JP6235096B2 - 空気入りタイヤおよび架橋ゴム組成物 - Google Patents

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Description

本発明は空気入りタイヤおよび架橋ゴム組成物に関する。
一般的にタイヤトレッドに用いられる架橋ゴム組成物は、フィラーの分散性に優れる程、破壊特性および耐摩耗性に優れると考えられている。これは、フィラーの分散性が悪いと、フィラーが凝集し、凝集したフィラーが破壊の起点となることで破壊特性や耐摩耗性が悪化するためである。
そこで、架橋ゴム組成物中のフィラー分散性を向上させる技術が種々提案されている(特許文献1など)。しかしながら、必ずしもフィラー分散性が良い方が破壊特性、耐摩耗性に優れるわけではなく、例外も見られる。すなわち、架橋ゴム組成物中のフィラー分散性は優れるが、この架橋ゴム組成物やゴム製品の耐摩耗性を測定すると、優れた結果が得られないという事象が確認されている。
これまで、このような例外が生じるメカニズム解明のために様々な手法でゴムの破壊および摩擦現象が観察されてきたが、完全に解明されたわけではない。
一方、固体試料を構成する材料やその内部に含まれる低密度領域を解析する技術として、X線CT(Computed Tomography)撮影技術が知られている。例えば、特許文献2には、摩擦材を構成する材料と内部に存在する低密度領域とを視覚的に解析する解析方法が記載されているが、試料物体に伸長などの外部エネルギーを付加した状態を解析することや、試料の密度を解析することまでは記載されていない。
特開2008−274017号公報 特開2009−85732号公報
本発明は、耐摩耗性に優れた空気入りタイヤおよび架橋ゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、1.5MPaの印加応力による伸長時の低密度領域を多くし、かつフィラーの分散性を高くすることにより、架橋ゴム組成物の内部で生じる亀裂の成長が抑制され、耐摩耗性をより向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、左右一対のビード部にそれぞれ設けられたビードコアと、クラウン部から両サイドウォール部を経て両ビード部に延び前記ビードコアに係留されたカーカスプライと、前記カーカスプライよりもタイヤ径方向内側に配置されたインナーライナーと、前記カーカスプライよりもタイヤ径方向外側に設けられ、1.5MPaの印加応力による伸長時の低密度領域の体積が35%以上であり、下記式(I)で示されるフィラー分散性の指標ΔG*が3以下であるトレッドと、を備えることを特徴とする空気入りタイヤに関する。
ΔG*=(G*(4%)−G*(256%))/ * (256%) (I)
式(I)中、G*(n%)はn%歪印加時のせん断弾性率を表す。
また、本発明は、1.5MPaの印加応力による伸長時の低密度領域の体積が35%以上であり、下記式(I)で示されるフィラー分散性の指標ΔG*が3以下である架橋ゴム組成物に関する。
ΔG*=(G*(4%)−G*(256%))/ * (256%) (I)
式(I)中、G*(n%)はn%歪印加時のせん断弾性率を表す。
前記ゴム成分が、共役ジエン系化合物を含むゴム成分を1種以上含むゴム成分であることが好ましい。
前記低密度領域が、密度が伸長前の架橋ゴム組成物の0.1〜0.8倍となった領域であることが好ましい。
低密度領域の体積評価方法が、X線CT撮影であることが好ましい。
X線を可視光に変換するための蛍光体の減衰時間が100ms以下であることが好ましい。
X線の輝度が1010photons/s/mrad2/mm2/0.1%bw以上であることが好ましい。
1.5MPaの印加応力による伸長時の低密度領域が多く、フィラーの分散性が高いトレッドを備える本発明の空気入りタイヤ、および1.5MPaの印加応力による伸長時の低密度領域が多く、フィラーの分散性が高い本発明の架橋ゴム組成物によれば、耐摩耗性に優れた空気入りタイヤおよび架橋ゴム組成物を提供することができる。
架橋ゴム組成物の伸長時の密度分布を評価する評価装置の一例を概略的に示す斜視図である。 伸長時の架橋ゴム組成物の密度分布の評価方法の処理手順を示すフローチャートである。
本発明の架橋ゴム組成物は、1.5MPaの印加応力による伸長時の低密度領域が多く、フィラーの分散性が高い架橋ゴム組成物である。なお、本明細書における架橋ゴム組成物とは、加硫剤や有機過酸化物などによる架橋を行ったゴム組成物である。
ゴム成分
前記のゴム成分としては特に限定されず、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などのジエン系ゴムやブチル系ゴムなどの従来のゴム工業で使用されているゴム成分から、単独または2種以上を適宜選択して使用することができる。なかでも、共役ジエン系化合物を含むゴム成分を1種以上含むことが好ましく、低燃費性や耐摩耗性、耐久性、ウェットグリップ性能のバランスの観点からSBRおよびBRを含有することが好ましい。
SBRとしては、特に限定されず、乳化重合SBR(E−SBR)、溶液重合SBR(S−SBR)などが挙げられ、油展されていても、油展されていなくてもよい。また、フィラーとの相互作用力を高めた末端変性S−SBRや、主鎖変性S−SBRも使用可能である。これらSBRは、1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
SBRのスチレン含量は、グリップ性能の観点から、16質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上が特に好ましい。また、スチレン含量が多すぎると、スチレン基が隣接し、ポリマーが硬くなりすぎ、架橋が不均一となりやすく、高温走行時のブロー性が悪化するおそれがあり、また、温度依存性が増大し、温度変化に対する性能変化が大きくなってしまい、走行中・後期の安定したグリップ性能が良好に得られない傾向があることから、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、SBRのスチレン含量は、1H−NMR測定により算出される。
SBRのビニル含量は、架橋ゴム組成物のHs、グリップ性能の観点から10%以上が好ましく、15%以上がより好ましい。また、グリップ性能、EB(耐久性)、耐摩耗性の観点から、90%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、70%以下がさらに好ましく、60%以下が特に好ましい。なお、本明細書において、SBRのビニル含量(1,2−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
SBRは、ガラス転移温度(Tg)が−45℃以上であることが好ましく、−40℃以上であることがより好ましい。該Tgは、10℃以下であることが好ましく、温帯冬期での脆化クラック防止の観点から5℃以下であることがより好ましい。なお、本明細書において、SBRのガラス転移温度は、JIS K 7121に従い、昇温速度10℃/分の条件で示差走査熱量測定(DSC)を行って測定される値である。
SBRの重量平均分子量(Mw)は、グリップ性能やブロー性の観点から、70万以上が好ましく、90万以上がより好ましく、100万以上がさらに好ましい。また、ブロー性の観点から、重量平均分子量は200万以下が好ましく、180万以下がより好ましい。なお、本明細書において、SBRの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
SBRのゴム成分中の含有量は、十分なグリップ性能が得られるという理由から、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。また、SBRの含有量は、耐摩耗性、グリップ性能、低燃費性の観点から、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。
なかでも、より高いグリップ性能、ブロー性を発揮することができるという理由から、スチレン含量が16〜60質量%のSBRを40質量%以上含むことが好ましく、スチレン含量が25〜55質量%のSBRを50質量%以上含むことがより好ましい。
BRとしては、特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B等の高シス含有量のBR(ハイシスBR)、日本ゼオン(株)製のBR1250H等の変性BR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等のシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、ランクセス(株)製のBUNA−CB25等の希土類元素系触媒を用いて合成されるBR(希土類系BR)等を使用できる。これらBRは、1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、加工性、耐摩耗性および破壊特性において優れるという点からハイシスBRや希土類系BRが好ましい。
BRを含有する場合の、ゴム成分中のBRの含有量は、耐摩耗性、グリップ性能、低燃費性の観点から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。また該含有量は、耐摩耗性、グリップ性能、低燃費性の観点から、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。
前記フィラーとしては、従来、架橋ゴム組成物において慣用されるもののなかから任意に選択して用いることができるが、主としてカーボンブラックやシリカが好ましい。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどが挙げられ、これらのカーボンブラックは単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。なかでも、低温特性と摩耗性能をバランスよく向上させることができるという理由から、ファーネスブラックが好ましい。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(N2SA)は、十分な補強性および耐摩耗性が得られる点から、70m2/g以上が好ましく、90m2/g以上がより好ましい。また、カーボンブラックのN2SAは、分散性に優れ、発熱しにくいという点から、300m2/g以下が好ましく、250m2/g以下がより好ましい。なお、本明細書におけるカーボンブラックのN2SAとは、JIS K 6217−2「ゴム用カーボンブラック基本特性−第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法」に準じて測定された値である。
カーボンブラックを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、3質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましい。3質量部未満の場合は、十分な補強性が得られない傾向がある。また、カーボンブラックの含有量は200質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。200質量部を超える場合は、加工性が悪化する傾向、発熱しやすくなる傾向、および耐摩耗性が低下する傾向がある。
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカのチッ素吸着比表面積(N2SA)は、耐久性や破断時伸びの観点から、80m2/g以上が好ましく、100m2/g以上がより好ましい。また、シリカのN2SAは、低燃費性および加工性の観点から、250m2/g以下が好ましく、220m2/g以下がより好ましい。なお、本明細書におけるシリカのN2SAとは、ASTM D3037−93に準じて測定された値である。
シリカを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、耐久性や破断時伸びの観点から、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。また、シリカの含有量は、混練時の分散性向上の観点、圧延時の加熱や圧延後の保管中にシリカが再凝集して加工性が低下することを抑制するという観点から、200質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましい。
シリカを含有する場合はシランカップリング剤を併用することが好ましい。シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、エボニックデグッサ社製のSi75、Si266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)、同社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)などのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、Momentive社製のNXT−Z100、NXT−Z45、NXTなどのメルカプト系(メルカプト基を有するシランカップリング剤)、ビニルトリエトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのクロロ系などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、スルフィド系、メルカプト系がシリカとの結合力が強く、低発熱性において優れるという点から好ましい。
シランカップリング剤を含有する場合のシリカ100質量部に対する含有量は、2質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましい。シランカップリング剤の含有量が2質量部未満の場合は、フィラー分散性の改善効果が十分に得られない傾向がある。また、シランカップリング剤の含有量は、25質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。シランカップリング剤の含有量が25質量部を超える場合は、コストに見合った効果が得られない傾向がある。
本発明の架橋ゴム組成物には、前記成分以外にも、架橋ゴム組成物の製造に一般的に使用される配合剤、例えば、樹脂成分、オイル、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、硫黄供与体、加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
本発明の架橋ゴム組成物は、1.5MPaの印加応力による伸長時の低密度領域の体積が35%以上であり、式(I)で示されるフィラー分散性の指標ΔG*が3以下であることを特徴とする。
前記低密度領域が多い架橋ゴム組成物は、架橋ゴム組成物の架橋構造が極めて均一であるために、応力が特定の領域に集中することなく分散する。また、フィラーの分散性が高い架橋ゴム組成物はフィラーの凝集塊が少なく、応力の集中を抑制できる。本発明の架橋ゴム組成物は、1.5MPaの印加応力による伸長時の低密度領域が多く、かつフィラーの分散性が高いことにより、高い耐摩耗性を実現することができる。1.5MPaの印加応力による伸長時の低密度領域の体積は、40%以上が好ましい。また、1.5MPaの印加応力による伸長時の低密度領域の体積は、95%以下が好ましい。
1.5MPaの印加応力による伸長時の低密度領域の体積が35%以上という状態を実現するためにはゴム組成物中の架橋状態を均一化することが必要である。架橋状態の均一化の手段としては、例えば、混練時間を長くしたり、混練回数を増やしたりなどすることで、加硫剤および/または加硫促進剤の分散状態を均一化することなどが挙げられる。
低密度領域について説明する。まず、架橋ゴム組成物に印加する応力が架橋ゴム組成物固有の臨界値を超えると、架橋ゴム組成物に密度の偏りが生じ、内部に低密度領域が発生する。この低密度領域には、可逆部分と不可逆部分とがある。
可逆部分とは、印加する応力が小さい場合(1.5MPa)に発生する低密度領域であり、応力の解放によって消滅し、密度分布は元の一様な状態に回復する低密度領域である。ここで、印加する応力が小さい場合に発生する低密度領域は、密度が伸長前の架橋ゴム組成物の平均密度の0.1倍以上0.8倍以下の領域である。この可逆部分の分布を評価することでゴム試験片を精度良く評価することができる。
不可逆部分とは、印加する応力が大きい場合(3.0MPa)に発生する低密度領域であり、応力によって、架橋ゴム組成物の内部構造(分子鎖の結合)が部分的に破壊され、応力を解放した後であっても、元の状態に回復せずに残留する低密度領域である。ここで、不可逆部分の中でも、内部構造が極度に破壊された領域であり、密度が伸長前の架橋ゴム組成物の平均密度の0倍以上0.1倍以下の領域を空隙部とする。この空隙部の分布を評価することでもゴム試験片を精度良く評価することができる。
1.5MPaの印加応力による伸長時の低密度領域の体積の評価方法としては、伸長時の架橋ゴム組成物の密度分布が評価可能な方法であれば特に限定されないが、X線CT撮影を用いた評価方法が好ましい。
X線CT撮影を用いた伸長時の架橋ゴム組成物の密度分布の評価方法について添付の図面を参照して説明する。図1は該評価方法に用いられる評価装置の一例を概略的に示す斜視図である。図1に示す評価装置1は、応力印加手段2、撮影手段3および評価手段4を備えている。
応力印加手段2は、ゴム試験片10を伸長させる応力を印加して、ゴム試験片10の内部に低密度領域を発生させる。
応力印加手段2は、試験片10が固着される一対の治具21、22と、治具21と治具22とを相対的に移動させて試験片10に応力を印加する駆動手段23とを有していることが好ましい。駆動手段23は、一方の治具21を固定した状態で、他方の治具22を試験片10の軸方向に移動させる。これにより、ゴム試験片10を、その軸方向に伸長する応力が印加される。
試験片10に印加される応力は、ロードセル(図示せず)等により検出される。ロードセルの位置および形式は、任意である。応力印加手段2によってゴム試験片10には、予め定められた応力が印加される。駆動手段23は、試験片10および治具21、22をゴム試験片10の軸回りに回転可能に構成されている。
撮影手段3は、試験片10にX線を照射して、投影像を撮影する。撮影手段3は、X線を照射するX線管31と、X線を検出して電気信号に変換する検出器32とを有する。試験片10および治具21、22を試験片10の軸回りに回転させながら、撮影手段5が複数の投影像を撮影することにより、全周にわたる試験片10の投影像を得ることができる。
検出器52は、X線を可視光に変換するための蛍光体32aを有している。蛍光体32aの減衰時間は、100ms以下が好ましい。蛍光体32aの減衰時間が、100msを超える場合、試験片10等を試験片10の軸回りに回転させながら複数の投影像を連続して撮影する際に、先に撮影した投影像の残像が後から撮影する投影像に影響を及ぼすおそれがある。このような観点から、蛍光体32aのより望ましい減衰時間は50ms以下であり、より一層望ましい減衰時間は10ms以下である。
評価手段4は、投影像から測定される密度分布に基づいて、架橋ゴム組成物の性能を評価する。評価手段4には、例えば、コンピュータ40が適用される。コンピュータ40は、本体41、キーボード42、およびディスプレイ装置43を含んでいる。この本体41には、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリおよびハードディスクなどの記憶装置が設けられる。記憶装置には、本実施形態のシミュレーション方法を実行するための処理手順(プログラム)が予め記憶されている。
図2は評価装置1を用いた伸長時の架橋ゴム組成物の密度分布の評価方法の処理手順を示すフローチャートである。密度分布の評価方法は、試験片10に応力を印加してゴム試験片10の内部に密度の偏り(低密度領域)を発生させる工程S1、S2と、ゴム試験片10にX線を照射して、投影像を撮影する撮影工程S3、S4と、投影像から測定される密度分布に基づいて、架橋ゴム組成物の密度分布を評価する評価工程S5およびS6とを含む。
工程S1では、ゴム試験片10が治具21、22に固定される。
ゴム試験片10の形状は特に限定されないが、対称性を有し、容易に再現性の高い測定結果を得ることができるといる理由から、円柱状および直方体が好ましく、円柱状がより好ましい。
ゴム試験片10は、その軸方向の長さの5倍以上の直径を有していることが好ましく、10倍以上がより好ましく、20倍以上がさらに好ましい。このような試験片10によれば、ゴム試験片10に応力が印加されたとき、ゴム試験片10の側面の変形が制限される。その結果、ゴム試験片10の体積が増加し、内部に非常に大きな応力が印加される。従って、試験片10の内部に低密度領域が発生し易くなり、弾性材料の性能評価を迅速かつ容易に行えるようになる。
ゴム試験片10は、治具21及び22に挟み込まれた状態で、両治具に固着されている。ゴム試験片10の上端面は、治具21の下端面に固着され、試験片10の下端面は、治具22の上端面に固着されている。固着の方法は、試験環境等に応じて適宜選択されうる。例えば、接着剤による固着や、試験片10を構成する弾性材料の加硫接着による固着が適用されうる。また、上端面、下端面、及び、下端面、上端面に、それぞれ対応する係合部を設けて各係合部を係合させることにより、試験片10と治具21、22とが固着されていてもよい。
工程S2では、図1に示されるように、駆動手段23によって、治具21と治具22とがゴム試験片10の軸方向、すなわち治具22が治具21から離れる方向に移動し、ゴム試験片10を伸長させる。応力が架橋ゴム組成物固有の臨界値を超えると、ゴム試験片10に密度の偏りが生じ、内部に低密度領域が発生する。
本発明では、印加する応力が小さい場合に発生する低密度領域の分布を測定する場合のゴム試験片10を伸長させる応力は1.5MPaである。
工程S3では、X線管31からゴム試験片10にX線が照射される。X線は、ゴム試験片10を透過して、検出器32によって検出される。検出器32は、検出したX線を電気信号に変換し、コンピュータ40に出力する。
X線管31からゴム試験片10に照射されるX線の輝度は、X線散乱データのS/N比に大きく関係する。X線の輝度が小さい場合、X線の統計誤差よりもシグナル強度が弱くなる傾向にあり、計測時間を長くしても十分にS/N比の良いデータを得ることが困難となるおそれがある。このような観点から、X線の輝度は、1010photons/s/mrad2/mm2/0.1%bw以上が好ましい。
工程S4では、検出器32から出力された電気信号は、コンピュータ40によって処理され、投影像が取得される。
工程S5では、投影像がコンピュータ40によって再構成され、ゴム試験片10の三次元の断層画像が取得される。そして、工程S6では、断層画像から伸長時の架橋ゴム組成物の密度分布を評価し、可逆部分の体積を求めることができる。
前述のとおり、本発明の架橋ゴム組成物は、下記式(I)で示されるフィラー分散性の指標ΔG*が3以下である。
ΔG*(G *(4%)−G *(256%))/ * (256%) (I)
式(I)中、G *(n%)はn%歪印加時のせん断弾性率を表す。
フィラー分散性の指標ΔG*が、3以下の架橋ゴム組成物とすることで、フィラー分散性に優れ、破壊の起点となるフィラー凝集塊が少なく、破壊特性および耐摩耗性に優れた架橋ゴム組成物とすることができる。ΔG*は2.5以下が好ましい。また、ΔG*は0.1以上が好ましい。
フィラー分散性の指標ΔG*が3以下という状態を実現するため手段としては、例えば、フィラー添加後の混練時間を増加させることなどが挙げられる。例えば、フィラー添加以降に加硫剤等を混練するファイナル練りの時間を長くすることで指標ΔG*の値を小さくすることができる。また、分散性が高くなるように表面処理されたフィラーを用いてもよいし、フィラーの分散性を高めるシランカップリング剤やカーボンカップリング剤などを用いてもよい。
本発明の架橋ゴム組成物は、前述の伸長時の低密度領域の体積およびフィラー分散性を示す架橋ゴム組成物が得られる限り、一般的な方法で製造できる。例えば、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどの一般的なゴム工業で使用される公知の混練機で、前記各成分のうち、加硫剤および加硫促進剤以外の成分を混練りした後、これに、加硫剤および加硫促進剤を加えてさらに混練りし、その後加硫する方法などにより製造できる。
架橋ゴム組成物の架橋状態を均一化することができ、伸長時の低密度領域が多いゴム組成物が得られ易いという理由から、ゴム成分と充填剤とを混練する前に、ゴム成分と硫黄供与体と硫黄原子含有加硫促進剤との混練を開始し、その後、得られた混練物に充填剤を加え、120℃以上の混練温度で混練する工程を含む製造方法が好ましい。
前記硫黄供与体とは、例えば、元素硫黄や、加硫条件(例えば150℃、1.5MPa)またはそれ以下の温度および圧力下で活性硫黄を放出する硫黄化合物を指す。この硫黄化合物は、換言すれば、例えば、加硫条件(例えば150℃、1.5MPa)またはそれ以下の温度および圧力下において、一般的に加硫剤としての機能を発揮する化合物である。なお、この放出された活性硫黄が、後述するペンダント型構造の一部を形成する。
前記硫黄原子含有加硫促進剤とは、他の分子と単結合で結合している硫黄原子を含む加硫促進剤を指す。硫黄原子含有加硫促進剤には活性硫黄を放出するものと放出しないものとが存在するが、混練中の架橋反応の進行を抑制するという観点から、活性硫黄を放出しない硫黄原子含有加硫促進剤が好ましい。
ゴム成分と充填剤とを混練する前に、ゴム成分と硫黄供与体と硫黄原子含有加硫促進剤との混練を開始することにより、充填剤による硫黄供与体および硫黄原子含有加硫促進剤の吸着を防止できるため、ゴム成分中における硫黄供与体および硫黄原子含有加硫促進剤を効率的に分散させることができる。そして、該製造方法では、ゴム成分と硫黄供与体と硫黄原子含有加硫促進剤との混練により得られた混練物に充填剤を加え、120℃以上の混練温度で混練する。120℃以上の混練温度と混練時の機械的せん断力によって硫黄供与体から活性硫黄が放出される。この活性硫黄と硫黄原子含有加硫促進剤とゴム成分とが反応し、ゴム成分に硫黄原子含有加硫促進剤の全部または一部(以下、「加硫促進剤残基」)が結合した状態、すなわち、ゴム成分に「−S−加硫促進剤残基」が結合したペンダント型構造が形成された状態となる。この反応のメカニズムは、放出された活性硫黄が硫黄原子含有加硫促進剤の硫黄原子と反応し、硫黄原子が2個以上結合した構造が形成されて、その構造部分とゴム成分の二重結合部とが反応していると推測される。前記ペンダント型構造が形成された状態で混練を行うことにより、ゴム成分と共に加硫促進剤残基が移動するので、ゴム組成物全体における加硫促進剤残基の分散状態の均一性を高めることができる。これにより、該製造方法では、加硫時の架橋密度の均一化を図ることができる。なお、ここでいう混練温度とは、混練機中のゴム組成物の実測温度であり、非接触式の温度センサなどでゴム組成物の表面温度を測定することができる。
該製造方法の特徴は、前述のとおり、充填剤を混練する前にゴム成分と硫黄供与体と硫黄原子含有加硫促進剤との混練を開始する点、および充填剤を加えた後に120℃以上の混練温度で混練する点である。以上の要件を満たすのであれば、いずれの工程でいずれの材料を加えても構わない。例えば、混練工程が工程Xと工程Fとからなる2工程の場合、工程Xの初期にゴム成分と硫黄供与体と硫黄原子含有加硫促進剤との混練を開始し、工程Xの途中で充填剤を加えて120℃以上の混練温度で混練し、その後の工程Fを行ってもよい。また、例えば、混練工程が工程Xと工程Yと工程Fとからなる3工程の場合、工程Xでゴム成分と硫黄供与体と硫黄原子含有加硫促進剤との混練を開始し、その後の工程Yで充填剤を加えて120℃以上の混練温度で混練し、その後の工程Fを行ってもよい。また、3工程の場合の他の例としては、工程Xの初期にゴム成分と硫黄供与体と硫黄原子含有加硫促進剤との混練を開始し、工程Xの途中で充填剤を加えて120℃以上の混練温度で混練し、その後の工程Yおよび工程Fを行っても良いし、また、工程Xの初期にゴム成分と硫黄供与体と硫黄原子含有加硫促進剤との混練を開始し、工程Xの途中で充填剤を加え、その後の工程Yでさらに充填剤を加えて120℃以上の混練温度で混練し、その後の工程Fを行ってもよい。なお、各工程の間にリミルを行ってもよい。
ゴム成分と硫黄供与体と硫黄原子含有加硫促進剤との混練温度は、特に限定されるものではないが、硫黄供与体および硫黄原子含有加硫促進剤による架橋反応が進行してしまうことを抑制するという観点から160℃未満が好ましく、150℃以下がより好ましい。
また、ゴム成分に充填剤を加える前における、ゴム成分と硫黄供与体と硫黄原子含有加硫促進剤との混練時間は、特に限定されるものではないが、分散性向上の観点から、例えば10秒以上である。
充填剤を加えた後の混練温度は、架橋反応が進行し過ぎることを抑制するという観点から、170℃以下が好ましい。
また、ゴム成分に充填剤を加えて混練温度が120℃に達した後の混練時間は、特に限定されるものではないが、分散性向上の観点から、例えば2分以上である。なお、ここでいう混練時間は、ゴム成分に充填剤を加えて混練温度が120℃に達した時点から、混練工程の全工程が終了する時点までの時間であり、例えば、工程Xにおいてゴム成分に充填剤を加えて混練温度が120℃に達した場合、その時点から工程Fが終了する時点までの時間である。
前述のとおり、前記硫黄供与体としては、元素硫黄および/または前述した活性硫黄を放出する硫黄化合物を用いることができる。前記元素硫黄としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などが挙げられる。
硫黄供与体として元素硫黄を配合し過ぎると、混練工程で加硫反応が過剰に進行する恐れがある。よって、硫黄供与体として元素硫黄を用いる場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.1質量部以下が好ましい。また、該元素硫黄の含有量は、破壊強度の観点から、0.05質量部以上が好ましい。
硫黄供与体として機能する前記硫黄化合物としては、−(−M−S−C−)n−で表される高分子多硫化物や、硫黄原子が2個以上単結合した構造−Sn−(n≧2)を有し、活性硫黄を放出する化合物が挙げられる。この化合物としては、アルキルフェノール・ジスルフィド、モルホリン・ジスルフィド、−Sn−(n≧2)を有するチウラム系加硫促進剤(テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)など)、加硫促進剤2−(4′−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール(MDB)や、ポリスルフィド型シランカップリング剤(例えばデグサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド))、下記式(1)、(2)もしくは(3)で表されるスルフィド化合物が挙げられる。
Figure 0006235096
(式中、R1は、同一または異なって、置換基を有してもよい炭素数3〜15の1価の炭化水素基を表す。nは、2〜6の整数を表す。)
式(1)中のR1は、置換基を有してもよい炭素数3〜15の1価の炭化水素基であるが、該炭素数は、5〜12が好ましく、6〜10がより好ましい。R1の1価の炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、また、飽和、不飽和炭化水素基(脂肪族、脂環式、芳香族炭化水素基など)のいずれでもよい。なかでも、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基が好ましい。
1としては、例えば、炭素数3〜15のアルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アラルキル基、置換アラルキル基などが挙げられ、なかでも、アラルキル基、置換アラルキル基が好ましい。ここで、アルキル基としては、ブチル基、オクチル基;シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基;アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基;などが挙げられ、置換基としては、オキソ基(=O)、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、アセチル基、アミド基、イミド基などの極性基などが挙げられる。
また、式(1)中のnは、2〜6の整数であり、2〜3が好ましい。
Figure 0006235096
(式中、R2は、同一または異なって、置換基を有してもよい炭素数3〜15の2価の炭化水素基を表す。mは、2〜6の整数を表す。)
上記式(2)中のR2は、置換基を有してもよい炭素数3〜15の2価の炭化水素基であるが、該炭素数は、3〜10が好ましく、4〜8がより好ましい。R2の2価の炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、また、飽和、不飽和炭化水素基(脂肪族、脂環式、芳香族炭化水素基など)のいずれでもよい。なかでも、置換基を有してもよい脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状脂肪族炭化水素基がより好ましい。
2としては、例えば、炭素数3〜15のアルキレン基、置換アルキレン基などが挙げられる。ここで、アルキレン基としては、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基などが挙げられ、置換基としては、R1の置換基と同様のものなどが挙げられる。
また、上記式(2)中のmは、2〜6の整数であり、2〜3が好ましい。
上記式(1)、(2)で示される表されるスルフィド化合物の具体例としては、N,N′−ジ(γ−ブチロラクタム)ジスルフィド、N,N′−ジ(5−メチル−γ−ブチロラクタム)ジスルフィド、N,N′−ジ(5−エチル−γ−ブチロラクタム)ジスルフィド、N,N′−ジ(5−イソプロピル−γ−ブチロラクタム)ジスルフィド、N,N′−ジ(5−メトキシ−γ−ブチロラクタム)ジスルフィド、N,N′−ジ(5−エトキシ−γ−ブチロラクタム)ジスルフィド、N,N′−ジ(5−クロル−γ−ブチロラクタム)ジスルフィド、N,N′−ジ(5−ニトロ−γ−ブチロラクタム)ジスルフィド、N,N′−ジ(5−アミノ−γ−ブチロラクタム)ジスルフィド、N,N′−ジ(δ−バレロラクタム)ジスルフィド、N,N′−ジ(δ−カプロラクタム)ジスルフィド、N,N′−ジ(ε−カプロラクタム)ジスルフィド、N,N′−ジ(3−メチル−δ−カプロラクタム)ジスルフィド、N,N′−ジ(3−エチル−ε−カプロラクタム)ジスルフィド、N,N′−ジ(3−イソプロピル−ε−カプロラクタム)ジスルフィド、N,N′−ジ(δ−メトキシ−ε−カプロラクタム)ジスルフィド、N,N′−ジ(3−エトキシ−ε−カプロラクタム)ジスルフィド、N,N′−ジ(3−クロル−ε−カプロラクタム)ジスルフィド、N,N′−ジ(δ−ニトロ−ε−カプロラクタム)ジスルフィド、N,N′−ジ(3−アミノ−ε−カプロラクタム)ジスルフィド、N,N′−ジ(ω−ヘプタラクタム)ジスルフィド、N,N′−ジ(ω−オクタラクタム)ジスルフィド、ジチオジカプロラクタム、モルホリン・ジスルフィド、N−benzyl−N−[(dibenzylamino)disulfanyl]phenylmethanamine(N,N′−ジチオビス(ジベンジルアミン))などが挙げられる。これらのスルフィド化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 0006235096
(式中、R3は、同一または異なって、アルキル基、ベンゾチアゾリル基、アミノ基、モルホリノ基、ジアルキルチオカルバモイル基、または下記式(4)で表される基を表す。kは、2〜6の整数を表す。
Figure 0006235096
(式中、R4は、同一または異なって、アルキル基、ベンゾチアゾリルスルフィド基、シクロアルキル基または水素原子を表す。)
上記式(3)中のR3は、同一または異なって、アルキル基、ベンゾチアゾリル基、アミノ基、モルホリノ基、ジアルキルチオカルバモイル基、または上記式(4)で表される基を表すが、中でも、炭素数1〜10のアルキル基、ベンゾチアゾリル基、アミノ基、モルホリノ基、またはジアルキルチオカルバモイル基(アルキル基は同一または異なって炭素数1〜10のアルキル基である。)が好ましい。
上記炭素数1〜10のアルキル基、および、上記ジアルキルチオカルバモイル基における炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基などが挙げられる。
上記式(3)中のR3としてより好ましくは、同一または異なって、ベンゾチアゾリル基、モルホリノ基、または、ジアルキルチオカルバモイル基(アルキル基は同一または異なって炭素数1〜5のアルキル基である。)である。さらに好ましくは、同一または異なって、ベンゾチアゾリル基、または、ジアルキルチオカルバモイル基(アルキル基は同一または異なって炭素数1〜5のアルキル基である。)である。
上記式(3)中のkは、2〜6の整数であり、2〜3がさらに好ましい。
式(4)中のR4は、同一または異なって、アルキル基、ベンゾチアゾリルスルフィド基、シクロアルキル基または水素原子である。アルキル基は炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、シクロアルキル基は炭素数5〜8のシクロアルキル基が好ましい。
上記式(3)で表されるスルフィド化合物としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、2−(モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアゾリルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドなどが挙げられ、特に、ジベンゾチアゾリルジスルフィドが好適に使用できる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
硫黄供与体として機能する前記硫黄化合物を用いる場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ペンダント型構造の形成を促すという理由から、0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましい。また、該化合物の含有量は、混練中のゲル化抑制の観点から、5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましく、2質量部以下がさらに好ましい。
硫黄供与体として機能する加硫促進剤としては、他の分子と単結合で結合している硫黄原子を含む加硫促進剤が存在する。したがって、硫黄供与体として機能する硫黄原子含有加硫促進剤は、前記硫黄供与体および前記硫黄原子含有加硫促進剤の両方の機能を有し、硫黄供与体として機能する硫黄原子含有加硫促進剤を単独で多く配合したり2種以上を併用したりすることでもペンダント型構造の形成は可能である。しかしながら、硫黄供与体として機能する硫黄原子含有加硫促進剤を多く配合すると混練中に架橋反応が過度に進行するおそれがあり、少なく配合すると架橋密度の均一化の効果が得られ難くなる恐れがあるため、充填剤を加える前に混練する硫黄供与体および硫黄原子含有加硫促進剤としては、硫黄供与体(硫黄供与体として機能する硫黄原子含有加硫促進剤および/またはそれ以外の硫黄供与体)と硫黄非放出性の硫黄原子含有加硫促進剤とであることが好ましい。
前記硫黄非放出性の硫黄原子含有加硫促進剤とは、例えば、加硫条件(例えば150℃、1.5MPa)またはそれ以下の温度および圧力下で活性硫黄を放出しない硫黄原子含有加硫促進剤を指す。この硫黄非放出性の硫黄原子含有加硫促進剤は、換言すれば、例えば、加硫条件(例えば150℃、1.5MPa)またはそれ以下の温度および圧力下において加硫剤としての機能を発揮しない硫黄原子含有加硫促進剤である。
硫黄非放出性の硫黄原子含有加硫促進剤としては、−Sn−(n≧2)を有さない、チアゾール系加硫促進剤(2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩(ZnMBT)、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩(CMBT)など)や、スルフェンアミド系加硫促進剤(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)、N,N−ジシクロヘキシル−2−べンゾチアゾリルスルフェンアミドなど)、加硫促進剤テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤(ピペリジニウムペンタメチレンジチオカルバメート(PPDC)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnMDC)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnEDC)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnBDC)、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnEPDC)、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛(ZnPDC)、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム(NaBDC)、ジメチルジチオカルバミン酸銅(CuMDC)、ジメチルジチオカルバミン酸鉄(FeMDC)、ジエチルジチオカルバミン酸テルル(TeEDC)など)などが挙げられる。なお、チアゾール系加硫促進剤であるジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)は、−Sn−(n≧2)を有しており、硫黄を放出する加硫促進剤であるが、一般的な配合量では天然ゴムやブタジエンゴムに対して加硫剤としての機能を発揮しないため、硫黄非放出性の硫黄原子含有加硫促進剤と同等に用いることができる。
硫黄原子含有加硫促進剤のゴム成分100質量部に対する含有量は、加硫工程において加硫反応が効率的に進むという理由から、1.0質量部以上が好ましく、1.5質量部以上がより好ましい。また、該含有量は、スコーチ性、表面への析出抑制の観点から、5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましい。
当該製造方法は、ゴム成分に充填剤を加えて120℃以上の混練温度で混練した後、さらに追加の硫黄供与体を混練することが好ましい。追加の硫黄供与体を加えることで混練中に架橋反応の進行が過度に進むことを抑制しつつ、加硫中に十分に架橋反応を進行させることができる。
追加の硫黄供与体は、例えば、ゴム成分に充填剤を加えて120℃以上の混練温度で混練した後の工程Fで追加される。追加の硫黄供与体は、ゴム成分に充填剤を加える前に混練したものと同種のものであってもよいし、別種のものであってもよく、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などの元素硫黄が挙げられる。
追加の硫黄供与体の含有量は特に限定されないが、加硫工程において加硫反応が効率的に進むという理由から、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上が好ましく、0.8質量部以上がより好ましい。また、追加の硫黄供与体の含有量は、耐摩耗性に優れるという理由から、3.0質量部以下が好ましく、2.5質量部以下がより好ましい。
前記工程Fにおいて追加の硫黄供与体を加える際には、一般的な加硫促進剤を加えてもよい。一般的な加硫促進剤としては、例えば、硫黄原子含有加硫促進剤であるチウラム系ジスルフィドやポリスルフィドなどや、硫黄原子を有さない加硫促進剤であるグアニジン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系加硫促進剤などが挙げられる。
前記工程Fで加える加硫促進剤のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.1質量部以上が好ましい。また、ゴム成分に充填剤を加える前に混練する硫黄原子含有加硫促進剤の配合量に対する、前記工程Fで加える加硫促進剤の配合量の質量割合は、0%より大きく80%以下が好ましく、60%以下がさらに好ましい。80%以下とすることで、スコーチ性、破壊特性および耐摩耗性により優れた架橋ゴム組成物が得られる。
本発明の架橋ゴム組成物は、タイヤのトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード等のタイヤ部材を始め、防振ゴム、ベルト、ホース、その他のゴム工業製品等にも用いることができる。特に耐摩耗性に優れることから、本発明の架橋ゴム組成物で構成されるトレッドを有するタイヤとすることが好ましい。
本発明の架橋ゴム組成物を用いたタイヤは、未架橋ゴム組成物を用いて、通常の方法により製造できる。すなわち、ジエン系ゴム成分に対して前記の配合剤を必要に応じて配合した未架橋ゴム組成物を、トレッドなどの形状にあわせて押出し加工し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、通常の方法にて成型することにより、未加硫タイヤを形成し、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、タイヤを製造することができる。
本発明の空気入りタイヤの構造としては特に限定されず、従来の空気入りタイヤの構造とすることができる。すなわち、従来の構造を有する空気入りタイヤを構成するタイヤ部材の少なくとも1つ以上を、本発明の架橋ゴム組成物を用いた部材とすることで本発明の空気入りタイヤとすることができる。なかでも、左右一対のビード部にそれぞれ設けられたビードコアと、クラウン部から両サイドウォール部を経て両ビード部に延び前記ビードコアに係留されたカーカスプライと、前記カーカスプライよりもタイヤ径方向内側に配置されたインナーライナーと、前記カーカスプライよりもタイヤ径方向外側に設けられ、1.5MPaの印加応力による伸長時の低密度領域の体積が35%以上であり、上記式(I)で示されるフィラー分散性の指標ΔG*が3以下であるトレッドとを備える空気入りタイヤとすることが好ましい。なお、ここでいうトレッドとは路面に接する部分であり、2つ以上の異なる架橋ゴム組成物でトレッドが構成されている場合、そのうちの少なくとも1つの架橋ゴム組成物が本発明の架橋ゴム組成物であれば、本発明のタイヤである。
実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらのみに限定して解釈されるものではない。
以下、実施例および比較例において用いた各種薬品をまとめて示す。
SBR1:後述の変性SBR1の製造方法により調製(S−SBR、スチレン含量:26質量%、ビニル含量:59%、Tg:−25℃、Mw:4×105
SBR2:日本ゼオン(株)製のNipol 1502(E−SBR、スチレン含量:23.5質量%、ビニル含量:20%未満、Tg:−54℃、Mw:5×105
BR:宇部興産(株)製のBR150B
シリカ:エボニック社製のウルトラシルVN3(N2SA:175m2/g)
シランカップリング剤:エボニック社製のSi266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイヤブラックI(N2SA:98m2/g、DBP吸油量:124ml/100g)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸「椿」
老化防止剤:精工化学(株)製のオゾノン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N−フェニル−p−フェニレンジアミン、6PPD)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH−24
元素硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(TBBS、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
硫黄供与体:ラインケミー社製のレノグランCLD80(カプロラクタムジスルフィド)
以下、SBR1の製造方法において用いた各種薬品をまとめて示す。
シクロヘキサン:関東化学(株)製のシクロヘキサン
ピロリジン:関東化学(株)製のピロリジン
ジビニルベンゼン:シグマアルドリッチ社製のジビニルベンゼン
1.6Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液:関東化学(株)製の1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液
イソプロパノール:関東化学(株)製のイソプロパノール
スチレン:関東化学(株)製のスチレン
ブタジエン:高千穂化学工業(株)製の1,3−ブタジエン
テトラメチルエチレンジアミン:関東化学(株)製のN,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン
変性剤:アヅマックス(株)製の3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
SBR1の製造方法
十分に窒素置換した100ml容器に、シクロヘキサン50ml、ピロリジン4.1ml、ジビニルベンゼン8.9mlを加え、0℃にて1.6Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液0.7mlを加えて攪拌した。1時間後、イソプロパノールを加えて反応を停止させ、抽出・精製を行うことでモノマーAを得た。次に、十分に窒素置換した1000ml耐圧製容器に、シクロヘキサン600ml、スチレン12.6ml、ブタジエン71.0ml、モノマーA0.06g、テトラメチルエチレンジアミン0.11mlを加え、40℃で1.6Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液0.2mlを加えて撹拌した。3時間後、変性剤を0.5ml加えて攪拌した。1時間後、イソプロパノール3mlを加えて重合を停止させた。反応溶液に2,6−tert−ブチル−p−クレゾール1gを添加後、メタノールで再沈殿処理を行い、加熱乾燥させてSBR1を得た。
実施例1〜13および比較例1〜3
表1および2に示す配合内容に従い、工程Xに示す各種薬品を、1.7Lバンバリーミキサーにて、排出温度100℃で5.0分間混練りした(工程X)。次に、工程Xの混練物および工程Yに示す各種薬品を、1.7Lバンバリーミキサーにて、140℃以上で30秒混練りし、さらに排出温度150℃で3分間混練りした(工程Y)。そして、工程Yの混練物および工程Fに示す各種薬品を、オープンロールを用いて約80℃で表1に示す混練時間に従い混練りし(工程F)、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を所定の形状の口金を備えた押し出し機でトレッドの形状に押し出し成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。得られた試験用タイヤについて下記の評価を行った。結果を表1および2に示す。
低密度領域の体積
試験用タイヤのトレッド部から、直径10mm、高さ1mmの円柱状のゴム試験片を切り出した各ゴム試験片を、図1に示す治具に固定して伸長を開始し、1.5MPaの印加応力による伸長時にX線(輝度:1016photons/s/mrad2/mm2/0.1%bw)を照射してCT撮影を行い、撮影した画像の再構成により作成された三次元像の断層画像から、密度分布から、伸長時のゴム試験片中の低密度領域の体積比率を算出した。なお、X線CT撮影は大型放射光施設SPring−8のビームラインBL20B2で行い、蛍光体は減衰時間が1msのP43(Gd22S:Tb)を使用し、CT再構成はConvention Back Projection法により、厚み10μmの断層画像を200枚積層することで行った。また、低密度領域は、伸長前のゴム試験片の平均密度を1とした場合、密度が0.1〜0.8となった領域として行った。
フィラー分散性
試験用タイヤのトレッド部から切り出した各ゴム試験片の歪4%〜256%までの歪せん断力G*をαテクノロジー社製RPA2000を用いて測定した。そして、下記計算式により、フィラー分散性の指標ΔG*を求めた。この値が小さいほどシリカ分散性に優れることを示す。
ΔG*=(G*(4%)−G*(256%))/ * (256%)
*(n%)はn%歪印加時のせん断弾性率を表す。
耐摩耗性
上記のように作製された同一の試験用タイヤを国産FF車の四輪に装着し、走行距離8000km後のタイヤトレッド部の溝深さについてそれぞれ測定し、四輪における溝深さの相加平均値から、タイヤ溝深さが1mm減るときの走行距離を算出し、比較例1の耐摩耗性指数を100とし、下記計算式により、各配合の結果を指数表示した(耐摩耗性指数)。耐摩耗性指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
耐摩耗性指数=(1mm溝深さが減るときの走行距離)/(比較例1のタイヤ溝が1mm減るときの走行距離)×100
Figure 0006235096
Figure 0006235096
実施例14〜16
表3に示す配合内容、排出温度および時間に従い、工程Xに示す各種薬品を、1.7Lバンバリーミキサーにて混練りした(工程X)。次に、工程Xの混練物および工程Yに示す各種薬品を、1.7Lバンバリーミキサーにて、表3に示す排出温度および時間に従い混練りし、さらに排出温度150℃で3分間混練りした(工程Y)。そして、工程Yの混練物および工程Fに示す各種薬品を、オープンロールを用いて表3に示す排出温度および時間に従い混練りし(工程F)、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を所定の形状の口金を備えた押し出し機でトレッドの形状に押し出し成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。得られた試験用タイヤについて下記の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0006235096
表1〜3の結果より、1.5MPaの印加応力による伸長時の低密度領域が多く、フィラー分散性が高いトレッドを備える本発明の空気入りタイヤ、および1.5MPaの印加応力による伸長時の低密度領域が多く、フィラー分散性が高い本発明の架橋ゴム組成物は、耐摩耗性に優れた空気入りタイヤおよび架橋ゴム組成物であることがわかる。
1 評価装置
2 応力印加手段
3 撮影手段
4 評価手段
10 ゴム試験片

Claims (7)

  1. 左右一対のビード部にそれぞれ設けられたビードコアと、
    クラウン部から両サイドウォール部を経て両ビード部に延び前記ビードコアに係留されたカーカスプライと、
    前記カーカスプライよりもタイヤ径方向内側に配置されたインナーライナーと、
    前記カーカスプライよりもタイヤ径方向外側に設けられ、1.5MPaの印加応力による伸長時の低密度領域の体積が35%以上であり、下記式(I)で示されるフィラー分散性の指標ΔG*が3以下であるトレッドと、を備えることを特徴とする空気入りタイヤであって、
    前記低密度領域が、密度が伸長前の架橋ゴム組成物の0.1〜0.8倍となった領域である空気入りタイヤ。
    ΔG*=(G*(4%)−G*(256%))/ * (256%) (I)
    式(I)中、G*(n%)はn%歪印加時のせん断弾性率を表す。
  2. 1.5MPaの印加応力による伸長時の低密度領域の体積が35%以上であり、
    下記式(I)で示されるフィラー分散性の指標ΔG*が3以下である架橋ゴム組成物であって、前記低密度領域が、密度が伸長前の架橋ゴム組成物の0.1〜0.8倍となった領域である架橋ゴム組成物。
    ΔG*=(G*(4%)−G*(256%))/ * (256%) (I)
    式(I)中、G*(n%)はn%歪印加時のせん断弾性率を表す。
  3. 共役ジエン系化合物を含むゴム成分を含む請求項2記載の架橋ゴム組成物。
  4. 1.5MPaの印加応力による伸長時の低密度領域の体積が35%以上であり、
    フィラー分散性の指標ΔG * が3以下である請求項2または3記載の架橋ゴム組成物。
  5. 1.5MPaの印加応力による伸長時の低密度領域の体積が、X線CT撮影を用いた伸長時の架橋ゴム組成物の密度分布から算出されるものである請求項2〜4のいずれか1項に記載の架橋ゴム組成物。
  6. X線を可視光に変換するための蛍光体の減衰時間が100ms以下である請求項5記載の架橋ゴム組成物。
  7. X線の輝度が1010photons/s/mrad2/mm2/0.1%bw以上である請求項5または6記載の架橋ゴム組成物。
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