JP6250677B2 - シリコン含有ドーパント組成、シリコン・イオン注入中にイオン・ビーム電流及び性能を改善するために同組成を用いるシステム及び方法 - Google Patents

シリコン含有ドーパント組成、シリコン・イオン注入中にイオン・ビーム電流及び性能を改善するために同組成を用いるシステム及び方法 Download PDF

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Description

本発明は、シリコン含有ドーパント組成の独特な組合せ、シリコン・イオンの注入プロセスを改善するためにそれを用いるシステム及び方法に関し、特に改善されたビーム電流に関する。
イオン注入は、半導体/マイクロエレクトロニクス製造における重要なプロセスである。イオン注入プロセスは、集積回路作製において、半導体ウェーハ内にドーパント不純物を導入するために用いられる。所望のドーパント不純物が、所望の深さでドープ領域を形成するように、半導体ウェーハ内に導入される。ドーパント不純物は、半導体ウェーハ材料と結合して電気的キャリアを生成することにより、半導体ウェーハ材料の導電率を変えるように選択される。導入されたドーパント不純物の濃度が、ドープ領域の導電率を決定する。必然的に、多くの不純物区域が形成されて、トランジスタ構造、絶縁構造及び他の電子構造が形成され、集合的に半導体デバイスとして機能する。
ドーパント不純物は、一般に、ソース・ドーパント・ガスから導出されたイオンである。ドーパント・ガス源を様々なドーパント・イオン種へとイオン化するために、イオン源フィラメントが使用される。イオンが、イオン・チャンバ内のプラズマ環境をもたらす。次に、イオン・チャンバから、画定されたイオン・ビームの形でイオンが抽出される。結果として得られるイオン・ビームは、一般的にはビーム電流によって特徴付けられる。一般に、ビーム電流がより大きいほど、より多くのドーパント・イオン種がウェーハなど所与の被加工物に注入するために使用可能になり得る。このようにして、ソース・ドーパント・ガスの所与の流速に対して、ドーパント・イオン種の注入量をより多くすることができる。結果として得られるイオン・ビームは、質量分析器/フィルタを通って輸送され、次いで半導体ウェーハなどの被加工物の表面へ輸送されてよい。ビームの所望のドーパントのイオン種が、半導体ウェーハの表面に侵入して、所望の電気的特性及び/又は物理的特性を有する特定の深さのドープ領域を形成する。
シリコン注入は、半導体産業において、アモルファス化又はフォトレジスト改良など、多様な材料の改良の用途に広く用いられている。デバイス作製中に用いるSi注入ステップが増加することにより、イオン源の寿命を損なうことなくビーム電流を増加することを特徴する、様々なSiイオンドーパント種を注入するためのプロセスの改善が必要とされている。ビーム電流がより大きければ、より高度な装置スループット及び顕著な生産性向上が可能になり得る。「Siイオン」、「Siイオン種」、「Siイオンのドーパント種」及び「Si+イオン」という用語は、本明細書の全体にわたって交換可能に用いられることを理解されたい。
四フッ化シリコン(SiF4)は、シリコン・イオン注入のためのドーパント・ガス源として利用されている。しかしながら、SiF4には様々な難点がある。特に重要なのは、SiF4は、今日の用途で要求されている、より大きいビーム電流を確立するのに必要な量のSi+イオンをイオン化して生成する能力が制限されていることであろう。SiF4から生成されるSi+イオンの量を増加させることは、一般的に、イオン源に入力されるエネルギー、別段当業界ではイオン源の動作アーク電圧と称されるものを増加させることを必要とする。しかしながら、増加したエネルギー・レベルで動作すると、イオン源の構成要素が損傷を受ける可能性があり、最終的には、イオン源が、動作中にSi+イオンを生成する能力が低減する恐れがある。たとえば、一般的なイオン注入プロセス中にアーク・チャンバの壁の温度が上昇するとき、SiF4から放出される活性フッ素が、タングステンのチャンバ壁を、より急速にエッチングして腐食させる可能性があり、カソードが、W含有堆積物が増加することの影響を、より受け易くなる恐れがある。W含有堆積物は、イオン源の、プラズマを維持してSi+イオンを生成するのに必要な電子の閾値数を生成する能力を抑制する。加えて、より活発なフッ素イオンが得られるようになり、いわゆる有害な「ハロゲンサイクル」を広め、それにより、イオン源チャンバ壁及び他のチャンバ構成要素の化学的侵食が増加する可能性がある。したがって、SiF4のイオン化を増進しようとして、より高いエネルギー・レベルでイオン源チャンバを運転すると、イオン源の寿命が短くなる恐れがあり、それによって、この動作モードは望ましくないとされる。
現在、イオン源チャンバ構成要素に損傷を与えることなく、Si+イオンのビーム電流を維持する、又は増加するための実行可能な技法は存在しない。イオン源の寿命を損なわずに所望のシリコン・イオン種のビーム電流を改善するのに役立つ組成と、それを利用するシステム及び方法とを開発する必要性は、満たされていないまま残されている。
米国特許第5,937,895号明細書 米国特許第6,045,115号明細書 米国特許第6,007,609号明細書 米国特許第7,708,028号明細書 米国特許第7,905,247号明細書
本発明は、部分的には、シリコン・イオン源の性能を改善するビーム電流を改善するための組成と、それを利用するシステム及び方法とに関するものである。利用されたドーパント・ガスの組成は、ビーム電流を改善する能力に、かなりの効果があることが判明した。
第1の態様では、シリコンベースのドーパント・ガスの組成を含んでいるドーパント・ガスの組成が提供される。この組成は、第1のシリコンベースの種及び第2の種を含む。第2の種は、活性シリコン・イオンの生成及び注入の期間中に利用されるイオン源の動作アーク電圧において、第1のシリコンベースの種のイオン化断面積よりも大きいイオン化断面積を有するように選択される。シリコンベースのドーパント・ガス組成は、四フッ化シリコン(SiF4)から生成されたビーム電流と比べて、前記イオン源を劣化させることなく、ビーム電流を維持する、又は増加するように、イオン・ビーム電流を改善する。
第2の態様では、シリコン・イオンの注入中にビーム電流を改善するためのシステムが提供される。このシステムは、アーク・チャンバ壁によって部分的に画定されたイオン源装置を備え、チャンバは、アーク・チャンバ壁内に少なくとも部分的に配設されたシリコン・イオン源を備える。前記イオン源装置と流体連通した1つ又は複数の供給容器が用意される。1つ又は複数の供給容器は、シリコンベースのドーパント・ガス組成を貯蔵する。この組成は、第1のシリコンベースの種及び第2の種を含み、第2の種は、活性シリコン・イオンの注入期間中のイオン源の動作アーク電圧において、第1のシリコンベースの種のイオン化断面積よりも大きいイオン化断面積を有するように選択される。1つ又は複数の供給ラインが、1つ又は複数の供給容器に対応する。1つ又は複数の供給ラインが、1つ又は複数の供給容器から、アーク・チャンバ壁を通ってアーク・チャンバへと延在する。1つ又は複数の供給容器は、シリコンベースのドーパント組成を、1つ又は複数の供給ラインを通して前記イオン源装置へと分配するように構成されており、それによって、シリコン・イオン源は、少なくとも前記第1のシリコンベースの種から、活性シリコン・イオンの少なくとも一部分を生成するように、シリコンベースのドーパント・ガス組成をイオン化することができる。活性シリコン・イオンは、もっぱらSiF4から生成されたビーム電流と比べて、ビーム電流の増加をもたらす。
第3の態様では、シリコン・イオンの注入中にビーム電流を増加する方法が提供される。この方法は、第1のシリコンベースの種と、活性シリコン・イオンの生成及び注入の期間中に利用されるべきイオン源の所定の動作アーク電圧において、第1のシリコンベースの種のイオン化断面積よりも大きいイオン化断面積を有する第2の種とを選択するステップを含む。第1のシリコンベースの種及び第2の種は、1つ又は複数の供給容器に供給される。第1のシリコンベースの種及び第2の種は、1つ又は複数の供給容器からイオン源装置へと流される。第1のシリコンベースの種はイオン化する。活性シリコン・イオンが生成される。もっぱらSiF4から生成されたビーム電流と比べて増加したビーム電流が生成され、前記ビーム電流が増加することにより、もっぱらSiF4からビーム電流を生成するのと比べて、供給源寿命が延びる。
本発明の目的及び利点は、その好ましい実施例の以下の詳細な説明から、全体にわたって類似の番号が同一の特徴を示す添付図と関連してよりよく理解されるであろう。
本発明の原理を組み込んだイオン注入装置を示す図である。 シリコン注入システム内の図1のイオン注入装置を示す図である。 本発明のシリコンベースのドーパント・ガス組成のビーム電流レベルの、他のタイプのシリコンベースのドーパント・ガス材料との比較を示す図である。 異なるSi含有ガスのイオン化断面積を異なるエネルギー・レベルにおいて示す図である。 異なるシリコン含有ドーパント組成での動作後のアーク・チャンバの堆積物を示す図である。
本発明の様々な要素の関係及び機能は、以下の詳細な説明によって、よりよく理解される。この詳細な説明は、様々な置換及び組合せの特徴、態様並びに実施例を、本開示の範囲内として企図するものである。したがって、本開示は、基本的に、これらの選択された1つ又は複数の特定の特徴、態様、及び実施例の、そのような組合せ及び置換のうち、任意のものを備える、任意のもので構成される、任意のものからなると特定されてよい。
本明細書で、全体にわたって用いられる場合、「Siイオン」という用語は、様々なシリコン・イオン・ドーパント種を意味し、基板に注入するのに適しているシリコン・イオン又はシリコン含有プラス・イオンを含む。
本明細書で用いられる場合、濃度は、別様に示されなければ、すべて体積百分率(「vol%」)として表現される。
本開示は、一態様では、従来のシリコン・ドーパント源と比べてSiビーム電流を増加するための斬新なシリコン含有ドーパントの組成、システム、及びその使用方法に関するものである。本明細書で、全体にわたって用いられる場合、本発明の「シリコンベースのドーパント・ガス組成」という用語は、本明細書で説明されるように、選択されたイオン注入の動作条件(たとえばアーク電圧、すなわちイオン源に対する入力エネルギー)において、第2の種が、第1のシリコンベースの種よりも大きいイオン化断面積を有するように選択された、第1のシリコンベースの種及び第2の種を指すように意図されている。「イオン化断面積」は、原子又は分子がイオン源から放射された電子と衝突するときにイオン化が起こる確率(面積単位で測定したもの)と定義される。第2の種は、イオン源が、シリコン注入のためのイオン注入プロセスにおいて、SiF4のみを利用するのと比べて、より長い期間にわたってその効率を維持するのを支援する条件で動作することを可能にする相補的ガスである。本明細書で説明される本発明のシリコンベースのドーパント・ガス組成は、イオン源の寿命を損なうことなく、以前のシリコン・ドーパント源の材料と比べてイオン源の性能を改善する。「イオン源性能」は、ビーム電流の安定性、供給源の寿命、及びビーム・グリッチの範囲を含む主要な性能メトリックを考慮に入れるものである。本明細書で用いられる場合、「ビーム・グリッチ」という用語は、ビーム電流を瞬間的に低下させ得る電圧放電を指すことになる。本開示が、本明細書で、様々な実施例において、本発明の様々な態様及び特徴を参照しながら詳述される。
独特なシリコンベースのドーパント・ガス組成は、シリコン・イオン注入で一般的に利用される他の従来のソース・ドーパント・ガスに対して、イオン源の寿命を損なうことなくビーム電流を増加することができる。第1のシリコンベースの種と第2の種の多数の組合せが用いられ得る。たとえば、第1のシリコンベースの種はSi2H6を含み得て、第2の種はXe又は他の不活性ガスを含み得る。他の代表的な実例では、SiH4が、Xe又は他の不活性を含む第2の種とともに用いられてよい。或いは、SiH2Cl2又はSiF2H2が、Xe及び/又はKrなどの様々な希釈剤を含んでいる第2の種とともに用いられてもよい。それぞれの実例において、イオン源が、その動作中に劣化することなくビーム電流を維持する、又は増加するように動作するアーク電圧(すなわちイオン源に対する入力エネルギー)の好ましい範囲にわたって、第2の種は、第1のシリコンベースの種よりも大きいイオン化断面積を有するように選択されなければならない。
好ましい実施例では、第1のシリコンベースの種には、イオン源装置100の入口及び/又は内部に含有された所定の濃度のSiF4が含まれる。本発明の原理によれば、SiF4は、任意の適切な不活性ガス又は希釈ガス、第2のシリコンベースの共同種又はその組合せを含んでいる第2のガス種と組み合わせて利用され得る。たとえば、希釈ガスはキセノン又はクリプトンを含んでよく、どちらも、イオン注入プロセスにおいて、イオン源に入力される選択された動作エネルギー・レベルにおいて、SiF4よりも大きいイオン化断面積で用いられる。NeHe、Ar又はN2を含む他の適切な希釈ガス又は不活性ガス、水素含有ガス、又はそれらの任意の組合せが利用されてもよい。
好ましい実施例では、第1のガス種はSiF4であり、第2のガス種は、第2のシリコンベースの共同種を含み、所定の量がSiF4に追加される。イオン源プロセスの動作条件において所定の濃度の第2のシリコンベースの共同種を追加すると、第2のSiベースの共同種がSiF4のイオン化断面積よりも大きいイオン化断面積を有するようになり、動作パラメータにおけるいかなる追加の変更も必要なく、Si+ビーム電流が増加する傾向があることが示された。さらに、シリコン含有ガス混合物の特定の好ましい組成では、より低いアーク電圧でイオン源を運転して、その運転中に、イオン源の構成要素の劣化をさらに低減することが可能であることが判明した。
好ましくは、第2のシリコンベースの共同種はジシラン(Si2H6)を含む。共同種Si2H6とSiF4を特定の比で組み合わせると、所与の基板に注入するのに利用可能なシリコン・イオンの供給源をもたらすことができる。一実施例では、全体的なシリコンベースのドーパント・ガス組成の体積に基づいて、約1〜10vol%のSi2H6共同種が含有される。別の実施例では、約2〜7vol%のSi2H6共同種が含有される。以下で論じられるように、本発明では、選択されたドーパント・ガス混合物のイオン化条件及びイオン・チャンバの動作条件の下でのSiF4に対するSi2H6の特定の組成の範囲が、ビーム電流を改善することができ、それによって、イオン源を劣化させることなくビーム電流を増加することができることが発見された。このようにして、供給源寿命が短縮されるような容認できないレベルまで堆積物を蓄積させることなく、シリコン・イオン・ビーム電流を増加することができる。イオン源が、SiF4のみを利用するイオン注入プロセスと比べて、より長い期間にわたってその効率を維持するのを支援される条件で動作することが可能になり得る好ましい濃度のSi2H6は、相補的ガスとして働き、このことは以下の実例で明示される。
さらに、SiF4にとって好ましい動作条件又は最適な動作条件において、そのイオン化断面積がSiF4のイオン化断面積よりも大きい第2のSiベースの種の所定量を追加すると、もっぱらSiF4を利用するときのイオン注入の動作パラメータに対していかなる追加の変更を加える必要性もなく、生成されるSi+ビーム電流を増加することができることが示された。たとえば、本発明は、SiF4とSi2H6の混合物を好ましい濃度範囲で利用するとき、イオン源に追加のエネルギーを入力する必要なくビーム電流を改善する(すなわち、イオン源の寿命を短縮することなく、生成されたビーム電流を維持する、又は増加する)ことができる。言い換えれば、ビーム電流と、もっぱらSiF4から生成されたビーム電流でのスループットと比較したスループットとを増加するように、上限を超えない量のSi2H6がSiF4に追加される。
さらに、本発明によって企図されたSiガス混合物の特定の組成で、イオン源を、ビーム電流の顕著な減少を伴うことなく、より低いアーク電圧で動作させることができ、有利なことに、イオン注入操作を通じてイオン源構成要素の劣化がさらに低減され得ることが判明した。
以下の実例で説明される好ましい実施例では、Siイオンは、所定の濃度範囲のSi2H6及びSiF4を含んでいるSi含有混合物から注入される。任意の適切なイオン注入装置が、Si2H6とSiF4の混合物とともに利用されてよい。図1を参照すると、Si2H6及びSiF4から導出したSiイオンを注入するための代表的なイオン注入装置100が示されている。図1に示されたイオン源装置100の様々な構成要素には、本発明のシリコンベースのドーパント・ガス組成を、その対応するシリコン活性イオンへとイオン化するためのイオン源として働く間接加熱カソード(IHC)115も含まれる。シリコンベースのドーパント・ガス組成は、たとえばFreeman供給源、Bernas供給源及びRFプラズマ供給源を含む、当技術分野で既知の他のタイプのイオン源に対して適切であることを理解されたい。
図1のイオン源装置100は、シリコンの活性イオンを半導体基板に注入するための電子ビームを生成するのに使用することができる。シリコン活性イオンは、もっぱらSiF4から生成されたビーム電流と比べて、より大きいSi+ビーム電流を生成するようにして、SiF4とSi2H6をイオン化することから生成される。いかなる特定の理論にも束縛されることなく、Si2H6に対するSiF4の特定の構成の範囲及びイオン源装置100の注意深く選択された動作条件の下では、SiF4とSi2H6は、増加され、且つ改善されたビーム電流を生成するために、Si+活性イオンの生成量を増加するイオン化メカニズムをもたらすように、相乗効果があるように相互作用すると考えられる。
図4は、異なるシリコン化合物のイオン化断面積をエネルギーの関数として図示するものである。Si2H6は、SiF4のイオン化が起こり得るイオン源の好ましい動作エネルギー・レベル又はアーク電圧で、SiF4よりも大きいイオン化断面積を示す。言い換えれば、図4は、Si2H6が、イオン源のそのようなアーク電圧動作条件の下でイオンを生成する、より高い可能性を有することを示す。Si2H6から生成されたイオンの存在によって、SiF4のイオン化プロセスが強化され、より大きいSi+ビーム電流がもたらされる。逆に、図4は、SiH4のイオン化断面積がSiF4のものよりも小さく、したがって、SiF4がSiH4のイオン化された種と相互作用したり衝突したりして、イオン化されたSiF4種へとイオン化するための正味の確率が低下し、それによってSi+ビーム電流が減少することを示す。
図4を参照すると、Si2H6は、SiF4のイオン化が起こる約80V〜120Vの選択された動作アーク電圧で、SiF4のものよりも大きいイオン化断面積を示す。この選択された動作様式の範囲内では、Si2H6は、様々なシリコン含有イオンを生成する、より高い可能性を有する。Si2H6から導出されたシリコン含有イオンの存在によって、SiF4のイオン化プロセスが強化され、イオン源の供給源フィラメントを劣化させることなく、より大きいSi+ビーム電流がもたらされる。しかしながら、ビーム電流の改善が示されるSi2H6の濃度は、約50%未満、好ましくは約40%未満、より好ましくは20%未満、最も好ましくは10%未満といった特定の範囲内だけであることが発見された。
以下の実例で図3と関連して示されるように、Si2H6の濃度を約50%以上に高めた総体のガス混合物では、希釈されていない(すなわち純粋な)SiF4から生成されたビーム電流と比べて、ビーム電流が減少する。さらに、80%のSi2H6と20%のSiF4では、ビーム電流がかなり減少する。約50%以上といった高いSi2H6濃度の条件下では、プラズマによるアーク・チャンバからのシリコン・イオンの抽出が少ないことが観測され、ビーム電流がより少なかった。図3は、異なるsi−含有ガス混合物をイオン化している間に得られたSi+ビーム電流を示す。Si2H6含有ガス混合物(5%のSi2H6、残部SiF4)は、希釈されていないSiF4と比べて、Si+ビーム電流の約20%の増加を示した。さらに、図3は、SiF4に他のSi含有の相補的種を追加することにより、ビーム電流が減少したことを示す。たとえば、以下の実例で論じられるように、50%のSiF4と50%のSiH4のガス混合物は、希釈されていないSiF4のケースから生成されたビーム電流と比べて、ビーム電流が約5%低下することを示した。
加えて、これらの50%以上の高いdilsilane濃度でSi含有堆積物が認められ、それによって、イオン源の、運転中のビーム電流の減少と、早期故障とをもたらす。
Si2H6を所定の上限未満に保つことの結果として、SiF4にとって好ましい動作条件又は最適な動作条件で、イオン化断面積においてSiF4よりも大きく、量においてSiF4よりも少ない第2のSiベースの共同種を追加すると、アーク電圧を増加することなど、動作パラメータにおける追加の変更なしで、得られるSi+ビーム電流を増加し得ることが示された。逆に、本発明では、驚くべきことに、Si2H6とSiF4の特定の組成において、供給源寿命を延ばす(すなわち、カソード薄化及び/又はフッ素腐食の結果としてのイオン源構成要素の劣化を防止する)一方で、実質的に同一のビーム電流を維持することができる、より低いアーク電圧で、イオン源を実際に動作させ得ることが判明した。図4に示されたSi2H6とSiF4の対応するイオン化断面積の曲線の結果として、低下したアーク電圧で動作し、それでもなお実質的に同一のビーム電流を維持する能力が可能である。たとえば、図4に示されるように、より低いアーク電圧におけるSi2H6とSiF4のイオン化断面積の曲線間の差が増加することにより、アーク電圧の約110Vから約80Vへの低下が生じ得る。Si2H6とSiF4の間のイオン化断面積の差より大きな差が、比較的低いアーク電圧で生じることに関わり、十分な数のSi活性イオンが生成されて、アーク電圧がより低いために総合的ビーム電流が低下するいかなる傾向も相殺される可能性が、より高くなり得る。言い換えれば、アーク電圧がより低ければ、生成されるSiの合計のイオン量も低下する可能性があり、イオン化断面積の差が増大することによる十分なイオン化によってビーム電流を維持することができる一方で、フッ素腐食及びカソード薄化がかなり低減され、それによってイオン源の寿命が延び、最終的にはスループットが改善される。最適な動作電圧(すなわちイオン源へのエネルギー入力)の選択は、ガス種及びそれらの対応するイオン化断面積の曲線の関数である。アーク電圧が最適であれば、イオン源を劣化させることなく、ビーム電流を維持するか又は増加させることが可能になるはずである。一実施例では、最適電圧は85〜95Vの間の範囲で生じる。
加えて、本発明で開示されたドーパント・ガス組成により、従来型のシリコン・ドーパント・イオン注入設備と比べて、好ましくは、少なくとも部分的に、イオン源装置100の動作中の供給源カソード115の重量変化の最低速度に基づいて、イオン源カソード115の寿命を延長することが可能になる。最終的には、供給源カソード115の早期故障の可能性が低下することにより、イオン源カソード115の動作可能期間が延長されてスループットが向上する。このようにして、本発明は、もっぱらSiF4から生成されたビーム電流と比べて、シリコン・イオン・ビーム電流を維持するか又は増加することができる独特なシリコンベースのドーパント・ガス組成を有する一方で、同時に、SiF4などの、これまで可能であった従来型のシリコン前駆物質を利用するものよりも長い期間にわたって供給源フィラメント115の完全性を維持するものである。
引き続き図1のイオン源装置100を参照して、SiF4とSi2H6を所定の比で含んでいるシリコン・ドーパント・ガス組成の流れ102が、アーク・チャンバ壁111を通って延在するガス供給ラインを通じてイオン源チャンバ112の中に導入される。一実施例では、Si2H6は、総合的な組成流れ102に基づき、50%未満に維持される。別の実施例では、Si2H6は1〜20%の間の濃度に維持される。さらに別の実施例では、Si2H6は約10%以下である。供給源チャンバ112の内部のシリコン・ドーパント・ガス組成103が、IHC 115に近接して配置されたタングステン・ベースのフィラメント114に電源(図示せず)から所定の電圧が印加されて抵抗加熱され、イオン化される。フィラメント114には、IHC 115に対してマイナスのバイアスをかけてよい。電源によってフィラメント114に電流を印加して、フィラメント114を抵抗加熱する。アーク・チャンバ壁111からカソード115を電気的に絶縁するために、絶縁体118が設けられている。
カソード115によって電子が放出される。放出された電子により、シリコン・ドーパント組成103の分子のSiF4及びSi2H6が加速され、且つイオン化されて、チャンバ112内のプラズマ環境を生成する。リペラ電極116が、シリコン・ドーパント組成103の分子のイオン化を維持するために電子をはね返すためのマイナス電荷を確立することにより、アーク・チャンバ112内のプラズマ環境を維持する。リペラ電極116は、チャンバ112内のドーパント・ガス組成103のイオン化を維持するように、好ましくはIHC 115に対して実質的に直径方向で対向して構成されている。アーク・チャンバ壁111は抽出開口117を含み、それを通って明確なシリコン・イオン・ビーム121が、アーク・チャンバ112から抽出される。この抽出システムは、抽出電極120と、抽出開口117の前に配置された抑止電極119とを含む。抽出電極120と抑止電極119は、どちらも、シリコン・イオン注入に用いられ得る明確なイオン・ビーム121を抽出するために、抽出開口117と整列したそれぞれの開口を有する。
シリコンベースのドーパント・ガス組成103のイオン化によって、SiF4とSi2H6の相乗的相互作用から生成され得る様々なイオン化された種には、共同種のSiF4から放出されるFイオン、フッ化シリコン・イオン及び様々なシリコン含有イオンと、共同種のSi2H6から放出される水素イオン、水素化シリコン・イオン及びさらなるシリコン含有イオンとが含まれる。放出された大量のFイオンは、水素による掃気が可能である。加えて、放出されたFイオンは、ドーパント・ガス混合物のイオン化から形成されたシリコン・ガス・イオンのいくらかと再結合する可能性がある。しかしながら、イオン源装置100内のSiF4とSi2H6の相乗的相互作用を好都合に可能にするアーク電圧の選択を含む十分な動作条件の下で、選択された動作アーク電圧(図4)におけるそれらの対応するイオン化断面積によって、また、イオン・チャンバの中に導入されるSiF4とSi2H6の相対量を、本発明の原理に従って制御することにより、Fイオンと再結合するシリコン・イオンの量は、ビーム電流を増加するイオン注入に利用可能な活性シリコン・イオンの最大の濃度レベルを生じさせるように実質的に最小化される。その結果、Fイオンを掃気する方法により、イオン源装置100からWベースのチャンバ構成要素をエッチングしてW含有堆積物を形成するFイオンがより低減され、一方、注入するための十分な量の活性シリコン・イオンが維持される。W含有堆積物の形成が低減されると、IHC 115のより高温の表面上の、W含有堆積物の拡散及び分解がより少なくなる。したがって、イオン源装置100の動作中のIHC 115の増量の割合が、実質的に低減される。最終結果として、ビーム・グリッチは頻度が低下するか又は解消され、それによってビーム安定性が向上し、イオン源装置100の動作寿命が延長される。
SiF4とSi2H6の共同種の相互作用によるFイオンの掃気は、SiF4とSi2H6を個々にイオン化することによって得られる合計のSiイオンの単純な相加効果よりも大きい増加した量の活性シリコン・イオンを生成する、増強されたイオン化メカニズムの生成を、少なくとも部分的に支援することができる。さらに、SiF4とSi2H6共同種の組合せは、それらのイオン化断面積に関して説明されたような好ましいように相互作用し得、それぞれのイオン化特性が改善される。比電離メカニズムは完全には理解されていないが、シリコン・イオンの放出の総合的な効果は、改善され且つ維持されるビーム電流をもたらす相乗作用であり、希釈ガスとともに用いられる、又は希釈ガスなしで用いられるシリコン・ドーパント・ガスによって一般的に観測されるように、これによって電流が瞬間的に減少することはない。本発明は、シリコン・イオンが導出される特定の比の2つのシリコン共同種を利用するので、イオン注入のために利用可能なシリコン・イオンの活性濃度は、少なくとも部分的には十分なレベルに維持される。さらに、堆積物の蓄積が、防止されるか又は実質的に最小化され、それによって、希釈剤又は不活性ガスを組み込む必要性が解消する。本発明の、改善され、且つ維持されたビーム電流は、より大きいスループット及び生産性をもたらし、基板の中に、必要なシリコン・イオン量を短期間で注入することができる。
このようにして、本発明は、従来技術とは異なり、好ましい濃度のSiF4及びSi2H6などの2重目的のシリコン・ドーパント・ガス組成を利用し、注意深く選択されたイオン化条件の下で、タングステン・ベースのフィラメント114に入力されるエネルギーにより、イオン源寿命を損なうことなくシリコン・ビーム電流を増加することができる。SiF4とSi2H6は、相補的ガス種Si2H6が、80V〜120Vの選択された動作範囲内で示す、SiF4のものよりも大きいイオン化断面積により、さらには、Si2H6の濃度が50%以下という所定の上限未満に維持されるので、少なくとも部分的にSi+イオンの生成量を増加するイオン化メカニズムをもたらすように、相乗効果があるようにして相互作用する。
図2は、シリコン・イオン注入システム200に組み込まれた図1のイオン源装置100を示す。図1のイオン源装置100のすべての要素が図2に組み込まれていることを、当業者は理解するべきである。その結果、図2に示されているイオン源装置100の要素及び特徴は、図1に示された要素及び特徴に関連して理解されるべきである。
図2は、シリコンベースのドーパント・ガス組成がドーパント・ガス・ボックス201から供給され得ることを示す。シリコンベースのドーパント・ガス組成は、ガス・ボックス201内の単一の供給容器の中のあらかじめ混合された組成として、所望の構成で用意され得る。或いは、ガス・ボックス201は、シリコン共同種SiF4及びSi2H6のそれぞれが、ガス・キットの一部分としての独立した分配容器で供給され得るように構築され、且つ配置されてもよく、SiF4及びSi2H6は、次いで、ガス・キットの一部分と見なされ得る対応する流量コントローラを利用して、制御された流速で、連続的に、又は半連続的に、一緒に、又は順次流される。Si2H6及びSiF4の流速は、制御されてイオン源装置100の方へ導かれ、所望のシリコンベースのドーパント・ガス組成を好ましい濃度範囲で生成する。そのようなドーパント・ガス組成は、供給源チャンバ100の入口及び/又は内部のいずれかで生成され得る。個々の共同種が集束するポイントが、イオン源装置100の上流に、又は装置100のチャンバ112内に生じ得る。
引き続き図2を参照して、イオン源チャンバ100に入るシリコンベースのドーパント・ガス組成の濃度を測定するために、当技術分野で知られている適切な市販の分析器を使用することができる。一実施例では、シリコン・ドーパント・ガス組成は、残部SiF4に対して約1〜20vol%の範囲のSi2H6の濃度を有する。好ましい実施例では、シリコン・ドーパント・ガス組成は、残部SiF4に対して約2〜10vol%の範囲のSi2H6の濃度を有する。より好ましい実施例では、シリコン・ドーパント・ガス組成は、残部SiF4に対して約2〜5vol%の範囲のSi2H6の濃度を有する。
引き続き図2を参照して、シリコンベースのドーパント・ガス組成が、あらかじめ混合された単一の供給源として、又はSiF4とSi2H6の個々の種として、ボックス201から、上記で直前に説明されたように、一緒に、又は順次流されて、イオン源装置100の中に導入される。装置100の選択されたアーク電圧を生成するために、チャンバ112(図1)の中にエネルギーを導入することするための手段として、イオン源フィラメント114に電圧が印加され、シリコンベースのドーパント・ガス組成をイオン化して、注入のために利用可能な活性シリコン・イオンの十分な濃度をもたらす。好ましくは、イオン源114に入力されるエネルギー(すなわちアーク電圧)は、活性Si+イオンの生成量が増加するイオン化メカニズムをもたらすように、相乗効果があるようにして、SiF4とSi2H6の相互作用を可能にするように、約80V〜120Vの範囲に保たれる。結果として、チャンバ112内にプラズマ環境がもたらされる。イオン・ビーム抽出システム201が含んでいる抽出電極120及び抑止電極119は、図2に示されるようなシリコン含有ドーパント供給システムの一部分を形成し、シリコン・イオンを注入するために用いられる明確なシリコン・ビーム121を抽出するように構成されている。ビーム121は、注入される他の種からシリコン・イオン種を選択して磁気的に捕捉するように、任意選択の質量分析器/フィルタ205を通って輸送される。具体的には、質量分析器/フィルタ205は、対象の活性シリコン・イオンのみが処理チャンバ又はエンド・ステーション210内に進むことを許すように構成されている。次いで、シリコンリッチ・イオン・ビーム207は、必要に応じて加速/減速ユニット206によって加速/減速され得て、次いで、被加工物209内に活性シリコン・イオンを注入するために、エンド・ステーション210に位置決めされたウェーハ又は対象の被加工物209の表面へ輸送され得る。ビームの活性シリコン・イオンは、被加工物209の表面と衝突し、所望の深さに侵入して、所望の電気的特性及び物理的特性を有する領域を形成する。本発明のプロセス及び技法を採用することにより、イオン源寿命の低下を招くことなく、システム200内に含まれるイオン源装置100のビーム電流が、従来型のシリコン・ドーパント・システムに対してかなり増加され得る。そのため、本発明は、プロセスの数ある利点の中でも、イオン源装置100のスループットが向上するという、シリコン・イオン注入産業の進歩を示すものである。
シリコン注入プロセス200の構造及び設計の多くの変形形態が、本発明の異なる実施例で採用され得ることに留意されたい。さらに、構成及び設計の詳細は、それらが、イオン源装置100及び対応する注入プロセス200で用いられるシリコンベースのドーパント組成に関するものであることを除けば、本発明の性能において重要ではない。
図2に示される本発明の好ましい態様では、あらかじめ混合されたSi2H6とSiF4を含むシリコンベースのドーパント・ガス組成の制御された流れが、イオン源装置100のイオン源チャンバ112に供給され、イオン源チャンバ112では、Si2H6の濃度の範囲は、全体の混合物に基づいて約1〜10vol%である。シリコンベースのドーパント・ガス組成は、あらかじめ高圧シリンダで混合されてパッケージ化され得る。或いは、ドーパント・ガス組成は、例として、米国特許第5,937,895号、米国特許第6,045,115号、米国特許第6,007,609号、米国特許第7,708,028号、及び米国特許第7,905,247号に開示されているようなUpTime(登録商標)準大気圧配送システムなどの準大気圧配送パッケージから配送されてもよく、これらの米国特許のすべてが、全体を参照することによって本明細書に組み込まれる。他の適切な準大気圧配送デバイスは、圧力調整器、逆止弁、過流防止弁及び流れ抑制オリフィスを様々な配置で含み得る。たとえば、ドーパント・ガスのシリンダ圧力を、流体排出ラインに沿って含まれる下流の質量流量コントローラにとって許容できる所定の圧力に下げる方向で調節するために、2つの圧力調整器が、シリンダ内に直列に配設されてよい。準大気圧パッケージは、その安全性が高いので、ガス配送のための好ましいモードである。一実施例では、流速の範囲は、約0.1〜100sccm、好ましくは0.5〜50sccm、より好ましくは約1〜10sccmであり得る。イオン源装置100には、FreemanとBernasのタイプの供給源、間接加熱カソードの供給源及びRFプラズマ供給源など、商用イオン注入装置で一般に使用されているイオン源のうち任意のものが含まれ得る。Si2H6及びSiF4を含むシリコンベースのドーパント・ガス組成の所望のイオン化を達成するために、選択された各パラメータの下で、Si2H6のイオン化断面積をSiF4のものよりも大きくすることにより、本発明の原理によって、活性Siイオンのイオン化及び生成を増強するように、圧力、フィラメント電流及びアーク電圧を含むイオン源動作パラメータが調整される。
本発明の別の実施例では、Si含有ドーパント組成は、適切なイオン注入用途向けのより低いアーク電圧で動作し得る上記で論じられた所定濃度における、SiF4とSi2H6の混合物である。電圧がより低ければ、チャンバ構成要素の腐食が低減され得る。特に、より低いアーク電圧で動作すれば、構成要素の物理的侵食並びに化学的侵食が低減され、それによってイオン源の寿命が延長される。より低いアーク電圧で動作させると、好ましくはビーム電流が実質的に維持される。ビームが、もっぱら、希釈されていないSiF4から生成される場合には、フィラメント上にW含有堆積物が蓄積し、イオン源の電子放出効率が低下して、原料ガスのイオン化が不十分になるために、ビーム電流の損失をもたらす可能性があるが、有利には、アーク電圧を低くすると、堆積物が蓄積したり、ビームが不安定になったりすることがない。
本出願人は、本発明のシリコンベースのドーパント・ガス組成を他のドーパント・ガス材料と比較するためにいくつかの実験を行なっており、次に以下の実例で論じる。以下で説明されるすべてのテストに関して、イオン源フィラメントの増量又は減量は、当技術分野で知られているように、テスト前後にイオン源フィラメントの重量を測定することによって測定されたことに留意されたい。電流は、当技術分野で周知の標準化された技法により、ファラデー・カップを使用して測定された。すべてのテストが100Vで実行された。
比較例1(希釈されていないSiF4)
SiF4のみ(すなわち希釈されていないもの)のドーパント・ガス組成から導出したイオン・ビームのイオン・ビーム性能を評価するためにイオン化テストを行なった。チャンバの内部は、ヘリカル・フィラメントと、ヘリカル・フィラメントの軸に対して垂直に置かれたアノードとを含むように構築されたイオン源からなるものであった。イオン化プロセス中にアノードを静止させておくように、アノードの前に基板を位置決めした。イオン源チャンバの中にSiF4を導入した。イオン源に電圧を印加し、SiF4をイオン化して、シリコン・イオンを生成した。測定されたビーム電流を図3に示す。ビーム電流は、イオン注入に用いることができる明確なシリコン・イオン・ビームを生成する目的に対して許容できるものと見なされた。しかしながら、表1に示されるように、0.02gm/hrの顕著なフィラメント増量が観測され、且つ測定された。テストを通じて、フィラメント上に様々なW含有堆積物が蓄積して電子放出効率が低下し、原料ガスのイオン化が不十分になって、最終的にはビーム電流の損失をもたらし、テストを中断しなければならなかった。これらの結果は、Si+ドーパント源として単独でSiF4を利用することに伴う典型的な問題であると考えられた。
比較例2(SiF4+20%のXe/H2)
SiF4と、全体のガス混合物の20vol%のキセノン/水素の希釈ガス混合物との混合物からなる、シリコンベースのドーパント・ガス組成から得られたイオン・ビーム電流を評価し、併せて特定の期間にわたるイオン化の過程を通じてイオン源の性能を評価するために、イオン化テストを行なった。比較例1のベースラインのSiF4テストを行なったときと同一のイオン源チャンバを利用した。SiF4と希釈剤のキセノン/水素とを個別の供給源からイオン源チャンバの中に導入して、チャンバ内で所望のドーパント・ガス組成を生成した。イオン源に電圧を印加し、SiF4をイオン化して、シリコン・イオンを生成した。図3のケースBに示されるように、ビーム電流を、SiF4のみを利用して生成したものよりも約10%小さくするように測定して求めた。ビーム電流を、比較例1からのSiF4のビーム電流に対して正規化したものを図3に示す。表1に示すように、フィラメントの増量は0.0017gm/hrであった。堆積物によるフィラメントの増量が比較例1からのSiF4のものより少なく、ハロゲンサイクルを維持し、したがって、さらなるタングステン・チャンバ構成要素をエッチングし得る活性Fイオンが、より少ないことを示している。その結果、ハロゲンサイクルは比較例1のものに対して低減された。生じたビーム・グリッチは、比較例1のものよりも少なかった。しかしながら、キセノン/水素の希釈剤によるハロゲンサイクル及びW含有堆積物の低減は、単独でSiF4を利用したときよりもビーム電流が小さくなる(図3)という犠牲を払ったものである。これらの結果は、希釈ガスを用いる従来型のシリコン・ドーパント・ガス前駆物質を示すものであった。
比較例3(50%のSiF4+50%のSiH4)
SiF4と、SiH4との混合物からなる、シリコンベースのドーパント・ガス組成から得られたイオン・ビーム電流を評価し、併せて特定の期間にわたるイオン化の過程を通じてイオン源の性能を評価するために、イオン化テストを行なった。混合物の濃度は、50vol%のSiF4及び50vol%のSiH4であった。比較例1及び2のテストを行なったときと同一のイオン源チャンバを利用した。SiF4とSiH4の混合物を個別の供給源からイオン源チャンバの中に導入して、チャンバ内で所望のドーパント・ガス組成を生成した。濃度測定値を得て、目標の濃度が達成されたことを確認した。イオン源に電圧を印加し、ドーパント・ガス混合物をイオン化して、シリコン・イオンを生成した。図3のケースCに示されるように、測定されたビーム電流を、SiF4のビーム電流に対して正規化した。測定されたビーム電流は、比較例2の、SiF4と希釈剤のキセノン/水素混合物とを利用したとき生成されたものよりも大きかったが、比較例1の、SiF4のみ利用したとき生成されたビーム電流を下回るものであった。この結果は、SiH4が、イオン源に入力される実質的にすべての動作エネルギー・レベルにおいてSiF4よりも低いイオン化定数を有することを示す図4を参照することにより、少なくとも部分的には説明され得る。そのため、SiH4とSiF4の衝突に由来する活性の低いシリコン・イオンが生成されたわけである。SiH4のイオン化断面積がSiF4のものよりも小さいので、SiF4が衝突してイオン化する正味の可能性が低下することにより、シリコン・イオン・ビーム電流が全体的に低下する。表1に示されるように、0.0025gm/hrのフィラメントの減量があった。イオン・チャンバ内のSiF4及びSiH4の対応するプラスのイオン種によって起こり得るフィラメントの物理的スパッタリングの結果として、フィラメントの薄化が観測された。したがって、50vol%のSiF4と50vol%のSiH4ドーパント・ガス混合物は、過度のイオン源フィラメント薄化のために早期故障をもたらす可能性があるとの結論に至った。
比較例4(SiF4+50%のSi2H6)
SiF4と、50vol%のSi2H6との混合物からなる、シリコンベースのドーパント・ガス組成から得られたイオン・ビーム電流を評価し、併せて特定の期間にわたるイオン化の過程を通じてイオン源の性能を評価するために、イオン化テストを行なった。比較例1、2、3のテストを行なったときと同一のイオン源チャンバを利用した。シリコンベースのドーパント・ガス組成を、個別のSiF4供給源及びSi2H6供給源によってチャンバの中に導入し、イオン源チャンバの上流のフロー・ラインの中で混合した。濃度測定値を得て、目標の濃度が達成されたことを確認した。イオン源に電圧を印加し、ドーパント・ガス組成をイオン化して、シリコン・イオンを生成した。ビーム電流を測定して、SiF4のビーム電流に対して正規化した。図3のケースFは、得られたビーム電流がSiF4のもの(比較例1)を約10%下回ることを示す。フィラメントの減量は0.0023gm/hrの割合であった。20時間にわたる連続運転の後で、図5Bに示されるように、イオン源アーク・チャンバの表面に沿って、顕著なSi含有堆積物が観測された。堆積物のそのような蓄積は、イオン源の、運転中のビーム不安定性と、最終的な早期故障との原因となった。したがって、このガス組成はSi注入操作用には望ましくないとの結論に至った。
比較例5(SiF4+80%のSi2H6)
SiF4と、80vol%のSi2H6からなる、シリコンベースのドーパント・ガス組成から得られたイオン・ビーム電流を評価し、併せて特定の期間にわたるイオン化の過程を通じてイオン源の性能を評価するために、イオン化テストを行なった。シリコンベースのドーパント・ガス組成を、個別のSiF4供給源及びSi2H6供給源によってチャンバの中に導入し、イオン源チャンバの上流のフロー・ラインの中で混合した。比較例1、2、3及び4のテストを行なったときと同一のイオン源チャンバを利用した。あらかじめ混合してあるシリコンベースのドーパント・ガス組成を、チャンバの中に導入した。濃度測定値を得て、目標の濃度が達成されたことを確認した。イオン源に電圧を印加し、ドーパント・ガス組成をイオン化して、シリコン・イオンを生成した。ビーム電流を測定して、SiF4のビーム電流に対して正規化した。80%のSi2H6と残部SiF4の混合物の測定されたSi+ビーム電流は、比較例1の希釈されていないSiF4ベースラインの場合と比べて、かなり小さいものであった。図3のケースGは、ビーム電流がSiF4のもの(比較例1)を60%超下回ることを示す。さらに、運転中にイオン・ビームが不安定性を示し、最終的にはイオン源の早期故障の原因となった。フィラメントの減量は、以下で表1に示されるように−0.0025gm/hrの割合であった。図5Aは、20時間にわたる連続運転の後に、望ましくない量のSi含有堆積物がアーク・チャンバの表面に沿って観測されたことを示す。したがって、このSi含有ドーパント・ガス組成はSiイオン注入操作用には望ましくないとの結論に至った。
「実例1」(SiF4+2.5vol%のSi2H6)
SiF4と、2.5vol%のSi2H6との混合物からなる、シリコンベースのドーパント・ガス組成から得られたイオン・ビーム電流を評価し、併せて特定の期間にわたるイオン化の過程を通じてイオン源の性能を評価するために、イオン化テストを行なった。比較例1、2、3、4及び5のテストを行なったときと同一のイオン源チャンバを利用した。純粋なSiF4の流れが、5%のSi2H6/SiF4混合物を希釈して2.5のvol% Si2H6を生成するように、5%のSi2H6/SiF4混合物と純粋なSiF4の流れを、選択された流速でチャンバ内に並行して流すことにより、シリコンベースのドーパント・ガス組成を生成した。目標の2.5vol%のSi2H6が生成されたことを確認するために濃度測定を行なった。イオン源に電圧を印加し、シリコンベースのドーパント・ガス組成をイオン化して、シリコン・イオンを生成した。ビーム電流を測定して、SiF4のビーム電流に対して正規化した。図3のケースEに示されるようなビーム電流が求められ、SiF4を利用したとき生成されたビーム電流を上回るものであった。表1に示されるように、−0.0009gm/hrのフィラメントの減量があった。シリコンベースのドーパント組成がもたらしたフィラメントの重量変化は、すべてのテストのうちで最小量であった。さらに、図5Cは、アーク・チャンバの表面に沿って堆積物が実質的に観測されなかったことを示す。したがって、SiF4と2.5vol%のSi2H6のドーパント・ガス組成は、SiF4よりも大きいビーム電流を生成することができる一方で、供給源フィラメント上のWベースの堆積物をかなり低減する上に、フィラメントの物理的スパッタリングも防止するとの結論に至った。
「実例2」(SiF4+5vol%のSi2H6)
SiF4と、5vol%のSi2H6との混合物からなる、シリコンベースのドーパント・ガス組成から得られたイオン・ビーム電流を評価し、併せて特定の期間にわたるイオン化の過程を通じてイオン源の性能を評価するために、イオン化テストを行なった。比較例1、2、3及び実例1のテストを行なったときと同一のイオン源チャンバを利用した。個別の供給源からシリコンベースのドーパント・ガス組成を導入し、チャンバの上流であらかじめ混合した。目標の5vol%のSi2H6が生成されたことを確認するために濃度測定を行なった。イオン源に電圧を印加し、ドーパント・ガス組成をイオン化して、シリコン・イオンを生成した。ビーム電流を測定して、SiF4のビーム電流に対して正規化した。図3のケースDに示されるようなビーム電流が求められ、テストしたすべてのドーパント・ガス組成の中で最大のものであった。フィラメントの増量又は侵食の結果としての早期のビーム・グリッチは生じなかった。表1に示されるように、−0.0012gm/hrのフィラメントの減量があった。フィラメントの重量変化は、比較例1〜3のすべてよりも少なく、実例1の重量変化と同等であった。テストを通じて、堆積物は観測されなかった。実例1のSiF4+2.5vol%のSi2H6のものをわずかに上回る重量低減があったが、この重量低減によるビームの不安定化はなかった。したがって、SiF4と5vol%のSi2H6のドーパント・ガス組成は、SiF4のみを利用したものよりも大きいビーム電流を生成することができる一方で、供給源フィラメント上のWベースの堆積物及び物理的スパッタリングをかなり低減するとの結論に至った。
これらの実例が示すところによれば、本発明で開示されたドーパント・ガス組成の利点を実現するためには、Si2H6とSiF4の混合物におけるSi2H6の濃度に上限がある。図5A〜図5Cは、SiF4とSi2H6の混合物におけるSi2H6の異なる濃度を用いて連続運転した後のアーク・チャンバの内部を示す。80%のSi2H6を有する組成と50%のSi2H6を有する組成とは、20時間にわたる連続運転の後に、どちらもアーク・チャンバ内に望ましくない量の堆積物が提示されたが、2.5%のSi2H6とSiF4の混合物については、60時間の連続運転の後でさえ、堆積物は観測されなかった。加えて、50%及び80%のより高いSi2H6組成におけるイオン化プロセスが、アーク・チャンバの内部にSi含有堆積物及び/又はW含有堆積物をもたらすことが発見された。そのような堆積物は望ましいものではなく、活性Siイオンをより低減させ、運転中にSi+ビーム電流の低下をもたらす。その結果、後にイオン源の早期故障が生じる恐れがある。これらの観察報告により、運転中にイオン源が劣化することなくビーム電流が増加することによって特徴付けられた、改善されたビーム電流の利点を実現するために、Si2H6とSiF4の混合物の好ましい組成に対する上限が決められる。
本発明は、本発明のシリコンベースのドーパント・ガス組成を用いると、チャンバ壁構成要素からの、W含有堆積物及び他の様々なタイプの堆積物によるエッチングがかなり低減されることをさらに示す。堆積物が低減すれば、ビーム不安定性と、結果として生じるビーム・グリッチとが低減するか又は解消され、それによって、イオン・チャンバの供給源寿命の期間中、ビーム電流が改善される。さらに、従来技術の方法とは異なり、本発明のために用いる組成、システム及び方法は、イオン源寿命を損なったり短縮したりすることなく、ビーム電流を増加することができる。驚くべきことに、図3に示されるように、希釈されていないSiF4と比べてビーム電流を増加することができる。希釈されていない、又は純粋なSiF4と比べて、ガス流れの単位体積当りのSiドーパントの活性イオン数を増加する能力により、イオン源を劣化させることなく、同一量のガス流れに対するSiビーム電流が増加する。イオン源の寿命延長と結び付けられたビーム電流の増加により、スループットの向上と、プロセス被加工物の必要なドーパント用量を達成するためのサイクル時間を短縮する機会とがもたらされる。
イオン化の見地から、実例1及び実例2は、やはり本発明の特定のシリコン含有組成が、イオン源を劣化させることなく活性イオン及び増加したビーム電流を生成し得ることを示す。特に、選択されたアーク電圧の動作条件における好ましい濃度範囲内のSi2H6とSiF4の混合物は、相乗効果があるようにして相互作用を促進して、SiF4とSi2H6を個々にイオン化することによって利用可能な合計のシリコン・イオンの簡単な相加効果よりも大きい増加した量の活性シリコン・イオンを生成することができる、イオン化メカニズムをもたらす。正味の効果は、従来型のシリコン前駆物質を採用する従来のシステム及びプロセスと比べて、ビーム電流が改善されることである。
加えて、本発明は、堆積物を低減するための希釈ガスを必要とする従来型のシリコン・イオン注入のシステム及び方法の難点を克服することができる。希釈ガスは、イオン源チャンバ内にの単位ガス流れ当りで利用可能な活性シリコン・イオンの数を減少させる傾向があり、それによってスループットが低下する。したがって、この、いわゆる「希釈効果」は、希釈ガスを有するドーパント・ガスを採用している従来型のシリコン・ドーパント組成に一般的に生じるものであり、シリコン・イオン・ビーム電流を減少させるが、本発明では解消される。本発明は、供給源寿命を延長する目的で希釈ガスの取込みに依存することはない。しかしながら、本発明は、特定の事例において、特定の方法で、第2の種として希釈剤又は不活性ガスの取込みを企図することにより、第2の種が、第1のシリコン含有種よりも大きいイオン化断面積を有する。このようにして、本発明は、シリコン・イオン・ビーム電流を維持するか又は増加することができる独特なシリコンベースのドーパント・ガス組成と、同組成を用いるシステム及び方法とを有する一方で、同時に、これまで可能であった従来型のシリコン前駆物質を利用するものよりも長い期間にわたって供給源フィラメント115の完全性を維持するものである。
本発明は、他のプロセスの利点も提供する。たとえば、本発明ではビーム電流を増加することができるので、いかなる付加的なガス・スティック(たとえば流量制御デバイス、圧力監視デバイス、弁及び電子インターフェース)も不要になり得て、したがって、利用する付加的なガス・スティックと関連した資本支出の顕著な低減を提供する。
本発明の特定の実施例であると考えられるものが示され、且つ説明されてきたが、もちろん、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形式又は詳細における様々な修正形態及び変更形態を容易に製作し得ることが理解されよう。したがって、本発明は、本明細書で示され、且つ説明されたものと全く同一の形式及び詳細に限定されるものではなく、本明細書で開示され、以下で特許請求される、本発明の全体よりも範囲の狭い、いかなるものにも限定されないように意図されている。

Claims (10)

  1. 第1のシリコンベースの種及び第2のシリコンベースの種からなるシリコンベースのドーパント・ガス組成であって、第1のシリコンベース種がSiF4であり、第2のシリコンベース種が全体組成の2.5vol%から5vol%のSi2H6であるシリコンベースのドーパント・ガス組成。
  2. 請求項1に記載のシリコンベースのドーパント・ガス組成を用いてイオン・ビーム電流を生成するシステム。
  3. ーク・チャンバの壁によって部分的に画定されたイオン源装置であって、前記チャンバが、前記チャンバ壁内に少なくとも部分的に配設されたシリコン・イオン源を備える、イオン源装置と、
    前記イオン源装置と流体連通した1つ又は複数の供給容器であって、SiF4及びSi2H6を含むシリコンベースのドーパント・ガス組成を貯蔵する、供給容器と、
    前記1つ又は複数の供給容器に対応する1つ又は複数の供給ラインであって、前記1つ又は複数の供給容器から、前記アーク・チャンバ壁を通って前記アーク・チャンバへと延在する供給ラインとを備え、
    前記1つ又は複数の供給容器が、前記シリコンベースのドーパント組成を、前記供給ラインを通して前記イオン源装置へと分配するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
  4. 第1の供給容器及び第2の供給容器が、ガス・キットの一部分として用意され、前記第1の供給容器がSiF4を含み、前記第2の供給容器がSi2H6を含み、前記第1の供給容器がSiF4を、前記第2の供給容器がSi2H6を、それぞれ前記イオン源チャンバに、制御された流速で分配して、前記チャンバ内で、SiF4及び2.5vol%から5vol%のSi2H6含むシリコン含有ドーパント組成を生成する、請求項に記載のシステム。
  5. 前記ガス・キットが、第1の供給容器からのSiF4の流れを第1の流速で調節するための第1の流れコントローラを備え、前記ガス・キットが、第2の供給容器からのSi2H6の流れを第2の流速で調節するための第2の流れコントローラをさらに備える請求項に記載のシステム。
  6. 単一の供給容器に、シリコンベースのドーパント・ガス組成があらかじめ混合されており、さらに、前記供給容器が準大気圧で貯蔵して配送する容器である請求項に記載のシステム。
  7. 請求項1に記載のシリコンベースのドーパント・ガス組成を用いてイオン・ビーム電流を生成する方法。
  8. SiF4を選択するステップと、
    Si2H6を選択するステップと、
    前記SiF4及びSi2H6を、1つ又は複数の供給容器に供給するステップと、
    前記SiF4及び前記Si2H6を、前記1つ又は複数の供給容器からイオン源装置へと流すステップと、
    前記SiF4をイオン化するステップと、
    活性シリコン・イオンを生成するステップと、
    含む請求項7に記載の方法。
  9. 第1の供給容器及び第2の供給容器が、ガス・キットの一部分として用意され、前記第1の供給容器がSiF4を含み、前記第2の供給容器がSi2H6を含み、前記第1の供給容器がSiF4を、前記第2の供給容器がSi2H6を、それぞれ前記イオン源チャンバに、並行して流す又は順次流すようにして、制御された流速で分配して、前記チャンバ内で、SiF4及び2.5vol%から5vol%のSi2H6含むシリコン含有ドーパント組成を生成する、請求項に記載の方法。
  10. 前記所定の動作アーク電圧の範囲が約80V〜120Vである請求項に記載の方法。
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