以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明の実施の形態では、複数のディジタルコンテンツ情報系列又は複数のディジタルコンテンツ情報集合を含む入力データから、ディジタルコンテンツ情報系列を生成するディジタルコンテンツ情報系列生成装置に本発明を適用した場合を例に説明する。また、本発明の実施の形態では、ディジタルコンテンツ情報として楽曲情報を用いる。
<概要>
まず、本発明の実施の形態の概要を説明する。本発明の実施の形態に係るディジタルコンテンツ情報系列生成装置は、一般ユーザが作成したプレイリストやフォルダなど、楽曲情報の順序関係が必ずしも意味を持たない楽曲情報の集合を手がかりとした、楽曲情報系列の生成を実現するものである。この楽曲情報の集合は、楽曲情報の系列と異なり、楽曲情報の順序が楽曲情報相互の関連性を必ずしも反映しないものの、同一集合に含まれる楽曲情報相互の弱い類似性を仮定できる。
また、このような楽曲情報集合は、その構成に特別なスキルは必要なく、一般ユーザが自由に構成することができるため、大量に収集することが可能である。さらに、楽曲情報集合は各ユーザが各自の趣味嗜好に合わせて構成するため、人気の主要楽曲だけでなく、様々なジャンルの様々な楽曲が、その構成要素として含まれる可能性がある。
[第1の実施の形態]
<システム構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るディジタルコンテンツ情報系列生成装置100を示すブロック図である。ディジタルコンテンツ情報系列生成装置100は、複数の楽曲情報系列又は複数の楽曲情報集合を含む入力データを入力し、楽曲情報系列を生成する装置であり、具体的にはCPU(Central Processing Unit)と、RAMと、後述するディジタルコンテンツ情報系列生成処理ルーチンを実行するためのプログラムを記憶したROMとを備えたコンピュータで構成され、機能的には次に示すように構成されている。
ディジタルコンテンツ情報系列生成装置100は、入力部10、演算部20、及び出力部40を備えている。
入力部10は、複数の楽曲情報系列又は複数の楽曲情報集合を含む入力データを受け付ける。第1の実施の形態では、複数の楽曲情報系列又は複数の楽曲情報集合を入力データとして用いる場合を例に説明する。
ここで、楽曲情報系列は、楽曲情報の系列である。また、楽曲情報集合は、楽曲情報の集合である。楽曲情報は、楽曲自体又は楽曲の付随情報を表す。付随情報としては、例えば楽曲名等が挙げられる。
演算部20は、ディジタルコンテンツ情報データベース22、ディジタルコンテンツ情報集合グラフ構築部24、ディジタルコンテンツ情報グラフ構築部26、初期ディジタルコンテンツ情報選択部28、初期ディジタルコンテンツ情報集合選択部30、ディジタルコンテンツ情報系列生成部32、及びディジタルコンテンツ情報系列評価部38を備えている。
ディジタルコンテンツ情報データベース22には、入力部10によって受け付けた複数の楽曲情報系列又は複数の楽曲情報集合が格納される。
ディジタルコンテンツ情報集合グラフ構築部24は、ディジタルコンテンツ情報データベース22に格納された複数の楽曲情報系列又は複数の楽曲情報集合に基づいて、各楽曲情報集合を各ノードとし、かつ楽曲情報集合間の関連性に基づき楽曲情報集合間に対応するノード間をエッジで結合した、楽曲情報集合間の関連性を示すグラフである楽曲情報集合グラフを構築し、構築された楽曲情報集合グラフを出力する。
楽曲情報集合グラフを構築する方法は特に限定されるものではないが、本発明の実施の形態では、楽曲情報の共有に着目した以下の方法について説明する。
まず、入力データに複数の楽曲情報集合が含まれる場合について説明する。入力データに含まれる複数の楽曲情報集合のうち、第n番目の楽曲情報集合lnについては、楽曲情報tn,m (L)の集合として、以下のように表記する。
ただし、Mn (L)は第n番目の楽曲情報集合に含まれる楽曲情報の数である。楽曲情報集合の総数をN(L)、いずれかの楽曲情報集合に含まれる楽曲情報の総数をM(L)とし、すべての楽曲情報集合を集めた集合をL、いずれかの楽曲情報集合に含まれる楽曲情報を集めた集合をt(L)と表記する。
楽曲情報集合グラフは、楽曲情報集合ln(n=1,2,...,N(L))をノード、2つの楽曲情報集合での共有楽曲情報の有無をエッジ、共有楽曲情報の数をエッジの重みとするグラフとして構成される。具体的な構成は以下の通りである。
楽曲情報集合グラフにおいて、各ノードは楽曲情報集合lnに対応する。以降、楽曲情報集合グラフのノードを、楽曲情報集合を表す記号で表現する。ノード
とノード
との間のエッジ
は、対応する二つの楽曲情報集合の共有楽曲情報
によって規定され、共有楽曲情報の数
がエッジの重みとなる。ただし、card(・)は集合の要素数を示す。以降、楽曲情報集合グラフのエッジ
を共有楽曲情報の集合と等価と見なす。
楽曲情報集合グラフの例を図2(A)に示す。図2(A)に示される楽曲情報集合グラフは、4つの楽曲情報集合、9つの楽曲情報で構成されており、ノードやエッジの配置、各ノードやエッジと楽曲情報集合や楽曲情報との対応関係については、図2(A)に示す通りである。
以上では、入力データに楽曲情報集合が含まれる場合について説明したが、入力データに複数の楽曲情報系列が含まれる場合について以下で説明する。入力データに含まれる複数の楽曲情報系列のうち、第n番目の楽曲情報系列snは、楽曲情報tn,m (S)の系列として、以下のように表現される。
ただし、Mn (S)は楽曲情報系列snに含まれる楽曲情報の数である。楽曲情報系列の総数をN(S)、いずれかの楽曲情報系列に含まれる楽曲情報の総数をM(S)、楽曲情報集合もしくは楽曲情報系列のいずれかに含まれる楽曲情報の総数をMとし、すべての楽曲情報系列を集めた集合をS、いずれかの楽曲情報系列に含まれる楽曲情報を集めた集合をt(S)と表記する。
ただし、set(・)は、系列を集合に変換する演算を表現する。このset演算を全ての楽曲情報系列に適用することで、楽曲情報系列を楽曲情報集合に変換することができ、上記の方法により楽曲情報グラフの構築に利用することができる。
以降、楽曲情報系列をset演算で楽曲情報集合に変換するなど、楽曲情報系列と楽曲情報集合と特に区別する必要がない場合には、上添字の(L)や(S)を省略する。すなわち、第n番目の楽曲情報集合に含まれる各楽曲情報をtn,m、楽曲情報集合の総数をN、楽曲情報の総数をM、いずれかの楽曲情報集合に含まれる楽曲情報を集めた集合をtと、それぞれ表記する。
ディジタルコンテンツ情報グラフ構築部26は、ディジタルコンテンツ情報データベース22に格納された複数の楽曲情報系列又は複数の楽曲情報集合に基づいて、各楽曲情報を各ノードとし、かつ楽曲情報間の関連性に基づき楽曲情報間に対応するノード間をエッジで結合した、楽曲情報間の関連性を示すグラフである楽曲情報グラフを構築する。楽曲情報グラフを構築する方法は特に限定されるものではないが、第1の実施の形態では、図3に示されるように、ディジタルコンテンツ情報グラフ構築部26は、ディジタルコンテンツ情報集合グラフ構築部260、及びディジタルコンテンツ情報集合グラフ変換部262を備えている場合を例に説明する。
ディジタルコンテンツ情報集合グラフ構築部260は、ディジタルコンテンツ情報集合グラフ構築部24同様に、ディジタルコンテンツ情報データベース22に格納された複数の楽曲情報系列又は複数の楽曲情報集合に基づいて、各楽曲情報集合を各ノードとし、かつ楽曲情報集合間の関連性に基づき楽曲情報集合間に対応するノード間をエッジで結合した、楽曲情報集合間の関連性を示すグラフである楽曲情報集合グラフを構築し、構築された楽曲情報集合グラフを出力する。
ディジタルコンテンツ情報集合グラフ変換部262は、ディジタルコンテンツ情報集合グラフ構築部260によって構築された楽曲情報集合グラフを、楽曲情報グラフに変換する。
楽曲情報集合グラフを変換する方法については特に限定されるものではないが、本実施の形態では、楽曲情報tmをノード、2つの楽曲情報が共に含まれる楽曲情報集合の有無をエッジとするグラフとして構成する。具体的な構成は以下の通りである。
楽曲情報グラフにおいて、各ノードは楽曲情報tmに対応する。以降、楽曲情報グラフのノードを、楽曲情報を表す記号で表現する。ノード
とノード
との間のエッジ
は、対応する二つの楽曲情報が共に含まれる楽曲情報集合の集合
によって規定され、その楽曲情報集合の数
がエッジの重みとなる。以降、楽曲情報グラフのエッジ
を、楽曲情報集合の集合
に含まれる楽曲情報集合のインデックスの集合と等価と見なす。
本実施の形態に基づいて構成した楽曲情報グラフの例を図2(B)に示す。図2(B)に示される楽曲情報グラフは、図2(A)に示した楽曲情報集合グラフと同様に、4つの楽曲情報集合、9つの楽曲情報で構成されており、ノードやエッジの配置、各ノードやエッジと楽曲情報集合や楽曲情報との対応関係については、図2(B)に示す通りである。
初期ディジタルコンテンツ情報選択部28は、注目楽曲情報の初期値(以下、初期楽曲情報と称する。)を選択する。初期楽曲情報を選択する方法は特に限定されるものではないが、本実施の形態においては、外部から任意に与えられた楽曲情報を初期楽曲情報とする方法について説明する。
例えば、ユーザや別のシステムなどから楽曲情報が指定される場合には、その楽曲情報を初期楽曲情報とすれば良い。また、例えば、ユーザが楽曲情報を直接指定する、ユーザが保有する楽曲情報の中から任意の楽曲情報を選択する、ユーザが指定したジャンルの楽曲情報の中から任意の楽曲情報を選択する、などの場合が考えられる。また、初期楽曲情報を複数選択することも可能である。
初期ディジタルコンテンツ情報集合選択部30は、注目ディジタルコンテンツ情報集合の初期値(以下、初期楽曲情報集合と称する。)を選択する。
初期楽曲情報集合を選択する方法は特に限定されるものではないが、本実施の形態においては、外部から任意に与えられた楽曲情報集合を初期楽曲情報集合とする方法と、注目楽曲情報を含む楽曲情報集合から任意の楽曲情報集合を選択して初期楽曲情報集合とする方法の、二通りの方法について説明する。
例えば、ユーザや別のシステムなどから楽曲情報集合が指定される場合には、その楽曲情報集合を初期楽曲情報集合とすれば良い。また、例えば、ユーザが楽曲情報集合を直接指定する、ユーザが保有するプレイリストなどの中から任意のものを選択する、ユーザが指定したキーワードをタグとして含むプレイリストの中から任意のものを選択する、などの場合が考えられる。また、初期楽曲情報集合を複数選択することも可能である。
注目楽曲情報を含む楽曲情報集合の中から初期楽曲情報集合を選択する方法も考えられる。例えば、注目楽曲情報を含む楽曲情報集合の中から任意のものを選択する、注目楽曲情報を含む楽曲情報集合のうち最も楽曲情報数の少ないあるいは多い楽曲情報集合を選択する、所定のユーザが保有するプレイリストなどの中から注目楽曲情報を含むものがあればそこから任意のものを選択する、などの方法が考えられる。この方法においても、初期楽曲情報集合を複数選択することも可能である。
ディジタルコンテンツ情報系列生成部32は、ディジタルコンテンツ情報グラフ構築部26によって構築された楽曲情報グラフと、初期ディジタルコンテンツ情報選択部28によって選択された初期楽曲情報、又は後述する注目ディジタルコンテンツ情報更新部34によって前回選択された注目楽曲情報と、初期ディジタルコンテンツ情報集合選択部30によって選択された初期楽曲情報集合、又は後述する注目ディジタルコンテンツ情報集合更新部36によって前回選択された現在の楽曲情報集合とに基づいて、次の注目楽曲情報を選択することを繰り返し行い、注目楽曲情報の系列を、出力楽曲情報系列として生成する。ディジタルコンテンツ情報系列生成部32は、注目ディジタルコンテンツ情報更新部34、及び注目ディジタルコンテンツ情報集合更新部36を備えている。ディジタルコンテンツ情報系列生成部32は、注目ディジタルコンテンツ情報更新部34の処理と注目ディジタルコンテンツ情報集合更新部36の処理とを交互に繰り返し実行することにより、楽曲情報と楽曲情報集合、それぞれの系列を生成することにある。注目楽曲情報の選択処理の繰り返し終了条件としては、例えば選択された注目楽曲情報が、予め定められた楽曲情報の数を満たすことを用いることができる。または、ユーザが指定するまで選択処理を繰り返すことを繰り返し終了条件とすることもできる。
注目ディジタルコンテンツ情報更新部34は、ディジタルコンテンツ情報グラフ構築部26によって構築されたディジタルコンテンツ情報グラフと、初期ディジタルコンテンツ情報選択部によって選択された初期楽曲情報、又は注目ディジタルコンテンツ情報更新部34によって前回選択された注目楽曲情報と、初期ディジタルコンテンツ情報集合選択部30によって選択された初期楽曲情報集合、又は後述する注目ディジタルコンテンツ情報集合更新部36によって前回選択された現在の楽曲情報集合とに基づいて、次の注目楽曲情報を選択する。次の注目楽曲情報を選択する方法は特に限定されるものではないが、本実施の形態においては、注目ディジタルコンテンツ情報更新部34は、図4に示されるように、注目ディジタルコンテンツ情報候補列挙部340、及び注目ディジタルコンテンツ情報編集部342を備えている場合を例に説明する。
注目ディジタルコンテンツ情報候補列挙部340は、ディジタルコンテンツ情報グラフ構築部26によって構築された楽曲情報グラフと、初期ディジタルコンテンツ情報選択部によって選択された初期楽曲情報、又は注目ディジタルコンテンツ情報更新部34によって前回選択された注目楽曲情報と、初期ディジタルコンテンツ情報集合選択部30によって選択された初期楽曲情報集合、又は後述する注目ディジタルコンテンツ情報集合更新部36によって前回選択された現在の楽曲情報集合とに基づいて、次の注目楽曲情報の候補を複数選択する。
次の注目楽曲情報の候補を列挙する方法は特に限定されるものではないが、本実施の形態においては、楽曲情報グラフの構造を考慮して注目楽曲情報の候補を列挙する方法について説明する。
具体的には、注目ディジタルコンテンツ情報候補列挙部340は、現在(第i番目)の注目楽曲情報をt(i)とするとき、次(第i+1番目)の注目楽曲情報t(i+1)を選択する確率を以下のように設定し、後述する注目ディジタルコンテンツ情報集合更新部36によって選択された現在の注目楽曲情報集合l(i)を用いて、次の注目楽曲情報を現在の注目楽曲情報集合に含まれる楽曲情報に限定する。
すなわち、次の注目楽曲情報の候補は、現在の注目楽曲情報集合に含まれる楽曲情報から選択され、それが選択される確率は、現在の注目楽曲情報と候補楽曲情報の双方を含む楽曲情報集合の数に依存し、その具体的な依存関係は、パラメータθ3を持つ関数f3(・;θ3)で決定される。パラメータθ3は予め定められており、例えば人手によって決定することができる。また、パラメータθ3は学習等によっても予め定めることができる。以下、パラメータθ1,θ2,θ4,θ5はパラメータθ3と同様に予め定められているものとする。
現在の注目楽曲情報と次の注目楽曲情報の候補の双方を含む楽曲情報集合
の要素数は、現在の注目楽曲情報
と候補楽曲情報
それぞれに対応する楽曲情報グラフのノードを結ぶエッジ
の重み
として得られる。すなわち、現在の注目楽曲情報が与えられたときに楽曲情報を次の注目楽曲情報として選択する確率は、楽曲情報グラフ、特に現在の注目楽曲情報に対応するノードに連結するエッジから計算可能である。
そして、上記選択確率に従って、次の注目楽曲情報をランダムに一つ、もしくは複数選択する。このとき、過去H曲の注目楽曲情報の履歴t(i),t(i−1),...,t(i−H)を記憶しておき、この履歴に含まれる楽曲情報を次の注目楽曲情報として選択しない方法を採用することも可能である。
また、後述する注目ディジタルコンテンツ情報集合更新部36によって選択された現在の注目楽曲情報集合l(i)を用いずに、次の注目楽曲情報を選択する方法も考えられる。
例えば、注目ディジタルコンテンツ情報候補列挙部340は、現在(第i番目)の注目楽曲情報をt(i)とするとき、次(第i+1番目)の注目楽曲情報t(i+1)を選択する確率を以下のように設定する。
すなわち、次の注目楽曲情報の候補が選択される確率は、現在の注目楽曲情報と候補楽曲情報の双方を含む楽曲情報集合の数に依存し、その具体的な依存関係は、パラメータθ1=(θ1,1,θ1,2,...)を持つ関数f(・;θ1)で決定される。関数の具体的な設定方法は特に限定されるものではないが、例えば線形関数
や指数関数
などが考えられる。
様々な楽曲情報集合に含まれる人気の楽曲情報が選ばれやすく、もしくは選ばれにくくするために、次の注目楽曲情報が含まれる楽曲情報集合の数を同時に考慮する方法も考えられる。
関数f2(x,y;θ2)の具体的な設定方法は特に限定されるものではないが、例えばxとyの比に関する線形関数
や指数関数
などが考えられる。
さらに、初期楽曲情報t(0)を用いて次の楽曲情報候補を選択する確率を計算する方法も考えられる。
関数f4(t1,t2;θ4)として、楽曲情報グラフ上で楽曲情報t1から楽曲情報t2へ移動するための最小ホップ数に対する単調非増加の関数を設定する方法が考えられる。この方法の導入により、楽曲情報グラフ上で初期楽曲情報から大きく離れている楽曲情報が次の楽曲情報候補として選択されにくくなる。
注目ディジタルコンテンツ情報編集部342は、注目楽曲情報と、注目ディジタルコンテンツ情報候補列挙部340によって選択された注目楽曲情報の候補の各々とに基づいて、次の注目楽曲情報の候補を選択し、選択された次の注目楽曲情報の候補と、注目楽曲情報とを編集して、次の注目楽曲情報を生成する。
次の注目楽曲情報の生成法は特に限定されるものではないが、本実施形態においては、接続関係が最も自然になるように現在の注目楽曲情報の終了時点と次の注目楽曲情報の候補の開始時点を決定する方法について述べる。
注目ディジタルコンテンツ情報編集部342は、まず、現在の注目楽曲情報t(i)及び次の注目楽曲情報の各候補t’(i+1,j)(j=1,2,...,J)のそれぞれからクロマグラムをフレーズ単位に抽出する。現在の注目楽曲情報t(i)から計算されたクロマグラムをc(i,k)(k=1,2,...,Ki),次の注目楽曲情報の各候補t’(i+1,j)から計算されたクロマグラムをc(i,j,k)(k=1,2,...,Ki+1,j)と表現する。ただし、Kiは第i番目の注目楽曲情報に含まれるフレーズの数、Ki+1,jは第i+1番目の注目楽曲情報の第j番目の候補に含まれるフレーズの数を、それぞれ表現する。クロマグラムの具体的な抽出方法は、例えば非特許文献3(M. Davies, P. Hamel, K. Yoshii and M. Goto “AutoMashupper: An automatic multi-song mashup system,” Proc. International Society for Music Information Retrieval Conference (ISMIR2013).)に記載の方法を用いる。
次に、注目ディジタルコンテンツ情報編集部342は、計算されたクロマグラムの類似度を算出することにより、現在の注目楽曲情報t(i)の終了時点と次の注目楽曲情報の候補t’(i+1)の開始時点との対各々について、接続の自然さに関する指標を算出する。例えば、非特許文献2(Mikolov, Sutskever, Chen, Corrado and Dean “Distributed representation of words and phrases and their compositionality,” Proc. Conference on Neural Information Processing Systems (NIPS), 2013.)に記載の方法に基づき、現在の注目楽曲情報t(i)の第ki番目のフレーズから算出されたクロマグラムc(i,ki)と、次の注目楽曲情報の候補t’(i+1,j)の第ki+1番目のフレーズから算出されたクロマグラムc(i,j,ki+1)とから、Mashabilityと呼ばれる指標M(c(i,j,ki),c(i+1,j,ki+1))を算出する。なお、Mashabilityの算出方法は、上記非特許文献3に記載の方法を用いる。
このように計算されたMashabilityM(c(i,j,ki),c(i+1,j,ki+1))が最も大きくなる注目楽曲情報の候補及びフレーズの対を選択し、現在の注目楽曲情報の終了時点を選択されたフレーズの終端に、 次の注目楽曲情報の候補の開始時点を選択されたフレームの直前に、それぞれ設定し、現在の注目楽曲情報の終了時点と次の注目楽曲情報の候補の開始時点を連結させることで、次の注目楽曲情報t(i+1)を新たに生成する。
ただし、この注目ディジタルコンテンツ情報編集部342における処理を実行せず、現在の注目楽曲情報の終点と、選択された次の注目楽曲情報の候補とを単純に連結させることも可能である。また、次の注目楽曲情報の候補が複数ある場合には、次の注目楽曲情報の候補の中から任意の確率で注目楽曲情報の候補を選択した後に、現在の注目楽曲情報の末尾と、選択した次の注目楽曲情報の候補とを連結させることも可能である。
注目ディジタルコンテンツ情報集合更新部36は、ディジタルコンテンツ情報集合グラフ構築部24によって構築された楽曲情報集合グラフと、初期ディジタルコンテンツ情報集合選択部によって選択された初期楽曲情報集合、又は注目ディジタルコンテンツ情報集合更新部36によって前回選択された注目楽曲情報集合と、注目ディジタルコンテンツ情報更新部によって選択された注目楽曲情報とに基づいて、次の注目楽曲情報集合を選択する。
注目ディジタルコンテンツ情報集合更新部36が次の注目楽曲情報集合を選択する方法は特に限定されるものではないが、本実施の形態においては、楽曲情報グラフの構造を考慮して注目楽曲情報を選択する方法について説明する。
具体的には、注目ディジタルコンテンツ情報集合更新部36は、現在(第i番目)の注目楽曲情報集合をl(i)、注目ディジタルコンテンツ情報更新部34によって選択された注目楽曲情報をt(i+1)とする。このとき、次(第i+1番目)の注目楽曲情報集合l(i+1)を選択する確率を以下のように設定する。
すなわち、次の注目楽曲情報集合の候補l(i+1)は更新した注目楽曲情報t(i+1)を含む楽曲情報集合の中から選択され、それが選択される確率は現在の注目楽曲情報集合l(i)との共有楽曲情報の数によって決定され、その具体的な依存関係はパラメータθ5を持つ関数f5(・;θ5)によって記述される。関数f5(・;θ5)の具体的な設定方法は特に限定されるものではないが、例えば線形関数
や指数関数
などが考えられる。
現在の注目楽曲情報集合l(i)と次の注目楽曲情報集合の候補l(i+1)との共有楽曲情報の集合
は、現在の注目楽曲情報集合
と候補楽曲情報集合
、それぞれに対応する楽曲情報集合グラフのノードを結ぶエッジ
として得られる。すなわち、現在の注目楽曲情報集合l(i)と更新された注目楽曲情報t(i+1)が与えられたときに楽曲情報集合lを次の注目楽曲情報集合として選択する確率は、楽曲情報集合グラフ、特に現在の注目楽曲情報集合l(i)に対応するノードに連結するエッジから計算可能である。
この選択確率に従って、次の注目楽曲情報集合l(i+1)を1つもしくは複数選択する。
そして、ディジタルコンテンツ情報系列生成部32は、得られた注目楽曲情報の系列を出力ディジタルコンテンツ情報系列として生成する。
ディジタルコンテンツ情報系列評価部38は、ディジタルコンテンツ情報グラフ構築部によって構築された楽曲情報グラフ、及びディジタルコンテンツ情報集合グラフ構築部によって構築された楽曲情報集合グラフに基づいて、ディジタルコンテンツ情報系列生成部によって生成された出力ディジタルコンテンツ情報系列の生成されやすさを表す値として、楽曲情報系列尤度を算出する。
ディジタルコンテンツ情報系列評価部38が楽曲情報系列尤度を計算する方法は特に限定されるものではないが、本実施の形態においては、楽曲情報グラフ及び楽曲情報集合グラフの構造に基づいて計算される楽曲情報系列の生成確率から楽曲情報系列尤度を計算する方法について説明する。
与えられた楽曲情報系列をs^とする。
この楽曲情報系列の生成確率は、以下のようにして求められる。
上記式の第1項は初期ディジタルコンテンツ情報選択部28、第2項は初期ディジタルコンテンツ情報集合選択部30、第3項は注目ディジタルコンテンツ情報更新部34、第4項は注目ディジタルコンテンツ情報集合更新部36で、それぞれ与えられた楽曲情報もしくは楽曲情報集合の選択確率から計算される。
この生成確率の対数尤度logp(s^)を、楽曲情報系列尤度とする。
出力部40は、ディジタルコンテンツ情報系列生成部32によって生成された出力ディジタルコンテンツ情報系列と、ディジタルコンテンツ情報系列評価部38によって算出された楽曲情報系列尤度を結果として出力する。
<ディジタルコンテンツ情報系列生成装置の作用>
次に、第1の実施の形態に係るディジタルコンテンツ情報系列生成装置100の作用について説明する。まず、複数の楽曲情報系列又は複数の楽曲情報集合を含む入力データが、ディジタルコンテンツ情報系列生成装置100に入力されると、ディジタルコンテンツ情報系列生成装置100によって、入力された複数の楽曲情報系列又は複数の楽曲情報集合が、ディジタルコンテンツ情報データベース22へ格納される。そして、ディジタルコンテンツ情報系列生成装置100によって、図5に示すディジタルコンテンツ情報系列生成処理ルーチンが実行される。
まず、ステップS100において、ディジタルコンテンツ情報集合グラフ構築部24によって、ディジタルコンテンツ情報データベース22に記憶されている複数の楽曲情報系列又は複数の楽曲情報集合から、楽曲情報集合グラフを構築する。
そして、ステップS102において、ディジタルコンテンツ情報集合グラフ構築部260によって、上記ステップS100と同様に、ディジタルコンテンツ情報データベース22に格納された複数の楽曲情報系列又は複数の楽曲情報集合に基づいて、楽曲情報集合グラフを構築する。そして、ディジタルコンテンツ情報集合グラフ変換部262によって、構築された楽曲情報集合グラフを、楽曲情報グラフに変換する。
そして、ステップS104において、初期ディジタルコンテンツ情報選択部28によって、初期楽曲情報を選択する。
そして、ステップS106において、初期ディジタルコンテンツ情報集合選択部30によって、初期楽曲情報集合を選択する。
そして、ステップS108において、注目ディジタルコンテンツ情報候補列挙部340によって、上記ステップS102で構築された楽曲情報グラフ、及び後述するステップS108で前回選択された注目楽曲情報に基づいて、次の注目楽曲情報の候補を複数選択する。
そして、ステップS110において、注目ディジタルコンテンツ情報編集部342によって、上記ステップS104で選択された初期楽曲情報、又は前回の本ステップS110で選択された注目楽曲情報と、上記ステップS108で選択された注目楽曲情報の候補の各々とに基づいて、次の注目楽曲情報の候補を選択し、次の注目楽曲情報を生成する。
そして、ステップS112において、注目ディジタルコンテンツ情報集合更新部36によって、上記ステップS100で構築された楽曲情報集合グラフと、上記ステップS106で選択された初期楽曲情報集合、又は前回の本ステップS112で選択された注目楽曲情報集合と、上記ステップS110で選択された注目楽曲情報とに基づいて、次の注目楽曲情報集合を選択する。
そして、ステップS114において、予め定められた繰り返し条件を満たしたか否かを判定する。予め定められた繰り返し条件を満たした場合には、ステップS116へ進む。一方、予め定められた繰り返し条件を満たしていない場合には、ステップS108へ戻る。
そして、ステップS116において、ディジタルコンテンツ情報系列生成部32によって、上記ステップS110で得られた注目楽曲情報の系列を出力楽曲情報系列として生成する。
そして、ステップS118において、ディジタルコンテンツ情報系列評価部38によって、上記ステップS102で構築された楽曲情報グラフ、及び上記ステップS100で構築された楽曲情報集合グラフに基づいて、上記ステップS116で生成された出力楽曲情報系列の生成されやすさを表す値として、楽曲情報系列尤度を算出する。
そして、ステップS120において、上記ステップS116で生成された楽曲情報系列と、上記ステップS118で算出された楽曲情報系列尤度とを、出力部40により出力してディジタルコンテンツ情報系列生成処理ルーチンを終了する。
以上説明したように、第1の実施の形態に係るディジタルコンテンツ情報系列生成装置によれば、入力データに含まれる複数の楽曲情報系列又は複数の楽曲情報集合に基づいて、各ディジタルコンテンツ情報を各ノードとし、かつ楽曲情報間の関連性に基づき楽曲情報間に対応するノード間をエッジで結合した、楽曲情報間の関連性を示すグラフである楽曲情報グラフを構築し、構築された楽曲情報グラフと、選択された初期楽曲情報とに基づいて、次の注目楽曲情報を選択することを繰り返し行い、注目楽曲情報の系列を、出力楽曲情報系列として生成することにより、楽曲情報集合を利用して楽曲情報系列を生成することができる。
また、楽曲情報系列生成の手がかりとして、大量に収集することが可能な楽曲情報集合を利用する、もしくは少数の楽曲情報系列をさらに併用することが可能となり、人気の主要楽曲情報だけに偏らない楽曲情報系列の生成が可能となる。
また、ディジタルコンテンツ情報系列評価部を加えて導入することにより、手動で構成した楽曲情報系列がどの程度生成される可能性があるかを数値で評価することを可能とする。
[第2の実施の形態]
<システム構成>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
第2の実施の形態では、入力された複数の楽曲情報系列から、楽曲情報系列を生成するディジタルコンテンツ情報系列生成装置に、本発明を適用した場合を例に説明する。
図6に示すように、ディジタルコンテンツ情報系列生成装置200は、複数の楽曲情報系列を入力し、楽曲情報系列を生成する装置であり、具体的にはCPU(Central Processing Unit)と、RAMと、後述するディジタルコンテンツ情報系列生成処理ルーチンを実行するためのプログラムを記憶したROMとを備えたコンピュータで構成され、機能的には次に示すように構成されている。
ディジタルコンテンツ情報系列生成装置200は、入力部210、演算部220、及び出力部40を備えている。
入力部210は、複数の楽曲情報系列を含む入力データを受け付ける。
演算部20は、ディジタルコンテンツ情報データベース222、ディジタルコンテンツ情報集合グラフ構築部24、ディジタルコンテンツ情報グラフ構築部226、初期ディジタルコンテンツ情報選択部28、初期ディジタルコンテンツ情報集合選択部30、ディジタルコンテンツ情報系列生成部232、及びディジタルコンテンツ情報系列評価部38を備えている。
ディジタルコンテンツ情報データベース222には、入力部210によって受け付けた複数の楽曲情報系列が格納される。
ディジタルコンテンツ情報グラフ構築部226は、ディジタルコンテンツ情報データベース222に格納された複数の楽曲情報系列に基づいて、各楽曲情報を各ノードとし、かつ楽曲情報間の関連性に基づき楽曲情報間に対応するノード間をエッジで結合した、楽曲情報間の関連性を示すグラフである楽曲情報グラフを構築する。
具体的には、ディジタルコンテンツ情報グラフ構築部226は、上記非特許文献1又は上記非特許文献2に記載の方法を用いて、楽曲情報系列から得られる系列の傾向を反映した楽曲情報グラフを構築する。
これらの方法では、各楽曲情報tmをD次元空間の1点
もしくは2点
に埋め込む。これらの埋め込み点は、各楽曲情報系列の中で連続して出現する楽曲情報の対
それぞれに対応する埋め込み点が互いに近くに配置されるように決定される。具体的な埋め込みの方法については上記非特許文献1に記載されている方法を用いればよいため、説明を省略する。
このとき、楽曲情報グラフの各ノードは楽曲情報tmであり、埋め込み点の座標x(tm)もしくは埋め込み点対の座標(u(tm),v(tm))を属性として保持する。さらに、各楽曲情報tmの頻出度を表現するバイアス項bm∈Rを追加の属性として保持することも可能である。バイアス項の計算方法は上記非特許文献1に記載の方法を用いる。さらに、各楽曲情報の内容を表現するベクトル
を算出して追加の属性とすることも可能である。
ノード
とノード
との間のエッジ
は、例えば、対応する埋め込み点の間の距離
によって規定することができ、例えば、距離が所定の閾値よりも短いノード間のエッジのみ残す、ノード
からの距離が近い順に所定の個数のノード
だけを選択してエッジを作る、などの方法が考えられる。この距離
がエッジの重み
となる。距離の具体的な計算方法としては、ノードの埋め込み点が1点の場合、埋め込み点の間の距離を採用する方法が考えられる。
ただし、
はユークリッドノルム(l2ノルム)である。ノードの埋め込み点が2点の場合には、例えば、以下のような方法で距離を計算できる。
ディジタルコンテンツ情報系列生成部232は、ディジタルコンテンツ情報グラフ構築部26によって構築された楽曲情報グラフと、初期ディジタルコンテンツ情報選択部28によって選択された初期楽曲情報、又は後述する注目ディジタルコンテンツ情報更新部234によって選択された注目楽曲情報とに基づいて、次の注目楽曲情報を選択することを繰り返し行い、注目楽曲情報の系列を、出力楽曲情報系列として生成する。ディジタルコンテンツ情報系列生成部32は、注目ディジタルコンテンツ情報更新部234、及び注目ディジタルコンテンツ情報集合更新部36を備えている。
注目ディジタルコンテンツ情報更新部234は、注目ディジタルコンテンツ情報更新部34は、ディジタルコンテンツ情報グラフ構築部26によって構築されたディジタルコンテンツ情報グラフと、初期ディジタルコンテンツ情報選択部によって選択された初期楽曲情報又は注目ディジタルコンテンツ情報更新部234によって選択された注目楽曲情報とに基づいて、次の注目楽曲情報を選択する。次の注目楽曲情報を選択する方法は特に限定されるものではないが、第2の実施の形態においては、注目ディジタルコンテンツ情報更新部234は、図7に示されるように、注目ディジタルコンテンツ情報候補列挙部344、及び注目ディジタルコンテンツ情報編集部342を備えている場合を例に説明する。
注目ディジタルコンテンツ情報候補列挙部344は、ディジタルコンテンツ情報グラフ構築部26によって構築された楽曲情報グラフ、及び選択された注目楽曲情報に基づいて、次の注目楽曲情報の候補を複数選択する。
例えば、現在(第i番目)の注目楽曲情報をt(i)、初期楽曲情報(注目楽曲情報の初期値)をt(0)としたとき、次(第i+1番目)の注目楽曲情報t(i+1)を選択する確率は以下のように設定される。
ただし、Zは確率の総計を1にするための正規化定数、α,β,γ,δはそれぞれあらかじめ定められた定数、Δ(t,t’)は2つの楽曲情報tとt’の距離を埋め込み点の情報に基づいて算出する関数、W∈RC×Cは楽曲情報tの楽曲情報特徴量o(t)を変換する行列である。関数Δ(t,t’)は例えば下記のように設定する。
すなわち、現在の注目楽曲情報t(i)および初期楽曲情報t(0)と埋め込み点が近い楽曲情報、もしくは楽曲情報系列中に頻出する楽曲情報が、次の注目楽曲情報t(i+1)として選択されやすく、その度合いは楽曲情報特徴量によっても変動する。
この選択確率に従って、次の注目楽曲情報t(i+1)をランダムに一つ、もしくは複数選択する。このとき、過去H曲の注目楽曲情報の履歴t(i),t(i−1),...,t(i−H)を記憶しておき、この履歴に含まれる楽曲情報を次の注目楽曲情報として選択しない方法を採用することも可能である。
楽曲情報グラフが複数与えられている場合には、各楽曲情報グラフから次の注目楽曲情報t(i+1)が選択される確率を計算し、その積によって選択確率を算出すれば良い。
<ディジタルコンテンツ情報系列生成装置の作用>
次に、第2の実施の形態に係るディジタルコンテンツ情報系列生成装置100の作用について説明する。まず、複数の楽曲情報系列を含む入力データが、ディジタルコンテンツ情報系列生成装置200に入力されると、ディジタルコンテンツ情報系列生成装置200によって、入力された複数の楽曲情報系列が、ディジタルコンテンツ情報データベース222へ格納される。そして、ディジタルコンテンツ情報系列生成装置200によって、図8に示すディジタルコンテンツ情報系列生成処理ルーチンが実行される。
ステップS202において、ディジタルコンテンツ情報グラフ構築部226によって、ディジタルコンテンツ情報データベース222に格納された複数の楽曲情報系列に基づいて、楽曲情報グラフを構築する。
ステップS208において、注目ディジタルコンテンツ情報候補列挙部344によって、上記ステップS102で構築された楽曲情報グラフ、及び後述するステップS110で前回選択された注目楽曲情報に基づいて、次の注目楽曲情報の候補を複数選択する。
そして、ステップS110において、注目ディジタルコンテンツ情報編集部342によって、上記ステップS104で選択された初期楽曲情報、又は前回の本ステップS110で選択された注目楽曲情報と、上記ステップS108で選択された注目楽曲情報の候補の各々とに基づいて、次の注目楽曲情報の候補を選択し、次の注目楽曲情報を生成する。
そして、ステップS112において、注目ディジタルコンテンツ情報集合更新部36によって、上記ステップS100で構築された楽曲情報集合グラフと、上記ステップS106で選択された初期楽曲情報集合、又は前回の本ステップS112で選択された注目楽曲情報集合と、上記ステップS110で選択された注目楽曲情報とに基づいて、次の注目楽曲情報集合を選択する。
そして、ステップS114において、予め定められた繰り返し条件を満たしたか否かを判定する。予め定められた繰り返し条件を満たした場合には、ステップS116へ進む。一方、予め定められた繰り返し条件を満たしていない場合には、ステップS208へ戻る。
そして、ステップS116において、ディジタルコンテンツ情報系列生成部32によって、上記ステップS110で得られた注目楽曲情報の系列を出力楽曲情報系列として生成する。
そして、ステップS118において、ディジタルコンテンツ情報系列評価部38によって、上記ステップS102で構築された楽曲情報グラフ、及び上記ステップS100で構築された楽曲情報集合グラフに基づいて、上記ステップS116で生成された出力楽曲情報系列の生成されやすさを表す値として、楽曲情報系列尤度を算出する。
そして、ステップS120において、上記ステップS116で生成された楽曲情報系列と、上記ステップS118で算出された楽曲情報系列尤度とを、出力部40により出力してディジタルコンテンツ情報系列生成処理ルーチンを終了する。
以上説明したように、第2の実施の形態に係るディジタルコンテンツ情報系列生成装置によれば、入力データに含まれる複数の楽曲情報系列に基づいて、各ディジタルコンテンツ情報を各ノードとし、かつ楽曲情報間の関連性に基づき楽曲情報間に対応するノード間をエッジで結合した、楽曲情報間の関連性を示すグラフである楽曲情報グラフを構築し、構築された楽曲情報グラフと、選択された初期楽曲情報とに基づいて、次の注目楽曲情報を選択することを繰り返し行い、注目楽曲情報の系列を、出力楽曲情報系列として生成することにより、楽曲情報グラフを利用して楽曲情報系列を生成することができる。
[第3の実施の形態]
<システム構成>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1又は第2の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
図9に示すように、第3の実施の形態に係るディジタルコンテンツ情報系列生成装置300は、複数の楽曲情報系列又は複数の楽曲情報集合を入力し、楽曲情報系列を生成する装置であり、具体的にはCPU(Central Processing Unit)と、RAMと、後述するディジタルコンテンツ情報系列生成処理ルーチンを実行するためのプログラムを記憶したROMとを備えたコンピュータで構成され、機能的には次に示すように構成されている。
ディジタルコンテンツ情報系列生成装置300は、入力部10、演算部320、及び出力部40を備えている。
入力部10は、複数の楽曲情報系列又は複数の楽曲情報集合を含む入力データを受け付ける。
演算部20は、ディジタルコンテンツ情報データベース22、ディジタルコンテンツ情報集合グラフ構築部24、初期ディジタルコンテンツ情報選択部28、注目ディジタルコンテンツ情報更新部334を備えている。
注目ディジタルコンテンツ情報更新部334は、ディジタルコンテンツ情報グラフ構築部26によって構築されたディジタルコンテンツ情報グラフと、初期ディジタルコンテンツ情報選択部28によって選択された初期楽曲情報、又は注目ディジタルコンテンツ情報更新部334によって前回選択された注目楽曲情報とに基づいて、次の注目楽曲情報を選択する。
具体的には、注目ディジタルコンテンツ情報更新部334は、第1の実施の形態の注目ディジタルコンテンツ情報候補列挙部340が注目楽曲情報集合l(i)を用いずに次の注目楽曲情報を選択する場合と同様に、次の注目楽曲情報を選択する。
注目ディジタルコンテンツ情報更新部334は、第1の実施の形態と同様に、例えば、現在(第i番目)の注目楽曲情報をt(i)とするとき、次(第i+1番目)の注目楽曲情報t(i+1)を選択する確率を以下のように設定する。
上記関数f(・;θ1)の具体的な設定方法は特に限定されるものではないが、例えば線形関数
や指数関数
などが考えられる。
また、第1の実施の形態と同様に、様々な楽曲情報集合に含まれる人気の楽曲情報が選ばれやすく、もしくは選ばれにくくするために、次の注目楽曲情報が含まれる楽曲情報集合の数を同時に考慮する方法も考えられる。
関数f2(x,y;θ2)の具体的な設定方法は特に限定されるものではないが、例えばxとyの比に関する線形関数
や指数関数
などが考えられる。
そして、注目ディジタルコンテンツ情報更新部334は、次の注目楽曲情報を選択することを繰り返し行い、注目楽曲情報の系列を、出力楽曲情報系列として生成する。
<ディジタルコンテンツ情報系列生成装置の作用>
次に、第3の実施の形態に係るディジタルコンテンツ情報系列生成装置300の作用について説明する。まず、複数の楽曲情報集合又は複数の楽曲情報系列を含む入力データが、ディジタルコンテンツ情報系列生成装置300に入力されると、ディジタルコンテンツ情報系列生成装置300によって、入力された複数の楽曲情報集合又は複数の楽曲情報系列が、ディジタルコンテンツ情報データベース22へ格納される。そして、ディジタルコンテンツ情報系列生成装置300によって、図10に示すディジタルコンテンツ情報系列生成処理ルーチンが実行される。
ステップS310において、注目ディジタルコンテンツ情報更新部334によって、ステップS102で構築されたディジタルコンテンツ情報グラフと、ステップS104で選択された初期楽曲情報、又は本ステップS308で前回選択された注目楽曲情報とに基づいて、次の注目楽曲情報を選択する。
そして、ステップS114において、予め定められた繰り返し条件を満たしたか否かを判定する。予め定められた繰り返し条件を満たした場合には、ステップS116へ進む。一方、予め定められた繰り返し条件を満たしていない場合には、ステップS308へ戻る。
以上説明したように、第3の実施の形態に係るディジタルコンテンツ情報系列生成装置によれば、入力データに含まれる複数の楽曲情報系列又は複数の楽曲情報集合に基づいて、各ディジタルコンテンツ情報を各ノードとし、かつ楽曲情報間の関連性に基づき楽曲情報間に対応するノード間をエッジで結合した、楽曲情報間の関連性を示すグラフである楽曲情報グラフを構築し、構築された楽曲情報グラフと、選択された初期楽曲情報とに基づいて、次の注目楽曲情報を選択することを繰り返し行い、注目楽曲情報の系列を、出力楽曲情報系列として生成することにより、楽曲情報集合を利用して楽曲情報系列を生成することができる。
[第4の実施の形態]
<システム構成>
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1〜第3の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
図11に示すように、第4の実施の形態に係るディジタルコンテンツ情報系列生成装置400は、複数の楽曲情報系列を入力し、楽曲情報系列を生成する装置であり、具体的にはCPU(Central Processing Unit)と、RAMと、後述するディジタルコンテンツ情報系列生成処理ルーチンを実行するためのプログラムを記憶したROMとを備えたコンピュータで構成され、機能的には次に示すように構成されている。
ディジタルコンテンツ情報系列生成装置400は、入力部210、演算部420、及び出力部40を備えている。
演算部420は、ディジタルコンテンツ情報データベース222、ディジタルコンテンツ情報集合グラフ構築部224、初期ディジタルコンテンツ情報選択部28、注目ディジタルコンテンツ情報更新部434を備えている。
注目ディジタルコンテンツ情報更新部434は、ディジタルコンテンツ情報グラフ構築部26によって構築されたディジタルコンテンツ情報グラフと、初期ディジタルコンテンツ情報選択部28によって選択された初期楽曲情報、又は注目ディジタルコンテンツ情報更新部334によって前回選択された注目楽曲情報とに基づいて、次の注目楽曲情報を選択する。
具体的には、注目ディジタルコンテンツ情報更新部434は、第2の実施の形態の注目ディジタルコンテンツ情報更新部234と同様に、現在(第i番目)の注目楽曲情報をt(i)、初期楽曲情報(注目楽曲情報の初期値)をt(0)としたとき、次(第i+1番目)の注目楽曲情報t(i+1)を選択する確率に基づいて、注目楽曲情報を選択する。
そして、注目ディジタルコンテンツ情報更新部434は、次の注目楽曲情報を選択することを繰り返し行い、注目楽曲情報の系列を、出力楽曲情報系列として生成する。
<ディジタルコンテンツ情報系列生成装置の作用>
次に、第4の実施の形態に係るディジタルコンテンツ情報系列生成装置400の作用について説明する。まず、複数の楽曲情報系列を含む入力データが、ディジタルコンテンツ情報系列生成装置400に入力されると、ディジタルコンテンツ情報系列生成装置400によって、入力された複数の楽曲情報系列が、ディジタルコンテンツ情報データベース222へ格納される。そして、ディジタルコンテンツ情報系列生成装置400によって、図12に示すディジタルコンテンツ情報系列生成処理ルーチンが実行される。
ステップS410において、注目ディジタルコンテンツ情報更新部434によって、ステップS102で構築されたディジタルコンテンツ情報グラフと、ステップS104で選択された初期楽曲情報、又は本ステップS308で前回選択された注目楽曲情報とに基づいて、次の注目楽曲情報を選択する。
そして、ステップS114において、予め定められた繰り返し条件を満たしたか否かを判定する。予め定められた繰り返し条件を満たした場合には、ステップS116へ進む。一方、予め定められた繰り返し条件を満たしていない場合には、ステップS410へ戻る。
以上説明したように、第4の実施の形態に係るディジタルコンテンツ情報系列生成装置によれば、入力データに含まれる複数の楽曲情報系列に基づいて、各ディジタルコンテンツ情報を各ノードとし、かつ楽曲情報間の関連性に基づき楽曲情報間に対応するノード間をエッジで結合した、楽曲情報間の関連性を示すグラフである楽曲情報グラフを構築し、構築された楽曲情報グラフと、選択された初期楽曲情報とに基づいて、次の注目楽曲情報を選択することを繰り返し行い、注目楽曲情報の系列を、出力楽曲情報系列として生成することにより、楽曲情報集合を利用して楽曲情報系列を生成することができる。
<実験結果>
上述した実施の形態の手法を検証するために、音楽特化型SNSであるLast.fmから収集したユーザプレイリストを用いて、いくつかの実施の形態で解析を行った。Last.fmのユーザプレイリストは、楽曲情報の順序が楽曲情報の類似性を必ずしも反映しないものの、同一集合に含まれる楽曲情報相互の弱い類似性を仮定でき、大量に収集することが可能な楽曲情報の集合の代表的な例の一つである。取得したLast.fmユーザの数はおよそ47万名であり、それらユーザが公開しているプレイリストの総数はおよそ19万本であった。
これら収集したデータの一部から、前述の方法を用いて構築した楽曲情報集合グラフの例を図13及び図14に示す。楽曲情報集合グラフを二次元空間に埋め込む方法は数多く知られており、例えば非特許文献4(Kamada and Kawai "An algorithm for drawing general undirected graphs," Information Processing Letters, Vol.31, No.1, pp.7-15, 1989.)に示す方法などを用いることができる。
図13は、収集したLast.fmユーザおよそ47万のうち、日本に居住しているユーザおよそ1.5万が公開しているプレイリストおよそ3400本から構築した楽曲情報集合グラフである。これらのプレイリストに含まれる総楽曲情報数はおよそ6.7万曲であった。同様に、図14は、米国に居住しているユーザおよそ5.8万が公開しているプレイリストおよそ1.5万本から構築した楽曲情報集合グラフであり、それらのプレイリストに含まれる総楽曲情報数はおよそ26万曲であった。これらの楽曲情報集合グラフから、類似するジャンルの楽曲情報で構成されるプレイリストが互いに隣接した位置に配置されていることがわかる。
同じデータを用いて上記非特許文献1に記載の方法により構成した楽曲情報グラフの例を図15に示す。図15から、類似する嗜好性を持つと思われるアーティストがグラフ中で散逸していることが見て取れる。このことは、従来技術による楽曲情報グラフの構成は、一般ユーザが構成したプレイリストを対象とした場合には問題があることを示しており、すなわち提案技術の有効性を示すものである。
図16及び図17に、日本に居住しているユーザが公開しているプレイリストから構築した楽曲情報集合グラフに基づいて生成した楽曲情報系列、及び生成した楽曲情報系列が含まれる楽曲情報集合の位置を可視化した図を示す。図16は楽曲情報系列生成の際に初期楽曲情報を参照しない場合、図17は楽曲情報系列生成の際に初期楽曲情報を参照する場合を、それぞれ示している。初期楽曲情報を参照することにより、より嗜好性が類似する楽曲情報を系列に多く含みやすくなると共に、楽曲情報集合グラフの上で局所的な領域に止まる、もしくは隣接クラスタの間を交互に移動する傾向が強くなることが見て取れる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
例えば、上記実施の形態では、説明の簡略化と明確化を目的として、音楽をディジタルコンテンツの例として説明を行い、ディジタルコンテンツ情報として楽曲情報を用いる場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば動画等、他のディジタルコンテンツ情報を用いても良い。
また、上記第1又は第3の実施の形態において、複数の楽曲情報系列又は複数の楽曲情報集合を含む入力データが入力される場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば複数の楽曲情報系列及び複数の楽曲情報集合の双方を含む入力データを入力としてもよい。この場合、ディジタルコンテンツ情報集合グラフ構築部24は、複数の楽曲情報系列を複数の楽曲情報集合に変換した上で、両者を区別せずに楽曲情報集合グラフを構築するようにすればよい。
また、上記第1又は第2の実施の形態において、ディジタルコンテンツ情報系列評価部38は、構築された楽曲情報グラフ及び構築された楽曲情報集合グラフに基づいて、出力楽曲系列の生成されやすさを表す値として、楽曲情報系列尤度を算出する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、構築された楽曲情報グラフ及び構築された楽曲情報集合グラフの何れか一方に基づいて、楽曲情報系列尤度を算出してもよい。
また、上記実施の形態を組み合わせることもでき、例えば、第1の実施の形態における楽曲情報グラフの構築方法と、第2の実施の形態における楽曲情報グラフの構築方法の双方を同時に採用することもできる。この場合には、楽曲情報集合が入力されたときに第1の実施の形態における構築方法で楽曲情報グラフを構築し、楽曲情報系列が入力されたときに第2の実施の形態における構築方法で楽曲情報グラフを構築する。
また、本願明細書中において、プログラムが予めインストールされている実施形態として説明したが、当該プログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。