本発明は一般に、改善された医療デバイス、システム及び方法を提供する。本発明の多数の実施形態は、場合によっては組織構造の後側の対向表面にアクセスする必要なしに、組織表面の下にある組織構造に(不可欠ではないが任意には、これを通して)挿入できる組織締結器具を用いる。締結器具の例示的実施形態は、眼の組織の切開部分及びその他の創傷の境界となっている組織縁部の並置及び閉鎖等のため、並びに重なり合った組織及び組織面を1つに付着させるため等に特によく適している。締結器具の第1及び第2の脚部は、組織表面を通して組織内へと深く前進させることができるよう構成してよい。締結器具の基部は、脚部を互いに対して支持できる。いくつかの実施形態では、伸長アンビル本体が、基部に沿って配置された締結器具支持体から遠位方向へと及び/又は側方へと突出してよい。アンビル本体は鋭角の端部を有してよく、また組織内へと貫通するよう構成してよく、ここで伸長アンビル本体は任意に、設置の少なくとも一部分の間に、クリップ支持体に隣接するより遠位方向への配向から、上述の鋭角の端部に隣接するより側方への配向への屈曲を有する。第1の脚部は、第1の組織の表面上の所望の位置を通してアンビル本体のソケットに対して圧入でき、これによって締結器具を変形させて第1の組織に付着させることができる。アンビルの挿入は、湾曲した縫合針の挿入と類似のものであってよく、アンビル及び組織係合表面は締結器具支持体に対して可動であってよく、組織係合表面は、締結器具の遠位方向移動と、関節式結合器具等による組織内でのアンビルの位置決めとの整合を支援し、これによって脚部の貫通深さ(及び/又は基部と組織表面との間の分離)と、1つ又は複数の脚部の変形との間の相関を維持できる。例示的実施形態では、上記整合は脆性の結合器具によって維持され、これにより、第1及び第2の脚部と関連する第1及び第2の湾曲したアンビルを、第1及び第2の湾曲した挿入経路に沿って挿入し、上記挿入経路とは異なる第1及び第2の引き戻し経路に沿って引き戻すことができる。任意に、締結器具の基部は、脚部から側方に突出する弧形部又はその他の屈曲部を備えてよく、この屈曲部は一般に、脚部を挿入する組織表面に沿って位置するよう構成される。
いくつかの実施形態では、様々な追加の機構を使用してよい。例えばいくつかの実施形態では、脚部は、直線又は曲線の挿入経路に沿って進むにつれて互いに向かって又は互いから離れるような角度を有してよく、基部の可塑性、弾性及び/又は超弾性変形により、組織の創傷縁部と係合し、組織内に脚部を前進させ、及び/又は組織表面に沿って締結器具の基部を維持するのを補助できる。
或る実施形態では、伸長アンビル本体はクリップ支持体から遠位方向及び側方へと突出してよい。アンビル本体は鋭角の端部を有してよく、またステープル留めされる第1の組織構造内へ及び/又はこの組織を通って貫通するよう構成してよく、ここで伸長アンビル本体は任意に、クリップ支持体に隣接するより遠位方向への配向から、上述の鋭角の端部に隣接するより側方への配向への屈曲を有する。アンビル本体は、クリップ支持体とアンビルのソケットとの間における、第1の組織上の所望のステープル留め位置の位置合わせを容易にするよう構成してよく、ここでアンビル本体の貫通部位及び上記所望のステープル留め位置は、組織のアクセス対象表面に沿ってずらされている。そしてクリップは、第1の組織のアクセス対象表面上の所望の位置を通してアンビル本体のソケットに対して圧入でき、これによってクリップを変形させて第1の組織に付着させることができる。アンビルの挿入は、湾曲した縫合針の挿入と類似のものであってよく、挿入したアンビル本体を用いて、第2の組織(又はクリップによって第1の組織に付着させられる別の構造)に向かって第1の組織を接近させることができる。
別の態様では、本発明の実施形態は、外科的な組織の固定のための方法を提供する。本方法は、外科的締結器具の第1の脚部を、組織表面を通して組織表面の下にある組織内へ前進させることを含む。外科用締結器具の第2の脚部は、組織表面を通して組織内へ前進する。締結器具の基部は脚部を支持し、基部は、前進した脚部が基部を組織表面と係合した状態に維持できるよう再構成される。再構成された基部は、組織表面に沿って延在する屈曲部を有する。
本方法の別の態様では、眼の組織の固定方法は、外科的締結器具の第1の脚部の第1の端部を用いて、眼の組織表面の第1の貫通位置を貫通することを含む。第1の脚部は、組織表面の下にある組織内を第1の経路に沿って前進する。締結器具の第2の脚部の第2の端部は、組織表面の第2の貫通位置を貫通し、第2の経路に沿って組織内を前進する。第1及び第2の経路は組織表面と、対向する斜角を形成し、第1及び第2の経路は脚部設置平面に沿って延在する。これら経路は、貫通位置の間の貫通位置分離とは異なる経路分離を有する。締結器具の基部は、脚部の間に延在する軸を有する細長本体を含む。軸は、脚部平面から基部表面に沿って突出する屈曲部を有し、基部表面は脚部平面にわたって延在する。基部は、経路に沿って脚部が抜けてしまうのを阻止できるよう、並びに締結器具を第1及び第2の脚部に隣接する組織に付着させるように、基部表面を組織に沿って維持できるよう、再構成される。
本方法の別の態様では、眼の組織の固定方法は、外科的締結器具の第1の端部を用いて組織表面を貫通すること、及び第1の端部を組織内で前進させることを含む。組織は眼の組織を含み、組織表面は眼の可視表面を含むか又はこれに隣接して配置され、これにより、第1の端部を眼の内側に向かって前進させることができる。締結器具は、眼の可視表面に沿って締結器具の本体を付着させることができるよう再構成される。眼の可視表面は眼の色を有し、締結器具の本体は眼の色に十分対応できる色を有し、締結器具をカムフラージュできる。
本方法の更に別の態様では、眼科用デバイスを眼の虹彩に付着させるための方法は、眼の挿入位置にツールを導入すること、及びこのツールを挿入位置から眼の視野を横切って設置位置へと前進させることを含む。締結器具は、このツールを用いて虹彩内の設置位置へと設置される。
本デバイスのある態様では、本発明の実施形態は、外科的組織固定のためのデバイスを提供する。デバイスは、軸と、組織内に軸方向に前進するよう構成された第1の端部とを画定する第1の細長脚部を備える。軸と、組織内に軸方向に前進するよう構成された第2の端部とを画定する第2の細長脚部。第1及び第2の脚部軸は脚部平面を画定する。基部は基部表面に沿って延在し、脚部を支持する。基部は脚部表面から突出する屈曲部を有し、また基部は、脚部を前進させた後、脚部が基部表面を組織表面に沿って維持できるように変形するよう構成される。
本デバイスの別の態様では、眼の組織の固定デバイスは、眼の組織表面の第1の貫通位置を貫通するよう、かつ眼の組織表面の下にある組織内を第1の経路に沿って前進するよう構成された第1の端部を有する、第1の脚部を備える。第2の脚部は、眼の組織表面の第2の貫通位置を貫通するよう、かつ組織内を第2の経路に沿って前進するよう構成された第2の端部を有する。第1及び第2の経路は組織表面と、対向する斜角を形成する。また、第1及び第2の経路は脚部平面に沿って延在し、これら経路は、貫通位置の間の貫通位置分離とは異なる経路分離を有する。基部は脚部の間に延在する軸を有する細長本体を含む。軸は、脚部平面から脚部の間を、眼の組織の表面に対応する基部表面に沿って突出する、屈曲部を有する。基部は、経路に沿って脚部が抜けてしまうのを阻止できるよう、及び基部表面を眼の組織表面に沿って維持できるよう、構成される。
更に別の態様では、締結器具は、眼の可視表面を含むか又はこれに隣接する眼の組織表面を有する眼の組織に、眼の外科的組織を固定するために使用できる。締結器具は、眼の組織表面を貫通するよう、かつ眼の組織内で前進するよう構成された第1の端部を有する外科的締結器具を備える。本体は第1の端部の近傍に延在し、この本体は、眼の可視表面に沿って締結器具の本体を支持するための変形可能な金属を備える。眼の可視表面は眼の色を有し、締結器具の本体は眼の色に十分対応できる色を有し、締結器具をカムフラージュできる。
本デバイスの更に別の態様では、本発明の実施形態は、眼科用デバイスを眼の虹彩に付着させるためのシステムを提供する。このシステムは、近位端及び遠位端を有するツールを備え、近位端と遠位端との間にシャフトが延在する。遠位端及び隣接するシャフトは、眼の最小限に侵襲的な挿入位置に挿入するために構成され、また、挿入位置から眼の視野を横切って設置位置へと前進するように構成される。締結器具は、シャフトの遠位端に隣接して設置可能に支持される。締結器具は組織貫通端部を有する脚部を有し、この脚部は、ツールを挿入した時に虹彩の設置位置へと前進できるよう、シャフトを横切って配向される。
任意に、締結器具を設置する組織は、眼の組織を含む。第1及び第2の脚部を、創傷の第1及び第2の縁部がこれらの間に配置されるように挿入でき、基部の変形を行うことにより、創傷の治癒のために縁部を付勢できる。いくつかの実施形態では、脚部の間の、所定の設置された分離をなすよう構成された設置システムに締結器具を含むことができ、これにより、基部の変形は脚部を所定の分離へと付勢する。いくつかの実施形態では、基部を解放することで基部の変形を行い、これによって基部が創傷の縁部を、任意には所望の範囲の密閉又はその他の係合応力で、互いに対して付勢する。いくつかの実施形態では、基部の変形は、基部の屈曲部を調整して創傷の縁部の間の所望の係合を提供することを含み、任意には、外科医又はその他の健康管理の専門家がこの設置を手動で調整できる。
基部及び脚部は、連続した長さの材料から一体として形成してよく、任意には、所望の形状を形成するため及び所望の機能性を得るために、この材料を屈曲させる、及び/又は加工する。多くの実施形態では、連続した長さの材料は変形可能な金属ワイヤを含み、代替実施形態では、変形可能なポリマー(任意には生体分解性及び/又は生体吸収性ポリマー)等を用いてよい。脚部及び基部等は、一連の別個の構成部品から、ハンダ付け、溶接、接着剤による接着、超音波接着等によって組み立ててもよい。多くの実施形態では、基部は、第1の脚部に隣接する第1の基部軸を有する第1の基部部分、第2の脚部に隣接する第2の基部軸を有する第2の基部部分、及び第1の基部部分と第2の基部部分との間に配置された中央基部軸を有する1つ以上の中央基部部分を有する、細長本体を備える。屈曲部は典型的には、少なくとも部分的に中央基部部分に沿って配置される。中央基部部分は弧部を備えてよく、任意には一方の若しくは両方の脚部の近傍に、又は一方の若しくは両方の脚部まで延在してよい。代替実施形態では、1つ又は複数の中央基部部分は任意には組み立てられる構成部品等の間の接合部に、鋭角の屈曲部を有してよい。眼に関する応用のための例示的実施形態は、最大線径約0.010インチの断面サイズを有するワイヤから形成でき、この線径は約0.001〜0.010インチの範囲であることが多く、典型的には約0.002〜0.006インチの範囲である。一般に、このような眼に関する応用のための組織貫通脚部は基部表面(及び/又は設置する際の組織表面)から約5mm未満だけ、典型的には約0.1〜約0.5mmの範囲の距離だけ、及び多くの場合約0.3〜約0.5mmの範囲の距離だけ分離する。締結器具が静置状態にある場合の脚部の間の分離は、0〜約5mmの範囲であってよい。その他の医療的及び/又は外科的応用は、例えば任意には最大0.020インチのワイヤで形成される、より大きなサイズまで含む実施形態を用いてよい。閉鎖等のための眼に関する応用のために、例示的実施形態はチタンを含んでよく、主にタンタルからなってよく、及び/又は実質的に若しくは全体としてタンタルからなってよい。
少なくとも締結器具が設置用構成にある場合、第1の基部軸、第2の基部軸及び中央基部軸は通常、基部表面に沿って延在する。多くの実施形態では、脚部は基部表面から突出してよく、これによって基部表面は理想的には、脚部がそれを通って前進する組織表面に対応し、これに沿って延在できる。基部の、脚部へと配向された部分は、組織係合表面を備えてよく、脚部は組織表面に沿って基部を維持するのを補助できる。例えば、基部の変形によって脚部と組織との間に対向する力を印加することにより、基部表面を組織表面に沿って維持してよい。
第1の脚部は第1の脚部軸を有してよく、第2の脚部は同様に第2の脚部軸を有することができ、第1及び第2の脚部軸は一般に、脚部平面又は脚部表面を画定する。脚部は正確に同一平面上でなくてもよく、一般には、基部の対向する部分から概ね同一の方向へと延伸し、これにより、締結器具は設置平面に沿って組織内を前進できることに留意されたい。基部の中央部分の屈曲部は典型的には脚部平面から突出する。
例示的実施形態では、組織は強膜又は白眼の組織等、球形に湾曲した眼の組織を含む。基部表面は球形に屈曲してよく、これによって第1の基部軸、第2の基部軸及び中央基部軸が脚部平面から見て組織表面に沿った屈曲部又は湾曲部を画定するか、又は脚平面に対して垂直に見て組織表面に沿った屈曲部又は湾曲部を画定してもよく、屈曲部は理想的には組織の曲率半径に対応する湾曲を備える。
任意には、基部は脚部の間に第1及び第2の屈曲部を有してよく、第1の屈曲部は脚部平面の第1の側部から突出し、第2の屈曲部は脚部平面の、第1の側部と対向する第2の側部から突出する。代替実施形態は、基部に沿った単一の屈曲部、又は3つ以上の屈曲部を有してよい。多くの実施形態では、特に組織が眼の組織を含む場合、組織表面は眼の可視表面を含むか又はこれに隣接してよく、これによって脚部は組織表面を貫通して眼の内部へと前進する。眼の可視表面は通常は眼の色を有し、締結器具の本体は眼の色に十分対応できる色を有し、締結器具をカムフラージュできる。この色は、選択的に(例えば前側に配向された基部の可視表面に沿って)適用してよく、又は締結器具の基部及び/若しくは脚部のほぼ全体に配置してもよい。
脚部は概ね直線であってよく、また、第1及び第2の脚部の第1及び第2の組織経路がそれぞれ第1及び第2の貫通位置から延伸して、組織表面と共に、概ね連続した対向する斜角を形成するように、脚部が組織内で前進するよう構成してよい。このような実施形態のために、基部の変形は脚部の挿入中又は挿入後に屈曲部の角度を変更することを含んでよく、これにより、任意には脚部が貫通位置を通って前進する間に、第1の脚部と第2の脚部との間の分離距離が変化する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の脚部の第1及び第2の組織経路が弧部セグメントに沿って延在するように脚部が湾曲してよい。このような実施形態のために、基部の変形は、第1の脚部に隣接する基部の第1のねじり軸の周りでの第1の脚部の回転、及び、第2の脚部に隣接する基部の第2のねじり軸の周りでの第2の脚部の回転を含んでよい。両方のタイプに関して、基部の変形は、脚部の前進中若しくは前進後に基部を可塑性変形することを含むことができ;及び/又は基部の変形は、基部が脚部を付勢して組織内へと前進させることができるよう、送達ツールから基部を解放することを含んでよい。基部の解放によって基部の変形が起こる場合、設置の前に送達ツールによって基部を拘束してよく、基部と組織表面との間の係合を解放後に維持するために基部を偏向させてよく、締結器具は弾性金属又はポリマー、超弾性金属又はポリマー等を含む。いくつかの実施形態ではNitinol(登録商標)超弾性合金を用いてよい。更なる実施形態では任意に、構成を変化させるために形状記憶材料を用いてよい。
いくつかの実施形態では、組織は眼の虹彩を含むか又はこれを支持してよく、設置ツールのシャフトを、挿入位置から眼の視野を横切って組織の設置位置まで前進させることにより、締結器具を設置してよい。締結器具は組織表面の設置位置を貫通でき、少なくとも1つの脚部は、シャフトの軸を横切って延在する挿入軸に沿って配向される及び/又は前進する。
締結器具の本体又は基部が金属を含む場合、及び締結器具を設置する組織が強膜組織を含む場合、金属の表面の、又は金属の表面全体の白色層又は着色によって、締結器具のカムフラージュを補助してよい。組織が眼の虹彩を含む場合、締結器具の色が眼の虹彩の色と適合するよう、様々な色を有する多数の締結器具の代替形態から締結器具を選択してよい。
ここで説明する締結器具の実施形態のいくつか又は全ては、設置ツールを有する設置システムに含まれてよく、このツールは締結器具を組織表面外側に設置するために解放可能に支持し、組織表面は、外科的切開等によって又は最小限に侵襲的な外科的開口を介して、患者の眼若しくはその他の組織構造へとアクセスされる。設置ツールは近位端及び遠位端を有するシャフトを有してよく、近位端と遠位端との間に軸が延在する。第1の把持要素を遠位端に隣接して設置でき、第1の把持要素は第1の把持表面を有する。第2の把持要素もまた遠位端に配置でき、第2の把持要素は第2の把持表面を有する。第2の把持表面は、第1の構成と第2の構成との間で可動であることが多く、第2の把持表面が第1の構成である時に、これら把持要素はそれらの間に締結器具を捕捉及び/又は把持するよう構成される。シャフトの近位端に隣接してハンドルを配置してよく、ハンドルの運動によって第2の把持表面が第1の構成から第2の構成に移動し、この移動によって、脚部が組織表面の標的設置位置と整列している場合に、脚部の組織内での前進及び締結器具のツールからの解放が引き起こされる。例えば、第2の把持要素は作動軸に沿って摺動してよく、任意には、第2の把持要素(又はこれに動作可能に連結される別の構造)の表面を、脚部がそれを通って前進する組織表面に対して押圧することによって移動が引き起こされ、作動軸は典型的には締結器具の設置平面又は脚部平面に沿って(任意にはこれに平行に)延在する。代替実施形態は、移動等を引き起こすために、第2の把持要素に動作可能に連結される可動ハンドルを用いてよい。いくつかの実施形態では、第2の把持要素の移動は、例えば基部を可可塑性変形させること、締結器具を拘束された構成から解放すること等によって、基部の再構成をもたらすことができ;これにより理想的には、比較的直線状の脚部の間の分離距離の変化及び/又は弧状の脚部の相対的な回転配向の変化を生成するか又はこれを可能とする。
一態様では、第1の眼組織構造を隣接する第2の眼組織構造に付着させるための方法を提供する。本方法は:アンビルの組織貫通遠位端を第1の眼組織に貫通させることによって、アンビルを第1の眼組織に挿入すること;締結器具を第1の眼組織に導入すること;挿入したアンビルを用いて、導入した締結器具を変形させることによって、締結器具を設置すること(ここで挿入したアンビルは、導入した締結器具を、開構造から閉構造へと変形させ、設置した締結器具は、第1の眼構造を第2の眼構造に締結できる);第1の眼構造からアンビルを除去すること、を含む。
任意に、第1の眼構造へのアンビルの挿入は、アンビルの鋭角の遠位端を第1の眼構造内へと前進させることを含む。締結器具の変形は、導入した締結器具を、開構造から閉構造へと塑性変形させることを含んでよい。締結器具は、眼内にあるアンビルの表面に対して脚部の表面を係合させることによって変形させることができる。
本方法の実施形態は、眼の自然な色素に適合する着色部分を有する締結器具を設置して、設置した締結器具の可視性を低減できる。任意に、この締結器具は生体吸収性材料を含んでよい。いくつかの実施形態では、タンタルを含む締結器具を使用してよい。非金属締結器具を使用してよい。設置後に眼に薬剤を投与できる締結器具を設置してよい。締結器具は任意に、設置後に締結器具から接着剤を投与してよい。
締結器具は、第1の脚部、第2の脚部、及びこれらの間に延在する基部を備えてよい。アンビルの挿入は、アンビルの遠位端を用いて第1の構造の表面を貫通することを含んでよい。締結器具の設置は、アンビルの脚部受承表面に対して第1の脚部を係合させることによって、締結器具の第1の脚部を締結器具の基部に向かって屈曲させることを含んでよい。第1の脚部及び第2の脚部を屈曲させて組織を捕捉するように、締結器具の設置を行ってよい。任意に、第1の構造の表面に対して基部を付勢するように、締結器具の設置を行ってよい。
本方法のある実施形態では、第2の構造は眼組織構造を含んでよい。締結器具の導入は、第1の構造の表面及びその下にある第2の構造の表面を通して締結器具の第1の脚部を遠位方向へと前進させることを含んでよい。締結器具をアンビルのチャネル内に導入して、第1及び第2の構造を、重複した組織面として付着させてよい。チャネルの表面は、脚部受承表面を画定してよい。アンビル及び締結器具は、第1及び第2の眼構造内に同時に前進させてよい。いくつかの実施形態では、アンビルは湾曲した経路に沿って前進し、その一方で基部ソケットが基部を支持する。任意に、アンビル及び基部ソケットは、四節結合器具内に含まれていてよい。本方法は、第1の構造の表面と葉状部とを係合させることを含んでよい。締結器具の設置は、眼構造の表面に対して葉状部を遠位方向へと押圧し、四節結合器具を関節運動させることによって実施できる。葉状部と第1の構造の表面との間の係合によって、第1の構造内のアンビル及び第1の脚部の深さを決定できるように、葉状部を回転させてよい。
任意に、第1及び第2の脚部を前進させて、第1及び第2のアンビルによって変形させてよい。第1及び第2のアンビルは、別の四節結合器具に含まれていてよい。第1及び第2のアンビルはそれぞれ、第1及び第2の経路に沿って前進してよい。第1及び第2のアンビルはそれぞれ、第3及び第4の経路に沿って除去できる。変形した脚部に沿ってアンビルを近位かつ側方へと移動させることができるように四節結合器具の連結を解除することによって、第1及び第2のアンビルを第3及び第4の経路に沿って除去できる。
別の態様では、組織内に外科的締結器具を設置するためのデバイスを提供する。このデバイスは、締結器具をアンビルアセンブリへと送達するよう構成された締結器具支持体を含んでよい。締結器具は第1の脚部及び基部部分を有してよい。第1の脚部は、組織表面を通って組織内へと遠位方向に前進するよう構成してよい。アンビルアセンブリは、締結器具支持体に動作可能に連結してよい。アンビルアセンブリは、締結器具設置中に組織表面を通って組織内へと貫通するよう構成された遠位端を有する第1のアンビルを有してよい。第1のアンビルは、受承した締結器具を、締結器具を組織内に設置する間に開構造から閉構造へと変形させるよう構成してよい。
任意に、第1のアンビルは、締結器具を組織に設置する間に、締結器具の第1の脚部を締結器具の基部部分に向かって係合及び屈曲させるための、脚部受承表面を含んでよい。いくつかの実施形態では、アンビルはチャネルを含み、このチャネルは、アンビル及び締結器具の第1の脚部を組織内へと同時に前進させるように締結器具の第1の脚部を受承するよう構成される。チャネルの表面は、脚部受承表面を画定してよい。任意に、第1のアンビルの遠位端は、デバイスの動作中に第1のアンビルが組織表面を通って組織内へと容易に貫通できるように、鋭角になっている。いくつかの実施形態は、操作者が把持するためのハンドルを含む。このハンドルは、操作者による握り動作を、ドライバの直線並進運動に変換するよう構成されたアクチュエータを含んでよい。ドライバの直線並進運動は、アンビルアセンブリに作用して、第1のアンビルを回転及び並進運動させることができる。第1のアンビルの回転及び並進運動は、締結器具の設置中に締結器具を変形させるよう構成してよい。本デバイスのいくつかの実施形態は、第1のアンビルに連結された葉状部を含む。葉状部は組織の係合表面を提供でき、ここで葉状部と組織との間の係合は、アンビルの回転中の組織内への第1のアンビルの貫通深さを制御するよう構成される。
任意に、ある実施形態は、締結器具の基部部分を支持する基部ソケットを含んでよい。第1のアンビル及び基部ソケットは、四節結合器具に含まれていてよい。いくつかの実施形態では、第1のアンビルは、第1の経路に沿って組織内を前進するよう、及び第2の経路に沿って引き戻されるよう、構成してよい。第1のアンビルが、設置した締結器具の変形した脚部に沿って近位かつ側方へと移動できるように四節結合器具の連結を解除することにより、第2の経路を第1の経路と異なるものとしてよい。任意に、アンビルアセンブリは更に、締結器具の設置中に組織表面を通って組織内へと挿入できるよう構成された遠位端を有する第2のアンビルを備えてよい。第2のアンビルは更に、第1のアンビルと協働して、締結器具の設置中に、受承した締結器具を開構造から閉構造へと変形させるよう構成してよい。第1及び第2のアンビルは、湾曲した経路に沿って、組織表面を通って組織内へと前進するよう構成してよい。任意に、第1のアンビルは、締結器具支持体に隣接するより遠位方向への配向から、遠位組織貫通端部に隣接するより側方への配向への屈曲を含む。
本発明の別の態様では、第1の組織及び第2の組織を有する組織領域と、外科的締結器具とを1つに締結する方法を提供する。外科的締結器具は、第1の脚部、第2の脚部、及びこれら脚部を互いに対して支持する基部部分を有してよい。本方法は、第1の針状アンビルの遠位端を組織内へと挿入することを含んでよい。第1の針状アンビルは、締結器具の第1の脚部を受承するためのチャネルを有してよい。第1の脚部を組織内へと挿入してよい。基部部分に対する第1の針状アンビルの並進運動及び回転によって第1の脚部を締結器具の基部部分に対して変形させることによって、締結器具を設置してよく、ここで締結器具は開構造から閉構造へと変形する。設置した締結器具はこのようにして、第1の組織を第2の組織に締結できる。続いて第1の針状アンビルの遠位端を、組織領域から除去してよい。
任意に、本方法は、第2の針状アンビルの遠位端を組織内へと挿入することを含んでよい。第2の針状アンビルは、締結器具の第2の脚部を受承するためのチャネルを有してよい。第2の脚部は、第1の脚部と同時に組織内へと挿入してよい。基部部分に対する第2の針状アンビルの並進運動及び回転によって第2の脚部を締結器具の基部部分に対して変形させることによって、締結器具を設置してよい。
いくつかの実施形態では、本方法は、第1の針状アンビル及び第2の針状アンビルの並進運動及び回転中に、葉状部の組織係合表面に対する、第1及び第2の針状アンビル並びに第1及び第2の脚部の貫通深さを制御することを含む。締結器具の設置中の葉状部の回転によって、第1及び第2のアンビルの組織内の深さを決定できる。いくつかの実施形態では、設置した締結器具の基部部分は、組織表面を通して第1及び第2の脚部を挿入した後、締結器具の基部が組織表面に沿って静置されるように構成された、屈曲を有する。任意に、本方法は、ハンドルを操作してドライバを直線並進運動させることを含んでよい。ドライバの直線並進運動は、締結器具の設置中に第1及び第2の針状アンビルが締結器具を変形させるように、第1及び第2のアンビルを回転及び並進運動させるよう、構成してよい。
本発明の別の態様では、組織ステープラを提供する。組織ステープラは、近位部分と遠位部分を有する伸長アンビル本体を含む。アンビルの遠位部分は近位部分から遠位に配置され、近位部分から側方に延在してよい。アンビルの遠位部分は、締結器具ソケットと、貫通部位において第1の組織構造内へと貫通するよう構成された鋭角の端部とを有してよい。組織ステープラは、アンビルに対して可動であるドライバを含んでよい。ドライバは、アンビルに対するドライバの移動が、組織内のアンビルのソケットに対する締結器具の変形を引き起こすように、締結器具を動作可能に連結するよう構成してよい。
本発明の別の態様では、外科的締結器具を組織内に設置するためのデバイスで使用するための締結器具を提供する。このデバイスは、締結器具をアンビルアセンブリへと送達するよう構成された締結器具支持体を有してよい。アンビルアセンブリは、締結器具支持体に動作可能に連結してよい。アンビルアセンブリは、締結器具の設置中に組織表面を通って組織内へと貫通するよう構成された遠位端を有する第1のアセンブリを有してよい。第1のアンビルは更に、締結器具を組織内に設置する間に、受承した締結器具を開構造から閉構造へと変形させるよう構成してよい。締結器具は、第1の脚部に連結された基部部分を含んでよい。第1の脚部は、組織表面を通って組織内へと遠位方向に前進するよう構成してよい。第1の脚部は更に、組織内において基部部分に対してアンビルを変形させるよう構成してよい。
既存の縫合及び接着による組織閉鎖技術及び方法の公知の制約のため、代替形態を設ける必要がある。様々な実施形態によると、装置及び方法により、接着剤によって期待される効率に加えて縫合によって期待される機械的閉鎖の汎用性を眼科外科医に提供する。様々な実施形態によるより理想的な閉鎖も外科医に提供しつつ、このような汎用性が達成される。患者の眼の配置のため、関連する眼球組織を把持及びクリップ留めする能力を提供することにより、閉鎖及び/又は固定を可能としてよい。このように把持もできる能力によって、外科医はa)必要な組織又は眼球補綴物を位置決めして固定すること、及びb)両手を必要とする縫合(即ち片手に把持器、もう一方の手に針を持つ)とは反対に、「片手での」手動閉鎖方法を生み出すことができる。固定クリップの設置期間が永久的又は一時的で有り得るため、クリップの色を周囲の組織と適合させることにより、治癒プロセスの間、表面が露出したクリップを比較的隠しておくことができ、この治癒プロセスにおいて、クリップが留まる、除去される、又は吸収され得る。広範な眼球組織及び補綴物に対応するために、装置のいくつかの実施形態に角度を付けることにより、解剖学的に浅い角度を有する領域へのアクセスを提供してよい。
本発明の他の態様では、外科的締結器具を組織内に設置するためのデバイスを提供する。このデバイスは、アンビル及びこのアンビルに連結された回転式葉状部を含んでよい。回転式葉状部は、組織の表面に対して遠位方向に配置されるよう構成された組織係合表面を含んでよい。葉状部は組織の表面に対して回転可能であってよく、これにより、組織内への締結器具の設置中に組織に対するアンビルの位置を制御できる。いくつかの実施形態では、アンビル及び葉状部は単一の部品に組み込まれていてよい。任意にアンビルを、組織内を前進するよう構成してよく、また組織の表面に対する葉状部の回転により、組織に対するアンビルの前進深さを制御してよい。いくつかの実施形態では、本デバイスは、基部部分及び上記基部部分から遠位方向に延在する少なくとも1つの脚部を有する、外科的締結器具を含んでよい。アンビルは脚部受承表面を画定するチャネルを含んでよい。締結器具の少なくとも1つの脚部は、アンビルと締結器具の上記少なくとも1つの脚部とが同時に組織内へと前進するように、チャネル内へと導入してよい。いくつかの実施形態では、アンビルは組織表面を貫通するための鋭角の遠位端部を含んでよい。締結器具の少なくとも1つの脚部の直径は、約0.001〜0.010インチであってよい。アンビルは、組織の表面に対する葉状部の回転中に、締結器具の基部部分に対して締結器具の少なくとも1つの脚部を変形させることができる。いくつかの実施形態では、葉状部の回転により、締結器具の基部部分を組織表面に対して直接位置決めできる。
いくつかの実施形態では、組織は眼の組織を含んでよい。組織表面に対する葉状部の回転は任意に、アンビルが組織の厚さ全体を貫通しないようにアンビルの前進深さを制御してよい。締結器具は、葉状部を組織の表面に対して遠位方向に押圧して、アンビル及び回転式葉状部に連結された連結器具を関節接続することによって設置できる。上記連結器具は、葉状部を組織表面に対して回転させてよい。いくつかの実施形態では、連結器具の関節接続は、アンビルを組織に対して回転させ、側方に並進させてよい。
いくつかの実施形態は任意に、基部部分と、この基部部分の反対側から遠位方向に延伸する少なくとも2つの脚部とを有する外科的締結器具を含む。いくつかの実施形態は、第2のアンビルと、この第2のアンビルと連結された第2の回転式葉状部とを含んでよい。第2の回転式葉状部は、組織の表面に対して遠位方向に配置されるよう構成された組織係合表面を含んでよい。アンビルを組織内へと前進するよう構成してよく、各アンビルは脚部受承表面を画定するチャネルを含んでよい。外科的締結器具の脚部をチャネル内へと導入してよく、これにより締結器具の設置中にアンビルと締結器具の脚部とが同時に組織内へと前進できる。いくつかの実施形態では、葉状部は、締結器具設置中にアンビルの配置を制御できるよう、組織の表面に対して反対方向に回転可能であってよい。アンビルは、組織の表面に対する葉状部の回転中に、締結器具の基部部分に対して締結器具の脚部を変形させることができる。任意に、葉状部の回転により、締結器具の基部部分を組織表面に対して直接位置決めできる。
本発明の更に別の実施形態では、外科的締結器具を組織内に設置するための方法を提供する。本方法は、回転式葉状部の組織係合表面を、組織の表面に対して遠位方向に位置決めするステップを含んでよい。回転式葉状部は、外科的締結器具を設置するためにアンビルに連結できる。葉状部を組織の表面に対して回転できるように関節接続することによって、締結器具を設置できる。組織に対するアンビルの配置は、組織の表面に対する葉状部の回転によって制御できる。
本発明の別の実施形態では、締結器具設置システムを提供する。本システムは、締結器具の基部を解放可能に支持するためのソケットを含んでよい。組織係合表面はこのソケットに、関節運動できるように連結でき、これによって、締結器具の屈曲及び組織内への締結器具の脚部の挿入中に、基部と組織表面との間の分離を変化させることができる。脚部は基部から延在していてよい。
本発明は一般に、改良された医療用デバイス、システム及び方法を提供する。本発明の多数の実施形態は、場合によっては組織構造の後側の対向表面にアクセスする必要なしに、組織表面の下にある組織構造に及び/又はこれを通して挿入できる組織締結器具を用いる。ここで説明する新規の締結器具は、外科用ステープル、クリップ、ワイヤ、更には縫合の特性のいくつかを有する構造及び組織の相互作用を用いてよく、これにより、締結器具はここで、クリップ、ステープル等の代替として言及してよい。締結器具の例示的実施形態は、強膜、角膜、虹彩等の(及び/又はこれらの下にある)切開及び他の創傷の境界となる組織の縁部の並置及び閉鎖等のための、眼の組織の付着及び眼の組織への付着のために構成される。これらの又は関連する実施形態はまた、眼内レンズの触覚部又はその他の補綴構造物を虹彩又はその他の眼の組織構造に付着させるために使用してもよい。切開又はその他の創傷の閉鎖のために使用する場合、通常は、切開した縁部が互いに近づくか又は接触するように、第1及び第2の脚部を創傷の両側において組織内に離して挿入することにより、締結器具を設置することになる。閉鎖及びその他の治療はまた、組織面を固定するための、第1の組織の主表面を通して第2の組織内への締結器具の設置も伴うことがある。締結器具の基部は、脚部から側方に突出する弧部又はその他の屈曲部を備えてよく、この屈曲部は一般に、脚部を挿入する組織表面に沿って位置するよう構成される。脚部は、脚部が遠位方向へと前進するにつれて互いに角度を形成する挿入経路に沿って挿入してよく、基部の屈曲部は、組織の縁部を1つに保持する脚部の間に所定の分離を提供するよう再構成できる。代替として、屈曲部は、縁部を共に弾性的(又は超弾性的に)に付勢するよう再構成でき、及び/又はこの特定の設置にとって適切な脚部の分離を提供するよう、基部を設置中又は設置後に手動で調整できる。こうして、眼の組織の閉鎖及び固定のための方法及びデバイスが提供される。
図1A〜1Jは、創傷を負った又は切開された組織の縁部E1、E2を1つに同時に把持及びクリップ留めするための装置(機構)の例示的実施形態10を示す。装置10は、2揃いの積み重なったシャフト12、14を含んでよく、これらはそれぞれ末端ジョー16、18を有する。第1のシャフト12及びジョー16は、組織の縁部E1、E2を1つに把持して牽引するよう設計される。第2のシャフト14及びジョー18は、通常は開状態の展性クリップ20を支持するよう設計され、このクリップ20をジョー18で圧迫して閉状態のクリップ20を形成し、これによって組織の2つの縁部E1、E2を1つに固定できる。積み重なったシャフト12、14は、シャフト12、14を取り囲むアンビル24に対する各ジョー16、18の前後の軸方向運動を提供するハンドル22に接続してよい。
図1A〜1Cの例示的実施形態の動作において、把持シャフト12をハンドルで牽引すると、把持シャフト12のジョー16はアンビル24と干渉して圧迫される。把持ジョー16の末端縁部にあるフック又は突出部26は組織を貫通及び保持でき、把持ジョー16が圧迫されるにつれて組織の縁部E1、E2を共に牽引する。更にこの例に関して、図1D〜1Fに見られるように、把持シャフト12及びジョー16はハンドル22の方向へ引っ張られ、把持された組織縁部E1、E2もまた機器の方向へ引っ張られ、第2の組のジョー18に保持された展性クリップ20に対して組織縁部E1、E2を牽引する。組織を機器の方向へ牽引することにより、クリップ20が組織縁部を貫通でき、又は組織の縁部を共に更に圧迫できる。図1G〜1Jを参照して理解できるように、把持ジョー16が組織縁部E1、E2を1つにかつクリップ20に対して所定の位置に保持し続けている間、ハンドル22はクリップジョー18をアンビル24に対して引っ張ることができ、これによってクリップジョー18を圧迫して、展性クリップ20を貫通及び変形させて、組織縁部E1、E2を1つに保持する。代替として、クリップ20は組織縁部を貫通しなくてもよく、その代わりに、変形して組織縁部を共に圧迫及び固定できる。
図2A〜2Jは、補綴物32を眼の組織と共に同時に把持及びクリップ留めするための装置の例示的実施形態30を示す。この実施形態は例として、虹彩組織ITへの眼内レンズの触覚部32(補綴物)の固定を示す。図2A〜2Jの装置は、2揃いの積み重なったシャフト34、36を含んでよく、これらはそれぞれ末端ジョーを有する。第1のシャフト34及びジョーは、組織IT及び補綴物32を把持して末端機器の方向へ牽引するよう設計される。第2のシャフト36及びジョーは、通常は開状態の展性クリップ20を支持するよう設計され、このクリップ20をジョーで圧迫して閉状態のクリップ20を形成し、これによって眼内レンズの触覚部32を虹彩ITに固定できる。積み重なったシャフト34、36は、シャフトを取り囲むアンビル24に対するジョーの前後の軸方向運動を提供するハンドル22に接続してよい。
図2A〜2Cの例示的実施形態の動作において、動作中に把持シャフト34をハンドル22で牽引すると、把持シャフト34のジョー38はアンビル24と干渉して圧迫される。把持ジョー38の末端縁部にあるフック、突出部又はチャネルは組織IT保持でき、図2D〜2Fに示すように把持ジョー38が圧迫されるにつれて、触覚部32の周りの組織を牽引する。更にこの例に関して、把持シャフト34及びジョー38はハンドル22の方向へ引っ張られ、把持された組織及び触覚部32もまた機器の方向へ引っ張られ、第2の組のジョー39に保持された展性クリップ20に対して組織IT及び触覚部32を牽引する。組織を機器の方向へ牽引することにより、クリップ20が組織ITを貫通できる。把持ジョー38が組織縁部を1つにかつクリップ20に対して所定の位置に保持し続けている間、ハンドル22はクリップジョーをアンビル24に対して引っ張ることができ、これによってクリップジョーを圧迫して、展性クリップ20を貫通及び変形させて、図2G〜2Jに示すように組織IT及び触覚部32を1つに保持する。代替として、クリップは組織縁部を貫通しなくてもよく、その代わりに、変形して組織及び触覚部を共に圧迫及び固定できる。
図3A、3Bは、眼科用クリップ20を適用するための鉗子42を、眼Eの表面にほぼ接する角度で平面上に位置決めでき、クリップ20を閉鎖又は固定される組織にほぼ垂直に位置決めできる装置の例示的実施形態40を示す。装置40は鉗子42を含み、鉗子42は、通常は開状態の展性クリップを固定するためのジョーを含んでよい。例示的な動作において、鉗子42のハンドル44を握ると、ヒンジ留めされた鉗子のジョー46が引っ張られ、これが展性クリップ20を閉鎖する。板ばね48又はその他のばねを鉗子42のハンドル44に連結して、外科医がクリップ20を設置しようとするまで、ジョー46を通常の開位置に保持できる。クリップ20を設置すると、外科医はハンドル44への圧力を解放し、これにより、ばねは鉗子42を開位置へ戻し、クリップ20を組織の所定の位置に残して鉗子42を除去できる。
図4A〜4Cは、組織の縁部を固定するため又は眼科用補綴物32を眼の虹彩IT等の組織に固定するために使用できる、通常は開状態の展性クリップ20のための、遠位設置装置50の例示的実施形態を示す。この例示的実施形態は、クリップ20を設置して眼内レンズの触覚部32を虹彩に固定することを示す。例示的装置は、中央ドライバ52及びこのドライバ52を囲むアンビル54を含む。通常は開状態の展性クリップ20を、アンビル54のキャビティ内に保持してよい。クリップ20を設置するために、ドライバ52をハンドル22によって遠位方向へ押し出すことができ、これにより、クリップ20をアンビル54のキャビティの外及び組織ITの中へと摺動させることができる。ドライバ52がクリップ20を遠位方向へ押し出すことによって、アンビル54内のキャビティの縁部によってクリップ20の端部を共に押圧できる。この例示的実施形態のために、キャビティの角度及びクリップ端部の角度は、ドライバ52の力によってクリップ20を遠位方向へ摺動させることができるが、周囲のアンビル54の圧迫力がクリップ端部を共に押圧することのみによってこれが起こるように設計される。図示したように、展性クリップ20は組織ITを貫通して触覚部32の周囲を変形させることができ、これによって組織IT及び触覚部32を共に保持できる。代替として、クリップ20は組織縁部を貫通しなくてもよく、その代わりに、変形して組織IT及び触覚部32を共に圧迫及び固定できる。
図5A、5Bは、通常は閉状態の弾性又は形状記憶合金クリップ70のための、遠位設置装置の例示的実施形態60を示す。ドライバ64によってクリップ70をシャフト62から押し出すと、弾性又は形状記憶合金はその通常の閉位置に復帰でき、組織の縁部を固定するか又は眼の補綴構造物32を固定する。図5の例示的実施形態は、通常は閉状態のクリップ70を設置して、眼内レンズ触覚部32を虹彩組織ITに固定することを示す。この装置は、ドライバ64及びこのドライバ64を格納するシャフト62を含む。通常は閉状態のクリップ70を開状態に保持し、シャフト62内に拘束できる。この例によると、閉状態の形状に曲がる傾向を有するクリップ70と、シャフト62の内壁との間の摩擦は、クリップ70をシャフト62内に維持するのに十分である。クリップ70を設置するために、外科医はドライバ64をシャフト62内で遠位方向へと押圧するハンドルを操作してよい。ドライバ64はクリップ70を遠位方向へ押圧してシャフト62から出すことができ、その際クリップ70は好ましい閉状態に復帰し、これによって組織IT及び補綴物32を共にクリップ70の閉位置内に捕捉する。
図6A〜6Cは、通常は閉状態の弾性又は形状記憶合金クリップ90のための、遠位設置装置の例示的実施形態80を示す。この例示的実施形態は例として、クリップ90をガイド82から押し出すと、弾性又は形状記憶合金クリップ90がその通常の閉位置に復帰して、組織の縁部を固定するか又は眼内レンズ触覚部32等の眼の補綴構造物を虹彩ITに固定する。図6A〜Cの装置は内側クリップガイド82を有する外側ドライバ84を含んでよい。クリップガイド82の1つの目的は、通常は閉状態のクリップ90を開位置に保持することである。更に、クリップ90を、ガイド82の遠位端のチャネル内に、ガイド82の軸96に対して角度(任意には約45°)を有して位置決めしてよい。クリップ90の角度により、設置機構を、眼の表面に接する平面上に位置させることができ、従って閉鎖又は固定される組織に対して45°の角度でクリップ90を位置決めできる。更に、機器自体が接平面に対して45°に位置決めされている場合、眼の表面に対して90°もの角度(又はこれを更に超える角度)でクリップ90を設置してもよい。クリップ90の上部はガイド82の表面から突出しており、このガイド82の表面は接触表面を提供し、ドライバ84はクリップ90をガイド82から押し出すことができる。ドライバ84が遠位方向へと作動することにより、クリップ90をガイド82から完全に押し出して下側の組織ITへと打ち込むことができる。設置すると、クリップ90はその通常の閉位置へと復帰できる。設置が完了したクリップ90は、この例では虹彩組織IT及び隣接する水晶体触覚部32を取り囲む。代替として、クリップ90は組織ITを貫通しなくてもよく、触覚部32の周りの組織ITを圧迫することによってこれらを共に固定できる。
図7、8は、閉鎖又は固定される眼の組織にアクセス及び接近するための方法の例示的実施形態を示す。一時的又は優れた接近は、眼の視軸104を横切る、設置デバイス100のシャフト102を用いた透明な角膜の切開Aを通してのものであり得る。角膜通路のための切開Aは、自然治癒できる程度に十分小さいものであってよい。透明角膜切開Aにより、機器100を眼にほぼ接する角度で動作させることができる。機器は、図6に示すように45°以上の角度でクリップを設置できるよう、角度付き末端部分を備えてよい。クリップアプリケータによって適用されるクリップは、通常は閉状態の「予備成形」クリップC、F又は通常は開状態の展性(変形可能)クリップであってよい。設置されるクリップを用いて、眼内レンズDを虹彩又は隣接する眼の組織Eに対して支持できる。
図8は、図7に示したアプローチの例示的断面図であり、一時的又は優れた接近は、眼の視野FOV内の眼の視軸104を横切るシャフト102を用いた透明な角膜の切開Aを通してのものであり得る。角膜通路のための切開Aは、自然治癒できる程度に十分小さいものであってよい。
図1〜4の装置の例示的実施形態について、展性クリップは生体適合性の変形可能な金属で作製してよく、クリップは任意には、タンタル、金、白金、ステンレス鋼及び/又はチタン等の1つ以上の金属を含む。このようなクリップはまた、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリジオキサノン及びカプロラクトンを含む生体吸収性材料で作製してもよい。その生体適合性及び展性に加えて、上述の材料は全て、磁力に対する感受性を殆ど又は全く有さず、従って、一時的又は永久的、いずれのクリップの適用についても、ひとたび配置されたクリップに対して磁気共鳴撮像法(MRI)及びその他の磁性エネルギ源が悪影響を与えないことが保証される。
図5、6に示し、かつこれらを参照して説明された例示的なクリップは、適切に加工すれば好ましい形状を初期設定できる弾性金属を得ることができるニッケルチタン(NiTi)等の生体適合性形状記憶合金で作製してよい。
様々な実施形態によると、隣接する組織に対してクリップをカムフラージュするような着色を施してクリップを製造してよい。基部材料の自然着色又は表面材料の変更のいずれにより着色されたクリップは、美容目的にとって望ましいものであり、例えば強膜組織に適合するように白い色合いに着色される。更に、茶色、青、緑及びその他の色合いの着色を用いて虹彩組織に適合させてもよい。代替として、透明なクリップを用いて、いずれの周辺組織の色に対してもカムフラージュできる。
表面着色は複数の方法で実現できる。例えば、タンタル及びチタン並びにこれらの合金を陽極酸化できる。陽極酸化は、基部材料の表面に酸化物層を形成するプロセスである。酸化物層の厚さを変化させることにより、様々な色を実現できる。目に見える色は、酸化物層を通過する基部材料からの反射光の波長を表す。強膜組織に適合させるためのオフホワイトの色合い並びに虹彩組織に適合させるための茶色、青、緑といった様々な色合いを含む、眼の解剖学的構造への適合に関係する色は、これらの金属及びその合金の陽極酸化プロセスによって作出できる。
所望の表面色を提供するための別のアプローチは、クリップの表面上に着色した材料を積層することによるものである。例えば、着色したナイロン等のポリマーを、熱収縮プロセスでクリップの表面に積層できる。これを実施できる方法の1つは、着色したポリマーのチューブを、基部材料を覆うように摺動させることである。ポリオレフィン又はフルオロポリマー等の熱収縮材料の第2のチューブを、着色したポリマー及び基部材料両方を覆うように配置する。熱を印加することにより、ポリオレフィン又はフルオロポリマーは加熱され、収縮し、着色したポリマーを流動させ、これによって着色したポリマーを基部材料に積層する。着色したポリマーは、強膜組織に適合させるためのオフホワイトの色合い並びに虹彩組織に適合させるための茶色、青、緑といった様々な色合いを含む、眼の解剖学的構造に関係する色を含む多くの色で広く入手可能である。
ここで図9を参照すると、ここで説明するクリップ又は締結器具140の多数の代替実施形態は、第1及び第2の脚部又は貫通部分110、112を有する。脚部110、112は基部114によって互いに対して支持される。脚部110、112は基部114から、尖った遠位先端116まで遠位方向に延在し、脚部110、112はより一般には、脚部110、112をその軸118、120に沿って押圧することにより、組織表面を貫通してその下の組織内を遠位方向へと前進するよう構成される。従って、脚部の軸118、120は一般に組織貫通経路を画定し、これら経路は典型的には脚部又は設置平面122を画定する(が、その上にこれら経路を配置する必要はない)。
ここでも図9を参照すると、基部114は脚部平面122に沿って存在しないのが普通であるが、その代わりに典型的には、脚部又は設置平面122から突出する少なくとも1つの屈曲部124を有し、いくつかの実施形態は、(図31〜38を参照して以下に説明するように)脚部平面122の対向する側部から突出する少なくとも2つの屈曲部を有する。代わりに基部114を基部表面126に沿って配置してよく、基部表面126は任意には脚部平面122から見た場合(図示した場合)及び/又は脚部平面122に対して垂直に見た場合に湾曲しており、いくつかの実施形態は、どちらの場合においても、眼の組織の球形の曲率半径にほぼ対応するような球形の曲率半径で湾曲する。基部114は、脚部110に隣接する第1の部分114A、脚部112に隣接する第2の部分114B、及びこれらの間の1つ又は複数の中央部分を含んでよい。各基部部分114A、114B、114は、関連する中央軸130A、130B、130Cを有し、屈曲部は一般に少なくとも中央部分に沿って配置され、脚部110、112と隣接する軸間の角度を画定する。これら軸は基部表面126に沿って配置でき、基部表面は任意には概ね直角に脚部平面122を横断する。脚部110、112と脚部平面に沿った基部114との間に延在する肩部132は、設置時に組織に対して構造を安定させるのを補助できる。
図9に示すクリップ140の実施形態はワイヤから構成され、好ましくは組織の2つの縁部を貫通して近接させるよう形成される。この例ではワイヤは直径0.004インチであるが、0.001〜0.010インチの範囲であってよく、典型的には0.002〜0.006インチであり、ステンレス鋼、ニッケルチタン、チタン、タンタル又はこれら及びその他の材料を含む合金を含む、様々な材料を用いて作製できる。好ましい材料は、組織を所定の位置に保持するために望ましい強度及び変形特性を提供するために、熱処理及び/又は硬化処理してよい。図示した構成では、脚部110、112は、組織を貫通するよう構成された2つの部分を形成する。例示的実施形態の脚部110、112及び基部114は、構造の一体性、強度、及び製造の容易さのために、適切な屈曲部を用いた連続構造から形成するのが普通であるが、代替実施形態は別個の構成部分から組み立ててよい。
貫通部分の中心軸118、120は、基部表面126に対して斜角を有して配置され、一般には互いに対向し、これらの及びその他の例示的実施形態は、基部114の接続用弧部又は屈曲部124の平面に対して30°〜60°の範囲であり得る角度を形成し、任意にはこれによって、組織内部のこれらの構造の経路の少なくとも一部は、組織表面への脚部110、112の貫通位置の離間距離とは異なる(通常はこれより短い)距離にある。より一般には、脚部110、112(又はその一部)は典型的には、組織及び/又は基部表面126と斜角を形成し、この斜角は約20°〜約80°の範囲にあるのが普通である。組織への貫通を容易にするために、貫通部分の端部116を、斜角をつけるかそうでなければ鋭角にすることができる。貫通部分は、約0.050インチの直径を有する弧部124によって接続される。弧部124は、貫通部分の平面に対して90°である平面に概ね沿っており、これによって弧部124を、脚部を挿入する組織表面に対してぴったりと静置できる。好ましくは、貫通部分又は脚部110、112の、弧部124の平面より下の深さは、クリップ140を挿入する組織の厚さ全体にクリップ140が貫通しないよう構成してよい。寧ろ、クリップ140は好ましくは、組織の厚さの一部のみ貫通するように設計される。弧部124は少なくとも3つの機能のうち1つ、いくつか、又は全てを実施できる。第1に、弧部124は貫通部分を接続でき、これによって、(例えば)これらの部分が2つの組織縁部を保持及び並置できる。第2に、弧部124を調整又は選択的に変形して、2つの貫通位置の間の距離を制御できる。任意には、1つ又は複数の事前に設定した間隙を有するように弧部124を提供できる。代替として、臨床医は、貫通部分との接合部において弧部124を締めたり拡げたりするための鉗子を用いて、手術中又は手術後にこの間隙を調整できる。第3に、設置前に弧部124を開位置に機械的に拘束すれば、弧部124を用いてエネルギを弾性的に貯蔵できる。
この実施形態では、ワイヤは、材料の弾性(又は超弾性)限界範囲内で引き延ばすと好ましい形状に復帰するように緩めるか又は硬化させたばねである。図9に示すクリップ140は、好ましいクリップをその通常の閉位置で静置した解放又は設置状態の構成である。図10は、どのようにすれば、基部114の弧部又は屈曲部124の平面において、クリップ140を弾性的に引き延ばして開状態とし、脚部110、112を離間させ、クリップ140を設置準備構成において拘束すること等によって屈曲部が形成する角度を減少させることができるかを示す。
図11〜11B、12、13は、クリップ140、並びに図9、10に示すようにクリップを解放可能に拘束するよう及びクリップを設置するよう構成されたツールを含む、締結器具設置システムの実施形態を示す。クリップ140と共に、設置デバイスは3つの主構成要素:ハンドピース142、クリッププッシャ144及びアンビル146を含む。アンビル146は、クリップ140をプッシャ144と恊働するよう拘束するよう、及びクリップ140がその通常の閉鎖構成に漸進的に復帰するのをガイドするよう構成されたチャネルを有する。クリッププッシャ144及びアンビル146は、互いに対して摺動できる隣接する平行な表面を有する平坦な本体を備える。アンビル146のクリップチャネル148は、基部114の基部表面126に対するクリップ140の貫通位置の角度に適合する角度で切断されており、クリップ140の弧部124を接続する。従って、貫通部分は、軸118、120(最初の組織貫通において組織が形成するものと同一の軸)に続いて脚部を組織の更に奥へと駆動することしかできないため、アンビル146のチャネル148を通してクリップ140を解放しても組織を更に接近させることはない。この特徴は、臨床医がクリップ140の設置の前に組織の近接をそのまま維持することを望む場合、有利である。この実施形態では、アンビル146に食い込む中央チャネル150が存在し、これは、クリッププッシャ144上の突起部152と適合して、好ましくは2つの表面の相対運動を、組織表面に対してほぼ垂直な一方向における軸方向の摺動に拘束する。クリッププッシャ144はハンドピース142に取り付けられるか、又はハンドピース142に組み込まれ、これにより、組織方向へのハンドピース142の運動及びこれに伴うクリッププッシャ144の組織方向への運動によって、摺動可能なアンビル146が圧迫される。任意には、クリッププッシャ144とアンビル146との間にばねを配置してよく、これにより、システムが静止状態である場合、クリップ140をこれら2つの構成部品の間で固定して保持する。更に、ばねを、臨床医がハンドピース142に入力しようとする最小の力に対応する設置力を生成するよう構成してよい。更に、ばねの力を、好ましい組織圧迫力に対応するよう構成してよい。代替実施形態では、ハンドピース142のアクチュエータの関節運動によってスライダ144とアンビル146との間の相対運動を発生させることができる。
図11Aは、設置デバイスの初期配置を示し、クリップ140は組織表面TSに垂直であり、組織の隣接する2つの縁部E1、E2のほぼ中心にセンタリングされる。クリップ140の好ましい位置合わせを容易にするために、アンビル146上の中央チャネル150又はその他の印を用いて、クリップ140の中心を臨床医に知らせることができる。図12は、組織に対するアンビル146の圧迫を示し、アンビル146はクリッププッシャ144に対して引っ込んでいる。アンビル146が引っ込むことにより、クリッププッシャ144はクリップ140の組織貫通部分を組織内へ動かすことができる。更に、アンビル146がクリッププッシャ144に対して引っ込むにつれて、基部114及び特にクリップ140の屈曲部124又は弧部部分を、その好ましい通常の閉位置に復帰させることができる。クリップ140がアンビルのチャネル148に沿って前進して閉鎖すると、クリップ140の脚部110、112又は貫通部分は、その軸に沿って組織に対して内側へ引っ張られ、よって、クリップの設置の間に組織縁部E1、E2の近接が変化しないようにすることができる。代替として、(組織表面TS又は基部表面126の両方に対する)チャネルの角度が脚部の角度と異なる場合、特に、脚部110、112がチャネルよりも垂直に近い場合、チャネル148に沿ったクリップ140の運動によって、組織の縁部E1、E2を引っ張ることができ、及び/又は組織内への脚部110、112の引き込みを補助できる。図13は、クリッププッシャ144に対して完全に引き出したアンビル146を示し、これによってクリップ140は設置デバイスから完全に解放され、クリップをその閉位置に復帰させて組織縁部E1、E1の近接を保持できる。図14に示すように、ひとたび設置すると、クリップ140の弧部142を含む基部114は、組織の表面TSと同一平面上に静置される。
図15、16に示すクリップの実施形態200もワイヤから構成され、好ましくは組織の2つの縁部を貫通して近接させるよう形成される。この例ではワイヤは直径0.004インチであるが、0.001〜0.010インチの範囲であってよく、典型的には0.002〜0.006インチであり、ステンレス鋼、ニッケルチタン、チタン、タンタル又はこれら及びその他の材料を含む合金を含む、様々な材料を用いて作製できる。好ましい材料は、組織を所定の位置に保持するために望ましい強度及び変形特性を提供するために、熱処理及び/又は硬化処理してよい。図示した構成では、組織を貫通するよう構成された2つの脚部の部分202、204が存在する。貫通部分は、互いに対向する2つの弧部206、208を画定する。組織への貫通を容易にするために、貫通部分の端部を、斜角をつけるかそうでなければ鋭角にすることができる。貫通部分は、約0.050インチの直径を有する弧部を有する基部210によって接続される。弧部は、貫通部分の平面に対して90°である平面上にあり、これによって弧部を、組織に対してぴったりと静置できる。好ましくは、貫通部分の、弧部の平面より下の深さは、組織の厚さ全体にクリップが貫通しないよう設計してよい。寧ろ、クリップ200は好ましくは、組織の厚さの一部のみ貫通するように設計される。貫通部分を接続する弧部は少なくとも3つの機能を実施できる。第1に、弧部は貫通部分を接続し、これによってこれらの部分が2つの組織縁部の近接を保持できる。第2に、接続用弧部を可塑性変形させて又は調整して、2つの貫通位置の間の距離を制御できる。1つ又は複数の事前に設定した間隙を有するように弧部を提供できる。代替として、臨床医は、任意には貫通部分との接合部において接続用弧部を締めたり拡げたりするための、ジョー等を有する鉗子又は別のツールを用いて、手術中又は手術後にこの間隙を調整できる。第3に、設置時まで弧部を開位置に機械的に拘束すれば、一般には弧部及び/又は基部を用いてエネルギを弾性的に貯蔵できる。
この実施形態では、ワイヤは、材料の弾性(又は超弾性)限界範囲内で引き延ばすとクリップ200が好ましい形状に向かって及び/又は好ましい形状に復帰するように緩めるか又は硬化させたばねである。図15に示すクリップ200は、好ましいクリップをその通常の閉位置で静置したものである。図16は、どのようにすれば、クリップ200を構成する又は弾性変形させ、貫通弧部の平面において回転させて開状態とすることができるかを示す。
図17A、17B、18、19は、クリップ200、及び図15、16に示すクリップを設置するよう構成されたツールを含む、締結器具設置システムの実施形態を示す。クリップ200と共に、設置システムは4つの主構成要素:ハンドピース220、クリッププッシャ222、トリガ224及びリテーナ226を有するツールを含む。ハンドピース220の運動が直接クリッププッシャ222に伝達されるよう、ハンドピース220をクリッププッシャ222に取り付ける。クリッププッシャ222及びトリガ224は隣接する平行な構造であり、これらは互いに対して、関節接合軸230に沿って摺動できる。クリッププッシャ222は、設置中に組織表面TSに対して概ね垂直である軸230上でのトリガ224の摺動運動をガイドするチャネル228を含む。更に、クリッププッシャ222は、図15、16のクリップ200の貫通用弧部の半径に適合する、凹状の弧部を特徴とする。クリッププッシャ222の別の特徴は、クリップ200の接続用弧部を固定するノッチ232である。クリッププッシャ222と同様、トリガ224も、クリップ200の各側部に位置する貫通用弧部の半径に対応するよう、各側部に食い込む弧部を有する。リテーナ226は、トリガ224をクリッププッシャ222に捕捉する役割を果たす。任意にはばねをクリックプッシャ222とトリガ224との間に配置してよく、これにより、システムが静止状態である場合、クリップ200をこれら2つの構成部品の間で固定して保持する。更に、ばねを用いて、臨床医がハンドピース220に入力しようとする最小の力に対応する所望の設置力を生成できる。更に、ばねの力を、好ましい組織圧迫力に対応するよう構成してよい。
図17Aは、設置デバイスの初期配置を示し、貫通用弧部は組織表面TSに垂直な平面上にあり、組織の隣接する2つの縁部E1、E2のほぼ中心にセンタリングされる。クリップ200の好ましい位置合わせを容易にするために、トリガ224の位置を用いて、クリップ200の中心を臨床医に視覚的及び/又は触覚的に知らせることができる。設置前にクリップ200を開位置に維持するために、クリップ200を3つの位置に保持する。第1の2つの位置は、図17Aに示すような、トリガ224の各側部に食い込む弧部の基部によって形成される締め点であり、これはクリップ200をクリッププッシャ222の各側に食い込む接続用弧部に制限する。クリップ200のための第3の拘束位置はクリッププッシャ222に食い込むノッチ232であり、これはクリップ200の接続用弧部を固定する。図18は、組織表面TSに対するトリガ224の圧迫の効果を示し、これによってトリガ224が引っ込み、軸230に沿ってクリッププッシャ222に対して摺動する。トリガ224の運動により、トリガ224の各側部上の弧部の基部の締め点が除去される。よって、クリップ200は拘束されていない状態となり、その好ましい閉位置へと自由に復帰できる。更に、ひとたび拘束されていない状態となると、クリップ200はクリッププッシャ222に食い込む弧部によってガイドされ、これによりクリップが下にある組織と、組織の表面に垂直な方向に漸進的に係合できることが保証される。クリッププッシャ222の補助によりクリップ200が回転して閉鎖されると、貫通部分は組織への挿入点と適合する半径を有する挿入経路を辿り、これによって組織縁部E1、E2の近接を維持し、ここで弧状の脚部202、204は概して、隣接する基部の部分の軸の周りで回転し、これら回転軸は通常、脚部の平面を通って弧部の経路内を径方向に延在する。図19は、クリッププッシャ222に対して完全に引き出したトリガ224を示し、これによってクリップ200は設置デバイスから完全に解放され、その閉位置に復帰できる。最後に、設置デバイスを引き出して、クリップ200の接続用弧部をクリッププッシャ222のノッチ232から摺動させて出し、クリップ200の接続用弧部(及び基部の残り部分)は図20に示すように、組織の表面TSと同一平面上に残って静置される。
図21〜25Aに示すクリップの実施形態300もまたワイヤから構成され、好ましくは組織の2つの縁部を貫通して近接させるよう形成される。この例ではワイヤは直径0.004インチであるが、0.001〜0.010インチの範囲であってよく、典型的には0.002〜0.006インチであり、ステンレス鋼、ニッケルチタン、チタン、タンタル又はこれら及びその他の材料を含む合金を含む、様々な材料を用いて作製できる。好ましい材料は、組織を所定の位置に保持するために望ましい強度を提供するために、熱処理及び/又は硬化処理してよい。図示した構成では、組織を貫通するよう構成された2つの脚部302、304又は部分が存在する。貫通部分は、互いに対向する2つの弧部を備える。組織への貫通を容易にするために、貫通部分の端部を、斜角をつけるかそうでなければ鋭角にすることができる。貫通部分は、約0.050インチの直径を有する弧部を備える基部306によって接続される。弧部は、貫通部分の平面に対して90°である平面上にあり、これによって弧部を、組織に対してぴったりと静置できる。好ましくは、貫通部分の、弧部の平面より下の深さは、組織の厚さ全体にクリップ300が貫通しないよう設計してよい。クリップ300は好ましくは、組織の厚さの一部のみ貫通するように設計される。
貫通部分302、304を接続する弧部は3つの機能を実施できる。第1に、弧部は貫通部分を接続し、これによってこれらの部分が2つの組織縁部の近接を保持できる。第2に、接続用弧部を調整して、2つの貫通位置の間の距離を制御できる。1つ又は複数の事前に設定した間隙を有するように弧部を提供できる。代替として、臨床医は、貫通部分302、304との接合部において接続用弧部を締めたり拡げたりするための鉗子等を用いて、手術中又は手術後にこの間隙を調整できる。第3に、接続用弧部は、組織内でのクリップ300の深さを設定する役割、及び設置中と処理後の両方においてクリップ300のいずれの望ましくない進入を防止する役割を果たす。
この実施形態では、ワイヤは、ワイヤの可塑性変形によって永久的な機械的変形が容易に可能となるよう、十分な展性を有する。図21に示すクリップ300は、組織内での配置及び貫通部分の変形の前の状態で示されている。
図22、22A、23、24は、クリップ300、及び図21に示すクリップ300を変形させて設置するよう構成されたツールを含む、設置システムの実施形態を示す。クリップ300と共に、設置デバイスは3つの主構成要素:ハンドピース312、クリップハンマー316、及びアンビル314を含む。ハンドピース312をクリップハンマー316及びアンビル部分314に取り付け、臨床医がクリップ300を所望の位置に位置決めできるようにする。更に、ハンドピース312はアンビル314に対するクリップハンマー316の軸に沿った相対的な摺動運動を制御する。クリップ300を形成及び設置するために、デバイス310の先端をまず、図22Aに示す構成で近接させられる組織の2つの縁部E1、E2の間でセンタリングする。貫通部分の先端は設置機構から突出しており、これによって貫通部分の先端は組織の表面を貫通して、形成及び設置機構を係合する。組織表面に対してクリップハンマー316をアンビル314に対して下方向に押圧すると、図22A、23に示すように、クリップ300の貫通部分は下向きにかつアンビル314の各側部の突起部の周りで回転させられる。貫通部分の回転は、組織縁部E1、E2を互いに向かって圧迫し、これら縁部を近接させる。図25、25Aに示すように、クリップハンマー316を押圧して貫通部分上の弧部に接する平面上において貫通部分を通過させることで、クリップ300の形成が完了する。
任意にはばねをクリックハンマー316とアンビル314との間に配置してよく、これにより、システムが静止状態である場合、クリップ300をこれら2つの構成部品の間で固定して保持する。更に、ばねを用いて、臨床医がハンドピースに入力しようとする最小の力に対応する設置力を生成できる。
図26〜30に示すクリップの実施形態400はワイヤから構成され、好ましくは組織の2つの縁部を貫通して近接させるよう形成される。この例ではワイヤは直径0.004インチであるが、0.001〜0.010インチの範囲であってよく、典型的には0.002〜0.006インチであり、ステンレス鋼、ニッケルチタン、チタン、タンタル又はこれらのうち1つ又は複数を含む合金を含む、様々な材料を用いて作製できる。好ましい材料は、組織を所定の位置に保持するために望ましい強度を提供するために、熱処理及び/又は硬化処理してよい。図示した構成では、組織を貫通するよう構成された2つの脚部又は部分が存在する。貫通部分の中心軸は互いに対向しており、基部又は接続用弧部の表面に対して30°〜60°であり得る角度を形成する。組織への貫通を容易にするために、貫通部分の端部を、斜角をつけるかそうでなければ鋭角にすることができる。貫通部分は、約0.050インチの直径を有する弧部によって接続される。弧部は、貫通部分の平面に対して90°である平面上にあり、これによって弧部を、組織に対してぴったりと静置できる。好ましくは、貫通部分の、弧部の平面より下の深さは、組織の厚さ全体にクリップ400が貫通しないよう設計してよい。寧ろ、クリップ400は好ましくは、組織の厚さの一部のみ貫通するように設計される。この弧部自体は3つの機能を実施する。第1に、弧部は貫通部分を接続し、これによってこれらの部分が2つの組織縁部を保持及び並置できる。第2に、弧部を調整して、2つの貫通位置の間の距離を制御できる。1つ又は複数の事前に設定した間隙を有するように弧部を提供できる。代替として、臨床医は、貫通部分との接合部において弧部を締めたり拡げたりするための鉗子を用いて、手術中又は手術後にこの間隙を調整できる。第3に、接続用弧部は、組織内でのクリップ400の深さを設定する役割、及び設置中と処理後の両方においてクリップ400のいずれの望ましくない進入を防止する役割を果たす。
図27は、送達ツール又はデバイス410、図26に示すクリップ400を含む、例示的なクリップ送達システムを示す。この実施形態では、図27A〜29に示すように、上側ジョー402及び下側ジョー404が存在する。送達機構のハンドル412の上部を握ると、デバイス410先端のジョーは互いから離れるように移動し、クリップ400を解放する。創傷の2つの縁部を閉鎖するために、臨床医は、まず、第1の組織縁部E1付近の組織をクリップ400の第1の貫通部分406で貫通することにより、このデバイス410を用いる。続いて臨床医はデバイス410を牽引し、これによって図28に示すように、クリップ400及びこれを取り付けられた組織縁部を、第2の組織縁部E2に対する所望の近接状態へと牽引する。2つの組織縁部がひとたび互いに所望の近接状態となると(例えば縁部間の所望の係合が得られると)、臨床医はデバイス410を操作して、図28〜30に示すように、第2の組織縁部E2付近の組織をクリップ400の第2の貫通部分で貫通できる。クリップ400を所望の位置とすると、ハンドピース412を握ることによって送達デバイスの上部を関節運動させることができ、これによって下側ジョーが互いから離れるように移動してクリップ400を解放する。ジョーが開位置にある間、ユーザは送達デバイスを組織から浅い角度で引き抜き、クリップ400を完全に解放する。図30は解放したクリップ400が2つの組織縁部の近接を提供する様子を示す。
このクリップ送達デバイス410は単に説明目的のものであることに留意されたい。様々な機構を用いてジョーを互いから離れるように移動させ、クリップ400を解放できる。
図31〜34に示すクリップの実施形態500はワイヤから構成され、好ましくは組織の2つの縁部を貫通して近接させるよう形成される。この例ではワイヤは直径0.004インチであるが、0.001〜0.010インチの範囲であってよく、典型的には0.002〜0.006インチであり、ステンレス鋼、ニッケルチタン、チタン、タンタル又はこれらを含む合金を含む、様々な材料を用いて作製できる。好ましい材料は、組織を所定の位置に保持するために望ましい強度を提供するために、熱処理及び/又は硬化処理してよい。図示した構成では、組織を貫通するよう設計された2つの脚部又は部分が存在する。貫通部分の中心軸は互いに対向しており、基部に対して30°〜60°であり得る角度を形成する。組織への貫通を容易にするために、貫通部分の端部を、斜角をつけるかそうでなければ鋭角にすることができる。貫通部分は、約0.025インチの直径を有する対向する二重の弧部を有する基部によって接続される。弧部は、貫通部分の平面に対して90°である平面上にあり、これによって弧部を、組織に対してぴったりと静置でき、ここで弧部は貫通部分の平面の反対側から突出する。好ましくは、貫通部分の、二重の接続用弧部の平面より下の深さは、組織の厚さ全体にクリップ500が貫通しないよう設計してよい。クリップ500は好ましくは、組織の厚さの一部のみ貫通するように設計される。更に、ワイヤは、材料の弾性限界範囲内で引き延ばすと好ましい形状に復帰するように緩めるか又は硬化させたばねであってよい。
図31〜34のクリップの実施形態500の基部の弧部は、5つの機能を実施できる。第1に、弧部は貫通部分を接続し、これによってこれらの部分が2つの組織縁部を保持できる。第2に、弧部を個別に調整して、2つの貫通位置の間の距離を制御できる。1つ又は複数の事前に設定した間隙を有するように弧部を提供することもできる。代替として、臨床医は、貫通部分との接合部において弧部を締めたり拡げたりするための鉗子を用いて、手術中又は手術後にこの間隙を調整できる。第3に、設置時まで弧部を開位置に機械的に拘束すれば、弧部を用いてエネルギを弾性的に貯蔵できる。第4に、接続用弧部は、組織内でのクリップ500の深さを設定する役割、及び設置中と処理後の両方においてクリップ500のいずれの望ましくない進入を防止する役割を果たす。第5に、二重弧部が組織の表面上に存在することにより、クリップ500のいずれの望ましくない回転を防止する。
図35〜38に示すクリップの実施形態700はワイヤから構成され、好ましくは組織の2つの縁部を貫通して近接させるよう形成される。この例ではワイヤは直径0.004インチであるが、0.001〜0.010インチの範囲であってよく、典型的には0.002〜0.006インチであり、ステンレス鋼、ニッケルチタン、チタン、タンタル又はこれらを含む合金を含む、様々な材料を用いて作製できる。好ましい材料は、組織を所定の位置に保持するために望ましい強度を提供するために、熱処理及び/又は硬化処理してよい。図示した構成では、組織を貫通するよう設計された2つの脚部又は部分が存在する。貫通部分は互いに対向する2つの弧部を備える。組織への貫通を容易にするために、貫通部分の端部を斜角をつけるかそうでなければ鋭角にすることができる。貫通部分は、約0.025インチの直径を有する二重弧部によって接続される。これら接続用弧部は、貫通部分の平面に対して90°である平面上にあり、これによって弧部を、組織に対してぴったりと静置できる。好ましくは、貫通部分の、二重の接続用弧部の平面より下の深さは、組織の厚さ全体にクリップ700が貫通しないよう設計してよい。寧ろ、クリップ700は好ましくは、組織の厚さの一部のみ貫通するように設計される。更に、ワイヤは、材料の弾性(又は超弾性)限界範囲内で引き延ばすと好ましい形状に復帰するように緩めるか又は硬化させたばねであってよい。
クリップ700の弧部は、5つの機能を実施できる。第1に、弧部は貫通部分を接続し、これによってこれらの部分が2つの組織縁部を保持及び並置できる。第2に、弧部を個別に調整して、2つの貫通位置の間の距離を制御できる。1つ又は複数の事前に設定した間隙を有するように弧部を提供することもできる。代替として、臨床医は、貫通部分との接合部において弧部を締めたり拡げたりするための鉗子を用いて、手術中又は手術後にこの間隙を調整できる。第3に、設置時まで弧部を開位置に機械的に拘束すれば、弧部を用いてエネルギを弾性的に貯蔵できる。第4に、接続用弧部は、組織内でのクリップ700の深さを設定する役割、及び設置中と処理後の両方においてクリップ700のいずれの望ましくない進入を防止する役割を果たす。第5に、二重弧部が組織の表面上に存在することにより、クリップ700のいずれの望ましくない回転を防止する。
組織の閉鎖及び眼科用補綴物の固定に加えて、クリップは薬剤溶出又は投薬を含む更なる便益を提供できる。このような有利な薬剤は:抗生物質、抗炎症剤、ステロイド、抗凝固剤、抗血管成長因子剤、抗線維形成剤を含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、クリップを薬剤でコーティングしてよい。代替として、薬剤溶出又は投薬のために、クリップを中空又は多孔性に設計してよい。
クリップは、接着剤を投与することもできる。背景技術において述べたように、眼の組織の切開又は創傷の縁部を閉鎖するために接着剤を用いることがある。中空又は多孔性クリップを用いて、優れた強度の接着剤を溶出させる又は投与することができる。更に、中空又は多孔性クリップを用いて、接着剤を組織構造の下に配置し、周囲の組織構造に関する刺激を和らげることができる。
図39A〜39Cは、眼の組織のステープラの実施形態800の概略図であり、ステープラは一般にクリップ支持体802及びアンビル804を有する。アンビル804は、クリップ808をクリップ設置軸に沿って遠位方向に駆動した場合にクリップ又はステープル808の貫通端部を受承して変形させるよう構成された、クリップソケット806を有する。アンビル804は、設置軸に沿って延在する伸長アンビル本体又はシャフトで形成され、アンビル本体804の遠位端812は、ステープル留めされる組織TS内へと貫通するよう、鋭角にする、及び/又はその他の様式で構成する。クリップ支持体802は、クリップドライバ815及びクリップガイド816を含み、ここでドライバ815は、アンビル本体804に対して軸方向に可動である本体814によって支持され、例示的なドライバ815は、アンビル本体804をその中に受承する内腔を有するシャフト818上に配置される。クリップガイド816は、クリップ808をアンビル804のソケット806に向けて配向し、またこのクリップガイド816は、(任意に、ドライバのシャフト818の内腔を通って延在するシャフト上にガイド816を設置することによって、)アンビル804に対して軸方向に可動である。ガイド816は、ドライバ815がクリップ808を変形させるにつれてドライバ815とアンビル804との間から側方に移動する、2つの協働部分で形成される。アンビル812の遠位部分を、伸長した鋭角の組織貫通構造として形成し、クリップ808の端部の組織貫通経路に向かって遠位部分812を側方に配向すると、アンビル804の遠位部分に沿って延在する挿入軸に沿って、遠位端812をまず前進させて、クリップ808の配置のために遠位部分812が挿入位置から標的位置に向かって側方に延在するようにアンビル804を再配向することにより、アンビル804を組織TS(任意に、眼の強膜等のような薄い眼の組織)内へ、及び/又は組織TSを通して挿入できる。アンビル804の伸長本体は、アンビル804の遠位部分812と近位部分810との間に屈曲を有してよく、近位部分810はクリップ808の設置軸に沿って延在し、ここでアンビル804の挿入運動は、湾曲した縫合針又は弓状体の挿入とある程度類似のものであってよい。組織TSを通してアンビル本体804を挿入すると、アンビル本体804を用いて組織TSを操作して、図示したように組織TSを別の組織と並置させることができる。アンビル804は、クリップ808の設置中に、下側にある組織を保護する。また、アンビル804を使用して、組織TSを引っ掛け、クリップ808の設置中に創傷の縁部の近接を制御できる。
図40A〜40Cは、図39A〜39Cの実施形態に関連する実施形態を示し、この実施形態においてクリップガイド816は、第2の組織E2を第1の組織E2に向かって移動させるのを助けるために、アンビル本体804に向かって側方に移動する。ここではクリップガイド816は、組織E2を別の組織E1と係合した状態に保持及び/又は再位置決めするための、突出部等の組織係合用特徴部分820を含む。ガイド816は、設置軸に沿って延在するシャフトによって支持され、標的クリップ設置位置に向かって(及び任意にはこれを越えて)遠位方向へと角度を付けられている。ドライバ815が遠位方向に移動するにつれてシャフトは屈曲し、シャフトの側方位置は任意には、アンビル本体804に対するドライバのシャフトの高さによって、変化可能に決定され、これによりガイド816の高さを用いて、ガイド816の側方到達範囲を設定でき、またクリップ設置システムの閉鎖ギャップ及び/又は側方ストロークを選択できる。第1の組織E1を通してアンビル804を位置決めし、ガイド816の特徴部分820が第2の組織E2に係合すると、ドライバ815の移動によってガイドシャフトを偏向させ、ガイド816をアンビル804に向かって側方に移動させることによって、組織E1、E2を1つに結合し、続いてクリップ808を組織E1、E2内へ、及び組織E1、E2を通るように駆動する。ハンドルを用いて外側シャフト818の高さを調整してよい。外側シャフト818の初期位置は、ガイド816の側方到達範囲を定めることができる。ガイド816の到達範囲は、組織の閉鎖ギャップを定めることができる。ガイドシャフトは焼戻し処置を施したばねであってよい。このガイドは、ドライバ815がアンビル804に対してクリップ808を押圧してクリップ808を完全に形成できるよう、開いていてよい。
図41A(i)〜41D(ii)に示す外科的締結器具設置の実施形態900は、ハンドル902、締結器具支持体904、針状アンビル906を備える。締結器具908は、締結器具支持体904の凹状窪み内及び針状アンビル906の窪み内に固定される。針状アンビル906は締結器具支持体904にヒンジ留めされ、これによって2つの構成部品の反対方向の回転が容易になる。針状アンビル906の先端は、任意に組織縁部を含む組織TSを容易に貫通できるように鋭角になっている。設置デバイス900の構成部品は、ステンレス鋼、チタン、ポリカーボネート、ポリスルホン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)等のポリマーを含むがこれらに限定されない様々な生体適合性材料から構成できる。設置デバイス900は、第1の脚部、第2の脚部及びこれら脚部を互いに対して支持する基部部分を備える、締結器具908と適合する。図41の例示的実施形態900は、直径0.004インチのワイヤから構成される締結器具908を示す。しかしながら設置デバイス900は、様々な直径の締結器具材料を包含してよく、この直径は0.002〜0.006インチであってよい。適合性の締結器具材料は様々な成形性材料を含んでよく、好ましい材料はステンレス鋼、チタン、タンタル及びこれらの合金を含む。締結器具脚部の先端のうちの一方又は両方は、組織内へと容易に入り込むことができるよう、鋭角になっていてよい。
図41A(i)〜41D(ii)は、2つの隣接する組織縁部E1、E2を閉鎖する例示的実施形態900を示す。図41A(ii)では、針状アンビル906は第1の組織縁部E1、続いて第2の組織縁部E2を通って側方に挿入される。締結器具908の第1の脚部は、針状アンビル906の窪み内にあってよく、第1の脚部は任意に、第1の組織縁部E1に同時に挿入できる。図41B(ii)は、締結器具支持体904と針状アンビル906の反対方向の回転によって締結器具908の第1の脚部が屈曲し、締結器具908の第2の脚部が移動して、第2の組織縁部E2及び針状アンビル906の窪みと接触する。締結器具支持体904と針状アンビル906の反対方向の更なる回転は、締結器具908の第1及び第2の脚部両方を屈曲させて、図41C(ii)に示すように第1の組織縁部E1及び第2の組織縁部E2を完全に閉鎖するよう作用する。設置デバイス900を除去するために、締結器具支持体904と針状アンビル906の反対方向の回転を反転し、針状アンビル906と締結器具支持体904構造との間の距離を開く。このようにすると、針状アンビル906を組織TSから引き抜くことができ、締結器具908は組織縁部E1、E2を固定したままとなる。
創傷の隣接する縁部E1、E2を固定する実施形態900を、図41A(i)〜41D(ii)に示す。しかしながら、同様の実施形態900は組織の層を、一方の層が他方の上にある状態で効果的に固定できる。
図42(i)〜42(iii)に示す外科的締結器具設置デバイス1000は、ドライバ結合器具1004、ハンドル先端1006、双方向針状アンビルアセンブリ1008を有するハンドル1002を含む。図42(iv)〜42(vii)は、外科的締結器具設置デバイス1000の様々な断面図を示す。図42(viii)〜42(ix)に示すように、遠位双方向針状アンビルアセンブリ1008は、ドライバ1010、駆動用結合器具1012、支持体1014、補助結合器具1016、剪断結合器具1018、針状アンビル1020を備える。組織締結器具1022は、支持体1014の間のチャネル内及び針状アンビル1020の窪み内にある。ハンドル先端1006は支持体1014をハンドル1002に固定する役割を果たし、これら支持体1014は、遠位双方向針状アンビルアセンブリ1008の一部である。ハンドル1002は、外科医による握り動作を、ドライバ1010の直線並進運動に変換するアクチュエータを含み、上記直線並進運動は、遠位アセンブリ1008の結合器具に作用して、双方向針状アンビル1020を回転させ、組織締結器具1022を形成する。
設置デバイス1000の構成部品は、ステンレス鋼、チタン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ABSを含むがこれらに限定されない様々な生体適合性材料から構成できる。図示した実施形態では、遠位双方向針状アンビルアセンブリの構成部品は、所望の幾何学的形状にレーザカットされ折り畳まれた0.002インチシート素材から作製される。ピン及びリベットを用いて、遠位アセンブリの構成部品を接続する。大量生産するために、順送り金型ツールによって遠位アセンブリの構成部品のうちの一部又は全てを製造及び組み立ててよい。本実施形態のハンドル1002及び先端1006といった構成部品は、機械加工、打抜き加工又は射出成形してよい。針状アンビル1022の先端は、組織縁部を容易に貫通できるように鋭角になっている。設置デバイスは、第1の脚部、第2の脚部及びこれら脚部を互いに対して支持する基部部分を備える、締結器具と適合する。図42(i)〜42(ix)の例示的実施形態は、直径0.003インチのワイヤから構成された締結器具1022を示す。しかしながら設置デバイスは、様々な直径の締結器具材料を適切に包含してよく、この直径は0.002〜0.006インチであってよい。適合性の締結器具材料はいずれの成形性材料であってよく、好ましい材料はステンレス鋼、チタン、タンタル及びこれらの合金を含む。締結器具脚部の先端のうちの一方又は両方は、組織内へと容易に入り込むことができるよう、鋭角になっていてよい。
多くの組織固定への応用及び縫合針の使用における安全性のために、貫通の深さを制御することが有益となり得る。例えばトラベクレクトミーは、緑内障の外科的治療法であり、外科医は組織の2つの層(結膜及び結膜の下の強膜)を切開して前眼房にアクセスし、前眼房内の圧力を緩和する。この処置における過剰な貫通は、前眼房の房水の望ましくない漏れ経路を形成してしまう場合がある。房水の制御できない損失は、眼圧が劇的に低下する、低眼圧と呼ばれる重篤な状態に繋がり得る。
図42(viii)〜42(ix)に示す実施形態の、安全性のための1つの特徴部分は、各針状アンビル1020に組込まれた葉状部1024であり、この葉状部1024は組織係合表面を提供する。図42A〜42Eに連続的に示すように、葉状部1024は、針状アンビル1020及び締結器具1022の貫通深さの制御を助ける。葉状部1024の幾何学的形状は、針状アンビルの先端の関節運動経路と一体となって作用するよう構成される。針状アンビル1020が関節運動するにつれて葉状部1024は回転し、針状アンビル1020及び外科的締結器具1024が、1つ又は複数の組織層内の、主として側方の弧に沿うため、所望の組織貫通深さが維持される。更に、針状アンビル1020が組織内の側方経路を通って移動するため、葉状部1024の回転によって、締結器具1022の基部が組織表面に対して直接位置決めされる。
図42A(i)〜42A(iii)は、接合される第1の組織層TL1及び第2の組織層TL2を通る針状アンビル1020の初期貫通を示す。図42B(i)〜42B(iii)では、ハンドル1002を握るにつれて、ドライバ1010は遠位方向へと並進運動して駆動結合器具1012及び補助結合器具1016に作用し、これらは共に、針状アンビル1020を回転させて側方に並進運動させる。ハンドル1002を更に握ることによって、針状アンビル1020の関節運動が完了し、図42C(i)〜42C(iii)に示すような所望の設置構成へと締結器具1022を完全に形成する。この時点で、外科医はハンドル1002への圧力を解放でき、ハンドル1002の各側にある板ばねが遠位双方向針状アンビル1008を開位置へと戻し、その一方で締結器具1022は所定の位置に残って組織層TL1、TL2又はその縁部を接合し、設置デバイス1000は引き抜いてよい状態となる。
組織への応用によっては、締結器具1022を完全に形成してしまうと針状アンビル1020を締結器具1022から引き抜くのが困難となる場合がある。この問題に対処するために、図示した実施形態1000には、追加の特徴部分として(各針状アンビル1020に対して1つずつの)剪断結合器具1018が組み込まれる。このような実施形態では、剪断結合器具1018は所望の力で支持体1014から分離するように設計される。図示した実施形態に関して、上記設計は、支持体ピンの孔を、変形によって支持体ピンから剥がれることができるようにすることによって達成される。図42D(i)〜42D(iii)では、ドライバ1010はその移動範囲の終端まで前進しており、剪断結合器具1018は支持ピンから切断されている。その結果、図42E(i)〜42E(iii)に示すように設置デバイス1000が組織表面TSから引き抜かれるため、針状アンビル1020は締結器具1022を自由に回転させることができる。
図42(i)〜42E(iii)の実施形態1000は、組織面TL1、TL2を、一方の上に他方が来るように接合するものとして示されているが、同様の実施形態を、組織縁部を接合するために効果的に使用することもできる。
トラベクレクトミーは、前眼房内の圧力を低減することによって緑内障を治療するための外科的処置である。現在、トラベクレクトミーは、まず角膜と強膜が合わさる部位である角膜輪部に沿って結膜を切開することによって実施される。結膜を脇に押しのけた状態で実施される次のステップは、強膜組織の厚さの一部分にあたる組織弁を切開して前眼房の隅角にアクセスすることである。この時点で、強膜の組織弁の下側に小さな穿孔が形成され、これによって前眼房から房水をドレナージして圧力を緩和できる。場合によっては、穿孔内にシャントを設置して、より持続的なドレナージを提供する。殆どの場合、強膜の組織弁は穿孔を覆うように再び閉鎖され、縫合によって組織弁を固定する。最後に結膜を強膜の組織弁を覆うように引き戻し、再び縫合によって角膜輪部における創傷を閉鎖する。
図43は、結膜1104と、強膜の組織弁1106の縁部とを両方とも同時に固定するために締結器具1102を利用する、トラベクレクトミーのための改良された方法を示す。この改良された処置では、強膜の組織弁1106及び結膜1104を別個に縫合する必要はない。寧ろ、強膜の組織弁1106は未縫合状態のまま残される。結膜1104は、角膜輪部1108における所望の位置に戻る。任意に、結膜1104に2つの締結器具1102を適用する。即ち組織弁1106の各側に1つずつの締結器具1102を適用する。締結器具1102は、角膜輪部1108において、及び強膜の縁部全体にわたって直接、結膜層1104を強膜組織に付着させる。この場合、締結器具1102は第1の組織層(結膜)1104を通過して、これを隣接する下側の強膜組織に固定する。結膜組織1104が透明であり、下側にある強膜の組織弁1106を外科医が視認できるという事実によって、この改良された方法を容易に実施できる。この改良された方法の便益は二重のものであり得る。まず、外科的処置の時間が削減されることにより、合併症の蓋然性が低減され、また外科医による作業時間が削減されることにより、健康管理コストが低減される。そして、2つの組織層を1つに合わせるための締結器具1102による圧迫力が増大することによって、創傷治癒時間が加速され得る。
組織縁部の付着に使用するため、重なり合う組織層の付着に使用するため、及び/又は補綴構造物(レンズ又は弁等)を組織に付着させるために、図示した実施形態を選択するが、本明細書に開示した各実施形態は、これらの3つのタイプの処置のうちの1つ、いくつか、又はそれぞれにおいて使用できる。
以上の説明を通して、本発明の実施形態は任意に、創傷を受けた又は切開された眼の組織の縁部を、積層した1セットのジョー(一方は把持用、もう一方はクリップ留め用)を用いて同時に把持及びクリップ留めするための方法を含んでよい。いくつかの実施形態は:補綴物と眼の組織とを、積層した1セットのジョー(一方は把持用、もう一方はクリップ留め用)を用いて同時に把持及びクリップ留めするための方法;閉鎖若しくは固定される組織に対してほぼ垂直に位置決めされたクリップを用いて、クリップ鉗子を、眼の表面に対してほぼ接線となる角度に位置決めするための方法;並びに/又は閉鎖若しくは固定される組織に対して約45°に位置決めされたクリップを用いて、クリップ鉗子を、眼の表面に対してほぼ接線となる角度に位置決めするための方法を含んでよい。これらの実施形態のうちの幾つかは任意に展性材料を利用してよく、また任意に:タンタル、金、白金、チタン等の変形可能な生体適合性金属;生体吸収性材料製のクリップ;及び/又はクリップが接合される組織に対してクリップをカムフラージュするためのクリップの着色等を含む。着色されたクリップが含まれる場合、これは、基部材料の自然な着色又は表面材料の変更のいずれかによって、接合される組織に対するカムフラージュを提供できる。
いくつかの実施形態では、本発明は、眼の視軸と交差する透明角膜切開による、一時的な又は優れたアプローチのための方法を提供でき、ここで角膜通路のための切開は、自然治癒できるよう十分に小さいものであってよく、またこの方法は:周囲を取り囲むアンビル内のキャビティを通してクリップを押し出すためのドライバを使用して、通常時は開状態となっている展性クリップを設置するための装置;クリップをシャフトの外に押し出してクリップを閉状態に復帰させるためのドライバを使用して、通常時は閉状態となっている形状記憶合金製クリップを設置するための装置;クリップをそのガイド(このガイドはガイドの軸に対して約45°のクリップ設置角度を有する)から押し出すための外部ドライバを使用して、通常時は閉状態となっている形状記憶合金製クリップを設置するための装置を使用する。本明細書に記載した方法及びデバイスにおいて、中空若しくは多孔性クリップを、薬剤を溶出させる又は投与するために用いてよく、及び/又は接着剤を投与するために用いてもよい。
ここで説明した実施形態は例示的なものである。図面を参照してこれらの実施形態を説明したため、当業者には、説明した方法及び/又は特定の構造の様々な改変又は適合が明らかになり得る。
以上の明細書において、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明がこれに限定されないことは当業者にはわかるだろう。上述の発明の様々な特徴及び態様は、別個に又は組み合わせて用いることができる。更に、本発明は、本明細書の幅広い精神及び範囲から逸脱することなく、ここで説明したものを超えるあらゆる環境及び応用において利用できる。従って明細書及び図面は、限定を目的とするものではなく例示的なものと見なされるべきである。ここで使用した用語「備える(comprising)」「含む(including)」及び「有する(having)」は、非制限的な技術用語として理解されるべきものである。