JP6280820B2 - 血液状態の規定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、血液状態の規定方法に関し、詳しくは、流体についてのより基本的なレオロジーパラメータを用いて血液状態を規定する方法に関し、更に詳しくは、レオメータを用いて測定することによって得られる液体基礎物性である降伏項、粘性項及び弾性項を用いた特定の血液レオロジー式を用いる血液状態の規定方法に関するものである。また、該血液レオロジー式を用いた血液状態の判定方法に関するものである。
血液のレオロジーに関する知見は、血液状態に起因する種々の疾患の判定、治療、予防等に有効であり、かかる血液のレオロジーに関する臨床的な物性データの種類、及び、その測定方法に関しては、生体内中での血液のレオロジーに関する測定、血液を生体外に取り出しての測定等を含めて種々存在する。
そして、これら流動学的な血液臨床物性の大小や変動の測定は、疾患の病態生理において大きな役割を果たしている。
血液という流体の臨床的レオロジーは、一般に、ヘモレオロジー(hemorheology)、血液レオロジー(blood rheology)と言われ、実際の診断すべき個体の血液(全血液、血漿、血球等)の流体としての臨床物性として、疾患の判定、治療、予防等に直接役立っている。
特許文献1〜3には、生体表面から生体内部の血液の動脈血流速度波形、血圧、血管拍動変異波形等を測定し、血液のレオロジーに関するデータを取得する方法が開示されている。
また、血液を生体外に取り出して、レオロジーに関する臨床物性データを測定する方法に関しては、血液学的検査、凝固・線溶系検査、生化学的検査、免疫学的検査、内分泌代謝系検査等が知られている。
上記したもののうち、凝固・線溶系検査によって測定される血液臨床物性に関しては、具体的には、例えば、活性化全血凝固時間(ACT)、プロトロンビン時間(PT)、PT−INS、トロンボテスト(TT)値、ROTEM(登録商標)による凝固時間、毛細血管モデルによる測定値等が代表的なものとして知られている。
そして、これらの血液臨床物性の測定装置に関しては、ACT(Activated Clotting Time)測定装置、ROTEM(登録商標)(Rotation Thromboelastometry)測定装置、MC FAN(Micro Channel Array Flow Analyzer)等、種々知られており、該測定装置は販売されていて、疾患の判定・治療・予防、臨床研究、基礎研究等の分野で広く使用されている。
また、上記凝固・線溶系検査によって測定される血液臨床物性に関しては、多くの総説や書籍も発行されている(例えば、非特許文献1、2等)。
一方、レオロジー測定によって測定される液体基礎物性である、降伏値、粘度、動的粘性率η'、損失弾性率G”、貯蔵弾性率G'等のレオロジーパラメータは、一般的な流動性液体の検討には欠かせないものとして、工学、地球物理学、生理学等の基礎研究、応用研究において用いられている。
特に、上記工学に限定しても、塗料、インキ、食品、洗剤、接着剤、化粧料、製剤、建築材料、排液体等を対象として、最終製品の物性を特定するために使用されたり、製造過程における化学工学で使用されたりしている。
近年、血液状態の異常に起因した疾患が注目されるようになってきており、また、多くの疾患の種類や程度が血液状態の異常に反映されることが知られるようになってきている。
しかしながら、そのような血液状態は、実際の生体機構(血液中の特定の成分の含有量、血球の物性、血管や心臓の構造、出血後の血液の凝固等)に基いた、前記血液臨床物性で記述され論じられることが多く、上記したような、より基本的なレオロジーパラメータを用いて記述され論じられることは殆どなかった。
特開2006−218169号公報 特開2007−029137号公報 特開2008−296061号公報
日本バイオレオロジー学会誌(B&R)、磯貝行秀、臨床血液レオロジー、第23〜33頁、第18巻、第1号、2004年 凝固・線溶検査ポケットブック、松野一彦、2007年
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、従来から医学的に知られている血液の臨床物性の値を、より基本的なレオロジーパラメータの値を用いて記述する有用な式を提供することにある。
また、疾患を有する個体の血液状態や健全な個体の血液状態を、レオメータを用いて測定できるより基本的なレオロジーパラメータを用いて規定する方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、レオロジー測定によって測定される液体基礎物性である、降伏項S、粘性項H及び弾性項Gごとに、特定の方法で1つずつ選定したレオロジーパラメータを用いた特定の式によって、従来から医学的に知られている血液の臨床物性の値が、基礎物性であるレオロジーパラメータの値の関数として求められ、該関数を表す該特定の式が有用であることを見出した。
そして、求められた該血液レオロジー式を用いれば、応用的な血液臨床物性が、より基礎的なレオロジーパラメータに還元され、血液を流体の一種として、より基礎的に捉えられ、その結果、該レオロジーパラメータの値を求めれば、血液臨床物性値が予想できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
少なくとも、下記工程(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)を有することを特徴とする血液状態の規定方法を提供するものである。
(1)医学的に特定された一の血液状態における血液を3種類以上選択する工程。
(2)工程(1)で選択された3種類以上の血液のそれぞれについて、該血液状態を反映する血液臨床物性を選択し、該血液臨床物性値Fを測定する工程。
(3)該3種類以上の血液のそれぞれについて、レオロジー測定によって測定される液体基礎物性である降伏項S、粘性項H及び弾性項Gにそれぞれ含まれる1つ又は2つ以上のレオロジーパラメータの値を、レオメータを用いて測定する及び/又はレオメータを用いて測定して得られた値から算出する工程。
(4)該3種類以上の血液について測定された血液臨床物性値Fと1つ又は2つ以上のレオロジーパラメータの値との相関係数に着目し、該相関係数の大きいレオロジーパラメータを、降伏項S、粘性項H及び弾性項Gごとに1つずつ選定する工程。
(5)降伏項S、粘性項H及び弾性項Gごとに工程(4)で決定されたそれぞれ1つのレオロジーパラメータの値を用いて、数値代入法により、下記血液レオロジー式(1)におけるm、n、p、A及びBを求める工程。
F=A×(S×H×G)+B・・・・・・(1)
[式(1)中、Fは血液臨床物性値Fを示し、S、H、Gは、工程(4)で選定したそれぞれのレオロジーパラメータについて測定したレオロジーパラメータの値を示し、m、n及びpは0以上の実数であり、m+n+p=1を満たし、A及びBは実数の定数である。]
(6)工程(2)で選択された血液臨床物性値F、並びに、工程(5)で得られた上記血液レオロジー式(1)におけるm、n及びpによって、該特定された一の血液状態を規定する工程。
また、本発明は、
医学的に特定された一の血液状態にある個体から採取された血液について、該血液状態を反映するt種類の血液臨床物性(tは自然数)を選択し、該t種類の血液臨床物性値F(kは1〜tの自然数)について、上記の血液状態の規定方法を用いて、それぞれt個のm(kは1〜tの自然数)、n(kは1〜tの自然数)、及び、p(kは1〜tの自然数)を求める工程(6)を有し、得られた(4×t)個のデータマトリクスによって、該一の血液状態を規定する上記の血液状態の規定方法を提供するものである。
また、本発明は、
診断すべき個体の血液状態の判定方法であって、
予め、「r種類の特定された一の血液状態」にある個体からそれぞれ採取された血液について、上記の血液状態の規定方法を用いて、該r種類の血液状態に対応するr種類の(4×t)個のデータマトリクスをそれぞれ求めておき、
次いで、診断すべき個体から採取された判定すべき血液について、上記の血液状態の規定方法を用いて得られた(4×t)個のデータマトリクスを、該予め求められていたr種類の(4×t)個のデータマトリクスと比較する工程(7)を有することを特徴とする血液状態の判定方法を提供するものである。
また、本発明は、
上記の血液状態の規定方法を用いた、診断すべき個体の血液状態の判定方法であって、前記工程(1)〜(6)、並びに、下記工程(8)、(9)、(10)及び(11)を有することを特徴とする血液状態の判定方法を提供するものである。
(8)診断すべき個体の血液を用意する工程。
(9)血液臨床物性値Fを直接測定する代わりに、レオロジー測定によって測定される液体基礎物性である降伏項S、粘性項H及び弾性項Gごとに1つずつ決定された、血液臨床物性値Fと相関係数の最も大きいレオロジーパラメータの値を、該診断すべき個体の血液について、レオメータを用いて測定する及び/又はレオメータを用いて測定して得られた値から算出する工程。
(10)上記の血液状態の規定方法において得られた血液レオロジー式(1)を用い、血液臨床物性値Fを算出する工程。
(11)工程(10)で算出した血液臨床物性値Fから、診断すべき個体の血液状態を判定する工程。
また、本発明は、
上記の血液状態の規定方法を用いた、診断すべき個体の血液状態の判定方法であって、更に、下記工程(8)、(9)、(10)及び(11)を有することを特徴とする血液状態の判定方法を提供するものである。
(8)診断すべき個体の血液を用意する工程。
(9)血液臨床物性値Fを直接測定する代わりに、レオロジー測定によって測定される液体基礎物性である降伏項S、粘性項H及び弾性項Gごとに1つずつ決定された、血液臨床物性値Fと相関係数の最も大きいレオロジーパラメータの値を、該診断すべき個体の血液について、レオメータを用いて測定する及び/又はレオメータを用いて測定して得られた値から算出する工程。
(10)上記の血液状態の規定方法において得られた血液レオロジー式(1)を用い、血液臨床物性値Fを算出する工程。
(11)工程(10)で算出した血液臨床物性値Fから、診断すべき個体の血液状態を判定する工程。
また、本発明は、
ある個体の血液の血液臨床物性値Fを調節する方法であって、上記の血液状態の規定方法を用い、該血液臨床物性値Fについて上記血液レオロジー式(1)のm、n及びpの大小関係を求め、血液臨床物性値Fを好適な値になるように、mが大きい場合は降伏項Sに、nが大きい場合は粘性項Hに、pが大きい場合は弾性項Gに影響を与えるような薬剤又は療法を選択する工程(13)、及び、該薬剤を該個体に投与する若しくは該療法を該個体に施す工程(14)を有することを特徴とする血液臨床物性値Fの調節方法を提供するものである。
また、本発明は、
血液臨床物性に反映される健全状態以外の血液状態を治療する若しくは該血液状態になることを予防する、薬剤又は療法のスクリーニング方法であって、上記の血液臨床物性値Fの調節方法を用いることを特徴とする薬剤又は療法のスクリーニング方法を提供するものである。
また、本発明は、上記の薬剤又は療法のスクリーニング方法を用いることを特徴とする血液状態治療剤の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、前記問題点と上記課題とを解決し、実際的な生体機構(血液中の特定の成分の含有量、血球の物性や形状の変化、血管や心臓の構造、出血後の血液の凝固や流動性等)を反映した、応用的・臨床的な「血液臨床物性」を、より基本的なレオロジー測定で得られた基礎物性である降伏項S、粘性項H及び弾性項Gを用いて、極めて有用な血液レオロジー式によって表すことができる。
一般的なレオロジー測定で得られた降伏項S(に属するレオロジーパラメータ)、粘性項H(に属するレオロジーパラメータ)及び弾性項G(に属するレオロジーパラメータ)を用いて、数値代入法によりそれぞれの冪であるm、n及びpを求めて得られた血液レオロジー式は、「血液臨床物性値F」を直接測定しなくても、レオロジーパラメータを測定しさえすれば求めることができる。
すなわち、該血液レオロジー式によって、応用的な血液臨床物性が、より基礎的なレオロジーパラメータに還元され、血液をより基礎的に捉えることが可能となる。
また、該血液レオロジー式(1)を用いれば、すなわち、「血液臨床物性(値F)、m、n、p」、又は、「それらのt種類の組[F、m、n、p](k=1〜t、tは自然数)」を用いれば、健康状態、疾患状態等の血液状態を精度よく規定することができる。
そして、予め、上記した値(の組)を、健康状態、種々の疾患状態等の血液状態ごとに、求めておけば、診断すべき個体から採取した血液について求めた「血液状態を表す上記した値(の組)」を、それらと比較すれば、健康状態か、或はどのような疾患状態か、を判定することが可能である。
また、該血液レオロジー式(1)を用いれば、診断すべき個体から採取した血液について、降伏項Sに属するレオロジーパラメータ、粘性項Hに属するレオロジーパラメータ、及び、弾性項Gに属するレオロジーパラメータを、より基本的な測定装置であるレオメータで測定することによって、血液臨床物性値Fを算出することができる。
そして、血液臨床物性値Fと「該個体が健康状態か、どのような疾患状態か」の関係は、既に医学的に知られているので、算出した血液臨床物性値Fを見れば、該個体が健康状態か、或はどのような疾患状態か、等を判定することが可能である。
また、該血液レオロジー式(1)は、応用的な血液臨床物性を、より基礎的なレオロジーパラメータに還元し、血液をより基本的に捉えることができるものであるので、降伏項S(に属するレオロジーパラメータ)、粘性項H(に属するレオロジーパラメータ)、又は、弾性項G(に属するレオロジーパラメータ)に影響を与えるような薬剤又は療法を、前もって、より基本的な観点からスクリーニングしたり、求めたり、研究したりすることが可能となる。そのような薬剤又は療法を、降伏項S、粘性項H、弾性項Gごとにリストアップしたものは、より基礎的データとして有用である。
そして、該血液レオロジー式(1)において、mが大きい場合は降伏項Sに、nが大きい場合は粘性項Hに、pが大きい場合は弾性項Gに影響を与えるような薬剤又は療法を、上記リストから選択して、該個体に投与若しくは該個体に施せば、該個体の血液の血液臨床物性値Fの調節ができ(血液臨床物性値Fを好適な値にでき)、その結果、該個体が疾患を有する場合には、該疾患を治療することが可能となる。
また、将来、血液を構成する成分の化学構造、組成、形状等から、血液の「降伏項S、粘性項H、弾性項G等のレオロジー基礎物性(それぞれのレオロジーパラメータ)」がコンピュータで計算できるようになったときには、かかる計算されたレオロジーパラメータから、該血液の血液状態を反映する血液臨床物性値Fが予想できるようになり、血液臨床物性という現象論的な値であっても、最初から最後まで殆ど実験せずに分かるようになる。
実施例1における工程(5)の具体例において、相関係数が最大になるように、数値代入法によって、m、n及びpを求め、血液レオロジー式(1)を得る際の、相関係数Rが0.86であるグラフである。 比較例1において、血液レオロジー式(1)を用いずに、「剪断速度100(s−1)における回転粘度」のみを横軸にとったときの相関係数Rが0.34であるグラフである。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
本発明は、少なくとも、下記工程(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)を有することを特徴とする血液状態の規定方法である。
(1)医学的に特定された一の血液状態における血液を3種類以上選択する工程。
(2)工程(1)で選択された3種類以上の血液のそれぞれについて、該血液状態を反映する血液臨床物性を選択し、該血液臨床物性値Fを測定する工程。
(3)該3種類以上の血液のそれぞれについて、レオロジー測定によって測定される液体基礎物性である降伏項S、粘性項H及び弾性項Gにそれぞれ含まれる1つ又は2つ以上のレオロジーパラメータの値を、レオメータを用いて測定する及び/又はレオメータを用いて測定して得られた値から算出する工程。
(4)該3種類以上の血液について測定された血液臨床物性値Fと1つ又は2つ以上のレオロジーパラメータの値との相関係数に着目し、該相関係数の大きいレオロジーパラメータを、降伏項S、粘性項H及び弾性項Gごとに1つずつ選定する工程。
(5)降伏項S、粘性項H及び弾性項Gごとに工程(4)で決定されたそれぞれ1つのレオロジーパラメータの値を用いて、数値代入法により、下記血液レオロジー式(1)におけるm、n、p、A及びBを求める工程。
F=A×(S×H×G)+B・・・・・・(1)
[式(1)中、Fは血液臨床物性値Fを示し、S、H、Gは、工程(4)で選定したそれぞれのレオロジーパラメータについて測定したレオロジーパラメータの値を示し、m、n及びpは0以上の実数であり、m+n+p=1を満たし、A及びBは実数の定数である。]
(6)工程(2)で選択された血液臨床物性値F、並びに、工程(5)で得られた上記血液レオロジー式(1)におけるm、n及びpによって、該特定された一の血液状態を規定する工程。
工程(1)〜(4)は、降伏項S、粘性項H及び弾性項Gごとに、相関係数の高いレオロジーパラメータを1つずつ選定するために行われる工程であり、工程(5)は、後記する血液レオロジー式(1)におけるm、n及びpを、数値代入法により求めて、血液レオロジー式(1)を完成させる工程であり、工程(6)は、血液レオロジー式(1)によって、「特定された一の血液状態」を規定する工程である。以下、各工程順に説明する。
工程(1)について
本発明の血液状態の規定方法において、工程(1)は、医学的に特定された一の血液状態における血液を3種類以上選択する工程である。
ここで、「医学的に特定された一の血液状態」とは、健全な血液状態、血液自体が異常となる疾患がある血液状態、疾患が血液状態に直接反映される場合の血液状態又は疾患を有する個体の血液が有する傾向にある血液状態、及び、薬剤の投与により生じる血液状態をいう。
「健全な血液状態」には、一般に「健全」であるといわれる個体の血液状態、血液に対する測定値が基準値の範囲である血液状態等が含まれる。すなわち、一般に「健全」と判定される中でも、測定値が高め又は低めという血液状態も含まれる。
「血液自体が異常となる疾患がある血液状態」としては、例えば、先天性第II・V・VII・X・XI・XII因子欠乏・異常症、先天性無フィブリノゲン血症、先天性異常フィブリノゲン血症、播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)、消費性凝固障害(consumption coagulopathy)、白血病、敗血症、血友病、線溶亢進・凝固亢進状態、凝固・線溶系疾患、紫斑病、虚血性心疾患、再生不良性貧血、真性赤血球増加症、多血症、本態性血小板血症、血液悪性腫瘍、溶血性貧血、出血傾向症、低脂血症、脂質異常症、マクログロブリン血症等が挙げられる。
「疾患が血液状態に直接反映される場合の血液状態又は疾患を有する個体の血液が有する傾向にある血液状態」としては、肝硬変症・劇症肝炎等の肝疾患、腎障害、前立腺癌・肺癌等の悪性腫瘍、悪性リンパ腫、血栓症(心筋梗塞、脳梗塞、肺梗塞、深部静脈血栓症等)、心血管障害(心筋梗塞、狭心症、異型狭心症、静脈血栓症等)、糖尿病、ネフローゼ症候群、潰瘍性大腸炎、新生児メレナ、閉塞性黄疸、感染症、重症火傷・重症熱傷、肥満症、自己免疫疾患、末梢動脈病変、骨髄異形成症候郡、多発性骨髄腫、発作性夜間ヘモグロビン尿症、骨髄線維症、前置胎盤早期剥離・羊水塞栓等の産科的疾患、熱傷、外傷、ビタミンK欠乏症等が挙げられる。
「薬剤の投与により生じる血液状態」としては、抗凝固薬(ワルファリン、ヘパリン等)の服用による症状、血栓溶解療法施行時の症状、経口避妊薬の服用による症状等が挙げられる。
工程(1)では、医学的に特定された一の血液状態における血液を3種類以上選択する。3種類以上選択する理由は、工程(4)において、血液臨床物性値Fとレオロジーパラメータの値との相関係数に着目して、相関係数の大きいレオロジーパラメータを、降伏項S、粘性項H及び弾性項Gごとに1つずつ選定する際に、最低3種類はないと相関係数を求めることができないからである。
実際の相関は大きいのに小さいと判断したり、実際の相関は小さいのに大きいと判断したりしないように、すなわち、相関係数を精度よく求めて、好適なレオロジーパラメータを選択決定するために、医学的に特定された一の血液状態における血液を5種類以上選択することが好ましく、10種類以上選択することがより好ましく、20種類以上選択することが特に好ましい。
医学的に特定された一の血液状態における血液をN種類選択する場合(Nは3以上の整数)、症状の程度が異なるN個の個体から1ずつ計N種類採取してもよいし、N個以下の個体から時間を経過させて(症状が軽減や重篤になった後)、計N種類採取してもよい。また、健全状態における血液を含めてもよい。
また、好適なレオロジーパラメータを選択決定するために、抗凝固剤、凝固剤等を、N段階に添加量を変化させて、全血液、血漿等に添加して、模擬的なN個の血液状態を導出して、それらの血液試料を用いてもよい。
工程(2)について
本発明の血液状態の規定方法において、工程(2)は、前記工程(1)で選択された3種類以上の血液のそれぞれについて、該血液状態を反映する血液臨床物性を選択し、該血液臨床物性値Fを測定する工程である。
ここで、「血液臨床物性」とは、レオロジーパラメータの測定に一般に用いられているレオメータではなく、医学的に特化されて製造・構築された測定装置・検査システムで測定・検査された臨床医学的な血液物性である。
また、ここで、「血液臨床物性値F」とは、上記血液臨床物性を示す値のことをいう。
また、工程(2)での血液臨床物性値Fの測定、及び、後述する工程(3)でのレオロジーパラメータの測定に供される3種類以上の血液の試料態様は、特に限定はないが、全血液又は血漿であることが好ましい。血漿は、遠心分離で得られるものが好ましい。
血球等の分散物の存在は、降伏項S、粘性項H及び弾性項Gに影響を与える場合があるが、該影響をも含めて評価して血液状態を規定した方がよい場合は、適宜、血球等の分散物を存在させた試料態様とすることが好ましい。
血液の試料態様は、採取してから、1週間以内のものが好ましく、4日以内のものがより好ましく、2日以内のものが特に好ましく、1日以内のものが特に好ましい。経時をも含めて評価して血液状態を規定した方がよい場合、採取後時間が長く経過した血液の方が相関係数が大きくなる場合等は、故意に経時させてもよい。
上記測定装置としては、限定されるわけではないが、例えば、ACT(Activated Clotting Time)測定装置、ROTEM(登録商標)(Rotation Thromboelastometry)測定装置、MC FAN(Micro Channel Array Flow Analyzer)等が挙げられる。
また、上記検査システムとしては、種々の物質の定量分析システム等が挙げられる。
上記血液臨床物性としては、血液学的検査、凝固・線溶系検査、生化学的検査、免疫学的検査又は内分泌代謝系検査により測定される物性が挙げられる。
中でも、凝固・線溶系検査のうちの凝固系検査としては、具体的には、活性化全血凝固時間(ACT)[秒]、プロトロンビン時間(PT)[秒]、プロトロンビン(PT)活性値[%]、プロトロンビン(PT)比[無単位]、PT−INS[無単位]、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)[秒]、トロンボテスト(TT)値[%]、ヘパプラスチンテスト(HPT)値[%]、トロンビン時間法(Claus法)で測定したフィブリノゲン(Fbg)含有量[mg/dL]、赤血球沈降速度、APTT一段法による第VIII因子活性値[%]、APTT一段法による第IX因子活性値[%]、トランスグルタミナーゼ活性測定若しくは免疫学的抗原量測定による第VIII因子活性値[%]、アンチトロンピン(AT)III活性値[%]、ELISA法によるトロンビン・アンチトロンビンIII複合体(TAT)量[ng/mL]、EIA法によるフィブリノペプチドA(FPA)量[ng/mL]、EIA法によるプロトロンビンフラグメント1+2(PF1+2)量[nmol/L]、可溶性フィブリン(SF)量[μg/mL]、Laurell法によるプロテインC(PC)量[μg/mL]、発色合成基質法によるプロテインC(PC)活性値[%]、ELISA法によるプロテインS(PS)量[μg/mL]、プロテインS(PS)凝固時間[%]、血液流動性測定装置(MCFAN)による血液通過時間[秒]若しくは血液詰まりまでの時間[秒]、血流ドップラー値、ROTEMによる凝固時間(秒)、毛細血管モデルによる測定値等が挙げられる。
また、凝固・線溶系検査のうちの線溶系検査としては、具体的には、ユーグロブリン溶解時間(ELT)、プラスミノゲン(PLG)量、プラスミンインヒビター(α2−PI)量、プラスミン・α−プラスミンインヒビター複合体(PIC)量、プラスミノゲンアクチベーターインヒビター1(PAI−1)量等が挙げられる。
また、「該血液状態(すなわち医学的に特定された一の血液状態)を反映する血液臨床物性」とは、該血液状態になるとそれが原因で変動する血液臨床物性のことをいう。
ある「医学的に特定された一の血液状態」に、どの血液臨床物性が反映されるか、又は、ある「医学的に特定された一の血液状態」になると、どの血液臨床物性値Fが増減するかは、通常は医学的知見から決められる。
限定されるわけではないが、具体的には、肝硬変症・劇症肝炎等の肝疾患の血液状態を反映する血液臨床物性としては、例えば、プロトロンビン時間(PT)[秒]、プロトロンビン(PT)活性値[%]、プロトロンビン(PT)比[無単位]、ヘパプラスチンテスト(HPT)値[%]、アンチトロンピン(AT)III活性値[%]、プロテインC(PC)量[μg/mL]、プロテインC(PC)活性値[%]、プロテインS(PS)量[μg/mL]、プロテインS(PS)凝固時間[%]等が挙げられる。
また、心筋梗塞、脳梗塞、肺梗塞、深部静脈血栓症等の血栓症を反映する血液臨床物性としては、例えば、活性化全血凝固時間(ACT)[秒]、フィブリノゲン(Fbg)含有量[mg/dL]、トロンビン・アンチトロンビンIII複合体(TAT)量[ng/mL]、可溶性フィブリン(SF)量[μg/mL]、ROTEMによる凝固時間(秒)等が挙げられる。
また、血友病を反映する血液臨床物性としては、例えば、活性化全血凝固時間(ACT)[秒]、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)[秒]、第VIII因子活性値[%]、第IX因子活性値[%]、ROTEMによる凝固時間(秒)等が挙げられる。
また、健全状態を反映する血液臨床物性としては、例えば、前記した全てが挙げられる。
ある「医学的に特定された一の血液状態」に、2種以上の血液臨床物性が反映される場合は、該2種以上の血液臨床物性が選択されてもよい。
工程(3)について
本発明の血液状態の規定方法において、工程(3)は、上記3種類以上の血液のそれぞれについて、レオロジー測定によって測定される液体基礎物性である降伏項S、粘性項H及び弾性項Gにそれぞれ含まれる1つ又は2つ以上のレオロジーパラメータの値を、レオメータを用いて測定する及び/又はレオメータを用いて測定して得られた値から算出する工程である。
ここで、「レオメータを用いて測定する及び/又はレオメータを用いて測定して得られた値から算出する」とは、レオメータ(応力制御型・歪制御型等)を用いて、基礎的レオロジーパラメータを求めることをいう。
また、「算出する」とは、直接装置から得られた値を基礎的レオロジーパラメータに変換することとのみならず、後記の(H2)、(H3)のように、条件を変えて測定した2種以上の値を四則演算して算出する、また、指数をとる、対数をとる、何乗かする等して、本発明に適した、すなわち相関係数が小さくなるようなレオロジーパラメータの値にする算出も含まれる。
降伏項Sとしては、横軸に剪断速度の関数を、縦軸に剪断応力の関数をとり、剪断速度を0に外挿させたときの「剪断応力の関数」であって、かかる「剪断応力の関数」が大きくなれば降伏項Sも大きくなるものであれば特に限定はない。
中でも、降伏項Sとしては、レオメータを用い、剪断速度[s−1]を変化させて測定した降伏値σであることが好ましい。すなわち、レオメータの定常流測定から得られた粘度曲線において、剪断速度を0に外挿させたときの剪断応力である降伏値σが、より優れたレオロジー基本物性であるために好ましい。
降伏値σは、例えば、横軸に剪断速度の0.5乗をとり、縦軸に剪断応力の0.5乗をとって求めてもよいし、横軸に剪断速度(の1乗)をとり、縦軸に剪断応力(の1乗)をとって求めてもよい。
また、粘性項Hに含まれるレオロジーパラメータとしては、粘性率の関数であって、かかる「粘性率の関数」が大きくなれば粘性項Hも大きくなるものであれば特に限定はないが、下記H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8等が好ましい。
これらは、剪断速度、周波数、ひずみ、測定時間等に依存していて相関が取り易いため、また、後述の工程(5)で、m、n及びpを相関係数Rが最大になるように決めて作成した血液レオロジー式(1)の中でも、相関係数Rがより大きい優れた血液レオロジー式(1)が得られる点で好ましい。
(H1)レオメータの定常流粘度測定モードを用い、剪断速度a[s−1]における粘度η
(H2)レオメータの定常流粘度測定モードを用い、剪断速度をa[s−1]及びb[s−1](a<b)の2点でそれぞれ測定した粘度η及び粘度ηから求めた(η−η)/η
(H3)レオメータの定常流粘度測定モードを用い、剪断速度をa[s−1]及びb[s−1](a<b)の2点でそれぞれ測定した粘度η及び粘度ηから求めた(η−η)/(b−a)
(H4)レオメータの動的時間依存性測定モードを用い、周波数ω[rad・s−1]、ひずみd[%]、測定時間t[s]における複素粘性率η(ω,d,t)
(H5)レオメータの動的ひずみ依存性測定モードを用い、周波数ω[rad・s−1]、ひずみd[%]における動的粘性率η'(ω,d)
(H6)レオメータの動的ひずみ依存性測定モードを用い、周波数ω[rad・s−1]、ひずみd[%]における損失弾性率G”(ω,d)
(H7)レオメータの動的周波数依存性測定モードを用い、周波数ω[rad・s−1]、ひずみd[%]における損失弾性率G”(ω,d)
(H8)レオメータの動的時間依存性測定モードを用い、周波数ω[rad・s−1]、ひずみd[%]、測定時間t[s]における損失弾性率G”(ω,d,t)
ここで、「定常流粘度測定」とは、例えば、Step Rate Testを言い、「動的時間依存性測定」とは、例えば、Dynamic Time Sweep Testを言い、「動的ひずみ依存性測定」とは、例えば、Dynamic Strain Sweep Testを言い、何れも通常の汎用のレオメータに、測定モードとして組み込まれているものである。
H2である[(η−η)/η]は、粘度のディメンションを有していないが、粘性項Hとして好ましい。
剪断速度a[s−1]は特に限定はないが、0.01〜1[s−1]の範囲から選ばれることが好ましく、0.05〜0.5[s−1]の範囲から選ばれることが特に好ましい。
また、剪断速度b[s−1]は特に限定はないが、1〜10000[s−1]の範囲から選ばれることが好ましく、2〜1000[s−1]の範囲から選ばれることが特に好ましい。
b/aの値は特に限定はないが、10〜10000の範囲から選ばれることが好ましく、10〜300の範囲から選ばれることがより好ましく、10〜100の範囲から選ばれることが特に好ましい。
測定の周波数ω[rad・s−1]は特に限定はないが、0.01〜1000[rad・s−1]の範囲から選ばれることが好ましく、0.1〜300[rad・s−1]の範囲から選ばれることが特に好ましい。
測定のひずみd[%]は特に限定はないが、0.01〜10000[%]の範囲から選ばれることが好ましく、0.03〜1000[%]の範囲から選ばれることが特に好ましい。
測定時間t[s]とは、動的時間依存性測定の時の時間をいい、特に限定はないが、1秒〜100時間の範囲から選ばれることが好ましく、3秒〜10時間の範囲から選ばれることがより好ましく、10秒〜3時間の範囲から選ばれることが特に好ましい。
粘性項Hとしては、上記以外にも、レオメータの測定モードをそれぞれ変化させたものも用いられる。粘度のディメンションを有していないものも用いられ得る。
弾性項Gに含まれるレオロジーパラメータとしては、弾性率の関数であって、かかる「弾性率の関数」が大きくなれば弾性項Gも大きくなるものであれば特に限定はないが、下記G1、G2、G3等が好ましい。
これらは、剪断速度、周波数、ひずみ、測定時間等に依存していて相関が取り易いため、また、後述の工程(5)で、m、n及びpを相関係数Rが最大になるように決めて作成した血液レオロジー式(1)の中でも、相関係数Rがより大きい優れた血液レオロジー式(1)が得られる点で好ましい。
(G1)レオメータの動的ひずみ依存性測定モードを用い、周波数ω[rad・s−1]、ひずみd[%]における貯蔵弾性率G'(ω,d)
(G2)レオメータの動的周波数依存性測定モードを用い、周波数ω[rad・s−1]、ひずみd[%]における貯蔵弾性率G'(ω,d)
(G3)レオメータの動的時間依存性測定モードを用い、周波数ω[rad・s−1]、ひずみd[%]、測定時間t[s]における貯蔵弾性率G'(ω,d,t)
ここで、「動的時間依存性測定」とは前記したものと同じであり、「動的周波数依存性測定」とは、例えば、Dynamic Frequency Sweep Testを言い、何れも通常の汎用のレオメータに、測定モードとして組み込まれているものである。
好ましい測定時の周波数ω[rad・s−1]、ひずみd[%]及び測定時間t[s]については、粘性項Hの個所で記載したものと同じである。
弾性項Gとしては、上記G1、G2及びG3以外にも、レオメータの測定モードをそれぞれ変化させたものも用いられる。弾性率のディメンションを有していないものも用いられ得る。
工程(4)について
本発明の血液状態の規定方法において、工程(4)は、該3種類以上の血液について測定された血液臨床物性値Fと1つ又は2つ以上のレオロジーパラメータの値との相関係数に着目し、該相関係数の大きいレオロジーパラメータを、降伏項S、粘性項H及び弾性項Gごとに1つずつ選定する工程である。
ここで、「相関係数の大きい」とは、正の相関が大きい場合のみならず、負の相関が大きい場合も含まれることは言うまでもない。
降伏項S、粘性項H及び弾性項Gごとに、いくつのレオロジーパラメータとの相関係数を求めてそこから選択してもよいが、好ましくはそれぞれ2つ以上、特に好ましくはそれぞれ3つ以上のレオロジーパラメータの値との相関係数を求め、その中から、血液臨床物性値Fと最も相関係数の大きいレオロジーパラメータをそれぞれ選択することが好ましい。
また、降伏項S、粘性項H及び弾性項Gごとの1つレオロジーパラメータの中でも、剪断速度[s−1]、周波数ω[rad・s−1]、ひずみd[%]、測定時間t[s]等の測定条件を変化させて測定して得られたレオロジーパラメータの中から、血液臨床物性値Fと、(好ましくは最も)相関係数の大きい「測定条件が特定されたレオロジーパラメータ」をそれぞれ選択することが特に好ましい。
ここで、相関係数が(好ましくは最も)大きいレオロジーパラメータをそれぞれ選択すればよいが、0.5以上となるレオロジーパラメータを選択することが好ましく、0.6以上がより好ましく、0.7以上が特に好ましく、0.8以上が更に好ましい。
相関係数は、複数のレオロジーパラメータの値を変数として横軸にとり、血液臨床物性値Fを関数として縦軸にとり、常法に従って求める。
また、相関係数は、それに関するプログラムを使用してコンピュータで求めることが好ましい。
工程(4)において選定すればよいことであるが、傾向として、「降伏項S」としては、降伏値σが、血液臨床物性値Fとの相関係数が大きくなることが多く、「粘性項H」としては、損失弾性率G”(ω,d)、動的粘性率η'(ω,d)等が、血液臨床物性値Fとの相関係数が大きくなることが多く、「弾性項G」としては、貯蔵弾性率G'(ω,d)、貯蔵弾性率G'(ω,d,t)等が、血液臨床物性値Fとの相関係数が大きくなることが多いため、限定されるわけではないが、それぞれそれらを選択することが好ましい。
また、上記特定のレオロジーパラメータの中でも、剪断速度[s−1]、周波数ω[rad・s−1]、ひずみd[%]、測定時間t[s]等の測定条件を変化させて測定して得られた特定の「(測定条件が更に特定された)レオロジーパラメータ」を選択することが特に好ましい。
工程(5)について
本発明の血液状態の規定方法において、工程(5)は、(5)降伏項S、粘性項H及び弾性項Gごとに工程(4)で決定されたそれぞれ1つのレオロジーパラメータの値を用いて、数値代入法により、下記血液レオロジー式(1)におけるm、n、p、A及びBを求める工程である。
F=A×(S×H×G)+B・・・・・・(1)
[式(1)中、Fは血液臨床物性値Fを示し、S、H、Gは、工程(4)で選定したそれぞれのレオロジーパラメータについて測定したレオロジーパラメータの値を示し、m、n及びpは0以上の実数であり、m+n+p=1を満たし、A及びBは実数の定数である。]
前記「医学的に特定された一の血液状態における血液」について、降伏項S、粘性項H及び弾性項Gごとに前記工程(4)で決定された「それぞれ1つの『測定条件も特定されたレオロジーパラメータ』」について、その値を測定し、数値代入法により相関係数Rが最も大きくなるように、上記血液レオロジー式(1)におけるm、n、p、A及びBを求める。
「上記数値代入法において用いられるレオロジーパラメータの値」が得られた対象である「医学的に特定された一の血液状態における血液」は、工程(1)〜(4)で用いた血液である必要はないが、工程(1)〜(4)で用いた血液であることが好ましい。
工程(1)〜(4)で用いた3種以上の血液で求めることが特に好ましい。
数値代入法により、血液レオロジー式(1)におけるm、n、p、A及びBを求める方法としては、限定されるわけではなく、常法が用いられるが、具体的には、例えば以下がある。
また、実際には、数値代入法に関するコンピュータプログラムを用いて、m、n、p、A及びBを求めることが好ましいが、原理的には、例えば以下がある。
すなわち、例えば、m=0に固定し、n+p=1となるように、n=0、0.1、0.2、0.3、・・・・1.0、及び、p=1.0、0.9、0.8、0.7、・・・・0といった、nとpの組み合わせを作り、血液レオロジー式(1)の右辺の値を計算する。
以下、同様に、m=0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、・・・・1.0とし、n+p=1−mとなるようにnとpの組を作り、nとpの値を決定し、血液レオロジー式(1)の右辺の値を計算する。
この計算から得られた右辺の値をx軸に、血液臨床物性値Fをy軸にとり、一次直線を求め、そのときの相関係数Rを算出する方法が挙げられる。そこでは、相関係数Rが最大になるように、m+n+p=1の条件下で、m、n及びpを決定する。
F=A×(S×H×G)+B・・・・・・(1)
[式(1)中、Fは血液臨床物性値Fを示し、S、H、Gは、工程(4)で選定したそれぞれのレオロジーパラメータについて測定したレオロジーパラメータの値を示し、m、n及びpは0以上の実数であり、m+n+p=1を満たし、A及びBは実数の定数である。]
本発明は、数あるレオロジー基本物性の中の、降伏項S(に属するレオロジーパラメータ)、粘性項H(に属するレオロジーパラメータ)及び弾性項G(に属するレオロジーパラメータ)から、臨床医学的な実用値である血液臨床物性値Fを算出できるようにした上記血液レオロジー式(1)に特徴がある。
工程(6)について
本発明の血液状態の規定方法において、工程(6)は、前記工程(2)で選択された血液臨床物性値F、並びに、工程(5)で得られた上記血液レオロジー式(1)におけるm、n及びpによって、該特定された一の血液状態を規定する工程である。
以下は、例に過ぎないが、例えば、活性化全血凝固時間(ACT)X[秒]という具体的な血液臨床物性値F、並びに、具体的なm1、n1及びp1というm、n及びpの値で、心筋梗塞直後の血液状態が規定でき得る。
また、例えば、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)Y[秒]という具体的な血液臨床物性値F、並びに、具体的なm2、n2及びp2というm、n及びpの値で、血友病の血液状態が規定でき得る。
また、例えば、ROTEM(登録商標)による凝固時間Z(秒)という具体的な血液臨床物性値F、並びに、具体的なm3、n3及びp3というm、n及びpの値で、血栓症の血液状態が規定でき得る。
また、例えば、活性化全血凝固時間(ACT)W1[秒]、ROTEM(登録商標)による凝固時間W2(秒)、毛細血管モデルによる測定値W3等という具体的な血液臨床物性値F、並びに、具体的なm、n及びpの値で、健全状態の血液状態が規定でき得る。
本発明は、医学的に特定された一の血液状態にある個体から採取された血液について、該血液状態を反映するt種類の血液臨床物性(tは自然数)を選択し、該t種類の血液臨床物性値F(kは1〜tの自然数)について、前記の血液状態の規定方法を用いて、それぞれt個のm(kは1〜tの自然数)、n(kは1〜tの自然数)、及び、p(kは1〜tの自然数)を求める工程(6)を有し、
得られた(4×t)個のデータマトリクスによって、該一の血液状態を規定する前記の血液状態の規定方法であることが好ましい。
上記発明は、例えば、心筋梗塞を起こす血液状態では、1種類のある血液臨床物性値Fのみに影響を及ぼすのではなく、例えば、「活性化全血凝固時間(ACT)」と「ROTEMによる凝固時間」の両方に影響を及ぼす場合(実際にも影響を及ぼすが)を想定している。すなわち、例えば「t=2」とは、例えば「心筋梗塞」には、「活性化全血凝固時間(ACT)」と「ROTEMによる凝固時間」の2種類を測定する(血液臨床物性として採用する)というような場合を想定している。
限定はされないが、例えばt=4の場合、医学的に特定された一の血液状態における血液について、例えば、
活性化全血凝固時間(ACT)F、 m、n、p
プロトロンビン時間(PT)[秒]F、m、n、p
ROTEMによる凝固時間F、 m、n、p
毛細血管モデルによる測定値F、 m、n、p
という、(4×4)のデータマトリクスによって、該「一の血液状態」を規定する場合を想定している。
一の血液状態は、複数(例えばt個)の血液臨床物性に反映される、又は、複数(例えばt個)の血液臨床物性に影響を与えることが医学的に知られている場合は、上記工程(6)によって、得られた(4×t)個のデータマトリクスによって、該「一の血液状態」を規定することが好ましい。
更に、例えば、健全状態の個体の血液状態か、肝疾患の個体の血液状態か、悪性腫瘍患者の血液状態か、血栓症を起こし易い個体の血液状態か等、診断すべき個体の血液状態を、前記した血液状態の規定方法を用いて判定することができる。
すなわち、本発明の他の態様は、前記した血液状態の規定方法を用いて、診断すべき個体の血液状態を判定する判定方法である。
詳しくは、本発明は、診断すべき個体の血液状態の判定方法であって、
予め、「r種類の特定された一の血液状態」にある個体からそれぞれ採取された血液について、前記の血液状態の規定方法を用いて、該r種類の血液状態に対応するr種類の(4×t)個のデータマトリクスをそれぞれ求めておき、
次いで、診断すべき個体から採取された判定すべき血液について、前記の血液状態の規定方法を用いて得られた(4×t)個のデータマトリクスを、該予め求められていたr種類の(4×t)個のデータマトリクスと比較する工程(7)を有することを特徴とする血液状態の判定方法である。
上記本発明の一形態は、限定はされないが、例えば、「r=20」の場合とは、例えば、「健全状態の血液状態、先天性第II・V・VII・X因子欠乏・異常症の血液状態、心筋梗塞の患者の血液状態、血友病の患者の血液状態、・・・・・(計20個)」というようなデータマトリクス20種類を、予め前記した血液様態の規定方法を用いて用意しておき、その後、判定者が、診断すべき患者の血液状態をそれら20種類と比較して、その中から合致する血液状態を選択し、該「診断すべき患者の血液状態」を、該「合致する血液状態である」と判定することを想定している。
最終的判断(最終的診断)は医者が行うが、上記した本発明は、医者に上記発明の血液状態の判定方法の情報を提供する行為をも含むものである。
また、診断すべき個体の血液状態の判定方法であって、前記tが1の場合であり、
予め、「r種類の特定された一の血液状態」にある個体からそれぞれ採取された血液について、前記の血液状態の規定方法を用いて、該r種類の血液状態に対応するr種類の「血液臨床物性値F、m、n、pの組」をそれぞれ求めておき、
次いで、ある個体から採取された血液について、前記の血液状態の規定方法を用いて得られた「血液臨床物性値F、m、n、pの組」を、該予め求められていたr種類の「血液臨床物性値F、m、n、pの組」と比較する工程(7)を有することを特徴とする前記の血液状態の判定方法も好ましい。
上記血液状態の判定方法は、前記の血液状態の規定方法を用いた上記の血液状態の判定方法において、t=1の場合(限定はされないが、例えば、先天性第II・V・VII・X因子欠乏・異常症か否かの判定には、活性化全血凝固時間(ACT)だけを見る場合等)である。
「医学的に特定された一の血液状態」は、特定の1個の血液臨床物性に最も反映されるという場合が多いので、簡便である等の理由から、上記血液状態の判定方法も好ましい。
本発明の他の態様は、前記の血液状態の規定方法を用いた、診断すべき個体の血液状態の判定方法であって、前記工程(1)〜(6)、並びに、下記工程(8)、(9)、(10)及び(11)を有することを特徴とする血液状態の判定方法である。
(8)診断すべき個体の血液を用意する工程。
(9)血液臨床物性値Fを直接測定する代わりに、レオロジー測定によって測定される液体基礎物性である降伏項S、粘性項H及び弾性項Gごとに1つずつ決定された、血液臨床物性値Fと相関係数の最も大きいレオロジーパラメータの値を、該診断すべき個体の血液について、レオメータを用いて測定する及び/又はレオメータを用いて測定して得られた値から算出する工程。
(10)前記の血液状態の規定方法において得られた血液レオロジー式(1)を用い、血液臨床物性値Fを算出する工程。
(11)工程(10)で算出した血液臨床物性値Fから、診断すべき個体の血液状態を判定する工程。
上記発明は、工程(1)〜(5)によって得られた血液レオロジー式(1)を用いれば、レオロジー測定によって測定される液体基礎物性である降伏項S、粘性項H及び弾性項Gにそれぞれ含まれる「血液臨床物性値Fと相関係数の最も大きいレオロジーパラメータの値」を、1つずつ計3個測定しさえすれば、血液臨床物性値Fを直接測定する代わりに、算出した血液臨床物性値Fから、診断すべき個体の血液状態を判定できることに基いている。
降伏値σ、損失弾性率G”(ω,d)、貯蔵弾性率G'(ω,d)等の具体的レオロジーパラメータは、式(1)を作るときに工程(5)で測定したのとは別に、上記工程(9)で、診断すべき血液自体で別途測定する。
また、血液レオロジー式(1)を作成するときに用いた、相関係数が最も大きい具体的レオロジーパラメータ(降伏値σ、損失弾性率G”(ω,d)、貯蔵弾性率G'(ω,d)等)の種類は、診断すべき血液自体で別途測定するときには、変更せずに同一のものを用いることが好ましい。m、n及びpは、血液レオロジー式(1)を作成するときに用いたレオロジーパラメータで決めたからである。
本発明の他の態様は、ある個体の血液の血液臨床物性値Fを調節する方法であって、上記の血液状態の規定方法を用い、該血液臨床物性値Fについて上記血液レオロジー式(1)のm、n及びpの大小関係を求め、血液臨床物性値Fを好適な値になるように、mが大きい場合は降伏項Sに、nが大きい場合は粘性項Hに、pが大きい場合は弾性項Gに影響を与えるような薬剤又は療法を選択する工程(13)、及び、該薬剤を該個体に投与する若しくは該療法を該個体に施す工程(14)を有することを特徴とする血液臨床物性値Fの調節方法である。
血液臨床物性値Fを調節するということは、血液臨床物性値Fを正常値にすること又は所望の値にすることを意味し、すなわち、疾患を有する個体の「医学的に特定された一の血液状態」を正常にし、個体を健全状態にすることをも意味する。
m、n、pの値は大きいほど、F値に与える影響は大きい。
例えば、pが大きい場合は、弾性項Gの値を敏感に変化させるような薬剤又は療法を選択すれば、血液臨床物性値Fを効率的に正常値又は所望の値にすることができる。
mが最大の場合は降伏項Sに、nが最大の場合は粘性項Hに、pが最大の場合は弾性項Gに大きな影響を与えるような薬剤又は療法を選択することが好ましいが、m、n、pの大小関係に着目して判断し、m、n、pが相対的に大きい項を、1つ、2つ又は3つ(例えば、m、n、pが同じくらいの大きさの場合)の項を選定し、その項に影響を与える薬剤又は療法を選択することによって、血液臨床物性値Fを効率的に正常値又は所望の値にすることも好ましい。
本発明によれば、レオロジー測定で得られた基礎物性である降伏項S、粘性項H及び弾性項Gを用いた血液レオロジー式(1)を用いることによって、応用的な血液臨床物性が、より基礎的なレオロジーパラメータに還元され、血液をより基礎的に捉えることが可能となる。
従って、「例えば、塗料、インキ、食品、洗剤、接着剤、化粧料、製剤、建築材料、排液体等を対象とした理学・工学分野」;地球物理学分野;生理学分野等の研究において既に得られている知見を応用して、疾患を有する個体の血液状態を正常にし、該個体を健全状態にすることが可能である。
例えば、分散体の降伏値と粘度を上げずに弾性率を上げる分散体処方が、既知の知見として医学分野以外の分野で得られている場合や、基礎研究で得られている場合等に、該知見が血液にも適用できる。
それには、予め、血液の液体基礎物性である降伏項S、粘性項H又は弾性項Gに影響を与えるような薬剤又は療法を検討して、該3種のパラメータごとに該薬剤又は該療法をリストアップしておく工程(12)を更に有することが好ましい。医者は、該リストを参考に処方することができる。
本発明の他の態様は、血液臨床物性に反映される健全状態以外の血液状態を治療する若しくは該血液状態になることを予防する、薬剤又は療法のスクリーニング方法であって、上記の血液臨床物性値Fの調節方法を用いることを特徴とする薬剤又は療法のスクリーニング方法である。
また、本発明の他の態様は、上記血液臨床物性が、血液の凝固・線溶系検査により測定される物性であり、かつ、レオロジー測定によって測定される液体基礎物性の一つである弾性項Gに影響を与えるような薬剤又は療法をスリーニングする上記の薬剤又は療法のスクリーニング方法である。
本発明の検討過程において、上記血液臨床物性が、血液の凝固・線溶系検査により測定される物性であるときに、本発明の前記効果を発揮し易いことが分かった。
また、上記発明は、血液臨床物性値Fは、弾性項G(に属するレオロジーパラメータ)の影響を最も大きく受ける傾向が多いことを見出してなされた。ただし、本発明は、上記態様には限定されない。
上記の薬剤又は療法のスクリーニング方法を用いることを特徴とする血液状態治療剤の製造方法は、従来の医学的知見以外に、広い学問分野で得られているレオロジーに関する知見が応用できるために好ましい。
血液のレオロジーを決定する要因は、血漿の粘弾性、ヘマトクリット、赤血球の性質等である。上記「血漿の粘弾性」は、含水率と血漿中に含まれる蛋白質等の高分子物質の種類や量の影響を受け、「赤血球の性質」は、赤血球変形能、赤血球凝集能等の影響を受ける。心臓が血液にエネルギーを与えて送り出すと、血液中の赤血球の変形により弾性エネルギーが蓄積される。
赤血球は、剪断速度が小さい時には、凝集して積み重なる傾向がある。剪断速度が増加するにつれて、赤血球の凝集が粘弾性に与える影響は消失し、赤血球の変形能の寄与が増加し始める。そして、剪断速度が大きくなると、赤血球は伸展・変形し、血流の方向に従って並ぶようになって、血液はより流れ易くなる。
このように、血球は、体内でも体外でも、その凝集、形状(変形)、組成等を変化させる。該変化が全血液(すなわち分散液)の降伏項S、粘性項H又は弾性項Gに影響を与える。
本発明は、このような極めて複雑な変化をよりマクロに捉えて、それらをも包含した形で、より基礎的なレオロジーに還元したものである。
以下に、血液レオロジー式(1)の作成例、血液レオロジー式(1)の使用例等を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらに限定されるものではない。
実施例1
<血液レオロジー式(1)の作成例>
<<血液試料の調製例>>
−−工程(1)−−
医学的に特定された一の血液状態における血液を3種類以上選択する場合、ヒトの血液は、入手が極めて困難なため、豚の血液を用いた。また、3種類以上の血液としては、血液状態が健全状態の豚の抗凝固剤を一定量含有する血液に対して、凝固剤量を変えて添加して「3種以上の血液」のモデルとした。
すなわち、東京芝浦臓器社より、抗凝固剤として3質量%のクエン酸ナトリウム水溶液が10質量%配合されている豚血液を購入した。豚から採取した日より1日経過した血液5mLに対し、凝固剤として0.25mol/L塩化カルシウム水溶液を、添加量を段階的に変化させて添加して、測定に供する複数の血液の試料を調製した。表1に、血液5mLに対する、0.25mol/L塩化カルシウム水溶液の添加量をまとめた。
<<血液臨床物性値Fの測定>>
−−工程(2)−−
上記のように調製した直後に、血液臨床物性として、凝固・線溶系検査のうちの凝固系検査であり、血液凝固能の規定方法である「活性化全血凝固時間(ACT)[秒]を、ITC社製のHEMOCHRON401によって求めた。
表1に、それぞれの血液試料の活性化全血凝固時間(ACT)[秒]を記載する。
Figure 0006280820
<<レオロジーパラメータの選定例>>
−−工程(3)、工程(4)−−
表1に記載の豚血液由来の血液試料について、表2に記載のレオメータを用い、表2記載の測定条件の範囲にわたって測定条件を変化させることによって、血液試料調製当日に、基礎物性である各項目の粘弾性を測定し、測定条件ごとに、降伏項S、粘性項H及び弾性項Gに属するレオロジーパラメータを得た。
Figure 0006280820
<<<降伏項Sに属するレオロジーパラメータの選定例>>>
すなわち、TA Instruments社製のレオメータであるAR−G2の定常流粘度測定モードによって、降伏項Sとして降伏値σを選択した。
降伏値σの相関係数は0.32であり、他の降伏項Sに属するものより大きかった。
<<<粘性項Hに属するレオロジーパラメータの選定例>>>
更に、活性化全血凝固時間(ACT)[秒]と、粘性項Hに属するレオロジーパラメータ(前記H1〜H8)の相関係数を測定条件ごとに取り、相関係数の高いレオロジーパラメータと測定条件を選定した。
具体的には、相関係数が0.78と高かったレオロジーパラメータ及び測定条件として、粘性項Hとして、前記(H6)である、動的ひずみ依存性測定モードによって得られた、ひずみ100%における損失弾性率「G”(ω、d)=G”(5(rad・s−1)、100(%))」を選定した。
粘性項Hとして、前記(H6)である、動的ひずみ依存性測定モードによって得られた、ひずみ40%における損失弾性率「G”(ω、d)=G”(5(rad・s−1)、(%))」では、相関係数が0.72と、上記したひずみ100%におけるものより低かったので選択しなかった。
また、粘性項Hとして、前記(H8)である、動的時間依存性測定モードによって得られた、測定時間39秒における損失弾性率「G”(ω、d、t)=G”(3(rad・s−1)、400(%)、39(秒))」では、相関係数が0.04と低かったので選択しなかった。
また、粘性項Hとして、表1に記載の豚血液について、TA Instruments社製のレオメータであるAR−G2の定常流粘度測定モードによって、調製当日に、剪断速度100(s−1)における回転粘度を求めた。
次いで、縦軸に、活性化全血凝固時間(ACT)[秒]をとり、横軸に回転粘度をとり、一次直線を求めた。そのときの相関係数Rは0.34になり、相関係数が低かったので、この回転粘度は、粘性項Hのレオロジーパラメータとして選択しなかった。
<<<弾性項Gに属するレオロジーパラメータの選定例>>>
更に、活性化全血凝固時間(ACT)[秒]と、弾性項Gに属するレオロジーパラメータ(前記G1〜G3)の相関係数を測定条件ごとに取り、相関係数の高いレオロジーパラメータと測定条件を選定した。
具体的には、相関係数が0.86と高かったレオロジーパラメータ及び測定条件として、粘性項Gとして、前記(G1)である、ひずみ40%における貯蔵弾性率「G’(ω、d)=G’[5(rad・s−1)、40(%)]」を選定した。
弾性項Gとして、前記(G1)である、動的ひずみ依存性測定モードによって得られた、ひずみ631%における損失弾性率「G’(ω、d)=G’(5[rad・s−1]、631(%))」では、相関係数が0.58と低かったので選択しなかった。
また、弾性項Gとして、前記(G3)である、動的時間依存性測定モードによって得られた、測定時間39秒における貯蔵弾性率「G’(ω、d、t)=G’(3(rad・s−1)、400(%)、39(秒))」では、相関係数が0.03と低かったので選択しなかった。
<<血液レオロジー式(1)のm、n及びpの求め方の例>>
−−工程(5)−−
数値代入法で、血液レオロジー式(1)のm、n及びpを求めた。
縦軸に、血液臨床物性値F1として、活性化全血凝固時間(ACT)[秒]をとり、横軸に、上記で選定した、それぞれ1つ計3つのレオロジーパラメータを用いた、「(σ ×[G”(5(rad・s−1)、100(%)]×[G’(5(rad・s−1)、40(%))]」をとったとき、相関係数が最大になるように、数値代入法によって、m、n及びpを求め、血液レオロジー式(1)を得た。
すなわち、m、n、pを振って、計算から得られた右辺の値を横軸に、活性化全血凝固時間(ACT)[秒]を縦軸にとり、コンピュータの表計算ソフトウェアによって一次直線を求め、そのときの相関係数Rをそれぞれ算出した。
その結果、m=0.02、n=0.00、p=0.98のときに、図1に示す通り、相関係数Rは、0.86で最大になった。
その結果、下記血液レオロジー式(1−1a)が得られた。
=A×(σ 0.02×G0.00×G0.98)+B・・・・(1−1a)
なお、上記血液レオロジー式(1−1a)において、定数Aは「−9084」、定数Bは「1815」であった。
このように、上記血液レオロジー式(1−1a)の、血液臨床物性値F、m、n、pの値で、血液状態が規定できた。
実施例2
上記血液レオロジー式(1−1a)を用いれば、降伏項Sとして降伏値σ、粘性項Hとして損失弾性率G”(5(rad・s−1)、100(%))、弾性項Gとして貯蔵弾性率G’(5(rad・s−1)、40(%))を測定しただけで、活性化全血凝固時間(ACT)を測定しなくても、レオメータを用いて測定できる基本的な上記値から、活性化全血凝固時間(ACT)[秒]が計算で求まる。
実施例3
診断すべき個体から得た血液を用い、血液臨床物性値Fとして活性化全血凝固時間(ACT)[秒]、m、n、pの値を求めれば、診断すべき個体の血液状態の判定ができる。
実施例4
実施例1より、血液臨床物性が活性化全血凝固時間(ACT)の場合には、弾性項の冪であるpが最も大きかったので、流動体の弾性項に最も影響を与えるような薬剤又は療法を選択すれば、活性化全血凝固時間(ACT)を調節できる。
弾性項Gに影響を与えるような薬剤又は療法を予め検討してリストアップしておけば、活性化全血凝固時間(ACT)[秒]という血液臨床物性値Fの調節が円滑にできる。
また、上記リストアップがされていれば、活性化全血凝固時間(ACT)[秒]を調節しようとすれば、弾性項Gに影響を与えるような薬剤又は療法をスリーニングすればよいことが分かる。
比較例1
<血液レオロジー式(1)を用いない例>
粘性項Hとして、表1に記載の豚血液について、TA Instruments社製のレオメータであるAR−G2の定常流粘度測定モードによって、調製当日に、剪断速度100(s−1)における回転粘度を求めた。
この回転粘度[Pa・s]の値を、血液レオロジー式(1)の右辺の代わりに用いて、血液臨床物性値Fを計算で求めようとした。
すなわち、縦軸に、活性化全血凝固時間(ACT)[秒]をとり、横軸に回転粘度[Pa・s]をとり、最小二乗法で直線を求めた。
その結果、図2に示す通り、そのときの相関係数Rは0.34であり、実施例1の相関係数Rは0.86には遠く及ばなかった。
レオメータによって求めた「剪断速度100(s−1)における回転粘度」では、血液臨床物性値Fを計算で求めることはできなかった。
本発明における血液レオロジー式(1)を用いることにより、血液凝固能等の規定を系統的に、効率的に、簡便に行えることが明らかとなった。更に、一般に用いられる血液学的検査、凝固・線溶検査、生化学的検査等の血液検査の新たな手法として、例えば、健康診断、手術中の血液凝固能管理、血液凝固能異常疾患に対する治療の経過観察等、幅広い産業分野に利用できる。

Claims (15)

  1. 少なくとも、下記工程(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)を有することを特徴とする血液状態の規定方法。
    (1)医学的に特定された一の血液状態における血液を3種類以上選択する工程。
    (2)工程(1)で選択された3種類以上の血液のそれぞれについて、該血液状態を反映する血液臨床物性を選択し、該血液臨床物性値Fを測定する工程。
    (3)該3種類以上の血液のそれぞれについて、レオロジー測定によって測定される液体基礎物性である降伏項S、粘性項H及び弾性項Gにそれぞれ含まれる1つ又は2つ以上のレオロジーパラメータの値を、レオメータを用いて測定する及び/又はレオメータを用いて測定して得られた値から算出する工程。
    (4)該3種類以上の血液について測定された血液臨床物性値Fと1つ又は2つ以上のレオロジーパラメータの値との相関係数に着目し、該相関係数の大きいレオロジーパラメータを、降伏項S、粘性項H及び弾性項Gごとに1つずつ選定する工程。
    (5)降伏項S、粘性項H及び弾性項Gごとに工程(4)で決定されたそれぞれ1つのレオロジーパラメータの値を用いて、数値代入法により、下記血液レオロジー式(1)におけるm、n、p、A及びBを求める工程。
    F=A×(S×H×G)+B・・・・・・(1)
    [式(1)中、Fは血液臨床物性値Fを示し、S、H、Gは、工程(4)で選定したそれぞれのレオロジーパラメータについて測定したレオロジーパラメータの値を示し、m、n及びpは0以上の実数であり、m+n+p=1を満たし、A及びBは実数の定数である。]
    (6)工程(2)で選択された血液臨床物性値F、並びに、工程(5)で得られた上記血液レオロジー式(1)におけるm、n及びpによって、該特定された一の血液状態を規定する工程。
  2. 上記血液臨床物性が、血液学的検査、凝固・線溶系検査、生化学的検査、免疫学的検査又は内分泌代謝系検査により測定される物性である請求項1に記載の血液状態の規定方法。
  3. 上記降伏項Sが、レオメータを用い、剪断速度を変化させて測定した降伏値σである請求項1又は請求項2に記載の血液状態の規定方法。
  4. 上記粘性項Hが、下記H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7又はH8である請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の血液状態の規定方法。
    (H1)レオメータの定常流粘度測定モードを用い、剪断速度a[s−1]における粘度η
    (H2)レオメータの定常流粘度測定モードを用い、剪断速度をa[s−1]及びb[s−1](a<b)の2点でそれぞれ測定した粘度η及び粘度ηから求めた(η−η)/η
    (H3)レオメータの定常流粘度測定モードを用い、剪断速度をa[s−1]及びb[s−1](a<b)の2点でそれぞれ測定した粘度η及び粘度ηから求めた(η−η)/(b−a)
    (H4)レオメータの動的時間依存性測定モードを用い、周波数ω[rad・s−1]、ひずみd[%]、測定時間t[s]における複素粘性率η(ω,d,t)
    (H5)レオメータの動的ひずみ依存性測定モードを用い、周波数ω[rad・s−1]、ひずみd[%]における動的粘性率η'(ω,d)
    (H6)レオメータの動的ひずみ依存性測定モードを用い、周波数ω[rad・s−1]、ひずみd[%]における損失弾性率G”(ω,d)
    (H7)レオメータの動的周波数依存性測定モードを用い、周波数ω[rad・s−1]、ひずみd[%]における損失弾性率G”(ω,d)
    (H8)レオメータの動的時間依存性測定モードを用い、周波数ω[rad・s−1]、ひずみd[%]、測定時間t[s]における損失弾性率G”(ω,d,t)
  5. 上記弾性項Gが、下記G1、G2又はG3である請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の血液状態の規定方法。
    (G1)レオメータの動的ひずみ依存性測定モードを用い、周波数ω[rad・s−1]、ひずみd[%]における貯蔵弾性率G'(ω,d)
    (G2)レオメータの動的周波数依存性測定モードを用い、周波数ω[rad・s−1]、ひずみd[%]における貯蔵弾性率G'(ω,d)
    (G3)レオメータの動的時間依存性測定モードを用い、周波数ω[rad・s−1]、ひずみd[%]、測定時間t[s]における貯蔵弾性率G'(ω,d,t)
  6. 上記工程(2)での血液臨床物性値Fの測定、及び、上記工程(3)でのレオロジーパラメータの測定に供される3種類以上の血液の試料態様が、全血液又は血漿である請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の血液状態の規定方法。
  7. 医学的に特定された一の血液状態にある個体から採取された血液について、該血液状態を反映するt種類の血液臨床物性(tは自然数)を選択し、該t種類の血液臨床物性値F(kは1〜tの自然数)について、請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の血液状態の規定方法を用いて、それぞれt個のm(kは1〜tの自然数)、n(kは1〜tの自然数)、及び、p(kは1〜tの自然数)を求める工程(6)を有し、得られた(4×t)個のデータマトリクスによって、該一の血液状態を規定する請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の血液状態の規定方法。
  8. 診断すべき個体の血液状態の判定方法であって、
    予め、「r種類の特定された一の血液状態」にある個体からそれぞれ採取された血液について、請求項7に記載の血液状態の規定方法を用いて、該r種類の血液状態に対応するr種類の(4×t)個のデータマトリクスをそれぞれ求めておき、
    次いで、診断すべき個体から採取された判定すべき血液について、請求項7に記載の血液状態の規定方法を用いて得られた(4×t)個のデータマトリクスを、該予め求められていたr種類の(4×t)個のデータマトリクスと比較する工程(7)を有することを特徴とする血液状態の判定方法。
  9. 診断すべき個体の血液状態の判定方法であって、前記tが1の場合であり、
    予め、「r種類の特定された一の血液状態」にある個体からそれぞれ採取された血液について、請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の血液状態の規定方法を用いて、該r種類の血液状態に対応するr種類の「血液臨床物性値F、m、n、pの組」をそれぞれ求めておき、
    次いで、ある個体から採取された血液について、請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の血液状態の規定方法を用いて得られた「血液臨床物性値F、m、n、pの組」を、該予め求められていたr種類の「血液臨床物性値F、m、n、pの組」と比較する工程(7)を有することを特徴とする請求項8に記載の血液状態の判定方法。
  10. 請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の血液状態の規定方法を用いた、診断すべき個体の血液状態の判定方法であって、前記工程(1)〜(6)、並びに、下記工程(8)、(9)、(10)及び(11)を有することを特徴とする血液状態の判定方法。
    (8)診断すべき個体の血液を用意する工程。
    (9)血液臨床物性値Fを直接測定する代わりに、レオロジー測定によって測定される液体基礎物性である降伏項S、粘性項H及び弾性項Gごとに1つずつ決定された、血液臨床物性値Fと相関係数の最も大きいレオロジーパラメータの値を、該診断すべき個体の血液について、レオメータを用いて測定する及び/又はレオメータを用いて測定して得られた値から算出する工程。
    (10)請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の血液状態の規定方法において得られた血液レオロジー式(1)を用い、血液臨床物性値Fを算出する工程。
    (11)工程(10)で算出した血液臨床物性値Fから、診断すべき個体の血液状態を判定する工程。
  11. ある個体の血液の血液臨床物性値Fを調節する方法であって、請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の血液状態の規定方法を用い、該血液臨床物性値Fについて上記血液レオロジー式(1)のm、n及びpの大小関係を求め、血液臨床物性値Fを好適な値になるように、mが大きい場合は降伏項Sに、nが大きい場合は粘性項Hに、pが大きい場合は弾性項Gに影響を与えるような薬剤又は療法を選択する工程(13)、及び、該薬剤を該個体に投与する若しくは該療法を該個体に施す工程(14)を有することを特徴とする血液臨床物性値Fの調節方法。
  12. 予め、血液の液体基礎物性である降伏項S、粘性項H又は弾性項Gに影響を与えるような薬剤又は療法を検討して、該3種のパラメータごとに該薬剤又は該療法をリストアップしておく工程(12)を有する請求項11に記載の血液臨床物性値Fの調節方法。
  13. 血液臨床物性に反映される健全状態以外の血液状態を治療する若しくは該血液状態になることを予防する、薬剤又は療法のスクリーニング方法であって、請求項11又は請求項12に記載の血液臨床物性値Fの調節方法を用いることを特徴とする薬剤又は療法のスクリーニング方法。
  14. 上記血液臨床物性が血液の凝固・線溶系検査により測定される物性であり、かつ、レオロジー測定によって測定される液体基礎物性の一つである弾性項Gに影響を与えるような薬剤又は療法をスリーニングする請求項13に記載の薬剤又は療法のスクリーニング方法。
  15. 請求項13又は請求項14に記載の薬剤又は療法のスクリーニング方法を用いることを特徴とする血液状態治療剤の製造方法。
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