本発明の吸収性物品は、吸水性樹脂粒子を備えている。吸水性樹脂粒子は、使用者から排泄された尿、経血などの体液を吸収し、保持する。以下、本発明で使用する吸水性樹脂粒子について説明する。
前記吸水性樹脂粒子は、粒子の内部にフマル酸を含有する。吸水性樹脂粒子は、使用者から排泄された体液を内部に吸収し保持する。そのため、体液を吸収した吸水性樹脂粒子は、その内部に存在する体液中にて腐敗菌が繁殖してしまう。しかし、吸水性樹脂粒子の内部にフマル酸を含有させることにより、体液を吸収した吸水性樹脂粒子の内部で腐敗菌が繁殖することが抑制できる。なお、フマル酸を含有する態様は特に限定されないが、粒子状のフマル酸を含有する態様が好ましい。この場合、吸水性樹脂粒子に含有されるフマル酸粒子は、その一部が吸水性樹脂粒子の外部に露出していてもよい。
前記吸水性樹脂粒子が含有するフマル酸の形態は特に限定されず、粒子状で存在していてもよいし、分子レベルで存在していてもよい。粒子状で存在する場合、フマル酸粒子の体積平均粒子径は、15μm以下、好ましくは13μm以下、より好ましくは10μm以下である。フマル酸の体積平均粒子径を15μm以下とすることにより、フマル酸による腐敗菌の繁殖抑制作用がより効果的に発揮される。後述するように粉体又は分散液の態様でフマル酸を添加した場合、粉体の体積平均粒子径又は分散液中のフマル酸粒子の体積平均粒子径を、吸水性樹脂粒子中のフマル酸粒子の体積平均粒子径とみなせる。なお、フマル酸溶液の態様で添加した場合、吸水性樹脂粒子中でフマル酸粒子が析出することがあるが、この場合フマル酸粒子の体積平均粒子径は通常15μm以下となる。
前記吸水性樹脂粒子のフマル酸含有率は、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、10質量%以下が好ましく、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。フマル酸含有率が0.01質量%以上であれば、フマル酸による腐敗菌の抑制効果がより向上し、10質量%以下であれば、吸水性樹脂粒子の吸収性能が良好となる。
前記吸水性樹脂粒子は、保水量(無加圧吸収量)が、20g/g以上、80g/g以下であることが好ましい。前記保水量は、23g/g以上がより好ましく、25g/g以上が特に好ましく、77g/g以下がより好ましく、75g/g以下が特に好ましい。保水量は、吸水性樹脂粒子が吸収した液をどの程度保持できるかを示す尺度である。前記保水量が20g/g以上であると、少量の吸水性樹脂粒子によって体液の保持容量を所定のレベルに保つことができ、薄型の吸収体を作製することが容易になる。前記保水量は、液漏れを防止する観点から大きければ大きいほど好ましいが、80g/g以下であることが好ましい。前記保水量が80g/g以下であると、吸水性樹脂粒子の尿に対する安定性が向上するからである。
前記吸水性樹脂粒子は、1g当たりのフマル酸の含有量と保水量との質量比(フマル酸含有量/保水量)が、1.25×10−6以上が好ましく、より好ましくは6.5×10−6以上、さらに好ましくは1.3×10−5以上であり、5.0×10−3以下が好ましく、より好ましくは3.5×10−3以下、さらに好ましくは2.0×10−3以下である。前記質量比が上記範囲内であれば、不快臭の発生をより抑制できる。
前記吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径(μm)は、100μm〜800μmが好ましく、より好ましくは200μm〜700μm、さらに好ましくは250μm〜600μm、特に好ましくは300μm〜500μm、最も好ましくは350μm〜450μmである。吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径(μm)が、前記範囲内であれば、吸収性能がさらに良好となる。
なお、重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μm、並びに受け皿の順等に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の質量を秤量し、その合計を100質量%として各ふるい上の粒子の質量分率を求め、この値を対数確率紙{横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が質量分率}にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、質量分率が50質量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
また、吸収性能は微粒子の含有量が少ない方が良好となるため、全粒子に占める106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有量は3質量%以下が好ましく、さらに好ましくは1質量%以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒子径を求める際に作成するプロットを用いて求めることができる。
本発明で使用する吸水性樹脂粒子は、所定のフマル酸を含有するものであれば、その組成は特に限定されない。吸水性樹脂粒子の組成としては、ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系などの合成重合体;ポリアスパラギン酸塩系、ポリグルタミン酸塩系、ポリアルギニン酸塩系、デンプン系、セルロース系などの天然物由来の重合体が挙げられる。
吸水性樹脂粒子の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状などが挙げられる。これらのうち、紙おむつ用途などでの繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
前記吸水性樹脂粒子は、アクリル酸を主構成成分とする(A)架橋重合体であって、そのカルボキシル基の少なくとも一部が中和されているものを使用することが好ましい。前記(A)架橋重合体を構成するアクリル酸成分の含有率は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、99質量%以下が好ましく、97質量%以下がより好ましい。アクリル酸成分の含有率が前記範囲内であれば、得られる吸水性樹脂粒子が、所望の吸収性能を発現しやすくなる。
(A)架橋重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する陽イオンとしては、特に限定されないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属イオン;マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属イオンなどを挙げることができる。これらの中でも、架橋重合体のカルボキシル基の少なくとも一部が、ナトリウムイオンで中和されていることが好ましい。なお、架橋重合体のカルボキシル基の中和は、重合して得られる架橋重合体のカルボキシル基を中和する(好ましくは、架橋重合体と水とからなる含水ゲルを細断しながら、中和する)ようにしてもよいし、予め、中和された単量体を用いて架橋重合体を形成するようにしてもよい。
(A)架橋重合体のカルボキシル基の中和度は、60モル%以上が好ましく、65モル%以上がより好ましい。中和度が低すぎると、得られる吸水性樹脂粒子の吸収性能が低下する場合があるからである。また、中和度の上限は、特に限定されず、カルボキシル基のすべてが中和されていてもよい。なお、中和度は、下記式で求められる。
中和度(モル%)=100×「架橋重合体の中和されているカルボキシル基のモル数」/「架橋重合体が有するカルボキシル基の総モル数(中和、未中和を含む)」
前記(A)架橋重合体は、(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマー及び/又は加水分解により(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーを生成する(a2)加水分解性モノマーと、(b)内部架橋剤とを含有する不飽和単量体組成物を重合して得られるものが好ましい。
前記(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、少なくとも1個の水溶性置換基とエチレン性不飽和基とを有するモノマーなどが使用できる。水溶性モノマーとは、25℃の水100gに少なくとも100g溶解する性質を持つモノマーを意味する。また、前記(a2)加水分解性モノマーは、50℃の水、必要により触媒(酸又は塩基など)の作用により加水分解されて、(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーを生成する。(a2)加水分解性モノマーの加水分解は、架橋重合体の重合中、重合後、及び、これらの両方のいずれでもよいが、得られる吸水性樹脂粒子の分子量の観点などから重合後が好ましい。
水溶性置換基としては、例えば、カルボキシル基、スルホ基、スルホオキシ基、ホスホノ基、水酸基、カルバモイル基、アミノ基、又は、これらの塩、並びに、アンモニウム塩が挙げられ、カルボキシル基の塩(カルボキシレート)、スルホ基の塩(スルホネート)、アンモニウム塩が好ましい。また、塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩;マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属塩が挙げられる。アンモニウム塩は、第1級〜第3級アミンの塩又は第4級アンモニウム塩のいずれであってもよい。これらの塩のうち、吸収特性の観点から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、アルカリ金属塩がより好ましく、ナトリウム塩がさらに好ましい。
前記カルボキシル基及び/又はその塩を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、炭素数3〜30の不飽和カルボン酸及び/又はその塩が好ましい。前記カルボキシル基及び/又はその塩を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸塩、クロトン酸、桂皮酸などの不飽和モノカルボン酸及び/又はその塩;マレイン酸、マレイン酸塩、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸及び/又はその塩;マレイン酸モノブチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸のエチルカルビトールモノエステル、フマル酸のエチルカルビトールモノエステル、シトラコン酸モノブチルエステル、イタコン酸グリコールモノエステルなどの不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜8)エステル及び/又はその塩などが挙げられる。なお、本発明の説明において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味する。
スルホ基及び/又はその塩を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、炭素数2〜30のスルホン酸及び/又はその塩が好ましい。スルホ基及び/又はその塩を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーの具体例としては、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸などの脂肪族又は芳香族ビニルスルホン酸;(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロキシエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などの(メタ)アクリロイル含有アルキルスルホン酸;及びアルキル(メタ)アリルスルホコハク酸エステルなどが挙げられる。
スルホオキシ基及び/又はその塩を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの硫酸エステル;ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレートの硫酸エステルなどが挙げられる。
ホスホノ基及び/又はその塩を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルのリン酸モノエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルのリン酸ジエステル、及び、(メタ)アクリル酸アルキルホスホン酸などが挙げられる。
水酸基を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アリルアルコール、(メタ)プロペニルアルコールなどの炭素数3〜15のモノエチレン性不飽和アルコール;炭素数2〜20のアルキレングリコール、グリセリン、ソルビタン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ポリアルキレン(炭素数2〜4)グリコール(重量平均分子量100〜2000)などの2〜6価のポリオールのモノエチレン性不飽和カルボン酸エステル又はモノエチレン性不飽和エーテルなどが含まれる。これらの具体例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ−オキシエチレン−オキシプロピレンモノ(メタ)アリルエーテルなどが挙げられる。
カルバモイル基を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド;N−メチルアクリルアミドなどのN−アルキル(炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジ−n−又はi−プロピルアクリルアミドなどのN,N−ジアルキル(アルキルの炭素数1〜8)アクリルアミド;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのN−ヒドロキシアルキル(炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミド;N,N−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジヒドロキシアルキル(炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミドが挙げられる。アミドからなる基を有する不飽和モノマーとしては、これらの他に、炭素数5〜10のビニルラクタム(N−ビニルピロリドンなど)なども使用できる。
アミノ基を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、モノエチレン性不飽和モノ−又はジ−カルボン酸のアミノ基含有エステル及びモノエチレン性不飽和モノ−又はジ−カルボン酸のアミノ基含有アミドなどが挙げられる。モノエチレン性不飽和モノ−又はジ−カルボン酸のアミノ基含有エステルとしては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジ(ヒドロキシアルキル)アミノアルキルエステル、モルホリノアルキルエステルなどが使用でき、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、
ジメチルアミノエチルフマレート、ジメチルアミノエチルマレートなどが挙げられる。モノエチレン性不飽和モノ−又はジ−カルボン酸のアミノ基含有アミドとしては、モノアルキル(メタ)アクリルアミドが好ましく、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。アミノ基を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、これらの他に、4−ビニルピリジン及び2−ビニルピリジンなどのビニルピリジンも使用できる。
加水分解により(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーを生成する(a2)加水分解性モノマーとしては、特に限定されないが、加水分解により水溶性置換基となる加水分解性置換基を少なくとも1個有するエチレン性不飽和モノマーが好ましい。加水分解性置換基としては、酸無水物を含む基、エステル結合を含む基及びシアノ基などが挙げられる。
酸無水物を含む基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、炭素数4〜20の不飽和ジカルボン酸無水物等が用いられ、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げられる。エステル結合を含む基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどのモノエチレン性不飽和カルボン酸の低級アルキルエステル;及び、酢酸ビニル、酢酸(メタ)アリルなどのモノエチレン性不飽和アルコールのエステルが挙げられる。シアノ基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、5−ヘキセンニトリルなどの炭素数3〜6のビニル基含有のニトリル化合物が挙げられる。
(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマー及び(a2)加水分解性モノマーとしては、さらに、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、及び、特開2005−95759号公報に記載のものを用いることができる。
(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマー及び(a2)加水分解性モノマーはそれぞれ、単独で、又は、2種以上の混合物として使用してもよい。(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーと(a2)加水分解性モノマーとを併用する場合も同様である。また、(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーと(a2)加水分解性モノマーを併用する場合、これらの含有モル比(a1/a2)は、75/25〜99/1が好ましく、より好ましくは85/15〜95/5、さらに好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。前記含有モル比が、前記範囲内であると、吸収性能がさらに良好となる。
(A)架橋重合体を構成するモノマーとしては、(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマー及び(a2)加水分解性モノマーの他に、これらと共重合可能な(a3)その他のビニルモノマーを用いることができる。前記(a3)その他のビニルモノマーとしては、疎水性ビニルモノマーなどが使用できるが、これらに限定されるわけではない。(a3)その他のビニルモノマーとしては下記の(i)〜(iii)のビニルモノマーなどが用いられる。
(i)炭素数8〜30の芳香族エチレン性モノマー;
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシスチレンなどのスチレン、並びにビニルナフタレン、ジクロルスチレンなどのスチレンのハロゲン置換体など。
(ii)炭素数2〜20の脂肪族エチレンモノマー;
エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセンなどのアルケン;並びに、ブタジエン、イソプレンなどのアルカジエン。
(iii)炭素数5〜15の脂環式エチレンモノマー;
ピネン、リモネン、インデンなどのモノエチレン性不飽和モノマー;並びに、シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどのポリエチレン性ビニル重合性モノマー。
(a3)その他のビニルモノマーとしては、さらに、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、及び、特開2005−95759号公報に記載のものを用いることができる。
(a3)その他のビニルモノマーを用いる場合、(a3)その他のビニルモノマーの含有量(モル%)は、(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマー及び(a2)加水分解性モノマーの合計量(100モル%)に対して、0.01モル%〜5モル%が好ましく、より好ましくは0.05モル%〜3モル%、さらに好ましくは0.08モル%〜2モル%、最も好ましくは0.1モル%〜1.5モル%である。なお、吸収特性の観点から、(a3)その他のビニルモノマーの含有量は、0モル%であることが最も好ましい。
(b)内部架橋剤としては、(b1)エチレン性不飽和基を2個以上有する内部架橋剤;(b2)(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶性置換基及び/又は(a2)加水分解性モノマーの加水分解によって生成する水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも1個有し、且つ、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する内部架橋剤;(b3)(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶性置換基及び/又は(a2)加水分解性モノマーの加水分解によって生成する水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個以上有する内部架橋剤;などを挙げることができる。
前記(b1)エチレン性不飽和基を2個以上有する内部架橋剤としては、炭素数8〜12のビス(メタ)アクリルアミド、炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アクリレート、炭素数2〜10のポリアリルアミン、炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテルなどが挙げられる。これらの具体例としては、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(重合度2〜5)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリン(ジ又はトリ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ジグリセリンジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(b2)(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶性置換基及び/又は(a2)加水分解性モノマーの加水分解によって生成する水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも1個有し、且つ、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する内部架橋剤としては、炭素数6〜8のエポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物、炭素数4〜8の水酸基を有するエチレン性不飽和化合物及び炭素数4〜8のイソシアナト基を有するエチレン性不飽和化合物などが挙げられる。これらの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イソシアナトエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(b3)(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶性置換基及び/又は(a2)加水分解性モノマーの加水分解によって生成する水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個以上有する内部架橋剤としては、多価アルコール、多価グリシジル、多価アミン、多価アジリジン、多価イソシアネートなどを挙げることができる。多価グリシジル化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテルなどが挙げられる。多価アミン化合物としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。多価アジリジン化合物としては、日本触媒社製のケミタイト(登録商標)PZ−33{2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス(3−(1−アジリジニル)プロピネート)}、ケミタイトHZ−22{1,6−ヘキサメチレンジエチレンウレア}、ケミタイトDZ−22{ジフェニルメタン−ビス−4、4’−N、N’−ジエチレンウレア}などが挙げられる。多価イソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。これらの内部架橋剤は単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
(b)内部架橋剤としては、吸収性能(特に吸収量及び吸収速度など)などの観点から、(b1)エチレン性不飽和基を2個以上有する内部架橋剤が好ましく、炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテルがより好ましく、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン又はペンタエリスリトールトリアリルエーテルがさらに好ましく、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルが最も好ましい。
(b)内部架橋剤としては、さらに、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、及び、特開2005−95759号公報に記載のものを用いることができる。
(b)内部架橋剤の含有量(モル%)は、(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマー及び(a2)加水分解性モノマーの合計量(100モル%)に対して、0.001モル%〜5モル%が好ましく、より好ましくは0.005モル%〜3モル%であり、さらに好ましくは0.01モル%〜1モル%である。この範囲であると、吸収性能(特に吸収量及び吸収速度等)がさらに良好となる。
前記(A)架橋重合体は必要に応じて表面架橋がされていてもよい。表面架橋を行うための架橋剤(表面架橋剤)としては、(b)内部架橋剤と同じものが使用できる。表面架橋剤としては、吸水性樹脂粒子の吸収性能などの観点から、前記(b3)(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶性置換基及び/又は(a2)加水分解性モノマーの加水分解によって生成する水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個以上有する架橋剤が好ましく、より好ましくは多価グリシジル、さらに好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテル及びグリセリンジグリシジルエーテル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
表面架橋する場合、表面架橋剤の含有率(質量%)は、(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマー及び/又は(a2)加水分解性モノマー、(b)内部架橋剤、並びに必要により使用する(a3)その他のビニルモノマーの合計質量(100質量%)に対して、0.001質量%〜7質量%が好ましく、より好ましくは0.002質量%〜5質量%、さらに好ましくは0.003質量%〜4質量%である。すなわち、この場合、表面架橋剤の含有率(質量%)の上限は、(a1)及び/又は(a2)、(b)並びに(a3)の合計質量に基づいて、7質量%が好ましく、より好ましくは5質量%、さらに好ましくは4質量%であり、同様に、下限は0.001質量%が好ましく、より好ましくは0.002質量%、さらに好ましくは0.003質量%である。表面架橋剤の含有率が、前記範囲内であれば、さらに吸収性能が良好となる。
前記(A)架橋重合体は、さらに(B)表面改質剤で処理されていてもよい。(B)表面改質剤としては、硫酸アルミニウム、カリウム明礬、アンモニウム明礬、ナトリウム明礬、(ポリ)塩化アルミニウム、これらの水和物などの多価金属化合物;ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンなどのポリカチオン化合物;無機微粒子;(B1)炭化水素基を含有する表面改質剤;(B2)フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する表面改質剤;及び、(B3)ポリシロキサン構造をもつ表面改質剤などが挙げられる。
前記無機微粒子としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、及び、酸化ジルコニウムなどの酸化物、炭化珪素及び炭化アルミニウムなどの炭化物、窒化チタンのような窒化物、及び、これらの複合体(例えば、ゼオライト及びタルクなど)などが挙げられる。これらのうち、酸化物が好ましく、さらに好ましくは酸化ケイ素である。無機微粒子の体積平均粒子径は、10nm〜5000nmが好ましく、より好ましくは30nm〜1000nm、さらに好ましくは50nm〜750nm、最も好ましくは90nm〜500nmである。なお、体積平均粒子経は、動的光散乱法により溶媒中で測定される。具体的には、日機装株式会社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(光源:He‐Neレーザー)を用いて、溶媒シクロヘキサン中で、25℃の温度で測定される。
(B1)炭化水素基を含有する表面改質剤としては、ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂誘導体、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂誘導体、ワックス、長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸及びその塩、長鎖脂肪族アルコール、並びにこれらの2種以上の混合物等が含まれる。
(B2)フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する表面改質剤としては、パーフルオロアルカン、パーフルオロアルケン、パーフルオロアリール、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロアルキルカルボン酸又はその塩、パーフルオロアルキルアルコール、及び、これらの2種以上の混合物等が含まれる。
(B3)ポリシロキサン構造をもつ表面改質剤としては、ポリジメチルシロキサン;ポリオキシエチレン変性ポリシロキサン、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)変性ポリシロキサンなどのポリエーテル変性ポリシロキサン;カルボキシ変性ポリシロキサン;エポキシ変性ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン;アルコキシ変性ポリシロキサン、及び、これらの混合物などが挙げられる。
(B)表面改質剤としては、吸収特性の観点から、(B3)ポリシロキサン構造をもつ表面改質剤、及び、無機微粒子が好ましく、アミノ変性ポリシロキサン、カルボキシ変性ポリシロキサン、及び、シリカがより好ましい。
前記吸水性樹脂粒子の製造方法としては、吸水性樹脂粒子の内部にフマル酸を含有させることができる方法であれば特に限定されない。以下、本発明で使用される前記吸水性樹脂粒子の製造方法の一例として、フマル酸を含有する架橋重合体の製造方法について説明する。
架橋重合体の重合形態としては、従来から知られている方法などが使用でき、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法が適応できる。また、重合時の重合液の形状として、薄膜状及び噴霧状などであってもよい。重合制御の方法としては、断熱重合法、温度制御重合法及び等温重合法などが適用できる。
重合方法として懸濁重合法又は逆相懸濁重合法を適用する場合、必要に応じて、ショ糖エステル、リン酸エステル、ソルビタンエステルなどの従来公知の分散剤、及び、ポバール、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体、酸化ポリエチレンなどの保護コロイドなどを使用できる。また、逆相懸濁重合法の場合、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、トルエン及びキシレンなどの溶媒を使用して重合を行うことができる。重合方法としては、溶液重合法が好ましく、有機溶媒などを使用する必要がなく生産コスト面で有利なことから、水溶液重合法がより好ましい。
重合反応後、反応液から余分な溶媒を除去することで架橋重合体の含水ゲルを得る。含水ゲルは、架橋重合体と水とからなるものである。含水ゲルの水分含有率は特に限定されないが、通常30質量%〜99.9質量%であり、50質量%〜95重量%が好ましい。重合によって得られる含水ゲルは、必要に応じて細断することができる。細断後のゲルの大きさ(最長径)は、50μm〜10cmが好ましく、100μm〜2cmがより好ましく、1mm〜1cmがさらに好ましい。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性がさらに良好となる。細断は、公知の方法で行うことができ、例えば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機などの従来の細断装置を使用して細断できる。
重合に溶媒(有機溶媒、水など)を使用する場合、重合後に溶媒を留去し、架橋重合体の乾燥体を得る。溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有率(質量%)は、架橋重合体(乾燥体)の質量(100質量%)に対して、0質量%〜10質量%が好ましく、より好ましくは0質量%〜5質量%、さらに好ましくは0質量%〜3質量%、最も好ましくは0質量%〜1質量%である。有機溶媒の含有率が、前記範囲内であると、吸水性樹脂粒子の吸収性能(特に保水量)がさらに良好となる。
溶媒に水を含む場合、留去後の水分(質量%)は、架橋重合体(乾燥体)の質量(100質量%)に対して、0質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは1質量%〜10質量%、さらに好ましくは2質量%〜9質量%、最も好ましくは3質量%〜8質量%である。水分(質量%)が、前記範囲内であると、吸収性能及び乾燥後の吸水性樹脂粉末の壊れ性がさらに良好となる。
なお、有機溶媒の含有率及び水分は、赤外水分測定器{(株)KETT社製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W}により加熱したときの加熱前後の測定試料の質量減量から求められる。
溶媒(水を含む。)を留去する方法としては、80℃〜230℃の温度の熱風で留去(乾燥)する方法、100℃〜230℃に加熱されたドラムドライヤーなどによる薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法、赤外線による乾燥法、デカンテーション及び濾過などが適用できる。
前記架橋重合体の内部にフマル酸を含有させる方法としては、例えば、(1)不飽和単量体組成物にフマル酸を添加する方法;(2)不飽和単量体組成物を重合した後、重合後の反応液にフマル酸を添加する方法;(3)不飽和単量体組成物を重合して含水ゲルを調製し、この含水ゲルにフマル酸を添加する方法;が挙げられる。不飽和単量体組成物とは、架橋重合体を構成する単量体などを含有した組成物である。なお、後述するように架橋重合体に表面架橋処理を施す場合、表面架橋処理前にフマル酸を添加する必要がある。
前記(1)の方法において、不飽和単量体組成物にフマル酸を添加する時期は、重合反応前でもよいし、重合反応の途中でもよい。また、重合反応前の不飽和単量体組成物に、フマル酸の一部を添加しておき、反応途中に残りのフマル酸を添加してもよい。なお、フマル酸は、水溶性エチレン性不飽和モノマーとしても使用できるが、重合した場合にはもはや悪臭の抑制機能は発揮しない。そのため、不飽和単量体組成物中のフマル酸は粒子状で存在する必要がある。
前記(2)の方法において、反応液にフマル酸を添加する時期は、重合反応終了直後でもよいし、溶媒を留去している途中でもよい。なお、溶媒を留去している途中としては、脱水工程中、脱水工程直後で有機溶剤を留去する前、有機溶剤を留去している途中などが挙げられる。前記(1)又は(2)の方法では、フマル酸を添加した後、ホモミキサー、バイオミキサーなどの比較的攪拌力の高い装置を用いて、混合することが好ましい。
前記(3)の方法において、含水ゲルにフマル酸を添加する態様としては、調製された含水ゲルにフマル酸を添加する態様;含水ゲルを細断しながらフマル酸を添加する態様;含水ゲルを乾燥させながらフマル酸を添加する態様;などが挙げられる。含水ゲルにフマル酸を添加する場合、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機、SVミキサーなどを用いて混合できる。
フマル酸を添加する際の含水ゲルの水分含有率は50質量%以上が好ましく、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上であり、95質量%以下が好ましく、より好ましくは93質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。含水ゲルの水分含有率が上記範囲内であれば、含水ゲルに対してフマル酸をより均一に混合することができる。
前記(2)、(3)の方法において、フマル酸は、粉体のままで添加してもよいが、フマル酸を溶媒に分散及び/又は溶解させたフマル酸含有液として添加することが好ましい。フマル酸含有液として添加することで、含水ゲルに対してフマル酸をより均一に混合することができる。フマル酸の粉体の体積平均粒子径又は分散液中のフマル酸粒子の体積平均粒子径は0.01μm以上、15μm以下が好ましい。
前記フマル酸含有液中のフマル酸の含有率は、10質量%以上が好ましく、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であり、65質量%以下が好ましく、より好ましくは63質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。フマル酸の含有率が上記範囲内であれば、フマル酸の分散安定性が良好となる。
前記フマル酸含有液の溶媒としては、水、水と親水性有機溶剤との混合溶液などを用いることができる。前記親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトン、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
前記フマル酸含有液がフマル酸分散液である場合、フマル酸分散液は分散剤を含有することが好ましい。前記分散剤としては、分散液において、フマル酸粒子の分散性を向上させる効果を有するものであれば特に限定されず、例えば、高分子型分散剤、界面活性剤型分散剤を用いることができる。前記高分子型分散剤及び界面活性剤型分散剤には、それぞれアニオン性、ノニオン性、カチオン性の分散剤があるが、これらの中でもアニオン性又はノニオン性が好ましい。
前記高分子型分散剤は、分散剤分子の立体障害による反発効果があり、長期間の分散安定性に優れる。前記高分子型分散剤の重量平均分子量は、1,000以上が好ましく、200,000以下が好ましく、より好ましくは100,000以下である。
アニオン性高分子型分散剤としては、ポリカルボン酸(塩)型分散剤、ポリスルホン酸型分散剤などが挙げられる。前記ポリカルボン酸(塩)型分散剤としては、不飽和カルボン酸(共)重合体(例えば、ポリアクリル酸、イソブチレン−マレイン酸共重合体、ジイソブチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)、カルボキシル化多糖体(例えば、カルボキシメチルセルロースなど)、及び、これらの塩(例えば、有機アミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩)が挙げられる。前記ポリスルホン酸型分散剤としては、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸、及び、これらの塩(例えば、有機アミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩)が挙げられる。ノニオン性高分子型分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。カチオン性高分子型分散剤としては、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(共)重合体の無機酸(塩酸、リン酸など)塩又は有機酸(ギ酸、酢酸、乳酸など)塩が挙げられる。なお、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(共)重合体において、窒素原子に結合するアルキル基は炭素数1〜3が好ましく、アルキレン基は炭素数2又は3が好ましい。
前記界面活性剤型分散剤は、フマル酸粒子表面に吸着し、溶媒の濡れ性を高める。前記界面活性剤型分散剤の重量平均分子量は、100以上が好ましく、10,000以下が好ましい。
アニオン性界面活性剤型分散剤としては、カルボン酸(塩)型分散剤、スルホン酸(塩)型分散剤、硫酸エステル塩などが挙げられる。前記カルボン酸(塩)型分散剤としては、炭素数6〜15の脂肪酸の塩(例えば、有機アミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩)が挙げられる。スルホン酸(塩)型分散剤としては、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩(例えば、有機アミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩)が挙げられる。なお、ジアルキルスルホコハク酸塩において、アルキル基の炭素数は6〜15が好ましい。硫酸エステル塩としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩(例えば、有機アミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩)、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩(例えば、有機アミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩)などが挙げられる。なお、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩において、アルキレン基の炭素数は2〜4が好ましく、アルキル基の炭素数は1〜20が好ましい。ノニオン性界面活性剤型分散剤としては、ポリオキシアルキレン型分散剤、多価アルコール型分散剤などが挙げられる。前記ポリオキシアルキレン型分散剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル、ポリオキシエチレン/プロピレンブロックポリマーなどが挙げられる。前記多価アルコール型分散剤としては、多価アルコール脂肪酸エステル、多価アルコールアルキルエステルエーテル、脂肪酸ジアルキロールアミドなどが挙げられる。カチオン性界面活性剤型分散剤としては、4級アンモニウム型分散剤が挙げられる。
これらの中でも、分散剤としては、アニオン性高分子型分散剤、アニオン性界面活性剤型分散剤、ノニオン性界面活性剤型分散剤が好ましく、より好ましくはアニオン性高分子型分散剤、特に好ましくはポリカルボン酸(塩)型分散剤である。
ポリカルボン酸(塩)型分散剤を用いれば、フマル酸粒子分散液中において、より容易に、フマル酸粒子の凝集体を機械的操作によって分裂、摩砕することができるようになる。また、粒子表面に吸着したポリカルボン酸(塩)の解離によって電気二重層が形成され、電気的な反発によりフマル酸粒子の再凝集が抑制される。そのため、フマル酸粒子分散液中におけるフマル酸粒子の分散安定性がより良好となる。
ポリカルボン酸(塩)型分散剤の具体例としては、三洋化成工業社から市販されている「キャリボン(登録商標)B」、「キャリボンL−400」、「キャリボンAR−33」、「サンスパール(登録商標)PS−8」、「グランアップ(登録商標)PC−121」、竹本油脂社から市販されている「UTC−124」、第一工業製薬社から市販されている「シャロール(登録商標)AN−103P」、「シャロールAN−144P」、サンノプコ社から市販されている「シックナーA−818」などが挙げられる。
前記分散剤の使用量は、フマル酸粒子100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上であり、50質量部以下が好ましく、より好ましくは45質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下である。分散剤の使用量が上記範囲内であれば、フマル酸粒子の分散安定性が向上する。一方、分散剤の使用量が50質量部を超えても、分散安定性の向上はもはや見られず経済性に劣り、かつ、分散液が増粘し作業性が低下するおそれがある。
重合方法として溶液重合法を採用する場合、フマル酸を添加する方法としては、前記(2)又は(3)の方法が好ましい。特に、吸収性物品の液漏れを防止する観点から、重合反応直後の反応液に添加する方法又は含水ゲルを細断しながら添加する方法が好ましい。
重合方法として懸濁重合法又は逆相懸濁重合法を採用する場合、前記(1)又は(2)の方法が好ましい。特に、吸収性物品の液漏れを防止する観点から、不飽和単量体組成物にフマル酸を添加する方法、重合反応直後の反応液に添加する方法、反応液から溶媒を除去している途中に添加する方法が好ましい。
架橋重合体の乾燥体は、粉砕することができる。粉砕方法については、特に限定されず、例えば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機などの通常の粉砕装置が使用できる。粉砕された架橋重合体は、必要によりふるい分けなどにより粒度調整できる。
架橋重合体の乾燥体は、必要に応じて表面架橋処理を施してもよい。架橋重合体について、表面架橋処理を施す場合、表面架橋処理は表面架橋剤を含む水溶液を架橋重合体に噴霧又は含浸させた後、加熱処理(100〜200℃)する方法等により達成できる。
架橋重合体は、必要に応じてその表面を表面改質材で処理してもよい。表面改質剤で処理する方法としては、表面改質剤が架橋重合体の表面に存在するように処理する方法であれば、特に限定されない。しかし、表面改質剤は、架橋重合体の含水ゲル又は架橋重合体を重合する前の重合液ではなく、架橋重合体の乾燥体と混合されることが表面の表面改質剤の量をコントロールする観点から好ましい。なお、混合は、均一に行うことが好ましい。
本発明の吸収性物品は、前記フマル酸を含有する吸水性樹脂粒子を備えていれば特に限定されない。前記フマル酸を含有する吸水性樹脂粒子は、同一組成のもののみを用いてもよいし、異なる組成のものを併用してもよい。また、本発明の吸収性物品には、本発明の効果を損なわない程度に、フマル酸を含有しない吸水性樹脂粒子を用いてもよい。この場合、吸収性物品が含有する吸水性樹脂粉末におけるフマル酸を含有する吸水性樹脂粒子の含有率は50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。なお、吸水性樹脂粉末として、フマル酸を含有する吸水性樹脂粒子のみを用いることも好ましい。
吸収性物品中の吸水性樹脂粉末の目付けは、30g/m2以上であることが好ましく、より好ましくは40g/m2以上、さらに好ましくは50g/m2以上であり、600g/m2以下であることが好ましく、より好ましくは580g/m2以下、さらに好ましくは550g/m2以下である。目付けが、30g/m2以上であれば、吸収体の強度がより向上する。目付けが、600g/m2以下であれば、吸収体の風合いがより良好となる。
次に、本発明の吸収性物品の構造について説明する。吸収性物品の構造としては、例えば、前記吸水性樹脂粒子を含有する吸水層を備えた吸収体と、該吸水層の肌面側に配置されたトップシートと、前記吸水層の外面側に配置されたバックシートとを有する構造が挙げられる。
前記吸収体は、体液を吸収し得る。前記吸収体は、少なくとも一層の吸収層から構成される。吸収層は、吸水性材料として、吸水性樹脂粉末を含有し、この吸水性樹脂粉末の少なくとも一部にフマル酸を含有する吸水性樹脂粒子を含有する。前記吸収層は、吸水性材料として、さらに、吸水性繊維を含有してもよい。前記吸水性繊維としては、例えば、パルプ繊維、セルロース繊維、レーヨン、アセテート繊維が挙げられる。前記吸収層は、吸水性樹脂粉末に加えて、繊維基材を含有してもよい。前記繊維基材としては、熱融着繊維などを挙げることができる。熱融着性繊維は、保形性を高めるために使用される。熱融着繊維の具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維や複合繊維などが用いられる。吸水性材料として、吸水性樹脂粉末のみを含有する吸収層は、薄型化が可能である。繊維基材を含有する吸収層は、体液の分散性に優れる。
前記吸収層は、例えば、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維集合層に吸水性樹脂粉末を混合したものを、ティッシュペーパーなどの紙シートまたは液透過性不織布シートに固定する、あるいはこれらの液透過性不織布シートで包み、長方形、砂時計型、ひょうたん型、羽子板型等の所定形状に成形することにより得られる。
前記吸水層および吸収体の平面視形状は特に限定されず、例えば、長方形型、砂時計型、ひょうたん型、羽子板型などが挙げられる。また、吸収体は、前記吸水層の他に、吸水性樹脂粉末を固定するための接着剤層を有していてもよい。
前記トップシートは、吸収性物品の最も着用者側に配置されるものであり、着用者の体液を速やかに捕捉して吸収体へと移動させる。前記トップシートは、透液性のシート材料、例えば、親水性繊維により形成された不織布が使用できる。トップシートとして利用される不織布は、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布であり、これらの不織布を形成する親水性繊維としては通常、セルロースやレーヨン、コットン等が用いられる。なお、トップシートとして、表面を界面活性剤により親水化処理した疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された透液性の不織布が用いられてもよい。
バックシートは、吸収性物品の最も外面側に配置されるものであり、体液等が外部に漏れだすことを防止する。バックシートに使用される不透液性シートとしては、例えば、疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルムが利用され、不透液性シートに到達した体液が、吸収性物品の外側にしみ出すのを防止する。不透液性シートにプラスチックフィルムが利用される場合、ムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。また、さらなる拡散性付与、形状安定性のために、プラスチックフィルムと、吸収体との間に紙シートを配置してもよい。
次に、本発明の吸収性物品の具体的な適用例について説明する。本発明の吸収性物品としては、例えば、使い捨ておむつ、失禁パッド、生理用ナプキンなどの人体から排出される体液を吸収するために用いられる吸収性物品が挙げられる。
前記吸収性物品が、失禁パッド、生理用ナプキンである場合、これらは、例えば、トップシートとバックシートとの間に、吸収体が配置される。失禁パッド、生理用ナプキンの形状としては、略長方形、砂時計型、ひょうたん型などが挙げられる。また、必要に応じて、前記透液性のトップシートの幅方向両側に不透液性のサイドシートが設けられていてもよい。サイドシートは、トップシートの幅方向両側の上面に接合され、接合点より幅方向内方のサイドシートは、吸収体の両側縁に沿って一対の立ち上がりフラップを形成する。
前記吸収性物品が使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつとしては、例えば、後背部または前腹部の左右に一対の止着部材が設けられ、当該止着部材により着用時にパンツ型に形成するテープ型使い捨ておむつ;前腹部と後背部とが接合されることによりウェスト開口部と一対の脚開口部とが形成されたパンツ型使い捨ておむつ;などが挙げられる。
吸収性物品が、使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつは、例えば、内側シートと外側シートとからなる積層体が前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とからなるおむつ本体を形成し、前記股部に、トップシートとバックシートとの間に吸収体が配置されていてもよい。また、使い捨ておむつは、例えば、トップシートとバックシートとの間に、吸収体が配置された積層体からなり、この積層体が前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とを有していてもよい。なお、前腹部、後背部、股部とは、使い捨ておむつを着用の際に、着用者の腹側に当てる部分を前腹部と称し、着用者の尻側に当てる部分を後背部と称し、前腹部と後背部との間に位置し着用者の股間に当てる部分を股部と称する。前記内側シートは、親水性または撥水性であることが好ましく、前記外側シートは、撥水性であることが好ましい。
吸収性物品には、吸収体の両側縁部に沿って、立ち上がりフラップが設けられていることが好ましい。立ち上がりフラップは、例えば、吸収体の上面の幅方向両側縁部に設けられてもよく、吸収体の幅方向両外側に設けられてもよい。立ち上がりフラップを設けることにより、体液の横漏れを防ぐことができる。立ち上がりフラップは、トップシートの幅方向両側に設けられたサイドシートの内方端が立ち上げられて、形成されてもよい。前記立ち上がりフラップおよびサイドシートは、撥水性であることが好ましい。
次に、本発明の吸収性物品について、失禁パッドを例に挙げ、図1、2を参照して説明する。図1は、失禁パッドの平面図を表す。図2は、図1の失禁パッドのV−V断面図を表す。なお、図では、矢印Bを幅方向とし、矢印Aを長手方向と定義付ける。また、矢印A,Bにより形成される面上の方向を、平面方向と定義付ける。
失禁パッド11は、液透過性のトップシート12と、不透液性のバックシート13と、これらの間に配置された吸収体1とを有している。吸収体1は、フマル酸を含有する吸水性樹脂粒子2および繊維基材3をティッシュペーパー14に固定することで形成されている。
トップシート12は、着用者の股部の肌に面するように配置され、着用者の体液を透過する。トップシート12を通過した体液は、吸収体1に取り込まれ、フマル酸を含有する吸水性樹脂粒子2に吸収される。
トップシート12の幅方向Bの両側縁には、失禁パッド11の長手方向Aに延在するサイドシート15が接合している。サイドシート15は、液不透過性のプラスチックフィルムや撥水性不織布等により構成される。サイドシート15には、失禁パッド11の幅方向内方端に起立用弾性部材16が設けられている。失禁パッド11の使用時には、起立用弾性部材16の収縮力によりサイドシート15の内方端が着用者の肌に向かって立ち上がり、これにより体液の横漏れが防止される。
なお、図2では、吸収性物品11が1つの吸収体1を有する態様を図示しているが、吸収体1を2以上配置してもよい。また、図2では吸水性樹脂粒子2および繊維基材3をティッシュペーパー14に固定して吸収体1を形成しているが、これらの吸水性樹脂粒子2および繊維基材3はティッシュペーパー14で覆われていてもよい。また、図2では吸収体1が一層の吸収層を有する態様を図示しているが、吸収体1の構成はこれに限られるものではない。
本発明の吸収性物品の具体例としては、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッドなどの人体から排出される体液を吸収するために用いられる吸収性物品を挙げることができる。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(保水量の測定方法)
保水量の測定は、JIS K 7223(1996)に準拠して行う。目開き63μmのナイロン網(JIS Z8801−1:2000)を幅10cm、長さ40cmの長方形に切断して長手方向中央で二つ折りにし、両端をヒートシールして幅10cm(内寸9cm)、長さ20cmのナイロン袋を作製する。測定試料1.00gを精秤し、作製したナイロン袋の底部に均一になるように入れる。試料の入ったナイロン袋を、生理食塩水に浸漬させる。浸漬開始から60分後にナイロン袋を生理食塩水から取り出し、1時間垂直状態に吊るして水切りした後、遠心脱水器(コクサン(株)製、型式H−130C特型)を用いて脱水する。脱水条件は、143G(800rpm)で2分間とする。脱水後の質量R1(g)を測定する。また、試料を用いないで同様の操作を行い、そのときの質量R0(g)を測定する。そして、これら質量R1、R0及び試料の質量から、次式に従って、目的とする保水量を算出する。
保水量(g/g)=(R1−R0−試料の質量)/試料の質量
(SDME法による表面ドライネス値)
人工尿(塩化カリウム0.03質量%、硫酸マグネシウム0.08質量%、塩化ナトリウム0.8質量%及び脱イオン水99.09質量%)の中に吸収性物品を浸し、十分に湿らせた吸収性物品を作製した。また、吸収性物品を80℃、2時間加熱乾燥して、十分に乾燥させた吸収性物品を作製した。十分に湿らせた吸収性物品の上(幅方向中央かつ長さ方向中央)に、SDME(Surface Dryness Measurement Equipment)試験器(WK system社製)の検出器を置き、0%ドライネス値を設定した。次に、十分に乾燥させた吸収性物品の上(幅方向中央かつ長さ方向中央)に、SDME試験器の検出器を置き100%ドライネスを設定し、SDME試験器の校正を行った。次に、測定する吸収性物品の中央に金属リング(内径70mm、長さ50mm)をセットし、人工尿45mlを注入した。吸収性物品が人口尿を吸収し終えた後、直ちに金属リングを取り去り、吸収性物品の中央にSDME検出器を載せて、表面ドライネス値の測定を開始し、測定開始から5分後の値を表面ドライネス値とした。なお、人工尿、測定雰囲気及び放置雰囲気は、25±5℃、65±10%RHで行った。
(臭気強度)
幅5cm、長さ5cmに加工した吸収性物品に、尿5mlを3回に分けて吸収させた。尿を吸収させた吸収性物品を試験者の内股に、トップシート(透液性不織布)が皮膚に当接するようにあてがい、16時間放置した。16時間経過後、吸収性物品を取り外し、密閉できるストック袋(旭化成ホームプロダクツ社製、ジップロック(登録商標)ストックバッグ)に入れ、36.5℃に設定した恒温槽内で32時間放置した。32時間経過後、吸収性物品について臭気強度を下記の6段階で評価した。評価は、それぞれ20人の試験者が行い、20人の評価の平均をその吸収性物品の評価値とした。
<臭気強度の評価基準>
0:無臭。
1:何とか感知できる程度の臭い。
2:何の臭いであるか理解できるが、弱い臭い。
3:容易に感知できる臭い。
4:強く臭う。
5:強烈に臭う。
[フマル酸含有液、フマル酸粒子の調製]
フマル酸分散液(1)
室温の蒸留水47.5gと、分散剤としてのキャリボン(登録商標)B(ポリカルボン酸(塩)型分散剤、固形分濃度40質量%、三洋化成工業社製)12.5gとを含む混合液を調製した。ここに、フマル酸40gを投入し、ホモジナイザー(日本精機製作所製、バイオミキサーBM−2)を用いてフマル酸粒子の体積平均粒子径が2μmになるまで粉砕し、分散させた。さらに、蒸留水を追加し、フマル酸濃度を1.0質量%に調整したフマル酸分散液(1)を得た。なお、分散剤の含有量は、フマル酸100質量部に対して12.5質量部である。分散液中のフマル酸の体積平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分析計(日機装社製、MT3000II)を用いて測定した。
フマル酸分散液(2)〜(4)
フマル酸粒子の体積平均粒子径を、それぞれ8μm、13μm、18μmに変更したこと以外は、フマル酸分散液(1)と同様にして、フマル酸分散液(2)〜(4)を調整した。
フマル酸溶液(1)
水100gとエタノール100gとを混合し、得られた混合液の液温を50℃に調整した。液温を調整した混合液に、フマル酸1.0gを投入し、マグネチック超音波スターラ USS−2(日本精機製作所製)を用いて撹拌して、フマル酸を完全に溶解させ、フマル酸溶液(1)を調製した。
[吸水性樹脂粒子の作製]
吸水性樹脂粒子(1)
水溶性エチレン性不飽和モノマー(a1−1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}155質量部(2.15モル部)、内部架橋剤(b1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソー株式会社製}0.6225質量部(0.0024モル部)及び脱イオン水340.27質量部を攪拌・混合しながら1℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を0.5ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.62質量部、2質量%アスコルビン酸水溶液1.1625質量部及び2質量%の2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]水溶液2.325質量部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が90℃に達した後、90±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)(含有水分率:68.9質量%)を得た。
次にこの含水ゲル(1)500質量部をミンチ機(ROYAL社製、12VR−400K)で細断しながら48.5質量%水酸化ナトリウム水溶液128.42質量部を添加して混合し、引き続き1.0質量%に調整したフマル酸分散液(1)190質量部(フマル酸純分1.9質量部)を添加して混合し、細断ゲル(1)を得た。さらに細断ゲル(1)を通気型バンド乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製、OSTERIZER
BLENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子を得た。
この乾燥体粒子100質量部を高速攪拌(細川ミクロン製、高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2質量%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの質量比=70/30)の5質量部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋することにより、吸水性樹脂粒子(1)を得た。吸水性樹脂粒子(1)の重量平均粒子径は395μmであり、見掛け密度は0.58g/mlであった。
吸水性樹脂粒子(2)〜(4)
フマル酸分散液(1)を、フマル酸分散液(2)、(3)又は(4)に変更したこと以外は吸水性樹脂粒子(1)と同様にして、吸水性樹脂粒子(2)〜(4)を作製した。
吸水性樹脂粒子(5)〜(7)
吸水性樹脂粒子中のフマル酸含有量を0.1質量%、8質量%又は12質量%に変更したこと以外は、吸水性樹脂粒子(2)と同様にして、吸水性樹脂粒子(5)〜(7)を作製した。フマル酸含有量は、フマル酸分散液(2)の添加量により調整した。
吸水性樹脂粒子(8)
フマル酸分散液(1)を、フマル酸溶液(1)に変更したこと以外は吸水性樹脂粒子(1)と同様にして、吸水性樹脂粒子(8)を作製した。
吸水性樹脂粒子(9)
吸水性樹脂粒子中のフマル酸含有量を12質量%に変更したこと以外は、吸水性樹脂粒子(8)と同様にして、吸水性樹脂粒子(9)を作製した。
吸水性樹脂粒子(10)
フマル酸分散液(2)から水分を除去し、体積平均粒子径8μmのフマル酸粒子の粉体を得た。フマル酸分散液(1)に代えてフマル酸粒子の粉体を添加し、吸水性樹脂粒子中のフマル酸含有量を8質量%に変更したこと以外は、吸水性樹脂粒子(1)と同様にして、吸水性樹脂粒子(10)を作製した。
吸水性樹脂粒子(11)
水溶性エチレン性不飽和モノマー(a1−1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}155質量部(2.15モル部)、内部架橋剤(b1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソー株式会社製}0.6225質量部(0.0024モル部)及び脱イオン水340.27質量部を攪拌・混合しながら1℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を0.5ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.62質量部、2質量%アスコルビン酸水溶液1.1625質量部及び2質量%の2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]水溶液2.325質量部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が90℃に達した後、90±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(2)を得た。
次にこの含水ゲル(2)500質量部をミンチ機(ROYAL社製、12VR−400K)で細断しながら48.5質量%水酸化ナトリウム水溶液128.42質量部を添加して混合し、細断ゲル(2)を得た。さらに細断ゲル(2)を通気型バンド乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製、OSTERIZER
BLENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子を得た。
この乾燥体粒子100質量部を高速攪拌(細川ミクロン製、高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2質量%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの質量比=70/30)の5質量部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋した。表面架橋後の粒子に、フマル酸分散液(1)190質量部(フマル酸純分1.9質量部)を吹き付け、乾燥させることにより、吸水性樹脂粒子(11)を得た。吸水性樹脂粒子(11)の重量平均粒子径は395μmであり、見掛け密度は0.60g/mlであった。
吸水性樹脂粒子(12)、(13)
フマル酸分散液(1)を、フマル酸分散液(2)又は(3)に変更したこと以外は吸水性樹脂粒子(1)と同様にして、吸水性樹脂粒子(12)、(13)を作製した。
[吸収性物品の作製]
非透液性シートの上に合成ゴム系ホットメルト接着剤を塗布し、この上にティッシュペーパーを積層した。前記ティッシュペーパー上に合成ゴム系ホットメルト接着剤を塗布した後、パルプと表1に示す吸水性樹脂粒子を混合した状態で散布(吸水性樹脂粒子の目付け100g/m2)し、吸水層を形成した。この吸収層の上に合成ゴム系ホットメルト接着剤を塗布し、この上にティッシュペーパーを積層した。ティッシュペーパー上にさらに合成ゴム系ホットメルト接着剤を塗布し、透液性不織布を積層して吸収性物品を形成した。
吸収性物品1〜13について、臭気強度、SDME法による表面ドライネス値を評価し、結果を表1に示した。
表1に示すように、体積平均粒子径15μm以下のフマル酸粒子を内部に含有している吸水性樹脂粒子を用いた吸収性物品1〜7、9および10では、フマル酸により腐敗菌の繁殖が抑制され、臭気強度が弱くなっている。これらの中でも、吸水性樹脂粒子中のフマル酸含有量が8質量%以下である吸収性物品1〜7では、吸水性樹脂粒子の吸収性能が良く、ドライネス値も高かった。
これに対して、吸水性樹脂粒子に含有されるフマル酸の粒子が18μmと大きい吸収性物品8では、フマル酸による腐敗菌の繁殖抑制効果が充分に発揮されない。そのため、フマル酸の含有量が8質量%と大きいにもかかわらず、臭気強度が高くなった。また、吸水性樹脂粒子の表面にフマル酸粒子を担持させた吸収性物品11〜13では、吸水性樹脂粒子内部での腐敗菌の繁殖が抑制されないため、臭気強度が高くなった。