JP6386272B2 - 二次電池セパレータ用スラリー、二次電池セパレータ、および二次電池 - Google Patents

二次電池セパレータ用スラリー、二次電池セパレータ、および二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、二次電池セパレータの製造等に使用される微粒子スラリ―、それから製造される二次電池セパレータ、及びそのセパレータを含む2次電池に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される金属イオン二次電池は、エネルギー密度が高いという特徴を有すことから、携帯電話、ノート型パーソナルコンピューター等の携帯型電気機器の電源として広く利用されている。
金属イオン二次電池は、通常、主として正極と負極の短絡防止を目的として、セパレータが含まれており、該セパレータとして、各種ポリオレフィン系多孔質膜が提案されている。
上記ポリオレフィン系多孔質膜は、二次電池温度が上昇した場合に多孔質膜の孔が閉塞することにより、電流を遮断し熱暴走を防止する、いわゆるシャットダウン機能を有するが、外熱等により上記ポリオレフィンの耐熱性の限界を超えて電池温度が上昇した場合、多孔質膜自体が溶融・変形してシャットダウン機能が失われ、内部短絡が起こり、発火等が起こることがあった。
そこで、従来より、ポリオレフィン系多孔質膜の表面に、アルミナや水酸化アルミ等の無機微粒子を含む耐熱性樹脂からなる耐熱性多孔質層を被覆することにより、シャットダウン機能に加え、耐熱性を向上させた二次電池用セパレータが提案されている(例えば、特許文献1、2)。
一方、特許文献3には、電気化学セルのセパレータであって、該セパレータは(a)無機酸化物と(b)有機ポリマーとを含む微細気孔層を含み、該無機酸化物は、有機置換基を含む、電気化学セルのセパレータが開示されている。上記有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンが例示されている。
国際公開第2008/062727号 国際公開第2008/156033号 国際公開第2007/095348号
上記のとおり、アルミナ若しくは水酸化アルミニウムを含む層が積層されたセパレータが提案されている。その場合、製造プロセスの簡便さから、多孔質層に、アルミナおよび/または水酸化アルミニウムの粒子と、バインダーと、溶剤とを含むスラリーを塗工する方法が通常用いられる。
ところが従来の方法では、上記スラリーの安定性が十分でなく、塗工膜の平滑性(均一性)が十分でないという問題があった。
よって、本発明は、電池性能(とりわけ容量維持率)への悪影響が少なく、均一なアルミナ若しくは水酸化アルミニウムを含む層が形成可能な、二次電池セパレータ用スラリーを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成する為に種々検討を行ない、本発明に想到した。
すなわち、本発明の二次電池セパレータ用スラリーは、無機微粒子、ビニルピロリドン系重合体、分散媒、バインダーを含み、該無機微粒子は、アルミナおよび/または水酸化アルミニウムであり、該ビニルピロリドン系重合体は、K値が10以上、95以下であり、該ビニルピロリドン系重合体は40℃1ヶ月保存した場合のK値の低下が2未満である、二次電池セパレータ用スラリーである。
本発明のセパレータ用スラリーは、アルミナおよび/または水酸化アルミニウム粒子の分散性が良好であり、均一なアルミナ若しくは水酸化アルミニウムを含む層を形成可能である。また、本発明のセパレータ用スラリーは、電池性能(とりわけ容量維持率)への悪影響が少ないことから、二次電池セパレータの製造に好ましく使用することができる。
また、本発明のセパレータ用スラリーは、アルミナおよび/または水酸化アルミニウム粒子の分散性が良好であることから、均一なアルミナおよび/または水酸化アルミニウム粒子層を形成することが可能である。よって、本発明のセパレータ用スラリーにより製造された二次電池セパレータは、品質のばらつきを低く抑えることが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
[ビニルピロリドン系重合体]
本発明の二次電池セパレータ用スラリーは、ビニルピロリドン系重合体を含む。上記ビニルピロリドン系重合体は、K値が10以上、95以下であり、40℃1ヶ月保存した場合のK値の低下が2未満であることを特徴としている。
本発明においてビニルピロリドン系重合体とは、N−ビニルピロリドンに由来する構造単位を有する重合体をいう。ここで、N−ビニルピロリドンに由来する構造単位とは、N−ビニルピロリドンがラジカル重合して形成される構造単位を言い、具体的にはN−ビニルピロリドンの重合性炭素炭素二重結合が炭素炭素単結合になった構造の構造単位であり、具体的には下記構造式(1)で表される構造単位である。なお、上記N−ビニルピロリドンに由来する構造単位は、通常はN−ビニルピロリドンを重合することにより形成することが簡便であるが、下記構造式(1)で表される構造を有する限り、他の方法で形成しても構わない。
Figure 0006386272
上記ビニルピロリドン系重合体は、N−ビニルピロリドンに由来する構造単位の他に、任意であるがその他の単量体に由来する構造単位を有していても構わない。ここで、その他の単量体に由来する構造単位とは、その他の単量体がラジカル重合して形成される構造単位をいう。上記その他の単量体としては、特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、およびこれらの塩等のカルボキシル基含有単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、およびこれらの塩等のスルホン酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル等の(メタ)アクリル酸エステル;エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;(メタ)アリルアルコール、イソプレノール、およびそれらのアルキレンオキシド付加物等の不飽和アルコール系単量体;N−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、およびこれらの4級アンモニウム塩等のアミノ基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカプロラクタム等のアミド基含有化合物;酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等;が例示される。上記ビニルピロリドン系重合体がその他の単量体に由来する構造単位を含む場合には、1種のみ含んでも、2種以上含んでも良い。
上記ビニルピロリドン系重合体は、全単量体に由来する構造単位(N−ビニルピロリドンに由来する構造単位と、その他の単量体に由来する構造単位)100モル%に対して、N−ビニルピロリドンに由来する構造単位を50モル%以上、100モル%以下含むことが好ましく、80モル%以上、100モル%以下含むことがより好ましく、90モル%以上、100モル%以下含むことがさらに好ましい。上記範囲であれば、アルミナや水酸化アルミニウムの分散性が向上する傾向にある。一方、その他の単量体に由来する構造単位の含有量は、0モル%以上、50モル%以下であることが好ましく、0モル%以上、20モル%以下であることがより好ましく、0モル%以上、10モル%以下であることがさらに好ましい。
上記ビニルピロリドン系重合体は、フィケンチャー法によるK値が10以上、95以下である。K値は、より好ましくは10以上、90以下、さらに好ましくは12以上、90以下、特に好ましくは13以上、90以下である。K値が上記範囲であると、アルミナや水酸化アルミニウムを分散させた分散液の粘度が低減し、安定する傾向にある。すなわち、本発明の二次電池セパレータ用スラリーにおいて、ビニルピロリドン系重合体は、主としてスラリーの良好な分散剤として機能していると考えられる。
フィケンチャー法によるK値は、以下の測定方法によって求めることができる。K値が20未満である場合には5%(g/100ml)溶液の粘度を測定し、K値が20以上の場合は1%(g/100ml)溶液の粘度を測定する。試料濃度は乾燥物換算する。K値が20以上の場合、試料は1.0gを精密に計りとり、100mlのメスフラスコに入れ、室温で蒸留水を加え、振とうしながら完全に溶かして蒸留水を加えて正確に100mlとする。この試料溶液を恒温槽(25±0.2℃)で30分放置後、ウベローデ型粘度計を用いて測定する。溶液が2つの印線の間を流れる時間を測定する。数回測定し、平均値をとる。相対粘度を測定するために、蒸留水についても同様に測定する。2つの得られた流動時間をハーゲンバッハ−キュッテ(Hagenbach−Couette)の補正に基づいて補正する。
Figure 0006386272
上記式中、Zは濃度Cの溶液の相対粘度(ηrel)、Cは濃度(%:g/100ml)である。
相対粘度ηrelは次式により得られる。
ηrel=(溶液の流動時間)÷(水の流動時間)。
上記ビニルピロリドン系重合体は、40℃で1ヶ月保存した場合のK値の低下が2未満であることを特徴としている。40℃で1ヶ月保存した場合のK値の低下が2未満であることにより、均一なアルミナ若しくは水酸化アルミニウムを含む層が形成可能となる理由については十分には明確になっていないが、スラリー粘度が安定する傾向にあること、重合体の分解物がスラリーの分散性へ与える影響を低減できること、等が影響していると推定される。
40℃1ヶ月保存した場合のK値の低下が2未満であるビニルピロリドン系重合体を製造する方法としては、後述のとおり、(i)連鎖移動剤を使用して製造する方法、(ii)第二級アミンおよび/または第三級アミンを添加して製造する方法、(iii)炭酸グアニジンとトリエタノールアミンを添加して製造する方法、(iv)酸化防止剤を添加する方法、(v)ビグアナイド類を添加する方法、(vi)還元剤を添加する方法、等が例示されるが、これらに限定されない。
上記ビニルピロリドン系重合体は、重合開始剤の存在下でN−ビニルピロリドンを必須とする単量体を重合する工程を必須として製造することが好ましい。上記単量体は、N−ビニルピロリドン以外にその他の単量体を含んでいても良いが、全単量体(N−ビニルピロリドンと他の単量体)に対するN−ビニルピロリドンの使用割合は、50モル%以上、100モル%以下とすることが好ましく、80モル%以上、100モル%以下とすることがより好ましく、90モル%以上、100モル%以下とすることがさらに好ましい。一方、その他の単量体の使用割合は、0モル%以上、50モル%以下であることが好ましく、0モル%以上、20モル%以下であることがより好ましく、0モル%以上、10モル%以下であることがさらに好ましい。
上記重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン二塩酸塩等のアゾ化合物、ターシャリーブチルヒドロペルオキシド等の有機化酸化物、過酸化水素、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、等を使用することができる。
上記重合開始剤の中でも、得られるビニルピロリドン系重合体のアルミナや水酸化アルミニウムの分散性が向上する傾向にあることから、水溶性アゾ化合物および/または水溶性有機過酸化物を使用することが好ましい。上記水溶性アゾ化合物としては、10時間半減温度が30℃以上90℃以下であるものが好ましく、上記水溶性有機化酸化物としては、アルキルヒドロペルオキシドが好ましい。
上記重合する工程における重合開始剤の使用量(複数種使用する場合はその総量)は、特に言及する場合を除き、全単量体1モルに対して、15g以下、より好ましくは0.1〜12gであることが好ましい。
上記重合する工程は、連鎖移動剤の存在下で行うことが好ましい。連鎖移動剤を使用することにより、上記ビニルピロリドン系重合体の分子量の調整が容易になる傾向にあり、また、K値の経時安定性が良好となる(例えば40℃1ヶ月保存した場合のK値の低下を低く抑えられる)傾向にある。連鎖移動剤としては、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン際、3−メルカプトプロピオン際、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ブチルチオグリコレート等の、メルカプタン類;亜リン酸、亜リン酸塩、及びそれらの水和物等;亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、及びそれらの塩(例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)等の、低級酸化物及びそれらの塩等が挙げられる。上記連鎖移動剤は、単独で使用されてもよいし、2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。連鎖移動剤の中でも、ビニルピロリドン系重合体の分散性が向上する傾向にあることから、また、K値の経時安定性が特に良好となる傾向にあることから、次亜リン酸(塩)、亜リン酸(塩)、メルカプタン類が特に好ましい。なお、次亜リン酸(塩)とは、次亜リン酸または次亜リン酸塩であり、その水和物も含む。次亜リン酸塩としては、次亜リン酸の金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等である。亜リン酸(塩)とは、亜リン酸または亜リン酸塩である。次亜リン酸(塩)や亜リン酸(塩)を使用する場合、その使用量(2種以上使用する場合には合計の使用量)は、全単量体1モルに対して、0.5g以上、5.0g以下とすることが好ましい。すなわち、ビニルピロリドン系重合体が、次亜リン酸(塩)基、亜リン酸(塩)基、メルカプタン類の残基、から選択される1種または2種以上の基を有する形態も、好ましい形態の一つである。これらの基としては、次亜リン酸基、次亜リン酸のアルカリ金属塩基、亜リン酸基、亜リン酸のアルカリ金属塩基、メルカプトプロピオン酸の残基(−SCHCHCOOH)、メルカプトプロピオン酸のアルカリ金属塩の残基、がより好ましい。
上記重合する工程は、重金属イオン(あるいは重金属塩)の存在下で行なわれても良い。本発明で重金属とは、比重が4g/cm以上の金属を意味する。上記還元性化合物として、モール塩(Fe(NH(SO・6HO)、硫酸第一鉄・7水和物、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸銅(I)、硫酸銅(II)、塩化銅(II)および/またはそれらの水和物等が好ましく例示される。上記重金属イオンを使用する場合、その使用量は、重合反応液に対して、0.1〜10質量ppmとすることが好ましい。
上記重合する工程においては、重合反応の促進やN−ビニルピロリドンの加水分解の防止等を目的として、アンモニアおよび/またはアミン化合物を用い得る。アンモニアおよび/またはアミン化合物は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記アンモニアおよび/またはアミン化合物は、重合反応において、助触媒として機能し得る。すなわち、アンモニアおよび/またはアミン化合物が反応系に含まれると、含まれない場合と比較して、重合反応の進行がより一層促進され得る。上記アンモニアおよび/またはアミン化合物は、重合反応の反応系において、塩基性pH調節剤としても機能し得る。
上記アンモニアおよびアミン化合物を使用する場合の使用量(2種以上使用する場合には合計の使用量)は、N−ビニルピロリドンに対して、0.02質量%以上であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。
上記アミン化合物としては、特に制限されないが、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンが例示され、炭素数が10以下のアミンが好ましい。比較的安価であることから、モノエタノールアミンやジエタノールアミン等がより好ましい。また、K値の経時安定性が良好となる(例えば40℃1ヶ月保存した場合のK値の低下を低く抑えられる)傾向にあることからは、第二級アミン、第三級アミンを使用することが好ましい。すなわち、ビニルピロリドン系重合体に対して第二級アミンおよび/または第三級アミンを0.02質量%以上、好ましくは0.05〜3質量ppm含む形態(複数含む場合はその合計)も、本発明の二次電池セパレータ用スラリーの好ましい形態の一つである。
なお、上記重金属塩として銅塩を用い、さらに上記アンモニアを用いる場合、銅のアンミン錯塩が形成し得る。銅のアンミン錯塩としては、例えば、ジアンミン銅塩([Cu(NHSO・HO、[Cu(NH]Clなど)、テトラアンミン銅塩([Cu(NH]SO・HO、[Cu(NH]Clなど)が挙げられる。
上記重合する工程は、無溶媒で行っても良いが、溶媒を使用しても良い。使用可能な溶媒としては、水、イソプロピルアルコール、2−ブタノール等のアルコール類;ジメチルホルムアルデヒド等のアミド類;ジオキサン等のエーテル類等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。溶媒は、水を含むことが好ましく、例えば溶媒の全量に対して、水を50質量%以上含むことがより好ましい。
重合温度は例えば70℃以上、110℃以下が好ましい。重合時の温度が上記範囲であれば、残存単量体成分が少なくなり、重合体の分散性が向上する傾向にある。なお、重合時の温度は、重合反応の進行中において、常に一定に保持する必要はなく、例えば、室温から重合を開始し、適当な昇温時間または昇温速度で設定温度まで昇温し、その後、設定温度を保持するようにしてもよいし、単量体成分や開始剤等の滴下方法に応じて、重合反応の進行中に経時的に重合温度を変動(昇温または降温)させてもよい。
重合時のpHとしては、不純物あるいは副生成物を抑制の観点から、4以上が好ましく、6以上が好ましく、11以下が好ましい。
本発明の製造方法は、上記重合する工程を必須とすることが好ましいが、必要に応じて、熟成工程、精製工程、脱塩工程、濃縮工程、希釈工程、乾燥工程等を含んでいても良い。
熟成工程は、残存単量体を低減する工程であり、例えば重合開始剤を添加したり、酸性物質を添加してN−ビニルピロリドンを分解したりしても良い。酸性物質としては、クエン酸、乳酸、マロン酸等が例示される。
酸性物質を添加した場合、炭酸グアニジンおよびトリエタノールアミンで中和処理しても良い。炭酸グアニジンおよびトリエタノールアミンでビニルピロリドン系重合体を処理することにより、K値の経時安定性が良好となる(例えば40℃1ヶ月保存した場合のK値の低下を低く抑えられる)傾向にある。炭酸グアニジンの添加量は使用したビニルピロリドン単量体に対して100〜5000質量ppmが好ましく、トリエタノールアミンの添加量は使用したビニルピロリドン単量体に対して100〜5000質量ppmが好ましい。すなわち、ビニルピロリドン系重合体に対して炭酸グアニジンを100〜5000質量ppm、トリエタノールアミンを100〜5000質量ppm含む形態も、本発明の二次電池セパレータ用スラリーの好ましい形態の一つである。
乾燥工程は、粉体化などを行なう工程であり、一般的方法で行えばよく、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥、流動床乾燥、ドラム乾燥、ベルト式乾燥などにより、粉末に移行させることができる。
ビニルピロリドン系重合体のK値の経時安定性(例えば40℃1ヶ月保存した場合のK値の安定性)を向上させること等を目的として、酸化防止剤の添加工程を含めても良い。酸化防止剤としては、サリチル酸ナトリウム、ヒドロキノン等のフェノール系酸化防止剤;ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール等の硫黄系酸化防止剤;トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト等のリン系酸化防止剤;エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、クエン酸イソプロピルなどのアルコール系酸化防止剤;メチル化ジフェニルアミン、ラウリル化ジフェニルアミン等のアミン系酸化防止剤;、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン等のヒンダードアミン系酸化防止剤;などが挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの酸化防止剤のうち、フェノール系酸化防止剤が好適であり、サリチル酸ナトリウムが特に好適である。酸化防止剤の使用量は、最終的に得られるビニルピロリドン系重合体に対して、好ましくは0.0001質量%以上、10質量%以下、より好ましくは0.001質量%以上、5質量%以下である。すなわち、ビニルピロリドン系重合体に対して酸化防止剤を0.0001質量%以上、10質量%以下含む形態も、本発明の二次電池セパレータ用スラリーの好ましい形態の一つである。
ビニルピロリドン系重合体のK値の経時安定性(例えば40℃1ヶ月保存した場合のK値の安定性)を向上させること等を目的として、ビグアナイド類の添加工程を含めても良い。ビグアナイド類としては、例えば、ビグアナイドまたはその塩;フェニルビグアナイドまたはその塩;ポリヘキサメチレンビグアニジンまたはその塩;クロルヘキシジン、またはクロルヘキシジングルコン酸塩等のクロルヘキシジン塩、等が挙げられる。これらの中でも、特にポリヘキサメチレンビグアニジンの塩酸塩が好ましい。
ビグアナイド類の使用量としては、最終的に得られるビニルピロリドン系重合体に対して、好ましくは1〜10000質量ppmであり、より好ましくは5〜4000質量ppmである。すなわち、ビニルピロリドン系重合体に対してビグアナイド類を1〜10000質量ppm含む形態も、本発明の二次電池セパレータ用スラリーの好ましい形態の一つである。
ビニルピロリドン系重合体のK値の経時安定性(例えば40℃1ヶ月保存した場合のK値の安定性)を向上させること等を目的として、還元剤を含有しても良い。
還元剤としては上記の連鎖移動剤として例示した化合物を使用することができる。上記還元剤は、単独で使用されてもよいし、2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。還元剤としては、次亜リン酸(塩)、亜リン酸(塩)、メルカプタン類が特に好ましく、次亜リン酸、次亜リン酸のアルカリ金属塩、亜リン酸、亜リン酸のアルカリ金属塩、メルカプトプロピオン酸、メルカプトプロピオン酸のアルカリ金属塩が特にさらに好ましい。
還元剤は、重合工程の後で添加しても良いが、この場合は主としてビニルピロリドン系重合体が酸化等の影響を受け難くする働きをしていると考えられる。
上記還元剤の添加量は、特に制限されないが、無機微粒子に対して、0.01〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは0.1〜8質量%である。0.01g未満であると、効果がほとんど認められず、逆に、10質量%を超えると、シャットダウン特性に影響が及ぶおそれがある。
[二次電池セパレータ用スラリー]
本発明の二次電池セパレータ用スラリーは、無機微粒子、ビニルピロリドン系重合体、分散媒を必須成分として含む。
アルミナの結晶構造としては、χ−アルミナ、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、κ−アルミナ、η−アルミナ、α−アルミナ、β−アルミナ、等を有するものが例示されるが、これらの水和物であっても良い。鉱物名としては、ギブサイト、(擬)ベーマイト、バイヤーライト、ダイアスポア等が挙げられるが、安定性の面からα−アルミナ若しくはその水和物((擬)ベーマイト)が好ましい。
水酸化アルミニウム等は、シラン系やチタネート系のカップリング剤や、ステアリン酸等で表面加工したものであっても良い。上記無機粒子の中でも、入手・価格・熱安定性の観点から、α―アルミナ若しくはその1水和物(ベーマイト)、が好ましい。二次電池の温度上昇時に吸熱反応を発現する観点からは、水酸化アルミニウムも好ましい。
また平均粒径は塗工・乾燥後の表面平滑性及び取扱性等の観点から、0.01〜15μmが好ましく、0.05〜10μmがより好ましく、0.1〜8μmがさらに好ましく、0.2〜5μmが特に好ましい。
上記分散媒としては、特に制限はないが、極性の分散媒であり、常温で液状であることが好ましく、塗工後簡単に除去できるものが好ましく、水、エタノールやイソプロピルアルコールのようなアルコール類、メチルエチルケトン等のケトン類等が例示される。分散媒は水を含むことが好ましく、水を分散媒に対して50質量%以上含むことがより好ましい。
塗層強度を向上する目的で、本発明の二次電池セパレータ用スラリーは、ラテックス系高分子を含んでいても良い(なお、該スラリーがラテックス系高分子を含む形態を、「本発明の二次電池セパレータ用塗工液」ともいう)。ラテックス系高分子としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体(以下、「SBR」ともいう)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アルリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル系共重合体等が例示される。
本発明の二次電池セパレータ用スラリーは、本発明の二次電池セパレータ用スラリー100質量%に対して、ビニルピロリドン系重合体を0.1質量%以上、10質量%以下含むことが好ましく、0.3質量%以上、8質量%以下含むことがより好ましく、0.6質量%以上、5質量%以下含むことがさらに好ましい。上記範囲で含むと、上記スラリーの分散性が向上する傾向にある。
本発明の二次電池セパレータ用スラリーは、本発明の二次電池セパレータ用スラリー100質量%に対して、分散媒を20質量%以上、90質量%以下含むことが好ましく、25質量%以上、85質量%以下含むことがより好ましく、30質量%以上、80質量%以下含むことがさらに好ましい。上記範囲で含むと、上記スラリーの流動性を好ましい範囲に設定することが可能となる傾向にある。
本発明の二次電池セパレータ用スラリーは、本発明の二次電池セパレータ用スラリー100質量%に対して、アルミナおよび/または水酸化アルミニウム(2種以上含む場合にはその合計)を10質量%以上、80質量%以下含むことが好ましく、15質量%以上、75質量%以下含むことがより好ましく、20質量%以上、70質量%以下含むことがさらに好ましい。上記範囲で含むと、得られる塗層の強度が向上する傾向にある。
本発明の二次電池セパレータ用スラリー(本発明の二次電池セパレータ用塗工液)は、本発明の二次電池セパレータ用スラリー100質量%に対して、ラテックス系高分子を0質量%以上、10質量%以下含むことが好ましく、0.5質量%以上、8質量%以下含むことがより好ましく、1質量%以上、5質量%以下含むことがさらに好ましい。上記範囲で含むと、得られる塗層の柔軟性、基材への密着性、強度等が向上する傾向にある。
本発明の二次電池セパレータ用スラリーは、後述するとおり、二次電池セパレータの製造に使用される。
[二次電池セパレータ]
本発明の二次電池セパレータは、多孔質膜と、該多孔質膜の片面若しくは両面に、アルミナおよび/または水酸化アルミニウムを含む層とを備えている。
上記多孔質膜の材料としては、ポリオレフィンを含むことが好ましい。多孔質膜は、ポリオレフィンを50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことがさらに好ましい。
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとプロピレンの共重合体、エチレン若しくはプロピレンと、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィンとの共重合体、オレフィン由来の構造単位を50質量%以上有するポリオレフィン系共重合体等が例示される。
その他の多孔質膜の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、アクリル樹脂等が例示される。
上記多孔質膜の膜厚は、0.5〜50μmであることが好ましい。
上記多孔質膜の通気度としては、単位厚みあたり、10〜500秒/100cm・μmであることが好ましい。通気度は、例えばJISP8177等により測定することができる。
多孔質膜の気孔率としては、15〜60%が好ましい。
また細孔径は水銀圧入法やSEM観察等により測定することが可能であるが、好ましくは0.01〜1μmのもので、好ましくは0.05〜0.8μm、より好ましくは0.1〜0.5μmである。
上記アルミナおよび/または水酸化アルミニウムを含む層(以下、「無機粒子層」ともいう)は、本発明の二次電池セパレータ用スラリーを用いて形成される(よって、該無機粒子層は、上記ビニルピロリドン系重合体を含む)。通常は、上記無機粒子層は多孔質膜に本発明の二次電池セパレータ用スラリーを塗工する工程を必須として、形成される。上記塗工する工程における塗工方法としては、公知の任意の方法を用いればよい。
本発明の二次電池セパレータは、上記塗工する工程の他に、乾燥工程、平滑化工程等を含んでいても良い。
アルミナおよび/または水酸化アルミニウムを含む層の塗工量(すなわち、本発明の二次電池セパレータ用スラリーの固形分の塗工量)としては、5〜30g/mであることが好ましい。
塗工後の塗膜厚としては、充放電容量が大幅に低下しない範囲であれば特に限定されないが、好ましくは0.1〜15μm、より好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは1〜8μmである。
[二次電池]
本発明の二次電池は、負極と、正極と、これら電極間に配置された本発明の二次電池セパレータと、電解液とを備える。外装は金属ケース等、特に限定されない。
負極は、負極活物質、バインダーおよび導電助剤から成形された層が集電体上に塗工されたもの好ましい。負極活物質としては、炭素材料、シリコン、スズ等が例示される。バインダーとしては、ポリビニルピロリドン系共重合体やカルボキシメチルセルロース等が例示される。導電助剤は黒鉛粉末、アセチレンブラック、ケッチェンブラック例示される。集電体には銅箔、ステンレススチール等が例示される。
正極は、正極活物質、バインダーおよび導電助剤から形成された層が集電体上に塗工されたものが一般的に用いられる。正極活物質としては、LiCoO、LiNiO、スピネルタイプのLiMn、オリビンタイプのLiFePO等及びこれらに異種元素を固溶化したものが挙げられ、これらは混合して用いてもよい。バインダーとしては、ポリビニルピロリドン系共重合体が例示される。導電助剤は黒鉛粉末、アセチレンブラック、ケッチェンブラック例示される。集電体にはアルミ箔、ステンレススチール等が例示される。
電解液は、リチウム塩を非水系溶媒に溶解させた非水系電解液を用いることが好ましい。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO等が好適に用いられる。非水系溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、ブチレンカーボネート(BC)、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン(GVL)、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、α−アンゲリカラクトン、α−メチレン−γ−ブチロラクトン、γ−ヘキサノラクトン、γ−ノナラクトン、γ−オクタノラクトン、γ−メチル−γ−デカノラクトン、ビニレンカーボネート(VC)、3−メチルビニレンカーボネート、3,4−ジメチルビニレンカーボネート、3−エチルビニレンカーボネート、3,4−ジエチルビニレンカーボネート、3−プロピルビニレンカーボネート、3,4−ジプロピルビニレンカーボネート、3−フェニルビニレンカーボネート、3,4−ジフェニルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、ジビニルエチレンカーボネート(DVEC)、フッ素化ビニレンカーボネート等が挙げられる。これらリチウム塩及び非水系溶媒は単独で用いても2種類以上混合して用いても構わない。リチウム塩の濃度は0.5〜2.0Mの範囲が好ましい。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<重合体水溶液、重合体組成物の固形分測定方法>
窒素雰囲気下、150℃に加熱したオーブンで重合体組成物2.0gを1時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、固形分(%)と、揮発成分(%)を算出した。
<N−ビニルピロリドン、2−ピロリドンの分析>
単量体の分析は、以下の条件で、液体クロマトグラフィーを用いて分析した。
装置:資生堂「NANOSPACESI−2」
カラム:資生堂「CAPCELLPAK C18 UG120」、20℃
溶離液:LC用メタノール(和光純薬工業株式会社製)/超純水=1/24(質量比)、
1−ヘプタンスルホン酸0.4質量%添加
流速:100μL/min。
<40℃1カ月保存した後のK値の評価方法>
重合体組成物を、K30を超えるものは20%、K30以下のものは50%の水溶液に調整し、ガラス性のスクリュウ菅(ポリピロピレンのキャップ付き)で40℃に設定された熱風循環式精密恒温槽で1ヶ月静置後、上記の方法に従ってK値を測定した。
<重合体製造例1>
N−ビニルピロリドン(以下、「NVP」と称する)400Kg、水1600Kgを容量約2.5mのジャケット付き釜に仕込んだ。窒素パージをしながら70℃に加熱し、NVPに対して0.10質量%(400g)のV−59(化合物名:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、和光純薬工業(株)製)(1回目)を10%イソプロピルアルコール溶液として添加し、重合を開始した。1時間後、反応液は反応熱により90℃となった。その後、重合終了まで反応液が90〜99℃となるようにジャケットに温水を流した。反応開始から2時間後、さらにNVPに対して0.1質量%(400g)のV−59(2回目)を10%イソプロピルアルコール溶液として添加し、重合率が99.8%であることを確認し、90%乳酸をNVPに対して2000質量ppm(800g)添加し、反応液のpHを4.2とし、2時間加熱保存した。その後、炭酸グアニジンを1500質量ppm(600g)と、トリエタノールアミンを3000質量ppm(1200g)添加して、重合体(1)を含む重合体組成物(1)を得た。重合体(1)のK値は92であり、重合体組成物(1)に含まれるNVPは3ppm、重合体組成物(1)の10%APHA(固形分濃度10%水溶液APHA)は10であった。
<重合体製造例2>
SUS304で構成されている反応容器と撹拌羽を用い、次の反応を行った。反応容器に水93.8kgと硫酸銅(II)0.0046gとを仕込み、これを60℃まで昇温した。次いで、60℃を維持しながら、NVP100kg、25%アンモニア水0.6kg、および35%過酸化水素水溶液3.4kgを、夫々別々に180分間かけて滴下した。滴下終了後、25%アンモニア水0.2kgを添加した。反応開始から4時間後、80℃に昇温し、35%過酸化水素水0.5kgを添加した。次いで、反応開始から5.5時間後、35%過酸化水素水0.5kgを添加し、更に80℃で1時間保持して、重合体(2)を含む固形分50%の重合体組成物(2)を得た。
重合体(1)のK値は29.5であり、重合体組成物(2)に含まれるNVPは10ppm未満であった。
<重合体製造例3>
マックスブレンド(住友重機械工業株式会社の登録商標)型の攪拌翼、ガラス製の蓋を備えたSUS304製反応容器に、イオン交換水374.5質量部、ジエタノールアミン0.5質量部、次亜リン酸ナトリウム(以下「SHP」と称する)25質量部を仕込み、90℃に昇温した。N−ビニルピロリドン(以下、「NVP」と称する)500質量部を180分かけて、2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン二塩酸塩(和光純薬工業株式会社製、以下「V−50」と称する)10質量部とイオン交換水90質量部からなる開始剤水溶液を210分かけて、反応容器に添加した。さらに「V−50」0.5質量部とイオン交換水4.5質量部からなるブースター水溶液を、それぞれ重合開始から210分後、240分後に一括で添加した。さらにpH調整剤として、10質量%マロン酸水溶液8.0質量部を、重合開始から210分後に添加することにより、重合体(3)を含む固形分53.6質量%の重合体組成物(3)を得た。重合体(3)のK値は13.3であり、重合体組成物(3)に含まれるNVPは2ppm、2−ピロリドンは2800ppmであった。また、重合体(3)を31PNMRにて分析することにより、次亜リン酸(塩)基を含むことを確認した。
<スラリー調整例1>
市販ベーマイト(BG‐613)40gに、重合体組成物(1)を固形分50.0質量%に純水で希釈した水溶液を0.8g、純水を40.4gを100mlスクリュー管にとり、TAITEC製レシプロシェーカーSHAKER SR‐1Nで1時間撹拌し、本発明の「二次電池セパレータ用スラリー」としてのスラリー(1)を得た。
スラリー(1)を10g、純水10gを20mlスクリュー管にとり、Yamato製touch mixer MT‐31で1分間撹拌し、JSR製SBR水分散体(TRD2101、固形分48.4質量%)1.0gを加え、MT‐31で1分間撹拌し、塗工液(1)を得た。
<スラリー調整例2>
市販ベーマイト(BG‐613)40gに、重合体組成物(2)を固形分50.0質量%に純水で希釈した水溶液を0.8g、純水を40.4gを100mlスクリュー管にとり、TAITEC製レシプロシェーカーSHAKER SR‐1Nで1時間撹拌し、本発明の「二次電池セパレータ用スラリー」としてのスラリー(2)を得た。
スラリー(2)を10g、純水10gを20mlスクリュー管にとり、Yamato製touch mixer MT‐31で1分間撹拌し、JSR製SBR水分散体(TRD2101、固形分48.4質量%)1.0gを加え、MT‐31で1分間撹拌し、塗工液(1)を得た。
<スラリー調整例3>
中国製ベーマイト(BG‐613)40gに、重合体組成物(3)を固形分50.0質量%に純水で希釈した水溶液を0.8g、純水を40.4gを100mlスクリュー管にとり、TAITEC製レシプロシェーカーSHAKER SR‐1Nで1時間撹拌し、本発明の「二次電池セパレータ用スラリー」としてのスラリー(2)を得た。
スラリー(2)を10g、純水10gを20mlスクリュー管にとり、Yamato製touch mixer MT‐31で1分間撹拌し、JSR製SBR水分散体(TRD2101、固形分48.4質量%)1.0gを加え、MT‐31で1分間撹拌し、塗工液(2)を得た。
<比較スラリー調整例1>
市販ベーマイト(BG‐613)40gに、K値30.5のポリビニルピロリドン(ISP社製、比較重合体(1))、を固形分50.0質量%に純水で希釈した水溶液を0.8g、純水を40.4gを100mlスクリュー管にとり、TAITEC製レシプロシェーカーSHAKER SR‐1Nで1時間撹拌し、比較の「二次電池セパレータ用スラリー」としての比較スラリー(1)を得た。
比較スラリー(1)を10g、純水10gを20mlスクリュー管にとり、Yamato製touch mixer MT‐31で1分間撹拌し、JSR製SBR水分散体(TRD2101、固形分48.4質量%)1.0gを加え、MT‐31で1分間撹拌し、比較塗工液(1)を得た。
<比較スラリー調整例2>
市販ベーマイト(BG‐613)40gに、K値89のポリビニルピロリドン(ISP社製、比較重合体(2))、を固形分50.0質量%に純水で希釈した水溶液を0.8g、純水を40.4gを100mlスクリュー管にとり、TAITEC製レシプロシェーカーSHAKER SR‐1Nで1時間撹拌し、比較の「二次電池セパレータ用スラリー」としての比較スラリー(2)を得た。
スラリー(2)を10g、純水10gを20mlスクリュー管にとり、Yamato製touch mixer MT‐31で1分間撹拌し、JSR製SBR水分散体(TRD2101、固形分48.4質量%)1.0gを加え、MT‐31で1分間撹拌し、比較塗工液(2)を得た。
<評価例>
(塗工性(塗膜状態)の評価)
シャットダウン機能を持つ細孔を有するポリエチレン(PE)シートに電流値4A、コンベア速度100rpmでコロナ放電処理し、4番手のバーコーターを用いて上記塗工液を塗工した。
なお、上記塗工液は、調整後、25℃で24時間静置後、塗工に使用した。その際に、塗工液の分散性、塗工性の評価も行なった。
塗工後、熱風乾燥機で80℃30分乾燥した後、デシケーター中で10分放冷し(それぞれ本発明の二次電池セパレータ(1)〜(3)、比較二次電池セパレータ(1)、(2))、塗膜の状態を目視で評価した。
塗工液の分散性の評価基準:
◎ :沈降や層分離が確認できない。
○ :わずかに層分離が認められるが、透明層/分散層が1%以下(体積比)である。
△ :一部層分離が認められ、透明層/分散層が1%を超えて、5%以下(体積比)である。
塗工液の塗工性の評価基準:
○:ハジキ無し
×:ハジキあり
塗膜状態の評価基準:
◎:均一
○:わずかにムラが認められる(ムラ部分の面積が1%以下)
△:一部にムラが認められる(ムラ部分の面積が1%を超えて、5%以下)。
(電解液調製)
電解質(1)としてヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF、キシダ化学株式会社製、LBGグレード)1.82g(12mmol)を10mLのメスフラスコに測り取り、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)(いずれも、キシダ化学株式会社製、LBGグレード)の体積比が3/7(EC/EMC)である混合溶媒でメスアップして電解液を調製し、これを電解液(1)とした。
(電池作成)
正極活物質層の面積が12cm(3×4cm)の市販の正極シート(活物質:コバルト酸リチウム(PIOTREK)、2.2mAh/cm)1枚と、負極活物質層の面積が13.44cm(3.2×4.2cm)の市販の負極シート(活物質:グラファイト (PIOTREK)、2.3mAh/cm2)1枚とを対向するように積層し、その間に先に調整した塗工液から塗膜形成したポリエチレン製セパレータを1枚挟んだ。
2枚のアルミニウムラミネートフィルムで正、負極のシートを挟み込み、アルミニウムラミネートフィルム内を電解液(1)で満たし、真空状態で密閉して、CR2032型コインセルを準備した。
(充放電特性評価)
初回充放電
充放電試験装置(ACD−01、アスカ電子株式会社製)を使用して、25℃で充放電速度0.2C(定電流モード)、3.0V〜4.2Vで1度充放電を行った後、ラミネートセルを開封してから、再度真空状態で密閉した。
その後、定電流(0.5、1.0、2.0、4.0C)・定電圧にて充電(CCCV充電)を開始し、引き続き定電流(0.2C)にて放電を行った。さらに定電流(0.5、1.0、2.0、4.0C)・定電圧にて充電(CCCV充電)を行った。この条件で0.2C〜4.0Cの範囲で負荷特性を評価した。
容量維持率=充電後の充放電容量/初期充放電容量×100
重合体(1)〜(3)、比較重合体(1)、(2)を40℃1カ月保存した後のK値(表中で「30日後のK値」と表記)、塗工液の25℃で24時間保管後の状態の観察結果、塗工状態の評価結果、電池特性(放電容量維持率)の評価結果を表1に示した。
Figure 0006386272

表3より、本発明の二次電池セパレータ用スラリーは、均一な無機微粒子層を形成可能であることが明らかとなった。また、上記二次電池セパレータ用スラリーより製造された電池は、良好な放電容量維持率を示すことから、電池性能の悪影響も少ないことが確認された。よって、本発明の二次電池セパレータ用スラリーは、二次電池セパレータの製造に好ましく使用可能なことが明らかとなった。

Claims (4)

  1. 無機微粒子、ビニルピロリドン系重合体、水を50質量%以上含む分散媒、バインダーを含み、
    該無機微粒子は、アルミナおよび/または水酸化アルミニウムであり、
    該ビニルピロリドン系重合体は、K値が10以上、95以下であり、
    該ビニルピロリドン系重合体は、そのK値が30超である場合は20g/100ml水溶液を、そのK値が30以下である場合は50g/100ml水溶液を、40℃1ヶ月保存した場合のK値の低下が2未満である、二次電池セパレータ用スラリー。
  2. 分散媒が、水、または、エタノールおよび/もしくはイソプロピルアルコールと水との混合溶媒である、請求項1に記載の二次電池セパレータ用スラリー。
  3. ポリオレフィン多孔質膜の少なくとも一方の表面に、請求項1または2に記載の二次電池セパレータ用スラリーから形成された層を有する、二次電池セパレータ。
  4. 請求項に記載の二次電池セパレータを含む、金属イオン二次電池。
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