JP6200825B2 - 駆動装置の冷却構造 - Google Patents

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Description

本発明は、ケーシング内に配置された変速機及び電動機を備える駆動装置の冷却構造に関する。
従来、駆動源としてのエンジン(内燃機関)及びモータ(電動機)を備えたハイブリッド車両の駆動装置がある。このようなハイブリッド車両の駆動装置には、車両駆動用のモータ(メインモータ)の大型化を避けるため、又はエンジンの始動性を向上させるために、上記のメインモータに加えてエンジンを始動する始動用モータを設けたものがある。このような始動用モータを追加したハイブリッド車両の駆動装置では、エンジンを始動する機能をメインモータではなく始動用モータが担っている。また、この始動用モータは、エンジンを始動する機能だけでなく、エンジンの始動後に該エンジンの駆動力を受けて発電する発電機能も備えている。
ところで、上記の始動用モータは通電時に発熱することで熱源となるため、その性能を維持するために適切な冷却構造が必要となる。これに関して、従来の技術では、上記の始動用モータの冷却を空冷や水冷や油冷などで行っている。空冷や水冷は、始動用モータの雰囲気の温度(周囲の気温)を低下させることで冷却を行っている。また、油冷は、始動用モータの側面(モータハウジングの外側面)から潤滑油を供給して冷却を行っている。しかしながら、従来の油冷による冷却では、始動用モータにおける冷却される箇所(位置)が限定されてしまううえに、冷却範囲が小さく冷却の効率があまり優れていなかった。
なお、特許文献1には、モータの冷却構造としてモータの回転軸内に油路を設けてモータを冷却する構造が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の冷却構造では、モータの通電時における発熱で高温になった潤滑油(作動油)がモータのハウジング内に滞在する。そのため、冷却効果が著しく落ちるという問題がある。また、多量の潤滑油がモータのハウジング内に滞在することで、モータの構成部品の回転に伴う攪拌抵抗の増加を招くおそれがある。
特開2004−364428号公報
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で電動機の効率的な冷却が可能となる駆動装置の冷却構造を提供することにある。
本発明にかかる駆動装置の冷却構造は、車両の駆動源(2)の駆動力の回転を変速して駆動輪側に伝達する変速機(4)と、変速機(4)を収容してなるケーシング(7)と、ケーシング(7)内で変速機(4)の上方に配置された電動機(200)と、を備える駆動装置の冷却構造であって、電動機(200)の構成部品を収容するハウジング(201)と、ハウジング(201)内で軸受(204)を介して該ハウジング(201)に回転自在に支持された駆動軸(210)と、ハウジング(201)内で駆動軸(210)に固定されたロータ(202)と、ハウジング(201)内でロータ(202)の外周側に配設されてハウジング(201)に固定されたステータ(203)と、駆動軸(210)内に形成された軸方向に延びる第1油路(211)と、軸方向におけるロータ(202)の両側に設けられ、径方向において第1油路(211)から駆動軸(210)の外周面(210b)まで延びる第2油路(212)と、ハウジング(201)の底部(201a)におけるステータ(203)に対する軸方向の一方側に形成された第1排出穴(221)及び軸方向の他方側に形成された第2排出穴(222)と、第1油路(211)に油圧源(8)からの潤滑油を供給する潤滑油供給部材(20)と、を備え、潤滑油供給部材(20)から第1油路(211)に供給された潤滑油が第2油路(212)からハウジング(201)の内部に吐出されて、第1排出穴(221)及び第2排出穴(222)からハウジング(201)の外部に排出されるように構成したことを特徴とする。
本発明にかかる駆動装置の冷却構造によれば、潤滑油供給部材から第1油路に供給された潤滑油が第2油路からハウジングの内部に吐出されるように構成したことで、電動機のハウジング内の発熱部をハウジングの内部から冷却することができる。それに加えて、電動機のハウジングに第1、第2排出穴を設けたことで、熱源の冷却によって高温となった潤滑油をハウジングから速やかに排出できる。これらにより、電動機の熱源を効率良く冷却することができる。また、第1、第2排出穴を設けたことで、ハウジング内の回転部品による潤滑油の攪拌を低減できる。また、第1、第2排出穴から排出された潤滑油がケーシング内で電動機の下方に設置した変速機の構成部品に供給されるので、当該潤滑油で変速機の構成部品の冷却及び潤滑を行うことが可能となる。これにより、駆動装置のケーシング内の冷却構造や潤滑構造の簡素化を図りながらも、構成部品の効果的な冷却及び潤滑が可能となる。
また、上記の駆動装置の冷却構造では、ハウジング(201)は、駆動軸(210)の軸方向におけるステータ(203)の一方の側面(202c)に当接する段部(201c)を備え、段部(201c)は、ハウジング(201)の周方向において少なくともその一部が第1排出穴(221)又は第2排出穴(222)と重なる位置に配置されているとよい。
この構成によれば、電動機の組立工程においてハウジング内にステータを挿入して組み付ける際、第1排出穴又は第2排出穴を介してステータがハウジングの段部に当接することをハウジングの外部から目視で確認できるようになるので、電動機の組立効率の向上を図ることができる。
また、上記の駆動装置の冷却構造では、第1排出穴(221)又は第2排出穴(222)は、軸方向の寸法(D11、D12)よりもハウジング(201)の周方向の寸法(D2)の方が小さな寸法に形成されていてよい。
この構成によれば、第1排出穴又は第2排出穴における軸方向の寸法よりも周方向の寸法を小さな寸法に形成したことで、軸方向の寸法によって潤滑油の排出性を確保しながらも、周方向の寸法を制限することによってハウジングの外周に沿う位置の効果的な冷却が可能となる。したがって、ハウジング内に潤滑油が溜まることによるロータの回転に伴う潤滑油の攪拌を効果的に防止しながらも、ステータ又はロータの外周の冷却を満遍なく行うことができる。
また、上記の駆動装置の冷却構造では、変速機(4)は、断接装置(C1,C2)を介して駆動源(2)からの駆動力を伝達する回転軸(IMS,OMS,RVS)と、回転軸(IMS,OMS,RVS)上に配置された一又は複数の同期装置(81〜85)を介して回転軸(IMS,OMS,RVS)に選択的に連結される駆動ギヤ(42〜47,58)を含む変速機構(G1,G2,GR)と、駆動輪側に駆動力を出力する出力軸(CS)と、出力軸(CS)上に配置され、駆動ギヤ(42〜47,58)と噛合する従動ギヤ(51〜55)と、同期装置(81〜85)を操作する操作機構(100)と、を備え、操作機構(100)は、同期装置(81〜85)を操作するためのシフト部材(131〜135)と、シフト部材(131〜135)に係合する係合片(121〜125)と、係合片(121〜125)を駆動するためのアクチュエータ機構(110)と、を備え、第1排出穴(221)がシフト部材(131〜135)及び係合片(121〜135)の上方に配置されており、第2排出穴(222)が同期装置(81〜85)の上方に配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1排出穴から排出された潤滑油が操作機構のシフト部材及び係合片に供給され、第2排出穴から排出された潤滑油が変速機の同期装置に供給される。したがって、第1排出穴及び第2排出穴から排出された潤滑油は、同期装置やその操作機構を潤滑するための潤滑油として用いられる。これにより、同期装置や操作機構を潤滑するための専用の潤滑機構を有しない場合でも、同期装置や操作機構の構成部品の係合や摺動による摩耗等を効果的に低減でき、それらの耐久性の向上を図ることができる。
また、上記の駆動装置の冷却構造では、駆動源は、内燃機関(2)であり、電動機は、内燃機関(2)の始動が可能な電動機(200)であり、駆動源(2)と電動機(200)との間で動力を伝達するための動力伝達経路(U1)を備え、潤滑油供給部材(20)から第1油路(211)に供給された潤滑油の一部が動力伝達経路(U1)に供給されるように構成してよい。
この構成によれば、潤滑油供給部材から第1油路に供給された潤滑油の一部が動力伝達経路(U1)に供給されるように構成したことで、電動機の動力を伝達する動力伝達経路の冷却構造の簡素化を図ることができる。
またこの場合、動力伝達経路(U1)は、第1ワンウェイクラッチ(OWC1)と断接装置(C2)を介して内燃機関(2)の機関出力軸(2a)に接続されていると共に、駆動軸(210)と同軸上に設置された第1回転要素(S)と、断接装置(C2)を介して内燃機関(2)の機関出力軸(2a)に対して断接切替可能に接続された第2回転要素(C)と、第2ワンウェイクラッチ(OWC2)を介してケーシング(7)に接続された第3回転要素(R)とを有する遊星歯車式の減速機構(PG)を備え、第1油路(211)と連通すると共に、駆動軸(210)の軸方向に延びる第3油路(213)と、径方向において第3油路(213)から少なくとも第1回転要素(S)に対応する位置まで延びる第4油路(214)と、を備え、第1油路(211)に供給された潤滑油の一部が第3油路(213)及び第4油路(214)で減速機構(PG)の第1回転要素(S)に供給されるようにしてよい。
この構成によれば、電動機に供給される潤滑油の油路を動力伝達経路の減速機構の回転要素まで延ばすことにより、簡単な構成で、動力伝達経路の効果的な冷却及び潤滑が可能となる。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態における構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
本発明にかかる駆動装置の冷却構造によれば、簡単な構成で、電動機の効率的な冷却が可能となる。
本発明の一実施形態にかかる冷却構造を備えた駆動装置の構成例を示すスケルトン図である。 駆動装置の構成例を示す側断面図である。 ギヤ操作機構の一部を示す部分拡大図である。 メインモータと変速機を互いに分離した状態で示す斜視図である。 電動機及びその周辺の部分拡大側断面図である。 電動機を軸方向から見た概略の断面図(図5のA−A矢視断面図)である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる冷却構造を備えた駆動装置のスケルトン図である。また、図2は、駆動装置の構成を示す側断面図である。本実施形態の駆動装置1は、図1に示すように、駆動源としてのエンジン(内燃機関)2と、エンジン2のクランク軸(機関出力軸)2aに第1クラッチ(断接装置)C1を介して接続された車両駆動用のメインモータ(電動機)3とを備えるハイブリッド車両の駆動装置であって、さらに、メインモータ3とは別に、エンジン2を始動するための電動機(サブモータ)200を備えている。
また、本実施形態の駆動装置1は、ツインクラッチ式の変速機4を備えている。この変速機4は、前進7速、後進1速の平行軸式トランスミッションであり、乾式のツインクラッチ式変速機(DCT:デュアルクラッチトランスミッション)である。
エンジン2は、燃料を空気と混合して燃焼することにより車両を走行させるための駆動力を発生する内燃機関である。メインモータ3は、エンジン2とメインモータ3との協働走行やメインモータ3のみの単独走行の際には、高圧バッテリ(図示せず)の電気エネルギーを利用して車両を走行させるための駆動力を発生するモータとして機能するとともに、車両の減速時には、メインモータ3の回生により電力を発電する発電機として機能する。メインモータ3の回生時には、高圧バッテリは、メインモータ3により発電された電力(回生エネルギー)により充電される。
〔変速機〕
変速機4には、エンジン2のクランク軸2a及びメインモータ3に接続される内側メインシャフト(第1入力軸)IMSと、この内側メインシャフトIMSの外筒をなす外側メインシャフト(第2入力軸)OMSと、内側メインシャフトIMSにそれぞれ平行なセカンダリシャフト(第2入力軸)SS、アイドルシャフトIDS、リバースシャフトRVSと、これらのシャフトに平行で出力軸をなすカウンタシャフトCSとが設けられる。
これらのシャフトのうち、外側メインシャフトOMSがアイドルシャフトIDSを介してリバースシャフトRVSおよびセカンダリシャフトSSに常時係合し、カウンタシャフトCSがさらにディファレンシャル機構5(図2参照)に常時係合するように配置される。
また、変速機4は、発進用クラッチとして、奇数段用の第1クラッチ(第1断接装置)C1と、偶数段用の第2クラッチ(第2断接装置)C2とを備える。第1クラッチC1は内側メインシャフトIMSに結合される。第2クラッチC2は、外側メインシャフトOMS(第2入力軸の一部)に結合され、外側メインシャフトOMS上に固定されたギヤ48からアイドルシャフトIDSを介してリバースシャフトRVSおよびセカンダリシャフトSS(第2入力軸の一部)に連結される。
内側メインシャフトIMSのメインモータ3よりの所定箇所には、プラネタリギヤ機構70のサンギヤ71が固定配置される。プラネタリギヤ機構70の径方向の外側には、中空のメインモータ3が配置されており、当該メインモータ3は、ステータMGaと、ステータMGaの径方向の内側に配置されたロータMGbとを備える。ステータMGaは、その外周をケーシング7にボルト固定されたステータケース12(図4参照)によって支持されている。ロータMGbは、プラネタリギヤ機構70の軸方向の一方側に位置して径方向の内側に延びるロータハブ11(図4参照)によって支持されており、このロータハブ11が内側メインシャフトIMSにスプライン結合することによって、ロータMGbと内側メインシャフトIMSとの動力伝達を可能としている。
また、内側メインシャフトIMSの外周には、図1において左側から順に、プラネタリギヤ機構70のピニオン74を支持するキャリア73と、3速駆動ギヤ43と、7速駆動ギヤ47と、5速駆動ギヤ45が配置される。3速駆動ギヤ43、7速駆動ギヤ47、5速駆動ギヤ45はそれぞれ内側メインシャフトIMSに対して相対的に回転可能であり、3速駆動ギヤ43は、プラネタリギヤ機構70のキャリア73に連結しており、1速駆動ギヤとしても兼用される。更に、内側メインシャフトIMS上には、3速駆動ギヤ43と7速駆動ギヤ47との間に3−7速シンクロメッシュ機構(同期装置)81が軸方向にスライド可能に設けられ、かつ、5速駆動ギヤ45に対応して5速シンクロメッシュ機構(同期装置)82が軸方向にスライド可能に設けられる。所望のギヤ段に対応するシンクロメッシュ機構(同期装置)をスライドさせて該ギヤ段のシンクロを入れることにより、該ギヤ段が内側メインシャフトIMSに連結される。内側メインシャフトIMSに関連して設けられたこれらのギヤ及びシンクロメッシュ機構によって、奇数段の変速を行うための第1変速機構G1が構成される。第1変速機構G1の各駆動ギヤは、カウンタシャフトCS上に設けられた対応する従動ギヤに噛み合い、カウンタシャフトCSを回転駆動する。
セカンダリシャフトSS(第2入力軸)の外周には、図1において左側から順に、2速駆動ギヤ42と、6速駆動ギヤ46と、4速駆動ギヤ44とが相対的に回転可能に配置される。更に、セカンダリシャフトSS上には、2速駆動ギヤ42と6速駆動ギヤ46との間に2−6速シンクロメッシュ機構(同期装置)83が軸方向にスライド可能に設けられ、かつ、4速駆動ギヤ44に対応して4速シンクロメッシュ機構(同期装置)84が軸方向にスライド可能に設けられる。この場合も、所望のギヤ段に対応するシンクロメッシュ機構(同期装置)をスライドさせて該ギヤ段のシンクロを入れることにより、該ギヤ段がセカンダリシャフトSS(第2入力軸)に連結される。セカンダリシャフトSS(第2入力軸)に関連して設けられたこれらのギヤ及びシンクロメッシュ機構によって、偶数段の変速を行うための第2変速機構G2が構成される。第2変速機構G2の各駆動ギヤも、カウンタシャフトCS上に設けられた対応する従動ギヤに噛み合い、カウンタシャフトCSを回転駆動する。なお、セカンダリシャフトSSに固定されたギヤ49はアイドルシャフトIDS上のギヤ57に結合しており、アイドルシャフトIDSから外側メインシャフトOMSを介して第2クラッチC2に結合される。
リバースシャフトRVSの外周には、リバース駆動ギヤ58が相対的に回転可能に配置される。また、リバースシャフトRVS上には、リバース駆動ギヤ58に対応してリバースシンクロメッシュ機構(同期装置)85が軸方向にスライド可能に設けられ、また、アイドルシャフトIDSに係合するギヤ50が固定されている。リバース走行する場合は、シンクロメッシュ機構85のシンクロを入れて、第2クラッチC2を係合することにより、第2クラッチC2の回転が外側メインシャフトOMS及びアイドルシャフトIDSを介してリバースシャフトRVSに伝達され、リバース駆動ギヤ58が回転される。リバース駆動ギヤ58は内側メインシャフトIMS上のギヤ56に噛み合っており、リバース駆動ギヤ58が回転するとき内側メインシャフトIMSは前進時とは逆方向に回転する。内側メインシャフトIMSの逆方向の回転はプラネタリギヤ機構70に連結したギヤ(3速駆動ギヤ)43を介してカウンタシャフトCSに伝達される。
カウンタシャフトCS上には、図1において左側から順に、2−3速従動ギヤ51と、6−7速従動ギヤ52と、4−5速従動ギヤ53と、パーキング用ギヤ54と、ファイナル駆動ギヤ55とが固定的に配置される。ファイナル駆動ギヤ55は、ディファレンシャル機構5のディファレンシャルリングギヤ(図示せず)と噛み合うようになっており、これにより、カウンタシャフトCSの回転がディファレンシャル機構5の入力軸(車両推進軸)に伝達される。また、プラネタリギヤ機構70のリングギヤ75には、該リングギヤ75の回転を停止するためのブレーキ41が設けられる。
上記構成の変速機4では、2−6速シンクロメッシュ機構83のシンクロスリーブを左方向にスライドすると、2速駆動ギヤ42がセカンダリシャフトSSに結合され、右方向にスライドすると、6速駆動ギヤ46がセカンダリシャフトSSに結合される。また、4速シンクロメッシュ機構84のシンクロスリーブを右方向にスライドすると、4速駆動ギヤ44がセカンダリシャフトSSに結合される。このように偶数の駆動ギヤ段を選択した状態で、第2クラッチC2を係合することにより、変速機4は偶数の変速段(2速、4速、又は6速)に設定される。
3−7速シンクロメッシュ機構81のシンクロスリーブを左方向にスライドすると、3速駆動ギヤ43が内側メインシャフトIMSに結合されて3速の変速段が選択され、右方向にスライドすると、7速駆動ギヤ47が内側メインシャフトIMSに結合されて7速の変速段が選択される。また、5速シンクロメッシュ機構82のシンクロスリーブを右方向にスライドすると、5速駆動ギヤ45が内側メインシャフトIMSに結合されて5速の変速段が選択される。シンクロメッシュ機構81、82がいずれのギヤ43、47、45も選択していない状態(ニュートラル状態)では、プラネタリギヤ機構70の回転がキャリア73に連結したギヤ43を介してカウンタシャフトCSに伝達され、1速の変速段が選択されることになる。このように奇数の駆動ギヤ段を選択した状態で、第1クラッチC1を係合することにより、変速機4は奇数の変速段(1速、3速、5速、又は7速)に設定される。
〔動力伝達ユニット〕
また、本実施形態の駆動装置1は、電動機200とエンジン2のクランク軸2aとの間に設置した動力伝達ユニット(動力伝達経路)U1を備えている。本実施形態では、動力伝達ユニットU1の第1ワンウェイクラッチOWC1と減速機構PGのキャリアCとに繋がる回転軸S5上に設けたギヤ61が変速機4のリバースシャフトRVS上に設置したギヤ50に噛合している。これにより、変速機4のリバースシャフトRVSと動力伝達ユニットU1の回転軸S5との間でギヤ50及びギヤ61を介しての回転伝達が行われるようになっている。
そして、動力伝達ユニットU1の減速機構PGは、電動機200の駆動軸210と連結された回転軸S3に接続されると共に、第1ワンウェイクラッチOWC1を介してエンジン2のクランク軸2aに接続されたサンギヤ(第1回転要素)Sと、第2クラッチC2を介してエンジン2のクランク軸2aに対して断接切替可能に接続されたキャリア(プラネタリキャリア:第2回転要素)Cと、第2ワンウェイクラッチOWC2を介して駆動装置1のケーシング(固定側の部材)7に接続されたリングギヤ(第3回転要素)Rとを備えて構成されている。
第1ワンウェイクラッチOWC1は、電動機200の正転駆動による回転軸S3の正転方向の回転数又はサンギヤSの正転方向の回転数が回転軸S5の回転数よりも高いときに解放される。その一方で、回転軸S3又はサンギヤSの正転方向の回転数が回転軸S5の回転数よりも低いときにはロックするように構成されている。また、第2ワンウェイクラッチOWC2は、電動機200の正転駆動によって減速機構PGのリングギヤRが一の方向(逆転方向)へ回転するときにロックする。その一方で、第2クラッチC2を係合させた状態での回転軸S5の回転で、減速機構PGのリングギヤRが他の方向(正転方向)へ回転するときに解放するように構成されている。
〔ギヤ操作機構〕
図2に示すように、駆動装置1には、変速機4のシンクロメッシュ機構81〜85を操作するためのギヤ操作機構(操作機構)100が設けられている。図3は、ギヤ操作機構100の一部を示す側面図である。ギヤ操作機構100は、回転方向及び軸方向に移動自在に支持されたシフトシャフト120と、シフトシャフト120を回転方向(シフト方向)及び軸方向(セレクト方向)に移動させるためのアクチュエータ部110と、シフトシャフト120上に設けた1個のインギヤ用係合片121及び4個のオフギヤ用係合片122〜125と、これらインギヤ用係合片121及びオフギヤ用係合片122〜125に係合してシフト方向に移動するシフトレール(シフト部材)131〜135と、シフトレール131〜135と一体に設けられてシンクロメッシュ機構81〜85のスリーブを操作するためのシフトフォーク(図示せず)とを備える。各シフトレール131〜135には、シフトシャフト120が挿通される切欠孔131b〜135bが設けられている。また、図示は省略するが、シフトレール131〜135がシフト方向に移動したときに、該シフトレール131〜135をインギヤ位置で保持するためのディテント荷重を発生するディテント機構が設けられている。
各シフトレール131〜135の切欠孔131b〜135bは、シフトシャフト120の軸方向に沿って互いが重なる位置に配置されている。そして、シフトシャフト120に設けた複数のオフギヤ用係合片122〜125は、インギヤ用係合片121に対して軸方向に位置をずらして設けられている。インギヤ用係合片121及びオフギヤ用係合片122〜125は、シフトシャフト120の軸方向において一つおきのシフトレール131〜135に対応する位置に設けられている。これにより、インギヤ用係合片121が第1変速機構G1のシンクロメッシュ機構83,87(奇数変速段用のシンクロメッシュ機構)のシフトレール131,133のいずれかに対応するセレクト位置にあるとき、オフギヤ用係合片122〜125のいずれかが、第1変速機構G1の他のシンクロメッシュ機構83,87のシフトレール132,134に対応するセレクト位置に配置されるようになっている。同様に、インギヤ用係合片121が第2変速機構G2のシンクロメッシュ機構82,86(偶数変速段用のシンクロメッシュ機構)のシフトレール131,133のいずれかに対応するセレクト位置にあるとき、オフギヤ用係合片122〜125のいずれかが、第2変速機構G2の他のシンクロメッシュ機構82,86のシフトレール131,133に対応するセレクト位置に配置されるようになっている。
また、オフギヤ用係合片122〜125は、インギヤ用係合片121よりもその突出寸法が小さな寸法に形成されている。複数のオフギヤ用係合片122〜125は、互いに同形状に形成されている。そして、オフギヤ位置にあるいずれかのシフトレール131〜135の切欠孔131b〜135b内にインギヤ用係合片121を位置させた状態でシフトシャフト120を回転させると、インギヤ用係合片121が切欠孔131b〜135bの内周縁に当接することで、当該シフトレール131〜135をインギヤ位置に移動させるように構成されている。また、インギヤ位置にあるいずれかのシフトレール131〜135の切欠孔131b〜135b内にオフギヤ用係合片122〜125を位置させた状態でシフトシャフト120を回転させたときに、オフギヤ用係合片122〜125が切欠孔131b〜135bの内周縁に当接してこれを押圧することで、当該シフトレール131〜135をオフギヤ位置に移動させるように構成されている。
〔潤滑プレート〕
図4は、メインモータ3と変速機4を互いに分離した状態で示す斜視図である。本実施形態の駆動装置1は、メインモータ3と変速機4との軸方向における間に、メインモータ3及び変速機4に潤滑油(作動油)を供給するための潤滑プレート20を備えている。潤滑プレート20は、絶縁性が確保された樹脂製であり、メインモータ3に沿うように、すなわち、メインモータ3と径方向にオーバーラップするように、略U字形状に形成されている。また、潤滑プレート20は、径方向の外側に突出するように形成された複数の凸部21をケーシング7(図2参照)にボルト締結することによって位置決め固定されている。
また、潤滑プレート20は、軸方向の一方側のプレート20aと、軸方向の他方側のプレート20bとを溶着によって軸方向に接合することによって構成されている。潤滑プレート20の内部には、プレート20a及びプレート20bが軸方向に所定の凹凸形状を有することによって、径方向内側及び径方向外側に互いにオフセットして第1流路30と第2流路40が形成され、これら第1流路30及び第2流路40に潤滑油を流通することが可能とされている。
また図1に示すように、潤滑回路9には、オイルポンプ(油圧源)8から潤滑油が供給され、潤滑回路9は、クラッチC1,C2等の変速機4内の潤滑が必要な箇所に潤滑油を分配する油路を備える。オイルポンプ8は、エンジン2と反対側の軸方向端部であってクランク軸2aと同軸上に配置されており、中空の内側メインシャフトIMSの中を通ってクランク軸2aに連結されるポンプシャフト8aを介してエンジン2により駆動される。
また、図4に示すように、内側メインシャフトIMSの上方には、当該内側メインシャフトIMSと平行に延びるオイル管13が設置されている。オイル管13の下方には、内側メインシャフトIMS側(下側)に向かって開口するオイル供給孔(図示せず)が複数設けられており、内側メインシャフトIMSと同軸に配置されたギヤ、例えば3速駆動ギヤ43、5速駆動ギヤ45、7速駆動ギヤ47、リバース駆動ギヤ56の噛合部に潤滑油を供給可能としている。なお、図2においては、潤滑油が、オイル管13の複数のオイル供給孔から上述した変速機4のギヤ噛合部に供給される様子を破線矢印で示している。
また、潤滑プレート20の第2流路40は、プレート20aの側面に設けられてメインモータ3に向かって開口する電動機用孔28と連通している。電動機用孔28は、プレート20aの側面に周方向に所定間隔で複数個設けられており、第2流路40の潤滑油が、これら複数の電動機用孔28を介してメインモータ3に供給される。
上記の潤滑プレート20には、メインモータ3の軸方向における一方側に配置されたオイルポンプ8によって潤滑油が供給される。より具体的に、先ず、変速機4の下方に配置されたストレーナ14に貯留されたオイルは、パイプ15a、メインモータ3の軸方向一方側に配置された潤滑油分配盤16、及びパイプ15bを介して冷却機17に到る。冷却機17で温度が下げられた潤滑油は、パイプ15c及び潤滑油分配盤16を介してパイプ15dに到る。パイプ15dは、メインモータ3に沿って上方に延びて、メインモータ3の上方部に向かって潤滑油を吐出する周方向パイプ15eと、軸方向に延びて、潤滑プレート20の潤滑油導入孔22に接続される軸方向パイプ15fとに分岐する。そして、潤滑油導入孔22から潤滑プレート20の内部に導入された潤滑油は、変速機4のギヤ噛合部や、メインモータ3、リバースシャフトRVS内、カウンタシャフトCS内、セカンダリシャフトSS内、電動機200の駆動軸210内に供給される。
〔電動機〕
図5は、電動機200及びその周辺の部分断面図である。また、図6は、電動機200を軸方向から見た概略の断面図(図3のA−A矢視断面図)である。先の図2に示すように、電動機200は、ケーシング7内で変速機4の上方に配置されている。この電動機200は、図5に示すように、ケーシング7に固定されるモータハウジング201と、駆動軸210上に固定されたロータ202と、ロータ202の外周側に配設されてモータハウジング201に固定されたステータ203とを備えている。駆動軸210は、軸受204を介してモータハウジング201に回転自在に支持されている。そして、潤滑プレート20の一部が駆動軸210の端部(動力伝達ユニットU1と反対側の端部)210aに対向する位置まで延伸しており、駆動軸210の内部(後述する第1油路211)には、当該潤滑プレート20から潤滑油が供給されるようになっている。
電動機200の冷却構造として、駆動軸210の内部に設けられた軸方向に延びる第1油路211と、軸方向におけるロータ202の両側に位置し、径方向において第1油路211から駆動軸210の外周面210bまで延びる第2油路212とを備えている。また、モータハウジング201の底部(下端部)201aには、該モータハウジング201の外部に連通する第1排出穴221と第2排出穴222が設けられている。第1排出穴221と第2排出穴222は、軸方向におけるロータ202の両側に位置しており、第1排出穴221はステータ203に対して軸方向の一方側に設けられており、第2排出穴222は、軸方向の他方側に設けられている。また、モータハウジング201の側壁(軸方向における動力伝達ユニットU1と反対側を向く側壁)201bには、貫通穴からなる第3排出穴223が形成されている。第3排出穴223は、側壁201bにおける駆動軸210よりも上側の位置に形成されている。
上記の冷却構造では、潤滑プレート20から駆動軸210内の第1油路211に供給された潤滑油が、駆動軸210の回転による遠心力で第2油路212からモータハウジング201内に吐出される。この潤滑油は、ロータ202及びステータ203の側面及びその近傍を通ってモータハウジング201内の外径側に供給される。そして、モータハウジング201の底部201aに設けた第1排出穴221及び第2排出穴222から排出される。第1排出穴221及び第2排出穴222から排出された潤滑油は、ケーシング7内の下方にあるシンクロメッシュ機構81〜85やギヤ操作機構100に供給される。なお、モータハウジング201内の外径側に供給された潤滑油は、その一部がモータハウジング201の側壁201bに設けた第3排出穴223からケーシング7内に排出される。
このように、本実施形態の電動機200を冷却するための冷却構造では、潤滑プレート20から駆動軸210内の第1油路211に供給された潤滑油が第2油路212からモータハウジング201の内部に吐出されるように構成したことで、モータハウジング201内の発熱部を該モータハウジング201の内部から冷却することができる。それに加えて、モータハウジング201に第1、第2排出穴221,222を設けたことで、熱源の冷却によって高温となった潤滑油をモータハウジング201から速やかに排出できる。これらにより、電動機200の熱源を効率良く冷却することができる。また、第1、第2排出穴221,222を設けたことで、モータハウジング201内の回転部品(駆動軸210やロータ202など)による潤滑油の攪拌を低減できる。また、第1、第2排出穴221,222から排出された潤滑油がケーシング7内で電動機200の下方に設置した変速機4の構成部品に供給されるので、当該潤滑油で変速機4の構成部品の冷却及び潤滑を行うことが可能となる。これにより、駆動装置1のケーシング7内の冷却構造や潤滑構造の簡素化を図りながらも、構成部品の効果的な冷却及び潤滑が可能となる。
また、図5に示すように、モータハウジング201に設けた第1排出穴221と第2排出穴222は、それらの軸方向の寸法D11,D12よりも周方向の寸法D2の方が小さな寸法(D11,D12>D2)に形成されている。
また、モータハウジング201からの潤滑油の排出性を確保できていないと、熱源を冷却した後の潤滑油がモータハウジング201内に滞留することで、モータハウジング201内の温度が上昇して熱源の冷却効率が低下する。また、ロータ(回転体)202の外周がモータハウジング201内の潤滑油の油面に接触すると引きずりによるフリクションが発生する。これに対して、本実施形態の冷却構造では、第1、第2排出穴221,222の形状を、軸方向を長手方向とする細長い形状としたことで、モータハウジング201からの潤滑油の十分な排出性を確保することができる。したがって、上記のような問題が起こらずに済む。
また、図5に示すように、モータハウジング201は、軸方向におけるステータ203の一方の側面(図の右側面)203cに当接する段部201cを有している。段部201cは、周方向において少なくともその一部が第2排出穴222と重なるように形成されている。この段部201cを備えたことで、電動機200の組立時に、ステータ203をモータハウジング201に圧入する際、ステータ203の側面203cがモータハウジング201の段部201cに当接したことを第2排出穴222から目視で確認できる。したがって、モータハウジング201内に取り付けたステータ203の位置決めを容易かつ確実に行えるようになるので、駆動装置1及び電動機200の組立効率の向上を図ることができる。
また、本実施形態の駆動装置1では、図3及び図5に示すように、モータハウジング201の第1排出穴221がギヤ操作機構100のシフトレール131〜135の上方(真上位置)に設けられており、第2排出穴222が変速機4のシンクロメッシュ機構81〜85の上方(真上位置)に設けられている。これにより、第1排出穴221から排出された潤滑油がシフトレール131〜135と係合片121〜125との係合部分に供給され、第2排出穴222から排出された潤滑油がシンクロメッシュ機構81〜85に供給される。
したがって、第1排出穴221及び第2排出穴222から排出された潤滑油は、変速機の構成部品であるシンクロメッシュ機構81〜85やギヤ操作機構100のシフトレール131〜135の潤滑油として利用できる。これにより、専用の潤滑機構を有しないシンクロメッシュ機構81〜85やギヤ操作機構100のシフトレール131〜135に潤滑油を供給することで、シンクロメッシュ機構81〜85におけるフォークとスリーブとの摺動による摩耗や、ギヤ操作機構100における係合片121〜125とシフトレール131〜135との係合による摩耗等を低減でき、それらの耐久性の向上を図ることができる。
また、図3に示すように、潤滑プレート20から駆動軸210内の第1油路211に供給された潤滑油は、電動機200に隣接する動力伝達ユニットU1にも供給されるようになっている。この冷却構造は、回転軸S3内に形成された第3油路213と、第3油路213から径方向の外側に向かって減速機構PGのサンギヤ(第1回転要素)Sの側部まで延びる第4油路214とを備えている。第3油路213は、第1油路211と同軸上に配置されており、第1油路211に連通している。第1油路211から第3油路213に供給された潤滑油が第4油路214から動力伝達ユニットU1の減速機構PGに供給される。
この冷却構造によれば、潤滑プレート20から第1油路211に供給された潤滑油の一部が動力伝達ユニットU1に供給されるように構成したことで、電動機200の動力を伝達する動力伝達ユニットU1の冷却構造の簡素化を図ることができる。特に、電動機200に供給される潤滑油の油路を動力伝達ユニットU1の減速機構PGまで延ばすことにより、簡単な構成で、動力伝達ユニットU1の効果的な冷却及び潤滑が可能となる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
1 駆動装置
2 エンジン(内燃機関)
2a クランク軸(機関出力軸)
3 メインモータ
4 変速機
5 ディファレンシャル機構
7 ケーシング
8 オイルポンプ(油圧源)
9 潤滑回路
20 潤滑プレート(潤滑油供給部材)
42〜47 駆動ギヤ
51〜53 従動ギヤ
70 プラネタリギヤ機構
81〜85 シンクロメッシュ機構(同期装置)
100 ギヤ操作機構(操作機構)
121〜125 係合片
131〜135 シフトレール(シフト部材)
200 電動機
201 モータハウジング(ハウジング)
201a 底部
201b 側壁
201c 段部
202 ロータ
203 ステータ
203c 側面
204 軸受
210 駆動軸
210b 外周面
211 第1油路
212 第2油路
213 第3油路
214 第4油路
221 第1排出穴
222 第2排出穴
223 第3排出穴
C1 第1クラッチ(断接装置)
C2 第2クラッチ(断接装置)
CS カウンタシャフト
G1 第1変速機構
G2 第2変速機構
IMS 内側メインシャフト(第1入力軸)
OMS 外側メインシャフト(第2入力軸)
IDS アイドルシャフト
SS セカンダリシャフト
OWC1 第1ワンウェイクラッチ
OWC2 第2ワンウェイクラッチ
PG 減速機構(遊星歯車式の減速機構)
S サンギヤ(第1回転要素)
C キャリア(第2回転要素)
R リングギヤ(第3回転要素)
S3 回転軸
S5 回転軸
U1 動力伝達ユニット

Claims (5)

  1. 車両の駆動源の駆動力の回転を変速して駆動輪側に伝達する変速機と、
    前記変速機を収容してなるケーシングと、
    前記ケーシング内で前記変速機の上方に配置された電動機と、を備える駆動装置の冷却構造であって、
    前記電動機の構成部品を収容するハウジングと、
    前記ハウジング内で軸受を介して該ハウジングに回転自在に支持された駆動軸と、
    前記ハウジング内で前記駆動軸に固定されたロータと、
    前記ハウジング内で前記ロータの外周側に配設されて前記ハウジングに固定されたステータと、
    前記駆動軸内に形成された軸方向に延びる第1油路と、
    軸方向における前記ロータの両側に設けられ、径方向において前記第1油路から前記駆動軸の外周面まで延びる第2油路と、
    前記ハウジングの底部における前記ステータに対する軸方向の一方側に形成された第1排出穴及び軸方向の他方側に形成された第2排出穴と、
    前記第1油路に油圧源からの潤滑油を供給する潤滑油供給部材と、を備え、
    前記潤滑油供給部材から前記第1油路に供給された潤滑油が前記第2油路から前記ハウジングの内部に吐出されて、前記第1排出穴及び前記第2排出穴から前記ハウジングの外部に排出されるように構成し
    前記ハウジングは、前記駆動軸の軸方向における前記ステータの一方の側面に当接する段部を備え、
    前記段部は、前記ハウジングの周方向において少なくともその一部が前記第1排出穴又は前記第2排出穴と重なる位置に配置されている
    ことを特徴とする駆動装置の冷却構造。
  2. 車両の駆動源の駆動力の回転を変速して駆動輪側に伝達する変速機と、
    前記変速機を収容してなるケーシングと、
    前記ケーシング内で前記変速機の上方に配置された電動機と、を備える駆動装置の冷却構造であって、
    前記電動機の構成部品を収容するハウジングと、
    前記ハウジング内で軸受を介して該ハウジングに回転自在に支持された駆動軸と、
    前記ハウジング内で前記駆動軸に固定されたロータと、
    前記ハウジング内で前記ロータの外周側に配設されて前記ハウジングに固定されたステータと、
    前記駆動軸内に形成された軸方向に延びる第1油路と、
    軸方向における前記ロータの両側に設けられ、径方向において前記第1油路から前記駆動軸の外周面まで延びる第2油路と、
    前記ハウジングの底部における前記ステータに対する軸方向の一方側に形成された第1排出穴及び軸方向の他方側に形成された第2排出穴と、
    前記第1油路に油圧源からの潤滑油を供給する潤滑油供給部材と、を備え、
    前記潤滑油供給部材から前記第1油路に供給された潤滑油が前記第2油路から前記ハウジングの内部に吐出されて、前記第1排出穴及び前記第2排出穴から前記ハウジングの外部に排出されるように構成し、
    前記変速機は、
    断接装置を介して前記駆動源からの駆動力を伝達する回転軸と、
    前記回転軸上に配置された一又は複数の同期装置を介して前記回転軸に選択的に連結される駆動ギヤを含む変速機構と、
    駆動輪側に駆動力を出力する出力軸と、
    前記出力軸上に配置され、前記駆動ギヤと噛合する従動ギヤと、
    前記同期装置を操作する操作機構と、を備え、
    前記操作機構は、
    前記同期装置を操作するためのシフト部材と、
    前記シフト部材に係合する係合片と、
    前記係合片を駆動するためのアクチュエータ機構と、を備え、
    前記第1排出穴が前記シフト部材及び前記係合片の上方に配置されており、
    前記第2排出穴が前記同期装置の上方に配置されている
    ことを特徴とする駆動装置の冷却構造。
  3. 車両の駆動源の駆動力の回転を変速して駆動輪側に伝達する変速機と、
    前記変速機を収容してなるケーシングと、
    前記ケーシング内で前記変速機の上方に配置された電動機と、を備える駆動装置の冷却構造であって、
    前記電動機の構成部品を収容するハウジングと、
    前記ハウジング内で軸受を介して該ハウジングに回転自在に支持された駆動軸と、
    前記ハウジング内で前記駆動軸に固定されたロータと、
    前記ハウジング内で前記ロータの外周側に配設されて前記ハウジングに固定されたステータと、
    前記駆動軸内に形成された軸方向に延びる第1油路と、
    軸方向における前記ロータの両側に設けられ、径方向において前記第1油路から前記駆動軸の外周面まで延びる第2油路と、
    前記ハウジングの底部における前記ステータに対する軸方向の一方側に形成された第1排出穴及び軸方向の他方側に形成された第2排出穴と、
    前記第1油路に油圧源からの潤滑油を供給する潤滑油供給部材と、を備え、
    前記潤滑油供給部材から前記第1油路に供給された潤滑油が前記第2油路から前記ハウジングの内部に吐出されて、前記第1排出穴及び前記第2排出穴から前記ハウジングの外部に排出されるように構成し、
    前記駆動源は、内燃機関であり、
    前記電動機は、前記内燃機関の始動が可能な始動用の電動機であり、
    前記駆動源と前記電動機との間で動力を伝達するための動力伝達経路を備え、
    前記潤滑油供給部材から前記第1油路に供給された潤滑油の一部が前記動力伝達経路に供給されるように構成した
    ことを特徴とする駆動装置の冷却構造。
  4. 前記動力伝達経路は、
    第1ワンウェイクラッチと断接装置を介して前記内燃機関の機関出力軸に接続されていると共に、前記駆動軸と同軸上に設置された第1回転要素と、
    前記断接装置を介して前記内燃機関の機関出力軸に対して断接切替可能に接続された第2回転要素と、
    第2ワンウェイクラッチを介して前記ケーシングに接続された第3回転要素とを有する遊星歯車式の減速機構を備え、
    前記第1油路と連通すると共に、前記駆動軸の軸方向に延びる第3油路と、
    径方向において前記第3油路から少なくとも前記第1回転要素に対応する位置まで延びる第4油路と、を備え、
    前記第1油路に供給された潤滑油の一部が前記第3油路及び前記第4油路で前記減速機構の前記第1回転要素に供給される
    ことを特徴とする請求項に記載の駆動装置の冷却構造。
  5. 前記第1排出穴又は前記第2排出穴は、前記軸方向の寸法よりも前記ハウジングの周方向の寸法の方が小さな寸法に形成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の駆動装置の冷却構造。
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