まず、本発明を創出するきっかけとなった基本発明を具体化した各実施形態についてまず説明し、その後、本発明の遊技機の特徴的部分、すなわち音声出力手段としてフィルムスピーカを用いることにより、前面枠内の装飾領域の増大による視覚的演出効果の向上や新たな音響的演出効果の付与等を実現した遊技機の特徴的部分についての実施形態について詳細に説明するものとする。
なお以下の実施形態ではパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という。)を具体例として説明するが、本発明はパチンコ機に限られず、スロットマシン、パロットなどスピーカから演出音を発生させるすべての遊技機に応用することができる。
この基本発明のパチンコ機は、スピーカの配置を工夫することで、当該遊技機の遊技者には音声が明瞭に聴取され且つ周囲からは聴取され難くすることを目的としたものであるが、遊技機上部両隅のスピーカをなくしているため、実質的には前面枠内の装飾領域の増大が図られているといえる。すなわち図19に示した従来のパチンコ機201においては、スピーカ80が装飾部材71を分断するように、かつ、多くのスペースを占有した状態で前面枠3の上部二隅に配設されており、また、このようなスピーカ80から出力された音声(演出音)は周囲に拡散しやすく、周囲の遊技者にとってはその音声が煩わしい騒音となっていたところ、この基本発明の遊技機はこれらの問題を改善するものである。
最初に、基本発明の第一の実施形態であるパチンコ機について説明する。
実施形態のパチンコ機1は、内部の遊技球払い出し機構を利用して遊技球の貸し出しを行うCR機と称されるタイプのパチンコ機であり、図1に示すように、カードユニット20が隣接配置され且つ電気的に接続されている。カードユニット20は、予め金額情報が記録された価値媒体としてのプリペイドカード22を投入可能なカード投入口21を有し、プリペイドカード22から金額情報の読み出し及び書き込みが可能となっている。
パチンコ機1は、図1乃至図5に示すように、外枠2と、その外枠2の前部に設けられ外枠2の一側部にて開閉可能に支持された前面枠3とを備えている。外枠2は、パチンコ機1のベースとなる枠であり、板材により全体として矩形状に構成されている。尚、本実施の形態では、外枠2は木製であって、上下方向の長さは808mm、左右方向の長さは520mmとなっている。また、前面枠3は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂により構成されている。前面枠3の開閉軸線はパチンコ機1の正面から見て左側に上下に延びるように設定されている。尚、外枠2は樹脂により構成されていてもよく、あたかも外枠2及び前面枠3が一体物に見えるように構成されていてもよい。
前面枠3には、後述する下皿ユニット51を除く前面枠3の前面側を覆うように、ガラス扉枠4が開閉自在に設けられている。尚、ガラス扉枠4が基本発明の開閉枠を、前面枠3が基本発明の本体枠をそれぞれ構成するものである。また、後述する上皿54を除いて外枠2,前面枠3及びガラス扉枠4を含むパチンコ機1のすべての構成部材が基本発明の本体を構成するものである。また、ガラス扉枠4の開閉軸線(軸支部)もパチンコ機1の正面から見て左側に上下に延びるように設定されている。
詳しくは、ガラス扉枠4の背面図である図5に示すように、ガラス扉枠4の裏側から見て右側の上端部付近に回動軸91が設けられ、図5に示すように前面枠3の正面から見て左側の上端部付近には回動軸91が嵌め込まれる軸受部92が設けられている。また、軸受部92の下方には、上方に突出する突回動軸93が設けられ、ガラス扉枠4の下側面には、前記回動軸91の下方位置において、前記突回動軸93を嵌め込むための図示しない軸受凹部82が設けられている。そして、突回動軸93を前記軸受凹部82に嵌め込み、回動軸91を軸受部92に嵌め込むことによって、ガラス扉枠4が軸支され開閉可能となる。このように本実施の形態では、回動軸91と突回動軸93を結ぶ線がガラス扉枠4の開閉軸線として設定されている。
また、ガラス扉枠4には、裏側から一対のガラス42が並行して取り付けられている。ガラス扉枠4の左右方向の長さは、前面枠3とほぼ同等であり、そのガラス扉枠4によって前面枠3下部に設けられた下皿ユニット51を除く殆どの部分が覆われるようになっている。
前記前面枠3の後側(ガラス扉枠4の奥、外枠2の内側)には、遊技盤5が着脱可能に装着されている。なお、遊技盤5は、その周縁部が前面枠3の裏側に当接した状態で取り付けられており、図4では、遊技盤5の前面部の略中央部分だけが前面枠3の前面側に露出した状態となっている。この遊技盤5の上下方向の長さは476mm、左右方向の長さは451mmとなっている。また、遊技盤5には、ルータ加工が施されることによって複数の開口部が形成されており、各開口部には、普通入賞チャッカー6、可変入賞装置7、作動チャッカー8、図柄変動表示装置57、スルーチャッカー10等が配設されている。図柄変動表示装置57は、液晶表示部と、当該液晶表示部の周囲に配設されたセンターフレームとを備えている。
尚、図柄変動表示装置57の制御を行う表示制御基板や、スピーカ59における音声出力の制御を行う音声制御基板を含む各種の制御基板は、図3に示すように、遊技盤5の背面側に設けた透明樹脂製の裏パック5aによって覆われている。また、パチンコ機1の主制御を行うメイン基板はメイン基板ボックス5bに、入賞による遊技球の払い出しやカードユニット20からの貸し出し要求に基づいて遊技球の払い出しを行う払出ユニット5d及び遊技球の発射を行う発射装置31の制御を行う払出発射制御基板は払出発射制御基板ボックス5cにそれぞれ収納されている。
図柄変動表示装置57の液晶表示部には、例えば左図柄列、中図柄列及び右図柄列の3つの表示列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が各図柄列毎にスクロールされるように表示画面に可変表示されるようになっている。尚、図柄変動表示装置57の配設構造については後述する。
また、可変入賞装置7は、通常、遊技球Bが入賞できない状態又は入賞し難い状態になっている。より詳しくは、作動チャッカー8に対し遊技球Bが入賞することに基づいて、図柄変動表示装置57の液晶表示部の図柄が可変表示される。そして、確定された図柄の組合わせが予め設定した特定の図柄の組合わせとなったこと、ここでは停止した図柄が特定の組み合わせであることを必要条件に特別遊技状態が発生し、可変入賞装置7の大入賞口が所定の開放状態となり(具体的には所定時間、所定回数だけ開く)、遊技球Bが入賞しやすい状態(大当り遊技状態)になるよう構成されている。尚、図柄変動表示装置57において変動表示される複数の図柄列のうち、1つを除く他の図柄列の停止時の組合せが大当り図柄の組合せであるリーチ遊技状態となったときに、図柄変動表示装置57においてリーチ演出画面が表示されると共に、リーチ遊技状態の発生が後述するスピーカ59から出力される効果音によって報知される。
また、周知のとおり、前記一般入賞口6、可変入賞装置7、作動チャッカー8に遊技球Bが入賞することに基づいて、後述する上皿54(場合によっては下皿53)に対し所定数の景品球が払い出されるようになっている。また、遊技盤5には、遊技球Bの落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車9等の各種部材(役物)が配設されている。
さて、前記前面枠3は、外形が前記外枠2とほぼ同一形状をなす樹脂ベース11と、この樹脂ベース11の最内周側に位置し略円弧状をなすよう一体形成された内レール12と、主として図の左側の内レール12に対し所定間隔を隔てて前記樹脂ベース11に一体形成された外レール13とを備えている。これら内レール12及び外レール13は遊技球発射ハンドル52の回動操作に基づき発射装置31から発射された遊技球Bを遊技盤5上部へ案内する発射路としての役割を主として果たすものである。従って、内レール12と外レール13とが並行する部分(向かって左側の部分)によって、誘導レールが構成されることとなる。
前記内レール12の下端部付近において、遊技盤5には遊技球Bを導出するアウト口25が形成されている。そして、遊技盤5の下部に落下した遊技球の多くは、このアウト口25を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。このような構成の下、前面枠3の内周側の窓孔によって主として遊技領域の外延が確定されており、前面枠3に対し遊技盤5が装着された状態にあっては、内レール12及び外レール13が遊技盤5に当接又は近接した状態となる。そして、発射装置31により発射された遊技球Bは、主として外レール13によって遊技盤5の上部へと案内される。また、遊技盤5には、遊技球の払い出しを行う払出口32が設けられ、この払出口32に連通するようにガラス扉枠4側に払出口45が設けられている(図4及び図5参照)。
次に、遊技領域について説明する。本実施の形態では、遊技領域を、パチンコ機1の正面から見て、内レール12及び外レール13によって囲まれる領域のうち、内外レール12,13の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域としている。また、パチンコ機1において、外レール13の最上部地点から遊技盤5下部までの間の距離は462mm、外レール13の極左位置から内レール12の極右位置までの間の距離は449mmとなっている。また、内レール12の極左位置から内レール12の極右位置までの間の距離は432mmとなっている。
ここで、ガラス扉枠4について説明する。ガラス扉枠4には、前記遊技領域の殆どを外部から視認することができるように略楕円形状の窓部41が形成されている。具体的には、前記窓部41は、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲した形状となっている。なお、前記略中央部が直線状になるようにしてもよい。本実施の形態において、前記窓部41の上端(外レール13の最上部、遊技領域の上端)と、ガラス扉枠4の上端との間の距離(いわゆる上部フレーム部分の上下幅)は50mmとなっており、85mm〜95mm程度上部フレーム幅がある従来技術に比べ、著しく短くなっている。なお、上記距離は、80mm以下であることが望ましく、より望ましくは70mm以下であり、さらに望ましくは60mm以下である。勿論、所定の強度が確保できるのであれば、50mm以下であっても差し支えない。
また、窓部41の左端と、ガラス扉枠4の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅)は、ガラス扉枠4自体の強度及び支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。より詳しくは、図1及び図4を相互に比較すると明らかなように、ガラス扉枠4が閉じられた状態において、外レール13の左側部は勿論、内レール12の左側部も前記左側部フレーム部分によって覆い隠される。すなわち、誘導レールの一部が覆い隠される。このように遊技球Bが一時的に視認困難となったとしても、それは、遊技球Bが遊技領域に案内される通過点に過ぎず、遊技者が主として遊技を楽しむ遊技領域において遊技球Bが視認困難となるわけではない。そのため、実際の遊技に際しては何ら支障が生じない。また、このような支障が生じない一方で、ガラス扉枠4の十分な強度及び支持強度が確保可能となっている。ちなみに、外レール13の左端位置と外枠2の左端位置との左右方向の距離は21mm、遊技領域の右端位置(内レール12の右端位置)と外枠2右端位置との左右方向の距離は44mmとなっている。また、ガラス扉枠4には、図5に示すように、その左右フレーム部分の裏側において、そのガラス扉枠4を補強するための例えば金属製の補強部材43,44が取り付けられている。
併せて、図1及び図4に示すように、ガラス扉枠4の存在していない前面枠3下部は、例えばABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂よりなる下皿ユニット51となっている。下皿ユニット51の右下部からは、遊技球発射用ハンドル52が手前側に延設されている。また、下皿ユニット51のほぼ中央部には球受け皿としての景品球払出用の下皿53が設けられている。さらに、下皿ユニット51には下皿53の左側に隣接して灰皿56が設けられている。
これに対し、ガラス扉枠4における窓部41下方の下部フレームには、上皿54が一体的に設けられている。上皿54は、合成樹脂を成形することによって製造され、ガラス扉枠4の払出し口45より払い出された遊技球及び遊技者により投入された遊技球を貯留する貯留部54a、払出し口45より払い出された遊技球を貯留部54aへ流入させる流入口54l、及び貯留部54aに貯留された遊技球をガラス扉枠4の供給穴49を通して発射装置31側へ供給する供給口54rを有し、流入口54l及び供給口54rの後端面においてガラス扉枠4にビス等を用いて取り付け固定されている。
上皿54の貯留部54aは、流入口54l及び供給口54rに連続する底面部54bと、底面部54bの周囲を取り囲むように立設された前壁部54cと、底面部54bを挟んで前壁部54cと対向するように流入口54lと供給口54rとの間に立設され且つ前壁部54c側へ凸状となるように湾曲形成された後壁部54dとを有している。底面部54bは、左右方向に細長く且つガラス扉枠4から前方へ張り出すように形成されている。また、底面部54b後部の流入口54lと供給口54rとの間には前方側へ凹状をなす凹状輪郭部54uが形成され、上述した後壁部54dは凹状輪郭部54uに沿って立設されている。後壁部54dは、左右方向中央部でガラス扉枠4より数十mm程度(例えば、30〜50mm)前方側へ離間しており、後壁部54d背面とガラス扉枠4前面との間に空間部54hが形成される構造となっている。
図2(a)は上皿54の平面図、(b)はスピーカ59付近の斜視図、(c)は(a)の上皿のA−A線断面図であり、図2(a)では、上皿54が取り付けられるガラス扉枠4を点線で示している。また、図2(c)に示すように、後壁部54dの上縁が丸みを帯びた断面形状に形成されているので、極めて安全性が高い。例えば、遊技者が指を移動させる際に後壁部54dに触れた場合にも、遊技者の指を傷つけることが防止される。
貯留部54aの底面部54b上には、後壁部54dの右側に、遊技球を一列に整列させて供給口54rより供給穴49を通して発射装置31側へ流下させる整流部54eが設けられている。整流部54eには、遊技球を後述する直線部54fへ誘導するための傾斜壁54kが、直線部54fを挟んで前壁部54c側及び後壁部54d側に形成されており、遊技球の流路が徐々に狭まる構造となっている。また、整流部54eには、底面部54b上で前後方向に延設され且つ前方側から供給穴49の位置する後方側に向かって下り傾斜する直線部54fが設けられ、この直線部54fの底面に細長い長方形状の金属板54mが装着されている。金属板54mは、遊技球の流れをスムーズにする機能、底面を補強して摩擦による削れを防止する機能、ノイズを防止する機能等を有している。また、金属板54mの下流端側には球抜き穴54jが形成されている。この球抜き穴54jは、通常の状態において直線部54fの底面裏側をスライド自在に設けられる開閉弁54iによって閉塞されており、開閉弁54iが前壁部54cに設けられる球抜きレバー54gの操作により移動されたときに、球抜き穴54jが開放されて貯留部54a内に貯留されていた遊技球を図示しない球抜き通路を介して下皿53に移動せしめるものである。
ここで、上皿54の貯留部54aにおける遊技球Bの流れについて、図6を参照しつつ説明する。遊技球Bは、払出口45より払い出されると流入口54lより貯留部54a内に流入し、緩やかに右下がりに傾斜する底面部54bと、前壁部54c及び後壁部54dとに案内されて貯留部54a右側の供給口54rへ向かって転動して整流部54eに到達する。また、遊技者によって遊技球Bが貯留部54a内へ投入された場合も、同様に、底面部54b等に案内されて転動して整流部54eへ到達する。そして、遊技球Bは整流部54eの直線部54fを挟んで両側に設けられた傾斜壁54kによって誘導されて一列に整列されると共に、直線部54f上を下り傾斜する後方側(ガラス扉枠4側)へ転動して金属板54mの下流端より供給穴49へ流下する。供給穴49から球送り装置48へ供給された遊技球は、1個ずつ発射レール33に導かれ、発射装置31によって発射される。
ガラス扉枠4の窓部41下方には、遊技球の貸し出しに関する操作を行うための貸球操作部46が設けられ、さらに下方には、基本発明の音声出力部を構成するスピーカ59が配設されている。貸球操作部46は、図1に示すように、遊技球の貸し出し可能状態をランプによって示す貸出ボタンランプ46a、遊技球の貸し出しを行うための貸出ボタン46b、プリペイドカード22の返却を行うための返却ボタン46c、プリペイドカード22の残り度数を表示する度数表示LED46dとを備えている。
スピーカ59は、図示しない接続コードを介して音声制御基板と電気的に接続されたスピーカ本体59aと、スピーカ本体59aを収納するケース59bとから構成される。ケース59b前面部には、多数の小孔が形成されており、スピーカ本体59aから出力される音声が外部から聴こえやすくなっている。そして、スピーカ59は、上皿54の後壁部54dとガラス扉枠4との間に形成された空間部54h内に配設されている。すなわち、スピーカ59は、ガラス扉枠4において空間部54hを挟んで上皿54の後壁部54dに対向する領域に固着されている。また、スピーカ59は、スピーカ本体59a前面部が当該遊技者方向を向くように傾斜配置されている。
ガラス扉枠4の周囲(例えばコーナー部分や窓部41の周縁)には、各種ランプ、LED等の発光表示手段を備えた電飾部材(装飾部−装飾部材)62が設けられている。これら電飾部材62は、大当り時や所定のリーチ時等の遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光表示手段の発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすようになっている。勿論、これら電飾部材62を、遊技盤5に設ける構成(コーナー飾りと称される電飾部材62を遊技盤5のコーナー部等に配設する)としてもよいし、場合によっては前面枠3に設ける構成としてもよい。更には、前後一対のガラス42間に配設する構成としてもよい。
また、周知のとおり、前面枠3が外枠2に対し閉じられると自動的にロックがかかるようになっており、所定のキー操作が行われることによりロックが解除されるようになっている。同様に、ガラス扉枠4が前面枠3に対し閉じられると自動的にロックがかかり、別途のキー操作が行われることによりロックが解除されるようになっている。このようにロック及びロック解除を行うためのロック機構が前面枠3の右下部、つまり下皿ユニット51の右端部に設けられている。ロック機構には、鍵穴を有するキーシリンダ(解除キー)55、前面枠3及び外枠2間でのロック及び解除を行うための第2ロック機構が含まれる。本実施の形態では、最も幅狭で、遊技領域の拡張を阻害する前面枠の右中央部ではなく、比較的にスペースにゆとりのある前面枠3の右下部に、キーシリンダ55をはじめとする上記ロック機構(特にキーシリンダ55)が配設されている。換言すれば、キーシリンダ55は、遊技領域の最大幅となる位置を避けて配置されている。このような構成により、遊技領域の拡張をより容易且つ確実に図ることができる。
勿論、最も幅狭な部分以外であれば、上記以外の部位に設けてもよく、例えば、前面枠3の右上部に設けるような構成としてもよい。また、上記例では、第1ロック機構及び第2ロック機構をキーシリンダ55でともにロック状態を解除可能としたが、それぞれの解除のためのキーシリンダを別体で設けることとしてもよい。
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態によれば、上皿54の貯留部54aの一部を本体(ガラス扉枠4)より離間して形成することによって貯留部54aと本体(ガラス扉枠4)との間に空間部54hを形成すると共に、空間部54h内に音声出力部としてのスピーカ59を配設したので、当該遊技者に音声を明瞭に聴取させることができると共に、周囲の遊技者からは聴取され難くすることができる。すなわち、図7に示すように、当該パチンコ機1で遊技を行う遊技者の頭部は空間部54hの上方に位置しており、パチンコ機1本体の上下方向略中央に位置し且つ遊技者頭部から近い上皿貯留部54aとガラス扉枠4との間の空間部54h内でスピーカ59によって出力された音声が当該遊技者の耳に直接到達するので、音量が比較的小さく設定された場合でも、当該遊技者は音声を明瞭に聴取することができる。特に、本実施形態では、スピーカ59が遊技者方向に向けて傾斜配置されているので、より直接的に音声が遊技者の耳に到達し、遊技者は音声を一層明瞭に聴取することができる。
一方、上皿貯留部54aとガラス扉枠4とによって上下方向以外が囲まれた空間部54h内で音声が出力された音声は周囲に大きく広がらないので、周囲の遊技者からは当該パチンコ機1の音声が聴取され難い。よって、周囲の遊技者が当該パチンコ機1から出力される音声によって煩わされることが防止される。さらに、例えば、大当り発生の期待感が高まるリーチ遊技状態に当該パチンコ機1から発せられる効果音(「リーチ」等の音声や音楽)に周囲の遊技者が殆ど気づかないため、当該パチンコ機1の図柄変動表示装置57等を他の遊技者から覗き込まれて当該遊技者が不快な気分にさせられることを防止することができる。加えて、スピーカ59が空間部54h内に配設されることにより、他の部材の配置の邪魔にならないという利点がある。
また、スピーカ59をガラス扉枠4に固着した状態で上皿54を取り付けることにより、音声出力部としてのスピーカ59が空間部54h内に配設される構造を容易且つ確実に形成することができる。また、底面部54b上には整流部54eが設けられ、整流部54eには遊技球誘導用の傾斜壁54kが形成されて遊技球の流路が徐々に狭まっているので、貯留された遊技球を一列に整列させて供給口54rより発射装置31側へ確実に流下させることができる。特に、遊技球誘導用の傾斜壁54kが前壁部54c側だけでなく、後壁部54d側にも形成されているので、遊技球が後壁部54d側で滞ることなく供給口54rに向かって誘導される。
また、整流部54eは、底面部54b上で前後方向に延設され且つ前方側から供給口54rが設けられる後方側に向かって下り傾斜する直線部54fを備えている。よって、流入口54lから底面部54b上に流入した遊技球は、前壁部54c側へ凸状に形成された後壁部54dを迂回して供給口54rへ向かう経路に沿って転動し、整流部54eの直線部54fにおいて一列に円滑に整列されて供給口54rより発射装置31側へ確実に流下する。
次に、基本発明の第二の実施形態について、図8を参照しつつ説明する。第二の実施形態は、複数種類の図柄が表示された複数の回転リールを有し、各回転リールの回転停止時の図柄の組合わせに基づく入賞態様に応じて遊技球が払い出されるパロット遊技機(以下、単に「パロット機」と称する)である。本実施形態のパロット機101は、図8に示すように、正面側に開口すると共に、複数種類の図柄が表示された図示しない複数(3個)の回転リールが収容される本体枠120と、本体枠120の前面を覆うように開閉可能に取り付けられ、各回転リールの図柄を視認可能な表示窓163を設けた合成樹脂製のフロントパネル160とを備えている。
また、フロントパネル160には、装飾ランプ162、前方へ突出する台状に形成された上皿154、払い出された遊技球又は上皿154より誘導された遊技球を受けて貯留する下皿170等が設けられている。上皿154の上面には、各回転リールの回転停止時の図柄の組合わせに基づく入賞態様に応じてフロントパネル160の払出し口145より払い出された遊技球及び遊技者により投入された遊技球を貯留する貯留部154a、払出し口145より払い出された遊技球を貯留部154aへ流入させる流入口154l、及び貯留部154aに貯留された遊技球をフロントパネル160の供給穴149を通して本体側へ供給する供給口154rが設けられている。
上皿154の貯留部154aは、流入口154l及び供給口154rに連続する底面部154bと、底面部154bの周囲を取り囲むように立設された前壁部154cと、底面部154bを挟んで前壁部154cと対向するように流入口154lと供給口154rとの間に立設され且つ前壁部154c側へ凸状となるように湾曲形成された後壁部154dとを有している。底面部154bは、左右方向に細長く且つ本体側から前方へ張り出すように形成されている。また、底面部154b後部の流入口154lと供給口154rとの間には前方側へ凹状をなす凹状輪郭部が形成され、上述した後壁部154dは凹状輪郭部に沿って立設されている。後壁部154dは、左右方向中央部でフロントパネル160より数十mm程度(例えば、30〜50mm)前方側へ離間しており、後壁部154dとフロントパネル160との間に空間部154hが形成される構造となっている。
フロントパネル160の回転リールを臨む窓部141下方には、基本発明の音声出力部を構成するスピーカ159が設けられている。スピーカ159は、第一の実施形態のスピーカ59と同様の構成を有する装置であり、上皿154の後壁部154dとフロントパネル160との間に形成された空間部154h内に配設されている。すなわち、スピーカ159は、フロントパネル160において空間部154hを挟んで上皿154の後壁部154dに対向する領域に固着されている。また、スピーカ159は、前面部が当該遊技者方向を向くように傾斜配置されている。
また、前壁部154cの上面には、クレジットされている遊技球を投入するためのベットスイッチ165や、クレジットされている遊技球を払い出すためのキャンセルスイッチ166が設けられている。また、前壁部154cの前面は操作部164となっており、回転リールの回転起動操作を行うスタートレバー167、及び左・中・右の回転リールにそれぞれ対応して設けられたストップスイッチ168が設けられている。
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態によれば、パロット遊技機101において、上皿154の貯留部154aの一部を本体側のフロントパネル160より離間して形成することによって貯留部154aとフロントパネル160との間に空間部154hを形成すると共に、空間部154h内に音声出力部としてのスピーカ159を配設したので、当該遊技者に音声を明瞭に聴取させることができると共に、周囲の遊技者からは聴取され難くすることができること、スピーカ159が他の部材の配置の邪魔にならないこと等、第一の実施形態と同様の種々の作用効果を奏する。
また、貯留部154aの後端で左右に離間して設けられた流入口154lと供給口154rとの間に空間部154hを形成したので、空間部154hのサイズを大きくして情報表示部157の設置領域等を充分に確保することができる。また、空間部154hが貯留部154aの左右方向中央に形成されているので、貯留部154aを構成する樹脂部材において左右均等な強度を確保することができる。また、貯留部154aの全体形状が流入口154l側と供給口154r側とを両端とし且つ前方側へ湾曲するアーチ状に形成されているので、アーチ形状の内周側部分となる貯留部154aとフロントパネル160との間に確実に空間部154hを形成することができる。
尚、基本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、基本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。例えば、前記第一の実施形態では、ガラス扉枠4に上皿54が設けられる例を示したが、ガラス扉枠の下方に別体で前面枠3に対して開閉可能な上皿板を設け、その上皿板に上皿54を設ける構成のパチンコ機に対して基本発明を適用してもよい。尚、本変形例において、上皿板が基本発明の開閉枠を構成するものである。或いは、第一の実施形態において、上皿54を開閉枠としてのガラス扉枠4や上皿板に設けることなく、前面枠3に設ける構成としてもよい。同様に、第二の実施形態では、上皿154を開閉枠としてのフロントパネル160に設けることなく、本体枠120に設ける構成としてもよい。
また、前記第一の実施形態では、貯留部54aの整流部54eに直線部54fを前後方向に設ける構成としたが、図9(a)に示す第1の変形例のように、ガラス扉枠4に対して斜め方向に延設され且つ前方側から後方側に向かって下り傾斜する直線部54nを設け、この直線部54nを挟んで前壁部54c側及び後壁部54d側に傾斜壁54kを設ける構成としてもよい。本変形例によれば、図9(b)に示すように、遊技球Bは、払出口45より払い出されると流入口54lより貯留部54a内に流入し、緩やかに右下がりに傾斜する底面部54b,前壁部54c及び後壁部54dに案内され、前壁部54c側へ凸状に形成された後壁部54dを迂回して供給口54rへ向かう経路に沿って転動して貯留部54a右側の整流部54eに到達する。また、遊技者によって遊技球Bが貯留部54a内へ投入された場合も、同様に、底面部54b等に案内されて転動して整流部54eへ到達する。そして、遊技球Bは直線部54nの両側に設けられた傾斜壁54kによって誘導されて一列に整列されると共に、直線部54n上を下り傾斜する後方側(ガラス扉枠4側)へ転動して金属板54mの下流端より供給穴49へ流下する。
また、図10(a)に示す第2の変形例のように、底面部54b上で流入口54lから供給口54rに至る曲線状の経路に沿って延設され且つ前方側から供給口54rが設けられる後方側に向かって下り傾斜する曲線部54oを設け、この曲線部54oを挟んで前壁部54c側及び後壁部54d側に傾斜壁54kを設ける構成としてもよい。本変形例によれば、図10(b)に示すように、遊技球Bは、払出口45より払い出されると流入口54lより貯留部54a内に流入し、緩やかに右下がりに傾斜する底面部54b,前壁部54c及び後壁部54dに案内され、前壁部54c側へ凸状に形成された後壁部54dを迂回して供給口54rへ向かう経路に沿って転動して貯留部54a右側の整流部54eに到達する。また、遊技者によって遊技球Bが貯留部54a内へ投入された場合も、同様に、底面部54b等に案内されて転動して整流部54eへ到達する。そして、遊技球Bは曲線部54oの両側に設けられた傾斜壁54kによって誘導されて一列に整列されると共に、曲線部54o上を下り傾斜する後方側(ガラス扉枠4側)へ転動して金属板54mの下流端より供給穴49へ流下する。
また、図11(a)に示す第3の変形例のように、底面部54b上で供給口54rに対して流入口54lとは反対側(右側)にて左右方向に延設され且つ供給口54rが設けられる左方向に向かって下り傾斜する直線部54pを設け、この直線部54pを挟んで前壁部54c側及び後壁部54d側に傾斜壁54kを設ける構成としてもよい。本変形例によれば、図11(b)に示すように、遊技球Bは、払出口45より払い出されると流入口54lより貯留部54a内に流入し、緩やかに右下がりに傾斜する底面部54b,前壁部54c及び後壁部54dに案内され、前壁部54c側へ凸状に形成された後壁部54dを迂回して供給口54rへ向かう経路に沿って転動して貯留部54a右側の整流部54eに到達する。また、遊技者によって遊技球Bが貯留部54a内へ投入された場合も、同様に、底面部54b等に案内されて転動して整流部54eへ到達する。そして、遊技球Bは直線部54pの両側に設けられた傾斜壁54kによって誘導されて一列に整列されると共に、直線部54p上を下り傾斜する左側へ転動して金属板54mの下流端より供給穴49へ流下する。
また、前記第一の実施形態では、スピーカ59をガラス扉枠4側に固着する構成としたが、上皿54の後壁部54dに固着する構成としてもよい。或いは、図12に示す第4の変形例のように、ガラス扉枠4と上皿後壁部54dとに固着する構成としてもよい。本変形例では、スピーカ59が前後両側で固着されているので、取り付け強度が確保され、取り付け状態の安定化を図ることができる。例えば、スピーカ59を上皿後壁部54dに固着した状態で上皿54をガラス扉枠4に取り付け、さらにスピーカ59をガラス扉枠4に固着することにより、スピーカ59が空間部54h内に配設される構造を容易且つ確実に形成することができる。また、本変形例では、スピーカ59が上向きに配置されるとともに、空間部54hを画成する内壁面が上方に拡大するテーパ状に形成されているので、遊技者はスピーカ59から出力された音声を一層明瞭に聴取することができる。尚、本変形例において、空間部54h内に後壁部54dとガラス扉枠4とを連結する連結部を架設し、その連結部上にスピーカ59を配設する構成としてもよい。
また、図13に示す第5の変形例のように、ガラス扉枠4の前面に凹部824aを形成し、その凹部824a内にスピーカ59の少なくとも一部が配設される構造としてもよい。本変形例によれば、サイズの大きなスピーカ59でも空間部54h内に配設することができる。
また、前記第一の実施形態では、空間部54h内にスピーカ59を1個配設した例を示したが、図14に示す第6の変形例のように、スピーカ59を空間部54h内に複数(図14では2個)配設すると共に、空間部54h内に画面表示可能な表示部57’を配設する構成としてもよい。本変形例によれば、複数のスピーカ59からそれぞれ音声が出力されることによって、遊技者は立体的な音響を楽しむことができる。また、空間部54h内に表示部57’がスピーカ59と共に配設されているので、遊技者が表示部57’に視線を向けることによって両耳が空間部54hに向くため、音声を一層明瞭に聴取させることができる。
また、図15に示す第7の変形例のように、スピーカ59を挟んで左右に壁状部材54q,54qを立設する構成としてもよい。本変形例によれば、スピーカ59の左右に後壁部54dに向かって延びる壁状部材54q,54qが立設されているので、音声出力の指向性が向上して当該遊技機の遊技者にはより一層明瞭に音声を聴取させることができると共に、周囲の遊技者からはより一層聴取され難くすることができる。
また、第一の実施形態において、音声出力部としてのスピーカ59又はその近傍に発光部を設ける構成としてもよい。例えば、図16に示す第8の変形例のように、スピーカ59前面の周囲に発光部としての多数個のLED(発光ダイオード)59cを配列してもよい。本変形例によれば、スピーカ59に設けられたLED59cが発光してスピーカ59自身を目立たせることによって効果的な演出を実現し、遊技の興趣を増大させることができる。
また、図17に示す第9の変形例のように、後壁部54dのスピーカ59対向面にスピーカ59を照明可能な電球59d,59dを設ける構成としてもよい。本変形例によれば、スピーカ59の近傍に設けられた電球59d,59dがスピーカ59を照明して目立たせることによって効果的な演出を実現し、遊技の興趣を増大させることができる。
また、前記第二の実施形態において、図18に示す変形例のように、上皿後壁部154dと本体枠120との間に空間部154hを形成すると共に、スピーカ159が本体枠120に固着され且つスピーカ159を空間部154h内に臨ませる開口部160aがフロントパネル160に設けられる構成としてもよい。尚、図18は、上皿154及びスピーカ159付近の断面図であり、(a)はフロントパネル160を本体枠120側から開いた状態を、(b)はフロントパネル160を本体枠120側へ閉じた状態をそれぞれ示している。本変形例によれば、本体枠120に固着されたスピーカ159がフロントパネル160に設けられた開口部160aを介して空間部154hを臨む位置関係となっている。また、スピーカ159をフロントパネル160と別体となるように本体枠120側へ配置したことにより、フロントパネル160の軽量化を図ることができ、フロントパネル160の開閉作業の負担を軽減することができる。尚、本変形例において、フロントパネル160に開口部160aを覆うと共に、多数の小孔が形成された保護カバーを設け、遊技球の落下等からスピーカ159が確実に保護される構成としてもよい。また、本変形例において、本体枠120の前面に凹部82を形成し、その凹部82内にスピーカ159の少なくとも一部を配設する構造としてもよい。これにより、サイズの大きなスピーカ159でも空間部154h内に配設することができる。
また、前記各実施形態において、音声の出力と共に振動を発生させるピエゾスピーカをスピーカ59又は159として用いてもよい。ピエゾスピーカは、音声出力する際に大きな振動を生じさせるので、効果的に上皿貯留部内の遊技球の転動を促進して遊技球の滞留を防止することができる。但し、ピエゾスピーカにより音声出力部を構成するのは一例にすぎず、振動を発生しつつ音声を出力する他のスピーカ等を使用してもよい。
(付記)
上述した基本発明の実施形態からは、以下に示す基本発明の各手段を抽出することができる。以下、各手段につき、必要に応じて作用効果等を付記しつつ説明する。
1.遊技球を媒体として所定の遊技が実行されると共に遊技球を賞球として払出すように構成された本体と、その本体より払い出された遊技球及び遊技者により投入された遊技球を貯留する貯留部、前記本体より払い出された遊技球を前記貯留部へ流入させる流入口、及び前記貯留部に貯留された遊技球を前記本体側へ供給する供給口を有する上皿と、音声を出力可能な音声出力部と、を備えた遊技機において、
前記上皿の貯留部の一部を前記本体より離間して形成することによって前記貯留部と前記本体との間に空間部を形成すると共に、その空間部内に前記音声出力部を配設したことを特徴とする遊技機。
手段1によれば、上皿の貯留部の一部を本体より離間して形成することによって貯留部と本体との間に形成された空間部内に音声出力部を配設したので、当該遊技者に音声を明瞭に聴取させることができると共に、周囲の遊技者からは聴取され難くすることができる。すなわち、当該遊技機で遊技を行う遊技者の頭部は空間部の上方に位置しており、本体の上下方向及び左右方向略中央に位置し且つ遊技者頭部から近い上皿貯留部と本体との間の空間部内で音声出力部によって出力された音声が当該遊技者の耳に直接到達するので、音量が比較的小さく設定された場合でも、当該遊技者は音声を明瞭に聴取することができる。一方、貯留部と本体とによって上下方向以外が囲まれた空間部内で出力された音声は周囲に大きく広がらないので、周囲の遊技者からは当該遊技機の音声が聴取され難い。よって、周囲の遊技者が当該遊技機から出力される音声によって煩わされることが防止される。さらに、例えば、大当り発生の期待感が高まるリーチ遊技状態に当該遊技機から発せられる効果音に周囲の遊技者が殆ど気づかないため、当該遊技機の図柄変動表示装置等を他の遊技者から覗き込まれて当該遊技者が不快な気分にさせられることを防止することができる。加えて、音声出力部が空間部内に配設されることにより、他の部材の配置の邪魔にならないという利点がある。
2.前記空間部を画成する内壁面が上方に拡大するテーパ状に形成されたことを特徴とする手段1に記載の遊技機。
手段2によれば、空間部を画成する内壁面が上方に拡大するテーパ状に形成されているので、遊技者は音声出力部から出力された音声を一層明瞭に聴取することができる。
3.前記音声出力部は、遊技者方向に向けて傾斜配置されたことを特徴とする手段1又は2に記載の遊技機。
手段3によれば、音声出力部が遊技者方向に向けて傾斜配置されているので、より直接的に音声が遊技者の耳に到達し、遊技者は音声を一層明瞭に聴取することができる。
4.前記音声出力部は、前記空間部内に複数配設されたことを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の遊技機。
手段4によれば、空間部内に複数の音声出力部が配設されているので、複数の音声出力部からそれぞれ音声が出力されることによって、遊技者は立体的な音響を楽しむことができる。
5.前記音声出力部は、音声の出力と共に振動を発生させるように構成されたことを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の遊技機。
手段5によれば、音声出力部は音声の出力と共に振動を発生させるので、音声出力部より上皿に振動が与えられて貯留部内における遊技球の転動を促進して遊技球の滞留を防止することができる。
6.前記音声出力部は、ピエゾスピーカを備えたことを特徴とする手段5に記載の遊技機。
手段6によれば、音声出力部が、音声出力する際に大きな振動を生じさせるピエゾスピーカを備えているので、効果的に上皿貯留部内の遊技球の転動を促進して遊技球の滞留を防止することができる。但し、ピエゾスピーカにより音声出力部を構成するのは一例にすぎず、振動を発生しつつ音声を出力するものであれば音声出力部を構成することが可能であるため、他のスピーカ等を使用してもよい。
7.前記空間部内に、画面表示可能な表示部が配設されたことを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の遊技機。
手段7によれば、空間部内に画面表示可能な表示部が音声出力部と共に配設されているので、遊技者が表示部に視線を向けることによって両耳が空間部に向くため、音声を一層明瞭に聴取させることができる。
8.前記音声出力部の左右に壁状部材が立設されたことを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の遊技機。
手段8によれば、音声出力部の左右に壁状部材が立設されているので、音声出力の指向性が向上して当該遊技機の遊技者にはより一層明瞭に音声を聴取させることができると共に、周囲の遊技者からはより一層聴取され難くすることができる。
9.前記音声出力部又はその近傍に発光部が設けられたことを特徴とする手段1乃至8のいずれかに記載の遊技機。
手段9によれば、空間部内に配設された音声出力部又はその近傍に設けられた発光部が発光して音声出力部を目立たせることによって効果的な演出を実現し、遊技の興趣を増大させることができる。
10.前記発光部は、前記音声出力部に設けられたことを特徴とする手段9に記載の遊技機。
手段10によれば、音声出力部に設けられた発光部が発光して音声出力部自身を目立たせることによって効果的な演出を実現し、遊技の興趣を増大させることができる。
11.前記発光部は、前記音声出力部の近傍に設けられ且つその音声出力部を照明可能に構成されたことを特徴とする手段9に記載の遊技機。
手段11によれば、音声出力部の近傍に設けられた発光部が音声出力部を照明して音声出力部を目立たせることによって効果的な演出を実現し、遊技の興趣を増大させることができる。
12.前記貯留部は、前記流入口及び前記供給口に連続する底面部と、その底面部の周囲を取り囲むように立設された前壁部と、前記底面部を挟んで前記前壁部と対向して立設され且つ前記前壁部側へ凸状に形成された後壁部とを備え、
前記後壁部と前記本体との間に形成された空間部内に前記音声出力部を配設したことを特徴とする手段1乃至11のいずれかに記載の遊技機。
手段12によれば、底面部を挟んで前壁部と対向して立設された後壁部が前壁部側へ凸状に形成されて、後壁部と本体との間に確実に空間部を形成し、その空間部内に音声出力部が配設されるので、当該遊技者に音声を明瞭に聴取させることができると共に、周囲の遊技者からは聴取され難くすることができる。
13.前記本体は、前記所定の遊技が実行される本体枠と、その本体枠に対して前面側へ開閉可能に設けられ且つ前記上皿が取り付けられる開閉枠とを備え、
前記後壁部と前記開閉枠との間に空間部を形成したことを特徴とする手段12に記載の遊技機。
手段13によれば、上皿の後壁部と開閉枠との間に形成された空間部内に音声出力部が配設されるので、当該遊技者に音声を明瞭に聴取させることができると共に、周囲の遊技者からは聴取され難くすることができる。
14.前記音声出力部は、前記開閉枠に固着されたことを特徴とする手段13に記載の遊技機。
手段14によれば、音声出力部を開閉枠に固着した状態で上皿を取り付けることにより、音声出力部が空間部内に配設される構造を容易且つ確実に形成することができる。
15.前記音声出力部は、前記後壁部に固着されたことを特徴とする手段13に記載の遊技機。
手段15によれば、音声出力部を上皿後壁部に固着した状態で上皿を開閉枠に取り付けることにより、音声出力部が空間部内に配設される構造を容易且つ確実に形成することができる。
16.前記音声出力部は、前記開閉枠と前記後壁部とに固着されたことを特徴とする手段13に記載の遊技機。
手段16によれば、音声出力部が開閉枠と後壁部とに固着されているので、音声出力部の取り付け強度が確保され、取り付け状態の安定化を図ることができる。例えば、音声出力部を上皿後壁部に固着した状態で上皿を開閉枠に取り付け、さらに音声出力部を開閉枠に固着することにより、音声出力部が空間部内に配設される構造を容易且つ確実に形成することができる。
17.前記空間部内に前記後壁部と前記開閉枠とを連結する連結部が架設され、前記音声出力部は前記連結部上に配設されたことを特徴とする手段13に記載の遊技機。
手段17によれば、空間部内で後壁部と開閉枠とを連結するように架設された連結部上に音声出力部が配設されることにより、音声出力部が空間部内に配設される構造を容易且つ確実に形成することができる。
18.前記開閉枠の前面に凹部82が形成され、その凹部82内に前記音声出力部の少なくとも一部が配設されることを特徴とする手段13乃至17のいずれかに記載の遊技機。
手段18によれば、開閉枠の前面に形成された凹部82内に音声出力部の少なくとも一部が配設されるので、サイズの大きな音声出力部でも空間部内に配設することができる。
19.前記本体は、前記所定の遊技が実行される本体枠と、その本体枠に対して前面側へ開閉可能に設けられ且つ前記上皿が取り付けられる開閉枠とを備え、
前記後壁部と前記本体枠との間に空間部を形成すると共に、前記音声出力部が前記本体枠に固着され且つその音声出力部を前記空間部内へ臨ませる開口部が前記開閉枠に設けられたことを特徴とする手段12に記載の遊技機。
手段19によれば、上皿の後壁部と本体枠との間に空間部を形成し、本体枠に固着された音声出力部が開閉枠に設けられた開口部を介して空間部内に臨んでいる。また、音声出力部を開閉枠と別体となるように本体枠側へ配置したことにより、開閉枠の軽量化を図ることができ、開閉枠の開閉作業の負担を軽減することができる。
20.前記本体枠の前面に凹部82が形成され、その凹部82内に前記音声出力部の少なくとも一部が配設されることを特徴とする手段19に記載の遊技機。
手段20によれば、本体枠の前面に形成された凹部82内に音声出力部の少なくとも一部が配設されるので、サイズの大きな音声出力部でも空間部内に配設することができる。
21.前記開閉枠に前記開口部を覆うと共に多数の小孔が形成された保護カバーが設けられたことを特徴とする手段19又は20に記載の遊技機。
手段21によれば、音声出力部を空間部内へ臨ませる開口部を開閉枠に設けられた保護カバーで覆うことにより、遊技球の落下等から表示部が確実に保護される。また、音声出力部から出力された音声は、保護カバーに形成された多数の小孔を通過するので、遊技者は明瞭に聴取することができる。
22.前記後壁部の上縁が丸みを帯びた断面形状に形成されたことを特徴とする手段12乃至21のいずれかに記載の遊技機。
手段22に記載の遊技機によれば、後壁部の上縁が丸みを帯びた断面形状に形成されているので、極めて安全性が高い。
23.前記底面部上に、遊技球を一列に整列させて前記供給口より本体側へ流下させる整流部が設けられたことを特徴とする手段12乃至22のいずれかに記載の遊技機。
手段23によれば、貯留部の底面部上に整流部が設けられているので、遊技球を一列に整列させて供給口より本体側へ流下させることができる。
24.前記整流部には、前記前壁部側及び前記後壁部側の少なくとも一方に遊技球誘導用の傾斜壁が形成されたことを特徴とする手段23に記載の遊技機。
手段24によれば、整流部には、前壁部側及び後壁部側の少なくとも一方に遊技球誘導用の傾斜壁が形成されているので、遊技球が確実に一列に整列され且つ供給口に向かって確実に誘導される。
25.前記整流部には、前記前壁部側及び前記後壁部側の両方に遊技球誘導用の傾斜壁が形成されたことを特徴とする手段23に記載の遊技機。
手段25によれば、整流部において遊技球誘導用の傾斜壁が前壁部側だけでなく、後壁部側にも形成されているので、遊技球が後壁部側で滞ることなく供給口に向かって確実に誘導される。
26.前記流入口及び前記供給口は、前記貯留部の後端で左右に離間して設けられ、前記後壁部は、前記流入口と前記供給口との間に形成されたことを特徴とする手段23乃至25のいずれかに記載の遊技機。
手段26によれば、貯留部の後端で左右に離間して設けられ流入口と供給口との間に底面部を挟んで前壁部と対向して後壁部が立設され且つその後壁部が前壁部側へ凸状に形成されているので、後壁部と本体との間に確実に空間が形成される。
27.前記整流部は、前記底面部上で前後方向に延設され且つ前方側から前記供給口が設けられる後方側に向かって下り傾斜する直線部を備えたことを特徴とする手段26に記載の遊技機。
手段27によれば、流入口から底面部上に流入した遊技球は、前壁部側へ凸状に形成された後壁部を迂回して供給口へ向かう経路に沿って転動し、底面部上で前後方向に延設され且つ前方側から供給口が設けられる後方側に向かって下り傾斜する整流部の直線部において一列に円滑に整列されて供給口より本体側へ確実に流下する。
28.前記整流部は、前記底面部上で前記供給口に対して前記払出口とは反対側にて左右方向に延設され且つ前記供給口が設けられる方向に向かって下り傾斜する直線部を備えたことを特徴とする手段26に記載の遊技機。
手段28によれば、流入口から底面部上に流入した遊技球は、前壁部側へ凸状に形成された後壁部を迂回して供給口へ向かう経路に沿って転動し、底面部上で供給口に対して払出口とは反対側にて左右方向に延設され且つ供給口が設けられる方向に向かって下り傾斜する整流部の直線部において一列に円滑に整列されて供給口より本体側へ確実に流下する。
29.前記整流部は、前記底面部上で前記本体に対して斜め方向に延設され且つ前方側から前記供給口が設けられる後方側に向かって下り傾斜する直線部を備えたことを特徴とする手段26に記載の遊技機。
手段29によれば、流入口から底面部上に流入した遊技球は、前壁部側へ凸状に形成された後壁部を迂回して供給口へ向かう経路に沿って転動し、底面部上で本体に対して斜め方向に延設され且つ前方側から供給口が設けられる後方側に向かって下り傾斜する整流部の直線部において一列に円滑に整列されて供給口より本体側へ確実に流下する。
30.前記整流部は、前記底面部上で前記払出口から前記供給口に至る曲線状の経路に沿って延設され且つ前方側から前記供給口が設けられる後方側に向かって下り傾斜する曲線部を備えたことを特徴とする手段26に記載の遊技機。
手段30によれば、流入口から底面部上に流入した遊技球は、前壁部側へ凸状に形成された後壁部を迂回して供給口へ向かう経路に沿って転動し、底面部上で払出口から供給口に至る曲線状の経路に沿って延設され且つ前方側から供給口が設けられる後方側に向かって下り傾斜する整流部の曲線部において一列に円滑に整列されて供給口より本体側へ確実に流下する。
31.前記流入口及び前記供給口は、前記貯留部の後端で左右に離間して設けられ、前記空間部は、前記流入口と前記供給口との間に形成されたことを特徴とする手段1乃至30のいずれかに記載の遊技機。
手段31によれば、貯留部の後端で左右に離間して設けられた流入口と供給口との間に空間部を形成したので、空間部のサイズを大きくして音声出力部の配設空間を充分に確保することができる。
32.前記空間部は、前記貯留部の左右方向中央に形成されたことを特徴とする手段31に記載の遊技機。
手段32によれば、空間部が貯留部の左右方向中央に形成されているので、貯留部において左右均等な強度を確保することができる。
33.前記貯留部の全体形状が、前記流入口側と前記供給口側とを両端とし且つ前方側へ湾曲するアーチ状に形成されたことを特徴とする手段31又は32に記載の遊技機。
手段33によれば、貯留部の全体形状が流入口側と供給口側とを両端とし且つ前方側へ湾曲するアーチ状に形成されているので、アーチ形状の内周側部分となる貯留部と本体との間に確実に空間部を形成することができる。
34.前記遊技機は、パチンコ遊技機であることを特徴とする手段1乃至33のいずれかに記載の遊技機。
手段34によれば、パチンコ遊技機において、当該遊技者に音声を明瞭に聴取させることができると共に、音声が周囲に広がり難くすることができる。
35.前記上皿は、遊技盤を臨む窓部にガラスを設けたガラス扉枠に取り付けられたことを特徴とする手段34に記載の遊技機。
手段35によれば、上皿をガラス扉枠に取り付けたパチンコ遊技機において、当該遊技者に音声を明瞭に聴取させることができると共に、周囲の遊技者からは聴取され難くすることができる。
36.前記上皿は、遊技盤を臨む窓部にガラスが設けられたガラス扉枠の下方にてそのガラス扉枠とは別体で設けられた上皿板に取り付けられたことを特徴とする手段35に記載の遊技機。
手段36によれば、上皿をガラス扉枠とは別体の上皿板に取り付けたパチンコ遊技機において、当該遊技者に音声を明瞭に聴取させることができると共に、周囲の遊技者からは聴取され難くすることができる。
37.前記遊技機は、複数種類の図柄が表示された複数の回転リールを有し、前記各回転リールの回転停止時の図柄の組合わせに基づく入賞態様に応じて遊技球が払い出されるパロット遊技機であることを特徴とする手段1乃至22,31乃至33のいずれかに記載の遊技機。
手段37によれば、パロット遊技機において、当該遊技者に音声を明瞭に聴取させることができると共に、周囲の遊技者からは聴取され難くすることができる。
以上に説明した基本発明の遊技機は、スピーカ59を遊技球を貯留する上皿54の後壁部54dとガラス扉枠4との間に形成された空間部54h内に配設すること等により、その遊技機で遊技する遊技者には音声(演出音)を明瞭に聴取させる一方、周囲の遊技者からはその演出音を聴取され難くしたものであるが、本発明の遊技機は前面枠3における装飾部材(電飾部材)の面積増大による装飾性の向上および新たな音響効果の付与による遊技の興趣の一層の向上を図ることを目的としたものである。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面を用いて説明するが、上記基本発明の実施形態で説明した構成と同様の構成については、同じ符号を付することで重複した説明は省略する。
本発明の遊技機は、従来の遊技機201(図19参照)では音声出力手段として一般的に前面枠の上部二隅に設けられ多くのスペースを占有していたスピーカ80を廃止し、その代わりにフィルムスピーカを前面枠の遊技領域を取り囲むように多数配設し、その下層側に発光表示手段を配したものであり、前面枠における装飾領域の面積の増大による視覚的演出効果の向上を図り、また、遊技領域の周囲の多数の箇所から演出音を出力すること等により臨場感を高めた新たな音響効果を遊技機に付与するものである。
図20は本実施例の遊技機(パチンコ機)の外観斜視図である。この遊技機301の前面枠3の上部二隅には、図19に示した従来の遊技機201のように演出音を出力するためのスピーカ80は設けられておらず、前面枠3には遊技領域に対応した円形のガラス扉5を囲むように、各種ランプ、LED等の発光表示手段および音声出力手段であるフィルムスピーカを内部に備えた電飾部材262が一連した状態で設けられている。
詳細にはこの電飾部材262の外形を形成する電飾カバー262aは、遊技領域面に対応した円形のガラス扉5を囲むようにその左側、上側、右側部分が一連するように有色半透明の硬質プラスティック樹脂により一体形成されている。電飾カバー262aは略円形のガラス扉5の周縁から前側に膨出しており、その内周側がすり鉢状に傾斜した傾斜面Rとなっている。この傾斜面Rは最大で10cm程度の高さとなっており、次に説明するフィルムスピーカから出力される演出音を通過させるための無数の小孔hが形成されている。そしてこの傾斜面Rの傾斜角度は前周に渡ってその正面に遊技者の頭部が位置することとなる角度となっている。なお図に示した電飾カバー262aの表面は湾曲しているだけで特別な装飾が施されていないが、もちろん電飾カバー262aの表面に凹凸による装飾や印刷による装飾を施してもよい。ただし後述するスピーカユニットが対面する電飾カバー262a裏面は音の乱反射を避けるために平滑面であることが望ましい。
図21に電飾部材262の内部構造を図20のX−X断面図により示した。この電飾部材262は外形を形成する電飾カバー262aの内部に、透明板状のフィルムスピーカ280、その下層側に発光表示手段であるLEDチップ283が搭載されたLED基板285が配されて構成されている。すなわちLEDチップ283のLEDからの光は透明なフィルムスピーカ280を透過し、有色半透明の電飾カバー262aを裏側から照らすことになる。
フィルムスピーカ280には各辺5cmほどの正方形をした透明(又は半透明)のものが用いられ、左側、上側、右側部分が一連する電飾カバー262aの内部に、電飾カバー262aの全周に渡るように多数のフィルムスピーカ280が並べられている。各フィルムスピーカ280の下層側に配されるLED基板285はフィルムスピーカ280の台座となるケーシング287と一体となってその底面に取り付けられており、フィルムスピーカ280、LED基板285、ケーシング287がスピーカユニット289を構成している。このスピーカユニット289は電飾カバー262aの内部に傾斜面側を向けて傾斜面Rに沿って並べられている。そして各スピーカユニット289のフィルムスピーカ280やLED基板285には遊技の演出を制御する制御装置が接続されており、制御装置からの音声制御信号や発光制御信号に基づいて演出音を出力し、LEDを発光させるようになっている。
なお現在、フィルムスピーカとして実用化されている代表的なものは、PVDF(Poly Vinylidene Fluoride)という圧電性質を持つ特殊プラスチックフィルム(圧電フィルム)の表面を、プラズマ応用加工技術を用いて表面改質を行うことでフィルム表面に電極を形成したものであり、超薄形で透明、カラー印刷も可能で小型化もできるといった特徴を有している。またこのフィルムスピーカは、周波数領域の広さ、動的領域の広さ、インピーダンスの低さ、流電強度及び機械強度の高さ、出力する音の指向性の高さ、さらに、柔軟性が高いうえ密度は低いが感度が高いといった特性を有している。そして、折り曲げも可能で形態や角度により多様な音質を実現できるのも大きな特徴である。一方、PVDFの表面エネルギー(dyne/cm)は低いため中低音が弱く、出力できる音量もさほど大きくないといったデメリットもある。そのため遊技機にフィルムスピーカを採用する場合には、サブウーハー(ウーハースピーカ)などにより中低音を補強し、また、周囲への音の拡散を抑えつつその遊技機で遊技する遊技者に演出音を集中させることで、これらのデメリットの克服を図る必要がある。もちろん、今後の技術の進歩によりこれらのデメリットが解消されることが十分期待できるため、遊技機へのフィルムスピーカの応用の幅は拡大していくことが予想される。
本実施例の遊技機では、上皿形成台254(貯留皿形成台)と下皿形成台253との間の奥側に重低音用のウーハースピーカ(図示せず)が配設されている。また上述のように、遊技領域に対応した円形のガラス扉5の左側、上側、右側部分が一連する電飾カバー262aが設けられ、この電飾カバー262aの内周側はすり鉢状に傾斜した傾斜面Rとなっており、この傾斜面Rが遊技者の頭部を向いている。またこの傾斜面Rには無数の小孔hが遊技者の頭部の方向を向いて穿孔されており、そして電飾カバー262aの内部にはスピーカユニット289がこの傾斜面Rに沿って傾斜面側を向けて並べられているため、フィルムスピーカ280から高指向性で出力された演出音を、周囲にほとんど拡散させることなく遊技者の頭部に集音させることができる(図22参照)。
このように構成された遊技機301の演出においては、音声出力手段である各スピーカユニット289のフィルムスピーカ280からの演出音と発光表示手段であるLEDチップ283の発光とを連関させ、一のスピーカユニット289における演出音の出力とLEDチップ283の発光を同時に行い、例えば複数のスピーカユニット289を若干時間をずらして次々と出力・発光させることにより、マシンガンから発射された銃弾が遊技者の頭部を取り囲むように着弾する演出などを、視覚と聴覚による視覚的・音響的演出の相乗効果により、より効果的な演出を行うことができる。
以上に説明した本実施例の遊技機の変形例として、図23に示したように、例えば遊技機の前面扉の上部の位置に遊技機の幅いっぱい近くのワイドスパンの液晶表示装置291を設け、その上面に透明なフィルムスピーカ280を配し、その他の部分は上記と同様に電飾カバー262aの内部にスピーカユニットを配設するようにしてもよい。つまりこの変形例では、従来の遊技機では上部両隅のスピーカの存在によりワイドスパンとすることができなかった液晶表示装置をワイドスパン化し、より大きな液晶表示装置291の映像と音、LEDの発光と音による演出によって遊技の興趣を一層高めてやることができる。特に透明なフィルムスピーカ280を液晶表示装置291の表示面上に配しているため、液晶表示装置291のワイドスパン化した画面から演出音を出力することができ、画面の液晶表示の内容と演出音とを連関させることで演出の臨場感をより高めることが可能となる。
図24は本実施例の遊技機(パチンコ機)の外観斜視図である。この遊技機401は実施例1の遊技機とその外観が大きく変わるところはないが、実施例1の遊技機の電飾カバー262aでは傾斜面Rにのみ無数の小孔hが形成されていたのに対して、電飾カバー262bの傾斜面Rおよび前面部分に無数の小孔hが形成されている点のみが異なっている。本実施例の遊技機は上記実施例1の遊技機に、音声出力手段であるフィルムスピーカ280を変形させて演出音の出力方向を変更するための変形手段を備えたものである。
図25に電飾カバー262bが外形を形成する電飾部材262の内部構造を図24のY−Y断面図により示した。ここで図25(a)はエアバッグが萎んだ状態、(b)はエアバッグが膨らんだ状態を表している。
この電飾部材262は、電飾カバー262bの内部に上側から順にフィルムスピーカ280、エアバッグ293、LEDチップが取り付けられたLED基板285が設けられて構成されている。
電飾カバー262bの外形は上述したように無数の小孔hがその傾斜面Rおよび前面部分に形成されている以外は実施例1のものと特に変わるところはない。しかしながら電飾カバー262bの裏面の断面形状がアーチ状となっており、各小孔はこのアーチに対してほぼ垂直となる方向(法線方向)に穿孔されている。なお実施例1の遊技機と同様に、傾斜面Rは遊技者の頭部を向いた傾斜角度となっており穿孔された小孔hも頭部の方向を向いているため、傾斜面Rに穿孔された小孔hを通過した演出音は遊技者の頭部に集音されることになる。
フィルムスピーカ280はそれ自体は実施例1のものと同様のものが用いられるが、実施例1のようにユニット化されておらず、各辺5cm程度の正方形のフィルムスピーカ280が、電飾カバー262bの内部に、電飾カバー262bの全周に渡るように多数並べられている。電飾カバー262bへのフィルムスピーカ280の取り付けは、電飾カバー262b裏面のアーチのガラス扉5の付け根部分付近に、その一辺のみが接着されることで行われ、取り付けられたフィルムスピーカ280は遊技機401の盤面と平行となるように伸長した状態となっている。なお、フィルムスピーカ280は透明で柔軟な薄板であり、外部から力を加えることで容易に変形しその出力方向や音質を変化させる。ここではフィルムスピーカ280は、電飾カバー262bに取り付けられた一辺を固定端として変形することになる。そして各フィルムスピーカ280は制御装置からの音声制御信号に基づいて演出音を出力するようになっている。
エアバッグ293は、電飾カバー262bに取り付けたフィルムスピーカ280を変形させるためのものであり、一連する電飾カバー262bの末端部に設けられたエアポンプ295(図24参照)から空気が送り込まれることで膨らみ、エアポンプが停止することで元の形状に萎む透明で電飾カバー262bの全周に渡る帯状の長袋である。このエアバッグ293およびエアポンプ295はフィルムスピーカ280を変形させるための変形手段を構成し、エアポンプ295の動作を制御する制御装置からの指令信号に基づいてエアバッグ293を膨らませたり萎ませたりすることができるようになっている。
すなわちこのエアバッグ293は、電飾カバー262bに取り付けられたフィルムスピーカ280の下側に配置され下側からフィルムスピーカ280を支えており、通常状態(収縮状態)ではフィルムスピーカ280は遊技機の盤面と平行となっている。一方、エアバッグ293にエアポンプから空気が送り込まれると、エアバッグ293が膨らむことでフィルムスピーカ280の電飾カバー262bに接着されていない一端側が押し上げられ、フィルムスピーカ280は電飾カバー262bの傾斜面Rの裏面に近接または密着するように傾けられることになる。
ここで実施例1と同様のスピーカユニットをエアバッグにより動かすことも可能であるが、その場合、フィルムスピーカ280自体は変形せず、その音質の変化もほとんどないため、変形により音質を変えるフィルムスピーカの特性が利用されないことになる。
なお勿論、各フィルムスピーカを電動アクチュエータなどを用いて変形させることも可能であるが、装置が複雑となり製造コストも上昇するため変形手段としては好ましいものではない。しかしながらより積極的に各フィルムスピーカを変形させる場合には、平時は電飾カバー262bの内部で盤面と平行に保たれたフィルムスピーカを、例えばソレノイドアクチュエータを用いて凸状または凹状に撓ませて変形させれば、フィルムスピーカの変形による音質の変化を十分に発揮させることができる。
エアバッグ293の下側の電飾カバー262bの底面には、LEDチップが設けられた複数のLED基板285が各フィルムスピーカ280に対応して並べられている。そしてLEDチップ283は制御装置からの発光制御信号に基づいてLEDを発光させ、その光は透明なエアバッグ293及び電飾カバー262bを透過して遊技者に認識される。
本実施例の遊技機によれば、一のエアバッグ293およびエアポンプ295を用いた変形手段によりすべてのフィルムスピーカ280を同時に変形させることができる。また帯状のエアバッグ293を膨らませ、フィルムスピーカ280を遊技機の盤面と平行に伸長した状態から電飾カバー262bの傾斜面Rの裏面側、すなわち遊技者の頭部側を向くように傾けることにより、フィルムスピーカ280から出力される演出音に遊技者の頭部に集音・収れんするごとき動きを、また逆に、エアバッグ293を萎めることで遊技者の頭部に集音した演出音を拡散させるごとき動きを持たせることができる。またそれ以外にも様々な形や方向にフィルムスピーカ280を変形させることで、演出音に独特な動きや音質の変化をもたせて新たな音響的演出効果を付与することができる。
さらにこのような音声出力手段である各フィルムスピーカ280から演出音の出力やその変形による音の動きや音質の変化と、発光表示手段であるLEDチップ283の発光とを連関させることにより、聴覚と視覚による新たな演出効果を発揮させて遊技の興趣をより高めることができる。
なお図面は省略するが、上記に説明した本実施例の遊技機の変形例として、図23に示した実施例1の変形例と同様に、遊技機の前面扉の上部位置にワイドスパンの液晶表示装置を設け、その上面に透明なフィルムスピーカ280を配し、その他の部分は上記と同様にしてもよい。つまりこの変形例でも、液晶表示装置をワイドスパン化することで、より大きな液晶表示装置の映像と音、LEDの発光と演出音の動き等による演出によって遊技の興趣を一層高めてやることができる。
(付記)
上述した本発明の実施形態からは、以下に示す基本発明の各手段を抽出することができる。以下、各手段につき、必要に応じて作用効果等を付記しつつ説明する。
手段1.
演出音を出力するための音声出力手段を備えた遊技機であって、
前記音声出力手段はフィルム状の透明又は半透明のフィルムスピーカであり、
前記音声出力手段を前面枠の遊技領域を取り囲むように多数配設し、かつ、その下層側に発光や表示による演出を行う発光表示手段を配した、ことを特徴とする遊技機。
手段1によれば、前面枠の上部二隅に設けられ多くのスペースを占有していたスピーカを廃止し、その代わりにフィルムスピーカを前面枠の遊技領域を取り囲むように多数配設することで、前面枠における装飾領域の面積の増大による視覚的演出効果の向上を図ることができる。また、遊技領域の周囲の多数の箇所から演出音を出力すること等により臨場感を高めた新たな音響効果を遊技機に付与することができる。
手段2.
前記音声出力手段の上層側に音声出力手段から出力した演出音を透過させるための多数の小孔を形成した透明又は半透明の装飾部材を配した、ことを特徴とする手段1に記載の遊技機。
手段2によれば、小孔を形成した装飾部材を遊技領域を取り囲むように多数配設したフィルムスピーカの前側に配することで、装飾領域を増大した遊技機をより華やかなものとすることができる。
手段3.
前記音声出力手段は柔軟で自在に湾曲や折り曲げが可能な薄板状のフィルムスピーカであり、
前記音声出力手段を遊技状態に応じて変形させることで、演出音の出力方向を変更するための変形手段を備えた、ことを特徴とする手段1又は2に記載の遊技機。
手段3によれば、フィルムスピーカを変形させることにより演出音の出力方向を変更することで、演出音に独特な動きをもたせて新たな音響的演出効果を付与することができる。
手段4.
前記変形手段は音声出力手段の下層側に配され、空気圧により膨張し収縮するエアバッグと、該エアバッグに空気を送り込むエアポンプを含む、ことを特徴とする手段3に記載の遊技機。
手段4によれば、一のエアバッグおよびエアポンプによりすべてのフィルムスピーカを同時に変形させることができるため、遊技機の製造コストも抑えることができる。
手段5.
音声出力手段からの演出音の出力による音声演出と発光表示手段による発光表示演出とを連関させた、ことを特徴とする手段1、2又は3に記載の遊技機。
手段5によれば、視覚と聴覚による視覚的演出と音響的演出の相乗効果により、より効果的な演出を行うことができる。