LTE−A(Long Term Evolution-Advanced)リリース11では、少なくともチャネル品質インジケータ(CQI:Channel Quality Indicator)を導出するために、各ユーザ機器(UE:User Equipment)に対して測定リソース(MR:Measurement Resource)を設定することが合意された。UEは複数のCQIを報告することができる。各CQIについて、信号部分および干渉部分は、異なるMRに基づいてそれぞれ測定される。仕様設定の労力を低減し、後方互換性を維持するために、MRは、リリース10のチャネル状態情報参照信号(CSI−RS:Channel State Information-Reference Signal)である。信号測定用のMRは、非ゼロパワー(NZP:Non-Zero-Power)CSI−RSであり、干渉測定用のMRは、ゼロパワーCSI−RSである。
UEの複雑さは、設定されるMRの数と共に増大することに留意されたい。UEは、可能な非周期的CSI要求を準備する必要があるため、一部のMRが、設定された任意のCSI報告にたとえ対応しないときでも、設定された全てのMRを測定しなければならない。したがって、UE処理要件を制限するためMR設定に何らかの制約を適用することが賢明である。
UEの複雑さが最も懸念される点は、1サブフレーム内でいくつのMRが処理されうるかである。結果として、制約は、1サブフレーム内で測定されうるMRの最大数を制限/指定することである。
しかし、実際には、ネットワーク(NW)は、UEのために1サブフレーム内で一定数のMRを設定することを回避することが難しい場合がある。特に、柔軟性のあるCoMP(Coordinated Multi-Point)動作をNWが好む場合、そのCoMP動作では、種々のCoMP動作に対応するMRが設定される必要がある。したがって、実際に設定されるMRは、UEが測定できる最大数のMRより多い場合があり、これは本明細書ではMR衝突と呼ばれる。MR衝突は、場合によっては、入念なMR割当てによっても回避することができない。例えば、3つのセル(マクロ/ピコ/ピコ)の間でジョイント伝送(JT:Joint Transmission)がサポートされる場合、1サブフレーム内で3つのMRを回避することは可能でない。図1は、MR衝突の例を示す。図1では、1サブフレーム内でUEが測定できるMRの最大数は2に過ぎないのに対して、いくつかのサブフレーム内で実際に設定されるMR(MR1、MR2、およびMR3)の数は3である。したがって、MR衝突が、図1の長円で囲まれるいくつかのサブフレーム内で起こる。
実際に設定されるMRが、UEが測定できる最大数のMRより多いという上記問題を解決する1つの解決策は、サブフレーム内の全てのMRを無視する(測定しない)ことである。しかし、これは、不正確なCQIをもたらし、その結果、システム・スループットを低下させることになる。好ましいUEの挙動は、過剰なMRだけを無視することである。UEは、過去のMRに基づいて、無視されたMRに関連するCQIを計算することができる。別の代替法は、この場合に「範囲外(out-of-range)」のCQIを報告し、CQIを計算しないことである。しかし、この代替法は、過去のMRが依然として有用である場合があるため好ましくない。
どのMRが無視されるかは、UE実装として委ねられ、指定されない場合がある。しかし、この場合、eNB(eNode B)は、どのCQIが過去のMRに基づいて計算されるかを知らない。換言すれば、eNBは、どのCQIが過去のものであるかに関する情報を有さず、誤ったスケジューリング決定を行い得る。したがって、UE側でどのMRが無視されるかを指定および/または設定することが好ましい。
無視する最も簡単な方法は、優先度に基づくものである。すなわち、低い優先度を有するMRが無視される。優先度は、eNBから明示的に信号で伝えられるか、または、MR設定の順序に基づいて暗黙的に設定されうる。しかし、この場合、最も低い優先度を有するMRが常に無視される。最も低い優先度を有するMRを含む全てのサブフレームで衝突が起こる場合、最も低い優先度に関連するCQIは、完全に誤りである。これは、非常に好ましくない。図2は、優先度に基づく無視の一例を示す。この例では、3つのMRが設定され、MR1は最も高い優先度を有し(最も重要)、MR2は中程度の優先度を有し(2番目に重要)、MR3は最も低い優先度を有する(最も重要でない)。MR3は、最も低い優先度を有するため、衝突があるサブフレーム内で常に無視されることが示されている。したがって、MR3に関連するCQIは完全に誤っており、許容されない。
以下の詳細な説明では、詳細な説明の一部を形成する添付図面を参照する。図面では、同様の記号は、通常、別段文脈によって示されない限り同様の構成要素を識別する。本開示の態様を、さまざまな異なる構成で配列し、置換し、組み合わせ、設計することができ、その全てが、明示的に企図され、本開示の一部をなすことが容易に理解されるであろう。
(実施の形態1)
本開示の実施の形態1は、測定リソース(MR)を設定する無線通信方法を提供し、方法は、1サブフレーム内で設定されるMRの数が、UEが1サブフレーム内で測定できるMRの最大数を超える場合、無視するMRを決定し、より低い優先度を有するMRが無視されると決定され、MRは、Nサブフレームの継続期間内にA回無視されず、ここで、Aは1より大きい整数であり、Nは(1+B*MRの周期)に対応し、Bは1以上の整数である。AおよびBは、eNBによって設定されるか、または、固定値として指定される。より大きなAかつより小さなBは、関連するMRのより多くの無視を意味する。
図3は、実施の形態1によるMR無視方法(すなわち、MRを設定する無線通信方法)の例示的な実装のフローチャートを示す。ステップ301では、最も低い優先度を有するMRが、無視する候補(第1候補)として選択される。ステップ302では、ステップ301にて選択された候補が、今回無視される場合、Nサブフレーム内でA回無視されるか否かについて判定される。その候補が、今回の無視の場合に、Nサブフレーム内でA回無視されない場合(いいえ)、プロセスはステップ303に進む。ステップ303では、その候補が、無視されると決定される。その候補が、今回の無視の場合に、Nサブフレーム内でA回無視される場合(はい)、プロセスはステップ301に戻り、ステップ301において、MRの中で、第1候補以外の最も低い優先度を有するMRが、無視する候補(第2候補)として選択される。同様なプロセスは、第1候補の場合と同様に、第2候補についても行われることになる。無視する必要があるMRが2つ以上ある場合、すなわち、1サブフレーム内で設定されるMRの数が、ユーザ機器(UE)が1サブフレーム内で測定できるMRの最大数を、2つ以上超える場合、上記ステップ301〜303は、対応する回数繰り返されることになる。背景技術で述べたように、MRが無視される場合、過去の測定結果を使用して計算されるCSIが報告されるか、または、無効(範囲外)フラグを有するCSIが報告されることが可能である。
しかし、図3は、2つの条件を実装する例に過ぎず、他のステップ・フローも、実施の形態1による方法を実装するために使用されうることに留意されたい。例えば、MRが、今回の無視について、Nサブフレーム内でA回無視されるか否かについての判定は、最も低い優先度を有するMRを選択する前に行われることも可能である。換言すれば、Nサブフレーム内でA回無視されるMRは、最初に除外(rule out)され、残りのMRの中で最も低い優先度を有するMRが、無視されると決定される。
以下では、パラメータAおよびBについてのいくつかの例について詳細に説明する。パラメータAおよびBは、eNBによって設定されてもよく、固定値として指定されてもよい。
図4は、本開示の実施の形態1によるA=2およびB=1の例を示す。図4に示すように、MR1、MR2、およびMR3の順の優先度を有する3つのMRが設定される。UEは、1サブフレーム内で2つのMRのみを測定できる。したがって、各衝突サブフレーム内の1つのMRが無視されるべきである。この例では、MR1およびMR2は、5msの周期(すなわち、5サブフレーム)を有し、MR3は、10msの周期(すなわち、10サブフレーム)を有する。したがって、MR1およびMR2について、N=(1+B*5)=6であり、MR3について、N=(1+B*10)=11である。実施の形態1の制約に従って、MR1およびMR2は、6サブフレーム内で2回無視されるべきでなく、MR3は、11サブフレーム内で2回無視されるべきでない。第1の衝突サブフレーム(図4の最も左のサブフレーム)について、最も低い優先度を有するMR3が、無視する候補と考えられることになる。MR3が最初に無視されるため、それは、MR3が11サブフレーム内で2回無視されないという条件を満たす。したがって、MR3が、このサブフレーム内で無視される。そして、MR3が2回目に現れる第2の衝突サブフレームについて、MR3が同様に無視された場合、MR3は、11サブフレーム内で2回無視されることになる(包含的に第1の衝突サブフレームから第2の衝突サブフレームまで計数される)。これは、MR3が11サブフレーム内で2回無視されるべきでないという条件を満たさない。したがって、MR3は、最も低い優先度を有するが、第2の衝突サブフレーム内で無視されると決定されない。この時点で、M1およびM2のみが無視されると考えられる。M2はより低い優先度を有し、6サブフレーム内で2回無視されない。このため、M2が、第2の衝突サブフレーム内で無視されると決定される。同様な決定方法によって、M3およびM2が、第3および第4の衝突サブフレーム内でそれぞれ無視される。上記説明から、簡単な仕様記述に基づいて、重要性が高いMRほど無視されることが少なく、最も重要性が低いMR(この例ではMR3)が常に無視されとは限らないことがわかる。ただし、Aは2に限定されず、Bは1に限定されず、むしろ、Aは1より大きい任意の整数(例えば、2、3、4…)であり、Bは1以上の任意の整数(例えば、1、2、3、4…)であることに留意されたい。さらに、設定されるMRは3個に限定されず、UEが1サブフレーム内で測定できるMRは2個に限定されず、むしろ、本開示は、それらの関する任意の構成に適用されうる。
図5は、A=2およびB=1の別の例を示し、MR1、MR2、MR3、およびMR4の順の優先度を有する4つのMRが設定される。UEは、1サブフレーム内で2つのMRのみを測定できる。したがって、いくつかの衝突サブフレーム内で1つのMRが無視され、いくつかの他の衝突サブフレーム内で2つのMRが無視されるべきである。この例では、MR1およびMR2は、5msの周期(すなわち、5サブフレーム)を有し、MR3は、10msの周期(すなわち、10サブフレーム)を有し、MR4は、20msの周期(すなわち、20サブフレーム)を有する。したがって、MR1およびMR2について、N=(1+B*5)=6であり、MR3について、N=(1+B*10)=11であり、MR4について、N=(1+B*20)=21である。実施の形態1の制約に従って、MR1およびMR2は、6サブフレーム内で2回無視されるべきでなく、MR3は、11サブフレーム内で2回無視されるべきでなく、MR4は、21サブフレーム内で2回無視されるべきでない。第1の衝突サブフレーム(図5の最も左のサブフレーム)について、4つのMRが存在する。したがって、2つのMRが無視されるように選択されるべきである。より低い優先度を有するMR3およびMR4が、無視する候補と最初に考えられることになる。MR3およびMR4が最初に無視されるため、それは、MR3が11サブフレーム内で2回無視されず、MR4が21サブフレーム内で2回無視されないことが満たされる。したがって、MR3およびMR4が、このサブフレーム内で無視される。そして、MR3が2回目に現れる第2の衝突サブフレームについて、3つのMR(MR1、MR2、およびMR3)が存在するだけである。したがって、1つのMRだけが無視されるべきである。ここで、MR3が同様に無視された場合、MR3は、11サブフレーム内で2回無視されることになる(包含的に第1の衝突サブフレームから第2の衝突サブフレームまで計数される)。これは、MR3が11サブフレーム内で2回無視されるべきでないという条件を満たさない。したがって、MR3は、最も低い優先度を有するが、第2の衝突サブフレーム内で無視されると決定されない。この時点で、M1およびM2だけが無視されると考えられる。M2は、より低い優先度を有し、6サブフレーム内で2回無視されないため、M2が、第2の衝突サブフレーム内で無視されると決定される。MR3が3回目に現れる第3の衝突サブフレームについて、4つのMRが存在する。したがって、2つのMRが無視されるべきである。ここで、MR4は、最も低い優先度を有するが、MR4がこのサブフレーム内で無視された場合、21サブフレーム内で2回無視されることになる。したがって、MR4は、このサブフレーム内で無視されず、MR2およびMR3がこのサブフレーム内で無視される。その理由は、MR2およびMR3が、MR1より低い優先度を有し、それぞれ6サブフレームおよび11サブフレーム内で2回無視されないからである。同様な決定方法に基づいて、MR2が、第3の衝突サブフレーム内で無視され、MR3およびMR4が、第4の衝突サブフレーム内で無視される。MRを無視する上述した方法によって、40ms(40サブフレーム)内で、MR1はゼロ回無視され(0%)、MR2は3回無視され(MR2の総数の37.5%)、MR3は2回無視され(MR3の総数の50%)、MR4は1回無視される(MR4の総数の50%)。重要性が高いMRは、少なく無視され、いずれのMRも常に無視されるとは限らないことが導き出される。
さらに、重要性が低いMRをより多く無視するために、AおよびBの異なる値が、異なるMRについて設定されうる。図6は、最も重要性が低いMR(図6のMR3)に対してA=3、B=2とし、他のMR(図6のMR1およびMR2)に対してA=2、B=1とする例を示す。また、3つのMRが設定され、UEが1サブフレーム内で2つのMRを測定できる。図6に示すように、MR1からMR3に対する実施の形態1による制約は、MR3が、21(21=1+2*10)サブフレーム内で3回無視されず、MR1およびMR2が、6(6=1+5)サブフレーム内で2回無視されないことである。したがって、図4と同様の決定方法に基づいて、MR3は、図6の第1、第2および第4の衝突サブフレームについて無視されると決定される。その理由は、MR3が、これらのサブフレームの21サブフレーム内で3回無視されず、最も低い優先度を有するためである。MR2は、第3の衝突サブフレームにおいて無視されると決定される。その理由は、MR2より低い優先度を有するMR3が、この衝突サブフレーム内で無視された場合、21サブフレーム内で3回無視されることになるからである。図6の構成に従って、重要性が低いMR3は、図4の構成と比較してより多く無視される。
図7は、最も重要性が低いMR(図7のMR4)に対してA=3、B=2とし、他のMR(図7のMR1、MR2、およびMR3)に対してA=2、B=1とする例を示す。また、4つのMRが設定され、UEが1サブフレーム内で2つのMRを測定できる。図7に示すように、MR1からMR4に対する実施の形態1による制約は、MR4が、41(41=1+2*20)サブフレーム内で3回無視されず、MR1およびMR2が、6(6=1+5)サブフレーム内で2回無視されず、MR3が、11(11=1+10)サブフレーム内で2回無視されないことである。したがって、図5と同様の決定方法に基づいて、MR3とMR4は共に、第1および第3の衝突サブフレームについて無視されると決定され、MR2とMR3は共に、第5の衝突サブフレームについて無視されると決定され、MR2だけは、第2および第4の衝突サブフレームについて無視されると決定される。図7の構成によって、60ms(60サブフレーム)内で、MR1はゼロ回無視され(0%)、MR2は4回無視され(MR2の総数の33%)、MR3は3回無視され(MR3の総数の50%)、MR4は2回無視される(MR4の総数の66%)。重要性が低いMR4は、図5の構成と比較してより多く無視されることが明らかである。
さらに、信号測定リソース(SMR:Signal Measurement Resource)と干渉測定リソース(IMR:Interference Measurement Resource)とを区別することが有利である場合がある。例えば、実際には、SMRは、IMRより重要性が高い場合がある。したがって、eNB実装は、より高い優先度をSMRに割り当てることができる。または、MR優先度は、仕様において固定されうる。例えば、SMRは、IMRより高い優先度を有するように設定されうる。図8は、SMRとIMRを区別する例を示す。この例では、MR1およびMR3はIMRであり、MR2はSMRである。このため、MR2は、MR1およびMR3より高い優先度を有する。さらに、eNBは、MR3がMR1より低い優先度を有するように設定する。図4と同じ決定方法に基づいて、MR2はSMRであるため、無視されにくい(この場合、全く無視されない)。SMRを、IMRより低い優先度を有するように設定することもできることに留意されたい。さらに、SMRとIMRとを区別する概念を、他の実施の形態に適用することもできる。
図9は、本開示の実施の形態1による無線通信装置900を示すブロック図である。無線通信装置は、UEまたはeNBとなり得る。無線通信装置900は、1サブフレーム内で設定されるMRの数が、UEが1サブフレーム内で測定できるMRの最大数を超える場合、無視するMRを決定するMR無視決定部901を含む。ここで、より低い優先度を有するMRが無視されると決定される。MRは、Nサブフレームの期間内にA回無視されずない。Aは1より大きい整数であり、Nは、(1+B*サブフレームの単位のMRの周期)に対応し、Bは1以上の整数である。
本開示による無線通信装置900は、無線通信装置900内の各構成部の種々のデータを処理し、各構成部の動作を制御する関連するプログラムを実行するためのCPU(Central Processing Unit)910、CPU910による種々の処理および制御を実施するために必要とされる種々のプログラムを記憶するためのROM(Read Only Memory)913、CPU910による処理および制御のプロシージャにおいて一時的に生成される中間データを記憶するためのRAM(Random Access Memory)915、および/または種々のプログラム、データなどを記憶するための記憶部917をさらに含むことができる。上記MR無視決定部901、CPU910、ROM913、RAM915、および/または記憶部917などは、データおよび/またはコマンドバス920を介して相互接続することができ、また、互いの間で信号を転送することができる。
上述した各構成部は、本開示の範囲を制限しない。MR無視決定部901の機能は、別個の構成部として実装することができ、上記CPU910、ROM913、RAM915、および/または記憶部917などと組み合わせて機能的なソフトウェアによって実装することもできる。
(実施の形態2)
本開示の実施の形態2は、図10に示す測定リソース(MR)を設定する無線通信方法を提供し、方法は、1サブフレーム内で設定されるMRの数が、UEが1サブフレーム内で測定できるMRの最大数を超える場合、無視するMRを決定し、より低い優先度を有するMRが無視されると決定され、MRの優先度は、MRの以前の無視に従って増加される(1001)。
最も重要性が低いMRを常に無視することを回避するために、実施の形態2は、無視に基づいて優先度を調整する方法を提供する。eNBは、初期の優先度を有する各MRを設定する。最も低い優先度を有するMRが無視されると決定されるが、現在のサブフレーム内のMRの優先度は、以前のサブフレーム内のMRの無視に従って増加される。図11は、無視に基づいて優先度を調整する例を示す。図11に示すように、最初、MR1は最も高い優先度を有し、MR3は最も低い優先度を有し、MR2は中程度の優先度を有する。MR3は、最も低い優先度を有するため、第1の衝突サブフレーム内で無視される。この無視の後、MR3の優先度は、後続するサブフレームについて(eNBによって設定されうる)一定値だけ増加される。第2の衝突サブフレームでは、MR3の優先度は、MR3の最初の無視に従って増加するが、依然としてMR2より低い(他のケースではMR3の優先度はMR2より高くなるように増加されうる)。したがって、MR3はまた無視される。そして、MR3の優先度は、後続するサブフレームについて再び増加される。したがって、第3の衝突サブフレームでは、MR3の優先度は、実際には、第1の衝突サブフレームと第2の衝突サブフレームの両方における無視に従ってMR2より高くなるように増加される。したがって、MR2は、この時点で優先度が最も低いため無視される。優先度の調整を有する実施の形態2による方法によれば、いずれのMRも常に無視されるとは限らない。さらに、MRの優先度が際限なく増加することを回避するために、eNBは、有効窓を設定することができる。有効窓は、時間窓であり、有効窓内の以前の無視のみが、現在のサブフレームにおけるMRの優先度を増加させることに考慮されるように定義される。例えば、MR3に対する有効窓が20ms(20サブフレーム)として設定され、サブフレームn(現在のサブフレーム)のMRを考慮する場合、サブフレーム(n−20)〜(n−1)の期間(有効窓)内のMRの無視のみが、サブフレームnのMRの優先度を増加させるために考慮される。このように、最近の無視だけが考慮され、MRの優先度を増加させることを回避する。
実施の形態1と同様に、実施の形態2による無線通信装置を構成することができ、その無線通信装置は、1サブフレーム内で設定されるMRの数が、UEが1サブフレーム内で測定できるMRの最大数を超える場合、無視するMRを決定する無視決定部であって、より低い優先度を有するMRが無視されると決定され、MRの優先度は、MRの以前の無視に従って増加される、無視決定部によって無視決定部901が置き換えられることを除いて、図9と同様の構成を有する。
(実施の形態3)
重要なCSI報告に関連するMRを無視することを回避するために、例えば、CSI報告が非周期的にトリガされる場合、関連するMRは、MRが非周期的トリガと、関連する上り回線(UL)CSI報告との間にあるときに無視されないとすることができる。これに鑑みて、本開示の実施の形態3は、図12に示す測定リソース(MR)を設定する無線通信方法を提供し、方法は、1サブフレーム内で設定されるMRの数が、UEが1サブフレーム内で測定できるMRの最大数を超える場合、無視するMRを決定し、より低い優先度を有するMRが無視されると決定され(1201)、チャネル状態情報(CSI)報告が非周期的にトリガされる場合、CSIに関連するMRが非周期的トリガと、関連する上り回線(UL)CSI報告との間にあるとき、CSIに関連するMRの優先度を、他のMRより高くなるように増加させる(1202)。
図13は、非周期的トリガと、関連するUL CSI報告との間のMRの例を示す。図13に示すように、MR2、MR3、およびMR4は、CSI報告に関連する。したがって、MR2、MR3、およびMR4の優先度は、非周期的トリガと、関連するUL CSI報告との間でMR1より高くなるように増加される。したがって、MR1は、この時点でその優先度が最も低いため、衝突サブフレーム内で無視される。こうして、重要なCSI報告に関連するMRを無視することが回避される。CSI報告のための非周期的トリガに関連するMRの優先度を増加させる概念が、実施の形態1、2にも適用されうることに留意されたい。
さらに、実施の形態1と同様に、実施の形態3による無線通信装置を構成することができ、その無線通信装置は、1サブフレーム内で設定されるMRの数が、UEが1サブフレーム内で測定できるMRの最大数を超える場合、無視するMRを決定する無視決定部であって、より低い優先度を有するMRが無視されると決定される、無視決定部と、非周期的にトリガされるチャネル状態情報(CSI)報告に関連するMRの優先度を、CSIに関連するMRが非周期的トリガと、関連するアップリンク(UL)CSI報告との間にあるとき、他のMRより高くなるように増加させる優先度増加部とによって無視決定部901が置き換えられることを除いて、図9と同様の構成を有しうる。
(実施の形態4)
最も重要性が低いMRを常に無視することを回避するために、本開示の実施の形態4は、測定リソース(MR)を設定する無線通信方法を提供し、方法は、1サブフレーム内で設定されるMRの数が、UEが1サブフレーム内で測定できるMRの最大数を超える場合、無視するMRを決定し、設定されるMRの各々は、ラウンド・ロビン方式で1回または複数回無視され、より低い優先度を有するMRが、より高い優先度を有するMR以上に無視される。
最初に、UEは、異なる衝突サブフレーム内で基本的なラウンド・ロビン方式で異なるMRを無視する。すなわち、設定されたMRの各々は、ラウンド・ロビン方式で、1サイクル内で1回無視される。図14は、基本的なラウンド・ロビン方式に基づく無視方法の例を示す。この例では、MR3、MR2、およびMR1は、次々に循環して無視される。具体的には、MR3が第1の衝突サブフレームで無視され、MR2が第2の衝突サブフレームで無視され、MR1が第3の衝突サブフレームで無視される。
基本的なラウンド・ロビン方式に対する改善策として、ラウンド・ロビンと優先度との組合せを使用することが可能である。換言すれば、設定されたMRの各々は、ラウンド・ロビン方式で1回または複数回無視され、より低い優先度を有するMRは、各サイクルにおいてより高い優先度を有するMR以上に無視される。図15は、組合せおよびラウンド・ロビンに基づく無視方法の例を示す。この例では、MR3は最も低い優先度を有するため、各サイクルにおいて2回無視されるように設定され、MR1およびMR2は、各サイクルにおいて1回だけ無視されるように設定される。具体的には、MR3は第1および第2の衝突サブフレームで2回無視され、MR2は第3の衝突サブフレームで1回無視され、MR1は、第4の衝突サブフレームで1回無視される。このサイクルの後、同じパターンが、次のサイクルについて繰り返されることになる。ラウンド・ロビンと優先度との組合せによって、いずれのMRも常に無視されることはなく、重要性が低いMRは、より多く無視される。
さらに、実施の形態1と同様に、実施の形態4による無線通信装置を構成することができ、その無線通信装置は、1サブフレーム内で設定されるMRの数が、UEが1サブフレーム内で測定できるMRの最大数を超える場合、無視するMRを決定する無視決定部であって、設定されるMRの各々は、ラウンド・ロビン方式で1回または複数回無視され、より低い優先度を有するMRが、より高い優先度を有するMR以上に無視される、無視決定部によって無視決定部901が置き換えられることを除いて、図9と同様の構成を有する。
本発明は、ソフトウェア、ハードウェア、またはハードウェアと連携したソフトウェアによって実現されうる。上述した各実施形態の説明で使用される各機能ブロックは、集積回路としてのLSIによって実現されうる。機能ブロックを、チップとして個々に形成することができるか、または、機能ブロックの一部または全てを含む1つのチップを形成することができる。LSIは、本明細書では、集積度の程度の差に応じて、IC、システムLSI、スーパーLSI、またはウルトラLSIと呼ぶことができる。しかし、集積回路を実装する技法は、LSIに限定されず、専用回路または汎用プロセッサを使用することによって実現することができる。さらに、LSIの製造後にプログラムされうるFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)、または、LSIの内部に配設される回路セルの接続および設定が再構成されうる再構成可能プロセッサを使用することができる。さらに、各機能ブロックの計算は、例えばDSPまたはCPUを含む計算手段を使用することによって実施することができ、各機能の処理ステップは、実行用のプログラムとして記録媒体上に記録することができる。さらに、LSIを置換する集積回路を実装するための技術が、半導体技術または他の派生技術の進歩によって現れると、こうした技術を使用することによって、機能ブロックを集積することができることが明らかである。
本発明が、本発明の内容および範囲から逸脱することなく、本明細書で提示される説明および知られている技術に基づいて当業者によってさまざまに変更または修正されることを意図され、こうした変更および適用が、保護されるように特許請求される範囲内に入ることに留意されたい。さらに、本発明の内容から逸脱しない範囲内で、上述した実施形態の構成要素を、任意に組み合わせることができる。