JP6296496B2 - 情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラム - Google Patents

情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラム Download PDF

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Description

本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラムに関する。
近年、都市部におけるヒートアイランド現象が問題になっている。ヒートアイランド現象とは、都市部の気温がその周辺の郊外部に比べて異常に高温になる現象のことをいう。ヒートアイランド現象を起こす原因の一つとして、アスファルト又はコンクリートで被覆されることで、道路面、建物外皮等の地表面における光反射率が低下し、熱吸収率が増加していることが挙げられる。すなわち、都市部の地表面は、日射エネルギーを熱として吸収しやすく、温度が上昇しやすいことが、ヒートアイランド現象を起こす一つの原因として考えられている。
地表面の熱吸収率を低下させる一つの対策として、可視光領域及び赤外線領域で高い反射率を示す素材又は塗料を舗装体又は建物の外壁に採用することで、地表面被覆の高反射化を進めることが挙げられる。これによって、日射を効率よく反射し、吸収される熱の量を減少させることができるため、地表面における温度上昇を軽減することができる。しかしながら、地表面被覆の高反射化を進めた場合には、その地表面から反射する日射の照り返しが強くなってしまい、例えば、近隣の建物及び道路面を温めてしまう等、周辺環境を悪化させるという問題が生じてしまう。
このような日射の照り返しに起因する問題を解決するために、再帰反射性を地表面に付与することが試みられている。再帰反射とは、入射光が再び入射方向又はそれに近い方向に帰る反射現象のことである。再帰反射性を地表面に付与すれば、入射方向又はそれに近い方向に日射を返すことができるため、周辺への日射の照り返しを抑え、上記のような周辺環境の悪化を軽減することができる。
このような再帰反射性を地表面で発現する方法の一例として、例えば、特許文献1に例示されるように、複数枚の鏡面ミラーで構成されるコーナーキューブを利用して入射光を再帰反射するプリズム反射方式による方法が提案されている。また、例えば、特許文献2に例示されるように、球状レンズ及び反射体を利用して入射光を再帰反射する球状レンズ集光方式による方法が提案されている。更には、このような方式によらず、例えば、非特許文献1に例示されるように、月面のような微細な凹凸構造を有する物体表面において再帰反射性が発現することが知られている。なお、以下では、説明の便宜のために、この微細な凹凸構造をもつ物体表面で発現する再帰反射の方式を「表面凹凸反射方式」とも称する。
特開2006−322313号公報 特開2012−047020号公報
O'Leary and Briggs, "Optical Properties of Apollo 12 Moon Samples", J.Geophys.Res.78(1973) pp.792-797
ここで、物体の表面で生じる反射には、図1A及び図1Bで例示されるように、鏡面反射及び拡散反射の2種類が存在する。図1Aは、入射光の入射した物体の表面で生じる鏡面反射を例示する。また、図1Bは、入射光の入射した物体の表面で生じる拡散反射を例示する。鏡面反射とは、正反射とも呼ばれ、図1Aに例示されるように、特定の方向(「正反射方向」とも称する)に入射光が反射される現象のことである。この鏡面反射では、反射光の反射角βと入射光の入射角αとは同じになる。一方、拡散反射とは、図1Bに例示されるように、物体表層部での多重散乱、物体表面の凹凸形状等によって入射光が様々な方向に散乱するように反射される現象のことである。
上述の再帰反射性を発現する方法のうち、プリズム反射方式及び球状レンズ集光方式による方法では、物体表面で生じる反射のうち鏡面反射を利用して、再帰反射性が実現される。具体的には、プリズム反射方式では、コーナーキューブを構成する複数枚の鏡面ミラーにおいて複数回の鏡面反射を繰り返すことで、このコーナーキューブに入射した入射光が再帰反射する。また、球状レンズ集光方式では、球状レンズにより集光され、かつ当該球状レンズの後方に配置された反射体で鏡面反射することによって、球状レンズに入射した入射光が再帰反射する。
そのため、再帰反射性能を高めるためには、鏡面ミラー又は反射体で入射光が吸収されにくいように、鏡面反射率の高い反射面を用意しなければならず、製造コストが高くなってしまうという問題点がある。また、経年劣化等の摩耗でコーナーキューブ及び球状レンズの変形破損並びに反射面の鏡面反射率が低下してしまうことにより、簡単に再帰反射性能が低下してしまう。すなわち、再帰反射性能を維持するためには、コーナーキューブ及び球状レンズの修復並びに鏡面ミラー又は反射体における反射面の鏡面反射率が低下しないようにメンテナンスを継続的に行わなければならず、そのメンテナンスのコストが高くなってしまうという問題点がある。したがって、舗装体、建物の屋根、外壁等で再帰反射性を発現するために、これらの方式を広く採用することは現実的に困難である。
一方、表面凹凸反射方式による方法では、物体表面で生じる反射のうち拡散反射を利用して、再帰反射性が実現される。拡散反射性は、例えば、顔料を含む樹脂塗膜によって容易に実現可能である。したがって、製造が容易であり、比較的に摩耗に強く、コストを抑えることができるため、舗装体、建物の屋根、外壁等の対象物の表面にこの表面凹凸反射方式を比較的に広く採用することが可能である。しかしながら、物体表面に形成された凹凸形状によって生じるこの再帰反射の発現のメカニズムを定量的に解析する手法は確立されておらず、再帰反射性の適切な発現のために、物体表面にどのような凹凸形状を採用すればよいのかが不明であるという問題点があった。
本発明は、一側面では、このような点を考慮してなされたものであり、拡散反射によって発現する再帰反射のメカニズムを定量的に解析する技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
すなわち、本発明の一側面に係る情報処理装置は、対象物の表面における局所的な平面での入射光の拡散反射を追跡することで該対象物の表面で生じる該入射光の全域的な拡散反射をシミュレートする所定の光学シミュレーションの条件を示す条件情報として、該対象物に入射する該入射光の属性、該対象物の表面に形成される凹凸形状、及び該対象物の表面で生じる全域的な拡散反射の程度を示す全域的拡散反射率の基準値を示す情報を取得する条件取得部と、取得した前記条件情報により示される前記入射光及び前記対象物の条件下での前記光学シミュレーションに基づいて、前記凹凸形状の形成された前記対象物の表面における局所的な平面で生じる前記入射光の前記拡散反射の挙動をシミュレートにすることによって、前記対象物の表面における前記全域的拡散反射率の値及び前記拡散反射に起因して発現する再帰反射の程度を算定するシミュレーション部と、前記光学シミュレーションにより算定される前記全域的拡散反射率の算定値が前記条件情報に含まれる基準値付近か否かを判定し、前記全域的拡散反射率の算定値が前記基準値付近であると判定される場合に、前記光学シミュレーションにより算定される前記再帰反射の程度を、前記条件情報により示される前記凹凸形状の形成された前記対象物の表面で生じる再帰反射の程度として特定する再帰反射性能特定部と、を備える。
上記構成によれば、対象物に入射する入射光の属性、及び当該対象物の表面に形成される凹凸形状が設定されて光学シミュレーションが実行される。光学シミュレーションの対象となる対象物は、例えば、舗装体、建物の屋根、外壁等である。また、入射光の属性とは、例えば、入射光の入射方向(入射角)、明るさ(入射強度)等である。当該光学シミュレーションでは、対象物の表面における局所的な平面での入射光の拡散反射を追跡することで当該対象物の表面で生じる入射光の全域的な拡散反射の挙動がシミュレートされる。そのため、当該光学シミュレーションにより、対象物の表面における全域的拡散反射率の値及び当該拡散反射に起因して発現する再帰反射の程度を算定することができる。
ここで、全域的拡散反射率とは、凹凸形状の形成された対象物の表面(以下、「凹凸面」とも記載する)の全域的な拡散反射率のことである。また、拡散反射率は、物体に入射した放射束又は光束に対する拡散反射した放射束又は光束の割合を示す。すなわち、拡散反射率は、鏡面反射を除いた拡散的な光の反射率(拡散反射の割合)を示す。よって、全域的拡散反射率の値は、拡散反射に起因する対象物の表面における明るさ(反射強度)に対応する。
そこで、本実施形態では、光学シミュレーションにより算定される全域的拡散反射率の算定値が基準値付近であるか否かを判定する。全域的拡散反射率の基準値は、任意に設定可能であり、例えば、所望の路面の明度に応じて設定することができる。そして、全域的拡散反射率の算定値が基準値付近であると判定される場合に、その光学シミュレーションにより算定される再帰反射の程度が、設定した凹凸形状の表面で生じる再帰反射の程度として特定される。したがって、上記構成によれば、設定された凹凸形状の形成された表面であって、所望の明度を有する表面で発現する再帰反射の程度を特定することが可能であるため、拡散反射によって発現する再帰反射のメカニズムを定量的に解析することができる。
また、上記一側面に係る情報処理装置の別の形態として、前記シミュレーション部は、前記光学シミュレーションの結果により特定される、前記条件情報により示される入射光の正反射方向における拡散反射光の明るさに基づいて、前記対象物の表面における前記全域的拡散反射率の値を算定してもよい。全ての方向に係る拡散反射光を追跡する場合には、全域的拡散反射率の値の算定にかかる計算量が非常に大きくなってしまう。一方、当該構成によれば、一方向の拡散反射光の明るさに基づいて全域的拡散反射率の値を算定するため、当該算定にかかる計算量を低減することができる。なお、全域的拡散反射率の値は、周辺への入射光の照り返しの強さに対応する。そのため、当該構成では、例えば、入射光に向かって進む歩行者等に対する照り返しを考慮して、全域的拡散反射率の算定に関する方向として、入射光の正反射方向を採用している。
また、上記一側面に係る情報処理装置の別の形態として、前記シミュレーション部は、前記対象物の表面における局所的な平面で生じる拡散反射の程度を示す局所的拡散反射率の設定値に前記全域的拡散反射率の基準値を適用することで、前記対象物の表面の局所的な平面における該局所的拡散反射率を設定した上で前記光学シミュレーションを実行し、前記光学シミュレーションにより算定される前記全域的拡散反射率の算定値が前記基準値付近ではないと判定された場合には、前記全域的拡散反射率の算定値が前記基準値付近であると判定されるまで、前記全域的拡散反射率の算定値と前記基準値との差分を前記局所的拡散反射率の設定値に加算することによる該局所的拡散反射率の再設定、及び該再設定した局所的拡散反射率の条件下における前記光学シミュレーションの再実行を繰り返してもよい。
ここで、局所的拡散反射率とは、対象物の表面における局所的な平面の拡散反射率のことである。この局所的な平面には、対象物の表面の少なくとも一部を構成する平滑面、対象物の表面が少なくとも部分的に曲面である場合にはその曲面の接平面等が含まれる。すなわち、局所的拡散反射率は、対象物の表面に形成された凹凸形状とは無関係な局所的な拡散反射率のことである。この局所的拡散反射率は、例えば、対象物に塗布する塗料、対象物を構成する材料等の有する拡散反射率に対応する。
凹凸形状の形成された表面(凹凸面)では、凸部の形状によって入射光を反射しやすい方向及び反射し難い方向が存在するため、拡散反射の分布に偏りが生じる。そのため、全域的拡散反射率の基準値を局所的拡散反射率の設定値として利用した場合に、その設定で算定される全域的拡散反射率の算定値が基準値から乖離してしまう可能性がある。これに対して、当該構成によれば、全域的拡散反射率の算定値が基準値付近になるように、局所的拡散反射率の値を調節することが可能である。そのため、対象物の表面の全体的な見え方(明るさ)から局所的拡散反射率の値を特定することができ、かつそのような対象物の表面の条件における再帰反射の程度を算定することが可能である。
また、上記一側面に係る情報処理装置の別の形態として、前記対象物の表面に形成される凹凸形状は三角波状であってもよく、前記条件取得部は、前記三角波状に係る底角の指定を受け付けることで、前記対象物の表面に形成される凹凸形状を示す情報を取得してもよい。当該構成によれば、表面の凹凸形状を三角波状に限るため、再帰反射性が発現する場面を簡易的に把握することが可能である。なお、ランダムな凹凸形状の形成された対象物の表面は、三角波状の凹凸面の集合と捉えることが可能である。そのため、このように対象物の表面の凹凸形状を限定しても、現実とそれほど乖離しないシミュレーション結果を得ることができる。
また、上記一側面に係る情報処理装置の別の形態として、前記シミュレーション部は、前記所定の光学シミュレーションとして、モンテカルロ光線追跡法に基づく光学シミュレーションを行ってもよい。当該構成によれば、モンテカルロ光線追跡法では選択的に拡散反射の挙動をシミュレートすることができる。そのため、光学シミュレーションの計算量を飛躍的に低減することが可能である。
なお、上記一側面に係る情報処理装置の別の形態として、以上の各構成を実現する情報処理システムであってもよいし、情報処理方法であってもよいし、プログラムであってもよいし、このようなプログラムを記録したコンピュータその他装置、機械等が読み取り可能な記憶媒体であってもよい。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的、又は、化学的作用によって蓄積する媒体である。また、情報処理システムは、1又は複数の情報処理システムによって実現されてもよい。
例えば、本発明の一側面に係る情報処理方法は、コンピュータが、対象物の表面における局所的な平面での入射光の拡散反射を追跡することで該対象物の表面で生じる該入射光の全域的な拡散反射をシミュレートする所定の光学シミュレーションの条件を示す条件情報として、該対象物に入射する該入射光の属性、該対象物の表面に形成される凹凸形状、及び該対象物の表面で生じる全域的な拡散反射の程度を示す全域的拡散反射率の基準値を示す情報を取得するステップと、取得した前記条件情報により示される前記入射光及び前記対象物の条件下での前記光学シミュレーションに基づいて、前記凹凸形状の形成された前記対象物の表面における局所的な平面で生じる前記入射光の前記拡散反射の挙動をシミュレートにすることによって、前記対象物の表面における前記全域的拡散反射率の値及び前記拡散反射に起因して発現する再帰反射の程度を算定するステップと、前記光学シミュレーションにより算定される前記全域的拡散反射率の算定値が前記条件情報に含まれる基準値付近か否かを判定し、前記全域的拡散反射率の算定値が前記基準値付近であると判定される場合に、前記光学シミュレーションにより算定される前記再帰反射の程度を、前記条件情報により示される前記凹凸形状の形成された前記対象物の表面で生じる再帰反射の程度として特定するステップと、を実行する情報処理方法である。
また、例えば、本発明の一側面に係るプログラムは、コンピュータに、対象物の表面における局所的な平面での入射光の拡散反射を追跡することで該対象物の表面で生じる該入射光の全域的な拡散反射をシミュレートする所定の光学シミュレーションの条件を示す条件情報として、該対象物に入射する該入射光の属性、該対象物の表面に形成される凹凸形状、及び該対象物の表面で生じる全域的な拡散反射の程度を示す全域的拡散反射率の基準値を示す情報を取得するステップと、取得した前記条件情報により示される前記入射光及び前記対象物の条件下での前記光学シミュレーションに基づいて、前記凹凸形状の形成された前記対象物の表面における局所的な平面で生じる前記入射光の前記拡散反射の挙動をシミュレートにすることによって、前記対象物の表面における前記全域的拡散反射率の値及び前記拡散反射に起因して発現する再帰反射の程度を算定するステップと、前記光学シミュレーションにより算定される前記全域的拡散反射率の算定値が前記条件情報に含まれる基準値付近か否かを判定し、前記全域的拡散反射率の算定値が前記基準値付近であると判定される場合に、前記光学シミュレーションにより算定される前記再帰反射の程度を、前記条件情報により示される前記凹凸形状の形成された前記対象物の表面で生じる再帰反射の程度として特定するステップと、を実行させるためのプログラムである。
本発明によれば、拡散反射によって発現する再帰反射のメカニズムを定量的に解析する技術を提供することが可能になる。
図1Aは、入射光の入射した物体の表面で生じる鏡面反射を例示する。 図1Bは、入射光の入射した物体の表面で生じる拡散反射を例示する。 図2Aは、平滑な面で生じる拡散反射の状態を模式的に例示する。 図2Bは、凹凸形状の形成された面で生じる拡散反射の状態を模式的に例示する。 図2Cは、局所的拡散反射率を高めた場合における、凹凸形状の形成された面で生じる拡散反射の状態を模式的に例示する。 図3は、実施の形態に係る光学シミュレーションの場面を模式的に例示する。 図4は、実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を例示する。 図5は、実施の形態に係る情報処理装置の機能構成を例示する。 図6は、実施の形態に係る情報処理装置の処理手順を例示する。 図7は、舗装体の表面形状を例示する。 図8は、シミュレーション結果により特定される、表面形状傾きと再帰反射強度との関係を例示する。
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
なお、本実施形態において登場するデータを自然言語により説明しているが、より具体的には、コンピュータが認識可能な疑似言語、コマンド、パラメタ、マシン語等で指定される。
§1 再帰反射の発現について
まず、図2A〜図2Cを用いて、本実施形態で定量的に解析する再帰反射の発現メカニズムを説明する。図2Aは、平滑な面で生じる拡散反射の状態を模式的に例示する。また、図2Bは、凹凸形状の形成された面で生じる拡散反射の状態を模式的に例示する。更に、図2Cは、局所的拡散反射率を高めた場合における、凹凸形状の形成された面で生じる拡散反射の状態を模式的に例示する。なお、以下では、説明の便宜のため、入射光の光源の存在する方向を入射側、その反対方向を正反射側と称する。
図2Aでは、入射光が凹凸のない平滑な面に入射する場面が例示されている。平滑な面に入射した入射光は、各方向に偏りなく拡散反射する。そのため、各方向の反射強度、換言すると、反射光の明るさの分布を示す拡散反射分布は、図2Aで例示されるように、各方向に均一なものになる。したがって、このような表面では、再帰方向の反射強度が他の方向の反射強度と同じであるため、入射光が再帰方向に選択的に反射されてはおらず、再帰反射性が発現しているとはいえない。
なお、上述した局所的拡散反射率は、対象物の表面に形成された凹凸形状とは無関係な局所的な拡散反射率のことであるため、この平滑な面における拡散反射率と同じと捉えることができる。ここで、拡散反射率は、入射光が拡散反射する程度を示すことのできる指標であればよく、実施形態に応じて適宜設定可能である。拡散反射率として、例えば、正反射方向に拡散反射する反射光の反射強度の入射光の入射強度に対する割合を用いてもよい。
また、反射強度は、入射光の反射する程度を示す。そのため、反射強度は、入射光の入射した面の明るさに対応する。以下では、説明の便宜のため、この「面の明るさ」を用いて、対象物の表面において入射光が反射する程度(反射強度)を表現する場合がある。
一方、図2Bでは、入射光が凹凸面に入射する場面が例示されている。具体的には、図2Bは、底角θの三角波状の凹凸の形成された対象物の表面に入射光が入射する場面を例示している。図2Bで例示されるように、局所的には、入射光の入射する表面(図中の局所的な平滑面)において、図2Aと同様の拡散反射が生じる。
しかしながら、凹凸形状が表面に形成されている場合には、その拡散反射を全域的に捉えると、凸部によって遮られて反射光の到達し難い方向が生じる。図2Bでは、正反射側において反射光の到達し難い方向が生じている。また、入射光が平行光線である場合には、例えば、凹凸面を鉛直方向から見ると、入射光の当たる局所的な平滑面は、cosθを掛けた分だけ縮んで見える。すなわち、見る角度により、入射光の当たる局所的な平滑面は縮んで見えるようになる。
これにより、拡散反射分布には、偏りが生じる。具体的には、図2Bで例示されるように、正反射側に拡散反射する反射光の反射強度が低減し、入射側、特に、再帰方向に拡散反射する反射光の反射強度が増加する。そのため、このような凹凸形状の形成された表面では、再帰方向の反射強度が他の方向の反射強度よりも大きくなり、再帰反射性が発現した状態になる。
なお、上述の全域的拡散反射率は、このような凹凸形状の形成された対象物の表面の全域的な拡散反射率のことであり、特に、再帰方向を除いた他の方向の反射強度に対応する。そのため、対象物の表面に凹凸形状が全く形成されておらず、その対象物の表面全域が平滑である場合には、当該対象物の全域的拡散反射率は局所的拡散反射率と同じになる。
凹凸形状の形成された対象物の表面では、このようなメカニズムによって、再帰反射性が発現する。なお、このような再帰反射性を発現する凹凸形状は、三角波状に限定される訳ではない。例えば、正弦波状等の曲面を含んだ表面、繰り返しの形状ではなくランダムに凹凸の形成された表面等であっても、再帰反射性は発現する。
ただし、反射率の高い塗料(例えば、白色の塗料)等を塗布することで、対象物の表面における局所的拡散反射率を高めると、局所的な平滑面間で相互に複数回の拡散反射を繰り返して、正反射側にも反射光が到達しやすくなる。そのため、周辺への照り返しが強くなり、かつ、図2Cに例示されるように、他の方向の反射強度が再帰方向の反射強度に近付いて、再帰反射性が損なわれてしまう。そこで、本実施形態に係る光学シミュレーションでは、周辺への照り返しの強さを全域的拡散反射率で制限しつつ、再帰反射の程度を算定する。
具体的には、図3で例示されるように、入射光の属性、対象物の表面の凹凸形状、局所的拡散反射率の値、及び全域的拡散反射率の基準値が設定される。光学シミュレーションの対象となる対象物は、実施形態に応じて適宜設定可能であり、例えば、舗装体、建物の屋根、外壁等である。全域的拡散反射率の基準値は、設定した凹凸形状の形成された表面の明るさを定めるための基準として設定される。そして、本実施形態に係る光学シミュレーションは、局所的拡散反射率の設定値に基づいて、各局所的な平滑面における拡散反射の挙動をシミュレートする。
これにより、各方向の明るさ(反射強度)が特定可能である。本実施形態では、正反射方向の明るさに基づいて、設定した条件下における全域的拡散反射率の値が算定される。この全域的拡散反射率の算定値が基準値付近である場合には、設定した凹凸形状の形成された表面からの照り返しが所望の明るさに一致していると想定される。そのため、本実施形態に係る光学シミュレーションは、そのような場合における再帰反射の程度を算定する。
なお、光学シミュレーションで対象とする凹凸形状は、三角波状に限定されなくてもよく、例えば、正弦波等の曲面が含まれてもよいし、舗装体等の実サンプルの表面形状を測定することで特定される形状であってもよい。光学シミュレーションの対象とする凹凸形状は実施形態に応じて適宜選択可能である。
§2 構成例
<ハードウェア構成例>
次に、図4を用いて、本実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成を例示する。図4は、本実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成を例示する。情報処理装置1は、図4に例示されるように、CPU、RAM(Random Access Memory)、及び、ROM(Read Only Memory)等を含む制御部11、制御部11で実行するプログラム5等を記憶する記憶部12、ネットワークを介して通信を行うための通信インタフェース13、記憶媒体6に記憶されたプログラムを読み込むためのドライブ14、及び、外部装置と接続するための外部インタフェース15が電気的に接続されたコンピュータである。
なお、情報処理装置1の具体的なハードウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換、及び、追加が可能である。例えば、制御部11は、複数のプロセッサを含んでもよい。また、情報処理装置1は、ディスプレイ等の出力装置、及び、マウス、キーボード等の入力を行うための入力装置を備えてもよい。なお、図4では、通信インタフェース及び外部インタフェースは、それぞれ、「通信I/F」及び「外部I/F」と記載される。
また、プログラム5は、後述する動作例に係る各ステップを情報処理装置1に実行させるプログラムであり、本発明の「プログラム」に相当する。また、プログラム5は記憶媒体6に記録されていてもよい。記憶媒体6は、コンピュータその他装置、機械等が記録されたプログラム等の情報を読み取り可能なように、当該プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的、又は、化学的作用によって蓄積する媒体である。記憶媒体6は、本発明の「記憶媒体」に相当する。なお、図4は、記憶媒体6の一例として、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)等のディスク型の記憶媒体を例示している。しかしながら、記憶媒体6の種類は、ディスク型に限定される訳ではなく、ディスク型以外であってもよい。ディスク型以外の記憶媒体として、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリを挙げることができる。
また、情報処理装置1として、例えば、提供されるサービス専用に設計された装置の他、PC(Personal Computer)、タブレット端末等の汎用の装置が用いられてよい。また、情報処理装置1は、1又は複数のコンピュータにより実装されてもよい。
<機能構成例>
次に、図5を用いて、本実施形態に係る情報処理装置1の機能構成を例示する。図5は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能構成を例示する。本実施形態に係る情報処理装置1が備えるCPUは、記憶部12に記憶されたプログラム5をRAMに展開する。そして、CPUは、RAMに展開されたプログラム5を解釈及び実行して、各構成要素を制御する。これにより、本実施形態に係る情報処理装置1は、条件取得部21、シミュレーション部22、及び再帰反射性能特定部23を備えるコンピュータとして機能する。
条件取得部21は、対象物の表面における局所的な平面での入射光の拡散反射を追跡することで対象物の表面で生じる入射光の全域的な拡散反射をシミュレートする所定の光学シミュレーションの条件を示す条件情報として、対象物に入射する入射光の属性、対象物の表面に形成される凹凸形状、及び対象物の表面で生じる全域的な拡散反射の程度を示す全域的拡散反射率の基準値を示す情報を取得する。
シミュレーション部22は、条件取得部21によって取得された条件情報により示される入射光及び対象物の条件下での光学シミュレーションに基づいて、凹凸形状の形成された対象物の表面における局所的な平面で生じる入射光の拡散反射の挙動をシミュレートにする。これにより、シミュレーション部22は、対象物の表面における全域的拡散反射率の値及び拡散反射に起因して発現する再帰反射の程度を算定する。
再帰反射性能特定部23は、シミュレーション部22による光学シミュレーションにより算定される全域的拡散反射率の算定値が条件情報に含まれる基準値付近か否かを判定する。そして、全域的拡散反射率の算定値が基準値付近であると判定される場合に、再帰反射性能特定部23は、シミュレーション部22による光学シミュレーションにより算定される再帰反射の程度を、条件情報により示される凹凸形状の形成された対象物の表面で生じる再帰反射の程度として特定する。
なお、シミュレーション部22は、光学シミュレーションの結果によって特定される、入射光の正反射方向における拡散反射光の明るさに基づいて、対象物の表面における全域的拡散反射率の値を算定してもよい。
また、シミュレーション部22は、対象物の表面における局所的な平面で生じる拡散反射の程度を示す局所的拡散反射率の設定値に全域的拡散反射率の基準値を適用することで、対象物の表面の局所的な平面における局所的拡散反射率を設定した上で光学シミュレーションを実行してもよい。そして、シミュレーション部22は、光学シミュレーションにより算定される全域的拡散反射率の算定値が基準値付近でないと判定された場合には、全域的拡散反射率の算定値が基準値付近であると判定されるまで、全域的拡散反射率の算定値と基準値との差分を局所的拡散反射率の設定値に加算することによる局所的拡散反射率の再設定、及び再設定した局所的拡散反射率の条件下における光学シミュレーションの再実行を繰り返してもよい。
また、対象物の表面に形成される凹凸形状は三角波状であってもよく、条件取得部21は、三角波状に係る底角の角度θの指定を受け付けることで、対象物の表面に形成される凹凸形状を示す情報を取得してもよい。
また、シミュレーション部22は、所定の光学シミュレーションとして、モンテカルロ光線追跡法に基づく光学シミュレーションを実行してもよい。
なお、各機能に関しては後述する動作例で詳細に説明する。ここで、本実施形態では、これらの機能がいずれも汎用のCPUによって実現される例を説明している。しかしながら、これらの機能の一部又は全部が、1又は複数の専用のプロセッサにより実現されてもよい。また、情報処理装置1の機能構成に関して、実施形態に応じて、適宜、機能の省略、置換、及び追加が行われてもよい。
§3 動作例
図6は、本実施形態に係る情報処理装置1の動作例を示す。なお、以下で説明する動作例の処理手順は一例に過ぎず、各処理は、可能な限り入れ替えられてよい。また、以下で説明する動作例の処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、処理の省略、置換、及び、追加が可能である。
ステップS101では、制御部11は、条件取得部21として機能して、光学シミュレーションの条件を示す条件情報として、入射光の属性、対象物の表面に形成される凹凸形状、及び全域的拡散反射率の基準値を示す情報を取得する。処理対象となる対象物は、例えば、舗装体、建物の屋根、外壁等である。制御部11は、ユーザからの入力を受け付けることでこれらの情報を取得してもよいし、記憶部12又はネットワークを介して他のコンピュータに記憶されているデータにアクセスすることでこれらの情報を取得してもよい。情報を取得する方法は、実施の形態に応じて適宜選択される。これらの情報を取得すると、制御部11は、次のステップS102に処理を進める。
ここで、入射光の属性とは、光学シミュレーションの対象とする入射光の条件を特定するものであり、例えば、入射方向(角度)、明るさ(入射強度)等である。なお、明るさは、入射光の強さの程度を示し、入射強度と称されてもよい。当該明るさは、例えば、放射照度(W/m2)、照度(ルクス)等を用いて表すことができる。入射光は、実施の形態に応じて適宜設定されてもよい。例えば、入射光の一例として太陽光を想定することができる。この場合、一例として、0.3μmから2.5μmまでの近紫外域、可視域、及び近赤外域の日射を入射光として想定してもよい。また、入射光として太陽光を想定する場合に、入射光は、平行光線として取り扱われてもよい。このとき、入射光の属性には、この平行光線の幅が含まれてもよい。
また、本実施形態では、対象物の表面に形成される凹凸形状として、図3で例示されるような、底角θの三角波状が採用される。制御部11は、例えば、当該底角θの値(角度)の指定をユーザから受け付けることで、凹凸形状を示す情報を取得する。これによって、対象物の表面に形成される凹凸形状の種類が限定されるため、再帰反射性の発現する場面を簡易に把握することが可能になる。また、形状の異なるランダムな凹凸の形成された面は、このような三角波状の凹凸面の集合と捉えることが可能である。そのため、このように対象物の表面に形成される凹凸形状の種類を限定しても、現実とそれほど乖離しないシミュレーション結果を得ることができる。
ただし、本実施形態の処理可能な凹凸形状は、三角波状に限定される訳ではなく、実施の形態に応じて適宜設定可能である。例えば、対象物の表面の凹凸形状には、正弦波等の曲面が含まれてもよい。また、対象物の表面の凹凸形状は、三角波、正弦波等のような繰り返しの形状でなくてもよく、ランダムな形状であってもよい。更に、対象物の表面の凹凸形状には、実サンプルの表面形状を測定することで得られるデータが用いられてもよい。なお、本実施形態において、三角波状の凹凸面を構成する各局所的な平滑面は、入射光が回折しない程度の大きさに設定される。例えば、0.3μmから2.5μmまでの近紫外域、可視域、及び近赤外域の太陽光(日射)を入射光に想定する場合には、各局所的な平滑面の幅は、30μm以上に設定される。
また、全域的拡散反射率の基準値は、実施形態に応じて適宜設定可能である。ここで、一般的に、路面の明るさの上限は、L***表色系における明度L*=42に抑えられることが知られている。全域的拡散反射率は、入射光の周辺への照り返しの強さに対応する。そのため、光学シミュレーションの対象となる対象物として舗装体を想定する場合には、全域的拡散反射率の基準値に、路面の明るさの上限値、すなわち、明度L*=42に対応する反射率の値12.5%を採用してもよい。
次のステップS102では、制御部11は、シミュレーション部22として機能し、ステップS101で取得した条件情報に基づいて、光学シミュレーションを実行する。具体的には、制御部11は、以下のとおりに光学シミュレーションを行う。
まず、制御部11は、対象物の表面における局所的な平面で生じる入射光の拡散反射の程度を特定可能にするため、局所的拡散反射率の値(設定値)を設定する。局所的拡散反射率の設定値は、予め定められていてもよく、入力を受け付けることで取得されてもよい。局所的拡散反射率の設定値は、実施形態に応じて適宜設定可能である。なお、上述のとおり、対象物の表面に凹凸形状が形成されていない場合には、全域的拡散反射率の値と局所的拡散反射率の値とは一致する。そこで、本実施形態では、制御部11は、局所的拡散反射率の初期値として、ステップS101で取得した全域的拡散反射率の基準値を局所的拡散反射率の設定値に適用する。
次に、制御部11は、設定された局所的拡散反射率の設定値に基づいて、対象物の表面における局所的な平面での入射光の1又は複数回の拡散反射の挙動を追跡する。本実施形態では、図2B、図2C、及び図3で例示される、三角波状を構成する各平滑面がこの「局所的な平面」に相当する。処理対象の表面に曲面部分が含まれる場合には、当該曲面部分の接平面が「局所的な平面」に相当する。これにより、制御部11は、図2B及び図2Cで例示されるような、当該対象物の表面で生じる入射光の全域的な拡散反射をシミュレートする。
ここで、制御部11は、ステップS101で取得した情報により示される入射光及び対象物の条件下で光学シミュレーションを実行する。すなわち、制御部11は、この光学シミュレーションで取り扱う対象物の表面の凹凸形状及び入射光の属性それぞれに、ステップS101で取得した条件情報により示される入射光の属性及び凹凸形状を設定(適用)する。
なお、本ステップS102に係る光学シミュレーションは、対象物の表面における局所的な平面での入射光の拡散反射を追跡することで当該対象物の表面で生じる入射光の全域的な拡散反射をシミュレート可能であれば、いかなる方法で行われてもよい。また、本実施形態に係る光学シミュレーションの対象とする反射には、拡散反射の他に、鏡面反射も含まれてもよい。例えば、制御部11は、光学シミュレーションを実行するソフトウェアとして、ローレンス・バークレー国立研究所の開発したRadianceを用いることができる。
このRadianceは、モンテカルロ光線追跡法に基づいて、入射光の挙動をシミュレートする。対象物の表面で生じる拡散反射の挙動を全て追跡する場合には、拡散反射はあらゆる方向に生じるため、光学シミュレーションの計算量が非常に膨大になってしまう。しかしながら、このモンテカルロ光線追跡法によれば、再帰方向、正反射方向等で所定の位置を設定すると、その設定した位置に到達する光線を選択的に計算することができる。そのため、光学シミュレーションの計算量を飛躍的に低減することができる。
そして、制御部11は、当該光学シミュレーションの結果に基づいて、全域的拡散反射率の値及び当該拡散反射に起因して発現する再帰反射の程度を算定する。
全域的拡散反射率の値を算定する方法は、実施形態に応じて適宜選択可能である。制御部11は、例えば、所定の一方向の拡散反射光の明るさに基づいて、全域的拡散反射率の値を算定することができる。この場合、制御部11は、例えば、底角0度の三角波状の凹凸面、換言すると、図2Aで例示される平滑な面からの拡散反射光の明るさを基準として利用してもよい。
すなわち、制御部11は、全域的拡散反射率の基準値を平滑な面の局所的拡散反射率に設定し、上記光学シミュレーションに基づいて、ステップS101で取得した条件情報により示される入射光がその平滑な面で拡散反射する場面をシミュレートする。これによって、制御部11は、設定された入射光が平滑な面に入射した場合における、所定の一方向に係る拡散反射光の明るさを求めることができる。なお、拡散反射光の明るさ(反射強度)は、例えば、放射照度[W/m2]、照度[ルクス]等で表現することができる。
局所的拡散反射率の値は、平滑な面では、全域的拡散反射率の値に一致する。そのため、これによって特定される拡散反射光の明るさは、全域的拡散反射率の基準値に対応する。したがって、制御部11は、凹凸面における拡散反射光の明るさと当該平滑な面における拡散反射光の明るさとの比率に基づいて、当該凹凸面における全域的拡散反射率の値を算定することができる。
例えば、制御部11は、上記光学シミュレーションにおいて、ステップS101で取得した条件情報により示される凹凸面で生じる拡散反射光の各方向のうち、所定の一方向に係る拡散反射光の明るさを求める。そして、制御部11は、平滑な面における拡散反射光の明るさで当該凹凸面における拡散反射光の明るさを割り算した商を全域的拡散反射率の基準値に掛けることで、全域的拡散反射率の値を算定することができる。
全ての方向に係る拡散反射光の明るさを参照する場合には、全域的拡散反射率の値の算定にかかる計算量が非常に大きくなってしまう。しかしながら、このような方法によれば、全域的拡散反射率の算定において参照する方向が一方向で済むため、全域的拡散反射率の値の算定にかかる計算量を低減することができる。なお、全域的拡散反射率の値は、周辺への入射光の照り返しの強さに対応する。そのため、本実施形態では、制御部11は、図3で例示されるように、入射光に向かって進む歩行者等に対する照り返しを考慮して、全域的拡散反射率の算定に係る「所定の一方向」として、入射光の正反射方向を採用している。
再帰反射の程度を算定する方法は、全域的拡散反射率の算定値を特定する方法と同様に、実施の形態に応じて適宜選択可能である。
また、再帰反射の程度を示す指標には、再帰方向の反射光(以下、「再帰反射光」とも称する)の強さを定量的に表現可能であれば、任意の指標が用いられてもよい。再帰反射の程度を示す指標には、例えば、再帰方向に係る拡散反射光の明るさ(再帰反射強度)、全方向の拡散反射光の明るさに対する再帰方向に係る拡散反射光の明るさの割合、入射光の明るさに対する再帰方向に係る拡散反射光の明るさの比率(再帰反射率)等が採用可能である。
更に、制御部11は、再帰方向として、任意の方向を取り扱ってもよい。例えば、制御部11は、ステップS101で取得した条件情報により示される入射光の入射角により特定される一方向(入射方向)に再帰方向を限定してもよい。また、制御部11は、入射角により特定される一方向だけではなく、当該入射角を含む所定の角度範囲の方向を再帰方向として取り扱ってもよい。
本実施形態では、説明の便宜のため、再帰方向に係る拡散反射光の明るさ(以下、「再帰反射強度」とも称する)を再帰反射の程度を示す指標として採用し、入射角により特定される一方向を再帰方向として採用する。そのため、制御部11は、上記光学シミュレーションにおいて、再帰方向に係る拡散反射光の明るさ(再帰反射強度)を求めることにより、再帰反射の程度を算定する。
なお、上記Radianceは、設定した位置での明るさを特定する照度測定機能を備えている。そのため、光学シミュレーションのソフトウェアとしてRadianceを採用する場合には、制御部11は、この照度測定機能を利用して、正反射方向、再帰方向等の各方向に係る拡散反射光の明るさを算定することができる。
制御部11は、このようにして、光学シミュレーションを行い、ステップS101で設定された凹凸形状の形成された対象物の表面における全域的拡散反射率の値及び再帰反射の程度を算定する。そして、制御部11は、全域的拡散反射率の値及び再帰反射の程度を算定すると、次のステップS103に処理を進める。
次のステップS103では、制御部11は、ステップS102で算定した全域的拡散反射率の算定値がステップS101で取得した基準値付近であるか否かを判定する。そして、全域的拡散反射率の算定値が基準値付近であると判定した場合には、制御部11は、次のステップS106に処理を進める。一方、全域的拡散反射率の算定値が基準値付近ではないと判定した場合には、制御部11は、次のステップS104に処理を進める。
なお、全域的拡散反射率の算定値が基準値付近であるか否かを判定する方法は、実施の形態に応じて適宜選択されてもよい。例えば、制御部11は、全域的拡散反射率の算定値が基準値から所定の範囲内であるか否かに応じて、全域的拡散反射率の算定値が基準値付近であるか否かを判定してもよい。この場合、制御部11は、全域的拡散反射率の算定値が基準値から所定の範囲内であるときに、全域的拡散反射率の算定値が基準値付近であると判定する。また、制御部11は、全域的拡散反射率の算定値が基準値から所定の範囲内ではないときに、全域的拡散反射率の算定値が基準値付近ではないと判定する。
また、上述の理由により、対象物の表面に凹凸形状が形成されている場合(図2B)には、正反射方向に係る拡散反射光の明るさは、凹凸形状の形成されていない場合(図2A)に比べて暗くなる。そのため、局所的拡散反射率の設定値に全域的拡散反射率の基準値を採用した場合には、その局所的拡散反射率の設定値を利用することで算定される全域的拡散反射率の算定値は基準値よりも小さな値になる。そこで、制御部11は、後述するステップS104及びS105によって局所的拡散反射率の設定値を調節することを考慮して、全域的拡散反射率の算定値が基準値よりも大きいか否かに応じて、全域的拡散反射率の算定値が基準値付近であるか否かを判定してもよい。この場合、制御部11は、全域的拡散反射率の算定値が基準値よりも大きいときに、全域的拡散反射率の算定値が基準値付近であると判定する。また、制御部11は、全域的拡散反射率の算定値が基準値よりも小さいときに、全域的拡散反射率の算定値が基準値付近ではないと判定する。
次のステップS104では、制御部11は、局所的拡散反射率の値を再設定する。局所的拡散反射率の値を再設定する方法は、実施形態に応じて適宜選択されてもよい。例えば、制御部11は、全域的拡散反射率の算定値が基準値よりも小さい場合には、局所的拡散反射率の設定値に所定の値(正の値)を加算することで、局所的拡散反射率の値を再設定してもよい。また、制御部11は、全域的拡散反射率の算定値が基準値よりも大きい場合には、局所的拡散反射率の設定値に所定の値を減算することで、局所的拡散反射率の値を再設定してもよい。
本実施形態では、制御部11は、全域的拡散反射率の算定値と基準値との差分を局所的拡散反射率の設定値に加算することによって、当該局所的拡散反射率の値を再設定する。具体的には、制御部11は、全域的拡散反射率の基準値から算定値を差し引いた値を局所的拡散反射率の設定値に加算する。そのため、全域的拡散反射率の算定値が基準値よりも小さい場合には、本ステップS104の処理によって、局所的拡散反射率の設定値は元の値よりも大きくなる。一方、全域的拡散反射率の算定値が基準値よりも大きい場合には、本ステップS104の処理によって、局所的拡散反射率の設定値は元の値よりも小さくなる。
本実施形態では、制御部11は、正反射側(正反射方向)の明るさに基づいて、全域的拡散反射率の算定値を求める。そのため、本実施形態では、上記光学シミュレーションにより得られる全域的拡散反射率の算定値は、基本的には、ステップS101で取得した全域的拡散反射率の基準値よりも小さくなる。よって、本実施形態では、本ステップS104によって、局所的拡散反射率は、値を増加させる方向に調整される。
なお、後述するステップS105では、本ステップS104により再設定した局所的拡散反射率の値が用いられて、上記光学シミュレーションが実行され、全域的拡散反射率の値が再計算される。そして、ステップS105の処理を実行した後、制御部11は、ステップS103に処理を戻す。そのため、ステップS104及びステップS105に係る処理が2回以上繰り返される場合がある。
このような場合、1回目のステップS104の処理では、制御部11は、ステップS102の処理で得られた全域的拡散反射率の算定値とステップS101で取得した基準値との差分を、ステップS102で設定した局所的拡散反射率の設定値に加算する。一方、2回目以降のステップS104の処理では、制御部11は、直前のステップS105の処理で得られた全域的拡散反射率の算定値とステップS101で取得した基準値との差分を、直前のステップS104で再設定した局所的拡散反射率の設定値に加算する。
局所的拡散反射率の値を増加させることは、対象物の表面を高反射化することに相当する。そのため、局所的拡散反射率の値を増加させると、入射光の入射する対象物の表面において拡散反射する光の量が増加し、上記光学シミュレーションにより取得される全域的拡散反射率の算定値も増加する。反対に、局所的拡散反射率の値を低下させると、上記光学シミュレーションにより取得される全域的拡散反射率の算定値も低下する。
本実施形態では、全域的拡散反射率の算定値と基準値との差分を局所的拡散反射率の設定値に加算することによって、局所的拡散反射率の値を再設定する。すなわち、本実施形態では、全域的拡散反射率の算定値と基準値との乖離幅に応じて、局所的拡散反射率の再設定の際の変更幅が調節される。そのため、本実施形態によれば、本ステップS104及び後述するステップS105による局所的拡散反射率の調節に係る処理を早期に収束させることができる。
次のステップS105では、制御部11は、ステップS104により再設定した局所的拡散反射率の条件下において、上記光学シミュレーションを再実行する。直前のステップS104により再設定された局所的拡散反射率の設定値を光学シミュレーションに用いる点を除き、制御部11は、ステップS102と同様に、本ステップS105の処理を実行可能である。そのため、詳細な説明は省略する。
図6で例示されるように、制御部11は、本ステップS105における光学シミュレーションを実行した後、ステップS103に処理を戻す。すなわち、制御部11は、ステップS105により再実行した光学シミュレーションの結果に基づいて取得される全域的拡散反射率の算定値がステップS101で取得した基準値付近か否かを判定する。そして、全域的拡散反射率の算定値が基準値付近ではないと判定される場合には、制御部11は、再度ステップS104及びステップS105の処理を繰り返す。
したがって、制御部11は、ステップS104による局所的拡散反射率の再設定、及びステップS105による光学シミュレーションの再実行を、全域的拡散反射率の算定値が基準値付近であると判定されるまで繰り返す。これによって、本実施形態では、局所的拡散反射率の値を調節して、所望する全域的拡散反射率の値(基準値)付近の明るさになる凹凸面の局所的拡散反射率の値を特定することができる。
なお、局所的拡散反射率の値は、対象物の表面に形成された凹凸形状とは無関係な局所的な拡散反射率であり、例えば、対象物に塗布する塗料、対象物を構成する材料等の有する拡散反射率に対応する。よって、本実施形態によれば、全域的拡散反射率の基準値に対応する明るさになる凹凸面の局所的拡散反射率の値を特定可能であるため、ステップS101で指定した凹凸面を所望の明るさにするための、対象物に塗布する塗料、対象物を構成する材料等を特定することができる。
次のステップS106では、制御部11は、再帰反射性能特定部23として機能し、上記ステップS102又はステップS105の光学シミュレーションにより算定される再帰反射の程度を、ステップS101で取得された条件情報により示される凹凸形状の形成された対象物の表面で生じる再帰反射の程度として特定する。これにより、制御部11は、本動作例に係る処理を終了する。
ここで、本実施形態では、再帰反射の程度を示す指標として、上述した再帰反射強度が採用されている。そのため、本ステップS106では、指定された凹凸形状の形成された対象物の表面に係る再帰反射強度が特定される。
なお、本実施形態では、上記ステップS103からステップS105までの処理が繰り返されることで、複数回の光学シミュレーションが実行される可能性がある。複数回の光学シミュレーションが実行される場合には、最後の光学シミュレーションにより算定される再帰反射強度が、指定された凹凸形状の形成された対象物の表面に係る再帰反射強度に特定される。そのため、制御部11は、この最後の光学シミュレーションでのみ再帰反射強度を算定し、その他の光学シミュレーションでは再帰反射強度の算定を省略してもよい。
また、制御部11は、当該再帰反射強度を含む本動作例に係る処理の結果を出力装置等に出力してもよい。本動作例に係る処理の結果を出力する形態は、実施の形態に応じて適宜選択可能である。
(作用・効果)
本実施形態に係る情報処理装置1は、指定される入射光及び凹凸面の設定の下、当該凹凸面で生じる拡散反射の挙動をシミュレートすることで、当該凹凸面における全域的拡散反射率の算定値及び再帰反射強度を求める。ここで、本実施形態では、全域的拡散反射率の基準値が設定されている。そして、情報処理装置1は、当該光学シミュレーションにより求められる全域的拡散反射率の算定値が当該基準値付近であると判定される場合に、その光学シミュレーションにより算定される再帰反射強度を、指定された凹凸面の再帰反射強度に特定する。
全域的拡散反射率は、凹凸形状の形成された表面の全域的な明るさに対応する。そのため、全域的拡散反射率は、例えば、所望する路面の明度に対応して設定される。したがって、本実施形態によれば、指定された凹凸形状及び明るさを有する表面で発現する再帰反射強度を特定することができるため、拡散反射によって発現する再帰反射のメカニズムを定量的に解析することができる。
§4 解析例
次に、図7及び図8を用いて、上記情報処理装置1による、再帰反射性の発現に適切な凹凸形状の解析例を説明する。図7は、舗装体の表面形状を例示する。また、図8は、光学シミュレーションの結果により特定される、表面形状傾き(θ)と再帰反射強度との関係を例示する。本例では、凹凸形状の解析対象として、舗装体を選択した。
舗装体の表面形状は、デジタルマイクロスコープ等の測定機器を用いることで、測定することができる。図7は、キーエンス社のデジタルマイクロスコープ(VHX−1000)を用いて、遮熱性塗料の塗布された舗装体の表面形状を測定した例を示す。舗装体の表面形状の傾きは、図7で例示されるように、屋外において無作為に舗装されるため、ほぼランダムであることが確認できた。
ここで、このランダムな形状の凹凸は、傾きの異なる三角波状の凹凸の集合と捉えることができる。そこで、例えば、凹凸形状の傾きを数か所測定し、ランダムな凹凸形状の傾きの平均値を求める。そして、ランダムな凹凸形状の形成された凹凸面における再帰反射強度は、その平均値と同じ底角θの三角波状の凹凸面における再帰反射強度と同じであると仮定して、当該凹凸形状により発現する再帰反射性の評価を試みる。以下では、上記情報処理装置1を用いて、平均値30度の傾きを有する凹凸面の再帰反射性を評価する例を説明する。
本解析例では、ステップS101において、凹凸形状の底角θに、5度、15度、25度、35度、45度、及び55度それぞれを指定した。また、入射光は太陽光であると想定し、入射方向の角度(入射角)に、45度及び60度それぞれを指定した。45度の入射角の入射光は、夕方の太陽光を想定している。また、60度の入射角の入射光は、昼間の太陽光を想定している。更に、全域的拡散反射率の基準値に、明度L*=42に対応する反射率12.5%を指定した。これらの条件それぞれについて、上記情報処理装置1を利用して、再帰反射強度を算定した。そして、凹凸形状の底角θが0度の場合の再帰反射強度を基準として、凹凸形状の底角θが各角度である場合における再帰反射強度をプロットした。図8は、そのプロットの結果を示す。
図8で例示されるプロット結果は、両入射角(45度、60度)共に、凹凸が急峻になるほど、再帰反射強度が高くなっている。そのため、上記情報処理装置1によって、凹凸が急峻、すなわち、凹凸形状の底角θが大きいほど、再帰反射強度が高くなることが分かる。なお、プロット結果のグラフでは、傾き(底角θ)に応じて再帰反射強度がほぼ単調増加しており、明確な極大点及び極小点が現れていない。そのため、ランダムな凹凸形状の形成された凹凸面を、各位置で測定した傾きの平均値を底角θとする三角波状の凹凸面と、仮定することによって得られる再帰反射強度は、現実の凹凸面における再帰反射強度とそれほど乖離していないと考えられる。よって、このような仮定に基づいて凹凸面の再帰反射性を評価してもよいと考えられる。
また、図8で例示されるプロット結果では、45度の入射光の場合に、底角θが30度の凹凸面における再帰反射強度は1.87となっている。そのため、例えば、10%の再帰反射強度の向上を目標とする場合には、凹凸面における再帰反射強度は2.06であればよい。ここで、図8で例示されるプロット結果では、再帰反射強度が2.06である凹凸面の底角θは31.8度である。よって、本解析結果から、平均値30度の傾きを有する舗装体において、入射角45度の太陽光に対して10%の再帰反射強度の向上を目標とする場合には、舗装体の表面形状の傾きを平均1.8度増加させればよいことが分かる。
同様に、図8で例示されるプロット結果では、60度の入射光の場合に、底角θが30度の凹凸面における再帰反射強度は1.48となっている。そのため、例えば、10%の再帰反射強度の向上を目標とする場合には、凹凸面における再帰反射強度は1.63であればよい。ここで、図8で例示されるプロット結果では、再帰反射が1.63である凹凸面の底角θは32.7度である。よって、本解析結果から、平均値30度の傾きを有する舗装体において、入射角60度の太陽光に対して10%の再帰反射強度の向上を目標とする場合には、舗装体の表面形状の傾きを平均2.7度増加させればよいことが分かる。
したがって、本解析結果から、上記情報処理装置1を利用することで、再帰反射強度を高める指針、すなわち、目標とする再帰反射強度の向上値(例えば、10%)に対してどれくらい凹凸形状の傾きを急峻にすればよいかを特定することができる。なお、舗装体の表面形状の傾きを増加させる方法は、実施形態に応じて適宜選択されてもよい。例えば、のこぎり状等の凹凸形状の形成された部分を有する道具で舗装体の表面を削ることで、舗装体の表面形状の傾きを増加させてもよい。また、舗装体を押し固める際に利用するローラの表面に凹凸形状を形成することで、舗装体の表面形状の傾きを増加させてもよい。更に、骨材などの配置を工夫することによって、舗装体の表面形状の傾きを増加させてもよい。
1…情報処理装置、
5…プログラム、6…記憶媒体、
21…条件取得部、22…シミュレーション部、23…再帰反射性能特定部

Claims (7)

  1. 対象物の表面における局所的な平面での入射光の拡散反射を追跡することで該対象物の表面で生じる該入射光の全域的な拡散反射をシミュレートする所定の光学シミュレーションの条件を示す条件情報として、該対象物に入射する該入射光の属性、該対象物の表面に形成される凹凸形状、及び該対象物の表面で生じる全域的な拡散反射の程度を示す全域的拡散反射率の基準値を示す情報を取得する条件取得部と、
    取得した前記条件情報により示される前記入射光及び前記対象物の条件下での前記光学シミュレーションに基づいて、前記凹凸形状の形成された前記対象物の表面における局所的な平面で生じる前記入射光の前記拡散反射の挙動をシミュレートにすることによって、前記対象物の表面における前記全域的拡散反射率の値及び前記拡散反射に起因して発現する再帰反射の程度を算定するシミュレーション部と、
    前記光学シミュレーションにより算定される前記全域的拡散反射率の算定値が前記条件情報に含まれる基準値付近か否かを判定し、前記全域的拡散反射率の算定値が前記基準値付近であると判定される場合に、前記光学シミュレーションにより算定される前記再帰反射の程度を、前記条件情報により示される前記凹凸形状の形成された前記対象物の表面で生じる再帰反射の程度として特定する再帰反射性能特定部と、
    を備える、
    情報処理装置。
  2. 前記シミュレーション部は、前記光学シミュレーションの結果により特定される、前記条件情報により示される入射光の正反射方向における拡散反射光の明るさに基づいて、前記対象物の表面における前記全域的拡散反射率の値を算定する、
    請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記シミュレーション部は、
    前記対象物の表面における局所的な平面で生じる拡散反射の程度を示す局所的拡散反射率の設定値に前記全域的拡散反射率の基準値を適用することで、前記対象物の表面の局所的な平面における該局所的拡散反射率を設定した上で前記光学シミュレーションを実行し、
    前記光学シミュレーションにより算定される前記全域的拡散反射率の算定値が前記基準値付近ではないと判定された場合には、前記全域的拡散反射率の算定値が前記基準値付近であると判定されるまで、前記全域的拡散反射率の算定値と前記基準値との差分を前記局所的拡散反射率の設定値に加算することによる該局所的拡散反射率の再設定、及び該再設定した局所的拡散反射率の条件下における前記光学シミュレーションの再実行を繰り返す、
    請求項1又は2に記載の情報処理装置。
  4. 前記対象物の表面に形成される凹凸形状は三角波状であり、
    前記条件取得部は、前記三角波状に係る底角の指定を受け付けることで、前記対象物の表面に形成される凹凸形状を示す情報を取得する、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
  5. 前記シミュレーション部は、前記所定の光学シミュレーションとして、モンテカルロ光線追跡法に基づく光学シミュレーションを行う、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
  6. コンピュータが、
    対象物の表面における局所的な平面での入射光の拡散反射を追跡することで該対象物の表面で生じる該入射光の全域的な拡散反射をシミュレートする所定の光学シミュレーションの条件を示す条件情報として、該対象物に入射する該入射光の属性、該対象物の表面に形成される凹凸形状、及び該対象物の表面で生じる全域的な拡散反射の程度を示す全域的拡散反射率の基準値を示す情報を取得するステップと、
    取得した前記条件情報により示される前記入射光及び前記対象物の条件下での前記光学シミュレーションに基づいて、前記凹凸形状の形成された前記対象物の表面における局所的な平面で生じる前記入射光の前記拡散反射の挙動をシミュレートにすることによって、前記対象物の表面における前記全域的拡散反射率の値及び前記拡散反射に起因して発現する再帰反射の程度を算定するステップと、
    前記光学シミュレーションにより算定される前記全域的拡散反射率の算定値が前記条件情報に含まれる基準値付近か否かを判定し、前記全域的拡散反射率の算定値が前記基準値付近であると判定される場合に、前記光学シミュレーションにより算定される前記再帰反射の程度を、前記条件情報により示される前記凹凸形状の形成された前記対象物の表面で生じる再帰反射の程度として特定するステップと、
    を実行する情報処理方法。
  7. コンピュータに、
    対象物の表面における局所的な平面での入射光の拡散反射を追跡することで該対象物の表面で生じる該入射光の全域的な拡散反射をシミュレートする所定の光学シミュレーションの条件を示す条件情報として、該対象物に入射する該入射光の属性、該対象物の表面に形成される凹凸形状、及び該対象物の表面で生じる全域的な拡散反射の程度を示す全域的拡散反射率の基準値を示す情報を取得するステップと、
    取得した前記条件情報により示される前記入射光及び前記対象物の条件下での前記光学シミュレーションに基づいて、前記凹凸形状の形成された前記対象物の表面における局所的な平面で生じる前記入射光の前記拡散反射の挙動をシミュレートにすることによって、前記対象物の表面における前記全域的拡散反射率の値及び前記拡散反射に起因して発現する再帰反射の程度を算定するステップと、
    前記光学シミュレーションにより算定される前記全域的拡散反射率の算定値が前記条件情報に含まれる基準値付近か否かを判定し、前記全域的拡散反射率の算定値が前記基準値付近であると判定される場合に、前記光学シミュレーションにより算定される前記再帰反射の程度を、前記条件情報により示される前記凹凸形状の形成された前記対象物の表面で生じる再帰反射の程度として特定するステップと、
    を実行させるためのプログラム。
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