JP6385623B2 - 3電力分配器及びマルチビーム形成回路 - Google Patents
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Description
高速通信衛星を利用する無線通信の需要増加に対処するには、アンテナから放射されるビームのカバレッジエリアを小さくして、効率よく狭い領域に電波を放射させる必要がある。また、サービスエリアの全体をカバーするには、多数のスポットビームを用意する必要がある。
マルチビームアンテナ方式は、マルチビームアンテナ装置によって複数のビームを形成する方式であり、マルチビームアンテナ装置は、複数の放射素子や反射鏡のほか、複数の放射素子に対して信号を出力するマルチビーム形成回路を備えている。
また、マルチビーム形成回路は、入力された信号の電力を2分配する2電力分配器、入力された信号の電力を3分配する3電力分配器及び移相器を備えている。
2電力分配器及び3電力分配器の実装数は、マルチビーム形成回路の出力信号数によって変わるが、例えば、1ビーム形成回路では2つずつ実装されることがある。
この3電力分配器では、1つの入力ポートと3つの出力ポートの設置位置が逆側になっている。
具体的には、X−Y平面上の原点が、例えば、3電力分配器の中心位置であるとすると、1つの入力ポートの設置位置がX−Y平面の(0,−Y)、3つの出力ポートの設置位置がそれぞれX−Y平面の(−X,Y)、(0,Y)、(X,Y)になっている。
また、この3電力分配器には、2つの終端器が接続される。
具体的には、ある3電力分配器の出力ポートから出力された分配後の信号を、他の3電力分配器の入力信号として与えるには、ある3電力分配器の出力ポートと他の3電力分配器の入力ポートとを信号線によって接続する必要があるが、例えば、ある3電力分配器の出力ポートにおけるY座標が−Yであるとすれば、他の3電力分配器の入力ポートにおけるY座標が+Yになるため、当該信号線の引き回し距離が長くなる。
また、従来の3電力分配器では、2つの終端器を接続する必要があるという課題があった。
また、この発明は、信号線の引き回し距離を短くすることができるマルチビーム形成回路を得ることを目的とする。
図1はこの発明の実施の形態1による3電力分配器を示す等価回路図である。
図2はこの発明の実施の形態1による3電力分配器を示す斜視図であり、図3はこの発明の実施の形態1による3電力分配器を示す上面図である。
図1、図2及び図3において、PORT(1)は第1のポート、PORT(2)は第2のポート、PORT(3)は第3のポート、PORT(4)は第4のポートである。
L字型導波路1aは伝搬する信号の基本波の周波数で4分の1波長の電気長λ/4を有する第1のL字型導波路である。
平板導波路1bは伝搬する信号の基本波の周波数で4分の1波長の電気長λ/4を有する第1の平板導波路である。
L字型導波路1cは伝搬する信号の基本波の周波数で4分の1波長の電気長λ/4を有する第2のL字型導波路である。
L字型導波路1dは伝搬する信号の基本波の周波数で4分の1波長の電気長λ/4を有する第3のL字型導波路である。
平板導波路1eは伝搬する信号の基本波の周波数で4分の1波長の電気長λ/4を有する第2の平板導波路である。
L字型導波路1fは伝搬する信号の基本波の周波数で4分の1波長の電気長λ/4を有する第4のL字型導波路である。
L字型導波路1aと平板導波路1bの間にはポート3が設けられている。
平板導波路1bとL字型導波路1cの間にはポート4が設けられている。
L字型導波路1cとL字型導波路1dの間にはポート5が設けられている。
出力用導波路7は導波路7aと導波路7bを備えている第1の出力用導波路である。
導波路7aは一端が矩形導波管1のポート3と接続され、導波路7bは一端が導波路7aの他端と接続され、他端がPORT(2)と接続されている。
出力用導波路7は、ポート3付近における一部の路幅が、ポート3からPORT(2)に向かってステップ状に広がっている。出力用導波路7の路幅は、図3では、出力用導波路7における左右方向の幅である。
導波路8aは一端が矩形導波管1のポート4と接続され、導波路8bは一端が導波路8aの他端と接続され、他端がPORT(3)と接続されている。
出力用導波路8は、ポート4付近における一部の路幅が、ポート4からPORT(3)に向かってステップ状に広がっている。出力用導波路8の路幅は、図3では、出力用導波路8における左右方向の幅である。
分岐導波路10は一端が導波路7aと導波路7bの間に接続され、他端が導波路8aと導波路8bの間に接続されている。
図2及び図3の例では、分岐導波路10の数が5つである例を示しているが、5つに限るものではなく、PORT(2)とPORT(3)に分配する信号の電力比に応じて増減されてもよい。
図4はPORT(1)から入力された信号の伝搬方向を示す説明図である。図中、矢印は信号の伝搬方向を示している。
PORT(1)から入力された信号の電力は、矩形導波管1のポート2で分配され、分配された一方の信号の電力は、L字型導波路1aの方向に伝搬され、他方の信号の電力は、L字型導波路1fの方向に伝搬される。
矩形導波管1のポート2で分配される信号の電力分配比は、各導波路のインピーダンス等によって決定される。
L字型導波路1aの方向に伝搬された信号の電力が、平板導波路1bの方向に伝搬されない理由は、下記の通りである。
L字型導波路1c、L字型導波路1d、平板導波路1e及びL字型導波路1fにおける電気長λ/4の合計λと、L字型導波路1a及び平板導波路1bにおける電気長λ/4の合計λ/2との差が、2分の1波長の長さλ/2である。
このため、矩形導波管1のポート4において、ポート2からL字型導波路1aの方向に伝搬される信号の位相と、ポート5からポート4の方向に伝搬される信号の位相とが逆相になり、双方の信号が互いに打ち消し合うためである。
分配された他方の信号の電力は、複数の分岐導波路10を介して、出力用導波路8の方向に伝搬される。出力用導波路8の方向に伝搬された信号の電力は、導波路8bの方向に伝搬されてPORT(3)に出力される。
矩形導波管1のポート2で分配され、L字型導波路1fの方向に伝搬された信号の電力は、出力用導波路9の方向に伝搬されてPORT(4)に出力される。
図5はこの実施の形態1における3電力分配器の反射結合度特性を示す説明図である。
図5Aは信号が入力されるPORT(1)での反射特性を示し、図5BはPORT(2)〜(4)から出力される信号の結合度を示している。S21はPORT(2)での結合度、S31はPORT(3)での結合度、S41はPORT(4)での結合度である。
図5A及び図5Bの横軸は、設計中心周波数f0で規格化された規格化周波数(f/f0)である。
信号が入力されるPORT(1)では、図5Aに示すように、約0.88〜1.09の範囲で反射が−25dB以下となっており、信号が出力されるPORT(2)〜(4)では、図5Bに示すように、結合度が同程度になっている。したがって、PORT(1)から入力された信号の電力は、概ね等分配されてPORT(2)〜(4)から出力されることが確認される。
しかし、この差が電気長λ/2のN(Nは奇数)倍であればよく、L字型導波路1a、平板導波路1b、L字型導波路1c、L字型導波路1d、平板導波路1e及びL字型導波路1fの電気長がλ/4に限るものではない。
このため、図6に示すように、平板導波路1eとL字型導波路1fの間にポート5が設けられ、出力用導波路9の一端がポート5に接続されているものであってもよい。
図6はこの発明の実施の形態1による他の3電力分配器を示す等価回路図である。
図7はこの発明の実施の形態1による他の3電力分配器を示す上面図である。
出力用導波路7は、ポート3付近における一部の路幅が、ポート3からPORT(2)に向かってテーパ状に広がっている。
また、出力用導波路8は、ポート4付近における一部の路幅が、ポート4からPORT(3)に向かってテーパ状に広がっている。
ポート3,4において、出力用導波路7,8を接続するための十分な長さを確保できる場合には、図8に示すように、出力用導波路7,8の一部の路幅がステップ状又はテーパ状に広がらず、一定であってもよい。
図8はこの発明の実施の形態1による他の3電力分配器を示す上面図である。
この場合、入力用導波路6は出力用導波路として扱われ、出力用導波路9は入力用導波路として扱われる。
上記実施の形態1では、出力用導波路8が、導波路8aと導波路8bを備えているものを示したが、この実施の形態2では、導波路8aの代わりに、電力を吸収する抵抗を用いる例を説明する。
図9はこの発明の実施の形態2による3電力分配器を示す等価回路図であり、図9において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
抵抗8cは一端が矩形導波管1のポート4と接続され、他端が導波路8bの一端と接続されており、電力を吸収する吸収体である。
この実施の形態2では、電力を吸収する抵抗8cを導波路8aの代わりに設けているので、製造誤差等の影響で、若干の電力が流れる場合でも、その電力が抵抗8cで吸収することができる。
その結果、上記実施の形態1よりも、結合度特性を高めることができる。
上記実施の形態1,2では、平板導波路1eにおける路幅が、L字型導波路1d,1fにおける路幅と同じである例を示したが、この実施の形態3では、平板導波路1eにおける路幅が、L字型導波路1d,1fにおける路幅と異なる例を説明する。
図10はこの発明の実施の形態3による3電力分配器を示す上面図であり、図10において、図3、図7及び図8と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
図10の例では、平板導波路1eにおける路幅が、L字型導波路1d,1fにおける路幅より太くなっている。平板導波路1e及びL字型導波路1d,1fにおける路幅は、矩形導波管1におけるPORT(1)とPORT(4)を結ぶ方向と直交する方向、即ち、図中、上下方向の幅である。
この実施の形態3の場合でも、上記実施の形態2と同様に、導波路8aの代わりに、抵抗8cを用いるようにしてもよい。
この実施の形態4では、上記実施の形態1〜3のうち、いずれかの3電力分配器を実装しているマルチビーム形成回路について説明する。
この実施の形態4では、入力された信号の電力を分配して、7つの出力端子から分配後の信号を出力するマルチビーム形成回路について説明する。
図12は上記実施の形態1〜3のうち、いずれかの3電力分配器と、非特許文献1に開示されている3電力分配器と、2つの2電力分配器とが実装されているマルチビーム形成回路を示す構成図である。
図13は非特許文献1に開示されている3電力分配器と2電力分配器が2つずつ実装されているマルチビーム形成回路を示す構成図である。
2電力分配器41,42は入力された信号の電力を2分配し、2つの分配後の信号を出力する。
この実施の形態4では、図中、2電力分配器41,42における1つの入力ポートは下側に設けられており、2電力分配器41,42における2つの出力ポートは上側に設けられている。
3電力分配器61,62は非特許文献1に開示されている3電力分配器であり、2つの終端器70が接続されている。
この実施の形態4では、図中、3電力分配器61,62における1つの入力ポートは下側に設けられており、3電力分配器61,62における3つの出力ポートは上側に設けられている。
移相器81〜87は信号の位相を変える装置である。
図11〜図13のマルチビーム形成回路は、複数の放射素子の並び方向と直交する方向である管軸方向の長さを短くするために、2つの2電力分配器41,42と、2つの3電力分配器を図中左右方向に配置されている。管軸方向は、図中、上下方向である。
図11〜図13のマルチビーム形成回路は、下記に示すように、入力端子30から入力された信号の電力を分配して、分配後の信号を出力端子31〜37に出力するものであり、動作自体は同じである。
3電力分配器61から2電力分配器41に出力された信号は、2電力分配器41により2分配され、分配された2つの信号は、移相器81,82にそれぞれ出力される。
3電力分配器61から3電力分配器62に出力された信号は、3電力分配器62により3分配され、分配された3つの信号は、移相器84,85,86にそれぞれ出力される。
移相器86を通過した信号は、2電力分配器42により2分配され、分配された2つの信号は、出力端子36、移相器87にそれぞれ出力される。
3電力分配器61から2電力分配器41に出力された信号は、2電力分配器41により2分配され、分配された2つの信号は、移相器81,82にそれぞれ出力される。
3電力分配器61から3電力分配器52に出力された信号は、3電力分配器52により3分配され、分配された3つの信号は、移相器84,85,86にそれぞれ出力される。
移相器86を通過した信号は、2電力分配器42により2分配され、分配された2つの信号は、出力端子36、移相器87にそれぞれ出力される。
3電力分配器51から2電力分配器41に出力された信号は、2電力分配器41により2分配され、分配された2つの信号は、移相器81,82にそれぞれ出力される。
3電力分配器51から3電力分配器52に出力された信号は、3電力分配器52により3分配され、分配された3つの信号は、移相器84,85,86にそれぞれ出力される。
移相器86を通過した信号は、2電力分配器42により2分配され、分配された2つの信号は、出力端子36、移相器87にそれぞれ出力される。
また、3電力分配器62の出力ポートが上側で、2電力分配器42の入力ポートが下側であるため、3電力分配器62と2電力分配器42の間を接続する信号線の引き回し距離が長くなっている。
また、3電力分配器52の出力ポートが右側で、2電力分配器42の入力ポートが下側であるため、図13における3電力分配器62と2電力分配器42の間を接続する信号線と比べて、3電力分配器52と2電力分配器42の間を接続する信号線の引き回し距離が短くなっている。
また、3電力分配器52の出力ポートが右側で、2電力分配器42の入力ポートが下側であるため、図13における3電力分配器62と2電力分配器42の間を接続する信号線と比べて、3電力分配器52と2電力分配器42の間を接続する信号線の引き回し距離が短くなっている。
Claims (8)
- 第1のL字型導波路、第1の平板導波路、第2のL字型導波路、第3のL字型導波路、第2の平板導波路及び第4のL字型導波路が環状に配置されている状態の管壁を有する矩形導波管と、
一端が前記第1のL字型導波路と前記第4のL字型導波路の間に接続され、他端が第1のポートと接続されている入力用導波路と、
一端が前記第1のL字型導波路と前記第1の平板導波路の間に接続され、他端が第2のポートと接続されている第1の出力用導波路と、
一端が前記第1の平板導波路と前記第2のL字型導波路の間に接続され、他端が第3のポートと接続されている第2の出力用導波路と、
一端が前記第2のL字型導波路と前記第3のL字型導波路の間、あるいは、前記第2の平板導波路と前記第4のL字型導波路の間に接続され、他端が第4のポートと接続されている第3の出力用導波路と、
一端が前記第1の出力用導波路と接続され、他端が前記第2の出力用導波路と接続されている複数の分岐導波路と
を備えた3電力分配器。 - 前記第2のL字型導波路、前記第3のL字型導波路、前記第2の平板導波路及び前記第4のL字型導波路における電気長の合計と、前記第1のL字型導波路及び前記第1の平板導波路における電気長の合計との差が、伝搬する信号の基本波の周波数で2分の1波長の長さのN(Nは奇数)倍であることを特徴とする請求項1記載の3電力分配器。
- 前記第3のL字型導波路、前記第2の平板導波路及び前記第4のL字型導波路における電気長の合計と、前記第1の平板導波路及び前記第2のL字型導波路における電気長の合計との差が、前記信号の基本波の周波数で4分の1波長の長さのM(Mは奇数)倍であることを特徴とする請求項2記載の3電力分配器。
- 前記第1の出力用導波路における一部の路幅が、一端から他端に向かってステップ状に広がっており、
前記第2の出力用導波路における一部の路幅が、一端から他端に向かってステップ状に広がっていることを特徴とする請求項1記載の3電力分配器。 - 前記第1の出力用導波路における一部の路幅が、一端から他端に向かってテーパ状に広がっており、
前記第2の出力用導波路における一部の路幅が、一端から他端に向かってテーパ状に広がっていることを特徴とする請求項1記載の3電力分配器。 - 前記第2の出力用導波路の一部に、電力を吸収する抵抗が設けられていることを特徴とする請求項1記載の3電力分配器。
- 前記第2の平板導波路における路幅が、前記第3のL字型導波路及び前記第4のL字型導波路における路幅と異なっていることを特徴とする請求項1記載の3電力分配器。
- 第1のL字型導波路、第1の平板導波路、第2のL字型導波路、第3のL字型導波路、第2の平板導波路及び第4のL字型導波路が環状に配置されている状態の管壁を有する矩形導波管と、
一端が前記第1のL字型導波路と前記第4のL字型導波路の間に接続され、他端が第1のポートと接続されている入力用導波路と、
一端が前記第1のL字型導波路と前記第1の平板導波路の間に接続され、他端が第2のポートと接続されている第1の出力用導波路と、
一端が前記第1の平板導波路と前記第2のL字型導波路の間に接続され、他端が第3のポートと接続されている第2の出力用導波路と、
一端が前記第2のL字型導波路と前記第3のL字型導波路の間、あるいは、前記第2の平板導波路と前記第4のL字型導波路の間に接続され、他端が第4のポートと接続されている第3の出力用導波路と、
一端が前記第1の出力用導波路と接続され、他端が前記第2の出力用導波路と接続されている複数の分岐導波路とを備えた3電力分配器を実装しているマルチビーム形成回路。
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