JP6263187B2 - 管状ねじ接続 - Google Patents

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Description

本発明は、管状ねじ接続、およびねじによって接続されるチューブの接続部または組立体に関する。
本願明細書に記載されたチューブは産業界で使用され、具体的には、チュービング、管状プロダクションアクセサリのライン、または油井またはガス井の操業または探鉱または開発のためのケーシングまたはライナーまたはライザーのためのストリングラインに用いられる組立体またはねじ接続に用いられている。また、本願明細書に記載されているねじ付き組立体または結合部は、例えば、地熱発電所または蒸気プラントのパイプラインまたは管状アクセサリを組み立てることが所望される可能性がある場合の何らかの目的のためにも用いることができる。本願明細書に記載されているねじ付き組立体は、以下で説明するように、特に、油井またはガス井のケーシング、またはケーシングストリングの底部を越える所謂ライナーに用いられる金属チューブのアセンブリに有用である。
厳しい使用条件下であっても、機械的特性および気密性の観点から満足な結果が得られる石油またはガス運搬チューブの多くの種類の組立体が公知である。それらの組立体の幾つかは、両端部に円錐台形の雄型ねじが備えられたチューブの使用を伴い、それらのチューブは、対応する2つの円錐台形の雌型ねじを有するカップリングによって組み立てられる。この組立て方法には、雄型ねじと雌型ねじの間に生じる正の干渉の存在により、該組立体の2つのコンポーネントを固定するという利点がある。
しかしながら、それらのカップリングの外径は、対応するチューブの外径よりも大きく、それらの組立体がケーシングチューブとともに使用される場合、該カップリングの外径を収容するために、増大した直径の掘削孔が穿孔される必要がある。4,000メートルを超える深さの大深度坑井の場合、ケーシングストリングの対応するチューブよりも僅かに大きい外径の細いカップリングを用いるとして、坑井の最初のケーシングストリングの初期直径と結果として表面近傍の坑井の直径は、カップリングを用いると大きさが倍になる可能性がある。
この問題を解消するため、カップリングまたはスリーブが不要な組立体を用いることができる。この場合、管状要素は、1つの雄型ねじ末端と、1つの雌型ねじ末端を夫々有し、それによって薄い組立体を形成する。これらの組立体または結合部は、一般に、カップリングまたはスリーブを利用する組立体または結合部と対比して、一体化組立体または結合部と呼ばれている。ケーシングストリングの底部において該ケーシングストリングに吊るされ、掘削孔には固定されず、場合により石油またはガス産出層に届くように水平方向に向かうライナーの場合、一体化結合部に対する同じ要求も満たされる。具体的には、非在来型のガス貯留層、例えば所謂シェールガス貯留層の開発は、一体化結合部を伴うそのような小径の細いライナーを必要とする。
一体化組立体は、一般に、雌型ねじに対応する末端に拡大した直径を含み、雄型ねじに対応する末端に縮小した直径を含むチューブ上に形成される。これは、該チューブに接合する組立体の幾何学的および機械的強度を確保するように、該チューブの厚みに十分な物理的形状を有するためである。
また、単一のもののみの代わりに、2つの連続する部分または段にねじを用いることにより、雌型組立体の強度を補強することも可能である。ねじの各段は、異なるねじ径を有し、中央リング状隣接部によって隔てられている。この隣接部は、ねじの十分な締付けを可能にするとともに、過剰なねじ留めを回避することを可能にする。負のロードフランクを有するねじの場合、該隣接部は、それらの負のロードフランクに対してそれらのねじを締め付けることを可能にし、これによって、強い圧力と結合する可能性があるか、またはその可能性のない引張り応力の作用により、ねじの離脱のリスクが低減する。しかし、ねじの段間の隣接部は、接合組立体内の径方向材料厚さの配分を要し、それによって、該結合部における該組立体全体の外径が増加する。
一実施例において、第1のチューブ(「第1の管状部材」ともいう)と、第2のチューブ(「第2の管状部材」ともいう)を含む管状ねじ接続が設けられる。該接続は、例えばねじセミフラッシュ接続であってもよい。第1のチューブは、第1のチューブの本体の末端から第1のチューブの終端側末端まで延びる(「管状雄型末端」ともいう)ピン部材を含んでいる。第1のチューブの本体は、第1のチューブの軸方向に沿って実質的に一定の内径および外径を有することができる。該ピン部材は、雄ねじの2つの径方向オフセット部分(段)を含んでいる。該雄ねじの2つの径方向オフセット部分は、第1のねじ部と第2のねじ部を含んでいる。第1のねじ部は、第1のシール面によって第2のねじ部と隔てられている。第1のねじ部は、第1のチューブの終端側末端と第1のシール面の間に配置され、第2のねじ部は、第1のシール面と第1のチューブの本体の末端の間に配置される。
第2のチューブは、第2のチューブの本体の末端から、第2のチューブの終端側末端まで延びる(「管状雌型末端」とも称される)ボックス部材を含んでいる。第2のチューブの本体は、第2のチューブの軸方向に沿って、実質的に一定の内径および外径を有することができる。該ボックス部材は、雌ねじの2つの径方向オフセット部分(段)を含んでいる。該雌ねじの2つの径方向オフセット部分は、第3のねじ部と第4のねじ部を含んでいる。第3のねじ部は、第2のシール面によって第4のねじ部と隔てられている。第3のねじ部は、第2のチューブの終端側末端と、第2のシール面の間に配置され、第4のねじ部は、第2のシール面と、第2のチューブの本体の末端の間に配置される。組立てられた状態において、第1のシール面は、該管状ねじ接続の軸方向に延びる流体密封偏心シールを形成するように、径方向において第2のシール面と係合している。
テーパ状ねじの2つの段は、第1の管状部材および第2の管状部材の一方の終端側末端にランイン(run−in)部を、反体側にランアウト(run−out)部を含んでいる。第1の管状部材の各ランイン部は第2の管状部材のランアウト部と係合し、第2の管状部材の各ランイン部は第1の管状部材のランアウト部と係合する。該ボックスの外径は第1および第2の管状部材の公称外径よりもわずか10%(好ましくは、わずか6%)大きい。
該ピン部材は、第1のチューブの本体の末端に近接する第2のねじ部のねじ谷底部に配設されたピン臨界断面(pin critical cross−section:PCCS)を有する。PCCSは、該ピンの全てのねじにわたって伝達される全張力を受ける。該ボックス部材は、第2のチューブの本体の末端に近接する第4のねじ部のねじ谷底部に配設されたボックス臨界断面(box critical cross−section:BCCS)を有する。BCCSは、該ボックスの全てのねじにわたって伝達される全張力を受ける。該ボックス部材は、第2のチューブの第2のシール面に近接する第3のねじ部のねじ谷底部に配設されたボックス中間臨界断面(box intermediate critical cross−section:BICCS)を有する。BICCSは、該ボックスの第3のねじ部にわたって伝達される張力を受ける。該ピン部材は、第1のチューブの第1のシール面に近接する第1のねじ部のねじ谷底部に配設されたピン中間臨界断面(pin intermediate critical cross−section:PICCS)を有する。PICCSは、該ピンの第1のねじ部にわたって伝達される張力を受ける。本発明の一実施の形態において、第1および第2のチューブは下記の関係を満たす。
・ PCCSはBCCSの約±5%以内であり、
・ PCCSおよびBCCSは約±5%以内(BICCS+PICCS)であり、
・ BICCS/PICCSは2.0以上である。
本発明の他の実施の形態において、第1および第2のチューブは下記の関係を満たす。
・ PCCSはBCCSの約±5%以内であり、
・ PCCSおよびBCCSは約±5%以内(BICCS+PICCS)であり、
・ 第2のねじ部の全長は、第1のねじ部の全長で割り算すると、2.0以上になる。
添付図面とともに検討すれば、以下の詳細な説明によって本発明およびこれに付随する多くの効果が、より良く理解される。
図1は、本発明の非限定的な実施の形態による、雄型管状要素と雌型管状要素が合わせて組み立てられた結合部の断面である。 図2は、本発明の非限定的な実施の形態による、図1に示された結合部のシール部の詳細な断面図である。 図3は、本発明の非限定的な実施の形態による、図1に示された結合部のねじランイン部の内の1つの詳細な断面図である。 図4は、中央肩部、ピンおよびボックスの末端側終端近傍に末端シールを含む従来の結合部の断面図である。 図5は、雄型円錐台形ねじ切り部分の側面図の軸X1−X1に沿った部分切取り図である。 図6は、本発明の非限定的な実施の形態による、図1の結合部のねじランイン部の内の1つの詳細な断面図である。
以下の説明で用いられている幾つかの専門用語は、便宜的なものに過ぎず、および非限定的である。「組立体」または「結合部」または「接合部」という用語は、これらの用語が、更なる意味の具体的な用語を示す特定の文脈で用いられている場合を除いて、以下の説明において同じ意味を有する。「パイプ」という用語は、既存の、または、産業界で使用される可能性のある如何なる種類のチューブ、管状コンポーネント、管状アクセサリも包含する。「隣接部」または「隣接面」または「肩部」という用語は、これらの用語が、更なる意味の具体的な用語を示す特定の文脈で用いられている場合を除いて、以下の説明において同じ意味を有する。
米国特許第5,687,999号の明細書には、ねじ部の末端を越えた、結合部の内部末端および外部末端に、2つの流体密封金属間シール面を備えた接続について記載されている。米国特許第5,687,999号の明細書の内容は、参照によって本願明細書に組み込まれ、米国特許第5,687,999号の明細書の図2、3は、本開示の図4、5として再現されている。
図4に示されるように、雄型要素および雌型要素は、2つのねじ切り部分、すなわち、雄型要素1のねじ切り部分4、5と、雌型要素2のねじ切り部分6、7とを備えた領域を有し、それらの間には、リング状隣接面または肩部24が配設される。それらのねじ切り部分4、5およびねじ切り部分6、7の中間部は円錐台形状である。
該雄型要素の4つの円錐台形のねじ切り部分4、5と、該雌型要素のねじ切り部分6、7は、それらの末端の各々に、先細りのねじの高さがゼロ値まで減少する該ねじから成るゾーンを有している。該ねじの高さの減少は、所謂ランアウトねじ部を形成するように、該ねじの頂部を該雄型要素または雌型要素の軸に関して一定の直径に機械加工、または所謂ランインねじ部を形成するように、該軸に関して一定の直径のねじ谷底部を機械加工することによって実現することができる。2つの雄型および雌型要素を組み立てることによって、それらのねじが、該ねじ切り部の中間部および該先細りのねじを備えた末端ゾーンの両方において、対応するハウジング内に完全に係合する。
図4に示すように、これらの末端ゾーンにおいて、該先細りのねじの頂部および谷底部は、円錐台形の外径16、17または円錐台形の内径18、19の収束によって、外側または内側に向かって制限され、該外径および内径の各々は、該ねじ切り部の中間部の表面、および円筒形の内径20、21または円筒形の外径22、23を延長する。これらの円筒形面21、22の直径の差は、組立体3の中央ゾーンにおけるリング状隣接部または肩部24の径方向高さ「D」に一致する。このリング状隣接部または肩部24は、互いに隣接する雄型要素1および雌型要素2の2つの面を有することによって組み立てられる。
図4に示す結合部において、隣接部24は何らかの気密または密封機能を実行しない。具体的には、隣接部24は該組立体の全ての通常の動作条件下でシールを形成しない。その代わりに、2つの流体密封金属間シール面27、28が、該ねじ部の末端を越えた、該結合部の内部末端および外部末端に配置される。
図5に示すように、雄型ねじのロードフランク、例えば符号30は、該要素の軸X1−X1に対して直角に延びる線に対して約−3度〜−20度の負の傾角Aを伴う母線を有する。螺合時には負のロードフランクを伴うこれらのねじと隣接部24との協働が、雄型要素1と雌型要素2を互いに接触させて締付けることを可能にする。これによって、該ねじにおける解体または分離のリスクが実質的になくなる。
図4、5に示す接続において、X1−X1軸に直角な雄型要素および雌型要素の肩部(または、隣接)面は、所定の径方向の差Dの場合、該結合部の機械的強度を向上させる。その結果、雄型要素1の臨界厚さE2および雌型要素2の臨界厚さに、可能な限り大きな値を与えることも可能である。該中央ゾーン内の金属/金属気密面、すなわち、既に説明したように、その有効性が米国特許第5,687,999号の明細書に照らして、このゾーンの剛性により十分でない面がないことが、2つの円錐台形のねじ切り部分を互いに近づけて動かすことを可能にし、それに伴って、前記特許に照らして、該2つの雄型要素および雌型要素の間の結合作用を改善できる。
しかし、図4に示す接続における厚い壁の位置に配設された封止面27、28によって占められる径方向空間のため、この接続の高い封止特性は高い引張効率をもたらさない。具体的には、図4に示す接続の引張効率が70〜80%の引張効率しか実現しないことを、本出願人は決定した。接続の引張効率は、ねじの最小「臨界部分」と、パイプ本体断面の比であり、該接続の能力を制限する。一方、該雄型部および雌型部の末端の厚さを増すと、中央肩部領域のサイズが小さくなって、該接続の圧縮に対する耐性が低下する。
図1〜3は、約81%〜92%、好ましくは約85%〜92%の引張効率を有する実施例の接続を示す。以下でより詳細に説明するように、本実施例は、中央肩部を用いていない。他の態様において、本実施例は、外側半径における(該接続の中心線軸の方への)偏心シールの半径の内側よりも、(該接続の中心線軸から離れる)偏心シールの外側の半径に、より大きな材料厚さを配分することにより、該接続の内部耐圧性を最大限にする。また、本実施例は、限定するものではないが、組立時の軸方向固定効果を与えるとともに、例えば、油井において張力を受けたときのねじのジャンプアウトのリスクを回避または低減するために、負のロードフランクを備える蟻継ぎ状のねじも用いる。
図1は、第1の管状部材および第2の管状部材を含む接続を示す。第1の管状部材には、管状雌型末端101が設けられ、また、第2の管状部材には、管状雌型末端102が設けられている。第1の管状部材の管状雄型末端101は、「ピン」とも呼ばれ、また、第2の管状部材の雌型末端102は、「ボックス」とも呼ばれている。図1の実施例は、ねじ付きセミフラッシュ接続であり、すなわち、ボックスの外径が、パイプの外径よりもわずかに大きく、2つの部材、すなわち、ピン101およびボックス102には末端が形成されている。ピン101およびボックス102は、テーパ状ねじから成る2つの段と、偏心シール125とを含んでいる。該ピンは、小径のねじ部104および大径のねじ部105を含んでいる。該ボックスは、小径のねじ部106および大径のねじ部107を含んでいる。該接続は雌ねじ部(104、106)および雄ねじ部(105、107)を有している。偏心シール部125が雌ねじ部(104、106)と雄ねじ部(105、107)の間に配設される。
図1に示す接続のねじの構成は、図4、5の実施例のそれと同様であってもよい。したがって、ねじの各段は、該部材の自由端(終端側末端)の側にランイン部、反対側にランアウト部を備えている。ピン101の各ランイン部は、ボックス102のランアウト部と係合し、ボックス102の各ランイン部は、ピン101のランアウト部と係合する。該ランインおよびランアウト部分は、完全なランイン/ランアウト部分、または、不完全なランイン/ランアウト部分であってもよく、すなわち、後者の場合、ねじの高さは、ゼロまで減少しない。ねじ高さの消散率は、長いねじ付き分を避けるために、該ランイン/ランアウト部分に沿って変えてもよい。加えて、図3に関連して更に詳細に議論するように、係合したねじのランイン部分とランアウト部分との間の移行点は、同じ位置になくてもよい。
別法として、図1に示す接続のねじの構成は、図6に示すような蟻継ぎ状であってもよい。ピン101の蟻継ぎ状ねじ234の軸方向断面は、該接続の中心線からの距離が減少するにつれて軸方向幅が増加する。同様に、ボックス102の蟻継ぎ状ねじ236の軸方向断面は、該接続の中心線からの距離が減少するにつれて軸方向幅が増加する。
蟻継ぎ状ねじ234のロードフランク230は、負の荷重角度222を有することができる。荷重角度222は、ロードフランク230の断面と、該要素の軸250に直角に延びるライン220の間に画成される。一実施の形態において、荷重角度222は、約−0.5度〜−1.5度である。本発明の他の実施の形態において、荷重角度222は約−0.9度〜−1.1度である。本発明の更に他の実施の形態において、荷重角度222は約−1度である。
蟻継ぎ状ねじ234のスタブフランク232は、負のスタブ角度224を有することができる。スタブ角度224は、スタブフランク232の断面と、該要素の軸250に直角に延びるライン220の間に画成される。一実施の形態において、スタブ角度224は約−3.5度〜−4.5度である。本発明の他の実施の形態において、スタブ角度224は約−3.9度〜−4.1度である。本発明の更に他の実施の形態において、スタブ角度224は約−4度である。
図1に示す接続の引張効率を向上させるため、各ねじの末端にランイン部およびランアウト部を備えた2段接続にし、この実施例では、該接続の4つの臨界部分間に特定のバランスを含んでいる。それらの部分は、ピン臨界断面(PCCS)171、ボックス中間臨界断面(BICCS)172、ピン中間臨界断面(PICCS)173、ボックス臨界断面(BCCS)174を含んでいる。PCCS171は、全てのねじにわたって伝達される最大限の引張を受け、管状雄型末端101の自由端(終端側末端)の反対側の管状雄型末端101の末端に配設される(管状雄型末端とも呼ばれる)ピン101の断面領域である。BCCS174は、全てのねじにわたって伝達される最大限の引張を受け、管状雌型末端102の終端側末端の反対側の管状雌型末端102の末端に配設される(管状雌型末端とも呼ばれる)ボックス102の断面領域である。BICCS172は、管状雌型末端102の雄ねじ部107にわたって伝達される引張を受け、管状雌型末端102の自由端(終端側末端)の反対側の雄ねじ部107の末端に配設される管状雌型末端102の断面領域である。PICCSは、管状雄型末端101の雌ねじ部104にわたって伝達される引張を受け、管状雄型末端101の自由端(終端側末端)の反対側の雌ねじ部104の末端に配設される管状雄型末端101の断面領域である。
言及した該接続のこれらの4つの臨界部分が十分に高くない場合、その場所で破断が生じる可能性がある。PCCSおよびBCCSは、ピン101およびボックス102の夫々の末端近傍で破断のリスクを呈している。PICCSとBICCSの合計は、偏心シール125近傍の引張による破断のリスクを呈している。本願の発明者は、次の特定の関係、すなわち、PCCS〜(BICCS+PICCS)〜BCCSを満たすことにより、向上した引張効率を実現できることを認識した。本実施例において、符号「〜」は±5%以内に等しいことを意味している。
上記方法で上述した4つの臨界部分間の効率のバランスが、より大きなトルク耐性を得るためにシール領域を最大化し、且つ該接続の軸方向性能を確保ながら、該接続の効率を最大化して(〜90%)維持することを、本願の発明者は認識した。
また、臨界部分間の関係は、2%または1%という小さな差を伴ってもよい。好ましくは、該偏心シール近傍の破断を防ぐため、PICCSとBICCSの合計がPCCSとBCCSの最高値よりも大きい。好適な実施の形態では、該管状接続はどのようなトルク肩部も含まない。他の実施の形態では、該管状ねじ接続の偏心シール125は、該管状ねじ接続内の単なる流体密封シールである。
図2に示すように、本実施例のシール125は、径方向のシールにボックス102のシール面162を与えるピン101のシール面152を有する。したがって、該接続が組み立てられるとき、該ピンおよびボックスのシール面152、162は、これらの間の径方向の干渉によって密接する。
図2に示すように、該ボックスおよびピンの面は、該ピンの面153とボックスの対応する面163の間に径方向隙間210をもたらすように形成されている。これらの面はシールを形成しない。
第2の隙間212が、シール125と、隙間210からシール125の反対側のねじの間に配設される。隙間212は、ピン101およびボックス102の円筒形面151、161間に形成される径方向の隙間である。隙間210は、組立時の短いねじ部104、106の応力を緩和するように構成されている。隙間210、212は、対称的にすることができる。好適な実施の形態において、隙間210、212は対称的ではなく、シール面152のより大きな柔軟性を可能にするため、面153によって画成された溝を加えることができる。その柔軟性は、シール125への応力集中を緩和することができ、密封能力を僅かに増すことができる。溝153は、該ボックスのシールの移行角度で配置することができ、0.5mm未満は四捨五入することができる。溝153の直径は、該ピンのシール125内で直径方向に1mmとすることができる。
図1に示すように、本発明の非限定的な実施の形態の管状ねじ接続は、第1のチューブの本体の末端から、第1のチューブの終端側末端まで延びるピン部材101を有する第1のチューブを含んでいる。ピン部材101は、雄ねじの2つの径方向オフセット部分、すなわち、第1のねじ部104および第2のねじ部105を含んでいる。第1のねじ部104は、第1のシール面152によって、第2のねじ部105と隔てられている。第1のねじ部104は、第1のチューブの終端側末端と、第1のシール面152の間に配設される。第2のねじ部105は、第1のシール面152と、第1のチューブの本体の末端の間に配設される。
第2のチューブは、第2のチューブの本体の末端から、第2のチューブの終端側末端まで延びるボックス部材102を含んでいる。該ボックス部材は、雌ねじの2つの径方向オフセット部分、すなわち、第3のねじ部107および第4のねじ部106を含んでいる。第3のねじ部107は、第2のシール面162によって、第4のねじ部106と隔てられている。第3のねじ部107は、第2のチューブの終端側末端と、第2のシール面162の間に配設される。第4のねじ部106は、第2のシール面162と、第2のチューブの本体の末端の間に配設される。
該ピン部材は、第1のチューブの本体の末端に近接する第2のねじ部のねじ係合谷底部に配設されたピン臨界断面(PCCS)171を含んでいる。該ボックス部材は、第2のチューブの本体の末端に近接する第4のねじ部のねじ係合谷底部に配設されたボックス臨界断面(BCCS)174を含んでいる。ボックス部材102は、第2のチューブの第2のシール面に近接する第3のねじ部のねじ係合谷底部に配設されたボックス中間臨界断面(BICCS)172を含んでいる。ピン部材101は、第1のチューブの第1のシール面に近接する第1のねじ部のねじ係合谷底部に配設されたピン中間臨界断面(PICCS)173を含んでいる。
組立てられた状態では、第1のシール面152は、該管状ねじ接続の軸方向に延びる流体密封偏心シール125を形成するように、径方向において第2のシール面162と係合する。この実施の形態において、シール125は、第2のチューブの終端側末端よりも第1のチューブの終端側末端に近接して配置されるため偏心している。第1および第2のチューブは以下の関係を満たしている。
PCCSはBCCSの約±5%以内であり、PCCSおよびBCCSは約±5%以内(BICCS+PICCS)であり、BICCS/PICCSは2.0以上である。
好適な実施の形態において、BICCS/PICCSは2〜5である。他の実施の形態において、BICCS/PICCSは2.5〜3.0である。更に他の実施の形態において、BICCS/PICCSは少なくとも2.0以上であり、少なくとも30.8×OACE−25である。ただし、OACEは10進フォーマットの全体の接続効率(overall connection efficiency)である。
本発明の実施の形態によれば、組立てられた状態では、流体密封偏心シール125は、第1の隙間部153/163により、該管状ねじ接続の軸方向において第2のねじ部105および第3のねじ部107と隔てることができ、第1の隙間210が第1の隙間部153/163においてピンとボックスの間に形成され、ピン101およびボックス102は第1の隙間部153/163において径方向において互いに隔てられている。第1の隙間210は、3mm〜15mmの軸向隙間と、0.125mm〜0.4mmの半径隙間を含むことができる。
本発明の実施の形態によれば、組立てられた状態では、流体密封シール205は、第2の隙間部151/161により、該管状ねじ接続の軸方向において、第1のねじ部104および第4のねじ部106から隔てられている。該ピンおよび該ボックスは、第2の隙間部212が、第2の隙間部151/161においてピン101とボックス102の間に形成されるように、第2の隙間部151/161において径方向において互いに隔てられている。第2の隙間212は、組立てられたときに、例えば0.1mm〜2mmの軸向隙間を含むことができる。
好適な実施の形態において、第1、第2、第3および第4のねじ部は夫々蟻継ぎ状ねじを含んでいる。該蟻継ぎ状ねじのロードフランクは、負の傾きを有することができる。該蟻継ぎ状ねじは、−3.5〜−4.5度のスタブフランク角度を有することができる。そのスタブフランク角度は、−3.9〜−4.1度とすることができる。該蟻継ぎ状ねじは、−0.5〜−1.5度のロードフランク角度を有することができる。好適な実施の形態において、そのロードフランク角度は、−0.9〜−1.1度とすることができる。一実施の形態において、該頂部および該谷底部は、ねじテーパに対して平行にすることができる。非限定的な実施例において、該ボックスおよび該ピンのねじ幅が等しく、組立中に係合して該ねじを固定する場合、意図的なフランク干渉はない。一実施の形態において、該ねじは、流体密封シールを形成しない。
好適な実施の形態において、該ねじは漸増可変幅を有することができる。該ロードフランクおよびスタブフランクは、可変幅ねじを形成するように、異なるリードを有するが、そのねじの長さに関して変化はなく、摂動もない。一実施の形態において、第1、第2、第3および第4のねじウェッジ比は同じである。ウェッジ比は、ねじ長さ、フランク角度、フランクピッチ、フランク半径およびねじ高さ等の幾何学的考察に基づいて選択することができる。また、ウェッジ比は、製造サイクルタイム、パス回数、および切削インサートの寸法等の製造上の考察に基づいて選択することもできる。非限定的な実施の形態において、ウェッジ比は、3〜6%以内、または3.5%〜4.5%、または4%〜4.25%とすることができる。非限定的な実施の形態において、ねじピッチは2〜5TPIまたは3〜4TPIの範囲内とすることができる。
好適な実施の形態において、PCCSおよびBCCSは、約±3%(BICCS+PICCS)以内である。他の実施の形態において、PCCSおよびBCCSの各々は、約±2%(BICCS+PICCS)以内である。好適な実施の形態において、(BICCS+PICCS)は、PCCSおよびBCCSよりも大きい。
好適な実施の形態において、該管状ねじ接続の引張効率は、約81%〜92%であり、好ましくは約85%〜92%である。他の実施の形態において、該管状ねじ接続の引張効率は、89%〜91%である。他の実施の形態において、該管状ねじ接続の引張効率は、89%〜90%である。
好適な実施の形態において、PCCSは、BCCSの約±5%以内であり、PCCSおよびBCCSは、約±5%(BICCS+PICCS)以内であり、第2の(および/または第3の)ねじ部の全長を、第1の(および/または第4の)ねじ部の全長で割ると、2.0以上になる。好適な実施の形態において、このような長いねじ部と短いねじ部のねじ長さの比は、2.0〜4であり、好ましくは、2.5〜4である。他の実施の形態において、ねじ長さの比は、少なくとも2.0以上であり、少なくとも37.2×OACE−30.5である。ただし、OACEは10進フォーマットの全体の接続効率であり、例えば90%である。
他の実施の形態において、第2のねじ部のねじの総数を第1のねじ部のねじの総数で割ると、1.5以上および3.0未満となる。また、他の実施の形態において、第2のねじ部のねじの総数を第1のねじ部のねじの総数で割ると、1.7以上および2.5未満となる。他の実施の形態において、第2のねじ部のねじの総数を第1のねじ部のねじの総数で割ると、1.5以上となり、少なくとも19.2×OACE−15.3となる。ただし、OACEは10進フォーマットの全体の接続効率であり、例えば89%である。
図4に示す接続は、上述した臨界部分間の関係に従わない。その代わり、図4の接続は、(パイプ断面と比較した場合、百分率で)より低い接続臨界部分比と、それに伴って、図1〜3に記載した実施例の場合よりも小さい該接続の引張効率(すなわち、該接続比の最小値)で特徴付けられる。
図4の接続において、雄型要素1および雌型要素2の厚さ末端のシール面27、28によって占められる径方向空間は、PCCSおよびBCCSを低減する。対照的に、図1〜3の実施例は、該ピンの大径のねじ105の厚さ末端と、該ボックスの小径のねじ106の厚さ末端を、大きな欠点を伴うことなく、図4の接続の場合よりも厚く形成でき、それに伴って上記臨界部分間の新規な関係を確実にする偏心シール構造を含んでいる。
図4の2つの端末シール27、28の代わりの、図1の単一の偏心シール125の選択は、該シールによって占められる径方向空間を減らすことを可能にしている。その結果、PCCSおよびBCCSの両方を増加させることができる。また、このような選択は、該接続を端末シール間に密閉されないオーバードーピング、潤滑油ドープの場合のドープ圧力によるピンおよびボックスのジャンプアウトのリスクに対する感度を小さくする。
シール125のシール面152、162は、実質的に同じテーパの円錐状面とすることができ、面152、162の一方は、凸状に突出した面、例えば10〜100mmのトーラス半径によって画成されたトーラス面とすることができ、他方の面は円錐状とすることができる。例えば1/6(16.7%)のシールテーパを選択することができる。シール面152、162の構造は、封止的考察に基づいて選択することができ、磨耗低減的考察に基づいて選択する必要はない。
上述したように、該ピンおよびボックスのねじランインは、図4に示された円筒状−円錐状接続に基づいている。雄ねじ部の円筒状−円錐状ピンランインと、雌ねじ部の円筒状−円錐状ボックスランインを有することにより、該肩部領域が次のように最大化される。すなわち、(円筒状ランイン長さ×ねじテーパ)=1つのランインねじ部による肩部高さが増加する。肩部124の各側には1つのランインねじ部があるため(一方は該ピンに、他方の1つは該ボックスに)、肩部高さの増加分の合計は各ランインねじ部による増加の合計となる。図3は、図1に示される結合部のねじランイン部の一方の詳細な断面図を示している。具体的には、図3は、ボックス102のねじ107のランアウト部と、ピン101のねじ105のランイン部を示している。ライン193、194は、テーパ状経路をたどるラインを示している。該ランインねじ部のピン谷底部は、加工用インサートの形状によりテーパ状になっている。
係合されたねじのランイン部分とランアウト部分の間の移行点は必ずしも同じ位置になくてもよい。該ランイン部の円筒状ねじ長さは、例えば3〜4のねじピッチとすることができる。
ねじテーパは、1/18(5.555%)から1/6(16.67%)とすることができる。接続の各サイズに対する該ねじテーパの選択は、
1.該接続の効率PCCS〜(BICCS+PICCS)〜BCCSを確保し、
2.ジャンプアウトを回避するために開発された十分なねじ領域を確保し、
3.該肩部高さを最大化し、トルク容量および/または圧縮負荷または曲げ荷重に対する耐性を最大化するのに役に立つ。
該ねじテーパは、2つの段状ねじ104(106)および105(107)間で異ならせることができる。
2つの雌型ねじ部および雄型ねじ部の長さは、その中間断面の効率を最大化するために異なっている。該雌型ねじ部の長さは、例えば該雄型ねじ部の100%未満から10%、好ましくは該雄型ねじ部の50%未満とすることができる。
加えて、開発されたねじ領域の合計は、PCCSとBCCSとの間の最小臨界断面の130%超、且つ250%未満とすることができる。
言うまでもなく、上記教示に照らして、本発明の多くの変更および変形が可能である。したがって、本発明を、添付クレームの範囲内で、本願明細書に記載されている方法以外の他の方法でも実施できることを理解すべきである。
また、図5のフック状ねじを他のねじ輪郭に替えてもよい。
また、小径の隙間210、212を実施するため、標準的なコンパウンドドープ(RP API 5A3)の代わりに乾式潤滑剤を用いてもよい。

Claims (16)

  1. 本体の末端から終端側末端まで延びるピン部材を含み、前記ピン部材が雄ねじの2つの径方向オフセット部分を含み、雄ねじの前記2つの径方向オフセット部分が第1のねじ部と第2のねじ部を含み、前記第1のねじ部が第1のシール面によって前記第2のねじ部と隔てられ、前記第1のねじ部が前記終端側末端と前記第1のシール面の間に配置され、前記第2のねじ部が前記第1のシール面と前記本体の末端の間に配置される第1のチューブと、
    本体の末端から終端側末端まで延びるボックス部材を含み、前記ボックス部材が雌ねじの2つの径方向オフセット部分を含み、雌ねじの前記2つの径方向オフセット部分が第3のねじ部と第4のねじ部を含み、前記第3のねじ部が第2のシール面によって前記第4のねじ部と隔てられ、前記第3のねじ部が前記終端側末端と前記第2のシール面の間に配置され、前記第4のねじ部が前記第2のシール面と前記本体の末端の間に配置される第2のチューブと、
    を備え、
    前記ピン部材が、前記第1のチューブの前記本体の末端に近接する前記第2のねじ部のねじ係合谷底部に配設されたピン臨界断面(PCCS)を含み、
    前記ボックス部材が、前記第2のチューブの前記本体の末端に近接する前記第4のねじ部のねじ係合谷底部に配設されたボックス臨界断面(BCCS)を含み、
    前記ボックス部材が、前記第2のチューブの前記第2のシール面に近接する前記第3のねじ部のねじ係合谷底部に配設されたボックス中間臨界断面(BICCS)を含み、
    前記ピン部材が、前記第1のチューブの前記第1のシール面に近接する前記第1のねじ部のねじ係合谷底部に配設されたピン中間臨界断面(PICCS)を含み、
    組立てられた状態において、前記第1のシール面は、管状ねじ接続の軸方向に延びる流体密封偏心シールを形成するように、径方向において前記第2のシール面と係合し、
    前記第1および第2のチューブは、
    PCCSがBCCSの約±5%以内であり、
    PCCSおよびBCCSが約±5%以内(BICCS+PICCS)であり、
    BICCS/PICCSが2.0以上であり、
    前記管状ねじ接続は、トルク肩部を含まない、
    管状ねじ接続。
  2. 前記流体密封偏心シールは、前記第2のチューブの前記終端側末端よりも前記第1のチューブの前記終端側末端の近く配置される、請求項1に記載の管状ねじ接続。
  3. 前記BICCS/PICCSは2.0〜5.0である、請求項1に記載の管状ねじ接続。
  4. 前記BICCS/PICCSは2.5〜3.0である、請求項3に記載の管状ねじ接続。
  5. 前記流体密封偏心シールは、前記管状ねじ接続内の流体密封シールにすぎない、請求項1に記載の管状ねじ接続。
  6. 前記組立てられた状態において、前記流体密封偏心シールは、前記管状ねじ接続の軸方向に第1の隙間部によって前記第2のねじ部および前記第3のねじ部から隔てられ、前記ピン部材および前記ボックス部材は、第1の隙間が前記ピン部材と前記ボックス部材の間に形成されるように、前記第1の隙間部において前記径方向に互いに離間される、請求項1に記載の管状ねじ接続。
  7. 前記第1の隙間が、3mm〜15mmの軸向隙間と、0.125mm〜0.4mmの半径隙間を含む、請求項に記載の管状ねじ接続。
  8. 前記組立てられた状態において、前記流体密封偏心シールは、前記管状ねじ接続の軸方向において第2の隙間部によって前記第2のねじ部および前記第4のねじ部から隔てられ、前記ピン部材および前記ボックス部材は、第2の隙間が前記ピン部材と前記ボックス部材の間に形成されるように、前記第2の隙間部において前記径方向において互いに離間される、請求項に記載の管状ねじ接続。
  9. 前記第2の隙間が0.1mm〜2mmの軸向隙間を含む、請求項に記載の管状ねじ接続。
  10. 前記第1、第2、第3および第4のねじ部は夫々蟻継ぎ状ねじであり、負の傾斜を有する蟻継ぎ状ねじのロードフランクを含む、請求項1に記載の管状ねじ接続。
  11. 前記蟻継ぎ状ねじは−3.5〜−4.5度のスタブフランク角度を有する、請求項10に記載の管状ねじ接続。
  12. 前記スタブフランク角度は−3.9〜−4.1度である、請求項11に記載の管状ねじ接続。
  13. 前記蟻継ぎ状ねじの前記ロードフランクは−0.5〜−1.5度のロードフランク角度を有する、請求項11に記載の管状ねじ接続。
  14. 前記ロードフランク角度は−0.9〜−1.1度である、請求項13に記載の管状ねじ接続。
  15. PCCSおよびBCCSは約±2%(BICCS+PICCS)以内である、請求項1に記載の管状ねじ接続。
  16. 前記管状ねじ接続の引張効率は81%〜92%である、請求項1に記載の管状ねじ接続。
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