JP6329624B2 - 加ピロリン酸分解式配列決定法 - Google Patents

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Description

本開示は、一般的には核酸分析法、より具体的にはナノポアを用いた核酸合成法に関する。
DNA配列決定用の現在利用可能な市販プラットフォームは、比較的高価である。これらのプラットフォームは、成長中のポリマー構造に各モノマー(すなわち、ヌクレオチド)を添加し、これを検出しながらDNAポリマーが合成されることから「合成による配列決定」と呼ばれるアプローチを使用する。テンプレートDNAストランドは、新規DNAポリマーの合成を厳密に指令するので、合成期間中に成長するストランドに添加された一連のヌクレオチドモノマーから、テンプレートDNAの配列を推測することができる。モノマーの添加を検出する能力は、生体システム内でDNA合成を通常実施する生化学成分について、工学的に特別に得られた変異体により促進される。この工学的に得られた成分は作成するのに費用がかかり、また合成法による配列決定期間中、比較的大量に消費される。さらに、反応のモニタリングでは、レーザー、検出用光学機器、および複雑な液体送達システム等の比較的高価なハードウェアが用いられる。また、今日までに最も成功した市販のプラットフォームも、合成による配列決定が開始可能となる前においてさえも、DNAテンプレートを増幅するのに高価な試薬およびハードウェアを必要とする。
その他の配列決定法が、コストを削減し、スループットを高め、および/またはプロセスを単純化するために検討されてきた。これらのアプローチの1つは、DNAの単一のストランドを、ナノポアを通じて通し、そして当該ストランドが通り抜ける際に、細孔を通じて流れるイオン電流の変化からその配列を識別することに基づく。この「ナノポア−ストランド」配列決定アプローチに対する代替法として「ナノポア−エキソヌクレアーゼ」配列決定法が挙げられるが、同法は、エキソヌクレアーゼの触媒作用によってDNAストランドからヌクレオチド一リン酸を1個ずつ除去すること、そして放出されたヌクレオチド一リン酸を順次ナノポアに通過させることを含む。しかし、ナノポアを通じて流れるイオン電流に生じる変化は極めて微弱であり、1つのヌクレオチドを別のヌクレオチドと区別するのは困難である。消化前にDNAを修飾する、またはヌクレオチド一リン酸がされたら、これを修飾する試みがなされてきた。しかし、これらの努力にもかかわらず、ナノポア−エキソヌクレアーゼ配列決定法は、今日までなおも商業的に有望なレベルで実証されていない。
したがって、核酸の配列決定で現在利用可能な方法に対する代替法を提供する、より費用対効果に優れ、迅速で便利なプラットフォームに対するニーズが存在する。本開示はこの必要性に対処し、またその他の長所も提供する。
本開示は、標的核酸の配列決定法を提供する。方法は下記の各ステップを含み得る;(a)標的核酸を準備するステップ;(b)標的核酸をポリメラーゼと接触させて、標的核酸からヌクレオチド三リン酸を順次除去するステップであって、除去されるヌクレオチド三リン酸は、多様な相異なる塩基部分を有する前記ステップ;および(c)前記除去されたヌクレオチド三リン酸について前記相異なる塩基部分を識別し、それによって、標的核酸の配列を決定するステップ。
いくつかの実施形態では、標的核酸の配列決定法は、下記の各ステップを用いて実施可能である;(a)2本のストランドを有する標的核酸を準備するステップ;(b)加ピロリン酸分解によって、前記2本のストランドのうち第1のストランドからヌクレオチドを順次除去する条件下で、標的核酸をポリメラーゼと接触させ、それによって、多様な相異なる塩基部分を有するヌクレオチド三リン酸を順次生成させるステップ;および(c)前記順次生成したヌクレオチド三リン酸について、前記相異なる塩基部分を識別し、それによって、標的核酸の配列を決定するステップ。
本開示は下記要素を備える装置も提供する;(a)第1の流体リザーバーを第2の流体リザーバーから隔てる流体不透過性障壁;(b)通路を形成するために流体不透過性障壁内に配置されるナノポアであって、これを通じてヌクレオチド三リン酸が、前記第1の流体リザーバーから前記第2の流体リザーバーに通過可能であるナノポア;および(c)前記第1の流体リザーバー内の反応混合物であって、ポリメラーゼ、2本のストランドを有する標的核酸、および加ピロリン酸分解濃度のピロリン酸塩を含む反応混合物。
ナノポアに連結したポリメラーゼを用いた、加ピロリン酸分解式配列決定反応を示す図である。 ナノポアに連結したポリメラーゼおよび流体不透過性障壁に連結したテンプレート核酸を用いた、加ピロリン酸分解式配列決定反応を示す図である。 複数の核酸テンプレートをメンブレンシーディングした状態の加ピロリン酸分解式配列決定ステップを示す図である。
本開示は、標準的な合成による配列決定(SBS)技法と比較して、逆転した方式で核酸を配列決定する方法を提供する。特定の実施形態では、本開示の方法は、加ピロリン酸分解作用として知られているポリメラーゼの触媒機能を利用するが、同作用は、SBS技法において不要なアーチファクトの原因として一般的に悪者扱いされている。加ピロリン酸分解は、ポリメラーゼにより核酸ストランドからヌクレオチド三リン酸の除去を引き起こし、したがって標準SBS技法を進行させる重合反応の逆の反応である。
加ピロリン酸分解は、エキソヌクレアーゼ活性(一部のポリメラーゼに存在する)とは区別され得るが、この区別は、例えば2つの反応において触媒機構が異なること、ポリメラーゼ構造内において2つの反応が生ずる活性部位が異なること、および反応生成物が異なることに基づく。触媒機構および活性部位の差異に関して、エキソヌクレアーゼ活性は、特定のドメインをなくすことにより多くのポリメラーゼ種から除去可能であることが公知であるが、一方、加ピロリン酸分解活性は、重合を触媒するドメインと同一のドメインにより触媒されると考えられている。さらに、エキソヌクレアーゼにより触媒される反応サイクルは、DNA(長さnのDNA)からDNAn−1(長さnのDNAよりもヌクレオチド1個分短いDNA)とヌクレオチド一リン酸への変換である。対照的に、加ピロリン酸分解のサイクルは、DNAおよびピロリン酸塩からDNAn−1およびヌクレオチド三リン酸を生成する。特に、ピロリン酸塩は、加ピロリン酸分解反応で消費されるが、エキソヌクレアーゼ反応では消費されない。
加ピロリン酸分解式配列決定法の特定の実施形態は、ナノポア検出法を利用する。ナノポアは、核酸の配列を決定するために、核酸から放出されるヌクレオチド三リン酸を順次検出するのに利用可能である。かかる実施形態は、ナノポア−エキソヌクレアーゼ配列決定法またはナノポア−ストランド配列決定法では、一般的に部分的にしか満たされないいくつかの長所について、その組合せを提供する。特に、本開示の加ピロリン酸分解式配列決定法は、ストランド配列決定法に対するその主要な長所、すなわち一塩基毎の分解能を保持しつつ、ナノポア−エキソヌクレアーゼ配列決定法において遭遇するいくつかの課題、すなわち低い捕捉および検出確率に対処する。この長所は、一部のナノポアシステムにおいてシグナルを改善するのに用いられてきたam6−シクロデキストリンアダプターの存在下でも、ヌクレオチド一リン酸に対するナノポアのアフィニティーはかなり弱い(マイクロモルアフィニティーのオーダー)という事実に由来する。Clarkeら、Nat.Nanotechnol.、4月号;第4巻(4):265〜70頁(2009年)を参照。同書を本明細書に参考として援用する。配列決定において異なるヌクレオチドタイプの区別を成功させるには、ナノモル範囲のアフィニティーが望ましい。ATPは、ポア内でアダプターを使用しなくても、適正な範囲のアフィニティーを有する。Cheleyら、Chem.Biol.、第9巻、829〜838頁(2002年)を参照。同書を本明細書に参考として援用する。理論に束縛されるものではないが、ATPのアフィニティーはヌクレオチド一リン酸よりも改善しているが、これは、ATPをナノポアの内側により強固に結合せしめ得る、ATPが担持する三重の負電荷に起因するものと仮定される。さらに、三重の負電荷は、ヌクレオチドが実際に放出されるナノポア外部の場合のように、特に電場が非常に微弱のとき、電場存在下で分子の捕捉に役立つ可能性がある。
ヌクレオチド三リン酸の捕捉および検出強化に加えて、例えばエキソヌクレアーゼではなくポリメラーゼを使用する等の、本明細書に記載する実施形態により提供され得るいくつかのその他の長所が存在する。ポリメラーゼは、ナノポア−ストランド配列決定法の目的に照らして、ナノポアと良好な「適合」を形作ることが明らかにされた(Cherfら、Nat.Biotech.、第30巻:344〜348頁(2012年);Manraoら、Nat.Biotech.、第30巻:349〜353頁(2012年)、それぞれを本明細書に参考として援用する)。同様に良好な適合は、エキソヌクレアーゼについてもやはり実証されている。さらに、ポリメラーゼの基質は、一般的にナノポアに進入しない二本鎖DNAである。対照的に、一本鎖DNAはほとんどのエキソヌクレアーゼの基質であり、ナノポアに進入し、これをブロッキングする問題を惹起し得る。最終的に、エキソヌクレアーゼに基づく配列決定法またはポリメラーゼに基づくストランド配列決定法のいずれとも異なり、加ピロリン酸分解式配列決定法の反応速度は、ピロリン酸塩濃度を調整することにより制御され得る。
本明細書で用いられる用語は、別途規定しない限り、通常の意味として捉えられるものと理解される。本明細書で用いられるいくつかの用語の例およびその定義を下記に規定する。
本明細書で用いる場合、用語「連結した」とは、拡散による分離を防止する力によって結合していることを意味するように意図されている。当該用語は、共有結合的性質または非共有結合的性質を有する結合を含み得る。例えば、2つのタンパク質は、それらの一次配列(例えば、ペプチド結合またはタンパク質融合)を貫いて、またはそれらの一次配列(例えば、ジスルフィド結合またはアミノ酸のR基を介する化学的架橋)の間で、共有結合的に連結し得る。2つのタンパク質は、例えば1つまたは複数の水素結合、イオン結合、ファンデルワールス力、疎水結合等により、非共有結合的に連結し得る。
本明細書で用いる場合、用語「各」は、項目の集合を参照して用いられるとき、集合内の個々の項目を識別するように意図されているが、集合内のあらゆる項目を必ずしも意味するものではない。明示的な開示または文脈により、別途明確に規定される場合には、例外も生じ得る。
本明細書で用いる場合、用語「エキソヌクレアーゼ活性」は、長さnの核酸の端部にヌクレオチドを連結するホスホジエステル結合の加水分解を意味するように意図されており、この加水分解によりヌクレオチド一リン酸と長さn−1の核酸とが生成する。加水分解は、5’ヌクレオチドを核酸に連結する結合(すなわち、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性)、または3’ヌクレオチドを核酸に連結する結合(すなわち、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性)において生じ得る。
本明細書で用いる場合、用語「流体不透過性障壁」は、流体の通過を阻止するあらゆるものを意味するように意図されている。例えば、流体不透過性障壁は、第1のリザーバー内の流体が第2のリザーバー内の流体から隔てられ、そしてこれらの流体が混合しないように、2つのリザーバーの間に存在し得る。流体不透過性障壁は、流体通過が可能となるポアまたは開口部を含み得るが、そうでなければ流体通過は残りの障壁により妨害される。特定の実施形態では、流体は水性の流体であり得、また障壁は、水性の流体に対して不透過性であり得る。
本明細書で用いる場合、用語「エキソヌクレアーゼ活性を欠く」とは、測定可能なエキソヌクレアーゼ活性を有さないことを意味するように意図されている。例えば、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠くポリメラーゼまたはその他の薬剤は、測定可能な3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有さない。同様に、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠くポリメラーゼまたはその他の薬剤は、測定可能な5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有さない。「エキソマイナス」(または「exo−」)として当技術分野において公知のポリメラーゼは、天然由来または工学由来かを問わず、エキソヌクレアーゼ活性を欠くポリメラーゼの非限定的な事例である。公知の変異体として、5’→3’エキソマイナス、および/または3’→5’エキソマイナスである変異体が挙げられる。
本明細書で用いる場合、用語「ナノポア」とは、ヌクレオチド三リン酸が、不透過性障壁であってもこれを例外的に横断して通過するのを可能にする小さな穴を意味するように意図されている。障壁は、一般的に電気絶縁層であり、またナノポアは、一般的にイオンが障壁の一方の側から他方の側に流出するのを可能にするが、これは印加電位により駆動される。ナノポアは、好ましくは、ヌクレオチドが印加電位に沿ってナノポアの管腔を通じて流出するのを可能にする。ナノポアは、DNAまたはRNA等の核酸が、ナノポアの管腔を通じて押し出され、または引き出されることも可能にし得る。しかし、特定の実施形態では、ナノポアは、二本鎖または一本鎖の核酸の通過を可能にする必要はない。特定の実施形態で用いられるナノポアは、10nm、5nm、4nm、3nm、2nm、1nm、0.5nm以下の最低管腔径を有し得る。ナノポアの1つのタイプとして、脂質二重層等の障壁を横断してヌクレオチド三リン酸が通過するのを可能にする小さな穴を形成するポリペプチドまたはポリペプチドの集合である「タンパク質ナノポア」が挙げられる。タンパク質ナノポアの例として、αヘモリジンナノポア、マイコバクテリウム・スメグマチス(mycobacterium smegmatis)ポリンA(MspA)およびその変異体が挙げられる。ナノポアの別のタイプとして、固体材料から作製される小さな穴である「ソリッドステートナノポア」が挙げられる。固体材料は、例えばグラフェンまたはシリコンであり得る。
本明細書で用いる場合、用語「ヌクレオチド」は、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、またはその類似体が含まれるように意図されている。例えば、当該用語は、塩基部分および任意選択的に1つまたは複数のリン酸塩部分に連結した塩基部分を含め、ヌクレオシド部分(リボース、デオキシリボース、またはその類似体であるかを問わない)を一般的に意味するように本明細書では用いられる。代表的なヌクレオチドには、リボヌクレオチド一リン酸(時に、リボヌクレオシド一リン酸と呼ばれる)、リボヌクレオチド二リン酸(時に、リボヌクレオシド二リン酸と呼ばれる)、リボヌクレオチド三リン酸(時に、リボヌクレオシド三リン酸と呼ばれる)、デオキシヌクレオチド一リン酸(時に、デオキシヌクレオシド一リン酸と呼ばれる)、デオキシヌクレオチド二リン酸(時に、デオキシヌクレオシド二リン酸と呼ばれる)、およびデオキシヌクレオチド三リン酸(時に、デオキシヌクレオシド三リン酸と呼ばれる)が含まれるが、ただしこれらに限定されない。DNA成分からRNA成分を区別したいときに、これらを明確化する場合、用語「リボヌクレオチド」は、RNAヌクレオチド、例えばリボウリジン三リン酸、リボグアニジン三リン酸、リボシチジン三リン酸、またはリボアデノシン三リン酸等を特定するのに利用可能である;および用語「デオキシヌクレオチド」は、DNAヌクレオチド、例えばデオキシチミジン三リン酸、デオキシグアニジン三リン酸、デオキシシチジン三リン酸、およびデオキシアデノシン三リン酸等を特定するのに利用可能である。特定の実施形態では、ヌクレオチドは、「伸長可能」であり、例えば3’ヒドロキシルまたはヌクレオチド上の任意のその他の位置において、伸長ブロッキング部分を欠いている。
本明細書で用いる場合、用語「加ピロリン酸分解」は、対応するヌクレオチド三リン酸の形態でヌクレオチドを放出する、ピロリン酸塩と核酸の3’−ヌクレオチドユニットとの間の反応を意味するように意図されている。当該反応のさらなる生成物は、対応するヌクレオチド欠く核酸である(すなわち、当該反応は、長さnの核酸を長さn−1の核酸に変換する)。当該反応は、一般的にポリメラーゼにより触媒され、また標準的な生物学的条件下で、ポリメラーゼにより実施される重合反応の逆反応である。
本明細書で用いる場合、用語「加ピロリン酸分解濃度(pyrophosphorolytic concentration)」は、ピロリン酸塩と関連して用いられる場合、加ピロリン酸分解反応を相当なレベルで生じさせるピロリン酸塩の濃度を意味するように意図されている。例えば、ピロリン酸塩が加ピロリン酸分解濃度のとき、ポリメラーゼが示す加ピロリン酸分解速度は重合反応より高速となり得る。したがって、ピロリン酸塩が加ピロリン酸分解濃度のとき、ポリメラーゼにより別途触媒されるはずの重合活性は、相当なレベルで逆転し得る。
本明細書で用いる場合、用語「リザーバー」は、流体の流れを保持する、または制限する容器またはチャンバーを意味するように意図されている。リザーバーは、少なくとも一時的には、完全に密閉され得る。あるいは、リザーバーは、例えば1つまたは複数の開口部(例えば、1つまたは複数の入口または出口)を有し、部分的に密閉され得る。流体は、例えばリザーバーがフローセル内にある実施形態では、リザーバーを通じて流出し得る。
本明細書で用いる場合、用語「種」は、同一の化学構造を共有する分子を識別するのに用いられる。例えば、ヌクレオチドの混合物は、いくつかのdCTP分子を含み得る。dCTP分子は、相互に同一の種であると理解される。同様に、同一のヌクレオチド配列を有する個々のDNA分子は、同一の種である。
下記および特許請求の範囲で列挙した実施形態は、上記定義を踏まえて理解され得る。
本開示は、標的核酸の配列決定法を提供する。方法は下記の各ステップを含み得る;(a)標的核酸を準備するステップ;(b)前記標的核酸をポリメラーゼと接触させて、前記標的核酸からヌクレオチド三リン酸を順次除去するステップであって、除去されるヌクレオチド三リン酸は、多様な相異なる塩基部分を有するステップ;および(c)前記除去されたヌクレオチド三リン酸について前記相異なる塩基部分を識別し、それによって、標的核酸の配列を決定するステップ。
いくつかの実施形態では、標的核酸の配列決定法は、下記の各ステップを用いて実施可能である;(a)2本のストランドを有する標的核酸を準備するステップ;(b)加ピロリン酸分解によって、2本のストランドのうち第1のストランドからヌクレオチドを順次除去する条件下で、標的核酸をポリメラーゼと接触させ、それによって多様な相異なる塩基部分を有するヌクレオチド三リン酸を順次生成させるステップ;および(c)順次生成したヌクレオチド三リン酸について、相異なる塩基部分を識別し、それによって、前記標的核酸の配列を決定するステップ。
代表的な実施形態を図1に示す。示す通り、ポリメラーゼは、二本鎖DNA分子に結合し、そして過剰のピロリン酸塩の存在下で、一方のストランドの3’末端からヌクレオチド三リン酸を放出する加ピロリン酸分解反応を触媒する。この事例では、デオキシグアニジン三リン酸が生成し、その後にデオキシチミジン三リン酸が続く。ポリメラーゼはナノポアに結合し、そしてデオキシグアニジン三リン酸は、ナノポアの管腔内にあるが、一方、デオキシチミジン三リン酸は、ナノポア管腔内に放出されるプロセスの最中である。このように、デオキシヌクレオチド三リン酸は、ポリメラーゼの加ピロリン酸分解作用により、DNAストランドから放出された順番と同一の順番で、ナノポア内に順次進入する。デオキシヌクレオチド三リン酸は、三リン酸に起因する正味負電荷を有し、メンブレンを横断する電位(加ピロリン酸分解が生ずるメンブレン側のプラスの表示、およびメンブレンと反対側のマイナスの表示で示すように)によって、ナノポアを通過せしめられる。一般的に、試薬のヌクレオチド三リン酸は、加ピロリン酸分解反応では存在しない。場合によっては、微量のヌクレオチド三リン酸が、ただしポリメラーゼによるフォワードプライマー伸長反応を実質的に触媒しない量で、存在し得る。したがって、ほとんどの実施形態では、加ピロリン酸分解反応において実質的に存在するヌクレオチド三リン酸は、核酸上で生じるポリメラーゼの触媒作用により生成するものに限定される。
テンプレートストランド(すなわち、加ピロリン酸分解によって切断されないストランド)がメンブレンに結合した点を除き、類似した反応を図2に例示する。この場合、テンプレートストランドは、メンブレンの脂質二重層からなる疎水性の内部と結合するステロール部分(例えば、コレステロール)に共有結合的に連結している。
本開示の方法は、任意の様々な標的核酸で利用可能である。標的核酸は、例えばDNAまたはRNAに見出されるような天然由来の構造を有し得る。DNAは、チミン、グアニン、シトシン、またはアデニン塩基を有するモノマーを本来含有する。加ピロリン酸分解の対象とされるDNAストランドは、デオキシチミジン三リン酸、デオキシグアニジン三リン酸、デオキシシチジン三リン酸、およびデオキシアデノシン三リン酸をそれぞれ生成し得る。また、DNAは、4つのヌクレオチド塩基のいくつかの変異体、例えば5−メチルシトシン、5−ヒドロキシメチルシトシン、およびその他のメチル化された塩基等も含み得る。このような変異体塩基を有するデオキシヌクレオチド三リン酸は、本明細書に記載する方法または装置を用いて生成および/または検出され得る。例えば、シトシンにおけるメチル化の有無は、エピジェネテッィク分析を促進するために区別され得る。RNAは、ウラシル、グアニン、シトシン、またはアデニン塩基を有するモノマーを本来含有する。加ピロリン酸分解の対象とされるRNAストランドは、リボウリジン三リン酸、リボグアニジン三リン酸、リボシチジン三リン酸、またはリボアデノシン三リン酸をそれぞれ生成し得る。
核酸は、非天然の修飾物、例えば非天然の塩基、リン酸塩部分の修飾物、または糖部分の修飾物等を含み得る。核酸に含まれ得る代表的な非天然の塩基として、天然骨格または類似構造を有する、有さないに関わらず、イノシン、キサタニン、ヒポキサタニン、イソシトシン、イソグアニン、2−アミノアデニン、6−メチルアデニン、6−メチルグアニン、2−プロピルグアニン、2−プロピルアデニン、2−チオリラシル(thioLiracil)、2−チオチミン、2−チオシトシン、15−ハロウラシル、15−ハロシトシン、5−プロピニルウラシル、5−プロピニルシトシン、6−アゾウラシル、6−アゾシトシン、6−アゾチミン、5−ウラシル、4−チオウラシル、8−ハロアデニンまたはグアニン、8−アミノアデニンまたはグアニン、8−チオールアデニンまたはグアニン、8−チオアルキルアデニンまたはグアニン、8−ヒドロキシルアデニンまたはグアニン、5−ハロ置換型ウラシルまたはシトシン、7−メチルグアニン、7−メチルアデニン、8−アザグアニン、8−アザアデニン、7−デアザグアニン、7−デアザアデニン、3−デアザグアニン、3−デアザアデニン等が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。
非天然の塩基は、得られたヌクレオチド三リン酸類似体のナノポアまたはその他の検出用成分により区別する能力に影響を及ぼすために、例えばより大型もしくは小型のサイズが得られるように、または電荷が増加もしくは減少するように選択され得る。同様に、所望の加ピロリン酸分解速度が得られるように選択される場合には、かかる塩基は有益であり得る。非天然の塩基は、公知の方法、例えばヌクレオチド類似体の存在下でのテンプレート核酸の増幅または複製等を用いて核酸に組み込み可能である。1つまたは複数の得られた核酸コピーは、次に本明細書に記載の装置または配列決定法で標的核酸(複数可)として利用可能である。
特定の実施形態では、本明細書の方法または装置で用いられる核酸は、本明細書に記載する1つまたは複数の非天然の塩基またはその他の非天然の部分を欠く。例えば、特定の実施形態では、方法は、核酸ストランドの3’末端から転写終結ヌクレオチドを除去するのに利用されない。したがって、いくつかの実施形態では、装置または方法は、3’末端に転写終結ヌクレオチドを有する核酸(複数可)を一切含まない可能性がある。代替的または付加的に、いくつかの実施形態では、装置または方法は、転写終結ヌクレオチド(複数可)を一切含まない可能性がある。
図1に、また本明細書に別途例示するように、標的核酸は、例えば加ピロリン酸分解用にDNAポリメラーゼを用いる際には、二本鎖DNAであり得る。DNAストランドとRNAストランドの間で形成されるヘテロ二本鎖も利用可能である。例えば、RNAポリメラーゼは、DNAテンプレートストランドにハイブリダイズするRNAストランドの3’末端において加ピロリン酸分解を触媒するのに利用可能であり、こうしてリボヌクレオチド三リン酸が生成する。
本明細書の方法または装置で用いられる核酸は、生物由来物質から単離され得るが、またこれはそのまま用いられる、または増幅もしくは修飾された生成物を生成するために処理される。あるいは合成核酸が、やはりそのまま、または処理後に利用可能である。処理には、例えば1つまたは複数の天然成分からの単離、断片を形成するための切断、増幅(例えば、PCR、ローリングサークル、またはその他の公知技法による)、アダプター配列もしくはタグ配列のライゲーション、トランスポゾンを用いたタグメンテーション、または核酸配列決定技法前に用いられる「サンプル調製」法が含まれ得る。有用な処理技法は、例えばSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory、New York(2001年)、またはAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons、Baltimore、Md.(1998年)に記載されるように、当技術分野において公知であり、上記各文献を本明細書に参考として援用する。
加ピロリン酸分解に基づく配列決定の前に、核酸を処理するのに利用可能であるサンプル調製法の例として、超並列配列決定技法と組み合わせて全ゲノム増幅または全エキソーム増幅用として開発された方法が挙げられる。例えば、Illumina、Inc.(San Diego、CA)、Life Technologies社(Carlsbad、CA)、454 Life Sciences社(Roche子会社、Basel、Switzerland)、またはNew England Biolabs社(Ipswich、MA)の市販サンプル調製技法が利用可能である。利用可能なさらなる有用サンプル調製法は、例えば米国特許第6,107,023号または同第7,741,463号;または米国特許出願公開第2010/0120098A1号に記載されており、上記各号を本明細書に参考として援用する。標的化サンプル調製法も、後続する配列決定用として、複合サンプルの配列内容について、その部分集合を単離するために利用可能である。核酸断片の部分集合を標的捕捉するのに利用可能である代表的な市販方法として、SureSelect(商標)キット(Agilent、Santa Clara、CA)、TruSeq(登録商標)Enrichmentキット(Illumina、Inc.、San Diego、CA)またはNextera(登録商標)Enrichmentキット(Illumina、Inc.、San Diego、CA)が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。
核酸は、哺乳動物、例えば齧歯類、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、有蹄動物、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、ネコ、イヌ、霊長類、ヒト、もしくはヒト以外の霊長類等;植物、例えばシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、トウモロコシ(Zea mays)、ソルガム、エンバク(oryza sativa)、小麦、米、キャノーラ、もしくは大豆等;藻類、例えばコナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)等;線虫、例えばカエノラブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)等;昆虫類、例えばキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)、蚊、ミバエ、ミツバチ、もしくはクモ等;魚類、例えばゼブラフィッシュ(Danio rerio)等;爬虫類;両生動物、例えばカエルもしくはツメガエル(Xenopus laevis)等;タマホコリ(dictyostelium discoideum);菌類、例えばニューモシスティス・カリニ(pneumocystis carinii)、トラフグ(Takifugu rubripes)、酵母菌、サッカロマイセス・セレビシエ(原文:Saccharamoyces cerevisiae)、もしくはシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)等;または熱帯熱マラリア原虫(plasmodium falciparum)を含む、ただしこれらに限定されない任意の様々な起源から単離され得る。核酸は、より小型のゲノム、例えばバクテリア、大腸菌、ブドウ球菌(staphylococci)、もしくはマイコプラズマ肺炎(mycoplasma pneumoniae)等の原核生物;古細菌;C型肝炎ウイルスもしくはヒト免疫不全ウイルス等のウイルス;またはビロイドに由来するゲノム等にも由来し得る。
任意の様々なポリメラーゼが、例えば生体系およびその機能的変異体から単離されたタンパク質ベースの酵素を含め、本明細書に記載する方法または装置で利用可能である。特定のポリメラーゼ、例えば以下に例示するもの等を参照する場合、別途明記しない限り、その機能的変異体が含まれるものと理解される。有用なポリメラーゼの例として、DNAポリメラーゼおよびRNAポリメラーゼが挙げられる。代表的なDNAポリメラーゼとして、構造的な相同性によりA、B、C、D、X、Y、およびRTとして識別されるファミリーに分類されるポリメラーゼが挙げられる。ファミリーAのDNAポリメラーゼには、例えばT7 DNAポリメラーゼ、真核性ミトコンドリアDNAポリメラーゼγ、大腸菌(E.coli)DNA Pol I、テルムス・アクウァーティクス(Thermus aquaticus)Pol I、およびバチルス・ステアロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)Pol Iが含まれる。ファミリーBのDNAポリメラーゼには、例えば真核性DNAポリメラーゼα、δ、およびε;DNAポリメラーゼζ;T4 DNAポリメラーゼ、Phi29 DNAポリメラーゼ、およびRB69バクテリオファージDNAポリメラーゼが含まれる。ファミリーCには、例えば、大腸菌DNAポリメラーゼIIIαサブユニットが含まれる。ファミリーDには、例えば古細菌のユリアーケオタ門サブドメインに由来するポリメラーゼが含まれる。ファミリーXのDNAポリメラーゼには、例えば真核性ポリメラーゼPolβ、polσ、Polλ、およびPolμ、およびS.cerevisiaeのPol4が含まれる。ファミリーYのDNAポリメラーゼには、例えばPolη、Polι、Polκ、大腸菌Pol IV(DINB)および大腸菌Pol V(UmuD’2C)が含まれる。DNAポリメラーゼのRT(逆転写酵素)ファミリーには、例えばレトロウイルス逆転写酵素および真核性テロメラーゼが含まれる。代表的なRNAポリメラーゼには、T7 RNAポリメラーゼ等のウイルスRNAポリメラーゼ;真核性RNAポリメラーゼ、例えばRNAポリメラーゼI、RNAポリメラーゼII、RNAポリメラーゼIII、RNAポリメラーゼIV、およびRNAポリメラーゼV等;ならびに古細菌RNAポリメラーゼが含まれるが、ただしこれらに限定されない。
上記分類は、説明目的で設けられている。分類システムの変更もあり得ると理解されたい。例えば、少なくとも1つの分類システムでは、ファミリーCのポリメラーゼは、ファミリーXの下部カテゴリーとして分類されてきた。さらに、ポリメラーゼは、機能的かまたは構造的かによらず、上記で例示した構造的な特徴と重複し得るまたはし得ないその他の特徴により分類され得る。いくつかの代表的な特徴について、以下でさらに詳細に記載する。
多くのポリメラーゼは、いくつかの実施形態において有用であり得る、内因性の3’→5’プルーフリーディングエキソヌクレアーゼ活性を有する。3’→5’プルーフリーディングエキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠くポリメラーゼが、いくつかの実施形態、例えばほとんどの配列決定に関する実施形態で好ましい。エキソヌクレアーゼ活性が存在しないことは、野生型の特徴、または変異体もしくは工学的に得られたポリメラーゼによりもたらされる特徴であり得る。例えば、エキソマイナスKlenow断片は、3’→5’プルーフリーディングエキソヌクレアーゼ活性を欠くKlenow断片の突然変異バージョンである。Klenow断片およびそのエキソマイナス変異体は、本明細書に記載する方法または装置において有用であり得る。同一活性部位で生じる重合の真逆の反応である加ピロリン酸分解を触媒するポリメラーゼは、特に有用である。
用いられる実施形態に応じて、ポリメラーゼは、好熱性または熱失活性のいずれかであり得る。好熱性ポリメラーゼは、高温条件またはサーモサイクリング条件、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技法で採用される条件等において一般的に有用である。好熱性ポリメラーゼの例として、9°N DNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼ、Phusion(登録商標)DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、RB69 DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、およびVentR(登録商標)DNAポリメラーゼが挙げられるが、ただしこれらに限定されない。非好熱性微生物から単離されたほとんどのポリメラーゼは、熱失活性である。熱失活は、本明細書に記載する配列決定反応を停止するのに有用であり得る。しかるべく許容される温度で、反応にポリメラーゼ供給を新たに追加することにより、反応は任意選択的に再開可能である。熱失活性ポリメラーゼの例として、ファージ由来のものが挙げられる。任意の様々な起源に由来するポリメラーゼが、高温条件に対するそれらの耐性を増減するために修飾され得るものと理解される。
加ピロリン酸分解活性強化型の工学的に得られたポリメラーゼの変異体が利用可能である。代表的な変異体として、PCR技法で用いるために生み出されたものが挙げられるが、これには米国特許第8,071,536号に記載されている変異体が非限定的に含まれ、同号を本明細書に参考として援用する。
ポリメラーゼは、本明細書に記載する方法で、加ピロリン酸分解によって2本の核酸ストランドのうちの一方からヌクレオチドを順次除去するように誘導可能である。ポリメラーゼは、加ピロリン酸分解を生じせしめる条件下に置くことができる。例えば、ポリメラーゼは、二本鎖の核酸および加ピロリン酸分解濃度のピロリン酸塩と接触することができる。加ピロリン酸分解反応を相当なレベルで生じせしめる任意の濃度のピロリン酸塩が利用可能であり、その濃度として少なくとも約100μMのピロリン酸塩が挙げられるが、ただしこれに限定されない。より高濃度のピロリン酸塩が、例えばより高速度で加ピロリン酸分解を進行させるために、採用され得る。したがって、少なくとも約250μMのピロリン酸塩、少なくとも約500μMのピロリン酸塩、少なくとも約750μMのピロリン酸塩、少なくとも約1mMのピロリン酸塩、少なくとも約2mMのピロリン酸塩、少なくとも約5mMのピロリン酸塩、少なくとも約10mMのピロリン酸塩、少なくとも約20mMのピロリン酸塩、またはそれ以上の濃度が利用可能である。
加ピロリン酸分解速度を変化させることができれば、例えば所与の検出デバイスについて最適なまたは所望のヌクレオチド三リン酸検出速度を設定するために、配列決定反応速度を調節する際に有利である。例えば、加ピロリン酸分解速度は、上記濃度より低濃度のピロリン酸塩を用いて低下させることができる。したがって、上記閾値濃度に代替するまたは付加するものとして、本明細書に記載する装置または方法において存在する最大濃度のピロリン酸塩は、最大で約20mMのピロリン酸塩、最大で約10mMのピロリン酸塩、最大で約5mMのピロリン酸塩、最大で約2mMのピロリン酸塩、最大で約1mMのピロリン酸塩、最大で約750μMのピロリン酸塩、最大で約500μMのピロリン酸塩、最大で約250μMのピロリン酸塩、最大で約100μMのピロリン酸塩、またはそれ以下であり得る。
試薬のヌクレオチド三リン酸は、加ピロリン酸分解条件下では一般的に存在しない。したがって、ほとんどの実施形態では、加ピロリン酸分解反応中に実質的に存在するヌクレオチド三リン酸は、核酸上で働くポリメラーゼの触媒作用により生成したものに限定される。ヌクレオチド三リン酸が、加ピロリン酸分解条件下で存在する場合には、ヌクレオチド三リン酸は、非触媒濃度と考えられ得る濃度で存在する。ヌクレオチド三リン酸の非触媒濃度とは、相当なまたは検出可能なポリメラーゼ伸長活性の発現を可能にするには不十分な濃度である。例えば、ヌクレオチド三リン酸の非触媒濃度は、ヌクレオチド三リン酸がポリメラーゼと結合するための会合結合定数に実質的に満たない濃度である。したがって、加ピロリン酸分解は、加ピロリン酸分解濃度のピロリン酸塩および非触媒濃度以下のヌクレオチド三リン酸の存在下で、ポリメラーゼを二本鎖の核酸と接触させることにより実施可能である。
本明細書で利用可能な、加ピロリン酸分解を誘発するための代表的な条件は、Patelら、Biochem.、第30巻:511〜525頁(1991年)、または米国特許第7,090,975号;同第7,914,995号、または同第8,071,536号に記載されており、そのそれぞれを本明細書に参考として援用する。いくつかのケースでは、これらの参考資料は、核酸の伸長で用いられる成分も含む反応について記載する。伸長は、本開示の特定の実施形態では利用されないと理解される。Patelら、Biochem.、第30巻:511〜525頁(1991年)、または米国特許第7,090,975号;同第7,914,995号、または同第8,071,536号に記載されている1つまたは複数の成分は、例えばポリメラーゼ伸長反応で用いられる成分を含め、本明細書に記載する方法または装置から除外可能である。
ポリメラーゼの保存または反応混合物に一般的に含まれるバッファー、塩、金属イオン、グリセロール、DMSO、およびその他の成分は、要望に応じて本開示の装置または方法に含まれ得る。含まれる成分の数量または分量は、当業者にとって明白である、または例えばルーチン漸増技法により決定可能である。
いくつかの実施形態の有益な態様は、反応条件を変化させて加ピロリン酸分解を阻害することにより、配列決定法を停止するまたは休止する能力である。配列決定法は、次に反応条件を変化させて加ピロリン酸分解の再開を可能にすることにより任意選択的に再度開始可能である。本明細書または本明細書で引用した参考資料に記載する任意の様々な反応条件は、加ピロリン酸分解の休止と加ピロリン酸分解の再開の間で変更可能であり、こうして、配列決定の休止と稼働の間で、それぞれ有効なトグリングを可能にする。
特定の実施形態では、本開示の方法は、ピロリン酸塩を、加ピロリン酸分解を触媒するポリメラーゼとの接触から遠ざけて、ヌクレオチド三リン酸の連続的な生成を休止するステップと、その後に、ポリメラーゼをピロリン酸塩と接触させてヌクレオチド三リン酸の連続的な生成を再開するステップを含み得る。ピロリン酸塩は、例えば、一定分量の流体のピペッティング、陽圧または陰圧下(例えば、ポンプまたは重力による)での流体ボーラス移動、電気泳動、等速電気泳動、液滴操作(例えば、エレクトロウェッティング)等を含め、用いられる流体系にふさわしい技法を用いて反応に送達され得る。類似した流体技法が、例えば洗浄溶液を用いた置換および/または交換により、ピロリン酸塩を除去するのに利用可能である。もちろん、かかる流体技法は、本明細書に記載する方法および装置で用いられるその他の成分を添加または除去するのに利用可能である。
上記流体法に代替してまたは付加して、ピロリン酸塩は、封鎖、分解、または不活性化により、反応から除去され得る。例えば、金属イオン封鎖剤への吸着、または熱、光、または電気による分解等の物理的操作が利用可能である。化学的方法は、ピロリン酸塩の構造または活性を修飾する、または分子を分解するのに利用可能である。酵素的方法においては、例えば米国特許第4,800,159号および同第5,498,523号でPCR反応について、ならびに米国特許第4,962,020号ではゲルベースの配列決定反応について示すように、ピロホスファターゼによる分解等も利用可能であり、上記各号を本明細書に参考として援用する。
上記技法に代替してまたは付加して、加ピロリン酸分解は、その他の反応成分を除去することにより中止または休止され得る。例えば、ポリメラーゼは、反応から除去され、また任意選択的に置き換わる、または活性な状態に戻され得る。例えば、ポリメラーゼは、流体的方法、封鎖、分解、または不活性化による方法、例えばピロリン酸塩について上記例示した方法等により除去され得る。特定の実施形態では、熱感受性(非好熱性)ポリメラーゼが、加ピロリン酸分解反応で利用可能であり、次に熱により不活性化可能である。同様に、ポリメラーゼは、化学修飾または酵素的分解により(例えば、プロテアーゼにより)分解可能である。物理的、化学的、または酵素的技法のいずれの技法により分解されたかに関わらず、消費されたポリメラーゼは洗浄可能であり、次に新たなポリメラーゼを配列決定の対象とされる核酸に添加することにより、加ピロリン酸分解が再開可能である。ポリメラーゼ活性は、阻害剤の添加および除去により、熱的に安定なポリメラーゼについて許容温度と非許容温度の間でトグリングすることにより、または金属イオン封鎖剤もしくは競合的基質の有無によっても、トグリング可能である。加ピロリン酸分解は、配列決定の対象とされる核酸の変性および復元それぞれによっても、中止および開始可能である。
方法および装置では、加ピロリン酸分解を進行させるためにピロリン酸塩を使用する実施形態について本明細書で例示したが、ピロリン酸塩の類似体も代替利用可能であると理解される。代表的な類似体としてピロバナジン酸塩が挙げられ、これは、例えばAkabayovら、J.Biol.Chem.、第286巻:29146〜29157頁(2011年)の記載に従い利用可能であり、上記文献を本明細書に参考として援用する。さらなる事例として、追加部分を有するピロリン酸塩の類似体が利用可能である。一般的にピロリン酸塩類似体は、加ピロリン酸分解を完全に阻害しない、または得られたヌクレオチド三リン酸もしくはその類似体がナノポアを通過するのを完全に阻害しないものが選択される。しかし、ピロリン酸塩類似体は、加ピロリン酸分解および/またはナノポア検出の特徴を変化させ得る。例えば、加ピロリン酸分解を減速または加速して、所望のまたは最適な検出速度を実現するために、ピロリン酸塩類似体を使用することが有益であり得る。同様に、ピロリン酸塩類似体が加ピロリン酸分解反応で用いられる場合、その結果得られるヌクレオチド三リン酸の類似体も、ナノポア検出のための所望の特徴をもたらし得る。例えば、二リン酸単独と比較して、電荷またはサイズが変化した部分は、ヌクレオチド三リン酸類似体がナノポアを通過する速度を増減し得る、さもなければヌクレオチド三リン酸類似体とナノポアとの相互作用を変化させて、配列決定結果の改善を実現し得る。
しかし、いくつかの実施形態において、本開示の方法または装置では、任意の追加部分を有するピロリン酸塩が除外される。例えば、光学的に検出可能な部分、例えば蛍光性の部分等を欠くピロリン酸塩が利用可能である。
特定の実施形態では、ヌクレオチド三リン酸は、ナノポアを用いて検出される。例えば、加ピロリン酸分解によって核酸から順次除去されるヌクレオチド三リン酸は、検出目的でナノポアを通過させることができる。ふさわしいナノポアを使用することにより、ヌクレオチド三リン酸の異なる塩基部分が区別可能であり、配列検出を可能にする。一般的に、物理的障壁により隔てられた第1および第2のコンパートメントを備える装置が利用可能であり、この場合、当該障壁は1つまたは複数のナノポアを有する。第1のコンパートメントは、加ピロリン酸分解反応で用いられる成分を含み得る。装置は、ヌクレオチド三リン酸を、ポアを通じて第1のコンパートメントから第2のコンパートメントに移動せしめるために、障壁を横断して電場を負荷するように構成され得る。装置は、ナノポアを通過するヌクレオチド三リン酸の電子信号を測定するように構成され得る。したがって、有用な装置は、電位を負荷する能力ならびに障壁およびナノポアを横断する電気信号を測定する能力を有する電気回路を備えることができる。方法は、パッチクランプまたは電圧クランプを用いて実施され得る。
本開示の方法は、ポアが障壁を貫通する任意の適する系を用いて実施可能である。障壁は、多くの実施形態では、好ましくは脂質二重層である。脂質二重層は、例えばMontalおよびMueller、Proc.Natl.Acad.Sci.、米国、第69巻:3561〜3566頁(1972年)、または国際公開第2008/102120号に記載されるような、当技術分野において公知の方法を用いて形成可能であり、上記各文献を本明細書に参考として援用する。脂質二重層は、リン脂質、糖脂質、コレステロール、およびその混合物を含む、ただしこれらに限定されない、任意の様々な脂質から形成され得る。
利用が可能である代表的なナノポアとして、例えばαヘモリジンナノポア、マイコバクテリウム・スメグマチス ポリンA(MspA)およびその変異体等のタンパク質ベースのナノポアが挙げられる。αヘモリジンナノポアおよび特に有用な天然のナノポアの変異体が、例えば米国特許出願公開第2011/0229877A1号、または米国特許第6,916,665号;同第7,867,716号;同第7,947,454号;または同第8,105,846号に記載されており、上記各号を本明細書に参考として援用する。MspAおよび特に有用な天然のナノポアの変異体は、例えば米国特許出願公開第2012/0055792A1号に記載されており、同号を本明細書に参考として援用する。ソリッドステートナノポアも、例えば米国特許第6,413,792号;同第7,444,053号;または同第7,582,490号に記載されているものを含め、有用であり得、上記各号を本明細書に参考として援用する。
ヌクレオチド三リン酸の検出では、各種ヌクレオチド三リン酸に固有の方法で、ナノポアを経由する電流変化を引き起こすナノポアとの相互作用を利用することができる。例えば、第1のヌクレオチド三リン酸種は、ある一定期間または所定の程度でナノポアを通じた電流を低減し得る。ヌクレオチド三リン酸の第2の種は、ナノポアを通過する際に生ずる電流変化の一定期間が異なるまたは程度が異なることから区別され得る。したがって、ヌクレオチド三リン酸種が異なれば、それらはナノポアを通じた電流の特徴的変化に基づき区別され得る。
ナノポアの検出は、例えば、米国特許出願公開第2011/0229877A1号;または同第2012/0055792A1号;または米国特許第6,413,792号;同第6,916,665号;同第7,867,716号;同第7,444,053号;同第7,582,490号;同第7,947,454号;または同第8,105,846号に記載されているものを含め、当技術分野において公知の任意の様々な装置を用いて実施可能であり、上記各号を本明細書に参考として援用する。
本明細書に記載する装置または方法で用いられるポリメラーゼは、これが比較的自由に拡散するように、少なくとも反応チャンバー内では溶液状態で存在し得る、またはポリメラーゼの拡散能力は、これが本明細書に記載する方法または装置で用いられる固相支持体、ナノポア、障壁、またはその他の構成要素に連結することにより比較的制限され得る。連結により拡散を制限すれば、ヌクレオチド三リン酸生成ポイント(例えば、加ピロリン酸分解を触媒するポリメラーゼ)をヌクレオチド三リン酸検出ポイント(例えば、ヌクレオチド三リン酸が通過するナノポア)と緊密に結びつけるという長所をもたらすことができる。ポリメラーゼは、例えばナノポアのサブユニットと融合した組換えタンパク質、化学的架橋、またはアダプター部分を介してナノポアに連結され得る。ポリメラーゼをナノポアと連結させる有用な方法、およびポリメラーゼ−ナノポア構成要素は、例えば米国特許出願公開第2011/0229877A1号;または同第2012/0055792A1号;または米国特許第7,947,454号に記載されており、上記各号を本明細書に参考として援用する。
ポリメラーゼは、加ピロリン酸分解が生ずるチャンバー内に存在するビーズまたはその他の固体支持体に連結され得る。ポリメラーゼをビーズまたは固体支持体に連結するのに有用である化学的リンカーとして、例えばThermo Fisher社(Rockford、IL)、またはSigma Aldrich社(St.Louis、MO)から市販されているもの、あるいは当技術分野において公知のものが挙げられる。
ポリメラーゼは、ナノポア配列決定装置で用いられる障壁に連結され得る。例えば、障壁として脂質二重層を使用する実施形態では、二重層と親油性部分の間の相互作用により、親油性部分をポリメラーゼに連結してポリメラーゼを二重層近傍に局在化させることができる。代表的な親油性部分として、ステロールまたは脂質が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。親油性部分のさらなる例として、例えば組換えタンパク質融合により、ポリメラーゼに連結可能な膜タンパク質(またはその一部)が挙げられる。ビーズおよびその他の固体支持体に関する上記結合等の結合は、ポリメラーゼをソリッドステートナノポアシステムで用いられる障壁に連結するのに利用可能である。
本明細書に記載する方法で配列決定される、または本開示の装置中に存在する核酸は、これが比較的自由に拡散するように溶液状態であり得る、または核酸の拡散能力は、これが本明細書に記載する方法または装置で用いられる固相支持体、ナノポア、障壁、またはその他の構成要素に連結することにより比較的制限され得る。ポリメラーゼについて上記したものと類似した連結が、核酸についても利用可能である。例えば、ステロール、脂質、またはその他の親油性部分を核酸に連結させて、核酸を脂質二重層に局在化させることができる。例を図2に示すが、この場合、核酸は、テンプレートストランドに連結したステロール部分によりメンブレンに局在化している。図で例示されるように、核酸は、テンプレートストランドを介して、例えばテンプレートストランドの5’末端において連結可能である。連結は、ポリメラーゼがテンプレートに結合する場所とテンプレートの5’末端との間のテンプレート上のあるポイントにおいても形成可能である。
親油性部分は、ビオチンまたは蛍光体等のその他の部分を連結させるための、当技術分野において公知の方法を用いて核酸に連結可能である。例えば、親油性部分を有するプライマーは、増幅、プライマー伸長、またはライゲーション反応で利用可能である。代替的または付加的に、当該部分を有するヌクレオチドが、伸長反応または増幅反応で利用可能である。所望であれば、親油性部分は、配列決定前、およびサンプル調製ステップ、例えば本明細書においてこれまでに記載したステップ等の期間中に導入可能である。例えば、所望の配列を有する標的核酸の部分集合を、より複雑な配列バックグラウンドから選別する場合、標的化配列決定技法が採用可能である。この事例では、親油性部分は、ターゲティング技法を用いて標的核酸の部分集合に選択的に導入可能であり、そしてこれは、標的物が脂質二重層により選択的に捕捉されるのを可能にする一方、その他の標的対象外の配列は、親油性部分を含むように修飾されなかったことに起因して洗浄される。
ナノポアに関して、ポリメラーゼおよび核酸いずれについても、例えば1つまたは複数の上記連結手段を用いて、その拡散を制限するのが、いくつかの実施形態では有益となり得る。
本明細書にすでに記載したように、本開示の方法は、ヌクレオチドを順次除去する条件下で標的核酸をポリメラーゼと接触させるステップを含み得、それによって、多様な相異なる塩基部分を有するヌクレオチド三リン酸を順次生成する。生成した多様な相異なる塩基部分は、ポリメラーゼと接触する標的核酸の含有量に依存する。例えば、DNAは、加ピロリン酸分解によってデオキシグアニジン三リン酸、デオキシシチジン三リン酸、デオキシアデノシン三リン酸およびデオキシチミジン三リン酸が生成するように、4つの一般的な塩基であるグアニン、シトシン、アデニンおよびチミンを一般的に含む。場合によっては、標的核酸は、加ピロリン酸分解によって生成するデオキシヌクレオチド三リン酸について、そのタイプが3つ、2つ以下、またはたった1つであるように、これら4つの塩基タイプすべてを含まないこともある。場合によっては、これら4つの塩基タイプのうちの1つまたは複数の変異体が、標的DNA中に存在する可能があり、したがって加ピロリン酸分解は、例えばメチル、ヒドロキシメチル、またはその他の追加部分を有する、デオキシヌクレオチド三リン酸の変異体を生成し得る。当技術分野において公知のその他の変異体塩基、例えば本明細書に記載するもの等も、加ピロリン酸分解によって生成するデオキシヌクレオチド三リン酸中に存在し得る。
別の事例はRNAであり、加ピロリン酸分解によってリボグアニジン三リン酸、リボシチジン三リン酸、リボアデノシン三リン酸、およびリボチミジン三リン酸が生成するように、4つの一般的な塩基であるグアニン、シトシン、アデニン、およびウラシルを一般的に含む。場合によっては、標的核酸は、加ピロリン酸分解によって生成されるリボヌクレオチド三リン酸について、そのタイプが3つ、2つ以下、またはたった1つであるように、これら4つの塩基タイプすべてを含まないこともある。変異体塩基、例えばデオキシヌクレオチド三リン酸に関して本明細書に例示したもの、または当技術分野において公知のもの等は、リボヌクレオチド三リン酸中に存在し得る。一般的に、加ピロリン酸分解によって生成するヌクレオチド三リン酸(デオキシヌクレオチド三リン酸であるかまたはリボヌクレオチド三リン酸であるかに関わらず)は、1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、またはそれ以上の異なる塩基タイプを含む。
本開示の方法は、いくつかのヌクレオチドを標的核酸から順次除去する条件下で実施可能であり、こうしてその数と同じの数のヌクレオチド三リン酸を順次生成する。さらに、少なくともその数と同じの数のヌクレオチド三リン酸は、例えばナノポアを通過することにより区別可能であり、少なくとも標的核酸から除去されたヌクレオチドの数と同じ数の長さを有する配列の決定を可能にする。特定の実施形態では、数は、少なくとも1、2、3、4、5、10、25、50、100、200、500、1000、10,000個、またはそれ以上であり、かつ標的核酸の長さ以下である。代替的または付加的に、数は、1、2、3、4、5、10、25、50、100、200、500、1000、または10,000個以下であり得る。数は、上記数値のうち2つの数値の間の任意の数値であり得るが、ただしそうである必要はない。本明細書にすでに記載したように、様々な技法が、加ピロリン酸分解を休止するのに利用可能である。これは、本方法の実施形態を用いて決定される配列の長さを制御できるようにする。
加ピロリン酸分解によって放出される、および/または本明細書に記載する方法で検出されるヌクレオチド三リン酸の数は、検出される異なるタイプのヌクレオチド三リン酸の数より大きい可能性がある。しかし、検出される異なるヌクレオチド三リン酸の順番および数は、核酸の配列と関連付けることができる。
いくつかの実施形態では、特定の標的核酸について反復して配列決定するのが有益であり得る。反復は、本明細書に記載する方法で標的核酸分子を反復処理することにより実施可能である。例えば、方法は、下記の各ステップを含み得る;(a)標的核酸をポリメラーゼと接触させて、標的核酸からヌクレオチド三リン酸を順次除去するステップであって、除去されるヌクレオチド三リン酸は、多様な相異なる塩基部分を有する前記ステップ;(b)前記除去されたヌクレオチド三リン酸について前記相異なる塩基部分を識別し、それによって、前記標的核酸の配列を決定するステップ;(c)前記標的核酸の少なくとも一部分を再生するステップ;ならびに前記再生した標的核酸を用いてステップ(a)および(b)を反復するステップ。標的核酸は、例えばポリメラーゼ(または新規に追加したポリメラーゼ)が、加ピロリン酸分解によってこれまでに除去された標的核酸ストランドの少なくとも一部分を再生する重合反応を実施する条件下で、ヌクレオチド三リン酸を添加することにより再生可能である。一般的に、ピロリン酸塩は、重合反応期間中、実質的に存在しない。
上記反復処理の実施形態に代替または付加して、標的核酸は、本開示の方法を用いて処理される複数のコピーを作製するために増幅またはコピーされ得る。図解例を図3に示す。二本鎖テンプレート核酸の複数のコピーが、ナノポア−ポリメラーゼ融合物を有するチャンバー内の障壁に局在化する(ステップ1)、ポリメラーゼによりストランドのうちの1本が捕捉される(ステップ2)、加ピロリン酸分解に基づく配列決定が生じる(ステップ3)、一本鎖のテンプレートストランドは、次に電気的な力によりナノポアを通じて牽引され得る(ステップ4)、ただし核酸の別のコピーが残留するチャンバーから排出されるまで(註:二本鎖に起因し、したがってナノポアの通過には抵抗があるため、別のコピーは残留する)(ステップ5)、次に二本鎖テンプレート核酸の別のコピーが捕捉されて、ステップ2の反復を開始する、以下同様。核酸を増幅するための、当技術分野において公知の任意の様々な方法、例えば本明細書でこれまでに記載したもの等は、標的核酸の複数のコピーを作製するのに利用可能である。
図3の系は、単一のテンプレートのコピーについて例示するが、異なる配列を有する核酸種も、同様に利用可能であると理解される。したがって、異なる多様な二本鎖の核酸種が、ナノポア−ポリメラーゼ融合物を有するチャンバー内の障壁に局在化し得る(ステップ1)、第1の種に由来するストランドが、ポリメラーゼにより捕捉され得る(ステップ2)、加ピロリン酸分解に基づく配列決定が生じ得る(ステップ3)、第1のストランドのテンプレートストランドは、次に電気的な力によりナノポアを通じて牽引され得る(ステップ4)、ただし他方の核酸種が残留するチャンバーから排出されるまで(ステップ5)、次に別の二本鎖核酸種が捕捉されて、ステップ2の反復を開始し得る、以下同様。
本開示は、下記要素を備える装置も提供する;(a)第1の流体リザーバーを第2の流体リザーバーから隔てる流体不透過性障壁;(b)通路を形成するために流体不透過性障壁内に配置されるナノポアであって、これを通じてヌクレオチド三リン酸が、前記第1の流体リザーバーから前記第2の流体リザーバーに通過可能であるナノポア;および(c)前記第1の流体リザーバー内の反応混合物であって、ポリメラーゼ、2本のストランドを有する標的核酸、および加ピロリン酸分解濃度のピロリン酸塩を含む前記反応混合物。装置で用いられる構成要素は、様々な方法について上記例示した1つまたは複数のものであり得る。さらなる構成要素および構成を説明目的で下記に例示する。
流体不透過性障壁は、2つのリザーバーを隔てるように、およびナノポアを障壁内に配置せしめ、両リザーバー間に液絡を設けるように構成され得る。代表的なナノポアおよび障壁は、上記されており、また上記した様々な参考資料に記載されている。一般的に、2つのリザーバーは、単一のナノポアにより流体連通している。したがって、両リザーバーのうちの一方で生成したヌクレオチド三リン酸は、第2のリザーバーに通ずる唯一無二の流体通路を有する。このように単一のナノポアを使用すると、一方のリザーバーから他方のリザーバーに通過するヌクレオチド三リン酸毎に好都合な測定が、ナノポア、障壁、および/またはリザーバーにおける電気特性変化に起因して可能になる。しかし、両リザーバーを隔てる障壁内に、2つ以上のナノポアを備えることも、いくつかの実施形態では可能である。複数のナノポアが両リザーバーを流体的に接続する場合、ヌクレオチド三リン酸の通過は、例えばナノポア毎の分解能を有する光学的または電気的測定法を用いて、ナノポア毎に測定可能である。
リザーバーは、流体が少なくともしばらくの時間に収納された状態に留まるチャンバーを形成し得る。例えば、チャンバーは、流体の流出を制限するウェル、キャビティー、コンパートメント等を形成するように構成され得る。あるいは、リザーバーは、流体の流路として構成され得る。例えば、リザーバーは、チューブ、チャンネル、またはフローセルとして構成され得るが、こうして、配列決定法で用いられる成分を好都合に送達および除去するための流体の流路が確保される。特定の実施形態では、テンプレート核酸、ポリメラーゼ、およびピロリン酸塩を含有する第1のリザーバーは、流体の流路として構成され、一方、第1のチャンバーとナノポアを介して接続する第2のリザーバーは、チャンバーとして構成され得る。第2のリザーバーは、流体の流路として構成される必要はないが、任意選択的にそうであってもよい。
本開示は、複合的実施形態について記載する。例えば、複数の標的核酸について、並行して配列決定することができる。複合的方法は下記の各ステップを含み得る;(a)複数の標的核酸を準備するステップ;(b)前記標的核酸それぞれをポリメラーゼと接触させて、各標的核酸からヌクレオチド三リン酸を順次除去するステップであって、除去されるヌクレオチド三リン酸は、多様な相異なる塩基部分を有するステップ;および(c)各核酸から除去されたヌクレオチド三リン酸について、前記相異なる塩基部分を識別し、それによって、前記標的核酸の配列を決定するステップ。
複合的方法のさらなる例として、下記の各ステップを含むものが挙げられる;(a)2本のストランドをそれぞれ有する複数の標的核酸を準備するステップ;(b)加ピロリン酸分解によって、各2本のストランドのうち第1のストランドからヌクレオチドを順次除去する条件下で、前記標的核酸それぞれをポリメラーゼと接触させ、それによって、多様な相異なる塩基部分を有するヌクレオチド三リン酸を順次生成させるステップ;および(c)前記順次生成したヌクレオチド三リン酸について、前記相異なる塩基部分を識別し、それによって、前記標的核酸の配列を決定するステップ。
複合的装置は下記要素を備え得る;(a)複数の流体不透過性障壁であって、それぞれが第1の流体リザーバーを第2の流体リザーバーから隔てる障壁;(b)通路を形成するために流体不透過性障壁毎に配置されたナノポアであって、これを通じてヌクレオチド三リン酸が前記第1の流体リザーバーから前記第2の流体リザーバーに通過可能であるナノポア;および(c)各第1の流体リザーバー内の反応混合物であって、それぞれポリメラーゼ、2本のストランドを有する標的核酸、および加ピロリン酸分解濃度のピロリン酸塩を含む前記反応混合物。
方法または装置の複雑性(すなわち、複合度レベル)は、特定の用途を満たすように選択され得る。例えば、一緒に処理されるまたは存在する標的核酸の数は、評価対象サンプルの複雑性から決定され得る。本開示の方法または装置を用いて評価され得るいくつかのゲノムに関する代表的な複雑性の見積もりは、約3.1Gbp(ヒト)、2.7Gbp(マウス)、2.8Gbp(ラット)、1.7Gbp(ゼブラフィッシュ)、165Mbp(ミバエ)、13.5Mbp(S.セレビシエ)、390Mbp(フグ)、278Mbp(蚊)、または103Mbp(C.エレガンス)である。当業者は、例えばより小型またはより大型のゲノムを含む、上記例示以外のサイズを有するゲノムは、本発明の方法で利用可能であると認識する。一般的に、核酸サンプルは使用する前に断片化される。並行して取り扱われる断片の数は、ゲノムの複雑性、平均断片サイズ、および所望のカバー率に依存する。例えば、平均サイズが1000個のヌクレオチドに断片化されるヒトゲノム(3.1Gbp)の1×カバー率は、300万個の断片の複雑性を用いて実現可能である(すなわち、((31億/1000)×1)=100万)。類似した計算法を用いて、3000万個の断片(各1000個のヌクレオチド)の複雑性が、ヒトゲノムについて30×のカバー率を提供するのに十分であると判断できる。
本明細書に記載する方法および装置は、これらに限定されないが、本明細書に例示したものを含む様々なゲノムのいずれかについて、少なくとも1×、2×、5×、10×、20×、30×、50×、またはそれ以上のカバー率を提供するのに十分な複雑性レベルで構成され得る。複雑性は、本明細書に記載する様々な構成要素の数、例えば上記例示の標的核酸断片数等の関数であり得る。複合化できるその他の構成要素として、例えば用いられるナノポアの数、ポリメラーゼの数、障壁およびナノポアを有するチャンバーの数等が挙げられる。これらのまたはその他の構成要素の複合度レベルは、例えば少なくとも2、5、10、100、1×10、1×10、1×10、1×10、1×10、またはそれ以上であり得る。代替的または付加的に、複合度レベルは、2、5、10、100、1×10、1×10、1×10、1×10、または1×10以下であるように選択され得る。
本出願全体を通じて、様々な出版物、特許、および特許出願が参照されている。これらの出版物の開示を、本発明が関係する最新技術分野についてより十分に記載するために、本出願においてそのまま参考としてここに援用する。
用語「含む(comprising)」は、本明細書では非制限的であるように意図されており、列挙した要素に限らず、任意の追加要素もさらに含まれる。
本発明は上記事例を参照しながら記載されているが、様々な改変も、本発明から逸脱せずに実施可能であると理解すべきである。したがって、本発明は、特許請求の範囲によってのみ限定される。

Claims (14)

  1. (a)2本のストランドを有する標的核酸を準備するステップと、
    (b)加ピロリン酸分解によって前記2本のストランドのうち第1のストランドからヌクレオチドを順次除去する条件下で、前記標的核酸をポリメラーゼと接触させ、それによって、多様な相異なる塩基部分を有するヌクレオチド三リン酸を順次生成させるステップと、
    (c)前記順次生成したヌクレオチド三リン酸について、前記相異なる塩基部分を識別し、それによって、前記標的核酸の配列を決定するステップと
    を含み、
    前記順次生成したヌクレオチド三リン酸について、前記相異なる塩基部分を識別する前記ステップが、前記ヌクレオチド三リン酸をナノポアに通過させるステップを含む、標的核酸の配列を決定する方法。
  2. 前記ポリメラーゼが、前記ナノポアに連結されている、請求項に記載の方法。
  3. 加ピロリン酸分解によって、前記2本のストランドのうち一方からヌクレオチドを順次除去するための前記条件が、前記ポリメラーゼを加ピロリン酸分解濃度のピロリン酸塩と接触させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
  4. ピロリン酸塩を前記ポリメラーゼとの接触から除去することにより、前記ヌクレオチド三リン酸の順次生成を休止させて、次いで前記ポリメラーゼをピロリン酸塩と接触させることによって、ヌクレオチド三リン酸の順次生成を再開するステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
  5. 前記多様な相異なる塩基部分が、少なくとも2つの相異なる種の塩基部分および最大で4つの異なる種の塩基部分を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 決定される配列が、4ヌクレオチドより長い、請求項に記載の方法。
  7. 前記塩基部分が、天然のアデニン、グアニン、シトシン、またはチミンを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記塩基部分の少なくとも1つが、DNAまたはRNAでは非天然である部分を含む、請求項1に記載の方法。
  9. (a)第1の流体リザーバーを第2の流体リザーバーから隔てる流体不透過性障壁と、
    (b)通路を形成するために前記流体不透過性障壁内に配置されるナノポアであって、これを通じてヌクレオチド三リン酸が、前記第1の流体リザーバーから前記第2の流体リザーバーに通過可能であるナノポアと、
    (c)前記第1の流体リザーバー内の反応混合物であって、ポリメラーゼ、2本のストランドを有する標的核酸、および加ピロリン酸分解濃度のピロリン酸塩を含む反応混合物と
    を備える装置。
  10. 前記ポリメラーゼが、前記ナノポアに連結されている、請求項に記載の装置。
  11. 前記流体不透過性障壁が、メンブレンを含み、
    前記標的核酸のストランドが、前記メンブレンに連結されている、請求項に記載の装置。
  12. 前記標的核酸が、DNAまたはRNAでは非天然である少なくとも1つの塩基部分を含む、請求項11に記載の装置。
  13. 前記ナノポアが、ソリッドステートナノポアを含む、請求項に記載の装置。
  14. 前記ポリメラーゼが、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠く、請求項に記載の装置。
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