JP6372912B2 - リハビリテーション補助装置 - Google Patents

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本発明は、脳血管障害等で麻痺した手指に対するリハビリテーション補助装置に関する。
これまで脳血管障害による片麻痺は発症から6ヵ月以上経過した場合、回復の可能性が低いとされていた。しかしながら、最近の報告では発症からの時間にかかわらず回復する可能性が示唆されている。ここから麻痺の回復により生活の質の向上が期待される手指において病期に関わらずリハビリテーションが積極的に実施されるべきであり、臨床においても必要性がある。
現行の医療保険および介護保険、その他の福祉制度内では、とくに回復期リハビリテーションが終了し在宅に戻った後の病期(以下在宅療養期)では、患者は機能回復の可能性がある手指のリハビリテーションを実施する場を失い訓練ができない状況となる。また在宅療養期前であっても、現行の保険体制下では時間的および作業療法士等のセラピスト(以下セラピスト)の人的制限から麻痺した手指に対する十分な訓練が施行できているとはいえない。このため、以下のように、訓練を機械で行う技術が提案されている。
例えば、空気圧を用いて、掌部が開放された手袋式の形で、手指の背部に装着したベローズ(蛇腹)式の空気圧アクチュエータで手指をそれぞれ独立もしくは連動して動かすため、空気量の調整を行う自動制御装置で、動作順が定められたコンピュータソフトウェア、もしくは、健常肢の手に装着した関節動作を検出するセンサを内蔵する手袋状の入力装置と組み合わせて、動作させる装置が知られている(神奈川工科大 山本教授の研究、LLP Atom・パワーアシストハンド+同マスタースレーブ)。
また、空気圧を用いて、手袋式の形で、手指の背部に装着したMckibben型人工筋の空気圧アクチュエータで手指を連動してモノを掴むかたちに手を動かすために、空気量の流入出の調整を行うスイッチ等がついた制御装置で、スイッチを手袋の表面もしくは、健常肢の手に持ってスイッチのON/OFFで動作させる装置が知られている(岡山大学則次教授、ダイヤ工業、パワーアシストグローブ)。
また、促通反復療法によるリーチング訓練(日常生活で大切な手を前上方の目標に伸ばす訓練)を多数回かつ長時間行うことを可能とし、麻痺した上肢の回復を早めることが期待されると共に療法士の負担を減らすことができる、手首部をワイヤでつり下げ電動モータで腕の重量を免荷し、動作中に応じて振動刺激、電気刺激を提示する装置が知られている(鹿児島大学川平教授・安川電機・上肢リーチング訓練装置)。
また、モニタの画面にカメラで撮影している健常肢の手の反転した映像を提示し、センサで計測した健常肢の手の動きにより、麻痺肢の手指等をサーボモータで動かす装置が知られている(岩手大学三好准教授・ピーアンドエーテクノロジーズ+ホロニック・システムズ、ロボットリハビリ支援装置・Ouvert)。
また、空気圧シリンダで駆動したリンク機構により、手指を屈曲、伸展運動させ、三次元形状計測装置で計測、3D CGモデル化し反転した手の動作映像と空気圧シリンダで指の伸展屈曲動作を提示する装置が知られている(元東京電機大学斎藤之男教授)。
また、小型軽量の低周波治療器の電気刺激機能を利用し、治療対象部位の筋活動電位を計測し、その振幅に比例した刺激電気信号をリアルタイムで治療対象部位の筋に加えることで発揮する把持力を増強する随意運動介助型電気刺激装置が知られている(フランスベッド、NESS H200;オージー技研、IVES)。
また、手指に麻痺を伴う者が自力で手指リハビリテーションを行える伸展運動支援装置が知られている(特許文献1参照)。この伸展運動支援装置では、屈曲状態の手指の指先部分にホルダーを装着し、ホルダーから手首方向にアクチュエータで牽引する。
また、手指や指の関節に負担をかけることなく、指や指の関節の運動を行うことができるスプリント装具が知られている(特許文献2参照)。このスプリント装具では、アウトトリガーにカーテンランナーを取り付け、これを介して指を牽引する。
また、手袋装着型の指駆動システムが知られている(特許文献3参照)。この指駆動システムでは、遠位指節間関節及び近位指節間関節に配置されたガイドレールをスライド移動させて、各関節の屈曲動作を補助する。
特開2012−249674号公報 特開2001−87296号公報 特開2007−313093号公報
しかしながら、従来技術には、次のような問題がある。
まず、1)装着の簡易性、2)5指の屈曲伸展時に各指、各指節に関節角度に応じた力を加えられない、3)骨や柔軟組織に過剰な力が加えられる、という問題がある。1)の問題が生じるのは、手袋式の構造としているためである。手指の廃用性筋委縮が進んだ場合、指を伸展して関節が柔らかくなってからでないと指間の隙間が確保できないため手袋の指部に指を挿入できないなどの問題が生じる。2)、3)の問題が生じるのは、各個人の手指の寸法が異なり、関節間の長さが異なると、関節をまたぐように設けられたアクチュエータの取り付け位置の調整が必要となるためである。
また、指の最終可動域までの屈曲、伸展ができない、という問題がある。これは機能設計時に、対象物を掴むことに焦点が当てられており、指関節の可動域を完全に動かし得る構造を採択していないためである。なかでも、空気圧アクチュエータ(チューブ)を用いた場合、複数のバルブを設け、関節毎に設けたチューブ等が最終可動域に達するまで空気量を調整し、かつ関節駆動トルクを発生させられないと最終可動域での指関節の屈曲伸展は可能でないためである。また、モータを使用する場合、最終可動域で姿勢を維持したまま他関節を動かす場合、ブレーキを備えることなしには、関節の姿勢維持や駆動が可能でないためである。さらに、指の屈曲伸展を手の5指に対し実行する場合、指の背側に設けた構造が指間で干渉しないような設計が必要であるため、構造に制約が生じるためである。
また、装着時の体幹ならびに上肢の姿勢の制約により装着、使用できない、という問題がある。この問題が生じるのは、構造の原理上、机上で対象物を扱うような構成である場合や、上肢の重量を吊り下げ機構で免荷する場合、身体の姿勢と重力方向が構造を機能させるために定まっているため、装置の装着、使用が不可能になるためである。
また、装着したまま移動できない、という問題がある。この問題が生じるのは、指を動かすアクチュエータが手の装具部に搭載されており、アクチュエータ単体の重さや寸法が大きいと、麻痺腕で支えられず、持ち運びが困難となるためである。また、この問題の原因となる、装置の大きさや重さは、医療福祉施設の居室(一般病室)や家庭での置き場所の問題を生じ、使用されない原因になる。
本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、他動的に手指の最終可動域まで屈曲−伸展の連続動作を提示できる手指装着式のリハビリテーション補助装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るリハビリテーション補助装置は、手指の末節に取り付けられる末節固定具と、前記手指の基節に取り付けられる基節固定具と、前記末節固定具及び前記基節固定具に連結されたワイヤケーブル群と、前記ワイヤケーブル群に含まれるワイヤケーブルを所定の順序で牽引する牽引部とを備え、前記牽引部は、前記手指の関節を屈曲させる場合、前記末節固定具の腹側から前記基節固定具の両側を通って手甲側に引き出されたワイヤケーブルを牽引した後、前記基節固定具の腹側から引き出されたワイヤケーブルを牽引し、前記手指の関節を伸展させる場合、前記基節固定具の背側から引き出されたワイヤケーブルを牽引する
本発明によれば、他動的に手指の最終可動域まで屈曲−伸展の連続動作を提示できる手指装着式のリハビリテーション補助装置を提供することが可能である。
本発明の実施の形態におけるリハビリテーション補助装置の模式的構成図である。 本発明の実施の形態におけるリハビリテーション補助装置の模式的構成図である。 本発明の実施の形態におけるリハビリテーション補助装置の模式的構成図である。 本発明の実施の形態におけるリハビリテーション補助装置の動作例を示すフローチャートである。 図4の他指屈曲伸展動作シーケンスを詳細に示すフローチャートである。 図4の他指屈曲伸展動作シーケンスを実施した際の他指の説明図である。 図4の拇指外転・屈曲伸展動作シーケンスを詳細に示すフローチャートである。 図4の拇指外転・屈曲伸展動作シーケンスを実施した際の拇指の説明図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
〔関節可動域訓練の再現〕
在宅療養期の患者と、在宅療養期前の病期にあっても手指のリハビリテーションが不十分な患者には、セラピストに頼らないリハビリテーションの方法も検討する必要がある。その方法の一つとして、手指の他動的な運動と促通が機器によって可能となれば非常に有益である。そこで、本発明の実施の形態におけるリハビリテーション補助装置では、セラピストの関節可動域訓練の再現に焦点を置き、中手指節(以下MP)関節、近位指節間(以下PIP)関節、遠位指節間(以下DIP)関節をほぼ最終可動域まで他動的に伸展、屈曲できるようにした。具体的には、ワイヤの牽引方法を適切に設定、調整することで、指節間(IP,DIP,PIP)関節を最終可動域まで屈曲させた後、中手指節骨間(MP)関節、拇指手根中手(CM)関節を屈曲できる構造とした。また、本補助装置を置いて広げられる面があれば一人でも片手で装着できる、もしくは、看護師や家族などの専門家でない人による簡単な補助で装着できる構造とした。
〔用語の定義〕
以下の説明では、5本の手指の拇指以外の指を「他指」とする。
また、関節が動きうる範囲(可動可能な角度)を「関節可動域」という。そして、関節構造によって既定される運動の量を「他動関節可動域」という。他動関節可動域を検査する際に動きを妨げるものとして検者が受ける感じを「最終域感」といい、最終域感を感じるまでの他動関節可動域を「最終可動域」と称す。
〔構成例〕
図1〜図3は、本発明の実施の形態におけるリハビリテーション補助装置の模式的構成図である。具体的には、図1は、左手指・前腕甲面モデル図であり、図2は、左手指・前腕側面モデル図であり、図3は、左手指・前腕掌面モデル図である。これらの図に示すように、本補助装置は、他指末節固定具1と、他指基節固定具2と、拇指末節固定具3と、拇指基節固定具4と、拇指丘固定具5と、掌固定具6と、甲固定具7と、前腕固定具8ととを備える。固定具1〜8に形成された孔20A,…,20Lや鞘30A,…,30Lにワイヤケーブル10A,…,10Nが通され、ワイヤケーブル10H,…,10Nの所定位置にリミッタ40H,…,40Nが取り付けられている。
本補助装置は、最大にして他指末節固定具1を4個と他指基節固定具2を4個、最小にして他指末節固定具1を1個と他指基節固定具2を1個、さらに拇指末節固定具3を1個、拇指基節固定具4を1個、拇指丘固定具5を1個、甲固定具7を1個、掌固定具6を1個、前腕固定具8を1個から構成し、これらに最大32本最小14本のワイヤケーブルが連結された構造である。さらに、ワイヤケーブルを牽引するための駆動部(例えばアクチュエータ)、そして駆動部を制御するコントローラから構成される。以下、駆動部やコントローラなど、ワイヤケーブルを牽引するための機構を一括して「牽引部」と呼ぶ場合がある。
この構造で、他指1指あたり6本のワイヤケーブル、拇指は8本のワイヤケーブルを用い、ケーブル終端取り付け位置、ケーブルの走行路を定める孔や鞘の位置を、指の骨の寸法や骨の体表面の特徴点をもとに定めている。そして、3本のケーブルの牽引と固定のタイミングの組み合わせを屈曲と伸展に応じ決まった順序で行うシーケンス制御方式とし、目的の最終可動域まで順序立てて屈曲、伸展を行える構造を実現している。
〔動作パターン〕
目的とする各関節の最終可動域までの屈曲伸展を行うにあたり、他指屈曲伸展と拇指屈挙伸展の動作パターン(順序)を次の通り定めている。
他指屈曲では、まず末節骨先端部に力を加えDIP関節とPIP関節を連動させ最終可動域まで屈曲させる。最終可動域での屈曲位で固定の後、基節骨背側部に力を加えMP関節を単独で最終可動域まで屈曲させる。他指伸展では、DIP関節とPIP関節が最終可動域の屈曲位で固定された状態を保持したままで末節骨先端部に力を加えながら、MP関節を最終可動域の伸展位に導く。その後DIP関節とPIP関節の固定を解き、2関節を連動しながら最終可動域の伸展位まで導く。動作終了後の状態では、力を除去し指が自然に形成する姿位を取らせる。
拇指屈曲では、まず第一中手骨頭もしくは骨体に内背側部から力を加えCM関節を最終可動域まで外転位に導き固定した後、末節骨先端部に力を加えてIP関節とMP関節を連動し最終可動域まで屈曲させて固定する。その後、MP関節背側部に力を加えCM関節を最終可動域まで屈曲させる。拇指伸展では、IP関節とMP関節が最終可動域の屈曲位で固定された状態を保持したままで末節骨先端部に力を加えながら、CM関節を伸展かつ内転させる。その後IP関節とMP関節の固定を解き、2関節を連動しながら最終可動域まで伸展させる。動作終了後の状態では、力を除去し指が自然に形成する姿位を取らせる。
〔動作例〕
図4は、本発明の実施の形態におけるリハビリテーション補助装置の動作例を示すフローチャートである。まず、対象指数や時間等の情報が設定されると(S1)、この設定情報はコントローラに保持される。この状態で開始スイッチが押されると(S2:YES)、コントローラは、ステップS1において設定された対象指数だけ他指屈曲伸展動作シーケンスを実施するとともに(S3→S4)、拇指外転・屈曲伸展動作シーケンスを実施する(S5)。他指屈曲伸展動作シーケンスと拇指外転・屈曲伸展動作シーケンスは、ステップS1において設定された時間だけ繰り返される(S6:NO→S3→S4→・・・)。
図5は、図4の他指屈曲伸展動作シーケンス(S3)を詳細に示すフローチャートである。また、図6は、図4の他指屈曲伸展動作シーケンス(S3)を実施した際の他指の状態を説明するための図である。
まず、他指DIP関節、PIP関節を屈曲させる(図5、S11)。具体的には、他指末節固定具1の先端部をワイヤケーブル10Aで牽引し、指末節腹側面と指基節腹側面が接近する方向に力を発生させている。このワイヤケーブル10Aを甲固定具7上でアクチュエータに結合されたワイヤケーブル10Hと連結し、ワイヤケーブル10Hに加わる牽引力を伝達することで他指DIP関節、PIP関節を屈曲させる(図6(a)(b)参照)。
次に、他指DIP関節、PIP関節を最終可動域屈曲位で固定する(図5、S12)。具体的には、ワイヤケーブル10Aと連結されるワイヤケーブル10Hの軸方向の移動を拘束、固定することで関節の伸展動作が拘束される。
次に、他指MP関節を屈曲させる(図5、S13)。具体的には、他指基節固定具2をワイヤケーブル10Bで牽引し、指基節の背部から腹部への方向の力を加えMP関節軸まわりに屈曲力のモーメントを発生させ、指末節先端を中手骨掌側中央部へ接近させる。このワイヤケーブル10Bを掌固定具6上でアクチュエータに結合されたワイヤケーブル10Iと連結し、ワイヤケーブル10Iに加わる牽引力を伝達することで他指MP関節を屈曲させる(図6(c)参照)。
次に、所定の待ち時間だけ他指MP関節を最終可動域屈曲位で固定する(図5、S14→S15)。具体的には、ワイヤケーブル10Bと連結されるワイヤケーブル10Iの軸方向の移動を拘束、固定することで関節の伸展動作が拘束される。
次に、他指MP関節を伸展させる(図5、S16)。具体的には、ワイヤケーブル10Aは張力を一定以上に保ったまま、ワイヤケーブル10Bの牽引力をゼロにし、他指基節固定具2をワイヤケーブル10Cで牽引し、屈曲位でDIP関節PIP関節が固定された状態にある指に対し指末節先端に指末節先端から指基節背部方向の力を加えMP関節軸まわりに伸展力のモーメントを発生させ、指末節先端が中手骨体掌側から離れるように動かす。このワイヤケーブル10Cを甲固定具7上でアクチュエータに結合されたワイヤケーブル10Jと連結し、ワイヤケーブル10Jに加わる牽引力を伝達することで他指MP関節を伸展させる(図6(d)参照)。
最後に、他指DIP関節、PIP関節を伸展させる(図5、S17)具体的には、ワイヤケーブル10Aの張力をゼロにし、他指基節固定具2をワイヤケーブル10Cで牽引し、屈曲位でDIP関節PIP関節が自由な状態にある指に対し指末節先端に指末節先端から指基節背側基部方向の力を加えDIP関節PIP関節軸まわりに伸展力のモーメントを発生させ、指末節先端が指基節から離れるように動かす。ワイヤケーブル10Cを甲固定具7上でアクチュエータに結合されたワイヤケーブル10Jと連結し、ワイヤケーブル10Jに加わる牽引力を伝達することで他指DIP関節PIP関節を伸展させる(図6(e)参照)。
図7は、図4の拇指外転・屈曲伸展動作シーケンス(S5)を詳細に示すフローチャートである。また、図8は、図4の拇指外転・屈曲伸展動作シーケンス(S5)を実施した際の拇指の状態を説明するための図である。
まず、拇指CM関節を外転させる(図7、S21)。具体的には、拇指基節固定具4をワイヤケーブル10Gで牽引し、指基節外側面が前腕に接近する方向に力を発生させている。ワイヤケーブル10Gは、前腕固定具8の鞘30Lを通りアクチュエータに結合されたワイヤケーブル10Nと連結し、ワイヤケーブル10Nに加わる牽引力を伝達することで拇指CM関節を外転させる(図8(a)(b)参照)。
次に、拇指CM関節を最終可動域外転位で固定する(図7、S22)。具体的には、ワイヤケーブル10Gと連結されるワイヤケーブル10Nの軸方向の移動を拘束、固定することで関節の外転動作が拘束される。
次に、拇指IP関節、MP関節を屈曲させる(図7、S23)。具体的には、拇指末節固定具3の先端部をワイヤケーブル10Dで牽引し、拇指末節腹側面と拇指丘掌側面が接近する方向に力を発生させている。ワイヤケーブル10Dを甲固定具7上でアクチュエータに結合されたワイヤケーブル10Kと連結し、ワイヤケーブル10Kに加わる牽引力を伝達することで拇指IP関節、MP関節を屈曲させる(図8(c)参照)。
次に、拇指IP関節、MP関節を最終可動域屈曲位で固定する(図7、S24)。具体的には、ワイヤケーブル10Dと連結されるワイヤケーブル10Kの軸方向の移動を拘束、固定することで関節の屈曲動作が拘束される。
次に、拇指CM関節を屈曲させる(図7、S25)。具体的には、拇指基節固定具4をワイヤケーブル10Eで牽引し、指基節の背部から腹部への方向の力を加えCM関節軸まわりに屈曲力のモーメントを発生させ、指末節先端が第5中手骨骨頭に接近するよう掌中央部へ力を発生させる。ワイヤケーブル10Eを掌固定具6上でアクチュエータに結合されたワイヤケーブル10Lと連結し、ワイヤケーブル10Lに加わる張力を伝達することで拇指CM関節を屈曲させる(図8(d)参照)。
次に、所定の待ち時間だけ拇指CM関節を最終可動域屈曲位で固定する(図7、S26→S27)。具体的には、ワイヤケーブル10Eと連結されるワイヤケーブル10Lの軸方向の移動を拘束、固定することで関節の屈曲動作が拘束される。
次に、拇指CM関節を伸展・内転させる(図7、S28)。具体的には、ワイヤケーブル10Dは張力を一定以上に保ったまま、ワイヤケーブル10Eと10Gの牽引力をゼロにし、拇指末節固定具3をワイヤケーブル10Fで牽引し、屈曲位で拇指IP関節とCM関節が固定された状態にある指に対し指末節先端に指末節先端から指基節背部方向の力を加えCM関節軸まわりに拇指が第二中手骨(掌の拇指側側部)に沿うように伸展・内転力のモーメントを発生させ、指末節先端が第5中手骨頭から離れるように動かす。ワイヤケーブル10Fを甲固定具7上でアクチュエータに結合されたワイヤケーブル10Mと連結し、ワイヤケーブル10Mに加わる牽引力を伝達することで拇指CM関節を伸展・内転させる(図8(e)参照)。
最後に、拇指IP関節、MP関節を伸展させる(図7、S29)。具体的には、ワイヤケーブル10Dの牽引力をゼロにし、拇指末節固定具3をワイヤケーブル10Fで牽引し、屈曲位で拇指IP関節とMP関節が自由な状態にある指に対し指末節先端に指末節先端から指基節背側方向の力を加え拇指IP関節とMP関節軸まわりに伸展力のモーメントを発生させ、指末節先端が拇指丘から離れるように動かす。ワイヤケーブル10Fを甲固定具7上でアクチュエータに結合されたワイヤケーブル10Mと連結し、ワイヤケーブル10Mに加わる牽引力を伝達することで拇指IP関節とMP関節を伸展させる(図8(f)参照)。
〔固定具の取り付け〕
装置を指手腕に取り付け固定する位置の決定、ならびに装置を手に固定する為にベルト状のベルクロー(面テープ)やゴムを用いて、固定具の取り付け部位の周囲長の個人間差、および個人内差を調整する工夫がある。また、固定具の内側面の皮膚に接触する部位には軟性素材が設けられている。ベルト状ベルクロー等は交換可能な構造にて連結されており、使用時には固定具に拘束されており抜け落ちない構造となっている。
他指末節固定具1は、指先端中心に背側と腹側を覆うように“U”もしくは“く”の字状に形成されている。本固定具1をDIP関節より指先寄りの位置にベルト状ベルクロー等で取り付ける。
他指基節固定具2は、指腹部と両側面部を覆うようにU字状に形成されている。本固定具2をMP関節とPIP関節間でPIP関節寄りの位置にベルト状ベルクロー等で取り付ける。
拇指末節固定具3は、指先端中心に背側と腹側を覆うように“U”もしくは“く”の字状に形成されている。本固定具3をIP関節より指先寄りの位置にベルト状ベルクロー等で取り付ける。
拇指基節固定具4は、指腹部と両側面部を覆うようにU字状に形成されている。本固定具4をMP関節とIP関節間でIP関節寄りの位置にベルト状ベルクロー等で取り付ける。
拇指丘固定具5は、MP関節周囲と拇指外側面と拇指丘部を覆うように、三角形を一角と対角の辺を通る直線を軸にU字状に曲げた形状に形成されている。本固定具5をMP関節とCM関節間でMP関節寄りの位置にベルト状ベルクロー等で取り付ける。
掌固定具6は、手掌の拇指丘を除く部分を覆う形状に形成されている。本固定具6と甲固定具7とをMP関節の手関節寄りの位置と、拇指CM関節のMP関節寄りの位置とを通るベルト状ベルクロー等で手掌に取り付ける。
甲固定具7は、手甲の部分ならびに他指MP関節甲側と拇指CM関節甲側を覆う形状に形成されている。本固定具7と掌固定具6とをMP関節の手関節寄りの位置と、拇指CM関節のMP関節寄りの位置を通るベルト状ベルクロー等で手甲に取り付ける。
前腕固定具8は、撓骨茎状突起の頚部上の内側を覆う形状に形成されている。本固定具8を前腕の周径上を通るベルト状ベルクロー等で前腕に取り付ける。
〔構成要素の機能〕
固定具の形状、固定具の指手腕上の取り付け位置、ならびに固定具とワイヤケーブルの配置を定める鞘と孔が主たる機能として重要である。ワイヤケーブルの牽引力に影響のある、固定具間に設けられるワイヤケーブルのハウジングやハウジングの取り付け位置で定まるワイヤ走行路も重要である。
ワイヤケーブル10Aは、他指末節固定具1の鞘30B、他指基節固定具2の孔20Aと孔20B、甲固定具7の孔20Eと孔20F、を通り環状となっている。ワイヤケーブル10Aは甲固定具7上でワイヤケーブル10Hと連結される。ワイヤケーブル10Aの機能はワイヤケーブル10Hから加わる牽引力を他指末節固定具1に伝え、他指遠位指節間(DIP)関節と近位指節間(PIP)関節に屈曲動作を生じさせること、ならびに屈曲状態を維持することである。
ワイヤケーブル10Bは、他指基節固定具2の鞘30C、掌固定具6の鞘30Dと鞘30E、を通り環状となっている。ワイヤケーブル10Bは掌固定具6上でワイヤケーブル10Iと連結される。ワイヤケーブル10Bの機能はワイヤケーブル10Iから加わる牽引力を他指基節固定具2に伝え、他指中手指節間(MP)関節に屈曲動作を生じさせること、ならびに屈曲状態を維持することである。
ワイヤケーブル10Cは、他指末節固定具1の指腹部の鞘30A、甲固定具7の孔20Gと孔20H、を通り環状となっている。ワイヤケーブル10Cは甲固定具7上でワイヤケーブル10Jと連結される。ワイヤケーブル10Cの機能はワイヤケーブル10Jから加わる牽引力を他指末節固定具1に伝え、他指DIP関節、PIP関節、MP関節に伸展動作を生じさせること、ならびに伸展状態を維持することである。
ワイヤケーブル10Dは、拇指末節固定具3の指腹部の鞘30I、拇指丘固定具5の外側部の孔20Cと孔20D、甲固定具7の孔20Iと孔20J、を通り環をなす。ワイヤケーブル10Dは甲固定具7上でワイヤケーブル10Mと連結される。ワイヤケーブル10Dの機能はワイヤケーブル10Kから加わる牽引力を拇指末節固定具3に伝え、拇指IP関節、MP関節に屈曲動作を生じさせること、ならびに屈曲状態を維持することである。
ワイヤケーブル10Eは、拇指基節固定具4の指腹部の鞘30Jを通り環をなす。ワイヤケーブル10Eは掌固定具6上でワイヤケーブル10Lと連結される。ワイヤケーブル10Eの機能はワイヤケーブル10Lから加わる牽引力を拇指基節固定具4に伝え、拇指CM関節に屈曲動作を生じさせること、ならびに屈曲状態を維持することである。
ワイヤケーブル10Fは、拇指末節固定具3の指腹部の鞘30H、甲固定具7の孔20Kと孔20L、を通り環をなす。ワイヤケーブル10Fは甲固定具7上でワイヤケーブル10Mと連結される。ワイヤケーブル10Fの機能はワイヤケーブル10Mから加わる牽引力を拇指末節固定具3に伝え、拇指IP関節、MP関節、CM関節に伸展、内転の合成された動作を生じさせること、ならびに伸展内転状態を維持することである。
ワイヤケーブル10Gは、拇指基節固定具4の内側部の鞘30Kを通り環をなす。ワイヤケーブル10Gは拇指外側部でワイヤケーブル10Nと連結される。ワイヤケーブル10Gの機能はワイヤケーブル10Nから加わる牽引力を拇指基節固定具4に伝え、拇指CM関節に外転動作を生じさせること、ならびに拇指の他指に対する対向状態を維持することである。
ワイヤケーブル10Hは、リミッタ40Hを装備し、鞘30Hで甲固定具7に連結され、一端を甲固定具7上でワイヤケーブル10Aと、もう一端をアクチュエータが駆動する牽引・固定機構とに連結される。ワイヤケーブル10Hの機能はアクチュエータの牽引力をワイヤケーブル10Aに伝達することである。
ワイヤケーブル10Iは、リミッタ40Iを装備し、鞘30Fで掌固定具6に連結され、一端を掌固定具6上でワイヤケーブル10Bと、もう一端をアクチュエータが駆動する牽引・固定機構とに連結される。ワイヤケーブル10Iの機能はアクチュエータの牽引力をワイヤケーブル10Bに伝達することである。
ワイヤケーブル10Jは、リミッタ40Jを装備し、鞘30Iで甲固定具7に連結され、一端を甲固定具7上でワイヤケーブル10Cと、もう一端をアクチュエータが駆動する牽引・固定機構とに連結される。ワイヤケーブル10Jの機能はアクチュエータの牽引力をワイヤケーブル10Cに伝達することである。
ワイヤケーブル10Kは、リミッタ40Kを装備し、鞘30Jで甲固定具7に連結され、一端を甲固定具7上でワイヤケーブル10Dと、もう一端をアクチュエータが駆動する牽引・固定機構とに連結される。ワイヤケーブル10Kの機能はアクチュエータの牽引力をワイヤケーブル10Dに伝達することである。
ワイヤケーブル10Lは、リミッタ40Lを装備し、鞘30Gで掌固定具6に連結され、一端を掌固定具6上でワイヤケーブル10Eと、もう一端をアクチュエータが駆動する牽引・固定機構とに連結される。ワイヤケーブル10Lの機能はアクチュエータの牽引力をワイヤケーブル10Eに伝達することである。
ワイヤケーブル10Mは、リミッタ40Mを装備し、鞘30Kで甲固定具7に連結され、一端を甲固定具7上でワイヤケーブル10Fと、もう一端をアクチュエータが駆動する牽引・固定機構とに連結される。ワイヤケーブル10Mの機能はアクチュエータの牽引力をワイヤケーブル10Fに伝達することである。
ワイヤケーブル10Nは、リミッタ40Nを装備し、鞘30Lで前腕固定具8に連結され、一端を前腕固定具8上でワイヤケーブル10Gと、もう一端をアクチュエータが駆動する牽引・固定機構とに連結される。ワイヤケーブル10Nの機能はアクチュエータの牽引力をワイヤケーブル10Gに伝達することである。
他指末節固定具1は他指末節に装着され、鞘30Aでワイヤケーブル10Cと鞘30Bでワイヤケーブル10Aと連結される。他指末節固定具1の機能はワイヤケーブル10Aによる指末節腹部を中手骨頭方向に牽引する力を指末節に伝達すること、ならびにワイヤケーブル10Cによる指先端を牽引し指関節を伸展させる力のモーメントが生じる力を指末節に伝達すること、である。
他指基節固定具2は他指基節に装着され、孔20Aと孔20Bでワイヤケーブル10Aと、鞘30Cでワイヤケーブル10Bと連結される。他指基節固定具2の機能はワイヤケーブル10Aで牽引される力の方向を中手骨頭方向にするためワイヤケーブル10Aが指腹部から指背部方向に移動するように誘導すること、ならびにワイヤケーブル10Bによる指基節腹部を手関節方向に牽引しMP関節を屈曲させる力のモーメントが生じる力を指基節に伝達すること、である。
拇指末節固定具3は拇指末節に装着され、鞘30Hでワイヤケーブル10Fと鞘30Iでワイヤケーブル10Dと連結される。拇指末節固定具3の機能はワイヤケーブル10Dによる指末節腹部を中手骨頭方向に牽引する力を指末節に伝達すること、ならびにワイヤケーブル10Fによる指先端を牽引し指関節を伸展と内転する力のモーメントが生じる力を指末節に伝達すること、である。
拇指基節固定具4は拇指基節に装着され、鞘30Jでワイヤケーブル10Eと鞘30Kでワイヤケーブル10Gと連結される。拇指基節固定具4の機能はワイヤケーブル10Eによる指基節腹部を掌の中心方向に牽引し拇指CM関節を屈曲させる力のモーメントが生じる力を指基節に伝達すること、ならびにワイヤケーブル10Gによる指基節外側部を手関節方向に牽引し拇指CM関節を外転させる力のモーメントが生じる力を指基節に伝達すること、である。
拇指丘固定具5は拇指丘に装着され、孔20Cと孔20Dでワイヤケーブル10Dと連結される。拇指丘固定具5の機能はワイヤケーブル10Dで牽引する力の方向を第一中手骨頭方向にするためワイヤケーブル10Dが指腹部から指背部方向に移動するように誘導することである。
掌固定具6は第二から第五中手骨前(すなわち掌)側に装着され、鞘30Dと鞘30Eでワイヤケーブル10Bと、鞘30Fでワイヤケーブル10Iと、鞘30Gでワイヤケーブル10Lと連結される。掌固定具6の機能はワイヤケーブル10Bで牽引される力の方向を掌中心方向に誘導し拇指丘の体表面とワイヤケーブル10Bならびにワイヤケーブル10Iが干渉しないことである。さらに、ワイヤケーブル10Eで牽引される力の方向を掌中心方向に誘導にするためワイヤケーブル10Eが第一中手骨頭と第五中手骨頭を結ぶ線を保ち拇指丘が掌中心に近付く方向にワイヤケーブル10Eが移動するよう誘導することである。また、掌固定具6の鞘30Fと鞘30Gの機能はワイヤケーブル10Bならびワイヤケーブル10Eが牽引される力の向きが一定となり鞘より近位(手関節側)のワイヤケーブル10Iならびにワイヤケーブル10Lが牽引される力の向きに依存しないようにすること、である。
甲固定具7は第二から第五中手骨後(すなわち甲)側に装着され、孔20Eと孔20Fでワイヤケーブル10Aと、孔20Gと孔20Hでワイヤケーブル10Cと、孔20Iと孔20Jでワイヤケーブル10Dと、孔20Kと孔20Lでワイヤケーブル10Fと、鞘30Hでワイヤケーブル10Hと、鞘30Iでワイヤケーブル10Jと、鞘30Jでワイヤケーブル10Kと、鞘30Kでワイヤケーブル10Mと、連結される。甲固定具7の機能は、ワイヤケーブル10Aで牽引される力を掌から甲への方向を第二中手骨頭から骨底への方向に変換し誘導すること、ワイヤケーブル10Cで牽引される力を指先端から他指伸展時にPIP関節の背側面がある位置への方向を第二中手骨頭から骨底への方向に変換し誘導すること、ワイヤケーブル10Dで牽引される力を拇指丘掌側面から背側面への方向を第一中手骨頭から骨底への方向に変換し誘導すること、ワイヤケーブル10Fで牽引される力を指先端から拇指伸展時に拇指MP関節の背側面がある位置への方向を第一中手骨頭から骨底への方向に変換し誘導すること、である。また、甲固定具7の鞘30Hと鞘30Iの機能はワイヤケーブル10Aならびワイヤケーブル10Cが牽引される力の向きが一定となり鞘より近位(手関節側)のワイヤケーブル10Hならびにワイヤケーブル10Jが牽引される力の向きに依存しないようにすること、である。また、鞘30Jと鞘30Kの機能はワイヤケーブル10Dならびワイヤケーブル10Fが牽引される力の向きが一定となり鞘より近位(手関節側)のワイヤケーブル10Kならびにワイヤケーブル10Mが牽引される力の向きに依存しないようにすること、である。
前腕固定具8は前腕の撓骨茎状突起より近位(すなわち肘側)の前面(すなわち掌)側の体表面状に装着され、鞘30Lでワイヤケーブル10Nと連結される。前腕固定具8の機能はワイヤケーブル10Nで牽引する力を第一中手骨頭から撓骨茎状突起前面方向への向きに誘導にするためワイヤケーブル10Gとワイヤケーブル10Nが第一中手骨頭と撓骨茎状突起前面側を結ぶ線を保ちつつワイヤケーブルが移動するよう誘導することである。さらに、前腕固定具8の鞘30Lの機能はワイヤケーブル10Gならびワイヤケーブル10Nが牽引される力の向きが鞘より近位(肘側)のワイヤケーブル10Nが牽引される力の向きに依存しないようにすること、である。
リミッタ40H,40I,40J,40K,40L,40M,40Nは、それぞれ、ワイヤケーブル10H,10I,10J,10K,10L,10M,10Nに取り付けられた留め具である。リミッタの機能は拇指ならびに他指の関節の動作方向の範囲を設定し、過剰な牽引力を指に伝達する危険性を防ぐことである。
〔これらの機能を有する他の構造〕
本発明は、上述した実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能である。
例えば、ワイヤケーブルは断面形状が円に限定されず、長方形状のベルトに置き換えることも可能であり、孔と鞘もワイヤケーブルからの形状変更に応じた構造を取り得る。鞘は鉤状の構造と置き換えられる。固定具は、生地などの平面状の構造から曲面、筒状等の構造を取り得る。
指の動作機能は、拇指単独もしくは他指単独動作を可能とする構造としても成り立ちうる。さらに、示指と拇指の組み合わせ、示指以外の他指もしくは示指とその他複数の指とを連動動作させてもよい。このような連動動作は、ワイヤケーブルを連結する、または固定具を一体もしくは連結することで実現することが可能である。
また、上述した実施の形態では言及しなかったが、ワイヤケーブルの材料は特に限定されるものではなく、ナイロンワイヤや金属ワイヤなど様々なものを用いることができる。より糸は伸びにくい特徴があるためワイヤケーブルとして好適である。固定具の材料も特に限定されるものではなく、例えばPET樹脂などを用いることができる。
〔更なる改良品の構造〕
麻痺のある筋を活動させようとした際に、使用者の身体からの筋放電をセンサで検知すると、それを操作指令として手指のシーケンス運動を開始、もしくは停止する構造を加えられる。筋放電を感知するセンサ以外にも、使用者の生体信号、ならびにスイッチなどの外部機器を用いて操作指令とする構造を追加できる。固定具に提示されるシーケンス動作に合わせ使用者の体表面にフィードバック信号を提示する構造を加えることで、麻痺筋の促通を強化することが考えられる。
以上のように、本発明の実施の形態におけるリハビリテーション補助装置は、手指の末節に取り付けられる末節固定具1,3と、手指の基節に取り付けられる基節固定具2,4と、末節固定具1,3及び基節固定具2,4に連結されたワイヤケーブル群10A,…,10Nと、ワイヤケーブル群10A,…,10Nに含まれるワイヤケーブルを所定の順序で牽引する牽引部とを備える。これにより、他動的に手指の最終可動域まで屈曲−伸展の連続動作を提示できる手指装着式のリハビリテーション補助装置を提供することが可能である。このようなリハビリテーション補助装置は、医療福祉機関内や自宅等の屋内にて、セラピストのいる治療室内に限らず、ベッド上や車いす上で使用できるため、非常に実用的価値の高い発明と言える。
ここで、牽引部は、手指の関節を最終可動域まで屈曲及び伸展させる。具体的には、手指の関節を屈曲させる場合、末節固定具1,3の腹側から基節固定具2,4の両側を通って手甲側に引き出されたワイヤケーブル10A,10Dを牽引した後、基節固定具2,4の腹側から引き出されたワイヤケーブル10B,10Eを牽引し、手指の関節を伸展させる場合、基節固定具2,4の背側から引き出されたワイヤケーブル10C,10Fを牽引する。また、拇指の関節を外転させる場合、基節固定具4の内側から引き出されたワイヤケーブル10Gを牽引する。このような構成によれば、簡単かつ確実に手指の関節を最終可動域まで屈曲及び伸展させることが可能である。
また、末節固定具1,3及び基節固定具2,4の所定位置に環状のワイヤケーブル10A,…,10Gが通され、その環状のワイヤケーブル10A,…,10Gの一部分に別のワイヤケーブル10H,…,10Nが連結されていてもよい。これにより、別のワイヤケーブル10H,…,10Nを牽引することで、それに連結された環状のワイヤケーブル10A,…,10Gを牽引することが可能である。
また、他指1指あたり6本のワイヤケーブルを用い、拇指1指あたり8本のワイヤケーブルを用いてもよい。すなわち、少ない本数のワイヤケーブルを用いて、手指の関節を最終可動域まで屈曲及び伸展させることが可能である。
また、手指に過剰な牽引力が伝達されることを防ぐための留め具であるリミッタ40H,…,40Nが別のワイヤケーブル10H,…,10Nの所定位置に取り付けられていてもよい。これにより、拇指ならびに他指の関節の動作方向の範囲を設定し、過剰な牽引力を指に伝達する危険性を防ぐことが可能である。
また、末節固定具1は、他指の末節に取り付けられる他指末節固定具1であり、他指末節固定具1は、指先端中心に背側と腹側を覆うように“U”もしくは“く”の字状に形成されていてもよい。これにより、一人でも片手で他指の末節に取り付けることができる固定具を提供することが可能である。
また、基節固定具2は、他指の基節に取り付けられる他指基節固定具2であり、他指基節固定具2は、指腹部と両側面部を覆うようにU字状に形成されていてもよい。これにより、一人でも片手で他指の基節に取り付けることができる固定具を提供することが可能である。
また、末節固定具3は、拇指の末節に取り付けられる拇指末節固定具3であり、拇指末節固定具3は、指先端中心に背側と腹側を覆うように“U”もしくは“く”の字状に形成されていてもよい。これにより、一人でも片手で拇指の末節に取り付けることができる固定具を提供することが可能である。
また、基節固定具4は、拇指の基節に取り付けられる拇指基節固定具4であり、拇指基節固定具4は、指腹部と両側面部を覆うようにU字状に形成されていてもよい。これにより、一人でも片手で拇指の基節に取り付けることができる固定具を提供することが可能である。
更に、拇指丘に取り付けられる拇指丘固定具5を備え、拇指丘固定具5は、MP関節周囲と拇指外側面と拇指丘部を覆うように、三角形を一角と対角の辺を通る直線を軸にU字状に曲げた形状に形成されていてもよい。これにより、一人でも片手で拇指丘に取り付けることができる固定具を提供することが可能である。
更に、手掌に取り付けられる掌固定具6を備え、掌固定具6は、手掌の拇指丘を除く部分を覆う形状に形成されていてもよい。これにより、一人でも片手で手掌に取り付けることができる固定具を提供することが可能である。
更に、手甲に取り付けられる甲固定具7を備え、甲固定具7は、手甲の部分ならびに他指MP関節甲側と拇指CM関節甲側を覆う形状に形成されていてもよい。これにより、一人でも片手で手甲に取り付けることができる固定具を提供することが可能である。
更に、前腕に取り付けられる前腕固定具8を備え、前腕固定具8は、撓骨茎状突起の頚部上の内側を覆う形状に形成されていてもよい。これにより、一人でも片手で前腕に取り付けることができる固定具を提供することが可能である。
1 他指末節固定具(末節固定具)
2 他指基節固定具(基節固定具)
3 拇指末節固定具(末節固定具)
4 拇指基節固定具(基節固定具)
5 拇指丘固定具
6 掌固定具
7 甲固定具
8 前腕固定具
10A,…,10N ワイヤケーブル
20A,…,20L 孔
30A,…,30L 鞘
40H,…,40N リミッタ

Claims (14)

  1. 手指の末節に取り付けられる末節固定具と、
    前記手指の基節に取り付けられる基節固定具と、
    前記末節固定具及び前記基節固定具に連結されたワイヤケーブル群と、
    前記ワイヤケーブル群に含まれるワイヤケーブルを所定の順序で牽引する牽引部と
    を備え
    前記牽引部は、前記手指の関節を屈曲させる場合、前記末節固定具の腹側から前記基節固定具の両側を通って手甲側に引き出されたワイヤケーブルを牽引した後、前記基節固定具の腹側から引き出されたワイヤケーブルを牽引し、前記手指の関節を伸展させる場合、前記基節固定具の背側から引き出されたワイヤケーブルを牽引する
    ことを特徴とするリハビリテーション補助装置。
  2. 前記牽引部は、前記手指の関節を最終可動域まで屈曲及び伸展させることを特徴とする請求項1に記載のリハビリテーション補助装置。
  3. 前記牽引部は、拇指の関節を外転させる場合、前記基節固定具の内側から引き出されたワイヤケーブルを牽引することを特徴とする請求項1又は2に記載のリハビリテーション補助装置。
  4. 前記末節固定具及び前記基節固定具の所定位置に環状のワイヤケーブルが通され、その環状のワイヤケーブルの一部分に別のワイヤケーブルが連結されていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のリハビリテーション補助装置。
  5. 他指1指あたり6本のワイヤケーブルを用い、拇指1指あたり8本のワイヤケーブルを用いることを特徴とする請求項に記載のリハビリテーション補助装置。
  6. 前記手指に過剰な牽引力が伝達されることを防ぐための留め具であるリミッタが前記別のワイヤケーブルの所定位置に取り付けられていることを特徴とする請求項又はに記載のリハビリテーション補助装置。
  7. 前記末節固定具は、他指の末節に取り付けられる他指末節固定具であり、
    前記他指末節固定具は、指先端中心に背側と腹側を覆うように“U”もしくは“く”の字状に形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のリハビリテーション補助装置。
  8. 前記基節固定具は、他指の基節に取り付けられる他指基節固定具であり、
    前記他指基節固定具は、指腹部と両側面部を覆うようにU字状に形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のリハビリテーション補助装置。
  9. 前記末節固定具は、拇指の末節に取り付けられる拇指末節固定具であり、
    前記拇指末節固定具は、指先端中心に背側と腹側を覆うように“U”もしくは“く”の字状に形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のリハビリテーション補助装置。
  10. 前記基節固定具は、拇指の基節に取り付けられる拇指基節固定具であり、
    前記拇指基節固定具は、指腹部と両側面部を覆うようにU字状に形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のリハビリテーション補助装置。
  11. 更に、拇指丘に取り付けられる拇指丘固定具を備え、
    前記拇指丘固定具は、MP関節周囲と拇指外側面と拇指丘部を覆うように、三角形を一角と対角の辺を通る直線を軸にU字状に曲げた形状に形成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のリハビリテーション補助装置。
  12. 更に、手掌に取り付けられる掌固定具を備え、
    前記掌固定具は、手掌の拇指丘を除く部分を覆う形状に形成されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のリハビリテーション補助装置。
  13. 更に、手甲に取り付けられる甲固定具を備え、
    前記甲固定具は、手甲の部分ならびに他指MP関節甲側と拇指CM関節甲側を覆う形状に形成されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のリハビリテーション補助装置。
  14. 更に、前腕に取り付けられる前腕固定具を備え、
    前記前腕固定具は、撓骨茎状突起の頚部上の内側を覆う形状に形成されていることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のリハビリテーション補助装置。
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