以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。本実施形態では、計測時に、空間的にランダムな回折界スペックルによるスペックルパターンが被写体に投射される。回折界スペックルは、ある面積を持つ窓から拡散されて空間に出射されたレーザー光の光束内の位相分布が一様でない場合にレーザー光が空間内で干渉することにより発生する。レーザー光が照射された被写体の表面では、スペックルパターンがランダムな明暗の分布として観察される。
光束内の位相分布がランダムな場合の回折界スペックルは、空間的にランダムな構造を有する。このため、レーザー光の出射窓に対する被写体の位置が変化すると、観察される斑状のスペックルパターンがランダムに変化する。レーザー光の光束内の位相分布と、レーザー光の出射窓に対する被写体の位置とが時間的に安定していれば、スペックルパターンは固定パターンとして観察される。視点が変わっても固定パターンは変化しないので、この固定パターンを、ステレオ法による3次元計測すなわちステレオ計測の補助として用いることができる。
図1は、本実施形態による内視鏡装置1の全体の構成を示している。図1に示すように、内視鏡装置1は、挿入部2と、コントロールユニット3と、操作部4と、表示部5とを有する。
挿入部2は、観察対象の物体の内部に挿入される。挿入部2の先端20(先端部)には、被写体からの光を先端20に取り込むための光学系を有する光学アダプタを装着することが可能である。例えば、ステレオ光学アダプタを先端20に装着することで、異なる複数の視点に対応する2つの被写体像を取得することが可能となる。コントロールユニット3は、内視鏡装置1の制御を行うための構成を有する。操作部4は、ユーザが行う操作を受け付ける。表示部5は、内視鏡装置1によって撮影された画像や処理メニュー等を表示する。
図2は、内視鏡装置1の詳細な構成を示している。図2に示すように、挿入部2の先端20に光学アダプタ6が装着されている。本実施形態の光学アダプタ6は、複数の視点からの複数の像を形成するステレオ光学アダプタである。光学アダプタ6は、対物レンズ60と配光調節光学系61とを有する。撮像部21が挿入部2の先端20に配置されている。コントロールユニット3は、撮像制御部30と、映像処理回路31と、照明用光源32と、レーザーダイオード33と、光源制御回路34と、温度制御素子35と、温度制御回路36と、CPU37とを有する。以下では、レーザーダイオードはLDと記載される。
対物レンズ60は、被写体からの光を取り込む。対物レンズ60によって取り込まれた光は撮像部21に入射する。撮像部21は、挿入部2の先端20に配置され、挿入部2が挿入された物体の内部の被写体を複数の視点から撮像し、被写体の複数の像の画像データを生成する。撮像部21によって生成された画像データは、挿入部2およびコントロールユニット3内に配置された信号線80を介して、撮像制御部30に伝送される。
撮像制御部30は、信号線80を介して撮像部21に制御信号を出力し、撮像部21を制御する。また、撮像制御部30は、撮像部21から出力された画像データを映像処理回路31に出力する。映像処理回路31は、撮像制御部30から出力された画像データに対して、各種の画像処理を行う。また、映像処理回路31は、観察モード中に生成された画像データに基づく画像を観察モード中に表示する表示部5に画像データを出力する出力部である。
照明用光源32(第1の光源)は、照明用の光(第1の光)を生成する。例えば、照明用光源32は、一般的に白色光と呼ばれる、輝度の高い光を生成する光源である。例えば、照明用光源32は、白色LED、キセノンランプ、水銀ランプ、ハロゲンランプ、またはメタルハライドランプである。照明用光源32として、白色光を生成する光源を用いる場合には、観察モードにおける照明の演色性が高まり、視認性が増す。
LD33(第2の光源)は、コヒーレントな光(第2の光)を生成する半導体光源(コヒーレント光源)である。本実施形態では、半導体光源から出射された光の干渉によって発生する回折光スペックルを利用するため、可干渉性が高い半導体光源が使用される。よって、LDを半導体光源に用いることが望ましい。本実施形態では、LD33を光源に用いた例を説明する。LD33は、単一の波長に対応するコヒーレントな単色光を生成する。
光源制御回路34は、照明用光源32とLD33とを制御する光源制御部である。本実施形態では、光源制御回路34は、観察モード中に照明用光源32とLD33とを点灯させ、計測モード中に照明用光源32を点灯または消灯させると共にLD33を点灯させる。あるいは、光源制御回路34は、観察モード中に照明用光源32を点灯させると共にLD33を計測モード中のLD33の光量よりも少ない光量で点灯させる、またはLD33を消灯させ、計測モード中に照明用光源32を点灯または消灯させると共にLD33を点灯させる。
照明用光源32から出射された光は、挿入部2およびコントロールユニット3内に配置された光ファイバー81(第1の光ファイバー)を介して、挿入部2の先端20に伝送される。LD33から出射された光は、挿入部2およびコントロールユニット3内に配置された光ファイバー82(第2の光ファイバー)を介して、挿入部2の先端20に伝送される。
例えば、光ファイバー82はマルチモードファイバーである。LD33から出射された光は一様な位相分布を有する。この光が、マルチモードファイバーである光ファイバー82を通る際に、光束内の位置に応じて、コアとクラッドとの境界における反射の回数に差が生じる。これによって、光束内で光路長の差が生じる。その結果、光ファイバー82の先端側の端面から出射される光はランダムな位相分布を有する。このランダムな位相分布によって回折界スペックルが発生する。つまり、光ファイバー82は、LD33によって生成された光を挿入部2の先端20に伝送する導光部であると共に、LD33によって生成された光に対して、空間的にランダムな回折界スペックルを発生させるスペックルパターン発生部である。光ファイバー81は、シングルモードファイバーとマルチモードファイバーとのどちらであってもよい。
光ファイバー81と光ファイバー82とは、少なくとも挿入部2の先端20の内部で束ねられた複合型光ファイバーを形成している。例えば、光ファイバー81と光ファイバー82とが挿入部2の内部で束ねられ、光ファイバー81と光ファイバー82とが挿入部2の内部で共通の管状部材によって被覆されることで複合型光ファイバーが構成される。複合型光ファイバーを用いることによって、挿入部2の細径化が可能となる。
複合型光ファイバーとして束ねられた光ファイバー81と光ファイバー82とは、挿入部2の先端20と照明用光源32との間かつ挿入部2の先端20とLD33との間で分離されている。光ファイバー81と光ファイバー82とが分離する場所である分離部83の位置は、挿入部2の先端20から照明用光源32までの間かつ挿入部2の先端20からLD33までの間のどの位置であってもよい。例えば、分離部83は、コントロールユニット3において、挿入部2とLD33との間にある。この場合、光ファイバー81と光ファイバー82とは、複合型光ファイバーとして束ねられたままの状態で挿入部2に挿入されている。
分離部83では、複合型光ファイバーの外側の被覆材に穴が形成され、その穴から光ファイバー82が取り出される。分離部83よりも照明用光源32に近い側において、被覆材の内部にある光ファイバー81は束ねられている。光ファイバー81の端部の外側に口金が設けられている。これによって、光ファイバー81が照明用光源32に接続しやすくなる。また、分離部83よりもLD33に近い側において、光ファイバー82の端部の外側にも口金を設けるとよい。また、分離部83において、光ファイバー82を取り出すための穴が形成された部分にテープを巻く等の方法によって分離部83を補強してもよい。
複数種類の光ファイバーが束ねられた複合型光ファイバーを用いた内視鏡システムが、例えば参考文献である特許第4521528号公報に開示されている。参考文献における内視鏡システムは、被写体の形状を解析する装置ではない。
光ファイバー81から出射された光と、光ファイバー82から出射された光とは配光調節光学系61に入射する。配光調節光学系61は、挿入部2の先端20から導かれる光が撮像部21によって撮像される視野全体を照らすように配光を調節し、その光を被写体に照射する。つまり、配光調節光学系61は、挿入部2の先端20から導かれる光を投射する範囲を調節する。配光調節光学系61は、例えば照明光学系である。配光調節光学系61に用いられる照明光学系は、例えば径が小さいボールレンズ、または凹レンズ等である。上記のように、本実施形態の挿入部2は、物体の内部に挿入され、撮像部21が配置され、照明用光源32によって生成された光と、LD33によって生成された光とを、先端20に装着された光学アダプタ6を介して被写体に投射する。
温度制御素子35は、LD33を加熱または冷却することによって、LD33の温度を制御する。LD33の温度が時間的に変化するようにその温度を制御することによって、スペックルパターンの目立ちやすさを制御することが可能である。半導体光源の温度を制御することによりスペックルパターンの目立ちやすさを効率よく、効果的に変化させるには、半導体光源の放熱性をできるだけ高くすることが望ましい。
例えば、温度制御素子35は、温度を上昇させるためのヒーターと、冷却のためのヒートシンクまたは空冷ファンとの組み合わせである。あるいは、電流の制御によって素子の加熱と冷却とを行うことができるペルチェ素子を温度制御素子35として用いてもよい。
温度制御回路36は、温度制御素子35を制御する。温度制御回路36は、計測モード中に、回折界スペックルによるスペックルパターンが被写体に投射され、観察モード中に、被写体に投射されるスペックルパターンが計測モード中よりも低減するように回折界スペックルを制御するスペックルパターン制御部である。温度制御回路36は、LD33の温度を制御することにより回折界スペックルを制御する。
計測モード中は、ステレオ法におけるマッチングの精度を向上させるため、被写体の表面に投射されたスペックルパターンが目立つように回折界スペックルが制御される。また、観察モード中は、被写体の表面を視認しやすくするため、被写体の表面に投射されたスペックルパターンが目立たなくなるように回折界スペックルが制御される。
CPU37は、内視鏡装置1内の各部を制御する。CPU37は、計測モード中に映像処理回路31によって処理された画像データを取り込み、計測モード中に生成された画像データに基づいて被写体の3次元形状を算出する演算部である。また、CPU37は、操作部4の状態を監視する。これによって、CPU37は、内視鏡装置1のモードを変更する操作や、計測モード中の計測に関する操作等を検出する。
図3は、複合型光ファイバー84の構成を示している。図3では複合型光ファイバー84の断面が示されている。
図3(a)は、複合型光ファイバー84の全体の断面を示している。図3(a)に示すように、複合型光ファイバー84の表面は管状の被覆材85(管状部材)で被覆されている。また、照明用光源32によって生成された光を伝送する光ファイバー81と、LD33によって生成された光を伝送する光ファイバー82とが被覆材85の内部で束ねられている。
少なくとも挿入部2の先端20において光ファイバー82が複合型光ファイバー84の中心側に配置され、少なくとも挿入部2の先端20において光ファイバー81が複合型光ファイバー84の外側に配置されている。つまり、光ファイバー82が複合型光ファイバー84のほぼ中心に配置され、光ファイバー81が光ファイバー82の周囲に配置されている。
図3(b)は、光ファイバー81の断面を示している。図3(b)では、図3(a)に示す光ファイバー81の一部のみが示されている。図3(b)に示すように、光ファイバー81は、複数の光ファイバー810の集合体(光ファイバーバンドル)である。光ファイバー810は、中心にあるコア811と、コア811を囲むクラッド812とを有する。
図3(c)は、光ファイバー82の断面を示している。図3(c)に示すように、光ファイバー82は単一のファイバーである。光ファイバー82は、中心にあるコア820と、コア820を囲むクラッド821とを有する。
被写体を撮像する視野の範囲において、スペックルパターンが部分的な領域に投射されるよりも、スペックルパターンができるだけ広い領域に投射され、かつ、光量の偏りが少なくなることが望ましい。このため、図3(a)に示すように、複合型光ファイバー84のほぼ中心に光ファイバー82が配置されるとよい。また、光ファイバー82の位置と、配光調節光学系61の光軸の位置(配光調節光学系61の中心の位置)とができるだけ合うように複合型光ファイバー84が配置されるとよい。
光ファイバー82は、光が出射される端面において複合型光ファイバー84のほぼ中心に配置されている。光が出射される端面以外の部分では、光ファイバー81と光ファイバー82との位置は任意である。つまり、光が出射される端面以外の部分では、光ファイバー81が複合型光ファイバー84の中心に配置されていなくてもよい。光が出射される端面から、光ファイバー81と光ファイバー82とが分離する分離部83までに渡って、光ファイバー82が複合型光ファイバー84のほぼ中心に配置されるように複合型光ファイバー84が形成されていてもよい。
光が被写体に投射される際に通過する凹レンズの径が光ファイバー82の径よりも十分に大きい場合には、複合型光ファイバー84における光ファイバー82の位置によらず、回折光スペックルを含む光を広角に投射することができる。したがって、複合型光ファイバー84を比較的容易に製作することができる。複合型光ファイバー84の先端は、挿入部2の先端20に形成される窓の形状に合わせて成型するとよい。
図4は、挿入部2の先端20と光学アダプタ6との構成を示している。図4(a)は、挿入部2の先端20と光学アダプタ6との外観を示している。図4(b)は、挿入部2の先端20と光学アダプタ6との断面を示している。図4(b)では、対物レンズ60aと対物レンズ60bとを含む断面が示されている。
光学アダプタ6が挿入部2の先端20に装着されている。光学アダプタ6は、固定リング63の雌ねじ64により挿入部2の先端20の雄ねじ65と螺合されて固定される。光学アダプタ6の先端には、2つの対物レンズ60a、対物レンズ60bと窓62とが設けられている。対物レンズ60aと対物レンズ60bとは図2の対物レンズ60に対応している。対物レンズ60aと対物レンズ60bとは、挿入部2の先端20内に設けられた撮像部21上に被写体の2つの像を結像する。撮像部21は信号線80に接続され、撮像部21から信号線80に画像データが出力される。挿入部2の先端20の端面には、撮像部21を保護するためのカバーガラス66が配置されている。
本実施形態では、挿入部2の先端20の外径に対する制約を減らすために、照明光を投射するための窓と、計測用のスペックルパターンを投射するための窓とが共通化されている。窓62は、これら2種類の窓を共通化した窓である。配光調節光学系61が窓62に配置されている。照明用光源32によって生成された光と、LD33によって生成された光とが配光調節光学系61によって被写体に投射される。2種類の光に共通な窓62を設けることによって、挿入部2の先端20の細径化が可能となる。
図5は、挿入部2の先端20と光学アダプタ6との構成の第1の例を示している。図5では、窓62を含む断面が示されている。
挿入部2の先端20に複合型光ファイバー84が配置されている。前述したように、複合型光ファイバー84のほぼ中心に光ファイバー82が配置され、光ファイバー81が光ファイバー82の周囲に配置されている。挿入部2の先端20の端面には、光ファイバー81と光ファイバー82とを保護するためのカバーガラス67が配置されている。
光学アダプタ6に形成された窓62に、カバーガラス68と、導光光学系69と、配光調節光学系61と、カバーガラス70とが配置されている。挿入部2の先端20と接続する部分に、導光光学系69を保護するためのカバーガラス68が配置されている。導光光学系69はカバーガラス68の前方に配置されている。導光光学系69は、光ファイバー81によって伝送されて挿入部2の先端20から出射された光と、光ファイバー82によって伝送されて挿入部2の先端20から出射された光とを配光調節光学系61に導く。
導光光学系69は、光ファイバー71と光ファイバー72とを有する。例えば、導光光学系69は複合型光ファイバー84と同様の構造を有している。光ファイバー72が導光光学系69の中心側に配置され、光ファイバー71が導光光学系69の外側に配置されている。つまり、光ファイバー72が導光光学系69のほぼ中心に配置され、光ファイバー71が光ファイバー72の周囲に配置されている。光ファイバー71は、複数の光ファイバーの集合体である。
導光光学系69の、挿入部2の先端20側の端面の外径は光ファイバー81の外径と光ファイバー82の外径とのどちらよりも大きい。光ファイバー81の外径は、複数のファイバーの集合体である光ファイバー81の全体の最大径である。これによって、導光光学系69の位置と複合型光ファイバー84の位置とを容易に合わせることができる。
光ファイバー71が、光ファイバー81と対応する位置に配置され、光ファイバー72が、光ファイバー82と対応する位置に配置されるように、導光光学系69の位置と複合型光ファイバー84の位置とが調節されている。光ファイバー81によって伝送されてカバーガラス67を介して光ファイバー81から出射された光はカバーガラス68を介して光ファイバー71に入射する。また、光ファイバー82によって伝送されてカバーガラス67を介して光ファイバー82から出射された光はカバーガラス68を介して光ファイバー72に入射する。光ファイバー71は、光ファイバー81から出射された光を配光調節光学系61に導く。また、光ファイバー72は、光ファイバー82から出射された光を配光調節光学系61に導く。
配光調節光学系61は導光光学系69の前方に配置されている。配光調節光学系61は、導光光学系69によって導かれた光を被写体に投射する。配光調節光学系61は、複数の球状のボールレンズ73と、凹レンズ74とを有する。凹レンズ74が配光調節光学系61の中心側に配置され、ボールレンズ73が配光調節光学系61の外側に配置されている。つまり、凹レンズ74が配光調節光学系61のほぼ中心に配置され、ボールレンズ73が凹レンズ74の周囲に配置されている。
ボールレンズ73が、光ファイバー71と対応する位置に配置され、凹レンズ74が、光ファイバー72と対応する位置に配置されるように、配光調節光学系61の位置と導光光学系69の位置とが調節されている。複数のボールレンズ73を照明光用の配光調節光学系に用いる場合、それぞれのボールレンズ73の軸の位置と、光ファイバー71のコアの位置とを厳密に合わせる必要はない。光ファイバー71によって導かれた光はボールレンズ73に入射する。また、光ファイバー72によって導かれた光は凹レンズ74に入射する。ボールレンズ73は、光ファイバー81から出射された光を広角に出射する。また、凹レンズ74は、光ファイバー82から出射された光を広角に出射する。光学アダプタ6において、光が出射される端面に、ボールレンズ73と凹レンズ74とを保護するためのカバーガラス70が配置されている。
図5に示す第1の例では、光ファイバー81によって伝送された光を広角に出射する第1の光学素子であるボールレンズ73と、光ファイバー82によって伝送された光を広角に出射する第2の光学素子である凹レンズ74とが窓62の内部に配置されている。
図6は、挿入部2の先端20と光学アダプタ6との構成の第2の例を示している。図6では、窓62を含む断面が示されている。
挿入部2の先端20に複合型光ファイバー84が配置されている。前述したように、複合型光ファイバー84のほぼ中心に光ファイバー82が配置され、光ファイバー81が光ファイバー82の周囲に配置されている。挿入部2の先端20の端面には、光ファイバー81と光ファイバー82とを保護するためのカバーガラス67が配置されている。
光学アダプタ6に形成された窓62に導光光学系69と配光調節光学系61とが配置されている。挿入部2の先端20と接続する部分に導光光学系69が配置されている。導光光学系69は、光ファイバー81によって伝送されて挿入部2の先端20から出射された光と、光ファイバー82によって伝送されて挿入部2の先端20から出射された光とを配光調節光学系61に導く。導光光学系69はロッドレンズである。導光光学系69の、挿入部2の先端20側の端面の外径は光ファイバー81の外径と光ファイバー82の外径とのどちらよりも大きい。
配光調節光学系61は導光光学系69の前方に配置されている。配光調節光学系61は、導光光学系69によって導かれた光を被写体に投射する。配光調節光学系61は凹レンズである。光ファイバー81から出射された光と、光ファイバー82から出射された光とが、共通の配光調節光学系61によって被写体に投射される。
図6に示す第2の例では、光ファイバー81によって伝送された光と、光ファイバー82によって伝送された光とを広角に出射する共通の光学素子である配光調節光学系61が窓62の内部に配置されている。
図7は、挿入部2の先端20と光学アダプタ6との構成の第3の例を示している。図7では、窓62を含む断面が示されている。
挿入部2の先端20に複合型光ファイバー84が配置されている。前述したように、複合型光ファイバー84のほぼ中心に光ファイバー82が配置され、光ファイバー81が光ファイバー82の周囲に配置されている。挿入部2の先端20の端面には、光ファイバー81と光ファイバー82とを保護するためのカバーガラス67が配置されている。
光学アダプタ6に形成された窓62に、カバーガラス68と、導光光学系69と、配光調節光学系61とが配置されている。挿入部2の先端20と接続する部分に、導光光学系69を保護するためのカバーガラス68が配置されている。導光光学系69はカバーガラス68の前方に配置されている。導光光学系69は、光ファイバー81によって伝送されて挿入部2の先端20から出射された光と、光ファイバー82によって伝送されて挿入部2の先端20から出射された光とを配光調節光学系61に導く。導光光学系69の、挿入部2の先端20側の端面の外径は光ファイバー81の外径と光ファイバー82の外径とのどちらよりも大きい。
導光光学系69は、光ファイバー71と光ファイバー72とを有する。前述したように、光ファイバー72が導光光学系69の中心側に配置され、光ファイバー71が導光光学系69の外側に配置されている。つまり、光ファイバー72が導光光学系69のほぼ中心に配置され、光ファイバー71が光ファイバー72の周囲に配置されている。光ファイバー71は、複数の光ファイバーの集合体である。
前述したように、光ファイバー71は、光ファイバー81から出射された光を配光調節光学系61に導く。また、光ファイバー72は、光ファイバー82から出射された光を配光調節光学系61に導く。
配光調節光学系61は導光光学系69の前方に配置されている。配光調節光学系61は、導光光学系69によって導かれた光を被写体に投射する。配光調節光学系61は、入射した光を拡散して広角に出射する、すりガラス等の拡散板である。光ファイバー81から出射された光と、光ファイバー82から出射された光とが、共通の配光調節光学系61によって被写体に投射される。
図7に示す第3の例では、光ファイバー81によって伝送された光と、光ファイバー82によって伝送された光とを広角に出射する共通の光学素子である配光調節光学系61が窓62の内部に配置されている。
図7に示す配光調節光学系61は拡散板である。このため、配光調節光学系61は、入射した光を拡散することにより、光に対して、空間的にランダムな回折界スペックルを発生させるスペックルパターン発生部として機能する。配光調節光学系61がスペックルパターン発生部として機能するため、光ファイバー82は回折界スペックルを発生させなくてもよい。したがって、図7に示す光ファイバー82はシングルモードファイバーであってもよい。
図8は、挿入部2の先端20の構成を示している。図8では、挿入部2の先端20の断面が示されている。
撮像部21を保護するカバーガラス66と、複合型光ファイバー84とが挿入部2の先端20に配置されている。前述したように、複合型光ファイバー84のほぼ中心に光ファイバー82が配置され、光ファイバー81が光ファイバー82の周囲に配置されている。
本実施形態では、被写体を複数の視点から見た複数の像を形成する対物レンズ60a、対物レンズ60bと、照明用光源32によって生成された第1の光と、LD33によって生成された第2の光とを被写体に投射する範囲を調節する配光調節光学系61と、挿入部2の先端20から出射された第1の光と第2の光とを配光調節光学系61に導く導光光学系69とを有する光学アダプタ6を挿入部2の先端20に装着すること、および先端20に装着された光学アダプタ6を先端20から取り外すことが可能である。つまり、本実施形態では、交換式の光学系が使用される。
光学系が交換式でなくてもよい。つまり、被写体を複数の視点から見た複数の像を形成する対物レンズ60a、対物レンズ60bと、照明用光源32によって生成された第1の光と、LD33によって生成された第2の光とを被写体に投射する範囲を調節する配光調節光学系61と、挿入部2の先端20から出射された第1の光と第2の光とを配光調節光学系61に導く導光光学系69とが挿入部2の先端20に配置されていてもよい。この場合、観察のための第1の窓と、照明およびパターン投射のための共通の第2の窓とが挿入部2の先端20に設けられ、第1の窓に対物レンズ60aと対物レンズ60bとが配置され、第2の窓に配光調節光学系61と導光光学系69とが配置される。このように構成された挿入部2は、物体の内部に挿入され、撮像部21が配置され、照明用光源32によって生成された第1の光と、LD33によって生成された第2の光とを先端20から被写体に投射する。
図9は、挿入部2の先端20に光学系が設けられる場合の挿入部2の先端20の構成を示している。図9では、挿入部2の先端20の断面が示されている。
対物レンズ60aと、対物レンズ60bと、複合型光ファイバー84とが挿入部2の先端20に配置されている。複合型光ファイバー84は、挿入部2の先端20に形成された窓75に配置されている。前述したように、複合型光ファイバー84のほぼ中心に光ファイバー82が配置され、光ファイバー81が光ファイバー82の周囲に配置されている。光ファイバー81は複数の光ファイバーの集合体である。光ファイバー82は単一のファイバーである。図9に示されていないが、挿入部2の先端20の端面側には配光調節光学系61が配置されている。
図9に示す構成では、照明用光源32によって生成された第1の光は、光ファイバー81によって挿入部2の先端20に伝送され、LD33によって生成された第2の光は、光ファイバー81と異なる光ファイバー82によって挿入部2の先端20に伝送される。また、第1の光と第2の光とを出射する共通の窓75が挿入部2の先端20に形成されている。また、第1の光と第2の光とを被写体に投射する範囲を調節する配光調節光学系61が挿入部2の先端20に配置されている。挿入部2の先端20に配置される配光調節光学系61は、図5から図7に示す配光調節光学系61のいずれであってもよい。
図4から図7に示す光学アダプタ6は、挿入部2が挿入される方向に観察を行うための直視型の光学アダプタである。挿入部2が挿入される方向に垂直な方向に観察を行うための側視型の光学アダプタを挿入部2の先端20に装着してもよい。
図10は、側視型の光学アダプタ6aの構成を示している。図10(a)では、光学アダプタ6aを平面的に見た状態が示されている。図10(b)では、図10(a)の線分A11−A12を通る断面が示されている。
光学アダプタ6aが挿入部2の先端20に装着されている。光学アダプタ6aの側面に対物レンズ60と配光調節光学系61とが配置されている。対物レンズ60は、挿入部2が挿入される方向に対して垂直な方向にある被写体からの光を取り込む。配光調節光学系61は、照明用光源32によって生成された光と、LD33によって生成された光とを、挿入部2が挿入される方向に対して垂直な方向にある被写体に投射する。
対物レンズ60に入射した光は、図10(b)に示されていない、左側の視点と右側の視点とに対応する2つの導光光学系によって撮像部21に導かれる。撮像部21は、画像データを伝送する信号線80に接続されている。挿入部2の先端20の端面には、撮像部21を保護するためのカバーガラス66が配置されている。
挿入部2の先端20に複合型光ファイバー84が配置されている。前述したように、複合型光ファイバー84のほぼ中心に光ファイバー82が配置され、光ファイバー81が光ファイバー82の周囲に配置されている。挿入部2の先端20の端面には、光ファイバー81と光ファイバー82とを保護するためのカバーガラス67が配置されている。
光学アダプタ6aに形成された窓62に、カバーガラス68と、導光光学系69と、配光調節光学系61とが配置されている。挿入部2の先端20と接続する部分に、導光光学系69を保護するためのカバーガラス68が配置されている。導光光学系69はカバーガラス68の前方に配置されている。導光光学系69は、光ファイバー81によって伝送されて挿入部2の先端20から出射された光と、光ファイバー82によって伝送されて挿入部2の先端20から出射された光とを配光調節光学系61に導く。導光光学系69は、複数の光ファイバーの集合体である。導光光学系69は、挿入部2が挿入される方向に対して垂直な方向に湾曲している。
導光光学系69から光が出射される位置に配光調節光学系61が配置されている。配光調節光学系61は凹レンズである。光ファイバー81から出射された光と、光ファイバー82から出射された光とが、共通の配光調節光学系61によって被写体に投射される。
図11は、光学アダプタ6aと異なる側視型の光学アダプタ6bの構成を示している。図11(a)では、光学アダプタ6bを平面的に見た状態が示されている。図11(b)では、図11(a)の線分A13−A14を通る断面が示されている。
光学アダプタ6aと光学アダプタ6bとの異なる点を説明する。図11(b)では、導光光学系69は、光ファイバー71と光ファイバー72とを有する。光ファイバー72が導光光学系69の中心側に配置され、光ファイバー71が導光光学系69の外側に配置されている。つまり、光ファイバー72が導光光学系69のほぼ中心に配置され、光ファイバー71が光ファイバー72の周囲に配置されている。光ファイバー71は、複数の光ファイバーの集合体である。
挿入部2が硬質パイプで形成され、撮像部21が挿入部2の根元側に配置され、挿入部2内にリレーレンズが配置された硬性鏡型の内視鏡を用いてもよい。
次に、図12を参照して内視鏡装置1の動作を説明する。図12は、内視鏡装置1の動作の手順を示している。
内視鏡装置1が起動すると、CPU37は、光学アダプタ6に固有な光学特性を示すステレオカメラパラメータを読み込む(ステップS101)。ステップS101で読み込まれるステレオカメラパラメータは、対物レンズ60の焦点距離や、対物レンズ60の光学収差によって画像に発生する歪みを補正するための内部パラメータ、または一対の対物レンズの位置関係を表す外部パラメータ等である。
ステレオカメラパラメータが読み込まれた後、CPU37は、内視鏡装置1のモードを観察モードに設定する(ステップS102)。モードが観察モードに設定されることにより、撮像部21は撮像を開始する。撮像部21は連続的に撮像を行い、順次、生成された画像データを出力する。
モードが設定された後、CPU37は、設定されているモードを判定する(ステップS103)。内視鏡装置1が起動した直後はモードが観察モードに設定されている。設定されているモードが観察モードである場合、CPU37は、温度制御回路36に対して、観察モードにおける波長変調の周期を設定する(ステップS107)。観察モードが継続しており、既に波長変調の周期が設定されている場合には、ステップS107の処理は飛ばされる。
本実施形態では、内視鏡装置1は、LD33によって生成される光の波長を制御することにより、被写体の表面に投射されたスペックルパターンの目立ちやすさを制御する。観察モードでは、被写体の表面を視認しやすくするため、被写体の表面に投射されたスペックルパターンが目立たなくなるように波長変調が行われる。ステップS107で設定される波長変調の周期は、撮像部21による撮像の露光時間と同じ、または露光時間よりも短い周期である。LD33によって生成される光の波長の制御は、LD33の温度の制御によって行われる。
本実施形態の撮像部21は、電子シャッターにより撮像の露光時間を調整する。CPU37は、LD33によって生成された光の波長の変化の周期を、電子シャッターのシャッタースピードに応じて決定する。ステップS107では、この周期が温度制御回路36に設定される。
観察モードにおける波長変調の周期が設定された後、光源制御回路34は照明用光源32とLD33との駆動を開始し、照明用光源32とLD33とを点灯させる(ステップS108)。観察モードが継続しており、既に照明用光源32とLD33との駆動が開始されている場合には、ステップS108では照明用光源32とLD33との駆動が継続する。
照明用光源32とLD33との駆動が開始された後、温度制御回路36は、温度制御素子35による波長変調制御を開始させる(ステップS109)。波長変調制御が開始されると、温度制御回路36は、観察モード中に、撮像部21による撮像の露光時間と同じ、または露光時間よりも短い周期で空間内の回折界スペックルの分布が変化するようにLD33の温度を制御する。例えば、温度制御素子35がペルチェ素子である場合、温度制御回路36は、ペルチェ素子に与える電流を矩形波状に変化させる。矩形波の周期は、ステップS107で設定された周期である。これによって、例えばLD33の温度が正弦波状に変化する。観察モードが継続しており、既に波長変調制御が開始されている場合には、ステップS109では波長変調制御が継続する。
観察モードにおける波長変調制御が開始された後、映像処理回路31は、撮像部21から出力された画像データに画像処理を行い、処理された画像データを表示部5に出力する。表示部5は、画像データに基づいて被写体の画像を表示する(ステップS110)。
LD33によって生成された光の波長が変化することにより、先端から出射される光束内の位相分布が変化し、空間内での干渉位置が変化する。露光時間内で干渉位置が高速に変化すると、スペックルパターンの分布が高速に変化する。このため、画像内のスペックルパターンの輝度分布が平均化され、斑状のスペックルパターンが目立たなくなる。観察モード中は、後述する計測モード中に被写体の表面に投射されるスペックルパターンよりもスペックルパターンが低減された光が被写体に投射されている。ユーザは、この状態で被写体を観察し、損傷部があるかどうかを検査する。
観察モード中に被写体の表面に投射されるスペックルパターンは、計測モード中に被写体の表面に投射されるスペックルパターンよりも目立たなくなっていればよい。観察モード中に被写体の表面に投射されるスペックルパターンが視認できなくてもよい。スペックルパターンが視認できない状態は、スペックルパターンが最も低減された状態である。
被写体の画像が表示された後、CPU37は、操作部4に対してモードを変更する操作が行われたか否かを判定する(ステップS111)。モードを変更する操作が行われていない場合、ステップS103における判定が行われる。モードを変更する操作が行われた場合、CPU37は、内視鏡装置1のモードを、設定されているモードと異なるモードに設定する(ステップS112)。設定されているモードが観察モードである場合、ステップS112ではモードが計測モードに設定される。また、設定されているモードが計測モードである場合、ステップS112ではモードが観察モードに設定される。モードが変更された後、ステップS103における判定が行われる。
例えば、損傷部が見つかり、モードを計測モードに変更する操作が行われた場合、ステップS111ではモードを変更する操作が行われたと判定され、ステップS112ではモードが計測モードに変更される。その後、ステップS103では設定されているモードが計測モードであると判定される。計測モードでは、CPU37は、温度制御回路36に対して、計測モードにおける波長制御を開始させる(ステップS104)。
計測モードでは、LD33によって生成される光の波長が時間的に一定となるように波長制御が行われる。温度制御回路36は、計測モード中に、空間内の回折界スペックルの分布が一定となるようにLD33の温度を制御する。つまり、温度制御回路36は、LD33の温度が一定となるように温度制御素子35を制御する。計測モードが継続しており、既に波長制御が開始されている場合には、ステップS104では波長制御が継続する。
計測モードでは、LD33によって生成される光の波長が一定となる。これによって、被写体と挿入部2の先端20との位置関係が一定の間、静止した状態の斑状のスペックルパターンが被写体の表面に投射される。このスペックルパターンが変動しないように、波長制御が行われる。
計測モードにおける波長制御が開始された後、映像処理回路31は、撮像部21から出力された画像データに画像処理を行い、処理された画像データを表示部5に出力する。表示部5は、画像データに基づいて被写体の画像を表示する(ステップS105)。
被写体の画像が表示された後、CPU37は、計測に関する操作を受け付け、計測演算処理を行う(ステップS106)。例えば、計測に関する操作は、表示部5に表示された画像に対して、計測位置を示す計測点を指定する操作である。計測点の指定は、動画像(ライブ画像)あるいは静止画像に対して行われる。計測演算処理は、計測モード中に生成された画像データに基づいて被写体の3次元形状を算出する処理である。CPU37は、複数の被写体像のいずれかに対して指定された計測点に対応する、他の被写体像の対応点をマッチング処理により算出する。さらに、CPU37は、計測点と対応点との画像座標すなわち2次元座標に基づいて、計測点に対応する被写体上の点の空間座標すなわち3次元座標を算出する。
複数の被写体像には、ランダムな斑状の模様が付いている。この模様がスペックルパターンである。被写体に特徴がなくても、投射されたスペックルパターンが特徴となるため、マッチング処理において誤った対応点の算出を防止することができる。これによって、被写体の制約が低減されるので、従来のステレオ計測機能が搭載された内視鏡装置では困難であった、特徴が少ない被写体の3次元計測が可能となる。
計測演算処理が終了した後、ステップS111における判定が行われる。計測モード中にモードを変更する操作が行われた場合、ステップS112でモードが観察モードに変更される。その後、ステップS107とステップS109との処理により、波長変調制御が行われ、被写体が観察しやすくなる。
図12に示す動作では、観察モードと計測モードとのどちらのモードにおいても照明用光源32とLD33とが点灯する。これに対して、光源制御回路34は、観察モード中に照明用光源32を点灯させると共にLD33を消灯させてもよい。LD33が消灯するため、被写体にスペックルパターンが投射されない。したがって、被写体の表面が視認しやすくなる。また、光源のオンとオフとの切替によって回折界スペックルを制御することが可能となるので、光源制御回路34の構成をより簡易にすることができる。
光源制御回路34は、観察モード中にLD33を計測モード中のLD33の光量よりも少ない光量で点灯させてもよい。LD33が計測モード中の光量よりも少ない光量で点灯するため、被写体に投射されるスペックルパターンが計測モード中よりも暗くなる。したがって、計測モード中と比べて被写体の表面が視認しやすくなる。
上記のように、観察モード中にLD33を消灯させる、またはLD33の光量を少なくすることによって、スペックルパターンを計測モード中よりも目立たなくすることができる。このような制御を行う場合、回折界スペックルを制御するスペックルパターン制御部を内視鏡装置1が有していなくてもよい。例えば、内視鏡装置1が温度制御素子35と温度制御回路36とを有していなくてもよい。
計測モード中に被写体の表面を視認しやすくするために照明用光源32が計測モード中も点灯していることが望ましい。しかし、光源制御回路34は、計測モード中に照明用光源32を消灯させてもよい。また、光源制御回路34は、計測モード中に照明用光源32を観察モード中の照明用光源32の光量よりも少ない光量で点灯させてもよい。
スペックルパターンは斑状であるので、パターンが投射されない部分(パターンとパターンとの間の部分)がある。計測モード中に照明用光源32が点灯する場合、パターンが投射されない部分に白色光が投射される。このため、照明用光源32によって生成された光が投射された状態の画像データを3次元計測に用いることによって、パターンが投射されない部分のマッチング精度がより向上する。
図13は、撮影された画像の例を示している。図13(a)は、観察モード中に撮影された画像M1を示している。図13(b)は、計測モード中に撮影された画像M2を示している。
観察モード中に撮影された画像M1は、左右の視点に対応する2つの被写体像である左画像L1と右画像R1とを有する。同様に、計測モード中に撮影された画像M2は、左画像L2と右画像R2とを有する。観察モード中に撮影された画像M1における左画像L1と右画像R1とでは、スペックルパターンは目立たない。一方、計測モード中に撮影された画像M2における左画像L2と右画像R2とでは、スペックルパターンが撮影されている。
観察モードから計測モードへのモードの切替が自動的に行われてもよい。例えば、内視鏡装置1が、撮像部21によって生成された画像データに基づいて画像のぶれを検出するぶれ検出部(例えばCPU37)をさらに有し、画像のぶれ量が所定量以上である場合に内視鏡装置1のモードが観察モードとなり、画像のぶれ量が所定量未満となった場合にモードが観察モードから計測モードに切り替わってもよい。
内視鏡装置1は、挿入部2の先端20から被写体までの距離が遠く、撮像部21に取り込まれる光量が少ない場合に撮像部21のシャッタースピードが長くなる制御を行ってもよい。また、内視鏡装置1は、挿入部2の先端20から被写体までの距離が近く、撮像部21に取り込まれる光量が多い場合に撮像部21のシャッタースピードが短くなる制御を行ってもよい。この制御の結果を利用して、撮像部21のシャッタースピードが所定値以上である場合に内視鏡装置1のモードが観察モードとなり、シャッタースピードが所定値未満である場合にモードが観察モードから計測モードに切り替わってもよい。
内視鏡装置1は、挿入部2の先端20から被写体までの距離が遠く、撮像部21に取り込まれる光量が少ない場合に撮像部21のゲインが大きくなる制御を行ってもよい。また、内視鏡装置1は、挿入部2の先端20から被写体までの距離が近く、撮像部21に取り込まれる光量が多い場合に撮像部21のゲインが小さくなる制御を行ってもよい。この制御の結果を利用して、撮像部21のゲインが所定値以上である場合に内視鏡装置1のモードが観察モードとなり、ゲインが所定値未満である場合にモードが観察モードから計測モードに切り替わってもよい。
内視鏡装置1は、挿入部2の先端20から被写体までの距離が遠く、撮像部21に取り込まれる光量が少ない場合に照明光量(照明用光源32の光量)が大きくなる制御を行ってもよい。また、内視鏡装置1は、挿入部2の先端20から被写体までの距離が近く、撮像部21に取り込まれる光量が多い場合に照明光量が小さくなる制御を行ってもよい。この制御の結果を利用して、照明光量が所定値以上である場合に内視鏡装置1のモードが観察モードとなり、照明光量が所定値未満である場合にモードが観察モードから計測モードに切り替わってもよい。
本実施形態に示す構成と方法とは、内視鏡装置に限らず、被写体を複数の視点から撮像し、ステレオ法により被写体の3次元形状を算出する装置であって、プローブ部の大きさの制約が高い他の3次元計測装置にも適用できる。
本実施形態による内視鏡装置1の撮像部21は2つの被写体像を同時に撮像する。これに対して、撮像部21が2つの被写体像を交互に撮像してもよい。例えば、2つの被写体像に対応した第1の光路と第2の光路との一方を遮蔽し、移動可能な遮蔽材が設けられる。撮像部21は、第1の光路のみが遮蔽材によって遮蔽されている状態と、第2の光路のみが遮蔽材によって遮蔽されている状態とのそれぞれで被写体像を撮像する。
本実施形態によれば、第1の光を生成する第1の光源(照明用光源32)と、コヒーレントな第2の光を生成する半導体光源であって第1の光源と異なる第2の光源(LD33)と、観察モード中に第1の光源と第2の光源とを点灯させ、計測モード中に第1の光源を点灯または消灯させると共に第2の光源を点灯させる光源制御部(光源制御回路34)と、物体の内部の被写体を複数の視点から撮像し、被写体の複数の像の画像データを生成する撮像部21と、計測モード中に生成された画像データに基づいて被写体の3次元形状を算出する演算部(CPU37)と、観察モード中に生成された画像データに基づく画像を観察モード中に表示する表示部5と、物体の内部に挿入される挿入部2であって、撮像部21が配置され、第1の光と第2の光とを挿入部2の先端20から被写体に投射する、または第1の光と第2の光とを、先端20に装着された光学アダプタ6を介して被写体に投射する挿入部2と、第2の光に対して、空間的にランダムな回折界スペックルを発生させるスペックルパターン発生部(光ファイバー82)と、計測モード中に、回折界スペックルによるスペックルパターンが被写体に投射され、観察モード中に、被写体に投射されるスペックルパターンが計測モード中よりも低減するように回折界スペックルを制御するスペックルパターン制御部(温度制御回路36)と、を有する内視鏡装置1が構成される。
また、本実施形態によれば、第1の光を生成する第1の光源(照明用光源32)と、コヒーレントな第2の光を生成する半導体光源であって第1の光源と異なる第2の光源(LD33)と、観察モード中に第1の光源を点灯させると共に第2の光源を計測モード中の第2の光源の光量よりも少ない光量で点灯させる、または第2の光源を消灯させ、計測モード中に第1の光源を点灯または消灯させると共に第2の光源を点灯させる光源制御部(光源制御回路34)と、物体の内部の被写体を複数の視点から撮像し、被写体の複数の像の画像データを生成する撮像部21と、計測モード中に生成された画像データに基づいて被写体の3次元形状を算出する演算部(CPU37)と、観察モード中に生成された画像データに基づく画像を観察モード中に表示する表示部5と、物体の内部に挿入される挿入部2であって、撮像部21が配置され、第1の光と第2の光とを挿入部2の先端20から被写体に投射する、または第1の光と第2の光とを、先端20に装着された光学アダプタ6を介して被写体に投射する挿入部2と、第2の光に対して、空間的にランダムな回折界スペックルを発生させるスペックルパターン発生部(光ファイバー82)と、を有する内視鏡装置1が構成される。
本実施形態では、計測モード中に、ランダムな回折界スペックルによるスペックルパターンが被写体に投射されるので、マッチング精度が向上する。
次に、本実施形態の変形例を説明する。
(第1の変形例)
照明用光源32とLD33との一方または両方が挿入部2の先端20に配置されていてもよい。あるいは、照明用光源32とLD33との一方または両方が光学アダプタ6の内部に配置されていてもよい。
例えば、照明用光源32とLD33との両方が挿入部2の先端20に配置される。この場合、LD33によって生成された光に回折界スペックルを発生させるために、光の位相を分散させる位相分散部(図7の配光調節光学系61と同様の拡散板等)が設けられる。LD33によって生成された光が位相分散部を通ることによって、光にランダムな位相分布が与えられ、回折界スペックルが発生する。光ファイバーにおける光の減衰がないので、挿入部2を長くすることができる。
照明用光源32がコントロールユニット3に配置され、LD33が挿入部2の先端20に配置されてもよい。この場合、LD33によって生成された光に回折界スペックルを発生させるために、光の位相を分散させる位相分散部が設けられる。LD33によって生成された光が位相分散部を通ることによって、光にランダムな位相分布が与えられ、回折界スペックルが発生する。照明用光源32として光量が大きい光源を使用することが可能となるので、照明光の光量を上げやすい。
照明用光源32が挿入部2の先端20に配置され、LD33がコントロールユニット3に配置されてもよい。この場合、LD33によって生成された光に回折界スペックルを発生させるために、例えばマルチモードファイバーが用いられる。あるいは、シングルモードファイバーと位相分散部との組合せを用いてもよい。
マルチモードファイバーは、より多くの光を取り込むことが可能である。マルチモードファイバーを用いる場合、シングルモードファイバーと比較して光の減衰が大きいので、挿入部2を短くすることが望ましい。一方、シングルモードファイバーを用いる場合、マルチモードファイバーと比較して光の減衰が小さいので、挿入部2を長くすることができる。
(第2の変形例)
図2に示す内視鏡装置1を用いて本変形例を説明する。本変形例の内視鏡装置1は、図14に示す手順で動作する。図14を参照して、内視鏡装置1の動作を説明する。本変形例では、観察モードにおける波長変調の周期をユーザが指定することが可能である。以下では、図12に示す手順と異なる点を説明し、図12に示す手順と同じ点については説明を省略する。
ステップS103で内視鏡装置1のモードが観察モードであると判定された場合、CPU37は、設定の変更に係る操作を行うための画面のデータを映像処理回路31に出力する。映像処理回路31は、CPU37から出力されたデータに画像データを重畳したデータを表示部5に出力する。表示部5は、このデータに基づいて、設定の変更に係る操作を行うための画面を表示する(ステップS201)。この画面には、被写体の画像が表示される。
ユーザは、操作部4を操作し、波長変調の周期を指定することが可能である。ユーザによる操作部4の操作に応じて、CPU37は、温度制御回路36に設定する周期を順次変化させる。映像処理回路31が画像データの更新を行うことにより、画面に表示される被写体の画像は順次更新される。表示された画像において、被写体の表面に投射されているスペックルパターンの状態は、ユーザによる操作部4の操作に応じて変化する。ユーザは、被写体の画像を確認しながら、スペックルパターンの状態が観察に適した状態となる周期を決定する。
波長変調の周期を決定する操作が行われると、CPU37は、温度制御回路36に対して、上記のように決定された周期を設定する(ステップS202)。周期が設定された後、ステップS108で照明用光源32とLD33との駆動が開始される。
本変形例では、波長変調の周期を自動的に設定する場合よりもユーザの操作が煩雑になる。しかし、被写体に応じて、観察モード中に表示される画像の状態を柔軟に制御することができる。
(第3の変形例)
図15は、本変形例の内視鏡装置1aの構成を示している。図15では、光学アダプタ6cの種類を検出するための構成のみが示され、図2に示す構成と同様の構成については省略されている。図15に示すように、内視鏡装置1aは、挿入部2aと、コントロールユニット3aとを有する。挿入部2aの先端20aには交換式の光学アダプタ6cが装着されている。本変形例の内視鏡装置1aは、挿入部2aの先端20aに装着された光学アダプタ6cの種類に応じた処理を行う。
光学アダプタ6cは、電気的素子76と、第1の接続部である接続部77a、接続部77bとを有する。挿入部2aの先端20aは、第2の接続部である接続部78a、接続部78bを有する。コントロールユニット3aは、CPU37と信号検出回路38とを有する。
電気的素子76は、光学アダプタ6cの種類に応じた電気特性を有する。例えば、電気的素子76は抵抗素子であり、光学アダプタ6cの種類に応じた抵抗値を有する。電気的素子76の第1の端子は接続部77aに電気的に接続され、電気的素子76の第2の端子は接続部77bに電気的に接続されている。接続部77aと接続部77bとは、光学アダプタ6cが挿入部2aの先端20aに装着されることにより、挿入部2aの先端20aと電気的に接続される。
挿入部2aの先端20aには、接続部77aと接続部77bとに対応した接続部78aと接続部78bとが配置されている。接続部78aは接続部77aと電気的に接続され、接続部78bは接続部77bと電気的に接続される。また、接続部78aと接続部78bとは信号検出回路38に電気的に接続されている。
信号検出回路38は、電気的素子76から出力された信号を検出する信号検出部である。例えば、信号検出回路38は、電気的素子76に所定の電圧を印加する電圧源と、電気的素子76から出力された電流値を検出する電流検出回路とを有する。CPU37は、信号検出回路38によって検出された信号に基づいて光学アダプタ6cの種類を識別する識別部である。例えば、光学アダプタ6cの種類に応じて電気的素子76の抵抗値が異なるため、所定の電圧が電気的素子76に印加されたときに電気的素子76に流れる電流が光学アダプタ6cの種類に応じて異なる。CPU37は、信号検出回路38によって検出された電流値に基づいて光学アダプタ6cの種類を識別する。
本変形例の内視鏡装置1aは、図16に示す手順で動作する。図16を参照して、内視鏡装置1aの動作を説明する。以下では、図12に示す手順と異なる点を説明し、図12に示す手順と同じ点については説明を省略する。
ステップS103において、設定されているモードが計測モードである場合、CPU37は、信号検出回路38に信号の検出を行わせ、信号検出回路38によって検出された信号に基づいて光学アダプタ6cの種類を識別する(ステップS301)。光学アダプタ6cの種類が識別された後、CPU37は、光学アダプタ6cの種類が、スペックルパターンの投射に対応したステレオ光学アダプタであるか否かを判定する(ステップS302)。
光学アダプタ6cの種類が、スペックルパターンの投射に対応したステレオ光学アダプタでない場合、例えば光学アダプタ6cの種類が通常のステレオ光学アダプタである場合、ステップS105の処理が行われる。この場合、観察モード時の波長変調制御が計測モード中も継続するため、被写体の表面に投射されるスペックルパターンが低減される。
光学アダプタ6cの種類が、スペックルパターンの投射に対応したステレオ光学アダプタである場合、ステップS104の処理が行われる。この場合、LD33によって生成される光の波長が一定となるように制御が行われるため、被写体の表面に投射されるスペックルパターンは低減されない。
上記のように、CPU37は、光学アダプタ6cの種類に応じて、計測モード中にスペックルパターンを低減するか否かを決定する。つまり、光学アダプタ6cの種類が、スペックルパターンの投射に対応していないステレオ光学アダプタである場合、CPU37は、被写体の表面に投射されるスペックルパターンを低減する制御を行う。また、光学アダプタ6cの種類が、スペックルパターンの投射に対応したステレオ光学アダプタである場合、CPU37は、被写体の表面にスペックルパターンを投射する制御を行う。
本変形例では、スペックルパターンの投射に対応したステレオ光学アダプタと、スペックルパターンの投射に対応していないステレオ光学アダプタとの間で、機能を優先するか、コストを優先するかに応じて光学アダプタを選択することができる。
(第4の変形例)
図2に示す内視鏡装置1を用いて本変形例を説明する。本変形例では、照明用光源32は、白色光を生成する白色LEDである。また、LD33は、青色の波長に対応する青色光を生成する青色LDである。
照明用光源32によって生成された光を伝送する光ファイバー81はマルチモードファイバーである。また、LD33によって生成された光を伝送する光ファイバー82はマルチモードファイバーである。光ファイバー82にシングルモードファイバーを用いてもよい。この場合、光ファイバー82によって伝送された光を、光の位相を分散させる位相分散部に入射させることによって、回折界スペックルが発生する。
本変形例では、光源制御回路34は、計測モード中に照明用光源32とLD33とを点灯させる。つまり、照明用光源32は、観察モード中と計測モード中との両方で点灯する。LD33は、観察モード中に消灯する、または計測モード中のLD33の光量よりも少ない光量で点灯する。また、本変形例では、光源制御回路34は、計測モード中に照明用光源32を点灯させると共にLD33を撮像部21による撮像と同期したタイミングで点灯させる。さらに、光源制御回路34は、計測モードにおいて、撮像部21による撮像の露光時間当たりのLD33の光量を露光時間当たりの照明用光源32の光量よりも大きくする。さらに、撮像制御部30は、計測モードにおいて、撮像部21による撮像の露光時間を観察モードにおける露光時間よりも短くする、すなわちシャッタースピードを短くする。
以下では、光源の制御の一例を説明する。照明用光源32の光量は観察モードと計測モードとで一定である。光源制御回路34は、計測モードにおいて、露光時間当たりのLD33の光量を露光時間当たりの照明用光源32の光量の3倍に設定する。また、撮像制御部30は、計測モードにおいて、露光時間を観察モードにおける露光時間の3分の1に設定する。光源制御回路34は、露光時間以外の時間にLD33を消灯させ、露光時間にLD33を点灯させる。光源制御回路34は、計測モード中に撮像部21による撮像と同期して周期的にLD33を複数回点灯させる。あるいは、光源制御回路34は、計測モード中に撮像部21による撮像と同期して1回だけLD33を点灯させる。
計測モード中に撮影された画像では、照明用光源32の光量がLD33の光量よりも少ないため、照明用光源32によって生成された光の反射光はLD33によって生成された光の反射光よりも相対的に暗く撮影される。これによって、スペックルパターンが目立った画像を得ることができる。また、観察モードと計測モードとの両方で照明用光源32が点灯するので、照明用光源32の光量に関する制御を簡易にすることができる。さらに、計測モードにおいて、撮像部21による撮像の露光時間を観察モードにおける露光時間よりも短くすることによって、ぶれに強い画像を得ることができる。
また、計測モード中に、照明用光源32によって生成された光が投射されるので、スペックルパターンが投射されない部分(パターンとパターンとの間の部分)のマッチング精度がより向上する。
(第5の変形例)
図2に示す内視鏡装置1を用いて本変形例を説明する。本変形例では、照明用光源32は、第1の波長に対応する第1の光を生成する半導体光源である。また、LD33は、第1の波長と異なる第2の波長に対応するコヒーレントな第2の光を生成する。第1の光と第2の光とを混合した光は白色光である。例えば、照明用光源32は、黄色の波長(第1の波長)に対応する黄色光を生成する黄色LEDである。また、LD33は、青色の波長(第2の波長)に対応する青色光を生成する青色LDである。
あるいは、照明用光源32とLD33とは以下の光源であってもよい。照明用光源32とは、第1の波長に対応する光と、第1の波長と異なる第2の波長に対応する光とを含む第1の光を生成する半導体光源である。また、LD33は、第1の波長および第2の波長と異なる第3の波長に対応するコヒーレントな第2の光を生成する。第1の光と第2の光とを混合した光は白色光である。例えば、照明用光源32は、赤色の波長(第1の波長)に対応する赤色光を生成する赤色LEDと、緑色の波長(第2の波長)に対応する緑色光を生成する緑色LEDとの組合せである。また、LD33は、青色の波長(第3の波長)に対応する青色光を生成する青色LDである。
本変形例では、光源制御回路34は、観察モード中に照明用光源32とLD33とを点灯させ、計測モード中に照明用光源32とLD33とを点灯させる。つまり、照明用光源32とLD33とは、観察モード中と計測モード中との両方で点灯する。内視鏡装置1のモードが切り替わっても、それぞれの光源の光量は一定で良い。また、本変形例では、温度制御回路36は、計測モード中に、回折界スペックルによるスペックルパターンが被写体に投射され、観察モード中に、被写体に投射されるスペックルパターンが計測モード中よりも低減するように回折界スペックルを制御する。
観察モード中は、スペックルパターンが低減された白色光が被写体に投射される。このため、被写体の視認性が向上する。また、計測モード中に、照明用光源32によって生成された光が投射されるので、スペックルパターンが投射されない部分(パターンの明部とパターンの暗部との間の部分)のマッチング精度がより向上する。さらに、照明用光源32とLD33との光量の制御を簡易にすることができる。また、観察モードと計測モードとで撮像部21に入る光量は変わらないため、撮像部21の自動露光制御に影響を与えずに自動露光制御が安定する。
照明用光源32によって生成される光の色とLD33によって生成される光の色との組合せは上記の組合せ以外であってもよい。例えば、照明用光源32が、赤色の波長に対応する赤色光を生成する赤色LEDと、青色の波長に対応する青色光を生成する青色LEDとの組合せであり、LD33が、緑色の波長に対応する緑色光を生成する緑色LDであってもよい。
あるいは、照明用光源32が、赤色の波長に対応する赤色光を生成する赤色LDと、緑色の波長に対応する緑色光を生成する緑色LDとの組合せであり、LD33は、青色の波長に対応する青色光を生成する青色LDであってもよい。この場合、照明用光源32が、コヒーレントな光を生成するLDである。
スペックルパターン発生部は、照明用光源32によって生成された第1の光と、LD33によって生成された第2の光とに対して、空間的にランダムな回折界スペックルを発生させてもよい。この場合、スペックルパターン制御部は、計測モード中に、回折界スペックルによるスペックルパターンが被写体に投射され、観察モード中に、被写体に投射されるスペックルパターンが計測モード中よりも低減するように回折界スペックルを制御する。
例えば、照明用光源32によって生成された光を伝送する光ファイバー81は、回折界スペックルを発生するマルチモードファイバーである。また、照明用光源32を加熱または冷却することによって、照明用光源32の温度を制御する温度制御素子が設けられる。温度制御回路36は、計測モード中に、回折界スペックルによるスペックルパターンが被写体に投射され、観察モード中に、被写体に投射されるスペックルパターンが計測モード中よりも低減するように回折界スペックルを制御する。温度制御回路36は、照明用光源32の温度とLD33の温度とを制御することによって、上記のように回折界スペックルを制御する。
上記の例では、計測モード中に、照明用光源32によって生成された光に含まれる回折界スペックルと、LD33によって生成された光に含まれる回折界スペックルとが被写体に投射される。これによって、より密なスペックルパターンが被写体に投射される。このため、マッチング精度がより向上する。
(第6の変形例)
図2に示す内視鏡装置1を用いて本変形例を説明する。波長可変レーザーを用いて、LD33によって生成される光の波長を変調させる制御を行うことが可能である。
本変形例では、光源制御回路34は、LD33によって生成された光の波長を制御することにより回折界スペックルを制御する。例えば、LD33を駆動する電流を変化させることによって、LD33によって生成される光の波長が変化する。したがって、光源制御回路34は、LD33を駆動する電流を制御することにより回折界スペックルを制御する。
光源制御回路34は、観察モード中にLD33によって生成された光の波長の変化の周期を、撮像部21による撮像の露光時間と同じ、または露光時間よりも短くすることにより回折界スペックルを制御する。つまり、光源制御回路34は、観察モード中にLD33を駆動する電流の変化の周期を、撮像部21による撮像の露光時間と同じ、または露光時間よりも短くすることにより回折界スペックルを制御する。
観察モード中は、電流の変化に応じて光の波長が高速に変化する。これによって、空間内での干渉位置が変化し、被写体の表面に投射されるスペックルパターンの分布が変動する。この波長変調により、画像内のスペックルパターンの輝度分布が平均化され、スペックルパターンが低減される。
また、光源制御回路34は、計測モード中にLD33によって生成された光の波長を一定に保つ、または計測モード中にLD33によって生成された光の波長の変化の周期を露光時間よりも長くすることにより回折界スペックルを制御する。つまり、光源制御回路34は、計測モード中にLD33を駆動する電流を一定に保つ、または計測モード中にLD33を駆動する電流の変化の周期を露光時間よりも長くすることにより回折界スペックルを制御する。
計測モード中は、光の波長が一定となる、または電流の変化に応じて光の波長が観察モード中よりも低速に変化する。これによって、空間内での干渉位置は一定であるか、あまり変化しない。このため、観察モード中よりも画像内のスペックルパターンが目立つ状態で撮像が行われる。
撮像部21は、電子シャッターにより撮像の露光時間を調整する。内視鏡装置1は、LD33によって生成された光の波長の変化の周期を、電子シャッターのシャッタースピードに応じて決定する周期決定部を有していてもよい。光源制御回路34が周期決定部であってもよい。例えば、光源制御回路34は、LD33を駆動する電流の変化の周期を、電子シャッターのシャッタースピードに応じて決定してもよい。
例えば、以下の制御が行われる。光源制御回路34は、観察モード中にLD33によって生成された光の波長の変化の周期を、電子シャッターのシャッタースピードと同じ、または電子シャッターのシャッタースピードよりも短くすることにより回折界スペックルを制御する。つまり、光源制御回路34は、観察モード中にLD33を駆動する電流の変化の周期を、電子シャッターのシャッタースピードと同じ、または電子シャッターのシャッタースピードよりも短くすることにより回折界スペックルを制御する。
また、光源制御回路34は、計測モード中にLD33によって生成された光の波長を一定に保つ、または計測モード中にLD33によって生成された光の波長の変化の周期を電子シャッターのシャッタースピードよりも長くすることにより回折界スペックルを制御する。つまり、光源制御回路34は、計測モード中にLD33を駆動する電流を一定に保つ、または計測モード中にLD33によって生成された光の波長の変化の周期を電子シャッターのシャッタースピードよりも長くすることにより回折界スペックルを制御する。
本変形例のように、電流制御によってLD33の波長を変調することによって、LD33の温度を変調することなく、スペックルパターンを比較的容易に変化させることができる。このため、制御回路を簡素化し、内視鏡装置を安価にすることができる。本変形例では、温度制御素子35と温度制御回路36とは不要である。
特開2007−35940号公報に開示されたLDを用いてもよい。例えば、複数の電極を有するLDにおいて、それぞれの電極に加える電流パルスの周期を制御することでスペックルパターンを制御してもよい。
(第7の変形例)
スペックルパターンを投射するためのコヒーレント光源であるLDから出射された光が光ファイバーに入射する前に光に光路長差を与えることで、光ファイバーから出射される光にランダムな位相分布を与えることができる。
図17は、光に光路長差を与えるための光学部材200の構成を示している。光学部材200は図1のコントロールユニット3内に配置される。光学部材200は、レンズ201と、レンズ202と、光路長分散部203と、レンズ204とを有する。LD33から出射された光は、レンズ201とレンズ202とによって平行化される。レンズ202を通過した時点では光束内の位相分布はほぼ一様である。
光路長分散部203は、光の進行方向に垂直な方向に並べられた、長さの異なる複数のロッドレンズを束ねた部材である。レンズ202を通過した光は、複数のロッドレンズのいずれかに入射する。それぞれのロッドレンズの長さが異なるため、ロッドレンズ毎に異なる光路長が光に与えられる。つまり、光路長分散部203を通過した光束内の位置に応じて光路長の差が生じる。この光路長の差によって、光束内に位相分布が生じる。図17では、複数のロッドレンズが長さの順に並んでいるが、各々のロッドレンズの長さが異なっていればよく、複数のロッドレンズの並ぶ順序が規則的である必要はない。
レンズ204の焦点205に光ファイバー82の入射端が配置される。光ファイバー82に入射した光は、光ファイバー82によって挿入部2の先端20まで伝送される。挿入部2の先端20から出射される光はランダムな位相分布を持ち、回折界スペックルを生じる。
光路長分散部203を光の進行方向に垂直な方向に移動させることで、挿入部2の先端20から出射される光の位相分布が変化し、スペックルパターンが変化する。したがって、圧電素子等を用いて光路長分散部203を振動させることで、スペックルパターンが振動する。レンズ202とレンズ204との光軸を中心に光路長分散部203を回転させてもよい。
本変形例では、LD33によって生成された光の光路に配置され、LD33によって生成された光の進行方向に垂直な方向の位置に応じて光路長が異なり、LD33によって生成された光に対して、光路長に応じた位相分布を与える光路長分散部203がスペックルパターン発生部となる。また、図17では、振動発生部39と振動制御回路40とが設けられている。振動発生部39と振動制御回路40とはコントロールユニット3内に配置される。
振動発生部39は振動を発生し、光路長分散部203に振動を与える。振動制御回路40は振動発生部39を制御する。振動制御回路40は、光路長分散部203を振動させ、振動の周期を制御することにより回折界スペックルを制御するスペックルパターン制御部である。
振動制御回路40は、観察モード中は、撮像部21による撮像の露光時間と同じ、または露光時間よりも短い周期で光路長分散部203を振動させる。これによって、露光時間内にスペックルパターンの明暗が平均化されるので、スペックルパターンを低減することができる。また、振動制御回路40は、計測モード中は、振動を停止する、または露光時間よりも長い周期で光路長分散部203を振動させる。これによって、露光時間内にスペックルパターンの位相が一定であるか、あまり変化しないので、スペックルパターンを目立たせることができる。
(第8の変形例)
図2に示す内視鏡装置1を用いて本変形例を説明する。本変形例では、内視鏡装置1は、計測モード中は、スペックルパターンが常に投射されている状態と、スペックルパターンが低減されている状態とを高速に切り替えることが可能である。また、内視鏡装置1は、スペックルパターンが投射されている状態の画像と、スペックルパターンが低減されている状態の画像との両方を順次撮影する。
本変形例では、スペックルパターン制御部(温度制御回路36等)は、計測モード中に、回折界スペックルによるスペックルパターンが被写体に投射される第1の状態と、被写体に投射されるスペックルパターンが第1の状態よりも低減された第2の状態とが順次切り替わるように回折界スペックルを制御する。撮像部21は、第1の状態と第2の状態とのそれぞれで撮像を行う。
例えば、第1の状態では、スペックルパターン制御部は、LD33によって生成された光の波長を一定に保つ、またはLD33によって生成された光の波長の変化の周期を撮像部21による撮像の露光時間よりも長くする。また、第2の状態では、スペックルパターン制御部は、LD33によって生成された光の波長の変化の周期を露光時間と同じ、または露光時間よりも短くする。
映像処理回路31は、第2の状態で生成された画像データを表示部5に出力する。これによって、計測モード中にユーザが被写体を観察するための画像は、スペックルパターンが低減された状態で撮影された画像となる。このため、被写体自身の模様等がスペックルパターンによって邪魔されることなく、被写体を観察することができる。
一方、CPU37は、第1の状態で生成された画像データを映像処理回路31から取り込み、その画像データに基づいて被写体の3次元形状を算出する。スペックルパターンが投射されている状態で撮影された画像に基づいて3次元計測が行われるので、マッチング精度が向上する。
ユーザは、第2の状態で撮影された画像を確認した後、計測したい部分の位置を、操作部4を介して指定する。CPU37は、第1の状態で生成された画像データを用いて、ユーザによって指定された位置の画像座標に対応する3次元座標を算出する。
スペックルパターン制御部は、1フレーム毎に第1の状態と第2の状態とを切り替えてもよい。これによって、スペックルパターンが投射されている状態の画像と、スペックルパターンが低減された状態の画像との撮影の時間差を極力抑えることができる。また、ユーザが操作部4を介して指示を入力するまではスペックルパターン制御部が第2の状態に係る制御を行い、ユーザが操作部4を介して指示を入力した場合にスペックルパターン制御部が第1の状態に係る制御を行ってもよい。
本変形例では、計測モード中にスペックルパターンが低減された画像が表示されるので、ユーザが、計測したい部分を、より観察しやすい状態で観察することができる。また、スペックルパターンが投射された画像を用いて3次元計測を行うので、被写体の3次元形状をより正確に復元することができる。
(第9の変形例)
前述したように、マルチモードファイバーである光ファイバー82は回折界スペックルを発生させる。つまり、光ファイバー82は、LD33によって生成された光を挿入部2の先端20に伝送すると共に、LD33によって生成された光に対して、空間的にランダムな回折界スペックルを発生させる。光ファイバー82が変形することで、挿入部2の先端20から出射される光の位相分布が変化し、スペックルパターンが変化する。したがって、圧電素子等を用いて光ファイバー82を振動させることで、スペックルパターンが振動する。
図18は、光ファイバー82を振動させるための構成を示している。振動発生部39と振動制御回路40とは図1のコントロールユニット3内に配置される。振動発生部39は振動を発生し、光ファイバー82に振動を与える。振動制御回路40は振動発生部39を制御する。振動制御回路40は、光ファイバー82を振動させ、振動の周期を制御することにより回折界スペックルを制御するスペックルパターン制御部である。
振動制御回路40は、観察モード中は、撮像部21による撮像の露光時間と同じ、または露光時間よりも短い周期で光ファイバー82を振動させる。これによって、露光時間内にスペックルパターンの明暗が平均化されるので、スペックルパターンを低減することができる。また、振動制御回路40は、計測モード中は、振動を停止する、または露光時間よりも長い周期で光ファイバー82を振動させる。これによって、露光時間内にスペックルパターンの位相が一定であるか、あまり変化しないので、スペックルパターンを目立たせることができる。
(第10の変形例)
図19は、本変形例の内視鏡装置1bの構成を示している。図19に示すように、内視鏡装置1bは、挿入部2bとコントロールユニット3bとを有する。図19では、回折界スペックルの発生と回折界スペックルの制御とに関する構成のみが示され、図2に示す構成と同様の構成については省略されている。
本変形例では、LD33と、振動発生部39と、位相分散部41とが挿入部2bの先端20bに配置される。位相分散部41は、LD33によって生成された光の位相を分散させることにより、LD33によって生成された光に対して、空間的にランダムな回折界スペックルを発生させるスペックルパターン発生部である。例えば、位相分散部41は図7の配光調節光学系61と同様の拡散板である。振動発生部39は振動を発生し、位相分散部41に振動を与える。
コントロールユニット3bは、光源制御回路34と、CPU37と、振動制御回路40とを有する。光源制御回路34は、信号線86によってLD33と接続されている。振動制御回路40は、信号線87によって振動発生部39と接続されている。振動制御回路40は、位相分散部41を振動させ、振動の周期を制御することにより回折界スペックルを制御するスペックルパターン制御部である。
LD33によって生成された光が位相分散部41を通ることによって、光にランダムな位相分布が与えられ、回折界スペックルが発生する。また、位相分散部41を振動させることで、挿入部2bの先端20bから出射される光の位相分布が変化し、スペックルパターンが変化する。したがって、位相分散部41を振動させることで、スペックルパターンが振動する。
振動制御回路40は、観察モード中は、撮像部21による撮像の露光時間と同じ、または露光時間よりも短い周期で位相分散部41を振動させる。これによって、露光時間内にスペックルパターンの明暗が平均化されるので、スペックルパターンを低減することができる。また、振動制御回路40は、計測モード中は、振動を停止する、または露光時間よりも長い周期で位相分散部41を振動させる。これによって、露光時間内にスペックルパターンの位相が一定であるか、あまり変化しないので、スペックルパターンを目立たせることができる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。