JP6275339B2 - 送信装置、受信装置、制御局および送信プレコーディング方法 - Google Patents

送信装置、受信装置、制御局および送信プレコーディング方法 Download PDF

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Description

本発明は、マルチユーザMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)伝送を行う送信装置、受信装置、通信システムおよび送信プレコーディング方法に関する。
近年、限られた周波数帯域で高速伝送を実現する無線通信システムとして、送受信機双方に複数のアンテナを設置したMIMOシステムに、空間分割多元接続(SDMA:Space Division Multiple Access)方式を適用したマルチユーザMIMO(MU(Multi-User)-MIMO)システムが盛んに検討されている。MU−MIMOシステムでは、複数のアンテナを備える基地局に対し、複数のアンテナを備える端末が複数存在し、基地局が同一の無線周波数帯において複数の端末に対して同時伝送を行う。
MU−MIMOシステムにおけるダウンリンク、すなわち基地局から端末へ向かう方向の通信では、基地局から各端末へ同時に信号を送る。このため、一般に、端末における受信信号には、自端末向けの信号である所望信号に加えて他の端末向けの信号が含まれる。すなわち、他の端末向けの信号により生じる干渉であるユーザ間干渉(IUI:Inter-User Interference)が生じる。IUI対策は、端末に比べて処理量およびアンテナ数に関する制約が少ない基地局側で可能な限り行うことが望ましい。このため、MU−MIMOシステムにおけるダウンリンクでは、基地局がIUI対策としてプレコーディングと呼ばれる処理を実施する。プレコーディングは、複数のアンテナから送信する複数の信号に重み付けをすることによりビームを形成する処理を示す。
MU−MIMOシステムにおけるダウンリンクにおいてIUI対策として行われる代表的プレコーディング手法として、ブロック対角化(BD:Block Diagonalization)法が広く検討されている。例えば、非特許文献1、2を参照されたい。BD法は、所望端末以外にヌルを向ける、すなわち所望端末以外の端末における受信電力を0にするような指向性を形成するようにビーム空間を形成するプレコーディング手法である。全端末に対してBD手法を適用することにより、IUIが生じないMU−MIMOシステムを実現することが可能となる。これにより、端末における処理および装置構成を簡易化できる。
M. Rim, "Multi-user downlink beamforming with multiple transmit and receive antennas," Electron. Lett., vol.38, no.25, pp.1725-1726, Dec. 2002. L.U. Choi and R.D. Murch, "A Transmit Preprocessing Technique for Multiuser MIMO Systems Using a Decomposition Approach," IEEE Trans. on Wireless Commun., vol.3, no.1, pp.20-24, Jan. 2004.
送信アンテナが複数存在する場合には、送信ダイバーシチ効果が得られる。しかしながら、BD手法は所望端末以外にヌルを向けるヌルステアリングを行うため、基地局の複数のアンテナから送信される複数の信号により形成されるビームの自由度が失われる。このため、BD手法を適用したプレコーディングでは、送信ダイバーシチ効果が増すように、すなわち各端末の受信信号対雑音電力比(SNR:Signal-to-Noise power Ratio)を改善させるようにビームを形成することは難しい。特に多数の端末が存在する環境では、複数の端末に対するヌルステアリングによってビーム形成の自由度が大きく失われる。このように、BD手法では、送信ダイバーシチ利得を向上させることが難しいという課題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、BD法に比べて送信ダイバーシチ利得を向上させることができる送信装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる送信装置は、複数の受信装置のそれぞれに向けた複数のビームを形成可能な複数の送信アンテナ、を備える。また、本発明にかかる送信装置は、複数の受信装置のうちの送信信号の送信先となる第1の受信装置と複数の受信装置のうちの1つである第2の受信装置とを除く複数の受信装置である第3の受信装置における受信電力が閾値以下となるように複数の送信アンテナから送信される信号にプレコーディングを行うプレコーダ、を備える。
本発明にかかる送信装置は、BD法に比べて送信ダイバーシチ利得を向上させることができるという効果を奏する。
実施の形態1にかかる通信システムの構成例を示す図である。 実施の形態1の基地局の構成例を示す図である。 実施の形態1の端末の構成例を示す図である。 実施の形態1の処理回路の構成例を示す図である。 実施の形態1の制御回路の構成例を示す図である。 実施の形態1のプレコーダ部における処理手順の一例を示すフローチャートを表す図である。 基地局送信アンテナ数T=16、端末数m=8、端末受信ブランチ数Nw=2とした場合の、プレコーディング未適用時の平均SNRに対するプレコーディング適用時の平均SNRを示す図である。 実施の形態1のオーダリング部の処理手順の一例を示すフローチャートを表す図である。 オーダリング部を備えない基地局の構成例を示す図である。 実施の形態2の制御局の構成と制御局により制御される基地局を示す図である。 実施の形態2の基地局の構成例を示す図である。 実施の形態3の基地局の構成例を示す図である。 実施の形態3のプレコーダ部における処理手順の一例を示すフローチャートを表す図である。
以下に、本発明の実施の形態にかかる送信装置、受信装置、通信システムおよび送信プレコーディング方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる通信システムの構成例を示す図である。図1に示すように、本実施の形態の通信システムは、基地局1と、端末2−1〜端末2−mとを備える。mは、2以上の整数である。以下、端末2−1〜2−mをユーザと呼ぶこともある。また、端末2−1〜2−mを区別せずに示す場合は、端末2と記載する。基地局1は、複数のアンテナを備え、端末2−1〜2−mは、1本以上のアンテナを備えることとする。
本実施の形態では、基地局1から端末2への通信であるダウンリンク通信について説明する。したがって、基地局1は送信装置であり、端末2が受信装置である。本実施の形態の通信システムでは、ダウンリンク通信では、MU−MIMO方式を用いるとし、基地局1は、複数のアンテナから送信する送信信号に対してプレコーディングを実施して、複数の端末2を指向するビームを形成可能である。なお、基地局1と端末2とは、端末2が送信装置となり基地局1が受信装置となる通信、すなわちアップリンクの通信を行ってもよい。アップリンクの通信方法はどのような通信方式であってもよい。
ここで、まず、本実施の形態における用語について説明する。以下では、物理的な送信および受信アンテナを「アンテナ」と呼び、1つの装置が備える複数のアンテナの配列、すなわち、アンテナ群を「アレー」と呼ぶ。あるいはアレーに対応する複数の信号配列も、便宜上単にアレーと呼ぶことがある。また、複数の送信アンテナの配列を「送信アレー」と呼び、複数の受信アンテナの配列を「受信アレー」と呼ぶ。送信アレーまたは受信アレーにウェイトを示す行列であるウェイト行列を乗積した場合に観測される実効的なアンテナの数を「ブランチ」と呼ぶ。受信側のブランチである受信ブランチの数は、受信装置である端末2にパラレルに送信されるデータの数であり、端末2において乗積するウェイト行列である受信ウェイト行列の行数である。送信側のブランチである送信ブランチの数は、送信装置である基地局1において乗積するウェイト行列である送信ウェイト行列、すなわち送信プレコーディングの列数である。
端末2が備えるアンテナの数に制約は無く、端末2ごとにアンテナ数が異なる場合や、端末2ごとに受信ブランチ数が異なる場合にも本発明は適用可能である。ただし、説明を簡易にするため、以下の説明では、端末2が備えるアンテナの数は、端末によらず、R(Rは1以上の整数)本であるとする。また、端末2では、受信アレーに対しNw(Nw≦R)個のウェイト行列を乗積するとする。したがって、送信装置である基地局1から観測される端末2あたりの受信ブランチ数は端末2に依らずNw本である。これにより、全端末分のブランチ数である総受信ブランチ数Nw,totalは、Nw,total=Σk=1 m(Nw)=m×Nwとなる。ここで、受信アレーに適用するウェイトはプレコーディング行列の算出において仮定されるものであって、任意のウェイトが適用可能である。例えば、Nw=Rの場合のウェイトは単位行列であっても良く、または伝送路行列の固有ベクトル行列であっても良く、受信ウェイト行列にどのような行列を用いてもよい。なお、以下の説明では、基地局1のアンテナ数Tおよび端末2の受信ブランチ数NwはT≧Nw,total−Nw=(m−1)×Nwの関係を満たすものとする。
次に、MU−MIMO方式を採用する本実施の形態の通信システムにおけるダウンリンク通信を数式によりモデル化する。端末2−i(i=1,…,m)に送信する送信信号ベクトルをs(太字)i(t)とし、端末2−iに対する電力配分を示す行列である送信電力配分行列をP(太字)iとし、端末2−iに対応するプレコーディング行列すなわちビーム形成行列をB(太字)iとする。また、基地局1のアンテナから端末2−iのアンテナまでのR×Tの真の伝送路行列をH(太字)(ハット)iとし、端末2−iのNw×Rの受信ウェイト行列をW(太字)iとし、端末2−iの受信ウェイト乗積前の真の受信信号ベクトルをy(太字)i(t)とする。さらに、端末2−iの受信ウェイト乗積後の受信信号ベクトルをr(太字)i(t)とし、基地局1のアンテナから端末2−iのアンテナまでの伝送路における真の受信熱雑音ベクトルをn(太字)(ハット)i(t)とする。このとき、本実施の形態の通信システムを数式によりモデル化したシステムモデルは、以下の式(1)で定義することができる。
Figure 0006275339
更に受信ウェイト行列W(太字)iと真の伝送路行列H(太字)(ハット)iとを乗積したNw×T行列を新たな伝送路行列H(太字)iとし、真の受信熱雑音ベクトルn(太字)(ハット)i(t)に受信ウェイト行列W(太字)iとを乗積したNw次ベクトルを新たな受信熱雑音ベクトルni(太字)(t)とすると、システムモデルは以下の式(2)で表すことができる。
Figure 0006275339
上記式(2)は、以下の式(3)のように表現することができる。
Figure 0006275339
ここで、H(太字)(バー)は、受信ウェイトの乗積後の基地局1のアンテナから全端末2の全ブランチまでの伝送路を示すNw,total×Tのシステム伝送路行列であり、B(太字)(バー)は、基地局1における全端末2に対するT×Nstのシステムプレコーディング行列である。なお、Nstは、全端末2に対して並列して同時送信する総信号数である。P(太字)(バー)は全端末2への送信電力配分を定めた行列であるシステム送信電力行列であり、s(太字)(バー)(t)は、全端末2に対する送信信号を示すNst次のシステム送信ベクトルであり、n(太字)(バー)(t)は受信ウェイト乗積後の全端末2に対する雑音ベクトルであるNw,total次のシステム雑音ベクトルである。以下の式(4)に示すように、H(太字)(バー)とB(太字)(バー)との積は、送信ビーム形成による実効的なシステム伝送路行列H(太字)(バー)eと捉えることができる。
Figure 0006275339
式(4)で示した実効システム的な伝送路行列H(太字)(バー)eにおいて、ブロック対角項、すなわち、H(太字)iB(太字)iの成分のみを残し、これら以外の成分である非ブロック対角項を零行列O(太字)とするプレコーディング行列を用いるプレコーディング手法がBD法である。本実施の形態では、以下で詳細に説明するように、非ブロック対角項の全てを零行列O(太字)とせずに、干渉成分として送信信号の送信対象の端末2以外の1つの端末2の成分が残留するようなプレコーディング行列を用いる。これにより、送信アレーによるビーム形成の自由度を確保し、IUIを抑制しつつ、BD法に比べて送信対象の端末2におけるダイバーシチ利得を向上させることができる。
図2は、本実施の形態の基地局1の構成例を示す図である。基地局1は、一次変調部11−1〜11−m、プレコーダ部12、オーダリング部13、送信波形整形部14−1〜14−T、アンテナ15−1〜15−Tおよび受信機16を備える。一次変調部11−i(i=1,…,)は、端末2−iに送信する送信信号に対して一次変調を行い、一次変調した送信信号をプレコーダ部12へ出力する。一次変調部11−iが行う一次変調は、例えば、チャネル符号化、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)シンボル等の一次変調シンボルへのマッピングを含む。また、シングルキャリアブロック伝送方式を用いる際には、一次変調部11−iが行う一次変調は、離散フーリエ変換処理も含む。一次変調部11−1〜11−mは、受信装置である端末2ごとに該端末2へ送信する送信信号を生成する信号生成部である。
プレコーダ部12は、一次変調部11−1〜11−mから出力される送信信号の送信先となる端末2である第1の受信装置と第1の受信装置以外の端末2である第2の受信装置とを除く1つ以上の第3の受信装置である端末2における受信電力が0、すなわち閾値以下となるように複数の送信アンテナであるアンテナ15−1〜15−Tから送信される信号にプレコーディングを行うプレコーダである。第1の受信装置は、後述する所望端末であり、第2の受信装置は後述するIUI端末であり、第3の受信装置は、端末2−1〜2−mのうち所望端末およびIUI端末を除いた端末である。第2の受信装置であるIUI端末における受信電力は閾値より大きい。
具体的には、プレコーダ部12は、一次変調部11−1〜11−mから出力される一次変調後の送信信号に対して後述する本実施の形態のシステムプレコーディング行列を乗積することによりプレコーディングを行い、プレコーディング後の送信信号をそれぞれ対応する送信波形整形部14−1〜14−Tへ出力する。オーダリング部13は、プレコーダ部12に対しプレコーディングにおける端末2の順序付けと端末2への電力配分を指示する。すなわち、オーダリング部13は、プレコーディングにおける端末2の順序を決定する。送信波形整形部14−1〜14−Tは、プレコーディング後の信号に対し、それぞれ二次変調、デジタルアナログ(D/A)変換、ベースバンド周波数から無線周波数への変換等を行い、処理後の信号をそれぞれアンテナ15−1〜15−Tを介して送信する。二次変調は、例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)等のマルチキャリア方式を適用する場合にはマルチキャリア変調であり、シングルキャリアブロック伝送等のシングルキャリア方式を適用する場合にはシングルキャリア変調である。二次変調の変調方式に制約はなく、上述したOFDM、シングルキャリアブロック伝送以外の変調を行ってもよい。送信波形整形部14−1〜14−Tは、OFDM、シングルキャリアブロック伝送等のブロック伝送を適用する場合には、例えば、D/A変換前に離散逆フーリエ変換およびCP(Cyclic Prefix)付加処理を行う。なお、ブロック伝送とは、OFDM、シングルキャリアブロック伝送に代表されるように離散フーリエ変換処理およびCP付加により信号をブロック化する方式のことを示す。送信波形整形部14−1〜14−Tにおける信号処理は、デジタル処理であっても良くアナログ処理であっても良い。なお、一次変調部11−1〜11−mからプレコーダ部12へ入力される送信信号は、式(3)におけるs(太字)(バー)(t)に対応し、プレコーダ部12から送信波形整形部14−1〜14−Tへ出力される出力信号は、式(3)におけるB(太字)(バー)P(太字)(バー)s(太字)(バー)(t)に対応する。
プレコーダ部12によるプレコーディングが実施されることにより、複数の送信アンテナであるアンテナ15−1〜15−Tは、複数の端末2のそれぞれに向けた複数のビームを形成可能である。
受信機16は、端末2からアンテナ15−1〜15−Tを経由して受信した受信信号に対して受信処理を実施する。なお、ここでは、アンテナ15−1〜15−Tが送受信アンテナである例を示しているが、受信アンテナをアンテナ15−1〜15−Tとは別に備えてもよい。ただし、後述するプレコーディング行列の算出過程において、基地局1が、アップリンクの伝送路の推定結果をダウンリンクの伝送路情報として用いる場合には、アンテナ15−1〜15−Tは送受信アンテナであり、受信機16は、アンテナ15−1〜15−Tから受信した受信信号に基づいて伝送路の推定を行う。伝送路の推定方法はどのような方法を用いてもよく、例えば、既知信号であるパイロット信号を用いた推定方法等を用いることができる。具体的には、端末2の複数のアンテナ間で直交するパイロット信号を端末2から送信し、基地局1の受信機16では直交パイロットに従って端末2の各アンテナを識別して伝送路を推定することができる。また、後述するプレコーディング行列の算出過程において、基地局1が、端末2から受信した伝送路情報を用いる場合には、受信機16は、受信した伝送路情報をプレコーダ部12へ出力する。
図3は、本実施の形態の端末2の構成例を示す図である。端末2は、アンテナ21−1〜21−R、受信波形整形部22−1〜22−R、デコーダ部23、復調部24および送信機25を備える。受信波形整形部22−1〜22−Rは、それぞれアンテナ21−1〜21−Rにより受信された受信信号に対して、無線周波数からベースバンド周波数へ変換する処理、アナログデジタル(A/D)変換、信号フィルタ処理等を行い、処理後の受信信号をデコーダ部23へ出力する。信号フィルタ処理は、例えば所望の周波数帯域の信号を抽出する処理である。また、ブロック伝送方式を適用する場合、受信波形整形部22−1〜22−Rは、CP除去処理と離散フーリエ変換処理も実施する。デコーダ部23は、受信波形整形部22−1〜22−Rから入力される受信信号に対して所望の信号、すなわち自端末宛ての信号を抽出するための処理である後述するMIMOデコード処理を行い、処理後の信号を復調部24へ出力する。デコーダ部23は、基地局1から受信した信号から所望信号を抽出するデコーダである。デコーダ部23は、MIMOデコード処理の過程で、伝送路の推定処理を実施する。復調部24は、デコーダ部23から出力される信号に対してデマッピング処理、チャネル復号処理等を行い、基地局1から送信された信号を復元する。また、シングルキャリアブロック伝送方式を適用する場合は、復調部24は、周波数歪みを補償する等化処理と離散逆フーリエ変換処理とを実施する。受信波形整形部22−1〜22−Rにおける信号処理はデジタル処理であっても良くアナログ処理であっても良い。
送信機25は、送信信号を生成してアンテナ21−1〜21−Rから基地局1へ送信する。なお、ここでは、アンテナ21−1〜21−Rが送受信アンテナである例を示しているが、送信アンテナをアンテナ21−1〜21−Rとは別に備えてもよい。ただし、後述するプレコーディング行列の算出過程において、基地局1が、端末2から受信した伝送路情報を用いる場合には、送信機25は、デコーダ部23からデコーダ部23が推定した伝送路の情報である伝送路情報を取得し、伝送路情報を基地局1へ送信する。また、後述するプレコーディング行列の算出過程において、基地局1が、アップリンクの伝送路の推定結果をダウンリンクの伝送路情報として用いる場合には、アンテナ21−1〜21−Rは送受信アンテナであり、送信機25は、アンテナ21−1〜21−Rから送信信号を送信する。
次に、本実施の形態の基地局1および端末2のハードウェア構成について説明する。図1に示した基地局1を構成する各構成要素は、それぞれを電子回路およびアンテナ等のハードウェアとして実現できる。一次変調部11−1〜11−mは、マッパまたはモジュレータであり、一次変調に離散フーリエ変換処理を含む場合には、離散フーリエ変換処理回路が追加される。プレコーダ部12は、プレコーディングを実施する処理回路であり、オーダリング部13は、オーダリングを行う処理回路である。送信波形整形部14−1〜14−Tは、送信波形整形回路であり、具体的には、D/Aコンバータ、周波数コンバータ等で構成される。また、送信波形整形部14−1〜14−TがCP付加、逆離散フーリエ変換処理を行う場合には、送信波形整形部14−1〜14−Tは、CP付加回路、逆離散フーリエ変換処理回路を備える。
プレコーダ部12、オーダリング部13を実現する処理回路は、専用のハードウェアであっても、メモリとメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)とを備える制御回路であってもよい。ここで、メモリとは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disk)等が該当する。
プレコーダ部12、オーダリング部13が、専用のハードウェアで実現される場合、これらは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものである。処理回路が専用のハードウェアで実現される場合、この処理回路は、例えば図4に示す処理回路500である。
プレコーダ部12、オーダリング部13がCPUを備える制御回路で実現される場合、この制御回路は例えば図5に示す構成の制御回路400である。図5に示すように制御回路400は、CPUであるプロセッサ401と、メモリ402とを備える。プレコーダ部12、オーダリング部13が図5に示すように制御回路400により実現される場合、プロセッサ401がメモリ402に記憶された、プレコーダ部12、オーダリング部13のそれぞれの処理に対応するプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、メモリ402は、プロセッサ401が実施する各処理における一時メモリとしても使用される。
また、一次変調部11−1〜11−mおよび送信波形整形部14−1〜14−Tのうちの少なくとも一部が、上記のプレコーダ部12、オーダリング部13と同様に、専用のハードウェアである処理回路または制御回路400により実現されてもよい。
図2に示した端末2を構成する各構成要素は、それぞれを電子回路およびアンテナ等のハードウェアとして実現できる。受信波形整形部22−1〜22−Rは、受信波形整形回路であり、具体的には、A/Dコンバータ、フィルタ、周波数コンバータ等で構成される。また、受信波形整形部22−1〜22−RがCP除去、離散フーリエ変換処理を行う場合には、受信波形整形部22−1〜22−Rは、CP除去回路、離散フーリエ変換処理回路を備える。デコーダ部23は、処理回路であり、復調部24は、デモジュレータまたはデマッパである。復調部24が等化処理、離散逆フーリエ変換処理等を行う場合には、復調部24は、等化器、逆離散フーリエ変換回路等を含む。
デコーダ部23を実現する処理回路は、専用のハードウェアで実現されてもよく、上述した制御回路400により実現されてもよい。デコーダ部23が図5に示すように制御回路400により実現される場合、プロセッサ401がメモリ402に記憶された、デコーダ部23の処理に対応するプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、受信波形整形部22−1〜22−Rおよび復調部24のうちの少なくとも一部が、上記のデコーダ部23と同様に、専用のハードウェアである処理回路または制御回路400により実現されてもよい。
次に、本実施の形態のプレコーダ部12が、実施するプレコーディング処理について説明する。本実施の形態の通信システムにおけるシステムモデルは、上述の式(1)〜式(2)で述べた通りである。プレコーダ部12は、プレコーディング行列を以下の手順により生成する。なお、以下の説明では、数式における説明には、送信波形整形部14−1〜14−Tおよび受信波形整形部22−1〜22−Rの処理を割愛しているが、プレコーディング行列の算出においてこれらの処理による影響は無い。また、以下では、基地局1のプレコーダ部12の出力端と端末のデコーダ部23の入力端との間を等価低域系で表現する。ここで、以下に説明するプレコーディング処理は、OFDMまたはシングルキャリアブロック伝送においては離散周波数毎に独立して実施してもよく、周波数によらず帯域全体で一括して実施してもよい。
以下に示すプレコーディング行列算出の過程では、ダウンリンク方向の伝送路行列の情報、すなわち伝送路情報が必要となる。プレコーダ部12が、伝送路行列を取得する方法には、特に制約は無いが、例えば、これはダウンリンクとアップリンクとで異なる周波数で通信が行われる周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)を採用する通信システムである場合には、端末2から受信した、端末2において推定した伝送路情報を用いる。ダウンリンクとアップリンクとが時間分割複信(TDD:Time Division Duplex)により行われる通信システムである場合は、送受の可逆性を利用することができる。このため、この場合は、端末2から受信した信号に基づいて、受信機16が、アップリンク方向の伝送路を推定し、推定した伝送路をダウンリンクの伝送路情報として用いることができる。伝送路推定の方法は、上述した通り、どのような方法を用いてもよく、例えば、パイロット信号を用いた推定方法を用いることができる。
図6は、本実施の形態のプレコーダ部12における処理手順の一例を示すフローチャートである。以下では、送信信号の宛先の端末2とする端末を所望端末と呼ぶ。まず、プレコーダ部12は、オーダリング部13により決定された順序に従って、所望端末を決定する。そして、所望端末に対するプレコーディング行列を求めるために、所望端末に対応する、IUIを許容する端末2であるIUI端末を選定する(ステップS1)。
上述したように、BD法では、所望端末以外の端末に対してはIUIを避けるためにヌルを形成するようにビームをフォーミングする。これに対し、本実施の形態では、所望端末以外の1つの端末2に対してはIUIを許容する。すなわち所望端末以外の1つの端末2に対してヌルを形成せず、所望端末以外の1つの端末2の方向に指向性を有するようにビームを形成する。
IUI端末の選定方法としては、所望端末を端末2−iとするとき、端末2−iの伝送路行列であるH(太字)iと相関の低い伝送路行列を持つ端末を選ぶ方法、各端末2の地理的情報に基づき所望端末と離れた位置の端末2を選ぶ、などが挙げられる。前者は、所望端末に対応するIUI端末を、所望端末と基地局1との間の伝送路行列と、所望端末以外の端末2と基地局1との間の伝送路行列との間の相関に基づいて選定する方法である。例えば、プレコーダ部12は、所望端末以外の端末2を端末2−kとするとき、伝送路行列H(太字)iと端末2−kの伝送路行列H(太字)kとの相互相関行列H(太字)k HH(太字)iの対角項の二乗和をk=i以外の全ての端末2について求め、H(太字)k HH(太字)iの対角項の二乗和が最も小さい端末2を選定する。また、後者は、所望端末と所望端末以外の端末2との間の地理的な離隔度に基づいて選定する方法である。後者の選定方法を用いる場合、例えば、基地局1が、各端末2の位置情報と基地局1の位置情報とに基づいて、基地局1から見込む端末2の方位角を端末2ごとに算出し、所望端末からの方位角が最も離れた端末2を選定する。端末2の位置情報は、例えば、各端末2がGPS(Global Positioning System)を利用して求めた位置情報を端末2から受信することにより取得する。また、基地局1の位置情報としては、例えば、GPSを利用して求めた位置情報を用いる。ただし、一度IUI端末として選定されたユーザは、他の端末2を所望端末とした場合のプレコーディング行列の算出時にはIUI端末として選定しない。すなわち、同一の端末2は重複してIUI端末に選定されない。
なお、後述するように、オーダリング部13により、例えば隣接するすなわち次に並ぶ端末2との間の相互相関行列H(太字)k HH(太字)iの対角項の二乗和が小さくなるようにオーダリングが実施されている場合、IUI端末として所望の端末2の次のインデックスの端末2をIUI端末として選択することができる。
次に、プレコーダ部12は、IUI端末を端末2−jとするとき、システム伝送路行列から所望端末およびIUI端末の伝送路成分を除いた行列H(太字)(バー)i,jを算出し(ステップS2)、H(太字)(バー)i,jを特異値分解(SVD:Singular Value Decomposition)する(ステップS3)。
システム伝送路行列H(太字)は、上述した通り、受信ウェイトの乗積後の基地局1のアンテナから全端末2の全ブランチまでの伝送路を示す行列であり、端末2ごとの伝送路行列に基づいて算出することができる。システム伝送路行列H(太字)から所望端末およびIUI端末の伝送路成分を除いた(Nw,total−2Nw)×T行列である行列H(太字)(バー)i,jは、以下の式(5)で表すことができる。また、式(5)に示すように、H(太字)(バー)i,jは、特異値分解ができるとする。
Figure 0006275339
ここで、U(太字)i,jはH(太字)(バー)i,jの左特異ベクトル行列であり、V(太字)i,jは右特異ベクトル行列であり、Σ(太字)i,jは特異値を対角項に持つ特異値行列である。Σ(太字)i,jにおいて、対角項の特異値は大きさにより降べきの順となっているものとすると、式(5)に示したように、(Nw,total−2Nw)個の非零特異値で構成される部分対角行列Σ(太字)i,j (s)と、(T−(Nw,total−2Nw))個の零特異値に対応する零行列0(太字)に分けて表現できる。また、Σ(太字)i,j (s)および零行列0(太字)のそれぞれに対応する右特異ベクトルV(太字)i,j (s)およびV(太字)i,j (n)が存在する。第1の行列であるV(太字)i,j (n)を端末2−iのプレコーディング行列とすると、端末2−iに対する実効伝送路行列は以下の式(6)で表すことができる。このプレコーディング行列を用いると、端末2−iと端末2−j以外にはヌルステアリングされる。第1の行列を用いてプレコーディングを実施すると、端末2−iと端末2−jとを除いた端末2に対しては、ヌルが形成される。ヌルは、アンテナ15−1〜15−Tから送信される信号の受信電力が閾値以下となる、例えば受信電力が0となることを示す。
Figure 0006275339
図6の説明に戻り、プレコーダ部12は、式(6)における端末2−iに対応する成分である所望成分H(太字)iV(太字)i,j (n)から、第2の行列である固有ベクトル行列V(太字)i,j (e)を求める(ステップS4)。すなわち、プレコーダ部12は、端末2−iに適した、すなわち端末2−iを指向するビーム空間を形成するための第2の行列を生成する。具体的には、プレコーダ部12は、すなわち、H(太字)iV(太字)i,j (n)を特異値分解する、またはH(太字)iV(太字)i,j (n)の非負値エルミート行列(H(太字)iV(太字)i,j (n)HH(太字)iV(太字)i,j (n)に固有値分解を適用し、大きな固有値に対応する固有ベクトル行列V(太字)i,j (e)を求める。大きな固有値とは複数の固有値を降べきの順に並べたときの前方側の固有値である。
次に、プレコーダ部12は、所望端末すなわち端末2−iに対応するプレコーディング行列を求める(ステップS5)。具体的には、プレコーダ部12は、以下の式(7)により、端末2−iに対応するプレコーディング行列を求める。本実施の形態では、式(7)に示すように、送信信号に対してV(太字)i,j (n)を乗積することにより、端末2−iと端末2−jとを除いた空間に対してヌルステアリングした後に、V(太字)i,j (e)を乗積することで、端末2−iと端末2−jとに対して信号空間を形成した上で、端末2−iにおける受信利得を向上させるビーム形成を実現することができる。すなわち、本実施の形態では、複数の送信アンテナから送信される信号に、所望端末とIUI端末とを除く端末2における受信電力を閾値以下とするためのプレコーディング行列である第1の行列を乗算し、乗算結果に所望端末を指向するビームを形成するためのプレコーディング行列である第2の行列を乗算する。
Figure 0006275339
プレコーダ部12は、全ての端末2に対して処理、すなわちプレコーディング行列の算出処理を終了したか否かを判断し(ステップS6)、全ての端末2に対して処理を終了した場合(ステップS6 Yes)、システムプレコーディング行列B(太字)(バー)を算出し(ステップS7)、処理を終了する。システムプレコーディング行列B(太字)(バー)は、端末2ごとのプレコーディング行列を列方向に並べた行列である。全ての端末2に対して処理を終了していない場合(ステップS6 No)、所望端末を変更してステップS1へ戻る。ステップS1では、変更された所望端末に対応するIUI端末を選定し、その後、ステップS2以降の処理を実施する。
プレコーダ部12は、まず、一次変調部11−1〜11−mから出力される送信信号にオーダリング部13から通知された電力配分に基づいて生成した電力配分行列P(太字)(バー)を乗積し、以上の処理により算出したシステムプレコーディング行列B(太字)(バー)を乗積し、乗積結果を送信波形整形部14−1〜14−Tへ出力する。すなわち、プレコーダ部12は、複数の送信アンテナから送信される信号に電力配分の結果に対応する電力配分行列とプレコーディングを実施するためのプレコーディング行列である上述したシステムプレコーディング行列B(太字)(バー)とを乗算する。式(1),(2),(3)からわかるように、電力配分行列は、端末2−iに配分された電力P(太字)iの平方根を対角要素とする行列である。送信波形整形部14−1〜14−Tは、上述した処理を行って、処理後の信号をアンテナ15−1〜15−Tから送信する。
例えば、m=4とする。すなわち、4つの端末2が存在する場合に、プレコーダ部12が、所望端末のIUI端末として、所望端末の次のインデックスの端末2を選定するとする。すなわち、端末2−1へのビーム形成については端末2−2への与干渉を許容し、端末2−2へのビーム形成については端末2−3への与干渉を許容し、端末2−3へのビーム形成については端末2−4への与干渉を許容し、端末2−4へのビーム形成については端末2−1への与干渉を許容するとする。この場合、本実施の形態のシステムプレコーディング行列B(太字)(バー)を適用した場合の、実効システム伝送路行列は以下の式(8)で表すことができる。
Figure 0006275339
ここで、所望端末における平均受信信号電力対雑音電力比(Signal−to−Noise power Ratio:SNR)について、プレコーディングによる改善効果をシミュレーション結果から定量的に示す。図7は、基地局送信アンテナ数T=16、端末数m=8、端末受信ブランチ数Nw=2とした場合の、プレコーディング未適用時の平均SNRに対するプレコーディング適用時の平均SNRを示すものである。このため、システム伝送路行列は16×16の行列であり、システム伝送路行列内の各要素は独立かつ同様の複素ガウス乱数とした。また、乱数試行回数は10000回とした。図中の破線は従来のBD法によるプレコーディングを適用した場合の特性(conventional)であり、実線は本実施の形態におけるプレコーディングを適用した場合の特性(invented)である。図7より、本発明の実施の形態におけるプレコーディングは従来のBD法より平均SNRを改善できていることが分かる。例えば、プレコーディング未適用時のSNRが20dBのケースで比較すると、本発明の実施の形態におけるプレコーディングを適用することで従来のBD法に対して平均SNRを6.5dB改善できている。これは、前述のとおり所望端末を指向するビームを形成することによりダイバーシチ効果が得られているためである。
次に、オーダリング部13の処理について説明する。プレコーダ部12が、IUI端末を容易に選択できるようにするためには、端末2の並び順が重要になる。オーダリング部13は、端末2の並び順を決定する。また、オーダリング部13は、各端末2への電力配分を決定する。
図8は、本実施の形態のオーダリング部13の処理手順の一例を示すフローチャートである。オーダリング部13は、端末2の順序を決定する(ステップS11)。オーダリング部13は、決定した順序をプレコーダ部12へ通知する。順序付けの方法としては、例えば、各端末2の伝送路利得(伝送路行列のフロベニウスノルムの二乗)の大きい順または小さい順とする、各基地局1と端末2との間の伝送路行列が持つ非負固有値あるいは非負特異値の大きい順または小さい順とする、隣接端末同士の地理的位置、例えば基地局1から見た方位角が近くなるようにまたは異なるように順序付けする、隣接端末同士の伝送路行列の相関、すなわち、前述した端末間の伝送路行列の相互相関行列の対角項の大きさが、高くなるようにまたは低くなるように順序付けする、などが挙げられるが、これらに限定されない。
オーダリング部13が順序付けする順序は、所望端末の次の順番の端末2が、該所望端末に対応するIUI端末となるよう定められた順序としておくことができる。このような順序の例としては、隣接端末同士の地理的位置が近くなるようにまたは離れるように順序付けする、すなわち順番が連続する端末2が地理的に近接または離隔するように順序付けする方法、隣接端末同士の伝送路行列の相関が高くなるようにまたは低くなるように順序付けする、すなわち順番が連続する端末2の伝送路行列間の相関が高くなるようにまたは低くなるように順序付けする方法などがある。基地局1から見た方位角が異なるように順序付けする場合、例えば、1番目の端末2として任意の端末2を選択し、2番目の端末2として、1番目の端末2と最も地理的位置が離れた端末を選択し、3番目の端末2として、2番目の端末2と最も地理的位置が離れた端末2でありかつ順序付けされていない端末2を選択し、というように各インデックスに対応する端末2を選択していく。
オーダリング部13は、端末2の電力配分を決定する(ステップS12)。オーダリング部13は、電力配分の結果、すなわち各端末2に配分された電力をプレコーダ部12へ通知する。プレコーダ部12は、電力配分の結果に基づいて、また、電力配分は、例えば、端末2の伝送路利得に基づき注水定理に従って実施する、または全端末2の受信品質を均質化するよう、すなわち、伝送路利得と配分した電力の積が全端末2の間で同等の値となるよう配分する、などが挙げられるが、これらに限定されない。なお、上記のステップS11とステップS12の順番は逆でもよい。
次に、端末2のデコーダ部23における処理を説明する。上述した本実施の形態のシステムプレコーディング行列を用いて基地局1により形成されたビームを受信する受信装置である端末2で観測される伝送路成分を考える。端末2−iでは、基地局1が端末2−kに宛てた信号が干渉信号として観測されるとする。すなわち、基地局1において、端末2−kのIUI端末に端末2−iが選定されていたとする。このとき、端末2−iが受信する受信信号には、所望伝送路成分H(太字)iB(太字)iと端末2−kに宛てた信号による被干渉成分H(太字)iB(太字)kとが含まれるため、端末2−iが受信する受信信号r(太字)i(t)は以下の式(9)で表すことができる。s(太字)i(t)は、基地局1から端末2−iに宛てて送信された送信信号であり、s(太字)k(t)は、基地局1から端末2−kに宛てて送信された送信信号である。
Figure 0006275339
端末2のデコーダ部23は、受信信号r(太字)i(t)から端末2−iに宛てて送信された送信信号s(太字)i(t)を検出する。受信信号r(太字)i(t)からの送信信号s(太字)i(t)の検出は、一般的なMIMOデコード処理により実現可能である。例えば、「T. Ohgane, T. Nishimura, and Y. Ogawa, “Applications of Space Division Multiplexing and Those Performance in a MIMO Channel,” IEICE Trans. Commun., vol. E88-B, no. 5, pp. 1843-1851, May 2005.」に記載されているように、ZF(Zero-Forcing)、最小平均二乗誤差(MMSE:Minimum Mean Square Error)基準に代表される線形検出法を適用可能である。または、最尤推定または干渉キャンセラ(IC:Interference Canceller)に代表される非線形検出法も適用可能であり、どのようなMIMOデコード処理を用いてもよい。なお、デコーダ部23が行うMIMOデコード処理は、信号処理は、受信ウェイト乗積後のr(太字)i(t)へ実施する替わりに、受信ウェイト乗積前のy(太字)i(t)に対して実施してもよい。この場合の、MIMOデコード処理も一般的なMIMOデコード処理と同様である。
上記の説明では基地局1のアンテナ数Tおよび端末2の受信ブランチ数はT≧Nw,total−Nw=(m−1)×Nwの関係を満たすものとしたが、端末2が備えるアンテナの数に制約は無く、端末2ごとにアンテナ数が異なる場合や、端末2ごとに受信ブランチ数が異なる場合にも本発明は適用可能である。端末2−jのアンテナ数NR,jとブランチ数Nw,jはNR,j≧Nw,jの関係を満たし、所望端末である端末2−iに対するIUI端末を端末2−jとすると、基地局1とどの所望端末の関係においてもT≧(Σk=1 m(Nw,k))−Nw,jを満たしていれば本発明を適用可能である。
また、上記の図2では、オーダリング部13を備える例を示したが、オーダリング部13を備えずに図9に示す構成としてもよい。図9は、オーダリング部13を備えない基地局1aの構成例を示す図である。図9では、図2の基地局1と同様の機能を有する構成要素は図2の基地局1と同一の符号を付している。図9に示す基地局1aでは、オーダリング部13による並び替えは行われないが、プレコーダ部12が上述した選択方法によりIUI端末を選択して上述した動作を実施することができる。これにより、図9に示す基地局1aにおいても、図2の基地局1によるビーム形成と同様に所望端末およびIUI端末以外に対してヌルを形成するビームを形成することができる。
以上のように、本実施の形態では、基地局1が、端末2ごとに与干渉を許容するIUI端末を定め、所望端末およびIUI端末以外に対してヌルを形成するビームを形成するようにした。このため、IUIを抑制しつつ、BD法に比べて送信対象の端末2におけるダイバーシチ利得を向上させることができる。
実施の形態2.
図10は、本発明にかかる実施の形態2の制御局3の構成と制御局3により制御される基地局1b−1〜1b−qを示す図である。qは2以上の整数である。実施の形態1では、基地局1が搭載するアンテナ15−1〜15−Tによりビームを形成する例を説明した。これに限らず、T本のアンテナが複数の基地局に分散して搭載されている場合にも、実施の形態1と同様のシステムプレコーディング行列を用いることができる。基地局1b−1〜1b−qを区別せずに示す場合は、基地局1bと記載する。本実施の形態では、基地局1b−1〜1b−qが有するアンテナの数の総数がTであるとする。
図10に示すように制御局3は、プレコーダ算出部31、オーダリング部32および送受信機33を備える。プレコーダ算出部31は、実施の形態1のプレコーダ部12と同様の処理を実施する。すなわち、プレコーダ算出部31は、基地局1b−1〜1b−qが送信する送信信号の送信先となる端末2である所望端末と所望端末以外の端末2であるIUI端末とを除く端末2における受信電力が閾値以下となるようにプレコーディングを行うためのプレコーディング行列を算出する。ただし、システムプレコーディング行列の算出に用いる伝送路情報については、送受信機33経由で基地局1b−1〜1b−qから受信する。基地局1b−1〜1b−qが伝送路情報を取得する方法は、実施の形態1と同様である。オーダリング部32は、実施の形態1のオーダリング部13と同様の処理を実施する。送受信機33は、基地局1b−1〜1b−qから受信した信号の受信処理と、基地局1b−1〜1b−qへ送信する信号に対する送信処理とを行う。送受信機33は、プレコーダ算出部31により算出されたプレコーディング行列であるシステムプレコーディング行列とオーダリング部32により算出された電力配分とを基地局1b−1〜1b−qへそれぞれ送信する。基地局1b−1〜1b−qは各々が1本以上の送信アンテナを備える。
図11は、本実施の形態の基地局1bの構成例を示す図である。図11に示すように、基地局1bは、実施の形態1の基地局1に送受信機17を追加し、プレコーダ部12の替わりにプレコーダ部12aを備える以外は、実施の形態1の基地局1と同様である。ただし、送信波形整形部およびアンテナの数は、それぞれcである。cは1以上の整数である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
送受信機17は、制御局3から受信した信号の受信処理と、制御局3へ送信する信号に対する送信処理とを行う。送受信機17は、伝送路情報を受信機16から取得し制御局3へ送信する。また、送受信機17は、制御局3から受信したシステムプレコーディング行列および電力配分をプレコーダ部12aへ出力する。プレコーダ部12aは、送受信機17から受け取った電力配分に基づいて生成した電力配分行列P(太字)iを乗積し、さらに送受信機17から受け取ったシステムプレコーディング行列B(太字)(バー)を一次変調部11−1〜11−mから出力される送信信号に乗積して、乗積結果を送信波形整形部14−1〜14−cへ出力する。
次に、制御局3および基地局1bのハードウェア構成について説明する。基地局1bの構成要素のうち実施の形態1と同様の構成要素は、実施の形態1で述べたハードウェア構成により実現することができる。制御局3のプレコーダ算出部31、およびオーダリング部32は、処理回路である。プレコーダ算出部31、およびオーダリング部32は、実施の形態1のプレコーダ部12、オーダリング部13を実現する処理回路と同様に、専用のハードウェアであっても、メモリとメモリに格納されるプログラムを実行するCPUを備える制御回路であってもよい。プレコーダ算出部31、およびオーダリング部32を実現する制御回路は、例えば、図5に示した制御回路400である。また、プレコーダ部12aも処理回路であり、この処理回路も専用のハードウェアであっても、メモリとメモリに格納されるプログラムを実行するCPUを備える制御回路であってもよい。プレコーダ部12aを実現する制御回路は、例えば、図5に示した制御回路400である。
制御局3の送受信機33は、送信機および受信機で構成される。基地局1bの送受信機17も、送信機および受信機で構成される。
以上のように、本実施の形態では、制御局3が実施の形態1と同様のシステムプレコーディング行列B(太字)(バー)を算出し、基地局1bへシステムプレコーディング行列B(太字)(バー)を通知するようにした。このため、複数の基地局1bを備える場合にも、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
実施の形態3.
図12は、本発明にかかる実施の形態3の基地局1cの構成例を示す図である。本実施の形態の基地局1cは、実施の形態1の基地局1のプレコーダ部12をプレコーダ部12bに替え、非線形処理部18を追加する以外は、実施の形態1の基地局1と同様である。本実施の形態の端末2−1〜2−mは、実施の形態1の端末2−1〜2−mと同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
本実施の形態では、端末2−1から端末2−(m−1)までは実施の形態1と同様に所望端末ごとに1つのIUI端末を選定してプレコーディング行列を求める。なお、ここでは、端末2−1から端末2−(m−1)の符号の枝番号が、オーダリング部13によるオーダリングの後の順序であるとし、オーダリング部13は、所望端末の次のインデックスの端末2をIUI端末として選択可能なように並び替えが行われているとする。例えば、実施の形態1で述べたように、インデックスが連続する端末は地理的位置が離れているまたは伝送路行列の相関が低くなるようにオーダリングされているとする。本実施の形態では、最終の端末2である端末2−mについては、与干渉を許容せず、他端末に対して完全ヌルステアリングを実現するプレコーディング行列を求める。
図13は、本実施の形態のプレコーダ部12bにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。プレコーダ部12bは、実施の形態1と同様に所望端末を選択し、所望端末がm番目の端末2であるか否かを判断する(ステップS20)。所望端末がm番目の端末2でない場合(ステップS20 No)、ステップS1へ進む。ステップS1〜ステップS7は、実施の形態1と同様である。
所望端末がm番目の端末2である場合(ステップS20 Yes)、プレコーダ部12bは、端末2−mについて、式(9)に示すシステム伝送路行列から所望端末の伝送路成分を除いた行列H(太字)mを算出する(ステップS21)。また、行列H(太字)(バー)mは、式(10)に示すように、次の特異値分解ができるとし、プレコーダ部12bは、式(10)に示すように特異値分解する(ステップS22)。
Figure 0006275339
ここで、U(太字)mはH(太字)(バー)mの左特異ベクトル行列であり、V(太字)mは右特異ベクトル行列であり、Σ(太字)mは特異値を対角項に持つ特異値行列である。Σ(太字)mにおいて、対角項の特異値は大きさにより降べきの順となっているものとすると、式(10)に示したように、(Nw,total−Nw)個の非零特異値で構成される部分対角行列Σ(太字)m (s)と、(T−(Nw,total−Nw))個の零特異値に対応する零行列0(太字)に分けて表現できる。また、Σ(太字)m (s)および零行列0(太字)のそれぞれに対応する右特異ベクトルV(太字)m (s)およびV(太字)m (n)が存在する。V(太字)m (n)を端末2−mのプレコーディング行列とすると、端末2−mに対する実効伝送路行列は以下の式(11)で表すことができる。このプレコーディング行列を用いると、端末2−m以外にはヌルステアリングされる、すなわち端末2−m以外に対してはヌルが形成される。
Figure 0006275339
図13の説明に戻り、プレコーダ部12bは、式(10)に基づいて、V(太字)m (n)を端末2−mのプレコーディング行列を算出し(ステップS23)、ステップS6へ進む。本実施の形態では、ステップS7では、端末2−1〜2−(m−1)のプレコーディング行列としてはステップS5で算出されたプレコーディング行列を用い、端末2−mのプレコーディング行列としてはステップS23で算出されたプレコーディング行列を用いて、システムプレコーディング行列を生成する。すなわち、オーダリング部13により順序付けされた端末のうちの最後の端末であるm番目の端末2を所望端末とするプレコーディング行列は、所望端末を除く端末2−1〜2−(m−1)である第4の受信装置における受信電力が閾値以下となるようにプレコーディングを行うための行列である。一方、m番目の端末2以外の端末2を所望端末とするプレコーディング行列は、所望端末とIUI端末とを除く端末2−1〜2−mである第3の受信装置に受信電力が閾値以下となるようにプレコーディングを行うための行列である。
上述したプレコーディング行列をシステム伝送路に適用すると、式(12)に示す実効システム伝送路行列が観測される。
Figure 0006275339
式(12)から分かるように、実施の形態1の式(8)と異なり、本実施の形態における実効システム伝送路行列はブロック二重対角化されていることが分かる。すなわち、所望端末に対応する成分が対角成分に存在し、対角成分の下すなわち2階層目にIUI端末の成分が存在する階層化が実現されている。これにより、次に述べるように送信側で逐次干渉除去を行う非線形MU−MIMO処理が適用可能となる。
プレコーダ部12bは、以上の処理により算出したシステムプレコーディング行列B(太字)(バー)と一次変調部11−1〜11−mから出力される送信信号と電力配分とを非線形処理部18へ出力する。非線形処理部18では、上記のブロック二重対角化を利用して、以下に示すように、受信側で干渉信号となる成分を送信側で予め除去する処理を実施する。
非線形処理部18は、プレコーダ部12bから出力される信号に対して非線形MU−MIMO処理を実施する。式(12)より、プレコーダ部12bから出力された信号が端末2−iで受信された場合の受信信号は、以下の式(13)で表すことができる。なお、ここではi≧2とする。
Figure 0006275339
端末2−(i−1)に対する送信信号s(太字)i-1(t)が既知であるとすると、s(太字)i(t)を式(14)で与えられる信号に補正することで、受信側における干渉を除去可能である。
Figure 0006275339
したがって、非線形処理部18は、上記式(13)に従って、s(太字)i(t)を補正する。端末2−1はIUI端末として設定されない、すなわち端末2−1の受信信号にはIUIが生じないため、端末2−1への送信信号s(太字)1(t)には、上記の補正を施す必要は無い。このため、s(太字)1(t)を既知として、s(太字)2(t)を補正し、補正後のs(太字)2(t)を用いてs(太字)3(t)を補正し、というように順次送信信号を決定していくことで、受信側において生じるIUIを送信側、すなわち基地局1において予め除去できる。すなわち、非線形処理部18は、IUI端末として設定されない端末2の送信信号から順次送信信号を決定して干渉を除去する逐次干渉除去を行う干渉除去部である。本実施の形態では、上記のようにIUI端末として設定されない端末2の送信信号から順次送信信号を決定して干渉を除去する処理を逐次干渉除去と呼ぶ。非線形処理部18は、逐次干渉除去において、式(12)から分かるように、最後の端末の次の番号の、すなわちm番目の次の順番である1番目の端末2に対してはIUIを生じないため、逐次、次の順番の端末2において生じる干渉を除去する処理をm番目の端末まで実施する。本実施の形態のシステムプレコーディング行列を適用することにより、端末数に比例して送信干渉キャンセル数が増大する一般的な非線形MU-MIMO処理とは異なり、干渉キャンセル数は1ユーザ分のみに限定することができる。このため、一般的な非線形MU-MIMO処理に比べ、演算量削減と信号減算による悪化を抑えることができる。
非線形処理部18は、送信信号に逐次干渉除去を施し、その後電力配分に基づいて生成した電力配分行列P(太字)iを乗積し、さらに以上の処理により算出したシステムプレコーディング行列B(太字)(バー)を乗積したものを送信波形整形部14−1〜14−Tへ出力する。
ただし、式(14)で与えられる送信処理により、実際に送信される信号は膨張あるいは縮小が生じ、不安定となる。このため、非線形処理部18は、「H. Harashima and H. Miyakawa, “Matched-Transmission Technique for Channels with Intersymbol Interference,” IEEE Trans. Commun., vol.20, Aug. 1972.」に開示されているモジュロ演算、または「B.M. Hochwald, C.B. Peel, and A.L. Swindlehurst, “A Vector-Perturbation Technique for Near-Capacity Multiantenna Multiuser Communication−Part II: Perturbation,” IEEE Trans. Commun., vol.53, no.3, pp.537-544, March 2005.」に開示されている摂動処理により、送信信号波形を安定化させる処理を施しても良い。
次に、基地局1cのハードウェア構成について説明する。基地局1cの構成要素のうち実施の形態1と同様の構成要素は、実施の形態1で述べたハードウェア構成により実現することができる。本実施の形態のプレコーダ部12bおよび非線形処理部18は、処理回路である。プレコーダ部12bおよび非線形処理部18は、専用のハードウェアであっても、メモリおよびメモリに格納されるプログラムを実行するCPUを備える制御回路であってもよい。プレコーダ部12bおよび非線形処理部18を実現する制御回路は、例えば、図5に示した制御回路400である。
以上のように、本実施の形態では、端末2の1つにはIUI端末を設定せず他の端末2では実施の形態1と同様に1つのIUI端末を設定してシステムプレコーディング行列を生成し、非線形処理部18により受信側で生じる干渉を送信側であらかじめ除去するように送信信号を補正するようにした。このため、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、マルチユーザ空間を階層化することができ、演算量削減と信号減算による悪化を抑えた非線形MU-MIMO方式を実現することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1,1a,1b−1〜1b−q,1c 基地局、2−1〜2−m 端末、3 制御局、11−1〜11−m 一次変調部、12,12a,12b プレコーダ部、13,32 オーダリング部、14−1〜14−T,14−c 送信波形整形部、15−1〜15−T,15−c,21−1〜21−R アンテナ、16 受信機、17,33 送受信機、18 非線形処理部、22−1〜22−R 受信波形整形部、23 デコーダ部、24 復調部、25 送信機、31 プレコーダ算出部。

Claims (15)

  1. 複数の受信装置のそれぞれに向けた複数のビームを形成可能な複数の送信アンテナと、
    前記複数の受信装置のうちの送信信号の送信先となる第1の受信装置と前記複数の受信装置のうちの1つである第2の受信装置とを除く前記複数の受信装置である第3の受信装置における受信電力が閾値以下となるように前記複数の送信アンテナから送信される信号にプレコーディングを行うプレコーダ、
    を備えることを特徴とする送信装置。
  2. 前記第2の受信装置における受信電力は前記閾値より大きいことを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
  3. 前記複数の送信アンテナから送信される信号に、前記第3の受信装置における受信電力を閾値以下とするためのプレコーディング行列である第1の行列を乗算し、乗算結果に前記第1の受信装置を指向するビームを形成するためのプレコーディング行列である第2の行列を乗算することを特徴とする請求項1または2に記載の送信装置。
  4. 前記第1の受信装置に対応する前記第2の受信装置を、前記第1の受信装置と前記送信装置との間の伝送路行列と、前記第1の受信装置以外の前記受信装置と前記送信装置との間の伝送路行列との間の相関に基づいて選定することを特徴とする請求項1、2または3に記載の送信装置。
  5. 前記第1の受信装置に対応する前記第2の受信装置を、前記第1の受信装置と前記第1の受信装置以外の前記受信装置との間の地理的な離隔度に基づいて選定することを特徴とする請求項1、2または3に記載の送信装置。
  6. 前記プレコーディングにおける前記受信装置の順序を決定するオーダリング部、
    を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の送信装置。
  7. 前記オーダリング部は、前記受信装置に対する電力配分を実施し、
    前記プレコーダは、前記複数の送信アンテナから送信される信号に前記電力配分の結果に対応する電力配分行列と前記プレコーディングを実施するためのプレコーディング行列とを乗算することを特徴とする請求項6に記載の送信装置。
  8. 前記順序は、前記第1の受信装置の次の順番の前記受信装置が、該第1の受信装置に対応する前記第2の受信装置となるよう定められた順序であることを特徴とする請求項6に記載の送信装置。
  9. 前記オーダリング部は、順番が連続する前記受信装置が地理的に近接するようにまたは離隔するように順序付けする、ことを特徴とする請求項に記載の送信装置。
  10. 逐次干渉除去を行う干渉除去部、を備え、
    前記オーダリング部により順序付けされた前記複数の受信装置のうちの最後の順番の前記受信装置を前記第1の受信装置とするプレコーディング行列は、前記第1の受信装置を除く前記複数の受信装置である第4の受信装置における受信電力が閾値以下となるようにプレコーディングを行うための行列であり、前記複数の受信装置のうち前記最後の順番の前記受信装置以外の前記受信装置を前記第1の受信装置とするプレコーディング行列は、前記第3の受信装置における受信電力が閾値以下となるようにプレコーディングを行うための行列であり、
    前記干渉除去部は、前記逐次干渉除去として、前記最後の順番の次の順番である1番目の前記受信装置に対応する干渉除去処理を除き、逐次、次の順番の前記受信装置において生じる干渉を除去する処理を実施することを特徴とする請求項またはに記載の送信装置。
  11. 前記オーダリング部は、前記順序を前記送信装置と前記受信装置との間の伝送路行列が持つ非負固有値または非負特異値の大きい順とすることを特徴とする請求項6または7に記載の送信装置。
  12. 前記オーダリング部は、前記順序を前記送信装置と前記受信装置との間の伝送路行列が持つ非負固有値または非負特異値の小さい順とすることを特徴とする請求項6または7に記載の送信装置。
  13. 請求項1から1のいずれか1つに記載の送信装置から送信された信号を受信する受信装置であって、
    前記送信装置から受信した信号から所望信号を抽出するデコーダを備えることを特徴とする受信装置。
  14. 複数の送信装置に搭載された複数の送信アンテナにより複数の受信装置のそれぞれに向けた複数のビームを形成可能な通信システムにおける制御局であって、
    前記複数の受信装置のうちの送信信号の送信先となる第1の受信装置と前記複数の受信装置のうちの1つである第2の受信装置とを除く前記複数の受信装置である第3の受信装置における受信電力が閾値以下となるようにプレコーディングを行うためのプレコーディング行列を算出するプレコーダ算出部と、
    前記プレコーディング行列を前記複数の送信装置へ送信する送受信機と、
    を備えることを特徴とする制御局。
  15. 複数の受信装置のそれぞれに向けた複数のビームを形成可能な複数の送信アンテナを備える送信装置における送信プレコーディング方法であって、
    送信信号の送信先となる前記受信装置である第1の受信装置と前記第1の受信装置以外の前記受信装置である第2の受信装置とを決定する第1のステップと、
    前記第1の受信装置と前記第2の受信装置とを除く前記複数の受信装置である第3の受信装置における受信電力が閾値以下となるように前記複数の送信アンテナから送信される信号にプレコーディングを行う第2のステップと、
    を含むことを特徴とする送信プレコーディング方法。
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