JP6312057B2 - マイクロニードル及びそれを含むデバイス - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロニードル及びそれを含むデバイスに関する。本発明によれば、薬剤を効率的に皮膚から体内に透過させることができる。
薬剤を皮膚から吸収させる投与方法として、イオン電気導入法(イオントフォレシス:イオン化した薬剤などを電流によって体組織に入れる方法)により、局所麻酔薬などの経皮的な吸収を増加させる方法が知られており(特許文献1)、実際に米国のIomed社、及びvyteris社から、局所麻酔薬の経皮導入用電極が発売されている。このイオントフォレシスでは、麻酔薬を担持させた薬物保持層を皮膚に貼付し、電圧をかけることで皮下に麻酔薬を浸透させることができ、前記の貼付製剤と比較すると、電流の作用により、すばやく皮下に麻酔薬を浸透させることが可能である。
一方、マイクロニードルを用いて、皮膚の角質層にパスを形成し、効率よく薬物を体内に導入させる技術が知られている(特許文献2)。
特開平9−201420号公報 米国特許第3964482号明細書 特表2010−505518号公報
特許文献3には、イオントフォレシス及びマイクロニードルを組み合わせて、メトトレキサートを投与部位に送達するデバイスが開示されている(特許文献3)。しかしながら、薬物の輸送速度は十分なものではなかった。
従って、本発明の目的は、経皮吸収法において薬物輸送のバリアーになっている皮膚組織(角質層と表皮層)を、迅速且つ高効率に輸送させるデバイス、およびデバイスの作動方法を提供することである。
本発明者は、経皮吸収法における薬物輸送について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、非導電性材料製のマイクロニードルのニードル部分に導電性材料を被覆した貫通口(小孔)を有するマイクロニードルを用いることによって、生体内に薬物を迅速且つ高効率に輸送できることを見出した。具体的には、前記マイクロニードル、薬剤坦持層、及び直流電極を有するデバイスにおいて、直流電極とニードルの被覆導電性材料に直流電圧を印加し、そして被覆導電性材料と交流電流(生体貼付用電極)とに交流電圧を印加することによって、非常に効率的に、薬物を、皮膚を通して透過させることが可能であることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1]非導電性材料で形成されたマイクロニードルであって、ニードルを有するニードル面に導電体材料により被覆された導電体被覆層を有し、そして前記ニードル面とその反対側の非ニードル面とを貫通する小孔を有するマイクロニードル、
[2]前記小孔が、ニードル部分に形成される、[1]に記載のマイクロニードル、
[3]前記導電体被覆層が、白金、銀、金、アルミニウム、クロム、銅、ニッケル、パラジウム、タンタル、チタン、カーボン、ジルコニウム、ニオブ、及び鉄からなる群から選択される導電性材料で形成される、[1]又は[2]に記載のマイクロニードル、
[4]イオントフォレシス用である[1]〜[3]のいずれかに記載のマイクロニードル、
[5][1]〜[4]のいずれかに記載のマイクロニードル、マイクロニードルの非ニードル面に接触する薬剤坦持層、マイクロニードルとの接触面の反対の面で薬剤担持層に接触する直流用電極、及び皮膚接触用の交流用電極を含むデバイスであって、前記導電体被覆層と、薬剤担持層に接触する直流用電極とに直流電源が接続され、そして導電体被覆層と、交流用電極とに交流電源が接続されている、デバイス、
[6]前記薬剤担持層が、ポリアニオン性の水溶性多糖類を含む、[5]に記載のデバイス、
[7]前記薬剤担持層に、カチオン性薬剤を含む、[5]又は[6]に記載のデバイス、
[8]イオントフォレシス用である、[5]〜[7]のいずれかに記載のデバイス、
[9]前記[8]のデバイスにおいて、直流電源により直流電圧が印加されること、そして交流電源により交流電圧が印加されることを含む、デバイスの作動方法、又は
[10]前記直流が電圧1〜30Vであり、前記交流が、電圧1〜30V、周波数1Hz〜100kHz、及びデューティサイクルが50〜95%である、[9]に記載の、デバイスの作動方法、
に関する。
本発明のデバイスによれば、迅速且つ高効率に薬物を、皮膚を通して透過させることが可能である。更に、注射より低侵襲で経口投与より高い薬効を維持できる。また、術者の技術による効果の奏功の差がなく、確実に薬物の輸送を行うことができる。本発明のデバイスは、マイクロニードルを使用していることにより、角質層における薬物輸送のパスを形成することが可能であり、角質層の比較的厚い皮膚に適用可能とすることができる。本発明のデバイスは、イオントフォレシス用として用いることが可能であり、皮膚表面麻酔分野、例えば皮膚科手術、膿瘍の手術、動静脈注射時の麻酔用として用いることができる。また、本発明のデバイスは、歯科用局所麻酔、例えば歯周病除石、粘膜切除、潰瘍切開等の局所麻酔に用いることができる。更に、本発明のデバイスは、ペインクリニック、例えば神経性疼痛、手術後の痛み、癌性疼痛、又は関節痛などにおいて、リドカイン、ジクロフェナク、又はフェンタニル等の鎮痛薬の投与に用いることができる。また、本発明のデバイスは、内科領域での経皮、又は経粘膜への薬剤の投与、例えばインスリン(糖尿病)、ニトログリセリン(虚血性疾患)、又はプロプラノロール(高血圧症)の投与に用いることができる。
ニードル部分以外に小孔を有するマイクロニードルの実施態様、及びそれを用いたデバイスを模式的に示した図である。 ニードル部分以外に小孔を有するマイクロニードルにおけるニードル面の写真である。 ニードル部分に小孔を有するマイクロニードルの実施態様、及びそれを用いたデバイスを模式的に示した図である。 ラットの摘出皮膚を用いた、薬物輸送の実験器具を示した図である。 本発明のデバイスを用いて、リドカインをラットの摘出皮膚を通して輸送させた結果を示したグラフである。
[1]マイクロニードル
本発明のマイクロニードルは、非導電性材料で形成されたマイクロニードルであって、ニードルを有するニードル面が導電体材料により被覆された導電体被覆層、及びニードル面とその反対側の非ニードル面とを貫通する小孔を有する。
本発明のマイクロニードルは、基本的に、前記導電体被覆層以外の本体部分は、非導電性材料によって形成されているものである。そして非導電性材料で形成された本体部分のニードルを有するニードル面に、導電体材料の導電体被覆層を有する。本発明のマイクロニードルは、更にニードル面とその反対側の非ニードル面とを貫通する小孔を有する。
本発明のマイクロニードルは、前記導電体被覆層及び小孔を有することによって、後述のデバイスに用いた場合に、効率的に薬物の皮膚透過を可能にする。
(非導電性材料)
本発明のマイクロニードルの本体部分を形成する非導電性材料は、特に限定されるものではなく、熱硬化性樹脂、又は熱可塑性樹脂を挙げることができ、より具体的にはエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、四フッ化エチレン樹脂、ポリウレタン、シリコン、エラストマー、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、シンジオタクチックポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリフタルアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド−イミド、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、脂肪族ポリケトン、ポリオレフィン、フッ素化ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル−ブチルゴムコポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、アセタール、ポリアセタール、アセタールコポリマー、パリレンアクリロニトリルスチレンアクリレート、ポリグリコール酸エステル、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。マイクロニードルの本体部分を導電性材料で形成した場合、比較例に示すように、効率的な薬物の皮膚透過ができないことがある。
(ニードル面及び非ニードル面)
本発明のマイクロニードルは、ニードルを有するニードル面と、そのニードル面の反対側に非ニードル面とを有する。マイクロニードルにおけるニードル面は、通常皮膚に接触する面であり、非ニードル面は皮膚に接触しない面である。
マイクロニードルのニードル面は、複数の尖形形状の微細な針体突起物を有している。針体突起物の形状は、尖形形状である限りにおいて限定されるものではないが、円錐状、又は多角錘状の針体突起物を挙げることができ、円錐状としては円錐状、楕円錐状、円錐台状、又は楕円錐台状を挙げることができ、多角錘状としては、例えば三角錘状、四角錘状、三角錘台状、又は四角錘台状を挙げることができる。
ニードルの長さは、皮膚に適当なパスを形成できる限りにおいて、限定されるものではなく、マイクロニードルを適用する部位などに応じて適宜決定することができるが、好ましくは10〜3000μmであり、より好ましくは50〜1000μmであり、更に好ましくは100〜900μmであり、最も好ましくは300〜700μmである。また、底面の一辺又は直径も限定されるものではないが、好ましくは3〜1000μmの範囲であり、より好ましくは15〜300μmの範囲であり、更に好ましくは30〜300μmの範囲であり、最も好ましくは100〜250μmの範囲である。
ニードル面におけるニードルの密度も、適用する部位、投与する薬剤などに応じて適宜決定することができるが、例えば10〜100本/cmであり、好ましくは30〜80本/cmである。更に、ニードルの配置も、特に限定されるものではなく、直列に且つ平行に配置してもよく、交互に配置してもよい。
(導電体被覆層)
本発明のマイクロニードルは、ニードル面に導電体を被覆した導電体被覆層を有する。
導電体被覆層に持ちいれられる導電体は、導電性を有し、ニードル面に被覆できる限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば金属、又はカーボンを挙げることができ、金属としては白金、銀、金、アルミニウム、クロム、銅、ニッケル、パラジウム、タンタル、チタン、鉄、ジルコニウム、又はニオブを挙げることができる。
導電体被覆層は、本発明のデバイスの効果が得られる限りにおいて、ニードル面の全部を被覆してもよく、ニードル面の一部を被覆するものでもよいが、好ましくは30%以上を被覆するものであり、より好ましくは50%以上を被覆するものであり、更に好ましくは80%以上を被覆するものである。
導電性被覆層の厚さも、本発明のデバイスの効果が得られる限りにおいて、限定されるものではないが、好ましくは1nm〜1mmであり、より好ましくは10nm〜10μmであり、更に好ましくは50nm〜1μmである。ニードル面の30%以上が被覆され、厚さが1nm〜1mmであることにより、本発明のデバイスにおいて、より効率的に薬物担持層から薬物を輸送することができる。
(小孔)
本発明のマイクロニードルは、ニードル面とその反対側の非ニードル面とを貫通する小孔を有する。例えば、複数の小孔が存在することによって、非ニードル面からニードル面に薬物などを効率的に移動させることができる。
小孔は、例えばニードル部分に形成することができる。小孔をニードル部分に形成する場合、例えば図3に示すように、非ニードル面の開口部から、ニードル内の中空構造を介して、ニードルに開口部を設けることによって、形成することができる。ニードルの開口部は、図3のようにニードルの先端部に形成されてもよいが、例えばニードルの側面に形成されてもよい。また、1つのニードルにおける開口部の数も限定されるものではなく、1つでもよいがニードル内の中空構造から分岐して2つ以上の開口部を有するものでもよい。小孔の径は、ニードルに形成できる限りにおいて、限定されるものではないが、好ましくは1〜100μmであり、より好ましくは5〜80μmであり、より好ましくは10〜50μmである。
小孔は、例えばニードル部分以外に形成することができる。小孔をニードル部分以外に形成する場合、例えば図1及び図2に示すように、非ニードル面の開口部から、ニードル面のニードル部分以外に開口部に貫通孔を設けることによって、形成することができる。小孔の径は、特に限定されるものではないが、ニードルに形成できる限りにおいて、限定されるものではないが、好ましくは1μm〜5mmであり、より好ましくは5μm〜3mmであり、更に好ましくは10μm〜2mmである。小孔の密度は、小孔の直径によって、適宜決定することが可能であり、特に限定されるものではないが、例えば1mm程度の小孔であれば、好ましくは10〜100本/cmであり、より好ましくは30〜80本/cmである。
[2]デバイス
本発明のデバイスは、本発明のマイクロニードル、マイクロニードルの非ニードル面に接触する薬剤坦持層、及びマイクロニードルの接触面と反対の面で薬剤担持層に接触する直流用電極を含む。本発明のニードル面は、例えば皮膚に接触する皮膚接触面として使用することができる。
(薬剤担持層)
本発明のデバイスにおける薬剤担持層は、ポリアニオン性の水溶性多糖類を含むことができる。ポリアニオン性の水溶性多糖類としては、カチオン性の薬剤を静電相互作用により保持することのできる水溶性多糖類であれば、特に限定されるものではないが、例えばアルギン酸塩、ゲラン、ゲランガム、キサンタンキトサン、及びカラゲナンを挙げることができ、特には、アルギン酸塩が好ましい。前記アルギン酸塩としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウムを挙げることができるが、特にはアルギン酸ナトリウムが好ましい。ポリアニオン性の水溶性多糖類のうちでも、アルギン酸塩は、カルシウムなどの金属イオンで架橋し、ゲル化することが可能であり、架橋することにより、通電により電極の温度が上昇しても溶解することがない。一方、金属イオン以外の架橋剤を用いて架橋し、ゲル化しなければいけない基材において使用される架橋剤としては、グルタールアルデヒドやビスマレイミドなどを挙げることができるが、このような架橋剤は、皮膚刺激や毒性のあるものも多い。従って、アルギン酸塩は、金属イオンによりゲル化する点からも、ポリアニオン性の水溶性多糖類として好ましい。
薬剤担持層は、ゲル化し、カチオン性の薬剤を保持したゲル組成物として、本発明のデバイスに用いることができる。ゲル化は常法により行うことができるが、例えば、アルギン酸ナトリウムの場合は、アルギン酸ナトリウムの水溶液に塩化カルシウムを添加することによってゲル化させることができる。ゲル化したイオントフォレシス用電極組成物は、基材であるポリアニオン性の水溶性多糖類と溶媒とを含む。溶媒としては、例えば、アセトン若しくはエチルメチルケトンなどのケトン類、エタノール若しくはメタノールなどのアルコール類、又は水、あるいはそれらの混合物を挙げることができるが、特には水が好ましい。
ゲル組成物中のポリアニオン性の水溶性多糖類の含量は、0.1〜10重量%が好ましく、0.1〜3重量%がより好ましい。0.1重量%未満ではイオントフォレシス用電極組成物の皮膚への密着性が悪くなることがあり、10重量%を超えると皮膚への追従性が低下することがある。
また、ゲル組成物を乾燥させた乾燥重量において、カチオン性の薬剤を除いたポリアニオン性の水溶性多糖類の含量は、50〜100重量%が好ましく、80〜100重量%が好ましい。
(直流用電極)
本発明のデバイスは、薬剤担持層に接触する導電体を含む直流用電極を有する。導電体は通電可能なものであれば、限定されるものではないが、金属が好ましく、例えば、Al、Pt、Au、Ag−AgCl、ステンレス合金、又はTiなどを挙げることができ、特には、Al、Ag−AgCl、又はPtが好ましい。本発明の薬剤担持層は、ポリアニオン性の水溶性多糖類を含むため、導電体、特には金属との密着性にも優れている。金属は、薬剤担持層の表面に密着させ、直流用電極とする。
また、前記薬剤担持層を直流電極に堆積させて、本発明のデバイスに含まれる薬剤担持層及び直流電極を得ることもできる。すなわち、ポリアニオン性水溶性多糖類、及び酸化物の不動態被膜を形成することのできる導電体を用いて薬剤担持層及び直流電極を製造することができる。
前記薬剤担持層及び直流電極は、正極に接続した、酸化物の不動態被膜を形成することのできる導電体を、ポリアニオン性水溶性多糖類を含む溶液に浸漬させ、そして電解することにより、導電体にポリアニオン性水溶性多糖類を堆積する工程を含む。なお、堆積したポリアニオン性水溶性多糖類は、イオン結合及び水素結合によりゲル化している。前記導電体の具体例としては、アルミニウム、アルミニウム合金、クロム、クロム合金、チタン、チタン合金、鉄、鉄合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、又はタンタル合金を挙げることができ、特にはアルミニウム、又はアルミニウム合金が好ましい。前記酸化物による不動態被膜として、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金の場合は、薄いAlの膜が金属の表面に形成され、不動態被膜となる。また、クロム又はクロム合金の場合は薄いCrの膜が形成され、チタン又はチタン合金の場合は、薄いTiOの膜が形成され、鉄及び鉄合金の場合は薄いFeの膜が金属の表面に形成される。
(直流電源)
本発明のデバイスは、前記導電体被覆層、及び直流用電極に接続された直流電源を有する。直流電源は、従来使用されていたものを限定することなく用いることができるが、例えば、1〜30Vの電圧を印加できるものが好ましい。
(交流電源)
本発明のデバイスは、前記導電体被覆層と、交流用電極に接続された交流電源を有する。交流電源も、従来使用されていたものを限定することなく用いることができるが、例えば、電圧1〜30V、周波数1Hz〜100kHz、及びデューティサイクルが50〜95%で使用できるものが好ましい。
(薬剤)
本発明のデバイスは、前記薬剤担持層に、ポリアニオン性の水溶性多糖類との静電相互作用によりカチオン性の薬剤を含むことができる。カチオン性の薬剤とは、カチオン化することのできる薬剤であり、カチオン化された状態で薬剤担持層に含有することのできる薬剤であれば、特に限定されるものではないが、例えば、モルヒネ、ブプレノルフィン、硝酸イソソルバイト、プロプラノロール、プロカイン、リドカイン、フェンタニル、スコポラミン、ピロカルピン、バソプレッシン、デスモプレッシン、スコポラミン、ヒスタミン、インシュリン、デキサメサゾン、ハイドロコーチゾン、ゲンタマイシン、又はエストロジェン等を挙げることができる。
薬剤担持層中のカチオン性の薬剤の含量は、薬剤の種類、薬剤を使用する疾患、患者の年齢、症状などにより適当な量を選択することが可能であるが、好ましくは0.01〜90重量%、より好ましくは0.01〜10重量%の範囲で用いることができる。
前記カチオン性の薬剤の薬剤担持層への保持は、組成物をゲル化する前に混合し、ゲル化することによって行うこともでき、またゲル化した後に、カチオン性の薬剤を含む溶液に薬剤担持層を浸漬することによっても可能である。
[3]デバイスの作動方法
本発明のデバイスの作動方法は、直流電源により直流電圧が印加されること、そして交流電源により交流電源が印加されることを含む。
本発明のデバイスにおいては、導電体被覆層、及び直流用電極に接続された直流電源により、電圧が印加されることにより、薬剤担持層に含まれる薬剤などが、マイクロニードルに形成される小孔を通過して、マイクロニードルのニードル面側に移動することができる。
直流電圧は、特に限定されるものではないが、好ましくは1〜30Vであり、より好ましくは5〜20Vである。
本発明のデバイスにおいては、導電体被覆層、及び交流用電極に接続された交流電源により、電圧が印加されることにより、マイクロニードルのニードル面に移動した薬剤を、例えば皮膚を介して透過させることができる。交流電圧としては、約1から30Vが好ましく、1から20Vがより好ましい。周波数は、好ましくは1Hz〜100kHz、より好ましくは、100Hz〜10kHz、最も好ましくは300Hz〜5kHzである。通電は双方向性矩形波通電が好ましく、矩形波のデューティサイクルは50〜95%が好ましく、60〜95%より好ましく、60〜90%がもっと好ましい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1:非導電性マイクロニードルの製造》
本実施例では、ニードル部分以外に小孔を有するマイクロニードルを作製した。
(1)絶縁性(非伝導性)マイクロニードル基材の作製
射出成形法により、マイクロニードルを作製した。高さ500μmのニードルを50本/cmの密度で成形可能な金型を作製した。具体的には、金型の元となる金属製マイクロニ−ドルは機械加工により製作し、それをもとに金型を作製し、その金属製マイクロニ−ドルを反転させ製作した。得られた金型に、熱可塑性樹脂(ポリプロピレン)を充填し、金型面を転写することによって、絶縁性マイクロニードル基材を得た。
(2)導電性被覆層の形成
前記絶縁性マイクロニードル基材のニードル面に、オートファインコーター(JEOL JFC−1600)を用いて白金をコーティングした。電流40mA、及び時間300秒の条件で、約150nmの白金層を形成した。
(3)小孔の作成
前記マイクロニードルに小孔を作製した。電動ドリルを用いて、マイクロニードル基材に1.5mm径の穴を、30個/cmで形成した。
《比較例1》
本比較例では、導電性のマイクロニードルを作製した。
高さ500μmのニードルを50本/cmの密度で有する導電性のマイクロニードルを作成するために、真鍮製工作物を前後、上下、左右に動かしながら、刃物で切削して導電性マイクロニ−ドルを得た。
《実施例3》
本実施例では、アルギン酸ナトリウムを用いた薬剤担持層、直流電極として白金電極を用いて、本発明のデバイスを作成し、図5に記載の実験用セルを用いて、薬剤のラットの皮膚の透過性を検討した。
まず、ポリアニオン性多糖類としてアルギン酸ナトリウムを、カチオン性薬剤としてリドカイン塩酸塩を用いて、薬剤を含む薬剤担持層を作製した。アルギン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、粘度300〜400mPa・s)を、超純水に溶解させ、1%の水溶液を調製した。アルギン酸水溶液50mLに、0.01mol/Lの塩化カルシウム水溶液50mLを添加し一晩放置した後、0.1mol/Lの塩化カルシウム水溶液を100mL添加してゲル化させた。得られたゲルは、超純水で充分洗浄し、余剰のカルシウム溶液を取り除いた後、直径20mm、高さ2mmの円柱状に切り出した。得られた円柱状ゲルに、10%のリドカイン水溶液を0.2mL吸収させた。得られた薬剤担持層は、図4に示すように、白金電極の内側にセットした。更に、前記薬剤担持層の内側に実施例1で得られたマイクロニードルをセットし、白金電極及びマイクロニードルの導電性被覆層に、直流電電を接続した。マイクロニードルの内側にラットから摘出した皮膚を配置した。ラット摘出皮膚の内側にリン酸バッファーを充填し、更に交流電極として白金電極をセットし、マイクロニードルの導電性被覆層及び交流電極に交流電源を接続した。直流電源から直流5Vを印加し、交流電源により、交流(双方向矩形波)を5V、周波数1kHz、duty cycle80%で60分間印加した。結果を図5に示す。
《比較例2》
マイクロニードルを用いないこと、及び直流電源を用いず、交流電源を直流用電極及び交流用電極に接続したことを除いては、実施例3の操作を繰り返した。結果を図5に示す。
実施例3のマイクロニードルを用いた場合、レセプター側へのリドカイン輸送は、マイクロニードルを用いない比較例2の場合と比較して、最大約6倍であった。
本発明のデバイスは、歯科用局所麻酔、例えば歯周病除石、粘膜切除、潰瘍切開等の局所麻酔に用いることができる。また、本発明のデバイスは、ペインクリニック、例えば神経性疼痛、手術後の痛み、癌性疼痛、又は関節痛などにおいて、リドカイン、ジクロフェナク、又はフェンタニル等の鎮痛薬の投与に用いることができる。更に、本発明のデバイスは、内科領域での経皮、又は経粘膜への薬剤の投与、例えばインスリン(糖尿病)、ニトログリセリン(虚血性疾患)、又はプロプラノロール(高血圧症)の投与に用いることができる。
1・・・マイクロニードル;
2・・・ニードル;
3・・・ニードル面;
4・・・導電体被覆層;
5・・・非ニードル面;
6・・・小孔;
7・・・薬剤坦持層;
8・・・電極;
9・・・直流電源;
10・・・交流電源;

Claims (8)

  1. 非導電性材料で形成されたマイクロニードルであって、ニードルを有するニードル面に導電体材料により被覆された導電体被覆層を有し、そして前記ニードル面とその反対側の非ニードル面とを貫通する小孔を有するマイクロニードル、マイクロニードルの非ニードル面に接触する薬剤坦持層、マイクロニードルとの接触面の反対の面で薬剤担持層に接触する直流用電極、及び皮膚接触用の交流用電極を含むデバイスであって、前記導電体被覆層と、薬剤担持層に接触する直流用電極とに直流電源が接続され、そして導電体被覆層と、交流用電極とに交流電源が接続されている、デバイス
  2. 前記小孔が、ニードル部分に形成される、請求項1に記載のデバイス
  3. 前記導電体被覆層が、白金、銀、金、アルミニウム、クロム、銅、ニッケル、パラジウム、タンタル、チタン、カーボン、ジルコニウム、ニオブ、及び鉄からなる群から選択される導電性材料で形成される、請求項1又は2に記載のデバイス
  4. 前記薬剤担持層が、ポリアニオン性の水溶性多糖類を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のデバイス。
  5. 前記薬剤担持層に、カチオン性薬剤を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス。
  6. イオントフォレシス用である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のデバイス。
  7. 前記請求項のデバイスにおいて、直流電源により直流電圧が印加されること、そして交流電源により交流電圧が印加されることを含む、デバイスの作動方法。
  8. 前記直流が電圧1〜30Vであり、前記交流が、電圧1〜30V、周波数1Hz〜100kHz、及びデューティサイクルが50〜95%である、請求項に記載の、デバイスの作動方法。
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