JP6427750B2 - Cxcl1、ならびにsmoxおよび/またはid1の発現量に基づく肺癌患者の予後を判定するためのデータ収集方法およびキット - Google Patents

Cxcl1、ならびにsmoxおよび/またはid1の発現量に基づく肺癌患者の予後を判定するためのデータ収集方法およびキット Download PDF

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本発明は、CXCL1、ならびにSMOXおよび/またはID1の発現量に基づく肺癌患者の予後判定するためのデータ収集方法およびキットに関する。
早期肺癌は、手術による治療が主であるが、術後、数十%で癌の再発がおきることが問題となっている。その問題を解決するため、術後の補助療法により5年生存率が改善することが報告されている(非特許文献1)。再発リスクの低い患者に対してもそのような補助療法を行うことは好ましいことではなく、再発リスクの高い患者を判定できる方法や判定を補助する方法の開発が求められている。
このような肺癌の予後を予測できる方法として、139個の遺伝子セットの発現プロファイルによる肺癌の予後予測法が開発されている(特許文献1および非特許文献2)。
国際公開第2010/064702号パンフレット
J. Thorac. Oncol., 7, Suppl., 3: S125, 2007 M. Yamauchi et al, PLOS ONE, 2012, 7 (9): e43923
本発明は、少なくともつの遺伝子で肺癌患者の予後を判定するためのデータを収集する方法を提供する。
本発明者らは、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド1(CXCL1)、スペルミンオキシダーゼ(SMOX)およびDNA結合阻害因子1(ID1)の発現量が、肺癌患者の予後と相関することを見出した。本発明はそのような発見に基づいてなされた発明である。
すなわち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)肺腺癌患者サンプルにおいて、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド1(CXCL1)、GAPDH、SEPW1、PAK2およびGNG11を含んでなる複数の遺伝子の発現量を測定し、
式1:
(式中、λ(t|X)は、ハザードを表し、λ(t)は、ベースラインハザードを表し、tは、時間を表し、nは、遺伝子発現プロファイルを得るために用いた遺伝子の数、βは、各遺伝子の重み値、かつ、Xは、各遺伝子の発現量である)に基づいて前記複数の遺伝子におけるハザードを算出すること
を含んでなる、肺腺癌の予後を判定するためのデータを収集する方法。
(2)式2:
(式中、nは、遺伝子発現プロファイルを得るために用いた遺伝子の数、βは、各遺伝子の重み値、かつ、Xは、各遺伝子の発現量である)に基づいて前記複数の遺伝子におけるリスクスコアを算出することをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
(3)発現量が、定量的PCR法により測定される、(1)に記載の方法。
図1は、CXCL1遺伝子の発現量に基づく肺癌患者の予後判定の結果を表す。図1Aは、CXCL1遺伝子の発現量だけに基づく予後判定の結果を表し、図1Bは、CXCL1遺伝子とID1遺伝子の発現量に基づく予後判定の結果を表し、図1Cは、CXCL1遺伝子とSMOX遺伝子の発現量に基づく予後判定の結果を表す。
発明の具体的な説明
本発明において、肺癌予後の判定の対象は、肺癌患者である。本発明では、肺癌患者としては、非小細胞癌患者、より好ましくは肺腺癌患者が挙げられる。本発明では、肺癌患者は、ステージI、IIおよびIIIの患者である。
本発明では、肺癌患者サンプルとしては、肺癌患者の癌組織や血清を用いることができる。癌組織は、手術により得られた組織およびそれを凍結して得られる凍結標本を用いることができる。
ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド1(CXCL1)は、CXCケモカインファミリーに属するサイトカインである。本発明によれば、CXCL1の発現量は、肺癌の予後と関連する。予後の判定は、下記に説明するリスクスコアにより判定してもよいし、予後が明らかとなっている肺癌患者のサンプルにおける発現量と比較して決定してもよい。
また、本発明によれば、CXCL1は、単独で予後判定に用いてもよいし、他の遺伝子と組み合わせて予後判定に用いてもよい。CXCL1と組み合わせて用いることができる遺伝子としては、特に限定されないが、例えば、ADAM10、ADAM19、ADAM8、ALOX15B、ATF2、CENPF、ETS2、GAPDH、GNG11、GRB10、HOPX、HSPA8、ID1、IGFBP3、IGFBP6、IL1RN、ITGB8、ITPR1、MMP12、MTHFD2、MVK、NDRG1、PAK2、PHLDA2、PIK3CD、RAC2、SEPW1、SMOX、SPDEF、SPRY4、THRA、TMSB10、UBE2C、UST、VCP、VEGFAおよびYWHAQを挙げることができ、特に好ましくは、ID1またはSMOXである。
発現量が多い場合に、患者の予後が不良であることを示す遺伝子としては、特に限定されないが、表1において正のβ値を有する遺伝子、例えば、ADAM10、ADAM19、ADAM8、ALOX15B、GRB10、ID1、IGFBP3、IGFBP6、IL1RN、MMP12、MTHFD2、MVK、NDRG1、PIK3CD、SMOX、SPDEF、SPRY4、THRA、UBE2C、VCP、VEGFAおよびYWHAQが挙げられる。患者の予後が不良であることを示す遺伝子の発現量が多い場合には、患者の予後が不良であることが示され、該遺伝子の発現量が少ない場合には、患者の予後が良好であることが示される。発現量が多いか少ないかは、健常者または予後が明らかとなっている患者のサンプルにおける発現量と比較して決定することができる。予後の判定対象である患者の肺癌組織サンプルにおける遺伝子の発現量が、予後が明らかとなっている患者のサンプルにおける発現量よりも多い場合には、予後が明らかとなっている患者よりも予後が不良であると判定することができる。また、予後の判定対象である患者の肺癌組織サンプルにおける遺伝子の発現量が、予後が明らかとなっている患者のサンプルにおける発現量よりも少ない場合には、予後が明らかとなっている患者よりも予後が良好であると判定することができる。
また、発現量が多い場合に患者の予後が良好であることを示す遺伝子としては、特に限定されないが、表1において負のβ値を有する遺伝子、例えば、ATF2、CENPF、ETS2、GAPDH、GNG11、HOPX、HSPA8、ITGB8、ITPR1、PAK2、PHLDA2、PAK2、PHLDA2、RAC2、SEPW1、TMSB10およびUSTが挙げられる。患者の予後が良好であることを示す遺伝子の発現量が多い場合には、患者の予後が良好であることが示され、該遺伝子の発現量が少ない場合には、患者の予後が不良であることが示される。発現量が多いか少ないかは、健常者または予後が明らかとなっている患者のサンプルにおける発現量と比較して決定することができる。予後の判定対象である患者の肺癌組織サンプルにおける遺伝子の発現量が、予後が明らかとなっている患者のサンプルにおける発現量よりも多い場合には、予後が明らかとなっている患者よりも予後が良好であると判定することができる。また、予後の判定対象である患者の肺癌組織サンプルにおける遺伝子の発現量が、予後が明らかとなっている患者のサンプルにおける発現量よりも少ない場合には、予後が明らかとなっている患者よりも予後が不良であると判定することができる。
CXCL1遺伝子の発現量を指標とした予後の判定は、例えば、以下のように行うことができる。まず、予後が良好であった患者および/または予後が不良であった患者の肺癌組織サンプルと、予後の判定対象である患者の肺癌組織サンプルとでそれぞれ、CXCL1遺伝子の発現量を測定する。予後の判定対象である患者の肺癌組織サンプルにおける当該遺伝子の発現量が、予後が良好であった患者よりも高い場合には、予後は良好であると判定することができる。また、予後の判定対象である患者の肺癌組織サンプルにおける当該遺伝子の発現量が、予後が不良であった患者よりも低い場合には、予後は不良であると判定することができる。また、下記で説明するリスクスコアにより予後を判定してもよい。例えば、リスクスコアが患者全体の平均よりも高い場合には、予後が不良であると判定し、平均よりも低い場合には、予後が良好であると判定してもよい。
上述の通り、CXCL1に加えて、さらに他の遺伝子の発現量を指標として予後判定を行ってもよい。その場合、まず、β値が正である遺伝子の発現量を指標とする場合には、予後の判定対象である患者の肺癌組織サンプルにおける当該遺伝子の発現量が、予後が良好であった患者よりも低い場合には、予後は良好であると判定することができる。また、予後の判定対象である患者の肺癌組織サンプルにおける当該遺伝子の発現量が、予後が不良であった患者よりも高い場合には、予後は不良であると判定することができる。次に、β値が負である遺伝子の発現量を指標とする場合には、予後の判定対象である患者の肺癌組織サンプルにおける当該遺伝子の発現量が、予後が良好であった患者よりも高い場合には、予後は良好であると判定することができる。また、予後の判定対象である患者の肺癌組織サンプルにおける当該遺伝子の発現量が、予後が不良であった患者よりも低い場合には、予後は不良であると判定することができる。
例えば、表1の各遺伝子のβ値は、肺癌患者の予後に与える各遺伝子の影響の強さを表すものである。従って、β値の絶対値が大きい1個以上の遺伝子の発現量に基づいて肺癌患者の予後を判定することができる。好ましくは、表1のβ値の絶対値が0.3以上の遺伝子、より好ましくは0.4以上の遺伝子、さらに好ましくは0.5以上の遺伝子、さらにより好ましくは、β値の絶対値が0.7以上である遺伝子から選択される1以上の遺伝子の発現量に基づいて肺癌患者の予後を判定することができる。β値の絶対値が0.7以上である遺伝子としては、例えば、ID1、SMOX、GAPDH、SEPW1、PAK2およびGNG11が挙げられる。複数の遺伝子の発現量に基づいて肺癌患者の予後を判定する場合には、例えば、すべての遺伝子の発現量が、予後が良好であることまたは不良であることを示唆する場合にはそれぞれ、予後が良好であるまたは不良であると判定することができる。これにより判定精度を向上させることが可能となる。複数の遺伝子の発現量を測定した場合に、発現量が指し示す結果が矛盾した場合には、例えば、CXCL1の発現量から示される結果に従って予後を判定してもよいし、下記のリスクスコアにより発現量を統合的に解析して判定してもよい。
ある遺伝子の発現量は、サンプル中の遺伝子の転写産物(すなわち、mRNA)またはその翻訳産物(すなわち、タンパク質)を定量することにより決定することができる。mRNAは、PCR産物の電気泳動、定量的RT−PCR、DNAチップおよびノーザンブロット法などの周知の様々な方法により定量することができる。また、タンパク質は、ELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)およびウェスタンブロット法などの周知の様々な方法により定量することができる。定量的RT−PCR用のプローブは、当業者であれば適宜設計することができるが、遺伝子名を指定するとプローブ設計から製造までを行う企業が複数存在し、このような企業からプローブの提供を受けることもできる。
CXCL1は、組織中および血中に分泌されることが知られているので、癌患者から採取した癌組織中の発現量を定量してもよいし、血清中に分泌された量を定量してもよい。例えば、CXCL1アッセイキットが市販されており、血清、組織および細胞培養液中のCXCL1を定量することが可能である。従って、このような市販のCXCL1定量キットを用いてCXCL1を定量することも可能である。
本発明では、CXCL1の発現量のみによって肺癌の予後を判定することができるが、上述のような遺伝子と組み合わせて評価することにより、判定の精度を向上させることができる。
本発明により、肺癌予後が良好と判定された場合には、その後の補助療法は不要である可能性があり、予後が不良と判定された場合には、その後の補助療法が必要になる可能性がある。補助療法としては、J. Thorac. Oncol., 7, Suppl., 3: S125, 2007に記載された補助療法などが挙げられ、5年生存率が上昇することが報告されている。
本発明の別の側面では、肺癌患者サンプルにおいて、CXCL1を含んでなる複数の遺伝子の発現プロファイルを取得し、その発現プロファイルに基づいて肺癌患者の予後を判定することができる。本発明では、遺伝子の発現プロファイルを得るために測定する遺伝子の数は、測定の手間や費用を低減させる観点では、好ましくは100以下、より好ましくは75以下、さらに好ましくは50以下、さらにより好ましくは、25以下である。
本発明では、遺伝子の発現プロファイルは、好ましくは、ADAM10、ADAM19、ADAM8、ALOX15B、ATF2、CENPF、ETS2、GAPDH、GNG11、GRB10、HOPX、HSPA8、ID1、IGFBP3、IGFBP6、IL1RN、ITGB8、ITPR1、MMP12、MTHFD2、MVK、NDRG1、PAK2、PHLDA2、PIK3CD、RAC2、SEPW1、SMOX、SPDEF、SPRY4、THRA、TMSB10、UBE2C、UST、VCP、VEGFAおよびYWHAQから選択される1以上の遺伝子とCXCL1の発現プロファイルに基づいて肺癌患者の予後を判定することができる。
例えば、表1の各遺伝子のβ値は、肺癌患者の予後に与える各遺伝子の影響の強さを表すものである。従って、β値の絶対値が大きい1以上の遺伝子とCXCL1の発現プロファイルに基づいて肺癌患者の予後を判定することができる。好ましくは、表1のβ値の絶対値が0.3以上の遺伝子、より好ましくは0.4以上の遺伝子、さらに好ましくは0.5以上の遺伝子、さらにより好ましくは0.7以上の遺伝子、具体的には、ID1、SMOX、GAPDH、SEPW1、PAK2およびGNG11から選択される1以上の遺伝子とCXCL1の発現プロファイルに基づいて肺癌患者の予後を判定することができる。また、本発明では、好ましくは、CXCL1とID1、または、CXCL1とSMOXの発現プロファイルに基づいて肺癌患者の予後を判定することができる。
発現プロファイルに基づく肺癌患者の予後判定は、以下のように行うことができる。まず、測定対象となる遺伝子の発現量を測定する。そして各遺伝子の発現量から得られる発現プロファイルを、予後が良好であった肺癌患者および/または予後が不良であった肺癌患者と比較することにより、予後を判定することができる。具体的には、ある肺癌患者サンプルから得られた発現プロファイルが、予後が良好であった肺癌患者と類似している場合、該肺癌患者は、予後が良好であると判定することができる。また、ある肺癌患者サンプルから得られた発現プロファイルが、予後が不良であった肺癌患者と類似している場合、該肺癌患者は、予後が不良であると判定することができる。類似しているか否かは、パターン解析や最小二乗法により判定することができる。これらの類似性の評価は、統計的手法として既に確立されており、当業者であれば適宜選択して用いることができる。
また、遺伝子発現プロファイルは、各遺伝子発現の強度を数値的に得ることも可能である。従って、遺伝子発現プロファイルの比較は、特に限定されないが、コックスハザード分析などを用いて行うことも可能である。
コックスハザード解析では、以下の数式:
(式中、λ(t|X)は、ハザードを表し、λ(t)は、ベースラインハザードを表し、tは、時間を表し、nは、遺伝子発現プロファイルを得るために用いた遺伝子の数、βは、各遺伝子の重み値、かつ、Xは、各遺伝子の発現量である。)
によりハザードが計算され、この数式の各係数はカプランマイヤー法で求めた推定値から求めることができることが周知である。
そして、各肺癌患者の予後は、リスクスコアにより判定することができる。具体的には、
(式中、nは、遺伝子発現プロファイルを得るために用いた遺伝子の数、βは、各遺伝子の重み値、かつ、Xは、各遺伝子の発現量である。)
で表されるリスクスコアが正である場合には、予後が不良であると判定し、負である場合には予後が良好であると判定することができる。一遺伝子で予後を判定する場合には、患者集団の平均値よりもリスクスコアが高い場合には、予後が不良であると判定し、低い場合には、予後が良好であると判定することができる。
表1に、コックスハザード分析を行った一例を示す。なお、表1は、実施例2に基づいて計算されたものである。表1中でβ値が正である遺伝子は、発現量が増加するほど、患者の予後が不良であることを示し、β値が負である遺伝子は、発現量が増加するほど、患者の予後が良好であることを示す。
このようにして、本発明によれば、遺伝子プロファイルにより肺癌患者の予後を判定することができる。被験体の予後が良好であるか不良であるかは医師等の判断により決定される。従って、本発明の方法は、癌の予後診断を補助する方法として用いることができる。
本発明の別の側面では、肺癌患者の予後を判定するための予後判定キットが提供される。本発明の予後判定キットは、CXCL1の遺伝子発現量の測定手段を含んでなる。本発明の予後判定キットは、SMOXおよび/またはDNA結合阻害因子1(ID1)の発現量を測定するための測定手段をさらに含んでいてもよい。遺伝子発現量の測定手段としては、遺伝子の翻訳産物に対する抗体、遺伝子の翻訳産物用のELISAキット、遺伝子の転写産物を増幅するための、PCRプライマーセットまたは定量的PCR用標識プライマーセットなどが挙げられる。
実施例1:肺癌患者の症例に基づく予後判定
本実施例では、予後との関連が疑われた表1に示す38遺伝子を診断マーカーとして用いてその発現量と予後との関係を明らかにした。
38遺伝子としては、表1に示される遺伝子の発現量を評価した。遺伝子の発現量は、定量的RT−PCRを用いて評価した。
肺癌患者のサンプルとしては、Shedden K., et al, Nature Medicine, 2008, p822-827に記載された肺腺癌患者103症例の癌組織の凍結標本を使用した。
肺癌患者の癌組織からのmRNAの抽出は、RNeasy kit(キアゲン社)を用いて行った。常法によりcDNAを作製し、その後、定量的RT−PCRは、TaqMan Low Density Array(商標)(Life Technology社)を用いて製造者マニュアルに従って行った。定量的PCRは、Applied Biosystems社製7900HT Fast Real-Time Systemを用いてデフォルト設定で行った。定量的PCRは、Life Technology社から表2のIDにより入手できるプライマーおよびTaqman probeを用いて実施した。定量的PCRの内部対照としては、アクチンを用いた。各遺伝子の発現量は、アクチンで標準化して求めた。
実施例2:リスクスコアリングモデルの構築
本実施例では、実施例1で調べた38遺伝子についてリスクスコアリングモデルを構築した。
リスクスコアリングモデルの構築には、コックス比較ハザードモデルを用いた。コックス比較ハザードモデルによれば、以下の数式:
(式中、λ(t|X)は、ハザードを表し、λ(t)は、ベースラインハザードを表し、tは、時間を表し、nは、遺伝子発現プロファイルを得るために用いた遺伝子の数、βは、k番目の遺伝子の重み値、かつ、Xは、k番目の遺伝子の発現量である。)
によりハザードが計算され、この数式の各係数は実施例1に記載した103症例に関するカプランマイヤー曲線から求めた。
その結果、各遺伝子のβ値は、表3の通りであった。
ここで、各患者のリスクスコアは、
(式中、nは、遺伝子発現プロファイルを得るために用いた遺伝子の数、βは、各遺伝子の重み値、かつ、Xは、各遺伝子の発現量である。)
で表されるリスクスコアが大きいときには、予後が不良であることを意味し、リスクスコアが小さいときには、予後が良好であることを意味する。以下の実施例では、リスクスコアが正である場合には予後が不良である可能性が高いと判定し、リスクスコアが負である場合には予後が不良である可能性が低いと判定した。
実施例3:肺癌患者の予後判定
本実施例では、実施例2で求めたリスクスコアリングモデルを用いて、ステージI、IIおよびIIIの別の肺腺癌患者101例の凍結標本での遺伝子発現プロファイルを求め、予後を判定した。
すると、驚くべきことに、他の37遺伝子では、1遺伝子による予後判定を可能とする条件が見いだせなかったのに対して(データ示さず)、CXCL1遺伝子については、1遺伝子で肺癌の予後判定に成功した(図1A)。このとき、各患者のCXCL1の発現量から101例の凍結標本におけるCXCL1の発現量の平均値を差し引いた値でリスクスコアを求め、リスクスコアが正の場合にはリスクが高いと判定し、リスクスコアが低い場合にはリスクが低いと判定した。
このことから、CXCL1遺伝子は、1遺伝子であっても予後判定に用いることが可能であることが分かった。
次に、CXCL1遺伝子と他の遺伝子を組み合せてリスクスコアを求め、予後判定を試みた。すると、他の遺伝子を組み合わせた場合でも予後判定が可能であった。例えば、CXCL1とID1を組み合わせてリスクスコアを求めて判定した場合、およびCXCL1とSMOXを組み合わせてリスクスコアを求めて判定した場合の例をそれぞれ図1Bおよび1Cに示す。図1A、1Bおよび1Cのいずれのケースでも、p<0.05であり、統計的に有意であった。このように、CXCL1は、1遺伝子でも予後判定に用いることができたが、他の遺伝子と組み合わせても予後判定に用いることができた。

Claims (3)

  1. 肺腺癌患者サンプルにおいて、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド1(CXCL1)、GAPDH、SEPW1、PAK2およびGNG11を含んでなる複数の遺伝子の発現量を測定し、
    式1:
    (式中、λ(t|X)は、ハザードを表し、λ(t)は、ベースラインハザードを表し、tは、時間を表し、nは、遺伝子発現プロファイルを得るために用いた遺伝子の数、βは、各遺伝子の重み値、かつ、Xは、各遺伝子の発現量である)に基づいて前記複数の遺伝子におけるハザードを算出すること
    を含んでなる、肺腺癌の予後を判定するためのデータを収集する方法。
  2. 式2:
    (式中、nは、遺伝子発現プロファイルを得るために用いた遺伝子の数、βは、各遺伝子の重み値、かつ、Xは、各遺伝子の発現量である)に基づいて前記複数の遺伝子におけるリスクスコアを算出することをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
  3. 発現量が、定量的PCR法により測定される、請求項1に記載の方法。
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