JP6284939B6 - 組織除去デバイス、システム及び方法 - Google Patents

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関連出願
本出願は、2009年1月7日に出願された米国仮特許出願第61/143,010号明細書に対する優先権を主張する、2010年1月7日に出願され「組織除去デバイス、システム及び方法(TISSUE REMOVAL DEVICES,SYSTEMS AND METHODS)」と題する米国特許出願第12/683,893号明細書の一部継続出願であり且つそれに対する優先権を主張する、2012年9月16日に出願され「組織除去デバイス、システム及び方法(TISSUE REMOVAL DEVICES,SYSTEMS AND METHODS)」と題する米国特許出願第13/234,672号の一部継続出願であり且つそれに対する優先権を主張する、2013年3月21日に出願され「組織除去デバイス、システム及び方法(TISSUE REMOVAL DEVICES,SYSTEMS AND METHODS)」と題するPCT/US2012/053641号明細書の一部継続出願であり且つそれに対する優先権を主張し、それらの各々の開示内容は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、概して組織の除去に関し、その限定しない例は、患者の眼球から白内障物質を除去することである。本発明はまた、真空パルスを利用して、除去するべき組織を断片化し及び/又は分解することに関する。
多くの外科的処置は、種々の種類の眼科処置を含む、手術部位からの組織の除去を伴う。頻繁に行われる処置の一例は、白内障手術である。白内障を除去する為に選択される器具は、超音波水晶体乳化吸引術(「フェイコ」)デバイスであった。フェイコ技術は、白内障を断片化して除去する為に、エネルギーモダリティとして超音波を利用する。具体的には、フェイコ技術は、機械的超音波エネルギーを使用して、白内障物質を断片化する小型のチタン針を振動させる。眼球から白内障物質を除去する為に、チタン針を通して吸引が適用される。処置中、振動する針によって発生する大量の熱を中和するのに役立つように、同軸スリーブが眼球に洗浄流体を供給する。
フェイコ技術には、多くの欠点がある。利用される高い超音波エネルギーにより、切開部位において眼組織に熱損傷がもたらされる可能性がある。更に、フェイコ技術は高価であり、フェイコ手技は複雑であり且つ習得に時間がかかることが知られている。発展途上国は、長年にわたってフェイコ技術を採用しようとしてきたが、フェイコデバイスの費用が高いことと、外科医がフェイコ手術方法を習得する際に直面する困難とにより、これらの国の多くでは進歩が遅い。また、外科医側に、フェイコ手技中に切開部位で生じる可能性がある外科的に誘発された乱視を低減する為に、現行の3.0mm標準より小さい切開部を形成したいという要望もある。フェイコ技法には、切開部がフェイコ先端及びそのシリコーン洗浄スリーブの周囲にぴったりと合い過ぎている場合に、切開部位に熱傷を引き起こす傾向がある。ぴったりと合う程度に関らず、採用される高レベルの超音波エネルギーによって、切開部における熱傷又は角膜熱傷がもたらされる可能性がある。また、開発されている新たな折畳み式眼内レンズ(IOL)によっては、2.5mmの切開部を通して眼球に挿入することができる。外科医がこのサイズの切開部を通して白内障を除去しようとする場合、超音波チタン先端及びシリコーン洗浄スリーブから生じる摩擦からもたらされる熱的効果を受ける可能性が高くなる。この熱的効果により、組織が収縮し、誘発乱視がもたらされる可能性がある。
更に、フェイコデバイスのチタン先端を通して送達される機械的超音波エネルギーにより、先端の機械的移動とともに、白内障物質を断片化することを目的とするキャビテーション場がもたらされるが、それは、手術中に接触する虹彩又はあらゆる眼組織或いは構造に損傷を与える可能性がある。外科医は、眼球の内部で超音波エネルギーを活性化する時、非常に慎重でなければならない。超音波エネルギーを制御することが困難である為、外科医は、多くの場合、比較的高い流体流量を通してチタン先端に白内障粒子を引き寄せようとする。大部分の外科医は、高い流体流量及び超音波エネルギー場がフェイコ先端自体を十分に超えて達する為、眼球内でのフェイコ先端の移動を最小限にしようとする。超音波の広い伝播及びキャビテーションは、フェイコ技法の避けられない副産物であり、ともに場合によっては有害であり、現時点では従来の超音波水晶体乳化吸引術を制限するものである。
更に、超音波エネルギーには、特に相対的に高いレベルで、角膜浮腫をもたらす傾向がある。多くの外科医は、角膜を保護するように、眼球の前眼房内にフェイコ先端を挿入する前に眼球内に粘弾性材料を注入する。外科医によっては、IOLが眼球内に挿入される白内障処置の段階中に粘弾性材料を使用する。粘弾性材料は高価である為、その使用が低減すれば白内障処置の費用が削減される。
更に、フェイコデバイスによって生成される超音波エネルギーは、角膜の内膜に位置する内皮細胞に損傷を与えることも知られている。これらの細胞は、視覚の質に対して重要である。白内障が硬くなる程、白内障を乳化する為により高いレベルの超音波が必要である為、内皮細胞損失が大きくなる。フェイコ技術の使用において、1プラスから3プラス硬度の白内障の場合、平均内皮細胞損失が13.74%(1.5%から46.66%)であることが報告されている。また、フェイコデバイスによって4プラス硬度の白内障を除去する時、平均内皮細胞損失が26.06%(6.81%から58.33%)であることも報告されている。
白内障手術で利用される流体の量は、術後に角膜の透明度に対して、且つ外科的処置の全体的な有効性に対して著しい影響を与える可能性がある。現行のフェイコデバイスは、熱に関係する問題の為に、部分的に閉鎖したフェイコ切開で動作する。この切開により、手術中に眼球から著しい量の流体流出がもたらされる。補償する為に、多くのシステムは、レンズ材料をチタン針に引き付けるようにより高い吸引流量を使用しなければならない。より高い流量との組合せで、より高い乱流がもたらされ、全体的な眼房の安定性が損なわれる傾向がある。従って、完全に閉鎖した切開で動作することができることがより有利であり、それにより、外向きの流体流が抽出カニューレのみを通るように向けられる。代りに閉塞原理で動作する本開示において教示するデバイス等の非超音波デバイスでは、流体の使用を最小限にすることができ、手術時間が短縮することにより手術の効率を向上させることができる。
更に、将来、複数のIOL製造業者によって開発されている注入可能なIOLに対応するように嚢内白内障除去を行う為に、より小さい切開(およそ1mm)が必要となる。現行のフェイコ技術は、機械的超音波によってもたらされる熱を管理する際の限界により、嚢内処置を行うことができない。
米国特許出願公開第2005/0234394号明細書
上述したことを考慮して、より費用効率が高く、超音波熱エネルギーを低減するか又はなくす等、損傷のリスクを低減し、患者の眼球等の手術部位の周囲組織に対する損傷が少なく、術後合併症のリスクを低減し、処置を簡略化しその時間を短縮し、現在開発中の新たな眼内レンズ(IOL)技術に対応する等、所与の処置に必要な切開部位のサイズを低減する、組織除去装置及び方法が継続して必要とされている。
全体的に又は部分的に上述した問題及び/又は当業者によって認められてきた可能性がある他の問題に対処する為に、本開示は、以下に示す実施で例として記載するように、方法、プロセス、システム、装置、器具及び/又はデバイスを提供する。
一実施によれば、本発明の他のデバイス、装置、方法、特徴及び利点は、以下の図及び詳細な説明を検討することにより当業者には明らかとなろう。こうした追加のシステム、方法、特徴及び利点のすべてが、本明細書に含まれ、本発明の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。
本発明を、以下の図を参照することによってより理解することができる。図における構成要素は、必ずしも正確な縮尺ではなく、代りに、本発明の原理を例示することに重きが置かれている。図において、それぞれの図を通して同様の参照数字は対応する部品を指定する。
本発明の実施による組織除去システムの一例を示すブロック図である。 組織除去システムによって印加することができるパルス真空信号の一例である。 組織除去システムによって印加することができるパルス真空信号の別の例である。 本明細書に開示する実施による組織除去デバイスによって提供することができる熱素子及びカニューレの断面図である。 外側から見た熱素子及びカニューレの端面図である。 図4及び図5に示す熱素子及びカニューレの上面図である。 カニューレ、及び熱素子をいかに構成することができるかの各例の斜視図である。 カニューレ、及び熱素子をいかに構成することができるかの各例の斜視図である。 カニューレ、及び熱素子をいかに構成することができるかの各例の斜視図である。 真空パルス化デバイスが開放位置にある、組織除去デバイスのその内部吸引ラインを形成する構造の一例の断面図である。 真空パルス化デバイスが閉鎖位置にある、図10に示す構造の別の断面図である。 真空パルス化デバイスの別の例の断面図であり、真空パルス化デバイスの可動部材が後退位置にある図である。 可動部材がその伸長位置にある、図12に示す真空パルス化デバイスの断面図である。 真空パルス化デバイスに設けることができる可動部材の例の側面図である。 真空パルス化デバイスの別の例の断面図であり、真空パルス化デバイスの可動部材が後退位置にある図である。 可動部材がその伸長位置にある、図14に示す真空パルス化デバイスの断面図である。 本発明の別の実施による組織除去システムの一例を示すブロック図である。 本発明の別の実施による組織除去デバイスの一例の斜視図である。 図18に示す組織除去デバイスの上面図である。 図19の線B−Bに沿って取り出された組織除去デバイスの断面図である。 本発明の別の実施による手持ち式外科用器具の一例の斜視図である。 拡張位置にある、本明細書に開示する実施による拡張可能切開シールの例の斜視図である。 後退位置にある、図22に示す拡張可能シールの斜視図である。 本発明の更に別の実施による組織除去デバイスの一例の反転した側面図である。 本発明の実施による組織除去デバイスの別の例の斜視図である。 図24Aに示す組織除去デバイスの断面図である。 回転弁アセンブリの構成要素を特徴とする図24Aに示す組織除去デバイスの組立分解斜視図である。 拡張する吸引ライン構成の例を特徴とする、図24Aに示す組織除去デバイスの流体路流の概略図である。 カニューレの遠位端に付与された本発明のI/A先端膜の断面図である。 本発明による眼球内の切開部から組織を除去する方法の一例を示すフローチャートである。 本発明の組織除去デバイスの遠位端にI/A先端膜を付与するデバイスの断面図である。 図29Aに示すデバイスの断面図であり、デバイス内に挿入された組織除去デバイスの遠位端を示す図である。 本発明の組織除去デバイスの遠位端に付与されたI/A先端膜を示す側面図である。 別の実施による組織除去デバイスの例の斜視図である。 図31に示す組織除去デバイスの平面図である。 図31及び図32に示す組織除去デバイスに設けることができる弁アセンブリの一例の斜視図である。 弁アセンブリが開放位置にある、図31及び図32に示す組織除去デバイスの断面図である。 弁アセンブリが閉鎖位置にある、図31及び図32に示す組織除去デバイスの断面図である。 別の実施による吸引カニューレの一例の側面図である。 別の実施による組織除去システムの一例の概略図である。 図37に示す組織除去システムに設けることができる、カセット、真空調節器及び真空源の一例の概略図である。 図37に示す組織除去システムに設けることができるカセットの一例の部分切取斜視図である。 図39に示すカセットの部分切取側面図である。 実施による円筒状カニューレシールの一例の斜視図である。 図41に示すカニューレシールの側面図である。 実施による、吸引カニューレの遠位端に弾性膜を付与するデバイスの切取図である。 図43Aに示すデバイスの切取図であり、その中にカニューレが挿入されている状態を示す図である。 弾性膜が設置されているカニューレの側面図である。 別の実施による組織除去システムの一例の概略図である。 吸引カニューレにおけるシール膜の実施例の斜視図である。 及至 パルス真空を変化させるパルスパラメータの制御を示すパルス真空信号である。
図1は、本明細書に開示する実施による組織除去システム100の例を示すブロック図である。組織除去システム100は、概して、組織除去デバイス104と、真空ポンプ108と、制御コンソール112及び足踏み式制御デバイス116等の1つ又は複数のシステム制御デバイスとを含む。典型的な実施では、組織除去デバイス104は、使用者によって快適に手持ちされるように構成され且つサイズが決められており、従って、ハンドピース、手持ち式器具又は手持ち式デバイスと呼ぶことができる。組織除去システム100の他の構成要素は、固定型又は携帯型であり、組織除去システム100が利用される特定の処置に対して望ましいか又は適切であり得る。組織除去デバイス104及び他の様々な構成要素を、組織除去システム100を完成するように迅速に且つ容易に相互接続されるように適合された、滅菌された予め組み立てられた形態で外科医に提供することができる。組織除去デバイス104及び他の様々な構成要素を、使い捨て材料から構成することができる。
概して、組織除去システム100は、外科医(又は他のタイプの使用者)が、組織除去デバイス104の遠位先端における真空又は真空及び熱エネルギーの両方の制御された印加を通して、手術部位124から標的組織120を除去するように使用するように適合されている。本文脈において、標的組織120は、概して、手術部位124から除去されることが望まれるあらゆる組織を包含する。例として、標的組織120は、患者の眼球から除去される白内障物質であり得る。真空を、手術部位124から標的組織120を吸引する為だけではなく、標的組織120を破壊する為のモダリティとしても利用することができる。熱エネルギーもまた、標的組織120を破壊するのに役立つように利用することができる。組織除去システム100はまた、滅菌式で吸引組織の収集及び廃棄を可能にする、出口ライン130を介して真空ポンプ108と連通する、あらゆる好適な容器、入れ物等によって具現化することができるような組織収集場所128を含むことができる。特定の用途に応じて、組織除去システムを、組織除去デバイスを介して手術部位に所定のタイプの材料を追加するように構成することも可能である。例えば、組織除去システムを、手術部位に洗浄流体を施すように適合させることができ、又は、こうした機能を、別個の器具によって行うことができる。他の例として、組織除去デバイスを、皮質物質を吸収する材料、又はヒト水晶体、流動性IOL材料等に置き換わるゲル或いは他の屈折性材料を注入するように構成することができる。
組織除去デバイス104は、概して、手術部位124に配置され且つそこで操作されるように適合された開放遠位端132と、反対側の近位端136とを含む。組織除去デバイスはまた、様々な構成要素を封入するハウジング140も含む。上述したように、ハウジング140を、外科医の手で保持されるように構成する(サイズを決める、成形する等)ことができる。有利な実施では、ハウジング140は、外科医を保護するように絶縁性であり且つ断熱性である材料から構成され、その限定しない例は、様々な熱可塑性材料及び他のポリマー組成物である。組織除去デバイス104の1つ又は複数の構成要素(導管、管材、チャンバ等)は、概して開放遠位端132から近位端136まで又は少なくともそこに向かってハウジング140を通って伸びる内部真空(又は吸引)ライン144を提供する。内部吸引ライン144の一部は、カニューレ148によって確立され、カニューレ148は、ハウジング140の遠位開口部から短い距離にわたって延在し、組織除去デバイス104の開放遠位端132に対応する開放遠位先端で終端することができる。典型的には近位端136(ハウジング140の近位開口部)に又はその近くに位置する組織除去デバイス104の適切な取付具(図示せず)により、内部吸引ライン144を、任意の好適な長さの外部吸引ライン152との接続を介して真空ポンプ108と流体連通するように配置することができる。
組織除去デバイス104はまた、内部吸引ライン144と動作可能に連通しているハウジング140内に位置する真空パルス化デバイス156も含むことができる。真空ポンプ108が制御されたレベルの真空を確立した状態で、真空パルス化デバイス156を、制御された周波数及び持続時間の真空パルスを発生させるように操作することができる。この目的で、真空パルス化デバイス156を、真空パルス制御信号ライン160を介して制御コンソール112と電気通信するように配置することができる。真空パルス化デバイス156を、真空パルスを発生させるのに好適な任意の方法で構成することができ、その幾つかの例について後述する。真空パルス化の効果を最適化する為に、真空パルス化デバイス156と開放遠位端132との間の内部吸引ライン144の部分は、発生したままのパルスエネルギーが遠位端132に移送される際に保持されるように、剛性であるべきである。即ち、内部吸引ライン144のこの部分では、軟質導管材料(例えば、可撓性管材)を回避するべきであり、それは、こうした材料が、パルスエネルギーに対して望ましくない減衰効果を与える可能性がある為である。従って、カニューレ148を、剛性材料から構成するべきである。組織除去デバイス104の設計に応じて、図示するカニューレ148は、その遠位先端から真空パルス化デバイス156まで、即ち剛性であるべき内部吸引ライン144の全体部分にわたって延在することができる。別法として、カニューレ148と真空パルス化デバイス156との間に1つ又は複数の他の別個の導管を設けることができ、その場合、こうした他の導管も同様に剛性であるべきである。
動作時、真空ポンプ108は、組織除去デバイス104に対する基礎レベルの真空を提供する。この真空レベルを、外科医が必要に応じて組織を吸引する為に制御し調整することができる。組織除去処置中の任意の所与の期間にわたって、外科医は、真空のレベルを一定であるように設定することができ、又は真空レベルを変更することができる。真空パルス化デバイス156を、真空ポンプ108によって発生する真空をパルス化するように操作することができる。真空パルス化を、ありとあらゆる目的で行うことができ、その例は、標的組織120を吸引前に破壊することである。1つの特定の例では、パルス化真空エネルギーを利用して、白内障物質が破壊される。真空パルス化の全体的な持続時間(即ち、真空パルス化デバイス156が動作状態である時間)とともに、パルス化パラメータ(例えば、パルスの大きさ及び持続時間/周波数)を、外科医が決定することができる。例として、外科医が、様々な事前設定された(所定の、予めプログラムされた等)真空パルス化プログラムから選択するのを可能にすることができ、且つ/又は真空パルス化パラメータをリアルタイムで(オンザフライで)調整するのを可能にすることができる。外科医は、制御コンソール112及び/又は脚制御デバイス116を利用することにより、真空ポンプ108及び真空パルス化デバイス156の動作パラメータを制御することができる。
真空パルス化デバイス156によって実施することができる真空パルス化プログラム(又はプロファイル)の幾つかの例を図2及び図3に示す。具体的には、図2は、比較的高周波数のパルスと適度な真空レベルとによって特徴付けられるパルス真空信号の例である。図3は、比較的低周波数のパルスと高い真空レベルとによって特徴付けられるパルス真空信号の例である。有利な実施では、パルス列は、図2及び図3に示すように段状プロファイルを有し(即ち、ステップ関数又は方形波であり)、そこでは、真空レベルは、高い値と(ゼロ真空又は非常に低い真空に対応する可能性がある)低い値との間で急峻に切り替わる。即ち、高い値と低い値との間の遷移は、ランプ又は曲線関数によって改善されない。このように、パルスは事実上、標的組織120を破壊するのに有効である一連の別個の衝撃を構成する。
所定のタイプの組織の破壊等、真空パルス化の幾つかの具体的な目的で、真空パルスの大きさが、真空ポンプ108によって提供される基礎真空の大きさより著しく高いことが望ましいか又は必要である場合がある。この為、真空パルス化デバイス156の動作を真空ポンプ108の動作と整合させることができ、それを、制御コンソール112によって自動的に行うことができる。例えば、制御コンソール112を、真空パルス化デバイス156の起動時に真空ポンプ108によって発生する真空レベルを逓増させ、同様に、真空パルス化デバイス156の停止時に真空レベルを逓減させるように構成することができる。更に、安全機能として、制御コンソール112を、真空パルス化デバイス156の停止時、又は真空パルス化デバイス156の故障を検知した時、真空ポンプ108を停止するように構成することができる。この種の整合は、白内障除去及び他の眼科処置等、所定タイプの組織除去処置に特に有用である。こうした動作環境では、真空パルス化が動作する真空レベルが高い程、パルス化がない場合に、場合によっては有害な高流体流量状態をもたらす可能性が高い。即ち、組織除去デバイス104の遠位先端が患者の眼球の内部等の流体環境に位置する時、真空ポンプ108の動作によって確立された真空により、カニューレ148及び吸引ラインを備える他の全ての流体導管を通して、流体環境から真空ポンプ108に向かう方向に流体流が確立される。真空パルス化デバイス156が操作されていない時、流量は、主に、真空ポンプ108によって印加される真空のレベルによって決まる。組織除去システム100は、近くの組織又は他の構造に損傷を与えるか又は他の方法で有害な影響を与えることなく標的組織120を吸引するのに有効であるものとして求められた大きさの範囲内の真空を印加するように、真空ポンプ108を操作するように構成されている。一方、真空パルス化デバイス156もまた動作状態である時、真空パルス、即ち、遠位先端に印加される真空の周期的な遮断及び回復は、流体流量に著しく影響を与える。概して、真空パルスレートが高い程、流体流量が低くなり、真空パルスレートが低い程、流体流量が高くなる。従って、結果としての流体流量が安全範囲内にあり続ける為、標的組織120を安全な方法で非常に有効に破壊するように、比較的高い大きさで高周波数真空パルスを印加することができる。しかしながら、真空が、真空パルス化デバイス156の動作停止又は故障によるパルス化中止の後に、真空がその高い大きさであり続けた場合、流体流量は急速に非安全レベルまで上昇する可能性がある。患者の眼球等の幾つかの重要な手術部位の場合、流体流のこの急な上昇及び/又は連続的に印加される(非パルスの)高い大きさの真空への突然の遷移により、急速な流体損失及び患者への損傷がもたらされる可能性がある。従って、損傷のリスクをなくす為に、真空ポンプ108及び真空パルス化デバイス156のそれぞれの動作を調和させることが有利である。
上述したように、真空パルスレートが高い程流体流量が低くなり、真空パルスレートが低い程流体流量が高くなる。従って、組織除去デバイス104が真空パルスモードで動作している間、外科医は、真空パルス化デバイス156によって印加されている真空パルスの周波数を変化させることにより、流体流量、従って組織除去デバイス104を通して吸引されている破壊された組織の流量を制御することができる。真空パルス周波数を、例えば、制御コンソール112又は足制御デバイス116に位置する適切な調整つまみを操作することにより、変化させることができる。上述したものと同様の安全機能として、制御コンソール112又は足制御デバイス116に設けられた回路を、真空パルス周波数の所定の下限閾値に達したか否かを検出し、達した場合、危険な程に高い流量を回避するように印加された真空の大きさを自動的に低下させることによって応答するように構成することができる。別の安全機能として、足制御デバイス116を、真空パルス化モードを有効なままにする為に、足制御デバイス116のフットスイッチが押下されたままであることを必要とするように構成することができる。この構成により、外科医が、フットスイッチから意図的に又は偶発的に足を外した場合、組織除去システム100は、低真空レベルで連続真空モードに自動的に切り替えられ、又は、真空ポンプ108は自動的に停止され、又は、真空パルス化デバイス156の弁機構が、カニューレ148の遠位先端への真空の印加を中断するように吸引ライン144を自動的に閉鎖する等である。
図1に更に示すように、幾つかの実施では、組織除去システム100は、低真空ライン及び別個の高真空ラインを含むことができる。上述した第1吸引ライン152は低真空ラインとして利用され、第2吸引ライン164が高真空ラインとして利用される。第1吸引ライン152及び第1真空ポンプ108は、連続又は定常真空モード中、動作状態であり、その場合、外科医が、比較的低い真空レベルの範囲内で真空レベルを変更することができる。高圧吸引ライン164が、真空パルス化デバイス156と、真空パルス化モードに関連する比較的高いレベルの真空を印加するように構成された第2真空ポンプ168の流体入口とを相互接続する。第1真空ポンプ108と同様に、第2真空ポンプ168は、適切な電気信号ライン(図示せず)を介して制御コンソール112又は足制御デバイス116によって制御される。第1真空ポンプ108及び第2真空ポンプ168は、同じタイプのポンプでも異なるタイプのポンプでもあり得る。制御コンソール112又は足制御デバイス116は、連続真空モード又は真空パルス化モードの外科医の選択に従って、又は本開示の別の場所に記載するように所定の事象に自動的に応答して、第1真空ポンプ108の動作と第2真空ポンプ168の動作とを切り替えるように構成されている。真空パルス化デバイス156を、選択されたモードに応じて、カニューレ148から第1吸引ライン152又は第2吸引ライン164のいずれかへの流路を切り替えるように構成することができる。従って、流体及び除去された組織は、第1吸引ライン152又は第2吸引ライン164のいずれかを通って流れる。出口ライン172が、第2真空ポンプ168の流体出口と組織収集場所128とを相互接続することができる。
組織除去デバイス104は、カニューレ148の遠位先端に位置する熱素子176も含むことができる。熱素子176は、標的組織120に局所熱エネルギーを印加するように適合されている。熱エネルギーには、標的組織120を分解する効果がある。本文脈において、「分解する」とは、概して、標的組織120がその元の状態と異なる状態に転換され、その異なる状態により、手術部位124からの標的組織の除去及び/又は組織除去デバイス104を通しての吸引が容易になることを意味する。厳密な分解の機構は、標的組織120の特質又は組成によって決まる。幾つかの限定しない例としては、分解は、標的組織120をより小さい破片に破壊すること、標的組織120を変性させること、標的組織120を解重合すること、標的組織120を溶解すること等を伴うことができる。幾つかの実施では、熱素子176は、DC電流に応答する電気抵抗加熱素子である。熱素子176を、加熱信号ライン180を介して制御コンソール112によって制御することができ、加熱信号ライン180は、所望の大きさのDC電流を、組織除去デバイス104の1つ又は複数の導電性構成要素を通して熱素子176に渡す。1つの限定しない例として、制御コンソール112を、熱素子176の温度が約40℃〜70℃の範囲内で変化するのを可能にする電流範囲にわたって熱素子176を通電するように構成することができる。制御コンソール112を、熱素子176がパルス熱エネルギーを印加するように、加熱信号ライン180にわたってパルスDC電流を伝送するように構成することも可能である。加熱信号ライン180は、それぞれが熱素子176の2つの端子又は接点と通信しそれにより回路を確立する2つの電線を表すことができ、その回路では、電流が、一方の電線を通り、熱素子176を通り、他方の電線を通る。熱素子176の1つ又は複数の動作パラメータを、別法として又は更に、更に後述するように足制御デバイス116によって制御することができる。
熱素子176を、概して、任意の導電性であるが電気抵抗性の材料、即ち、それを通過する電気エネルギーの実質的な部分を熱エネルギーに変換する為に有効な材料から構成することができる。従って、種々の金属及び金属合金を利用することができる。好ましくは、熱素子176は、電流に対して応答性が高い材料、即ち非常に抵抗性の高い(又は導電性の低い)材料、又は言い換えれば、電流に応答して熱を容易に放散する材料から構成される。1つの限定しない例はニクロムである。幾つかの実施では、標的組織120が熱素子176に付着又は固着するのを防止する為に、熱素子176に非粘着特性を与える材料でコーティングすることができる。好適な非粘着コーティングの限定しない例としては、パリレン族の様々なポリマー組成物と共にその化学的誘導体及び相対物が挙げられる。
図4は、組織除去デバイス104の遠位領域の例の断面図である。より具体的には、図4は、断面にて、カニューレ148の遠位領域とカニューレ148の遠位先端402に配置された熱素子176とを示す。カニューレ148の内面406は、カニューレ148の内部の境界を定める。内面406の内径によって、カニューレ148を通して流れ断面積が決まる。この例では、熱素子176及びカニューレ148は、長手方向軸410を中心に同軸状に配置されている。長手方向軸410と同一直線上にある矢印は、印加される真空によって確立される圧力勾配の方向、従って流体流及び組織吸引の方向を概して示す。この例では、熱素子176は、カニューレ148内への流体入口414としての役割を果たし従って組織除去デバイス104の開放遠位端132(図1)に対応する開口部を画定するワイヤループの形態で提供されている。従って、熱素子176は、環状であり、吸引された流体及び組織用の流路を同軸状に包囲する。流体入口414のサイズ(内径)により、カニューレ176への流れ面積が決まる。これを図5にも示し、図5は、外側から見た熱素子176及びカニューレ148の端面図である。熱素子176の内径を、カニューレ148の内径と同じか又は実質的に同じとすることができ、その場合、流れ面積は、カニューレ148の軸長に沿って保持される。他の実施では、図4及び図5に示すように、熱素子176の内径をカニューレ148の内径より小さくすることができ、カニューレ148の先細り(又は円錐状)部分418によって直径の遷移が提供されている。この構成は、カニューレ148が詰まるのを防止する為に有用である可能性があり、それは、より径の小さい熱素子176によって画定される流体入口414を横切るのに十分小さいいかなる組織にも、カニューレ148によって画定されたより大きい流れ断面積を詰まらせるリスクが殆どない為である。図5に示すように、熱素子176は、間隙508によって分離された2つの末端502、504を有するという点でC字型であり得る。この構成により、それぞれの導線を末端502、504に取り付けるか又は他の方法で電気的に接触するように配置して、熱素子176にDC電流を通す回路を完成することができる。そして、導線は、図1に概略的に示す加熱信号ライン180を介して制御コンソール112と通信することができる。
組織除去デバイス104を、切開部を介してカニューレ148を手術部位内に挿入することを伴う種々の処置で利用することができる。例えば、様々な眼科処置では、患者の眼球の膜を通して切開部を形成する場合がある。切開部を、例えばレーザ処置等の種々の技法によって形成することができる。眼球に対する損傷を最小限にして且つ術後回復期間及び治癒期間を最短にする為に、切開部は可能な限り小さいものであるべきである。従って、カニューレ148は、実際的に可能な限り小さいものであるべきである。本明細書に開示するカニューレ148及び熱素子176の設計により、これらの構成要素の機能に悪影響を与えることなくそれらのサイズを最小限にすることができる。幾つかの実施では、カニューレ148の外径は1.0mm〜3.0mmの範囲である。幾つかの例では、カニューレ148の外径は、約3.0mm、2.5mm、2.0mm、1.5mm又は1.0mmである。他の場所で述べた用に、熱素子176の外径を、カニューレ148の外径と略同じかそれより小さくすることができる。幾つかの例では、熱素子176の外径は約1.7mm以下である。カニューレ148のサイズを、部分的に最小限にすることができ、それは、組織除去デバイス104自体が、手術部位に洗浄流体を供給する手段を提供する必要がない為である。本明細書に開示する真空パルス化効果及び熱的効果の利用は、従来技術の組織除去技法と略同量の洗浄流体を必要としない。手術部位に追加する必要があるいかなる洗浄流体も、別個の手持ち式デバイスによって供給することができる。これを、両手技法と呼ぶことができ、そこでは、外科医は、一方の手で組織除去デバイス104を使用し必要に応じて他方の手で洗浄デバイスを使用する。別法として、組織除去デバイス104を、同軸技法を行うように構成することができ、そこでは、洗浄流体は、カニューレ148と同軸の環状スリーブ(図示せず)を通して組織除去デバイス104によって供給される。この後者の代替案ではより大きい切開部が必要であるが、切開部は依然として3.0mm未満であり得る。
図4は、熱素子176によって実施される熱的効果の例も示す。この例では、標的組織120(例えば、白内障又は白内障の一部)が、印加された真空の影響下で流体入口414に引き込まれている。しかしながら、標的組織120の方が流体入口414より大きく、その為、最初に熱素子176に接触し、流体入口414を閉塞する。状況によっては、印加される真空は、標的組織120が流体入口414を通って横切りカニューレ148を通って組織除去デバイス104から出て関連する吸引ラインを通って所望の行先(例えば、図1に示す収集場所128)まで流れるのを可能にするのに十分、標的組織120を変形させるのに十分であり得る。他の状況では、標的組織120は、印加される真空の影響下でのみ吸引されるには大きすぎ、且つ/又は十分変形可能でない可能性があり、且つ/又は真空パルス化効果の実施が、標的組織120を破壊するのに十分でない場合がある。これらの後者の状況では、熱素子176を通電して、標的組織120に熱エネルギーを印加し、それにより、流体入口414及びカニューレ148を通してより容易に輸送されるより小さい断片422に破壊することができる。
更に、組織除去システム100を、閉塞の発生を検出し、熱素子176を自動的に作動させるように構成することができる。閉塞事象を検出する為に様々な手法をとることができる。1つの限定しない例として、組織除去システム100は、吸引ライン152とその適切な位置で動作可能にインタフェースされる圧力トランスデューサ184(図1)を提供することができ、圧力トランスデューサ184は、連続した又は間欠的な圧力フィードバック信号を、圧力フィードバック信号ライン188を介して制御コンソール112に提供する。吸引ライン152における圧力(又は真空)レベルの急峻な変化の検出を、流体入口414(図4)における閉塞事象の発生として解釈することができ、それが、自動的に熱素子176の作動を引き起こすことができる。同様に、組織除去システム100が連続真空モードで動作している時、閉塞事象の検出は、真空パルス化モードの作動を引き起こすことができる。制御コンソール112を、閉塞の検出時に組織除去デバイス104の動作の現状態に応じて、真空パルス化モード及び/又は熱印加モードを自動的に引き起こすか否かと、両モードを同時に作動させるか又は逐次作動させるかとを判断するように構成することができる。その後、閉塞がなくなったことが検出されると、制御コンソール112を、真空パルス化デバイス156及び/又は熱素子176を停止させるように構成することができ、且つ/又は、制御コンソール112は、真空ポンプ108、168を停止するか或いは他の方法で遠位先端402において真空を中断させることができる。閉塞を検出する目的で、圧力トランスデューサ184を、内部吸引ライン144のいずれかの部分と動作可能に連通している組織除去デバイス104のハウジング140(図1)に配置することができる。別法として、図1に示すように、圧力トランスデューサ184を、外部吸引ライン152又は164と動作可能に連通するように、又は真空ポンプ108或いは168のハウジング内に配置することができる。
熱的効果の有効性は、すべての状況において、標的組織120と熱素子176との間の実際の接触を必要とするとは限らないことが留意される。例えば、カニューレ148の遠位先端402を手術部位に挿入する際、熱素子176を、標的組織120から僅かな距離に配置することができる。そして、熱素子176を、それが標的組織120に近接しているが接触していない間に作動させることができる。熱素子176からの熱エネルギーを、空気又は流体(例えば、眼科処置の場合は眼球内流体、及び/又は種々の外科処置において適用されるような洗浄流体)等、熱素子176と標的組織120との間に存在する流体媒体の僅かな部分を通して、標的組織120に伝達することができる。標的組織120が熱素子176によって包囲された流体入口414に引き込まれる前に、標的組織120が破壊し始めるのに十分な量の熱エネルギーを、流体媒体を通して伝達することができる。別法として又は更に、標的組織120は、熱素子176からの熱の伝達の為に流体入口414に向かって輸送中に破壊を開始することができる。
全てのこうした状況において、熱的効果は非常に局所的であることが明らかである。熱素子176は、放出される熱エネルギーを流体入口414及び流体入口414のすぐ近くに直接集中させる外面領域を提示するような形状である。熱的効果は、標的組織120が存在する流体体積の実質的な部分が容易に認められる程度まで加熱される必要がない程十分に有効であり且つ急速である。熱的効果はまた、熱エネルギーが非常に短い期間のみ印加されればよい程十分に有効であり且つ急速である。この期間は、周囲の非標的組織が、印加された熱エネルギーによって悪影響を受けるには不十分である。これは、洗浄流体が熱素子176によって堆積された過剰な熱エネルギーを吸収する為、手術部位を通しての洗浄流体の循環を伴う処置において特にあてはまる。熱作動の期間を、パルス熱的効果が熱の一定の印加より有効であることが分かっている処置において、上述したように熱エネルギーのパルスを印加することにより最小限にすることも可能である。更に、熱素子176は、手術部位が熱素子176の最小表面積に晒されるように配置され、サイズが決められ且つ成形される。例として、熱素子176がカニューレ148の遠位先端402に向かって軸方向外側に延在する距離は、約2mm以下であり得る。他の実施では、熱素子176を、カニューレ148の遠位先端418内に部分的に又は完全に引っ込められるように配置することができる。
図4及び図5は、カニューレ148自体の構造を利用してDC電流を熱素子176に導通させる実施を更に示す。この実施を図6にも示し、図6は、図4及び図5に示す熱素子176及びカニューレ148の上面図である。この場合、カニューレ148は分割構造設計を有し、そこでは、カニューレ148は、長手方向軸410に沿って延在する2つのC字型、又は半円形の導電構造部材512、516を含む。構造部材512、516を、あらゆる好適な導電性材料から構成することができる。有利な実施では、構造部材512、516は、非常に優れた導体、即ち、非常に効率的に、従って過度の量の抵抗熱を発生させることなく電気を導通する材料から構成される。このように、熱素子176によって与えられる熱的効果は、カニューレ148の遠位先端402において局所化されたままであり、カニューレ148によって放出される熱は非常に僅かである。これは、切開部が形成され、従って切開部を通って伸長するカニューレ148の外周と直接接触する可能性がある膜又は他の組織に対する、熱的損傷を回避する為に特に有用である。カニューレ部材512、516に対して好適な材料の限定しない例としては、アルミニウム、銅、ニッケル及び様々な貴金属(例えば、金、銀、白金等)が挙げられる。
図5の観点から、カニューレ148の構造部材512、516は、上部間隙520及び直径方向に反対側の下部間隙524によって互いから分離されている。図6に示すように、間隙520、524は、軸方向に細長く、カニューレ148の軸方向距離全体に沿って続いている。この構成により、2つの部材512、516は、互いに電気的に隔離され、そのため、熱素子176にDC電流を渡す電気導管として利用され得る。この目的で、2つの部材512、516は、熱素子176の末端502、504と電気的に接触するそれぞれの延長部602、604(又は突起、タブ等)を含むことができる。カニューレ148の他の全ての導電性部分は、熱素子176から物理的に分離されている。図6に概略的に示すように、2つの部材512、516は、組織除去デバイス104に設けることができる他の2つの導体608、612とそれぞれ連通することができ、それにより、導体608、612は、図1に示す加熱信号ライン180の一部と連通するか又はその一部を形成することができる。
カニューレ148によって囲まれる流体体積を完全に封入し、吸引ラインのこの部分を封止する為に、カニューレ部材512、516の間の間隙520、524をそれぞれ充填するように、軸方向に細長いシール528、532を配置することができる。軸方向シール528、532を、任意の好適な絶縁材料から構成することができる。他の実施では、シール528、532は、カニューレ148の2つの部材512、516を部分的に又は完全に包囲する円筒等、カニューレ148の外部の組織除去デバイス104の構造から延在する半径方向突起であり得る。シール528、532はまた、組織除去デバイス104のハウジング140の内側部分から延在するか又はそれによって支持され得る。
図7、図8及び図9は、カニューレ148の遠位部分と熱素子をいかに構成することができるかというそれぞれの例との斜視図である。これらの例の各々において、カニューレ148は、互いから電気的に絶縁された2つの湾曲部材512、516を備えた、上述した分割設計を有している。例示を容易にする為に、部材512、516の間に挿入されたシールは図示していない。また、これらの例において、カニューレ148は直径が一定である。図7は、上述し且つ図4、図5及び図6に図示するものに類似する、間隙508を有するリング状の熱素子776を示す。図8は、同様に間隙508を有するリング状の熱素子876を示す。図7と比較すると、図8の熱素子876は軸方向の寸法が大きい。これにより、所定の目的に対して熱素子876の成形が容易になる。例えば、図8に示すように、熱素子876の最遠位部分802は鋭利な縁806まで先細りとなることができ、それは、熱素子876と接触するように引き込まれた大きい標的素子を破壊するのに役立ち、且つ/又は鋭利な縁806において更により局所化した熱的効果を提供することができる。更に、最遠位部分802の内径は、カニューレ148の内径から先細りになることにより、図4、図5及び図6に示すカニューレ148の先細り部分418と同様に詰りを防止する。図9は、カニューレ148の長さの少なくとも一部に沿って軸方向に延在する2つの軸方向脚902、906を含む、熱素子976を示す。軸方向脚902、906を例えば、カニューレ148の分割部材512、516の間の間隙のうちの1つに配置することができる。軸方向脚902、906を、カニューレ148の遠位領域の所望の長さにわたって熱的効果を広げる為に設けることができる。
熱素子776、876、976の位置を、それらのそれぞれのカニューレ148に対して任意の好適な方法で固定することができる。例えば、図7において、熱素子776の末端を、溶接、はんだ付け又は導電性接着剤により、それぞれのカニューレ延長部602、604と電気的に連通するように配置することができる。図8において、熱素子876をそのカニューレ148に同様に取り付けることができる。図9において、熱素子976の(端子端としての役割を果たす)軸方向脚902、906を、そのカニューレ148のそれぞれの内縁に同様に取り付けることができる。別法として図9において、軸方向脚902、906を、カニューレ148に沿って且つヒータ信号ライン180(図1)と連通するそれぞれの絶縁ワイヤ(図示せず)に取り付けることができる。この後者の場合、カニューレ148の構造部材512、516は、導電性材料の代りに絶縁性材料から構成される。
ここまで説明した様々なカニューレ148は、直線軸に沿って向けられているが、これは、本教示の限定事項ではない。幾つかの実施では、組織除去デバイス104に設けられたカニューレ148に対して、湾曲させるか又は角度を付けることができる。他の実施では、カニューレ148の曲率半径又は角度は調整可能であり得る。即ち、外科医は、直線状カニューレ148を利用するように選択し、又は所望の湾曲形状或いは角度付き形状に一致するようにカニューレ148を曲げることができる可能性がある。カニューレ148のこの調整可能性を、可鍛性である(但し、依然として真空パルスを減衰させないように剛性である)材料を選択すること、互いに対して移動可能な一続きのセグメントの形態でカニューレ148を提供することによる等、種々の方法で実施することができる。調整可能なカニューレ148は、アクセスが困難であるか、直線境界を有していないか、又は予測不可能な境界を有する幾つかの手術部位において有用であり得る。幾つかの例として、血管、様々な生物学的管及び様々な解剖学的腔が挙げられる。
図10及び図11は、組織除去デバイス104のその内部吸引ライン144を形成する構造の例の断面図である。図10は開放位置にある吸引ライン144を示し、図11は閉鎖位置にある吸引ライン144を示す。構造は、カニューレ148と、カニューレ148と流体連通するチューブ1002等の別の好適な流体導管と、吸引チューブ1002と動作可能に連通する真空パルス化デバイス1056とを含む。カニューレ148を、本明細書に記載する実施のうちのいずれかに従って構成することができる。上述したように、カニューレ148、及び少なくとも吸引チューブ1002の真空パルス化デバイス1056とカニューレ148との間の部分は、真空パルス化効果を最適化するように剛性であるべきである。真空パルス化デバイス1056は、吸引チューブ1002を通して流体路を交互に開閉し、それにより真空を交互に中断及び回復するのに好適な任意の設計を有することができる。この目的で、幾つかの実施では、真空パルス化デバイス1056は、交互に流体路内に伸長し且つ流体路から後退するように駆動することができる可動部材1006を含む。可動部材1006を、流体路内に伸長した時にその流体路の全て又は一部を閉塞し、それにより、可動部材1006のその伸長位置と後退位置との間の循環によって真空パルスが発生するように構成することができる。上述したように、真空パルス化効果を利用して標的組織を破壊することができる。真空パルス化効果を、別法として、又は熱的効果と共に実施することができる。更に、真空パルス化効果及び熱的効果を、逐次又は同時に実施することができる。逐次実施される場合、真空パルス化効果が熱的効果に続くことができ、又はその逆も可能である。2つの効果を逐次行うことを、1つ又は複数の交互のサイクルにわたって繰り返すことができる。従って、所与の組織除去処置において、外科医は、真空パルス化効果のみ、又は熱的効果のみ、又は所望の順序に従って両効果を、又は相乗効果を得るように両効果を同時に作動させるように選択することができる。
図10及び図11に具体的に示す例では、真空パルス化デバイス1056は、ソレノイドアクチュエータ1010を含むソレノイドベースデバイスである。可動部材1006は、アクチュエータ1010によって並進するプランジャとしての役割を果たす。可動部材1006は、吸引チューブ1002内で開口部1014を通って並進する。吸引チューブ1002を流体密封状態で維持する為に必要に応じて、可動部材1006とチューブ開口部1014との間の物理的インタフェースに、任意の好適な設計のシールを設けることができる。1つの限定しない例として、シールは、チューブ開口部1014を覆う弾性材料であり得る。可動部材1006がチューブ開口部1014を通って吸引チューブ1002内に並進する際、シールは、可動部材1006の周囲で伸張して変形し、それにより、可動部材1006と共にチューブ開口部1014を覆い、吸引チューブ1002の内部と外部との間に流体隔離を維持する。
図12及び図13は、ソレノイドベース真空パルス化デバイス1256の別の例の断面図である。真空パルス化デバイス1256は、ソレノイドアクチュエータ1210と、アクチュエータ1210により、組織除去デバイス104の吸引チューブ1202の流路内に入り且つ流路から出るように往復運動する可動部材1206とを含む。図12は、後退位置にある可動部材1206を示し、図13は、伸長位置にある可動部材1206を示す。この例では、可動部材1206は、断面積が吸引チューブ1202の断面積に実質的に等しい遠位部分1218を含む。この構成により、真空パルス化デバイス1256は、可動部材1206が完全伸長位置にある時、吸引チューブ1202を通る流路の完全な又は略完全な閉塞をもたらす。
図14は、吸引チューブ内の流体流の方向に対して横切る視点からの可動部材1406の側面図である。可動部材1406を、図10及び図11又は図12及び図13に関連して上述したもののようなソレノイドベースパルス化デバイスで提供することができる。この例では、可動部材1406は、鋭利な縁1422まで先細りになっている。この構成により、可動部材1406を利用して、可動部材1406が吸引チューブ内に周期的に入っている間に吸引チューブを通って流れるいかなる組織も更に破壊することができる。
図15及び図16は、ソレノイドベース真空パルス化デバイス1556の別の例の断面図である。真空パルス化デバイス1556は、ソレノイドアクチュエータ1510と、アクチュエータ1510により組織除去デバイス104の吸引チューブ1502の流路に向かって且つ流路から離れるように往復運動する可動部材1506とを含む。図15は、後退位置にある可動部材1506を示し、図16は、伸長位置にある可動部材1506を示す。この例では、真空パルス化デバイス1556は、ピンチ弁として設計されている。可動部材1506は、丸い端部を有する遠位部分1518を含む。可動部材1506の真下の吸引チューブ1502の部分1526は、変形可能材料(例えば、可撓性管材)から構成されている。可動部材1506は、その完全伸長位置まで並進する際、可撓性部分1526の外面と接触し、可撓性部分1526の内壁の対向する領域が互いに接触し、それにより吸引チューブ1502を通して流路がはさみつぶされるまで、可撓性部分1526を変形させる。
再び図1を参照すると、真空ポンプ108は、概して、ハウジング、流体入口、流体出口及び真空発生構成要素(図示せず)を含む。流体入口を、(第1)外部吸引ライン152を介して組織除去デバイス104と流体連通するように配置することができる。流体出口を、出口ライン130を介して組織収集場所128と流体連通するように配置することができる。外部吸引ライン152、130、164、172は、任意の好適な流体誘導構造(例えば、管材)有することができ、任意の好適な長さとすることができ、剛性又は可撓性のいずれかであり得る。真空ポンプ108は、組織除去デバイス104の遠位端132において制御されたレベルの真空を発生させる任意の好適なポンプであり得る。真空の大きさ(又はレベル)を、標的組織120が、カニューレ148、内部吸引ライン144、第1外部吸引ライン152、真空ポンプ108、出口ライン130を通って組織収集場所128まで吸引されることが可能であるのに十分高く設定することができる。
幾つかの実施では、真空ポンプ108は、ハウジング内に一対の電動シリンジ型ポンプユニットが配置されている二重シリンダ構成を有する。この場合、真空発生構成要素は、一対のシリンダと、それぞれのシリンダ内で往復運動する一対のピストンと、それぞれのピストンの往復運動を制御する一対のモータとを含むことができる。真空ポンプ108の内部通路は、第1吸引ライン152及びそれぞれのシリンダを相互接続する一対の入口通路と、それぞれのシリンダ及び出口ライン130を相互接続する一対の出口通路とを含むことができる。各入口通路及び出口通路に能動制御弁を設けることができる。ピストンは、互いに180度又は約180度位相がずれて往復運動する。従って、一方のピストンが吸引ストロークを行っている間、他方のピストンは排出ストロークを行っている。従って、第1吸引ライン152からの流体が一方のシリンダ内に引き込まれている間、他方のシリンダ内に先に引き込まれた流体が、出口ライン130内に排出されている。更に、一対の圧力トランスデューサを、それぞれのシリンダと流体連通するように配置して各シリンダ内の真空を測定することができる。この種の二重シリンダポンプの例は、全体として参照により本明細書に組み込まれる(特許文献1)に記載されている。
この実施例を続けると、真空ポンプ108のモータは、モータ制御信号ライン190を介して制御コンソール112と信号通信している。弁は、弁制御信号ライン192を介して制御コンソール112と信号通信している。圧力トランスデューサは、圧力フィードバック信号ライン194を介して制御コンソール112と信号通信している。この構成により、制御コンソール112は、ピストンのそれぞれの速度及びそれらのそれぞれの位置(即ち、相対的なタイミング又は位相)をモニタリングして調整し、ON位置とOFF位置と場合によってはON位置とOFF位置との間の中間位置との間で弁の位置を切り替え、測定された真空レベルに基づいて制御判断を行うように各シリンダ内の真空レベルをモニタリングすることができる。この構成により、制御コンソール112は、吸引ライン152内で一定の真空レベルを維持するように、モータ及び弁のそれぞれの動作を同期させることができる。真空レベルを、外科医が、制御コンソール112又は足制御デバイス116におけるコントローラを操作することにより選択することができる。この構成により、真空ポンプ108が、真空レベルを変化させることによってもたらされる真空レベルの一時的な不安定性を最小限にしながら、外科医が行う真空レベルのリアルタイム調整に対して迅速に応答することも可能である。
図1に概略的に示すように、制御コンソール112は、外科医に情報を出力するディスプレイ114を含むことができる。制御コンソール112はまた、外科医が情報を入力し、組織除去システム100(例えば、真空ポンプ108及び168、真空パルス化デバイス156、熱素子176等)の様々な動作パラメータを設定し調整し、足制御デバイス116によって提供される制御機構をプログラムするか又は調整することを可能にする、種々のコントローラ又は入力機構118(スイッチ、つまみ、キーパッド等)も含むことができる。制御コンソール112はまた、電子ハードウェア(回路)とソフトウェアを格納するメモリとを含む。回路は、ディスプレイ114及び入力機構118のそれぞれの動作を可能にし、足制御デバイス116とインタフェースするインタフェース回路を含む。回路及びソフトウェアは、組織除去システム100の様々な機能をサポートするように構成されている。例として、回路を、真空ポンプ108及び168、真空パルス化デバイス156及び熱素子176をモニタリングし、これらの構成要素に適切な制御信号を送信するように構成することができる。特定の組織除去処置が行われるのに適した方法で、これらの構成要素を制御する回路をプログラムするソフトウェアを提供することができる。幾つかの実施では、一方又は両方の真空ポンプ108及び168を、制御コンソール112に又はその中に取り付けることができる。他の実施では、一方又は両方の真空ポンプ108及び168を、足制御デバイス116に又はその中に取り付けることができる。
制御コンソール112の入力機構を利用することにより、外科医は、例として、真空ポンプ108及び168のON又はOFFを切り替え、真空ポンプ108及び168によって発生する真空レベルを設定し変更し、真空パルス化デバイス156のON又はOFFを切り替え、真空パルス化デバイス156のパルス周波数を設定し変更し(それにより、吸引された組織の流量も制御する)、真空パルスの大きさを設定し変更し、熱素子176のON又はOFFを切り替え、熱素子176に供給される(それにより熱素子176の動作温度を制御する)電流の量を設定し変更し、熱素子176を連続加熱モードとパルス化加熱モードとの間で切り替え、印加される熱エネルギーのパルスの周波数及び大きさを設定し変更する等を行うことができる。制御コンソール112を、外科医が、単一調整を行うことによって真空パルスレート及び真空パルスの大きさ(又は熱パルスレート及び熱パルスの大きさ)を単一動作パラメータとして合わせて制御することができるモードと、真空パルスレート及び真空パルスの大きさ(又は熱パルスレート及び熱パルスの大きさ)を2つの別個の入力機構を操作することによって独立して制御することができるモードとの間で切り替えることができるように、構成することも可能である。同様に、制御コンソール112を、外科医が、真空パルス化デバイス156の1つ又は複数のパラメータと共に熱素子176の1つ又は複数の動作パラメータを制御することができるモードと、真空パルス化デバイス156の動作パラメータとは無関係に熱素子176の動作パラメータを制御することができるモードとの間で切り替えることができるように構成することができる。
制御コンソール112を、外科医が真空パルス化デバイス156を、所定の真空パルスの大きさで単一パルスを印加するように真空パルス化デバイス156を瞬間的にのみ作動させる単一パルスモードに切り替えるのを可能にするように構成することも可能である。単一パルスモードは、例えば患者の眼球の前嚢内への入口を生成することを必要とする眼科処置において有用であり得る。この例では、標的組織を破壊する前に、カニューレ148の遠位先端を、前嚢の外側に接触するように配置することができる。この時間の間、組織除去デバイス104を、遠位先端を前嚢に接触させるのに役立つように連続真空モードで操作することができる。そして、真空パルス化デバイス156が単一パルスモードに切り替えられ、それにより、単一パルスによって与えられる衝撃は、前嚢の外側構造の厚さを通して前嚢内への進入口を生成するのに十分である。そして、遠位先端は進入口を通して挿入され、その時点で、組織除去処置を行うことができる。この技法により、サイズ及び形状がカニューレ148のサイズ及び形状に正確に一致する進入口の生成が可能になり、それにより、前嚢とカニューレ148との間に優れたシールが提供される。
足制御デバイス116を、上述したもののような制御コンソール112によって制御可能な同じ機能のうちの1つ又は複数を制御するように構成することができる。従って、足制御デバイス116は、調整可能なつまみ122及び押下可能なフットペダル126等の1つ又は複数の入力機構を含むことができる。フットペダル126は、フットスイッチ及び/又は枢動フットペダルを含むことができる。フットスイッチを、組織除去システム100の構成要素をON状態とOFF状態との間で切り替えるように、又は動作パラメータに対する漸進的調整を通してクリックする(例えば、印加される真空又は電気エネルギーに対して高設定、中間設定又は低設定を選択する)ように操作することができる。枢動フットペダルを利用して、動作パラメータを最小値と最大値との間で変更することができる。足制御デバイス116の調整可能つまみ122又は制御コンソール112における調整可能つまみ122を、外科医が、枢動フットペダルの最小値及び最大値、並びに/又はフットペダルの枢動移動に応じて動作パラメータが変化する(例えば、線形又は指数関数的)割合を設定することができるように構成することができる。一例として、フットペダルをその基礎位置からその中間位置まで前方に枢動させることにより、関連する動作パラメータが、事前設定された最大値の正確に50%である値に調整されることが可能である。別の例として、フットペダルをその基礎位置からその中間位置まで前方に枢動させることにより、関連する動作パラメータがその事前設定された最大値の75%である値に調整されることが可能であり、その場合、動作パラメータを最大値まで残りの25%を超えて調整する為には、フットペダルを中間位置からペダルの移動の残りの部分を通して前方に枢動させることが必要である。制御コンソール112及び/又は足制御デバイス116を、外科医が、いずれの機能又は動作が制御コンソール112によって制御されるべきかと、足制御デバイス116によっていずれの機能又は動作が制御されるべきかとを選択することができるように構成することができる。簡単の為に、図1では、足制御デバイス116を、有線又は無線通信リンク196によって制御コンソール112と通信するものとして概略的に示す。しかしながら、足制御デバイス116によって制御可能な機能に応じて、様々な電気信号ラインが、制御コンソール112と通信するものの代替態様として又はそれに加えて足制御デバイス116まで直接伸びることができることが理解されよう。
図17は、別の実施による組織除去システム1700の例を示すブロック図である。簡単の為に、図17には、制御コンソール112及び足制御デバイス116(図1)を示していない。組織除去システムは、連続真空モード中に第1吸引ライン152に対して調整可能な真空を提供する第1真空ポンプ1708と、パルス真空モード中に第2吸引ライン164に対して相対的に高いレベルで調整可能な真空を提供する第2真空ポンプ1768とを含む。上述したように、真空パルス化デバイス156又は組織除去デバイス104の他の構成要素を、カニューレ148からの吸引路を、選択された真空モードに従って第1吸引ライン152と第2吸引ライン164との間で切り替えるように構成することができる。この例では、真空ポンプ1708、1768は、本開示で上述した液体ポンプの代りにガス(例えば空気)ポンプとして構成される。組織収集デバイス128は、組織除去デバイス104と真空ポンプ1708、1768との間に吸引ライン152、164及びそれぞれの出口ライン1742、1746を介して相互接続されている。組織収集デバイス128を、ガスのみが出口ライン1742、1746に通されるように吸引された流体及び組織を除去するように従来の方法で構成することができる。別法として、2つの吸引ライン152、164に対して、別個の組織収集デバイスを提供することができる。典型的には、真空を構築するのに役立つように、それぞれの真空ポンプ1708、1768の上流に真空リザーバ1754、1758を設けることができる。別法として、両真空ポンプ1708、1768は、単一真空リザーバと連通することができる。任意の好適な設計の1つ又は複数の圧力調節器1762、1766を、必要に応じてそれぞれの真空ポンプ1708、1768と流体連通するように設けることができる。圧力調節器1762、1766は、制御コンソール112又は足制御デバイス116によって制御することができるタイプのものであり得る。上述した構成要素(真空ポンプ1708、1768、真空リザーバ1754、1758、圧力調節器1762、1766、組織収集デバイス128)のうちの1つ又は複数を、制御コンソール112又は足制御デバイス116に又はその中に取り付けることができる。図17に示す組織除去システム1700は、図1に示す組織除去システム100に対して上述したものと同様に動作することができる。
図18、図19及び図20は、別の実施による組織除去デバイス1804の例を示す。具体的には、図18は、組織除去デバイス1804の斜視図であり、図19は、組織除去デバイス1804の上面図であり、図20は、図19の線B−Bに沿って取り出された組織除去デバイス1804の断面図である。この例では、上述したように、組織除去デバイス1804は、ハウジング140の近位開口部から延在する2つの吸引ライン152、164で動作するように構成されており、そこでは、一方の吸引ライン152は連続真空モード中に利用され、他方の真空ライン164はパルス真空モード中に利用される。別法として、組織除去デバイス1804を、単一吸引ラインのみで動作するように構成することができる。この例では、カニューレ148は、ハウジング140内の内部吸引チューブ2002に接続される。カニューレ148は、本開示において上述した分割設計を有することができ、カニューレ148の構造的半体は、ハウジング140を通って加熱信号ライン180としての役割を果たすそれぞれの外向きのワイヤまで伸びるそれぞれの絶縁ワイヤに接続されている。カニューレ148は、内部ハブ2074及び同軸のねじ切り係止機構1878によって形成されたハウジング140の遠位開口部から外側に延在して、組織除去デバイス1804の迅速な組立て及び分解を可能にすることができる。
また、図18、図19及び図20に示す例では、組織除去デバイス1804は、ソレノイドベースの真空パルス化デバイス1856を含む。真空パルス化デバイス1856は、ハウジング140の近位端に取り付けられたソレノイドブロック1810と、ソレノイドアクチュエータ1806とを含む。ソレノイドブロック1810は、内部吸引チューブ2002と流体連通する共通ポート2054と、第1吸引ライン152と流体連通する低真空ポート2062と、第2吸引ライン164と流体連通する高真空ポート2066とを含む。アクチュエータ1806を、スプール弁の形態で提供することができ、その全体的な動作は当業者に既知である。この場合、アクチュエータ1806によって駆動される可動部材は、ソレノイドブロック1810に対して前後に並進するスプールである。スプールの位置により、共通ポート2054が低真空ポート2062と流体連通しているか又は高真空ポート2066と流体連通しているかが、スプール位置に応じて動作状態又は非動作状態である相互接続通路又はチャネル2068によって決まる。従って、スプールを利用して、連続真空モードとパルス真空モードとの間で組織除去デバイス1804が切り換えられる。連続真空モードでは、共通ポート2054は低真空ポート2062と流体連通し、吸引された物質は、第1真空ポンプの影響を受けてカニューレ148から第1吸引ライン152まで通される。パルス真空モードでは、共通ポート2054は、高真空ポート2066と流体連通し、吸引された物質は、第2真空ポンプの影響を受けてカニューレ148から第2吸引ライン164まで通される。この例では、真空パルス化デバイス1856を、流体路を共通ポート2054と高真空ポート2066との間で流体経路を交互に開閉するようにスプールを前後に迅速に並進させることにより真空パルスを発生させるように構成することができる。
図21は、別の実施による手持ち式外科用器具2100の例の斜視図である。外科用器具2100は、外科医が組織吸引に加えて1つ又は複数の機能を選択することができる多機能器具として構成されている。この目的で、外科用器具2100の近位端に回転式ハブ2106が位置している。回転式ハブ2106を、外科医が、外科用器具2100によって支持される枢動軸2110を中心に回転させることができる。回転式ハブ2106は、真空管材152に接続可能な真空ポート又はボア2112と、対応する追加の管材2116に接続可能な1つ又は複数の追加のポート又はボア2114とを含む。追加のポート2114を、本開示において上述したような手術部位に所定タイプの材料を、外科用器具2100及び組織吸引に利用される同じカニューレを通してこうした材料を流すことにより追加する、注入ボアとして利用することができる。回転式ハブ2106と外科用器具2100との間のインタフェースは、漸進的な回転により、所望のポート2112又は2114が、真空印加並びに流体及び組織流の為に通常採用される外科用器具2100の内部通路と流体連通するように係止されるように構成されている。一実施では、嚢内処置の一部として液体IOL材料を注入する為に、追加のポート2114及び管材2116が利用される。真空ポート2112が白内障を除去する為に採用された後、外科医は、ハブ2106を回転させて、IOL材料源に接続されている追加のポート2114に切り替える。そして、外科医は、外科用器具2100を利用して、IOL材料供給ラインとしての役割を果たす管材2116を介して眼球の水晶体嚢内に液体IOL材料を注入する。この構成により、外科医が眼球から真空カニューレを除去し、その後、事前に形成した小さい前嚢切開部を通して、液体IOL材料を注入する目的で別の別個のカニューレを挿入する必要がなくなる。これは、嚢内処置を行う為に、前嚢に形成された切開部が利用されているカニューレと完全に一致しなければならない為、有利である。カニューレのいかなる移動も、切開部を引き裂くか又は切開部に損傷を与える可能性があり、それは、切開部を傷つけ、液体IOL材料が水晶体嚢から漏れ出るのを防止するように切開部をシールすることをより困難にする。
図22及び図23は、嚢内処置又は他のタイプの処置の間に形成される切開部をシールする為に利用することができる拡張可能な切開シール2200の例の斜視図である。図22は拡張位置にある切開シール2200を示し、図23は後退位置にある切開シール2200を示す。切開シール2200は、切開部によって画定される開口部内に嵌合し且つ完全にそれを充填するようなサイズであるシャフト2204を含む。シャフト2204は、遠位端2208及び近位端2212を含む。切開シール2200はまた、遠位端2208に隣接する拡張可能部分2216も含む。拡張可能部分2216は、傘のように構成されている。従って、拡張可能部分2216は、遠位端2208から半径方向外側に延在する複数の半径方向セグメント又はパネル2220を含み、隣接するセグメント2220は半径方向折目線2224において隣接している。拡張可能部分2216は、セグメント2220がシャフト2204に対して第1角度に向けられている、図23に示す後退位置から、セグメント2220がシャフト2204に対して第1角度より大きい第2角度で配置されている、図22に示す拡張位置まで移動可能である。シールとして機能することに加えて、切開シール2200を、粘性材料を組織除去デバイス又は他の外科用器具(例えば、図21に示す外科用器具2100)を通して手術部位内に押し込むプランジャとして利用することができる。
IOL処置の例では、切開シール2200を最初に、その近位端2212で別個の器具の細長いロッド又はワイヤに軽く(又は緩く等)取り付けることができる。近位端2212を、任意の好適な手段により、この取付を行うように構成することができる。外科用器具2100が、IOL材料ライン2116(図21)が外科用器具2100のカニューレと流体連通するように設定されると、外科医は、IOL材料ライン2116内にIOL材料を注入する。切開シール2200のシャフト2204が別個の器具のロッドに取り付けられると、外科医は、切開シール2200をIOL材料ライン2116内に挿入し、別個の器具のロッドを押すことにより、切開シール2200をそのIOL材料ライン2116を通るように押すことができる。切開シール2200は、図23に示す後退位置においてIOL材料ライン2116を通って容易に移動する。IOL材料は、非常に粘性がある可能性があり、切開部を通して水晶体嚢内に挿入される際の補助を必要とする可能性がある。従って、遠位端2208を利用して、IOL材料を、IOL材料ライン2116を通るように押すことができる。外科医は、切開シール2200を、外科用器具2100のカニューレを通して切開部内に押し込むことができる。外科医は、切開シール2200を、拡張可能部分2216が切開部を通過し水晶体嚢内に完全に配置されるのに十分、切開部を通るように押すことができる。この時点で、切開シール2200のシャフト2204は、切開部を通って伸長し、切開部を画定する組織境界は、シャフト2204の周囲に緊密に適合する。そして、外科医は、別個の器具のロッドを引っ張ることができ、それにより、シャフト2204は切開部から出るように後退し始める。このように引っ張ることにより、切開シール2200の拡張可能部分2216は、図22に示す拡張位置まで外側に拡張する。拡張位置では、拡張可能部分2216は、切開部を包囲する付近において前嚢の後面に当接する。従って、シャフト2204及び拡張可能部分2216は、切開部内に且つその周囲に流体密封シールを形成する。更に、拡張可能部分2216はこの時その拡張位置にあり、切開部の内側に位置している為、拡張可能部分2216を前嚢から除去することができず、従って、拡張可能部分2216がシャフト2204に係留されたままである為、シャフト2204を切開部から完全に後退させることができない。しかしながら、上述したように、別個の器具のロッドは、シャフト2204に単に軽く取り付けられている。その為、外科医がロッドを引っ張ると、ロッドはシャフト2204から取り外され、その後、切開シール2200が上述したように切開部に適切に設置された後、外科用器具2100のカニューレを通して後退させることにより、手術部位から容易に除去することができる。
拡張可能切開シール2200を、図22及び図23に関連して上述した機能及び動作を可能にするのに好適な任意の材料から構成することができる。
図24A、図24B、図25及び図26は、本発明の実施による組織除去デバイス2402の他の例を示す。具体的には、図24Aは組織除去デバイス2402の側面図であり、図24Bは組織除去デバイス2402の第2実施の斜視図であり、図25は組織除去デバイス2402の断面図であり、図26は組織除去デバイス2402の組立分解斜視図である。これらの例示的な実施に記載する組織除去デバイス2402を、図1に記載した組織除去システム100を含む、本発明の教示による組織除去システムの任意の実施において使用することができる。
図示する実施例では、組織除去デバイス2402は、概して、中心ハウジング2404と、アクチュエータハウジング2406と、端部キャップ2422の遠位端に形成されたねじ切り先端2502を有する端部キャップ2422とを有する細長い偏心構造を含む。本明細書で用いる「偏心構造」は、中心ハウジング2404の中心線がアクチュエータハウジング2406の中心線から垂直方向にずれている構造を指す。図示するように、カニューレ2408を、ねじ切り先端2502において中心ハウジング2404に締結することができ、組織除去デバイス2402は、アクチュエータハウジング2406をその近位端において密閉する端部キャップ2410を更に含むことができる。
中心ハウジング2404は、カニューレ2408に進む1つ又は複数の吸引ラインを収容するのに十分な寸法である中空内部を有する環状構造を含むことができる。アクチュエータハウジング2406は、同様に、部分的に閉鎖された遠位端と、リニアアクチュエータ又は他の駆動機構を収容するのに十分な寸法である中空内部とを有する環状構造を含むことができる。幾つかの実施では、中心ハウジング2404を、例えばねじ切り部材を嵌合させることにより、アクチュエータハウジング2406に脱着可能に結合することができる。他の実施では、中心ハウジング2404を、アクチュエータハウジング2406に一体的に形成するか、又は溶接し、はんだ付けし、接着し、或いは他の方法で永久的に取り付けることができる。
端部キャップ2422は、先細りのねじ切り遠位端2502を有する略中実円筒状本体を含むことができる。端部キャップ2422は、その近位端に、中心ハウジング2404の遠位端と嵌合するように構成された環状シート2540も含むことができる。端部キャップ2422を、限定しない例として熱可塑性材料及び他のポリマー組成物等、絶縁性であり且つ断熱性である材料から構成することができる。
この例では、組織除去デバイス2402は、アクチュエータハウジング2406の遠位端に形成された開口部2414から延在する1つの吸引ライン2412で動作するように構成されている。別法として、組織除去デバイス2402を、2つの吸引ラインで動作するように構成することができ、そこでは、一方の吸引ラインを連続真空モード中に利用することができ、他方の吸引ラインをパルス真空モード中に利用することができる。
図24Bに示す実施では、吸引ライン2412を、アクチュエータハウジング2406の外面に結合された細長い保持部材2416によってアクチュエータハウジング2406に固定することができる。保持部材2416は、中心ハウジング2404からの吸引ライン2412を通す円形チャネル2420を形成する一対の保持端2418を有するC字型構造を含むことができる。
幾つかの実施では、保持部材2416を、アクチュエータハウジング2406と一体的に形成することができる。他の実施では、保持部材2416を、アクチュエータハウジング2406に付着し且つそこから外れる別個の部品とすることができ、又は別法として、保持部材2416を、例えば溶接、はんだ付け、接着剤又は他の固定手段により、アクチュエータハウジング2406に永久的に固定することができる。幾つかの実施では、特に保持部材2416が、アクチュエータハウジング2406と一体的に形成されるか又は永久的に取り付けられる実施において、アクチュエータハウジング2406と同じ材料から構成することができる。他の実施では、保持部材2416を、吸引ライン2412がチャネル2420内に「スナップ嵌合する」ことを可能にする弾性材料から構成することができる。
この実施例では、図25に最もよく示すように、カニューレ2408は、中心ハウジング2404内の内部吸引チューブ2504に接続されている。カニューレ2408は、本開示において上述したカニューレ先端設計のうちの任意の1つを組み込んだ1つ又は複数の熱素子を備えたカニューレ先端を含むことができる。上述したように、カニューレ2408を、中心ハウジング2404のねじ切り端2502にそのハブ2506において締結することができ、ねじ切り端2502は、組織除去デバイス2402の迅速な組立て及び分解を可能にするように同軸状のねじ切り係止機構を含む。
図25及び図26に示す実施例においてもまた、組織除去デバイス2402は、内部吸引チューブ2504に結合されたアクチュエータ駆動真空パルス化デバイス2510(本明細書では脈動ゲートとも呼ぶ)を含む。この実施例では、脈動ゲート2510は、アクチュエータ2514と回転弁アセンブリ2516との間に結合されたアクチュエータロッド2512を含むことができる。
図示するように、アクチュエータロッド2512は、中心ハウジング2404の中空内部を通って延在する細長いロッドを含むことができる。アクチュエータロッド2512を、ステンレス鋼又は他の好適な材料等、非腐食性材料から作製することができる。アクチュエータロッド2512を、一端において従来の手段によって、例えば枢動ピンによってアクチュエータ2514に結合し、反対側の遠位端において、中心ハウジング2404の遠位端に結合された弁キャップ2518によって片持ち式に支持することができる。弁キャップ2518は、弁キャップ2518の後面に溝穴(図示せず)が形成されたキャップ状設計を含むことができ、溝穴は、アクチュエータロッド2512の遠位端が、そこを通って延在し、且つ更にアクチュエータ2514によって駆動された時に直線方向2520に並進するのを可能にする。
アクチュエータ2514を、アクチュエータハウジング2406に格納することができ、アクチュエータ2514は、例えば、空気圧式、液圧式、又は電気機械式直線運動アクチュエータを更に含むことができる。他の実施では、アクチュエータ2514を、中心ハウジング2404に直接結合することができる。図24、図25及び図26に示す限定しない例では、アクチュエータ2514は、(プッシュ型)空気圧式リニアソレノイドアクチュエータを含む。動作時、アクチュエータ2514は、アクチュエータロッド2512が回転弁アセンブリ2516の回転弁と係合するように、アクチュエータロッド2512の遠位端を回転弁アセンブリ2516に向かって並進させるように構成されている。更に詳細に後述するように、アクチュエータロッド2512が回転弁に係合すると、回転弁は、回転弁の周期的回転により真空パルスが発生し吸引ライン2412を通過する流体の流量及び体積が変化するように、内部吸引チューブ2504の流体路の全て又は一部を閉塞するように構成されている。幾つかの実施では、アクチュエータ2514は、制御コンソール112及び/又は足踏み式制御デバイス116と電気通信することができる。これらの場合、アクチュエータロッド2512の直線並進の振動数を、制御コンソール112で動作しているコンピュータソフトウェアにより、且つ/又は足踏み式制御デバイス116を操作することにより、制御することができる。
ここで回転弁アセンブリ2516について参照すると、図25及び図26に最もよく示すように、弁アセンブリ2516は、弁コネクタ2522、回転弁2524、弁キャップ2518、及び端部キャップ2422内で弁キャップ2518を固定する弁キー2526を含むことができる。図示する実施例では、弁コネクタ2522は、環状側壁2546、中空内部2604、及び本体の環状側壁2546を通って延在する開口部2548を有する環状体を含むことができる。弁コネクタ2522は、端部キャップ2422に形成されたくり抜き部分2542内に保持される。弁コネクタ2522は、開口部2548が、内部吸引チューブ2504を通すように端部キャップ2422を通って延在する通路2544内に位置合せされるように、くり抜き部分2542内にあるように構成されている。
この実施例では、回転弁2524は、本体2528及び涙形状のローブ2530を含む。本体2528は、弁コネクタ2522の内部2604に受け入れられ且つその中で回転可能であるように構成された中実円柱状部材である。本体2528の内部を通してオリフィス2532が延在している。ローブ2530は、弁コネクタ2522内で回転弁2524を回転させるカミング要素として作用する。ローブ2530は、基礎円形部又はヒール2556及び逃げ面2558を含む。弁コネクタ2522の環状上面2550がローブ2530用の支持面として作用するように、ヒール2556の直径寸法を本体2528の直径より大きくすることができる。ローブ2530は、オリフィス2532を閉じ込め、弁コネクタ開口部2548と同心円状に位置合せするように更に設計されている。
回転弁2524は、底部ピン2534及び頂部ピン2536を更に含むことができる。この実施例では、底部ピン2534は、本体2528の底面から端部キャップ2422に形成された円形切欠き2538内に延在している。頂部ピン2536は、ローブ2530の上面から弁キャップ2518の下側に形成された円形切欠き2552内に延在している。より詳細に後述するように、底部ピン2534及び頂部ピン2536は、枢動軸2554を画定し、それを中心に、回転弁2524は、第1位置と第2位置との間で回転することができる。
動作時、回転弁2524の繰返し運動により、真空パルスを発生させることができる。この実施例では、アクチュエータ2514は、アクチュエータロッド2512を直線方向2520に並進させるように構成されている。アクチュエータロッド2512は、並進すると、ローブ2530の逃げ面2558と係合し、それにより、回転弁2524は、第1(開放)位置と第2(閉鎖)位置との間で枢動軸2554を中心に、本例では2610に沿って左回りに回転する。回転弁2524は、開放位置で、回転弁2524のオリフィス2532が弁コネクタ2522の開口部2548と流体連通するように位置合せされ、それにより、流体が内部吸引チューブ2504を通って自由に流れることができるように、設計されている。回転弁2524は、閉鎖位置では、オリフィス2532がおよそ90°回転し、それにより、内部吸引チューブ2504を通る流体流を遮るように更に設計されている。
幾つかの実施では、回転弁アセンブリ2516は、「フェイルセーフ」設計を含むことができる。これらの実施では、回転弁2524を、ばねによって開放位置に向かって付勢する(即ち、ばね荷重をかける)ことができる。従って、アクチュエータロッド2512は、ばねの力に打ち勝つように逃げ面2558に十分な力を加えることができる。逃げ面2558に加えられた力が中断されると、回転弁2524はその開放位置に戻る。この例では、真空パルスは、回転弁2524のばね付勢に抗する開放位置と閉鎖位置との間の繰返し運動によって発生する。このように、真空パルス化デバイス2510は、内部吸引チューブ2504内の流体路を交互に開閉するように、ばね付勢に抗してローブ逃げ面2558に加えられる力を迅速に加え且つ解放することによって、真空パルスを発生させるように適合されている。
幾つかの実施では、弁アセンブリ2516を、流体が吸引ライン2412から漏れ、従って真空圧が低下しないように、気密封止することも可能である。幾つかの実施では、回転弁アセンブリ2516の構成要素のすべてを、限定しない例として、プラスチック、セラミック、ステンレス鋼又は他の任意の好適な材料を含む非腐食性材料から作製することができる。更なる実施では、オリフィス2532は、回転弁2524が開放位置と閉鎖位置との間で循環している間に、回転弁2524を通って流れるいかなる組織も破壊するように鋭利な外縁を含むことができる。本発明の更なる実施では、弁キャップ2518は、回転弁2524の回転を制限する止め具を含むことができる。
本明細書に記載する例示的な回転弁2524は限定するものではない。当業者は、本教示の広い態様から逸脱することなく、他の回転弁デバイス及び構成を使用することができることを理解するであろう。
図25に最もよく示すように、吸引ライン2412は、複数のチューブ部分を含むことができる。この実施例では、吸引ライン2412は、外部吸引チューブ2560と、内部吸引チューブ2504と、内部吸引チューブ2504と外部吸引チューブ2560との間に結合された中間吸引チューブ2562とを含むことができる。上述したように、内部吸引チューブ2504は、その遠位端においてカニューレ2408に結合され、カニューレ2408から端部キャップ2422を通して延在し、その近位端では、中間吸引チューブ2562に結合されている。図示するように、幾つかの実施では、真空パルス化ゲート2510を、内部吸引チューブ2504に結合することができる。他の実施では、真空パルス化ゲート2510を、吸引ライン2412の他の部分に結合することができる。更なる実施では、真空パルス化ゲート2510は、吸引ライン2412の隣接する部分の為の継手を含む。この実施例では、外部吸引チューブ2560は、真空ポンプ108と連通し、その遠位端において中間吸引チューブ2562に結合されている。幾つかの実施では、隣接するチューブ部分を、圧入、摩擦嵌合、医療グレード接着剤又は他の任意の好適な手段によって互いに結合することができる。
本明細書では、吸引ライン2412を3つのチューブ部分を含むものとして記載しているが、当業者は、本教示の広い態様から逸脱することなく、4つ以上のチューブ部分及び他のチューブ継手を使用することができることを理解するであろう。
幾つかの実施では、図27に最もよく示すように、カニューレ2408の先端を、カニューレ2408を通過する組織を破壊するだけでなく、吸引ライン2412の内側の背圧を上昇させるように、先細りにすることができる。カニューレ2408先端を先細りにすることに加えて、幾つかの実施では、吸引ライン2412の隣接するチューブ部分(例えば、内部吸引チューブ2504及び中間吸引チューブ2562)の内径を、その流体路2702に沿って増大させて、真空流体流を増大させるか又は「過給する」ことができる。ベルヌーイの定理及び連続の原理を含む流体力学について規定する法則の下で、流体が拡張すると流体の速度は低下するはずであり、その圧力は、エネルギーの保存の法則を満足させるように上昇するはずである。本発明のこれらの原理を適用することにより、吸引ライン2412内の真空圧を、吸引ライン2412チューブ部分の連続した拡張により上昇させることができる。幾つかの実施では、隣接するチューブ部分の間に先細り拡散部2704を結合して、吸引ライン2412に沿った流体路2702の拡張によってもたらされる乱流及び他の摩擦損失を低減することができる。他の実施では、拡張する流体流を更に調整する為に、拡散部2704にベベル又は他の手段を結合することができる。
背景技術において部分的に説明したように、超音波水晶体乳化吸引法のプロセスは、通常、2段階プロセスを含む。第1に、フェイコ超音波デバイス(フェイコハンドピース)を用いて、眼球から白内障の核が除去される。白内障の核が除去された後、第2洗浄及び吸引(I/A)器具(I/Aハンドピース)を用いて、白内障が位置していた眼球の水晶体後嚢領域から残っている軟皮質が除去される。傷つきやすい水晶体後嚢の周囲から皮質を除去することを、フェイコハンドピースによって行うことはできず、それは、フェイコハンドピースが、処置中に硝子液が前方に移動するのを防止する膜である後嚢を破断する可能性がある為である。従って、I/Aハンドピースは、吸引ポートが、直径が0.3mmであり且つカニューレの側部に位置する場合に、洗浄及び吸引機能を行う。I/Aハンドピースに洗浄付属装置が用いられることが多いが、眼球内で第2カニューレを伴う両手手法が洗浄を提供するのを可能にするように、付属装置を除去することができる。典型的なフェイコ先端は、直径1mmの寸法である開放遠位端チタンカニューレを含むことができるが、他のサイズ及び形状が可能である。
白内障が除去された後、外科技術者は、ハンドピースの後方に位置するフェイコハンドピースのコネクタから洗浄管材及び吸引管材を取り外し、その後、それらをI/Aハンドピースに接続しなければならない。空気を眼球内に配置する可能性があり、それが外科医による可視性に影響を与える為、技師は、洗浄ラインに空気がないことを確実にしなければならない。
本発明の一実施は、白内障及び皮質除去の機能を行う単一ハンドピースを提供する。図28に示すように、これを、カニューレ2408の遠位端の上にぴったりと適合するように構成された軟質先端膜2802を使用することによって達成することができる。図示する実施例では、先端膜2802は、カニューレ2408の遠位端を受け入れる開放端2810とカップ状閉鎖端2812との間に延在する1つ又は複数の環状側壁2816によって画定された内部2814を有する弾性スリーブ2804を含むことができる。先端膜2802は、スリーブ2804の側壁2816に沿って配置された1つ又は複数の真空ポート2806を更に含むことができる。スリーブ2804を、アクリル樹脂、シリコーン、又は好適な弾性特性を有する他の可撓性材料から作製することができる。スリーブ2804を、カニューレ2408の形状に一致してカニューレ2408と気密締まり嵌め又は圧縮嵌合を提供するように適合させることができる。サイドポート2806からカニューレ2408まで進む流体及び組織用の流路を提供するように、カニューレ2408の遠位端と閉鎖端2812との間にポケット2808を形成することができる。幾つかの実施では、サイドポート2806は、直径がおよそ0.3mmであるか、又は皮質物質を吸引する為の他の任意の好適な寸法であり得る。
本教示によれば、スリーブ2804の厚さを非常に薄く(数100マイクロメートル程度)することができ、それにより、先端膜2802がカニューレ2408の遠位端に付与された後、スリーブ2804をカニューレ2408の遠位端の上に伸張させることができ、カニューレ2408の遠位先端が、切開部を切り裂くか又は更に開放することなく、切開部に再度入るのを可能にする。更に、スリーブ2804を、スリーブ2804がカニューレ2408の外面に付着するのを可能にする材料特性を有する材料から作製することができる。幾つかの実施では、先端膜2802とカニューレ2408との間の圧縮嵌合を確保するように、先端膜2802の側壁2816の内径を、カニューレ2408の外径より僅かに小さくすることができる。
本教示の一実施において、図29に、単一ハンドピースを用いて眼球から組織を除去する方法2902を示す。図示するように、方法2902は、カニューレ2408の遠位先端を、本明細書において上述した方法で眼球に形成された切開部を通してその内部に挿入する第1ステップ2904を含む。次のステップ2906において、眼球の内部の白内障組織を、カニューレ2408を介して眼組織に一連の真空パルスを印加することによって破壊することができる。このステップでは、例えば回転弁2524等の真空パルス化デバイスを開放状態と閉鎖状態との間で交互に駆動することにより、眼組織に真空パルスを印加することができる。組織を破壊した後、ステップ2908において、破壊された組織を、吸引ライン2412を通して組織収集場所218に吸引することができる。白内障組織を吸引した後、ステップ2910において、カニューレ2408の遠位先端を眼球内の切開部から除去することができる。カニューレ2408の遠位先端が眼球から移動すると、ステップ2912において、カニューレ2408の遠位端に、手動手段又は機械的手段により可撓性先端膜2802を付与することができる。ステップ2914において、先端膜2802を支持するカニューレ2408の遠位先端を切開部内に再度挿入して、カニューレ2408を介して組織に一連の真空パルスを再び印加することにより、眼球の内部のあらゆる残っている皮質組織を破壊することができる(ステップ2916)。
吸引プロセスを支援する為に、幾つかの実施では、先端膜2802を、自動化手段によってカニューレ2408の遠位端に付与することができる。図29は、カニューレ2408の開放遠位端の上に先端膜2802を付与する装置3002の断面図である。図示するように、装置3002は、上方部分3006及び対応する基部3008を有する筐体3004を含むことができる。幾つかの実施では、筐体3004は正方形断面を含むことができる。他の実施では、筐体3004は、円形、多角形又は他の好適な形状を含むことができる。幾つかの実施では、筐体3004をプラスチックから構成することができる。他の実施では、筐体3004を、セラミック、ステンレス鋼又は他の任意の好適な材料から構成することができる。
図示するように、上方部分3006は、平坦な上面3010と、上面3010から筐体3004の内部3012に延在する円形位置合せカナル3016とを含むことができる。この例では、位置合せカナル3016は、カニューレ2408の外径に対応する直径寸法を有することができる。カニューレ2408が、先端膜2802が筐体3004の内部3012内に格納された状態でカニューレ2408が適切に中心合せされることを確実にする為に、カニューレ2408と位置合せカナル3016との間の緊密な直径公差が必要である場合がある。適切に中心合せされたカニューレ2408により、先端膜2802を、カニューレ2408の開放端部に適切に固定することができる。
基部3008に近接して、上方部分3006の底部に、1つ又は複数の下方に延在する指部材3014を有する膜引戻し部(retractor)を結合することができる。幾つかの実施では、指部材3014を円錐状に配置することができる。指部材3014は、摩擦、伸張及び/又は圧縮嵌合により筐体3004の内部3012内に先端膜2802を保持するように設計されている。幾つかの実施では、指部材3014を、プラスチック又は他の任意の好適な材料から構成することができる。他の実施では、膜引戻し部は、上方部分3006の底部から延在する単一円錐状部材を含むことができる。
先端膜2802の設置中、最初に、先端膜2802のスリーブ2804を指部材3014の上で伸張させることができる。スリーブ2804が指部材3014の上で伸張すると、先端膜2802の内部2814は、カニューレ2408の遠位端を受け入れるようにV字型形態まで伸張する。先端膜が指部材3014の上に設置されると、幾つかの実施では、上方部分3006は、基部3008と組み立てられて筐体3004を形成する。筐体3004が組み立てられると、使用者は、カニューレ2408の遠位端が閉鎖端2812の近くの先端膜2802の内部2814内に延在するまで、カニューレ2408の遠位端を位置合せカナル3016内に挿入することができる。先端膜2802の閉鎖端2812の近くで、スリーブ側壁2816の内径は、先端膜2802がカニューレ2408の外面に付着するように幅が狭くなっている。先端膜2802がカニューレ2408の遠位端に取り付けられると、使用者は、カニューレ2408を基部3008に向かって更に付勢するように追加の下方向の力を加えることができる。カニューレ2408が基部3008に向かって移動すると、先端部材2802とカニューレ2408との間の圧縮嵌合により、先端膜2802を指部材3014から移動させることができる。先端膜2802が指部材3014から移動すると、弾性スリーブ2804は、カニューレ2408と接触し、固定して、且つ幾つかの実施形態では永久的に、カニューレ2408に付着することができる。先端膜2802がカニューレ2408に取り付けられた後、使用者は、筐体3004からカニューレ2408を取り除き、皮質物質の除去に進むことができる。大部分の実施では、衛生上の目的で、先端膜2802は、単回使用付属品として設計されている。
この実施例では、先端膜2802を、先端膜2802が筐体3004の底部と接触するのと略同じ時点で指部材3014から移動するように、筐体3004内に配置することができる。筐体3004の底部におけるこの接触は、使用者に対し、先端膜2802がカニューレ2408に接続され、更に筐体3004から取り除くことができるという合図を提供する。
幾つかの実施では、上方部分3006を、基部3008から脱着可能として、装置3002に先端膜2802を設置する時に指部材3014へのアクセスを提供することができる。他の実施では、上方部分3006を、基部3008に一体的に形成することができる。これらの実施では、指部材3014へのアクセスを、筐体3004の側壁及び/又は底面に形成された1つ又は複数の開口部によって提供することができる。
本実施によれば、使用者は、最初に、本発明の組織除去デバイス2402の実施を用いて白内障の核を標的部位から除去することができる。白内障が除去された後、使用者は、筐体3004内にデバイスを挿入して、先端膜2802をカニューレ2408の遠位端に取り付けることができる。先端膜2802がカニューレ2408に固定されると、使用者は、同じデバイスを用いて標的部位から残りの皮質物質を除去することができる。
本実施は、先端膜2802をカニューレ2408に自動的に接続することができる手段を提供する。使用者は、これを、望ましい場合は技術者の支援なしに容易に行うことができる。更に、処置の白内障除去ステップと皮質除去ステップとの間で器具管材を交換する為に、技術者は不要である。これは、既存のフェイコ装置及び処置に比較して効率及び費用削減の利点を提供する。更に、本発明の組織除去デバイスは、機械的超音波出力により先端を作動させることに基づかない為、カニューレ2408に付与された先端膜2802は、カニューレ2408の遠位端に固定され続ける可能性が高くなり、それは、機械的超音波が、従来のフェイコ超音波デバイスのカニューレ先端から先端膜2802を振動させる可能性がある為である。
図31及び図32は、別の実施による組織除去デバイス3100の例のそれぞれ斜視図及び平面図である。組織除去デバイス3100は、概して、使用者によって保持されるサイズ及び形状である、ハンドピース又は手持ち式器具として構成されている。組織除去デバイス3100は、その内部に様々な構成要素を封入するハンドピースハウジング3102と、内側からハウジング3102の外側の遠位先端3106まで延在する剛性組成物の吸引カニューレ3104と、内部に弁アセンブリ3110が配置されたリニアアクチュエータとを含む。ハウジング3102を、概して、組織除去デバイス3100の長手方向軸に沿って細長くすることができる。ハウジング3102は、互いに組み立てられた複数の部分を含むことができる。図示する実施例では、ハウジング3102は、吸引カニューレ3104が延出している遠位(又は前方)体3112と、遠位体3112に流体封止されて結合されて且つ長手方向軸に沿って細長い本(又は中間)体3114と、本体3114の遠位体3112とは反対側に結合された近位(又は後方)体3116とを含む。本文脈において、「流体封止された」という用語は、「気密」又は「真空気密」を意味し、「流体封止された」として述べられているインタフェース又は構成要素を横切るか又は通るガスの移送をなくすか又は少なくとも実質的に最小限にする封止状態を指す。遠位体3112は遠位ハウジング開口部3118を含み、それを通して、吸引カニューレ3104が流体封止されて延在している。この目的で、好適な構成及び組成の遠位シール3120を、吸引カニューレ3104と遠位ハウジング開口部3118との間のインタフェースに設けることができる。
幾つかの実施では、組織除去デバイス3100は使い捨てであるように設計されており、その場合、組織除去デバイス3100は永久的な形態で使用者に提供される。本文脈では、「永久的な」という用語(例えば、永久的に組み立てられ、設置され、結合され等)は、組織除去デバイス3100が、組織除去デバイス3100に損傷を与えるか又はそれを動作不能にすることなく使用者が分解することができないことを意味する。例えば、ハウジング3102の様々な部分は、分解することができず、吸引カニューレ3104は、ハウジング3102から取り外すことができず、流体ラインは、ハウジング3102から取り外すことができない。
図示する実施例では、弁アセンブリ3110は、空気圧駆動式であり、吸引カニューレ3104に真空を印加し、且つその中に制御された真空パルスを引き起こすように構成されている。この目的で、弁アセンブリ3110は、吸引カニューレ3104と、且つ図32において破線として示されている吸引ライン3222及び加圧ガスライン3224と連通する。吸引ライン3222及び加圧ガスライン3224は、貫通型部材を介してハウジング3102から延出している可撓性チューブであり得る。弁アセンブリ3110は、チューブに取り付けられるように構成されたガスライン取付具3126及び吸引ライン取付具3128を含むことができる。図示する実施例では、2つのボアを有する単一の貫通型部材3130が、近位体3116の近位ハウジング開口部3132を通って延在している。ボアの間の間隙が、吸引ライン3222及び加圧ガスライン3224の為のそれぞれのチューブが材料の介在するストリップ(図示せず)によって横に並んで一体的に接続される二重内腔構造に適合する。図示する実施例では、チューブは、後述するように、弁アセンブリ3110の往復動作に適合するように可撓性である。他の実施では、吸引ライン3222及び加圧ガスライン3224は、ハウジング3102を、その1つ又は複数の側部開口部を介して貫通することができ、且つ/又は別個の開口部を介してハウジング3102を貫通することができる。
図33は、弁アセンブリ3110の例の斜視図である。弁アセンブリ3110は、ガス導管(又はガスカニューレ)3336、内部カニューレ3338及びピストン3340を含む。ガス導管3336、内部カニューレ3338及びピストン3340を、様々な金属及びポリマー等の剛性材料から構成することができる。ピストン3340は、ピストンヘッド(又はフランジ)3342と、ガス導管3336及び内部カニューレ3338を同軸状に包囲するスリーブ3344とを含むことができる。ピストン3340(例えば、ピストンヘッド3342又はスリーブ3344の端部)は、ガス導管3336及び内部カニューレ3338が延在するボアを含むことができる。更に後述するように、弁アセンブリ3110は、開放位置と閉鎖位置との間で空気圧式に駆動されるように構成されている。開放位置では、弁アセンブリ3110は、吸引カニューレ3104から内部カニューレ3338を通ってハウジング3102から出る吸引路を完成して、吸引物(aspirant)(例えば、組織及び流体)が収集容器に吸引されるのを可能にする。閉鎖位置では、弁アセンブリ3110は吸引路を閉鎖する。弁アセンブリ3110を、例えば図2及び図3に示すような所望のパルスプロファイルに従って開放位置と閉鎖位置との間で往復運動させて、本開示において上述したように流体流を制御し組織を破壊することができる。本実施では、弁アセンブリ3110は、通常はばね力によって閉鎖位置に付勢され、ばね力に抗するガス圧力の印加により開放位置に能動的に駆動されるように構成されている。即ち、弁アセンブリ3110の(閉鎖位置に向かう)前方ストロークはばね駆動であり、(開放位置に向かう)後方ストロークは空気圧式に駆動される。この目的で、弁アセンブリ3110は、ハウジング3102内のピストンヘッド3342とハウジング3102の内壁との間に取り付けられ且つスリーブ3344を同軸状に包囲するばね3148(図31及び図32)を含む。従って、ピストンヘッド3342は、外径がスリーブ3344より大きく、それにより、ピストンヘッド3342はばね3148に接触する。スリーブ3344の基端部分3350を、ハウジング3102の内壁(図示せず)等、好適な止め部材と当接して、弁アセンブリ3110の最大後方ストロークに対する制限を提供するように構成することができる。止め部材との接触を容易にするように、基端部分3350に弾性部材(図示せず)を設けることができる。
本実施では、弁アセンブリ3110は、真空が望ましくない時点で患者の眼球等の手術部位に印加されないようにする安全手段として、閉鎖位置にばね付勢される。別の実施では、弁アセンブリ3110の構成要素を、弁アセンブリ3110が開放位置にばね付勢され、閉鎖位置に空気圧式に駆動されるように構成することができる。別の実施では、弁アセンブリ3110を、開放位置及び閉鎖位置の両方に空気圧的に駆動されるように構成することができる。
図34は、弁アセンブリ3110が開放位置にある組織除去デバイス3100の断面図である。遠位体3112を、1つ或いは複数のOリング又は他のタイプの封止要素の使用を含むことができる、任意の好適な流体封止手段によってハウジング3102の本体3114に固定することができる。組織除去デバイス3100が使い捨てである実施では、遠位体3112を本体3114に永久的に固定することができる。本実施では、リニアアクチュエータは、長手方向軸に横方向に固定して取り付けられ且つガス導管3336及び内部カニューレ3338を同軸状に包囲するダイアフラム3454を含む。ダイアフラム3454を、ガス加圧及びピストンヘッド3342との強制的な接触の繰り返される循環に耐えることができる任意の好適な可撓性材料から構成することができる。更に、ハウジング3102の1つ又は複数の内壁又は内面は、ダイアフラム3454の遠位側にガスチャンバ3456を画定する。これらの内壁又は内面は、遠位体3112、本体3114又は両方の一部であり得る。ガスチャンバ3456は、ダイアフラム3454によって少なくとも一方の側において境界が定められ、それにより、ダイアフラム3454は、ガスチャンバ3456とハウジング3102の内部の他の部分との間に流体封止境界を提供する。ガスチャンバ3456の容積は、ダイアフラム3454がガスチャンバ3456内のガス圧力に応答して膨張又は収縮する程度に従って変化する。
幾つかの実施では、ダイアフラム3454は、ガス導管3336が貫通する第1ボア3458と、内部カニューレ3338が貫通する第2ボア3460とを含む。ダイアフラム材料は、第1ボア3458においてガス導管3336の周囲で、第2ボア3469において内部カニューレ3338の周囲で緊密に圧縮される。ガス導管3336は、第1ボア3458を通ってガスチャンバ3456内に入り、それにより、ガス導管3336の開放遠位端はガスチャンバ3456と連通する。ガス導管3336の遠位端は、弁アセンブリ3110が前方ストローク及び後方ストロークを通して往復運動する際に、ガスチャンバ3456内で前後に並進する。ガスチャンバ3456は、この並進に適応するような形状である。
図示する実施例では、内部カニューレ3338は、第2ボア3460を通り、ガスチャンバ3456を通って、遠位体3112に配置された外部カニューレ3466内に入る。遠位体3112及び外部カニューレ3466を、任意の好適な方法でガスチャンバ3456から流体的に隔離することができる。図示する実施例では、内部カニューレ3338とガスチャンバ3456の遠位体3112に至る開口部との間のインタフェースは、ガスチャンバ3456と外部カニューレ3466との間に介在するシールによって封止される。図示する実施例では、シールは、環状スペーサによって分離される一対のOリングを含む。外部カニューレ3466は、弾性シール3468(例えば、栓、ストッパ、閉鎖具等)によって確実に流体封止して閉鎖される遠位端を含む。外部カニューレ3466は、吸引カニューレ3104と連通する弁ポート3470も含む。従って、内部カニューレ3338及び外部カニューレ3466は、吸引カニューレ3104と流体封止して連通する線形駆動弁を形成する。
弁ポート3470を、外部カニューレ3466の円筒状壁を通して形成することができる。幾つかの実施では、弁ポート3470は、吸引カニューレ軸に対して90度に向けられたサイドポートである。本文脈では、「90度」と言う用語は、厳密に90度であるように限定されておらず、従って、「実質的に90度」及び「約90度」という用語を包含する。弁ポート3470は、吸引カニューレ3104と、吸引カニューレ3104と弁ポート3470との間に配置され且つそれらと流体連通する遷移部3472を介して連通することができる。遷移部3472は、角度付き部分(例えば、曲げ部分、湾曲部分、肘部分等)であり得る。幾つかの実施では、構造に応じて、遷移部3472を、吸引カニューレ軸に沿って直線状に延在する吸引カニューレ3104の遠位部分の一体的に一部又は延長部であるようにみなすことができる。他の実施では、遷移部3472を、吸引カニューレ3104と外部カニューレ3466との間に配置された別個の構成要素であるようにみなすことができる。遷移部3472は、吸引カニューレ軸に対して「角度が付けられて」おり、即ち、遷移部3472は、吸引カニューレ3104から弁ポート3470まで湾曲経路又は曲げ経路に従う。弁ポート3470は吸引カニューレ軸に対して90度に向けられているが、幾つかの実施では、遷移部3472は、90度未満の角度で弁ポート3470に遷移する輪郭で終端することが好ましい。この構成は、図34において点線によって示されており、吸引カニューレ3104から内部カニューレ3338内により平滑な(急峻でない)吸引経路を提供することができる。遷移部3472は、弁ポート3470を流体封止して包囲する外部カニューレ3466の表面に隣接している(例えば、溶接され、結合されている等)。遷移部3472は、吸引カニューレ3104とは別個の構成要素である場合、同様に吸引カニューレ3104に流体封止して隣接する。
本実施では、吸引カニューレ3104、遷移部3472、外部カニューレ3466及び内部カニューレ3338は全て、金属又は剛性ポリマー等の剛性材料から構成されている。この構成により、吸引カニューレ3104の遠位先端3106から弁アセンブリ3110までの吸引路全体が剛性構造によって画定され、それにより、本教示による非常に正確且つ制御された真空パルスの印加が容易になる。幾つかの実施では、弁ポート3470の内径は、遠位先端3106の内径に等しいか又はそれより大きい。幾つかの実施では、弁ポート3470の内径は遠位先端3106の内径より大きく、それにより、吸引路の流れ断面積の拡張が容易になり、吸引路における組織の詰りが防止される。遷移部3472の内径は、吸引カニューレ3104の内径から弁ポート3470の内径まで徐々に増大することができる。幾つかの実施では、遠位先端3106の内径は0.2mmから2mmの範囲であり、弁ポート3470の内径は0.05mmから5mmの範囲である。
動作時、弁アセンブリ3110の図34に示す開放位置への後方ストロークは、加圧ガスを、好適な加圧ガス源(図示せず)からガスライン3224(図32)を通りガス導管3336を通りガスチャンバ3456に入るように流すことによってもたらされる。ガスチャンバ3456内でガス圧力が上昇すると、それによってダイアフラム3454が強制的に後方に膨張する。ダイアフラム3454は、ピストンヘッド3342にすでに接触しているか、又はピストンヘッド3342と接触するように膨張する。いずれの場合も、ダイアフラム3454の膨張により、ピストンヘッド3342が、ばね3148によってかけられる付勢力に抗して強制的に後方に移動する。ダイアフラム3454の膨張中、ピストンヘッド3342は、ばね3148とすでに接触しているか、又は膨張の結果としてばね3148と接触する。本実施では、図34に示すように、弁アセンブリ3110全体は、ピストンヘッド3342により後方に並進する。特に、内部カニューレ3338は、固定されている外部カニューレ3466を通して後方に並進する。後方並進により、内部カニューレ3338の開放遠位端は弁ポート3470を空ける。この為、遠位先端3106から、吸引カニューレ3104、遷移部3472、弁ポート3470、弾性シール3468と内部カニューレ3338の開放遠位端との間の外部カニューレ3466内に開放空間、内部カニューレ3338、吸引ライン3222(図32)の残りの部分を通り、組織除去デバイス3100の外部の収集容器(図示せず)に伸びる、開放吸引路が確立される。
図35は、弁アセンブリ3110が閉鎖位置にある組織除去デバイス3100の断面図である。閉鎖位置は、ガスチャンバ3456内への加圧ガスの流れを停止するか、又はダイアフラム3454が収縮し、弁アセンブリ3110が、閉鎖位置に戻る(それはばね3148によって支援される)ように前方に並進するのを可能にするのに十分に流れを低減することによって得られる。閉鎖位置では、内部カニューレ3338は、外部カニューレ3466を通って前方に並進し、弾性シール3468と流体封止して接触する。この位置では、内部カニューレ3338は、弁ポート3470を完全に閉鎖(又は閉塞)し、それにより、吸引カニューレ3104内の真空の印加を中断させる。
加圧ガス流の弁アセンブリへの適切な制御を通して、弁アセンブリ3110を、所望の真空パルス化効果を達成するように任意の所望の振動数で開放位置と閉鎖位置との間で前後に往復運動させることができることが分かる。本開示において上述したように、吸引カニューレ3104に印加される真空のレベル、真空パルス化の作動、及びパルス化パラメータの調整を、使用者が、制御コンソール及び/又はフットペダルを介して制御することができる。
図31〜図35に示す実施では、組織除去デバイス3100は、空気圧駆動式リニアアクチュエータによって開放位置と閉鎖位置との間で往復運動する内部弁を含む。内部弁の特徴は、吸引カニューレ3104が流体連通する(図示する実施例では固定された外部カニューレ3466によって画定される)弁ポート3470である。弁ポート3470は、図示する実施例では弁構成要素としてだけではなく、手持ち式器具を通る吸引ラインの一部としての役割も果たす、内部カニューレ3338の直線運動によって交互に開閉される。この構成により、吸引カニューレ3104の軸は、内部カニューレ3338の軸からずれており、吸引カニューレ3104及び内部カニューレ3338を、平行又は実質的に平行とすることができ、弁ポート3470は、吸引カニューレ3104及び内部カニューレ3338に対して横切って又は実質的に横切って向けられている。この構成により、内部弁を、多種多様の振動数にわたって非常に真空気密式に開放位置と閉鎖位置との間で確実に駆動することができ、それにより、真空パルス化に対して正確なロバスト制御が可能になる。
図31〜図35に示す組織除去デバイス3100は単に1つの実施であり、他の実施が、目下開示されている主題によって包含されることが理解されよう。例として、ガスチャンバ3456及びダイアフラム3454を、内部カニューレ3338がそれらを貫通しないように、且つ内部カニューレ3338及び/又は内部弁の他の構成要素が所定の封止要素を用いることなくガスチャンバ3456から流体的に隔離されるように、構成することができる。弁アセンブリ3110及びダイアフラム3454を、ガス導管3336及び内部カニューレ3338がダイアフラム3454を貫通しないように構成することができる。弁アセンブリ3110を、ガス導管3336がピストン3340を貫通せず、且つ/又はガス導管3336が固定されているように構成することができる。弁アセンブリ3110を、内部カニューレ3338がピストン3340に機械的に連結されるがピストン3340を貫通しないように構成することができる。更に、他の実施では、リニアアクチュエータは、可撓性ダイアフラム以外の空気圧駆動式構成要素を利用することができる。更に他の実施では、リニアアクチュエータの動作を、電気的手段、電気機械的手段又は電磁気手段等、非空気圧式手段に基づくことができる。
図36は、吸引カニューレ3104の例の側面図である。この実施例では、遠位先端3106は、遠位先端3106の内径が吸引カニューレ3104の残りの部分の内径より小さいように先細りになっている。先細り構成は、吸引カニューレ3104内の組織の詰りを防止するのに役立つ。他の実施では、吸引カニューレ3104の残りの部分の全て又は一部を、内径が吸引カニューレ3104の近位端に向かう方向に徐々に増大するように先細りとすることができ、それにより、吸引カニューレ3104と通して拡張する真空路が提供される。幾つかの実施では、吸引カニューレ3104の壁は、(半径方向の)厚さが0.3mm以下である。
図37は、別の実施による組織除去システム3700の例の概略図である。組織除去システム3700は、組織除去デバイスと、吸引ライン3222を介して組織除去デバイスと連通する組織(及び流体)収集容器とを含む。組織除去デバイスは、例えば、上述し且つ図31〜図36に示す組織除去デバイス3100と同じか又は同様であり得る。従って、組織除去デバイス3100は、吸引カニューレ3104と、内部弁を駆動するリニアアクチュエータ3780とを含むことができる。本実施では、リニアアクチュエータ3780は、空気圧式であり、従って、ガスライン3224を介して任意の好適な加圧ガス源3702から加圧ガスを受け取る。吸引カニューレ3104は、患者の眼球等、組織の吸引が望まれる手術部位3704内に動作可能に挿入されているものとして概略的に示されている。別個の手持ち式洗浄器具3706もまた、手術部位内に動作可能に挿入されているものとして示されている。洗浄流体源3708が、洗浄器具3706に、洗浄流体ライン3710を介して洗浄流体を供給する。洗浄流体の流れを、弁3712又は他の任意の好適な手段によって制御することができる。
本実施では、収集容器は、組織除去デバイス3100と真空源(例えばポンプ)3714との間に直列に配置されている。真空源3714は、例えば本開示において上述した真空源又はポンプ等、真空を発生させる任意の好適なデバイスであり得る。収集容器は、吸引された組織及び流体を受け取る少なくとも1つの内部チャンバを含む。従って、収集容器は、組織除去デバイス3100から通じる吸引ライン3222と連通する入口と、真空源に通じる真空ラインと連通する出口とを含むことができる。出口において、収集容器は、液体及び固体物質をガスから分離するように構成されたフィルタ又は他のデバイスを含むことができ、それにより、液体及び固体物質が、真空ラインを通って真空源3714に流れないことが確実になる。真空調節器3730が、収集容器の出口と真空源3714との間に直列に配置されている。真空調節器3730は、必要に応じて、収集容器及び/又は組織除去デバイス3100に印加さえる真空のレベルを制御する1つ又は複数の構成要素であり得る。
本実施では、真空源3714、又は真空源3714及び加圧ガス源3702両方は、制御コンソール3732に統合されている。制御コンソール3732は、上述したような且つ図1に示す他の特徴を含むことができる。上述したような且つ図1に示す足踏み式制御デバイスもまた設けることができる。制御コンソール3732は、加圧ガス源3702から組織除去デバイス3100のアクチュエータ3780への加圧ガス流を制御するように構成された弁制御デバイス3784もまた含むことができる。弁制御デバイス3784は、この目的で、任意の好適な機械的構成、電気機械的構成又は電磁構成を有することができる。弁制御デバイス3784は、真空パルス制御回路及び/又は制御コンソール3732のソフトウェアと通信することができる。弁制御デバイス3784の動作パラメータ(例えば、真空パルス化パラメータ)は、使用者により、制御コンソール3732及び/又は上述した足踏み式制御デバイスに設けられたコントローラを介して、調整可能であり得る。また、本実施では、使用者がコンソール3732カセット受け3736(例えば、ベイ、スロット等)内に取外し可能に設置するように構成されたカセット3734の形態で提供される。コンソール3732は、カセット3734を完全設置位置(即ち動作位置)で適所に係止し、使用者の要求に応じてカセット3734を設置位置から解除するデバイス(図示せず)を含むことができる。コンソール3732は、カセット3734が設置位置に設置されたという照明された指示を提供するデバイス(図示せず)を含むことができる。
本実施では、カセット3734は、カセットハウジング3738と、カセットハウジング3738の第1(又は一次)収集チャンバ3740と、カセットハウジング3738内の第2(又は二次)収集チャンバ3472とを含む。第2収集チャンバ3742は、受動一方向弁又は逆止め弁であり得るカセット弁3744を介して第1収集チャンバ3740と連通する。カセット3734はまた、吸引ライン3222と連通する吸引入口3746も含む。例えば、吸引入口3746は、吸引ライン3222のチューブが結合される取付具を含むことができる。吸引入口3746は、第1収集チャンバ3740と連通する。カセット3734はまた、第1収集チャンバ3740と連通する第1真空ポート3748、及び第2収集チャンバ3742と連通する第2真空ポート3750も含む。第1真空ポート3748及び第2真空ポート3750は、それぞれの真空ラインを介して真空調節器3730と連通することができ、真空調節器3730は、共通の真空ラインを介して真空源3714と連通することができる。カセット3734は、第1収集チャンバ3740及び第2収集チャンバ3742と真空源3714との間に液体バリアを提供する1つ又は複数の疎水性フィルタ3756を含むことも可能である。
真空調節器3730を、第1収集チャンバ3740及び第2収集チャンバ3742におけるそれぞれの真空レベルを制御するように構成することができる。カセット弁3744は、第1収集チャンバ3740内の圧力が第2収集チャンバ3742内の圧力より低い時(即ち、真空レベルが第2収集チャンバ3742より第1収集チャンバ3740の方が高い時)閉鎖し、第1収集チャンバ3740内の圧力が第2収集チャンバ3742内の圧力より高い時(即ち、真空レベルが第2収集チャンバ3742より第1収集チャンバ3740の方が高い時)開放するように構成されている。(通常の又は初期の組織収集状態であり得る)第1組織収集状態では、第1収集チャンバ3740を、唯一の収集チャンバとして、即ちカセット弁3744を閉鎖して利用することができる。第1組織収集状態を、例えば、第1収集チャンバ3740にのみ真空を印加することによって実施することができる。第1組織収集状態では、吸引路は、吸引カニューレ3104から、吸引ライン3222及び吸引入口3746を通り、第1収集チャンバ3740内に伸びる。第1収集チャンバ3740は、真空レベルへの迅速な調整を容易にするように第2収集チャンバ3742より小さく(容積を小さく)することができる。(第1組織収集状態に続くことができる)第2組織収集状態では、組織収集に、第1収集チャンバ3740及び第2収集チャンバ3742の両方を、即ちカセット弁3744を開放して利用することができる。第2組織収集状態を、例えば、第2収集チャンバ3742にのみ真空を印加し、又は第2収集チャンバ3742の方に高いレベルの真空を印加することにより、実施することができる。第2組織収集状態では、従って、吸引路は、第1収集チャンバ3740から、カセット弁3744を通り、第2収集チャンバ3742内に更に伸びる。第2組織収集状態を、例えば、第1収集チャンバ3740が完全に充填されないように、収集されている組織及び流体の量が大きい方の第2収集チャンバ3742の使用を可能にするのに十分大きい場合に、実施することができる。
カセット3734及び/又はコンソール3732は、第1収集チャンバ3740に蓄積している吸引物(組織及び流体)のレベルをモニタリングする流体レベルインジケータ3760を提供することができる。流体レベルインジケータ3760は、1つ又は複数の閾値レベルをモニタリングし、特定の閾値レベルの達成に対する適切な応答を開始するようにコンソール3732に対する出力信号を生成する。例えば、1つの閾値レベルを検出すると、流体レベルインジケータ3760は、使用者に対して、第1収集チャンバ3740が過充填状態に達している警告(可聴、視覚的等)を始動することができる。より高い閾値レベルを検出すると、流体レベルインジケータ3760により、真空調節器3730が、第1組織収集状態から第2組織収集状態に切り替わることができ、それにより、カセット弁3744が開放し、吸引物を第2収集チャンバ3742内に排出することができる。更に高い閾値レベルを検出するか、又は望ましくない程短期間に連続した閾値レベルを検出する(第1収集チャンバ3740の充填が急速すぎることを示す)と、流体レベルインジケータ3760により、真空調節器3730は、真空の印加を第1真空ポート3748及び第2真空ポート3750から離れるようにそらし、且つ/又は真空源3714が停止されるようにすることができる。こうした目的で、任意の好適な流体レベルインジケータを設けることができる。図示する実施例では、流体レベルインジケータ3760は、第1収集チャンバ3740内の吸引物のレベルによって上昇及び下降する浮遊ボール3762を含む。ボール3762を、カセットハウジング3738のガイド構造3764により、実質的に上昇し下降する吸引物の方向においてのみ移動するように制約することができる。1つ又は複数の光源3766(例えば、発光ダイオード、レーザ等)を設けて、1つ又は複数の光ビームを、第1収集チャンバ3740を通って1つ又は複数の光検出器3768(例えば、フォトダイオード、光電子増倍管等)に向けることができる。各光ビームは、検出される閾値レベルに対応することができる。吸引物の表面が上昇すると、ボール3762は光ビームの経路内に移動し、それにより光ビームを遮断し、それによって、対応する閾値レベルに達したことが検出される。典型的な実施では、光源3766及び光検出器3768は、コンソール3732に取り付けられており、カセット3734がコンソール3732に設置された時、光ビームを正しい高さで第1収集チャンバ3740を通るように向けるように配置されている。
幾つかの実施では、カセット3734(即ち、カセットハウジング3738)は、第1収集チャンバ3740及び第2収集チャンバ3742から流体的に隔離されている流体経路指示チャンバ3772を含む。流体経路指示チャンバ3772を、例えば、吸引ライン3222との(又は、吸引ライン3222及びガスライン3224両方との)継手を提供するように利用することができ、それにより、真空源3714(又は真空源3714及び加圧ガス源3702両方)が、単にカセット3734をコンソール3732に設置することにより、組織除去デバイス3100と動作可能に結合される。流体経路指示チャンバ3772を、使用者が分解することができない永久的な流体継手を提供するように利用することも可能であり、それにより、組織除去デバイス3100及びカセット3734は永久的に組み立てられた単一ユニットとなり、その単一ユニットは、使用者によって廃棄可能であり、新たな又は滅菌されたユニットと交換することができる。
図37に具体的に示す実施では、流体経路指示チャンバ3772は、吸引ライン3222及びガスライン3224がカセット3734の外側から貫通するカセット入口3774を含む。この実施例では、吸引ライン3222が結合される吸引入口3746は、流体経路指示チャンバ3772内に位置している。またこの実施例では、流体経路指示チャンバ3772は、カセット3734の外側に通じるガスポート3776を含む。ガスライン3224は、流体経路指示チャンバ3772を貫通し、ガスポート3776に結合されている。ガスポート3776を、カセット3734の第1真空ポート3748及び第2真空ポート3750と同じ側に配置することができる。コンソール3732は、相補的なそれぞれの継手を含むことができ、それにより、カセット3734の設置時、ガスライン3224は、加圧ガス源3702と連通するように自動的に配置され、第1収集チャンバ3740及び第2収集チャンバ3742は、真空源3714と連通するように自動的に配置される。カセット3734、特にカセット入口3774を、使用者が吸引ライン3222及びガスライン3224をカセット3734から分離することができないように構成することができる。更に、カセット3734を、使用者が、カセットハウジング3738を分解するか、又はカセット入口3774、ガスポート3776、第1真空ポート3748又は第2真空ポート3750を介してカセット内部にアクセスすることができないように構成することができる。
図38は、カセット3734、真空調節器3730及び真空源3714の例の概略図である。この実施では、真空調節器3730は、第1弁3882、第2弁3884及び第3弁3886を含む。第1弁3882は、真空源3714と第2弁3884及び第3弁3886との間で直列に配置され、第2弁3884は、第1弁3882と第1収集チャンバ3740との間で直列に配置され、第3弁3886は、第1弁3882と第2収集チャンバ3742との間で直列に配置されている。弁3882、3884、3886は、任意の好適な設計、典型的にはソレノイド弁等の能動設計であり得る。弁構成の一例では、弁3882、3884、3886は、各々、3つの位置に移動可能である。第1弁3882は、閉鎖位置と、第2弁3884への真空を可能にする開放位置と、第3弁3886への真空を可能にする開放位置とに移動可能である。第2弁3884は、閉鎖位置と、第1収集チャンバ3740への真空を可能にする開放位置と、通気孔に通じる開放位置とに移動可能である。第3弁3886は、閉鎖位置と、第2収集チャンバ3742への真空を可能にする開放位置と、通気孔に通じる開放位置とに移動可能である。この為、例えば、(第1収集チャンバ3740のみが利用される)第1組織収集状態を、第1弁3882を第2弁3884に開放し、第2弁3884を第1収集チャンバ3740に開放し、第3弁3886を閉鎖することによって実施することができる。(第1収集チャンバ3740及び第2収集チャンバ3742の両方が利用される)第2組織収集状態を、第1弁3882を第3弁3886に開放し、第3弁3886を第2収集チャンバ3742に開放し、第2弁3884を通気孔に開放することによって実施することができる。
弁3882、3884、3886の他の構成が可能であることが理解されよう。例えば、第1弁3882を、第2弁3884及び第3弁3886の両方に対して真空が同時に開放される位置があるように構成することができる。この場合、第2弁3884及び第3弁3886を、第1収集チャンバ3740及び第2収集チャンバ3742に印加されるそれぞれの真空レベルが独立して調整されるのを可能にする可変の弁位置があるように構成することができる。
図39及び図40は、カセット3734の一例のそれぞれ部分切取斜視図及び側面図である。カセットハウジング3738は、第1収集チャンバ3740を第2収集チャンバ3742から流体的に隔離する壁等の内部構造3902を含む。この実施例では、カセット弁3744は、内部構造3902を通して形成されているボア3904を交互に開閉するフラッパ弁である。カセットハウジング3738はまた、第1収集チャンバ3740から流体経路指示チャンバ3772を流体的に隔離する壁等の別の内部構造3906も含む。吸引入口3746は、第1収集チャンバ3740に通じる流体移送通路3908と連通するように取り付けられている。流体経路指示チャンバ3772の内側で、吸引入口3746及びガスポート3776は、吸引ライン3222及びガスライン3224の管材にそれぞれ結合するように構成されている。吸引ライン3222及びガスライン3224は、カセット入口3774に固定して取り付けられる貫通型部材(又はチューブ支持部材)3910を貫通する。貫通型部材3910は、吸引ライン3222及びガスライン3224の可撓性管材用の歪み緩和としての役割を果たすことができる。(上述し且つ図31及び図32に示す組織除去デバイス3100の貫通型部材3130に類似する)図示する実施例では、貫通型部材3910は、吸引ライン3222及びガスライン3224が横に並んで一体的に接続されている二重内腔構造に適応するように2つのボアの間に間隙を有している。上述したように、第1収集チャンバ3740と第1真空ポート3748との間に、且つ第2収集チャンバ3742と第2真空ポート3750との間に、疎水性フィルタを介在させることができる。本実施では、この目的で、一方の側で第1真空ポート3748と第2真空ポート3750との間に取り付けられ、他方の側で第1収集チャンバ3740と第2収集チャンバ3742との間に取り付けられた疎水性フィルタ材の単一ストリップ3912を設けることができる。
図41及び図42は、円筒状カニューレシール4100の例のそれぞれ斜視図及び側面図である。カニューレシール4100は、開放遠位シール端4102と、遠位シール端4102より内径が大きい開放近位シール端4104と、内径が徐々に増大する、遠位シール端4102と近位シール端4104との間の先細り部分4106とを含む。カニューレシール4100を、例えばシリコーン等の好適な弾性材料から構成することができる。組織除去デバイス3100の吸引カニューレ3104等のカニューレを、カニューレシール4100が、遠位先端3106を含む吸引カニューレ3104の少なくとも一部を囲むように、カニューレシール4100に挿入することができる。このように、カニューレシール4100は、流体封止して吸引カニューレ3104の周囲で圧縮される。吸引カニューレ3104が、患者の眼球内に形成された切開部等、手術部位への切開部を通して挿入される時、カニューレシール4100は、吸引カニューレ3104と切開部を画定する組織との間に流体封止インタフェースを提供する。従って、流体(例えば、洗浄流体)が切開部を通して手術部位から漏れ出ることが防止される。洗浄器具3706の周囲に別のカニューレシール4100を同様に設置することができる(図37)。
図43A、図43B及び図43Cは、吸引カニューレ3104の遠位端に弾性膜2802を付与するデバイス4302の使用を示す。幾つかの実施では、デバイス4302は、上述し且つ図30A、図30B及び図30Cに示すデバイス3002の変更形態であり、従って、同様の参照数字は同様の構成要素を示す。本実施では、弾性膜2802は、デバイス4302及び弾性部材2802が使用者に提供される時点で筐体3004内に事前に設置されている。弾性膜2802は、開放膜端4304と、反対側の閉鎖膜端4306と、開放膜端4304と閉鎖膜端4306との間の名目上円筒状断面の膜壁と、閉鎖膜端4306の近位側の膜壁の膜サイドポート2806とを含む。弾性膜2802を、例えばシリコーン等の好適な弾性封止材料から構成することができる。事前設置状態では、開放膜端4304は、支持部材3014によって伸張位置に保持され、それにより、開放膜端4304は、閉鎖膜端4306より断面積が大きい。デバイス4302は、吸引カニューレ3104への弾性膜2802の適切な付与を容易にする剛性カニューレ延長部4312を更に含む。カニューレ延長部4312は、開放延長部端4314と、反対側の閉鎖延部端4316と、開放延長部端4314と閉鎖延長部端4316との間の円筒状延長部壁と、延長部壁の延長部サイドポート4320とを含む。事前設定状態では、カニューレ延長部4312は、弾性部材2802内に、膜サイドポート2806が延長部サイドポート4320と位置合せされ、膜壁が延長部壁の周囲で圧縮され、閉鎖膜端4306が閉鎖延長部端4316に対して圧縮されるように配置される。更に、開放延長部端4314は、概して、カナル軸に沿ってカナル3016に位置合せされる。図43Bに示すように、弾性膜2802は、吸引カニューレ3104を、カナル3016を通して開放延長部端4314と接触するように挿入することによって、吸引カニューレ3104に付与される。更に挿入されると、図43Cに示すように、弾性部材2802は、支持部材3014から移動して、吸引カニューレ3104に対して圧縮封止する。弾性膜2802はまた、カニューレ延長部4312を吸引カニューレ3104の遠位端に固定する。
弾性部材2802を吸引カニューレ3104に付与した後、吸引カニューレ3104を、例えば上述し且つ図29に示したような処置で利用することができる。
幾つかの実施では、支持部材3014は、開放膜端4304の断面積を変更するように移動可能な(例えば枢動可能な)2つ以上の指部を含む。指部を、筐体3004の外側に配置された調整部材4326(例えば、レバー、ボタン等)に機械的に連結することができ、調整部材4326を、使用者が、吸引カニューレ3104の弾性部材2802への適切な挿入を容易にするように必要に応じて弾性膜2802を調整するように操作することができる。
図44は、別の実施による組織除去システム4400の一例の概略図である。組織除去システム4400は、組織除去デバイスと、吸引ライン3222を介して組織除去デバイスと連通する組織(及び流体)収集容器とを含む。組織除去デバイスは、例えば、上述し且つ図37〜図43に示す組織除去デバイス3700と同じか又は同様であり得る。従って、組織除去デバイス4400は、吸引カニューレ4404と、内部弁を駆動するリニアアクチュエータ3780とを含むことができる。本実施では、リニアアクチュエータ3780は、図37を参照して記載したように空気圧式である。しかしながら、図44には、加圧ガス源の動作は示されていない。図44には別個の手持ち式洗浄器具は示されていないが、図37を参照して記載したようにそれを使用することができる。
図44に示す実施例では、収集容器は、組織除去デバイス3100と真空源(例えばポンプ)3714との間で直列に配置されている。真空源3714は、例えば、本開示において上述した真空源又はポンプ等、真空を発生させる任意の好適なデバイスであり得る。収集容器は、吸引された組織及び流体を受け入れる少なくとも1つの内部チャンバを含む。従って、収集容器は、組織除去デバイス3100に通じる吸引ライン3222と連通する入口と、真空源に通じる真空ラインと連通する出口とを含むことができる。出口において、収集容器は、液体及び固体物質をガスから分離するように構成されたフィルタ又は他のデバイスを含むことができ、それにより、液体及び固体物質が真空ラインを通って真空源3714に流れないことが確実になる。真空調節器3730が、収集容器の出口と真空源3714との間に直列に配置されている。真空調節器3730は、必要に応じて、収集容器及び/又は組織除去デバイス3100に印加される真空のレベルを制御する1つ又は複数の構成要素であり得る。
本実施では、組織除去システムは、図37を参照して上述したように動作することができる制御コンソールを含む。制御コンソールは、上述した且つ図1に示すような他の特徴を含むことができる。上述し且つ図1に示すような足踏み式制御デバイスもまた設けることができる。制御コンソールはまた、図37を参照して上述したように、加圧ガス源3702から組織除去デバイス3100のアクチュエータ3780への加圧ガスの流れを制御するように構成された弁制御デバイスも含むことができる。弁制御デバイス並びに他のセンサ、調節器、及び制御される構成要素への電気的インタフェースは、電子回路及び/又は制御コンソール3732のソフトウェアと通信することができる。制御コンソールに、ソフトウェアでプログラムされた機能を実行するプロセッサを含めることができる。ソフトウェアの制御下で実行される機能としては、弁制御デバイスの動作パラメータ(例えば、真空パルス化パラメータ)と、弁及び調節器の制御と、制御コンソール及び/又は上述した足踏み式制御デバイスに設けられたコントローラを介して使用者によって調整可能であり得るパラメータの調整とが挙げられる。
本実施では、収集容器は、使用者が、図37に示すようなコンソールのカセット受け3736(例えば、ベイ、スロット等)に取外し可能に設置するように構成されたカセット3734の形態で提供される。コンソールは、カセット3734を完全設置位置(即ち動作位置)で適所に係止し、使用者による要求に応じてカセット3734を設置位置から解除するデバイス(図示せず)を含むことができる。コンソール3732は、カセット3734が設置位置に設置されたという照明された指示を提供するデバイス(図示せず)を含むことができる。
図44に示すような本実施では、カセット3734は、カセットハウジング3738と、カセットハウジング3738内の第1(又は一次)収集チャンバ3740と、カセットハウジング3738内の第2(二次)収集チャンバ3472とを含む。第2収集チャンバ3742は、受動一方向弁又は逆止め弁であり得るカセット弁3744を介して第1収集チャンバ3740と連通する。カセット3734はまた、吸引ライン3222と連通する吸引入口3746も含む。例えば、吸引入口3746は、吸引ライン3222のチューブが結合される取付具を含むことができる。吸引入口3746は、第1収集チャンバ3740と連通している。カセット3734はまた、第1収集チャンバ3740と連通する第1真空ポート、及び第2収集チャンバ3742と連通する第2真空ポートも含む。第1真空ポート及び第2真空ポートは、それぞれの真空ラインを介して真空調節器3730と連通することができ、真空調節器3730は、共通真空ラインを介して真空源3714と連通することができる。真空調節器3730の動作と、第1収集チャンバ3740と第2収集チャンバ3742との間の圧力の制御とについては、図37を参照して上述している。
幾つかの実施では、カセット3734(即ち、カセットハウジング3738)は、第1収集チャンバ3740及び第2収集チャンバ3742から流体的に隔離されている流体経路指示チャンバ3772を含む。流体経路指示チャンバ3772を利用して、例えば、吸引ライン3222との(又は、吸引ライン3222及びガスライン3224両方との)継手を提供することができ、それにより、真空源3714(又は真空源3714及び加圧ガス源3702の両方)が、単にカセット3734をコンソール3732内に設置することにより、組織除去デバイス3100と結合される。流体経路指示チャンバ3772を利用して、使用者が分解することができない永久的な流体継手を提供することも可能であり、それにより、組織除去デバイス3100及びカセット3734は永久的に組み立てられた単一ユニットとなり、その単一ユニットは、使用者によって廃棄可能であり、新たな又は滅菌されたユニットと交換することができる。
図44に示すように、流体回路は、吸引カニューレ4404と、ハンドピース3100内の弁制御カニューレ構造と、吸引ライン3222と、第1収集チャンバ3740及び第2収集チャンバ3742と、真空調節器3730と、真空源3714と、第1収集チャンバ3740及び第2収集チャンバ3742と真空源3714との間の流体接続とによって形成されている。基礎真空は、流体回路内の真空源3714によって提供される。真空は、ハンドピース3100内で弁を移動させるようにリニアアクチュエータ3780を制御することによってパルス状で吸引するように操作される。ハンドピース3100は、図35を参照して上述したハンドピースと同様であり得る。例えば、弁ポート3470(図35)は、図示する実施例では、弁構成要素としてだけではなく手持ち式器具を通しての吸引ラインの一部としての役割も果たす、内部カニューレ3338(図35)の直線運動によって交互に開閉される。吸引カニューレ4404の軸は、内部カニューレ3338(図35)の軸からずれており、吸引カニューレ4404及び内部カニューレ3338(図35)を平行又は実質的に平行とすることができ、弁ポート3470(図35)は、吸引カニューレ4404及び内部カニューレ3338(図35)に対して横切るか又は実質的に横切るように向けられている。
弁ポート3470(図35)の開閉を、所望の効果をもたらす為に真空パルスのパラメータを操作するように制御することができる。これについては、以下図46A及び図46Bを参照して更に説明する。
図44の組織除去システム4400は、図37に図示しない追加の構成要素を含む。図44のシステム4400は、図45を参照して述べるように変更される吸引カニューレ4404を含むが、システム4400は、後述する所定の吸引カニューレ4404の使用に限定されない。図44のシステム4400は、それぞれ第1ソレノイド4422及び第2ソレノイド4432によって制御される第2弁4420及び第3弁4430を含む。第2弁4420を、吸引ライン3222と接触するように配置されたアンビル先端を用いて実施することができる。第2弁4420は、第1ソレノイド4422がアンビル先端を吸引ライン3222内に押し込む時に遮断するように、吸引ライン3222をはさんで締め付けることができる。第1ソレノイド4422を、アンビル先端を後退させて吸引ライン3222を再度開放するように制御することができる。第3弁4430は、吸引ライン3222と接触するように配置された平坦面先端であり得る。第3弁4430を、第1ソレノイド4422が第2弁4420を制御するのと同様に、第2ソレノイド4432によって制御することができる。
第2弁4420及び第3弁4430は任意選択的である。流体回路における真空を操作する際に第1弁アセンブリ3110(図35)を支援するように、第2弁4420及び第3弁4430のいずれかを追加することができる。吸引ライン3222内の組織を一掃するように流体回路をパージする為に、第2弁4420又は第3弁4430のいずれかを追加することができる。弁操作及びパージ機能の両方を提供する為に、第2弁4420及び第3弁4430の両方を追加することができる。
システム4400はまた、超音波先端4422を備えた超音波ハンドピース4440、及び超音波水晶体乳化吸引システム4450への接続も含む。図44におけるシステム4400の実施のオプションは、組織を破壊するのに役立つように超音波水晶体乳化吸引術を提供することである。超音波先端4442を、吸引カニューレ4404の変更形態に挿入することにより、又は超音波ハンドピース4440の超音波機能をハンドピース3100に追加することにより、実施することができる。パルス真空を使用する利点を、超音波水晶体乳化吸引システムの使用と組み合わせて、硬白内障等の硬組織をより有効に破壊することができる。組織の破壊に役立つことに加えて、パルス真空は、組織の硬い塊を先端の近くでより一貫して維持し、それによりプロセスをより効率的にするように有利に動作することができる。
図45は、吸引カニューレ4404におけるシール膜4506の実施例の斜視図である。シール膜4506は、吸引カニューレ4404の遠位先端4502を覆い、吸引カニューレ4404の少なくとも一部の上に延在する。軟質膜4506は、遠位先端開口部4504に流体路を提供するように、遠位先端開口部4504に吸引ポート4508を含む。吸引ポート4508を、遠位先端開口部4504より小さくすることができる。組織の塊が開口部より大きい場合、吸引ポート4508は、遠位先端開口部4508への通過を可能にするように拡張することができる。軟質膜4506を、任意の好適な可撓性材料から作製することができる。吸引ポート4508サイズの異なる、異なる軟質膜4506が利用可能であり得る。処置中、外科医は、吸引ポート4508において開口部のサイズが異なる、異なる軟質膜4506に切り替えることができる。外科医はまた、遠位先端開口部4504に対して吸引ポート4508の位置を変更することも可能である。軟質膜4506により、外科医は、同じ処置の2つ以上の部分に対して同じ吸引カニューレ4404を使用することができる。
図46A及び図46Bは、パルス真空を変化させるようなパルスパラメータの制御を示すパルス真空信号である。制御コンソール3732(図37)は、例えば、ソフトウェアを用いて様々な真空パルスパラメータを制御するプロセッサ及びプログラムされた機能を含むことができる。ソフトウェアは、図46A及び図46Bに示す真空パルス波形に到達するように、真空源3714、リニアアクチュエータ3780、及び他の構成要素を操作するドライバ又はハードウェアインタフェース機能を含む。1つの真空パルスパラメータは、真空パルスのあらゆる所与の流れの周波数である。図46Aは、同じ周期Tcycleを有する第1真空パルス波形4600及び第2真空パルス波形4602を示す。従って、第1真空パルス波形4600及び第2真空パルス波形4602は、同じ周波数1/Tcycleを有する。プロセッサは、各パルスの全周期Tcycleを制御することにより、且つ周期Tcycleの一連の真空パルスに従って適切なハードウェアコンポーネントを駆動するように、真空パルスの周波数を制御することができる。
制御コンソール3732(図37)によって制御することができる別の真空パルスパラメータは、デューティサイクルである。図46Aの第1パルス波形4600は、真空が、期間Pの間「オン」であり、Pからサイクルの最後まで、時間P〜Tcycleに対して「オフ」である。第1パルス波形4600のデューティサイクルは、真空が「オン」である時間Tcycleの割合である。プロセッサは、周波数を変化させることなく真空が「オン」である時間を調整することによってデューティサイクルを制御することができる。第2パルス波形4602は、真空が、同じ全サイクル時間Tcycleにおいて期間Pの間、「オン」であることを示す。期間Pは、期間Pより長い。従って、第2パルス波形4602は、第1パルス波形4600よりデューティサイクルが長い。
プロセッサはまた、弁ポート3470(図35)が真空に対する絞り機能を提供するように開閉する程度を調整することも可能である。従って、真空パルスを、それぞれ最小弁開放及び最大弁開放に対応する最小真空レベルと最大真空レベルとの間で定義することができる。真空パルスが、弁ポート3470が100%開放する時に提供される最大真空レベルと、弁ポートが0%開放する時の最小真空レベルとの間で交番する場合、ハードパルス効果により組織に対する振動をもたらすことができ、それにより、前眼房全体の脈動をもたらすことができる。プロセッサを、弁ポートの開放を、最大真空レベル及び最小真空レベルで部分的に開放するか又は部分的に閉鎖するように制御して、周囲組織に対する圧力変化の影響を軟化するようにプログラムすることができる。
図46Bは、周波数及びデューティサイクルが同じである第1真空パルス波形4610及び第2真空パルス波形4620を示す。第1真空パルス波形4610を、弁ポート3470を、0の最小真空レベルに対して完全に閉鎖し、70%の最大真空レベルに対して弁ポート3470の完全開放面積の最大70%しか開放しないように制御することによって、発生させることができる。第2真空パルス波形4620を、弁ポート3470を、40%の最小真空レベルに対して40%開放まで閉鎖し、100%の最大真空レベルに対して弁ポート3470の完全開放面積まで開放するように制御することによって、発生させることができる。最小真空レベル及び最大真空レベルに対して他のレベルを定義することにより、異なる効果を達成することができる。
制御コンソール3732(図37)は、使用者が、組織除去システム4400(図44)の制御を微調整するようにパラメータ又は設定を定義するのを可能にするユーザインタフェースを含むことができる。例えば、制御コンソール3732により、使用者は、タッチスクリーン又はキーパッド等のユーザ入力デバイスに設定を入力することにより、流量(例えばcc/mm)を定義するのを可能にすることができる。制御コンソール3732は、周波数、デューティサイクル、真空レベル、基礎真空レベル、並びに真空パルスを発生させ所望の流量を提供する他の任意の好適且つ利用可能なパラメータを確定するソフトウェア機能を提供することができる。
概して、本明細書において「連通する(通信する)」及び「〜連通している(〜通信している)」(例えば、第1構成要素は第2構成要素と「連通する」又は「連通している」)等の用語を、2つ以上の構成要素又は要素の間の構造的関係、機能的関係、機械的関係、電気的関係、信号関係、光学的関係、磁気的関係、電磁気的関係、イオン関係又は流体関係を示す為に使用する。従って、1つの構成要素が第2構成要素と連通するという事実は、追加の構成要素が、第1構成要素及び第2構成要素の間に存在し且つ/又は動作可能に関連するか或いは係合する場合があるという可能性を排除するようには意図されていない。
更に、本明細書において、「結合され」及び「結合されるように構成され」並びに「固定され」(例えば、第1構成要素が第2構成要素に「結合され」又は「結合されるように構成され」又は「固定される」)等の用語は、2つ以上の構成要素又は要素の間の構造的関係、機能的関係、機械的関係、電気的関係、信号関係、光学的関係、磁気的関係、電磁気的関係、イオン関係又は流体関係を示す為に使用する。従って、1つの構成要素が第2構成要素に結合されるという事実は、追加の構成要素が、第1構成要素及び第2構成要素の間に存在し且つ/又は動作可能に関連するか或いは係合する場合があるという可能性を排除するようには意図されていない。
上述した説明は、単に、様々な実施の特定の例を示すが、本発明は、上述した例示的な例に限定されない。当業者は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような発明を、様々な更なる実施及び変更形態で適用することができることを承知している。特に、記載した実施の様々な特徴の組合せが、これらの特徴が互いに矛盾しない限り可能である。従って、実施の上述した説明は、例示及び説明の目的で提示されている。それは、網羅的ではなく、請求項に係る発明を開示した正確な形態に限定するものではない。変更及び変形が、上記説明に鑑みて可能であり、又は本発明を実施することにより得ることができる。特許請求の範囲及びそれらの均等物は本発明の範囲を定義する。

Claims (17)

  1. 組織除去デバイスであって、
    ハウジングと、
    前記ハウジングから前記ハウジングの外側の遠位先端まで延在する剛性吸引カニューレであって、前記遠位先端が遠位開口部を有する、吸引カニューレと、
    前記ハウジング内に配置された弁であって、前記吸引カニューレと流体封止して連通する弁ポートを備える弁と、
    前記弁と連通する吸引ラインであって、前記組織除去デバイスの前記ハウジングを貫通して、前記吸引カニューレと、内部、前記吸引ライン及び前記内部と連通する吸引入口、及び前記内部と連通し真空源と連通するように構成された真空出口を備える収集容器との間の流体接続を提供し、前記真空源が、前記収集容器、前記吸引ライン及び前記吸引カニューレを備える流体回路内に真空をもたらし、前記弁がパルス真空を提供するように開閉するように制御される、吸引ラインと、
    前記弁を開放位置と閉鎖位置との間で移動させるように構成された空気圧駆動式アクチュエータであって、前記開放位置では前記弁ポートが開放し、前記弁が前記吸引カニューレ及び前記弁を通して吸引路を画定し、前記閉鎖位置では前記弁ポートが閉鎖し、前記弁が前記遠位先端に真空が印加されないようにする、空気圧駆動式アクチュエータと、を備え、
    前記弁が、内部カニューレと、前記内部カニューレの少なくとも一部の周囲に同軸状に配置された外部カニューレとを備え、前記内部カニューレが、前記吸引ラインを介して前記真空源と連通するように構成され、且つ前記開放位置と前記閉鎖位置との間で前記アクチュエータによって直線移動可能であり、前記弁ポートが前記外部カニューレに形成され、前記開放位置において、前記吸引路が前記弁ポートを介して前記外部カニューレを通って前記内部カニューレ内に進み、前記閉鎖位置において、前記内部カニューレが前記弁ポートを閉鎖する、
    組織除去デバイス。
  2. 前記収集容器が、
    コンソールに取外し可能に挿入される設置位置で操作されるように構成されたカセットであって、前記設置位置では前記真空出口が前記真空源と連通し、前記収集容器の前記内部を画定する、カセットを備え、
    前記吸引路が、前記吸引ラインを通って前記内部まで伸びている、請求項1に記載の組織除去デバイス。
  3. 前記カセットが、流体経路指示チャンバと、前記真空出口と連通する収集チャンバと、前記流体経路指示チャンバを前記収集チャンバから流体的に隔離する内部構造と、前記カセットの外側から前記流体経路指示チャンバ内に通じるカセット入口とを備え、
    前記内部構造が、前記流体経路指示チャンバと前記収集チャンバとの間の移送経路を備え、
    前記吸引入口が前記移送経路と連通し、
    前記吸引ラインが、前記カセット入口を通って前記吸引入口に連通し、前記吸引路が前記移送経路を通って前記収集チャンバ内に伸びている、請求項2に記載の組織除去デバイス。
  4. 前記吸引カニューレの超音波先端であって、超音波水晶体乳化吸引システムに接続されている超音波先端
    を更に具備する、請求項1に記載の組織除去デバイス。
  5. 前記遠位先端を覆い前記吸引カニューレの少なくとも一部の上に伸張する軟質膜であって、前記遠位先端開口部内に流体路を提供するように配置された吸引ポートを備え、可撓性材料から構成されている軟質膜
    を更に具備する、請求項1に記載の組織除去デバイス。
  6. 前記弁ポートの開口部の面積が前記遠位開口部の面積より大きい、請求項1に記載の組織除去デバイス。
  7. 前記ハウジングの前記弁が第1弁であり、前記組織除去デバイスが、
    前記吸引ラインを開閉するように構成された第2弁であって、前記ハウジングと前記収集容器の前記吸引入口との間に前記吸引ラインに沿って配置され、前記第1弁による真空操作を強化するように、又は前記吸引ラインから閉塞する組織物質を除去するようにパージ機能を提供するように制御される第2弁
    を更に具備する、請求項1に記載の組織除去デバイス。
  8. 前記吸引ラインを開閉するように構成された第3弁であって、前記第2弁が、前記ハウジングと前記収集容器の前記吸引入口との間に前記吸引ラインに沿って配置され、前記第2弁が、前記第1弁による真空操作を強化するように制御され、前記第3弁が、前記吸引ラインから閉塞する組織物質を除去するようにパージ機能を提供するように制御される、第3弁
    を更に具備する、請求項7に記載の組織除去デバイス。
  9. 前記第2弁が、前記吸引ラインと接触するように配置され且つソレノイドに結合されたアンビル先端構造を備え、前記ソレノイドが、前記アンビル先端を、前記吸引ラインをつまんで締め付ける第1方向に、且つ前記吸引ラインを開放する反対方向に移動させるように、電気的に制御される、請求項7に記載の組織除去デバイス。
  10. 前記第2弁が、前記吸引ラインと接触するように配置され且つソレノイドに結合された平坦先端構造を備え、前記ソレノイドが、前記平坦先端を、前記吸引ラインをつまんで締め付ける第1方向に、且つ前記吸引ラインを開放する反対方向に移動させるように、電気的に制御される、請求項7に記載の組織除去デバイス。
  11. 前記第2弁が、前記吸引ラインと接触するように配置され且つ第1ソレノイドと結合されたアンビル先端構造を備え、
    前記第3弁が、前記吸引ラインと接触するように配置され且第2ソレノイドに結合された平坦先端構造を備える、請求項8に記載の組織除去デバイス。
  12. 前記流体回路内の前記パルス真空を制御するプログラムされた命令を含む機能を実行するプロセッサを備えた制御コンソール
    を更に具備する、請求項1に記載の組織除去デバイス。
  13. 前記制御コンソールが、パルス周期を形成するように真空オン期間とそれに続く真空オフ期間とを有する一連の真空パルスとしてパルス真空を提供するように構成され、前記真空パルスが、前記パルス周期によって決定する周波数で発生する、請求項12に記載の組織除去デバイス。
  14. 前記制御コンソールが、パルス周期を形成するように真空オン期間とそれに続く真空オフ期間とを有する一連の真空パルスとしてパルス真空を提供するように構成され、前記真空パルスが、所与のパルス周期に対して前記真空オン期間を調整することによって決定するデューティサイクルで発生する、請求項12に記載の組織除去デバイス。
  15. 前記制御コンソールが、
    前記弁ポートが開放する程度を制御し、
    最大真空レベル及び最小真空レベルによって画定される一連の真空パルスとしてパルス真空を提供し、前記最大真空レベル及び前記最小真空レベルが、前記弁ポートが開放する程度に対応し、
    前記最大真空レベルが前記弁ポートの最大100%開放に対応し、
    前記最小真空レベルが前記弁ポートの閉鎖又は少なくとも部分的な開放に対応する、
    ように構成されている、請求項12に記載の組織除去デバイス。
  16. 前記制御コンソールが、
    前記流体回路内の流量を決定するユーザ入力を受け取り、
    前記ユーザ入力に基づき、真空ポンプによって提供される基礎真空を制御することにより、前記流量を制御する
    ように構成されている、請求項14に記載の組織除去デバイス。
  17. 組織除去デバイスであって、
    ハウジングと、
    前記ハウジングから前記ハウジングの外側の遠位先端まで延在する剛性吸引カニューレであって、前記遠位先端が遠位開口部を有する、吸引カニューレと、
    前記ハウジング内に配置された第1弁であって、前記吸引カニューレと流体封止して連通する弁ポートを備える第1弁と、
    前記弁と連通する吸引ラインであって、前記組織除去デバイスの前記ハウジングを貫通して、前記吸引カニューレと、内部、前記吸引ライン及び前記内部と連通する吸引入口、及び前記内部と連通し真空源と連通するように構成された真空出口を備える収集容器との間の流体接続を提供し、前記真空源が、前記収集容器、前記吸引ライン及び前記吸引カニューレを備える流体回路内に真空をもたらし、前記弁がパルス真空を提供するように開閉するように制御される、吸引ラインと、
    前記吸引ラインを開閉するように構成された第2弁であって、前記ハウジングと前記収集容器の前記吸引入口との間に前記吸引ラインに沿って配置され、前記第1弁による真空操作を強化するように、又は前記吸引ラインから閉塞する組織物質を除去するようにパージ機能を提供するように制御される第2弁と、
    前記吸引ラインを開閉するように構成された第3弁であって、前記第2弁が、前記ハウジングと前記収集容器の前記吸引入口との間に前記吸引ラインに沿って配置され、前記第2弁が、前記第1弁による真空操作を強化するように制御され、前記第3弁が、前記吸引ラインから閉塞する組織物質を除去するようにパージ機能を提供するように制御される、第3弁と、を備える、
    組織除去デバイス。
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