以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
図1は、本発明の実施形態に係る非接触給電装置のブロック図である。本例の非接触給電装置は、例えば地上側に設けられた給電装置から車両のバッテリに対して電力を供給する装置である。なお、以下では、送電側の装置に相当する送電部1を地上側に、受電側の装置に相当する受電部を車両に設けた場合を、一例として説明するが、送電部1が車両側であってもよく、受電部2が地上側であってもよい。また、受電部2は必ずしも車両等の移動体に限らず、バッテリを備えた装置に搭載されればよい。
図1に示すように、本例の非接触給電装置は、送電部1と受電部2とを備えている。送電部1は、受電部2に対して非接触で電力を供給するための送電装置(給電装置)である。受電部2は、送電部1からの電力を非接触で受電する受電装置である。
送電部1は、電極部10と、1次コイル(送電コイル)11と、1次コンデンサ12と、駆動部13と、高圧電源14と、制御部15とを備えている。電極10は1次コイル11と2次コイル21との間に設けられ、1次コイル11と2次コイル21との間に存在する異物を検出するための電極である。電極10は、1次コイル11のコイル面及び2次コイル面と平行な面に沿うように、曲線状の導体及び直線上の導体が延在している。
1次コイル11のコイル面及び2次コイル21のコイル面をxy平面とすると、電極10を構成する導体のうち、曲線部分の導体では曲線に沿う方向、及び、直線部分の導体では長手方向が、xy平面に沿う方向となる。また、電極10は、1次コイル11に対して、z方向に所定の距離を空けて配置されている。電極10を構成する導体(導電体)は、非磁性体のものであればよく、例えば銅、アルミ、導電性プラスチックなどである。なお、電極10の詳細な構成は後述する。
1次コイル11は、2次コイル21との間で電磁結合して、電力伝送用のトランスを形成し、少なくとも磁気的な結合により2次コイル21に対して非接触で電力を供給する。なお、本例では、共鳴型の非接触給電を例に説明する。1次コイル11は、絶縁された平板状の単線(又は撚り線)を、同一平面内で渦巻き状に巻いた平面コイルにより形成されている。1次コイル11のコイル面は、駐車場あるいは道路の表面と平行になるように配置されている。
1次コンデンサ12は、1次コイル11と共振回路を形成しつつ、1次コイル11と駆動部12との間に接続されている。そして、1次コイル11と1次コンデンサ12で形成される共振回路は、駆動部13から出力される電圧に基づき共振を起こす。1次側の共振回路の共振周波数は、2次側の共振回路に対して、効率よく電力を供給するように設計されている。
駆動部13は、高圧電源14から供給される交流電力を変換して、1次コイル11と1次コンデンサ12との共振回路に、高周波の交流電力を供給する。駆動部13は1次コンデンサ12と高圧電源14との間に接続されている。駆動部13は、トランジスタ等のスイッチング素子をブリッジ状に接続したコンバータ回路及び整流用のフィルタ回路等で構成されている。高圧電源14は例えば三相交流電源であり、本例の非接触給電装置の電力源となる。
制御部15は、駆動部13に含まれるスイッチング素子のオン、オフの切り替えることで駆動部13を制御し、送電部1から受電部2に対して電力を供給させる。また制御部15は、1次コイル11と2次コイル21との間の異物を検出する。制御部15は、駆動制御部151と異物検出部152とを有している。
駆動制御部151は、制御部15の外部から指令値を取得し、指令値に応じた電力を、1次コイル11から2次コイル21に供給するように、スイッチング信号を生成し、駆動部13に含まれるスイッチング素子に当該スイッチング信号を出力する。制御部15の外部から入力される指令値は、例えば、車両のバッテリ24の充電するために、送電部1に対して要求する電力の指令値である。なお、1次コイル11から2次コイル21への電力が固定値である場合には、外部からの指令値は必ずしも必要ない。
また、駆動制御部151は、異物検出部152により異物が検出された場合には、送電部1から受電部2への電力の供給を停止しつつ、ランプ等により異物の混入をユーザに通知する。
異物検出部152は、1次コイル11と2次コイル21との間に存在する異物を検出するために、静電容量検出部152aと判定部152bとを有している。静電容量検出部152aは、電極部10に含まれる複数の電極にそれぞれ配線等で接続され、複数の電極により形成される静電容量を検出する。なお、静電容量の測定方法は、既に公知となっている方法であればよい。判定部152bは、静電容量の検出値と、異物を判定するための判定閾値とを比較し、その比較結果に基づいて、異物の有無を判定する。判定閾値は、予め設定されている静電容量の閾値である。そして、判定部152bは、判定結果を異物の検知結果として、「1」、「0」の2値データで駆動制御部151に出力する。
受電部2は、2次コイル(受電コイル)21と、2次コンデンサ22と、充電部23と、バッテリ24とを備えている。
2次コイル21は、1次コイル11との間で磁気的に結合可能なコイルである。2次コイル21は、1次コイル11と同様の平面コイルで形成されている。2次コイル21は、例えば車両のシャシに設けられている。そして、2次コイル21を備えた車両が、本例の非接触給電装置による給電に適した位置を走行又は停車した場合には、1次コイル11のコイル面と2次コイル21のコイル面が、互いに所定の距離を空けた状態で、向き合った状態になる。
2次コンデンサ22は、2次コイル21と共振回路を形成し、2次コイル11と充電部23との間に接続されている。充電部23は、受電部2で受電した交流電力を整流しつつ、バッテリ24の充電に適した電力に変換する充電回路である。充電部23は、整流回路、インバータ回路等を有している。バッテリ24は、車両のモータ等に対して電力を供給する二次電池である。
次に、電極10の構成を、図2を用いて説明する。図2は、電極10の平面図である。なお、図2において、x方向及びy方向は、1次コイル11のコイル面と平行な面であり、z方向は、1次コイル11のコイル面の法線方向である。
電極10は、1次コイルのコイル面と平行な平行面に沿って、互いに所定の間隔を空けた配置された第1電極110と第2電極120を有している。第1電極110と第2電極120との間には、所定の間隔に相当する隙間が設けられている。第1電極110は及び第2電極120は互いに対極の関係にある。
第1電極110は、導体111a〜111tと、導体112a〜112tと、導体113a〜113dとを有している。各導体111a〜111tの厚み、導体112a〜112tの厚み、導体113a〜113dの厚みは同じ大きさである。厚みは、z方向に沿った長さである。
導体113a〜113dは、板状の導体であって、y方向を長手方向とする。導体113a〜113dの幅(x方向の大きさ)は、長手方向の長さよりも短くなっている。また、導体113a〜113dは同じ形状である。導体113a〜113dは、長手方向に沿って平行に並べられており、各導体113a〜113dの間には隙間が設けられている。導体113a〜113dの両端のうち、一端は配線を介して制御部15に接続されている。導体113a〜113dは、配線に接続されている一端から、第1電極110の中心点Aに向かって延在している。4本の導体113a〜113dが集まって、1つの束状の導体部130が形成されている。
導体111a〜111sは、板を湾曲させた形状(半円形状)の導体(薄膜導体)である。導体111a〜111sは、xy平面において、中心点Aを中心とした半円形状であって、曲線に沿う方向がxy平面上になる。また、xy平面において、半径の大きさ(中心点Aから各導体111a〜111tまでの距離)は、導体111aから導体111sの順に大きくなっている。なお、図2では、導体111a〜111sまでの符号は、中心点Aからの半径が小さい順に、aからsまで付されている。また、導体112a〜112t、121a〜121s、122a〜122sについても同様である。
4枚の導体111a〜111dは、中心点Aから半径方向(z方向に対して垂直な方向)に隙間を設け、互いに間隔(L1)を空けた状態で並べられている。また導体111a〜111d間の各間隔は、L1で同じである。そして、4本の導体111a〜111dが集まって、1つの束状の導体部111Aが形成されている。また、他の導体111e〜111sについても、同様に、4枚ずつ束状になっており、4枚の導体111e〜111hが1つの束状の導体部111Bを、4枚の導体111i〜111lが1つの束状の導体部111Cを、4枚の導体111m〜111pが1つの束状の導体部111Dを、4枚の導体111q〜111tが1つの束状の導体部111Eを、それぞれ形成している。
さらに、各導体部111A〜111Eは、中心点Aからの半径方向に隙間を設けつつ、互いに間隔を空けた状態で並べられている。導体部111Aから導体部111B間の間隔は、中心点Aからの半径方向において、導体111dから111eまでの距離に相当し、間隔(L1)より広い。また、他の導体部111B〜111E間の間隔も、導体部111Aと導体部111Bとの間の間隔と同じである。
導体111a〜111tの一端は導体部113に接続されており、導体111a〜111tの他端は開放端になっている。すなわち、導体部113は、導体111a〜111tの一端及び導体112a〜112tの一端を連結している。これにより、導体111a〜111t、112a〜112tの一端と導体部113との間は電気的に接続されて同電位になっている。
導体112a〜112tは、導体111a〜111tとそれぞれ同様の構成である。ただし、xy平面において、導体111a〜111tは中心点Aに対して右半分(図2の紙面上で右半分)の位置に配置され、導体112a〜112tは、左半分の位置に配置されている。
導体111a〜111tの開放端と、導体112a〜112tの開放端との間には、第2電極120の導体123a〜123dを通過させるために、隙間が形成されている。すなわち、導体111a〜111t及び導体112a〜112tは、xy平面において、それぞれ異なる大きさの円で中心点Aを囲いつつ、円の一部を切り欠いた形状に形成されている。
第2電極120は、導体121a〜121pと、導体122a〜122pと、導体123a〜123dとを有している。各導体121a〜121pの厚み、導体122a〜122pの厚み、導体123a〜123dの厚みは同じ大きさである。厚みは、z方向に沿った長さである。また導体121a〜121p、122a〜122p、123a〜123dの厚みは、導体111a〜111t、112a〜112t、113a〜113dの厚みと同じ大きさである。
導体123a〜123dの構成は、導体113a〜113dと同様に、板状の導体であって、y方向を長手方向としつつ、各導体間で隙間を空けつつ、y方向に沿って平行に並べられている。導体123a〜123dの両端のうち、一端は配線を介して制御部15に接続され、他端は中心点Aの位置に配置されている。また導体123a〜123dの端は、所定の隙間を空けた状態で、湾曲状の導体111a、112aに囲まれている。
導体121a〜121pは、導体111a〜111tと同様に、板を湾曲させた形状で、xy平面において、中心点Aを中心とした半円形状である。また、xy平面において、中心点Aからの半径の大きさは、導体121aから導体121pの順に大きくなっている。
4枚の導体121a〜121dは、導体111a〜111dと同様に、中心点Aから半径方向で互いに間隔(L1)を空けた状態で並べられている。また、4本の導体121a〜121dにより、1つの束状の導体部121Aが形成されている。また、他の導体121e〜121pについても、同様に、4枚ずつ束状になっており、4枚の導体121e〜121hが1つの束状の導体部121Bを、4枚の導体121i〜121lが1つの束状の導体部121Cを、4枚の導体121m〜121pが1つの束状の導体部121Dを、それぞれ形成している。
さらに、各導体部121A〜121Dは、導体部111A〜111Eと同様に、中心点Aからの半径方向に隙間を設けつつ、互いに間隔を空けた状態で並べられている。
導体121a〜121pの一端は導体部123に接続されており、導体121a〜121pの他端は開放端になっている。すなわち、導体部123は、導体121a〜121pの一端及び導体122a〜122pの一端を連結している。これにより、導体121a〜121s、122a〜122sの一端と導体部123との間は電気的に接続されて同電位になっている。
導体部121Aは、導体部111Aと導体部111Bとの間に配置され、導体部121Bは、導体部111Bと導体部111Cとの間に配置され、導体部121Cは、導体部111Cと導体部111Dとの間に配置され、導体部121Dは、導体部121Dと導体部121Eとの間に配置されている。導体部121Aと導体部111Aとの間隔、すなわち導体111dと導体121aとの間の間隔(xy平面において、半径方向で導体111dから導体121aまでの距離)は、L2(>L1)であり、導体111a〜111tの導体間の間隔及び導体121a〜121pの導体間の間隔より広い。また、導体部121Aと導体部111Bとの間隔、すなわち導体111eと導体121dとの間の間隔もL2である。他の導体部121B〜Dと、他の導体部111B〜111Eとの間の間隔もL2である。間隔(L2)の大きさは、検出対象とする異物の大きさに応じて設定される。
導体122a〜122pは、導体121a〜121pとそれぞれ同様の構成である。ただし、xy平面において、導体121a〜121pは中心点Aに対して右半分の位置に配置され、導体122a〜122pは、左半分の位置に配置されている。
導体121a〜121pの開放端と、導体122a〜122pの開放端との間には、第1電極110の導体113a〜113dを通過させるために、隙間が形成されている。すなわち、導体121a〜121p及び導体122a〜122pは、xy平面において、それぞれ異なる大きさの円で中心点Aを囲いつつ、円の一部を切り欠いた形状に形成されている。
そして、導体111a〜111t、112a〜112tの切り欠き部分は、y方向で、中心点Aよりも一方の側に配置され、導体121a〜121p、122a〜122pの切り欠き部分は、y方向で、中心点Aよりも他方の側に配置されている。さらに、導体111a〜111t、112a〜112tの切り欠き部分、及び、導体121a〜121p、122a〜122pの切り欠き部分は、y軸に沿った直線上に並べられている。なお、導体111a〜111t、112a〜112tの切り欠き部分は、導体111a〜111tの開放端と導体112a〜112tの開放端との間の部分に相当する。
これにより、導体113a〜113dは、中心点Aから外方(y軸の正方向)に向かって、かつ、導体121a〜121p、122a〜122pの切り欠き部分を通って延在している。また、導体123a〜123dは、中心点Aから外方(y軸の負方向)に向かって、かつ、導体111a〜111t、112a〜112tの切り欠き部分を通って延在している。
次に、電極10を用いた異物検知について、図3及び図4を用いて説明する。図3は、異物が1次コイル11と2次コイル21との間に存在しない場合に、第1電極110と第2電極120との間に形成される静電容量を説明するための回路図である。また図4は、異物が1次コイル11と2次コイル21との間に存在する場合に、第1電極110と第2電極120との間に形成される静電容量を説明するための回路図である。なお、図3及び図4に示す回路は、第1電極110と第2電極120との間の静電容量を測定するための測定回路である。
図3及び図4に示すように、静電容量を測定するための信号源152cが第2電極120に接続され、既知のコンデンサ(静電容量:Cs)152dが第1電極110に接続されている。そして、静電容量検出部152aは、第1電極110とコンデンサ152との間の電圧(Vc)を測定することで、第1電極110と第2電極120との間の静電容量を測定している。
図3に示すように、異物が1次コイル11と2次コイル21との間に存在しない場合には、第1電極110と第2電極120との間で、測定対象の静電容量はC1となる。
対向した二つの電極がある場合に、静電容量は、面積/距離 に比例した値となる。そのため、第1電極110、第2電極120と対向する位置に、金属等の異物がある場合には、異物と電極が対向することで、新たな静電容量が形成される。そのため、コイル間に異物がないときの静電容量(C1)に対する静電容量の変化量を検出することで、異物を検出できる。また、検知対象とする異物の大きさに応じて、第1電極110と第2電極120を設計すればよく、例えば小さな異物を検出する場合には、第1電極110と第2電極との間隔(図2に示すL2に相当)を狭くすればよい。
図4に示すように、異物が1次コイル11と2次コイル21との間に存在する場合には、電極120と異物との間には新たな静電容量C
aが形成され、電極110と異物との間には新たな静電容量C
bが形成される。そのため、第1電極110と第2電極120との間の静電容量(C
t)は、C
1、C
a、C
bを合成した静電容量となり、以下の式(1)で表される。
そして、以下の式(2)を満たすように、判定閾値(C
th)が設定される。
測定された静電容量(Ct)が判定閾値(Cth)より大きい場合には、判定部152bが、異物が有ると判定する。
また、式(2)で示されるように、異物の検出精度を高めるには、静電容量(C1)は小さい方がよく、静電容量(Ca)及び静電容量(Cb)は大きい方がよい。そのため、静電容量(Ca)及び静電容量(Cb)を形成する第1電極110及び第2電極120の面積(図2のxy平面に沿う電極面の面積)は、大きくするとよい。また、静電容量(C1)を形成する第1電極110及び第2電極120の間隔(図2のL2に相当)を広げるとよい。
一方、電極10は、1次コイル10と2次コイル20との間に配置されている。そのため、コイル間の磁界により、電極10には誘導電流が発生する。この誘導電流は、渦電流として損失になるため、極力小さくしなければならい。渦電流は、磁界に直交する導電体(第1電極110及び第2電極120に相当)の幅の二乗に比例する。そのため、損失を抑えるためには、図2のz方向の磁界に対して、第1電極110及び第2電極120の幅(図2のxy平面のおける半径方向)が小さい方がよい。また、xy平面に沿う方向の磁界に対して、第1電極110及び第2電極120の厚さ(図2のz方向に沿う長さ)が薄い方がよい。
以下、第1電極110及び第2電極120の形状について、3つのパターンを例に挙げた上で、異物の検出精度と損失との関係について説明する。図5は1つ目のパターン(第1例)を示す図であり、図6は2つ目のパターン(第2例)を示す図であり、図5、6は第1電極110及び第2電極120の平面図である。なお、図5及び図6では、簡略化するために、導体の数を少なくした上で図示している。
図5に示すように、第1例では、第1電極110は、導体111a、111bと、導体112a、112bと、導体111a、111b、112a、112bの一端を連結する導体113とを有している。第2電極120は、導体121a、導体122と、導体121a、122aの一端を連結する導体123とを有している。導体111a、111bと導体121a、121b(図5では図示していない)は、xy平面において、間隔(L2)を空けつつ、交互に配置されている。すなわち、例えば、導体121aは導体111aと導体111bとの間に配置されている。導体112a、112b及び導体122a、122b(図5では図示していない)についても、同様である。また他の導体111c等についても、同様に、第1電極110を構成する導体と、第2電極を構成する導体が、間隔(L2)を空けつつ、交互に配置されている。
また、xy平面において、導体111aの半径方向への幅は、図2示す導体11aから導体111dまでの4本分の導体の幅と同程度である。すなわち、図2に示す導体111aから導体111dまでの4本分の導体(ただし、導体間で隙間を設けない形状とする)が、図5に示す導体111aに相当する。
図6に示すように、第2例では、第1電極110は導体111a〜111hと、導体112a〜112hと、導体111a〜111hの一端と導体112a〜112hの一端を連結する導体113とを有している。第2電極120は、導体121a〜121hと、導体122a〜122hと、導体121a〜121hの一端と導体122a〜122hの一端を連結する導体123とを有している。
導体111a〜111hと、導体121a〜121hは、xy平面において、等間隔を空けつつ、交互に配置されている。また、導体112a〜112hと、導体122a〜122hも、等間隔を空けつつ、交互に配置されている。そして、xy平面において、導体121h及び導体122hにより形成される円の外形は、図5に示す導体111b及び導体112bにより形成される円の外形と同じ大きさである。そのため、図6に示す、導体111a〜111hと導体121a〜121hとの間の間隔、及び、導体112a〜112hと導体122a〜122hとの間の間隔は、図5に示した間隔(L2)より狭い。また、導体111a〜111h、121a〜121h、121a〜121h、122a〜122hの半径方向の各幅(wb)は、図5に示す導体111a、111b、112a、112b、121a、121b、122a、122bの半径方向の各幅(wa)よりも狭い。
第1例の電極10及び第2例の電極10において、図5及び図6に示すように、所定の大きさの異物Xが、コイル間に存在したとする。この場合において、異物の感度(検出精度)と損失を説明する。なお、説明を容易にするために、異物Xと電極10との対向する面の面積は、第1例と第2例で同じ大きさとする。図7に、導体の幅(w)に対する静電容量(C1)の特性と、導体の幅(w)に対する損失の特性を示す。
図7に示すように、第1例の電極10(幅(wa))では、第1電極110と第2電極120との間の間隔が広いため、静電容量(C1)は低い値(C1a<C1b)になり、異物の感度が高くなる。一方、第1例の電極10を構成する導体の幅(wa)は、第2例よりも広くなっているため、渦電流が発生し易くなり、損失(P)は高い値(Pa>Pb)となる。
また、第2例の電極10(幅(wb))では、第1電極110と第2電極120との間の間隔が狭いため、静電容量(C1)は高い値(C1b>C1a)になり、異物の感度が低くなる。一方、第2例の電極10を構成する導体の幅(wb)は、第1例よりも狭くなっているため、渦電流が発生しにくく、損失(P)は低い値(Pb<Pa)となる。
すなわち、第1例に示す電極10において、損失を低くするためには、1電極110と第2電極120との間の間隔を狭くする必要がある。また第1例における検出感度を維持するためには、少なくとも、異物との対向する電極面の面積を小さくしてはならない。電極間の間隔を狭める方法として、第2例に示すように、導体の数を増やすことが考えられる。しかしながら、図6に示すように、円形状の導体の本数を増やすことによって、導体間の間隔が狭くなり、静電容量(C1)が高くなってしまう。すなわち、静電容量(Ca、Cb)が維持されたとしても、静電容量(C1)が高くなるため、結果として異物の検出感度が低くなってしまう。
図8に、第3例の電極10の平面図を示す。第3例の電極10は、図2に示した電極10と同じである。ただし図8では、図2に示す電極10のうち中心点Aの付近の電極10を示している。なお、xy平面において、導体111h及び導体112hにより形成される円の外形は、図5に示す導体111b、112bにより形成される円の外形、及び、図6に示す導体111h、112hにより形成される円の外形と同じである。そして、第1コイル11と第2コイル21との間に異物Xが存在したとする。
第1例の電極10の導体111aに対して、第3例の電極10では導体111a〜導体111d間には隙間(L1)が設けられている。そのため、第3例の電極は、幅(wa)をもつ導体にスリットを入れて、電極を細かく分割したような構成になっている。
ここで、図9を用いて、第3例の導体111a〜111dで発生する渦電流について説明する。図9は、導体111a〜111d及び導体113の一部の平面図である。なお、xy平面において、導体111a〜111dは曲線状に形成されているが、図9では説明を容易にするために直線で示している。図9の矢印は、導体111a〜111d、113内を流れる渦電流の向きを示している。コイル間で発生する磁界の向きはz方向である。また、xy平面において、図8に示す導体111a〜111dの表面積は図5に示す導体111aの表面積と同じであり、導体111e〜111hの表面積は図5に示す導体111bの表面積と同じである。また、図8に示す他の導体の表面積は、対応する図5の他の導体の表面積と同じである。図8に示す導体111aの幅(xy平面において、半径方向の長さ)は、図6に示す導体111aの幅(wb)と同じ大きさである。
渦電流の性質として、渦電流はz方向の磁界を中心に環状に流れる。本例では、導体111a〜111dの先端部分は開放端になっているため、渦電流が抑制される。また、渦電流は導体の幅(図9ではy方向の長さ)の二乗に比例する。図9に示すように、第3例の電極10では、導体111a〜111d間に隙間(L1)が形成されており、導体111a〜111dの幅は図5に示す導体111aの幅(w1)より狭くなる。そのため、渦電流が小さくなり、コイル間の磁界に対する損失が小さくなる。
また、第3例の電極10では、幅の細い導体111e〜111hが、1つの束状の導体部111Bを形成している。そして、異物Xが存在する場合に、第3例において、異物Xと対向する導体111e〜111hの表面積は、第1例の電極10の導体111bと同じ面積である。そのため、第3例の電極10の静電容量(Ca、Cb)は、第1例の電極10の静電容量(Ca、Cb)と同じになる。また、幅の細い導体111e〜111hは同電位であるため、導体111e〜111h間に隙間(L1)が設けられても、異物の感度に影響を及ぼす程度に、新たな静電容量が形成されない
さらに、第3例の電極10では、導体111eと導体121dとの間には、隙間(L2)が形成されており、隙間(L2)は、第2例の電極10における導体間の隙間(例えば、図6において、導体111aと導体121aとの間の隙間)より広くなっている。そのため、第3例の電極10の静電容量(C1)は、第2例の電極10の静電容量(C1)より低くなり、第1例の電極10の静電容量(C1)とほぼ同じになる。
図10に、導体の幅(w)に対する静電容量(C1)の特性と、導体の幅(w)に対する損失の特性を示す。図10に示すように、第3例の電極10(幅(wb))では、第1電極110と第2電極120との間隔(L2)が広いため、静電容量(C1)は低い値(C1a<C1b)になり、異物の感度が高くなる。また、第1電極110及び第2電極120を構成する導体の幅(wb)が狭くなっているため、渦電流が発生しにくく、損失(P)は低い値(Pb<Pa)となる。すなわち、第3例の電極10は、第1例の電極10及び第2例の電極10と比較した場合に、コイル間の磁界による損失の抑制と、異物の検知感度の向上を両立できる。
上記のように、本例は、コイル間の異物を検出するために、コイル面と平行な平行面にそって、互いに所定の間隔を空けた配置された複数の電極110及び電極120を備えている。そして、電極110は、当該平行面にそって、互いに所定の間隔(例えば、図2又は図6に示す導体111aと導体111bとの間の間隔、又は、図5に示す導体111aと導体111bとの間の間隔)を空けて配置された板状の導体111a〜111h、112a〜112hと、導体113を有する。また、電極120は、当該平行面にそって、互いに所定の間隔(例えば、図2又は図6に示す導体121aと導体121bとの間の間隔、又は、図5に示す導体121aと導体121bとの間の間隔)を空けて配置された板状の導体121a〜121h、122a〜122hと、導体123を有する。
これにより、例えば、導体111aと導体111bとの間には、隙間が形成されるため、コイル間の磁界による渦電流の発生を抑制できる。また、コイル間に異物が存在する場合には、異物と電極110、120と間で静電容量が新たに形成されるため、当該静電容量を検出することで、異物を検知できる。
また、本例において、電極110に含まれる導体111bは、導体121aと導体121bとの間に配置され、電極120に含まれる導体121bは、導体111aと導体111bとの間に配置されている。他の導体についても、当該他の導体とは対極の導体の間に配置されている。これにより、送電コイル10のコイル面の大きさに対して、小さな異物がコイル間に存在する場合でも、当該異物と、対極関係にある導体との間で静電容量を発生させることができる。その結果として、本例は、小さな異物でも検出できる。
また本例において、複数の導体111a〜111t、112a〜112tは、平行面上で、中心点Aを異なる大きさで囲いつつ、囲った部分の一部を切り欠いた形状で形成されている。また、複数の導体121a〜121p、122a〜122pは、平行面上で、中心点Aを異なる大きさで囲いつつ、囲った部分の一部を切り欠いた形状で形成されている。導体113は、中心点Aから外方に向かう方向で、導体121a〜121s、122a〜122sの一部を切り欠いた部分を通って延在し、導体113は、中心点Aから外方に向かう方向で、導体111a〜111t、112a〜112tの一部を切り欠いた部分を通って延在する。これにより、本例は、コイル間の磁界による損失を抑制しつつ、異物の検知感度を向上できる。また、電極110、120は、円形を切り欠いた形状に形成されているため、渦電流が環状に流れにくく、電流路抵抗が高まるため、渦電流を抑制し損失を小さくすることができる。
また、本例において、電極110は、複数の導体111a〜111t、112a〜112tを束にした導体部111A〜111E、112A〜112Eを複数有し、電極120は、複数の導体121a〜121p、122a〜122pを束にした導体部121A〜121D、122A〜122Dを複数有する。これにより、コイル間で磁界が発生した場合に、導体部内の渦電流を抑制できるため、磁界による損失を小さくできる。また、異物と対向する電極の表面積を確保しつつ、対極する電極間では隙間を確保できる。その結果として、異物の検知感度を高めることができる。
また、本例において、導体部111Bは導体部121Aと導体部121Bとの間に配置され、導体部121Bは、導体部111Aと導体部111Bとの間に配置されている。他の導体部についても、当該他の導体部と対極の導体部の間に、配置されている。これにより、小さい異物を検知することができる。
なお、本例において、電極110に含まれる導体111a及び導体112aは、xy平面において円形に形成されているが、導体111の形状は必ずしも円形にする必要はなく、矩形(方形)等の多角形の形状でもよい。電極110、120に含まれる他の導体の形状も円形には限らない。また、電極110、120の形状は、xy平面において必ずしも中心点Aを囲う必要はなく、電極110、120は例えば複数の直線状の導体を並べることで形成されてもよい。また導体間又は導体部間の間隔は、全て同じ間隔にする必要はなく、異なる間隔でもよい。
上記の異物検出部152が本発明の異物検出手段に相当する。
《第2実施形態》
図11は発明の他の実施形態に係る非接触給電装置の電極の平面図である。図12は、図11に示す電極110を分解した状態の電極の平面図である。本例では上述した第1実施形態に対して、電極110の構成が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであり、その記載を援用する。
図11及び図12に示すように、電極110は、電極部110A、電極部110B、及び電極部110Cを有している。異物を検知する際に、検出範囲は、xy平面に沿う、電極110、120の表面である。本例は、この検出範囲を、3つに分割して、3つの分割された領域のうち、異物がどの領域内にあるか検出する。
電極部110A〜110Cは、分割された検出範囲に対応している。電極部110Aに相当する検出範囲は、電極10の表面において、中心点Aを中心としつつ、電極10の表面に対応する円よりも小さな円で設定されている。電極部110Aに相当する検出範囲を示す円の半径は、電極10の表面に対応する円の半径よりも小さい。電極部Bに相当する検出範囲は、電極100の表面において、電極部110Aに相当する検出範囲よりも外側に位置し、かつ、中心点Aの円に対して右半分の位置に設定されている。電極部110Cに相当する検出範囲は、電極100の表面において、電極部Aに相当する検出範囲よりも外側に位置し、かつ、中心点Aの円に対して左半分の位置に設定されている。
そして、電極部110A〜110Cは、以下に説明するように、上記の複数の検出範囲毎に独立した導体で形成されている。まず、電極部110Aは、導体111a〜111h、112a〜112h、121a〜121h、122a〜122h、131a〜131dを有している。電極部110Aは、図8に示す電極110と同様の構成である。
電極部110Bは、導体111i〜111t、131e〜131hを有している。第1実施形態において、導体111i〜111tは、図2に示した導体111i〜111tと同様の形状であるが、導体111i〜111tの一端は導体131e〜131hに接続されている。そして、導体131e〜131hの束は、xy平面において、導体131a〜131dの束と隣り合うように配置されている。また、xy平面において、導体131a〜131d及び導体131e〜131hの長手方向は平行になっている。
電極部110Cは、導体112i〜112t、131i〜131lを有している。電極部110Cの形状は、電極部110Bと同形状である。電極部110B及び電極部Cは、xy平面において、電極部Aを挟むように配置されている。
異物検出部152は、電極部110A〜110Cと、電極120との間で、各検出領域毎に、静電容量を検出する。例えば、異物が電極部110Aの検出範囲内に存在する場合には、異物検出部152は、電極部110A、電極120と、異物との間に生成される静電容量を検出し、電極部110B、110Cと電極120との間の静電容量を測定することで、異物と電極部110B、110Cとの間で静電容量が生成されていないことを検知する。これにより、異物検出部152は、複数の検出領域のうち、異物がどの検出領域に存在するか、すなわち異物の位置を検出する。
上記のように、本例において電極110は、複数の検出範囲毎に独立した導体で形成された電極部110A〜110Cを有する。また異物検出部152は、電極120と電極部110A〜110Cとの間で、それぞれ静電容量を検出し、検出された静電容量に基づき、異物の位置を検出する。これにより、本例は、異物の検出精度を高めつつ、異物の位置も検出できる。
なお、本例は、複数の検出範囲に対応するよう、電極110を複数の電極部で構成したが、電極120を複数の電極部で構成してもよい。
また、異物検出部152の判定部152bに設定されている判定閾値は、検出範囲毎に要求される検出レベル(測定される静電容量の値)に応じて、検出範囲毎で異なる値に設定されてもよい。
《第3実施形態》
図13は発明の他の実施形態に係る非接触給電装置の電極の平面図である。本例では上述した第1実施形態に対して、電極110の構成が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであり、第1、第2実施形態の記載を適宜、援用する。間隔が徐々に
図13に示すように、xy平面において、導体111dと導体121aとの間の間隔等、対極の関係にある導体同士の間隔が、電極表面の中心部(中心点A)から離れるほど、広くなっている。
xy平面において、1次コイル11の直径は、コイル面の外周(外縁)に近いほど、大きくなる。同様に、電極10の直径も、電極表面の外周に近いほど、大きくなるため、外周に近い導体の長さが長くなる。そのため、対極の関係で対向している導体の表面積は外周に近いほど広くなり、対局する導体間の隙間が一定であれば、静電容量(C1)が外周の部分で高くなる。
本例では、外周の部分に相当する電極間の間隔が広くなっているため、静電容量(C1)の増加が抑制され、検出精度の低下が抑制される。
なお、1次コイル11から発生する磁力線は、xy平面において、コイルの中心ほど集中し、磁束密度が高くなる。そして、小さな異物が、1次コイル11の中心部の上に存在する場合には、異物が小さくても異物の発熱量が大きくなる。そのため、電極10の表面上で中心部の範囲では、異物の検知精度を高めた方がよく、電極10の表面上で外周部の範囲では、当該中心部と比較して、異物の検知精度を低くしてもよい。検知精度を調整するには、上記のとおり、対極の関係にある導体同士の間隔を設定してもよい。