JP6402380B1 - 地震予測システム、及び地震予測プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解消することであり、すなわち測位衛星から受信した搬送波(電波)の特性を利用して容易かつ迅速に地震の発生を予測することができる、地震予測システムと地震予測プログラムを提供することである。
【解決手段】本願発明の地震予測システムは、電波属性に基づいて地震発生の予測を行うものであり、単位空間算出手段と、判別指標算出手段、予測手段を備えたものである。単位空間算出手段は、平常時の所定期間に得られた電波属性に基づいて単位空間を求める手段である。判別指標算出手段は、観測により得られた電波属性と単位空間に基づいて判別指標(平常時と観測時との相関の程度を示す指標)を求める手段であり、予測手段は、判別指標があらかじめ設定した閾値を超えたときに地震の発生を予測する手段である。
【選択図】図6

Description

本願発明は、測位衛星からの電波を利用した地震予測に関するものであり、より具体的には、平常時に得られる電波を標準値としたうえで観測時の異常を検知する地震予測システム、及び地震予測プログラムに関するものである。
我が国は地震が頻発する国として知られ、近年では、東北地方太平洋沖地震をはじめ、兵庫県南部地震、新潟県中越地震など大きな地震が発生し、そのたびに甚大な被害を被ってきた。例えば、兵庫県南部地震では強い直下型地震による衝撃が原因で多くの家屋が倒壊し、また東日本大震災では津波によって夥しい数の家屋が壊滅的な被害を受けた。
過去の経験から巨大地震の前には、動物等の異常行動や、電波障害、インフラサウンドと呼ばれる非可聴音の異変、地震雲といったいわゆる宏観異常現象が現れることが国際的に知られている。この宏観異常現象の中には、電波が電離圏を通過あるいは反射する際に生ずる異常変動(電子数の異常増加)も報告されている。
ところで、軍事用としてのみ利用されていたGPS(Global Positioning System)が1990年代になると民生用として利用されるようになり、さらに2000年には「意図的に精度を落とす仕組み(Selective Availability:SA)」も撤廃され、容易かつ高精度に、しかもリアルタイムで現在位置を計測できるようになった。平成22年には準天頂衛星初号機「みちびき」が上げられるなど、GPSのほか様々な衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)も利用されている。このような背景もあって我が国の測地座標系は平成14年に世界測地系に改正されており、測量の国家基準点として現在までに約1300点のGNSS固定局(電子基準点)が配備され、さらにはリアルタイムの移動車載方式の測量などに実用されるまでになった。
GNSSを用いた正確な位置座標を算出するためには、最低4個の測位衛星からの2周波以上の搬送波(電波)を受信する必要があり、原子時計による正確な搬送波の発信時刻とその受信時刻の計測が求められる。その時間差は搬送波の「到達時間」であり、搬送波の周波数に応じて位相と搬送波の波数に分解することで測位衛星と受信局間の「到達距離」に換算することができる。
搬送波が真空中で搬送される場合、到達時間に光または電波の速度を乗じることで容易に到達距離を得ることができる。しかしながら実際には、高度約2万kmを周回する測位衛星と地上の受信局の間に電離圏と大気圏が存在し、この電離圏には電子やイオンがあり、大気圏には水蒸気などがあるため、単に到達時間に光の速度を乗じたとしても正確な到達距離を得ることはできない。
そこでGNSS測量では、様々な誤差要因を如何に除去するかの研究がなされてきたが、電離圏や大気圏の状態を直接観測する手段がほとんどないことから、仮説に基づく理論でノイズなどを補正しているのが現状である。そして、現時点においても解消されない誤差要因が残っているといわれており、例えば、何らかの原因で電離圏に異常が起こると測位衛星から受信局までに到達する時間(到達時間)に遅延が生じ、その結果位置座標の測量精度が低下するといった問題が指摘されている。
本願発明者らは、地震発生を予測する手がかりとして搬送波の到達時間の遅延に着目した。すなわち、搬送波の到達時間の遅延は、電離圏に異常変動があった、つまり電離圏の電子数が異常に増加した結果であり、地震発生の宏観異常現象として捉えることができると考えたわけである。換言すれば、GNSSによる位置計測にとっては阻害要因であった到達時間の遅延を、地震予測にとってはむしろ有効に活用できると考えたわけである。
一方、地震発生を予想するために電離圏の電子数の異常増加に着目するという技術は、これまでにも提案されている。例えば特許文献1では、衛星から受信した電波の通過経路上の全電子数(STEC)を算出し、そのSTECの変化率に応じて地震発生のアラートを出力する技術について提案している。
特開2016−218069号公報
特許文献1の技術によれば、STECの経時的な変化を何らかの数式に近似しなければならない。そして、STECの経時的な変化は多項式によって近似するのが一般的であり、この近似式を求めるには相当の解析時間を要しているのが現状である。ところが、電離圏の電子数が異常増加するのは巨大地震(例えばM8以上)の発生20〜60分前であることは論文等によって周知であり、すなわちSTECの経時的な変化の近似式を算出したうえで地震発生の有無を予測することは現実的とはえない。予測できたタイミングが地震発生後ということも考えられ、仮に地震発生前に予測できたとしても避難する時間が得られないことも考えられるからである。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解消することであり、すなわち測位衛星から受信した搬送波(電波)の特性を利用して容易かつ迅速に地震の発生を予測することができる、地震予測システムと地震予測プログラムを提供することである。
本願発明は、電離圏の電子数の異常増加が搬送波の到達時間の遅延に影響するという点に着目し、そして品質工学の分野で採用されているMT法(マハラノビス・タグチ法)を地震予測に利用するという点に着目して開発されたものであり、従来にはない発想に基づいて行われた発明である。
本願発明の地震予測システムは、電波属性(電波を発信する発信時刻と受信機が電波を受信する受信時刻によって得られる属性)に基づいて地震発生の予測を行うものであり、単位空間算出手段と、判別指標算出手段、予測手段を備えたものである。このうち単位空間算出手段は、平常時の所定期間に得られた電波属性に基づいて単位空間を求める手段である。また判別指標算出手段は、観測により得られた電波属性と単位空間に基づいて判別指標(電波属性のパターン差を示す指標)を求める手段であり、予測手段は、判別指標があらかじめ設定した閾値を超えたときに地震の発生を予測する手段である。
本願発明の地震予測システムは、判別指標としてマハラノビス距離を求める判別指標算出手段を備えたものとすることもできる。
本願発明の地震予測システムは、単位空間算出手段が連続して又は定期的に前記単位空間を求めるものとすることもできる。この場合、単位空間を求めるための所定期間は、(例えば、移動平均のように)時間とともに変化し、現在時刻を基準として設定される。
本願発明の地震予測システムは、判別指標時間変動生成手段をさらに備えたものとすることもできる。この判別指標時間変動生成手段は、判別指標時間変動(連続観測によって得られた複数の判別指標の時間変化)を生成する手段である。この場合の予測手段は、判別指標時間変動から判別指標の極大値が得られ、かつその極大値が閾値を超えたときに地震の発生を予測する。
本願発明の地震予測システムは、測位衛星からの電波を2値化データとして受信する受信手段をさらに備えたものとすることもできる。この場合、単位空間算出手段は、受信手段が受信した2値化データによって得られた電波属性に基づいて単位空間を求め、判別指標算出手段は、受信手段が受信した2値化データによって得られた電波属性と単位空間に基づいて判別指標を求める。
本願発明の地震予測システムは、予測手段が地震の発生を予測すると、即時に地震予測情報を出力する警報手段をさらに備えたものとすることもできる。
本願発明の地震予測プログラムは、電波属性に基づいて地震発生の予測を行う機能をコンピュータに実行させるプログラムであり、単位空間算出処理と、判別指標算出処理、予測処理をコンピュータに実行させる機能を備えたものである。このうち単位空間算出処理は、平常時の所定期間に得られた電波属性に基づいて単位空間を求める処理である。また判別指標算出処理は、観測により得られた電波属性と単位空間に基づいて判別指標を求める処理であり、予測処理は、判別指標があらかじめ設定した閾値を超えたときに地震の発生を予測する処理である。
本願発明の地震予測システム、及び地震予測プログラムには、次のような効果がある。
(1)平常時に得られる電波属性のパターンを標準値とし、この標準値と相違する電波属性のパターンを検知する、という比較的簡明な手法によって地震の発生を予測することから、従来手法に比して極めて短時間に予測することができる。
(2)従来のGNSS測位の機器をそのまま使用することができることから、コストをかけることなく実施することができる。
(3)地震予測を行うための閾値(後述する)を、地域や時期、あるいは地震規模(震度/マグニチュード)に応じて適宜設定することによって、適切な避難を促すことができる。
測位衛星から発信され電波を受信手段が受信する状況を示すモデル図。 本願発明におけるMT法の概念を示すモデル図。 (a)は固定した所定期間を示すモデル図、(b)は移動する所定期間を示すモデル図。 時間の経過とともに判別指標をプロットした判別指標時間変動を示すグラフ図。 本願発明の地震予測システム、及び地震予測プログラムの主な処理の流れを示すフロー図。 本願発明の地震予測システムの主な構成を示すブロック図。 東北地方太平洋沖地震における判別指標時間変動を示すグラフ図。 平成28年熊本地震における判別指標時間変動を示すグラフ図。 平成29年に発生した長野県南部地震における判別指標時間変動を示すグラフ図。
本願発明の地震予測システム、及び地震予測プログラムの実施形態の一例を、図に基づいて説明する。
1.定義
はじめに、本願発明の実施形態の例を説明するにあたってここで用いる用語の定義を示しておく。
(電波属性)
図1は、測位衛星Sから発信された電波EW(搬送波)を受信手段101が受信する状況を示すモデル図であり、発信時刻Tsに発信された電波EWが受信時刻Teに受信されている。この図にも示すように、測位衛星Sから発信された電波EWは地上約300kmの位置にある電離圏ILを通過して受信機101に到達する。そして、電離圏ILの電子数が異常に増加すると、発信時刻Tsと受信時刻Teとの時間差である「電波到達時間」が遅延する。本願発明は、電離圏ILにおける電子数の異常増加が地震発生の宏観異常現象である点に着目し、電波到達時間の遅延(いわば異常)を手掛かりとして地震の予測を行うものである。
異常な電波到達時間が得られると、見かけ上の「電波到達距離(測位衛星Sから受信手段101までの距離)」も異常な値として得られ、その他「位相」や「位相差」など、発信時刻Tsと受信時刻Teに基づいて得られるあらゆるものが異常な値として得られることになる。ここでは、電波到達時間や電波到達距離、位相や位相差、発信時刻Tsと受信時刻Teの組み合わせ、電波速度や電波加速度、受信時刻(月日を含む)、測位衛星Sの識別子(どの測位衛星Sから受信したか)、上空の気圧や温度など、電波に関する種々の値のことをその電波の「電波属性」ということとする。
(標準電波属性と観測電波属性)
上記したとおり本願発明は、電波到達時間をはじめとする電波属性の異常を検知することで地震の予測を行うことを特徴のひとつとしている。すなわち、受信された電波属性が正常か異常かを判定するわけであり、そのためには正常な電波属性を把握しておく必要がある。ここでは便宜上、正常な電波属性のことを「標準電波属性As」ということとし、正常か異常かの判定対象となる電波属性のことを「観測電波属性Am」ということとする。なお、標準電波属性Asは、当然ながら大規模な地震が生じていない状況下で得られた電波の電波属性であり、地震が生じていない状況における電波属性とすることもできるし、小規模の地震(例えば、震度2以下など)が生じたときの電波属性を含めたものとすることもできる。以下、地震が生じていない状況、あるいは小規模以下の地震を含めた状況のことを、「平常時」ということとする。
(単位空間)
本願発明は、異常な電波属性を検知するために、MT法(マハラノビス・タグチ法)を利用することも特徴のひとつとしている。既述のとおりMT法は、品質工学の分野で採用されている手法であり、本願発明の場合、標準電波属性Asを正常なグループの教師サンプルデータとし、観測電波属性Amがその正常なグループに属するか否かを判定する。
図2は、本願発明におけるMT法の概念を示すモデル図である。この図に示すように、白丸で示す標準電波属性Asは、変数X1と変数X2にある程度の相関があることから一定の傾向をもって所定領域内に分布している。ここでは、標準電波属性Asが分布する領域のことを「単位空間FR」ということとし、単位空間FRの代表的な値を示すものを「代表特徴量FV(図2では黒四角で示す)」ということとする。この代表特徴量FVは、文字通り単位空間FRを代表する点の特徴量であり、例えば単位空間FRの中心点の特徴量とすることができる。なお便宜上、図2では2変数(変数X1と変数X2)の場合におけるマハラノビスの距離の等高線を示しているが、もちろん3以上の変数によって単位空間FRを構成してもよい。この変数としては、電波到達時間や電波到達距離などの電波属性が挙げられ、このうち1種類のみを変数として採用してもよいが、よりMT法の効果を引き出すためには2種類以上の電波属性を選出して多変数とするとよい。
図2に示すように単位空間FRは複数の標準電波属性As(以下、「標準電波属性Asの集合」という。)によって構成され、この標準電波属性Asの集合は所定の期間(以下、単に「所定期間PT」という。)に観測した結果得られるものである。図3は、所定期間PTを示すモデル図であり、(a)は固定した所定期間PTを示し、(b)は移動する所定期間PT1〜PT3を示している。図3(a)では所定期間PTを固定しており、つまりある時期の所定期間PTに得られた標準電波属性Asの集合を継続して採用する。一方、図3(b)では、現在時刻を基準として所定期間PTを設定しており、具体的には現在時刻から(あるいは現在時刻よりも少し前から)遡って所定期間PTを設定している。例えば、現在時刻t1においては所定期間PT1が設定され、同様に現在時刻t2においては所定期間PT2が、現在時刻t3においては所定期間PT3が設定されている。この場合、連続して(つまり観測時ごとに)所定期間PTを設定してもよいし、定期的(一定の時間間隔で)あるいは断続的に所定期間PTを設定してもよい。なお所定期間PTは、必要に応じて適宜設定することができ、例えば15分程度を目安に設定するとよい。
(判別指標)
図2では、2つの観測電波属性Am(図では黒丸で示す)を示している。そして、右側の観測電波属性Amよりも左側の観測電波属性Amの方が単位空間FRに近く、単位空間FRに含めるとすれば左側の観測電波属性Amの方が適していることが分かる。単位空間FRに含めてもよいと判断されると、その観測電波属性Amは正常である、すなわち平常時のものと判定される。逆に、単位空間FRに含められないとされた観測電波属性Amは異常である、すなわち地震時のものと判定されるわけである。なおここでは便宜上、観測電波属性Amを単位空間FRに含めるか否かの判定を、「正否判定」ということとする。
ところで、図2に示す単位空間FRは2変数(変数X1と変数X2)で構成されているため、観測電波属性Amが単位空間FRに近似しているか否か比較的識別しやすいが、単位空間FRが3以上の変数で構成される場合その識別は困難となる。また、人の感覚(目視)によって正否判定を行うのは、地震の予測精度が不安定となるうえ、時間や手間もかかってしまう。そこで本願発明では、客観的かつ自動的に正否判定を行うべく「判別指標」を用いることとした。この判別指標は、単位空間FRにおける代表特徴量FVと観測電波属性Amとに基づいて求められる値であり、いわば電波属性のパターン差を示す指標である。判別指標としては、代表特徴量FVと観測電波属性Amによって算出されるマハラノビスの距離の2乗(MD)を例示することができる。もちろん、マハラノビスの距離の2乗に限らず、代表特徴量FVと観測電波属性Amによって算出される種々の値を判別指標とすることができる。そして、あらかじめ定めた閾値と判別指標を照らし合わせ、判別指標が閾値を下回る場合、その観測電波属性Amは単位空間FRに含められる(つまり平常時のもの)と判定され、逆に判別指標が閾値を超える場合、その観測電波属性Amは単位空間FRに含められない(つまり地震時のもの)と判定される。なお、判別指標と照らし合わせる閾値は、予測したい地震の規模(震度やマグニチュード)に応じて適宜設定することができる。例えば、大きな規模の地震のみを予測したい場合は比較的大きな値で閾値を設定し、逆に小さな規模の地震から広く予測したい場合は比較的小さな値で閾値を設定するとよい。
(判別指標時間変動)
図1に示す受信機101は、上空を通過する様々な測位衛星Sから、短い時間間隔で電波を受信する。上記した判別指標は、電波を受信するたび(つまり観測するたび)に算出してもよいし、一定の間隔をあけて定期的(あるいは断続的)に算出してもよい。いずれにしろ観測期間中は、時間の経過に応じて多数の判別指標が求められる。図4は、時間の経過とともに判別指標をプロットしたグラフであり、このグラフで示す判別指標の時間変動のことを、ここでは「判別指標時間変動」ということとする。
2.地震予測システム
次に、本願発明の地震予測システムの実施形態の一例について詳しく説明する。図5は、本願発明の地震予測システム、及び地震予測プログラムの主な処理の流れを示すフロー図であり、図6は本願発明の地震予測システム100の主な構成を示すブロック図である。なお、図5では、中央の列に実施する処理を示し、左列にはその処理に必要な入力情報を、右列にはその処理から生まれる出力情報を示している。
図5に示すように、まずは所定期間PTを設定する(Step10)。既述したとおり所定期間PTは、状況に応じて所望の期間で設定することができ、例えば15分程度を目安に設定するとよい。また、所定期間PTの設定と合わせて、所定期間PTを固定して設定するか(図3(a))、あるいは移動させながら所定期間PTを設定するか(図3(b))も決めておくとよい。
受信機101は、図6に示すように測位衛星Sからの電波を受信し、その受信したデータは観測データ記憶手段102に記憶される。なお受信機101が受信するデータフォーマットは、RINEX(Receiver Independent Exchange Format)やRTCM(Radio Technical Commission For Maritime Services)など、従来から用いられている種々のものを採用することができる。このうちRTCMフォーマットは二値化データであり、ローデータ(いわゆる生のデータ)から必要なデータを直接抽出することができるため、これを使用すると高速計算が可能になるという効果が期待できて好適となる。
所定期間PTの観測を行うと、図6に示す単位空間算出手段103が、観測データ記憶手段102から所定期間PT内の標準電波属性As(つまり、標準電波属性Asの集合)を読みだし、この標準電波属性Asの集合に基づいて単位空間FRと代表特徴量FVを算出する(Step20)。既述したとおり、所定期間PTを固定して設定した場合は、基本的に単位空間FRと代表特徴量FVを1回だけ算出し、移動しながら所定期間PTを固定する場合は、定期的に(あるいは連続して)単位空間FRと代表特徴量FVを算出する。
観測により観測電波属性Amが得られると(Step30)、判別指標算出手段104が、観測データ記憶手段102から読み出した観測電波属性Amと、単位空間FR及び代表特徴量FVとに基づいて、判別指標を算出する(Step40)。このとき、1回の観測分の観測電波属性Am(つまり1つの観測電波属性Am)を対象として判別指標を算出してもよいし、複数回の観測分の観測電波属性Am(つまり複数の観測電波属性Am)を対象に判別指標を算出してもよい。複数の観測電波属性Amを対象とする場合は、図2に示すような特徴量領域と代表特徴量を求め、この代表特徴量を観測電波属性Amとして判別指標を算出することもできる。既述したとおり判別指標の算出は、観測するたびに行ってもよいし、一定の間隔をあけて定期的(あるいは断続的)に行ってもよい。
判別指標が得られると、予測手段105が当該判別指標と閾値を照らし合わせ、判別指標が閾値を超えるときは地震の発生を予測する(Step50)。このとき、単に判別指標が閾値を超えたときに地震発生を予測する仕様とすることもできるし、図4に示す判別指標時間変動を生成したうえで地震発生を予測する仕様とすることもできる。この場合(判別指標時間変動を生成する仕様の場合)、判別指標時間変動から判別指標の極大値が検出され、かつその極大値が閾値を超えたときに地震の発生を予測するとよい。あるいは、図4に示す超過点(判別指標が閾値を超えた時点)を迎えたときに地震の発生を予測することとしてもよいし、超過点から所定回数連続して判別指標が閾値を超えたときに地震の発生を予測することとしてもよい。
図7は2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(M9.0、震度7)における判別指標時間変動を示すグラフ図であり、図8は平成28年4月16日に発生した熊本地震(M7.3、震度7)における判別指標時間変動を示すグラフ図、図9は平成29年6月25日に発生した長野県南部地震(M5.6、震度5強)における判別指標時間変動を示すグラフ図である。なお、これらカッコ内の数字は地震発生時を表し、また図中のマイナスの数字は地震発生前の時間(単位:分)を表している。もちろんこれらの図は事後的に作成したものであるが、本願発明によれば、東北地方太平洋沖地震においては地震発生前50分以内に地震を予測することができ、平成28年熊本地震においては地震発生前70分以内に地震を予測することができ、長野県南部地震においては地震発生前50分以内に地震を予測することができたことが分かる。
予測手段105が地震の発生を予測すると、警告手段106が地震予測情報を出力する(Step60)。地震予測情報の出力は、ディスプレイやプリンタ等の出力手段に表示する仕様とすることもできるし、電子メールやインターネットを通じで伝送する仕様としてもよい。また地震予測情報は、文字や図表によって出力することもできるし、音声で出力することも、あるいはこれらを組み合わせて出力することもできる。
判別指標が閾値を下回るとき、あるいは地震予測情報が出力された後は、引き続き一連の処理が行われる。すなわち、所定期間PTを固定して設定した場合は引き続き観測を行い(Step30)、移動しながら所定期間PTを固定する場合は繰り返し単位空間を求めつつ(Step20)、継続して観測を行っていく(Step30)。
3.地震予測プログラム
続いて、本願発明の地震予測プログラムの実施形態の一例について詳しく説明する。なお本願発明の地震予測プログラムは、ここまで説明した地震予測システム100の処理をコンピュータに実行させるものである。したがって、「2.地震予測システム」で説明した内容と重複する説明は避け、本願発明の地震予測プログラム特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「1.定義」の説明を含め「2.地震予測システム」で記載したものと同様である。
本願発明の地震予測プログラムは、単位空間算出処理と、判別指標算出処理、予測処理をコンピュータに実行させる機能を備えたものである。このうち単位空間算出処理は、図6に示す単位空間算出手段103が実行する処理であり、具体的には所定期間PTに得られた電波属性Asに基づいて単位空間FRと代表特徴量FVを算出する処理である。また判別指標算出処理は、図6に示す判別指標算出手段104が実行する処理であり、具体的には観測電波属性Amと単位空間FR及び代表特徴量FVに基づいて判別指標を求める処理である。予測処理は、図6に示す予測手段105が実行する処理であり、具体的には判別指標が閾値を超えたときに地震の発生を予測する処理である。さらに本願発明の地震予測プログラムは、図6に示す警告手段106が実行する処理をコンピュータに実行させる機能を備えたものとすることもできる。
本願発明の地震予測システム、及び地震予測プログラムは、国や地方自治体が市民をいち早く避難させる場合、あるいは学校や民間企業などが所属する者を避難させる場合に、極めて有効に利用することができる。本願発明が、迅速に避難を促し、ひいては多くの市民を救済しうることを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明である。
100 本願発明の地震予測システム
101 (本願発明の地震予測システムの)受信機
102 (本願発明の地震予測システムの)観測データ記憶手段
103 (本願発明の地震予測システムの)単位空間算出手段
104 (本願発明の地震予測システムの)判別指標算出手段
105 (本願発明の地震予測システムの)予測手段
106 (本願発明の地震予測システムの)警告手段
S 測位衛星
EW 電波
Ts (電波の)発信時刻
Te (電波の)受信時刻
IL 電離圏
As 標準電波属性
Am 観測電波属性
FR 単位空間
FV 代表特徴量
PT 所定期間

Claims (6)

  1. 測位衛星が発信する電波に関する値である電波属性に基づいて、地震発生の予測を行う地震予測システムであって、
    平常時の所定期間に得られた前記電波属性に基づいて、単位空間を求める単位空間算出手段と、
    観測により得られた前記電波属性と、前記単位空間と、に基づいて判別指標を求める判別指標算出手段と、
    前記判別指標があらかじめ設定した閾値を超えたときに、地震の発生を予測する予測手段と、を備え、
    前記単位空間算出手段は、現在時刻を基準として設定される前記所定期間に得られた前記電波属性に基づいて、連続して又は定期的に前記単位空間を求め、
    前記判別指標算出手段は、測位衛星からの電波を受信するたびに又は定期的に前記判別指標を求める、
    ことを特徴とする地震予測システム。
  2. 前記判別指標算出手段は、前記判別指標としてマハラノビス距離を求める、
    ことを特徴とする請求項1記載の地震予測システム。
  3. 連続観測によって得られた複数の前記判別指標の時間変化である判別指標時間変動を生成する判別指標時間変動生成手段を、さらに備え、
    前記予測手段は、前記判別指標時間変動から前記判別指標の極大値が得られ、かつ該極大値が前記閾値を超えたときに、地震の発生を予測する、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の地震予測システム。
  4. 測位衛星からの電波を2値化データとして受信する受信手段を、さらに備え、
    前記単位空間算出手段は、前記受信手段が受信した2値化データによって得られた前記電波属性に基づいて前記単位空間を求め、
    前記判別指標算出手段は、前記受信手段が受信した2値化データによって得られた前記電波属性と、前記単位空間と、に基づいて前記判別指標を求める、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の地震予測システム。
  5. 前記予測手段が地震の発生を予測すると、即時に予測情報を出力する警報手段を、
    さらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の地震予測システム。
  6. 測位衛星が発信する電波に関する値である電波属性に基づいて、地震発生の予測を行う機能をコンピュータに実行させるプログラムであって、
    平常時の所定期間に得られた前記電波属性に基づいて、単位空間を求める単位空間算出処理と、
    観測により得られた前記電波属性と、前記単位空間と、に基づいて判別指標を求める判別指標算出処理と、
    前記判別指標があらかじめ設定した閾値を超えたときに、地震の発生を予測する予測処理と、
    を前記コンピュータに実行させる機能を備え、
    前記単位空間算出処理では、現在時刻を基準として設定される前記所定期間に得られた前記電波属性に基づいて、連続して又は定期的に前記単位空間を求め、
    前記判別指標算出処理では、測位衛星からの電波を受信するたびに又は定期的に前記判別指標を求める、
    ことを特徴とする地震予測プログラム。
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