JP6304589B2 - 網膜投影システム、および眼鏡型ディスプレイ - Google Patents
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その中でも目から取り入れる情報を常時身に着ける態様として、ヘッドマウントディスプレイや眼鏡型ディスプレイを例示することができ、これらディスプレイの投影方式として、虚像投影方式と網膜投影方式を例示することができる。
網膜投影方式として、マックスウェル視による網膜投影を例示することができる。
マクスウェル視は、「光が、眼球の水晶体(光学系レンズ)の中心を通るようにすると、レンズがどのような度数であっても、スクリーンとなる網膜に明確な像を投影することができる」すなわち、「水晶体の中心を光の進行目標点として設定し収束させ像を投影する」という原理である。その結果、従来の網膜投影方式は、像の光の進行目標点を少なくとも瞳孔内に配置する必要があるので、像の見える位置から眼球を少しでも動かすと、像が見えなくなる(網膜に像が発生しない)ものであり、実用性が乏しいものであった。
そして、マックスウェル視を利用した網膜投影システムには、瞳孔の位置を精密に検出し、瞳孔に合わせた位置移動を行う装置を必要とするものであった(例えば、特許文献2)。
(請求項1記載の発明)
請求項1記載の発明は、像を眼球内の網膜へ投影する網膜投影システムであって、前記像は、情報処理手段よって作成され、情報表示手段によって表示され、収束領域を通過して網膜に投影されるものであり、前記収束領域は、眼球の硝子体内に設定されており、前記収束領域は、水晶体と硝子体の境界面と、眼球回旋点との間に設定されており、前記収束領域は、収束点を拡張したものであり、前記網膜に像が映る視野角は、
請求項2記載の発明は、請求項1記載の網膜投影システムであって、情報表示手段によって表示されることにより生じた光が、干渉部で反射または干渉部を通過することにより、収束点が収束領域となることを特徴とする。
(請求項3記載の発明)
請求項3記載の発明は、請求項2記載の網膜投影システムであって、前記干渉部には回折光学子が用いられていることにより、前記収束領域が1mm〜3mmの長さをもつことを特徴とする。
(請求項4記載の発明)
請求項4記載の発明は、請求項3記載の網膜投影システムであって、前記干渉部からの光の進行目標点は、眼球回旋点に一致することを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項3又は4記載の網膜投影システムを用いた眼鏡型ディスプレイであって、前記回折光学子は、眼鏡レンズ部に配置されていることを特徴とする。
(請求項6記載の発明)
請求項6記載の発明は、請求項5記載の眼鏡型ディスプレイであって、前記回折光学子は、眼鏡レンズ部に配置されていることを特徴とする。
(請求項7記載の発明)
請求項7記載の発明は、請求項5又は6記載の眼鏡型ディスプレイであって、使用者の視界において、使用頻度の少ない領域に情報表示することを特徴とする。
(請求項8記載の発明)
請求項8記載の発明は、請求項5乃至7のいずれかに記載の眼鏡型ディスプレイであって、前記情報表示手段は、LED表示、液晶表示又は有機EL表示であり、前記干渉部は、回折光学素子であることを特徴とする。
(請求項1記載の発明の効果)
請求項1記載の発明は、「光の進行目標点が水晶体の中心」というマックスウェル視の原理にとらわれず、進行目標点を眼球の硝子体内とし、収束領域を眼球の硝子体内としている。これにより、従来技術の「光線の進行目標点」と「水晶体の中心点」という点同士の関係ではなくなる。すなわち、請求項1記載の発明は「瞳孔の面」に対して「進行途中の光線の面」という面同士の関係で網膜に像を映すことができるものとなる。
したがって、少々眼球を動かしたとしても、使用者に表示している情報が視界から消えることのない網膜投影システムとなる。
(請求項2記載の発明の効果)
請求項2記載の発明とすると、マックスウェル視と同等の深い焦点深度を維持したままで収束領域を硝子体内に設定できる。
(請求項3記載の発明の効果)
請求項3記載の発明とすると、赤・黄・青と波長の異なる光線それぞれで屈折角にばらつきがあったとしても、収束点を拡張し収束領域としているので、重なる部分を得ることができる。これによりカラー画像であったとしても、網膜投影することができる。
収束点を拡張して収束領域とするには、請求項4記載の発明のように、干渉部を設けるのが好ましい。干渉部には回折光学子を用いることができる。
(請求項6記載の発明の効果)
請求項6記載の発明とすると、角膜入射の屈折前の直線を延長すると眼球回旋点に交わる態様となり、ヘッドマウントディスプレイに採用可能な程度に視野角が広くなった網膜投影システムとなる。
請求項7記載の眼鏡型ディスプレイとすると、回折光学子を備えたレンズ箇所に網膜投影システムの像を映すことができる。
(請求項8記載の発明の効果)
請求項7記載の眼鏡型ディスプレイとすると、レンズ全面に網膜投影システムの像を映すことができる。
(請求項9記載の発明の効果)
請求項9記載の発明とすると、使用者が適時に適切と判断する情報を比較的短時間に得ることができる。例えば、水泳ゴーグルであると、進行方向と関係のない位置に視線をずらすことによって、使用者は自分のペースやラップタイムを確認することができる。
人の眼球1は、外界の光を受容する感覚器であり、図1は、その断面図である。外界の光は、角膜16を通過し、瞳孔15の直径に対応して受容され、水晶体12を通過し、硝子体11を通り、網膜10に映され中枢神経系の働きによって視覚が生じるものである。
前記眼球1は、上直筋、下直筋、内側直筋、外側直筋、上斜筋、下斜筋などの外眼筋によって、上下左右に回旋移動するものである。この回旋移動における中心を眼球回旋点13とした。そして、角膜16から眼球回旋点13までの距離をX1(略半径)とし、角膜16から中心窩14までをX2(略直径)とした。
人の眼球1のX2は、15mm〜30mmの範囲であり、乳児の平均値が17mm、成人の平均値が24mmである。これより、X1を13mm、X2を24mmとして説明を行うが、これらX1とX2の数値は本件網膜投影システムAの使用者の眼球の大きさやゆがみに合わせて変更することができる。
従来の網膜投影方式として、マックスウェル視を例示することができ、図2は、マックスウェル視の説明図であり、右の眼球1Rを上方から見た図である。
このマックスウェル視は、「光が、眼球1の水晶体12の中心と瞳孔15を通るようにすると、レンズがどのような度数であっても、スクリーンとなる網膜10に明確な像Sを投影することができる」すなわち、「光の進行目標点Gは、水晶体12の中心に設定する」という原理である。
図3は、この発明の原理の説明図であり、右の眼球1Rを上方から見た図である。
上述のマックスウェル視とは異なり、この発明の網膜投影システムAは、干渉部30を用いたことにより、マックスウェル視の原理「光の進行目標点Gは、水晶体12の中心に設定する」に捕らわれることなく、眼球1の水晶体12よりも網膜側の硝子体11内に光の進行目標点Gを設けている。前記光の進行目標点Gは、水晶体12と硝子体11の境界面と、眼球回旋点13との間に設定されているのが好ましい。
このようにすると、瞳孔15の径に対して面の光の通過を可能としている。
したがって、干渉部30になされる網膜投影システムAの表示は、像Sが見えなくなるまで右位置へ移動した瞳孔15Rと左位置へ移動した瞳孔15Lの距離を長くすることができた。
右の眼球1Rの場合、正面水平方向を0°とすると、左側60°、右側100°、上側60°、下側70°といった、右の眼球1R可動可視範囲から、網膜投影の表示内容を視覚する使用者は映像が映る箇所を探す必要があった。マックスウェル視の場合、左右上下の可動可視範囲から何の目印もなく、一点を見つけるのは非常に困難であり、実用的ではなかった。
また、この網膜投影システムAがマックスウェル視と全く異なるのは、外環境の光の明るさによって、見える範囲が変化する点である。以下に、薄暗い環境と明るい環境を例とし、この網膜投影システムAは、使用者からどのように視覚されるかを説明する。
図4は、明るい環境におけるこの発明の説明図である。明るい環境とは、10000〜100000ルクス程度を想定している。
明るい環境であると、瞳孔15は、網膜10を傷めないように、閉じた態様(瞳孔15の直径が1.5mm〜2.5mm)となる。その結果、この網膜投影システムAにおいては、見える範囲が狭くなる。
図4において、網膜投影システムAの干渉部30Rの範囲が像SRとして使用者が見る態様となり、眼球1Rを回転させ、瞳孔を15Rから15Lに移動させると、網膜投影システムAに表示されている内容を徐々に移動させながら、網膜投影システムAの干渉部30Lの範囲を像SLとして見ることができる。この場合、可視範囲が狭い態様となるので、瞳孔15の移動で補う必要がある。
図5は、薄暗い環境におけるこの発明の説明図である。薄暗い環境とは、10〜300ルクス程度を想定している。
薄暗い環境であると、瞳孔15は沢山の光を取り込む為に、開いた態様となる(瞳孔15の直径が7.5mm〜8.5mm)。その結果、この網膜投影システムAにおいては、見える範囲が大きくなる。図5においても同様に、網膜投影システムAの干渉部30Rの範囲が像SRとして使用者が見る態様となり、眼球1Rを回転させ、瞳孔を15Rから15Lに移動させると、網膜投影システムAに表示されている内容を徐々に移動させながら、網膜投影システムAの干渉部30Lの範囲を像SLとして見ることができる。この場合、可視範囲が広い態様となるので、瞳孔15の移動はあまり行う必要はない、しかしながら表示内容の移動速度に対応する眼球1の移動速度は、明るい環境下と同様である。
マックスウェル視は、水晶体12および瞳孔15の中心に光を通す為、このような現象が起きない前提で設計されている。したがって、この発明の網膜投影システムAと、マックスウェル視は、全く異なるものである。
マックスウェル視の場合、進行目標点Gは収束点F2と一致するが、この発明では、角膜16と水晶体12によって光が屈折し、進行目標点Gは収束点F2と一致しない。
したがって、図3〜図5に記載された像Sは小さいものであり、図9〜図12に記載された像Sの大きさが正しい。図3〜図5は、マックスウェル視との比較のための図面であり、水晶体12と角膜16の屈折を考慮したものではない。
図6は、この発明の収束領域Fの説明図である。
収束領域Fは、収束点F2が拡張されたものである。前記拡張は、情報表示手段3によって表示されることにより生じた光が、干渉部30で反射または干渉部30を通過することによりなされるものである。前記干渉部30には回折光学子が用いられていることにより、前記収束点F2が1mm〜3mm拡張され収束領域Fとなる。
図6に示した収束領域Fは、中央(収束点)F2から水晶体側F1、中央(収束点)F2から網膜側F3、という態様で拡張されて収束領域Fとなったものである。この収束領域Fは、波長の長さが異なることにより屈折率が異なる3原色(青:Blue、緑:Green、赤:Red)の各色収束位置それぞれをF1〜F3の範囲内に重ねることができる。これにより回折光学子にカラー表示用ホログラフィック光学素子を用いたとしても、3原色に対応した網膜投影が可能となる。
図7は、この発明の収束領域Fの上面図と側面図である。
干渉部30に用いるホログラフィック光学素子の収束領域関係は、「W:F1からF3までの距離」「D:瞳孔15の直径」「θh:ホログラフィック光学素子の収束角度」とすると下記の数1が成り立つ。
そして、θhを53.1°というのは、眼球1を動かして見える全体像の角度である。明るい環境下においては、眼球1の視野角θe(後述する)を動かして全体を把握する必要がある。
図8は、この発明の眼球回旋点13と収束領域Fの説明図である。図9は、明るい環境で近場を見た場合のこの発明の説明図である。図10は、明るい環境で遠方を見た場合のこの発明の説明図である。図11は、薄暗い環境で近場を見た場合のこの発明の説明図である。図12は、薄暗い環境で遠方を見た場合のこの発明の説明図である。
この発明において、情報表示手段3のホログラフィック光学素子によって表示されることにより生じる光の発光方向は、眼球回旋点13に向けて、設定されていることが好ましい。すなわち、情報表示手段3によって表示されることにより生じる光の進行目標点Gは、眼球回旋点13に一致するのが好ましい。
そして、光は、大気中または水中を進行目標点Gに向かって進んだ後、水晶体12によって内側へ屈折し収束領域Fを通過する。(図8〜図12を参照)
まずは、図1と図8と以下の表1に基づいて、角膜16と水晶体12による網膜10への像Sの投影について説明する。
まずは、
u=13[mm]、n=1.336、D1=43.08[D]、L3=24[mm] とする。
遠方を見た場合などの水晶体調節休止時(水晶体12が最も薄い時)の値を、
D2=20.53[D]、L1=3.6[mm]、L2=5.85[mm] とする。
近場を見た場合などの水晶体最大調節時(水晶体12が最も厚い時)の値を、
D2=33.0[D]、 L1=3.2[mm]、L2=5.20[mm] とする。
図9と図10に記載されているのは、明るい雰囲気中において、瞳孔15の直径が2mmとなる場合での、網膜投影である。
瞳孔15の直径を2mmとすると、h4の最大値が1mmとなるため、水晶体12の調節休止時はh1=1.48mm、水晶体12の最大調節時はh1=1.40mmとなる。したがって、水晶体12の調節休止時の視野角θeは13.0°、水晶体12の最大調節時の視野角θeは12.3°となる。
次に、網膜上の像Sの大きさは、水晶体12の調節休止時において3.81mm、水晶体12の最大調節時において3.94mmとなる。また、角膜16から収束点F2までの距離は、水晶体12の調節休止時において10.74mm、水晶体12の最大調節時において10.37mmとなる。
図11と図12に記載されているのは、薄暗い雰囲気中において、瞳孔15の直径が8mmとなる場合での、網膜投影である。
瞳孔15の直径を8mmとすると、h4の最大値4mmとなるため、水晶体12の調節休止時はh1=5.9mm、水晶体12の最大調節時はh1=5.61mmとなる。したがって、水晶体12の調節休止時の視野角θeは48.9°、水晶体12の最大調節時の視野角θeは46.7°となる。
次に、網膜上の像Sの大きさは、水晶体12の調節休止時において15.2mm、水晶体12の最大調節時において15.8mmとなる。また、角膜16から収束点F2までの距離は、水晶体12の調節休止時において10.74mm、水晶体12の最大調節時において10.37mmとなる。
眼球回旋点13と進行目標点Gを一致させて光線を入射させた場合,水晶体12の調節状態によって網膜10上に投影される像Sの大きさが変化するが、瞳孔15の直径が一定の場合はその差はわずかであり、また観察される像Sは鮮明である(ピントが合っている)。そして、ピントは瞳孔15の直径に依存しない。
瞳孔15の直径が2mmから8mmの間で変化するのに従って、視野角θeが12.3°から48.9°まで変化する。情報表示手段3と共に設定される干渉部30は、最も小さい視野角θeの12.3°に合わせて設計すると、表示される像Sが欠けないものとなり、好ましい。すなわち、明るい環境下における瞳孔15の直径の視野角θeに合わせると、薄暗い環境下においても同様に扱うことができる。
ただし、赤外線を用いて障害物などを認識するための暗視ゴーグルなどの特別な用途に用いる場合、視野角θeを48.9°側に設定することもできる。
次に、進行目標点Gは、水晶体12と硝子体11の境界面から中心窩14に向かって、0mmから13mmの間で設定することができる。そして、角膜15〜進行目標点Gまでの距離uは小さくなるほど、網膜上の像Sと視野角θeが大きくなるため、観察される像Sは実用上問題ない。
次に、0≦u≦L2のとき、マックスウェル視となり、瞳孔15を点に合わせる必要がある為、用いにくいものとなるので、L2≦u≦角膜15から眼球回旋点13までの距離という範囲で、アプリケーションに合わせて決めるとよい。言い換えると、24mm直径の眼球1の場合、uは10mm〜13mmの間とするのが好ましく、角膜16から進行目標点Gまでの距離は、眼球直径長さの40%〜55%の範囲内で設定するのが好ましい。
進行目標点Gが、眼球回旋点13よりも網膜側に位置する場合を考察する。例えば、図8において、角膜16から収束点F2までの距離は、v+L2で表されるため、v+L2=13mmとなるように設定することが可能である。つまり、収束点F2を眼球回旋点13に一致させる場合などである。
瞳孔15の直径を2mmとした場合、水晶体12の調節休止時の視野角θeは8.21°、水晶体12の最大調節時の視野角θeは6.83°となる。網膜10上の像Sの大きさは、水晶体12の調節休止時において2.40mm、水晶体12の最大調節時において2.34mmとなる。
また、瞳孔15の直径を8mmとした場合、水晶体12の調節休止時の視野角θeは32.0°、水晶体12の最大調節時の視野角θeは26.8°となる。網膜上の像Sの大きさは、水晶体12の調節休止時は9.61mm、水晶体12の最大調節時は9.35mmとなる。
また、各変数の値として一般的な値を用いているが、水晶体12の焦点調節や個人差を考慮し、変更することができる。
網膜投影システムAは、目の焦点調節に関係なく、外界の風景とディスプレイの表示映像の両者を常に鮮明に視認することができ、表示内容へ瞳孔15を簡単に合わせることができるディスプレイを提供可能とする。
具体的には、シースルー型の眼鏡型ディスプレイなどに用いることができ、モバイル機器用ディスプレイ、作業時の情報提示(マニュアル等)、スポーツ選手への情報表示(時刻、生体情報など)、車やバイク使用者の運転時の情報提示(ITS:高速道路交通システム用ディスプレイ)、医療従事者の手術ナビゲーション、音楽演奏家への楽譜表示などを例示することができる。
図13は、実施例1における眼鏡型ディスプレイの全体斜視図である。図14は、実施例1における眼鏡型ディスプレイの部分断面図である。
眼鏡型ディスプレイ4は、図13に示すように、情報処理手段2と、情報表示手段3と、干渉部30と、眼鏡レンズ部40とテンプル41とを備え、使用者の顔面に装着し、眼鏡レンズ40が使用者の目の正面に位置するものである。
そして網膜投影システムAを用いた眼鏡型ディスプレイ4は、眼鏡レンズ部40の少なくとも一部分に干渉部30を備え、干渉部30には回折光学子を用いている。
眼鏡レンズ部40の全面に回折光学子を取り付けてもよいし、使用者の視界において眼鏡レンズ部の使用頻度の少ない領域に回折光学子を取り付けてもよい。使用者の通常の視界の邪魔にならない箇所に情報表示をするのが好ましい。図13に示すような、眼鏡レンズ部40の鼻側は、スポーツゴーグルなど遠距離を見ることが多い態様において、視界の邪魔にならない箇所となる。また、近距離を見ることが多いPC用眼鏡などの場合においては、眼鏡レンズ部40の耳側が視界の邪魔にならない箇所となる。
眼鏡型ディスプレイ4は、図14に示すような構成によって、網膜投影システムAを実現している。左右いずれかのテンプル41(図14においては右テンプル)に情報処理手段2を取り付け、情報処理手段2によって作成された情報内容を、情報表示手段3と干渉部30で網膜内に投影している。
情報表示手段2には、映像入出力装置を例示することができ、無線LANやブルートゥースを用いることができる。
この実施例において干渉部30は、情報表示手段3からの光を反射する態様で網膜内に投影する。情報表示手段3としてLED表示、液晶表示、有機EL表示などを例示することができる。干渉部30には、ホログラフィック光学素子、計算機合成ホログラムなどの回折光学素子を用いることができる。
また、実施例1において、干渉部30は反射することにより網膜投影の収束点F2を拡張して収束領域Fとするものであるが、透過することにより収束点F2を拡張して収束領域Fとするものとしてもよい。
F 収束領域
F2 収束点
G 進行目標点
S 像
1 眼球
10 網膜
11 硝子体
12 水晶体
13 眼球回旋点
14 中心窩
15 瞳孔
16 角膜
2 情報処理手段
3 情報表示手段
30 干渉部
4 眼鏡型ディスプレイ
40 眼鏡レンズ部
41 テンプル
Claims (8)
- 像(S)を眼球(1)内の網膜(10)へ投影する網膜投影システム(A)であって、
前記像(S)は、情報処理手段(2)よって作成され、情報表示手段(3)によって表示され、収束領域(F)を通過して網膜(10)に投影されるものであり、
前記収束領域(F)は、眼球(1)の硝子体(11)内に設定されており、
前記収束領域(F)は、
水晶体(12)と硝子体(11)の境界面と、眼球回旋点(13)との間に
設定されており、
前記収束領域(F)は、収束点(F2)を拡張したものであり、
前記網膜(10)に像(S)が映る視野角(θe)は、
視野角(θe)の範囲を、12.3°〜48.9°に設定したことを特徴とする
網膜投影システム。 - 情報表示手段(3)によって表示されることにより生じた光が、
干渉部(30)で反射または干渉部(30)を通過することにより、
収束点(F2)が収束領域(F)となること
を特徴とする請求項1記載の網膜投影システム。 - 前記干渉部(30)には回折光学子が用いられていることにより、
前記収束領域(F)が1mm〜3mmの長さをもつこと
を特徴とする請求項2記載の網膜投影システム。 - 前記干渉部(30)からの光の進行目標点(G)は、
眼球回旋点(13)に一致すること
を特徴とする請求項3記載の網膜投影システム。 - 請求項3又は4記載の網膜投影システム(A)を用いた眼鏡型ディスプレイ(4)であって、前記回折光学子は、眼鏡レンズ部(40)に配置されていること
を特徴とする眼鏡型ディスプレイ。 - 前記回折光学子は、眼鏡レンズ部(40)の全面に配置されていること
を特徴とする請求項5記載の眼鏡型ディスプレイ。 - 使用者の視界において、使用頻度の少ない領域に情報表示すること
を特徴とする請求項5又は6記載の眼鏡型ディスプレイ。 - 前記情報表示手段(3)は、LED表示、液晶表示又は有機EL表示であり、
前記干渉部(30)は、回折光学素子である
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の眼鏡型ディスプレイ。
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