JP6208363B2 - クロストークプロービング信号のランダム化 - Google Patents

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Description

本発明は、通信回線間のクロストークを軽減するように構成された、ベクトル化プロセッサを構成するための方法および装置に関する。
クロストーク(またはチャネル間干渉)は、デジタル加入者線(Digital Subscriber Line:DSL)通信システムなど、多入力他出力(Multiple Input Multiple Output:MIMO)有線通信システムに関するチャネル障害の主要因である。
より高速なデータ転速度の需要が増すにつれ、DSLシステムはより高い周波数帯域へと進展しており、隣接する伝送回線(すなわち、ケーブルのバインダー内で撚り合された2本の銅線などの、その線長の全部または部分にわたって密接した伝送回線)相互間でのクロストークは、より顕著なものとなっている(周波数が高くなるほど、この結合は強くなる)。
クロストークを軽減し、実効スループット、距離、および回線の安定性を最大化するため、種々の手法が開発されてきた。これらの技法は、静的または動的なスペクトル管理技法から、マルチユーザ信号調整(またはベクトル化)へと徐々に進展している。
チャネル間干渉を低減するための技法の1つが合同信号プリコーディング(joint signal precoding)であり、この技法では、送信データシンボルが、プリコーダを合同で通過してから、それぞれの通信チャネルを介して送信される。このプリコーダは、通信チャネルと連結することにより、受信機におけるチャネル間干渉を少なく、または無くすようになっている。
チャネル間干渉を低減するための別の技法として合同信号ポストプロセッシングがあり、この技法では、受信データシンボルは、ポストコーダを合同で通過してから検出される。このポストコーダは、通信チャネルと連結することにより、受信機におけるチャネル間干渉を少なく、または無くすようになっている。
ベクトル化グループ、すなわち、信号が合同で処理される通信回線のセットの選択は、良好なクロストーク軽減性能を達成するうえで、決定的といってもよい。ベクトル化グループにおいて、各通信回線は、そのグループの他の通信回線へのクロストークを誘起する妨害回線と見なされるとともに、同通信回線は、そのグループの他の通信回線からクロストークを受ける被妨害回線と見なされる。ベクトル化グループに属さない回線からのクロストークは外来ノイズとして扱われ、キャンセルはされない。
理想としては、ベクトル化グループは、物理的かつ著しく相互作用する、通信回線のセットのまとまりと一致すべきである。しかし、そのような網羅的なアプローチは、ローカルループアンバンドリング(国家的な規制政策によって強制される)、および/またはベクトル化能力の制限によって妨げられることもあり、この場合、ベクトル化グループは、物理的に相互作用している回線全体のうち、あるサブセットのみを含むことになり、それにより、ベクトル化の利得に制限が生じる。
信号のベクトル化はアクセスノード内で実行されるのが通例であり、ベクトル化グループの全ての通信回線を介して同時に送受信された、全てのデータシンボルが利用可能となる。例えば、信号のベクトル化は、中央局(CO)に配備されるデジタル加入者線アクセスマルチプレクサ(Digital Subscriber Line Access Multiplexer:DSLAM)内で実行されるか、加入者宅内により近いファイバフィードリモートユニット(路上型キャビネット、支柱型キャビネット、建物型キャビネットなど)として実行されると有利である。信号のプリコーディングは、特に(顧客宅内に向かう)ダウンストリーム通信に適しており、信号のポストプロセッシングは、特に(顧客宅内からの)アップストリーム通信に適している。
線形信号のプリコーディングおよびポストプロセッシングは、行列積によって実施されると有利である。
例えば、線形プリコーダは、送信周波数サンプルのベクトルと、チャネル行列全体を対角化させるようなプリコーディング行列との行列積を実行する。これは、チャネル全体の非対角係数、したがってチャネル間干渉が、ほぼゼロにまで低減することを意味する。実際には、一次近似式として、プリコーダは被妨害回線上の逆位相クロストーク前置補償信号を、直接信号に重ね合わせる。この直接信号は、それぞれの妨害回線からの実際のクロストーク信号を伴って、受信機において破壊的な干渉を行う。
同様に、線形ポストコーダは、受信周波数サンプルのベクトルと、こちらもチャネル行列全体が対角化される、クロストークキャンセル行列との行列積を実行する。
よって、プリコーディング行列またはクロストークキャンセル行列の係数を適切に初期化や更新するためには、実際のクロストークチャネルを正確に推定することが最重要となる。国際電気通信連合(ITU)により2010年4月に採択された、参照番号G.993.5、「Self−FEXT Cancellation(Vectoring)For Use with VDSL2 Transceivers」と題された勧告において、トランシーバは、256個ごとのDATAシンボルに続いて周期的に発生する、いわゆるSYNCシンボルを介して、アップストリームおよびダウンストリームのパイロットシーケンスを送信するよう構成されている。
所与の被妨害回線上のエラーサンプル(特定のSYNCシンボルについて、トーンまたはトーンのグループごとに測定されたスライサエラー(または受信エラーベクトル)の実数部および虚数部の両方が含まれる)は、更なるクロストーク推定のために、ベクトル化コントローラに報告される。このエラーサンプルは、所与の妨害回線からのクロストーク係数を取得するために、その妨害回線を介して送信された所与のパイロットシーケンスと相関付けられる。他の妨害回線からのクロストーク寄与を排除するには、例えば、「+1」および「−1」の逆位相シンボルを含む、ウォルシュ−アダマールシーケンスを使用して、パイロットシーケンスを互いに直交させる。クロストーク推定は、プリコーディング行列またはクロストークキャンセル行列の係数を初期化や更新するために使用される。
ひとたび新たな係数がプリコーダまたはポストコーダに入ると、クロストークチャネルの変動、クロストーク推定における残りのエラー、またはプリコーダ係数やポストコーダ係数の決定における近似値のためにも、残留クロストークが追跡され続ける。こうしたことは、通例、最適なプリコーダ係数またはポストコーダ係数に向かって徐々に収束する、反復更新法によって達成される。
理想化された線形モデルにおいて、G.993.5勧告に従った直交パイロットシーケンスは非常に効果的であり、正確かつバイアスのない、クロストークチャネルの推定(初期化)または残留クロストークチャネルの推定(追跡)が常に得られる。しかし、非線形効果のために、クロストーク推定は、プリコーダ係数またはポストコーダ係数を最適値からかけ離れたものにする、望ましくないオフセット(またはバイアス)を持つ可能性がある。
例えば、高クロストーク環境において、全ての妨害回線を介して送信された全てのパイロットシンボルからのクロストークベクトルの合計は、受信周波数サンプルが復調器の決定境界を超えるものとなる可能性がある。そのような場合、不正なコンステレーション点に対してエラーベクトルが報告され、それにより、名目上のクロストークチャネルまたは残留のクロストークチャネルの推定におけるオフセットがもたらされる。
G.993.5勧告では、受信機によって送信ベクトルが推定される。パイロットとして使用可能なベクトルのセットは、通常状態(+1)と反転状態(−1)との2つの状態に限定される。これは、二位相偏移変調(Binary Phase Shift Keying:BPSK)に相当する。受信機は、受信ベクトルがどちらの半平面かを決定することにより、また最も可能性の高い送信ベクトル(最小距離基準)として対応するコンステレーション点を選択することにより、予想送信ベクトルを決定する。この操作はデマッピングと称される。代替として、四位相偏移変調(Quadrature Phase Shift Keying:QPSKまたは4−QAM)コンステレーショングリッドを使用してパイロットを検出することもでき(とはいえ、考えられる4つのコンステレーション点のうちの2つが効率的に使用されるだけであるが)、この場合のデマッピングは、最も可能性の高い4点の決定に基づくものとなる。
デマッピングがエラーとなる場合、すなわち、受信機が送信コンステレーション点とは異なるコンステレーション点を選択した場合には、報告されたスライサエラーは、完全に誤りな値を持っている。クロストーク係数の、したがってプリコーダ係数およびポストコーダ係数の計算における不正確さの大半は、このことによって惹起される。ベクトル化コントローラは、受信機内でデマッピングエラーが発生していることに気付かないからである。
デマッピングエラーに対処するために考えられる、知られている解決策は、複数のトーンにわたる複数のデマッピング決定を使用することであろう。特定のSYNCシンボルにおける全てのプローブトーンが、所与のパイロットシーケンスの同一特定ビットの形態で全て変調されることを考慮すれば、複数のトーンを使用して合同推定を行うことも可能である。この技法は、単純なトーン毎決定よりも堅牢ではあるが、信号対雑音比(SNR)が極めて低い環境では、それでもなお受信機が誤判断を下す可能性は残る。周波数依存パイロットシーケンス(Frequency Dependent Pilot Sequence:FDPS)が使用されるのであれば、パイロット値が所与のトーン数の後に周期的に循環するという事実を利用して、この技法を適用することは依然として可能である。
しかし、本分野の実験の示すところによると、少なくとも一部の受信機モデルは、BPSKまたは4−QAM復調グリッドを用いたトーン毎決定を使用し続けており、そのためにデマッピングエラーの可能性を高めている。
非線形効果の別の例として、信号クリッピングがある。やはり高クロストーク環境において、全ての妨害回線を介して送信された全てのパイロットシンボルからのクロストークベクトルの合計は、受信周波数サンプルがデジタル処理ロジックによってサポートされる最大値を超えるものとなる可能性がある。その場合のエラーサンプルは、誤った境界値を持つことになり、この値はクロストーク推定プロセスに深刻な影響を及ぼし、バイアスをかけるものとなる。
非線形効果の別の例として、信号経路内の様々な点の量子化がある。量子化により、これらの信号は一定の値のみを使用できるようになる。このことが、残留クロストークチャネルの推定におけるオフセットをもたらす。
よって、長期にわたり周期的なパイロットを使用するとバイアスを強めるおそれがあり、また時間の経過に伴う性能劣化、および不安定性につながりかねない。
米国特許出願公開第2012/0195183号明細書
ITU−T勧告G.993.5、「Self−FEXT Cancellation(Vectoring)For Use with VDSL2 Transceivers」、2010年4月
本発明の目的は、知られている解決策が持つ、上述の短所および欠点を緩和または克服することにある。
本発明の第1の態様によれば、ベクトル化グループの通信回線間のクロストークを軽減するベクトル化プロセッサを制御するためのベクトル化コントローラが、連続するクロストーク捕捉サイクルを反復するように構成され、それらのクロストーク捕捉サイクルのそれぞれにおいて、それぞれの通信回線上で送信するためのクロストークプロービングシンボルのシーケンスを構成し、クロストークプロービングシンボルのシーケンスが送信されている間に、それぞれの通信回線に結合しているそれぞれの受信機によって連続的に測定されたエラーサンプルのシーケンスを受信し、エラーサンプルのシーケンスに基づき、それぞれの通信回線間のクロストーク推定を決定するように構成される。ベクトル化コントローラは更に、連続するクロストーク捕捉サイクルの間に使用されるクロストークプロービングシンボルの連続するシーケンスをランダム化し、連続するクロストーク推定に基づき、ベクトル化プロセッサを反復的に構成するように構成される。
本発明の一実施形態では、クロストークプロービングシンボルの連続するシーケンスが、クロストークプロービングシンボルのそれぞれのシーケンスの変調のために、互いに直交するシーケンスのセット内におけるクロストークプロービングシーケンスの連続する任意選択によってランダム化される。
本発明の一実施形態では、クロストークプロービングシンボルの連続するシーケンスが、クロストークプロービングシンボルのシーケンスの一部または全部の周波数領域における連続する任意回転によってランダム化される。
本発明の一実施形態では、クロストークプロービングシンボルの連続するシーケンスの、回転した送信周波数サンプルが、クロストークプロービングシンボルの変調のために使用される基準コンステレーショングリッドのコンステレーション点に合致し、それにより、許容される回転値の限定されたセットが得られる。
本発明の一実施形態では、ベクトル化コントローラが更に、クロストークプロービングシンボルのシーケンスの回転のために、許容される回転値を、ベクトル化グループのそれぞれの通信回線にわたって均等に分布させるように構成される。
本発明の一実施形態では、基準コンステレーショングリッドが、二位相偏移変調(BPSK)コンステレーショングリッドであり、許容される回転値が180°の倍数である。
本発明の一実施形態では、基準コンステレーショングリッドが、4−QAMコンステレーショングリッドであり、許容される回転値が90°の倍数である。
本発明の一実施形態では、適用される回転の量が0°から360°の間で任意選択され、ベクトル化コントローラが更に、クロストークプロービングシンボルのそれぞれのシーケンスの受信周波数サンプルに適用される連続する回転値を示す連続する回転情報を受信機に送信するように構成される。
本発明の一実施形態では、クロストークプロービングシンボルの連続するシーケンスが、クロストークプロービングシンボルのシーケンスの一部または全部の連続する任意スケーリングによってランダム化される。ベクトル化コントローラは更に、クロストークプロービングシンボルのそれぞれのシーケンスの受信周波数サンプルに適用される連続するスケーリング値を示す連続するスケーリング情報を受信機に送信するように構成される。
本発明の一実施形態では、エラーサンプルが、クロストークプロービングシンボルの受信周波数サンプルと、受信周波数サンプルがデマッピングされる選択されたそれぞれのコンステレーション点との間のエラーベクトルを示す。
そのようなベクトル化コントローラは、通例、アクセス設備を介して加入者デバイスとの有線通信をサポートする、アクセスノードの部分(DSLAM、イーサネット(登録商標)スイッチ、エッジルータなど)をなし、COにおいて、または加入者宅内により近いファイバフィードリモートユニット(路上型キャビネット、支柱型キャビネット、建物型キャビネットなど)として配備される。
本発明の別の態様によれば、ベクトル化グループの通信回線間のクロストークを軽減するベクトル化プロセッサを制御するための方法が、連続するクロストーク捕捉サイクルを反復し、この連続するクロストーク捕捉サイクルのそれぞれが、それぞれの通信回線上で送信するためのクロストークプロービングシンボルのシーケンスを構成するステップと、クロストークプロービングシンボルのシーケンスが送信されている間に、それぞれの通信回線に結合しているそれぞれの受信機によって連続的に測定されたエラーサンプルのシーケンスを受信するステップと、エラーサンプルのシーケンスに基づき、それぞれの通信回線間のクロストーク推定を決定するステップとを含む。本方法は更に、連続するクロストーク捕捉サイクルの間に使用されるクロストークプロービングシンボルの連続するシーケンスをランダム化するステップと、連続するクロストーク推定に基づき、ベクトル化プロセッサを反復的に構成するステップとを含む。
本発明による方法の実施形態は、本発明によるベクトル化コントローラの実施形態と対応する。
ベクトル化された回線に割り当てられるパイロット信号を、ショータイムの全持続時間にわたりそのままに保つ代わりに、ベクトル化コントローラは、残留クロストークチャネルを追跡するために使用される、連続するクロストーク捕捉サイクル間のランダム性または擬似ランダム性を導入する。[擬似]ランダム化は、パイロットの所与のセットが、パイロットの異なるセットを有する更なるサイクルが多数発生するまでは、(高い確率で、またはほとんどの場合に)再発生しないようになっている。この意図的な[擬似]ランダム性が、上述のバイアス効果を軽減し、それにより、適切な平滑化を経て、最適なプリコーダまたはポストコーダ係数への収束が達成される。
例えば、連続するクロストーク捕捉サイクルの間のパイロットシンボルの変調のために、ベクトル化される回線に割り当てられるパイロットシーケンスを入れ替えてもよい。その入れ替えは、ランダム、擬似ランダムとすることや、いくつかの周期的または所定のパターンの後に続けることができる。
代替として、またはパイロットシーケンスの入れ替えと組み合わせて、パイロット信号の位相および/または振幅を変化させてもよい。直交条件を満たすために、適用される回転および/またはスケーリングの量は、1つのクロストーク捕捉サイクルの全長にわたって一定のままである必要がある。
適用される回転および/またはスケーリングの量が任意選択される場合、回転および/またはスケーリング情報は、パイロットシンボルの受信周波数サンプルが適切に再等化されるよう、受信機に送信される必要がある。
しかし、結果として得られる回転された送信周波数サンプルが、許容される送信コンステレーション点と依然として合致するようにパイロット信号を回転させてもよい。受信機は、適用される回転の量について通知される必要がなく、したがって現在のVDSL2標準に対応するため、本実施形態はかなり有利なものとなる。例えば、パイロットシンボルの復調のためにBPSKが使用される場合、適用される回転の量は0°か180°かのどちらかになるよう選択される。代わりに4−QAMが使用される場合、適用される回転の量は、0°、90°、180°、または270°のいずれかになるよう選択される。
以下に続く、添付の図面に沿った実施形態の説明を参照することにより、本発明が持つ上記およびその他の目的ならびに特徴がより明瞭になるとともに、本発明自体も最適な形で理解されることとなろう。
アクセス設備の概観を示す図である。 本発明による、アクセスノードを示す図である。 同相/直交(I/Q)平面における、本発明の技術的効果の図解である。 パイロットのランダム化を伴わない、達成されたSNRについてのシミュレーションプロットである。 パイロットのランダム化を伴う、達成されたSNRについてのシミュレーションプロットである。
図1において、以下のことが見て取れる。アクセス設備1は、COに位置するネットワークユニット10と、遠方に配備されるアクセスノード20とを含む。アクセスノード20は、1本または複数本の光ファイバを介してネットワークユニット10と結合しており、更に、銅線ループ設備を介して、様々な加入者宅内の顧客宅内機器(CPE)30にも結合している。
銅線ループ設備は、共通アクセスセグメント40(ここで加入者線は互いに密接し、よって相互にクロストークを誘起する)と、加入者宅内への最終的な接続のための、微弱な相互作用を伴う専用ループセグメント50とを含む。この送信媒体は、通例、非シールド撚り対(Unshielded Twisted Pairs:UTP)銅線で構成される。
共通アクセスセグメント40内で誘起されるクロストークを軽減するため、そして、それぞれの加入者線上で達成可能な通信データ速度を向上させるため、アクセスノード20は、ループ設備を介して送受信されるデータシンボルを合同処理するための、ベクトル化プロセッサを備える。
図2において、以下のことが見て取れる。本発明によるアクセスノード100は、N基のCPE200から200に、N本の伝送回線LからLのそれぞれを通じて結合している。これらは同一のベクトル化グループの部分を形成するものと仮定される。
アクセスノード100は以下を備える:
− N基のDSLトランシーバ110から110
− ベクトル化処理ユニット120(またはVPU)、および
− VPU120の動作を制御するためのベクトル化制御ユニット130(またはVCU)。
トランシーバ110は、VPU120と、VCU130とに、個別に結合している。また、VCU130は、VPU120と結合している。
トランシーバ110は、それぞれが以下を備える:
− デジタル信号プロセッサ(DSP)111、および
− アナログフロントエンド(AFE)112。
CPE200は、それぞれのDSLトランシーバ210を備える。
DSLトランシーバ210は、それぞれが以下を備える:
− デジタル信号プロセッサ(DSP)211、および
− アナログフロントエンド(AFE)212。
AFE112と212とは、デジタルアナログコンバータ(DAC)およびアナログデジタルコンバータ(ADC)、適切な通信周波数帯域内の信号エネルギーを閉じ込めると同時に帯域外干渉を排除する送信フィルタおよび受信フィルタ、送信信号を増幅し伝送回線を制御するラインドライバ、ならびにノイズを極力抑えながら受信信号を増幅するローノイズアンプ(LNA)を、それぞれが備える。
AFE112と212とは更に、低い送信機−受信機カップリング比を達成しながら、送信機出力と伝送回線、そして伝送回線と受信機入力を結合するハイブリッド、伝送回線の特性インピーダンスに適合させるためのインピーダンス整合回路、および分離回路(通常は変圧器)を備える。
DSP111と211とは、ダウンストリームとアップストリームのDSL通信チャネルを操作するよう、それぞれが構成される。
DSP111と211とは更に、ダウンストリームとアップストリームのDSL制御チャネルを操作するよう構成される。これらのDSL制御チャネルは、診断または管理コマンドおよび応答などのDSL制御トラフィックを転送するために使用される。制御トラフィックは、DSLチャネル上でユーザトラフィックと多重化される。
より具体的には、DSP111と211とは、ユーザデータおよび制御データをデジタルデータシンボルに符号化および変調するためのものであり、またデジタルデータシンボルからユーザデータおよび制御データを復調および複合するためのものである。
以下の送信ステップは、通常、DSP111および211の内部で実行される:
− データの符号化(データの多重化、フレーム化、スクランブル化、エラー制御符号化、およびデータのインターリーブなど)
− 信号変調(これには、搬送波オーダリングテーブルに従って搬送波をオーダリングするステップと、オーダリングされた搬送波それぞれのビットローディングに従って、符号化されたビットストリームを解析するステップと、おそらくはトレリスコーディングで、ビットの各チャンクを(それぞれの搬送波振幅および搬送波位相を用いて)適切な送信コンステレーション点にマッピングするステップとが含まれる)
− 信号のスケーリング
− 逆高速フーリエ変換(IFFT)
− サイクリックプレフィックス(CP)挿入、および
− (場合によっては)時間ウィンドウイング。
以下の受信ステップは、通常、DSP111および211の内部で実行される:
− CP除去と、場合によっては時間ウィンドウイング
− 高速フーリエ変換(FFT)
− 周波数等化(FEQ)
− 信号復調および検出(これには、それぞれの等化周波数サンプル毎に適切なコンステレーショングリッドを適用するステップと(このパターンはそれぞれの搬送波ビットローディングに依拠する)、おそらくはトレリスデコーディングで、予想送信コンステレーション点および対応する送信ビットシーケンスを検出するステップと、搬送波オーダリングテーブルに従って、検出されたビットのチャンクを全て再オーダリングするステップとが含まれる)、および
− データの複合(データのデインターリーブ、エラー検出および/または訂正、デスクランブル化、フレーム識別(frame delineation)、ならびに多重分離化など)。
DSP111は更に、合同信号プリコーディング向けに、逆高速フーリエ変換(IFFT)ステップの前に送信周波数サンプルをVPU120に供給し、また合同信号ポストプロセッシング向けに、高速フーリエ変換(FFT)ステップの後に受信周波数サンプルをVPU120に供給するよう構成される。
DSP111は更に、更なる送信や検出に向けて、訂正された周波数サンプルをVPU120から受信するよう構成される。代替として、DSP111は、更なる送信や検出の前に、初期周波数サンプルに加算するための訂正サンプルを受信してもよい。
VPU120は、伝送回線上で誘起されたクロストークを軽減するよう構成される。これは、予想クロストーク(ダウンストリーム)の推定を前置補償するよう、送信周波数サンプルのベクトルをプリコーディング行列Pで乗算するか、被ったクロストーク(アップストリーム)の推定を後置補償するよう、受信周波数サンプルのベクトルをクロストークキャンセル行列Qで乗算することによって達成される。
行列PまたはQにおいて、行nは特定の被妨害回線Lを表し、列mは特定の妨害回線Lを表す。交点では、被妨害回線L上で妨害回線Lからのクロストークを軽減するために、結合係数を、対応する妨害送信周波数サンプルまたは妨害受信周波数サンプルに適用すべきである。例えば、最強のクロストーカーに初めに割り当てられるベクトル化能力の制限のために、または別の例として、一部の回線は相互に与える影響が著しいものとはならないという事実のために、行列の全ての係数を決定する必要はない。未決定の係数は、0に設定するのが好ましい。
また、レガシー回線など、ベクトル化操作がサポートされていないか不可能であって、そのうえ他の通信回線に著しく干渉する通信回線Lは、ベクトル化グループ内の妨害回線としか見なされない、ということは特筆に値する。よって、行列PまたはQが持つ、対応するn番目の行の非対角係数は、全て0に設定される。
VCU130は、基本的にはVPU120の動作を制御するためのものである。より具体的には、ベクトル化グループの伝送回線相互間のクロストーク係数を推定し、そのようにして推定されたクロストーク係数から、プリコーディング行列Pおよびクロストークキャンセル行列Qの係数を初期化し、更新するためのものである。
VCU130は更に、ベクトル化パラメータを適切に構成設定および調整することにより、トランシーバ110および210のベクトル化操作を制御するためのものでもある。
VCU130はまず、ダウンストリームパイロットシンボルの変調にトランシーバ110が使用する、それぞれのダウンストリームパイロットシーケンスと、アップストリームパイロットシンボルの変調にトランシーバ210が使用する、アップストリームパイロットシーケンスとを構成することから開始する。同一のパイロットシーケンスがアップストリームとダウンストリームの両方に使用されるものと仮定するが、別個のパイロットシーケンスが同様に構成される可能性もある。伝送回線LからLに割り当てられたパイロットシーケンスは{Sntn=1..N,t=0..L−1、と表され、このときtはパイロットシンボルインデックスを示し、Lはパイロットシーケンスの長さを示す。図2において、ダウンストリームパイロットシーケンス(k=DSは、ダウンストリーム通信に使用される搬送波インデックスのセットを示す)と、アップストリームパイロットシーケンス(k=USは、アップストリーム通信に使用される搬送波インデックスのセットを示す)との間には、更なる区別がなされる。
パイロットシーケンス{Sntn=1..N,t=0..L−1は、サイズMを持つ、互いに直交するパイロットシーケンス{Wmtm=1..M,t=0..L−1のセット131から選択される。直交条件を満たすために、互いに直交するパイロットシーケンス131のセットが持つサイズMは、ベクトル化された回線の本数N以上、かつパイロットシーケンスの長さL以下とすべきである。
VCU130は、パイロットシンボルの検出中に測定された、それぞれのスライサエラー{Entn=1..N,t=0..L−1を収集する。パイロットシンボルの検出は、ダウンストリーム通信についてはリモートトランシーバ210が、アップストリーム通信についてはローカルトランシーバ110が行う。
妨害回線Lから被妨害回線Lへのクロストークまたは残留クロストーク係数を推定するために、VCU130は、それぞれの被妨害回線L上のエラーサンプル{Entt=0..L−1を、それぞれの妨害回線Lを介して送信されたパイロットシーケンス{Smtt=0..L−1と相関させる。
次いで、新たなクロストークまたは残留クロストーク推定が、プリコーディング行列Pまたはクロストークキャンセル行列Qの係数を初期化や更新するために使用される。
エラーの量子化、エラークリッピング、およびデマッピングエラーなど、クロストーク推定プロセスにバイアスをかける非線形効果を軽減するために、VCU130は、連続的なクロストーク捕捉サイクルの間に、ある程度の[擬似]ランダム性を導入する。クロストーク捕捉サイクルは、プリコーディング行列Pまたはクロストークキャンセル行列Qの係数を改良するために使用される。
第1の実施形態では、VCU130は、伝送回線LからLに割り当てられたパイロットシーケンスを、連続するクロストーク捕捉サイクルの間で入れ替える。
より具体的には、第1のクロストーク捕捉ラウンドの前に、VCU130は、伝送回線LからLへの割り当てのために、セット131内で第1の[擬似]ランダム選択{Snt (0)n=1..N,t=0..L−1を行い、それに従ってトランシーバ110および210を構成設定する。VCU130は、第1のパイロットシーケンス{Snt (0)n=1..N,t=0..L−1で変調された第1のパイロットシンボルが、それぞれの伝送回線LからLを介して送信される間に、第1のスライサエラー{Ent (0)n=1..N,t=0..L−1を収集し、それぞれの伝送回線(またはそのサブセット)相互間の第1のクロストーク推定
Figure 0006208363
を、第1のエラーサンプル{Ent (0)n=1..N,t=0..L−1をそれぞれのパイロットシーケンス{Smt (0)m=1..N,t=0..L−1と相関させることによって決定する。
続く第2のクロストーク捕捉サイクルが実行される前に、VCU130は、伝送回線LからLへの割り当てのために、セット131内で第2の[擬似]ランダム選択{Snt (1)n=1..N,t=0..L−1を行い、それに従ってトランシーバ110および210を構成設定する。VCU130は、第2のパイロットシーケンス{Snt (1)n=1..N,t=0..L−1で変調された第2のパイロットシンボルが、それぞれの伝送回線LからLを介して送信される間に、第2のスライサエラー{Ent (1)n=1..N,t=0..L−1を収集し、それぞれの伝送回線(またはそのサブセット)相互間の第2のクロストーク推定
Figure 0006208363
を、第1のエラーサンプル{Ent (1)n=1..N,t=0..L−1をそれぞれのパイロットシーケンス{Smt (1)m=1..N,t=0..L−1と相関させることによって決定する。
このプロセスは、更なるクロストーク推定
Figure 0006208363
を取得するために、更なるランダム選択{Snt (i)n=1..N,t=0..L−1とともに何度も繰り返されてよい。
パイロットシーケンスの[擬似]ランダム割り当ての代替として、VCU130は、セット131を循環させる(例えば、まずW>L>L .. W>L、次にW>L>L .. W>L、など)ことや、任意の定義済パターンに従うことも可能である。そのようなパターンは、同じ割り当てを繰り返す前に、比較的多数の循環を経ることが好ましい。
第2の実施形態は、パイロットの入れ替えと組み合わせて使用可能であり、この実施形態では、VCU130が、連続的なクロストーク捕捉サイクルの間に使用されるパイロットシンボルの位相および/または振幅を変化させる。
より具体的には、第1のクロストーク捕捉ラウンドの前に、VCU130は、伝送回線LからLへの割り当てのために、セット131内で第1の[擬似]ランダム選択{Snt (0)n=1..N,t=0..L−1を行い、それに従ってトランシーバ110および210を構成設定する。VCU130は、第1のパイロットシーケンス{Snt (0)n=1..N,t=0..L−1で変調された第1のパイロットシンボルが、それぞれの伝送回線LからLを介して送信される間に、第1のスライサエラー{Ent (0)n=1..N,t=0..L−1を収集し、それぞれの伝送回線(またはそのサブセット)相互間の第1のクロストーク推定
Figure 0006208363
を、第1のエラーサンプル{Ent (0)n=1..N,t=0..L−1をそれぞれのパイロットシーケンス{Smt (0)m=1..N,t=0..L−1と相関させることによって決定する。
続く第2のクロストーク捕捉サイクルが実行される前に、VCU130は、変化したパイロットシーケンス{Snt (1)=α (1).Snt (0)n=1..N,t=0..L−1を得るために、それぞれのパイロットシーケンス{Snt (0)n=1..N,t=0..L−1に適用する複素係数のセット{α (1)n=1..Nを決定する。もし|α (1)|=1であれば、パイロットシンボルは複素平面において、所定量だけ回転しているといってもよい。もしα (1)が実数であり、かつ|α (1)|≠1であれば、パイロットシンボルは縮小または拡大している。送信機110(ダウンストリーム)および210(アップストリーム)が対応するパイロットシンボルを適切に変化させることができるよう、初期パイロットシーケンス{Snt (0)n=1..N,t=0..L−1に適用する複素係数{α (1)n=1..N、または代替として、変化したパイロットシーケンス{Snt (1)n=1..N,t=0..L−1が、それらの送信機に伝達される。VCU130は、変化したパイロットシーケンス{Snt (1)n=1..N,t=0..L−1で変調された第2のパイロットシンボルが、それぞれの伝送回線LからLを介して送信される間に、第2のスライサエラー{Ent (1)n=1..N,t=0..L−1を収集し、それぞれの伝送回線(またはそのサブセット)相互間の第2のクロストーク推定
Figure 0006208363
を、第1のエラーサンプル{Ent (1)n=1..N,t=0..L−1をそれぞれのパイロットシーケンス{Smt (1)m=1..N,t=0..L−1と相関させることによって決定する。
このプロセスは、更なるクロストーク推定
Figure 0006208363
を取得するために、更なる複素係数の任意のセット{α (1)n=1..Nを用いて何度も繰り返されてよい。
複素係数のセット{α (1)n=1..Nは、例えば、0°から360°の間で均一に分布した位相と単位大きさを用いて、[擬似]ランダム的に決定することができる。その場合、受信機210(ダウンストリーム)および110(アップストリーム)が、そのようにして変化したパイロットシンボルを適切に等化し、また更なる報告のための重要なスライサエラーを適切に測定できるよう、複素係数α (i)、または代替としては、変化したパイロットシーケンス{S (i)n=1..Nが、それらの受信機のそれぞれに伝達される必要がある。
受信機におけるパイロットシンボルのアドホックな等化を回避するために、代替として、複素係数α (i)は、許される値からなる限定されたセットから選択されてもよい。実際、BPSKが使用される場合には、複素係数α (i)はセット{+1;−1}から選択され、4−QAMが使用される場合には、複素係数α (i)はセット{+1;+j;−1;−j}から選択される。その場合、回転した送信周波数サンプルは、依然として有効な送信コンステレーション点と合致し、アドホックな等化のために複素係数を受信機に伝達する必要はない。
また、許容される回転値は、伝送回線LからLに均等に分布する必要がある。例えば、BPSKが使用される場合、伝送回線の約半分が値+1に割り当てられ(そのパイロットシグナルが変化しないままであることを意味する)、伝送回線の半分が値−1に割り当てられる(そのパイロットシグナルが180°回転することを意味する)のが有益である。4−QAMが使用される場合、伝送回線の約4分の1が値+1(0°)に、4分の1が値j(+90°)に、4分の1が値−1(+180°)に、そして4分の1が値−j(+270°)に割り当てられるのが有益である。
次いで、連続的クロストーク推定
Figure 0006208363
はVPU120を構成設定するために使用される。各サイクルにおいて非線形効果によって生じた推定エラーは使用されたパイロットシーケンスに依拠するため、また連続的サイクルにおいて使用されたパイロットシーケンスはランダム化されるため、連続的サイクルにおいて取得された推定エラーは、低相関を示すか、無相関であるものと期待される。よって、所定数の反復更新の後、上述した推定エラーの影響は漸次消滅することが期待され、それにより、最終的には、伝送回線LからL上で近最適なビットレートを達成する、バイアスのないプリコーダ係数またはポストコーダ係数が得られる。
VCU130は、VPU120を構成設定するために、異なる方法を使用してもよい。
例えば、VCU130は、第1、第2、および更なるクロストーク推定の重み付けされた組み合わせを演算して、平均クロストーク推定を得る。この平均クロストーク推定は、プリコーディング行列Pまたはクロストークキャンセル行列Qの初期化や改良を行うために次いで使用される。
代替として、VCU130は、第1のクロストーク推定を取得し、これら第1のクロストーク推定に基づいてプリコーディング行列Pまたはクロストークキャンセル行列Qを初期化する。その場合、VCU130は、第2および更なるクロストーク推定を使用して、プリコーディング行列Pまたはクロストークキャンセル行列Qの係数を連続的に改良してもよい。第1のクロストーク推定は、通常、初期化フェーズ(イニット:init)中に取得されるが、第2および更なるクロストーク推定は、アクティブ通信フェーズ(ショータイム:show time)中に取得される。
更なる代替として、VCU130は、第1、第2、および更なるクロストーク推定を使用して、プリコーディング行列Pまたはクロストークキャンセル行列Qの係数を、連続的ステップで、連続的に改良してもよい。第1、第2、および更なるクロストーク推定は、通常、アクティブ通信フェーズ(ショータイム)中に取得される。
パイロット信号は、それぞれのパイロットサイクルの後に毎回変化させる必要はない(1つのパイロットサイクルは、L個の連続したパイロットシンボルの送信を意味する)。例えば、アップストリームパイロット信号を再構成するために必要な既生の信号伝達過負荷を理由に、VCU130は、構成された所与のパイロットのセットのまま所定数のパイロットサイクルを待機し、その後、別のパイロットのセットに切り替えてもよい。
また、クロストーク推定のために、全てのパイロットサイクルが使用されるわけではない。例えば、既生の処理負荷を理由に、VCU130は、少数のパイロットサイクルを残留クロストークを推定することなくスキップしてもよい。
また、VCU130は、所与のパイロットのセットが構成されている間に、2回以上のクロストーク捕捉サイクルを実行し、2つ以上のクロストーク推定を決定し、そしてこれら全てのクロストーク推定を使用してVPU120を構成設定してもよい。
図2に則したDSLシステムのための数理モデルを以下に示すとともに、クロストークまたは残留クロストーク係数を推定し、適切にVPU120を構成設定するためのアルゴリズムを導き出す。
チャネルモデル
ベクトル化グループ内にN本のDSL回線LからLを有するシステムを検討する。通信は、K個のDMTトーン上で行われ、これらは0からK−1とラベル付けされる。これらのトーンは独立したチャネルと考えてよく、以下では特定のトーンkに注目するものとする。総じて、トーンインデックスを示す必要があるときは、下付き文字kを使用することになる。アップストリームとダウンストリーム、両方の動作が検討される。
システムの周波数領域モデルにおいて、複素信号Λxを、回線LからLのダウンストリームに(特定のトーンkで)送信される複素信号のベクトルとする。ここで、Λは要素Λnn=σの対角行列、σ は回線L上の送信パワー、xは回線Lにダウンストリームで送信される単位パワー複素信号である。その場合、ベクトル化がなければ、受信信号は
Figure 0006208363
によって与えられ、上式で、HはN×Nのチャネル行列であり、要素Hnnは直接チャネル利得を表し、要素Hnmは回線Lから回線Lへのクロストークチャネル利得を表す。また上式で、
Figure 0006208363
はバックグラウンドノイズを表す。
プリコーディング行列P=I+Cでプリコーディングを適用するのであれば、
Figure 0006208363
となり、上式で、
Figure 0006208363
が残留チャネル行列となる。
このチャネル行列を分解すると、
H=D(I+G)
となり、上式で、Dは直接利得Dnn=Hnnの対角行列であり、また上式で、Gは、受信機関連の相対クロストークチャネル行列であり、要素はm≠nに対してはGnm=Hnm/Hnnであり、かつGnn=0である。
固定グリッド上に受信信号をスライシングする前に、受信信号は周波数領域等化器(Frequency Domain Equalizer:FEQ)を通過し、送信パワーは補償される。これら2つの操作の結果は、正規化された受信信号
Figure 0006208363
となり、このとき、
Figure 0006208363
は正規化された残留チャネル行列、
Figure 0006208363
はバックグラウンドノイズである。またこのとき、Θ=R−I=G+C+GCは、正規化された残留クロストークチャネル行列である。
SYNCシンボル中、送信された値xは、受信機により高い信頼性で推定することができ、また受信信号から減算してエラー信号を形成することができる。ベクトル形では、このエラー信号は
e=r−x=Λ−1ΘΛx+z(1)
によって与えられる。
エラーフィードバックが動作可能な場合、これらの複素エラー値はベクトル化コントローラに送り返され、(ゼロにすることが求められる)正規化された残留クロストークチャネル行列Θを推定するために使用可能である。
次いで、複素信号Λxを、回線LからLのアップストリームに(特定のトーンkで)送信される複素信号のベクトルとする。ここで、Λは要素Λnn=σの対角行列、σ は回線L上の送信パワー、xは回線Lにアップストリームで送信される単位パワー複素信号である。
その場合、ベクトル化がなければ、受信信号は
Figure 0006208363
によって与えられ、上式で、HはN×Nのチャネル行列であり、要素Hnnは直接チャネル利得を表し、要素Hnmは回線Lから回線Lへのクロストークチャネル利得を表す。また上式で、
Figure 0006208363
はバックグラウンドノイズを表す。
アップストリーム方向では、チャネル行列を
Figure 0006208363
として分解し、上式で、Dは直接利得Dnn=Hnnの対角行列であり、また上式で、
Figure 0006208363
は、送信機関連の相対クロストーク行列であり、要素は、m≠nに対しては
Figure 0006208363
であり、かつ
Figure 0006208363
である。
ダウンストリームとアップストリームとで異なる表記法を使用すると有用である。重要な特性の1つは、これらの異なる表記法を用いると、異なる線長の回線が存在していても、1よりも、相対クロストーク係数が、通常はるかに小さくなるということである。ダウンストリームでは、チャネルHnmおよびHnnの両方が同一の伝搬距離を持ち、その距離は受信機に関係する。一方、アップストリームでは、同一の伝搬距離をチャネルHnmおよびHmmがカバーし、この場合その距離は送信機に関係する。
ポストコーディング行列Q=I+Cでポストコーディングを適用し、対角行列Fで表される周波数等化(FEQ)、およびパワー正規化がそれに続く。受信機は、Fを、ポストコードチャネル(I+C)Hの対角線の逆となるように適合させ、クロストークが小さい場合には、
Figure 0006208363
が得られる。したがって、これら3つの操作後の補償信号は、
Figure 0006208363
によって与えられ、上式で、
Figure 0006208363
は正規化された残留チャネル行列であり、上式で、ノイズの項は
Figure 0006208363
である。
ノイズの項はポストコーダの設定に依存するが、係数であるCが1に対して小さければ、この依存は無視することができ、実際の場合もそうあるべきである。
総じて、Θ=R−Iを正規化された残留クロストークチャネル行列と定義する。この残留クロストークをゼロにすることが求められる。
SYNCシンボル中、送信された値xは、受信機により高い信頼性で推定することができ、また補償信号rから減算してエラー信号を形成することができる。ベクトル形では、このエラー信号は
e=y−x=Λ−1FΘDΛx+z(2)
によって与えられる。
エラーフィードバックが動作可能な場合、これらの複素エラー値はベクトル化コントローラに転送され、残留クロストークチャネル行列Θを推定するために使用可能である。
クロストーク推定アルゴリズム
残留クロストークチャネルΘからエラーサンプルeへのマッピングはダウンストリーム(1)とアップストリーム(2)とで極めて類似しているため、本説明の残りも、アップストリームとダウンストリームとでほぼ共通である。しかし、アップストリームとダウンストリームとでは、量zはわずかに異なる意味を持つことに留意されたい。また、ダウンストリーム通信の説明に際して受信機関連の相対クロストークGが言及された場合、アップストリーム通信の説明では、送信機関連の相対クロストーク
Figure 0006208363
に置き換えられるべきである。
パイロットベースのクロストーク推定では、パイロットシンボル上のパイロットシーケンスを送信する。すなわち、N×Lのパイロット行列Sを定義し、ここでSntは「+1」または「−1」の2値であり、時間tに回線L上で送信された複素信号を変調することになる。このシーケンスは周期Lで繰り返される。すなわち、時間tに送信された値は、τ=t mod Lを有するSnτである。Sを直交として選択するが、これはSS=LIを意味する。すなわち、L倍のN×Nの恒等行列である。
単位パワーにスケーリングされた、4−QAMコンステレーション点00を、a=(1+j)/√2によって表し、−aの場合は点11を表す。そのとき、SYNCシンボル期間t上で送信される値は、x(t)=aSntとなる。
所与のパイロットシーケンスのL個のパイロットシンボルも、複素係数αで乗算することにより、回転および/またはスケーリングされてよく、この場合、送信される値はx(t)=aαntとなる。
ダウンストリームについては、全ての回線上で、L個の連続するSYNCシンボルを介して受信されたエラーシンボルは、N×Lの行列記法において、
E=aA−1Λ−1ΘΛAS+Z
と記述することができ、上式で、Aは要素Ann=αの対角行列であり、上式で、A−1は、受信パイロットシンボルのために受信機において実行されるアドホックな等化である。
α=+/−1であれば、等化係数A−1はもはや要求されず、省略することができる。その場合、受信機は、Aについての情報を使用することなく直接ASを推定し、エラーシンボルは
E=aΛ−1ΘΛAS+Z
となる。
各回線で受信したエラーサンプルのシーケンスをパイロットシーケンスのそれぞれと相関させることは、エラー行列Eにパイロットシーケンスの転置を右側からかけることによって、行列記法で表現することが可能である。アドホックな等化の場合、結果として得られる正規化されない相関関係は、
U=ES=aA−1Λ−1ΘΛASS+ZS=aLA−1Λ−1ΘΛA+ZS
の形となる。
なお、この相関付け操作には、複素エラーサンプルの加算および減算のみを伴い、乗算は要求されない。最後に、正規化されない相関関係は、残留クロストーク
Figure 0006208363
についてのバイアスのない推定を取得するために正規化される。上式で、ノイズの項は
Figure 0006208363
である。
簡単な計算により、クロストーク推定の分散は、
Figure 0006208363
であることが明らかになる。
次いで、アップストリームについては、回線LからL上で、L個の連続するSYNCシンボルを介して受信されたエラーシンボルは、N×L行列記法において、
E=aA−1Λ−1FΘDΛAS+Z
と記述することができる。受信機は、アドホックな等化であるAを知っており、実行するものと仮定する。
別の方法では、受信機がAについての情報を使用することなくASを直接推定する場合、エラーフィードバックは
E=aΛ−1FΘDΛAS+Z
となる。
各回線で受信したエラーサンプルのシーケンスをパイロットシーケンスのそれぞれと相関させることは、エラー行列Eにパイロットシーケンスの転置を右側からかけることによって、行列記法で表現することが可能である。アドホックな等化の場合、結果として得られる正規化されない相関関係は、
U=ES=aA−1Λ−1FΘDΛASS+ZS=aLA−1Λ−1FΘDΛA+ZS
の形となる。
最後に、正規化されない相関関係は、残留クロストーク
Figure 0006208363
についてのバイアスのない推定を取得するために正規化される。上式で、ノイズの項は
Figure 0006208363
である。
簡単な計算により、クロストーク推定の分散は、
Figure 0006208363
であることが明らかになる。
プリコーダおよびポストコーダ構成
連続したクロストーク捕捉サイクルの間に、式(3)または(4)に従って取得された残留クロストーク推定
Figure 0006208363
は、次いで、プリコーディング行列Pまたはクロストークキャンセル行列Qを反復更新するために使用される。
(i)は、i番目のクロストーク捕捉サイクル中のプリコーディング行列を示すものとする。
新たなプリコーディング行列P(i+1)は、以下の行列反転公式
(i+1)=I+C(i+1)=P(i)(i)−1=P(i)(I+Θ(i)−1
を使用して、正規化された残留クロストークチャネル行列の推定
Figure 0006208363
から求められるのが理想的である。
実際、正規化された新たなチャネル行列は、次式
(I+G)P(i+1)=(I+G)P(i)(i)−1=(I+G)(I+C(i))(I+C(i)−1(I+G)−1=I
ようになる。
理想のプリコーダ係数は、1回分の反復の後に取得されるが、これには長大な行列の多くを反転させることが伴われる。
一次近似式として、推定された残留クロストークチャネルを、以下のようにプリコーダ係数から減算してもよい。
Figure 0006208363
したがって、次式
Figure 0006208363
が得られる。
正規化されたクロストーク係数が1と比べて低くなることが予想されるので、残留クロストーク
Figure 0006208363
は各反復の後に次第に小さくなり、チャネル行列全体が恒等行列Iに向かって収束することが予想される。
代替として、2012年8月2日に公開の「Multiplicative Updating of Precoder or Postcoder Matrices for Crosstalk Control in a Communication System」と題された米国特許出願(公開番号US2012/0195183)による乗算的更新を使用してもよい。
この着想は、結果として生じるチャネル行列R(i)の逆元の近似値である補助行列を使用するというものであり、正規化された残留クロストークチャネル行列の推定
Figure 0006208363
を恒等行列Iから減算することによって形成される。したがって、この乗算的更新プロセスは近似値
Figure 0006208363
をもたらし、現在のプリコーダ行列P(i)の右からI−Θ(i)で乗算する。更新されたプリコーダ行列P(i+1)は、
Figure 0006208363
によって与えられ、よって、更新された、正規化されたチャネル行列全体は、
Figure 0006208363
によって与えられる。
正規化された残留チャネル行列Θの要素は、通常、正規化されたクロストークチャネル行列Gの要素よりはるかに小さく、したがって、エラーの項−Θは、典型的な付加的更新−GΘのエラーの項よりも、はるかに小さくなることが期待される。
新たに推定された残留クロストーク係数に深刻なバイアスがかかる場合(例えば、デマッピングエラーにより)、収束プロセスを平滑にし、あらゆる瞬間的障害を回避するように、反復更新アルゴリズムに、それぞれの重みを導入してもよい。
最小平均二乗(LMS)適応アルゴリズムなど、代替的更新方法も使用可能である。
クロストークキャンセル行列Qを更新するための、同様の導出が得られる。
図3では、パイロットシーケンスのランダム化が、クロストーク推定プロセスにバイアスをかける非線形効果を軽減する方法に従う更なる詳細が見て取れる。
回線Lを被妨害回線とし、回線LおよびLを、回線Lに対する主要な妨害回線と仮定する。
パイロットシーケンスは、長さ4を持つものと仮定する。定数シーケンス[+1、+1、+1、+1]は、バイアスが絶え間なく存在する場合には粗悪な推定をもたらすため使用されない。残った3つの直交シーケンスは、[+1、−1、+1、−1]、[−1、−1、+1、+1]、および[+1、−1、−1、+1]である。回線L、L、およびLが、第1のクロストーク捕捉サイクル中、パイロットシーケンスS (0)=[+1、−1、+1、−1]、S (0)=[−1、−1、+1、+1]、およびS (0)=[+1、−1、−1、+1]に初めに割り当てられると仮定する。
上部のI/Qプロットは、所与のトーンkに関する、所与のクロストーク捕捉サイクル中の、それぞれの回線LおよびLから回線Lへの、正規化された残留クロストーク係数Θ12kおよびΘ13kを示す。この残留クロストークは、いくつかの要因に起因する。この要因としては、式(3)および(4)における推定エラー、プリコーディング行列Pまたはクロストークキャンセル行列Qの決定に関する非理想的行列反転、デジタル算術に固有の不正確さ、およびクロストーク推定にバイアスをかけかねない、上述の非線形効果のいずれかが挙げられる。
下部のI/Qプロットは、同一のクロストーク捕捉サイクル中(チャネル等化およびパワーの正規化の後)に、周波数インデックスkで回線Lを介して受信された、パイロットシンボルのシーケンスの周波数サンプルを示す。他にノイズ源がないものと仮定すると、受信周波数サンプルは、+1と−1のどちらがそれぞれの回線L、L、およびLを介して送信されたかに依存して、位置A1、C2、D1、およびB2を通る。見て取れるように、特定の組み合わせによっては(ここでは、回線L上の−1、回線L上の−1、および回線L上の−1)、信号のクリッピングが生じる(位置C2はI/Q信号境界を越えている)。また、受信サンプルは、繰り返し少数の位置のみを通過するため(考えられる位置8つのうちの4つ)、これら特定の点の量子化により、いくらかのアーティファクトが生じる可能性がある。
これらの効果を軽減するために、連続的なクロストーク捕捉サイクルの間に、パイロット信号をランダム化することが可能である。
例えば、1つまたは複数のパイロットシーケンス(被妨害回線を含む)に180°回転を適用し、その他のパイロットはそのままに保つ(0°)ことが可能である。ここでは、別のクロストーク捕捉サイクルの間、回線Lのパイロットシーケンスが反転させられ、回線LおよびLのパイロットシーケンスはそのままである。これにより、以下のパイロット割り当て、S (1)=[+1、−1、+1、−1]、S (1)=[−1、−1、+1、+1]、およびS (1)=[−1、+1、+1、−1]が得られる。このとき、受信周波数サンプルは、異なる位置(ここでは、位置C1、A2、B1、およびD2)を通過し、したがって量子化アーティファクトが軽減される。
位置C2に到達したときに発生する信号クリッピングを軽減するために、アドホックな回転θを回線Lのパイロットシーケンスに適用することでS (2)=[−ejθ2、−ejθ2、+ejθ2、+ejθ2]を、また回転θを回線Lのパイロットシーケンスに適用することでS (2)=[+ejθ3、−ejθ3、−ejθ3、+ejθ3]を得て、回線Lのパイロットシーケンスはそのまま、すなわち、S (2)=[+1、−1、+1、−1]としてもよい。回転されたクロストーク信号は、グレーのベクトルとして描画されており、見て取れるように、信号クリッピングは抑止または少なくとも軽減されている。
本発明は、絶え間ないオフセットを回避しながら、現在のVDSL2標準に(部分的に)対応している、単純な機構である。本発明は、デマッピングエラー、クリッピングエラー、または他の非線形アーティファクトによって損なわれたであろう、高クロストークの存在下における良好で安定したベクトル化された性能を取得する助けとなる。デマッピングエラーを識別し、これを正すための複雑な処理に対する要求は、回避されるか、少なくとも減少する。
図4Aに示すのは、第1のシミュレーションプロットである。本プロットにおいて、達成されたSNRは、各追跡サイクルの終端における20本のアクティブな回線の各々に対して描画されており、また同一のパイロット割り当てが、全てのクロストーク捕捉サイクルにわたって使用されている。追跡サイクルでは、残留クロストークが推定され、それに従ってプリコーダが更新される。見て取れるように、通信回線は、劣化により徐々に影響を受ける。この劣化は、残留クロストーク推定におけるバイアスを引き起こし、プリコーダ係数を最適値から離れたものにする、CPE内のデマッピングエラー、およびその他のアーティファクトによってもたらされる。
図4Bに示すのは、第2のシミュレーションプロットである。本プロットにおいて、達成されたSNRは、各追跡サイクルの終端における20本のアクティブな回線の各々に対して描画されており、また、このときパイロットは、連続的なクロストーク捕捉サイクル間でランダムに入れ替えられている。見て取れるように、全ての回線が今や安定している。初めにデマッピングエラーが発生しているものの、導入されたバイアスは各追跡サイクルで異なり、したがって、システムは正しい解に向かって収束している。
「備える」という語は、その後に挙げられる構成要素に限定するものと解釈されるべきではないことを留意されたい。よって、「構成要素AおよびBを備えるデバイス」という表現の範囲は、構成要素AおよびBのみからなるデバイスに限定されるべきではない。本発明に関して、これはデバイスの関連構成要素はAおよびBである、ということを意味する。
また、「結合している」という語は、直接接続のみに限定するものと解釈されるべきではないことを留意されたい。よって、「デバイスBに結合しているデバイスA」という表現は、デバイスAの出力がデバイスBの入力に、および/またはこの関係を逆にして、直接的に接続されているデバイスまたはシステムに限定されるべきではない。Aの出力とBの入力との間、および/またはAの入力とBの出力との間に経路が存在することを意味し、この経路は、他のデバイスや手段を含むものであってよい。
本記述および図面は、本発明の原理を例示するにすぎない。よって、当業者であれば、本明細書において明示的に記述または説明されていなくとも、本発明の原理を実施する様々な構成を案出し得ることが理解されよう。更に、本明細書に記載された全ての実施例は、主として、本発明の原理、および当該技術を前進させるために本発明者によって寄せられた概念を、読者が理解するのを支援するという、教授のみを目的としたものとなるよう明確に意図されており、そのように具体的に記載された実施例や条件への限定は、伴わないものとして解釈されるべきである。更に、本発明の原理、態様、および実施形態、ならびにそれらの具体的実施例に関わる本明細書の記述の一切は、その均等物を包含するよう意図されている。
図面に示された様々な要素が持つ機能は、専用ハードウェアおよびソフトウェアを実行可能なハードウェアを、適切なソフトウェアと連携させて使用することによって提供され得る。プロセッサによって提供される場合、それらの機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共用プロセッサ、または複数個の個別プロセッサ(その一部が共用であってもよい)によって提供され得る。更に、プロセッサは、ソフトウェアを実行可能なハードウェアのみを指すと解釈されるべきではなく、限定することなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などを暗に含んでよい。リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および不揮発性ストレージなど、従来型および/またはカスタマイズされた他のハードウェアも含まれ得る。

Claims (13)

  1. ベクトル化グループの通信回線(L..L)間のクロストークを軽減するベクトル化プロセッサ(120)を制御するためのベクトル化コントローラ(130)であって、連続するクロストーク捕捉サイクルを反復するように構成され、クロストーク捕捉サイクルのそれぞれにおいて、それぞれの通信回線上で送信するためのクロストークプロービングシンボルのシーケンスを構成し、クロストークプロービングシンボルのシーケンスが送信されている間に、それぞれの通信回線に結合しているそれぞれの受信機(110、210)によって連続的に測定されたエラーサンプルのシーケンスを受信し、エラーサンプルのシーケンスに基づき、それぞれの通信回線間のクロストーク推定を決定するように構成され、
    更に、連続するクロストーク捕捉サイクルの合間にクロストークプロービングシンボルのシーケンスをランダム化し、連続するクロストーク捕捉サイクルにおけるクロストーク推定に基づき、ベクトル化プロセッサを反復的に構成するように構成された、ベクトル化コントローラ。
  2. クロストークプロービングシンボルのシーケンスが、クロストークプロービングシンボルのそれぞれのシーケンスの変調のために、互いに直交するシーケンス(131)のセット内におけるクロストークプロービングシーケンスの任意選択によってランダム化される、請求項1に記載のベクトル化コントローラ。
  3. クロストークプロービングシンボルのシーケンスが、クロストークプロービングシンボルのシーケンスの一部または全部の周波数領域における任意回転によってランダム化される、請求項1または2に記載のベクトル化コントローラ。
  4. クロストークプロービングシンボルのシーケンスの、回転した送信周波数サンプルが、クロストークプロービングシンボルの変調のために使用される基準コンステレーショングリッドのコンステレーション点に合致し、それにより、許容される回転値の限定されたセットをもたらす、請求項3に記載のベクトル化コントローラ。
  5. クロストークプロービングシンボルのシーケンスの回転のために、許容される回転値を、ベクトル化グループのそれぞれの通信回線にわたって均等に分布させるように更に構成される、請求項4に記載のベクトル化コントローラ。
  6. 基準コンステレーショングリッドが二位相偏移変調(BPSK)コンステレーショングリッドであって、
    許容される回転値が180°の倍数である、請求項4または5に記載のベクトル化コントローラ。
  7. 基準コンステレーショングリッドが4−QAMコンステレーショングリッドであって、
    許容される回転値が90°の倍数である、請求項4または5に記載のベクトル化コントローラ。
  8. 適用される回転の量が0°から360°の間で任意選択され、
    クロストークプロービングシンボルのそれぞれのシーケンスの受信周波数サンプルに適用される回転値を示す回転情報を受信機に送信するように更に構成される、請求項3に記載のベクトル化コントローラ。
  9. クロストークプロービングシンボルのシーケンスが、クロストークプロービングシンボルのシーケンスの一部または全部の任意スケーリングによってランダム化され、
    クロストークプロービングシンボルのそれぞれのシーケンスの受信周波数サンプルに適用されるスケーリング値を示すスケーリング情報を受信機に送信するように更に構成される、請求項1から8のいずれか一項に記載のベクトル化コントローラ。
  10. エラーサンプルが、クロストークプロービングシンボルの受信周波数サンプルと、受信周波数サンプルがデマッピングされる選択されたそれぞれのコンステレーション点との間のエラーベクトルを示す、請求項1から9のいずれか一項に記載のベクトル化コントローラ。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載のベクトル化コントローラを備える、加入者にブロードバンド通信サービスを提供するための、アクセスノード(100)。
  12. デジタル加入者線アクセスマルチプレクサ(DSLAM)である、請求項11に記載のアクセスノード。
  13. ベクトル化グループの通信回線(L..L)間のクロストークを軽減するベクトル化プロセッサ(120)を制御し、連続するクロストーク捕捉サイクルを反復するための方法であって、連続するクロストーク捕捉サイクルのそれぞれが、それぞれの通信回線上で送信するためのクロストークプロービングシンボルのシーケンスを構成するステップと、クロストークプロービングシンボルのシーケンスが送信されている間に、それぞれの通信回線に結合しているそれぞれの受信機(110、210)によって連続的に測定されたエラーサンプルのシーケンスを受信するステップと、エラーサンプルのシーケンスに基づき、それぞれの通信回線間のクロストーク推定を決定するステップとを含み、
    連続するクロストーク捕捉サイクルの合間にクロストークプロービングシンボルのシーケンスをランダム化するステップと、連続するクロストーク捕捉サイクルにおけるクロストーク推定に基づき、ベクトル化プロセッサを反復的に構成するステップとを更に含む、方法。
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