または界面をポリマーによって被覆できる。これにより、例えば、部材Bを絶縁層とした場合において、細孔への金属成分やプラズマ成分の侵入により生じることがある、誘電率の上昇等をより抑制できる。
多孔質材料としては多孔質シリカが好ましい。
より好ましくは、部材Bは、多孔質シリカを含み、その表面(組成物が付与される面)に多孔質シリカに由来するシラノール基を有することが好ましい。このシラノール基と前記ポリマーに含まれるカチオン性官能基とが相互作用することにより、ポリマーによる細孔被覆性がより向上する。
多孔質材料を含む部材Bにおける細孔半径(ポア半径)には特に限定はないが、組成物に含まれるポリマーによる細孔被覆性の効果をより効果的に奏する観点から、前記細孔半径は、0.5〜3.0nmか好ましく、1.0〜2.0nmがより好ましい。
多孔質シリカとしては、例えば、半導体装置の層間絶縁層などに通常用いられる多孔質シリカを用いることができる。例えば、国際公開第91/11390号パンフレットに記載されたシリカゲルと界面活性剤等とを用いて、密封した耐熱性容器内で水熱合成する有機化合物と無機化合物との自己組織化を利用した均一なメソ細孔を持つ酸化物や、Nature誌、1996年、379巻(703頁)またはSupramolecular Science誌、1998年、5巻(247頁等)に記載されたアルコキシシラン類の縮合物と界面活性剤とから製造される多孔質シリカ等を挙げることができる。
前記多孔質シリカとしては、国際公開第2009/123104号パンフレットや国際公開第2010/137711号パンフレットに記載された多孔質シリカ(例えば、特定のシロキサン化合物を含む組成物を用いて形成された多孔質シリカ)を用いることも好ましい。
多孔質シリカを含む層は、例えば、上記の多孔質シリカの形成用組成物を基板上に塗布した後、適宜、加熱処理等を行うことにより形成することができる。
本発明では、前記部材AがCu元素を含有し、前記部材Bがシリカを含有する態様が好ましい。この態様では、部材Aの表面に組成物がより付着し難い点から、組成物のpHが6.5以下であることがより好ましい。
本発明で用いる複合部材としては、部材Aおよび部材Bを備える限り特に制限はない。
複合部材の好ましい形態として、基板と、この基板上に設けられた、部材Aとしての導電部および部材Bとしての絶縁層と、を備えた形態が挙げられる。この形態の複合部材の構成としては、導電部の表面の少なくとも一部および絶縁層の表面の少なくとも一部が露出し、これらの露出面に組成物を付与できる構成であれば特に制限はない。
上記導電部としては特に制限はないが、配線および電極の少なくとも一方が挙げられる。
上記基板としては特に制限されず、例えば、ガラス基板、石英基板、半導体基板(例えばシリコンウエハ)、ステンレス基板、プラスチック基板等を挙げることができる。またその形状も、特に制限されず、板状、皿状等のいずれであってもよい。
上記好ましい形態の複合部材としては、例えば、プリント配線基板、半導体装置(配線および層間絶縁層が設けられた半導体基板)、表示装置用基板(例えば、液晶表示装置用基板や有機エレクトロルミネッセンス表示装置用基板)などが挙げられる。
上記導電部の体積抵抗率(比抵抗)としては特に制限はないが、例えば、1×10Ω・cm未満(好ましくは1×10Ω・cm以下、より好ましくは10Ω・cm以下、特に好ましくは1Ω・cm以下)の範囲が挙げられる。
上記絶縁層の体積抵抗率(比抵抗)としては特に制限はないが、例えば、1×10Ω・cm以上(好ましくは1×10Ω・cm以上、より好ましくは1×10Ω・cm以上、特に好ましくは1×1010Ω・cm以上)の範囲が挙げられる。
絶縁層の比誘電率としては特に制限はなく、プリント配線基板や半導体装置等における絶縁層の比誘電率として通常の範囲が挙げられるが、例えば、測定周波数100kHzから1MHzにおける比誘電率が12以下(好ましくは4以下、より好ましくは3以下)の範囲が挙げられる。
複合部材における部材Aの表面のうち少なくとも組成物が付与される面には、組成物の付与(付与工程)の前に、前処理を施してもよい。
上記前処理は、ベンゾトリアゾール、フェナントロリン、ビピリジン、トリピリジン、アセチルアセトン、トリアミノプロパン、8−キノリロール等の部材Aの表面に疎水基を形成するキレート剤、または、飽和脂肪族モノカルボン酸化合物(プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸等)、不飽和脂肪族モノカルボン酸化合物(アクリル酸、α−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸等)、芳香族モノカルボン酸化合物(安息香酸、サリチル酸等)、フタル酸、ピコリン酸等の部材Aの表面に疎水基を形成する酸を用いて行うことが好ましい。
上記前処理は、液相法、気相法のいずれの方法で行ってもよく、通常行われる方法が用いられる。
上記前処理によれば、部材Aの表面のみを疎水性にすることができ、かつ、部材Aの表面の腐食を抑制できる。
上記前処理は、オリゴエチレングリコール末端アルカンチオール、オリゴエチレングリコールアリルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー等のポリエチレンオキシド誘導体、ポリエチレングリコール誘導体、またはポリエチレンオキシド誘導体を用いて行なってもよい。この場合の前処理も、液相法、気相法のいずれの方法で行ってもよく、通常行われる方法が用いられる。
上記前処理によれば、部材Aの表面のみにポリマーおよび特定多価カルボン酸の吸着を抑制するための吸着反発層を形成することができ、かつ、部材Aの表面の腐食を抑制できる。
次に、複合部材の具体例について、図面を参照しながら説明するが、本発明は以下の具体例に限定されることはない。図面では、本発明において必須ではない構成については図示を省略している。また、以下では、同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明を省略することがある。
図1は、本実施形態に係る複合体の製造方法における、組成物を付与する付与工程前の複合部材の断面を模式的に示す概略断面図である。
図1に示すように、複合部材の構成は、基板10上に、第1絶縁層14と、第1絶縁層14よりも下層側(基板10に近い側)に配された第2絶縁層12と、第2絶縁層12に埋め込まれた配線20(部材Aとしての導電部)と、を備えた構成となっている。配線20は上述した特定金属元素を含んでいる。また、第1絶縁層14および第2絶縁層12(いずれも部材Bとしての絶縁層)は、シリカを含んでいる。
第1絶縁層14には、ドライエッチング等のエッチングにより予め凹部16が設けられており、凹部16の底面の少なくとも一部には、配線20が露出している。即ち、凹部16の底面の少なくとも一部は、配線20の露出面20aによって構成されている。
図1に示すような複合部材を用いた場合、組成物は、凹部16の壁面(底面および側面)、第1絶縁層14の上面(基板から遠い側の面)、配線20の露出面20aに付与される。そして、これらの箇所に、組成物に含まれるポリマーを含む層(以下、「ポリマー層」ともいう)が形成される。
このとき、上述したとおり、組成物のpHが2.0〜11.0の範囲であり、かつ、各絶縁層(部材B)の表面の等電点<組成物のpH<配線20(部材A)の表面の等電点の関係が満たされることにより、前述した引力の作用により、各絶縁層の露出面(凹部の壁面を含む)はポリマー層によって好適に被覆される。一方、ポリマー層は、配線20の露出面20aにも形成されるが、前述した反発力の作用により、このポリマー層は露出面20aに残存し難い状態となる。また、仮にポリマー層が露出面20aに残存した場合でも、通常の除去処理によって、各絶縁層の露出面のポリマー層を残しつつ、露出面20aのポリマー層の少なくとも一部を容易に除去できる。各絶縁層の露出面のポリマー層が残ることにより、その後、プラズマ処理を施した場合においても、プラズマ成分の各絶縁層中への拡散が抑制される。
更に、露出面20aにポリマー層が残存し難いことにより、(必要に応じて露出面20aのポリマー層の少なくとも一部を除去した後に、)凹部に別の配線(例えば配線)を埋め込んだ際、配線20と埋め込まれた配線との電気的な接続性が良好となる。また、凹部の壁面はポリマー層で被覆されているため、埋め込まれた配線中の金属成分が絶縁層内部に拡散する現象が抑制される。
複合部材は、図1に示した構造に限定されることはない。
例えば、凹部16の側面の少なくとも一部には、バリア層等が設けられていてもよい。
また、第1絶縁層14と第2絶縁層12との間には、エッチングストッパー層等の他の層が存在していてもよい。また、第1絶縁層14と第2絶縁層12とが一体となって一つの絶縁層を構成していてもよい。
また、図1に示す凹部16の断面形状は、一種のみ深さを持つ(深さが一定の)断面形状となっているが、凹部の断面形状はこの一例に限定されず、2種以上の深さを持つ(階段状の)断面形状であってもよい。また、絶縁層には、前記凹部16に加え、前記凹部16とは最深部の深さが異なる別の凹部が設けられていてもよい。
また、基板10と配線20および第2絶縁層12との間には、必要に応じ、トランジスタ等の回路等が設けられていてもよい。
以上の複合部材としては、層間絶縁層および配線(例えば銅を含む配線)を備えた半導体基板が挙げられる。この場合、第1絶縁層14および第2絶縁層12が層間絶縁層に対応し、上記配線20が配線に対応する。
上述した半導体基板(半導体装置)の構成については、例えば、国際公開パンフレット第2009/153834号パンフレット(特に、段落0040〜0041、図2E)に記載の半導体装置の構成を参照することもできる。
<付与工程>
本発明における付与工程は、前記複合部材の部材Aの表面(露出面)および部材Bの表面(露出面)に、前述の本発明における組成物を付与する工程である。
(組成物の付与方法)
本発明における付与工程において、組成物を付与する方法としては特に制限はなく、通常用いられる方法を用いることができる。
通常用いられる方法としては、例えば、ディッピング法(例えば、米国特許第5208111号明細書参照)、スプレー法(例えば、Schlenoffら、Langmuir,16(26),9968,2000や、Izuquierdoら、Langmuir,21(16),7558,2005参照)、および、スピンコート法(例えば、Leeら、Langmuir,19(18),7592,2003や、J.Polymer Science,part B,polymer physics,42,3654,2004参照)などが挙げられる。
スピンコート法による組成物の付与方法としては特に限定はなく、例えば、部材Aおよび部材Bを備えた基板をスピンコーターで回転させながら、基板の各部が設けられた側に組成物を滴下する方法を用いることができる。次いで水などの洗浄液を滴下して洗浄処理を行い、次いで基板の回転数を上げて乾燥させてもよい。このとき、組成物の滴下および洗浄液の滴下を複数回繰り返した後、乾燥させてもよい。また、組成物を滴下後、回転数を上げて乾燥させ、乾燥後に一旦ホットプレート等の加熱処理器に移して加熱処理を行い、加熱処理後に再びスピンコーターに戻し、洗浄処理および乾燥を行ってもよい(以上の操作を複数回繰り返してもよい)。この場合の加熱処理は、後述の加熱工程における加熱処理(温度70℃以上425℃以下の条件の加熱処理)であってもよい。
スピンコート法による組成物の付与方法において、基板の回転数、組成物の滴下量および滴下時間、乾燥時の基板の回転数、洗浄液の滴下量および滴下時間、などの諸条件については特に制限はなく、形成するポリマー層の厚さなどを考慮しながら適宜調整できる。
付与工程では、部材Aおよび部材Bに組成物を付与することで、更に必要に応じ、適宜、通常用いられる方法で乾燥することで、部材Aおよび部材Bに、上記ポリマーを含む層(ポリマー層)が形成される。
より具体的には、図2に示すように、第1絶縁層14、第2絶縁層12および配線20に、シール層30が形成される。
部材Aおよび部材Bに組成物を付与することで形成されるポリマー層の厚さには特に制限はないが、例えば、0.3nm〜5nmであり、好ましく0.5nm〜3nmである。
なお、ポリマー層は、部材Bが多孔質材料を含む場合には、前記ポリマーのみからなる層の形態だけでなく、多孔質材料の細孔にポリマーが染み込んだ構成となっている層(いわゆる染み込み層)の形態も含む。
<塗布工程>
本発明の製造方法は、付与工程後に、組成物を付与した表面に、塗布液を塗布する塗布工程を有する。この塗布工程を有することにより、部材Aからのポリマー(ポリマー層)の除去性がより向上する。ここでいう「除去性がより向上する」とは、この塗布自体でポリマーの少なくとも一部を除去できることのほか、ポリマーの少なくとも一部をこの塗布後のその他の除去操作(例えば、後述の高温加熱処理)によって除去し易くなることも含む。
本工程における塗布液の温度は、15℃〜100℃であることが好ましく、20℃〜30℃がより好ましい。
前記塗布液の温度が15℃以上(より好ましくは20℃以上)であると、部材Aからのポリマーの除去性が更に向上する。
前記塗布液の温度が100℃以下であると、塗布液の蒸発をより抑制できる。
また、本工程における塗布は、塗布液に超音波を印加しながら行なってもよい。
本工程では、前記塗布液により、部材A上に形成された余分なポリマー層を、部材Bを被覆している有効なポリマー層を維持しつつ、迅速に除去することができる。さらには、上述のように、金属元素の酸化物を除去することもでき、それにより部材Aと、必要に応じ設けられることがある部材Aに接する部材(絶縁層、配線、導電性部材等)と、の剥離を抑制することができる。
また、本工程における塗布は、非酸化性雰囲気下で行なうことも好ましい。塗布を非酸化性雰囲気下で行うことにより、塗布する前に存在した部材Aの金属酸化物が塗布液で除去された後、さらに部材A表面の金属元素が酸化されて金属酸化物となりこの金属酸化物を塗布液がまた溶解(除去)する、という繰り返しにより、部材Aが過剰に除去されることを防ぐことができる。非酸化性雰囲気下とするには、例えば、還元雰囲気ガスを使用すれば良い。
本工程における塗布は、通常用いられる方法で行なうことができ、その方法には特に制限はない。
通常用いられる方法としては、例えば、ディッピング法(例えば、米国特許第5208111号明細書参照)、スプレー法(例えば、Schlenoffら、Langmuir,16(26),9968,2000や、Izuquierdoら、Langmuir,21(16),7558,2005参照)、および、スピンコート法(例えば、Leeら、Langmuir,19(18),7592,2003や、J.Polymer Science,part B,polymer physics,42,3654,2004参照)などが挙げられる。
スピンコート法による塗布液の塗布方法としては特に限定はなく、例えば、付与工程後の基板をスピンコーターで回転させながら、基板の組成物を付与した面側に塗布液を滴下する方法を用いることができる。次いで水などの洗浄液を滴下して洗浄処理を行い、次いで基板の回転数を上げて乾燥させてもよい。このとき、塗布液の滴下および洗浄液の滴下を複数回繰り返した後、乾燥させてもよい。また、塗布液を滴下後、回転数を上げて乾燥させ、乾燥後に一旦ホットプレート等の加熱処理器に移して加熱処理を行い、加熱処理後に再びスピンコーターに戻し、洗浄処理および乾燥を行ってもよい(以上の操作を複数回繰り返してもよい)。この場合の加熱処理は、後述の加熱工程における加熱処理(温度70℃以上425℃以下の条件の加熱処理)であってもよい。
スピンコート法による塗布液の塗布方法において、基板の回転数、塗布液の滴下量および滴下時間、乾燥時の基板の回転数、洗浄液の滴下量および滴下時間、などの諸条件については特に制限はなく、付与工程で形成したポリマー層の厚さなどを考慮しながら適宜調整できる。
塗布時間は特に限定はないが、例えば0.1〜60分とすることができ、0.1〜10分がさらに好ましい。
本発明の製造方法では、付与工程および塗布工程を2回以上繰り返す。つまり、組成物を塗布した部材Aの表面および部材Bの表面に、塗布液を付与する塗布工程の後、塗布液を付与した表面に、組成物を付与する付与工程を順に行い、付与工程および塗布工程を複数回繰り返す。
付与工程および塗布工程を2回以上繰り返すことにより、部材Bの表面に付与されたポリマーの厚さが均一になるように制御することができ、かつ部材Aの表面に付与されたポリマーが残存することを抑制できる。
より具体的には、本発明の製造方法は、図3に示すような、第1絶縁層14の表面に付与されたポリマー(シール層30)の厚さが均一であり、かつ、配線20の表面に付与されたポリマーが残存することが抑制された半導体装置100を提供することができる。
付与工程および塗布工程の繰り返し回数は、2回以上であれば特に限定されないが、2回以上15回以下が好ましく、2回以上10回以下がより好ましい。
本発明では、付与工程および塗布工程を2回以上繰り返していればよく、付与工程の後、塗布工程の前に、後述する加熱工程などの別の工程を行なってもよい。
また付与工程および塗布工程は、部材Bに付与されたポリマーの厚さが所望の厚さになるまで繰り返すことが好ましく、例えば、塗布厚みで2nm〜50nm、好ましくは3nm〜30nmになるまで繰り返せばよい。
部材Bが多孔質材料を含み、ポアシール目的でポリマーを部材Bに付与する場合、ポアシールが可能な程度の厚さ以上であることが好ましく、細孔半径の4倍以下であることがより好ましい。
(付与後ソフトベーク)
付与工程の少なくとも1回は、複合部材の表面上に組成物を付与し、組成物が付与された複合部材の表面を前述のように水などの洗浄液で洗浄する工程であることが好ましい。洗浄後、洗浄された複合部材を温度70℃〜425℃の条件で加熱してもよい。以下、この加熱を、「付与後ソフトベーク」ということがある。また、前記温度は、前記複合部材の前記組成物が付与された面の温度を指す。
この付与後ソフトベークにより、洗浄液を揮発させるほか、部材Bへのポリマーの残存し易さを促進させる事ができる。
具体的には、温度が70℃以上であることにより、組成物に含まれる溶媒を揮発させ、さらに、部材Bに付与されたポリマーの残存性が好適に維持される。また、前記温度が425℃以下であると、部材Bに付与された、ポリマーと塗布液に含まれる酸の熱分解を抑制できる。
上記温度は、80℃〜400℃がより好ましく、100℃〜300℃がより好ましく、110℃〜200℃がさらに好ましく、110℃〜150℃が特に好ましい。
本工程における加熱は通常の方法によって行うことができるが、例えばホットプレートを用いて行うことができる。
本工程における加熱を行う雰囲気には特に制限はなく、例えば、大気雰囲気下で行ってもよいし、不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等)雰囲気下で行なってもよい。
加熱の時間については特に制限はないが、300秒以下が好ましく、200秒以下がより好ましく、120秒以下が更に好ましく、80秒以下が特に好ましい。
加熱の時間の下限には特に制限はないが、下限は、例えば10秒(好ましくは20秒、より好ましくは30秒)とすることができる。
本発明の製造方法にて、前述の加熱(付与後ソフトベーク)を行なう場合、工程順としては、付与工程(すなわち、各部材の表面上に組成物を付与し、洗浄し、付与後ソフトベークを行なう態様の付与工程)、塗布工程の順となる。
また、付与工程、塗布工程の順のサイクルを複数回繰り返す際は、全ての付与工程にて付与後ソフトベークを行なってもよく、一部の付与工程にて付与後ソフトベークを行なわなくてもよい。
(塗布後ソフトベーク)
塗布工程の少なくとも1回は、付与工程後に、組成物が付与された表面に、塗布液を塗布し、塗布液が塗布された前記複合部材を温度70℃〜425℃の条件で加熱する工程であることが好ましい。以下、この加熱を、「塗布後ソフトベーク」ということがある。また、前記温度は、前記複合部材の前記塗布液が塗布された面の温度を指す。
この塗布後ソフトベークにより、部材Bへのポリマーの残存し易さを促進させる事ができる。
具体的には、温度が70℃以上であることにより、部材Bに付与されたポリマーの残存性が好適に維持される。また、前記温度が425℃以下であると、部材Bに付与された、ポリマーおよび塗布液に含まれる酸の熱分解を抑制できる。
上記温度は、80℃〜400℃がより好ましく、100℃〜300℃がより好ましく、110℃〜200℃がさらに好ましく、110℃〜150℃が特に好ましい。
本工程における加熱を行なう方法、加熱を行なう雰囲気および加熱の時間については、特に制限はなく、前述の付与後ソフトベークと同様である。
また、塗布工程の少なくとも1回は、付与工程後に、組成物が付与された表面に、塗布液を塗布し、塗布液が塗布された複合部材の表面を洗浄液で洗浄する工程であることが好ましく、組成物が付与された表面に、塗布液を塗布し、塗布液が塗布された複合部材の表面を洗浄液で洗浄し、洗浄された複合部材を温度70℃〜425℃の条件で加熱する工程であることがより好ましい。なお、好ましい加熱温度は上述のとおりである。
本発明の製造方法にて、前述の加熱(塗布後ソフトベーク)を行なう場合、工程順としては、付与工程、塗布工程(すなわち、組成物が付与された表面に塗布液を塗布し、洗浄し、塗布後ソフトベークを行なう態様の塗布工程)の順となる。
また、付与工程、塗布工程の順のサイクルを複数回繰り返す際は、全ての塗布工程にて塗布後ソフトベークを行なってもよく、一部の塗布工程にて塗布後ソフトベークを行なわなくてもよい。
<高温加熱工程>
本発明の製造方法は、付与工程および塗布工程を2回以上繰り返した後、更に、組成物が付与された複合部材を、温度200℃〜425℃の条件で加熱する高温加熱工程を有することが好ましい。以下、この高温加熱工程を、「ハードベーク(工程)」ということがある。また、前記温度は、前記複合部材の前記組成物が付与された面の温度を指す。
この高温加熱工程を有することにより、部材A上に形成されたポリマー層が、部材Bに形成されたポリマー層よりも優先的に(好ましくは選択的に)除去される。
前記温度が200℃以上であると、複合部材からのポリマー層の除去性に優れる。
また、前記温度が425℃以下であると、部材Aのマイグレーションを抑制できる。
前記温度は、250℃〜400℃が好ましく、300℃〜400℃がより好ましい。
また、高温加熱工程における加熱が行なわれる圧力(加熱時にポリマー層が曝される雰囲気の圧力)には特に制限はないが、絶対圧17Pa超大気圧以下が好ましい。
前記絶対圧が17Paを超えると、ポリマー層を除去する速度がより向上する。
前記絶対圧が大気圧以下であると、ポリマー層を除去する速度をより調整し易い。
前記絶対圧は、1000Pa以上大気圧以下がより好ましく、5000Pa以上大気圧以下が更に好ましく、10000Pa以上大気圧以下が特に好ましい。
高温加熱工程における加熱は、炉やホットプレートを用いた通常の方法により行なうことができる。炉としては、例えば、アペックス社製のSPX−1120や、光洋サーモシステム(株)製のVF−1000LPを用いることができる。
また、本工程における加熱は、大気雰囲気下で行なってもよいが、部材Aの酸化を抑制する観点等からは、不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等)雰囲気下で行なうことがより好ましく、窒素ガス雰囲気下で行なうことが特に好ましい。
高温加熱工程における加熱の時間については特に制限はないが、例えば1時間以下であり、30分間以下が好ましく、10分間以下がより好ましく、5分間以下が特に好ましい。加熱の時間の下限には特に制限はないが、例えば0.1分間とすることができる。
加熱の時間が1時間以下であると、部材Bにポリマー層をより残存させ易い。
本発明の製造方法が、高温加熱工程(ハードベーク工程)を有する場合、付与工程、加熱工程および塗布工程をこの順で複数回繰り返した後、高温加熱工程(ハードベーク工程)を行なうが、少なくとも1回の付与工程にて付与後ソフトベークを行なってもよく、少なくとも1回の塗布工程にて塗布後ソフトベークを行なってもよい。
<その他の工程>
本発明の製造方法は、その他の工程として、必要に応じて、前述したプラズマ処理を行うプラズマ処理工程、配線形成工程、バリア層形成工程など、電子デバイス(例えば半導体装置)の製造において行われる工程をさらに含んでいてもよい。
配線形成工程は、メタルCVD法、スパッタリング法、電解メッキ法等の公知のプロセスによって行うことができる。
本発明の製造方法が配線形成工程を有する場合、配線形成工程前にバリア層(銅バリア層)形成工程をさらに設けることができる。バリア層を形成することで部材Bへの金属成分やプラズマ成分の拡散をより効果的に抑制することができる。
前記バリア層形成工程は、通常用いられるプロセス条件に従って行うことができ、例えば気相成長法(CVD)により、チタン化合物(窒化チタン等)、タンタル化合物(窒化タンタル等)、ルテニウム化合物、マンガン化合物、コバルト化合物(CoW等)、タングステン化合物等からなるバリア層を形成することができる。
本発明の製造方法は、各付与工程後または各塗布工程後に複合部材を洗浄する洗浄工程を含んでいてもよい。洗浄工程では、具体的にはアルコールのような極性を有する有機溶媒または水、極性を有する有機溶媒と水の混合物、分解性を有する硝酸、硫酸等の酸またはオゾンを含む溶媒などを用いることができる。
以上で説明した、本発明の複合体の製造方法は、複合体としての各種の電子デバイス(プリント配線基板、半導体装置、表示装置用基板等)の製造方法として特に好適である。
本発明の複合体の製造方法によって製造される複合体の一例としては、上記部材Bとしての絶縁層と、カチオン性官能基を有する重量平均分子量が2000〜1000000のポリマーを含むポリマー層と、上記部材Aとしての配線と、がこの順に配置された構造を備え、上記配線の上記絶縁層と対向しない部分の上記ポリマー層の厚さが5nm以下(好ましくは3nm以下、より好ましくは2nm以下、特に好ましくは1nm以下、最も好ましくは0nm(即ち、ポリマー層が存在しないこと))である複合体が挙げられる。
上記一例では、上記配線(以下、「第1配線」ともいう)の上記絶縁層と対向していない部分には、第2配線が設けられ、第1配線と第2配線とが電気的に接続されていてもよい。この場合、第1配線と第2配線との間のポリマー層の厚さは、上述の通り5nm以下であるため、両者は電気的な接続性に優れる。
上記一例に係る複合体の更に具体的な例である半導体装置は、半導体基板上に、層間絶縁層と、銅を含む第1配線と、前記層間絶縁層と前記第1配線との間に存在する、カチオン性官能基を有する重量平均分子量が2000〜1000000のポリマーを含む半導体用ポリマー層と、前記第1配線と電気的に接続され銅を含む第2配線と、を備え、前記第1配線と前記第2配線との接続部における前記半導体用ポリマー層の厚さが5nm以下である半導体装置である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下において、「水」としては、超純水(Millipore社製Milli−Q水、抵抗18MΩ・cm(25℃)以下)を使用した。
〔実施例1〜3〕
≪組成物の調製≫
以下のようにして高分岐ポリエチレンイミン1(高分岐化されたポリエチレンイミン)を合成し、次いで、得られた高分岐ポリエチレンイミン1を含む組成物を調製した。詳細を以下に説明する。
<高分岐ポリエチレンイミン1の合成>
(変性ポリエチレンイミン1の合成)
下記反応スキーム1に従い、ポリエチレンイミンを出発物質とし、変性ポリエチレンイミン1を合成した。なお、下記反応スキーム1および反応スキーム2におけるポリマー構造は模式的に表した構造であり、3級窒素原子および2級窒素原子の配置や、後述するBoc化アミノエチル基により置換される2級窒素原子の割合については、合成条件により種々変化するものである。

上記反応スキーム1の詳細な操作は以下の通りである。
MP−Biomedicals社製ポリエチレンイミン(50%水溶液)61.06gをイソプロパノール319mL中に溶解し、N−t−ブトキシカルボニル(本実施例において、t−ブトキシカルボニル基を「Boc」ともいう)アジリジン102g(710mmol)を加え、3時間加熱還流を行い、ポリエチレンイミンにBoc化アミノエチル基が導入された構造の変性ポリエチレンイミン1を得た。薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料のN−Bocアジリジンがなくなったことを確認し、少量サンプリングしてH−NMRで構造を確認した。H−NMRより、ポリエチレンイミンに対するBoc化アミノエチル基の導入率は95%と算出された。
〜変性ポリエチレンイミン1のNMR測定結果〜
H−NMR(CDOD);δ3.3−3.0(br.s,2),2.8−2.5(
Br.s,6.2),1.45(s,9)
(高分岐ポリエチレンイミン1の合成)
上記変性ポリエチレンイミン1を出発物質とし、下記反応スキーム2に従って高分岐ポリエチレンイミン1を合成した。
上記反応スキーム2の詳細な操作は以下の通りである。
上記変性ポリエチレンイミン1のイソプロパノール溶液に12N塩酸124mLをゆっくり加えた。得られた溶液を、ガスの発生に注意しながら50℃で4時間加熱撹拌した。ガスの発生と共に、反応系内にガム状の反応物が生成した。ガスの発生が終了した後に冷却し、冷却後、このガム状の反応物から分離した溶媒を除き、メタノール184mLで3回洗浄した。洗浄後の反応物を水に溶解し、陰イオン交換高分子で塩素イオンを取り除き、高分岐ポリエチレンイミン1を58g含有する水溶液を得た。
〜高分岐ポリエチレンイミン1のNMR測定結果〜
H−NMR(DO);δ2.8−2.4(br.m)
13C−NMR(DO);δ(積分比) 57.2(1.0),54.1(0.38
),52.2(2.26),51.6(0.27),48.5(0.07),46.7(
0.37),40.8(0.19),38.8(1.06).
上記高分岐ポリエチレンイミン1について、重量平均分子量、分子量分布、カチオン性官能基(1級窒素原子、2級窒素原子、3級窒素原子、および4級窒素原子)当量、1級窒素原子の量(mol%)、2級窒素原子の量(mol%)、3級窒素原子の量(mol%)、4級窒素原子の量(mol%)、分岐度(%)をそれぞれ測定した。
その結果、重量平均分子量は40575、分子量分布は17.47、カチオン性官能基当量は43、1級窒素原子の量は46mol%、2級窒素原子の量は11mol%、3級窒素原子の量は43mol%、4級窒素原子の量は0mol%、分岐度は80%であった。
ここで、カチオン性官能基当量は、カチオン性官能基1つに対する分子量の値であり、ポリマー構造より算出することができる。
また、1級窒素原子の量(mol%)、2級窒素原子の量(mol%)、3級窒素原子の量(mol%)、4級窒素原子の量(mol%)、および分岐度(%)は、ポリマーサンプル(高分岐ポリエチレンイミン1)を重水に溶解し、得られた溶液について、ブルカー製AVANCE500型核磁気共鳴装置でシングルパルス逆ゲート付デカップリング法により、80℃で13C−NMRを測定した結果より、それぞれの炭素原子が何級のアミン(窒素原子)に結合しているかを解析し、その積分値を元に算出した。帰属については、European Polymer Journal, 1973, Vol. 9, pp. 559などに記載がある。
重量平均分子量と分子量分布は、分析装置Shodex GPC−101を使用しカラムAsahipak GF−7M HQを用い測定し、ポリエチレングリコールを標準品として算出した。また展開溶媒は酢酸濃度0.5mol/L、硝酸ナトリウム濃度0.1mol/Lの水溶液を用いた。ただし、Mark-Houwink-Sakurada式で知られているように、分岐度が大きくなるとGPCの検量線も変わることから、得られた重量平均分子量および分子量分布はあくまでポリエチレングリコール換算の数値である。
ここで、1級窒素原子の量(mol%)、2級窒素原子の量(mol%)、3級窒素原子の量(mol%)、および4級窒素原子の量(mol%)は、それぞれ、下記式A〜Dで表される量である。また、分岐度は、下記式Eにより求めた。
1級窒素原子の量(mol%) = (1級窒素原子のmol数/(1級窒素原子のmol数+2級窒素原子のmol数+3級窒素原子のmol数+4級窒素原子のmol数))×100 ・・・ 式A
2級窒素原子の量(mol%) = (2級窒素原子のmol数/(1級窒素原子のmol数+2級窒素原子のmol数+3級窒素原子のmol数+4級窒素原子のmol数))×100 ・・・ 式B
3級窒素原子の量(mol%) = (3級窒素原子のmol数/(1級窒素原子のmol数+2級窒素原子のmol数+3級窒素原子のmol数+4級窒素原子のmol数))×100 ・・・ 式C
4級窒素原子の量(mol%) = (4級窒素原子のmol数/(1級窒素原子のmol数+2級窒素原子のmol数+3級窒素原子のmol数+4級窒素原子のmol数))×100 ・・・ 式D
分岐度(%) = ((3級窒素原子の量(mol%)+4級窒素原子の量(mol%))/(2級窒素原子の量(mol%)+3級窒素原子の量(mol%)+4級窒素原子の量(mol%))×100 ・・・ 式E
<組成物の調製>
上記で得られた高分岐ポリエチレンイミン1(重量平均分子量40575、カチオン性官能基当量43)の水溶液に、水およびギ酸を加えて混合し、組成物を得た。
本実施例1〜3では、水およびギ酸の添加量は、組成物中の高分岐ポリエチレンイミン1の濃度が0.25質量%となり、かつ、組成物のpHが4.0となる量とした。ここでいうpHは、25℃の組成物について測定された値である(以下、同様である)。ここで、組成物のpHは、MACHEREY−NAGEL社製リトマス試験紙(指示薬は3種類、測定範囲;2.0−9.0)に組成物を滴下し、次いで余剰の組成物を除去した後、速やかに色を読み取ることによって測定した。特に、反応・変色した指示薬が複数ある場合は、その平均値を読み取り値(pH)とした。
得られた組成物について、ナトリウムの含有量およびカリウムの含有量をそれぞれ、誘電結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)により測定したところ、いずれも検出限界以下(<1重量ppb)であった。
<塗布液の調製>
ベンゼン六価カルボン酸(メリト酸)水溶液(濃度0.4ミリモル/リットル)に、溶媒である水およびアンモニアを加えて混合し、塗布液を得た。この塗布液は、前述の組成物と同様の方法でpHを測定したときに、pHが5.0となるようにアンモニアおよび水の量を調整した。
≪シリコン(Si)上のポリマー層の厚さ測定≫
<ポリマー層の形成(組成物の付与)>
まず、部材Bとしてシリコンウエハを準備した。
このシリコンウエハの表面にはシリカが存在している。
この表面の等電点は1.0〜3.0である(G.A.Parks:Chemical Review誌65号177項−198項(1965年))。
上記シリコンウエハを、スピンコーターの上にのせ、上記組成物1.0mLを10秒間一定速度で滴下し、13秒間保持した後、2000rpmで1秒間、600rpmで30秒間回転させた後、2000rpmで10秒間回転させて乾燥させた。
以上により、シリコンウエハ上に、組成物に含まれるポリマーを含む層を形成し、シリコンウエハとポリマー層とが積層された構造の積層体を得た。次いで、超純水(液温22℃)を0.1mL/秒の滴下速度で30秒間滴下して洗浄した後、4000rpmで60秒間回転させ乾燥させた。
<塗布液の塗布>
上記洗浄後の積層体を、スピンコーターを用いて600rpmで回転させながら、ポリマー層上に、前述の塗布液(pH5.0、液温22℃)を0.1mL/秒の滴下速度で30秒間滴下し、次いで、4000rpmで60秒間回転させ乾燥させた。その後、上記塗布液の塗布後に試料を600rpmで回転させながら、超純水(液温22℃)を0.1mL/秒の滴下速度で30秒間滴下して洗浄し、次いで、4000rpmで60秒間回転させ乾燥させた。以上により、シリコンウエハ上に、組成物に含まれるポリマーを含む層を形成し、さらに塗布液を塗布した、シリコンウエハとポリマー層とが積層された構造の積層体(以下、「試料(Si/PEI)」ともいう)を得た。
<ソフトベーク(加熱処理)>
乾燥後の上記試料(Si/PEI)をホットプレート上に移し、大気雰囲気下、125℃のソフトベーク温度で60秒間ソフトベーク(加熱処理)した。
ここでいうソフトベーク温度は、シリコンウエハ表面の温度である。
<付与および塗布の繰り返し>
前述のように、組成物の付与(その後、超純水で洗浄)、塗布液の塗布(その後、超純水で洗浄)、ソフトベークの順のサイクルを繰り返し行なった。
<ポリマー層の厚さ測定>
組成物の付与(その後、超純水で洗浄)、塗布液の塗布(その後、超純水で洗浄)、ソフトベークの順のサイクルをそれぞれ3回、5回、10回繰り返し行なった試料(Si/PEI)について、シリコン(Si)上のポリマー層の厚さ(nm)を、SEMILAB社製光学式ポロシメータ(PS−1200)のエリプソメーターを使用して常法により測定した。また、参考として、上記サイクルを1回行なった試料(Si/PEI)についても、シリコン上のポリマー層の厚さを測定した。
測定結果を表1に示す。
≪銅(Cu)上のポリマー層の厚さ測定≫
まず、部材Aとして銅(Cu)基板を準備した。
次に、上記シリコン(Si)上のポリマー層の厚さ測定において、シリコンウエハを、銅(Cu)基板に変更したこと以外は上記シリコン(Si)上のポリマー層の厚さ測定と同様にして、銅(Cu)上のポリマー層の厚さを測定した。つまり、前述のポリマー層の形成、塗布液の塗布およびソフトベークを、銅基板にも繰り返し行なった後、銅(Cu)上のポリマー層の厚さを測定した。この測定における試料を、以下、「試料(Cu/PEI)」ともいう。
銅上のポリマー層の厚さの測定は、詳細には以下のようにして行った。
即ち、光学的に平坦な銅基板上のポリマー層の厚さは、エリプソメトリーにより測定された偏光パラメーターを、WinElli IIを用いて多層光学モデル;(空気)/(ポリマー層)/(銅基板)で回帰することにより計算した。用いた光エネルギーの範囲は、2.2〜5.0eVである。ここで、ポリマー層の屈折率には常にシリカ(SiO)と同じ値を用いた。また、銅基板の屈折率および消衰係数は、ポリマー層を有しない銅基板の偏光パラメーターを測定後、解析ソフトのWinElli IIを用いて求められた値を用いた。
測定結果を表1に示す。
なお、この銅基板の表面の等電点は7.6〜9.5である(G.A.Parks:Chemical Review誌65号177項−198項(1965年))。
即ち、シリコンウエハ表面の等電点と銅基板表面の等電点との差は、4.6〜8.5である。
また、銅基板としては、172nmエキシマランプを装備したチャンバー内で350℃まで熱処理し、圧力3Pa以下で出力14mW/cmにより、紫外線を10分間照射することにより前処理を施したものを用いた。なお、以下の実施例および比較例で用いる銅基板についても同様の前処理を施した。
サイクルを2回以上行なったときに、銅(Cu)上のポリマー層の厚さが、シリコン(Si)上のポリマー層の厚さの80%以下であり、かつ4nm以下であるとき、Si上のポリマー層の厚さが厚く、かつ、Cu上のポリマー層の厚さが薄い、とした。
表1に示すように、実施例1〜3では、銅(Cu)上のポリマー層の厚さが、シリコン(Si)上のポリマー層の厚さの80%以下、かつ4nm以下を満たしており、Si上のポリマー層の残存性に優れ、かつ、Cuからのポリマー層の除去性に優れることが確認された。さらに、サイクルを3回以上行なった場合に、シリコン上のポリマー層の厚さが比例的に増加(ほぼ線形的に増加)し、ポリマー層の厚さの増加が制御されており、かつ銅上のポリマー層の厚さの増加が抑制されていることが確認された。
〔比較例1〜4〕
<組成物の調製>
上記で得られた高分岐ポリエチレンイミン1(重量平均分子量40575、カチオン性官能基当量43)の水溶液に、水を加えて混合し、組成物を得た。
本比較例1〜4では、水の添加量は、組成物中の高分岐ポリエチレンイミン1の濃度が0.25質量%となり、かつ、組成物のpHが9.5となる量とした。本比較例1〜4では、部材Bの表面の等電点<組成物のpH<部材Aの表面の等電点の関係を満たしていない。
組成物として、上述の組成物(pH9.5)を用いたこと以外は、実施例1〜3と同様にしてシリコン(Si)上のポリマー層および銅(Cu)上のポリマー層の厚さを測定した。
結果を表2に示す。
表2に示すように、比較例1〜3では、銅(Cu)上のポリマー層の厚さが、シリコン(Si)上のポリマー層の厚さの80%以下、かつ4nm以下を満たしておらず、かつ比較例4では、銅(Cu)上のポリマー層の厚さが実施例3よりも非常に大きくなっていることが確認された。また、比較例1〜4では、サイクルを増やすことで、銅上のポリマー層の厚さが比例的に増加(ほぼ線形的に増加)しているが、シリコン上のポリマー層の厚さが非線形的に増加しており、シリコン上のポリマー層の厚さが制御されていないことが確認された。
〔比較例5〕
この比較例では、ベンゼン六価カルボン酸水溶液の代わりに、ベンゼン五価カルボン酸水溶液(濃度0.4ミリモル/リットル)に、溶媒である水およびアンモニアを加えて混合し、塗布液(pH5.0)を調製した。
〔比較例6〕
この比較例では、ベンゼン六価カルボン酸水溶液の代わりにピロメリット酸水溶液(濃度0.4ミリモル/リットル)に、溶媒である水およびアンモニアを加えて混合し、塗布液(pH5.0)を調製した。
〔比較例7、8〕
比較例7では、ベンゼン六価カルボン酸水溶液の代わりにポリアクリル酸水溶液(Mw25000、濃度0.4ミリモル/リットル)に、溶媒である水を加えて混合し、塗布液(pH5.0)を調製した。
比較例8では、ベンゼン六価カルボン酸水溶液の代わりにポリアクリル酸水溶液(Mw5000、濃度0.4ミリモル/リットル)に、溶媒である水を加えて混合し、塗布液(pH5.0)を調製した。
比較例5〜8において、上記のように調製した塗布液を用いたこと以外は、実施例1〜3と同様にしてシリコン(Si)上のポリマー層および銅(Cu)上のポリマー層の厚さを測定した。なお、比較例5〜8では、組成物の付与(その後、超純水で洗浄)、塗布液の塗布(その後、超純水で洗浄)、ソフトベークの順のサイクルを5回繰り返した。
結果を表3に示す。
表3に示すように、比較例5では、Si上のポリマー層よりも銅上のポリマー層の方が、厚さが大きく、Si上のポリマー層の残存性およびCuからのポリマー層の除去性が不十分であることが確認された。
比較例6では、Si上のポリマー層の厚さが、サイクルを1回行なった参考例(1.7nm)よりも小さく、Si上のポリマー層の残存性が不十分であることが確認された。
比較例7、8では、銅(Cu)上のポリマー層の厚さが、シリコン(Si)上のポリマー層の厚さの80%以下、かつ4nm以下を満たしておらず、銅上にポリマーが厚く付着しており、Cuからのポリマー層の除去性が不十分であることが確認された。
〔実施例4、比較例9〕
銅(Cu)基板の表面を、ベンゾトリアゾール(BTA)で処理したものを用いた以外は、実施例3、比較例3と同様にして、シリコン上のポリマー層の厚さ測定および銅上のポリマー層の厚さ測定を行った。ただし、銅上のポリマー層の厚さ測定においては、ポリマー層を有さずかつBTA処理を施した銅基板の偏光パラメーターを測定後、屈折率および消衰係数を計算により求め、これらを多層光学モデル;(空気)/(ポリマー層)/(銅基板)における銅基板の光学パラメーターとして用いた。
ベンゾトリアゾールを用いた基板の前処理は次のように行った。
銅基板を、172nmエキシマランプを装備したチャンバー内で350℃まで熱処理し、圧力3Pa以下で出力14mW/cmにより、紫外線を10分間照射することにより前処理した。次いで0.0046質量%のBTA水溶液に3分浸漬後、純水で4分間洗浄した。
結果を表4に示す。
表4に示すように、実施例4では、銅(Cu)上のポリマー層の厚さが、シリコン(Si)上のポリマー層の厚さの80%以下、かつ4nm以下を満たしており、Si上のポリマー層の残存性に優れ、かつ、Cuからのポリマー層の除去性に優れることが確認された。
一方、比較例9では、銅(Cu)上のポリマー層の厚さが、シリコン(Si)上のポリマー層の厚さの80%以下、かつ4nm以下を満たしておらず、Cuからのポリマー層の除去性が不十分であることが確認された。
〔比較例10〕
<パターンウエハのビア側壁のポリマー層の厚さ測定>
(厚さ測定用試料の作製)
シリコンウエハ上に100nmの銅膜がめっき法にて形成され、さらに銅膜上に20nmのSiCN膜がCVD法にて形成され、さらにSiCN膜上に110nmのSiO膜がCVD法にて形成されたシリコンウエハを準備し、SiO膜に銅膜が露出するまでビア貫通孔を加工し、パターンウエハを得た。なお、ビア形状は、深さ130nm、幅150nmである。
上記パターンウエハを、スピンコーターの上にのせ、パターン形成面上に、実施例1にて用いた上記組成物を10秒間一定速度で1.0mL滴下し、13秒間保持した後、このパターンウエハを2000rpmで1秒間回転させ、さらに600rpmで30秒間回転させた後、2000rpmで10秒間回転させて乾燥させた。
以上により、パターンウエハ上に、ポリマー層を形成し、パターンウエハとポリマー層とが積層された構造の積層体(以下、「試料(VIA/PEI)」ともいう)を得た。
上記試料(VIA/PEI)をホットプレート上に、シリコンウエハ面とホットプレートとが接触するように設置し、大気雰囲気下で、100℃のソフトベーク温度で60秒間ソフトベーク(加熱処理)した。
次に、ソフトベーク後の試料(VIA/PEI)を、スピンコーターを用いて600rpmで回転させながら、ポリマー層上に、表5に示す塗布液(ピロメリット酸を含む塗布液、pH3.4、酸濃度0.388ミリモル/リットル、液温22℃)を0.1mL/秒の滴下速度で30秒間滴下し、次いで、超純水(液温22℃)を0.1mL/秒の滴下速度で30秒間滴下し、次いで、4000rpmで60秒間回転させ乾燥させた。
乾燥後の試料(VIA/PEI)を炉(アペックス社製のSPX−1120)に入れ、この試料のポリマー層(PEI)が形成された側に対し、窒素ガス(N)雰囲気中、圧力10,000Paの条件下で、温度350℃のハードベーク(高温加熱処理)を2分間施し、厚さ測定用試料を作製した。上記温度は、試料(VIA/PEI)のPEI表面の温度である。
厚さ測定用試料のビア側壁のポリマー層の厚さ(nm)を、SEMILAB社製光学式ポロシメータ(PS−1200)のエリプソメーターを使用して常法により測定した。ビア側壁のポリマー層の厚さを測定する際は、側壁上部(ビア開口部付近)および側壁下部(ビア側壁SiOとSiCNの界面付近)のポリマー層の厚さを測定した。
結果を表5に示す。
<シリコン(Si)上のポリマー層の厚さ測定>
ビア貫通孔を有する上記パターンウエハの代わりにシリコンウエハを用い、上述の厚さ測定用試料の作製と同様の処理を施して試料(Si/PEI)を作製した。この試料(Si/PEI)について、シリコン(Si)上のポリマー層の厚さ(nm)を、SEMILAB社製光学式ポロシメータ(PS−1200)のエリプソメーターを使用して常法により測定した。
結果を表5に示す。
表5に示すように、側壁上部(ビア開口部付近)の方が側壁下部(ビア側壁SiOとSiCNの界面付近)よりもポリマー層が薄くなっており、ビア側壁のポリマー層の厚さが均一ではなかった。
よって、本比較例では、試料(VIA/PEI)を作製したときに、ビア側壁およびビア底面におけるポリマー層の膜厚が均一でないことが推測され、また、厚さ測定用試料を作製したときに、ビア側壁におけるポリマー層の膜厚が均一でないことが推測される。
比較例10の結果について、図4、5を用いて説明する。まず、パターンウエハ(複合部材)のビア(凹部16)に組成物を付与してポリマー層を形成した際は、図4に示すように、ビア側壁およびビア底面におけるポリマー層の膜厚が均一でなく、また、ハードベーク後のパターンウエハについては、図5に示すように、ビア側壁におけるポリマー層の膜厚が均一でなく、かつ、ビア底にポリマー溜りが形成されていると推測される。
10 半導体基板
12 第2層間絶縁層
14 第1層間絶縁層
16 凹部
20 配線
20a 露出面
30 シール層(ポリマー層)
100、200 半導体装置

Claims (18)

  1. カチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマーを含有するpHが2.0〜11.0の組成物を準備する組成物準備工程と、
    1分子中に、芳香環を1以上、カルボキシル基を6以上有する、重量平均分子量が288〜2500である酸またはその無水物を含む塗布液を準備する塗布液準備工程と、
    部材Aと、表面の等電点が前記部材Aの表面の等電点よりも2.0以上低く、かつ表面の等電点が1.0〜7.5である部材Bと、を備えるとともに、前記部材Bの表面の等電点<前記組成物のpH<前記部材Aの表面の等電点の関係を満たす複合部材を準備する複合部材準備工程と、
    前記複合部材の前記部材Aの前記表面上および前記部材Bの前記表面上に、前記組成物を付与する付与工程と、
    前記付与工程後に、前記組成物が付与された表面に、前記塗布液を塗布する塗布工程と、
    を有し、
    前記付与工程および前記塗布工程を2回以上繰り返し、
    前記塗布工程の少なくとも1回は、前記付与工程後に、前記組成物が付与された表面に、前記塗布液を塗布し、前記塗布液が塗布された前記複合部材を温度70℃〜150℃の条件で加熱する工程である、複合体の製造方法。
  2. 前記酸またはその無水物は、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格およびアントラセン骨格の少なくとも一つを1以上有する、請求項1に記載の複合体の製造方法。
  3. 1以上の前記芳香環の少なくとも1つに4以上のカルボキシル基が結合している、請求項1または請求項2に記載の複合体の製造方法。
  4. 前記部材Aが、Cu、Al、Ti、Ni、Fe、Sn、Cr、Mn、Pt、Zn、およびMgからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含有し、前記部材Bがシリカを含有する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  5. 前記部材Aが、Cu元素を含有し、前記部材Bがシリカを含有する、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  6. 前記組成物は、ナトリウムおよびカリウムの含有量がそれぞれ元素基準で10重量ppb以下である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  7. 前記部材Bが、多孔質材料を含む、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  8. 前記ポリマーは、カチオン性官能基当量が27〜430である、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  9. 前記ポリマーが、ポリエチレンイミンまたはポリエチレンイミン誘導体である、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  10. 前記ポリマーの分岐度が48%以上である、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  11. 前記組成物が、更に、モノカルボン酸化合物を含む、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  12. 前記モノカルボン酸化合物は、水酸基およびアミノ基を有さず、かつ、ファンデルワールス体積が40cm/mol以上である、請求項11に記載の複合体の製造方法。
  13. 前記組成物が、更に、ベンゾトリアゾール、フェナントロリン、ビピリジン、トリピリジン、アセチルアセトン、トリアミノプロパンおよび8−キノリノールからなる群から選ばれる少なくとも1つである化合物を含む、請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  14. 前記複合部材が、前記部材Bの表面の等電点<前記組成物のpH<{(前記部材Aの表面の等電点)−1.0}の関係を満たす、請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  15. 前記塗布工程では、前記組成物を付与した表面に、温度15℃〜100℃の塗布液を塗布する、請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  16. 前記付与工程および前記塗布工程を2回以上繰り返した後、更に、前記組成物が付与された前記複合部材を、温度200℃〜425℃の条件で加熱する高温加熱工程を有する、請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  17. 前記複合部材が、基板と、該基板上に設けられた、前記部材Aとしての導電部および前記部材Bとしての絶縁層と、を備える、請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  18. 前記複合体が半導体装置である、請求項1〜請求項17のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
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