JP6370699B2 - 線条体自動検出 - Google Patents

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Description

本発明は、脳の三次元核医学画像において、線条体を自動で検出する技術に関する。
発明の背景
パーキンソン症候群およびレビー小体型認知症は、脳内の線条体におけるドパミンの減少を伴うことが知られている。そこで、核医学の手法を用いて黒質線条体ドパミン神経の終末部に存在するドパミントランスポーターの分布を画像化し、ドパミン神経の変性・脱落を評価することが、これらの脳疾患の診断上有用である。この画像化に適した放射性トレーサーとしては123Iで標識されたイオフルパン(123I-FP-CIT)が知られており、出願人も「ダットスキャン静注」との商品名で販売を行っている。(なお「ダットスキャン」は登録商標である。)
非特許文献1には、123I-FP-CITを放射性トレーサーとして用いて作成した脳の三次元SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography;単一光子放射断層撮影法)画像を用いて、上記の疾患の有無を判定する手法が記載されている。この手法では、SPECT画像データ中で線条体を含む領域を水平横断面に垂直な方向に加算して2次元加算画像を作成すると共に、その加算画像に対して左右の線条体の各々に関心領域を設定し、当該領域の内外の画素値に対して統計的な解析を行うことにより、疾患の有無を判定している。非特許文献1のFig.2に示されるように、関心領域は五角形状となっており、これを左右の線条体の各々に対して設定する(Fig.3)。
Livia Tossici-Bolt1 et al., "Quantification of [123I]FP-CIT SPECT brain images: an accurate technique for measurement of the specific binding ratio", European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging Vol. 33, No. 12, December 2006, pp. 1491-1499
非特許文献1においては関心領域を手動で設定することとしているため、設定される関心領域が術者によって異なる可能性があり、画素解析の結果も変わってくる可能性がある。もし脳画像から線条体を自動的に検出し、検出した線条体を基準に関心領域を設定することができれば、術者間のバラつきの低減に大きく寄与すると考えられる。
従って本発明の課題は、脳の核医学画像から線条体を自動で検出することである。
本発明の具現化形態は、線条体に集積する性質を有する放射性マーカーを用いて得られた脳の三次元核医学画像データにおいて、前記脳の左半球・右半球それぞれの画像データに対して、
(a1)線条体の位置に関連する基準点を示す情報を取得することと;
(a2)画素値に関する閾値を設定すると共に、前記閾値以上の画素値を有する画素のクラスタであって前記基準点を含むクラスタの体積を求めることと;
(a3)前記クラスタの体積と所定の基準値との比較に基づいて、線条体に対応する画素群の決定を試みることと;
(a4)前記ステップ(a3)において前記画素群を決定しない場合、前記画素群を決定するまで、前記閾値を変更して前記ステップ(a2)及び(a3)をやり直すことと;
を含む。
上述の手法は、線条体の位置の基準となる点を(自動又は手動で)指定すると共に、画素値に関する閾値を設定し、これらに基づいて、線条体に対応する画素群を決定するという特徴を有する。この特徴により、線条体の形態に適合した画素群を自動で抽出することが可能になる。この画素群は、システムが一定の基準で決定するので、術者によらず同じように決定される。従って、この手法で決定した画素群を用いることにより、画像データの解析に術者が与える影響を減少させることができる。
例えば、非特許文献1の手法で画素解析を行うために関心領域を設定する際にも、上述の手法により決定した画素群を基準として用いることで、術者に依らず同じように関心領域を設定することが可能になる。従って、画素解析の結果に術者が与える影響も減少する。また、線条体集積部位を確実に含む領域に関心領域を設定することが容易になる。
加えて、左右の半球に対してそれぞれ個別に基準点や閾値を指定して、左右独立に線条体の検出を行うため、線条体に対応する画素群として決定される画素群は、線条体の位置や形状の左右差が考慮されたものとなっている。従って、この手法で決定された画素群を用いることにより、線条体に関わる脳疾患検出のための画像データの分析を、より正確に行うことができることが期待される。
ある実施形態において、上記閾値は、上記基準点が属する半球の最大画素値に基づいて設定される。
ある実施形態において、上記閾値は、上記基準点の画素値に基づいて設定される。
好適な実施形態において、前記ステップ(a1)は、前記三次元核医学画像データの中で線条体を検索するデータ範囲である解析範囲を設定する段階を含み、該解析範囲を設定する段階は、
(b1)前記三次元核医学画像データの所定の部分を画素検索範囲として指定することと;
(b2)前記画素検索範囲の中で画素値の大きな画素を少なくとも1つ特定することと;
(b3)水平横断面に垂直な方向に所定の厚みを有する範囲であって、前記特定した画素を含む範囲を前記解析範囲として設定することと;
(b4)前記解析範囲の頭頂側の少なくとも一部のデータが、第1の基準を逸脱する場合、前記三次元核医学画像データの中央付近の範囲を前記解析範囲として再設定することと;
(b5)前記解析範囲の脳幹部側の少なくとも一部のデータが第2の基準を逸脱する場合、前記検索範囲から脳幹部側の少なくとも一部の領域を除外し、前記ステップ(b2)から(b4)をやり直すことと;
を含む。
かかる実施形態によれば、上記基準点を設定するために適した範囲をシステムが自動的に提案することができるために、当該基準点の設定が容易になる。
好適な実施形態において、前記ステップ(a1)は、決定した前記解析範囲の中から前記基準点を決定する段階を含み、該基準点を決定する段階は、前記脳の左半球・右半球それぞれの画像データに対して、
(c1)前記三次元核医学画像データのうち前記解析範囲に含まれるデータについて、水平横断面上の座標が等しい画素毎に画素値を合計することと;
(c2)前記合計した画素値が最も大きな画素の位置に関連する、水平横断面上の位置を少なくとも1つ決定することと;
(c3)前記解析範囲を、前記決定した位置を基準に、水平横断面に垂直な方向に走査し、走査した方向において画素値が最も大きな画素に対応する位置の少なくとも1つを、前記脳の左半球または右半球の前記基準点として決定することと;
を含む。
かかる実施形態によれば、上記基準点をシステムが自動的に提供するため、線条体に対応する画素群の決定作業が更に容易になり、事実上、全自動で行うことができるようになる。さらに、操作者の熟練度や個性などに依らずに、安定的に上記基準点が決定されるという利点が提供される。また、上記基準点を半球ごとに個別に設定するため、線条体の形態や機能(例えばドパミン神経の変性・脱落)の、左右差が考慮されて基準点が設定される。このため、最終的に決定される線条体画素群が、より適切な位置および形状を有するものとなる。 本発明の実施形態には、上記の手法にて決定した線条体画素群を用いて、三次元核医学画像データの解析を行うための関心領域を設定することも含む。
本発明は、上記の手法の少なくともいずれかを含む方法や、上記の手法の少なくともいずれかをシステム又は装置に遂行させるためのプログラム、上記の手法の少なくともいずれかを遂行する手段を備えるシステム又は装置として実施されることができる。
本発明の好適な具現化形態のいくつかを、特許請求の範囲に含まれる請求項に特定している。しかしこれらの請求項に特定される構成が、本明細書及び図面に開示される新規な技術思想の全てを含むとは限らない。出願人は、現在の請求項に記載されているか否かに関わらず、本明細書及び図面に開示される新規な技術思想の全てについて、特許を受ける権利を有することを主張するものであることを記しておく。
本明細書で開示される様々な処理を実行しうる機械の例である、装置又はシステム100の主な構成を説明するための図である。 本発明の好適な実施形態の一例に従う、線条体に対応する画素群を自動決定する処理の例を説明するためのフローチャートである。 線条体の位置の基準となる点の例を示す図である。 本発明の好適な実施形態の一例に従って決定された線条体画素群の例を示す図である。 本発明の好適な実施形態の一例に従う処理であって、図2Aの処理に用いられる基準点を検索する解析範囲を自動で設定する処理の例を説明するためのフローチャートである。 解析範囲が誤って脳幹部側に設定された場合の処理を説明するための図である。 図3Bの状況に対処して解析範囲が正しく設定された様子を示す図である。 解析範囲が誤って頭頂部側に設定された場合の処理を説明するための図である。 図3Dの状況において設定される解析範囲を示す図である。 本発明の好適な実施形態の一例に従う処理であって、図2Aの処理に用いられる基準点を自動で設定する処理の例を説明するためのフローチャートである。 本発明の手法にて決定した線条体画素群を用いて、三次元核医学画像データの解析を行うための関心領域を設定する手法の例を説明するための図である。 本発明の手法にて決定した線条体画素群を用いて、三次元核医学画像データの解析を行うための関心領域を設定する手法の例を説明するための図である。 本発明の手法にて決定した線条体画素群を用いて、三次元核医学画像データの解析を行うための関心領域を設定する手法の例を説明するための図である。 本発明の手法にて決定した線条体画素群を用いて、三次元核医学画像データの解析を行うための関心領域を設定する手法の例を説明するための図である。
好適な実施形態の説明
次に、本発明をより深く理解してもらうために、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態の例を説明する。
図1は、本明細書で開示される様々な処理を実行しうる機械の例である、装置又はシステム100の主な構成を説明するための図である。図1に描かれるように、システム100は、ハードウェア的には一般的なコンピュータと同様であり、CPU102,主記憶装置104,補助記憶装置106,ディスプレイ・インターフェース107,周辺機器インタフェース108,ネットワーク・インターフェース109などを備えることができる。一般的なコンピュータと同様に、主記憶装置104としては高速なRAM(ランダムアクセスメモリ)を使用することができ、補助記憶装置106としては、安価で大容量のハードディスクやSSDなどを用いることができる。システム100には、情報表示のためのディスプレイを接続することができ、これはディスプレイ・インターフェース107を介して接続される。またシステム100には、キーボードやマウス、タッチパネルのようなユーザインタフェースを接続することができ、これは周辺機器インタフェース108を介して接続される。ネットワーク・インターフェース109は、ネットワークを介して他のコンピュータやインターネットに接続するために用いられることができる。
補助記憶装置106には、オペレーティングシステム(OS)110や、本明細書で開示される特徴的な処理を提供するための線条体検出プログラム120、本明細書で開示される線条体検出処理の対象となる画像データ130などが格納されていることができる。システム100の最も基本的な機能は、OS110がCPU102に実行されることにより提供される。また、本明細書で開示される新規な線条体検出処理は、線条体検出プログラム120がCPU102に実行されることにより提供される。本明細書で開示される新規な処理には、線条体の自動検出処理の他、線条体自動検出のための基準点の自動設定処理と、当該基準点の自動設定のための解析範囲自動設定処理とが存在する。線条体検出プログラム120は、これら三つの処理に対応して、線条体の自動検出を行うためのプログラム命令群121と、基準点の自動設定のためのプログラム命令群123、解析範囲自動設定のためのプログラム命令群122の、少なくとも一群以上を備える。これらのプログラム命令群は、C++やJAVA(登録商標)など、既存の如何なるプログラム言語でプログラムされたものでもよく、好適なコンパイラにより実行可能形式にコンパイルされて補助記憶装置106に格納されることができる。
画像データ130は脳の三次元核医学画像データであり、黒質線条体ドパミン神経に存在するドパミントランスポーターの分布を画像化するために使用可能な放射性トレーサーを使って得られた画像データである。この目的に適当なトレーサーとしては、前述のように例えば123I-FP-CITが知られており、画像データ130は、123I-FP-CITを使ってSPECT装置で信号収集を行うことにより得られた脳の三次元SPECT画像であることができる。ただし、本明細書に開示される技術思想は、そのような画像データに対してしか適用できないというわけではないことには注意されたい。しかしながら一般的に、画像データ130は、少なくとも線条体の部分を含む脳の核医学画像を表し、各画素が、放射能カウント値に関係する値を画素値として有するデータである。
補助記憶装置106にはこれら以外のデータを格納するために使用してもよく、例えば、初期パラメータ値124,125や、線条体検出プログラム120により処理などで得られたデータ132,134,136等を格納するために使用してもよい。
システム100は、図1に描かれた要素の他にも、電源や冷却装置など通常のコンピュータシステムが備える装置と同様の構成を備えることができる。コンピュータシステムの実装形態には、記憶装置の分散・冗長化や仮想化、複数CPUの利用、CPU仮想化、DSPなど特定処理に適したプロセッサの使用、特定の処理をハードウェア化してCPUに組み合わせることなど、様々な技術を利用した様々な形態のものが知られている。本明細書に開示される事項は、どのような形態のコンピュータシステム上に搭載されてもよく、コンピュータシステムの形態によって本発明の範囲が限定されることはない。本明細書に開示される事項は、一般的に、(1)処理手段に実行されることにより、当該処理手段を備える装置またはシステムに、本明細書で説明される各種の処理を遂行させるように構成される命令を備えるプログラム、(2)当該処理手段が当該プログラムを実行することにより実現される装置またはシステムの動作方法、(3)当該プログラム及び当該プログラムを実行するように構成される処理手段を備える装置またはシステムなどとして具現化されることができる。
また、システム100の製造販売時や起動時には、データ130〜136は補助記憶装置106の中に記憶されていない場合が多いことに注意されたい。たとえば画像データ130は、例えばネットワーク・インターフェース109を介して外部のSPECT装置からシステム100に転送されてきたデータであってもよい。たとえば画像データ130は、図示されない別の処理手段によって整形や補間、位置合わせ、ノイズ低減処理などが施されたものであってもよい。データ132〜136は、プログラム120を実行しない限り補助記憶装置106に格納されないものであってもよく、また、プログラム120やOS110の実装形態によっては、データ132〜136は補助記憶装置106に格納されず、主記憶装置104にしか格納されない場合もある。本発明の範囲は、データ130〜136の存在の有無によって限定されるものではないことを、念のために記しておく。
次に、図2Aを参照して、線条体に対応する画素群を自動的に検出するための、本願が開示する新規な処理200について説明する。処理200は、線条体検出プログラム120のプログラム命令群121がCPU102に実行されることにより、システム100が遂行する処理であってもよい。
ステップ202は処理の開始を示す。ステップ204では、線条体自動検出の対象となる脳の三次元SPECT画像データ130がロードされ、その少なくとも一部が主記憶装置104へコピーされる。
ステップ206では、画像データ130の中で、左半球又は右半球を表す部分が選択される。これは、線条体が左右に1つずつ存在するため、左右の各々の半球に対して独立に線条体の検出を行うからである。ステップ206の処理を容易にするため、画像データ130は、冠状断面を表示させたときに正中線が視野中心を通る線に一致するように、予め傾きが補正されていることが好ましい。そうすれば、視野中心を通る線に沿って左右に分割するだけで、左半球又は右半球のデータを選択できることになる。
また、複数の脳三次元SPECT画像データに対して線条体検出を行う際に、検出結果のばらつきを防ぐという観点から、画像データ130は、水平横断面に対する位置関係も、予め揃えられていることが好ましい。例えばAC−PCラインやOMラインが水平横断面に平行になるように傾き補正を行うなどのように、画像データ130の傾きの標準化を行っておくことが好ましい。
なお水平横断面や冠状面との表現は、よく知られているように、脳の解剖学的表現で一般的に用いられる表現である。水平横断面は、おおよそ、立位状態で地面に平行な方向の断面であると考えればよい。すなわち、だいたい脊髄に垂直な方向の断面と考えればよい。水平横断面との表現の他に、水平面、横断面、Axial面のようにも称される。冠状断面は、立位状態でおおよそ地面に垂直な方向の断面であって、前頭部側と後頭部側を分けるような断面であると考えればよい。なお、立位状態でおおよそ地面に垂直な方向の断面であって、左右に分けるような断面を、矢状断面という。
ステップ208では、線条体の位置の基準となる点の情報の入力が行われる。この基準点の意義は、ステップ210〜222の説明により明らかになるだろう。この基準点の設定は手動で行われてもよいし、自動で行われてもよい。手動で行なう場合は、例えば、システム100の操作者が、ディスプレイ・インターフェース107に接続されているディスプレイに表示された画像データ130の断層画像上で、線条体と思われる領域の特徴的な位置(画素)を、周辺機器インタフェース108に接続されたマウスやタッチパネルなどを用いて指定することにより行われてもよい。たとえば目視で最も輝度が高く表示されていると思われる場所を、これらのユーザインタフェースにより指定することにより行われてもよい。図2Bに上記基準点の例を示す。図2Bは画像データ130のある水平横断面のデータを画像化して示したものであるが、最も輝度が高く表示されている点252を、上記の基準点として採用することができる。
上記基準点の設定を自動で行う方法については、後に図3A〜図3E及び図4を用いて紹介する。いずれにせよ、基準点の情報は主記憶装置104や補助記憶装置106などに、データ(例えばデータ134)として格納されていることができ、プログラム命令群121は、データ134をロードするようにCPU102を制御する。
ステップ210では、線条体検出のための検出閾値を設定する。ある実施形態において、この閾値の初期値は、例えば、ステップ208で指定された基準点に位置する画素の画素値に関連する値であることができる。例えば当該画素値の99%に相当する値とすることができる。別の実施形態では、この閾値の初期値は、処理中の半球(すなわち、脳の右半球及び左半球のうち、ステップ206で選択された半球)における最大画素値に関連する値であることができる。例えば、処理中の半球における最大画素値の99%に相当する値を、上記閾値の初期値とすることができる。ここで、99%等の%値はもちろん例示であり、適宜別の値を用いてもよい。また、上記閾値の初期値をこれら以外の手法にて設定してもよい。上記検出閾値の意義は、ステップ212〜222の説明により明らかになるであろう。
ステップ212では、ステップ206で選択した半球の画素のうち、ステップ210で設定した検出閾値以上の画素値を有する画素の特定が行われる。すると、そのような画素値を有する画素のクラスタ(集合)であって、互いに孤立した画素のクラスタを、1つ又は複数同定することができるだろう。ステップ212では、そのような画素クラスタのうち、ステップ208で指定された基準点を含むクラスタを抽出する。
ステップ214では、ステップ212で抽出したクラスタのボリューム(体積)が計算される。この計算は、例えば当該クラスタが囲む画素の体積を積算することで行うことができる。そしてステップ216において、計算したボリュームが、予め定めた体積基準値以上となるか否かの計算が行われる。この体積基準値は、線条体の体積に関連する値であり、例えば、ステップ206で選択された半球における標準的な線条体の体積として知られている値とすることができる。システム100は、例えばデータ132として、当該体積基準値を補助記憶装置106に格納しておいてもよく、プログラム命令群121は、データ132をロードするようにCPU102を制御するように構成されてもよい。
画素クラスタのボリュームが例えば基準値未満である場合、処理はステップ218に進み、上記検出閾値を再設定する。例えば、検出閾値を1%下げるなどとすることができる。そして再設定した検出閾値を用いてステップ212〜216の処理を再実行する。
ステップ216で、抽出された画素クラスタのボリュームが体積基準値以上になった場合は、当該画素クラスタをもって、選択された半球における線条体画素群としてもよい。しかしながら本実施例では、オプションの処理として、検出閾値を微調整し、微調整した検出閾値を用いて、ステップ212と同様に画素クラスタの抽出を行う(ステップ220)。そして、ここで抽出された画素クラスタを、ステップ206で選択された半球における線条体画素群と決定する(ステップ222)。ステップ220における検出閾値の微調整は、例えば検出閾値を一旦1%上げ、続いて例えば0.1%刻みで検出閾値を下げて、ステップ212〜216を再実行することであってもよい。このオプションの処理により、線条体に対応する画素のみが画素クラスタに含まれることをより確実にすることができる。なお、ステップ220で例示した%値はあくまでも例示であり、別の値を用いてもよいことはもちろんである。また、この処理はあくまでもオプションであることにも改めて注意されたい。
その後、線条体の検出がまだ終わっていない半球が残っていれば、ステップ206に戻ってそちらの半球のデータを選択し、ステップ208〜222の処理を実行する。左右両半球について線条体の検出が終わっていれば、処理を終了する(ステップ226)。決定した線条体画素群を示すデータは、例えばデータ132等として、例えば補助記憶装置106に格納してもよい。
上述の手法によれば、線条体の位置の基準となる点を(自動又は手動で)指定し、その点の画素値に基づいて、線条体に対応する画素群を決定することにより、線条体の形態に適合した画素群を自動で抽出することが可能になる。この画素群は、システムが一定の基準で決定するので、術者によらず同じように決定される。従って、この手法で決定した画素群を用いることにより、画像データの解析に術者が与える影響を減少させることができる。
例えば、前掲の非特許文献1の手法で画素解析を行うために関心領域を設定する際にも、上述の手法により決定した画素群を基準として用いることで、術者に依らず同じように関心領域を設定することが可能になる。(後に、図5A−Dを用いて、関心領域を自動設定する手法の例も紹介する。)従って、画素解析の結果に術者が与える影響も減少する。また、線条体集積部位を確実に含む領域に関心領域を設定することが容易になる。
加えて、左右の半球に対してそれぞれ個別に上記基準点を指定して左右独立に線条体の検出を行うため、線条体に対応する画素群として決定される画素群は、線条体の位置や形状の左右差が考慮されたものとなっている。従って、この手法で決定された画素群を用いることにより、線条体に関わる脳疾患検出のための画像データの分析を、より正確に行うことができることが期待される。
図2Cに、上記の手法により決定された、線条体に対応する画素群の例を示す。図2Cの画像は、画像データ130のある水平横断面のデータを画像化して示したものであるが、線254で囲まれている領域が、右半球の線条体として決定された画素群を表し、線256で囲まれている領域が、左半球の線条体として決定された画素群を表している。線条体の形態や機能に適合した形で画素群が決定されていることがわかる。
このように上述の手法によれば、線条体の形態に適合した画素群を自動で決定することが可能になる。しかし、線条体の位置の基準となる上記の点の指定を、自動又は半自動で行うことができれば、更に便利であることは容易に予想されるところである。本願の発明者はかかる課題の解決についても検討を行い、課題を解決しうる技術思想を創作するに至った。以下、かかる技術思想を、図3A〜図3Eや、図4に示す処理を例にとって説明する。
図3Aに例示される処理300は、画像データ130の中から、線条体の位置の基準となる上記基準点を検索する対象とするデータ範囲(以下、この範囲を解析範囲と称する)を自動的に設定するための、本願が開示する新規な処理300を説明するためのフローチャートである。処理300は、線条体検出プログラム120のプログラム命令群122がCPU102に実行されることにより、システム100が遂行する処理であってもよい。
ステップ302は処理の開始を示す。ステップ304では画像データ130がロードされ、その少なくとも一部が主記憶装置104へコピーされる。ステップ306では、上記「解析範囲」を検索するためのデータ範囲である「検索範囲」の初期設定を行う。本実施例では、初期の検索範囲としてデータ130の全体を指定することとしている。しかし実施形態によっては別の範囲を初期検索範囲として設定してもよく、例えば、線条体が存在しないことがほぼ確実な領域(例えば耳下腺付近や頭頂部付近など)を、予め除外した範囲を初期検索範囲として設定してもよい。
ステップ308では、設定した検索範囲において、上記解析範囲の設定に有用な特徴点の検索・特定が行われる。この特徴点は画素値に関連して検索されてもよく、たとえば大きな画素値を有する画素ということで検索が行われてもよい。簡単には、検索範囲の中で最も大きな画素値を有する画素を検索することとしてもよく、本実施例ではそのような基準で検索を行っている。しかしながら、実施形態によっては、ノイズの影響等を考慮し、たとえば3番目に大きな画素値を有する画素とか、10番目に大きな画素値を有する画素などを検索することとしてもよい。同じ基準を満たす画素が複数検索された場合には、所定の基準によってそのうちの一つを上記特徴点として特定してもよい。例えば、同じ基準を満たす複数の画素のうち、上記検索範囲の中心に最も近い画素を、上記特徴点として特定したり、これらの画素の重心を上記特徴点として特定したりしてもよい。
ステップ310では、上記解析範囲を仮に設定する。この解析範囲は、上記検索範囲の中で、特定した上記特徴点を含み、水平横断面に垂直な方向に所定の厚みを有する範囲としてもよい。この厚みを表すデータは、たとえば周辺機器インタフェース108に接続されたマウスやタッチパネルなどを用いてシステム100の操作者が入力してもよい。実施形態によっては、この厚みを表すデータは、例えばデータ125として補助記憶装置106に格納されていてもよく、プログラム命令群122は、ステップ310において、データ125をロードするようにCPU102を制御するように構成されてもよい。実施形態によっては、上記厚みを表すデータは、プログラム命令群122の中に予め定められている値であってもよい。
実施形態によっては、水平横断面に平行な方向においても上記解析範囲に限定を加えてもよい。例えば、水平横断面の中心から所定の半径内のデータのみを上記解析範囲としてもよい。
ステップ312〜318では、仮に設定した上記解析範囲が所定の基準を満たしているかどうかが確認され、満たしていない場合は解析範囲の再設定が行われる。ステップ312では、仮に設定した上記解析範囲が、頭頂部側において所定の基準を満たしているかどうかが確認される。この基準は、例えば、仮に設定された上記範囲の少なくとも一部が、画像データ130の頭頂部側の基準位置(例えば端部)に接触したり、または該基準位置より更に頭頂部側に位置したりしないことであってもよい。上記基準は、例えば、仮に設定された上記範囲において最も頭頂部側に位置する水平横断面スライスが、画像データ130において最も頭頂部側に位置する水平横断面スライスと同じ位置にあったり、又は頭頂部よりも更に上側に位置したりしないことであってもよい。この基準を満たさない場合、ステップ314において、上記の特徴点として所定の画素(例えば画像データ130の中心画素)を用いることとして、上記解析範囲を再設定してもよい。
ステップ316においては、ステップ310で設定された解析範囲が、脳幹部側で所定の基準を満たしているかどうかが確認される。この基準は、例えば、上記解析範囲の少なくとも一部が、画像データ130の脳幹部側の基準位置(例えば端部)に接触したり、または該基準位置より更に脳幹部側に位置したりしないことであってもよい。上記基準は、例えば、仮に設定された上記範囲において最も脳幹部側に位置する水平横断面スライスが、画像データ130において最も脳幹部側に位置する水平横断面スライスと同じ位置にあったり、又は更に脳幹部側に位置したりしないことであってもよい。上記基準は、例えば、仮に設定された上記範囲において、画像データ130のブランクスライスが含まれないことであってもよく、本実施例ではこの基準が用いられている。(脳の三次元SPECT画像データにおいては、脳幹部側の領域であって、有用な情報が含まれていない可能性が極めて高い領域の画素については、当該画素が有効なデータではないことを示すような値(例えばゼロやNULL)を画素値に与えることが行われる場合がある。そのような画素を含む水平横断面断層画像データをブランクスライスと呼ぶことがある。)
ステップ316において、仮に設定した解析範囲にブランクスライスが含まれていると判断された場合は、ステップ318に進み、上記検索範囲から、脳幹部側の水平横断面スライスを少なくとも一枚除外し、改めてステップ308〜316)を実行する。
ステップ312及び316の判断処理により、ステップ310で設定された解析範囲が所定の基準を満たしていることが確認された場合、ステップ320において、当該範囲を最終的な解析範囲と決定する。システム100は、決定した解析範囲を、例えばデータ136として補助記憶装置106に格納してもよい。ステップ322は処理の終了を示す。
図3B〜3Eを用いて、ステップ312〜318の意義を説明する。線条体の画像化に用いられる放射性医薬品は、線条体の他に、耳下腺にも集積しやすいという特性を有している。このためステップ308において、検索範囲の中で最も大きな画素値を有する画素を検索すると、症例によっては、線条体ではなく耳下腺に位置する画素を検索してしまう場合がある。この様子を図3Bに示した。この図は、画像データ130の中である冠状面に対応する画像データを画像化したものであるが、画像データ130全体の中で最も画素値の高い画素は、符号352で示した矢印の先に存在する画素である。このため、ステップ310で設定される解析範囲は、水平横断面に対して符号354(図3B)に示すような幅を有する範囲となり、線条体は明らかに解析範囲から外れてしまう。
ステップ316及び318の処理は、かかる事態に対処するための処理である。耳下腺は脳の下側(すなわち小脳側、脳幹側)に存在するため、ステップ310で設定される解析範囲が図3Bの符号354で表されるような状況では、解析範囲の下側(すなわち小脳側、脳幹側)においては、画素値が、脳を表す画像データとしては有効ではないことを示す値(例えばゼロやNULL)になっている可能性が高い。すなわちブランクスライスを含む可能性が高い。そこでステップ316では、設定した解析範囲にブランクスライスが含まれる場合は、ステップ308で特徴点の検索を行う検索範囲から、脳幹側の水平横断面スライスに対応する画素のデータを少なくともスライス一枚分取り除き、改めてステップ308から処理をやり直すこととしたものである。ステップ318が繰り返されると、耳下腺領域がステップ308の検索から除外されることになり、線条体に真に対応する領域で、画素値の高い画素を検索することができる。
図3Cは、画素値最大を呈する画素が矢印352'の先に特定され、対応して解析範囲が符号354' に示すような幅を有する範囲に設定されたことを示している。
なお図3Bにおいて、RとLの記号はそれぞれ脳の右側、左側を表しており、SとIの記号はそれぞれ脳の頭頂側と脳幹側を示している。左上の65との数字は、画像データ130を冠状断面像スライスの集合とみた場合に、図3Bに示されている断面図が、65番目のスライスを表していることを示している。水平方向の線を伴う35及び94の数字は、画像データ130を水平横断面像スライスの集合とみた場合の35番目及び94番目のスライスの位置を示している。本例ではスライス35の上側及び/又スライス94の下側には画像が表示されておらず、画像データとして有効なデータが存在しないことがわかる。垂直方向の点線を伴う数字36は、画像データ130を矢状断面像スライスの集合とみた場合の36番目のスライスの位置を表している。図3Cにおいても同様である。図3Cにおいては、画素値最大を呈する画素が、53番目の冠状面スライス、66番目の水平横断面スライス、71番目の矢状断面像スライスに検索されたことが示されている。
さて、ステップ318を繰り返して耳下腺領域がステップ308の検索から除外されたとしても、場合によっては、画素値最大を呈する画素がいつまでも検索範囲の最下部に発見される場合がある。このような場合、次第に検索範囲は薄くなるが、今度は頭頂部に近い領域に画素値最大の画素が見つかってしまう場合がある。この様子を示したのが図3Dである。
図3Dでは、符号352"'で表す矢印の先に画素値最大の画素が見つかってしまったため、ステップ310で設定される解析範囲は符号354"'で示すような範囲となってしまった。すなわち解析範囲の上端が、有効な画像データが存在する領域の端部に重なるか、はみ出してしまった。ステップ312の判断は、このような状況の検出を目的としている。そして解析範囲が、有効な画像データが存在する領域に重なるか超えたと判断した場合は、ステップ308で特定される特徴点として予め定めた点を用いることにする。このような点としては、例えば画像データ130の中心画素や、画像データ130において有効な画素値を有する画素の重心に位置する画素、線条体が位置する可能性が高いと予め定めておいた位置に対応する画素などを用いることができる。そして、この点を含み、上下に(すなわち水平横断面に垂直な軸に沿って)所定の幅を有する領域を、解析範囲と設定することにする(ステップ310)。このような処理によって設定された解析範囲を図3Eに示した。この図は、ステップ308で特定される特徴点として、矢印352""の先に示した点を用いているが、これは画像データ130全体の中心位置に対応している。またステップ310において、この点に基づいて、符号354""で示した範囲が解析範囲として設定されたことが示されている。
処理300によれば、処理200で用いられる基準点を設定するために適した範囲をシステムが自動的に提案することができるために、当該基準点の設定が容易になるという利点が提供される。処理300で決定された解析範囲は、例えば、処理200のステップ208において入力される基準点をシステム100の操作者が手動で設定する際に、画像データ130の断層画像上に重ね合わせて表示されてもよい。また処理300で決定された解析範囲は、図4を用いて説明される、当該基準点の自動設定処理のために使用されてもよい。
図4は、処理200で用いられる基準点を自動設定するための、本願が開示する新規な処理400を説明するためのフローチャートである。処理400は、線条体検出プログラム120のプログラム命令群122がCPU102に実行されることにより、システム100が遂行する処理であってもよい。
ステップ404では画像データ130の読み込みが行われ、画像データ130の少なくとも一部が主記憶装置104へコピーされる。ステップ406では、処理300により設定された解析範囲のデータ(例えばデータ136)が、補助記憶装置106から読み込まれ、その少なくとも一部が主記憶装置104へコピーされる。ステップ408では、画像データ130に含まれる画素のうち上記解析範囲に含まれるデータについて、水平横断面上の座標が等しい画素毎に画素値を合計する。たとえば、上記解析範囲に含まれるデータを水平横断面スライスの集合と捉え、水平横断面上の座標が等しい画素の画素値を全て加算して、一枚の水平横断面スライスを表す画像データを作成する。
ステップ410〜418の処理は、右半球および左半球のそれぞれについて独立に行われる。ステップ410で半球を選択すると、ステップ412では、ステップ408で得られた、各画素が加算された画素値を有する画像データのうち、ステップ410で選択された半球に属するデータにおいて、加算画素値に基づいて特徴点を決定する。本実施例において、この特徴点は、加算画素値が最も大きな画素の位置とする。しかし、加算画素値が最大となる画素が複数現れる場合が考えられるが、その場合は、そのような画素のうち、脳の最も中心側に位置する画素を当該特徴点とするとか、そのような画素の重心位置を当該特徴点とするなど、適当な手法によって関連位置を当該特徴点とすることができる。
ステップ414では、画像データ130に含まれる画素のうち上記解析範囲に含まれるデータについて、ステップ412で決定した特徴点の位置から、水平横断面に垂直な方向に画素値の変化を調べ、その方向で画素値が最も大きな画素を少なくとも一つ特定する。画素値が最大となる画素が1つだけの場合、ステップ416において、当該画素に対応する位置を、上記基準点として決定する。ステップ414において、画素値が最大となる画素が複数見つかった場合、ステップ416では、上記解析範囲の中央部に最も近い画素の位置を上記基準点とするとか、これら複数の画素の重心位置を上記基準点とするなど、適当な手法によって関連位置を当該基準点とすることができる。ステップ416において決定された基準点のデータは、例えばデータ134として、補助記憶装置106などに格納されることができる。
ステップ418において、左右両半球について基準点の決定が行われたかどうかが確認され、行われていない場合は、残りの半球について基準点の決定を行うべく、ステップ410に戻って当該残りの半球について基準点の決定が行われる。左右両半球について基準点の決定が終わっていれば、処理が終了する(ステップ420)。
処理400によれば、処理200で用いられる基準点をシステムが自動的に提供するため、線条体の検出が容易になるというだけでなく、システム100の操作者に依らずに安定的に当該基準点が決定されるという利点が提供される。
さらに処理400によれば、処理200で用いられる基準点を、半球ごとに個別に設定するため、線条体の形態の左右差が考慮されて基準点が設定される。このため、処理200で検出される線条体が、より適切な位置および形状を有するものとなる。
処理300及び処理400により当該基準点を自動で設定し、処理200により線条体を自動的に検出するようにすれば、線条体の検出を完全に自動で行うことができ、線条体検出処理が極めて容易になると共に、システム100の操作者に依らずに(例えば操作者の熟練度に依らずに)、安定的に線条体の検出を行うことができるようになる。また前述のように、線条体の形態の左右差を考慮して、線条体画素群を決定することが可能となる。
最後に、上述の手法にて決定した線条体画素群を用いて、前掲の非特許文献1の手法で画素解析を行うために関心領域を設定する手法の例を紹介する。
図5Aは、123I-FP-CITを使って作成した脳の三次元SPECT画像のある水平横断面を表示したものである。符号502で示す線で囲まれた部分は、当該断面上で右半球の線条体画素群として、上述の方法で決定された領域である。同様に、符号504で示す線で囲まれた部分は、当該断面上で左半球の線条体画素群として、上述の方法で決定された領域である。
ROIを設定する処理の最初のステップでは、領域502,504に外接する矩形を設定する。その様子を図5Bに示す。符号506で示す矩形は、図5Aにおいて符号502で示した右半球線条体画素群に外接する矩形であり、符号508で示す矩形は、図5Aにおいて符号504で示した左半球線条体画素群に外接する矩形である。
この矩形506,508を基準にして、テンプレートの関心領域を配置する。テンプレートの関心領域は非特許文献のfig.2に記載されているものと同じであり、図5Cにも描かれるように、5角形状を呈している。図5Cにおいて、510は右半球の線条体のための関心領域であり、512は左半球の線条体のための関心領域である。
このテンプレート関心領域を、上述の矩形506,508を基準にして配置する。図5Dに図示されるように、右半球については、矩形506の右上の角506aが、テンプレート510の右上の角から、左右・上下方向に所定の長さだけ内側に位置するように、テンプレート510を配置する。なおここで、左右・上下各方向は、水平横断面を図5Aや図5Bのように表示した場合の左右・上下であることに注意されたい。本例では、上記の所定の長さとして、左右・上下いずれの方向においても7mmを採用している。この長さは、矩形506をテンプレート510の中央部に収めるために、多くの場合に好適であることが、本発明の発明者の研究により判明している。しかし無論のこと、5mmや9mmなど、7mm以外の値を採用しても構わない。
左半球についても、同様に、矩形508の右上の角508aが、テンプレート512の左上の角から、左右・上下方向に所定の長さだけ内側に位置するように、テンプレート512を配置する(図5D)。
ここで、矩形506と508とが互いに近接していると、テンプレート510と512とが重なって配置されてしまう場合がある。そのような場合は、テンプレート510,512の正中線側の側部510b,512bが、矩形506と508との中間に位置するように、テンプレート510,512の左右方向の位置を修正することにより、テンプレート510と512とが重ならないようにしてもよい。
この手法によれば、前掲非特許文献1の手法で画素解析を行うための関心領域も完全に自動で設定することができ、術者の個性による解析結果のバラつきを排除することが可能になる。
なお前述のように、図5Aは、脳の三次元SPECT画像の特定の水平横断面を表示したものとして説明したが、非特許文献1では、線条体に対応する画素が存在するすべての水平横断面スライス画像を重ね合わせた画像に対して関心領域の設定を行っている。本発明の実施形態においても、そのような重ね合わせ画像に対して関心領域の設定を行ってもよい。その場合は、本発明の手法により線条体画素が検出されたすべての水平横断面スライス画像を重ね合わせ、その重ね合わせ画像において、線条体画素群に外接する矩形を、矩形506や508として設定すればよい。
本発明の実施形態を好適な例を用いて説明してきたが、これらの例は本発明の範囲を限定するために紹介されたわけではなく、特許法の要件を満たし、本発明の理解に資するために紹介されたものである。本発明は様々な形態で具現化されることができ、本発明の実施形態には、ここに例示した以外にも多くのバリエーションが存在する。説明された各種の実施例に含まれている個々の特徴は、その特徴が含まれることが直接記載されている実施例と共にしか使用できないものではなく、ここで説明された他の実施例や説明されていない各種の具現化例においても、組み合わせて使用可能である。特にフローチャートで紹介された処理の順番は、必ず紹介された順番で実行しなければならないわけではなく、実施するものの好みに応じて、順序を入れ替えたり並列的に同時実行したり、さらに複数のブロックを一体不可分に実装したり、適当なループとして実行したりするように実装してもよい。また実施形態によっては、フローチャートのブロックのいくつかは実装されない場合がある。例えば、処理300及び処理400による基準点の自動設定と、処理200による線条体の自動検出とを一度に行うような実施形態の場合、画像データ130の読み込みは一度でよく、ステップ204,304,404は単一のステップとして統合されるであろう。また処理400において、加算画像の作成は半球の選択の前に行われたが、半球を選択した後に半球ごとに加算画像の作成を行うような実施形態も可能である。これらのバリエーションは全て本発明の範囲に含まれるものである。請求項に特定される処理の記載順も、処理の必須の順番を特定しているわけではなく、例えば処理の順番が異なる実施形態や、ループを含んで処理が実行されるような実施形態なども、請求項に係る発明の範囲に含まれるものである。現在の特許請求の範囲で特許請求がなされているか否かに関わらず、出願人は、本発明の思想を逸脱しない全ての形態について、特許を受ける権利を有することを主張するものであることを記しておく。
100 システム
104 主記憶装置
106 補助記憶装置
107 ディスプレイ・インターフェース
108 周辺機器インタフェース
109 ネットワーク・インターフェース
120 線条体検出プログラム
130 画像データ

Claims (7)

  1. 装置の処理手段がプログラム命令を実行することにより前記装置が遂行する方法であって、前記方法は、線条体に集積する性質を有する放射性マーカーを用いて得られた脳の三次元核医学画像データにおいて、線条体に対応する画素群を特定する方法であり、該方法は、前記脳の左半球・右半球それぞれの画像データに対して、:
    (a1)線条体の位置に関連する基準点を示す情報を取得することと;
    (a2)処理中の半球の最大画素値に基づいて、画素値に関する閾値を設定すると共に、前記閾値以上の画素値を有する画素のクラスタであって前記基準点を含むクラスタの体積を求めることと;
    (a3)前記クラスタの体積と所定の基準値との比較に基づいて、線条体に対応する画素群の決定を試みることと;
    (a4)前記ステップ(a3)において前記画素群を決定しない場合、前記画素群を決定するまで、前記閾値を変更して前記ステップ(a2)及び(a3)をやり直すことと;
    を含む、方法。
  2. 前記ステップ(a1)は、前記三次元核医学画像データの中で線条体を検索するデータ範囲である解析範囲を設定する段階を含み、該解析範囲を設定する段階は、
    (b1)前記三次元核医学画像データの所定の部分を画素検索範囲として指定することと;
    (b2)前記画素検索範囲の中で画素値の大きな画素を少なくとも1つ特定することと;
    (b3)水平横断面に垂直な方向に所定の厚みを有する範囲であって、前記特定した画素を含む範囲を前記解析範囲として設定することと;
    (b4)前記解析範囲の頭頂側の少なくとも一部のデータが、第1の基準を逸脱する場合、前記三次元核医学画像データの中央付近の範囲を前記解析範囲として再設定することと;
    (b5)前記解析範囲の脳幹部側の少なくとも一部のデータが第2の基準を逸脱する場合、前記検索範囲から脳幹部側の少なくとも一部の領域を除外し、前記ステップ(b2)から(b4)をやり直すことと;
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ステップ(a1)は、決定した前記解析範囲の中から前記基準点を決定する段階を含み、該基準点を決定する段階は、前記脳の左半球・右半球それぞれの画像データに対して、
    (c1)前記三次元核医学画像データのうち前記解析範囲に含まれるデータについて、水平横断面上の座標が等しい画素毎に画素値を合計することと;
    (c2)前記合計した画素値が最も大きな画素の位置に関連する、水平横断面上の位置を少なくとも1つ決定することと;
    (c3)前記解析範囲を、前記決定した位置を基準に、水平横断面に垂直な方向に走査し、走査した方向において画素値が最も大きな画素に対応する位置の少なくとも1つを、前記脳の左半球または右半球の前記基準点として決定することと;
    を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記三次元核医学画像データに含まれる水平横断面画像データの少なくとも1つ又は該水平横断面画像データを複数重ね合わせた画像データにおいて、線条体に対応する前記画素群に外接する矩形を設定すると共に、前記矩形に基づいて、前記三次元核医学画像データの解析を行うための関心領域を設定することを更に含む、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 右半球の線条体について設定した前記関心領域の正中線側の側部と、左半球の線条体について設定した前記関心領域の正中線側の側部とが、いずれも、右半球の線条体について設定した前記矩形と、左半球の線条体について設定した前記矩形との中間地点に位置するように、左右の前記関心領域の配置を調整することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
  6. システムの処理手段に実行されると前記システムに請求項1から5のいずれかに記載の方法を遂行させるプログラム命令群を備える、コンピュータプログラム。
  7. 処理手段と記憶手段とを有するシステムにおいて、前記記憶手段が、前記処理手段により実行されると前記システムに請求項1から5のいずれかに記載の方法を遂行させるプログラム命令群を格納する、システム。
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